JP2007258280A - 積層型圧電素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 大きな発生変位量を得ることが可能であり、また、環境保全の見地からも優れた積層型圧電素子を提供する。
【解決手段】 複数の圧電層1と複数の内部電極2とが交互に積層された積層型圧電素子であって、圧電層1はアルカリ金属元素とニオブ(Nb)又はビスマス(Bi)とを含む酸化物を含有し、内部電極2は卑金属により構成される。内部電極2は銅(Cu)又は銅(Cu)合金により構成されることが好ましい。酸化物はアルカリ金属元素とニオブ(Nb)とを含む酸化物であり、アルカリ金属元素としてナトリウム(Na)、カリウム(K)及びリチウム(Li)を含むことが好ましい。或いは、酸化物はアルカリ金属元素とビスマス(Bi)とを含む酸化物であり、アルカリ金属元素としてナトリウム(Na)又はカリウム(K)を含むことが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えばインクジェットプリンター、燃料噴射用アクチュエータ、圧電トランスのようなアクチュエータやトランスとして使用可能な積層型圧電素子に関する。
圧電素子の一種である圧電アクチュエータは、電界を加えると機械的な歪み及び応力を発生するという圧電現象を駆動源として利用したものである。このアクチュエータは、微量な変位を高精度に得ることができるとともに、発生応力が大きい等の特徴を有し、例えば、精密工作機械や光学装置の位置決めに用いられている。アクチュエータに用いられる圧電磁器としては、従来より、優れた圧電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が最も多く利用されている。しかし、チタン酸ジルコン酸鉛は鉛を多く含んでいるので、最近では、酸性雨による鉛の溶出など地球環境におよぼす悪影響が問題となっている。そこで、チタン酸ジルコン酸鉛に代替する、鉛を含有しない圧電磁器の開発が望まれている。
鉛を含有しない圧電磁器としては、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)を主成分として含むものが知られている(例えば特許文献1等参照。)。この圧電磁器は、比誘電率εrおよび電気機械結合係数krが優れており、アクチュエータ用の圧電材料として有望である。
しかしながら、この鉛を含まない圧電磁器は、鉛系の圧電磁器に比べて圧電特性が低く、十分に大きな発生変位量を得ることができないという問題がある。また、チタン酸バリウムを主成分とする圧電磁器では、チタン酸バリウムのキュリー温度が約120℃と低いので、使用温度範囲が100℃以下に限定されるという問題もある。
一方、鉛を含有しない他の圧電磁器として、ニオブ酸ナトリウムカリウムリチウムを主成分として含むものが知られている(例えば特許文献2、3等参照。)。この圧電磁器は、キュリー温度が350℃以上と高く、電気機械結合係数krも優れていることから、鉛系圧電材料の代替材料として期待されている。更に、最近では、ニオブ酸ナトリウムカリウムとタングステンブロンズ型酸化物とを複合化したもの(特許文献4等参照。)およびこれにさらにチタン酸バリウム等を複合化したもの(特許文献5等参照。)も報告されている。
また、鉛を含有しない圧電磁器として、Biを含むペロブスカイト型酸化物を含有する圧電磁器も知られている。例えば特許文献6においては、[Bi0.5(Na1−x0.5]TiOで表される圧電体磁気組成物が開示されている。
特開平2−159079号公報 特開昭49−125900号公報 特公昭57−6713号公報 特開平9−165262号公報 特開2002−23411号公報 特開平11−171643号公報
ところで、圧電磁器組成物からなる圧電層を内部電極を挟んで積層した場合、大きな変位量を得ることができ、積層数により変位量を任意に調整することもできる等の利点がある。積層型圧電素子の内部電極には、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)等の貴金属元素が一般的に用いられ、中でも、貴金属元素でありながら比較的安価な材料であることから、銀/パラジウム(Ag/Pd)合金が注目されている。
しかしながら、特許文献2〜5に記載されるようなニオブ(Nb)を含有する非鉛系圧電磁器からなる圧電層を、銀/パラジウム(Ag/Pd)合金からなる内部電極と交互に積層して積層型圧電素子とした場合、圧電層中のニオブ(Nb)が内部電極中の銀(Ag)と反応し、圧電特性を低下させるという問題がある。
また、積層型圧電素子において、特許文献6に記載されるようなビスマス(Bi)を含有する非鉛系圧電磁器からなる圧電層を銀/パラジウム(Ag/Pd)合金からなる内部電極と組み合わせた場合、圧電層中のビスマス(Bi)が内部電極中のパラジウム(Pd)と反応し、圧電特性を低下させるという問題がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、大きな発生変位量を得ることが可能であり、また、環境保全の見地からも優れた積層型圧電素子を提供することにある。
前述の目的を達成するために、本発明に係る積層型圧電素子は、複数の圧電層と複数の内部電極とが交互に積層された積層型圧電素子であって、前記圧電層はアルカリ金属元素とニオブ(Nb)又はビスマス(Bi)とを含む酸化物を含有し、前記内部電極は卑金属により構成されることを特徴とする。
以上のような積層型圧電素子においては、アルカリ金属元素とニオブ(Nb)又はビスマス(Bi)とを含む酸化物を圧電層に用い、且つ、ニオブ(Nb)及びビスマス(Bi)と反応しにくい元素である卑金属を内部電極に用いることで、圧電特性の低下がなく、大きな変位量が得られる。
前記内部電極は銅(Cu)又は銅(Cu)合金により構成されることが好ましい。圧電層と内部電極とを同時焼成する際には、内部電極に含まれる卑金属の酸化を抑えるために焼成雰囲気を制御する必要がある。銅(Cu)又は銅(Cu)合金は、例えばニッケル(Ni)等の他の卑金属に比較して、焼成雰囲気の制御が容易に実現される。
前記酸化物がアルカリ金属元素とニオブ(Nb)とを含む酸化物である場合、前記酸化物におけるニオブ(Nb)の15モル%以下がタンタル(Ta)で置換されていることが好ましい。このことにより、より優れた圧電特性を得ることができ、発生変位量をより大きくすることができる。
また、前記酸化物がアルカリ金属元素とニオブ(Nb)とを含む酸化物である場合、前記圧電層はアルカリ土類金属元素とニオブ(Nb)とを含むタングステンブロンズ型酸化物を含有し、前記圧電層における前記タングステンブロンズ型酸化物の含有量は1モル%以下であることが好ましい。このことにより、より優れた圧電特性を得ることができ、発生変位量をより大きくすることができる。
さらに、前記酸化物がニオブ(Nb)を含む場合、前記圧電層はアルカリ土類金属元素とチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)から選ばれる1種以上とを含むペロブスカイト型酸化物を含有し、前記圧電層におけるアルカリ土類金属元素とチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)から選ばれる1種以上とを含むペロブスカイト型酸化物の含有量は15モル%以下であることが好ましい。圧電層が、前記タングステンブロンズ型酸化物に加えて、アルカリ土類金属元素とチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)から選ばれる1種以上とを含むペロブスカイト型酸化物を含有することにより、圧電特性がさらに向上し、さらに大きな発生変位量を得ることができる。
前記酸化物がアルカリ金属元素とビスマス(Bi)とを含む酸化物である場合、前記圧電層はアルカリ土類金属元素とチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)から選ばれる1種以上とを含むペロブスカイト型酸化物を含有し、前記圧電層における前記アルカリ土類金属元素とチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)から選ばれる1種以上とを含むペロブスカイト型酸化物の含有量は15モル%以下であることが好ましい。このことにより、より優れた圧電特性を得ることができ、発生変位量をより大きくすることができる。
本発明によれば、安価でありながら、圧電層中のニオブ(Nb)又はビスマス(Bi)と内部電極との反応に起因する圧電特性の低下がなく、変位量の大きい積層型圧電素子を実現することができる。また、本発明によれば、圧電層から鉛を排除することができるので、低公害化、耐環境性及び生態学的見地からも優れた積層型圧電素子を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の一実施の形態に係る積層型圧電素子は、例えば図1に示すように、複数の圧電体層1と複数の内部電極2とを交互に積層したものである。内部電極2は例えば交互に逆方向に延長されており、その延長方向には内部電極2と電気的に接続された一対の端子電極(外部電極)3が設けられている。
本実施形態に係る積層型圧電素子において、内部電極は卑金属により構成される。圧電層がアルカリ金属元素とニオブ(Nb)又はビスマス(Bi)とを含む酸化物を含有している場合に、積層型圧電素子の内部電極材料として一般的な銀/パラジウム(Ag/Pd)合金を用いると、圧電層中の材料が銀/パラジウム(Ag/Pd)合金と反応し、積層型圧電素子の圧電特性の低下を招く。これに対し、内部電極を卑金属で構成することにより、圧電特性を低下させることなくアルカリ金属元素とニオブ(Nb)とを含む酸化物、又は、アルカリ金属元素とビスマス(Bi)とを含む酸化物を圧電層に使用することが可能となる。したがって、安価でありながら変位量の大きな積層型圧電素子を実現することができる。
内部電極を構成する卑金属としては、銅(Cu)、銅(Cu)合金、ニッケル(Ni)、ニッケル(Ni)合金等が例示される。中でも、内部電極は、銅(Cu)又は銅(Cu)合金により構成されることが好ましい。
内部電極の厚みは例えば0.5〜5μm程度であることが望ましい。0.5μmよりも薄いと内部電極が途切れてしまい充分な圧電特性(変位)を得ることができず、5μmよりも厚くなると、積層数が増えた場合積層体の歪が大きくなってしまい、焼成後クラック等の不具合の原因となるからである。
本実施形態の積層型圧電素子の圧電層は、アルカリ金属元素とニオブ(Nb)又はビスマス(Bi)とを含む酸化物を含有している。すなわち、圧電層は、アルカリ金属元素とニオブ(Nb)とを含む酸化物、アルカリ金属元素とビスマス(Bi)とを含む酸化物のうち、少なくとも一方を含有している。
圧電層は、アルカリ金属元素とニオブ(Nb)とを含む酸化物、及びアルカリ金属元素とビスマス(Bi)とを含む酸化物のどちらの酸化物を含むかによって、最適な構成が異なってくる。したがって、以下では、圧電層がアルカリ金属元素とニオブ(Nb)とを含む酸化物を含有する場合、圧電層がアルカリ金属元素とビスマス(Bi)とを含む酸化物を含有する場合の2つに分けて圧電層について説明する。
先ず、圧電層が、アルカリ金属元素とニオブ(Nb)とを含む酸化物を含有する場合について説明する。
アルカリ金属元素とニオブ(Nb)とを含む酸化物は、A1+5+型のペロブスカイト型酸化物である。なお、本発明におけるペロブスカイト型酸化物とは、イルミナイト型酸化物も含む概念である。
アルカリ金属元素とニオブ(Nb)とを含む酸化物において、アルカリ金属元素としてナトリウム(Na)、カリウム(K)及びリチウム(Li)を含有することが好ましい。また、酸化物においてニオブ(Nb)の一部をタンタル(Ta)で置換してもよい。アルカリ金属元素とニオブ(Nb)と酸素とを含む酸化物は、例えば下記化学式(1)で表される。
(Na1−x−yLi(Nb1−zTa)O…(1)
(1)中、xは0<x<1、yは0≦y<1、zは0≦z<1の範囲内の値である。pは化学量論組成であれば1であるが、化学量論組成からずれていてもよい。酸素の組成は化学量論的に求めたものであり、化学量論組成からずれていてもよい。
アルカリ金属元素におけるカリウム(K)の含有量は、10モル%以上90モル%以下の範囲内であることが好ましい。すなわち、例えば化学式(1)におけるxは、モル比で、0.1≦x≦0.9の範囲内であることが好ましい。カリウム(K)の含有量が少なすぎると、比誘電率εr、電気機械結合係数および発生変位量を十分に大きくすることができず、カリウム(K)の含有量が多すぎると、焼成時におけるカリウム(K)の揮発が激しく、焼成が難しいからである。
アルカリ金属元素におけるリチウム(Li)の含有量は0モル%以上15モル%以下であることが好ましい。すなわち、例えば化学式(1)におけるyは、モル比で、0≦y≦0.15の範囲内であることが好ましい。リチウム(Li)の含有量が多すぎると、比誘電率εr、電気機械結合係数および発生変位量を十分に大きくすることができないからである。
また、タンタル(Ta)の置換量はニオブ(Nb)量の0モル%以上15モル%以下であることが好ましい。例えば化学式(1)におけるzは、モル比で、0≦z≦0.15の範囲内であることが好ましい。タンタル(Ta)の含有量が多すぎると、比誘電率εrは高くなるものの、キュリー温度が低下するからである。また、タンタル(Ta)以外に同じ五価金属元素であるアンチモン(Sb)でニオブ(Nb)を置換してもよい。
化学式(1)におけるpは、モル比で0.95以上1.05以下の範囲内であることが好ましい。0.95未満であると、比誘電率εr,電気機械結合係数krおよび発生変位量が小さくなり、1.05を超えると、焼結密度が低下することにより分極が難しくなってしまうからである。
圧電層は、アルカリ金属元素とニオブ(Nb)とを含むペロブスカイト型酸化物の他、アルカリ土類金属元素とニオブ(Nb)とを含むタングステンブロンズ構造を有する酸化物を、圧電層の1モル%以下含有することが好ましい。タングステンブロンズ型酸化物におけるアルカリ土類金属元素としては、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびバリウム(Ba)からなる群のうちの少なくとも1種が好ましい。タングステンブロンズ型酸化物におけるニオブ(Nb)の一部は、タンタル(Ta)で置換されていてもよい。タングステンブロンズ型酸化物は例えば下記化学式(2)で表される
M1(Nb1−wTa …(2)
化学式(2)中、M1はアルカリ土類金属元素を表し、wは0≦w<0.15の範囲内の値である。M1元素と(Nb1−wTa)と酸素との組成比は化学量論的に求めたものであり、化学量論組成からずれていてもよい。
なお、前記タングステンブロンズ型酸化物におけるニオブ(Nb)とタンタル(Ta)との比率は、前記アルカリ金属元素とニオブ(Nb)とを含む酸化物におけるニオブ(Nb)とタンタル(Ta)との比率と同一でもよく、異なっていてもよい。
また、アルカリ金属元素とニオブ(Nb)とを含む酸化物と前記タングステンブロンズ型酸化物との合計におけるタンタル(Ta)の含有量は、ニオブ(Nb)に対し15モル%以下であることが好ましい。タンタル(Ta)の含有量が多くなり過ぎると、キュリー温度が低くなると共に、電気機械結合係数および発生変位量が小さくなってしまうからである。
或いは、圧電層は、アルカリ土類金属元素とチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)から選ばれる1種以上とを含むペロブスカイト型酸化物を、15モル%以下含有することが好ましい。アルカリ土類金属元素とチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)から選ばれる1種以上とを含むペロブスカイト型酸化物は、前記タングステンブロンズ型酸化物と併用することがさらに好ましい。このような場合に、より優れた圧電特性を得ることができるからである。
アルカリ土類金属元素とチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)から選ばれる1種以上とを含むペロブスカイト型酸化物におけるアルカリ土類金属元素としては、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびバリウム(Ba)からなる群のうちの少なくとも1種が好ましい。アルカリ土類金属元素とチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)から選ばれる1種以上とを含むペロブスカイト型酸化物は、例えば化学式(3)で表される。
(M2)(TiZr1−v)O…(3)
化学式(3)中、M2はアルカリ土類金属元素を表す。アルカリ土類金属元素とチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)と酸素(O)との組成比は化学量論的に求めたものであり、化学量論組成からずれていてもよい。また、チタン(Ti)とジルコニウム(Zr)の関係vは0≦v≦1の範囲内の値であり、さらにハフニウム(Hf)を含有しても良い。
圧電層における3種類の酸化物の比率は、下記式(4)の条件を満足することが好ましい。式(4)中、Aはアルカリ金属元素とニオブ(Nb)とを含むペロブスカイト型酸化物、Bはアルカリ土類金属元素とチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)から選ばれる1種以上とを含むペロブスカイト型酸化物、Cはアルカリ土類金属元素とニオブ(Nb)とを含むタングステンブロンズ型酸化物を表す。また、m、nはモル比を表し、0≦m≦0.15、nは0≦n≦0.01の範囲内の値である。m、nをそれぞれ前記範囲内とすることで、比誘電率εr、電気機械結合係数kr及び発生変位量の各特性について、バランス良く高い値が得られる。
(1−m−n)A+mB+nC …(4)
アルカリ金属元素とニオブ(Nb)とを含むペロブスカイト型酸化物、タングステンブロンズ型酸化物及びアルカリ金属元素とチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)から選ばれる1種以上とを含むペロブスカイト型酸化物を主成分としたとき、圧電層は、副成分として、遷移金属元素および希土類金属元素のうちの少なくとも1種を含む酸化物を含有することが好ましい。前記副成分の含有量は、主成分の0.1質量%以上1質量%以下の範囲内とすることが好ましい。焼結性を向上させることにより圧電特性をより向上させることができるからである。この副成分の酸化物は、主成分の組成物の粒界に存在していることもあるが、主成分の組成物の一部に拡散して存在していることもある。中でも、遷移金属元素のマンガン(Mn)を含む酸化物が好ましい。
なお、圧電特性(変位量)、機械的品質係数(Qm)、比誘電率および各種信頼性を向上させるために、副成分としてマンガン(Mn)の他に複数の元素を含んでいても良い。
副成分として例えばマンガン(Mn)を含む酸化物を圧電層に含有させるためには、圧電層を形成するための原料中に炭酸マンガン(MnCO)の形態で含ませることが好ましい。原料粉末として炭酸マンガン(MnCO)をとして含むことにより、焼成及び分極を安定して行うことができる。
次に、圧電層が、アルカリ金属元素とビスマス(Bi)とを含む酸化物を含有する場合について、詳細に説明する。アルカリ金属元素とビスマス(Bi)とを含む酸化物はA2++4型のペロブスカイト型酸化物である。アルカリ金属元素とビスマス(Bi)とを含む酸化物において、アルカリ金属元素としてはナトリウム(Na)、カリウム(K)から選ばれる1種以上とを含むことが好ましい。
なお、アルカリ金属元素とビスマス(Bi)とを含む酸化物を化学式で表すと、例えば下記(5)で表される。式中uは、0.01以上、0.40以下であることが好ましい。
((Na1−u0.5Bi0.5)TiO …(5)
圧電層がアルカリ金属元素とビスマス(Bi)とを含む酸化物を含有する場合には、菱面晶系ペロブスカイト構造化合物であるチタン酸ナトリウムビスマス((Na0.5Bi0.5)TiO))と、正方晶系ペロブスカイト構造化合物であるチタン酸カリウムビスマス((K0.5Bi0.5)TiO))とを含有する場合、または、菱面晶系ペロブスカイト構造化合物であるチタン酸ナトリウムビスマス((Na0.5Bi0.5)TiO))と、正方晶系ペロブスカイト構造化合物であるチタン酸カリウムビスマス((K0.5Bi0.5)TiO))とを含む固溶体を含有している場合と、2つの状態がある。すなわち、菱面晶系ペロブスカイト構造化合物であるチタン酸ナトリウムビスマス((Na0.5Bi0.5)TiO))と、正方晶系ペロブスカイト構造化合物であるチタン酸カリウムビスマス((K0.5Bi0.5)TiO))とは固溶していてもよく、完全に固溶していなくてもよい。
これにより、この圧電磁器では、少なくとも一部において結晶学的な相境界(M.P.B.)が形成され、圧電特性が向上するようになっている。具体的には、1成分系あるいは2成分系に比べて誘電率、電気機械結合係数あるいは圧電定数などの圧電特性が向上するようになっている。
チタン酸ナトリウムビスマスは、菱面晶系(Rhombohedral)ペロブスカイト構造を有しており、ナトリウム(Na)およびビスマス(Bi)はペロブスカイト構造のAサイトに位置し、チタン(Ti)はペロブスカイト構造のBサイトに位置している。その組成は例えば下記化学式(6)により表される。
(Na0.5Bi0.5TiO …(6)
化学式(6)中、sは化学量論組成であれば1であるが、化学量論組成からずれていてもよく、1以下であれば焼結性を高めることができると共により高い圧電特性を得ることができるので好ましい。ナトリウム(Na)とビスマス(Bi)との組成、および酸素(O)の組成は化学量論組成から求めたものであり、化学量論組成からずれていてもよい。
チタン酸カリウムビスマスは、正方晶系(Tetragonal)ペロブスカイト構造を有しており、カリウム(K)およびビスマス(Bi)はペロブスカイト構造のAサイトに位置し、チタンはペロブスカイト構造のBサイトに位置している。その組成は例えば下記化学式(7)により表される。
(K0.5Bi0.5TiO …(7)
化学式(7)中、tは化学量論組成であれば1であるが、化学量論組成からずれていてもよい。カリウム(K)とビスマス(Bi)との組成、および酸素(O)の組成は化学量論組成から求めたものであり、化学量論組成からずれていてもよい。
これら菱面晶系ペロブスカイト構造化合物であるチタン酸ナトリウムビスマス((Na0.5Bi0.5)TiO))と、正方晶系ペロブスカイト構造化合物であるチタン酸カリウムビスマス((K0.5Bi0.5)TiO))とのモル比による組成比は、(K0.5Bi0.5)TiOが40%以下であることが望ましい。これは、菱面晶系ペロブスカイト構造化合物と正方晶系ペロブスカイト構造化合物の結晶学的な相境界(M.P.B.)から遠ざかると圧電特性が低下し、圧電特性が低下してしまうからである。なお、ここで言う組成比というのは、固溶しているものも固溶していないものも含めた、アルカリ金属元素とビスマス(Bi)とを含む酸化物全体における値である。
圧電層がアルカリ金属元素とビスマス(Bi)とを含む酸化物を含有する場合、さらに、アルカリ土類金属元素とチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)から選ばれる1種以上とを含むペロブスカイト型酸化物を、15モル%以下含有することが好ましい。アルカリ土類金属元素としては、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびバリウム(Ba)からなる群のうちの少なくとも1種が好ましい。このような場合に、より優れた圧電特性を得ることができるからである。アルカリ土類金属元素とチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)から選ばれる1種以上とを含むペロブスカイト型酸化物は、具体的には、前記化学式(3)で表される。
圧電層がアルカリ金属元素とビスマス(Bi)とを含む酸化物を含有する場合、先に説明したような、アルカリ金属元素とニオブ(Nb)とを含む酸化物をさらに含有してもよい。そのときの圧電層におけるアルカリ金属元素とニオブ(Nb)とを含む酸化物の含有量は15モル%以下とすることが好ましい。
なお、圧電層は、鉛(Pb)を含んでいてもよいが、低公害化、対環境性及び生態学的見地から、その含有量を1質量%以下とすることが好ましく、鉛を全く含まないことがより好ましい。従来の鉛系圧電磁器を用いた積層型圧電素子においては、焼成中に鉛が揮発したり、積層型圧電素子が市場に流通し廃棄された後、環境中への鉛の放出が懸念されたが、圧電層から鉛を排除することで、低公害化、対環境性および生態学的見地から極めて優れた積層型圧電素子を実現することができる。したがって、積層型圧電素子の応用範囲のさらなる拡大を図ることができる。
圧電層は焼結体である圧電磁器からなり、圧電層の一層あたりの厚さは例えば1μm〜200μm程度が好ましい。電極層の数は目的とする変位量に応じて決定される。また、圧電磁器の結晶粒の平均粒径は1μm〜50μmが好ましい。
以上のような積層型圧電素子においては、圧電層にアルカリ金属元素とニオブ(Nb)又はビスマス(Bi)とを含む酸化物を用いる場合において、内部電極を卑金属で構成したので、圧電層中に含まれるニオブ(Nb)、或いはビスマス(Bi)が電極材料と反応することに起因する圧電特性の低下を生じることなく、大きな変位量を得ることができる。それとともに、積層数により変位量を任意に調整することもできる。よって、鉛を含有せず、低公害化、対環境性および生態学的見地から極めて優れた、比較的安価な積層型圧電素子の活用を図ることができる。
以上のような構成を有する積層型圧電素子は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、圧電層を形成するための圧電層用ペーストを作製する。例えば、前述した主成分等の原料としてそれらを含む酸化物、複合酸化物または化合物を用意し、この原料粉末を上述した範囲内となるように混合した後、仮焼、粉砕した微粉末にビヒクルを加えて混練する。ここに記した化合物には、焼成により酸化物となる炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、しゅう酸塩、水酸化物あるいは有機金属化合物である。
ビヒクルには有機ビヒクルあるいは水系ビヒクル等があり。目的等に応じて適宜選択すればよい。有機ビヒクルはバインダを有機溶媒に溶解させたもの、水系ビヒクルは水に水溶性バインダおよび分散材などを溶解させたものである。バインダは特に限定されず、エチルセルロースあるいはポリビニルブチラールなどの各種バインダから選択して用いられる。有機溶媒も特に限定されず、成形方法に応じて選択される。例えば、印刷法あるいはシート法などにより成形する場合には、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトンあるいはトルエンなどが選択される。水溶性バインダもとくには限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性アクリル樹脂あるいはエマルジョンなどから選択して用いられる。
圧電層用ペーストにおけるビヒクルの含有量は特に限定されず、通常はバインダが1〜5質量%程度、溶剤が10〜50質量%程度となるように調整する。また、圧電層用ペーストには、必要に応じて分散材または可塑剤などの添加物を添加しても良い。その添加量は合計で10質量%以下とすることが望ましい。
次いで、内部電極を形成するための内部電極用ペーストを作製する。内部電極用ペーストは、例えば金属銅や焼成後に金属銅となる銅化合物等、内部電極の原料をビヒクルと混練する。
ビヒクルは圧電層用ペーストと同様のものを用いることができる。内部電極用ペーストにおけるビヒクルの含有量も圧電層用ペーストと同様である。また、内部電極用ペーストには、必要に応じて分散材、可塑剤、圧電体材料などの添加物を添加しても良い。その添加量は合計で20質量%以下とすることが好ましい。
続いて、これら圧電層用ペーストと内部電極用ペーストとを用い、例えば、印刷法あるいはシート法により、積層体の前駆体であるグリーンチップを作製する。例えば印刷法を用いる場合には、圧電層用ペーストおよび内部電極用ペーストをポリエチレンテレフタレート製基板(以下PET基板という)などの上に交互に印刷し、熱圧着した後、所定形状に切断し、基板から剥離してグリーンチップとする。また、シート法を用いる場合には、圧電層用ペーストを用いてグリーンシートを形成し、このグリーンシートの上に内部電極用ペースト層を印刷した後、これらを積層して圧着し、所定形状に切断してグリーンチップとする。
グリーチップを作製した後、脱バインダ処理を行う。脱バインダ処理後、焼成を行い積層体を形成する。焼成時の雰囲気は、内部電極に銅(Cu)を用いる場合、酸素分圧を1×10−7atom〜1×10−20atomとすることがのぞましい。酸素分圧がこの範囲未満であると、アルカリ金属元素が還元され、圧電特性を低下させるからであり、酸素分圧がこの範囲を越えると、内部電極が酸化してしまう傾向があるからである。
積層体を形成した後、例えばバレル研磨やサンドブラストなどにより端面研磨を施し、端子電極を形成する。端子電極の厚みは用途等に応じて適宜決定されるが、通常10μm〜50μm程度である。端子電極は、例えば、内部電極用ペーストと同様にして作製した端子電極用ペーストを印刷または転写して焼き付けることにより形成することができる。
この端子電極ペーストは、例えば、導電材料、ガラスフリット、ビヒクルとを含有している。導電材料は、例えば、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)および白金(Pt)からなる群のうち少なくとも1種を含んでいる。ビヒクルとしては、圧電層ペーストと同様とすることができる。
以下、本発明を適用した具体的な実施例について、実験結果に基づいて説明する。
(実施例1〜6)
下記化学式(8)に示した圧電磁器を用いて積層型圧電素子を作製した。また、銅(Cu)を主成分とする内部電極を用いた。
(0.995−m)(Na0.570.38Li0.05)NbO+mSrZrO+nBaNb …(8)
まず、主成分の原料として、炭酸ナトリウム(NaCO)粉末、炭酸カリウム(KCO)粉末、酸化ニオブ(Nb)粉末、炭酸リチウム(LiCO)粉末、炭酸ストロンチウム(SrCO)粉末、炭酸バリウム(BaCO)および酸化ジルコニウム(ZrO)をそれぞれ用意した。また、副成分の原料として、炭酸マンガン(MnCO)粉末を用意した。次いで、これら主成分および副成分の原料を十分に乾燥させたのち、主成分が化学式(8)および表1に示した組成となり、副成分である酸化マンガンの含有量が主成分に対して0.31質量%となるように秤量した。なお、副成分の含有量は、主成分の原料のうち炭酸塩をCOが解離した酸化物に換算し、その換算した主成分の原料の合計質量に対して副成分の原料である炭酸マンガン粉末の混合量が0.5質量%となるようにしたものである。
続いて、炭酸ストロンチウム粉末と酸化ジルコニウムとをボールミルにより水中で混合し、乾燥したのち、1100℃で2時間焼成してジルコン酸ストロンチウムを作製した。
ジルコン酸ストロンチウムを作製したのち、このジルコン酸ストロンチウムと、他の主成分の原料と、副成分の原料とをボールミルにより水中で混合して乾燥し、プレス成形して、850℃〜1000℃で2時間仮焼した。仮焼したのち、ボールミルを用いて水中で粉砕し、再び乾燥した。
続いて、この粉末100質量部に対して、アクリル樹脂を5.0質量部、ミネラルスピリットを6.5質量部、アセトンを4.0質量部、トリクロロエタンを20.5質量部、および塩化メチレンを41.5質量部の割合でそれぞれ添加し、ボールミルにより混合して圧電用ペーストを作製した。
また、銅粒子60質量部に対してテルピネオール33質量部、エチルセルロース6質量部、およびベンゾトリアゾール1質量部の割合でそれぞれ添加し、3本ロールにより混練して内部電極用ペーストを作製した。
これら圧電層用ペースト、内部電極用ペーストおよび端子電極用ペーストをそれぞれ作製した後、フィルム上のPET基板の上に圧電層用ペーストを用いて厚みが50μmになるようにグリーンシートを形成し、このグリーンシートの上に内部電極用ペーストを印刷した。次いで、内部電極用ペーストを印刷したグリーンシートをPET基板から剥離し、複数枚積層して圧着し、所定の大きさに切断してグリーンチップを得た。その際、グリーンシートの積層数は、内部電極に挟まれた圧電層の層数が20層となるようにした。
続いて、このグリーンチップについて脱バインダ処理および焼成を下記の条件で行い、焼結体からなる積層体を作製した。
<脱バインダ処理>
昇温速度 : 20℃/時間
保持温度 : 300℃
保持時間 : 2時間
雰囲気 : 空気中
<焼成条件>
昇温速度 : 200℃/時間
保持温度 : 1000℃
保持時間 : 4時間
冷却速度 : 200℃/時間
雰囲気 : 加湿(40℃)した窒素と水素との混合ガス
酸素分圧は1×10−10atom
焼成に際しては、こうばちに脱バインダ済みのグリーンチップを入れ、圧電層と同じ成分の粉末によりグリーンチップを覆った状態とした。
積層体を作製した後、端面に端子電極用ペーストを転写して、窒素ガスと水素ガスとの混合ガス雰囲気中において600℃で10分間焼成して端子電極を形成した。これにより、実施例1〜6および比較例1〜3についての積層型圧電素子をそれぞれ得た。得られた積層型圧電素子の大きさは、6mm×6mm×2mmであり、内部電極にはさまれた圧電層の厚さは100μm、内部電極の厚さは2μmであった。
このようにして得られた積層型圧電素子を150℃のシリコンオイル中で電界強度5kV/mmで15分間分極処理を行い24時間放置したのち、3kV/mmの電界を印加した際の発生変位量を測定した。発生変位量の測定には、渦電流による変位測定装置を用いた。この変位測定装置は、直流電流を印加した場合の試料の変位を変位センサーにより検出し、変位検出器によりその発生変位量を求めるものである。なお、表1に示した発生変位量は、測定値を試料の厚さで割り100を掛けた値(測定値/試料の厚さ×100)である。
また、本実施例に対する比較例1〜3として、内部電極にAg/Pd電極を用い、空気中焼成したことを除き、他は実施例1〜6と同様にして積層型圧電素子を作製した。
比較例1〜3についても、実施例1〜6と同様にして、3kV/mmの電界を印加した際の発生変位量を測定した。それらの結果についても表1に合わせて示す。
Figure 2007258280
表1に示したように、実施例1〜6によれば、内部電極にAg/Pd電極を用いた比較例1〜3よりも発生変位量について大きな値が得られた。すなわち、内部電極にCuを用いるようにすれば、発生変位量をより大きくできることが分かった。
(実施例7〜10)
化学式(9)に示した圧電磁器および銅を主成分とする内部電極を用い、積層型圧電素子を作製した。その作製方法はニオブ(Nb)の10モル%をタンタル(Ta)に置換したことを除き、他は実施例1〜6と同様である。タンタル(Ta)の原料には酸化タンタル(Ta)粉末を用いた。その組成を表2に示した。
(0.995−m)(Na0.570.38Li0.05)(Nb0.9Ta0.1)O+mSrZrO+nBa(Nb0.9Ta0.1 …(9)
本実施例に対する比較例4、5として、内部電極にAg/Pd電極を用い、空気中焼成したことを除き、他は実施例7〜10と同様にして積層型圧電素子を作製した。
実施例7〜10および比較例4、5についても、実施例1〜6と同様にして、3kV/mmの電界を印加した際の発生変位量を測定した。それらの結果を表2に示す。
Figure 2007258280
表2に示したように、実施例7〜10によれば、タンタル(Ta)を含まない実施例1〜6と同様に、比較例よりも発生変位量について大きな値が得られた。
さらに、タンタル(Ta)でニオブ(Nb)の一部を置換することにより、実施例1〜6と比較して大きな発生変位量を得られることがわかる。
(実施例11〜13)
化学式(10)に示した組成物を主成分として含むようにしたことを除き、他は実施例1〜6と同様に積層型圧電素子を作製した。マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)の原料としては、塩基性炭酸マグネシウム(4MgCO3・Mg(OH)・4HO)、炭酸カルシウム(CaCO)を使用した。
0.990(Na0.570.38Li0.05)(Nb0.9Ta0.1)O+0.05SrZrO+0.005(M1)(Nb0.9Ta0.1 …(10)
(M1=Mg,Ca,Sr)
本実施例に対する比較例6〜8は、内部電極にAg/Pd電極を用い、空気中焼成したことを除き、他は実施例11〜13と同様にして積層型圧電素子を作製した。
実施例11〜13および比較例6〜8についても、実施例1〜6と同様にして、3kV/mmの電界を印加した際の発生変位量を測定した。それらの結果を表3に示す。
Figure 2007258280
表3に示したように、実施例11〜13によれば、タングステンブロンズ構造化合物のバリウム(Ba)を同じアルカリ土類金属元素であるマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)に変えた場合も、実施例1〜6と同様に、比較例6〜8よりも発生変位量について大きな値が得られた。
(実施例14〜20)
化学式(11)に示した組成物を主成分として含むようにしたことを除き、他は実施例1〜6と同様に積層型圧電素子を作製した。チタン(Ti)の原料としては酸化チタン(TiO)を使用した。また、化学式(11)中の(M2)(M3)Oについては、化学式(8)中のSrZrOと同様に、事前に合成、粉砕した後、他の原料粉末と混合させた。このとき事前に合成されたものが単一のペロブスカイト構造化合物になっていない場合もあるが、最終生成物として異相が存在しなければよい。
0.990(Na0.570.38Li0.05)(Nb0.9Ta0.1)O+0.05(M2)(M3)O+0.005Ba(Nb0.9Ta0.1 …(11)
(M2=Mg、Ca、Ba、M3=Ti、Zr)
本実施例に対する比較例9〜10は、内部電極にAg/Pd電極を用い、空気中焼成したことを除き、他は実施例14〜20と同様にして積層型圧電素子を作製した。実施例14〜20および比較例9〜10についても、実施例1,2と同様にして、3kV/mmの電界を印加した際の発生変位量を測定した。それらの結果を表4に示す。
Figure 2007258280
表4に示したように、実施例9〜17によれば、化学式(11)中のM3をチタン(Ti)にした場合、M2として各種アルカリ土類金属元素にした場合の発生変位量は、比較例9〜11よりも大きな値が得られた。また、実施例18〜20によれば化学式(11)中のM3をジルコニウム(Zr)した場合、M2として各種アルカリ土類金属元素にした場合の発生変位量も大きな値が得られた。
(実施例21)
本実施例では、化学式(12)に示した組成物を主成分として含むようにしたことを除き、他は実施例1〜6と同様に積層型圧電素子を作製した。
(Na0.40.1Bi0.50.99TiO …(12)
なお、化学式(12)の組成物は、以下のように作製した。
まず、主成分の原料として、炭酸ナトリウム(NaCO)粉末、炭酸カリウム(KCO)粉末、酸化ビスマス(Bi)粉末および酸化チタン(TiO)粉末をそれぞれ用意した。また、副成分の原料として、炭酸マンガン(MnCO)粉末を用意した。次いで、これら主成分および副成分の原料を十分に乾燥させたのち、主成分が化学式(12)および表5に示した組成となるように秤量した。
これらをボールミルにより水中で混合して乾燥し、プレス成形して、750℃〜1000℃で2時間仮焼した。仮焼したのち、ボールミルを用いて水中で粉砕し、再び乾燥した。
本実施例に対する比較例12として、内部電極にAg/Pd電極を用い、空気中焼成したことを除き、他は実施例21と同様にして積層型圧電素子を作製した。
実施例21および比較例12についても、実施例1〜6と同様にして、3kV/mmの電界を印加した際の発生変位量を測定した。それらの結果を表5に示す。
Figure 2007258280
表5に示したように、実施例21によれば、アルカリ金属元素とビスマス(Bi)とを含むペロブスカイト酸化物の場合も、アルカリ金属元素とニオブ(Nb)とを含むペロブスカイト酸化物の場合と同様に、内部電極にCuを用いることで、大きな発生変位量がえられている。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は、上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形することができる。
本発明の一実施形態に係る積層型圧電素子の概略断面図である。
符号の説明
1 圧電層、2 内部電極、3 端子電極

Claims (11)

  1. 複数の圧電層と複数の内部電極とが交互に積層された積層型圧電素子であって、
    前記圧電層はアルカリ金属元素とニオブ(Nb)又はビスマス(Bi)とを含む酸化物を含有し、
    前記内部電極は卑金属により構成されることを特徴とする積層型圧電素子。
  2. 前記内部電極は銅(Cu)又は銅(Cu)合金により構成されることを特徴とする請求項1記載の積層型圧電素子。
  3. 前記酸化物はアルカリ金属元素とニオブ(Nb)とを含む酸化物であり、
    前記アルカリ金属元素としてナトリウム(Na)、カリウム(K)及びリチウム(Li)を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の積層型圧電素子。
  4. 前記酸化物におけるニオブ(Nb)の15モル%以下がタンタル(Ta)で置換されていることを特徴とする請求項3記載の積層型圧電素子。
  5. 前記アルカリ金属元素とニオブ(Nb)とを含む酸化物はペロブスカイト型酸化物であることを特徴とする請求項3又は4記載の積層型圧電素子。
  6. 前記圧電層はアルカリ土類金属元素とニオブ(Nb)とを含むタングステンブロンズ型酸化物を含有し、
    前記圧電層における前記タングステンブロンズ型酸化物の含有量は1モル%以下であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項記載の積層型圧電素子。
  7. 前記圧電層はアルカリ土類金属元素とチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)から選ばれる1種以上とを含むペロブスカイト型酸化物を含有し、
    前記圧電層におけるアルカリ土類金属元素とチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)から選ばれる1種以上とを含むペロブスカイト型酸化物の含有量は15モル%以下であることを特徴とする請求項6記載の積層型圧電素子。
  8. 前記酸化物はアルカリ金属元素とビスマス(Bi)とを含む酸化物であり、
    前記アルカリ金属元素としてナトリウム(Na)、カリウム(K)から選ばれる1種以上とを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の積層型圧電素子。
  9. 前記アルカリ金属元素とビスマス(Bi)とを含む酸化物はペロブスカイト型酸化物であることを特徴とする請求項8記載の積層型圧電素子。
  10. 前記圧電層はアルカリ土類金属元素とチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)から選ばれる1種以上とを含むペロブスカイト型酸化物を含有し、
    前記圧電層における前記アルカリ土類金属元素とチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)から選ばれる1種以上とを含むペロブスカイト型酸化物の含有量は15モル%以下であることを特徴とする請求項8又は9記載の積層型圧電素子。
  11. 前記圧電層はアルカリ金属元素とニオブ(Nb)とを含む酸化物を含有し、
    前記圧電層における前記アルカリ金属元素とニオブ(Nb)とを含む酸化物の含有量は15モル%以下であることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項記載の積層型圧電素子。
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