JP2004149641A - 炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子及び炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法 - Google Patents

炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子及び炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法 Download PDF

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Tetsuo Shimizu
哲男 清水
Katsusada Tokuhira
勝貞 徳平
Shinichi Yano
真一 矢野
Mutsusuke Nanba
陸祐 難波
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Abstract

【課題】炭素フィブリルとフッ素ポリマーとが分離することなく、表面平滑性等に優れ、導電性等の特性を均一に発現し得る成形品を得ることができる炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子及び炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法を提供する。
【解決手段】炭素フィブリルとフッ素ポリマーとからなる炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子であることを特徴とする炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子及び炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素ポリマーは、耐熱性、耐薬品性、非粘着性等に優れるポリマーである。しかしながら、フッ素ポリマーは、用途によっては耐摩耗性、耐衝撃性、導電性等が不充分な場合があるので、カーボンブラック等の充填材とフッ素ポリマーとを混合することが行われる。
【0003】
カーボンブラック等の充填材とフッ素ポリマーとを混合したものとしては、従来、乾式法により充填材をフッ素ポリマーと混合した粉体等がある。
【0004】
しかしながら、乾式法により混合した粉体は、充填材がフッ素ポリマー粒子の表面に付着しただけのものであるので充填材とフッ素ポリマー粒子とが分離しやすく、充填材−フッ素ポリマー組成物を用いて得られる成形品は、使用時に充填材が成形品から脱離しやすく、また、表面平滑性等に劣り、導電性等の特性を成形品全体にわたって発現しにくいという問題があった。
【0005】
充填材とフッ素ポリマーとを混合したものとしては、また、湿式法により、カーボンブラックの水性ディスパージョンと、重合により得られたポリテトラフルオロエチレン水性ディスパージョンとを混合し、攪拌してフッ素ポリマーとカーボンブラックとを共凝析して得られる粉体が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0006】
近年、充填材として、カーボンブラックよりも微細な中空状の炭素フィブリルが注目されつつある(例えば、特許文献3参照。)。炭素フィブリルは、フッ素樹脂等の汎用樹脂と混合することによりこれらの樹脂に導電性等の特性を付与し得ることが知られており、実施例では、エチレン/酢酸ビニル共重合体からなる樹脂等が用いられている(例えば、特許文献4及び特許文献5参照。)。
【0007】
炭素フィブリルを粉末のまま汎用樹脂粉末等と混合して得られる粉体が開示されているが、炭素フィブリルは汎用樹脂の粒子の表面に付着しただけのものであるので、乾式法により混合された粉体の問題が解消されていない。
【0008】
炭素フィブリルは、また、非常に凝集しやすいものであり、乾式により混合する工程においても凝集が進行して粒径が増大し、樹脂粒子との分離を促し、得られる粉体の貯蔵安定性が低下したり、粉体を用いて得られる成形品においても炭素フィブリルが均一に分散せず、成形品から脱離したりする等の問題があった。
【0009】
【特許文献1】
特開昭56−18624号公報
【特許文献2】
特公昭63−46097号公報
【特許文献3】
特開平3−174018号公報
【特許文献4】
特開平7−102112号公報
【特許文献5】
特開平9−111135号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記現状に鑑み、炭素フィブリルとフッ素ポリマーとが分離することなく、表面平滑性等に優れ、導電性等の特性を均一に発現し得る成形品を得ることができる炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子及び炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、炭素フィブリルとフッ素ポリマーとからなる炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子であることを特徴とする炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子である。
本発明は、上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子からなることを特徴とする炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子組成物である。
本発明は、共凝析法を用いて上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子を製造するための炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法であって、上記共凝析法は、フッ素ポリマー水性ディスパージョンと炭素フィブリル水性ディスパージョンとを配合することにより混合ディスパージョンを得る配合工程(1)、及び、上記混合ディスパージョンに凝析処理を施すことよりなる凝析工程(2)を含むものであり、上記フッ素ポリマー水性ディスパージョンは、フッ素ポリマーからなるフッ素ポリマー粒子が水性媒体(a)に分散しているものであり、上記炭素フィブリル水性ディスパージョンは、炭素フィブリルからなる炭素フィブリル粒子が水性媒体(b)に分散しているものであることを特徴とする炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法である。
【0012】
本発明は、炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子からなることを特徴とする炭素フィブリル−フッ素ポリマー分散体である。
本発明は、炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子からなることを特徴とする炭素フィブリル−フッ素ポリマーペレットである。
本発明は、炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子からなることを特徴とする炭素フィブリル−フッ素ポリマー成形品である。
以下に本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子は、炭素フィブリルとフッ素ポリマーとからなるものである。上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子は、炭素フィブリルとフッ素ポリマーとから形成されたものである。上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子は、粒子内部に炭素フィブリルを有するものであれば、炭素フィブリルの後述する微細炭素繊維の1本又は2本以上集まったものの一部分又は全部を粒子表面に有してなるものであってもよい。上記微細炭素繊維の1本又は2本以上集まったものの一部分を粒子表面に有してなる場合、この微細炭素繊維の1本又は2本以上集まったものは、上記一部分が粒子表面に突出しているとともに残りの部分が粒子内部に入り込んでいる。上記微細炭素繊維の1本又は2本以上集まったものの全部を粒子表面に有してなる場合、この粒子表面に存在している微細炭素繊維の1本又は2本以上集まったものは粒子表面に接しているか付着しており、その他の微細炭素繊維の1本又は2本以上集まったものの一部分又は全部が粒子内部に存在している。上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子は、このように、炭素フィブリルとフッ素ポリマーとの両方が構成成分となって炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子という1個の粒子の内部マトリクスとなるとともに、この1個の粒子を構成し形成したものである。本発明の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子は、フッ素ポリマー粒子という1個の粒子の表面に炭素フィブリル粒子が接しているか付着しているにすぎない混合物、即ち、フッ素ポリマー粒子と炭素フィブリル粒子との混合物は含まない概念である。
【0014】
上記フッ素ポリマーはフッ素原子を有するポリマーであれば特に限定されず、例えばフッ素含有モノマーを重合することにより得られるものが挙げられる。本明細書において、上記「フッ素含有モノマー」は、炭素原子に結合しているフッ素原子を有する不飽和化合物である。上記フッ素含有モノマーとしては、重合可能なものであれば特に限定されず、例えば、テトラフルオロエチレン〔TFE〕、クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕、ビニリデンフルオライド〔VdF〕等が挙げられる。上記フッ素ポリマーとしては、また、上記フッ素含有モノマーとともにフッ素非含有ビニルモノマーを重合して得られるものであってもよい。本明細書において、上記「フッ素非含有ビニルモノマー」は、炭素−炭素二重結合を有し、フッ素原子を有しないモノマーである。上記フッ素非含有ビニルモノマーとしては特に限定されず、例えば、エチレン、プロピレン等のオレフィン等が挙げられる。上記フッ素含有モノマー及びフッ素非含有ビニルモノマーは、それぞれ1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0015】
上記フッ素ポリマーとしては特に限定されず、例えばポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕、テトラフルオロエチレン共重合体〔TFE共重合体〕、非テトラフルオロエチレン系共重合体〔非TFE系共重合体〕、フッ素ゴム等が挙げられる。
【0016】
本明細書において、上記「PTFE」は、TFEのみを重合して得られるホモポリマーである。
本明細書において、上記「TFE共重合体」は、TFE及びTFEと共重合可能な単量体を重合して得られる共重合体である。上記TFEと共重合可能な単量体としては特に限定されず、例えば、上記フッ素含有単量体のうちTFE以外のものであってもよいし、上記フッ素非含有ビニルモノマーであってもよい。
【0017】
上記TFE共重合体としては、例えば、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体〔PFA〕、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体〔FEP〕、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/ビニリデンフルオライド共重合体、テトラフルオロエチレン/ビニリデンフルオライド/クロロトリフルオロエチレン共重合体が挙げられる。
【0018】
上記TFE共重合体としては、また、変性ポリテトラフルオロエチレン〔変性PTFE〕であってもよい。
本明細書において、上記「変性PTFE」とは、得られるフッ素ポリマーに溶融流動性を付与しない程度の微量の上記TFEと共重合可能な単量体をTFEと共重合させて得られるものを意味する。上記TFEと共重合可能な単量体は、1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。上記TFEと共重合可能な単量体は、上記変性PTFEにおける含有率が上記変性PTFEの質量の2質量%以下であればよいが、好ましい下限は0.1質量%であり、より好ましい下限は0.2質量%であり、好ましい上限は1質量%である。
【0019】
本明細書において、上記「非TFE系共重合体」は、上記フッ素含有単量体のうちTFE以外のものを重合して得られる共重合体である。上記非TFE系共重合体は、上記フッ素含有単量体のうちTFE以外のものとともに、上記フッ素非含有ビニルモノマーを重合して得られる共重合体であってもよい。
【0020】
上記TFE非TFE系共重合体としては、例えば、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン〔PCTFE〕、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド〔PVdF〕等が挙げられる。
【0021】
本明細書において、上記「フッ素ゴム」は、エラストマー性を有するフッ素原子を有する共重合体である。上記フッ素ゴムとしては特に限定されないが、例えば、上述のフッ素含有モノマーと、所望によりフッ素非含有ビニルモノマー等のフッ素含有モノマーと共重合可能な単量体とを重合して得られるもののうち、エラストマー性を有するもの等が挙げられる。上記フッ素ゴムは、上記TFE共重合体及び上記非TFE系共重合体のうち、エラストマー性を有するものであってもよい。なお、本明細書において、TFE共重合体は、上述のように、TFE及びTFEと共重合可能な単量体を重合して得られるものであればエラストマー性を有するもの、即ち、上記フッ素ゴムも含み得る概念である。本明細書において、非TFE系共重合体は、上述のように、上記フッ素含有単量体のうちTFE以外のものを重合して得られるものであればエラストマー性を有するもの、即ち、上記フッ素ゴムも含み得る概念である。
【0022】
上記フッ素ゴムとしては、例えば、ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド/クロロトリフルオロエチレン共重合体等が挙げられる。
【0023】
上記フッ素ポリマーは、後述の炭素フィブリルとともに本発明の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子を形成しやすい点で、PTFE、変性PTFEが好ましい。上記フッ素ポリマーは、また、成形加工性の点で、TFE共重合体、フッ素ゴムが好ましい。
【0024】
上記フッ素ポリマーは特に限定されず、工業的に通常用いられる水性分散重合方法を用いて得ることができる。上記水性分散重合方法としては、例えば、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合等が挙げられる。
【0025】
上記乳化重合としては、例えば、フッ素含有界面活性剤及び重合開始剤の存在下、水性分散重合反応液中で上記フッ素含有モノマーと所望により共重合する上記フッ素非含有モノマーとを攪拌して重合させる方法が挙げられる。
上記フッ素含有界面活性剤としてはフッ素原子を有する界面活性剤であって、フッ素ポリマーの重合に通常用いられるものであれば特に限定されず、例えば、X(CFCOOH(Xは、水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、nは、6〜12の整数を表す。)、(CFCF(CFCFCOOH(pは、2〜6の整数を表す。)で表される化合物やこれらの塩等が挙げられる。上記塩としては、例えば、アンモニウム塩、カリウム塩等が挙げられる。上記フッ素含有界面活性剤は、1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0026】
上記重合開始剤としては、フッ素ポリマーの重合に通常用いられるものであれば特に限定されず、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、ジコハク酸パーオキサイド等の水溶性有機過酸化物等が挙げられる。上記重合開始剤は、1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記水性分散重合反応液としては水性分散重合に通常用いられるものであれば特に限定されないが、重合反応終了後にそのまま後述の水性媒体(a)として用いることができるものが好ましい。
【0027】
上記炭素フィブリルは、通常、黒鉛化した炭素原子の規則的配列を有する層からなる管壁を持つ中空状の微細炭素繊維、又は、その集合体である。上記管壁は、ベンゼンの縮合体が連続してなるものであるグラフェン単層であってもよいし、上記グラフェンが2層以上であるものであってもよい。上記微細炭素繊維は、通常、円筒形状を有するものである。本明細書において、上記微細炭素繊維1本を、以下、「繊維状物」ということがある。上記炭素フィブリルは、一般に、カーボン・ナノチューブと呼ばれることがあるものである。上記炭素フィブリルとしては、例えば、米国特許第4,663,230号明細書、特開平3−174018号公報、特公平3−64606号公報、特公平3−77288号公報等に記載の微細炭素繊維等を用いることができる。
【0028】
上記炭素フィブリルは、外径が1〜1000nmの繊維状物からなるものであることが好ましい。1nm未満のものは、通常、得ることが困難であり、1000nmを超えると、本発明の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子を形成しにくい場合があるので好ましくない。より好ましい下限は3nmであり、より好ましい上限は100nmである。本明細書において、上記外径は、走査型電子顕微鏡(SEM、S−4000型、日立社製)を用いて測定して得られる値である。
本明細書において、上記炭素フィブリルは、上記範囲内の外径を有する繊維状物からなるものであれば、上記繊維状物1本が単独で存在しているものであってもよいし、繊維状物が2本以上集まったものであってもよいし、これらの混合物であってもよい。上記炭素フィブリルは、上記繊維状物が1本又は2本以上集まって、一部分又は全部が細長い形状を維持しているものであってもよいし、上記繊維状物が1本又は2本以上集まって、凝集して綿くずのような塊となった凝集体(以下、「炭素フィブリル凝集体」ということがある。)であってもよいし、これらの混合物であってもよい。
上記炭素フィブリルは、上記炭素フィブリル凝集体からなるものであってよい。
【0029】
上記炭素フィブリルは、長手方向の長さ(L)と直径(D)との比率(L/D)が、5を超える繊維状物からなるものであることが好ましい。5を超えるものであると、例えば上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子を用いて予備成形品等を延伸することより得られる延伸体において、炭素フィブリルが配向しやすく、導電性、耐衝撃性等の特性を延伸体全体にわたって均一に、且つ、良好に発現することができる。上記L/D値は、5を超えればよいが、通常、1000以下である。
【0030】
上記炭素フィブリル凝集体は、平均粒子径が0.1〜50μmであるものが好ましい。50μmを超えると、上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子からなる成形品等の表面平滑性、機械的強度等が低下する場合がある。
本明細書において、上記炭素フィブリル凝集体の平均粒子径は、以下の方法に準拠して測定して得られる値である。即ち、上記微細炭素繊維の集合体としての炭素フィブリルを両面テープ上に接着し、表面を金コートしたのち、走査型電子顕微鏡(SEM、S−4000型、日立社製)を用いて50倍、12視野で観察し、平均的な場所を3枚採用し、平均粒子径を測定する方法である。
【0031】
上記炭素フィブリルは、平均粒子径が0.2μm以下である低凝集炭素フィブリル粒子からなるものが好ましい。
本明細書において、上記「低凝集炭素フィブリル粒子」は、炭素フィブリルからなるものであり、平均粒子径が0.2μm以下のものを意味する。上記低凝集炭素フィブリル粒子は、炭素フィブリルが大きく凝集したものではないが、若干凝集したものであってもよく、凝集していないものであってもよい。
【0032】
上記低凝集炭素フィブリル粒子は、炭素フィブリル水性ディスパージョンを用いた遠心沈降法による測定において、上記炭素フィブリルからなる炭素フィブリル粒子の全個数の50%以上であることが好ましい。50%未満であると、平均粒子径が0.2μmを超えるようなサイズが大きい上記炭素フィブリル凝集体が多く含まれ、分散性に劣る傾向にあり、また、後述の炭素フィブリル水性ディスパージョンにおいて炭素フィブリル粒子が分散性に劣る場合がある。上記低凝集炭素フィブリル粒子は、上記炭素フィブリル粒子の全個数の50%以上であれば、分散性の点で、90%以下であってもよい。上記低凝集炭素フィブリル粒子は、上記炭素フィブリルからなる炭素フィブリル粒子の全個数の60%がより好ましい下限であり、80%がより好ましい上限である。
本明細書において、上記遠心沈降法は、自然/遠心沈降粒度分布測定装置(堀場製作所社製)を用いて測定する方法である。
【0033】
本発明の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子は、上記炭素フィブリルが、上記炭素フィブリルとフッ素ポリマーとの合計質量の0.3〜50質量%であるものが好ましい。0.3質量%未満であると、炭素フィブリルが有する導電性等の特性が不充分になる場合があり、50質量%を超えると、炭素フィブリルの量が多すぎて、炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子からなる成形品の成形性が悪化したり、表面平滑性等が損なわれる場合がある。上記炭素フィブリルは、上記炭素フィブリルとフッ素ポリマーとの合計質量の2質量%がより好ましい下限であり、20質量%がより好ましい上限である。
【0034】
本発明の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子は、共凝析法を用いて、フッ素ポリマー水性ディスパージョンと炭素フィブリル水性ディスパージョンとから得られるものであることが好ましい。
【0035】
上記フッ素ポリマー水性ディスパージョンは、上記フッ素ポリマーからなるフッ素ポリマー粒子が水性媒体(a)に分散しているものである。
本明細書において、上記「フッ素ポリマー水性ディスパージョン」は、フッ素ポリマーを得るための重合により得られた水性ディスパージョンであって、凝析を施していないものである。上記フッ素ポリマー水性ディスパージョンは、上記フッ素ポリマー粒子を分散質とし、上記水性媒体(a)を分散媒とする水性ディスパージョンである。上記水性媒体(a)は水を含むものであれば特に限定されず、例えば水及び水溶性の有機溶剤の混合物、水等が挙げられるが、作業性が良好である点で、上記水溶性の有機溶剤を含有しないものが好ましい。上記フッ素ポリマー粒子は、上記フッ素ポリマー水性ディスパージョンにおいて、コロイド状に分散しているものであってよい。
【0036】
上記フッ素ポリマー水性ディスパージョンにおいて、上記フッ素ポリマー粒子は、平均粒子径が50〜600nmであるものが好ましい。50nm未満であると、実際にフッ素ポリマー粒子を得ることが困難であり、600nmを超えると、分散安定性が悪くなるので好ましくない。上記フッ素ポリマーがPTFE及び/又は変性PTFEである場合、平均粒子径は、好ましい下限が200nmであり、好ましい上限が500nmである。
本明細書において、上記「PTFE及び/又は変性PTFE」とは、PTFEであり変性PTFEを含まないもの、変性PTFEでありPTFEを含まないもの、又は、PTFEと変性PTFEとの両方であるものを意味する。
本明細書において、フッ素ポリマー粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(H−7100FA型、日立社製)を用いて測定して得られる値である。
【0037】
上記炭素フィブリル水性ディスパージョンは、炭素フィブリルからなる炭素フィブリル粒子が水性媒体(b)に分散しているものである。上記炭素フィブリル水性ディスパージョンは、上記炭素フィブリル粒子を分散質とし、上記水性媒体(b)を分散媒とする水性ディスパージョンである。上記水性媒体(b)は水を含むものであれば特に限定されず、上記フッ素ポリマー水性ディスパージョンについて上述したものと同様のものが挙げられる。上記水性媒体(b)は、上記炭素フィブリル粒子を分散する分散媒である点で、上記フッ素ポリマー粒子を分散する分散媒である上記水性媒体(a)と概念上区別されるが、実際に上記水性媒体(a)と同じものであることを排除するものではない。
【0038】
上記炭素フィブリル水性ディスパージョンは、上述の炭素フィブリル粒子をそのまま上記水性媒体(b)に分散して得られるものであってもよいし、上記炭素フィブリル粒子を粉砕して上記水性媒体(b)に分散して得られるものであってもよい。上記粉砕は、例えば気流式粉砕機(ジェットミル)、衝撃式粉砕機等の粉砕機を用いて行うことができる。上記粉砕機は連続運転が可能であり、ボールミル、振動ミル等と比較して単位時間あたりの処理量も大きいため、粉砕コストを低く抑えることができる。上記粉砕機は、更に、分級機構を粉砕機内に設けたり、サイクロン等の分級機をライン中に設けると、粒度分布の狭い均一な炭素フィブリルを得ることができるので好ましい。
【0039】
本発明の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子は、炭素フィブリルの微細炭素繊維の1本又は2本以上が集まったものの少なくとも1つがその全部又は一部を炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子内に存在させているものであるので、炭素フィブリル粒子が炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子から分離したり脱離したりすることなく、炭素フィブリルが均一に分散した粒子として得ることができる。従って、貯蔵中、輸送中等に炭素フィブリルが凝集することがなく、貯蔵安定性が良好である。上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子は、上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子からなる成形品において、均一に分散した炭素フィブリルが配向しやすいので、表面平滑性、機械的強度等を良好にすることができ、導電性等の特性を成形品全体にわたって均一に発現することができる。上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子は、炭素フィブリルが得られる成形品から脱落することが少ない。
【0040】
本発明の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子組成物は、上述の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子からなるものである。上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子組成物は、炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子の集合体からなるものであり、主として上述の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子からなるものである。上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子組成物は、炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子の集合体のみであることが好ましいが、上述の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子を得るための製造により得られた生成物である場合等、炭素フィブリルが粒子内に存在しないフッ素ポリマーからなる粒子が混在したものであってもよい。
【0041】
本発明の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子組成物は、炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子組成物における炭素フィブリルの質量(A)と、上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子組成物を有機溶剤に分散させて攪拌したのちJIS Z 8801の200メッシュ篩を用いて濾過したときに濾液に含まれる遊離炭素フィブリルの質量(B)との比率(B/A)が0.3以下であるものが好ましい。0.3を超えると、炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子内に存在している炭素フィブリルの含有率が低く、炭素フィブリルが粒子の内部に存在していないフッ素ポリマーからなる粒子や炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子の表面に炭素フィブリル粒子が単に付着している率が高いので、上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子からなる成形品の表面平滑性等の物性が低下したり、導電性等の特性を成形品全体にわたって発現することが困難になる場合がある。上記比率(B/A)は、0であることが好ましいが、上記範囲内であれば、0.01がより好ましい下限であってよく、例えば0.04以上であってもよい。上記比率(B/A)は、0.1が好ましい上限である。
本明細書において、上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子組成物における炭素フィブリルの質量(A)は、元素分析法により測定して得られる値である。
【0042】
本発明の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法は、共凝析法を用いて上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子を製造するためのものである。上記共凝析法は、上記フッ素ポリマー水性ディスパージョンと上記炭素フィブリル水性ディスパージョンとを配合することにより混合ディスパージョンを得る配合工程(1)、及び、上記混合ディスパージョンに凝析処理を施すことよりなる凝析工程(2)を含むものである。
【0043】
上記炭素フィブリル水性ディスパージョンは、上述したように、水性媒体(b)に炭素フィブリル粒子が分散しているものである。
上記炭素フィブリル水性ディスパージョンは、超音波振動による分散処理により炭素フィブリル粒子を水性媒体(b)に分散させたものであることが好ましい。上記分散処理により、上記炭素フィブリル粒子を均一に分散することができる。上記分散処理は、通常用いられる超音波発生装置を用いて行うものであってよい。
【0044】
上記炭素フィブリル水性ディスパージョンは特に限定されないが、上記分散処理とともに、通常の混合装置を用いて混合することにより炭素フィブリルを水性媒体(b)に分散させたものであってもよい。上記通常の混合装置としては特に限定されず、例えばボールミル、振動ミル、ライカイ機、3本ミル等が挙げられる。上記通常の混合装置を用いて行う混合は、上記分散処理の前に行ってもよいし、上記分散処理の後に行ってもよいし、上記分散処理と同時に行ってもよい。
【0045】
上記炭素フィブリル水性ディスパージョンは、界面活性剤を含有するものであることが好ましい。上記炭素フィブリル水性ディスパージョンは、上記界面活性剤を含有することにより、上記炭素フィブリルをより安定に分散することができる。
【0046】
上記界面活性剤としては特に限定されず、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、又は、両性界面活性剤の何れであってもよいが、炭素フィブリル粒子の分散性の点で、親水親油バランス〔HLB〕が3〜40であるものが好ましい。上記HLBが、3未満であっても、40を超えても、炭素フィブリル粒子を均一に分散することができなくなる場合がある。
【0047】
上記界面活性剤は、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、又は、両性界面活性剤の何れか1種であってもよいが、分散力の点で、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも2種であることが好ましい。上記界面活性剤が2種以上であることにより、相乗効果により界面活性剤の分散力が向上する場合があり、この場合、炭素フィブリル粒子をより安定に分散することができる。
【0048】
上記界面活性剤は、分散力の点で、ノニオン界面活性剤と、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び/又は両性界面活性剤とであってよい。本明細書において、上記「ノニオン界面活性剤と、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び/又は両性界面活性剤」とは、ノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤とであってもよいし、ノニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤とであってもよいし、ノニオン界面活性剤と両性界面活性剤とであってもよいし、ノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤とであってもよいし、ノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤と両性界面活性剤とであってもよいし、ノニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤と両性界面活性剤とであってもよいし、ノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤と両性界面活性剤とであってもよいことを意味する。
【0049】
上記界面活性剤は、また、分散力の点で、アニオン界面活性剤と、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び/又は両性界面活性剤とであってもよい。本明細書において、上記「アニオン界面活性剤と、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び/又は両性界面活性剤」とは、アニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤とであってもよいし、アニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤とであってもよいし、アニオン界面活性剤と両性界面活性剤とであってもよいし、アニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤とであってもよいし、アニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤と両性界面活性剤とであってもよいし、アニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤と両性界面活性剤とであってもよいし、アニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤と両性界面活性剤とであってもよいことを意味する。
【0050】
上記界面活性剤は、分散力の点で、ノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤とを併用するものであって、上記ノニオン界面活性剤のHLBが上記アニオン界面活性剤のHLBより小さいものが更に好ましい。
【0051】
上記界面活性剤は、フッ素原子を有する含フッ素界面活性剤であってもよいし、フッ素原子を有さないものであってもよいが、炭素フィブリル粒子の分散性を更に向上し得るとともに、炭素フィブリル粒子とフッ素ポリマー粒子との親和性をも向上し得る点で、含フッ素界面活性剤からなるものが好ましい。
【0052】
上記含フッ素界面活性剤はフッ素原子を有する界面活性剤であれば特に限定されず、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、又は、両性界面活性剤の何れであってもよい。上記含フッ素界面活性剤としては、例えば、RfCOOM、RfSON(R’)CHCOOM、RfBNR’COSOM、RfSOM、RfBN(R’)C2mCOP(OH)等が挙げられる。上記各一般式において、Rfは、炭素数が5〜10程度のアルキル基の水素原子をフッ素原子で置換していてもよいフッ素化炭素基を表し、Bは、−C(=O)−又は−SO−を表し、R’は、水素原子又は低級アルキル基を表し、Mは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子等を表す。上記含フッ素界面活性剤は、1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。上記含フッ素界面活性剤は、炭素フィブリル水性ディスパージョンに用いる点で、フッ素ポリマーを重合する際に用いる上述のフッ素含有界面活性剤とは概念上区別される。
【0053】
上記界面活性剤は、上述のノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも2種のうち、少なくとも1種が上記含フッ素界面活性剤であるものであってもよい。
【0054】
上記炭素フィブリル水性ディスパージョンにおいて、上記炭素フィブリル粒子は、荷電している荷電炭素フィブリル粒子からなるものであることが好ましい。上記荷電炭素フィブリル粒子は、上記界面活性剤が形成するミセル中に取り込まれることにより荷電している粒子である。上記炭素フィブリル粒子が上記荷電炭素フィブリル粒子からなるものであると、上記炭素フィブリル水性ディスパージョンにおける上記炭素フィブリル粒子の分散性が向上するので、後述の凝集工程(2)において、上記炭素フィブリル粒子と上記フッ素ポリマー粒子とが均一に分散し、より多くの炭素フィブリル粒子が炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子の内部に入り込むことができる。上記炭素フィブリル粒子が上記荷電炭素フィブリル粒子からなるものであると、また、上記フッ素ポリマー粒子は、通常、負電荷に荷電しているものであるので、上記炭素フィブリル粒子と上記フッ素ポリマー粒子との電気的親和性により炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子を形成しやすくなる場合がある。
【0055】
上記炭素フィブリル水性ディスパージョンは、必要に応じて、増粘剤、分散助剤、希釈剤等を含有するものであってもよいが、これらを含有するものであることに限定されない。上記希釈剤としては、例えば、水溶性溶剤等が挙げられる。
【0056】
上記炭素フィブリル水性ディスパージョンは、上述の分散処理等による剪断力を用いることにより、粒子径を小さくした炭素フィブリル粒子を有することができ、また、上述の界面活性剤の分散力が充分であるので、上記水性媒体(b)に炭素フィブリル粒子を安定して分散するものとして得ることができる。
【0057】
本発明の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法において、上記配合工程(1)は、上記フッ素ポリマー水性ディスパージョンと上記炭素フィブリル水性ディスパージョンとを配合することにより混合ディスパージョンを得る工程である。
上記配合は、上記フッ素ポリマー水性ディスパージョンに上記炭素フィブリル水性ディスパージョンを添加して行うものであってもよいし、上記炭素フィブリル水性ディスパージョンに上記フッ素ポリマー水性ディスパージョンを添加して行うものであってもよい。上記配合は、上記フッ素ポリマー水性ディスパージョン又は上記炭素フィブリル水性ディスパージョンの何れか一方の全量を一度に他方に添加するものであってもよいし、上記フッ素ポリマー水性ディスパージョン又は上記炭素フィブリル水性ディスパージョンの何れか一方を他方に分割して添加するものであってもよい。
【0058】
本明細書において、上記「混合ディスパージョン」は、上記フッ素ポリマー水性ディスパージョンと上記炭素フィブリル水性ディスパージョンとを配合して得られるものであれば、上記配合工程(1)を経て得られるディスパージョンであってもよいし、後述の凝析処理を経たディスパージョンであってもよい概念である。
【0059】
本発明の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法において、上記凝析工程(2)は、上記混合ディスパージョンに凝析処理を施すことよりなるものである。上記凝析処理は、上記混合ディスパージョンを攪拌することによって行うことができるが、凝析時間を短縮し、作業効率を向上する点で、所望により凝析剤を添加してもよい。上記凝析剤としては、フッ素ポリマー水性ディスパージョンの凝析に通常用いられる凝析剤であれば特に限定されず、例えば硝酸アルミニウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム等の水溶性塩;硝酸、塩酸、硫酸等の無機酸;アルコール、アセトン等の水溶性有機溶剤;カチオン界面活性剤等が挙げられる。
【0060】
上記凝析処理において、凝析が開始すると、上記混合ディスパージョンの粘度が上昇し始める。上記混合ディスパージョンの粘度の上昇は、上記フッ素ポリマーと上記炭素フィブリルとが凝析することにより起こる。上記混合ディスパージョンの粘度は、最大値に達したのち減少し、凝析が終了すると一定値になる。
【0061】
上記凝析処理は、混合ディスパージョンに水不溶性液体の添加をして行うものであることが好ましい。上記水不溶性液体の添加をすることにより、ともに疎水性である上記炭素フィブリル粒子と上記フッ素ポリマー粒子とを容易に、且つ、効率よく凝析することができる。
【0062】
上記水不溶性液体の添加は、混合ディスパージョンの粘度が上昇し始めるより前に行うものであってもよい。上記水不溶性液体の添加は、上記混合ディスパージョンの粘度が上昇し始めるより前に行うものであると、上記混合ディスパージョンと上記水不溶性液体とを充分に混合することができるので、フッ素ポリマー及び炭素フィブリルの凝析を効率よく行うことができる。
【0063】
上記水不溶性液体の添加は、混合ディスパージョンの粘度が最大領域に達したときに行うものであってもよい。本明細書において、上記「最大領域」は、混合ディスパージョンの粘度が最大値の50%以上である領域のことである。上記水不溶性液体の添加は、混合ディスパージョンの粘度が最大領域に達したときに行うものであれば、上記混合ディスパージョンの粘度が最大値に到達する時点より前に行うものであってもよいし、上記混合ディスパージョンの粘度が最大値に到達した時点に行うものであってもよいし、上記混合ディスパージョンの粘度が最大値に到達した時点より後に行うものであってもよい。
【0064】
上記水不溶性液体の添加は、凝析工程において、上記混合ディスパージョンの粘度が最大領域に達したときより後に行うものであると、上記混合ディスパージョン中のフッ素ポリマー粒子が上記炭素フィブリル粒子より先に凝集して二次粒子を形成するので、上記炭素フィブリル粒子はフッ素ポリマーの二次粒子の内部まで入り込むことができず、上記炭素フィブリル粒子が残存する場合がある。
上記水不溶性液体の添加は、凝析の効率の点で、凝析工程において、混合ディスパージョンの粘度が最大領域に達したときに行うものであることが好ましい。
【0065】
上記凝析工程において、上記水不溶性液体は、2回以上の添加時に分けて添加するものであることが好ましい。上記水不溶性液体は、2回以上の添加時に分けて添加するものであると、混合ディスパージョン中により均一に分散されるので、上記フッ素ポリマーと上記炭素フィブリルとの凝析を効率よく行うことができ、上記フッ素ポリマー粒子及び/又は上記炭素フィブリル粒子が凝析されずに残存する量を低減することができる。
【0066】
上記2回以上の添加時としては、混合ディスパージョンの粘度が上昇し始めるより前の添加時、混合ディスパージョンの粘度が上昇し始めた後、最大領域に達する前の添加時、混合ディスパージョンの粘度が最大領域に達したときの添加時、又は、混合ディスパージョンの粘度が最大領域を経た後、下降終了前の添加時の4つの粘度領域の何れであってもよく、上記4つの粘度領域の何れか1つで2回以上添加してもよいし、上記4つの粘度領域のうち2つ以上に分けて添加してもよい。上記2回以上の添加時は、上記水不溶性液体の分散性の点で、混合ディスパージョンの粘度が上昇し始めた後、最大領域に達する前の添加時と、混合ディスパージョンの粘度が最大領域を経た後、下降終了前の添加時とを含むものであることが好ましい。なお、本明細書において、上記「混合ディスパージョンの粘度が最大領域を経た後、下降終了前」とは、上記混合ディスパージョンの粘度が最大領域に達したときを含まない概念である。
【0067】
上記水不溶性液体は、Solubility Parameter〔SP〕値が5〜10であるものが好ましい。5未満であると、上記混合ディスパージョン中における上記水不溶性液体の分散性が悪化する場合があり、10を超えると、上記水不溶性液体と上記炭素フィブリル粒子及び/又は上記フッ素ポリマーとの混合が不充分である場合がある。
本明細書において、上記SP値は、「接着の化学と実際」(1962年、高分子刊行会発行)、第27頁等に準拠して得られる値である。
【0068】
上記水不溶性液体は、炭素原子、塩素原子、フッ素原子、酸素原子及び/又は水素原子を有する有機化合物からなるものが好ましい。上記水不溶性液体は、上記原子のうち少なくとも1種を有する有機化合物であると、上記水不溶性液体と、上記炭素フィブリル粒子及び上記フッ素ポリマーとの親和性を向上することができ、上記フッ素ポリマー粒子及び/又は上記炭素フィブリル粒子が凝析されずに残存する量を低減することができる。
【0069】
本発明の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法において、炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子は、上記凝析処理ののち、通常、浮遊物として得られるものであるが、上記浮遊物を回収して所望により乾燥を施してもよい。
【0070】
本発明の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法は、フッ素ポリマー水性ディスパージョンからフッ素ポリマーの粉体を得ていた従来方法に上述の配合工程を追加するだけで充分であり、フッ素ポリマーからなる粒子を得た後、従来必要であったフッ素ポリマーと炭素フィブリルとの混合工程を行う必要がないという非常に簡便でしかも新たな設備・装置等を要しない点で、工業的にも利用価値が高い方法を提供するものである。
【0071】
本発明の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法は、上述したように、共凝析法を用いて炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子を製造する方法であるので、得られる炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子の輪郭の内部に炭素フィブリルとフッ素ポリマーとの両方が存在することとなる。本発明の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法によって得られた炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子は、上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子から炭素フィブリルが分離することが少ないので、貯蔵中、輸送中等に炭素フィブリルが凝集することがない。本発明の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法により得られる上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子は、炭素フィブリルが脱離することがないので、炭素フィブリルが少量であっても炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子からなる成形品の導電性等を向上することができる。上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子からなる成形品は、炭素フィブリルを少量用いて得られるものであるので、成形性及び機械的強度に優れ、また、経済的にも好ましいものである。
本発明の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法によって得られた炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子もまた、本発明の一つである。
【0072】
本発明の炭素フィブリル−フッ素ポリマー分散体は、上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子からなるものである。上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー分散体は、炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子に水性媒体等を加えて分散させているものであってもよいし、上述の凝析処理ののち、得られた炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子を回収せずにそのまま得られるものであってもよい。上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー分散体は、例えば含浸、キャスト製膜等に用いることにより後述の炭素フィブリル−フッ素ポリマー成形品を得ることができ、また、例えば塗料等に用いることもできる。
【0073】
本発明の炭素フィブリル−フッ素ポリマーペレットは、上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子からなるものである。上記炭素フィブリル−フッ素ポリマーペレットは、上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子を例えば押出成形等により成形することにより得られるものであってよい。上記炭素フィブリル−フッ素ポリマーペレットは、従来公知の成形方法を用いることにより後述の炭素フィブリル−フッ素ポリマー成形品を得ることができる。
【0074】
本発明の炭素フィブリル−フッ素ポリマー成形品は、上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子からなるものである。上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー成形品は、上記炭素フィブリルとフッ素ポリマーとが炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子内に混在している炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子からなるものであるので、成形時に炭素フィブリルが配向しやすく、表面平滑性、機械的強度等の物性に優れ、また、導電性等の特性を炭素フィブリル−フッ素ポリマー成形品全体にわたって均一に発現し得るものである。上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー成形品は、炭素フィブリルが脱離しにくい上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子からなるので、用いる炭素フィブリルを少量にすることができ、成形性及び機械的強度に優れ、また、経済的にも好ましいものである。上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー成形品は、また、上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー成形品以外のその他の部材や媒体と接したり摩擦を生じたりする場合であっても上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー成形品から炭素フィブリルが脱落することが少ないので、上記その他の部材や媒体を汚染したり、上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー成形品の物性が低下したりすることが少ないものである。このように炭素フィブリルの脱落が少ない上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー成形品は、例えば、薬液輸送用チューブ又は薬液輸送用ホース、摺動材等として好適に用いることができる。
【0075】
上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー成形品は、上述の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子、炭素フィブリル−フッ素ポリマー分散体、又は、炭素フィブリル−フッ素ポリマーペレットを従来公知の加工方法を用いて成形することより得ることができる。上記従来公知の加工方法としては、例えば、押出成形、圧縮成形、カレンダー成形、射出成形等の成形方法や、含浸、キャスト製膜等が挙げられる。上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子成形品は、また、フッ素ポリマーがPTFEである場合、上述の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子を用いて得られる予備成形体を延伸することより得られる延伸体であってもよく、この場合、特に炭素フィブリルが配向しやすいので、導電性等の特性がより良好に発現されるものである。
【0076】
上記炭素フィブリル−フッ素ポリマー成形品としては特に限定されず、例えば、チューブ又はホース、パイプ、シート、電線被覆材、摺動部材、シール材、電気・電子機器部品、自動車部品等が挙げられる。
【0077】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
実施例1〜5 炭素フィブリル水性ディスパージョンの製造
表1に示す組成に従い、各材料をボールミルに充填したのち、48時間攪拌することにより炭素フィブリル水性ディスパージョンを得た。炭素フィブリル粒子の平均粒子径は、0.18μmであった。
得られた炭素フィブリル水性ディスパージョンの一部を採取し、自然/遠心沈降式粒度分布測定装置(CAPA−700、堀場製作所社製)を用いて粒度分布(数基準)を測定することにより、平均粒子径が0.2μm以下である低凝集炭素フィブリル粒子が炭素フィブリル粒子の全個数に占める割合を算出した。結果を表1に示す。
【0078】
比較例1〜2 炭素フィブリルのディスパージョンの製造
表1に示す組成に従い、実施例1と同様の方法で炭素フィブリルのディスパージョンを得た。上述した方法により、得られた炭素フィブリルのディスパージョンにおいて、平均粒子径が0.2μm以下である低凝集炭素フィブリル粒子が炭素フィブリル粒子の全個数に占める割合を算出した。結果を表1に示す。
【0079】
【表1】
Figure 2004149641
【0080】
実施例1〜5の炭素フィブリル水性ディスパージョンは何れも、平均粒子径が0.2μm以下である低凝集炭素フィブリル粒子が炭素フィブリル粒子の全個数に占める割合が50%以上であり、比較例1〜2の炭素フィブリルのディスパージョンに比べて、平均粒子径がより小さい炭素フィブリル粒子を分散しているものであった。
【0081】
合成例1 ポリテトラフルオロエチレン水性ディスパージョンの製造
アンカー型攪拌翼と温度調節用ジャケットを備え、内容量が6Lのステンレス鋼(SUS316)製オートクレーブに、脱イオン水2960ml、融点56℃の固形パラフィンワックス100g及びパーフルオロオクタン酸アンモニウム3.0gを仕込み、70℃に加温しながら窒素ガスで3回、及び、テトラフルオロエチレン〔TFE〕ガスで2回、系内を置換して酸素を除いた後、TFEで内圧を0.69MPaGにして、攪拌速度を280rpm、内温を80℃に保った。
重合開始剤として、11.25mgの過硫酸アンモニウムを溶解した20mlの水溶液、及び、360mgのジコハク酸パーオキサイドを溶解した20mlの水溶液をTFEで圧入し、オートクレーブ内圧を0.78MPaGにした。反応は加速的に進行するが、反応温度を70℃、攪拌速度を280rpmにそれぞれ一定に保った。TFEは、オートクレーブの内圧を常に0.78MPaGに保つように連続的に供給した。
【0082】
重合開始剤を添加してから重合反応で消費されたTFEが986gになった時点でTFEの供給と攪拌とを停止し、直ちにオートクレーブ内のガスを常圧になるまで回収して、重合反応を終了した。
内容物を室温付近まで冷却し、パラフィンを固化して分離したのち、ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕水性ディスパージョンを得た。得られたPTFE水性ディスパージョン中のPTFEの含有量は、25質量%であった。
【0083】
合成例2 フッ素ゴム水性ディスパージョンの製造
(第一段階の重合)
内容積36.6Lの重合槽に純水1.5Lを仕込み、系内を窒素ガスで充填置換したのち、ビニリデンフルオライド〔VdF〕−へキサフルオロプロピレン〔HFP〕混合物(モル比65:35)690gを仕込み、攪拌しながら内温を80℃に上昇した。次いで、過硫酸アンモニウム26.3gを溶解した100mlの水溶液を窒素ガスで圧入して重合反応を開始した。重合反応の進行に伴い、207g/Lの濃度の過硫酸アンモニウム水溶液を過硫酸アンモニウムの分解に見合う1ml/分の速度で注入し、系内の未分解の過硫酸アンモニウムの量を一定に保った。
重合反応の進行とともに圧力が降下するので、VdF−HFP混合物(モル比78:22)を逐次圧入し、反応圧力を0.78MPaGに保って反応を続け、164分後に加熱、攪拌を停止して系内の単量体を放出して反応を停止した。
得られた水性分散液の固形分濃度は、21質量%であり、上記水性分散液の一部から常法により共重合体を取出して極限粘度〔η〕を測定したところ、0.90であった。
【0084】
(第二段階の重合)
上記第一段階の重合により得られた水性分散液は、未分解の過硫酸アンモニウムを含んでいるので、未分解の過硫酸アンモニウムを分解するために上記水性分散液を活性炭で処理した。
活性炭処理後の水性分散液3Lと純水12Lとを内容積36.6Lの重合槽に入れ、系内を窒素ガスで充分置換したのち、VdF−HFP混合物(モル比65:35)1200gを仕込み、攪拌しながら内温を70℃に上昇した。次いで、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート15gを窒素ガスで圧入して重合反応を開始した。
重合反応の進行とともに圧力が降下するので、VdF−HFP混合物(モル比78:22)を逐次圧入し、反応圧力を1.37MPaGに保って反応を続け、185分後に加熱、攪拌を停止して系内の単量体を放出して反応を停止した。
得られたフッ素ゴム水性ディスパージョン中のフッ素ゴムの含有量は21質量%であり、上記フッ素ゴムの極限粘度〔η〕は0.89であった。
【0085】
比較例3〜4
ステンレススチール製筒型凝析槽(内径180mm、内容積5L)に水580mlを入れ、温調用ジャケットにより温度を20±2℃に調節した。軸芯下端にイカリ型攪拌翼(回転外径80mm、高さ50mm)を持つ攪拌機を用いて凝析槽内を450rpmで攪拌しながら、実施例3で得られた炭素フィブリル水性ディスパージョン(炭素フィブリルの含有量:5質量%、炭素フィブリルの平均粒子径:0.18μm)290gを加えて充分に分散した。合成例1で得られたPTFE水性ディスパージョン(PTFEの含有量:25質量%)を1000ml投入して攪拌を続けると、数分後に混合ディスパージョンの粘度が上昇してスラリー状を呈した。攪拌を更に続けると、炭素フィブリル−フッ素ポリマー共凝析物が疎水化して浮上するので、攪拌を停止した。浮上した炭素フィブリル−フッ素ポリマー共凝析物を100メッシュの金網で濾過して分離し、乾燥して炭素フィブリル−フッ素ポリマー共凝析物を得た。
【0086】
得られた炭素フィブリル−フッ素ポリマー共凝析物について、以下の方法に従って遊離炭素フィブリルの質量(B)を求め、炭素フィブリル−フッ素ポリマー共凝析物における炭素フィブリルの質量(A)を元素分析法により測定して、B/Aを算出した。結果を表2に示す。
(遊離炭素フィブリル量の測定方法)
乾燥後の炭素フィブリル−フッ素ポリマー共凝析物を篩い分けし、この内、JIS Z8801の32メッシュ篩を通過し、48メッシュ篩を通過しない粉末を集めた。得られた粉末100gを500mlのメタノール中に注ぎ分散させた。得られた分散液を内容量1Lの樹脂ボトルに移し替たのち密栓し、小型ボールミルにより30rpmの回転速度で上記ボトルを10分転動した。この後、直ちに内容物を200メッシュの篩を用いて、粉末とメタノールとに濾過分離した。上記転動、及び、濾過分離の操作を濾液の蒸発乾固物がトレースになるまで繰り返した。この操作の完了時点までに得られた濾液の蒸発乾固物の合計質量を測定した。上記蒸発乾固物の合計質量を遊離炭素フィブリルの質量(B)とした。
【0087】
比較例5
比較例3において、PTFE水性ディスパージョンの代わりに合成例2で得られたフッ素ゴム水性ディスパージョン(フッ素ゴムの含有量:21質量%)を用い、凝析剤として、塩化マグネシウムの10質量%水溶液を添加した以外は比較例3と同様にして炭素フィブリル−フッ素ポリマー共凝析物を得た。得られた炭素フィブリル−フッ素ポリマー共凝析物について、比較例3と同様にしてB/Aを求めた。結果を表2に示す。
【0088】
実施例7〜12
比較例3において、混合ディスパージョン中に、表2に示した種類、量及び添加方法に従って水不溶性液体を添加した以外は比較例3と同様にして炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子を得た。得られた炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子について、比較例3と同様にしてB/Aを求めた。結果を表2に示す。
【0089】
実施例13
実施例7において、PTFE水性ディスパージョンの代わりに合成例2で得られたフッ素ゴム水性ディスパージョン(フッ素ゴムの含有量:21質量%)を用い、凝析剤として、塩化マグネシウムの10質量%水溶液を添加した以外は実施例7と同様にして炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子を得た。得られた炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子について、比較例3と同様にしてB/Aを求めた。結果を表2に示す。
【0090】
表2において、水不溶性液体の添加方法についての記号は、以下の操作を表す。
A:混合ディスパージョンの粘度が上昇し始めるより前に水不溶性液体を添加
B:混合ディスパージョンの粘度が最大領域に達した後、下降終了前に水不溶性液体を添加
【0091】
【表2】
Figure 2004149641
【0092】
表2から明らかなように、実施例7〜13で得られた炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子は、比較例3〜5の炭素フィブリル−フッ素ポリマー共凝析物に比べて遊離炭素フィブリル量が少なかった。水不溶性液体を2回の添加時に分けて添加することより得られた実施例8の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子は、水不溶性液体を1回添加することより得られた実施例7の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子に比べて、遊離炭素フィブリル量がより少なかった。
【発明の効果】
本発明の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子は、上述の構成を有するので、炭素フィブリルとフッ素ポリマーとが分離することがなく、炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子からなる成形品の表面平滑性等を向上することができ、導電性等を成形品全体にわたって均一に発現することができる。

Claims (31)

  1. 炭素フィブリルとフッ素ポリマーとからなる炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子である
    ことを特徴とする炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子。
  2. 共凝析法を用いて、フッ素ポリマー水性ディスパージョンと炭素フィブリル水性ディスパージョンとから得られるものであり、
    前記フッ素ポリマー水性ディスパージョンは、フッ素ポリマーからなるフッ素ポリマー粒子が水性媒体(a)に分散しているものであり、
    前記炭素フィブリル水性ディスパージョンは、炭素フィブリルからなる炭素フィブリル粒子が水性媒体(b)に分散しているものである請求項1記載の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子。
  3. 炭素フィブリルは、外径が1〜1000nmの繊維状物からなるものである請求項1又は2記載の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子。
  4. 炭素フィブリルは、炭素フィブリル凝集体からなるものである請求項1、2又は3記載の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子。
  5. 炭素フィブリルは、平均粒子径が0.2μm以下である低凝集炭素フィブリル粒子からなるものであり、
    前記低凝集炭素フィブリル粒子は、炭素フィブリル水性ディスパージョンを用いた遠心沈降法による測定において、前記炭素フィブリルからなる炭素フィブリル粒子の全個数の50%以上である請求項1、2、3又は4記載の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子。
  6. フッ素ポリマー粒子は、平均粒子径が50〜600nmであるものである請求項2、3、4又は5記載の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子。
  7. フッ素ポリマーは、ポリテトラフルオロエチレンである請求項1、2、3、4、5又は6記載の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子。
  8. フッ素ポリマーは、テトラフルオロエチレン共重合体である請求項1、2、3、4、5又は6記載の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子。
  9. フッ素ポリマーは、フッ素ゴムである請求項1、2、3、4、5又は6記載の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子。
  10. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子からなる
    ことを特徴とする炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子組成物。
  11. 炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子組成物における炭素フィブリルの質量(A)と、炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子組成物を有機溶剤に分散させて攪拌したのちJIS Z 8801のメッシュ篩を用いて濾過したときに濾液に含まれる遊離炭素フィブリルの質量(B)との比率(B/A)が0.3以下である請求10記載の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子組成物。
  12. 共凝析法を用いて請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子を製造するための炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法であって、
    前記共凝析法は、
    フッ素ポリマー水性ディスパージョンと炭素フィブリル水性ディスパージョンとを配合することにより混合ディスパージョンを得る配合工程(1)、及び、
    前記混合ディスパージョンに凝析処理を施すことよりなる凝析工程(2)
    を含むものであり、
    前記フッ素ポリマー水性ディスパージョンは、フッ素ポリマーからなるフッ素ポリマー粒子が水性媒体(a)に分散しているものであり、
    前記炭素フィブリル水性ディスパージョンは、炭素フィブリルからなる炭素フィブリル粒子が水性媒体(b)に分散しているものである
    ことを特徴とする炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法。
  13. 炭素フィブリル水性ディスパージョンは、超音波振動による分散処理により炭素フィブリル粒子を水性媒体(b)に分散させたものである請求項12記載の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法。
  14. 炭素フィブリル水性ディスパージョンは、界面活性剤を含有するものである請求項12又は13記載の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法。
  15. 界面活性剤は、HLBが3〜40であるものである請求項14記載の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法。
  16. 界面活性剤は、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも2種である請求項14又は15記載の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法。
  17. 界面活性剤は、ノニオン界面活性剤と、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び/又は両性界面活性剤とである請求項14又は15記載の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法。
  18. 界面活性剤は、アニオン界面活性剤と、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び/又は両性界面活性剤とである請求項14又は15記載の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法。
  19. 界面活性剤は、含フッ素系界面活性剤からなるものである請求項14又は15記載の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法。
  20. 凝析処理は、混合ディスパージョンに水不溶性液体の添加をして行うものである請求項12、13、14、15、16、17、18又は19記載の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法。
  21. 水不溶性液体の添加は、凝析工程において、混合ディスパージョンの粘度が上昇し始めるより前に行うものである請求項20記載の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法。
  22. 水不溶性液体の添加は、凝析工程において、混合ディスパージョンの粘度が最大領域に達したときに行うものである請求項20記載の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法。
  23. 水不溶性液体は、2回以上の添加時に分けて添加する請求項20、21又は22記載の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法。
  24. 2回以上の添加時は、混合ディスパージョンの粘度が上昇し始めた後、最大領域に達する前の添加時と、混合ディスパージョンの粘度が最大領域を経た後、下降終了前の添加時とを含むものである請求項23記載の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法。
  25. 水不溶性液体は、SP値が5〜10であるものである請求項20、21、22、23又は24記載の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法。
  26. 水不溶性液体は、炭素原子、塩素原子、フッ素原子、酸素原子及び/又は水素原子を有する有機化合物からなるものである請求項20、21、22、23、24又は25記載の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法。
  27. 炭素フィブリル粒子は、荷電している荷電炭素フィブリル粒子からなるものである請求項14、15、16、17、18又は19記載の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法。
  28. 請求項12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26又は27記載の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子製造方法によって得られた
    ことを特徴とする炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子。
  29. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は28記載の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子からなる
    ことを特徴とする炭素フィブリル−フッ素ポリマー分散体。
  30. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は28記載の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子からなる
    ことを特徴とする炭素フィブリル−フッ素ポリマーペレット。
  31. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は28記載の炭素フィブリル−フッ素ポリマー粒子からなる
    ことを特徴とする炭素フィブリル−フッ素ポリマー成形品。
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