JP2004176545A - 動力出力装置及びその制御方法並びに車両 - Google Patents

動力出力装置及びその制御方法並びに車両 Download PDF

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Abstract

【課題】間欠運転可能なエンジンにおいて、潤滑特性の悪化による摺動部材間の摩耗を生じさせることなく、該エンジンの好適な運用を可能とする。
【解決手段】エンジンを構成する摺動部材間に供給される潤滑油の状態に応じて、エンジンの間欠運転の許容性を判定し、この許容性の判定結果に基づいて前記エンジンの間欠運転の態様(例えば許容又は禁止等)を制御する。ここで前記の「潤滑油の状態」は、例えば潤滑油の粘度、油温(ステップS13)、油圧、劣化度、或いは供給油量等に基づいて定められ得る。
【選択図】 図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆる自動車等に搭載されて好適な動力出力装置の技術分野に属する。特に、例えば“エコラン型車両”或いは“ハイブリッド型車両”などに搭載される、運転期間及び休止期間を経験するエンジン、即ち間欠運転可能なエンジンが含まれている動力出力装置の技術分野に属する。また、本発明はそのような動力出力装置の制御方法、及び、該動力出力装置を具備してなる例えばハイブリッド型車両等の車両の技術分野にも属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特許文献1、特許文献2等に開示されているように、ハイブリッド車両に好適に搭載されるいわゆるハイブリッド型の動力出力装置が開発されている。この種のハイブリッド型の動力出力装置では、要求される動作状態に応じて適宜、モータジェネレータ装置をエンジンの駆動力で回転されるジェネレータ(発電機)として利用し、或いはモータジェネレータ装置に含まれる専用のジェネレータを利用して、バッテリに充電する。また、モータジェネレータ装置をバッテリから電源供給を受けて回転するモータ(電動機)として利用し、或いはモータジェネレータ装置に含まれる専用のモータを利用して、駆動軸を単独で或いはエンジンと共に回転させる。
【0003】
ちなみに、このようなハイブリッド型の動作出力装置は、パラレルハイブリッド方式とシリーズハイブリッド方式とに大別される。前者では、駆動軸をエンジンの出力の一部により回転させると共にモータジェネレータ装置の駆動力により回転させる。後者では、エンジン出力はモータジェネレータ装置による充電に専ら用いられ、駆動軸をモータジェネレータ装置の駆動力により回転させる。いずにせよ、当該装置では、エンジンの役割が相対的に縮小化されることから、燃料消費量の低下、或いは排気ガス中における有害物質濃度の低下等の目覚ましい効果を得ることができることになる。
【0004】
また、このようなハイブリッド型の動力出力装置では、エンジンの間欠運転が実施されることがある。これは、当該ハイブリッド型の動力出力装置では、上述のようにエンジン及びモータジェネレータ装置の協働により車両の走行等を実現可能であることにより、エンジンを常に作動させておく必要がないからである。この場合、前記休止期間中は、エンジンにおいて燃料消費が生ぜず、かつ、エンジンから排気ガスが排出されるということもないから、低燃費性、低公害性はよりよく実現されることになる。
【0005】
なお、このようなエンジンの間欠運転は、例えば特許文献3等に開示されているように、ハイブリッド型の動力出力装置に限らず実施可能である。現に、単にエンジンのみを搭載する車両等であって、当該エンジンの運転を例えば信号待ち停車時に停止させるものが知られている。このような制御を実施することにより、エンジンのみを搭載する車両にあっても、前述した低燃費性、低公害性という作用効果を得ることが可能となる(いわゆる「エコラン車」)。
【0006】
ちなみに、このようなエンジンの間欠運転の態様をどのように設定するか、換言すれば、該エンジンの自動停止又は始動をどのようなタイミングで実施するかは、例えば前述のように当該エンジン或いは前記ハイブリッド型の動力出力装置を搭載する車両が信号待ち停止時であるか否か等に基づいて決定することができる。あるいは、当該エンジン等が始動まもなく、未だ暖気されていない場合等においては、エンジンの自動停止は暫く禁止されるなどという制御(すなわち、エンジンは暫く運転され続けられることになるから、暖気が促進されることになる)が行われることも知られている。なお、前記の特許文献3に開示されている内燃機関の自動停止・始動装置においては特に、蓄電装置やスタータモータ等のように自動始動に係る補機類の使用頻度に応じて、自動停止制御を禁止する技術が開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平9‐47094号公報
【特許文献2】
特開2000−324615号公報
【特許文献3】
特開2000−220488号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したようなエンジンの間欠運転を実施する場合においては、次のような問題がある。すなわち、前記エンジンにおいては、これを構成する各種の摺動部材間等に潤滑油が供給されているが、この潤滑油の粘性が低下している場合において、前記エンジンの間欠運転、とりわけ該エンジンの休止状態から運転状態への移行(即ち、エンジン再始動)を実施すると、前記摺動部材の摩耗を生じさせるおそれが大きいという問題点があったのである。
【0009】
ここで、潤滑油の粘性が低下する場合とは、例えば該潤滑油の温度が所定値(例えば摂氏80度)以上となる場合が考えられる。このような場合、潤滑油の粘性は急激に低下することとなり、したがって、前記摺動部材間の摺動、ないしは該摺動部材の動作を好適に実施することができなくなる可能性がある(以下、このような事情を指して、「潤滑特性が悪化する」ということがある。)。
【0010】
特に、前記のエコラン車やハイブリッド型の動力出力装置では、いったんエンジンが休止状態とされてから再び始動するまでの期間は一般に短いため、当該期間中、油温の低下を期待することができない。つまり、エンジンは、潤滑油の粘性が低いまま、休止状態から運転状態への移行を経験することとなり、前記摩耗の発生する可能性は比較的大きいことになる。しかも、このようなエンジンの間欠運転は、前述のように信号待ち停止時等に応じて繰り返し実施されるものであるから、前記摩耗は、前記の移行時点ごとに生じることになり、通常のエンジン車と比較して問題はより深刻化する可能性もある。
【0011】
また、前記ハイブリッド型の動力出力装置にあって、前述のように潤滑特性が悪化する状態に至ると、前記モータジェネレータ装置に余計な負担をかけるという問題も生じる。すなわち、前記のハイブリッド型の動力出力装置では、例えばモータジェネレータ装置によってエンジンを回転させる等という運用がなされる場合があるが、前記のように潤滑特性が悪化しているときには、潤滑油が高い粘性を維持し潤滑特性が良好であるときに比べて、該モータジェネレータ装置に、より大きな負荷がかかるという問題も生じる可能性があるのである。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、間欠運転可能なエンジンにおいて、潤滑特性の悪化による摺動部材間の摩耗を生じさせることなく、該エンジンの好適な運用が可能となる動力出力装置及びその制御方法を提供することを課題とする。また、本発明は、このような動力出力装置を具備してなるハイブリッド車両を提供することをも課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の動力伝達装置は、上記課題を解決するため、間欠運転可能なエンジンと、該エンジンを構成する摺動部材間に供給される潤滑油と、前記潤滑油の状態に応じて、前記エンジンの間欠運転の許容性を判定する判定手段と、前記摺動部材間の摩耗を生じさせない制御として、前記判定手段により判定された前記許容性に基づいて前記エンジンの間欠運転の態様を制御する制御手段とを備えている。
【0014】
本発明の動力伝達装置によれば、まず、エンジンにおいて間欠運転が可能とされている。ここで、エンジンの「間欠運転」とは、該エンジンについて、ある一定の運転期間の後、暫く休止期間があり、その後再び運転期間に入るなどという運用がなされることを意味する。この場合、前記休止期間中は、エンジンにおいて燃料消費が生ぜず、かつ、エンジンから排気ガスが排出されるということもないから、低燃費性、低公害性がよりよく実現されることになる。なお、エンジンの休止が許される場合とは、具体的には例えば、アクセル開度の程度やバッテリの充電状態等に基づいて決定される。また、実際にエンジンが休止するという状態は、例えば信号待ち停車時、あるいは低速走行時等にとられる。
【0015】
また、このエンジンは「摺動部材」を備えているとともに、該摺動部材間には「潤滑油」が供給されるようになっている。ここに「摺動部材」とは、具体的には例えば、カムシャフト、その動きに応じて動作するバルブリフタ等を考えることができる。潤滑油は、これら摺動部材間に供給されており、よりスムースな該摺動部材の動作を可能とする。
【0016】
ちなみに、このような潤滑油は、一般に時々刻々とその性質を変じている。すなわち、該潤滑油の温度の高低により潤滑特性の優劣は変化するし、経時的な変化(換言すれば、劣化度)により潤滑特性の優劣は変化する。また、潤滑油の供給量によっても潤滑特性の優劣は変化する。そして、該潤滑油の潤滑特性が悪化している場合においては摺動部材間の摺動、ないしは該摺動部材の動作を好適に実施することができなくなる。
【0017】
そして本発明では特に、前記潤滑油の状態に応じて、前記エンジンの間欠運転の許容性を判定する判定手段と、前記摺動部材間の摩耗を生じさせない制御として、前記判定手段により判定された前記許容性に基づいて前記エンジンの間欠運転の態様を制御する制御手段とを備えている。
【0018】
ここで第一に、「エンジンの間欠運転の許容性を判定する」とは、該エンジンにおいて、間欠運転が許されるか否かという二者択一的な判断を含むほか、間欠運転が許される場合であってもその内容・程度をどのようにするかという判断を含む。ここに間欠運転の内容・程度とは、例えば、休止期間から運転期間への移行時点から数えて(即ち、エンジンは現に運転状態にある。)エンジン停止要求を数度やり過ごした後にはじめて、運転期間から休止期間への移行処理(即ち、エンジン停止処理)を実施するなどという場合を考えることができる。この場合、少なくとも前述の数度のやり過ごしの間のみについて、エンジンの間欠運転が不許とされていると考えることができる。
【0019】
そして第二に、このようなエンジンの間欠運転の許容性の判定は、「潤滑油の状態に応じて」行われることになる。ここに「潤滑油の状態」とは、前述のように時々刻々とその性質を変じる当該潤滑油の当該時点における状態ということを意味し、具体的には、当該潤滑油が前記摺動部材の動作をスムースに行わせしめ得るか否かということに略一致する。
【0020】
さらに第三に、本発明の制御手段は、前記の許容性の判定に基づいて、エンジンの間欠運転の態様を制御する。ここで「態様を制御する」とは、具体的には、エンジンの間欠運転を許可又は禁止するように該エンジン等を制御する場合や、該間欠運転が許可される場合において、上に例示したような内容・程度の間欠運転が実現されるように該エンジン等を制御する場合を含む。更に具体的にいえば、この場合における制御対象としては、該エンジンに含まれる点火プラグにおける点火の有無ないしそのタイミング、燃料噴射量、吸気量等を挙げることができる。「態様」は、これら総合的な処理を経て、好適に制御されることになる。
【0021】
以上によると、本来、間欠運転が許容される場合であっても、潤滑特性が悪化している場合、すなわち摺動部材間における摺動をスムースに行い得ない場合に、該間欠運転を不許とする、或いは許可する場合であっても該間欠運転を抑制させるという運用を行いうることになる。したがって、本発明においては、潤滑特性が悪化している場合において、エンジン休止期間から運転期間への移行時点、すなわち摺動部材を停止状態から動作状態に至らせるという、該摺動部材間における摩耗が最も生じやすい移行時点の回数を零にする(即ち、間欠運転を禁止する。)、あるいは減少することが可能となる。よって、本発明によれば、摺動部材間で摩耗を生じさせる、或いは該摩耗を進行させるということが殆どない。
【0022】
なお、本発明においては、「間欠運転の許容性を判定する」というに止まるから、仮に、「潤滑油の温度が所定の値を上回った場合」が「潤滑油の状態に応じて」を具体化する場合であり、かつ、現実の潤滑油の温度が当該所定の値を上回るに至った場合であっても、エンジンの間欠運転が、必ず禁止、あるいは抑制されるというわけではない。すなわち、その他の条件如何に応じて、なおエンジンの間欠運転を続行する必要性・許容性が認められるのであれば、これを禁止あるいは抑制する必要はない。
【0023】
本発明の動力伝達装置の一態様では、前記判定手段は、前記潤滑油の粘度が所定値以下の場合に、前記許容性として前記エンジンの間欠運転を抑制するものと判定する。
【0024】
この態様によれば、前記の「潤滑油の状態」が、当該潤滑油の粘度に基づいて判断されることになる。すなわち、粘度が高い場合には、潤滑特性は依然良好であり、粘度が低い場合には、潤滑特性が悪化している場合と判断することができる。ちなみに、このような粘度による判定は、当該潤滑油の潤滑特性を知る上で最も好適なものの一つである。したがって、粘度が低い場合に、前述のようなエンジン間欠運転の禁止又は抑制を実施すれば、摺動部材間で摩耗の生じさせることを効果的に防止することができる。
【0025】
本発明の動力伝達装置の他の態様では、前記判定手段は、前記潤滑油の油圧が所定値以下の場合に、前記許容性として前記エンジンの間欠運転を抑制するものと判定する。
【0026】
この態様によれば、前記の「潤滑油の状態」が、当該潤滑油の油圧に基づき知りうる前記粘度に基づいて判断されることになる。すなわち、前述の潤滑油の粘度は、当該潤滑油の油圧を通じて間接的に知ることができる。具体的には、油圧が大きい場合には、前記の粘度が大きい場合であり、よって潤滑特性が依然良好であり、油圧が小さい場合には、前記の粘度が低い場合であり、よって潤滑特性が悪化している場合と判断することができる。したがって、油圧が小さい場合に、前述のようなエンジン間欠運転の禁止又は抑制を実施すれば、摺動部材間で摩耗を生じさせることを効果的に防止することができる。
【0027】
なお、本態様にかかる潤滑油の「油圧」は、具体的には例えば、当該潤滑油の油路中に適当なプレッシャーゲージを備え置くことによって知ることができる。また、油圧から粘度を推定する際には、この油圧に関する情報に加えて、エンジン回転数、或いは該エンジンに対して潤滑油を供給するためのオイルポンプの回転数に関する情報を知ることによって、当該潤滑油の粘度をより正確に知ることができる。
【0028】
本発明の動力伝達装置の他の態様では、前記判定手段は、前記潤滑油の油温が所定値以上の場合に、前記許容性として前記エンジンの間欠運転を抑制するものと判定する。
【0029】
この態様によれば、前記の「潤滑油の状態」が、当該潤滑油の油温に基づき知りうる前記粘度に基づいて判断されることになる。すなわち、前述の潤滑油の粘度は、当該潤滑油の油温を通じて間接的に知ることができる。具体的には、油温が低い場合には、前記の粘度が大きい場合であり、よって潤滑特性が依然良好であり、油温が高い場合には、前記の粘度が低い場合であり、よって潤滑特性が悪化している場合と判断することができる。したがって、油温が高い場合に、前述のようなエンジン間欠運転の禁止又は抑制を実施すれば、摺動部材間で摩耗を生じさせることを効果的に防止することができる。
【0030】
なお、本態様にいう「所定値」としては、具体的には例えば、「80〔℃〕」を採用することができる。本願発明者の研究によれば、潤滑油の温度が、80〔℃〕を越えると、当該潤滑油の粘度は著しく低下し、潤滑特性が悪化することが判明しているからである。
【0031】
本発明の動力伝達装置の他の態様では、前記潤滑油の劣化度が、所定値以上の場合に、前記許容性として前記エンジンの間欠運転を抑制するものと判定する。
【0032】
この態様によれば、前記の「潤滑油の状態」が、当該潤滑油の劣化度に基づき知りうる前記粘度に基づいて判断されることになる。すなわち、前述の潤滑油の粘度は、当該潤滑油の劣化度を通じて間接的に知ることができる。具体的には、劣化度が小さい場合には、前記の粘度が大きい場合であり、よって潤滑特性が依然良好であり、劣化度が大きい場合には、前記の粘度が低い場合であり、よって潤滑特性が悪化している場合と判断することができる。したがって、劣化度が大きい場合に、前述のようなエンジン間欠運転の禁止又は抑制を実施すれば、摺動部材間で摩耗を生じさせることを効果的に防止することができる。
【0033】
なお、本態様にかかる潤滑油の「劣化度」は、具体的には例えば、当該動力出力装置を搭載する車両の総走行距離等から知ることができる。あるいは、単に一定の期間経過をもって、当該潤滑油の劣化度の具体値を推定するような形態としてもよい。
【0034】
本発明の動力伝達装置の他の態様では、前記潤滑油の前記エンジンに対する供給油量が、所定値以下の場合に、前記許容性として前記エンジンの間欠運転を抑制するものと判定する。
【0035】
この態様によれば、前記の「潤滑油の状態」が、当該潤滑油の供給油量に基づいて判断されることになる。すなわち、供給油量が大きい場合には、潤滑特性が依然良好であり、供給油量が小さい場合には、潤滑特性が悪化している場合と判断することができる。したがって、供給油量が小さい場合に、前述のようなエンジン間欠運転の禁止又は抑制を実施すれば、摺動部材間で摩耗を生じさせることを効果的に防止することができる。
【0036】
なお、潤滑油量が小さくなる場合とは、例えば、当該潤滑油の油路中に設けられるフィルタの目詰まりが原因として考えられる。
【0037】
本発明の動力伝達装置の他の態様では、前記判定手段は、前記粘度が所定値以下となる場合(前記油圧、前記油温及び前記劣化度の少なくとも一つから推定される場合を含む。)、前記油圧が所定値以下となる場合、前記油温が所定値以上となる場合、前記劣化度が所定値以上となる場合及び前記供給油量が所定値以下となる場合の少なくとも一つを満たす場合に、前記許容性として前記エンジンの間欠運転を禁止するものと判断する。
【0038】
この態様によれば、潤滑油の潤滑特性が悪化している場合において、絶対的にエンジンの間欠運転が禁止されることになる。したがって、この場合には、当該状態に至った以降、エンジンは、当該動力出力装置全体としての運転期間中、運転期間から休止期間への移行時点、或いはその逆の移行時点(以下、両事象併せて「移行時点」という言葉で代表させることがある。)を経験することがないから、該移行時点に起因する、摺動部材間の摩耗を生じさせるおそれは著しく低減されることになる。
【0039】
なお、「エンジンの間欠運転を禁止する」とは、休止期間中にあったエンジンについてはこれを運転状態に移行して以後その状態を維持し、運転期間中にあったエンジンはそのままの状態を維持する等ということを意味する。
【0040】
本発明の動力伝達装置の他の態様では、前述の本発明の動力出力装置(ただし、その各種態様を含む。)において、前記エンジンの出力の少なくとも一部を用いて発電可能であると共に駆動軸を介して駆動力を出力可能なモータジェネレータ装置を更に備えている。
【0041】
この態様によれば、エンジンの出力により発電し、或いは駆動軸を介して駆動力を出力するモータジェネレータ装置を備えることにより、当該動力出力装置は、いわゆるハイブリッド型の動力出力装置としての概要及び機能を有する。このうち後者の性質(駆動力出力)によれば、駆動軸の回転は、モータジェネレータ装置によって実現される他、前記エンジンによっても実現可能(パラレルハイブリッド方式)であるから、例えばエンジンの出力が仮に低くても、モータジェネレータ装置を構成するモータによるアシストにより、十分な駆動力を得ることができる。また、前者の性質(発電)によれば、エンジンの出力を借りて、バッテリの充電を実現することが可能となるから、モータジェネレータ装置を構成するモータによる駆動軸に対する駆動力の付与は、特別な充電期間を設けるなどという必要なく、比較的長期にわたって実現可能となる(シリーズハイブリッド方式)。
【0042】
いずれにせよ、排気ガスを排出するエンジンの役割を相対的に縮小化することによって、燃料消費量を抑えるとともに、いわゆる環境汚染を招くこと等のない動力出力装置を提供することが可能となる。
【0043】
そして、本態様では特に、エンジンの間欠運転は、前記エコラン車に比べて、比較的頻度高く実行される可能性があり、したがって、上述した移行時点に起因する摺動部材間の摩耗という事態はより生じやすくなっているといえる。この点、及び、本態様においてもエンジンの間欠運転が適宜禁止或いは抑制される点からすると、本態様によれば、前述の本発明の動力出力装置により得られる作用効果が、より効果的に享受されうるということができる。また、本態様によれば、モータジェネレータ装置によってエンジンを回転させる等という運用を行う場合において、該モータジェネレータ装置に余計な負担をかけるということがない。
【0044】
本発明の動力伝達装置の制御方法は、上記課題を解決するために、間欠運転可能なエンジン及び該エンジンを構成する摺動部材間に供給される潤滑油を備えた動力出力装置を制御する動力出力装置の制御方法であって、前記潤滑油の状態に応じて前記エンジンの間欠運転の許容性を判定する工程を含む。
【0045】
本発明の動力出力装置の制御方法によれば、本発明の動力出力装置を好適に運用することが可能となる。
【0046】
本発明の車両は、上記課題を解決するために、前述の本発明の動力出力装置と、該動力出力装置が搭載される車両本体と、該車両本体に取り付けられるとともに前記駆動軸を介して出力される前記駆動力により駆動される車輪とを備えている。
【0047】
本発明の車両によれば、潤滑油の状態に応じ、より具体的には例えば、潤滑油の油温が所定値以上となる場合において、エンジンの間欠運転が禁止、あるいは抑制されることにより、該エンジンを構成する摺動部材間で摩耗を生じさせることを未然に防止することが可能となる。
【0048】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、本発明に係るハイブリッド型の動力出力装置を、パラレルハイブリッド方式のハイブリッド車両に適用したものであり、更に、本発明に係る動力出力装置の制御方法は、当該ハイブリッド車両において実行されるものである。
【0050】
(ハイブリッド車両の基本構成及び動作)
先ず、本実施形態のハイブリッド車両の構成について図1を用いて説明する。ここに図1は、本実施形態のハイブリッド車両における動力系統のブロック図である。
【0051】
図1において、本実施形態のハイブリッド車両の動力系統は、エンジン150、モータジェネレータ装置の一例を構成するモータジェネレータMG1及びMG2、これらのモータジェネレータMG1及びMG2を夫々駆動する駆動回路191及び192、これらの駆動回路191及び192を制御する制御ユニット190、並びにエンジン150を制御するEFIECU(Electrical Fuel Injection Engine Control Unit)170を備えて構成されている。
【0052】
本実施形態では、エンジン150は、ガソリンエンジンである。エンジン150は、クランクシャフト156を回転させる。エンジン150の運転は、EFIECU170により制御されている。EFIECU170は、内部にCPU、ROM、RAM等を有するワンチップ・マイクロコンピュータであり、CPUがROMに記録されたプログラムに従い、エンジン150の燃料噴射量や回転速度その他の制御を実行する。図示を省略したが、これらの制御を可能とするために、EFIECU170にはエンジン150の運転状態を示す種々のセンサが接続されている。
【0053】
モータジェネレータMG1及びMG2は、同期電動発電機として構成され、外周面に複数個の永久磁石を有するロータ132及び142と、回転磁界を形成する三相コイルが巻回されたステータ133及び143とを備える。ステータ133及び143は、ケース119に固定されている。モータジェネレータMG1及びMG2のステータ133及び143に巻回された三相コイルは、夫々駆動回路191及び192を介してバッテリ194に接続されている。
【0054】
駆動回路191及び192は、各相ごとにスイッチング素子としてのトランジスタを2つ1組で備えたトランジスタインバータである。駆動回路191及び192は夫々、制御ユニット190に接続されている。制御ユニット190からの制御信号によって駆動回路191及び192のトランジスタがスイッチングされると、バッテリ194とモータジェネレータMG1及びMG2との間に電流が流れる。
【0055】
モータジェネレータMG1及びMG2は夫々、バッテリ194からの電力の供給を受けて回転駆動するモータ(電動機)として動作することもできる(以下適宜、この運転状態を“力行”と呼ぶ)。或いは、ロータ132及び142が外力により回転している場合には三相コイルの両端に起電力を生じさせるジェネレータ(発電機)として機能してバッテリ194を充電することもできる(以下適宜、この運転状態を“回生”と呼ぶ)。
【0056】
エンジン150とモータジェネレータMG1及びMG2とは夫々、プラネタリギヤ120を介して機械的に結合されている。プラネタリギヤ120は、遊星歯車とも呼ばれ、以下に示す夫々のギヤに結合された3つの回転軸を有している。プラネタリギヤ120を構成するギヤは、中心で回転するサンギヤ121、サンギヤの周辺を自転しながら公転するプラネタリピニオンギヤ123、及びその外周で回転するリングギヤ122である。プラネタリピニオンギヤ123はプラネタリキャリア124に軸支されている。本実施形態のハイブリッド車両では、エンジン150のクランクシャフト156はダンパ130を介してプラネタリキャリア軸127に結合されている。ダンパ130はクランクシャフト156に生じる捻り振動を吸収するために設けられている。モータジェネレータMG1のロータ132は、サンギヤ軸125に結合されている。モータジェネレータMG2のロータ142は、リングギヤ軸126に結合されている。リングギヤ122の回転は、チェーンベルト129を介して駆動軸112、更に車輪116R及び116Lに伝達される。
【0057】
次に以上の如く構成された本実施形態のハイブリッド車両の動力系統における動作について説明する。
【0058】
先ず、プラネタリギヤ120の動作について図2及び図3を参照して説明する。
【0059】
プラネタリギヤ120は、上述した3つの回転軸のうち、2つの回転軸の回転数及びトルク(以下適宜、両者をまとめて“回転状態”と呼ぶ)が決定されると残余の回転軸の回転状態が決まるという性質を有している。各回転軸の回転状態の関係は、機構学上周知の計算式によって求めることができるが、共線図と呼ばれる図により幾何学的に求めることもできる。
【0060】
図2に共線図の一例を示す。縦軸が各回転軸の回転数を示している。横軸は、各ギヤのギヤ比を距離的な関係で示している。サンギヤ軸125(図中のS)とリングギヤ軸126(図中のR)を両端にとり、位置Sと位置Rの間を1:ρに内分する位置Cをプラネタリキャリア軸127の位置とする。ρはリングギヤ122の歯数に対するサンギヤ121の歯数の比である。こうして定義された位置S、C及びRに、夫々のギヤの回転軸の回転数Ns、Nc及びNrをプロットする。プラネタリギヤ120は、このようにプロットされた3点が必ず一直線に並ぶという性質を有している。この直線を動作共線と呼ぶ。動作共線は2点が決まれば一義的に決まる。従って、動作共線を用いることにより、3つの回転軸のうち2つの回転軸の回転数から残余の回転軸の回転数を求めることができる。
【0061】
また、プラネタリギヤ120では、各回転軸のトルクを動作共線に働く力に置き換えて示したとき、動作共線が剛体として釣り合いが保たれるという性質を有している。具体例として、プラネタリキャリア軸127に作用するトルクをTeとする。このとき、図2に示す通り、トルクTeに相当する大きさの力を位置Cで動作共線に鉛直下から上に作用させる。作用させる方向はトルクTeの方向に応じて定まる。また、リングギヤ軸126から出力されるトルクTrを位置Rにおいて動作共線に、鉛直上から下に作用させる。図中のTes,Terは剛体に作用する力の分配法則に基づいてトルクTeを等価な2つの力に分配したものである。「Tes=ρ/(1+ρ)×Te」「Ter=1/(1+ρ)×Te」なる関係がある。以上の力が作用した状態で、動作共線図が剛体として釣り合いがとれているという条件を考慮すれば、サンギヤ軸125に作用すべきトルクTm1と、リングギヤ軸に作用すべきトルクTm2とを求めることができる。トルクTm1はトルクTesに等しくなり、トルクTm2はトルクTrとトルクTerとの差分に等しくなる。
【0062】
プラネタリキャリア軸127に結合されたエンジン150が回転をしているとき、動作共線に関する上述の条件を満足する条件下で、サンギヤ121およびリングギヤ122は様々な回転状態で回転することができる。サンギヤ121が回転しているときは、その回転動力を利用してモータジェネレータMG1により発電することが可能である。リングギヤ122が回転しているときは、エンジン150から出力された動力を駆動軸112に伝達することが可能である。図1に示した構成を有するハイブリッド車両では、エンジン150から出力された動力を駆動軸に機械的に伝達される動力と、電力として回生される動力に分配し、さらに回生された電力を用いてモータジェネレータMG2を力行して動力のアシストを行うことによって所望の動力を出力しながら走行することができる。こうした動作状態は、ハイブリッド車両の通常走行時に取り得る状態である。なお、全開加速時等の高負荷時には、バッテリ194からもモータジェネレータMG2に電力が供給され、駆動軸112に伝達する動力を増大している。
【0063】
また、上述のハイブリッド車両では、モータジェネレータMG1またはMG2の動力を駆動軸112から出力することができるため、これらのモータにより出力される動力のみを用いて走行することもできる。従って、車両が走行中であっても、エンジン150は停止していたり、いわゆるアイドル運転していたりすることがある。この動作状態は、発進時或いは低速走行時に取り得る状態である。
【0064】
更に、本実施形態のハイブリッド車両では、エンジン150から出力された動力を2経路に分配するのではなく、駆動軸112側だけに伝達させることもできる。これは、高速定常走行時に取り得る動作状態であり、モータジェネレータMG2は高速走行による慣性によって連れ回された状態となり、モータジェネレータMG2によるアシストなしにエンジン150から出力された動力のみの走行となる。
【0065】
図3は、この高速定常走行時の共線図を示している。図2に示す共線図ではサンギヤ軸125の回転数Nsは正であったが、エンジン150の回転数Neとリングギヤ軸126の回転数Nrとによって、図3に示す共線図のように負となる。このときには、モータジェネレータMG1では、回転の方向とトルクの作用する方向とが同じになるから、モータジェネレータMG1は電動機として動作し、トルクTm1と回転数Nsとの積で表わされる電気エネルギを消費する(逆転力行の状態)。一方、モータジェネレータMG2では、回転の方向とトルクの作用する方向とが逆になるから、モータジェネレータMG2は発電機として動作し、トルクTm2と回転数Nrとの積で表わされる電気エネルギをリングギヤ軸126から回生することになる。
【0066】
このように、本実施形態のハイブリッド車両は、プラネタリギヤ120の作用に基づいて種々の運転状態で走行することができる。
【0067】
続いて、制御ユニット190による制御動作について再び図1を参照して説明する。
【0068】
図1において、本実施形態の動力出力装置の運転全体は、制御ユニット190により制御されている。制御ユニット190は、EFIECU170と同様、内部にCPU、ROM、RAM等を有するワンチップ・マイクロコンピュータである。制御ユニット190はEFIECU170と接続されており、両者は種々の情報を伝達し合うことが可能である。制御ユニット190は、エンジン150の制御に必要となるトルク指令値や回転数の指令値などの情報をEFIECU170に送信することにより、エンジン150の運転を間接的に制御可能に構成されている。制御ユニット190はこうして、動力出力装置全体の運転を制御しているのである。
【0069】
かかる制御を実現するために制御ユニット190には、種々のセンサ、例えば、駆動軸112の回転数を知るためのセンサ144などが設けられている。リングギヤ軸126と駆動軸112とは機械的に結合されているため、本実施形態では、駆動軸112の回転数を知るためのセンサ144をリングギヤ軸126に設け、モータジェネレータMG2の回転を制御するためのセンサと共通にしている。
【0070】
(ハイブリッド車両の動力系統における電気回路)
次に図4を参照して、本実施形態のハイブリッド車両の動力系統に備えられる電気回路について更に詳細に説明する。即ちここでは、図1に示した制御ユニット190、モータジェネレータMG1及びMG2、駆動回路191及び192、並びにバッテリ194の詳細について述べる。
【0071】
図4に示すように、バッテリ194に対して、インバータコンデンサ196と、モータジェネレータMG1に接続される駆動回路191と、モータジェネレータMG2に接続される駆動回路192とが夫々並列に接続されている。
【0072】
バッテリ194は、詳細には、電池モジュール部194aと、SMR(システムメインリレー)194bと、電圧検出回路194cと、電流センサ194d等を備える。SMR194bは、制御ユニット190からの指令により高電圧回路の電源の接続・遮断を行うもので、電池モジュール部194aの+−両極に配置された2個のリレーR1及びR2から構成される。バッテリ194に2個のリレーR1及びR2を設けたのは、電源の接続時には、まずリレーR2をオンし、続いてリレーR1をオンし、電源の遮断時には、まずリレーR1をオフし、続いてリレーR2をオフすることにより、確実な作動を行うことを可能とするためである。電圧検出回路194cは、電池モジュール部194aの総電圧値を検出する。電流センサ194dは、電池モジュール部194aからの出力電流値を検出する。電圧検出回路194c及び電流センサ194dの出力信号は、制御ユニット190に送信される。
【0073】
駆動回路191及び192は、バッテリの高電圧直流電流とモータジェネレータMG1及びMG2用の交流電流の変換を行う電力変換装置であり、詳細には、6個のパワートランジスタで構成される3相ブリッジ回路191a及び192aを夫々備えており、この3相ブリッジ回路191a及び192aにより直流電流と3相交流電流との変換を行っている。
【0074】
駆動回路191及び192には、電圧検出回路191b及び192bが夫々設けられている。電圧検出回路191b及び192bは、モータジェネレータMG1及びMG2の逆起電圧を夫々検出する。3相ブリッジ回路191a及び192aの各パワートランジスタの駆動は、制御ユニット190により制御されると共に、駆動回路191及び192から制御ユニット190に対し、電圧検出回路191b及び192bにて検出された電圧値や、3相ブリッジ回路191a及び192aとモータジェネレータMG1及びMG2との間に設けられた図示しない電流センサにて検出された電流値など電流制御に必要な情報を送信している。
【0075】
(直噴式ガソリンエンジン)
次に図5を参照して、本実施形態のハイブリッド車両に備えられる直噴式エンジンについて更に詳細に説明する。即ちここでは、図1に示すエンジン150の詳細に付いて述べる。
【0076】
図5に示すように、エンジン150は、燃料室内に燃料を直接噴射する、いわゆる直噴式ガソリンエンジンである。エンジン150は、EFIECU170により制御される。エンジン150は、シリンダブロック14を備えている。シリンダブロック14の内部には、シリンダ16が形成されている。なお、エンジン150は、複数のシリンダを備えているが、説明の便宜上、図5には複数のシリンダのうち1つのシリンダ16を示している。
【0077】
シリンダ16の内部にはピストン18が配設されている。ピストン18は、シリンダ16の内部を、図5における上下方向に摺動することができる。シリンダ16の内部において、ピストン18の上方には燃焼室20が形成されている。燃焼室20には、燃料噴射弁22の噴射口が露出している。エンジン150の運転中、燃料噴射弁22には燃料ポンプ24から燃料が圧送される。燃料噴射弁22及び燃料ポンプ24は、EFIECU170に接続されている。燃料ポンプ24は、EFIECU170から供給される制御信号に応じて燃料噴射弁22側へ燃料を圧送する。また、燃料噴射弁22は、EFIECU170から供給される制御信号に応じて燃焼室20内へ燃料を噴射する。
【0078】
また、燃焼室20には、点火プラグ26の先端が露出している。点火プラグ26は、EFIECU170から点火信号を供給されることにより、燃焼室20内の燃料に点火する。燃焼室20には、排気弁28を介して排気管30が連通している。燃焼室20には、また、吸気弁32を介して吸気マニホールド34の各枝管が連通している。吸気マニホールド34は、その上流側においてサージタンク36に連通している。サージタンク36の更に上流側には吸気管38が連通している。
【0079】
本実施形態では特に、上述の各種の構成要素のうち、エンジン150を構成するピストン18、カムシャフト281、これらの動きに応じて動作するバルブリフタ282並びに排気弁28及び吸気弁32等(なお、カムシャフト、バルブリフタについては、排気弁28側のみについて符号を付した。)が、本発明にいう「摺動部材」の一例を構成する。また、エンジン150には、図5に示すように給油管101を介して、オイルポンプ102及びオイルパン103が接続されており、該エンジン150にはこれらを通じて潤滑油が供給されるようになっている。そして、この潤滑油は、前述したような各種の摺動部材間に供給される。これにより、バルブリフタ282等の摺動部材は、スムースな動きを行うことが可能とされている。
【0080】
さらに、本実施形態では、エンジン150内における潤滑油の温度を知るための潤滑油温度センサ104が設けられている。この潤滑油温度センサ104は、EFIECU170に接続されており、時々刻々変化する潤滑油の温度を該EFIECU170に送信するようになっている。EFIECU170は、その計測結果に基づき、エンジン150の間欠運転の態様を決定するが、この点については後述することとする。
【0081】
吸気管38には、スロットル弁40が配設されている。スロットル弁40は、スロットルモータ42に連結されている。そして、スロットルモータ42は、EFIECU170に接続されている。スロットルモータ42は、EFIECU170から供給される制御信号に応じてスロットル弁40の開度を変化させる。スロットル弁40の近傍には、スロットル開度センサ44が配設されている。スロットル開度センサ44は、スロットル弁40の開度(以下適宜、スロットル開度SCと称す)に応じた電気信号をEFIECU170に向けて出力する。EFIECU170は、スロットル開度センサ44の出力信号に基づいてスロットル開度SCを検出する。
【0082】
EFIECU170には、また、イグニッションスイッチ76(以下、IGスイッチ76と称す)が接続されている。EFIECU170は、IGスイッチ76の出力信号に基づき、IGスイッチ76のオン/オフ状態を検出する。IGスイッチ76がオン状態からオフ状態とされると、燃料噴射弁22による燃料噴射、点火プラグ26による燃料の点火、及び、フューエルポンプ24による燃料の圧送が停止され、エンジン150の運転が停止される。
【0083】
アクセルペダル78の近傍には、アクセル開度センサ80が配設されている。アクセル開度センサ80は、アクセルペダル78の踏み込み量(以下適宜、アクセル開度ACと称す)に応じた電気信号をEFIECU170に向けて出力する。EFIECU170は、アクセル開度センサの出力信号に基づいてアクセル開度ACを検出する。
【0084】
本実施形態では、吸気管38には、ターボ過給装置39が設けられており、例えば排気管30側に設けられたタービンに連動するタービンにより、吸気管38内に圧縮空気をターボ過給するように構成されている。また、ターボ過給装置39の回転軸は、モータジェネレータMG1及びMG2とは異なる専用のモータジェネレータによって駆動され、その回転数増大によってターボ過給による過給圧が高められるように構成されている。即ち、「ターボアシスト」が実行可能に構成されている。尚、係る専用のモータジェネレータは、排気管30側におけるエンジン150の排気エネルギを発電により回生可能に構成されている。更に、ターボ過給装置39は、EFIECU170による制御を受けて、特定タイミングで筒内圧力を可変に高めるように構成してもよい。
【0085】
本実施形態では、排気管30には、三元触媒装置31が設けられており、これにより排気ガス浄化性能が高められている。尚、三元触媒装置31は、一定温度以上の高温でないと、その浄化性能が顕著に低下する。そこで、三元触媒装置31には、温度センサ31Tが取り付けられており、その触媒温度TCAが検出され、触媒温度情報としてEFIECU170に入力される。或いは、このような触媒温度TCAは、エンジン150におけるエンジン回転数等の他の検出情報に基づいて間接的に推定してもよい。このように検出又は推定された触媒温度TCAは、当該触媒温度TCAが一定温度以下に低下しないようにエンジン制御するのに用いられる。
【0086】
(第1実施形態−潤滑油の油温に基づくエンジンの間欠運転の禁止等−)
以下では、本発明に係る判定手段及び制御手段を構成する制御ユニット190及びEFIECU170により、エンジン150を構成する摺動部材間の摩耗を生じさせない制御を実施する態様について、これを第1実施形態とし、図6及び図7を参照しながら説明する。ここに図6は、潤滑油の油温に基づいてエンジンの間欠運転を禁止することにより、摺動部材間の摩耗を生じさせない処理の流れを示すフローチャートである。また、図7は、エンジン150に供給される潤滑油の油温とその粘度との関係を示すグラフである。
【0087】
なお、以下の説明においては、エンジン150は、図2及び図3を参照しながら説明したように、ある時は運転され、ある時は休止するという間欠運転がなされているものとする。すなわち、第1実施形態において、エンジン150は、運転期間から休止期間への移行時点、あるいはその逆の休止期間から運転期間への移行時点という二つの移行時点を、時間の経過とともに、適宜経験することが予定されている。これは、当該ハイブリッド型の動力出力装置(図1参照)では、エンジン150及びモータジェネレータMG1及びMG2の協働により車両を運行可能であることにより、該エンジン150を常に作動させておく必要がないことによる。なお、ここでエンジン150を休止させてもよい場合とは、具体的には例えば、アクセル開度ACの程度やバッテリ194の充電状態、あるいは触媒温度等に基づいて決定される。また、実際にエンジン150が休止するという状態は、例えば車両が信号待ち停車時にあるとき、あるいは低速走行時にあるとき等にとられる。
【0088】
また、図6に示す一連の処理は、例えば割り込み処理により定期的に、或いは不定期に繰り返し実施されることを前提とする。
【0089】
さて、図6においては、まず、エンジン150の運転条件が読み込まれる(ステップS11)。ここに運転条件とは、現に運用中である動力出力装置において、当該エンジン150及びこれを取り巻く各種のパラメータを意味する。更に、ここにいう運転条件とは特に、エンジン間欠運転が許可されるか否かを判断するための判断資料に該当する(後のステップS12参照)。より具体的には例えば、エンジン温度・水温等のパラメータの状態値ないし具体値、或いはバッテリ194の充電量が低く、エンジン150を停止させると、モータジェネレータMG1及びMG2によるその始動が困難となるか否かという状態の有無等を意味する。
【0090】
次に、当該運転条件が、エンジンの間欠運転を許可しないということを示唆する場合、言い換えると、間欠運転が許可されるための条件が成立していないと判断される場合においては、エンジン間欠運転を禁止する処理(ステップS1X)へと進み、そうでない場合においては、次なる処理(ステップS13)へと進む(ステップS12)。具体的には例えば、エンジン温度・水温が低い場合には、エンジン150の暖機運転を継続して実施する必要がある、言い換えれば、このとき休止期間を迎えるわけには行かないので、間欠運転は禁止されるとういことになる。これに対して、エンジン温度・水温が高い場合には、エンジン150を停止したとしても特に問題はなく、間欠運転は許容されるということになる。なお、エンジン150の間欠運転が禁止される処理については、後にも述べる。
【0091】
次に、潤滑油の温度が、図5に示した潤滑油温度センサ104によって測定され、この測定された温度が予め定められた所定の値以上であるか否かが判断される(ステップS13)。ここで潤滑油の温度とその粘度との間には、図7に示すような関係が見られる。すなわち、油温が上昇すればする程、潤滑油の粘度は低下していくことがわかる。また、該油温がある閾値を越えると、粘度の低下は急激になることがわかる。そして、潤滑油の粘度が低下すると、潤滑特性が悪化することになる。これによると、潤滑油の温度を知ることにより間接的にその粘度を知ることができ、該粘度を知ることによりその潤滑特性の優劣を推定することができることになる。
【0092】
そして、前記ステップS13では、上述のように潤滑油の粘度、ないしは潤滑特性の優劣の程度が推定され得ることを背景に、当該潤滑油の油温が所定の値以上であるか否かが判断されることになり、これが肯定される場合、すなわち潤滑油の粘度が低く、潤滑特性が悪化していると推定される場合には、エンジンの間欠運転を禁止する処理へと進み(ステップS1X)、否定される場合、即ち潤滑油の粘度が高く、潤滑特性が依然良好であると推定される場合には、エンジンの間欠運転を許容する処理(ステップS12)へと進む。
【0093】
ここで後者の場合は、第1実施形態において前提された従前どおりの運転(すなわち、エンジン150の間欠運転)が続行されることを意味する。
【0094】
他方、前者の場合、即ちステップS1Xにおけるエンジンの間欠運転を禁止する処理とは、エンジン150における運転期間から休止期間への移行、あるいはその逆の移行を禁止するということである。具体的には、休止期間中であったエンジン150は、運転期間へと移行され、以後その状態が維持されるなどということになり、運転期間中であったエンジン150はそのままの状態が維持されるなどということになる。なお、これとは逆、即ちエンジン150を継続して休止させるということも原理的には可能である。ただ、その後の車両の円滑な走行を可能とするためには、エンジン150は、継続して運転させるという状態とすることが好ましい。いずれにせよ、該エンジン150はこれ以降、移行時点を経験するということがなくなることになる。
【0095】
なお、前記ステップS13における「所定の値」としては、例えば図7に基づき、これを「80〔℃〕」などと定めることができる。
【0096】
以上のような処理により、第1実施形態においては次のような作用効果を得ることができる。
【0097】
すなわち、潤滑油の温度が所定値以上と判断される場合においては、その判断が下された以降、エンジン150の間欠運転が禁止されることにより、該エンジン150は、運転期間から休止期間へ、あるいは休止期間から運転期間へという移行時点を経験することがない。これにより、当該移行時点、とりわけ休止期間から運転期間への移行時点において不可避的に発生しうる摺動部材間の摩耗を生じさせることがない。
【0098】
特に、第1実施形態では、潤滑油の粘度、ないしは潤滑特性の優劣と密接な関係にある潤滑油の温度を知ることによって、エンジン150の間欠運転の許可又は禁止を判断するようになっていることから、比較的入手しやすい情報に基づき、的確な制御を行うことが可能となり、より効果的に前記摩耗に係る懸念を払拭することができる。
【0099】
また、本実施形態に係る動力出力装置は、モータジェネレータMG1及びMG2を備えていることから、場合により、これらモータジェネレータMG1及びMG2を、エンジン150を回転させる動力源として利用することが可能である。この場合、エンジン150内の摺動部材間の摩擦が大きい場合には、モータジェネレータMG1及びMG2に過大な負担をかけるおそれがあるが、第1実施形態によれば、そのような不都合を被らないという作用効果を得ることもできる。
【0100】
なお、上記第1実施形態においては、潤滑油の油温が所定値以上である場合には、絶対的にエンジン間欠運転が不許とされる態様(ステップS1X参照)について説明したが、本発明は、このような形態に限定されるものではない。例えば、エンジン150の間欠運転を許容しつつも、その内容・程度に制約を加えるという態様としてもよい。具体的には、図8に示すように、エンジン150は、最前に経験した休止期間から運転期間への移行時点G1から数えてエンジン停止要求を3度やり過ごした後(図中期間TI及び破線矢印参照)にはじめて、運転期間から休止期間への移行処理を受ける(図中符号G2参照)等という場合を考えることができる。また、これに続けて、現に休止状態にあるエンジン150は、最前に経験した運転期間から休止期間への移行時点から数えてエンジン始動要求を数度やり過ごした後にはじめて、休止期間から運転期間への移行処理を受ける等ということを続行することも考えられる。
【0101】
あるいは、上述の態様を変更して、期間TIをある一定の時間に定めるといった態様を採用することも可能である。すなわち、この場合には、上述のように、「エンジン停止要求(又はエンジン始動要求)を3度やり過ごす」ということが基準となるのではなく、当該期間TI中に生じたエンジン停止要求(又はエンジン始動要求)については、その有無ないし回数にかかわらず、その要求には応えず、該期間TIの経過の後、別の一定の期間(便宜上、「期間TIA」という。)内では、エンジン停止要求(又はエンジン始動要求)は受け付けるなどということになる。この態様では要するに、期間TIと期間TIAとが交互に繰り返され、期間TI中はエンジン停止要求(又はエンジン始動要求)が無視され、期間TIA中はそうでないという制御が行われることになる。
【0102】
いずれにせよ、これらの場合には、エンジン150の間欠運転が部分的に(図8における期間TI中)不許とされているということがいえる。言い換えれば、これらの態様において、エンジン間欠運転は「一部」禁止とされている、あるいは「抑制」されていると考えることができる。そして、図8の期間TI中では、エンジン150は運転期間から休止期間への移行、又はその逆の移行を経験しないから、上述と略同様な作用効果を享受することができる。また、この態様によれば、当該ハイブリッド型の動力出力装置全体として見た場合にも、エンジン150における移行時点の回数は減少するから、その相応分の作用効果を得ることもできる。
【0103】
このように、本発明にいう判定手段たる制御ユニット190及びEFIECU170は、単に、エンジン150の間欠運転の許否のみを判断するだけでなく、間欠運転を許容しつつもその内容・程度をどのようにするかという判断をも行うように構成してよい。すなわち、本発明にいう「判定手段」は、「エンジンの間欠運転の許容性を判定する」のである。
【0104】
(第2実施形態−潤滑油の油圧に基づくエンジンの間欠運転の禁止等−)
以下では、本発明に係る判定手段及び制御手段を構成する制御ユニット190及びEFIECU170により、エンジン150を構成する摺動部材間の摩耗を生じさせない制御を実施する上記とは別の態様について、これを第2実施形態とし、図9を参照しながら説明する。ここに図9は、潤滑油の油圧に基づいてエンジンの間欠運転を禁止することにより、摺動部材間の摩耗を生じさせない処理の流れを示すフローチャートである。
【0105】
なお、第2実施形態では、上述した「ハイブリッド車両の基本構成及び動作」、「ハイブリッド車両の動力系統における電気回路」及び「直噴式ガソリンエンジン」の構成及び作用等については全く同様である。また、上記第1実施形態において前提されていた事項(すなわち、エンジン150は間欠運転されていること、及び、図9に示すフローチャートは定期的に或いは不定期に繰り返されること。)も同様である。したがって、以下では、これらの説明については省略することとし、主に第2実施形態において特徴的な部分についてのみ説明を加えることとする。
【0106】
第2実施形態では、潤滑油の油圧に基づいて、エンジン150の間欠運転の許可又は禁止を判断することに特徴がある。すなわち、図9に示すように、図6のステップS13に対応する処理として、潤滑油の油圧が、所定の値以下であるか否かが判断されるようになっている(ステップS23)。ここで潤滑油の油圧とその粘度との間には、一定の関係がある。すなわち、油圧が大きい場合には、前記の粘度が大きい場合であり、よって潤滑特性が依然良好であり、油圧が小さい場合には、前記の粘度が低い場合であり、よって潤滑特性が悪化している場合と判断することができる。
【0107】
ちなみに、粘度の具体値は、前記の油圧に加えて、例えば、エンジン150の回転数及びオイルポンプ102の回転数を監視することによって、より正確に知ることができる。
【0108】
そして、前記ステップS23では、上述のように潤滑油の粘度、ないしは潤滑特性の優劣の程度が推定され得ることを背景に、当該潤滑油の油圧が所定の値以下であるか否かが判断されることになり、これが肯定される場合、すなわち潤滑油の粘度が低く、潤滑特性が悪化していると推定される場合には、エンジンの間欠運転を禁止する処理へと進み(ステップS2X)、否定される場合、即ち潤滑油の粘度が高く、潤滑特性が依然良好であると推定される場合には、エンジンの間欠運転を許容する処理(ステップS22)へと進む。
【0109】
このような処理によっても、上記第1実施形態と略同様な作用効果が得られることは明白である。なお、エンジン150の間欠運転を絶対的に禁止するのではなく、部分的に禁止、或いは抑制する形態としてよいことは、上記第1実施形態と同様である。
【0110】
(第3実施形態−潤滑油の劣化度に基づくエンジンの間欠運転の禁止等−)
以下では、本発明に係る判定手段及び制御手段を構成する制御ユニット190及びEFIECU170により、エンジン150を構成する摺動部材間の摩耗を生じさせない制御を実施する上記とは別の態様について、これを第3実施形態とし、図10を参照しながら説明する。ここに図10は、潤滑油の劣化度に基づいてエンジンの間欠運転を禁止することにより、摺動部材間の摩耗を生じさせない処理の流れを示すフローチャートである。
【0111】
なお、第3実施形態では、上述した「ハイブリッド車両の基本構成及び動作」、「ハイブリッド車両の動力系統における電気回路」及び「直噴式ガソリンエンジン」の構成及び作用等については全く同様である。また、上記第1実施形態において前提されていた事項(すなわち、エンジン150は間欠運転されていること、及び、図10に示すフローチャートは定期的に或いは不定期に繰り返されること。)も同様である。したがって、以下では、これらの説明については省略することとし、主に第3実施形態において特徴的な部分についてのみ説明を加えることとする。
【0112】
第3実施形態では、潤滑油の劣化度に基づいて、エンジン150の間欠運転の許可又は禁止を判断することに特徴がある。すなわち、図10に示すように、図6のステップS13に対応する処理として、潤滑油の劣化度が、所定の値以上であるか否かが判断されるようになっている(ステップS33)。ここで潤滑油の劣化度とその粘度との間には、一定の関係がある。すなわち、劣化度が小さい場合には、前記の粘度が高い場合であり、よって潤滑特性が依然良好であり、劣化度が大きい場合には、前記の粘度が低い場合であり、よって潤滑特性が悪化している場合と判断することができる。
【0113】
ちなみに、劣化度の具体値は、例えば、当該動力出力装置を搭載する車両の総走行距離等から知ることができる。あるいは、単に一定の期間経過をもって、当該潤滑油の劣化度の具体値を推定するような形態としてもよい。
【0114】
そして、前記ステップS33では、上述のように潤滑油の粘度、ないしは潤滑特性の優劣の程度が推定され得ることを背景に、当該潤滑油の劣化度が所定の値以上であるか否かが判断されることになり、これが肯定される場合、すなわち潤滑油の粘度が低く、潤滑特性が悪化していると推定される場合には、エンジンの間欠運転を禁止する処理へと進み(ステップS3X)、否定される場合、即ち潤滑油の粘度が高く、潤滑特性が依然良好であると推定される場合には、エンジンの間欠運転を許容する処理(ステップS32)へと進む。
【0115】
このような処理によっても、上記第1実施形態と略同様な作用効果が得られることは明白である。なお、エンジン150の間欠運転を絶対的に禁止するのではなく、部分的に禁止、或いは抑制する形態としてよいことは、上記第1実施形態と同様である。
【0116】
以上説明したように、上記第1から第3実施形態までは、潤滑油の油温、油圧又は劣化度を知ることにより、当該潤滑油の粘度を推定し、もって潤滑特性の優劣の程度を推定することができることから、摺動部材間で摩耗の生じることを効果的に防止することができる。
【0117】
尚、潤滑特性が悪化しており間欠運転を禁止する場合には(ステップS33:Yes、ステップS3X)、潤滑特性が悪化した旨のアラームを車内に発生される(例えば、アラームランプを点燈させる)ように構成してもよい。
【0118】
(第4実施形態−潤滑油の量に基づくエンジンの間欠運転の禁止等−)
以下では、本発明に係る判定手段及び制御手段を構成する制御ユニット190及びEFIECU170により、エンジン150を構成する摺動部材間の摩耗を生じさせない制御を実施する上記とは別の態様について、これを第4実施形態とし、図11を参照しながら説明する。ここに図11は、潤滑油のエンジンに対する供給油量に基づいてエンジンの間欠運転を禁止することにより、摺動部材間の摩耗を生じさせない処理の流れを示すフローチャートである。
【0119】
なお、第4実施形態では、上述した「ハイブリッド車両の基本構成及び動作」、「ハイブリッド車両の動力系統における電気回路」及び「直噴式ガソリンエンジン」の構成及び作用等については全く同様である。また、上記第1実施形態において前提されていた事項(すなわち、エンジン150は間欠運転されていること、及び、図11に示すフローチャートは定期的に或いは不定期に繰り返されること。)も同様である。したがって、以下では、これらの説明については省略することとし、主に第4実施形態において特徴的な部分についてのみ説明を加えることとする。
【0120】
第4実施形態では、潤滑油のエンジン150に対する供給油量に基づいて、エンジン150の間欠運転の許可又は禁止を判断することに特徴がある。すなわち、図11に示すように、図6のステップS13に対応する処理として、潤滑油の供給油量が、所定の値以上であるか否かが判断されるようになっている(ステップS43)。ここで供給油量が大きい場合には、潤滑特性が依然良好であり、供給油量が小さい場合には、潤滑特性が悪化している場合と判断することができる。
【0121】
ちなみに、潤滑油量が小さくなる場合とは、例えば、給油管101の途上に設けられるフィルタ(不図示)の目詰まりが原因として考えられる。
【0122】
そして、前記ステップS43では、上述のように潤滑特性の優劣の程度が推定され得ることを背景に、当該潤滑油の供給油量が所定の値以下であるか否かが判断されることになり、これが肯定される場合、すなわち潤滑特性が悪化していると推定される場合には、エンジンの間欠運転を禁止する処理へと進み(ステップS4X)、否定される場合、即ち潤滑特性が依然良好であると推定される場合には、エンジンの間欠運転を許容する処理(ステップS42)へと進む。
【0123】
このような処理によっても、上記第1実施形態と略同様な作用効果が得られることは明白である。なお、エンジン150の間欠運転を絶対的に禁止するのではなく、部分的に禁止、或いは抑制する形態としてよいことは、上記第1実施形態と同様である。
【0124】
このように、第4実施形態では、潤滑油の粘度とは直接には関係しない供給油量を知ることにより、エンジン150の間欠運転の許可又は禁止を判断するようになっている。もっとも、供給油量の増減も潤滑特性の優劣に影響を及ぼすことは、上記第1から第3実施形態と何ら変わりはないから、第4実施形態も、摺動部材間で生じる摩耗を効果的に防止するには極めて有効な手段であることに変わりはない。
【0125】
なお、上述した第1から第4実施形態は、説明の便宜上、それぞれ個別のものとして説明したが、場合により、これら各実施形態を組み合わせた構成としてよい。例えば、油温(第1実施形態)及び油圧(第2実施形態)の双方を知って、潤滑油の粘度を推定し、もって潤滑特性の優劣の程度を推定するという形態や、劣化度(第3実施形態)を知るととともに、供給油量(第4実施形態)を監視することにより、総合的に、潤滑特性の優劣の程度を推定する形態などといった構成を採用してよい。
【0126】
また、上述の実施形態では、モータジェネレータ装置が同期電動機からなるモータジェネレータを複数備えてなるが、その少なくとも一部に代えて又は加えて、誘導電動機、バーニアモータ、直流電動機、超伝導モータ、ステップモータ等を用いることも可能である。
【0127】
さらに、上述の実施形態では、エンジン150としてガソリンにより運転される直噴型のガソリンエンジンを用いていたが、その他に、伝統的なポート噴射型のガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、タービンエンジン、ジェットエンジン等の各種の内燃あるいは外燃機関を用いることができる。
【0128】
加えて、本発明のハイブリッド型の動力出力装置は、既存の若しくは現在開発中又は今後開発される各種パラレルハイブリッド方式や各種シリーズハイブリッド方式の車両にも適用してもよい。
【0129】
加えて更に、上述の実施形態では、もっぱらハイブリッド型の動力出力装置、ないしはハイブリッド車両についての説明を行ったが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。例えば、動力源としてエンジンのみを搭載するような車両であっても、該エンジンが間欠運転可能に構成されているのであれば、本発明の適用は可能である。
【0130】
また、車両に搭載されているエンジンでなくても、該エンジンが間欠運転可能に構成されているものならば、本発明の適用は可能である。
【0131】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う動力伝達装置及び車両もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0132】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の動力出力装置によれば、潤滑油の状態に応じて、エンジンの間欠運転の態様(例えば許容又は禁止等)が適正に制御されることにより、該エンジンを構成する摺動部材間で摩耗を生じさせることを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のハイブリッド車両における動力系統のブロック図である。
【図2】本実施形態に係るハイブリッド車両の基本的動作を説明するための共線図である。
【図3】本実施形態に係るハイブリッド車両が高速定常走行している場合の共線図である。
【図4】本実施形態に係るハイブリッド車両のバッテリ及びモータ駆動回路の構成を示す回路図である。
【図5】本実施形態に係るエンジンの構造の概略構成図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係り、潤滑油の油温に基づいてエンジンの間欠運転を禁止することにより、エンジン内の摺動部材間の摩耗を生じさせない処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】潤滑油の油温とその粘度との関係を示すグラフである。
【図8】エンジンの間欠運転を「抑制」する例を説明するための説明図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係り、潤滑油の油圧に基づいてエンジンの間欠運転を禁止することにより、エンジン内の摺動部材間の摩耗を生じさせない処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】本発明の第3実施形態に係り、潤滑油の劣化度に基づいてエンジンの間欠運転を禁止することにより、エンジン内の摺動部材間の摩耗を生じさせない処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】本発明の第4実施形態に係り、潤滑油の供給油量に基づいてエンジンの間欠運転を禁止することにより、エンジン内の摺動部材間の摩耗を生じさせない処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
150…エンジン
170…EFIECU
190…制御ユニット
MG1、MG2…モータジェネレータ
101…給油管
102…オイルポンプ
103…オイルパン

Claims (10)

  1. 間欠運転可能なエンジンと、
    該エンジンを構成する摺動部材間に供給される潤滑油と、
    前記潤滑油の状態に応じて、前記エンジンの間欠運転の許容性を判定する判定手段と、
    前記摺動部材間の摩耗を生じさせない制御として、前記判定手段により判定された前記許容性に基づいて前記エンジンの間欠運転の態様を制御する制御手段と、
    を備えたことを特徴とする動力出力装置。
  2. 前記判定手段は、前記潤滑油の粘度が、所定値以下の場合に、前記許容性として前記エンジンの間欠運転を抑制するものと判定することを特徴とする請求項1に記載の動力出力装置。
  3. 前記判定手段は、前記潤滑油の油圧が、所定値以下の場合に、前記許容性として前記エンジンの間欠運転を抑制するものと判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の動力出力装置。
  4. 前記判定手段は、前記潤滑油の油温が、所定値以上の場合に、前記許容性として前記エンジンの間欠運転を抑制するものと判定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の動力出力装置。
  5. 前記判定手段は、前記潤滑油の劣化度が、所定値以上の場合に、前記許容性として前記エンジンの間欠運転を抑制するものと判定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の動力出力装置。
  6. 前記判定手段は、前記潤滑油の前記エンジンに対する供給油量が、所定値以下の場合に、前記許容性として前記エンジンの間欠運転を抑制するものと判定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の動力出力装置。
  7. 前記判定手段は、
    前記粘度が所定値以下となる場合、前記油圧が所定値以下となる場合、前記油温が所定値以上となる場合、前記劣化度が所定値以上となる場合及び前記供給油量が所定値以下となる場合の少なくとも一つを満たす場合に、前記許容性として前記エンジンの間欠運転を禁止するものと判定する請求項2乃至6のいずれか一項に記載の動力出力装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の動力出力装置において、
    前記エンジンの出力の少なくとも一部を用いて発電可能であると共に駆動軸を介して駆動力を出力可能なモータジェネレータ装置を備えたことを特徴とする動力出力装置。
  9. 間欠運転可能なエンジン及び該エンジンを構成する摺動部材間に供給される潤滑油を備えた動力出力装置を制御する動力出力装置の制御方法であって、
    前記潤滑油の状態に応じて前記エンジンの間欠運転の許容性を判定する工程
    を含むことを特徴とする動力出力装置の制御方法。
  10. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の動力出力装置と、
    該動力出力装置が搭載される車両本体と、
    該車両本体に取り付けられると共に前記駆動軸を介して出力される前記駆動力により駆動される車輪と
    を備えたことを特徴とする車両。
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