JP2007246885A - 光機能材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】ルテニウム等の枯渇性がある原料を使わず、安定で、太陽エネルギーの変換効率の高い色素増感型の光電変換セル用の光電変換用増感色素の提供。
【解決手段】下記式で示される光機能材料。
Figure 2007246885

(式中、D1およびD2は、それぞれ独立に、一価の有機残基を示すが、少なくとも一方は、電子供与性置換基を含む1価の有機残基を示す。R1およびR2は、それぞれ独立に、直接結合、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、二価の複素環基を示す。X1は、酸性基を示し、X2は、水素原子、または酸性基を示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は光機能材料に関する。当該光機能材料は、光電変換材料、光発光材料または光吸収材料などに使用で
きる。また、本発明は、この光機能材料を用いた光電変換材料、光電変換電極、およびこれを用いた光電変換セルに関する。
太陽光発電は単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、テルル化カドミウムやセレン化インジウム銅などの化合物太陽電池が実用化、もしくは研究開発対象となっているが、普及させる上で製造コスト、原材料確保、エネルギーペイバックタイムが長い等の問題点を克服する必要がある。一方、大面積化や低価格を指向した有機材料を用いた太陽電池もこれまでに多く提案されているが変換効率が低く、耐久性も悪いという問題があった。
こうした状況の中で、色素によって増感された半導体微多孔質体を用いた光電変換電極および光電変換セル、ならびにこれを作成するための材料および製造技術が開示された(非特許文献1および特許文献1参照)。開示された電池は、ルテニウム錯体色素によって分光増感された酸化チタン多孔質薄層を作用電極としヨウ素を主体とする電解質層および対電極から成る色素増感型の光電変換セルである。この方式の第一の利点は酸化チタン等の安価な酸化物半導体を用いるため、安価な光電変換素子を提供できる点であり、第二の利点は用いられるルテニウム錯体色素が可視光域に幅広く吸収を有していることから比較的高い変換効率が得られる点である。
このような色素増感型光電変換セルの問題点のひとつとして、色素の原料にルテニウムを用いていることが挙げられる。ルテニウムはクラーク数が0.01ppmと白金やパラジウムに匹敵する量しか地球に現存せず、大量に使われると枯渇を免れない。さらにルテニウム錯体色素の価格も高価な物となり、光電変換セルの大量普及の妨げとなる。
最近、色素増感型太陽電池における増感色素として、非ルテニウム錯体色素の研究が盛んに行なわれている。その例としてはクマリン系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素等があげられる。これらの有機色素はルテニウム錯体に比較して吸光係数が大きく、分子設計の自由度も大きいため、高い光電変換効率が期待されている。しかしながら、多くの色素の光吸収領域がせまく、酸化チタンへの電荷の注入が非効率的である。また、耐久性が低いという問題もあり、増感色素の改良が求められていた。
有機増感色素の光電変換は、増感色素の末端のカルボン酸基等の酸性基(吸着末端)で酸化チタン等の無機酸化物半導体表面に結着し、増感色素が光吸収することによって生じた励起電子をカルボン酸基等の酸性基を通して無機酸化物へ注入することにより、行われていると考えられている。このような有機増感色素の中で、耐久性を有し、光吸収領域が比較的広い化合物としては、ジケトピロロピロール骨格からなる増感色素が開示されている(特許文献2参照)。
ただし、特許文献2においては、ジケトピロロピロール骨格を増感色素として用いた場合、ジケトピロロピロール骨格電子吸引性を利用した効率的な励起電子移動と広い吸収領域の両立による変換効率の向上を達成できていない。具体的には、ジケトピロロピロール骨格の3、6位のアリール基に吸着末端を導入し、長波長化を行った。ただ、ジケトピロロピロール骨格が電子吸引部位として働くため、効率的な励起電子移動につながらず、低い変換効率となった。一方、ジケトピロロピロール骨格の窒素原子から二価の有機残基を介して、吸着末端を導入した場合、励起電子の効率的な移動になるものの、狭い吸収波長領域となり、低い変換効率となっていた。
Nature(第353巻、第737−740頁、1991年) 米国特許4927721号明細書 特開2003‐346926号公報
本発明の目的はルテニウム等の枯渇性原料を使用せず、耐久性の強い骨格構造を有し、安価で高い変換効率性能を有する色素増感型光電変換セル用の増感色素を提供することである。さらにはこの増感色素を無機半導体多孔質体表面に連結させた光電変換材料、および光電変換材料を導電性表面を有する透明基材の導電面に積層して成る光電変換電極、および光電変換電極を電解質層を介して導電性対極を組み合わせて成る光電変換セルを提供することである。
本発明は、下記一般式(1)で示される光機能材料に関する。
一般式(1)
Figure 2007246885
(式中、D1およびD2は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい一価の有機残基を示すが、少なくとも一方は、電子供与性置換基を含む1価の有機残基を示す。
1およびR2は、それぞれ独立に、直接結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基、置換基を有していてもよい二価の複素環基または一般式(2)を示す。
1は、酸性基を示し、
2は、水素原子、または酸性基を示す。)
一般式(2)
Figure 2007246885
(式中、R3は、置換基を有していてもよいアルキレン基、または置換基を有していてもよいアルケニレン基を示し、
Arは、置換基を有していてもよいアリーレン基、または置換基を有していてもよい二価の複素環基を示す。)
また、本発明は、酸性基の少なくとも1つが、カルボン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基、ホスフィン酸基、ヒドロキシ基、ヒドロキサム酸基、ボロン酸基、または、スクアリン酸基であることを特徴とする上記光機能材料に関する。
また、本発明は、電子供与性置換基が、置換アミノ基であることを特徴とする上記光機能材料に関する。
また、本発明は、一般式(1)のR1およびR2が、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキレン基であることを特徴とする上記光機能材料に関する。
また、本発明は、上記光機能材料を含んでなる光電変換用増感色素に関する。
また、本発明は、さらに、1種以上の増感色素を含んでなる上記増感色素に関する。
また、本発明は、上記増感色素と、無機半導体多孔質体とを連結させてなる光電変換材料に関する。
また、本発明は、上記光電変換材料を透明電極に積層させてなる光電変換電極に関する。
また、本発明は、上記光電変換電極、電解質層、および導電性対極を含んでなる光電変換セルに関する。
本発明において一般式(1)の増感色素を用い、枯渇性のない材料でかつ高い光電変換効率を有する光電変換セルを提供することができた。また、一般式(1)の増感色素は、ジケトピロロピロール骨格を用いているため、光に対する耐久性が強いことが期待できる。また、電子供与部位を用いて、電子吸引性であるジケトピロロピロール骨格の近傍に吸着末端を導入しているため、効率的に無機酸化物へ励起電子の注入が行われる。その結果、高効率な光電変換材料、光電変換電極および光電変換セルを作成することができた。
以下、詳細にわたって本発明を説明する。
本発明の光機能材料は、一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする。
本発明において光機能材料とは光を吸収することによって新たに増感効果、発熱効果、発色効果、退色効果、蓄光効果、相変化効果、光電変換効果、光磁気効果、光触媒効果、光変調効果、光記録効果、ラジカル発生効果等の機能を発現する材料、あるいは逆にこれらの効果を受けて発光機能を有する材料のことをさす。当該光機能材料は、例として光電変換材料、発光材料、光記録材料、画像形成材料、フォトクロミック材料、エレクトロルミネッセンス材料、光導電材料、二色性材料、ラジカル発生材料、酸発生材料、塩基発生材料、蓄光材料、非線形光学材料、第2高調波発生材料、第3高調波発生材料、感光材料、光吸収材料、近赤外吸収材料、フォトケミカルホールバーニング材料、光センシング材料、光マーキング材料、光化学治療用増感材料、光相変化記録材料、光焼結記録材料、光磁気記録材料、光線力学療法用色素、光触媒水分解用増感色素および光電変換用増感色素等に幅広く用いることができる。
本明細書においては一般式(1)で表される光機能材料を主として光電変換用増感色素として用いるので、この材料を主として光電変換用増感色素あるいは増感色素として呼称するが、前記の幅広い応用を否定するものではない。
色素増感型太陽電池の動作機構としては、太陽光を吸収した増感色素が光励起された後、励起状態の増感色素から酸化チタン等の無機半導体の伝導帯へ電子が注入される過程と、無機半導体に電子を注入して酸化された増感色素へ、ヨウ素をはじめとするレドックス系からの電子注入による還元からなる。
したがって、光電変換用増感色素に必要な機能としては、色素が広い吸収領域を有して太陽光の発光を効率的に吸収できることや、酸化チタン等の無機半導体に効率よく電荷を注入できることが挙げられる。
一般式(1)の増感色素は、下記の特徴を有する。
1および/またはD2が、電子供与性の置換基として、ジケトピロロピロール骨格に電子注入する効果により色素の吸収領域を広域化する。また、ジケトピロロピロール骨格の近傍であるX1もしくは、X1およびX2に酸性基を配することで、基底状態でジケトピロロピロール骨格に局在化している電子を、励起状態で酸化チタン等の無機半導体層の伝導体に効率よく注入できる。
一般式(1)の色素では、ジケトピロロピロール骨格の窒素原子からR1もしくは、R1およびR2を介して吸着末端を、また、ジケトピロロピロール骨格の3、6位のアリール基に電子供与性の置換基を導入することにより、励起電子の効率的な電子移動と効率的な光吸収を達成することにより、変換効率の向上が可能となった。
すなわち、一般式(1)の構造は、高い光電変換効率と高い安定性を達成しうる構造であることがいえる。
次に、一般式(1)中の各置換基の説明をする。
一般式(1)中、D1およびD2は、それぞれ独立に、置換基を有していても良い一価の有機残基を示すが、少なくとも一方は、電子供与性置換基を含む1価の有機残基を示す。
電子供与性置換基を含む1価の有機残基とは、電子供与性置換基または、電子供与性以外の一価の有機残基に電子供与性置換基が置換したものがあるが、好ましくは、電子供与性以外の一価の有機残基に電子供与性置換基が置換したものである。
本発明のD1およびD2における電子供与性以外の一価の有機残基としては、アルケニル基、アリール基、複素環基が挙げられ、これらは置換基を有していても良い。
1およびD2におけるアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基等の炭素数2〜30のアルケニル基が挙げられる。また、これらのアルケニル基はさらに置換基を有していても良い。
1およびD2におけるアリール基は、一価の芳香族炭化水素基のことであり、用いられる芳香環は、特に制限はないが、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ピレン、フェナンスレン、インデン、アズレン、ペリレン、フルオレンといった炭素数6〜30の芳香環が挙げられる。また、これらのアリール基はさらに置換基を有していても良い。
1およびD2における複素環基の複素環としては、特に制限はないが、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、フラザン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、キノリン、カルバゾール、アクリジン、キサンテン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、キヌクリジン、ピラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン等炭素数2〜30の複素環が挙げられる。これらの複素環は4級化されていてもよく、対イオンを有しても良い。この場合の対イオンは、特に制限はなく、一般的な陰イオンでよい。例としては、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフッ化ホウ素イオン、ヘキサフッ化リンイオン、水酸化物イオン、メタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン等が挙げられる。また、対イオンを有さない場合は、分子内または分子間のカルボキシル基等の酸性基で中和されていても良い。これらの複素環基はさらに置換基を有していても良い。
1および/またはD2が、電子供与性以外の一価の有機残基に電子供与性置換基が置換したものである場合、電子供与性以外の一価の有機残基と電子供与性置換基との間で環を形成しても良い。
次にD1および/またはD2に使用される電子供与性置換基について説明する。電子供与性の置換基としては特に制限はないが、ハメットの置換基定数が0より小さなものが挙げられる。具体的には、Chemical Review Vol.91、第165−195項 1991年発行に記載のσpが0より小さなものが挙げられ、より具体的には、ヒドロキシ基、置換基を有しても良いアミノ基、アルコキシル基等が挙げられる。これらの中で、電子供与性の置換基としては、置換基を有しても良いアミノ基であることが好ましく、さらに、置換基を有しても良いアミノ基としては、ジ置換アミノ基が好ましい。ここで、電子供与性置換基がジ置換アミノ基の場合、置換基同士が結合して環を形成しても良い。
電子供与性置換基が置換基を有しても良いアミノ基であるD1および/またはD2の具体例を表1に示す。
表1
Figure 2007246885
Figure 2007246885
Figure 2007246885
一般式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立に、直接結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していても良いアルケニレン基、置換基を有していても良いアリーレン基、置換基を有していても良い二価の複素環基または一般式(2)を示す。
一般式(2)
Figure 2007246885
(式中、R3は、置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いアルケニレン基を示し、Arは、置換基を有していても良いアリーレン基、置換基を有していても良い二価の複素環基を示す。ただし、R3がジケトピロロピロールの窒素原子と結合しており、ArがX1またはX2と結合している。)
1〜R3におけるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等の炭素数1〜5のアルキレン基が挙げられる。それぞれの炭素鎖に酸素、硫黄、窒素原子が挿入されていても良い。また、これらのアルキレン基はさらに置換基を有していても良い。
1〜R3におけるアルケニレン基としては、例えば、エチニレン基、1−プロペニレン基、イソプロペニレン基、2−ブテニレン基、1,3−ブタジエニレン基、2−ペンテニレン基、2−ヘキセニレン等の炭素数2〜30のアルケニレン基が挙げられる。また、これらのアルケニレン基はさらに置換基を有していても良い。
1〜R3におけるアリーレン基としては、二価の芳香族炭化水素基のことであり、用いられる芳香族炭化水素は、特に制限はないが、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ピレン、フェナンスレン、インデン、アズレン、ペリレン、フルオレンといった炭素数6〜30の芳香環が挙げられる。また、これらのアリーレン基はさらに置換基を有していても良い。
1〜R3における複素環基の複素環としては、特に制限はないが、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、フラザン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、キノリン、カルバゾール、アクリジン、キサンテン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、キヌクリジン、ピラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン等炭素数2〜30の複素環が挙げられる。これらの複素環は4級化されていてもよく、対イオンを有しても良い。この場合の対イオンは、特に制限はなく、一般的な陰イオンでよい。例としては、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフッ化ホウ素イオン、ヘキサフッ化リンイオン、水酸化物イオン、メタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン等が挙げられる。また、対イオンを有さない場合は、分子内または分子間のカルボキシル基等の酸性基で中和されていても良い。これらの複素環基はさらに置換基を有していても良い。
1〜R3における有しても良い置換基のうち、より好ましい置換基としては、電子吸引性の置換基が挙げられる。
ここで、電子吸引性の置換基とは、置換基定数σpが正の値をとりうる置換基のことである。具体的には、置換アルキル基(ハロゲン置換アルキル等)、置換アルケニル基(シアノビニル等)、置換・未置換のアルキニル基(トリフルオロメチルアセチレニル、シアノアセチレニル等)、置換アリール基(シアノフェニル等)、置換・未置換のヘテロ環基(ピリジル、トリアジニル、ベンゾオキサゾリル等)、ハロゲン原子、シアノ基、アシル基(アセチル、トリフルオロアセチル、ホルミル等)、チオアセチル基(チオアセチル、チオホルミル等)、オキサリル基(メチルオキサリル等)、オキシオキサリル基(エトキサリル等)、チオオキサリル基(エチルチオオキサリル等)、オキサモイル基(メチルオキサモイル等)、オキシカルボニル基(エトキシカルボニル等)、カルボキシル基、チオカルボニル基(エチルチオカルボニル等)、カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシスルホニル基(エトキシスルホニル等)、チオスルホニル基(エチルチオスルホニル等)、スルファモイル基、オキシスルフィニル基(メトキシスルフィニル等)、チオスルフィニル基(メチルチオスルフィニル等)、スルフィナモイル基、スフィナモイル基、ホスホリル基、ニトロ基、イミノ基、N−カルボニルイミノ基(N−アセチルイミノ等)、N−スルホニルイミノ基(N−メタンスルホニルイミノ等)、ジシアノエチレン基、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ピリリウム基、インモニウム基が挙げられるが、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、インモニウム基等が環を形成したヘテロ環状のものも含まれる。σp値として0.30以上の置換基が特に好ましい。
1およびR2の具体例を表2に示す(表中、Xは一般式(1)のX1またはX2との接続部位を表す。)。
表2
Figure 2007246885
Figure 2007246885
一般式(1)中、X1は、酸性基を示し、X2は、水素原子、または酸性基を示す。
1もしくは、X1およびX2における酸性基としては、特に制限はないが、例えば、カルボン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基、ホスフィン酸基、ヒドロキシ基、ヒドロキサム酸基、ボロン酸基、および、スクアリン酸基などが挙げられる。
1もしくは、X1およびX2として用いられる酸性基の例を表3に示す。
表3
Figure 2007246885
表3に示した酸性基は、カウンターカチオンとして水素イオンを有した形で示したが、酸性基はその他の誘導体であってもよい。これらの誘導体としては特に制限はないが、例えば、エステル体やアミド体、陽イオンをカウンターイオンとする塩が挙げられる。
エステル体としては、上記の酸性基とエステルを形成したものであれば特に制限はないが、例としては、アルキルエステル体、アリールエステル体、アルコキシアルキルエステル体、アシルエステル体、アルキルシリルエステル体、アリールシリルエステル体等が挙げられる。
エステル体のうち、好ましいものとしては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ベンジル基といった炭素数1−20のアルキル基が付加した形のアルキルエステル体、
フェニル基、トリル基といったアリール基が付加した形のアリールエステル体、
フェナシル基といったアリール基が付加した形のアリールエステル体、
メトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基といったアルコキシアルキル基が付加した形のアルコキシアルキルエステル体、
トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基といったシリル基が付加した形のシリルエステル体等が挙げられる。
酸性基のアミド体としては、上記の酸性基とアミドを形成したものであれば特に制限はないが、例としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、7−ニトロインドリル基、8−ニトロテトラヒドロキノリル基等が付加した形のアミド体が挙げられる。
酸性基と塩を形成した場合の陽イオンとしては、上記の酸性の基と塩を形成する陽イオンであれば特に制限はないが、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等の金属イオンやテトラブチルアンモニウム、ピリジニウム、イミダゾリウム等の4級アンモニウムイオンが挙げられる。
次に一般式(1)で表される光機能材料の具体例を表4に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
表4
Figure 2007246885
Figure 2007246885
Figure 2007246885
本発明の光電変換用増感色素を酸化チタン等の無機酸化物半導体に吸着させて使用する場合には、酸性基もしくはその誘導体は、4級アンモニウム塩や水素イオンがカウンターカチオンであることが好ましいが、これら以外であっても何ら問題なく使用することができる。例えば、酸性基の誘導体がエステル体の場合には、エステル体を無機半導体に吸着させる時に、適当な触媒等を用いて系中で加水分解をしながら吸着させることもできる。
本発明に係る光電変換用増感色素は、上記の本発明に係る光機能材料の1種以上を含むものであるが、一般式(1)等の光機能材料がカバーしきれない領域の太陽光吸収を補うために、1種以上の他の光機能材料を併せて含むことができる。つまり、一般式(1)等で表される増感色素を単独で、または複数種を組み合わせて用いるほか、1種以上の他の増感色素と組み合わせて用いることができる。本発明に係る光電変換用増感色素を他の増感色素と組み合わせる場合の両者の配合比は、特に限定はされないが、本発明にかかる光電変換用増感色素1モルに対し、他の増感色素を0.01〜100モルとすることが好ましく、0.1〜10モルとすることがより好ましい。
他の増感色素としては、たとえば、アゾ系色素、キナクリドン系色素、ジケトピロロピロール系色素(本発明の構造を除く)、スクワリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素、クロロフィル系色素、ルテニウム錯体系色素、インジゴ系色素、ペリレン系色素、ジオキサジン系色素、アントラキノン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、およびそれらの誘導体が挙げられる。
これらの増感色素は、その構造中に、無機半導体表面に連結することができるような官能基を有していることが望ましい。その理由としては、光励起された色素の励起電子を無機半導体の伝導帯に迅速に伝えることができることが挙げられる。ここでいう官能基としては、カルボキシル基、ヒドロキシ基、ヒドロキサム酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、および、ボロン酸基等が挙げられるが、無機半導体表面に増感色素を連結し、色素の励起電子を無機半導体の伝導帯に迅速に伝える役割を有する置換基であれば、これらに限定はされない。
以下に、上述の本発明に係る光電変換用増感色素を用いて得られる本発明に係る光電変換材料、光電変換電極、および光電変換セルについて、増感色素以外の材料を含めて説明する。
1.光電変換材料
上述の光電変換用増感色素を、連結基を介して無機半導体表面に連結することによって、無機半導体が増感された光電変換材料、すなわち、無機半導体と、この無機半導体に連結された増感色素とを含む光電変換材料が得られる。ここで、連結とは、無機半導体と増感色素が化学的あるいは物理的に結合していることを意味し、たとえば両者が吸着により結合していることも含んでいる。また、本明細書では、連結基、アンカー基、吸着基は、いずれも、同等の機能を有する基を表す語として用いている。
(無機半導体)
無機半導体は一般に、一部の領域の光に対して光電変換機能を有しているが、この表面に増感色素を連結することによって、可視光および/または近赤外光領域までの光電変換が可能となる。無機半導体の材質としては、主に無機酸化物が用いられるが、増感色素を連結することによって光電変換機能を有する無機半導体であれば、これに限らない。
たとえば、無機酸化物ではない無機半導体としては、シリコン、ゲルマニウム、III族‐V族系半導体、金属カルコゲニド等が挙げられる。
無機酸化物半導体としては、酸化チタン、酸化スズ、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化ニオブ、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化ストロンチウム、酸化タンタル、酸化アンチモン、酸化ランタノイド、酸化イットリウム、酸化バナジウム等を挙げることができるが、表面に増感色素を連結することによって可視光および/または近赤外光領域までの光電変換が可能となるものであれば、これらに限定されない。無機酸化物半導体の表面が増感色素によって増感されるためには、無機酸化物の伝導帯が増感色素の光励起順位から電子を受け取りやすい位置に存在することが望ましい。このため、無機酸化物半導体のなかでも、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ニオブ等が特に好ましく用いられる。さらに、価格や環境衛生性等の点からは、酸化チタンが特に好ましく用いられる。
これらの無機半導体は、上述したなかから一種を用いるほか、複数種を選択して組み合わせて用いることもできる。
(無機半導体の多孔質化)
上記の無機半導体は、多孔質化して、無機半導体多孔質体として使用することが好ましい。無機半導体多孔質体は、多量の増感色素をその表面に連結し、高効率な光電変換能力を有することができるように、多孔質化による広い表面積を有しているからである。多孔質化の方法としては、粒子径が数ナノメートルから数十ナノメートルの、酸化チタン等の無機酸化物粒子をペースト化した後に焼結する方法が広く知られているが、多孔質化して広い表面積が得られる方法であればこれに限られない。
無機酸化物粒子のペースト化方法、無機半導体多孔質体の好ましい膜厚および無機半導体多孔質体表面への増感色素の連結方法等については、後述する。
2.光電変換電極
上記光電変換材料を透明電極上に積層することによって、光電変換電極、すなわち、透明電極とこの透明電極上に積層された光電変換材料を含む光電変換電極が形成される。透明電極は、通常、透明基材の表面に形成される導電層であり、つまり、導電性表面を有する透明基材の導電面を意味する。
(導電性表面)
用いられる導電性表面(透明電極)としては、太陽光の可視から近赤外領域に対して光吸収が少ない導電材料なら特に限定されないが、ITO(インジウム−スズ酸化物)、酸化スズ(フッ素等がドープされたものを含む)、酸化亜鉛等の導電性の良好な金属酸化物が好適である。基板(導電性表面を有する透明基材)のシート抵抗(表面抵抗)はできるだけ低いほうが好ましく、具体的には20Ω/□(Ω/sq.)以下であることが好ましいので、導電層はそれに応じた厚みを有していることが好ましい。
(透明基材)
用いられる透明基材としては、太陽光の可視から近赤外領域に対して光吸収が少ない材料であれば特に限定されない。石英、並ガラス、BK7、鉛ガラス等のガラス基材;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリビニルブチラート、ポリプロピレン、テトラアセチルセルロース、シンジオクタチックポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルフォン、ポリエステルスルフォン、ポリエーテルイミド、環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ、塩化ビニル等の樹脂基材等を用いることができる。
(積層方法)
導電性表面を有する透明基材の導電面に光電変換材料を積層する方法としては、たとえば、導電面にペースト化した無機酸化物粒子を塗布後、乾燥または焼結させて無機酸化物半導体多孔質体を形成し、これを透明基材ごと、増感色素を溶解させた溶液中に浸すことにより、無機酸化物半導体の多孔質表面と増感色素のアンカー基の親和性を利用して、増感色素をその多孔質表面に結合させる方法が、一般的方法として挙げられるが、この方法に限定されることはない。
無機酸化物粒子をペースト化させるには、無機酸化物粒子を水または適当な有機溶剤中に分散させればよい。均質で表面積が大きい無機多孔質体として積層させるには、分散性の良いペーストを調製することが大切なので、必要に応じて、硝酸やアセチルアセトン等の酸やポリエチレングリコール、トリトンX−100等の分散剤をペースト成分に混合し、ペイントシェーカー等を用いてペースト化することが好ましい。
ペーストを透明基材の導電面に塗布する方法としては、スピンコーターによる塗布方法やスクリーン印刷法、スキージを用いた塗布方法、ディップ法、吹き付け法、ローラー法等が用いられる。塗布された無機酸化物ペーストは、乾燥または焼成によりペースト中の揮発成分が除去されて、透明基材の導電面上に、無機酸化物半導体多孔質体を形成する。乾燥または焼成の条件としては、たとえば400〜500℃の温度で30分〜1時間程度の熱エネルギーを与える方法が一般的であるが、透明基材の導電面に密着性を有し、太陽光照射時に良好な起電力が得られる乾燥または焼成方法である限り、これに限定されることはない。
増感色素を溶解させた溶液を作るためには、溶剤として、エタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール系溶剤;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶剤;クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;炭酸ジエチル、炭酸プロピレン等の炭酸エステル系溶剤;ヘキサン、オクタン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1,3‐ジメチルイミダゾリノン、Nメチルピロリドン、水等を用いることができるが、これらに限られない。溶液の濃度は、特に限定はされないが、0.01〜10mmol/L程度であることが好ましい。
増感色素を溶解させた溶液中への無機半導体多孔質体の浸漬条件は、特に限定はされず、望ましい光電変換効率が得られるように適宜設定すればよいが、一般に、1〜60時間程度、室温〜80℃程度であることが好ましい。
透明基材の導電面上に形成される無機半導体多孔質体の膜厚は、0.5〜200μm程度であることが望ましい。膜厚がこの範囲未満であると、有効な変換効率が得られない恐れがある。一方、膜厚がこの範囲より厚い場合は、成膜時に割れや剥がれが生じるなど、膜の作成が困難になるとともに、無機半導体多孔質体表層と導電面との距離が長くなるために発生電荷が導電面に有効に伝えられなくなって、良好な変換効率が得られにくくなる恐れがある。
3.光電変換セル
以上のようにして得られる光電変換電極を、電解質層を介して導電性対極を組み合わせることによって光電変換セル、すなわち、光電変換電極と、電解質層と、導電性対極とを含む光電変換セルを形成することができる。
(電解質層)
電解質層は、電解質、媒体、および添加物を含んで構成されることが好ましい。ここで、電解質としては、I2とヨウ化物(例としてLiI、NaI、KI、CsI、MgI2、CaI2、CuI、テトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等)の混合物、Br2と臭化物(例としてLiBr等)の混合物、有機溶融塩化合物等を用いることができるが、この限りではない。ここでいう有機溶融塩化合物とは、有機カチオンと無機または有機アニオンからなるイオン対化合物であって、融点が室温以下であるものを指す。
具体的に有機溶融塩化合物を構成する有機カチオンとしては、芳香族系カチオン類として、たとえば、N−メチル−N’−エチルイミダゾリウムカチオン、N−メチル−N’−n−プロピルイミダゾリウムカチオン、N−メチル−N’−n−ヘキシルイミダゾリウムカチオン等のN−アルキル−N’−アルキルイミダゾリウムカチオン類;N−ヘキシルピリジニウムカチオン、N−ブチルピリジニウムカチオン等のN−アルキルピリジニウムカチオン類が挙げられる。脂肪族カチオン類として、N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムカチオン等の脂肪族系カチオン類、N,N−メチルピロリジニウム等の環状脂肪族カチオン類が挙げられる。
有機溶融塩化合物を構成する無機または有機アニオンとしては、たとえば、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物イオン、六フッ化リンイオン、四フッ化ホウ素イオン、三フッ化メタンスルホン酸塩、過塩素酸イオン、次塩素酸イオン、塩素酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン等の無機アニオン類;ビス(トリフロロメチルスルホニル)イミド等のアミド、イミド系アニオン類が挙げられる。
有機溶融塩のその他の例としては、Inorganic Chemistry、35巻、1168〜1178頁、1996年に記載のものが挙げられる。
以上に挙げたヨウ化物、臭化物等は、単独で、または複数種を組み合わせて用いることができる。なかでも、I2とヨウ化物の組み合わせ、たとえばI2とLiI、ピリジニウムヨーダイド、またはイミダゾリウムヨーダイド等を混合した電解質が好ましく用いられるが、これらに限定されることはない。
好ましい電解質濃度は、媒体中にI2が0.01〜0.5Mであり、ヨウ化物および/または臭化物等(複数種の場合はそれらの混合物)が0.1〜15M以下である。
電解質層に用いられる媒体は、良好なイオン伝導性を発現できる化合物であることが望ましい。液状の媒体としては、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル化合物;エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテルなどの鎖状エーテル類;メタノール、エタノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルなどのアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類;アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル化合物;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物;3−メチル−2−オキサゾリジノンなどの複素環化合物;ジメチルスルホキシド、スルホランなど非プロトン極性物質、水などを用いることができる。これらは単独で、または複数種を組み合わせて用いられる。
固体状(ゲル状を含む)の媒体を用いる目的で、液状媒体にポリマーを含ませることもできる。この場合、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン等のポリマーを上記液状媒体中に添加したり、エチレン性不飽和基を有した多官能性モノマーを上記液状媒体中で重合させたりして、媒体を固体状にすることができる。
電解質層としてはこの他、CuI、CuSCN(これらの化合物は液状媒体を必要としないp型半導体であり電解質として作用する。)等やNature、395巻、583〜585頁(1998年10月8日)記載の2,2’,7,7’−テトラキス(N, N−ジ−p−メトキシフェニルアミン)−9,9’−スピロビフルオレンのような正孔輸送材料を用いることができる。
電解質層には、光電変換セルの耐久性や電気的出力を向上させることを目的として各種添加物を加えることもできる。たとえば、耐久性向上を目的としてヨウ化マグネシウム等の無機塩類を添加してもよいし、出力向上を目的としてt-ブチルピリジン、2−ピコリン、2,6−ルチジン等のアミン類;デオキシコール酸等のステロイド類;グルコース、グルコサミン、グルクロン酸等の単糖類およびそれらの糖アルコール類;マルトース等の二糖類;ラフィノース等の直鎖状オリゴ糖類;シクロデキストリン等の環状オリゴ糖類;ラクトオリゴ糖等の加水分解オリゴ糖類、を添加することもできる。
これら添加剤と上述の増感色素を併用することで、本発明の効果をより効果的に引き出すことができる。
形成される電解質層の厚みは、特に限定されないが、導電性対極と色素の吸着した無機半導体層とが直接接触しないような最小の厚みとすることが好ましい。具体的には、0.1〜100μm程度であることが好ましい。
(導電性対極)
導電性対極は、光電変換セルの正極として機能するものである。対極に用いられる導電性の材料としては、金属(白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等)、金属酸化物(ITO(インジウム‐スズ酸化物)、酸化スズ(フッ素等がドープされた物を含む)、酸化亜鉛等)、または炭素等が挙げられる。対極の膜厚は、特に制限はないが、5nm以上10μm以下であることが好ましい。
(組み立て方)
上記光電変換電極と導電性対極を、電解質層を介して組み合わせることによって、光電変換セルを形成する。必要に応じて、電解質層の漏れや揮発を防ぐために、光電変換セルの周囲に封止を行う。封止には、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂、ガラスフリット等を封止材料として用いることができる。光電変換セルは、必要に応じて、小面積の光電変換セルを連結させて作ることができる。たとえば、光電変換セルを直列に組み合わせることによって、起電圧を高くすることができる。
以下に実施例を具体的に示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
はじめに、実施例に先立って本発明の光電変換用増感色素の合成例を述べる。
合成例1
化合物(1)の合成方法
Figure 2007246885
化合物(I)(4.7g、10.3mmol)、カリウムt−ブトキシド(3.5g、30.0mmol)、ブロモ酢酸エチル(10.3g、60.0mmol)、溶媒としてDMF50mlを加え、60℃、2時間攪拌した。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液トルエン/酢酸エチル)にて単離精製し、化合物(II)を3.9g(収率61%)得た。次に得られた(II)1.0g(1.6mmol)と、ジ(P―(1,1,3,3―テトラメチル)フェニル)アミン1.53g(3.9mmol)、炭酸セシウム1.9g(5.8mmol)、酢酸パラジウム50mg(0.2mmol)、トリス−t−ブチルホスフィン150mg(0.8mmol)、キシレン30mlを130度で4時間攪拌した。反応終了後、反応液から不溶分をろ過して、溶媒を減圧留去した後、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液トルエン/酢酸エチル)により精製し、(III)を0.75g(収率37%)で得た。その後、アルカリ加水分解により、化合物(1)を得た。
次に、光電変換用増感色素の評価方法として、増感色素を用いて光電変換セルを組み立て、光電変換セルの変換効率を測定する方法について、光電変換セルの試験サンプルを表した図1を参照しつつ説明する。
透明電極
透明電極層(フッ素ドープ型酸化スズ層)(図1の3に相当)付ガラス基板(図1の5に相当)(旭ガラス社製、タイプU−TCO)を使用した。
導電性対極
透明電極層(フッ素ドープ型酸化スズ層)付ガラス基板(旭ガラス社製、タイプU−TCO)の透明電極層上に、スパッタリング法により白金電極層(図1の4に相当)(厚み150nm)を積層した導電性対極を用いた。
酸化チタンペーストの調製
下記の処方でジルコニアビーズと混合し、ペイントシェーカーを用いて分散して酸化チタンペーストを得た(「部」は重量部をあらわす)。
酸化チタン(日本アエロジル社製 P25 粒子径 21nm) 6 部
水(硝酸添加でpH2に調整) 14 部
アセチルアセトン 0.6 部
界面活性剤(ICN社製 Triton X−100) 0.04 部
PEG−#500,000 0.3 部
酸化チタン多孔質層の作成
透明電極の導電面(透明電極層)に厚さ60μmのメンディングテープを張り、1cm角のテープを除去することでマスクを作り、空いた部分に上記酸化チタンペーストを数滴たらした後に、スキージで余分なペーストを除去した。風乾後、全てのマスクを除去し、450℃のオーブンで1時間焼成して、有効面積1cm2の酸化チタン多孔質層を有する酸化チタン電極を得た。
増感色素の吸着
光電変換用増感色素をテトラヒドロフラン:アセトニトリル=1:1(体積比)に溶解(濃度0.6mmol/L)し、メンブランフィルターで不溶分を除去し、この色素溶液に上記酸化チタン電極を浸し、室温で24時間放置した。浸漬時間は、実際にセルを作成して変換効率を求め、その変換効率が最大となるように設定した。
着色した電極表面を、溶解に使用した溶剤およびアルコールで洗浄した後、4‐t‐ブチルピリジンの2mol%アルコール溶液に30分浸した後、乾燥させて、増感色素の吸着した酸化チタン多孔質層(図1の1に相当)を有する光電変換電極を得た。
電解質溶液の調製
下記処方の電解質溶液を調製した。溶媒にはメトキシアセトニトリルを用いた。
LiI 0.1M
2 0.05M
4−t−ブチルピリジン 0.5M
1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヨージド 0.6M
光電変換セルの組み立て
図1に示すように、光電変換セルの試験サンプルを組み立てた。すなわち、上記のようにして光電変換用増感色素を吸着させた酸化チタン多孔質層が形成された上記透明電極(フッ素ドープ型酸化スズ層付ガラス基板)と、フッ素ドープ型酸化スズ層付ガラス基板の導電層上に白金層が積層された導電性対極4とを、樹脂フィルム製スペーサー(図1の6に相当)(三井・デュポンポリケミカル社製「ハイミラン」フィルム(25μm厚))を挟んで固定し、その空隙に上記電解質溶液を注入して電解質溶液層(図1の2に相当)を形成した。透明電極層及び白金対極層には、それぞれ変換効率測定用の導線(図1の7に相当)を固定した。
変換効率の測定方法
ORIEL社製ソーラーシュミレーター(#8116)をエアマスフィルターと組み合わせ、光量計で100mW/cm2 の光量に調整して測定用光源とし、光電変換セルの試験サンプルに光照射をしながら、KEITHLEY MODEL2400ソースメーターを使用してI‐Vカーブ特性を測定した。変換効率ηは、I−Vカーブ特性測定から得られたVoc(開放電圧値)、Isc(短絡電流値)、ff(フィルファクター値)を用いて下記式により算出した。
Figure 2007246885
本実施例では、本願請求範囲の化合物として化合物(1)を、比較例として特開2003−346926記載の化合物(A)、(B)、(C)、およびルテニウム錯体(D)を用いてセルを組み立て、評価を行なった。それぞれの構造を以下に示す。
化合物(1)
Figure 2007246885
化合物(A)
Figure 2007246885
化合物(B)
Figure 2007246885
化合物(C)
Figure 2007246885
化合物(D)
Figure 2007246885
実施例1および比較例1、2
本発明の増感色素である化合物(1)および化合物(A)、(B)、(C)の変換効率と、上記の酸化チタン多孔質層と増感色素の吸着により、膜厚約1μmの酸化チタン膜に色素を吸着させ、透過スペクトルを測定した。その結果を表5に示す。
表5
Figure 2007246885
本発明の増感色素(1)は、化合物(A)、(B)、(C)に比べ、λmax時の吸光度が大きく、酸化チタン上での吸収効率が向上した。これにより、変換効率の増大につながった。
実施例2および比較例3〜5
本発明の増感色素である化合物(1)および化合物(A)、(B)、(C)を用いた光電変換電極、封止セルの寿命測定の結果を表6に示す。光電変換電極の寿命測定については、光電変換電極を蛍光灯下3000Luxの条件で1週間照射して光暴露保存安定性を調べた。光電変換電極の色素濃度をマルベル濃度計で測定し、光暴露前後で濃度比較をして光電変換電極に吸着した色素の光暴露に対する保存安定性を調べた。封止セルに寿命測定については、封止セルをAM1.5(ORIEL社製ソーラーシュミレーター(#8116))の条件下で100時間照射して、光暴露保存安定性を調べた。作成セルは、樹脂フィルム(三井・デュポンポリケミカル社製「ハイミラン」フィルム(25μm厚))とエポキシ樹脂型接着剤にて封止して同様の寿命測定を行った。
表6
Figure 2007246885
光電変換電極の場合、全ての化合物が濃度低下率10%以下となった。一方、封止セルの場合、ジケトピロロピロール環の窒素原子に吸着末端のある化合物(1)、および化合物(A)が10%以下の低下となった。光電変換電極での光耐久性は、暗所以外でのセル作成が可能となり、セル作成が容易となりうる。また、封止セルでの光耐久性は、セルの長寿命化へとつながる。つまり、本発明の増感色素である化合物は、高い初期変換効率を有して、容易なセル作成と長寿命化につながる増感色素である。
実施例3〜17
実施例1と同様の方法で表7に示す化合物についてセルを作成し、変換効率を測定した。結果を表7に示す。
表7
Figure 2007246885
実施例18、19および比較例7
本発明の増感色素である化合物(1)および(3)とRu錯体増感色素である(D)とを1:1で混合した溶液を用いて酸化チタン電極に吸着させたセルの評価結果を表8に示す。
表8
Figure 2007246885
上記結果のように、Ru錯体増感色素に対して、本発明の増感色素である化合物を混合すると更に変換効率の増加が実現できた。
図1は、光電変換セル試験サンプルを表す。
符号の説明
1.酸化チタン多孔質層(光電変換用増感色素が吸着済)
2.電解質溶液層
3.透明電極層(フッ素ドープ型酸化スズ)
4.白金電極層
5.ガラス基盤
6.樹脂フィルム製スペーサー
7.変換効率測定用導線

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で示される光機能材料。
    一般式(1)
    Figure 2007246885


    (式中、D1およびD2は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい一価の有機残基を示すが、少なくとも一方は、電子供与性置換基を含む1価の有機残基を示す。
    1およびR2は、それぞれ独立に、直接結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基、置換基を有していてもよい二価の複素環基または一般式(2)を示す。
    1は、酸性基を示し、
    2は、水素原子、または酸性基を示す。)
    一般式(2)
    Figure 2007246885


    (式中、R3は、置換基を有していてもよいアルキレン基、または置換基を有していてもよいアルケニレン基を示し、
    Arは、置換基を有していてもよいアリーレン基、または置換基を有していてもよい二価の複素環基を示す。)
  2. 酸性基の少なくとも1つが、カルボン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基、ホスフィン酸基、ヒドロキシ基、ヒドロキサム酸基、ボロン酸基、または、スクアリン酸基である請求項1記載の光機能材料。
  3. 電子供与性置換基が、置換アミノ基である請求項1または2記載の光機能材料。
  4. 一般式(1)のR1およびR2が、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキレン基であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の光機能材料。
  5. 請求項1〜4いずれか記載の光機能材料を含んでなる光電変換用増感色素。
  6. さらに、1種以上の増感色素を含んでなる請求項5記載の増感色素。
  7. 請求項5または6記載の増感色素と、無機半導体多孔質体とを連結させてなる光電変換材料。
  8. 請求項7記載の光電変換材料を透明電極に積層させてなる光電変換電極。
  9. 請求項8記載の光電変換電極、電解質層、および導電性対極を含んでなる光電変換セル。
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