JP2004160943A - 印刷装置における排版装置および印刷装置の排版方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】制御手段20は、マスタ幅サイズ検出センサ群23からのマスタ幅サイズ検出信号(広幅マスタ3aおよび狭幅マスタ3bの2種類のうちの何れかに係る信号)に基づいて、排版ローラ周速度を変えるようにモータ駆動回路12を介してステッピングモータ11を制御する制御機能を有する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、孔版印刷装置等を含む印刷装置における排版装置および印刷装置の排版方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷装置として輪転式の孔版印刷装置が知られている。この孔版印刷装置では、版胴とも呼ばれている多孔性円筒状の外周部を備えた印刷ドラムの外周面上に巻装されている使用済みの版(以下、「使用済みのマスタ」という)を、排版駆動手段により回転駆動される排版ローラ対(排版剥離手段)で挟持して搬送し印刷ドラムから剥離して排版ボックスに収納する排版装置を有している(例えば、特許文献1ないし3参照)。
【0003】
上記排版装置における排版ローラ対(以下、単に「排版ローラ」というときがある)の周速度は、排版時における印刷ドラムの周速度と比べて、同じかそれ以上の周速度で回転させているのが一般的である。排版ローラの駆動方式としては、版サイズ(以下、「マスタサイズ」という)に拘わらず、一定の回転速度で駆動している場合がほとんどである。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−43394号公報(図1ないし図3)
【特許文献2】
特開平8−238835号公報(図1および図2)
【特許文献3】
特開平8−267897号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、排版ローラが一定の回転速度で駆動される設定においては、印刷ドラムの回転中心軸の軸線方向(以下、「印刷ドラムの軸線方向」という)に沿うマスタ幅方向のマスタの幅サイズの違いによって排版ボックス内への使用済みのマスタの排版収納量が異なってしまう現象があった。以下、「使用済みのマスタ」のことを、前後の文脈から明らかに判断できるときには、発明の効果の欄を除き単に「マスタ」というときがある。
【0006】
すなわち、例えば排版ローラの周速度(以下、発明の効果の欄を除き「排版ローラ周速度」という)を排版時における印刷ドラムの周速度(以下、発明の効果の欄を除き「ドラム周速度」という)と同等に設定した場合、比較的幅の狭いサイズのマスタを排版したときに比べて、比較的幅の広いサイズのマスタを排版したときの方が排版収納量は少なくなっていたが、排版ローラ周速度をドラム周速度よりも比較的速くなるように設定した場合、上記したとは逆に、比較的幅の狭いサイズのマスタを排版したときに比べて、比較的幅の広いサイズのマスタを排版したときの方が排版収納量は多くなっていた(後述する図7ないし図11の比較例参照)。つまり、上記現象をまとめると次のようである。
排版収納量の違い
・排版ローラ周速度≒ドラム周速度の場合…狭い幅のマスタ>広い幅のマスタ
・排版ローラ周速度>ドラム周速度の場合…狭い幅のマスタ<広い幅のマスタ
そのため、狭い幅のマスタの排版収納量を満足するための排版ローラ周速度(回転速度)設定にした場合には、広い幅のマスタの排版収納量が満足しない。一方、広い幅のマスタの排版収納量を満足するための設定にした場合には、狭い幅のマスタの排版収納量が満足しないという状態となる。何れの設定においても、排版収納量が少ない方を満足させるためには、他の方法として排版ボックス内に排出・収納された使用済みのマスタを圧縮部材により圧縮するための排版圧縮機構のパワーップを図り、無理矢理、マスタを押し込んでしまうという方法を採っていた。この方法では、排版圧縮機構のコストアップや圧縮機構の耐久性に問題を及ぼすこととなった。
【0007】
また、排版ローラの駆動源(排版駆動手段)としては、専用のDCモータや、装置本体側の印刷ドラムを回転駆動する駆動モータからによるものがほとんどであるため、容易に排版ローラの回転速度を変えることができなかった。排版駆動手段としてDCモータを用いている場合の回転速度変更は、例えば排版ローラ駆動機構のギヤ列の減速比を変えるか、DCモータへの印加電圧を制御するしか方法がなかった。
【0008】
そして、幅サイズの異なるマスタを排版する場合に、排版収納量を一定にしようとしてギヤ列の減速比で対応する場合には、マスタ幅サイズの種類に応じたギヤ減速の組み合わせが必要となり、コストアップになる上、ギヤの組み合わせが異なるだけの排版装置の種類が発生してしまうことで管理が煩雑になっていた。また、DCモータへの印加電圧制御にて対応する場合(例えば、DCモータにエンコーダを取り付け、入力パルスに応じて電流の印加時間を制御する等)は、その電圧制御装置を印刷装置に搭載しなければならず、これもコストアップとなってしまう。
【0009】
したがって、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、排版すべきマスタの幅サイズに応じて、排版剥離手段の周速度を変えることによって、マスタの幅サイズに拘わらず排版収納時のマスタの収納状態(折れ畳まれ状態)を綺麗にして排版収納量をより多くすることを第1の目的とする。
また、排版ローラ周速度を変えることに伴う排版ローラの回転速度変更手段として、ステッピングモータを使用することで、安価で容易に実施できるようにすることを第2の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決すると共に上記目的を達成するために、各請求項記載の発明では、以下の特徴ある手段・構成を採っている。
請求項1記載の発明は、印刷ドラムに巻かれた使用済みのマスタを挟持し搬送し該印刷ドラムから剥離する排版剥離手段と、該排版剥離手段を回転駆動する排版駆動手段とを有する印刷装置における排版装置において、使用済みのマスタの幅サイズに応じて、上記排版剥離手段の周速度を変えるように上記排版駆動手段を制御する制御手段を具備することを特徴とする。
ここで、排版剥離手段の具体例としては、後述する図1ないし図3等に示す排版ローラ対6が用いられるほか、排版ローラ対の外周に排版剥離用ないしは搬送用のベルトを巻き付けたような態様のものも含まれる。また、後述する排版装置に具備されているような印刷ドラム上の使用済みのマスタに接触すべく変位自在な排版ローラ対や排版ベルトを用いた排版装置にも応用可能である。すなわち、印刷ドラムに巻かれた使用済みのマスタを剥離し搬送する排版剥離手段と、該排版剥離手段を回転駆動する排版駆動手段とを有する印刷装置における排版装置にも応用可能である。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の印刷装置における排版装置において、上記制御手段は、使用済みのマスタの幅サイズが比較的狭いとき、上記排版剥離手段の周速度が排版時における上記印刷ドラムの周速度と比較して同速ないし若干速い第1の周速度となるように、使用済みのマスタの幅サイズが比較的広いとき、上記排版剥離手段の周速度が第1の周速度よりも比較的速い第2の周速度となるように、それぞれ上記排版駆動手段を制御することを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の印刷装置における排版装置において、第1の周速度は、上記排版時における上記印刷ドラムの周速度の1.0〜1.1倍であり、第2の周速度は、上記排版時における上記印刷ドラムの周速度の1.2〜1.4倍であることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1、2または3記載の印刷装置における排版装置において、上記排版駆動手段は、ステッピングモータであることを特徴としている。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一つに記載の印刷装置における排版装置において、マスタの幅サイズを設定するマスタ幅サイズ設定手段を具備し、上記制御手段は、上記マスタ幅サイズ設定手段からのマスタ幅サイズ設定信号に基づいて、上記制御を行うことを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一つに記載の印刷装置における排版装置において、マスタの幅サイズを検出するマスタ幅サイズ検出手段を具備し、上記制御手段は、上記マスタ幅サイズ検出手段からのマスタ幅サイズ検出信号に基づいて、上記制御を行うことを特徴とする。
【0016】
請求項7記載の発明は、請求項2ないし6の何れか一つに記載の印刷装置における排版装置において、上記排版剥離手段は、上記印刷ドラム上の使用済みのマスタのマスタ幅方向に沿って複数配置され、かつ、上記マスタ幅方向の中心に対して略対称となる位置に配置されており、使用済みのマスタの幅サイズが比較的広い使用済みのマスタは、上記マスタ幅方向に配置された上記排版剥離手段の全てによって挟持されながら搬送され、使用済みのマスタの幅サイズが比較的狭い使用済みのマスタは、上記マスタ幅方向の両端に配置された上記排版剥離手段よりもさらに内側に配置された上記排版剥離手段によって挟持されながら搬送されることを特徴とする。
【0017】
請求項8記載の発明は、排版駆動手段により回転駆動される排版剥離手段によって、印刷ドラムに巻かれた使用済みのマスタを挟持して搬送し上記印刷ドラムから剥離する印刷装置の排版方法において、使用済みのマスタの幅サイズに応じて、上記排版剥離手段の周速度を変えることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を説明する。本発明を適用する図14を含む従来例および各実施形態等に亘り、同一の機能や形状等を有する部材や構成部品等の構成要素については、同一符号を付すことにより一度説明した後はその説明を省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がない構成要素については適宜断わりなく省略することがある。
【0019】
まず、図14を参照して、本発明の実施形態を適用するデジタル感熱式の孔版印刷装置の概略的な全体構成と共に、その動作について簡単に説明する。図14に示す孔版印刷装置は、印刷装置の一例である。
図14において、符号50は、装置本体フレームを示す。装置本体フレーム50の上部にある、符号80で示す部分は原稿読取装置を構成し、その下方の符号90で示す部分は製版給版装置、その左側に符号100で示す部分は多孔性円筒状の版胴を外周部に備えた印刷ドラム1が配置されたドラム装置、その左の符号70で示す部分は本発明を具体的に適用する排版装置、製版給版装置90の下方の符号110で示す部分は給紙装置、印刷ドラム1の下方の符号120で示す部分は印圧装置、装置本体フレーム50の左下方の符号130で示す部分は排紙装置を、それぞれ示している。
【0020】
原稿読取装置80は、図示しない原稿載置台上から移送される原稿60の表面の画像を読み取る機能・構成を、製版給版装置90は、ロール状に巻かれたマスタ3を製版し給版搬送する機能・構成を、印刷ドラム1は、製版済みのマスタ3をその外周面に巻装する機能・構成を、ドラム装置100および印圧装置120は、印刷ドラム1上の製版済みのマスタ3にインキを供給し、後述する押圧手段により印刷ドラム1に対して印刷用紙62を押し付けて印刷用紙62上に印刷画像を形成する機能・構成を、排版装置70は、印刷ドラム1の外周面から使用済みのマスタ3を剥ぎ取り搬送しこれを排版ボックス75内に排出・排版する機能・構成を、給紙装置110は、給紙台51上に積載された印刷用紙62を印刷ドラム1とプレスローラ103との間に給送する機能・構成を、排紙装置130は、ドラム装置100および印圧装置120にて印刷された印刷用紙62を排紙台52に排出する機能・構成を、それぞれ有する。
【0021】
排版装置70は、図14に示すように、印刷ドラム1に巻かれた使用済みのマスタ3を挟持し搬送し該印刷ドラム1から剥離し搬送する排版剥離手段としての排版ローラ対6と、排版ローラ対6を回転駆動する排版駆動手段(駆動源)としてのDCモータ78と、排版ローラ対6により剥離された使用済みのマスタ3(以下、発明の効果の欄を除き「剥離済みのマスタ3」という)を収納する収納空間部75bおよび剥離済みのマスタ3を該収納空間部75bまで案内する案内壁面75aを備えた収納容器としての排版ボックス75と、案内壁面75aに沿って移動可能な先端部74aを備え剥離済みのマスタ3を収納空間部75bに搬送し圧縮する圧縮手段としての圧縮板74と、圧縮板74をして往復揺動運動をさせる図示しない排版圧縮機構とを具備している。
【0022】
排版ローラ対6は、例えば特開2000−43394号公報の図1ないし図3に示されていると同様に、外周面に多数の歯車状突起(図示せず)を有する剛性体ローラ8と、この剛性体ローラ8の外周面に当接する弾性体ローラ7と、この弾性体ローラ7の外周面よりも外方へ放射状に突出した複数の弾性羽根9を有する羽根ローラ10とから構成されている。
【0023】
図2を借りて示すように、排版ローラ対6を構成する上記各ローラは、印刷ドラム1上の使用済みのマスタ3のマスタ幅方向Xに沿って平行に複数配置され、かつ、マスタ幅方向Xの中心に対して略対称となる位置に配置されている。排版ローラ対6は、特開2000−43394号公報の図1ないし図3に示されている排版ローラ対(5)と比較して、マスタ幅方向Xに対する各ローラの配置形態およびその配置個数のみが異なる。
【0024】
マスタ幅方向Xの両端に配置されている排版ローラ対6の一方の排版ローラは、図2を借りて示すように、剛性体ローラ8であり、この剛性体ローラ8は印刷ドラム1の軸線方向と平行な回転中心を有するローラ軸8aに固定されている。排版ローラ対6の他方の排版ローラは、剛性体ローラ8の外周面に接触して弾性変形可能な弾性羽根9を備えた羽根ローラ10であり、この羽根ローラ10は印刷ドラム1の軸線方向と平行な回転中心を有する羽根ローラ10の軸を兼ねるローラ軸7aに固定されている。
マスタ幅方向Xの両端に配置されている排版ローラ対6の内側の排版ローラ対6は、それぞれの外周面同士が圧接する弾性体ローラ7および剛性体ローラ8の4組のローラ対と、各組のローラ対における弾性体ローラ7の外側近傍に配置された羽根ローラ10との組み合わせからなる。弾性体ローラ7と羽根ローラ10とは、印刷ドラム1から剥離されるべき使用済みのマスタ3における印刷ドラム1に貼り付いた面に接する側に配置されている。なお、排版剥離手段としての排版ローラ対6は、「印刷ドラム1に巻き付けられた使用済みのマスタ3を挟持して引き込みながら印刷ドラム1から剥離する」と表現することもできる。
【0025】
排版剥離手段として上記したような排版ローラ対6を使用する場合には、特開平6−234264号公報や上記特開2000−43394号公報に記載されているように、印刷ドラム1の外周面に巻装されたマスタ3には、印刷ドラム1の外周面に巻き付けられる際に製版給版装置(例えば特開平6−234264号公報の図2参照)により、印刷ドラム1から離間する方向に湾曲する習性のカール癖(印刷ドラム1の外周面に巻き付くのと反対方向のカール癖)が付けられている。
このような排版ローラ対6を使用すれば、使用済みのマスタ3を印刷ドラム1の外周面から剥離・排版するために、排版ローラや分離爪を揺動させるソレノイドやスプリングなどの複雑な機構を必要とせず、またそれらの位置関係の微妙な調整をする必要もなく、しかも印刷ドラム1の外表面を傷つけることがなくて、孔版印刷装置の小型化およびコストダウンを図れるというものである。
【0026】
上記排版圧縮機構は、共にその図示を省略した、駆動手段としての正逆転可能な排版圧縮モータと、この排版圧縮モータの出力軸に固着されたウォームおよびこのウォームと常時噛み合うウォームホイールからなるウォームギヤと、上記ウォームホイールと同軸上に設けられた小径ギヤおよびアイドルギヤ等を含むギヤ列と、このギヤ列の最終段のギヤに固定されている圧縮板74の支軸74bとから主に構成されている。上記排版圧縮機構は、装置本体側に配設されている。 圧縮板74は、上記排版圧縮機構により、剥離済みのマスタ3を排版ボックス75の収納空間部75bに搬送・圧縮する図示しない収納位置と、この収納位置から右方へ揺動して排版ローラ対6からの剥離済みのマスタ3の導入に支障とならない図14に実線で示す非収納位置(ホームポジション)との間で、支軸74bを中心とした往復揺動運動をする。
【0027】
図14において、符号75cは、排版ボックス75を装置本体から着脱する際に把持・操作するための取っ手を示す。排版ボックス75は、周知の着脱手段を介して装置本体に対して着脱自在になされている。排版ボックス75は、案内壁面75aの部分が部分円筒状をなす部分を有し、全体として概略筐体状に形成されていて、印刷ドラム1の軸線方向に沿って延在して設けられている。
圧縮板74の基端部は、装置本体側に所定角度回動自在に支持された支軸74bに固定され、圧縮板74の先端部74aは、支軸74bを中心として揺動自在に設けられている。案内壁面75aは、使用されるマスタ3の最大幅寸法よりも長くマスタ3の幅方向、すなわち印刷ドラム1の軸線方向と平行に延在している。排版ボックス75の案内壁面75aは、圧縮板74先端部74aが描く往復揺動軌跡と所定の隙間を介して略一致した部分円筒内壁面形状をなしている。
【0028】
次に、孔版印刷装置の全体動作について以下に説明する。
先ず、ユーザは原稿読取装置80の上部に配置された原稿載置台(図示せず)に、印刷すべき画像を持った原稿60を載置し、図示しない操作パネルに配設されている製版スタートキー(図示せず)を押す。この製版スタートキーの押下に伴い、先ず排版工程が実行される。すなわち、この状態においては、ドラム装置100の印刷ドラム1の外周面に前回の印刷で使用された使用済みのマスタ3が装着されたまま残っていて、印刷ドラム1はそのマスタクランパ2が図5に二点鎖線で示す略左横ないしは左斜め上方に位置する印刷ドラム1の回転位置、すなわちホームポジション(排版位置)を占めて停止している。
【0029】
上記製版スタートキーからの製版スタート信号がトリガとなって、直ちに、装置本体側に配設されていてマスタクランパ2を開閉駆動する図示しない開閉装置が作動することにより、マスタクランパ2が図14に二点鎖線で示すように拡開されると、印刷ドラム1から離間する方向に湾曲する習性のカール癖を付けられた使用済みのマスタ3の先端部が開放されフリーな状態となる。この直前において、排版ローラ対6がDCモータ78の起動により、例えば図2を借りて説明するギヤ列13を介して、マスタの幅サイズに拘わらず一定の回転速度(排版ローラ周速度)で回転駆動されることによって、使用済みのマスタ3の先端部が排版ローラ対6にくわえ込まれた後、一時的に排版ローラ対6の回転が停止する。 この後、上記開閉装置が作動することにより、マスタクランパ2が閉じられると、印刷ドラム1を回転駆動する図示しないメインモータの起動により、印刷ドラム1がインキ供給管104を兼ねる支軸104の周りに図14中矢印A方向(時計回り方向)にゆっくりと回転を始め、これと同時に排版ローラ対6が再び回転駆動されることで、剥離済みのマスタ3は排版ローラ対6により挟持されながら排版ボックス75に向けて連続して搬送され、案内壁面75aに案内されつつ排版ボックス75内に排出され収納されていく。
なお、排版時における排版ローラ対6による詳細な動作は、上記特開2000−43394号公報の段落番号「0030」ないし「0036」、「0038」に記載されていると同様の動作で特有の利点・効果を奏するように行われる。
【0030】
一方、排版装置70内では、上記排版圧縮モータが正転駆動されることにより、上記排版圧縮モータの回転運動が上記排版圧縮機構によって圧縮板74の揺動運動に変換され、圧縮板74は時計回り方向に図示しない圧縮板圧縮センサによって検知されるまで揺動し、排版ボックス75内に収納されている剥離済みのマスタ3をさらに排版ボックス75の左側奥部へ向けて搬送しつつ圧縮する。
説明が前後するが、後述するマスタ3に対する製版動作およびカッタ95による切断動作が終了すると、上記排版圧縮モータが逆転駆動されることにより、圧縮板74は図示しない圧縮板ホームポジションセンサによって検知されるまで、すなわちホームポジションである非収納位置を占めるまで反時計回り方向に揺動し、ホームポジションで停止し、一連の排版動作が完了する。
【0031】
排版工程が終了後、原稿読取装置80では原稿読み取りが行われる。すなわち、図示しない原稿載置台に載置された原稿60は、分離ローラ81、前原稿搬送ローラ対82a,82bおよび後原稿搬送ローラ対83a,83bのそれぞれの回転により矢印Y2からY3方向に搬送されつつ露光読み取りに供される。このとき、原稿60が多数枚あるときは、分離ブレード84の作用でその最下部の原稿のみが搬送される。原稿60の画像読み取りは、コンタクトガラス85上を搬送されつつ、蛍光灯86により照明された原稿60の表面からの反射光を、ミラー87で反射させレンズ88を通して、CCD(電荷結合素子)から成る画像センサ89に入射させることにより行われる。その画像が読み取られた原稿60は原稿トレイ80A上に排出される。画像センサ89で光電変換された電気信号は、装置本体フレーム50内の図示しないアナログ/デジタル(A/D)変換基板に入力されデジタル画像信号に変換される。
【0032】
一方、この画像読み取り動作と並行して、デジタル信号化された画像情報に基づき製版および給版工程が行われる。すなわち、製版給版装置90の一側部に配置された図示しないマスタロール支持部材にマスタ3を繰り出し可能にセットされ芯管3Bの周りにロール状に巻かれたマスタロール3Aから、マスタ3が引き出され、サーマルヘッド91にマスタ3を介して押圧しているプラテンローラ92、および送りローラ対93a,93bの回転によりマスタ搬送方向Yの下流側に搬送される。このように搬送されるマスタ3に対して、サーマルヘッド91にライン状に並んだ多数の微小な発熱素子が、上記A/D変換基板から送られてくるデジタル画像信号に応じて各々選択的に発熱し、発熱した発熱素子に接触しているマスタ3の熱可塑性樹脂フィルムが溶融穿孔される。このように、画像情報に応じたマスタ3の位置選択的な溶融穿孔により、画像情報が穿孔パターンとして書き込まれる。
【0033】
マスタ3は、連続シート状をなし、例えば、厚さが0.5〜5μmのポリエチレンテレフタレート(PET)系の熱可塑性樹脂フィルムと、和紙や合成繊維等から構成される多孔質支持体とを接着剤等で貼り合わせたものが用いられる。マスタ3としては、上記したものの他、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)からなる細い合成繊維が100%入っている多孔性支持体と、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる熱可塑性樹脂フィルムとを貼り合わせたいわゆる合成繊維ベースマスタや、多孔性支持体の無いいわゆる実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタ3も用いられる。
【0034】
画像情報が書き込まれた製版済みのマスタ3の先端は、給版ローラ対94a,94bにより印刷ドラム1の外周部側へ向かって送り出され、図示しない給版ガイド板により進行方向を下方へ変えられ、図14に示す給版位置状態にある印刷ドラム1の拡開したマスタクランパ2(二点鎖線で示す)へ向かって垂れ下がる。このとき印刷ドラム1は、排版工程により使用済みのマスタ3を既に除去されている。
そして、製版済みのマスタ3の先端が、一定のタイミングでマスタクランパ2によりクランプ・保持されると、印刷ドラム1は図中A方向(時計回り方向)に回転しつつ外周面に製版済みのマスタ3を徐々に巻きつけていく。製版済みのマスタ3の後端部はカッタ95により一定の長さに切断される。
【0035】
一版の製版済みのマスタ3が印刷ドラム1の外周面に巻装されると製版および給版工程が終了し、印刷工程が開始される。先ず、給紙台51上に積載された印刷用紙62のうちの最上の1枚が、給紙コロ111および分離コロ対112a,112bによりレジストローラ対113a,113bに向けて矢印Y4方向に送り出され、さらにレジストローラ対113a,113bにより印刷ドラム1の回転と同期した所定のタイミングで印刷ドラム装置100および印圧装置120に送られる。送り出された印刷用紙62が、印刷ドラム1とこれに印刷用紙62を押し付ける押圧手段としてのプレスローラ103との間にくると、印刷ドラム1の外周面下方に離間していたプレスローラ103が上方に変位されることにより、印刷ドラム1の外周面に巻装された製版済みのマスタ3に押圧される。こうして、印刷ドラム1の多孔部および製版済みのマスタ3の穿孔パターン部(共に図示せず)からインキが滲み出し、この滲み出たインキが印刷用紙62の表面に転移されて、印刷画像が形成される。
押圧手段としては、上記プレスローラ103の他に、印刷ドラムの外径と略同径の圧胴や、膨出可能な印刷ドラム(版胴)内に配設されたインキ供給装置を構成する中押しローラとも呼ばれるインキローラ突出タイプのものも用いられる(例えば特開平1−204781号公報や特開平3−197078号参照)。
【0036】
このとき、印刷ドラム1の内周側では、インキ供給管104からインキローラ105とドクターローラ106との間に形成されたインキ溜まり107にインキが供給され、印刷ドラム1の回転方向と同一方向に、かつ、印刷ドラム1の回転速度と同期して回転しながら内周面に転接するインキローラ105により、インキが印刷ドラム1の内周側に供給される。
【0037】
ドラム装置100および印圧装置120において印刷画像が形成された印刷用紙62は、排紙装置130における排紙剥離爪114および送風用ファン119からの送風によって印刷ドラム1から剥がされ、吸着用ファン118に吸引されつつ、吸着排紙入口ローラ115および吸着排紙出口ローラ116に掛け渡された多孔性の搬送ベルト117の反時計回り方向の回転により、矢印Y5のように排紙台52へ向かって搬送され、排紙台52上に順次排出積載される。このようにして所謂版付け印刷とも呼ばれる試し刷りが終了する。
【0038】
次に、上記操作パネルに配設されている図示しないテンキーで印刷枚数をセットし、上記操作パネルに配設されている図示しない印刷スタートキーを押下すると上記試し刷りと同様の工程で、給紙、印刷および排紙の各工程がセットした印刷枚数分繰り返して行われ、孔版印刷の全工程が終了する。
【0039】
図1ないし図11に、本発明の一実施形態を示す。
本実施形態に係る孔版印刷装置は、図14に示した孔版印刷装置と比較して、図1に示すように、図14に示した排版装置70に代えた排版装置30を有すること、マスタ3の幅サイズを検出するマスタ幅サイズ検出手段21を有すること、および排版ローラ対6の周速度を使用済みのマスタ3の幅サイズに応じて変える制御手段20を有することが主に相違する。
本実施形態に係る孔版印刷装置は、複数のマスタサイズのマスタ3の種類、実施例的に言うとマスタ3(版)の幅サイズが比較的広い広幅のマスタである広幅マスタ3aと、マスタ3の幅サイズが比較的狭い狭幅のマスタである狭幅マスタ3bとが使用可能に構成されている。
【0040】
以下、排版ローラ対6の周速度を、「排版ローラ周速度」または「排版ローラ回転速度」というときがある。排版ローラ対6の周速度、排版ローラ周速度とは、弾性体ローラ7や剛性体ローラ8の外周面の速度を指す。本実施形態では、弾性体ローラ7や剛性体ローラ8の外径および図2に示すギヤ列13を変えずにそのままとしているので、排版ローラ周速度は排版ローラ回転速度と同じことを意味する。
【0041】
排版装置30は、図14に示した従来例の排版装置70と比較して、排版ローラ対6を回転駆動するDCモータ78に代えて、排版ローラ対6を回転駆動する排版駆動手段(駆動源)としてのステッピングモータ11を有すること、排版ボックス75に代えて、剥離済みのマスタ3を収納する収納空間部5bを備えた収納容器としての排版ボックス5を有すること、排版ボックス75の案内壁面75aに代えて、案内壁面18aを備えた上ガイド板18を有すること、圧縮板74に代えて、案内壁面18aに沿って移動可能な先端部4aを備え剥離済みのマスタ3を収納空間部5bに搬送し圧縮する圧縮手段としての圧縮板4を有すること、および従来例の排版圧縮機構に代えて、圧縮板4をして往復揺動運動をさせる図示しない排版圧縮機構を有することが主に相違する。
【0042】
図2を参照して、ステッピングモータ11の回転駆動力を排版ローラ対6に伝達する駆動力伝達手段としてのギヤ列13を説明する。
ギヤ列13は、ステッピングモータ11の出力軸に固着されたモータギヤ13aと、モータギヤ13aと噛み合う小径アイドルギヤ13bと、小径アイドルギヤ13bと同軸上に一体的に設けられた大径アイドルギヤ13cと、大径アイドルギヤ13cと噛み合うローラギヤ13dと、ローラギヤ13dと同軸上であってローラギヤ13dよりも内側のローラ軸8aの一端部に固着された駆動ギヤ13eと、駆動ギヤ13eと噛み合う従動ギヤ13fとから構成されている。
小径アイドルギヤ13bおよび大径アイドルギヤ13cは、装置本体フレーム50側の図示しない側板に軸を持って回転自在に支持されている。ローラギヤ13dは、剛性体ローラ8のローラ軸8aの一端部に固着されている。従動ギヤ13fは、弾性体ローラ7および羽根ローラ10の共通のローラ軸7aの一端部に固着されている。各ローラ軸7a,8aは、各ローラ軸7a,8aの両端部に配設された一対の側板(図示せず)に回転自在に支持されている。ステッピングモータ11は、上記側板に固定されている。
【0043】
本実施形態の上記排版圧縮機構は、上記した従来のそれと比較して、往復揺動運動させる方向が上記した従来例と逆であることのみ相違し、他は実質的に同様である。
圧縮板4は、図1および図3に示すように、上記排版圧縮機構により図3(b)に実線で示す反時計回り方向に揺動して剥離済みのマスタ3を排版ボックス5の収納空間部5bに搬送・圧縮する収納位置(図示せず)と、この収納位置から時計回り方向へ揺動して排版ローラ対6からの剥離済みのマスタ3を受けて載置する図1および図3(a)に示す非収納位置(ホームポジション)との間で、支軸4bを中心とした往復揺動運動をする。
【0044】
図1において、符号5cは、排版ボックス5を装置本体から着脱する際に把持・操作するための取っ手を示す。排版ボックス5は、周知の着脱手段を介して装置本体に対して着脱自在になされている。排版ボックス5は、略筐体状に形成されていて、印刷ドラム1の軸線方向に沿って延在して設けられている。
圧縮板4の基端部は、装置本体側に所定角度回動自在に支持された支軸4bに固定され、圧縮板4の先端部4aは、支軸4bを中心として揺動自在に設けられている。圧縮板4の基端部には、剥離済みのマスタ3の先端部を当接させてこれを順次折り畳むように癖付けするための立壁面4cが形成されている。
上ガイド板18の案内壁面18aは、使用されるマスタ3の最大幅寸法よりも長くマスタ幅方向X、すなわち印刷ドラム1の軸線方向と平行に延在している。案内壁面18aは、圧縮板4の先端部4aが描く往復揺動軌跡と図3(b)に示す隙間Cを介して略一致した部分円筒内壁面形状をなしている。
【0045】
マスタ幅サイズ検出手段21は、図4に示すように、マスタロール3Aの芯管3Bを上記マスタロール支持部材にセットしたときに、マスタ3の幅サイズを識別・検出する。このために、マスタ幅サイズ検出手段21は、マスタロール3Aの引き出し先端部に貼り付けられた識別表示体22と、該識別表示体22に表示された内容を検知するマスタ幅サイズ検出センサ群23とを有している。マスタ幅サイズ検出センサ群23は、例えば複数(図4では3つ)の反射型の光学センサを有していて、装置本体フレーム50側に設けられている。
【0046】
識別表示体22は、図5に示すように、裏面のシールを剥がして接着可能な白色のシート22aと、該シート22aの表面に形成された3つの円形マーク22bから構成されており、円形マーク22bの何れかまたは複数個の組み合わせを黒色とすることによりマスタ3の幅サイズを検出するようになっている。
マスタ3の幅サイズを記号化ないし暗号化して識別するようにしてもよい。識別表示体22は、芯管3Bやマスタロール3Aの側面に設け、これに対応・対向した位置にマスタ幅サイズ検出手段21を設けてもよい。後述する例を含め、識別表示体22を芯管3Bに設けたような場合、そのマスタロール3Aが全て消費されたり、マスタ3のジャム処理等でマスタロール3Aを着脱しない限り常時その識別表示体22を検知できるので、上記電池付きのRAMを普通のRAMにすることも可能である。
【0047】
マスタ幅サイズ検出手段21は、上述したものに限らず、図6に示すように、マスタロール3A(芯管3Bを含む)に設けられる発信手段としてのICタグ24と、製版給版装置90の装置本体フレーム50に設けられる受信手段25とから構成してもよい。ICタグ24のICチップ24aにはマスタ3の幅サイズに係るデータが記録されており、記録データが発信されるようになっている。
また、マスタロール3A側に共振タグ等を設けて検出するようにしてもよいし、あるいは静電容量を検出し、その値でマスタ3の幅サイズを検出するようにしてもよい。例えば、マスタロール3Aまたは芯管3Bの適当な箇所に被検知手段としてのチップ等の小型のコンデンサを搭載し、製版給版装置90の装置本体フレーム50に設けられた検知手段としての静電容量検出器等でこれを検出する。また、抵抗値を検出し、その値でマスタ3の幅サイズを検出するようにしてもよい。例えば、マスタロール3Aまたは芯管3Bの適当な箇所に被検知手段としてのチップ等の小型の抵抗体を搭載し、製版給版装置90の装置本体フレーム50側に設けられた検知手段としての抵抗検出器等でこれを検出する。抵抗を持ったテープ状体ないしシート状体を芯管3Bの側面または内側に貼り付ける構成としてもよい。
マスタ幅サイズ検出手段21は、マスタ3の幅サイズのみならず、マスタ3の他の情報、例えばマスタの耐刷性の大小やマスタの厚さに関するマスタ種類を検出する機能を兼ねてもよい。また、その検出構成が上述した例よりも複雑になっても構わないのであれば、例えば複数の反射型の光学センサをマスタ幅方向Xに沿って配設することにより、マスタ3の幅サイズをいわば直接的に検出するようにしてもよい。
【0048】
図1に示すように、制御手段20は、本実施形態に係る孔版印刷装置の主として排版制御のうちの排版ローラ周速度の可変制御を行うためのものである。以下、説明の簡明化を図るため、孔版印刷装置の上記排版制御以外の全体動作を制御するものとして図示しないメイン制御手段があり、このメイン制御手段と制御手段20とは互いに指令信号やオン/オフ信号あるいはデータ信号等を送受信しているものとして説明する。
制御手段20は、それぞれ図示しない、CPU(中央演算処理装置)、I/O(入出力)ポート、電池付きのRAM(読み書き可能な記憶装置)、ROM(読み出し専用記憶装置)および図示しないタイマ等を備え、それらが信号バスによって接続された構成を有するマイクロコンピュータを具備している。
【0049】
制御手段20の上記CPU(以下、単に「制御手段20」というときがある)は、上記入力ポートおよび各センサ入力回路を介して、マスタ幅サイズ検出センサ群23と電気的に接続されていて、マスタ幅サイズ検出センサ群23からマスタ幅サイズ検出信号を受信する。これにより、制御手段20は、印刷ドラム1上の使用済みのマスタ3の幅サイズを認識する。
【0050】
制御手段20は、上記出力ポートおよび図示しない制御回路を含むモータ駆動回路12を介して、ステッピングモータ11に電気的に接続されていて、ステッピングモータ11を制御する指令信号をモータ駆動回路12に送信する。
【0051】
排版ローラ周速度(排版ローラ回転速度)の変更は、制御手段20によりステッピングモータ11に供給するパルスの周波数(pps:pulse per second)を変えること、すなわちパルス間隔を変える(パルス間隔を狭くしていけば加速、一定間隔では等速、パルス間隔を広くしていけば減速)ことで容易に行える。制御手段20は、実施例的に言えば、例えば市販のマイクロコンピュータを用いて容易に構成することができる。
【0052】
制御手段20の上記電池付きのRAMは、上記CPUでの計算結果を一時記憶したり、マスタ幅サイズ検出センサ群23からのマスタ幅サイズ検出信号を随時記憶したりしてこれら信号の入出力を行う。
制御手段20の上記ROMには、上記CPUが後述する制御機能を発揮するための、「マスタ3の幅サイズと、これに応じて排版ローラ周速度を変えるためのステッピングモータ11に供給するパルスの周波数との関係データ」や「ステッピングモータ11に供給するパルスの周波数を変えるためのプログラム」が予め記憶・格納されている。
【0053】
制御手段20は、マスタ幅サイズ検出センサ群23からのマスタ幅サイズ検出信号(実施例的には広幅マスタ3aおよび狭幅マスタ3bの2種類のうちの何れかに係る信号)に基づいて、排版ローラ周速度を変えるようにモータ駆動回路12を介してステッピングモータ11を制御する基本的な制御機能を有する。以下、「モータ駆動回路12を介してステッピングモータ11を制御する」ことを、単に「ステッピングモータ11を制御する」という。
制御手段20は、マスタ幅サイズ検出センサ群23からのマスタ幅サイズ検出信号(実施例的には広幅マスタ3aおよび狭幅マスタ3bの2種類のうちの何れかに係るマスタ幅サイズ検出信号)から判断して、マスタ3の幅サイズが比較的狭いとき、すなわち実施例的には狭幅マスタ3bに係る狭幅マスタ検出信号のとき、排版ローラ周速度が排版時における印刷ドラムの周速度(以下、発明の効果の欄を除き「ドラム周速度」という)と比較して同速ないし若干速い第1の周速度(実施例的には、ドラム周速度の1.0〜1.1倍)となるように、マスタ3の幅サイズが比較的広いとき、すなわち実施例的には広幅マスタ3aに係る広幅マスタ検出信号のとき、排版ローラ周速度が第1の周速度よりも比較的速い第2の周速度(実施例的には、ドラム周速度の1.2〜1.4倍)となるように、それぞれステッピングモータ11を制御する制御機能を有する。
【0054】
次に、本実施形態における要部の排版動作、すなわち排版時における挟持搬送動作の一連の流れおよび排版ローラ周速度(排版ローラの回転速度)の可変制御を説明する。なお、図1に示した圧縮板4、排版ボックス5、排版ローラ対6および上ガイド板18の位置関係や形状は、図の簡明化を図るために簡略的に描かれていて、図3(a)(b)に示したものが正確であることを付記しておく。以下、排版時における「挟持搬送」、「挟持搬送動作」という用語を、より分かりやすい「排版巻き取り」、「排版巻き取り動作」と言い替えることがある。
【0055】
排版巻き取り動作が開始される前提条件として、排版ローラ対6の配置構成および各ローラ等の寸法関係はマスタ3の幅サイズに拘わらず同一のものが使用されていること、制御手段20の上記電池付きのRAMには、新しいマスタロール3A等が製版給版装置90の上記マスタロール支持部材にセットされた時に、マスタ幅サイズ検出センサ群23によって検出されたマスタ幅サイズ検出信号が電源オフ時にも揮発することなく記憶・保持されている。従って、印刷ドラム1上には、前回の印刷で使用されたマスタサイズと同じ幅サイズの使用済みのマスタ3が貼り付いたまま残っている。
【0056】
図1に示したように、印刷ドラム1がホームポジション(排版位置)を占めて停止した直後において、図14で説明したと同様の詳細動作を介してマスタクランパ2が開く。マスタクランパ2が開く直前において、ステッピングモータ11が起動されることにより排版ローラ対6が回転を開始して、フリーになった使用済みのマスタ3の先端部をくわえ込む。
【0057】
この際、制御手段20は、上記電池付きのRAMからのマスタ幅サイズ検出信号を呼び出し、上記ROMに記憶されている上記関係データと照合して、マスタ3の幅サイズが比較的狭いとき、すなわち実施例的には狭幅マスタ3bに係る狭幅マスタ検出信号のとき、排版ローラ周速度がドラム周速度の1.0〜1.1倍となるように、マスタ3の幅サイズが比較的広いとき、すなわち実施例的には広幅マスタ3aに係る広幅マスタ検出信号のとき、排版ローラ周速度がドラム周速度の1.2〜1.4倍となるような所定のパルス周波数のパルスをステッピングモータ11に供給する。
【0058】
ここで、マスタ3の幅サイズが比較的狭いとき(実施例的には狭幅マスタ3bであるとき)、排版ローラ周速度がドラム周速度の1.0倍未満および1.1倍を超えると後述する利点や効果を得られなくなってしまい、図8に一点鎖線で囲んで示すようなシワが発生してしまう点から好ましくない。また、マスタ3の幅サイズが比較的広いとき(実施例的には広幅マスタ3aであるとき)、排版ローラ周速度がドラム周速度の1.2倍未満および1.4倍を超えると後述する利点や効果を得られなくなってしまい、図7に一点鎖線で囲んで示すようなシワが発生してしまう点から好ましくない。
【0059】
使用済みのマスタ3の先端部が排版ローラ対6にくわえ込まれた後、一時的にステッピングモータ11が停止されることにより排版ローラ対6の回転が停止する。この後、上記開閉装置が作動することにより、マスタクランパ2が閉じられると、印刷ドラム1は図1中矢印A方向にゆっくりと回転を開始し、これと同時に排版ローラ対6が連続して回転駆動されることで、排版ローラ対6が使用済みのマスタ3を排版装置30の内部に搬送していく。
この排版巻き取り中には、図2および図3(a)に示すように、マスタ3の幅サイズに拘わらず搬送状態も曲がって進入すること無く排版装置30内部に搬送されていき、さらに剥離済みのマスタ3の先端部が圧縮板4の立壁面4cに当接することで順次整然と折り畳まれるように癖付けされた状態で圧縮板4上に載置されていく。図3(a)に示す排版巻き取り動作は、排版ローラ対6から剥離済みのマスタ3の後端が抜ける直前の位置を示している。
【0060】
上記した排版巻き取り動作(挟持搬送動作)は、印刷ドラム1が1回転した頃に終了する。すなわち、剥離済みのマスタ3が排版装置30の排版ボックス5内に完全に取り込まれ、印刷ドラム1上の一版分の使用済みのマスタ3が排版ローラ対6の回転による挟持搬送によって完全に剥離されたことが、ステッピングモータ11のステップ数もしくはパルス数より判断されると、上記排版圧縮機構の上記排版圧縮モータが起動することにより、図3(b)に示すように、圧縮板4が支軸4bを中心として反時計回り方向に揺動して剥離済みのマスタ3を排版ボックス5の収納空間部5bに搬送・圧縮する収納位置(図示せず)を占める。これにより、図10に示すように、剥離済みのマスタ3は排版ボックス5内に曲がることなく搬送され綺麗な蛇腹状に折り畳まれた状態で収納され圧縮されることとなる。結果として、後で説明するように排版収納量が増加するという利点が得られる。その後、さらに印刷ドラム1が給版位置まで回転して停止し、次の給版動作を待つこととなる。
【0061】
排版ローラ周速度における第1の周速度および第2の周速度の上記設定において、それぞれ所定の範囲を持たせているのは、ステッピングモータ11の特性(主として駆動トルク)、排版ローラ対6を構成している各ローラの配置個数やそのレイアウトのバリエーションにより、またインキの種類やマスタの種類の影響を受けて、その適正な周速度の範囲が変わるからである。
【0062】
図2は、排版ローラ対6の各ローラ取り付け位置に対する広幅マスタ3aと狭幅マスタ3bとの挟持位置および搬送状態の関係を示している。広幅マスタ3aの場合、マスタ幅方向Xに配置された排版ローラ対6の全てに渡って挟持されながら搬送されるが、狭幅マスタ3bの場合、マスタ幅方向Xの両端に配置された排版ローラ対6よりもさらに内側に配置された排版ローラ対、すなわち両端の排版ローラ対6から外れた位置を搬送される。
【0063】
次に、図7および図8を参照して、本発明における使用済みのマスタ3の幅サイズに応じての排版ローラ周速度の可変制御を実施した実施例および排版ローラ周速度一定方式による比較例(従来例)について説明する。
【0064】
実施例および比較例の同一の試験条件は、次のとおりである。
マスタ3の構成:厚さが1.7μmのポリエチレンテレフタレート(PET)系の熱可塑性樹脂フィルムと、和紙および合成繊維から構成される厚さ46μmの多孔質支持体とを接着剤等で貼り合わせたトータルの厚さ47.7μmのもの
広幅マスタ3a:長さ470mm、幅サイズ280mm(印刷用紙B4版用)
狭幅マスタ3b:長さ470mm、幅サイズ240mm(印刷用紙LG・A4版用)…LG(リーガルサイズ8.5’×14’)
インキ:エマルションインキ
試験に用いた孔版印刷装置:株式会社リコー製のプリポートJP750(2003年4月発売予定)
で、実施例は図1に示した排版装置30および制御構成を搭載し、比較例は図1に示した排版装置30を従来の排版装置仕様に変更したものを搭載した。すなわち、ステッピングモータ11に代えて、従来のDCモータ78(図14参照)を使用し、排版ローラ周速度一定方式とする制御手段を使用した排版装置および制御構成を搭載して、本実施例と比較した。
【0065】
図7は、ドラム周速度(線速度)と排版ローラ周速度(線速度)が同等か排版ローラ周速度が若干速い場合、つまり第1の周速度(ドラム周速度の1.0〜1.1倍)での各マスタ3a,3bの搬送状態を示している。狭幅マスタ3bを挟持・搬送した場合は、綺麗な状態で排版装置30内に進入しているが、広幅マスタ3aを搬送した場合、そのマスタ3aの両端部に波状のシワ14が発生した状態で進入・搬送されたことが確認された。
【0066】
図8は、ドラム周速度に対して排版ローラ周速度が比較的速い場合、つまり排版ローラ周速度が第1の周速度よりも比較的速い第2の周速度(ドラム周速度の1.2〜1.4倍)での各マスタ3a,3bの搬送状態を示している。広幅マスタ3aを搬送した場合は、綺麗な状態で排版装置30内に進入しているが、狭幅マスタ3bを搬送した場合は、そのマスタ3bの両端部に波状のシワ14が発生した状態で進入・搬送されたことが確認された。この理由は、マスタ3の幅に対する排版ローラの配置にも起因するが、排版時のマスタ3に対する引張力には最適値なる領域があり、これを超えるとマスタ幅方向Xのそのバランスが崩れ両端の波状シワになると考えられる。
【0067】
図9は、排版ローラ対6によって剥離済みのマスタ3(3a,3b)が挟持・搬送される際に、剥離済みのマスタ3の両端部が波状にシワ14となって排版装置30内に進入した場合の排版ボックス5内の収納状態(折り畳まれ状態)を示している。排版ローラ対6による搬送時に波状のシワ14となって進入したマスタ3(3a,3b)は、排版ボックス5内でも両端部が波打った状態で膨らんでおり、この様な状態のマスタ3(3a,3b)が排出・積載され続ければ当然排版ボックス5内に収納される排版収納量も少なくなることは容易に分かる。
【0068】
図10は、排版ローラ対6によって剥離済みのマスタ3(3a,3b)が搬送される際に、剥離済みのマスタ3(3a,3b)が綺麗な状態で排版装置30内に進入した場合の排版ボックス5内の収納状態を示している。このような剥離済みのマスタ3(3a,3b)は、排版ボックス5内においても綺麗な蛇腹状に折畳まれて排出・収納され、図9の状態と比較しても明らかに省スペースで収まっていて、その排版収納量が多くなることが分かる。
【0069】
図11に示すグラフは、排版ローラ対6と印刷ドラム1の周速度比(線速度比)を横軸に取り、排版収納量の多少を縦軸に取ったものであり、排版ローラ対6と印刷ドラム1の周速度比を変えた場合の排版収納量の変化を示している。図11において、一点鎖線で囲んだ部分が、それぞれの排版収納量がピークとなる排版収納量の適正範囲を表している。広幅マスタ3aと狭幅マスタ3bとを排版した場合の排版収納量のピークとなる周速度比の位置が異なっていることが分かる。この結果からもマスタ3のマスタ幅方向Xの大きさ、すなわちマスタ3の幅サイズによって排版ローラ対6の回転速度を上述したように変えた方がより多くの排版収納量を確保できることが分かった。なお、図11は、上記試験条件にて、3〜5回の試験結果の平均値をそれぞれプロットしたものである。
【0070】
本実施形態によれば、上記利点のほか次の利点も得られる。すなわち、従来例と比較して、排版駆動手段としてステッピングモータ11を使用していること、およびこれを制御するための制御手段20を具備しているという比較的簡素な制御構成を付加するだけで、安価で容易に排版ローラ周速度(回転速度)の切り替えを行うことができる。
【0071】
(変形例1)
図12に上記実施形態の変形例1を示す。
変形例1は、上記実施形態と比較して、マスタ幅サイズ検出手段21に代えて、マスタ3の幅サイズを設定するマスタ幅サイズ設定手段としてのマスタ幅サイズ設定キー27を有すること、および制御手段20に代えた制御手段20Aを有することが主に相違する。
【0072】
マスタ幅サイズ設定キー27は、例えば上記操作パネルに配設されている。マスタ幅サイズ設定キー27近傍の上記操作パネルには、マスタ幅サイズ設定キー27を1回押下すると広幅マスタ3aが選択・設定されたことを点灯表示する広幅マスタ用表示ランプ(図示せず)と、マスタ幅サイズ設定キー27を2回押下すると狭幅マスタ3bが選択・設定されたことを点灯表示する狭幅マスタ用表示ランプ(図示せず)とが配置されている。上記広幅マスタ用表示ランプおよび上記狭幅マスタ表示用ランプは、例えばLED(発光ダイオード)からなる。マスタ幅サイズ設定キー27を1回押下するごとに順次ランプの点灯が切り替わり、ユーザがマスタ幅サイズ設定キー27で選択・設定したマスタ3の幅サイズに対応するマスタ3が設定されていることを表示するようになっている。
【0073】
制御手段20Aは、制御手段20と略同様のマイクロコンピュータを具備している。制御手段20Aの上記CPU(以下、単に「制御手段20A」というときがある)は、上記入力ポートおよび入力回路等を介して、マスタ幅サイズ設定キー27と電気的に接続されていて、マスタ幅サイズ設定キー27からマスタ幅サイズ設定信号を受信する。これにより、制御手段20Aは、印刷ドラム1上の使用済みのマスタ3の幅サイズを認識する。
【0074】
制御手段20Aは、上記出力ポートおよび図示しない制御回路を含むモータ駆動回路12を介して、ステッピングモータ11に電気的に接続されていて、ステッピングモータ11を制御する指令信号をモータ駆動回路12に送信する。制御手段20Aは、上記出力ポートおよび上記広幅マスタ用表示ランプ、上記狭幅マスタ表示用ランプに電気的に接続されていて、上記各表示ランプを制御する指令信号をLED駆動回路に送信する。
排版ローラ周速度(排版ローラ回転速度)の変更は、制御手段20と同様に制御手段20Aによって行われる。
【0075】
制御手段20Aの上記RAMは、上記CPUでの計算結果を一時記憶したり、マスタ幅サイズ設定キー27からのマスタ幅サイズ設定信号を随時記憶したりしてこれら信号の入出力を行う。制御手段20Aの上記ROMには、制御手段20のそれと同様の関係データプログラムが予め記憶・格納されている。
【0076】
制御手段20Aは、マスタ幅サイズ設定キー27からのマスタ幅サイズ設定信号(実施例的には広幅マスタ3aおよび狭幅マスタ3bの2種類のうちの何れかに係る信号)に基づいて、排版ローラ周速度を変えるようにステッピングモータ11を制御する基本的な制御機能を有する。
制御手段20Aは、マスタ幅サイズ設定キー27からのマスタ幅サイズ設定信号(実施例的には広幅マスタ3aおよび狭幅マスタ3bの2種類のうちの何れかに係るマスタ幅サイズ検出信号)から判断して、マスタ3の幅サイズが比較的狭いとき、すなわち実施例的には狭幅マスタ3bに係る狭幅マスタ検出信号のとき、排版ローラ周速度がドラム周速度と比較して同速ないし若干速い第1の周速度(実施例的には、ドラム周速度の1.0〜1.1倍)となるように、マスタ3の幅サイズが比較的広いとき、すなわち実施例的には広幅マスタ3aに係る広幅マスタ検出信号のとき、排版ローラ周速度が第1の周速度よりも比較的速い第2の周速度(実施例的には、ドラム周速度の1.2〜1.4倍)となるように、それぞれステッピングモータ11を制御する制御機能を有する。
変形例1の排版巻き取り動作は、上述した構成および上記実施形態の動作等から正確に理解して容易に実施できるのでその説明を省略する。
【0077】
(変形例2)
図13に上記実施形態の変形例2を示す。
変形例2は、上記実施形態と比較して、マスタ幅サイズ検出手段21を除去したこと、制御手段20に代えた制御手段20Bを有すること、およびその孔版印刷装置が1種類のマスタサイズのマスタ3のみを使用する構成になっていることが主に相違する。
このような孔版印刷装置としては、図2に示した排版ローラ対6の配置および寸法形状等を含む排版剥離手段等を共通使用することを前提として、すなわち排版ローラ対6の共通部品化あるいは排版装置そのものの共通化を図って、その機種ごとにバリエーション展開を図った孔版印刷装置が相当する。さらに具体的には、例えばB4以下のサイズの印刷用紙62を用いて印刷を行うためにそれに対応したサイズの1種類のマスタ3だけを使用するような場合が相当する。
【0078】
排版ローラ周速度(排版ローラ回転速度)の変更・制御は、制手段20Bによって行われる。なお、本願出願人は、排版動作の適宜の段階で排版ローラ周速度を変更する技術、すなわち例えば、排版ローラ対6により使用済みのマスタ3の先端部をくわえ込まれるまでの排版ローラ周速度が、印刷ドラム1の回転と同時に排版ローラ対6が回転して使用済みのマスタ3を挟持して搬送する時における搬送時周速度の半分ないし同等である比較的遅い第1の周速度(具体的には、搬送時周速度の0.5〜1.0倍)となるように、使用済みのマスタ3の後端が排版ローラ対6を抜ける直前の時、第2の周速度の最高速度よりもさらに速い第3の周速度(具体的には、ドラム周速度の1.5倍以上)となるように、ステッピングモータ11をそれぞれ制御する技術を提案している。上述した使用済みのマスタ3の幅サイズに応じての排版ローラ周速度の変更は、上記排版動作の適宜の段階での排版ローラ周速度の変更と組み合わせて実施される。
【0079】
制御手段20Bの上記RAMは、上記CPUでの計算結果を一時記憶したりして信号の入出力を行う。制御手段20Bの上記ROMには、例えば上記CPUが後述する制御機能を発揮するための、「1種類のマスタ3の幅サイズと、これに対応した排版ローラ周速度にするためのステッピングモータ11に供給するパルスの周波数との関係データ」が予め記憶・格納されている。
制御手段20Bの上記CPUは、使用済みのマスタ3の幅サイズに基づいて、排版ローラ周速度を変えるようにステッピングモータ11を制御する制御機能を有する。
変形例2の排版巻き取り動作は、上述した構成および上記実施形態の動作等から正確に理解して容易に実施できるのでその説明を省略する。
【0080】
上述した実施形態および各変形例1、2等では、排版駆動手段としてのステッピングモータ11により回転駆動される排版剥離手段としての排版ローラ対6によって、印刷ドラム1に巻かれた使用済みのマスタ3を挟持して搬送し印刷ドラム1から剥離する印刷装置としての孔版印刷装置の排版方法において、使用済みのマスタ3の幅サイズに応じて、排版ローラ対6の周速度を変える孔版印刷装置の排版方法が使用されていたと言える(請求項8参照)。
【0081】
上述した従来技術および実施形態等から、従来技術における上記問題点(課題)を解決する手段としては、上述した技術手段に限らず、例えば使用済みのマスタの幅サイズに応じて、次のようにしてもよいことを示唆している。すなわち例えば、印刷ドラム1の軸線方向に沿った(マスタ幅方向)における排版ローラ対6(排版剥離手段)の配置構成を、そのもの自体を装置本体に対して着脱自在にユニット化した数種類の排版ローラユニットを準備して最適なものに変えたり、あるいは1種類の排版ローラ対を上記軸線方向にスライド可能に構成して自動的に移動して最適な配置に変えたりなどしてもよいことを示唆している。
しかしながら、本発明では、上記手段によると構成が複雑になると共に、それに伴いコストアップになってしまい実用的でないことに鑑みて、上述したような簡易な手段を採用したものである。
【0082】
本発明に係る排版装置は、上述した排版ローラ対6を具備するものに限らず、例えば特開平10−193768号公報の図1および図7等に示されているような排版剥離ローラ(51)、排版ローラ(53)、排版モータ(52)および図示しない移動手段等を具備し、排版剥離ローラ(51)が上記移動手段を介して、印刷ドラム(2)の外周面上の使用済マスタ(22b)の先端部に接触すべく変位してその先端部をすくい上げて剥離し挟持・搬送する形態のものにも応用可能である。
例えば特開平8−238835号公報の図2等に示されているような排版ローラー(17,18,19,20,21,22)、無端ベルト(23,24,25,26)、リンク(27,28)およびソレノイド(29)等から構成された排版手段(9)にも応用可能である。
また、特開平11−10996号公報の図1等に示されているような排版コロ上(71)、排版コロ下(2)、排版搬送コロ上、下(75,76)および排版搬送コロ上、下(75,76)と排版コロ上、下対(71,2)との間に掛け渡された上下一対の排版搬送ベルト上、下(73,74)を具備し、排版コロ下(2)が版胴(101)外周面の使用済みのマスタ(61)の後端部に接触すべく変位してその先端部をすくい上げて剥離し挟持・搬送する形態のものにも応用可能である。
【0083】
上記実施形態のマスタ剥離方式は、例えば特開平5−309933号および特開平5−286223号公報等に開示されているものと同様に、印刷ドラム(版胴)に配設されているマスタクランパを開放させて、マスタ先端部から使用済みのマスタを剥離し始めるマスタ先端部剥離方式であったが、これに限らず、例えば実公平2−274号、特開昭63−74679号公報等に開示されているように、印刷ドラム(版胴)の外周面に巻装されている使用済みのマスタ後端部に変位自在な排版コロを接触させてマスタ後端部から使用済みのマスタを剥離し始めるマスタ後端部剥離方式のものにも応用可能である。
以上述べたとおり、本発明を実施例を含む特定の実施形態等について説明したが、本発明の構成は、上述した実施形態等に限定されるものではなく、これらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性及び用途等に応じて種々の実施形態や実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
【0084】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、上述したような従来装置や従来の排版方法の有する諸問題点を解決して新規な印刷装置における排版装置および印刷装置の排版方法を提供することができる。請求項ごとの効果を挙げれば次のとおりである。
請求項1記載の発明によれば、制御手段によって、使用済みのマスタの幅サイズに応じて、排版剥離手段の周速度を変えるように排版駆動手段が制御されるので、マスタの幅サイズに拘わらず例えば収納容器等の排版収納部への使用済みのマスタの収納状態(例えば折れ畳まれ状態)が綺麗な状態となるため、マスタの幅サイズの違いによる排版収納量のバラツキが発生しなくなると共に、排版収納量をより多くすることができる。加えて、排版収納部の使用済みのマスタを無理矢理押さえつける必要もなく排版収納量が確保でき易くなるため、圧縮機構も大掛かりなものでなくて済むし、そのための部品のコストアップも抑えられる。
【0085】
請求項2、3および7記載の発明によれば、制御手段は、使用済みのマスタの幅サイズが比較的狭いとき、排版剥離手段の周速度が排版時における印刷ドラムの周速度と比較して同速ないし若干速い第1の周速度(例えば、印刷ドラムの周速度の1.0〜1.1倍)となるように、幅サイズが比較的広いとき、排版剥離手段の周速度が第1の周速度よりも比較的速い第2の周速度(例えば、印刷ドラムの周速度の1.2〜1.4倍)となるように、それぞれ排版駆動手段を制御するので、請求項1記載の発明の効果を奏する。また、例えば請求項7記載のような排版剥離手段の配置構成を具備する印刷装置における排版装置で請求項1記載の発明の顕著な効果を奏する。
【0086】
請求項4記載の発明によれば、排版駆動手段としてステッピングモータを使用しているので、請求項1、2または3記載の発明の効果に加えて、排版剥離手段の周速度(回転速度)の切り替えを容易に行える上、安価に実施できる。
【0087】
請求項5記載の発明によれば、制御手段は、マスタ幅サイズ設定手段からのマスタ幅サイズ設定信号に基づいて、上記制御を行うので、請求項1ないし4の何れか一つに記載の発明の効果を奏する。
【0088】
請求項6記載の発明によれば、制御手段は、マスタ幅サイズ検出手段からのマスタ幅サイズ検出信号に基づいて、上記制御を行うので、請求項1ないし4の何れか一つに記載の発明の効果を奏する。
【0089】
請求項8記載の発明によれば、使用済みのマスタの幅サイズに応じて、排版剥離手段の周速度を変えるので、マスタの幅サイズに拘わらず例えば収納容器等の排版収納部への使用済みのマスタの収納状態(例えば折れ畳まれ状態)が綺麗な状態となるため、マスタの幅サイズの違いによる排版収納量のバラツキが発生しなくなると共に、排版収納量をより多くすることができる。加えて、排版収納部の使用済みのマスタを無理矢理押さえつける必要もなく排版収納量が確保でき易くなるため、圧縮機構も大掛かりなものでなくて済むし、そのための部品のコストアップも抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す孔版印刷装置における排版装置の制御構成を含む要部の構成および動作を示す一部断面正面図である。
【図2】ステッピングモータおよびギヤ列の構成、ならびに排版ローラの取り付け位置に対する広幅マスタおよび狭幅マスタの挟持搬送動作状態を示す斜視図である。
【図3】排版ローラおよび圧縮板による動作の推移状態を示す一部断面正面図である。
【図4】マスタ幅サイズ検出手段を示す斜視図である。
【図5】マスタ幅サイズ検出手段の識別表示体を示す平面図である。
【図6】マスタ幅サイズ検出手段の別の例を示す説明図である。
【図7】ドラム周速度と排版ローラ周速度が同等か排版ローラ周速度が若干速い第1の周速度の場合での排版ローラによる広幅マスタおよび狭幅マスタの挟持搬送状態をそれぞれ示す斜視図である。
【図8】ドラム周速度に対して排版ローラ周速度が比較的速い第2の周速度の場合での排版ローラによる広幅マスタおよび狭幅マスタの挟持搬送状態をそれぞれ示す斜視図である。
【図9】排版ローラによって剥離済みの広幅マスタや狭幅マスタが挟持搬送される際に、各剥離済みのマスタの両端部がシワとなって排版装置内に進入した場合の排版ボックス内の収納状態(折り畳まれ状態)を示す一部破断した斜視図である。
【図10】排版ローラによって剥離済みの広幅マスタや狭幅マスタが挟持搬送される際に、各剥離済みのマスタが綺麗な状態で排版装置内に進入した場合の排版ボックス内の収納状態(折り畳まれ状態)を示す一部破断した斜視図である。
【図11】排版ローラと印刷ドラムの周速度比を変えた場合の排版収納量の変化を示すグラムである
【図12】変形例1を示す孔版印刷装置における排版装置の制御構成を含む要部の構成および動作を示す一部断面正面図である。
【図13】変形例2を示す孔版印刷装置における排版装置の制御構成を含む要部の構成および動作を示す一部断面正面図である。
【図14】本発明を適用する孔版印刷装置の要部の一部断面正面である。
【符号の説明】
1 印刷ドラム
3 マスタ(版)
3a 使用済みのマスタの幅サイズが比較的広い広幅マスタ
3b 使用済みのマスタの幅サイズが比較的狭い狭幅マスタ
4 圧縮手段としての圧縮板
5 収納容器としての排版ボックス
6 排版剥離手段としての排版ローラ対
11 排版駆動手段としてのステッピングモータ
12 モータ駆動回路
20、20A,20B 制御手段
21 マスタ幅サイズ検出手段
23 マスタ幅サイズ検出手段を構成するマスタ幅サイズ検出センサ群
27 マスタ幅サイズ設定手段としてのマスタ幅サイズ設定キー
30 排版装置
Claims (8)
- 印刷ドラムに巻かれた使用済みのマスタを挟持して搬送し該印刷ドラムから剥離する排版剥離手段と、該排版剥離手段を回転駆動する排版駆動手段とを有する印刷装置における排版装置において、
使用済みのマスタの幅サイズに応じて、上記排版剥離手段の周速度を変えるように上記排版駆動手段を制御する制御手段を具備することを特徴とする印刷装置における排版装置。 - 請求項1記載の印刷装置における排版装置において、
上記制御手段は、上記幅サイズが比較的狭いとき、上記排版剥離手段の周速度が排版時における上記印刷ドラムの周速度と比較して同速ないし若干速い第1の周速度となるように、上記幅サイズが比較的広いとき、上記排版剥離手段の周速度が第1の周速度よりも比較的速い第2の周速度となるように、それぞれ上記排版駆動手段を制御することを特徴とする印刷装置における排版装置。 - 請求項2記載の印刷装置における排版装置において、
第1の周速度は、上記排版時における上記印刷ドラムの周速度の1.0〜1.1倍であり、第2の周速度は、上記排版時における上記印刷ドラムの周速度の1.2〜1.4倍であることを特徴とする印刷装置における排版装置。 - 請求項1、2または3記載の印刷装置における排版装置において、
上記排版駆動手段は、ステッピングモータであることを特徴とする印刷装置における排版装置。 - 請求項1ないし4の何れか一つに記載の印刷装置における排版装置において、
マスタの幅サイズを設定するマスタ幅サイズ設定手段を具備し、
上記制御手段は、上記マスタ幅サイズ設定手段からのマスタ幅サイズ設定信号に基づいて、上記制御を行うことを特徴とする印刷装置における排版装置。 - 請求項1ないし4の何れか一つに記載の印刷装置における排版装置において、
マスタの幅サイズを検出するマスタ幅サイズ検出手段を具備し、
上記制御手段は、上記マスタ幅サイズ検出手段からのマスタ幅サイズ検出信号に基づいて、上記制御を行うことを特徴とする印刷装置における排版装置。 - 請求項2ないし6の何れか一つに記載の印刷装置における排版装置において、
上記排版剥離手段は、上記印刷ドラム上の使用済みのマスタのマスタ幅方向に沿って複数配置され、かつ、上記マスタ幅方向の中心に対して略対称となる位置に配置されており、
上記幅サイズが比較的広い使用済みのマスタは、上記マスタ幅方向に配置された上記排版剥離手段の全てによって挟持されながら搬送されるように、上記幅サイズが比較的狭い使用済みのマスタは、上記マスタ幅方向の両端に配置された上記排版剥離手段よりもさらに内側に配置された上記排版剥離手段によって挟持されながら搬送されるように、上記排版剥離手段が配置されていることを特徴とする印刷装置における排版装置。 - 排版駆動手段により回転駆動される排版剥離手段によって、印刷ドラムに巻かれた使用済みのマスタを挟持して搬送し上記印刷ドラムから剥離する印刷装置の排版方法において、
使用済みのマスタの幅サイズに応じて、上記排版剥離手段の周速度を変えることを特徴とする印刷装置の排版方法。
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