JP2008200711A - 軽金属複合材料の製造方法及びこの方法で得られた軽金属複合材料 - Google Patents

軽金属複合材料の製造方法及びこの方法で得られた軽金属複合材料 Download PDF

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Abstract

【課題】比較的低温で安全かつ容易に製造でき、不必要な反応生成物の生成を可及的に防止でき、また、比較的複雑な形状も作製することができ、しかも、不純物成分の少ない高純度の軽金属複合材料を製造できるほか、比較的粒径の大きな無機粉体が分散した軽金属複合材料の製造も可能である軽金属複合材料の製造方法を提供する。
【解決手段】鋳型のキャビティ内に無機粉体を充填し、次いで上記キャビティ内の無機粉体中に半溶融状態の軽金属を加圧浸透させることを特徴とする軽金属複合材料の製造方法である。
【選択図】図2

Description

この発明は、マトリックス軽金属中に無機粉体を分散させた軽金属複合材料の製造方法、及びこの方法で得られた軽金属複合材料に関する。
これまでにも、機械部品の強度や耐磨耗性等の機械的特性を向上させる目的で、あるいは、光触媒活性、超伝導性、磁性、発光性(蓄光性及び/又は蛍光性等)、更には耐摩耗性、耐熱性等の機能を備えた機能性材料を製造する目的で、マトリックス軽金属中にアルミナ粒子、チタニア粒子、セラミック粒子、セラミックウィスカー、発光顔料等の粒子状又は微細繊維状の無機粉体を分散させた種々の金属複合材料が提案されている。
例えば、特許文献1には、鋳型内に粉末粒子を挿入しておき、この鋳型内にマトリックス金属の溶湯を噴射してマトリックス金属内に粉末粒子を分散させ、その後に高圧付加状態のまま鋳型底部より一方向凝固させ、低体積率の粉末粒子がマトリックス金属内に均一に分布した粒子分散型複合材料を製造する方法が開示されている。
また、特許文献2には、チタニア粒子で造粒粉を作り、この造粒粉で作成したプリフォームにAl合金の溶湯を加圧含浸させることにより、チタニアを強化材とした所定のAl合金領域体積率及びチタニア粒子体積率を有するAl基複合材料の製造方法が開示されている。
更に、特許文献3には、マグネシウム合金チップ等のマトリックス金属材とアルミナ粒子等の強化材とをボールミル機により混合して金属材に強化材を付着させ、これをふるいにかけて所定寸法以上のものを分別し、次いで半溶融若しくは溶融状態で射出成形することにより、強化材の分散性に優れ、ショット毎の強化材含有率が比較的均一で、機械特性の良好な金属基複合材料を製造する方法が開示されている。
更にまた、特許文献4には、固相と液相が共存状態にある半溶融合金を、セラミックスウィスカー又はセラミックス粒子からなる予備成形体に加圧含浸させることにより、強度や耐摩耗性等の機械的諸特性の向上を図ることができ、また、このような特性を必要な部分に対してのみ付与することができ、しかも、鋳造欠陥の低減や、鋳型の長寿命化も図れるセラミックス強化金属基複合材料の製造方法が開示されている。
そして、特許文献5には、所定の発光顔料粒子を加圧成形してプリフォームを形成し、このプリフォームにアルミニウム溶湯を加圧浸透させることにより、発光顔料/アルミニウム基複合材料を製造する方法が開示されている。
特開平04−351258号公報 特開平08−176703号公報 特開平09−295122号公報 特開2000−225457号公報 特開2006−225754号公報
しかしながら、これら特許文献1〜5に記載された軽金属複合材料の製造方法においては、(a)軽金属溶湯を用いるために鋳造時の溶融温度が比較的高く、それだけ鋳型が損傷し易いほか、省エネルギーや作業の安全性の観点からも問題があること、(b)マトリックス軽金属中に分散させる強化材等の無機粉体について、予めプリフォームを成形するプリフォーム成形作業やこのプリフォームを鋳型のキャビティ内の所定の位置に配置するプリフォーム配置作業が必要になり、作業工程が多くて製造コストが嵩むほか、複雑な形状の軽金属複合材料の製造が難しいこと、(c)プリフォーム成形の際にバインダーの使用が必要になり、バインダーそれ自体やバインダー由来の反応生成物が不純物成分として含まれ、それだけ製造された軽金属複合材料の純度が低下したりその性能に悪影響を与える場合があること、等の軽金属複合材料の用途に応じて解決すべき種々の問題がある。
そこで、本発明者らは、このような従来の軽金属複合材料の製造方法における種々の問題を解決するために鋭意検討した結果、意外なことには、マトリックス軽金属中に分散させる無機粉体について予めプリフォームを成形する等の前処理を行うことなく、この無機粉体をそのまま鋳型のキャビティ内に充填し、次いでこのキャビティ内の無機粉体中に半溶融状態の軽金属を加圧浸透させることにより、軽金属複合材料を比較的低温で安全かつ容易に製造することができ、また、不必要な反応生成物の生成を可及的に防止でき、更に、比較的複雑な形状の軽金属複合材料も容易に作製することができ、しかも、予めプリフォームを成形する等の無機粉体の前処理を行う場合と比較して、不純物成分の少ない高純度の軽金属複合材料を製造できるほか、比較的粒径の大きな無機粉体が分散した軽金属複合材料の製造も可能であることを見い出し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、比較的低温で安全かつ容易に製造でき、不必要な反応生成物の生成を可及的に防止でき、また、比較的複雑な形状も作製することができ、しかも、不純物成分の少ない高純度の軽金属複合材料を製造できるほか、比較的粒径の大きな無機粉体が分散した軽金属複合材料の製造も可能である軽金属複合材料の製造方法を提供することにある。
すなわち、本願発明は、鋳型のキャビティ内に無機粉体を充填し、次いで上記キャビティ内の無機粉体中に半溶融状態の軽金属を加圧浸透させることを特徴とする軽金属複合材料の製造方法である。
本発明において、複合材料を形成するために使用される軽金属については、製造される複合材料の用途等に応じて、アルミニウム及びその合金、マグネシウム及びその合金、及びこれら金属あるいは合金の粉末等から選ばれた1種又は2種以上の混合物を挙げることができる。製造時に半溶融状態で鋳型キャビティ内の無機粉体中に加圧浸透させることから、本発明で用いる軽金属は、その半溶融温度が好ましくは溶融温度未満、より好ましくは660℃以下であるのがよく、また、本発明の効果が顕著に発現し、また、加熱に対するコスト、作業効率、作業の安全性等の観点から、更に好ましくは、融点と半溶融温度との間に50℃以上、より好ましくは70℃以上の差があるのがよい。本発明で用いる最も好適な軽金属は、融点が1,000℃以下で固液共存領域として100℃程度の範囲を持つものであることから、半溶融温度が550℃以上700℃以下であるアルミニウム又はアルミニウム合金である。ここで、半溶融温度とは、固相と液相とが共存している状態(半溶融状態)にある軽金属又はその合金の温度であり、例えば、純アルミニウムの場合には融点660℃に対して半溶融温度650〜700℃であり、また、Al-7wt%Si合金やAC4CH合金の場合には融点610℃に対して半溶融温度580〜640℃である。
また、本発明において、複合材料を形成するために使用される無機粉体については、それがマトリックスとなる半溶融状態の軽金属と接触した際に晒される当該軽金属の半溶融温度で安定であって、所望により、強度や耐磨耗性等の機械的特性を向上させることができるものや、マトリックス軽金属中に分散されて得られた複合材料に光触媒性、超伝導性、磁性、発光性、耐摩耗性、耐熱性等のマトリックス軽金属にはない新たな機能を付与できるものであるのがよい。このような無機粉体としては、特に制限されるものではないが、例えば、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、ストロンチウム(Sr)、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、バリウム(Ba)、ビスマス(Bi)、イットリウム(Y)、及びボロン(B)から選ばれた1種又は2種以上の元素の酸化物、炭化物、ホウ化物、又は窒化物等を挙げることができ、また、特に発光性(蓄光性及び/又は蛍光性等)の機能を備えた無機粉体としてはユウロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ジスプロシウム(Dy)及びバリウム(Ba)からなる群から選ばれた1種類又は2種類以上の元素で賦活されたアルミン酸ストロンチウムを含む発光顔料等を例示することができる。
そして、このような無機粉体については、それが球形状、円柱形状、立方体形状、不定形状等の粒子状であっても、また、針状や短繊維状等であってもよいが、製品の成形性、粒子の流動性の観点から、好ましくはその粒径が0.3μm以上、より好ましくは0.3μm以上40μm以下の粒子状粉体であるのがよい。無機粉体の粒径が0.3μmより小さくなると、粒子間隙が狭くなり、半溶融状態の金属が浸透するための圧力が増大し、結果的に複合化し難くなるという問題が生じる場合があり、また、40μmを超えて大きくなると、粒子間隙が大きくなるので複合化は容易になるが、粒子形状がいびつであると、加圧時に粒子が破壊して内部欠陥として残存したり、粒子の粗さが表面性状に影響して割れの原因になる場合がある。
この無機粉体については、マトリックス軽金属中に分散させる際に予めプリフォームを成形する等の前処理を行うことなく、鋳型のキャビティ内にそのまま充填されるので、必要により、マトリックス軽金属と無機粉体を構成する各単位体(粒子や短繊維等)との間の密着性向上等を目的に、同一の金属元素や濡れ性を改善する元素、例えばアルミニウムや炭素ターゲットによるイオンコーティング等で表面処理を行なってもよい。
本発明においては、基本的には、先ず、鋳型のキャビティ内に無機粉体を充填し、次いで、このキャビティ内の無機粉体中に半溶融状態の軽金属を加圧浸透させるものであるが、好ましくは、鋳型は、無機粉体が充填されるキャビティと、一方がこのキャビティに連通すると共に他方が摺動可能な加圧板で仕切られて半溶融軽金属を収容する半溶融軽金属収容室とを備え、また、無機粉体中に半溶融軽金属を加圧浸透させる半溶融軽金属の加圧浸透操作は、キャビティ内に無機粉体を充填すると共に半溶融軽金属収容室内に軽金属を収容し、次いでこの軽金属を半溶融温度まで昇温させて半溶融軽金属とした後、上記加圧板を介して半溶融軽金属を加圧し、これによって半溶融軽金属をキャビティ内の無機粉体中に浸透させることにより行うのがよい。このように加圧板を介してキャビティ内の無機粉体中に半溶融軽金属を加圧浸透させることにより、無機粉体中に浸透する半溶融軽金属に対して均等に圧力を作用させることができ、結果として無機粉体中に半溶融軽金属を均一に浸透させることができる。
また、この無機粉体中への半溶融軽金属の加圧浸透操作の際には、好ましくは鋳型のキャビティ内を実質的に密閉系に維持するのがよく、密閉系に維持することによって、キャビティ内に充填された無機粉体全体に半溶融軽金属の加圧力が均一に作用し、この無機粉体中に半溶融軽金属がより均一に浸透し、製造された軽金属複合材料はその全体がより均一な品質に形成される。
また、鋳型には、そのキャビティ内を所定の加圧下に維持しながらキャビティ内の空気を外部に放出するために、例えば半溶融軽金属の浸透方向下流側の壁体に微小孔を設けたり、あるいは、加圧板の外周面と軽金属収容室の内壁面との間に微小間隙を設けるのがよく、これによって、無機粉体の粒子間に半溶融軽金属が浸透しないために発生する粒子間空隙の発生をより可及的に低減することができる。
特に、鋳型の加圧板として黒鉛製押し板を用いた場合には、無機粉体中への半溶融軽金属の加圧浸透操作時に、この黒鉛製押し板の外周面が軽金属収容室の内壁面に摺接して非常に僅かづつ削られ、これによって黒鉛製押し板の外周面と軽金属収容室の内壁面との間に微小間隙が形成されるので、特別に鋳型に微小孔や微小間隙を設けなくても、キャビティ内を所定の加圧下に維持しながらキャビティ内の空気を外部に放出することができる。
本発明において、上記半溶融軽金属の加圧浸透操作は、軽金属の種類、特にその半溶融温度によって異なるが、例えば軽金属がアルミニウム又はアルミニウム合金である場合には、温度が550℃以上700℃以下、好ましくは570℃以上680℃以下であって、圧力が5MPa以上10MPa以下、好ましくは7MPa以上8MPa以下の条件で行なわれる。加圧浸透操作時の操作温度は使用する軽金属の半溶融温度によって自ずと決定されるが、操作圧力については、5MPaより低いと粒子間隙に半溶融軽金属が浸透しなるという問題が生じる場合があり、反対に、10MPaより高くなると加圧中に粒子自体を更に細かくは介して粒子間の空隙を極端に減らしてしまうことがあり、粒子のみがキャビティの下方へと追いやられ、半溶融軽金属と複合化しない場合があって、それぞれ好ましくない。
本発明によれば、マトリックス軽金属中に分散させる無機粉体について予めプリフォームを成形する等の無機粉体の前処理を行う必要がなく、この無機粉体をそのまま鋳型のキャビティ内に充填し、このキャビティ内の無機粉体中に半溶融軽金属を加圧浸透させるので、以下のような効果が生じる。
(1) 軽金属をその溶融温度まで加熱する必要がなく、比較的低温で安全かつ容易に軽金属複合材料を製造することができ、また、低温化により軽金属と無機粉体との反応を可及的に抑制できるので、不必要な反応生成物の生成を可及的に防止でき、また、使用可能な無機粉体の選択の幅が広がる。更に、溶融金属を加圧浸透させる圧力鋳造の場合とは異なり、加圧浸透操作中に半溶融軽金属中で液相と共存している固相が金型や粒子との接触で機械的に微細に破壊されて結晶核になるため、得られる複合材料の結晶粒径が微細化されて機械的性質が改善されるという利点が生じる。
(2) 軽金属複合材料はその形状が鋳型のキャビティの形状に合わせて形成され、また、予めプリフォームを成形する等の無機粉体の前処理を行う必要がないので、比較的複雑な形状の軽金属複合材料も容易に作製することができる。
(3) プリフォームの成形に必要なバインダーを使用する必要がないので、バインダー由来の不純物が混入する虞がなく、不純物成分の少ない高純度の軽金属複合材料を容易に製造することができる。
(4) 半溶融軽金属中の固体は微細な粒子として存在し、熱間鍛造と比較して無機粉体の粒子間に浸透し易く、また、比較的粒径の大きな無機粉体が分散した軽金属複合材料の製造も可能である。
以下、添付図面に示す実施例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
[実施例1]
図1に、本発明の実施例1で用いた円柱形状の軽金属複合材料を鋳造するための鋳型1Aが示されている。この鋳型1Aは、略々円筒形状の鋳型部材1aと、この鋳型部材1aの底部に設けられた鋳型底部材1bと、上記鋳型部材1a内部の下方位置にその外周を密着させて配設され、中央部に10mmφ×40mmの大きさの円柱状のキャビティ2を備えた鋳型部材1cと、上記鋳型部材1a内部の上方位置に形成された上部空間内にこの上部空間内を上下方向摺動可能に配設され、鋳型部材1cの上面との間に半溶融軽金属収容室3を形成する黒鉛製押し板(加圧板)4とで形成されている。
この実施例1においては、図2に示すように、上記鋳型1Aのキャビティ2内には、無機粉体として平均粒径15μmのアルミナ粒子(Al2O3)を充填し、このキャビティ2内をアルミナ粒子(無機粉体)5で満たした後、鋳型1Aの半溶融軽金属収容室3内にアルミニウム合金(Al-7wt%Si;融点615℃、半溶融温度580〜640℃)製の円板を配置し、その上に黒鉛製押し板4を配置して鋳型1Aの上方開口を密閉し、次いでこの鋳型1Aを環状炉6内の所定の位置に据え付け、上記のアルミニウム合金製円板を加熱して半溶融アルミニウム合金(半溶融軽金属)7とし、黒鉛製押し板4を介してこの半溶融アルミニウム合金7を7.5MPaの圧力で加圧し、この状態で5分間保持して半溶融アルミニウム合金7をキャビティ2内のアルミナ粒子5中に浸透させた。
次に、このようにして半溶融軽金属の加圧浸透操作が終了した後、室温に達するまで放置してキャビティ2内から製造された実施例1の軽金属複合材料を取り出し、得られた軽金属複合材料の体積を測定し、測定された軽金属複合材料の体積とキャビティ2内に充填したアルミナ粒子(無機粉体)5の体積とから無機粉体体積率(%)を求め、また、外観の観察を行った。
無機粉体体積率の測定結果を表1に示す。
また、上記実施例1の軽金属複合材料から10mm×10mm×10mmの大きさの試料を切り出し、切断面の観察を行うと共に、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率1,000倍で観察し、また、ビッカース微小硬度計を用い、JIS B7725(荷重300gf)に準じて、保持時間15秒及び20点測定の平均値を算出する方法でビッカース硬さ(HV)を測定した。
SEMの観察結果を図3に、また、ビッカース硬さの測定結果を表1に示す。この実施例1の軽金属複合材料には、外観観察と切断面観察から割れ等の欠陥は観察されず、また、図3に示すSEM観察結果からこの倍率での割れや巣等の欠陥や粒子の局在は観察されなかった。また、表1に示すビッカース硬さの測定結果から、下記の参考例1に比べて、ビッカース硬さが大幅に向上していることが判明した。
[実施例2〜3]
無機粉体として平均粒径3μm又は0.3μmのアルミナ粒子5を用いた以外は、上記実施例1と同様にして、実施例2及び3の軽金属複合材料を調製し、その無機粉体体積率、及びビッカース硬さの測定を行なった。
無機粉体体積率及びビッカース硬さの測定結果を表1に示す。表1に示すビッカース硬さの測定結果から、下記の参考例1に比べて、ビッカース硬さが大幅に向上していることが判明した。
[実施例4]
無機粉体として平均粒径10μmのMgB2粒子を用い、また、軽金属として純アルミニウム(純Al;融点660℃、半溶融温度650〜700℃)を用い、更に、半溶融軽金属の加圧浸透操作終了後に室温の水中で冷却してキャビティ2内から製造された軽金属複合材料を取り出した以外は、上記実施例1と同様にして、実施例4の軽金属複合材料を調製し、その無機粉体体積率の測定、外観観察、及び切断面観察を行なうと共にJIS B7725(荷重100gf)に準じてビッカース硬さ(HV)の測定を行い、また、SEM観察(倍率:1,000倍)を行なった。
更に、この実施例4の軽金属複合材料について、SEMに付属のエネルギー分散型X線分光分析法(SEM-EDX)を用い、加速電圧20kVで検出されるMg−Kα線とAl−Kα線を用いて取込み時間1時間で元素マッピング観察を行い、同一視野のSEM像、Mgマップ像、及びAlマップ像の比較観察を行なった。
更にまた、この実施例4の軽金属複合材料について、1mm×1mm×1mmの大きさの試料を放電加工により切り出し、物理物性測定システム(PPMS;カンタム・デザイン株式会社製)を用い、測定温度:室温〜2K、冷却速度:0.2K/min及び直流1mAの条件で直流四端子法により絶対温度T(K)−電気抵抗〔ρ(Ωm)×10-8〕の超伝導特性を測定した。
無機粉体体積率及びビッカース硬さの測定結果を表1に、SEMの観察結果を図4に、また、SEM−EDX比較観察の結果を図5〔SEM像(a)、Mgマップ像(b)及びAlマップ像(c)〕に、更に、超伝導特性の測定結果を図6にそれぞれ示す。
この実施例4の軽金属複合材料については、外観観察、切断面観察及び図4に示すSEM観察の結果からマクロ組織及びミクロ組織共に目立った欠陥は観察されず、また、図5に示すSEM−EDX比較観察結果からMgとAlとの分布が粒子の分布と1対1に対応しており、顕著な反応性生物の存在は確認されなかった。また、図6に示す超伝導特性の測定結果から、38Kにおいて超伝導特性が発現することが判明し、また、表1に示すビッカース硬さの測定結果から、下記の参考例2に比べて、ビッカース硬さが大幅に向上していることが判明した。
[実施例5]
無機粉体として平均粒径1.44μmのチタニア粒子(TiO2)5を用いた以外は、上記実施例1と同様にして、実施例5の軽金属複合材料を調製し、その外観観察、切断面観察、無機粉体体積率の測定、及びビッカース硬さの測定を行なうと共に、試料を10molのメチレンブルー溶液に10分間浸漬して表面にメチレンブルーを化学吸着させ、30分のドライヤー乾燥後、光触媒評価チェッカー(アルバック理工株式会社製:PCC-1)を使用して光触媒反応によるメチレンブルーの分解に伴う吸光度変化(ΔABS)を測定した。この際の光触媒活性(Time-ΔABS)の測定は、紫外線ブラックライト1mW/cm2を使用して照射時間約30分間の条件で行なった。
無機粉体体積率及びビッカース硬さの測定結果を表1に、また、光触媒活性の測定結果を図7にそれぞれ示す。この実施例5の軽金属複合材料についても、その外観観察と切断面観察において特別な欠陥は観察されず、また、反応生成物(Ti-Al系金属間化合物)も観察されず、材料の健全性が確認された。また、表1に示すビッカース硬さの測定結果から、下記の参考例1に比べて、ビッカース硬さが大幅に向上していることが判明した。更に、図7に示す光触媒活性の測定結果から、紫外線の照射時間に対してメチレンブルーの分解程度を示すΔABSの値が低下しており、この実施例5の軽金属複合材料について光触媒活性が確認された。
[参考例1〜2]
無機粉体を用いることなく、実施例1〜3及び5で用いたアルミニウム合金(Al-7wt%Si;融点615℃、半溶融温度580〜640℃)又は実施例4で用いた純アルミニウムを用い、上記実施例と同様にして、アルミニウム鋳造物を作製し、ビッカース硬さの測定(アルミニウム合金は荷重300gf、純アルミニウムは荷重100gf)を行い、上記実施例1〜5の軽金属複合材料と比較した。
結果を表1に示す。
Figure 2008200711
[実施例6]
図8に本発明の実施例6で用いたカップ形状の軽金属複合材料を鋳造するための鋳型1Bが示されている。この鋳型1Bは、上記実施例1〜5で用いた鋳型1Aの場合とは異なり、略々円筒形状の鋳型部材1aと、この鋳型部材1aの底部に設けられた鋳型底部材1bと、上記鋳型部材1a内部の下方位置中央部に鋳型部材1a内部の周壁面と所定の間隙をおいて配置され、この鋳型部材1a内部の周壁面との間にカップ形状のキャビティ2を形成する上端直径32.0mmφ×下端直径36mmφ×高さ38mmの大きさの截頭円錐形状の中子1dと、上記鋳型部材1a内部の上部空間内に上下方向摺動可能に配設された黒鉛製押し板(加圧板)4とで構成されている。
そして、上記中子1dの上面と黒鉛製押し板4との間に形成される半溶融軽金属収容室3の幅寸法は、中子1dの上面上方に形成されたカップ底部を形成するキャビティ2上部の幅寸法や黒鉛製押し板4が上下方向摺動可能に嵌合する鋳型部材1a内部の上部空間の幅寸法よりも若干大きく形成されている。また、キャビティ2内はその厚みが上方から下方に行くにつれて薄くなるように形成されているが、これは、キャビティ2内の下方部での圧力が上方部での圧力より高くなるようにするためであり、これにより半溶融金属の最終浸透部位である下端部にまで十分に圧力と半溶融軽金属が到達できるようになっており、この効果によって、作製されたカップ形状の複合材料の先端部に粒子のみがダマになって残らず、半溶融軽金属が十分に浸透する。
この実施例6においては、図8に示すように、上記鋳型1Bのキャビティ2内に無機粉体として平均粒径1.4μmのチタニア粒子(TiO2)8を充填し、このキャビティ2内をチタニア粒子(無機粉体)8で満たした後、鋳型1Bの半溶融軽金属収容室3内にAC4CHアルミニウム合金(融点615℃、半溶融温度580〜640℃)製の円板を配置し、その上に黒鉛製押し板4を配置して鋳型1Bの上方開口を密閉し、次いでこの鋳型1Bを環状炉6内の所定の位置に据え付け、上記のアルミニウム合金製円板を加熱して半溶融アルミニウム合金(半溶融軽金属)7とし、黒鉛製押し板4を介してこの半溶融アルミニウム合金7を7.5MPaの圧力で加圧し、この状態で5分間保持して半溶融アルミニウム合金7をキャビティ2内のアルミナ粒子8中に浸透させた。
次に、このようにして半溶融軽金属の加圧浸透操作が終了した後、凝固収縮を防止するために室温に達するまで放置して冷却した後、鋳型1Bのキャビティ2内から製造された実施例6の軽金属複合材料を取り出した。得られた軽金属複合材料は、図9に示すようなカップ形状を有しており、無機粉体の体積率が30%であってビッカース硬さが180(HV)であり、また、外観観察や切断面観察により亀裂や割れ等の欠陥が観察されない良好な製品であった。
なお、AC4CHアルミニウム合金を用いて参考例1〜2と同様にして測定されたアルミニウム鋳造物のビッカース硬さ(荷重100gf)は75(HV)であった。
また、この実施例6のカップ形状の軽金属複合材料について、上記実施例5の場合と同様にして、その光触媒活性(Time-ΔABS)の測定を行なった。この光触媒活性の測定結果を図10に示す。
この図10に示す光触媒活性の測定結果から、紫外線の照射時間に対してメチレンブルーの分解程度を示すΔABSの値が低下しており、この実施例6のカップ形状を有する軽金属複合材料についても光触媒活性が確認された。
[実施例7]
無機粉体として平均粒径40μmの蛍光粒子〔スタジオアーク社製市販品:残光性機能セラミックス、パウダータイプ、粒径<60μm、PB-60(青緑)、PG-60(緑)〕を用いた以外は、上記実施例6と同様にして、実施例7のカップ形状の軽金属複合材料を作製した。得られた実施例7のカップ形状の軽金属複合材料は、その無機粉体の体積率が33%であってビッカース硬さが177(HV)であった。
また、得られた実施例7のカップ形状の軽金属複合材料について、自然光下での観察と紫外線照射下での観察とを行って比較した。
結果を図11に示す。この図11の結果から明らかなように、紫外線照射下では自然光下で見られない青緑色若しくは緑色の綺麗な蛍光が観察された。
本発明によれば、作業環境が比較的低温になって安全かつ容易になるほか、アルミニウム等の活性な溶融金属と接触して好ましくない反応を起こし易い無機粉体を使用した軽金属複合材料についても容易に作成することができ、また、使用可能な無機粉体の選択の幅が広がり、高純度の軽金属複合材料を容易に製造することができる等、その工業的価値の高いものである。
図1は、本発明の軽金属複合材料の製造方法に用いる鋳型の一例を説明するための説明図である。
図2は、本発明の実施例1における軽金属複合材料の製造方法を説明するための説明図である。
図3は、実施例1で得られた軽金属複合材料の断面のSEM像を示す観察写真である。
図4は、実施例4で得られた軽金属複合材料の断面のSEM像を示す観察写真である。
図5は、実施例4で得られた軽金属複合材料の断面のSEM−EDX比較観察の結果を示す観察写真〔SEM像(a)、Mgマップ像(b)及びAlマップ像(c)〕である。
図6は、実施例4で得られた軽金属複合材料の超伝導特性の測定結果を示す絶対温度T(K)−電気抵抗〔ρ(Ωm)×10-8〕のグラフ図である。
図7は、実施例5で得られた軽金属複合材料の光触媒活性(Time-ΔABS)の測定結果を示すグラフ図である。
図8は、本発明の実施例6で用いた鋳型とこれを用いた軽金属複合材料の製造方法を説明するための説明図である。
図9は、実施例6で得られたカップ形状を有する軽金属複合材料を示す写真である。
図10は、実施例6で得られたカップ形状を有する軽金属複合材料の光触媒活性(Time-ΔABS)測定結果を示すグラフ図である。
図11は、実施例7で得られたカップ形状を有する軽金属複合材料を示す観察写真であり、(a)は自然光下での観察結果を示し、また、(b)は紫外線照射下での観察結果を示す。
符号の説明
1A,1B…鋳型、1a…鋳型部材、1b…鋳型底部材、1c…鋳型部材、1d…中子、2…キャビティ、3…半溶融軽金属収容室、4…黒鉛製押し板(加圧板)、5…アルミナ粒子(無機粉体)、6…環状炉、7…半溶融アルミニウム合金(半溶融軽金属)、8…チタニア粒子(無機粉体)。

Claims (11)

  1. 鋳型のキャビティ内に無機粉体を充填し、次いで上記キャビティ内の無機粉体中に半溶融状態の半溶融軽金属を加圧浸透させることを特徴とする軽金属複合材料の製造方法。
  2. 鋳型は、無機粉体が充填されるキャビティと、一方がこのキャビティに連通すると共に他方が摺動可能な加圧板で仕切られて半溶融軽金属を収容する半溶融軽金属収容室とを備え、鋳型のキャビティ内で無機粉体中に半溶融軽金属を加圧浸透させる半溶融軽金属の加圧浸透操作は、キャビティ内に無機粉体を充填すると共に半溶融軽金属収容室内に軽金属を収容し、次いでこの軽金属を半溶融温度まで昇温させて半溶融軽金属とした後、上記加圧板を介して半溶融軽金属を加圧することにより行われる請求項1に記載の軽金属複合材料の製造方法。
  3. 鋳型のキャビティ内は、半溶融軽金属の加圧浸透操作中、実質的に密閉系に維持される請求項1又は2に記載の軽金属複合材料の製造方法。
  4. 鋳型は、キャビティ内を所定の加圧下に維持しながらキャビティ内の空気を外部に放出するための微小孔又は微小間隙を有する請求項1〜3のいずれかに記載の軽金属複合材料の製造方法。
  5. 加圧板が黒鉛製押し板である請求項2〜4のいずれかに記載の軽金属複合材料の製造方法。
  6. 無機粉体は、粒径0.3μm以上の粒子粉体である請求項1〜5のいずれかに記載の軽金属複合材料の製造方法。
  7. 無機粉体が、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、ストロンチウム(Sr)、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、バリウム(Ba)、ビスマス(Bi)、イットリウム(Y)、及びボロン(B)から選ばれた1種又は2種以上の元素の酸化物、炭化物、ホウ化物、又は窒化物である請求項1〜6のいずれかに記載の軽金属複合材料の製造方法。
  8. 無機粉体が、光触媒活性、超伝導性、磁性、発光性、耐摩耗性、及び耐熱性から選ばれた少なくとも1種の機能性を有する機能材料である請求項1〜7のいずれかに記載の軽金属複合材料の製造方法。
  9. 軽金属が、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、及びマグネシウム合金から選ばれた1種又は2種以上の混合物である請求項1〜8のいずれかに記載の軽金属複合材料の製造方法。
  10. 軽金属がアルミニウム又はアルミニウム合金であり、半溶融軽金属の加圧浸透操作時の操作条件が温度550〜700℃及び圧力5〜10MPaである請求項1〜9のいずれかに記載の軽金属複合材料の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の方法で製造された軽金属複合材料。
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