JP2000503644A - IgGおよびIgAを単離する方法 - Google Patents

IgGおよびIgAを単離する方法

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Abstract

(57)【要約】 免疫グロブリンを含む出発物質からIgGおよびIgAを分離する方法を開示する。その方法は、(i)IgG、また場合によりIgAを固体の無機担体に吸着させ;(ii)IgAを、場合により選択脱離の後、溶出液から抽出し、一方では、IgGを担体上に残留させ;そして場合により(iii)IgGを吸着物質から抽出することを特徴とする。集合体を形成する傾向の低いIgA製剤もまた開示する。

Description

【発明の詳細な説明】 IgGおよびIgAを単離する方法 本発明は、IgGおよびIgAを単離する方法、さらにはまた、この方法によ り得られるIgA溶液に関する。 免疫グロブリン(Ig)は、血漿、リンパ液中の、そして全ての脊椎動物の他の 体分泌物中の特異的な免疫タンパク質である。免疫グロブリンは、B−リンパ球 から合成される。単量体免疫グロブリンは各々、ジスルフィド架橋により互いに 結合する2本のL(軽)およびH(重)鎖からなる。免疫グロブリンは、抗体とし て機能する糖タンパク質であって、その形成は、抗原により剌激される。量的に は、それらは、全血漿タンパク質の約20%を構成する。 現在まで、免疫グロブリンの5つの主要なクラスがヒトにおいて同定されてお り(IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM)、これらは、それらのH鎖 において、それらの血清濃度、分子量(約146000〜970000)、炭水化 物含量、電気泳動移動度、およびそれらの生物学的特性において異なる。主要な クラスであるIgAおよびIgGは、サブクラス(例えば、IgA1、IgA2) に分けることができる。免疫グロブリンのクラスおよびサブクラスの多様性、さ らにはまた、抗原を結合する際のそれらの様々に異なった特異性は、種々の遺伝 子構築ブロックの組み合わせによって生ずる。 免疫グロブリンA(IgA)は、唾液、涙液、並びに気管支および腸管の粘液と いったような外分泌物中で主要な抗体クラスを示す。従って、免疫グロブリンA は、細菌およびウイルス病原体に対する第一防御系の1つを形成する。 純粋な単量体型では、IgAは、2本の軽(L)鎖および2本の重(H)鎖からな り;二量体分泌型では、2つのそのような単量体が、いわゆるJ鎖(接続鎖)によ り結合している。粘膜および粘液腺の分泌物中には、さらなる分泌成分(いわゆ るSC成分)をもつ二量体が特に存在している。 溶液中には、血漿のIgA単量体が、共有結合していないIgA二量体と平衡 し て存在している。この平衡では、二量体IgAの最大部分は、全IgAの約25 %に達する。 IgAは、2つのサブクラスであるIgA1およびIgA2からなり、これら は、約80重量%対20重量%の天然の(native)関係で存在している。この関係 は、単離の過程で変更することができる。免疫グロブリン製剤中のκ対λ軽鎖の 天然の比率(U/dl単位で測定する)は、約1:1に達する。 IgAは、正常なヒト血清の全タンパク質の約3−4%しか示さない。IgA の精製の間、複合体および集合体を形成する著しい傾向が観察された。従って、 血清からの単量体IgAの単離は、大部分が低収率と結びつき、現在まで、多数 の製造方法のうち、商業的製造にも適当である、ごく僅かな方法しか知られてい ない。IgA製剤の主な不純物は、実質的には、免疫グロブリンGの種々のサブ クラスであり、その分離は、精製工程をさらに必要とし、これが、IgAの収率 をさらに減少させる。 免疫グロブリンの既知かつ一般的な精製方法は、大部分が、例えば、水系での 溶解性(分別沈殿による精製)、電荷数(イオン交換クロマトグラフィーによる精 製)といったような物理的特性の相違、または分子の大きさ(分子サイズ排除クロ マトグラフィーによる精製)の相違に基づく。 長い間、無機担体物質もまた、クロマトグラフ精製法を行うのに、例えば、血 漿タンパク質の分離に使用されてきた。従って、A1(OH)3は、例えば、血漿 中に含まれる他のタンパク質からプロトロンビン複合体を分離するのに使用され ており、そしてこの方法はまた、商業的規模でも適用される。例えば、酸化アル ミニウム、リン酸カルシウム、または種々のケイ素化合物といったような他の無 機物質もまた、商業的規模での製造において好ましく使用される。 特別な製造法により、焼結された形で得られるヒドロキシルアパタイトは、一 般のクロマトグラフィーにおける吸着剤として使用されることが欧州特許第24 2 544号から知られている。ヒドロキシルアパタイトは、式Ca10(PO4)6( OH)2をもつ化学物質として、すなわち、水酸化リン酸カルシウムとして記載さ れており、これは、大部分が粒子状で存在している。従って、ヒドロキシルアパ タ イトは、粒子状のリン酸カルシウムとして考えられ得る。なかでも、ヒドロキシ ルアパタイトは、生物学的高分子、例えば、免疫グロブリンもしくは酵素といっ たようなタンパク質の分離に、またはRNA、DNA、ウイルス、もしくはプラ スミドの分離に適当な物質として提案されている。 静脈内投与可能な免疫グロブリンを含む医薬品の製造方法は、独国特許第39 27 112号から知られている。この医薬品は、濃縮された形でのIgA、I gG、およびIgMからなり、そしてなかでも、カプリル酸の存在下におけるリ ン酸カルシウムへの吸収もまた含まれる多工程の精製法により得られる。しかし 、この方法では、免疫グロブリンは互いから分離されず、従って、ある混合され た割合で3つのグループの免疫グロブリンを全て含む医薬品製剤が提供される。 加えて、免疫グロブリン、例えば、免疫グロブリンAをベースにした医薬組成 物が、細菌およびウイルス感染の予防および処置に関して既に提案されている( 日本国特許公開第478 59815号を参照)。 特にヒト起源の出発物質を免疫グロブリンの製造に使用することで直面する問 題は、得られる生成物のウイルス安全性である。ドナーの選択および個々のドナ ーの血漿の試験にもかかわらず、例えば、幾つかの試験の低い感度の結果として 、感染病原体、とりわけ肝炎ウイルスまたはHIVのようなレトロウイルスが供 与物(donations)のプール中に存在していることを排除することができない。 1015単位以上程度のウイルスの減少/不活性化は、Cohnに従っての分別アル コール沈殿による免疫グロブリン製剤の製造において記載された(例えば、Wells ら、Transfusion 26(1986)120−213を参照)が、その製剤の不十 分なウイルス不活性化、すなわち、不適当なウイルス安全性という危険性が、と りわけCohnの分画から得られた中間生成物を使用する場合に実在する。 ウイルスの一般的な不活性化方法では、免疫グロブリンのさらなる集合体形成 が予想される。このことは、脂質に覆われたウイルスの他に、脂質に覆われてい ないウイルス(例えば、A型肝炎ウイルス)もまた有効に不活性化されるので好ま しく適用される熱処理方法で、ある特定の程度まで実証されている。 IgAのかなりの部分は、多量体を形成し得、そして/または先に述べた熱処 理の間に重合し得ることが示された。しかし、先に説明したように、このタイプ の集合したIgAは、種々の精製法によって得られる単量体IgAの収率を減少 させる。集合体、例えば、IgG集合体はまた、なかでも、抗補体活性の増大も 引き起こして、それによって、静脈内投与後の不耐性(intolerability)反応を招 く。このことを理由として、当業界による幾つかの精製法、ここでは、ウイルス の不活性化工程は、特に安定剤の存在下における熱処理工程を行う。そのような 方法は、例えば、欧州特許第177 836号に記載されている。しかし、安定 剤を使用することの不利な点は、このことが、さらなる除去工程を必要とするこ とである。安定剤を使用することのさらなる不利な点はまた、ウイルスタンパク 質の同時安定化であって、それによって、ウイルスの不活性化に関する動態が悪 くなる。 本発明の目的は、免疫グロブリンを含む出発物質中の免疫グロブリンIgGお よびIgAを、互いから、そしてそれらの高分子集合体からもまた、さらにはま た、その出発物質中に既に存在していた、または行うのが簡単であって、大規模 な製造へ容易に移行される方法により精製工程の間に形成された物質を含む他の 高分子から分離することである。 先の目的は、 (i)IgG、また場合によりIgAを固体の無機担体物質に吸着させ、 (ii)IgAを、場合により選択脱離の後、溶出液から単離し、一方では、Ig Gを担体物質上に残留させ、そして場合により (iii)IgGを吸着物質から単離する ことを特徴とする方法により、本発明に従って解決される。 「溶出液」という用語は、本発明により、担体物質へのIgAの吸着、またそ れに続いて、その脱離が起こるかどうか、またはIgAが担体物質に全く吸着さ れず、溶液中に残留するかどうかとは無関係に、本発明に従っての担体物質での 出発物質の処理により得られる水溶液として理解される。本発明により、IgG を場合により単離する「吸着物質」という用語は、IgGが固体の担体物質に吸 着されることを意味する。IgGは、その担体物質からのIgGの脱離により、 吸 着物質から単離することができる。 本発明により、血漿、血清、または適当な血漿画分を、免疫グロブリンを含む 出発物質として使用する。さらにまた、その出発物質はまた、分泌物、例えば、 粘液分泌物でもあり得る。好ましくは、ヒト起源の出発物質を使用する。特に好 ましい態様においては、血漿および/または血漿画分を使用し、これらを場合に よりCohnの方法に従ってエタノールで最初に処理した後、CohnII+III画分を本 発明による方法のための出発物質として使用する。 好ましくは、難溶性の塩、例えば、ケイ酸またはケイ藻土の形での、ケイ酸マ グネシウム、酸化またはケイ酸アルミニウムといったような、第二〜第四の主要 なグループの元素から得られた化合物が、無機担体物質として考えられる。本発 明によるIgAおよびIgGの分離のための無機担体物質は、好ましくは、リン 酸カルシウムのような、難溶性のアルカリ土類塩、最も好ましくはヒドロキシル アパタイト、とりわけセラミック・ヒドロキシルアパタイトである。 無機担体物質への吸着のための条件は、IgG、また場合によりIgAを吸着 させるように選択することができる。好ましくは、高分子タンパク質および/ま たはタンパク質集合体もまた、その担体物質に吸着させる。その高分子物質は、 出発物質中に既に元から存在しているもの、または精製法の間に形成される集合 体として考えられ得る。このタイプのタンパク質集合体はまた、例えば、IgG またはIgA集合体といったような免疫グロブリン集合体を示すこともできる。 一般に、免疫グロブリンは、化学物質で処理する場合に、または温度を上げて使 用する場合等にも集合する強い傾向を示す。このことは、ウイルスの不活性化の ための熱処理工程、または血漿分画工程を行う場合、特に当てはまる。しかし、 集合した免疫グロブリンの存在は、静脈内使用のための医薬品製剤の製造におい て、とりわけ問題である。 好ましくは、リン酸イオンにより調節する、イオン強度の低い緩衝液を吸着に おいて使用するならば、IgG、さらにはまた、IgAは、無機担体物質に結合 する。その緩衝液のイオン強度を僅かに増大させることにより、IgGの選択吸 着を、IgAに比べて、驚くほど得ることができる。それによって、IgAは、 その 担体物質に吸着されないか、または低い程度までしか吸着されず、従って、吸着 が起こる場合により、物理的ストレスに曝されないか、または実質的には、より 低い程度までしか曝されない。この方法では、本発明により、高分子IgA集合 体の形成が回避され、そして/または集合体を形成する傾向が減少する。 例えば、6.5〜7.5の間のpH、および0〜10mMの間のリン酸塩濃度に 対応するイオン強度をもつ緩衝液を使用するならば、IgAは、固体の担体物質 へ定量的に結合する。IgAの選択脱離は、そのイオン強度が11〜100mM の間の、好ましくは20〜40mMの間のリン酸塩濃度に対応している緩衝液を 使用することより起こり、一方では、IgGは担体物質上に残留する。次いで、 後に述べた緩衝液をIgGの選択吸着に使用することができ、一方では、IgA は溶出液中に残留する。 本発明に従って方法を行うための緩衝液は、好ましくは、高級有機酸を含んで いない;従って、その緩衝液は、例えば、タンパク質を沈殿させるかもしれない カプリル酸を含んでいない。 本発明による方法の前または後に、さらなる精製工程を行うことができる。こ のことに関して、例えば、クロマトグラフ法、沈殿および/またはさらなる吸着 工程といったような、一般的な方法が全て考えられる。そのクロマトグラフ法は 、イオン交換、アフィニティー、硫黄親和性(thiophilic)、および/またはゲル 浸透クロマトグラフィーであり得る。沈殿は、例えば、ZnSO4、リバノール 、エタノール、ポリエチレングリコール、および/または硫酸アンモニウムで起 こり得、また分別沈殿として行うこともできる。さらなる無機物質の他に、アガ ロース、セファロース、またはPEG誘導体といったような有機物質もまた、吸 着物質として考えられる。さらなる精製工程は、様々な濾過および遠心分離工程 を含んでなり得る。 好ましくは、イオン交換クロマトグラフィーを、さらなる精製法として行う。 最も好ましくは、例えば、硫酸アンモニウムでのさらなる沈殿工程を行う。場合 により、タンパク質−Gセファロースへの吸着を、IgGのさらなる選択吸着工 程として行う。 担体物質を使用する精製工程は全て、バッチ法として、またはカラム中で行う ことができる。そのバッチ法は、一般に、多量の出発物質を精製し、そして/ま たはそれによって、短時間で分離することができるので、大規模な製造に好まし いものである。 好ましい態様によれば、ウイルスの不活性化工程もまた行う。この工程は、本 発明による精製法および/またはさらなる種々の精製工程のいずれかで行い得る 。好ましくは、ウイルスの不活性化工程を、固体の無機担体物質での処理の後に 行う。 ウイルスの不活性化に関して当業界で知られている、いずれかの方法を使用す ることができる。それによって、熱処理は、脂質に覆われていないウイルス(A 型肝炎)の不活性化も起こすので、熱処理が好ましく行われることが知られてい る。 熱処理工程を行うために、その製剤は、溶解された、または固体の状態で使用 することができる。熱処理を固体の状態で行うならば、その熱処理にかける生成 物は、好ましくは、5〜70重量%の含水率を有する。固体の状態としての別の 好ましい態様によれば、凍結乾燥物(lyophilisate)を使用する。ウイルスの不活 性化は、好ましくは、40〜80℃の範囲内の、とりわけ50〜65℃の範囲内 の温度で起こる。それによって、その熱処理を、ウイルスの不活性化のために少 なくとも十分に長い時間、好ましくは30分〜10時間の間行う。好ましくは、 その熱処理は、とりわけ欧州特許第159 311号に記載されている方法によ り、蒸気処理として行う。安定剤の添加なしで操作する上述の方法では、例えば 、メタノール、エタノール、またはマンニットといったような、ヒドロキシル基 を含む化合物を、水の代わりに使用することができる。 ウイルスの不活性化を安定剤の存在下に行うことも可能である。そのような方 法は、欧州特許第177 833号に記載されている。この方法では、その安定 剤が、相対的に不安定な免疫グロブリンを変性から保護して、それらの生物学的 活性を保持する。 しかし、熱処理の他に、ウイルスの他の不活性化方法もまた全て使用すること ができる。従って、例えば、欧州特許第131 740号による溶媒/界面活性 剤処理、または欧州特許第50 061号による界面活性剤処理を適用すること ができる。ウイルスの不活性化方法として、β−プロピオラクトンと一緒にUV 照射が含まれる方法もまた適当である。 独国特許第44 34 538号に記載されているような、ポリエーテルの存在 下における化学または物理処理は、免疫グロブリンを含む画分を、感染性物質の 不活性化方法にかけるためのさらなる処理として適当である。このことを目的と して、例えば、ポリアルキレングリコール、とりわけポリエチレンまたはポリプ ロピレングリコールといったようなポリヒドロキシエーテルが、ポリエーテルと して考えられる。 欧州特許第247 998号により、例えば、トリプシンまたはキモトリプシ ンといったような中性ペプチド加水分解酵素の使用もまた、複製可能な病原性物 質の不活性化に対するさらなる可能性として述べられるべきである。 熱処理を、1つまたはそれ以上の他の既知かつ一般的なウイルス不活性化方法 と、とりわけUV照射、界面活性剤での処理、および/または溶媒/界面活性剤 システムでの処理と組み合わせることもまた適当であり得る。個々のプロセス工 程は、同時に(例えば、同時UV照射での熱処理)、またはいずれかの他の順序で 行い得る。 これらの不活性化方法の異なった作用機構は、熱処理と、1つまたはそれ以上 の他のウイルス不活性化方法との組み合わせにより利用することができ、それに よって、生成物のウイルス安全性をさらに増大させることができる。 ウイルスの保証された減少方法はまた、免疫グロブリンを含む溶液のナノ濾過 (nanofiltration)でもある。 場合により、IgGもまた吸着物質から単離し、それによって、IgGが固体 の無機担体物質からの脱離の後に与えられる。しかし、そのIgGをまた、先の 免疫グロブリンの単離に関して既に記載したようなさらなる方法により精製する こともできる。IgGに関するさらなる精製法は、当業界で知られている技術に 対応する(例えば、オーストリア国特許第0383 737号、Immuno AG、ま た はJ.J.Langone、J.Immunol Methods 55(1982)、277−296 頁を参照)。 本発明による方法で、IgAを単に回収することができるが、加えて、IgG 製剤を得ることもできる。 適当には、水に対する透析を熱処理の前に行うこともでき、それによって、場 合により未だ存在している不純物、とりわけ場合により加えた、または存在して いる安定化物質を相当除去することができる。 本発明はまた、本発明の方法により得られるIgA製剤も含んでなる。このI gA製剤は、その特性において、当業界で知られている製剤とは異なる。 従って、IgA製剤が本発明により得られ、これは、実質的には、IgGを含 んでいない。本発明により、「実質的にはIgGを含んでいないIgA」という 用語は、全免疫グロブリンに関して、15%未満のIgG、好ましくは10%、 最も好ましくは2〜5%のIgGを含んでなるIgAを意味する。 本発明によるIgA製剤の純度は、70%以上であり、好ましくは80および /または85%に達し、それによって、全タンパク質に関して、90〜92%の 純度の本発明によるIgA製剤が最も好ましい。 先に既に述べたように、無機担体物質への吸着のための条件は、IgGが吸着 されるが、IgAは吸着されず、そして溶出液と呼ばれる水溶液および/または 懸濁液から回収されるような方法で選択することができる。この方法の変更態様 によれば、IgAは、この精製工程の間、いずれの物理的ストレスにも曝されな い。それによって、分子中の変化、例えば、吸着の結果として起こり得るような コンホメーションの変化が主として回避される。本発明により、IgAの吸着が 回避されるよう、さらなる精製工程における条件を選択することもまた好ましい 。このことは、物理的ストレスが、一般に、タンパク質の、特に免疫グロブリン の集合体形成への傾向の引き金となるので重要である。 本発明の方法により、安定なIgA溶液が得られ、これは、集合体形成に対す る低い傾向を特色として、医薬的使用に適当である。好ましくは、IgAは、無 機担体に吸着されず、最も好ましくは、IgAは、さらなる精製工程の間、いず れの担体物質にも吸着されない。 このIgA製剤は、相当な集合体形成なしに、熱処理または凍結乾燥にかける ことができるほど十分安定である。 好ましくは、IgAは、無機担体物質に吸着されず、最も好ましくは、IgA はまた、さらなる精製工程の間、いずれの担体物質にも吸着されない。 既に述べたように、本発明によるIgA溶液は、集合体を形成する傾向の低さ を特色とする。集合体を形成するこの傾向は、例えば、容易に行われる試験によ って測定することができる:試験すべき製剤を、溶液としての生理的媒体中、場 合により、凍結乾燥物の再構築の後に、2mg IgA/mlまたは0.5mg IgA /mlの濃度にて、63℃の温度で20分間インキュベートした後、形成された集 合体の量を周知の方法によって、例えば、電気泳動法によって、またはゲル濾過 分析によって測定する。すると、本発明による溶液は、50%未満、好ましくは 40%未満、より好ましくは30%未満、さらに好ましくは20%未満、なおよ り好ましくは10%未満、最も好ましくは5%未満の集合体含量を有する。 その試験はまた、そうする際に既に記載したのと同じ条件下、他の温度、好ま しくは少なくとも60℃で行うこともでき、試験すべき試料をインキュベートす る時間は4分/℃だけ対応して短縮するか、または延長すべきである。例えば、 その試験は、60℃の温度で32分間、または65℃で12分間行うことができ る。 本発明の方法に従って製造したIgA溶液は、IgAの天然のコンホメーショ ンによって区別される。このことは、無傷の免疫グロブリンが必要条件である生 物学的機能にとって特に重要であり、これは、例えば、毒素中和、サイトカイン の下方変調(down-modulation)、および/または酸素ラジカルの形成阻害の測定 試験により測定することができる。 集合体は、400kD以上の分子量を有する分子会合として理解される。一般 に、高分子集合体は、600kD以上の分子量を有する。定義により、IgA単 量体は、150〜180kDの範囲内の分子量を有する。IgA二量体の分子量 は、300〜360kDの範囲内にある。ある状況下には、IgA二量体はまた 、J鎖 および/または分泌成分も含み得る。 本発明の方法により、安定なIgA溶液が得られ、これは、例えば、10%未 満の集合体を有し、好ましくは、その集合体部分は、8%以下であり、最も好ま しくは、その溶液は、5%未満の集合体部分を有する。 本発明による溶液中の二量体の含量は、例えば、10%まで、好ましくは8% までに達し、最も好ましくは、その溶液は、1〜2%の二量体を含む。 IgA単量体に関する含量は、80〜99%の間にあり得、好ましくは、単量 体IgAの部分は、約90%である。 本発明によるIgA溶液は、医薬品適用に適当であって、保存中、安定である 。従って、本発明によるIgA溶液は、4℃で4年まで、好ましくは2年まで、 または室温で1カ月〜2年まで保存する場合は、実質的な集合体形成なしに、す なわち、溶液中の集合体含量が10%未満であり、安定である。 例えば、場合により溶液中に存在しているウイルスの不活性化に関して対応す る方法において適用するような、より高温でも、すなわち、例えば、50〜80 ℃の間の、好ましくは60〜65℃の間の温度でも、本発明による溶液はまた、 安定であって、集合体を形成する低い傾向を有する。この集合体を形成する傾向 の減少は、先に記載した試験システムによって確証することができる。 サブクラスであるIgA1およびIgA2は、好ましくは、本発明によるIg A溶液中で、ある比率で存在しており、これは、天然のIgAの組成に対応する 。好ましくは、このことは、多価IgAに関係する。 本発明によるIgA製剤は、一般的な医薬品担体および/または溶液剤と一緒 に組み合わせることができる。それは、液体の、または凍結乾燥された状態で存 在し得、また保存中、安定である。 本発明によるIgAを含む医薬組成物はまた、他の活性成分がIgAと適合で きて、その医薬組成物の決められた目的に適当かつ有用でありさえすれば、他の 活性成分(活性物質)も含んでなり得る。 その医薬組成物の製造は、既知の方法により行って、とりわけ、意図する投与 形態のタイプに従って適応させる。本発明により単離されたIgA製剤の投与は 、 局所、粘膜、例えば、経口、または全身的な方法で行う。 本発明により単離されたIgA製剤を含む医薬組成物は、炎症、感染、および /またはアレルギーの予防および処置にとりわけ適当である。その用量は、投与 方法、および投与回数、さらにはまた、疾患の程度および重篤度に依存する。高 い全用量のIgAを投与しなければならない場合、IgAを1日に分割した幾つ かの少ない用量で投与するのが好ましいことが多い。例えば、IgAを、好まし くは3回またはそれ以上の用量で(標準1〜10g/日、または重篤な場合には 、それ以上)経口投与することができる。しかし、その用量はまた、とりわけ、 一般の身体状態および患者の年齢にも従って、また疾患の重篤度にも従って適応 させる。 全身的な方法での、例えば、静脈内注射、連続注入、またはその両方によって のIgAの投与が特に好ましい。典型的には、50〜2000mg IgA/kg/ 日を投与する。希な場合には、投与はまた、標準的には、50〜100mg Ig A/kg/日の用量で、筋肉内にも行い得る。 加えて、本発明により単離されたIgAはまた、例えば、吸入によって粘膜に (10ml/日まで、10〜100mg IgA/ml)、スプレーもしくは液滴によっ て鼻に(15〜200mg/ml)、または関節内注射により局所に(これは、必要に 応じて、10〜100mg IgA/mlの溶液を1〜5ml含む)投与することもでき る。 他の投与方法は、坐剤(100〜1000mg IgA/用量)および経皮硬膏剤を 含んでなる。経皮硬膏剤は、皮膚の炎症を処置するのに特に適当である。 ウイルス感染の予防および処置に一般的である、それらの投与形態、とりわけ 、例えば、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、ペレット剤、ミニペレット剤、およびマ イクロカプセル剤といったような経口投与形態が特に考えられる。ウイルス腸感 染の処置では、これに慣例の胃液耐性、腸可溶性コーティングを施した顆粒剤お よび/またはペレット剤等を与えるのが好ましい。 添付の図面に示す溶出曲線は、各々、中間工程および/または最終工程のゲル 濾過分析により得られた。その図面は、次のものを示す: 第1図 出発物質のゲル濾過分析; 第2図 実施例 1によるFractogel TMAEの後に得られた物質の ゲル濾過分析; 第3図 実施例 1によるヒドロキシルアパタイト処理の後に得られた物質の ゲル濾過分析; 第4図 実施例 1による硫酸アンモニウム沈殿の後に得られた物質の ゲル濾過分析。 矢印は、各々のIgAを含むピークを示す。 次の実施例は、本発明をそれらに限定することなしに、本発明をより詳しく説 明するものである。 実施例1 欧州特許第506 651号に記載されているように、Cohn II+III画分を、 リン酸−酢酸緩衝液で抽出したヒト血漿から製造した。エタノールをpH値5.3 および温度−2℃で濃度12%まで加え、それによって、沈殿が形成され、これ を分離した。得られたペーストを抽出して、抽出物をリジン−アガロースで処理 して、プラスミノーゲンを分離した。本発明の方法により、非結合物質をさらに 処理した: そのリジン−アガロース上清を18900×g下に4℃で60分間遠心分離し て、不溶性成分を分離した。沈殿を捨てた。その上清を、Amicon Spiral Module S1Y30 Cross Flowで、3倍の試料体積の50mM 酢酸ナトリウム/酢酸緩 衝液、pH 5.0に対して室温で透析して、その後、18900×g下に4℃で 15分間遠心分離した。 透析した物質をバッチ法で陰イオン交換体と混合した。このため、タンパク質 20mgにつき2mlのゲル懸濁液が存在するよう、その試料を等体積のイオン交換 体(Fractogel EMD TMAE 650(M)粒径0.04〜0.09mm;Merck 、Darmstadt、DE;50mM 酢酸ナトリウム/酢酸緩衝液、pH 5.0中に1: 2で懸濁させた)と混合した。その懸濁液を4℃で一晩撹拌した。非結合物質を 吸引フィルターで分離して、ゲルを50mM 酢酸ナトリウム/酢酸緩衝液、pH 5.0で2回洗浄した。その後、そのゲルを、50mM 酢酸ナトリウム/酢酸緩 衝液+0.5M NaCl、pH 5.5と共に、4℃で2時間撹拌した。次いで、 そのゲルを、この緩衝液で溶出させたタンパク質から吸引フィルターで分離した 。その溶出を2回行った。 溶出した物質を緩衝液A(PBS、pH7.4)に対して透析した。保持された物 質に、3%の緩衝液B(0.5M NaH2PO4/Na2HPO4+150mM NaC l、pH 6.8)を加えた。この物質をバッチ法でヒドロキシルアパタイト(BioRa d、Richmond、CA/USA;Macro Prep セラミック・ヒドロキシルアパタイト ;20ミクロン)と混合した。このため、ヒドロキシルアパタイトを97%の緩 衝液A(PBS、pH 7.4)および3%の緩衝液B(0.5M NaH2PO4/Na2 HPO4+150mM NaCl、pH 6.8)の混合物中で平衡化して、同じ緩衝液 の混合物中に懸濁させた。IgA 2mgにつきヒドロキシルアパタイト1mlを加 えた。バッチを4℃で一晩撹拌した。上清を吸引濾過して、そのヒドロキシルア パタイトを97%の緩衝液A(PBS、pH7.4)および3%の緩衝液B(0.5 M NaH2PO4/Na2HPO4+150mM NaCl、pH 6.8)の混合物で4℃ にて洗浄した。その洗浄上清を吸引濾過して、最初の上清と合わせた。 ヒドロキシルアパタイトのバッチ法の溶出液を、直ちに、または濃縮した後、 濃度1.8Mまで加えた硫酸アンモニウムと撹拌することにより混合した。加え て、その物質を室温で1時間撹拌して、その後、形成された沈殿を2410×g で15分間遠心分離した。その沈殿をPBS、pH7.4中に再度懸濁させて、 蒸留水に対して透析した(Spectra/Por、Nr.2からの透析チューブ、MWCO 12−14.000)。透析の間に形成された沈殿を遠心分離して、上清を無菌 濾過した。 この方法で製造した生成物を分析した: ゲル濾過での分析は、分析用Superdex 200 HR 10/30 FPLCカラ ム(Pharmacia−LKB)で、PBSをFPLC装置(Pharmacia−LKB)でのラン ニング緩衝液として流速0.5ml/分で用いて行った。光学密度(OD)をフロー スルーセルにて280nmで測定して、溶出体積(ml)に対して記録した。 IgAおよびIgGを放射状免疫拡散法(Mancini,G.ら、Immunochemistry 2(1965)253−254)によって測定し、また全タンパク質含量をLowry ,O.H.ら(J.Biol.Chem.193(1951)265−275)の方法によ り測定した。 イオン交換処理がIgAの部分濃縮を引き起こすことが示された(表1を参照) が、IgAの一部である高分子タンパク質および/または集合体は未だ存在して いた(第1図および第2図を参照)。 ヒドロキシルアパタイト処理は、IgGに対するIgAの比率を明らかに増大 させた(表1および第3図を参照)。このことは、IgAおよびIgGがこの処理 により分離されたことを意味する。 最終生成物は、大部分がIgA単量体からなり、さらにはまた、IgA単量体 から溶液中で形成された少量のIgA二量体からもなっていた(表1および第4 図を参照)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 39/395 A61K 39/395 X Y C07K 1/14 C07K 1/14 (72)発明者 ヴォルフ,ヘルマン オーストリア、アー―3411ヴァイトリン グ、オレアンダーガッセ1番 (72)発明者 アイブル,マルタ オーストリア、アー―1180ヴィーン、グス タフ―チェルマークガッセ2番

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.免疫グロブリンを含む出発物質中のIgGおよびIgAの分離方法であっ て、 (i)IgGを固体の無機担体物質に吸着させ、そして (ii)IgAを溶出液から単離し、一方では、IgGを担体物質上に残留させる ことを特徴とする方法。 2.IgGを吸着物質から単離することを特徴とする、請求項1に記載の方法 。 3.無機担体物質が難溶性の塩であることを特徴とする、請求項1および2に 記載の方法。 4.無機担体物質が難溶性のアルカリ土類塩であることを特徴とする、請求項 3に記載の方法。 5.無機担体物質がヒドロキシルアパタイトであることを特徴とする、請求項 1〜4に記載の方法。 6.高分子タンパク質および/またはタンパク質集合体を無機担体物質に吸着 させることを特徴とする、請求項1〜5の1つに記載の方法。 7.IgAおよび/またはIgGをさらなるクロマトグラフ法により精製する ことを特徴とする、請求項1〜6に記載の方法。 8.IgAおよび/またはIgGをイオン交換クロマトグラフィーおよび/ま たは沈殿によりさらに精製することを特徴とする、請求項7に記載の方法。 9.ウイルスの不活性化工程を行うことを特徴とする、請求項1〜8の1つま たはそれ以上に記載の方法。 10.実質的にはIgGを含んでいないIgAを得ることを特徴とする、請求 項1〜9の1つまたはそれ以上に記載の方法。 11.免疫グロブリンを含む出発物質が血清、血漿、または血漿画分であるこ とを特徴とする、請求項1〜10の1つまたはそれ以上に記載の方法。 12.免疫グロブリンを含む出発物質が粘液分泌物であることを特徴とする、 請求項1〜11の1つまたはそれ以上に記載の方法。 13.免疫グロブリンを含む出発物質がCohn II+III画分であることを特徴と する、請求項1〜11の1つまたはそれ以上に記載の方法。 14.請求項1〜13に記載の方法により得られる集合体を形成する傾向の低 い、医薬的使用のための安定なIgA溶液。 15.IgAの単離の間、固体の担体物質へのIgAの吸着が起こらないこと を特徴とする、請求項14に記載のIgA製剤。
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