JP2004308121A - 鋼とコンクリートの接合構造 - Google Patents

鋼とコンクリートの接合構造 Download PDF

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Abstract

【課題】鋼とコンクリートの接合構造において、接合部に複雑な鋼材加工やPC鋼材等を必要とせず、比較的簡単な構成で応力の伝達が明確な構造で良好な接合部耐力が得られ、さらに接合部に補強筋を連続して配置できるようにする。
【解決手段】トラス斜材などの接合する一対の部材2の接合端部にそれぞれ複数の孔開き鋼板10が間隔をおいて平行に配設された鋼板ジベル11を取り付け、2組の鋼板ジベル11を一方の鋼板10と他方の鋼板10とが交互に対向して位置するように差し込んで組み合わせ、2組の重なり合った鋼板ジベル11とトラス弦材などのコンクリート13が一体化したトラス格点などの接合構造を得る。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は土木や建築構造物における鋼とコンクリートの接合構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鋼コンクリート複合構造においては、その接合部の構造が重要である。従来においては、金物による方法、PC構造による方法、RC構造による方法、SC構造による方法などが種々考案されている(例えば、特許文献1〜9参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−121822号公報
【特許文献2】
特開2002−213017号公報
【特許文献3】
特開2001−159193号公報
【特許文献4】
特開2001−159195号公報
【特許文献5】
特開2000−170263号公報
【特許文献6】
特開2000−170264号公報
【特許文献7】
特開2000−336769号公報
【特許文献8】
特開平11−21999号公報
【特許文献9】
特開平11−222816号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述のような従来の鋼コンクリートの接合構造の場合、次のような問題点がある。
【0005】
(1) 接合部に複雑な鋼材加工を必要とする場合、これにより接合部の製作コストが上がる。
【0006】
(2) 接合部にPC鋼材を必要とする場合、これにより接合部の製作コストが上がる。
【0007】
(3) 接合構造そのものやその補強構造が複雑であるため、施工が難しい場合がある。
【0008】
(4) コンクリート部材の補強筋が接合部で切断されてしまうため、それを更に補強する必要が出てくる場合がある。
【0009】
(5) 従来の接合構造では応力の伝達が明確でなく、設計が困難な場合がある。
【0010】
本発明は、このような問題点を解消すべくなされたもので、その目的は、鋼とコンクリートの接合構造において、接合部に複雑な鋼材加工やPC鋼材等を必要とせず、比較的簡単な構成で応力の伝達が明確な構造で良好な接合部耐力が得られ、さらに接合部に補強筋を連続して配置することができる鋼とコンクリートの接合構造を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る発明は、接合する一対の部材にそれぞれ複数の孔開き鋼板が間隔をおいて平行に配設され、一方の部材の孔開き鋼板と他方の部材の孔開き鋼板とが交互に対向して位置するように組み合わされ、これら孔開き鋼板がコンクリートにより一体化されていることを特徴とする鋼とコンクリートの接合構造である。即ち、複数枚の孔開き鋼板からなる鋼板ジベルを2組、それぞれの鋼板が交互に位置するように差し込んで組み合わせ、型枠内などにコンクリートやモルタル等を打設あるいは充填することにより、2組の重なり合った鋼板ジベルとコンクリートが一体化した接合構造を得る。
【0012】
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1に記載の鋼とコンクリートの接合構造において、交互配置の孔開き鋼板の孔を貫通して補強筋が配設されていることを特徴とする鋼とコンクリートの接合構造である。交互配置の孔開き鋼板の各孔を鋼板直角方向に一致させ、これら各孔に鋼板直角方向の補強筋を挿通配置する。
【0013】
本発明の請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の鋼とコンクリートの接合構造において、交互配置の孔開き鋼板の鋼板間に鋼板に沿って補強筋が配設されていることを特徴とする鋼とコンクリートの接合構造である。鋼板延在方向の補強筋を鋼板間を貫通し、接合部と接合部前後にわたって延在するように配設する。
【0014】
本発明は、例えば、図1に示すようなトラス構造の格点部や図2に示すような鋼部材の接合部などに適用されるものであり、従来から用いられている孔開き鋼板を荷重の伝達部に複数枚配置すると共に荷重の入力側の孔開き鋼板と受け側の孔開き鋼板が交互に層状に位置するようにしたものである。
【0015】
一方の部材(斜材など)からその孔開き鋼板に伝達された荷重は、一旦孔開き鋼板の層間に打設されたコンクリートへ伝達される。層間コンクリートに伝達された荷重は、コンクリートまたは補強筋を通じてコンクリート部材(弦材など)へ伝達され、あるいは隣接した孔開き鋼板を通じて、他方の部材(斜材など)へと伝達される。
【0016】
層間のコンクリートは、孔開き鋼板間のせん断力に対しては隣接した孔開き鋼板へ圧縮ストラットを形成して荷重を伝達することになるため、その強度を十分に発揮することができる。層間コンクリートのせん断破壊に対しては、鋼板直角方向の補強筋、または、コンクリート強度、層間隔と孔間隔、骨材径等を調整することにより、耐力を確保することができる。
【0017】
以上のような本発明によれば、▲1▼ 部材の端部に複数枚の孔開き鋼板を取り付けるだけで、前述したように良好な接合部耐力が得られ、接合部に複雑な鋼材加工やPC鋼材等を必要としないため、接合部の製作コストを大幅に低減することができる。▲2▼ 複数枚の孔開き鋼板からなる鋼板ジベルを2組差し込んで組み合わせるだけでよく、構造が単純であり、施工が極めて容易となる。▲3▼ コンクリート側の補強筋を孔開き鋼板の孔や鋼板間に配置できるため、接合部及び接合部前後で連続した補強が可能となり、コンクリート部材の補強鉄筋を接合部で切断しなくてもよいため、従来のように補強鉄筋を更に補強する必要がない。▲4▼ 前述したように応力の伝達が明確であり、設計しやすい。▲5▼ 2組の鋼板ジベルの各鋼板を対向させて組み合わせるため、接合部材の位置や角度等の微調整が可能であり、前工程の仮設精度や鋼材製作時の製作精度が緩和でき、製作性・施工性に優れている。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。図1は、本発明に係る接合構造をトラス構造の格点部に適用した一例である。図2は、図1の孔開き鋼板の他の例を示したものである。図3は、鋼部材の接合部に適用した例である。図4は、図1において補強鉄筋を配置した例である。
【0019】
図1の実施形態は、コンクリート製の弦材1に鋼製の斜材2を格点部において接合する場合であり、斜材2の接合端部に複数枚のずれ止め孔開き鋼板10からなる鋼板ジベル11が取り付けられている。
【0020】
この孔開き鋼板10は、縦横に配列された多数の孔10aが穿設された長方形状の鋼板であり、弦材1の長手方向(鋼板延在方向)と平行な鉛直面内に位置するように、かつ、弦材1の幅方向(鋼板直角方向)には所定の間隔をおいて互いに平行に配設され、その上端面が斜材2の端部の取付板12の表面に隅肉溶接等で固定される。
【0021】
この取付板12は斜材2のエンドプレートを利用し、ここに孔開き鋼板10を取り付けてもよいし、取付板12と孔開き鋼板10を一体的に製作して鋼板ジベル11とし、取付板12を斜材2に取り付けるようにしてもよい。なお、斜材2は、鋼管等の鋼材でもよいし、プレキャストコンクリート等のコンクリート部材でもよい。
【0022】
また、孔開き鋼板10は、片側半分が突出するように斜材2の接合端部に取り付けられ、後述するように組み合わせたときに2本の斜材2に跨がる長さの格点金物が構成されるようにし、さらに一方の片側半分が斜材2の取付板12の下方に潜り込めるように上面に切欠段部10bを形成し、位置や角度を調整できるようにしておくのが好ましい(図1(a), (c)参照)。また、組み合わせたときに、弦材1の幅方向に多数の孔開き鋼板10が所定の間隔をおいて配列されるように(図1(d) 参照)、一対の鋼板ジベル11で勝手違いとなるように孔開き鋼板10を配設する。
【0023】
このような鋼板ジベル11を2組、型枠内においてそれぞれの鋼板10が交互に対向して位置するように差し込んで組み合わせ、次いで型枠内にコンクリート13を打設し、2組の鋼板ジベル11とコンクリート13で一体化したトラスの格点部を形成する。
【0024】
また、図2に示すように、入力したせん断力が効率的に伝達されるためには、2本の斜材2の軸線交点上に孔開き鋼板10が存在する方がよいので、孔開き鋼板10の形状を例えばホームベース形として、組み合わせたときに、2本の斜材2の軸線交点と孔開き鋼板10の中央部が一致するようにする。
【0025】
図3の実施形態は、鋼部材3同士をコンクリートで接合する場合であり、鋼部材3は、基板3aと、この基板3aの反接合側の表面に縦方向に間隔をおいて複数配設された横方向に沿うリブ3bからなり、基板3aの接合側の表面に複数枚のずれ止め孔開き鋼板10からなる鋼板ジベル11が取り付けられている。
【0026】
孔開き鋼板10は、縦方向に平行に、横方向に所定の間隔をおいて配設されており、隅肉溶接等により基板3aに取り付けられている。このような鋼板ジベル11を2組、それぞれの鋼板10が交互に対向して位置するように差し込んで組み合わせ、次いで基板3a,3a間にコンクリート13を打設し、2組の鋼板ジベル11とコンクリート13で一体化した鋼部材の接合部を形成する。
【0027】
図4の実施形態は、図1の実施形態においてコンクリート部材の補強鉄筋20、21を配置した場合である。組み合わされた鋼板ジベル11の各鋼板10の孔10aは弦材1の横方向から見て一致しており、一致した各孔10aに弦材幅方向(鋼板直角方向)の補強鉄筋20を挿通配置する。また、各鋼板10間に弦材長手方向(鋼板延在方向)の補強鉄筋21を鋼板ジベル11を貫通するように配設し、上下方向には、上下の孔10a間に位置するように配設する。各鋼板10の孔10aと各鋼板10の空間を利用することにより、接合部と接合部前後において鋼板延在方向と鋼板直角方向に連続した補強が可能となる。
【0028】
一般に、孔開き鋼板の耐力評価法として、以下の提案式を適用することが多い。
【0029】
=1.44・A・σSy …(1)
=2(π・d)/4×0.9 β…(2)
:孔と孔の間の鋼板断面積
σSy:鋼板の降伏強度
d :孔開き鋼板の孔径
β:コンクリートの立方体圧縮強度
これらの式は、1枚の孔開き鋼板について、▲1▼ 鋼板が孔と孔の間の最も断面積が小さくなる部分で降伏するモード、▲2▼ コンクリートが鋼板の裏表の2面でせん断破壊する破壊モードを想定して耐力を算出している。
【0030】
孔開き鋼板をせん断キーとして複数枚用いる場合、2枚が一体となって破壊するモード(挟まれたコンクリートが健全なまま全体が一体となってずれる)では、コンクリートのせん断破壊耐力は1枚の場合と変わらないことになるため、2枚の孔開き鋼板は相当の間隔を空けて配置する必要がある。
【0031】
本発明では、図1(c) 、図3(c) に示すように、接合部に入力してくる荷重の方向が異なることを利用し、力の作用方向が異なる孔開き鋼板を交互に層状に配置して、コンクリートのせん断破壊モードが多面せん断となるように導くものである。これにより、コンクリートのせん断破壊に対する耐力が増加するため、これに見合う鋼材の耐力を確保することにより、効率的に接合部の耐力を確保することができる。また、コンクリートが孔開き鋼板に挟まれることにより層間のコンクリートは必然的に拘束度が高まるため、拘束効果によるコンクリート強度の増加も期待できる。
【0032】
さらに、施工においては、型枠内などにコンクリートやモルタルを打設または充填する際に、2組の鋼材は別途仮設支持材等で保持することなるが、コンクリート等を打設するまでは鋼材の位置や角度等の微調整が可能であり、またここで調整が可能なため、前工程の仮設精度や鋼材製作時の製作精度が緩和できることなどにより、製作性・施工性に優れている。
【0033】
なお、本発明は以上のトラス構造の格点部や鋼部材の接合部あるいは図示例の実施形態に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0034】
【発明の効果】
本発明は、以上のような構成からなるので、次のような効果を奏する。
【0035】
(1) 部材の端部に複数枚の孔開き鋼板を取り付けるだけで、良好な接合部耐力が得られ、接合部に複雑な鋼材加工やPC鋼材等を必要としないため、接合部の製作コストを大幅に低減することができる。
【0036】
(2) 複数枚の孔開き鋼板からなる鋼板ジベルを2組差し込んで組み合わせるだけでよく、構造が単純であり、施工が極めて容易となる。
【0037】
(3) コンクリート側の補強筋を孔開き鋼板の孔や鋼板間に配置できるため、接合部及び接合部前後で連続した補強が可能となり、コンクリート部材の補強鉄筋を接合部で切断しなくてもよいため、従来のように補強鉄筋を更に補強する必要がない。
【0038】
(4) 応力の伝達が明確であり、設計しやすい。
【0039】
(5) 2組の鋼板ジベルの各鋼板を対向させて組み合わせるため、接合部材の位置や角度等の微調整が可能であり、前工程の仮設精度や鋼材製作時の製作精度が緩和でき、製作性・施工性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る接合構造をトラス構造の格点部に適用した例であり、(a) は接合前の正面図、(b) は(a) のb−b線視図、(c) は接合後の鉛直断面図、(d) は(c) のd−d線断面図、(e) は斜視図、(f) は断面図である。
【図2】図1の孔開き鋼板の他の例であり、(a) は接合前の正面図、(b) は接合後の鉛直断面図である。
【図3】本発明に係る接合構造を鋼部材の接合部に適用した例であり、(a) は接合前の正面図、(b) はその水平断面図、(c) は接合後の正面図、(d) はその水平断面図である。
【図4】図1において補強鉄筋を配置した例であり、(a) は正面図、(b) は側面図、(c) は平面図である。
【符号の説明】
1……弦材
2……斜材
3……鋼部材
3a…基板
3b…リブ
10……孔開き鋼板
10a…孔
10b…切欠段部
11……鋼板ジベル
12……取付板
13……コンクリート
20……補強鉄筋
21……補強鉄筋

Claims (3)

  1. 接合する一対の部材にそれぞれ複数の孔開き鋼板が間隔をおいて平行に配設され、一方の部材の孔開き鋼板と他方の部材の孔開き鋼板とが交互に対向して位置するように組み合わされ、これら孔開き鋼板がコンクリートにより一体化されていることを特徴とする鋼とコンクリートの接合構造。
  2. 請求項1に記載の鋼とコンクリートの接合構造において、交互配置の孔開き鋼板の孔を貫通して補強筋が配設されていることを特徴とする鋼とコンクリートの接合構造。
  3. 請求項1または2に記載の鋼とコンクリートの接合構造において、交互配置の孔開き鋼板の鋼板間に鋼板に沿って補強筋が配設されていることを特徴とする鋼とコンクリートの接合構造。
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