JP2009100570A - 誘導電動機、回転子、及び回転子の製造方法 - Google Patents

誘導電動機、回転子、及び回転子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】回転子に発生する高調波二次銅損を低減し、高い電動機効率を達成する。
【解決手段】柱状の回転子3であって、周面部分には、回転軸J方向に延在する複数の回転子スロット31aが周方向に所定の間隔で穿設され、前記回転子スロット31aには、少なくとも1つの導体棒33がそれぞれ埋設され、前記導体棒33の一方の端部は、当該回転子3の周方向に所定個数の前記回転子スロット31aを介在させて、少なくとも1つの他の前記導体棒33の一方の端部と通電可能に連結され、前記導体棒33の他方の端部は、少なくとも前記他の導体棒33の他方の端部と通電可能に連結される。
【選択図】図1

Description

本発明は、誘導電動機、回転子、及び回転子の製造方法に関する。
一般に、かご形誘導電動機の回転子においては、円柱形の磁性材である回転子鉄心の外周面に回転軸と略平行な複数の回転子スロットが穿設される。そして、各回転子スロットの中には誘導電流を流す導体棒がそれぞれ埋設され、全ての導体棒は両端を環状の導体である短絡環で短絡される。
また、かご形誘導電動機の固定子は、回転子の外周面に対し所定のギャップを保持して外方に配設される。この固定子における磁性材の固定子鉄心の内周面には、コイルを収納する複数の固定子スロットが回転子スロットと略平行に穿設される。
ところで、このような回転子及び固定子の組合せによってなるかご形誘導電動機において回転磁界を形成すると、非磁性である固定子スロットが存在するために、回転方向へ時々刻々と変化する磁束密度の粗密が生じる。そして、このような磁束密度の粗密の変化を回転子が受けると、導体棒にはこの粗密の変化に応じた高調波の誘導電流が流れる。この誘導電流は高調波二次電流と呼ばれ、トルク出力に寄与せず、高調波二次銅損を発生させて電動機効率を低下させてしまう(例えば、非特許文献1)。
山崎,「固定子及び回転子の高調波電磁界を考慮した誘導電動機の損失算定」,電気学会論文誌D,123巻4号,pp,392−400,2003
そのため、近年では、上記のような高調波二次銅損を低減し、高い電動機効率を達成することのできる誘導電動機の開発が望まれている。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、高い電動機効率が達成可能な誘導電動機、回転子、及び回転子の製造方法を提案することを課題とする。
請求項1に記載の発明は、
誘導電動機に備えられる柱状の回転子であって、
周面部分には、回転軸方向に延在する複数の回転子スロットが周方向に所定の間隔で穿設され、
前記回転子スロットには、少なくとも1つの導体棒がそれぞれ埋設され、
前記導体棒の一方の端部は、当該回転子の周方向に所定個数の前記回転子スロットを介在させて、少なくとも1つの他の前記導体棒の一方の端部と通電可能に連結され、
前記導体棒の他方の端部は、少なくとも前記他の導体棒の他方の端部と通電可能に連結されることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転子であって、
前記所定個数は、前記回転子スロットの総数Srと、前記誘導電動機に備えられる固定子がつくる磁界の極数Pと、係数βとから下記の式(1)で求まる数Nに最も近い整数であり、
前記係数βは、0.66<β≦1の範囲であることを特徴とする。
N=β(Sr/P−1) (1)
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の回転子であって、
前記係数βは、β=0.8であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転子であって、
各回転子スロットの間には、回転子ティースが介在しており、
前記導体棒と前記他の導体棒との間に挟まれる複数の前記回転子ティースのうち、前記導体棒に隣接する前記回転子ティースにおける当該導体棒側の端部と、前記他の導体棒に隣接する前記回転子ティースにおける当該他の導体棒側の端部との間の周方向の距離は、
前記回転子の外周側に配設される固定子の内周面で前記回転軸方向に延在する複数の固定子スロットの、当該内周面での周方向の間隔に対し、整数倍であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転子であって、
前記導体棒の他方の端部は、当該回転子の周方向に前記所定個数の前記回転子スロットを介在させて、前記少なくとも1つの他の導体棒の他方の端部と通電可能に連結されることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転子であって、
前記導体棒は、Y形の導体における1本の棒状部分を含んでなり、
当該導体における残り2本の棒状部分がそれぞれ別々の他の前記導体における残り2本の棒状部分のいずれか1本と連結されることにより、前記導体棒と、前記他の導体棒とが互いに通電可能に連結されることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転子であって、
前記導体棒と、前記他の導体棒とは、U形の導体における2本の棒状部分のそれぞれを含んでなり、当該導体の横架部分で互いに通電可能に連結されることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の回転子であって、
前記回転子スロットには、当該回転子の周方向に隣接する別々の前記導体における2つの前記導体棒が並んで埋設されることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、誘導電動機であって、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の回転子と、当該回転子の外周側に配設される固定子とを備えることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、誘導電動機に備えられる柱状の回転子の製造方法であって、
回転軸方向へ延在するとともに周方向に所定の間隔で回転子鉄芯の周面部分に穿設された複数の回転子スロットに対し、Y形の導体における1本の棒状部分を含んでなる導体棒をそれぞれ少なくとも1つ埋設する埋設工程と、
前記導体における残り2本の棒状部分をそれぞれ別々の他の前記導体における残り2本の棒状部分のいずれか1本と連結することにより、前記回転子の周方向に所定個数の前記回転子スロットを介在させて、前記導体棒の一方の端部を前記他の導体における他の前記導体棒の一方の端部と通電可能に連結するとともに、前記導体棒の他方の端部を少なくとも前記他の導体棒の他方の端部と通電可能に連結する連結工程とを備えることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、誘導電動機に備えられる柱状の回転子の製造方法であって、
回転軸方向へ延在するとともに周方向に所定の間隔で回転子鉄芯の周面部分に穿設された複数の回転子スロットに対し、2つのU形の導体の開口側を互いに対向させつつこれら2つの導体それぞれにおける2本の棒状部分のうち1本の各棒状部分を埋設して、当該棒状部分の先端部が互いに隣接した状態とし、かつ、当該回転子スロットから前記回転子の周方向に所定個数の前記回転子スロットを介在させた他の前記回転子スロットに対し、前記2つの導体それぞれにおける残り1本の各棒状部分を埋設する処理を複数回行うことにより、前記複数の回転子スロットのそれぞれに前記棒状部分が埋設された状態とする埋設工程と、
各回転子スロット内で隣接する前記棒状部分の前記先端部同士を通電可能に連結する連結工程とを備えたことを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、誘導電動機に備えられる柱状の回転子の製造方法であって、
回転軸方向へ延在するとともに周方向に所定の間隔で回転子鉄芯の周面部分に穿設された複数の回転子スロットに対し、U形の導体における横架部分が前記回転子の一方の端部側に配設されるよう、当該導体における2本の棒状部分のうち1本の棒状部分をそれぞれ埋設し、かつ、各回転子スロットから前記回転子の周方向に所定個数の前記回転子スロットを介在させた他の前記回転子スロットに対し、各導体における残り1本の棒状部分を埋設して、各回転子スロット内に2本の前記棒状部分が並んで配設された状態とする埋設工程と、
前記回転子の他方の端部側における前記1本の棒状部分の先端部を、少なくとも前記残り1本の棒状部分の先端部と通電可能に連結する連結工程とを備えたことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、誘導電動機の回転子において、回転子スロットには少なくとも1つの導体棒がそれぞれ埋設され、この導体棒の一方の端部は、回転子の周方向に所定個数の前記回転子スロットを介在させて、少なくとも1つの他の導体棒の一方の端部と通電可能に連結され、この導体棒の他方の端部は少なくとも前記他の導体棒の他方の端部と通電可能に連結されるので、トルク出力に寄与する導体棒と殆ど寄与しない導体棒とを連結してなる誘導電流の経路の形成が抑えられる。したがって、トルク出力を殆ど損なうことなく、当該経路を流れる高調波二次電流の発生を抑えることができるため、高調波二次銅損を低減し、高い電動機効率を達成することができる。
請求項2に記載の発明によれば、前記所定個数は、式(1)から求まる数Nに最も近い整数であり、式(1)における係数βは0.66<β≦1の範囲であるので、トルク出力を殆ど損なうことなく、回転子に発生する5次,7次の高調波二次電流の発生が抑制される。したがって、高調波二次銅損を更に低減し、より高い電動機効率を達成することができる。また、β<1の場合には、導体のコイルエンドに相当する部分が小さくなり、損失低減や、材料削減、軽量化、遠心力による応力の低減といった効果が得られる。
請求項3に記載の発明によれば、前記係数βは、β=0.8であるので、回転子に発生する5次の高調波二次電流の発生が大幅に抑制される。したがって、高調波二次銅損を更に低減し、より高い電動機効率を達成することができる。また、導体のコイルエンドに相当する部分が小さくなり、損失低減や、材料削減、軽量化、遠心力による応力の低減といった効果が得られる。
請求項4に記載の発明によれば、各回転子スロットの間には回転子ティースが介在しており、前記導体棒と前記他の導体棒との間に挟まれる複数の回転子ティースのうち、前記導体棒に隣接する回転子ティースにおける当該導体棒側の端部と、前記他の導体棒に隣接する回転子ティースにおける当該他の導体棒側の端部との間の周方向の距離は、回転子の外周側に配設される固定子の内周面で回転軸方向に延在する複数の固定子スロットの当該内周面での周方向の間隔に対し、整数倍であるので、トルク出力を殆ど損なうことなく、回転子に発生する高調波二次電流の発生が抑制される。したがって、高調波二次銅損を更に低減し、より高い電動機効率を達成することができる。
請求項5に記載の発明によれば、導体棒の他方の端部は、一方の端部と同様に、所定個数の回転子スロットを介在させて他の導体棒と通電可能に連結されるので、一方の端部と他方の端部とで同じ導体棒同士の連結された誘導電流の経路が構成される。したがって、トルク出力に寄与する導体棒と殆ど寄与しない導体棒とを連結してなる誘導電流の経路の形成が一層抑えられ、この経路を流れる高調波二次電流の発生が更に抑えられる。これにより、高調波二次銅損を更に低減し、より高い電動機効率を達成することができる。
請求項6に記載の発明によれば、導体棒はY形の導体における1本の棒状部分を含んでなり、この導体における残り2本の棒状部分がそれぞれ別々の他の導体における残り2本の棒状部分のいずれか1本と連結されることにより、この導体棒と、他の導体棒とが通電可能に連結されるので、これら導体の残り2本の棒状部分は回転子スロットの外部に露出しており、当該連結が容易である。
請求項7に記載の発明によれば、導体棒と他の導体棒とはU形の導体における2本の棒状部分のそれぞれを含んでなり、この導体の横架部分で互いに通電可能に連結されるので、導体の棒状部分間はU形の導体の横架部分で予め連結されており、製作が容易である。
請求項8に記載の発明によれば、回転子スロットには回転子の周方向に隣接する別々のU形の導体における2つの導体棒が並んで埋設されるので、導体の棒状部分間はU形の導体の横架部分で予め連結されており、製作が容易である。
請求項10に記載の発明によれば、回転子の製造方法であって、回転子スロットにY形の導体における1本の棒状部分を含んでなる導体棒をそれぞれ少なくとも1つ埋設する埋設工程と、この導体における残り2本の棒状部分をそれぞれ別々の他の導体における残り2本の棒状部分のいずれか1本と連結することにより回転子の周方向に所定個数の前記回転子スロットを介在させて導体棒の一方の端部を他の導体における他の導体棒の一方の端部と通電可能に連結するとともに、前記導体棒の他方の端部を少なくとも前記他の導体棒の他方の端部と通電可能に連結する連結工程とを行うことにより、トルク出力に寄与する導体棒と殆ど寄与しない導体棒とを連結してなる誘導電流の経路の形成されにくい回転子を製造することができる。したがって、当該経路を流れる高調波二次電流の発生を抑えることができるため、高調波二次銅損を低減し高い電動機効率を達成することができる。また、導体の残り2本の棒状部分は回転子スロットの外部に露出しているので、当該部分同士の連結が容易である。
請求項11に記載の発明によれば、回転子の製造方法であって、2つのU形の導体の開口側を互いに対向させつつこれら各導体における2本の棒状部分のうち1本を回転子スロットに埋設して当該棒状部分の先端部が互いに隣接した状態とし、かつ、この回転子スロットから回転子の周方向に所定個数の回転子スロットを介在させた他の回転子スロットに前記各導体における残り1本の各棒状部分を埋設する処理を複数回行って、複数の各回転子スロットに棒状部分が埋設された状態とする埋設工程と、各回転子スロット内で隣接する棒状部分の先端部同士を通電可能に連結する連結工程とを行うことにより、トルク出力に寄与する導体棒と殆ど寄与しない導体棒とを連結してなる誘導電流の経路の形成されにくい回転子を製造することができる。したがって、当該経路を流れる高調波二次電流の発生を抑えることができるため、高調波二次銅損を低減し高い電動機効率を達成することができる。また、棒状部分間はU形の導体の横架部分で予め連結されているので、製作が容易である。
請求項12に記載の発明によれば、回転子の製造方法であって、U形の導体の横架部分が回転子の一方の端部側に配設されるよう、回転子スロットにこの導体における2本の棒状部分のうち1本の棒状部分をそれぞれ埋設し、かつ、各回転子スロットから回転子の周方向に所定個数の前記回転子スロットを介在させた他の前記回転子スロットに対し、各導体における残り1本の棒状部分を埋設して、各回転子スロット内に2本の棒状部分が並んで配設された状態とする埋設工程と、回転子の他方の端部側における前記1本の棒状部分の先端部を、少なくとも前記残り1本の棒状部分の先端部と通電可能に連結する連結工程とを行うことにより、トルク出力に寄与する導体棒と殆ど寄与しない導体棒とを連結してなる誘導電流の経路の形成されにくい回転子を製造することができる。したがって、当該経路を流れる高調波二次電流の発生を抑えることができるため、高調波二次銅損を低減し高い電動機効率を達成することができる。また、棒状部分間はU形の導体の横架部分で予め連結されているので、製作が容易である。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
[第一の実施の形態]
図1は、本発明に係る誘導電動機1の模式的な要部断面図である。なお、図1では回転軸の軸線Jと平行な断面における誘導電動機1の片側を示しており、回転軸の軸線Jでほぼ対称となる下半分については後述する回転軸4を除き図示を省略している。
図1に示すように、誘導電動機1は、外部からの電源供給に基づいて回転磁界を発生させる円環状の固定子2と、回転軸4を介して固定子2の内側に回転可能に支持され回転磁界によって回転する回転子3とを備えている。また、外部からの電源は、例えばPWM(Pulse Width Modulation)制御を行うインバーター(図示せず)を介すことによる周波数可変の三相交流となっている。
固定子2は、積層した磁性材からなる円筒状の固定子鉄芯21を備えており、この固定子鉄芯21の内周面には、軸線Jと平行な方向に延在する複数の固定子スロット21aが周方向に所定の間隔で開口している。そして、各固定子スロット21aの内部には、外部からの電流が流れる固定子巻線22が収納されており、この固定子巻線22は、三相交流の電源供給により4極の回転磁界が形成されるよう各固定子スロット21aに配設されている。
回転子3は、図1及び図2(a)に示すように、磁性材からなる円筒状の回転子鉄芯31を備えており、この回転子鉄芯31の外周面には、軸線Jと平行な方向に延在する44個の回転子スロット31aが周方向Yに所定の間隔で開口している。ここで、図2は回転子3の軸方向と垂直な断面図である。そして、各回転子スロット31aの内部には、回転磁界による誘導電流が流れる導体棒33がそれぞれ収納されている。また、回転子3の内周面は、回転軸4の外周面と嵌合している。なお、回転子スロット31aには、異常トルクを抑制するためのスキューを設けてもよい。
導体棒33は、図3に示すように、Y形の導体32の1本の棒状部分32aを含んで形成されている。この導体32の残り2本の棒状部分32bは、導体棒33間の距離dが回転子スロット31aの極ピッチの距離と等しくなるように、回転子3の一方の端部(図1の左端)において他の導体32の2本の棒状部分32bのうちの1本と通電可能に連結されている。
ここで、回転子スロット31aの極ピッチとは、回転磁界の1極分の角度に相当する回転子スロット31aの数であり、この回転子3では、(回転子スロット31aの総数)/(回転磁界の極数)=44/4=11となる。したがって、距離dは回転子スロット31aの11個分の距離であり、導体棒33は周方向に10個の回転子スロット31aを介在させて他の導体棒33と通電可能に連結されている。
また、導体棒33は、回転子3の他方の端部(図1の右端)において、全ての他の導体棒33と通電可能なように、銅合金製の短絡環34に連結されている。但し、この他方の端部においては、各導体棒33は、この導体棒33と、当該導体棒33から回転子スロット31aの極ピッチの距離にある他の導体棒33とを含んで通電経路のループが形成されるように、少なくとも当該他の導体棒33と通電可能に連結されていればよい。したがって、前記一方の端部と同様に、回転子スロット31aの極ピッチ毎に連結されていてもよい。
なお、上述の導体32は、黄銅などの銅合金を構成材料としているが、アルミニウム製としてもよい。
また、導体32の2本の棒状部分32bと短絡環34とには、その外周に補強用の保持環を被せてもよい。この場合、当該保持環は、例えば、非磁性のステンレス製として、セラミクス製の絶縁部材を介して設けるとよい。
次に、回転子3の製造方法について説明する。
まず、回転子鉄芯31を得るために、図1及び図2(a)に示すように、円柱状に積層した電磁鋼板に対し、その外周面に軸線Jと平行な44個の回転子スロット31aを、周方向Yに所定の間隔で穿設する。また、回転軸4と嵌合する穴も併せて穿設する。これらの穿設は、打ち抜きやワイヤカットによって行われるが、旋盤加工等の一般的な機械加工によってもよい。なお、円盤状の電磁鋼板に回転軸4と嵌合する穴及び回転子スロット31aを穿設してから所定の厚さに積層してもよい。
次いで、図3に示すような、Y形の導体32における1本の棒状部分32aを含んでなる導体棒33を、各回転子スロット31aに1本ずつ埋設する(埋設工程)。この際、導体32の残り2本の棒状部分32bが、回転子3の一方の端部側に配置されるようにする。なお、導体棒33は、各回転子スロット31aに2本以上埋設してもよい。
次いで、回転子3の外周側に露出した導体棒33の面に対し鋭利な治具で溝を形成すること(スウェッジング)により、導体棒33を回転子スロット31aの内側面に密着させて固定する。
次いで、回転子3の一方の端部において、図3に示すように、導体32における残り2本の棒状部分32bを、それぞれ別々の他の導体32における残り2本の棒状部分32bのいずれか1本と、ろう付け又は溶接によって通電可能に連結する。この際、当該導体32と他の導体32とは、それぞれにおける導体棒33間の距離dが回転子スロット31aの極ピッチの距離と等しくなるようにする。併せて、回転子3の他方の端部において、図1に示すように、全ての導体棒33と1つの短絡環34とを、ろう付け又は溶接によって通電可能に連結する(連結工程)。
なお、上述のように、回転子3の他方の端部においては、各導体棒33は、この導体棒33と、当該導体棒33から回転子スロット31aの極ピッチの距離にある他の導体棒33とを含んで通電経路のループが形成されるように、少なくとも当該他の導体棒33と通電可能に連結されていればよい。
このような回転子3の製造方法によれば、Y形の導体32における2本の棒状部分32bが回転子スロット31aの外部に露出しているので、当該部分の連結を容易に行うことができる。
次に、誘導電動機1の動作について説明する。
まず、固定子巻線22に所定の周波数の三相交流が供給される。すると、例えば図2(b)に示すように、この周波数に応じた速度で方向Rへ回転する4極の回転磁界Mが固定子2内に形成される。
なお、図2(b)の回転子3の外周上の数字は、導体棒33の便宜的な識別番号である。以下では、簡単のために識別番号1〜12番の導体棒33に限定して説明する。
導体棒33が回転磁界Mを受けると、この導体棒33には、図2(b)及び図4に示すように、電磁誘導の法則に基づいて、フレミングの右手の法則で決定される方向へ誘導電流Iが流れる。具体的には、回転方向Rと回転磁界Mとが略直交する1番の導体棒33に所定の大きさの誘導電流Iが図2(b)の紙面手前向きに流れる。他の導体棒33を流れる誘導電流Iは、1番から6番の導体棒33までは同方向のまま徐々に減少し、7番の導体棒33では誘導電流Iの方向が逆転して紙面奥向きとなる。そして、この7番から12番の導体棒33までは、誘導電流Iは紙面奥向きの方向のまま徐々に増加していき、回転方向Rと回転磁界Mとが略直交する12番の導体棒33では1番での誘導電流Iと同等の大きさとなる。
導体棒33に誘導電流Iが流れると、図2(c)に示すように、この導体棒33に対してフレミングの左手の法則で決定される方向へ電磁力Fが作用する。具体的には、回転磁界Mと誘導電流Iとが略直交する1番の導体棒33に対しては回転方向Rへの電磁力Fが作用する。他の導体棒33に作用する電磁力Fは、1番から6番の導体棒33までは回転磁界Mの方向変化と誘導電流Iの減少とに伴って、減少しながら内周向きに変化していく。そして、7番から12番の導体棒33までは誘導電流Iの向きが逆転するため、回転磁界Mの方向変化と誘導電流Iの増加とに伴って、電磁力Fは外周向きから回転方向Rの向きへ変化しながら増加していき、12番の導体棒33では回転方向Rの向きへ1番での電磁力Fと同等の大きさとなる。
こうして、導体棒33に作用する電磁力Fは、回転子3を回転させ、回転子3と一体的に回転する回転軸4を介して、回転トルクとして出力される。
上記の電磁力Fは、1番や12番付近の導体棒33では回転方向Rに近い向きへ作用するため回転トルクとして有効に働くが、これらから離れる(6,7番に向かう)に従って、回転方向Rとは異なる向きへ作用するようになるため、徐々に回転トルクの出力に寄与しなくなる。したがって、1番や12番付近以外の導体棒33を流れる誘導電流Iもトルク出力には殆ど寄与しない。
ここで、従来の回転子にあっては、図5(a)に示すように、短絡環によって全ての導体棒が両端部で連結されていた。この図5(a)は、従来の回転子における導体棒と短絡環からなる誘導電流の経路を展開して模式的に表した図であり、本図中の番号は、図3(b)中の導体棒33の識別番号と形式的に対応している。この従来の回転子においては、トルク出力に大きく寄与する誘導電流の流れる導体棒(例えば1番)が、同じくトルク出力に寄与する導体棒(例えば12番)だけでなく、トルク出力に殆ど寄与しない他の全ての導体棒とも連結されていたため、図5(a)の矢印で示すようにトルク出力に殆ど寄与しない誘導電流の経路も多く形成され、この経路に高調波二次電流が発生して電動機効率を悪化させていた。
一方、本発明に係る回転子3では、その一方の端部において、導体棒33が周方向に10個の回転子スロット31a、すなわち10個の導体棒33を介在させて別の導体棒33と通電可能に連結されているので、図5(b)に示すように、トルク出力に大きく寄与する誘導電流Iの流れる導体棒33(例えば1番)は、同じくトルク出力に寄与する導体棒33(例えば12番)と連結され、トルク出力に殆ど寄与しない導体棒33(例えば6番)とは連結されない。ここで、図5(b)は、導体32及び短絡環34からなる誘導電流Iの経路を展開して模式的に表した図であり、本図中の番号は、図3(b)中の導体棒33の識別番号と対応している。このように、トルク出力に寄与する導体棒33と殆ど寄与しない導体棒33とを連結してなる誘導電流Iの経路の形成が抑えられるので、トルク出力を殆ど損なうことなく、当該経路を流れる高調波二次電流の発生を抑えることができる。これにより、高調波二次銅損を低減し高い電動機効率を達成することができる。なお、回転子3の他方の端部において、一方の端部と同様に、回転子スロット31aの極ピッチ毎に導体棒33を連結しておけば、高調波二次銅損を更に低減し、より高い電動機効率を達成することができる。
そして、回転磁界Mは、固定子巻線22に供給される三相交流の周波数に応じた速度で回転方向Rへ回転する。すると、この回転磁界Mの回転に伴って、回転トルクとして有効な電磁力Fが作用する導体棒33も同方向へ順番に変わっていく。こうして、回転子3は回転磁界Mの速度に応じた速度で回転し、連続的に回転トルクが出力される。
なお、上述の通り、ここでは簡単のために1〜12番の導体棒33に限定して説明したが、他の13〜44番については、回転磁界Mと回転方向Rとの関係が共通する1〜12番のいずれかと全く同じように電磁力Fが作用する。
以上のように、回転子3によれば、回転子3の一方の端部において、導体棒33が回転子3の周方向に所定個数の回転子スロット31aを介在させて他の導体棒33と通電可能に連結され、回転子3の他方の端部において、この導体棒33が少なくとも他の導体棒33と通電可能に連結されているので、トルク出力に寄与する導体棒33と殆ど寄与しない導体棒33とを連結してなる誘導電流Iの経路の形成が抑えられる。したがって、トルク出力を殆ど損なうことなく、当該経路を流れる高調波二次電流の発生を抑えることができるため、高調波二次銅損を低減し、高い電動機効率を達成することができる。
[第一の実施の形態の変形例]
続いて、上記の誘導電動機1の変形例としての誘導電動機7について説明する。なお、上記第一の実施の形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
誘導電動機7は、図1に示すように、上記第一の実施の形態における回転子3に代えて回転子8を備えている。回転子8は、回転子鉄芯81を備えており、この回転子鉄芯81の外周面には、46個の回転子スロット81aが開口している。そして、各回転子スロット81aの内部には、導体棒83がそれぞれ収納されている。
導体棒83は、図3に示すように、Y形の導体82の棒状部分82aを含んで形成されている。そして、この導体82における残りの2本の棒状部分82bは、回転子8の一方の端部において、当該導体82における導体棒83と他の導体棒83との距離dが回転子スロット81aの9個分に相当する距離となるよう、他の導体82における2本の棒状部分82bのいずれか1本と通電可能に連結されている。すなわち、導体棒83は周方向に8個の回転子スロット81aを介在させて他の導体棒83と通電可能に連結されている。
このように、導体棒83と他の導体棒83とが回転子スロット31aの極ピッチより短い距離dで連結されているので、その分だけ2本の棒状部分82bを短くすることができる。これにより、導体82のコイルエンドに相当する部分(端部に露出している部分)が小さくなり、損失低減や、材料削減、軽量化、遠心力による応力の低減といった効果が得られる。
なお、以上の誘導電動機7において、回転子スロット81aの個数及び導体棒83間の距離d以外の構成については、第一の実施の形態と同様に形成されている。
次に、誘導電動機7の動作について説明する。
誘導電動機7は、誘導電動機1と殆ど同じ動作によって回転トルクを出力する。すなわち、まず、固定子巻線22に所定の周波数の三相交流が供給され、この周波数に応じた速度で方向Rへ回転する4極の回転磁界Mが固定子2内に形成される。次いで、回転磁界Mを受けて導体棒83に誘導電流Iが流れる。そして、この誘導電流Iが流れたことにより導体棒83に電磁力Fが作用する。こうして、電磁力Fが回転子8を回転させることにより、回転子8と一体的に回転する回転軸4を介して回転トルクが出力される。
このとき、回転子8では、その一方の端部において、導体棒83が周方向に8個の回転子スロット81aを介在させて他の導体棒83と通電可能に連結されているので、回転子3と同様に、トルク出力に大きく寄与する誘導電流Iの流れる導体棒83とトルク出力に殆ど寄与しない導体棒83とを連結してなる誘導電流Iの経路の形成が抑えられる。これにより、トルク出力を殆ど損なうことなく、当該経路を流れる高調波二次電流の発生を抑えることができる。特に、回転子8では、5次の高調波二次電流の発生を効果的に抑制できる。
このように、回転子8において5次の高調波二次電流の発生が効果的に抑制できるのは、以下の理由によるものと考えられる。
一般に、固定子巻線は、電流が流れることにより空間に関して方形波状の起磁力分布を発生させるが、この起磁力分布には奇数次の高調波成分が含まれ、特に5次や7次の高調波が多く含まれる。そこで、これらの高調波を極力抑えるために、短節巻という固定子巻線の巻き方が用いられる。この短節巻とは、極ピッチより少ない固定子スロットのピッチで巻く手法であり、基本波を含む高調波を低減する効果がある。そして、この低減効果は、極ピッチで巻いた時の起磁力に対する短節巻での起磁力の比として求まる短節係数kpで表される。この短節係数kpと、極ピッチに対する実ピッチの比である巻線ピッチβとは、図8に示す関係がある。
しかしながら、一般的には、この短節巻によっても5次や7次の高調波を完全に消すことはできず、これらの高調波が重畳した回転磁界が形成されてしまう。このとき、このような回転磁界において、本変形例のように導体棒83同士を極ピッチより小さいピッチで連結した回転子8を用いると、図8と同様の効果が得られ、この回転磁界の高調波による導体棒83への有効鎖交磁束が小さくなる。こうして、高調波による誘導電流、すなわち高調波二次電流の発生を抑制することができる。
ここで、回転子8における回転子スロット81aと導体棒83とが、上記の固定子における固定子スロットと固定子巻線とにそれぞれ対応すると考えると、回転子8における巻線ピッチβは、β=9/(46/4)≒0.78となる。そして、図8によれば、β=0.78における5次の高調波に対する短節係数kpは−0.13となる。
したがって、回転子8では、5次の高調波の鎖交磁束の大きさを従来の13%に抑えられる。すなわち、5次の高調波二次電流の発生を従来の13%に抑制できるのである。
なお、磁界の極数や回転子スロット81aの数は、本実施の形態の数値に限定されない。この際、導体棒83が、回転子スロット81aの総数Srと、磁界の極数Pと、巻線ピッチβとから以下の式(1)で求まる数Nに最も近い整数個の回転子スロット81aを介在させて、他の導体棒83と通電可能に連結されていればよい。
N=β(Sr/P−1) (1)
また、回転子8における巻線ピッチβの好ましい範囲は、以下のように考えられる。
三相交流機における3次の高調波の位相差は、各相間で相殺されて現れない。また、9次以上の高調波は非常に小さいので考慮しない。加えて、基本波(1次)の低下はトルク出力の低下に直接繋がってしまう。これらのことから、巻線ピッチβは、トルク出力を殆ど損なうことなく5次,7次の高調波二次電流の発生が抑制される0.66<β≦1の範囲とするのが好ましい。特に、5次の高調波二次電流の発生が大幅に抑制されるβ=0.8とするのがより好ましい。これにより、高調波二次銅損を更に低減し、より高い電動機効率を達成することができる。
以上のように、回転子8によれば、上記第一の実施の形態と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、導体棒83が、回転子スロット81aの総数Srと、磁界の極数Pと、回転子8における巻線ピッチβとから式(1)で求まる数Nに最も近い整数個の回転子スロット81aを介在させて、他の導体棒83と通電可能に連結し、巻線ピッチβの値を、0.66<β≦1の範囲とするので、トルク出力を殆ど損なうことなく5次,7次の高調波二次電流の発生が抑制される。
また、回転子8における巻線ピッチβの値を、β=0.8とするので、5次の高調波二次電流の発生が大幅に抑制される。
また、巻線ピッチβをβ<1とした場合には、導体棒83同士を連結する実ピッチが極ピッチ以下となるので、導体82のコイルエンドに相当する部分が小さくなり、損失低減や、材料削減、軽量化、遠心力による応力の低減といった効果が得られる。
[第一の実施の形態の他の変形例]
続いて、上記の誘導電動機1の他の変形例としての誘導電動機9について説明する。なお、上記第一の実施の形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
誘導電動機9は、図1及び図6に示すように、固定子2と回転子10とを備えている。ここで、図6は、固定子2と回転子10とのギャップ周辺の一部を直線的に表した軸方向と垂直な断面の概念図である。回転子10は、回転子鉄芯101を備えており、この回転子鉄芯101の外周面には、44個の回転子スロット101aが開口している。隣り合う回転子スロット101aは、これらに挟まれた回転子ティース101bを形成する。そして、各回転子スロット101aの内部には導体棒33がそれぞれ収納され、当該導体棒33は、導体棒33間の距離dが回転子スロット101aの極ピッチの距離と等しくなるように、回転子10の一方の端部において他の導体棒33と通電可能に連結されている。なお、図6に示す回転子スロット101aの下方の数字は、図2(b)中の数字と同様、導体棒33の便宜的な識別番号である。
また、回転子10は、その一方の端部で連結される導体棒33と他の導体棒33(例えば、図6における1番と12番)とに挟まれる複数の回転子ティース101bのうち、導体棒33(例えば1番)に隣接する回転子ティース101bにおける当該導体棒33側の端部と、他の導体棒(例えば12番)に隣接する回転子ティース101bにおける当該他の導体棒33側の端部との間の周方向の距離Lrが、固定子2の内周面での固定子スロット21aの周方向の間隔Lsに対し、整数倍となるよう形成されている。
このように、回転子ティース101b間の距離Lrが固定子スロット21aの間隔Lsの整数倍となる回転子10を形成するには、最初に回転子ティース101bのチップ部101cを周方向に長めにしておき、必要に応じて当該チップ部101cを削って調整すればよい。
上述の誘導電動機9は、誘導電動機1と殆ど同じ動作によって回転トルクを出力する。このとき、回転子10は、その一方の端部で連結される導体棒33と他の導体棒33とに挟まれる複数の回転子ティース101bのうち、導体棒33に隣接する回転子ティース101bにおける当該導体棒33側の端部と、他の導体棒33に隣接する回転子ティース101bにおける当該他の導体棒33側の端部との間の周方向の距離Lrが、固定子2の内周面での固定子スロット21aの周方向の間隔Lsの整数倍となるよう形成されているので、前述の回転子8を用いたときと同じように、図8と同様の効果が得られ、回転磁界の高調波による導体棒33への有効鎖交磁束が小さくなる。こうして、高調波による誘導電流、すなわち高調波二次電流の発生を抑制することができる。
以上のように、回転子10によれば、上記第一の実施の形態と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、その一方の端部で連結される導体棒33同士に挟まれる回転子ティース101bのうち、これら導体棒33に隣接する回転子ティース101bそれぞれにおける当該導体棒33側の端部の間の周方向の距離Lrが、固定子2の内周面での固定子スロット21aの周方向の間隔Lsの整数倍となるよう形成されているので、トルク出力を殆ど損なうことなく高調波二次電流の発生が抑制される。
なお、回転子スロット101aの数は、本変形例の数値に限定されない。
[第二の実施の形態]
続いて、本発明を適用した第二の実施の形態である回転子6について説明する。なお、上記第一の実施の形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
回転子6は、上記第一の実施の形態及びその変形例における導体32,82に代えて導体62を有している。この導体62は、黄銅などの銅合金製であり、図7に示すように、U形をなしている。そして、導体棒63は、このU形の導体62の2本の棒状部分62aそれぞれを含んで形成されている。これら2本の棒状部分62aは、横架部分62bを通じて通電可能であり、当該棒状部分62a間の距離dは、回転子スロット31aの極ピッチの距離と等しくなっている。なお、導体62は、アルミニウム製としてもよい。
この導体62における導体棒63と、これに隣接する他の導体62における導体棒63とは、図7(a)に示すように、同一の回転子スロット31a内に並べて配設されている。ここで、図7(a)のように導体棒63は径方向X(図1参照)に重ねられてもよいし、周方向に並べられてもよい。また、回転子3の他方の端部における導体棒63同士の連結は、短絡環34を用いて全ての他の導体棒63と通電可能になっている。
なお、上記の回転子6の他方の端部では、別の導電性の材料を用いて導体棒63同士を、一方の端部と同じように連結し、O形のループを形成してもよい。この場合、図7(c),(d)に示すように、対向させた2個のU形の導体62を連結することができる。
また、図7(b)に示すように、一の導体62の導体棒63とこれに隣接する他の導体62の導体棒63とは、異なる回転子スロット31aに配設されていてもよい。
また、導体62の横架部分62bには、その外周に補強用の保持環を被せてもよい。この場合、当該保持環は、例えば、非磁性のステンレス製のものが好ましく、また、セラミクス製の絶縁部材を介して設けるのが好ましい。
次に、回転子6の製造方法について説明する。
まず、回転子鉄芯31に形成された回転子スロット31aに対し、U形の導体62における横架部分62bが回転子6の一方の端部側に配設されるよう、導体62における2本の棒状部分62aのうち1本をそれぞれ埋設する。そして、各回転子スロット31aから回転子6の周方向に回転子スロット31aの極ピッチ分の距離にある他の回転子スロット31aに対し、各導体62における残り1本の棒状部分62aを埋設する。こうして、各回転子スロット31a内に2本の棒状部分62aが並んで配設された状態とする(埋設工程)。
次いで、回転子6の外周側に露出した導体棒63の面に対し鋭利な治具で溝を形成すること(スウェッジング)により、導体棒63を回転子スロット31aの内側面に密着させて固定する。
最後に、回転子6の他方の端部において、図1に示すように、全ての導体棒63を、1つの短絡環34と、ろう付け又は溶接によって通電可能に連結する(連結工程)。なお、この連結は、回転子6の他方の端部側において導体62における1本の棒状部分62aの先端部を、この棒状部分62aを含む導体62が通電経路のループを形成するよう、少なくともこの導体62の残り1本の棒状部分62aの先端部と通電可能にしてあればよい。
このような回転子6の製造方法によれば、導体棒63を形成する棒状部分62a間がU形の導体62の横架部分62bとして予め連結されているので、回転子6の一方の端部における導体棒63の連結が不要となり、製作が容易である。
なお、上述したように、2個のU形の導体62を使用して、図7(c),(d)に示すようなO型のループを形成する場合には、以下のような製造方法となる。
まず、回転子鉄芯31に形成された回転子スロット31aに対し、2つのU形の導体62の開口側を互いに対向させつつこれら2つの導体62それぞれにおける2本の棒状部分62aのうち1本の各棒状部分62aを埋設して、当該棒状部分62aの先端部が互いに隣接した状態とする。そして、当該回転子スロット31aから回転子6の周方向に回転子スロット31aの極ピッチ分の距離にある他の回転子スロット31aに対し、これら2つの導体それぞれにおける残り1本の各棒状部分62aを埋設する。これらの処理を複数回行うことにより、各回転子スロット31aのそれぞれに棒状部分62aが埋設された状態とする(埋設工程)。
次いで、各回転子スロット31a内で隣接する棒状部分62aの先端部同士を、ろう付け又は溶接によって通電可能に連結する(連結工程)。
最後に、回転子6の外周側に露出した導体棒63の面に対し鋭利な治具で溝を形成すること(スウェッジング)により、導体棒63を回転子スロット31aの内側面に密着させて固定する。但し、この工程は、上記の連結工程前に行ってもよい。
このような回転子6の製造方法によれば、導体棒63を形成する棒状部分62a間がU形の導体62の横架部分62bとして予め連結されているので、回転子6の端部における導体棒63の連結が不要となり、製作が容易である。また、導体62同士を図7(c)のように導体棒63の中間で連結すれば、導体62の個々の長さを短くすることができ、導体62自体の製作が容易になる。あるいは、図7(d)のように導体棒63の端で連結すれば、回転子スロット31aの端部で連結でき、連結作業が容易になる。
本実施の形態における誘導電動機の要部断面図である。 (a)は第一の実施の形態における回転子の軸方向と垂直な断面図であり、(b)は回転磁界中の導体棒に発生する誘導電流を示した図であり、(c)は回転磁界中の導体棒に作用する電磁力を示した図である。 第一の実施の形態及びその変形例におけるY形の導体の連結状態を示した図である。 第一の実施の形態における導体棒に流れる誘導電流を示した図である。 (a)は従来の回転子での誘導電流の経路の模式図であり、(b)は第一の実施の形態における回転子での誘導電流の経路の模式図である。 第一の実施の形態の他の変形例における固定子と回転子とのギャップ周辺の一部を直線的に表した軸方向と垂直な断面の概念図である。 (a)は第二の実施の形態におけるU形の導体の配設状態の一例を示した図であり、(b)はU形の導体の配設状態の別例を示した図であり、(c)は対向させた2つのU形の導体の連結状態の一例を示した図であり、(d)は対向させた2つのU形の導体の連結状態の別例を示した図である。 一般の固定子における巻線ピッチβと短節係数kpとの関係を示した図である。
符号の説明
1,7,9 誘導電動機
2 固定子
3,6,8,10 回転子
21a 固定子スロット
31,81,101 回転子鉄芯
31a,81a,101a 回転子スロット
101b 回転子ティース
32,62,82 導体
32a,62a,82a 棒状部分
32b,82b 2本の棒状部分
33,63,83 導体棒
62b 横架部分
d 導体棒間の距離
P 磁界の極数
r 回転子スロットの総数
β 巻線ピッチ(係数)

Claims (12)

  1. 誘導電動機に備えられる柱状の回転子であって、
    周面部分には、回転軸方向に延在する複数の回転子スロットが周方向に所定の間隔で穿設され、
    前記回転子スロットには、少なくとも1つの導体棒がそれぞれ埋設され、
    前記導体棒の一方の端部は、当該回転子の周方向に所定個数の前記回転子スロットを介在させて、少なくとも1つの他の前記導体棒の一方の端部と通電可能に連結され、
    前記導体棒の他方の端部は、少なくとも前記他の導体棒の他方の端部と通電可能に連結されることを特徴とする回転子。
  2. 前記所定個数は、前記回転子スロットの総数Srと、前記誘導電動機に備えられる固定子がつくる磁界の極数Pと、係数βとから下記の式(1)で求まる数Nに最も近い整数であり、
    前記係数βは、0.66<β≦1の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の回転子。
    N=β(Sr/P−1) (1)
  3. 前記係数βは、β=0.8であることを特徴とする請求項2に記載の回転子。
  4. 各回転子スロットの間には、回転子ティースが介在しており、
    前記導体棒と前記他の導体棒との間に挟まれる複数の前記回転子ティースのうち、前記導体棒に隣接する前記回転子ティースにおける当該導体棒側の端部と、前記他の導体棒に隣接する前記回転子ティースにおける当該他の導体棒側の端部との間の周方向の距離は、
    前記回転子の外周側に配設される固定子の内周面で前記回転軸方向に延在する複数の固定子スロットの、当該内周面での周方向の間隔に対し、整数倍であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転子。
  5. 前記導体棒の他方の端部は、当該回転子の周方向に前記所定個数の前記回転子スロットを介在させて、前記少なくとも1つの他の導体棒の他方の端部と通電可能に連結されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転子。
  6. 前記導体棒は、Y形の導体における1本の棒状部分を含んでなり、
    当該導体における残り2本の棒状部分がそれぞれ別々の他の前記導体における残り2本の棒状部分のいずれか1本と連結されることにより、前記導体棒と、前記他の導体棒とが互いに通電可能に連結されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転子。
  7. 前記導体棒と、前記他の導体棒とは、U形の導体における2本の棒状部分のそれぞれを含んでなり、当該導体の横架部分で互いに通電可能に連結されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転子。
  8. 前記回転子スロットには、当該回転子の周方向に隣接する別々の前記導体における2つの前記導体棒が並んで埋設されることを特徴とする請求項7に記載の回転子。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の回転子と、当該回転子の外周側に配設される固定子とを備えることを特徴とする誘導電動機。
  10. 誘導電動機に備えられる柱状の回転子の製造方法であって、
    回転軸方向へ延在するとともに周方向に所定の間隔で回転子鉄芯の周面部分に穿設された複数の回転子スロットに対し、Y形の導体における1本の棒状部分を含んでなる導体棒をそれぞれ少なくとも1つ埋設する埋設工程と、
    前記導体における残り2本の棒状部分をそれぞれ別々の他の前記導体における残り2本の棒状部分のいずれか1本と連結することにより、前記回転子の周方向に所定個数の前記回転子スロットを介在させて、前記導体棒の一方の端部を前記他の導体における他の前記導体棒の一方の端部と通電可能に連結するとともに、前記導体棒の他方の端部を少なくとも前記他の導体棒の他方の端部と通電可能に連結する連結工程とを備えることを特徴とする回転子の製造方法。
  11. 誘導電動機に備えられる柱状の回転子の製造方法であって、
    回転軸方向へ延在するとともに周方向に所定の間隔で回転子鉄芯の周面部分に穿設された複数の回転子スロットに対し、2つのU形の導体の開口側を互いに対向させつつこれら2つの導体それぞれにおける2本の棒状部分のうち1本の各棒状部分を埋設して、当該棒状部分の先端部が互いに隣接した状態とし、かつ、当該回転子スロットから前記回転子の周方向に所定個数の前記回転子スロットを介在させた他の前記回転子スロットに対し、前記2つの導体それぞれにおける残り1本の各棒状部分を埋設する処理を複数回行うことにより、前記複数の回転子スロットのそれぞれに前記棒状部分が埋設された状態とする埋設工程と、
    各回転子スロット内で隣接する前記棒状部分の前記先端部同士を通電可能に連結する連結工程とを備えたことを特徴とする回転子の製造方法。
  12. 誘導電動機に備えられる柱状の回転子の製造方法であって、
    回転軸方向へ延在するとともに周方向に所定の間隔で回転子鉄芯の周面部分に穿設された複数の回転子スロットに対し、U形の導体における横架部分が前記回転子の一方の端部側に配設されるよう、当該導体における2本の棒状部分のうち1本の棒状部分をそれぞれ埋設し、かつ、各回転子スロットから前記回転子の周方向に所定個数の前記回転子スロットを介在させた他の前記回転子スロットに対し、各導体における残り1本の棒状部分を埋設して、各回転子スロット内に2本の前記棒状部分が並んで配設された状態とする埋設工程と、
    前記回転子の他方の端部側における前記1本の棒状部分の先端部を、少なくとも前記残り1本の棒状部分の先端部と通電可能に連結する連結工程とを備えたことを特徴とする回転子の製造方法。
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WO2013129024A1 (ja) * 2012-02-27 2013-09-06 日立オートモティブシステムズ株式会社 誘導電動機、電動駆動システム及びそれらを備えた電動車両
EP4468578A1 (en) * 2023-05-15 2024-11-27 Mazda Motor Corporation Induction motor

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2013129024A1 (ja) * 2012-02-27 2013-09-06 日立オートモティブシステムズ株式会社 誘導電動機、電動駆動システム及びそれらを備えた電動車両
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