以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態にかかる表面磁石型の周対向ブラシレスモータを含むダイレクトドライブモータの断面図である。
本実施の形態においては、表面磁石型の20極18スロットアウターロータ式ブラシレスタイプのダイレクトドライブモータを用いる。20極18スロットというスロットコンビネーションは、コギング力は小さいが径方向に磁気吸引力が発生し回転時の振動は大きいことが一般的に知られている10極9スロットというスロットコンビネーションの2倍の構成である。2n倍(nは整数)にしたことにより、径方向の磁気吸引力は相殺されるので、固定子と回転子の真円度や同軸度および機構部品の剛性を高めることなく回転時の振動を小さくでき、かつ、本来的にコギングが小さい構成であるので、非常に滑らかな回転が得られる。一方、このような多極なモータとすることにより、機械角の周期に対する電気角の周期が多いので、位置決め制御性が良い。よって、本発明の如く、減速器を用いずにロボット装置を駆動するようなダイレクトドライブモータには好適である。また、総磁束量を下げることなくステータ連結部の肉厚と突極幅、およびモータ回転子のヨーク肉厚を狭くできるので、本発明の如く、薄型かつ大径幅狭のダイレクトドライブモータには好適である。
図1を参照して、3つのブラシレスモータBM1〜BM3を直接に連結した3軸のダイレクトドライブモータの内部構造について詳細に説明する。円盤部10aと、円盤部10aの外縁に連結された円筒部10bとからなるベース10は、円盤部10aの周囲を、定盤(不図示)に据え付けるようにして取り付けられている。円盤部10aの下面には、複数の周溝10cが形成されており、これを遮蔽するようにしてドーナツ板状の遮蔽板10dがボルトBにより取り付けられている。複数の周溝10cと遮蔽板10dとで囲われる空間は、2本のO−リングORで密封されており、かかる空間内には、遮蔽板10dに連結されたコネクタCN1から冷却液が注入され、動作時に発生した熱で加熱されたベース10の冷却が行われる。尚、熱交換が行われた冷却液は、コネクタCN2より外部に取り出される。
ベース10の円盤部10aの上面に対して、円筒状の第1本体12Aがインロー嵌めにより同軸に取り付けられ、上方から挿通された長ボルトLBで固定されている。また第1本体12Aの上面には、円筒状の第2本体12Bがインロー嵌めにより同軸に取り付けられ、上方から挿通された長ボルトLBで固定されている。更に第2本体12Bの上面には、円筒状の第3本体12Cがインロー嵌めにより同軸に取り付けられ、上方から挿通された長ボルトLBで固定されている。第3本体12Cの上面には、円板12Dがインロー嵌めにより同軸に取り付けられ、ボルトBで固定されている。
薄肉円筒状の隔壁13が、ベース10の円盤部10aに下端を取り付け、円板12Dに上端を取り付けている。尚、本体12A〜12Cの中央に貫通孔を設け、ステータへの配線などを通すために用いることができる。ベース10,本体12A〜12C,円板12Dによりハウジングを構成する。
隔壁13は、非磁性体であるステンレス製であり、ベース10の円盤部10aに面当てするように放射状外側に広がった底部13aと、その内周縁から軸線方向にブラシレスモータBM1、BM2、BM3を貫くようにして延在する薄肉の円筒部13bと、円筒部13bの上縁から半径方向内方に延在するフランジ状の取付部13cとからなる。取付部13cの内方縁は、軸線方向内側に折り曲げられて短い距離だけ延在している。
尚、隔壁13の口元には口元つば部を嵌合することが出来、かかる場合、円筒部13bと略同一厚さの薄肉部と、円筒部13bとを軸方向のTIG溶接にて封止固定することができる。このように、溶接部を略同一厚さとすることにより、片側への部品にのみ熱が逃げることを避け、嵌合部を均一に溶接できる。口元つば部にはシール部材を填め込む溝加工を施すと好ましく、シール部材を溝に填め込んだ後にフランジにねじにて締結することにより、締結部分を大気側から分離隔絶できる。
明らかであるが、隔壁13は、ブラシレスモータBM1、BM2、BM3に共通に用いられる。隔壁13の底部13aは、ベース10の円盤部10aと、円筒部10bの内周に嵌合する環状の抑え板PT1により挟持され、ボルトBを用いて円盤部10aに固定されている。底部13aと円盤部10aとの間は、O−リングORで密封されている。又、隔壁13の取付部13cは、円板12Dと、円板状の抑え板PT2により挟持され、ボルトBを用いて円板12Dに固定されている。取付部13cと円板12Dとの間は、O−リングORで密封されている。以上により、隔壁13の締結部分を大気側から分離隔絶している。隔壁13は耐食性が高く、特に磁性の少ないオーステナイト系ステンレスのSUS316を材料としている。
更に、ベース10と定盤とは気密されているので、ベース10と隔壁13とで囲われる内部空間は、その外部(真空環境)から気密されている。尚、隔壁13は必ずしも非磁性体である必要はない。又、O−リングORを用いて気密する代わりに、電子ビーム溶接やレーザビーム溶接などで部材間を気密しても良い。
ベース10の円筒部10bの内周段部には、真空中で用いられる背面組合せアンギュラ玉軸受19の外輪が嵌合的に取り付けられ、環状の抑え部材PT3を介して中空のボルトBにより固定されている。一方、背面組合せアンギュラ玉軸受19の内輪は、第1外側ロータ部材21のヨーク21dの外周段部に嵌合しており、上方から第1円筒状部材23により押圧されている。後述する第1アームアセンブリAA1を支持する第1円筒状部材23は、慣性低減のため、金属材料としては比重が小さいアルミニウム合金を材料とし、ヨーク21dの外径部との嵌合部と、ヨーク21dの端面との締結部を有している。第1円筒状部材23は、上部内周に、第2のブラシレスモータBM2の真空軸受装置19’の外輪を嵌合固定するための軸受ホルダ部を有している。このような構造を取ることにより、真空軸受装置19’の静止輪を隔壁12に取り付ける必要がなく、機械的な剛性を高められる。尚、第1外側ロータ部材21と第1円筒状部材23が、モータ回転子を構成する。
ベース10は、耐食性が高いオーステナイト系ステンレスを材料としており、チャンバである定盤との嵌合固定およびシール装置を兼ねている。
背面組合せアンギュラ玉軸受19(真空軸受装置)は、ラジアル、アキシアル、モーメント荷重を1個の軸受で負荷できる。この形式の軸受を用いることにより、ブラシレスモータBM1のロータ支持用の軸受は1個で済むため、本発明の3軸同軸ダイレクトドライブモータを薄型化できる。背面組合せアンギュラ玉軸受19は、内外輪とも耐食性が高くかつ焼入れによる硬化が得られるマルテンサイト系ステンレスを材料とし、転動体はセラミックボール、潤滑剤は真空であっても固化しない真空用のグリスを用いている。
尚、背面組合せアンギュラ玉軸受19は内輪と外輪に金や銀などの軟質金属をプレーティングして、真空中でもアウトガス放出のない金属潤滑としたものを用いてもよく、また後述するアームアッセンブリからの第1外側ロータ部材21がチルトする方向のモーメントを受けることができるが、これに限らず、クロスローラ、クロスボール、クロステーパ軸受も用いることができ、予圧状態で用いても良いし、潤滑性向上のためフッ素系被膜処理(DFO)を行っても良い。
第1外側ロータ部材21は、磁石ホルダ21aによって保持された永久磁石21b及び真空カップリング磁石21cと、磁路を形成するため磁性体から成る円環状のヨーク21dとによって構成されている。
永久磁石21bは極ごとに分割されたセグメント形式であり、エネルギー積の高いネオジウム(Nd−Fe−B)系磁石を材料としている。このネオジウム系磁石は、鉄と比較して線膨張係数が非常に小さい上にもろく割れやすい性質を持つ。本実施の形態においては、耐食性を高め、かつ、耐磨耗性の高いニッケルコーティングを施してある。このような表面処理を施すことにより、不純分子を吸蔵しにくく、かつ、後述する磁石ホルダ21aで固定する際のすべりや、極度の高温または低温時にさらされた際の、摺動磨耗による発塵を防げるので真空環境に好適である、その個々の形状は略分割円環状である。
永久磁石21bのヨーク21dと接する外径側の形状は、後述するヨーク21dの内周と同一半径ないし若干大きい半径を有する円弧状である。又、永久磁石21bのエアギャップ側である内周側の形状は、ヨーク21dに配置された際に、各々の永久磁石21bの円弧中心が回転中心と同一となるような半径を有する円弧状である。更に、永久磁石21bの円周方向端面の形状は直線状であり、円周方向端面においては、後述する第1ステータ29と対向する側が狭く、ヨーク21dと接する側が広い略台形状であり、軸方向端面は直線状であるが、軸線に対して直角である。尚、永久磁石21bの各辺は面取りが施してあり、微細な割れや欠けを防いでいる。軸方向の長さは第1ステータ29の長さと同じか、やや長く設定し、トルク不足を防止することが望ましい。
一方、真空カップリング磁石21cは、一つの磁石の面に3極(N−S−N又はS−N−S)着磁したタイプであって、エネルギー積の高いネオジウム(Nd−Fe−B)系磁石を材料としている。このネオジウム系磁石は、鉄と比較して線膨張係数が非常に小さい上にもろく割れやすい性質を持つ。本実施の形態においては、耐食性を高め、かつ、耐磨耗性の高いニッケルコーティングを施してある。このような表面処理を施すことにより、不純分子を吸蔵しにくく、かつ、後述する磁石ホルダ21aで固定する際のすべりや、極度の高温または低湿時にさらされた際の、摺動磨耗による発塵を防げるので真空環境に好適である。その個々の形状は略分割円環状である。
真空カップリング磁石21cのヨーク21dと接する外径側の形状は、後述するヨーク21dの内周と同一半径ないし若干大きい半径を有する円弧状である。又、真空カップリング磁石21cのエアギャップ側である内周側の形状は、ヨーク21dに配置された際に、各々の永久磁石21bの円弧中心が回転中心と同一となるような半径を有する円弧状である。更に、真空カップリング磁石21cの円周方向端面の形状は直線状であり、円周方向端面においては、後述する大気カップリング磁石30と対向する側が狭く、ヨーク21dと接する側が広い略台形状であり、軸方向端面は直線状であるが、軸線に対して直角である。尚、真空カップリング磁石21cの各辺は面取りが施してあり、微細な割れや欠けを防いでいる。軸方向の長さは後述する大気カップリング磁石30aの長さと同じか、やや長く設定し、トルク不足を防止することが望ましい。
図10に、磁石ホルダ21aとロータホルダ31の斜視図を示す。磁石ホルダ21aは、磁束が短絡して第1ステータ29への鎖交磁束が低減することを防ぐため、非磁性材料で作られ、永久磁石21b及び真空カップリング磁石21cがヨーク21dから外れること防ぐ機能を有する。特に、この材料に非磁性ステンレスを使用した場合には、耐食性が高いので不純分子を吸蔵しにくく、真空環境に好適に使用されている。
軸方向における磁石ホルダ21aの両端面には、均等に永久磁石21b及び真空カップリング磁石21cの固定用溝(切欠)21x、21yを櫛歯状に有し、円筒の外径はヨーク21dの内径と、しまり嵌めの関係になることよって、永久磁石21b及び真空カップリング磁石21cを円周上で精度良く均等に配置でき、これによりコキングトルクの低減や磁気カップリング剛性向上の効果が得られる。
永久磁石21bを保持する溝21xと真空カップリング磁石21cを保持する溝21yは互いに独立し、必要なモータトルクと磁気カップリングの性能に従って、永久磁石21b及び真空カップリング磁石21cを独立に設定できる。
本実施の形態の磁石ホルダ21aは、永久磁石21bの固定用溝21xが20個、真空カップリング磁石21cの固定用溝21yが10個で構成されている。
1つの磁石片は1つの溝21x、21yと嵌めあい、各溝21x、21yの側面は軸方向とほぼ平行し、かつ、円周方向において、永久磁石21b及び真空カップリング磁石21cの側面の傾きに倣って、平行かつ隙間を有する形状である。また、この隙間は永久磁石21b及び真空カップリング磁石21cがエアギャップ方向に浮いたとしても、第1ステータ29との吸着力より、ヨーク21dとの吸着力の方が強く、かつ、モータの使用温度および保存温度の低温側にさらされた際でも隙間が残留する寸法である。
ヨーク21dは、高い磁性を有する低炭素鋼を材料とし、加工成形後に防錆および耐食性を高め、かつ軸受交換時の磨耗を防ぐためにニッケルめっきを施している。その形状は略円環状である。
図1において、永久磁石21b及び真空カップリング磁石21cを配置する内径部には、止め輪21eを配置する溝21fを両端に設置し、両端の止め輪溝21f間距離は、永久磁石21b長さ+磁石ホルダ21aの間座部長さ+真空カップリング磁石21c長さより若干幅広である。
両端の止め輪溝21f間距離と、永久磁石21b長さ+磁石ホルダ21aの間座部長さ+真空カップリング磁石21c長さとの差は、モータの使用温度および保存温度の低温側にさらされた際でも隙間が残留する寸法である。
ヨーク21dの外径側には、背面組合せアンギュラ玉軸受19の内輪に嵌合固定する段部を有しており、互いに嵌合する構造となっている。本実施の形態の場合は、真空用グリス潤滑の背面組合せアンギュラ玉軸受19を用いているので、回転輪である内輪を、加工精度を出しやすくかつ線膨張係数が軸受の軌道輪材質と略同一であるヨークに対して締まり嵌めあるいは中間嵌めとし、固定輪である外輪を真空環境で頻繁に用いられるアルミニウムやオーステナイト系ステンレス製のベース10の円筒部10bに対してすきま嵌めとすることで、背面組合せアンギュラ玉軸受19の回転精度の低下や温度上昇による摩擦トルクの上昇を防ぐ構成となっている。
本実施の形態では、トルク発生機能を持つ永久磁石21bと磁気カップリング吸引機能を持つ真空カップリング磁石21cは、磁石ホルダ21aにより、分離されているが、永久磁石21b及び真空カップリング磁石21cを必ず分ける必要がなく、トルク発生と磁気カップリング吸引力の発生源を一つの磁石にまとめ、適切な固定方法より固定することも可能である。
永久磁石21bを磁石ホルダ21dに組入れた後、軸方向における永久磁石21bの上下運動を拘束するために、非磁性ステンレスで作られた2重止め輪21eをヨーク21dの両端にある止め輪用溝21fにいれて、永久磁石21bを固定する。
磁石ホルダ21dを固定するボルト(不図示)は、ヨーク21dと同様に高い磁性を有する低炭素鋼を材料とし、加工成形後に防錆および耐食性を高め、かつ軸受交換時の磨耗を防ぐためにニッケルめっきを施している。
隔壁13の半径方向内側において、第1外側ロータ部材21の内周面に対向するようにして、第1ステータ29が配置されている。第1ステータ29は、第1本体12Aの下端から半径方向に延在したフランジ部12aの円筒状外周部に取り付けられており、電磁鋼板の積層材で形成され、各突極には絶縁処理としてボビンを嵌め込んだ後にモータコイルが集中巻されている。第1ステータ29の外径は隔壁13の内径と略同一もしくは小さい寸法としている。
第1ステータ29に隣接且つ平行して、第1内側ロータ30が配置されている。第1内側ロータ30は、ロータホルダ31の外周に固定され、第1本体12Aに対して、玉軸受33を介して回転自在に支持されている。
第1内側ロータ30は、ロータホルダ31の外周に等間隔に形成された凹部内に配置される永久磁石30aと、永久磁石30aの背面に装着され磁路を形成するための磁性体から成る板状のバックヨーク30bとからなる。永久磁石30aは、30極の構成でS極−N極−S極又はN極−S極−N極の磁石が各10個交互に磁性金属からなっている。従って、第1内側ロータ30は、磁気カップリング作用により、第1ステータ29によって駆動される第1外側ロータ部材21に同期して連れ回されるようになっている。バックヨーク30bは、高い磁性を有する低炭素鋼を材料とし,加工成形後に防錆のためにクロメートめっきを施している。
永久磁石30aのエアギャップ側の外周側の形状は、隔壁13の内径より若干小さい半径を有する円弧状であり、軸方向において、回転軸と平行である。永久磁石30aの回転軸中心側の形状は平面であり、軸方向において、回転軸と平行になる。永久磁石30aの円周方向端面の形状は直線状であり、円周方向端面においては真空側と対向する側が狭く、回転軸中心側が広い略台形状であり、軸方向端面は直線状であるが、軸線に対して直角である。永久磁石30aの各辺は面取りが施してあり、微細な割れや欠けを防いでいる。軸方向長さは大気側カップリング磁石とほぼ同じに設定する。
ロータホルダ31は、図10に示すごとく花の形状のように、円周方向に沿って外周側に永久磁石30aの固定部31aがあり、各固定部31aは永久磁石30aと同極数で配置されている。各固定部には永久磁石30aと嵌めあう台形凹部31bが設置されている。各凹部31bの側面は軸方向とほぼ平行し、かつ、円周方向において、ここに組み付けられる永久磁石30aの側面の傾きに倣って、平行かつ隙間を有する形状である。また、この隙間は永久磁石30aがエアギャップ方向に浮いたとしても、位置決めキーとの吸着力よりヨーク21dとの吸着力の方が強く、かつ、モータの使用温度および保存温度の低温側にさらされた際でも隙間が残留する寸法である。永久磁石30aの軸方向運動を拘束するために、2液エポキシ接着剤を使って永久磁石30aを第1内側ロータ30に固定することより、高信頼性のモータを提供することができる。
モータ軸方向において、大気側の永久磁石30aと真空側カップリング磁石21cの中心をずらして設置することによって、永久磁石30aに軸方向下向きの吸引力を作用させることができ、これにより第1内側ロータ30を介して、軸受装置33にアキシアル荷重が伝達され、適切な予圧効果を与えることができる。これによって、高精度な回転ができ、正確な位置検出ができる。
第1内側ロータ30を回転自在に支持する軸受33は、ラジアル、アキシアル、モーメント荷重を負荷できる二つの深溝玉軸受からなる。隔壁13の内部は大気環境であるため、一般的な軸受鋼と鉱油を基油としたグリス潤滑を用いた軸受を適用できる。
隔壁13内部は大気環境であるため、永久磁石30aはバックヨーク30bに接着固定してある。永久磁石30aはエネルギー積の高いネオジウム(Nd−Fe−B)系磁石であり、錆による減磁を防ぐためにニッケルコーティングを施してある。バックヨーク30bは高い磁性を有する低炭素鋼を材料とし、加工成形後に防錆のためにクロメートめっきを施している。
図1において、第1内側ロータ30を取り付けたロータホルダ31の内周は、回転角度を計測する検出器として、レゾルバロータ34a及び34bを保持してなる回転筒34cに組みつけられている。ロータホルダ31の内周を保持する回転筒34cは、軸受33により回転自在に支持されている。レゾルバロータ34a及び34bに対向する形で、第1本体12Aの外周に、レゾルバステータ35,36を取り付けているが、本実施の形態では、高分解能のインクリメンタルレゾルバステータ35と、1回転のいずれの位置にロータがあるかを検出できるアブソリュートレゾルバステータ36とを2層に配置している。これによりアブソリュートレゾルバからの絶対角度情報に基づき,電源投入直後の回転子機械角の認識と,モータコイルへのコンミテーションを行っている。一方,インクリメンタルレゾルバからの相対角度情報に基づき,高分解能の角度位置決め動作を行っている。このため電源投入時にも、アブソリュートレゾルバロータ34bの回転角度がわかり、原点復帰が不要であり、また、コイルに対する磁石の電気的位相角度がわかるため、ブラシレスモータBM1の駆動電流制御に使用する回転角度検出が、極検出センサを用いることなく可能となっている。このため、本実施の形態の如く,スカラーロボットを駆動するようなダイレクトドライブモータには好適である。
本実施の形態に用いている高分解能の可変リラクタンス形レゾルバにおいて、インクリメンタルレゾルバロータ34aは、一定のピッチを有する複数のスロツト歯列を有し、インクリメンタルレゾルバステータ35の外周面には、回転軸と平行に各磁極でインクリメンタルレゾルバロータ34aに対して位相をずらした歯が設けられており、コイルが各磁極に巻回されている。軸受33により支持された第1内側ロータ30と一体でインクリメンタルレゾルバロータ34aが回転すると、インクリメンタルレゾルバステータ35の磁極との間のリラクタンスが変化し、インクリメンタルレゾルバロータ34aの1回転でリラクタンス変化の基本波成分がn周期となるようにして、そのリラクタンス変化を検出して、図2に例を示すレゾルバ制御回路によりデジタル化し、位置信号として利用することでインクリメンタルレゾルバロータ34a即ち第1内側ロータ30の回転角度(又は回転速度)を検出するようになっている。レゾルバロータ34a、34bと、レゾルバステータ35,36とで検出器を構成する。
本実施の形態によれば、第1外側ロータ部材21に対して、磁気カップリング作用により第1内側ロータ30が同速で回転し、すなわち連れ回るので、第1外側ロータ部材21の回転角を隔壁13越しに検出することができる。また、本実施の形態では、モータを形成する部品やハウジングを用いることなくレゾルバ単体で軸受33を有しており、従ってハウジングに組み込む前に、レゾルバ単体での偏芯調整やレゾルバコイルの位置調整などの精度調整が行えるので、ハウジングや両フランジに調整用の穴や切り欠きを別途設ける必要がない。
次に、ブラシレスモータBM2について説明するが、ここでは第2本体12Bがハウジングを構成する。上述したブラシレスモータBM1の一部となる第1円筒状部材23は、ブラシレスモータBM2の上端近くまで上方に延在しており、その内周段部に、真空中で用いられる複列の背面組合せアンギュラ玉軸受19’の外輪が嵌合的に取り付けられ、環状の抑え部材PT4を介して中空のボルトBにより固定されている。一方、背面組合せアンギュラ玉軸受19’の内輪は、第2外側ロータ部材21’のヨーク21d’の外周段部に嵌合しており、上方から第2円筒状部材23’により押圧されている。第2円筒状部材23’の下端は二重円筒状になっており、その間に第1円筒状部材23の上端が入り込む形となっている。又、第2円筒状部材23’の外周には、後述する第11ベルトBL11が巻き付く第1レース面23a’と、第21ベルトBL21が巻き付く第1レース面23b’が軸線方向に離して設けられている。第2円筒状部材23’は、慣性低減のため、金属材料としては比重が小さいアルミニウム合金を材料とし、ヨーク21d’の外径部との嵌合部と、ヨーク21d’の端面との締結部を有している。第2外側ロータ部材21’は、第2円筒状部材23’と一体的に、隔壁13に対して回転自在に支持されている。尚、第2外側ロータ部材21’が、外側ロータを構成する。
背面組合せアンギュラ玉軸受19’(真空軸受装置)は、ラジアル、アキシアル、モーメント荷重を1個の軸受で負荷できる。この形式の軸受を用いることにより、ブラシレスモータBM2のロータ支持用の軸受は1個で済むため、本発明の3軸同軸ダイレクトドライブモータを薄型化できる。背面組合せアンギュラ玉軸受19’は、内外輪とも耐食性が高くかつ焼入れによる硬化が得られるマルテンサイト系ステンレスを材料とし、転動体はセラミックボール、潤滑剤は真空であっても固化しない真空用のグリスを用いている。
尚、背面組合せアンギュラ玉軸受19’は内輪と外輪に金や銀などの軟質金属をプレーティングして、真空中でもアウトガス放出のない金属潤滑としたものを用いてもよく、また後述するアームアッセンブリからの第2外側ロータ部材21’がチルトする方向のモーメントを受けることができるが、これに限らず、クロスローラ、クロスボール、クロステーパ軸受も用いることができ、予圧状態で用いても良いし、潤滑性向上のためフッ素系被膜処理(DFO)を行っても良い。
第2外側ロータ部材21’は、磁石ホルダ21a’によって保持された永久磁石21b’及び真空カップリング磁石21c’と、磁路を形成するため磁性体から成る円環状のヨーク21d’とによって構成されている。
永久磁石21b’は極ごとに分割されたセグメント形式であり、エネルギー積の高いネオジウム(Nd−Fe−B)系磁石を材料としている。このネオジウム系磁石は、鉄と比較して線膨張係数が非常に小さい上にもろく割れやすい性質を持つ。本実施の形態においては、耐食性を高め、かつ、耐磨耗性の高いニッケルコーティングを施してある。このような表面処理を施すことにより、不純分子を吸蔵しにくく、かつ、後述する磁石ホルダ21a’で固定する際のすべりや、極度の高温または低温時にさらされた際の、摺動磨耗による発塵を防げるので真空環境に好適である、その個々の形状は略分割円環状である。
永久磁石21b’のヨーク21d’と接する外径側の形状は、後述するヨーク21d’の内周と同一半径ないし若干大きい半径を有する円弧状である。又、永久磁石21b’のエアギャップ側である内周側の形状は、ヨーク21d’に配置された際に、各々の永久磁石21b’の円弧中心が回転中心と同一となるような半径を有する円弧状である。更に、永久磁石21b’の円周方向端面の形状は直線状であり、円周方向端面においては、後述する第2ステータ29’と対向する側が狭く、ヨーク21d’と接する側が広い略台形状であり、軸方向端面は直線状であるが、軸線に対して直角である。尚、永久磁石21b’の各辺は面取りが施してあり、微細な割れや欠けを防いでいる。軸方向の長さは第2ステータ29’の長さと同じか、やや長く設定し、トルク不足を防止することが望ましい。
一方、真空カップリング磁石21c’は、一つの磁石の面に3極(N−S−N又はS−N−S)着磁したタイプであって、エネルギー積の高いネオジウム(Nd−Fe−B)系磁石を材料としている。このネオジウム系磁石は、鉄と比較して線膨張係数が非常に小さい上にもろく割れやすい性質を持つ。本実施の形態においては、耐食性を高め、かつ、耐磨耗性の高いニッケルコーティングを施してある。このような表面処理を施すことにより、不純分子を吸蔵しにくく、かつ、後述する磁石ホルダ21a’で固定する際のすべりや、極度の高温または低湿時にさらされた際の、摺動磨耗による発塵を防げるので真空環境に好適である。その個々の形状は略分割円環状である。
真空カップリング磁石21c’のヨーク21d’と接する外径側の形状は、後述するヨーク21d’の内周と同一半径ないし若干大きい半径を有する円弧状である。又、真空カップリング磁石21c’のエアギャップ側である内周側の形状は、ヨーク21d’に配置された際に、各々の永久磁石21b’の円弧中心が回転中心と同一となるような半径を有する円弧状である。更に、真空カップリング磁石21c’の円周方向端面の形状は直線状であり、円周方向端面においては、後述する大気カップリング磁石30’と対向する側が狭く、ヨーク21d’と接する側が広い略台形状であり、軸方向端面は直線状であるが、軸線に対して直角である。尚、真空カップリング磁石21c’の各辺は面取りが施してあり、微細な割れや欠けを防いでいる。軸方向の長さは後述する大気カップリング磁石30a’の長さと同じか、やや長く設定し、トルク不足を防止することが望ましい。
磁石ホルダ21a’は、磁束が短絡して第2ステータ29’への鎖交磁束が低減することを防ぐため、非磁性材料で作られ、永久磁石21b’及び真空カップリング磁石21c’がヨーク21d’から外れること防ぐ機能を有する。特に、この材料に非磁性ステンレスを使用した場合には、耐食性が高いので不純分子を吸蔵しにくく、真空環境に好適に使用されている。
図10に示すものと同様に、軸方向における磁石ホルダ21a’の両端面には、均等に永久磁石21b’及び真空カップリング磁石21c’の固定用溝(切欠)を櫛歯状に有し、円筒の外径はヨーク21d’の内径と、しまり嵌めの関係になることよって、永久磁石21b’及び真空カップリング磁石21c’を円周上で精度良く均等に配置でき、これによりコキングトルクの低減や磁気カップリング剛性向上の効果が得られる。
永久磁石21b’を保持する溝と真空カップリング磁石21c’を保持する溝は互いに独立し、必要なモータトルクと磁気カップリングの性能に従って、永久磁石21b’及び真空カップリング磁石21c’を独立に設定できる。
本実施の形態の磁石ホルダ21a’は、永久磁石21b’の固定用溝が20個、真空カップリング磁石21c’の固定用溝10個で構成されている。
1つの磁石片は1つの溝と嵌めあい、各溝の側面は軸方向とほぼ平行し、かつ、円周方向において、永久磁石21b’及び真空カップリング磁石21c’の側面の傾きに倣って、平行かつ隙間を有する形状である。また、この隙間は永久磁石21b’及び真空カップリング磁石21c’がエアギャップ方向に浮いたとしても、第2ステータ29’との吸着力より、ヨーク21d’との吸着力の方が強く、かつ、モータの使用温度および保存温度の低温側にさらされた際でも隙間が残留する寸法である。
ヨーク21d’は、高い磁性を有する低炭素鋼を材料とし、加工成形後に防錆および耐食性を高め、かつ軸受交換時の磨耗を防ぐためにニッケルめっきを施している。その形状は略円環状である。
永久磁石21b’及び真空カップリング磁石21c’を配置する内径部には、止め輪21e’を配置する溝21f’を両端に設置し、両端の止め輪溝21f’間距離は、永久磁石21b’長さ+磁石ホルダ21a’の間座部長さ+真空カップリング磁石21c’長さより若干幅広である。
両端の止め輪溝21f’間距離と、永久磁石21b’長さ+磁石ホルダ21a’の間座部長さ+真空カップリング磁石21c’長さとの差は、モータの使用温度および保存温度の低温側にさらされた際でも隙間が残留する寸法である。
ヨーク21d’の外径側には、背面組合せアンギュラ玉軸受19’の内輪に嵌合固定する段部を有しており、互いに嵌合する構造となっている。本実施の形態の場合は、真空用グリス潤滑の背面組合せアンギュラ玉軸受19’を用いているので、内輪を、加工精度を出しやすくかつ線膨張係数が軸受の軌道輪材質と略同一であるヨークに対して締まり嵌めあるいは中間嵌めとし、外輪を第1円筒状部材23に対してすきま嵌めとすることで、背面組合せアンギュラ玉軸受19’の回転精度の低下や温度上昇による摩擦トルクの上昇を防ぐ構成となっている。
本実施の形態では、トルク発生機能を持つ永久磁石21b’と磁気カップリング吸引機能を持つ真空カップリング磁石21c’は、磁石ホルダ21a’により、分離されているが、永久磁石21b’及び真空カップリング磁石21c’を必ず分ける必要がなく、トルク発生と磁気カップリング吸引力の発生源を一つの磁石にまとめ、適切な固定方法より固定することも可能である。
永久磁石21b’を磁石ホルダ21d’に組入れた後、軸方向における永久磁石21b’の上下運動を拘束するために、非磁性ステンレスで作られた2重止め輪21e’をヨーク21d’の両端にある止め輪用溝21f’にいれて、永久磁石21b’を固定する。
磁石ホルダ21d’を固定するボルト(不図示)は、ヨーク21d’と同様に高い磁性を有する低炭素鋼を材料とし、加工成形後に防錆および耐食性を高め、かつ軸受交換時の磨耗を防ぐためにニッケルめっきを施している。
隔壁13の半径方向内側において、第2外側ロータ部材21’の内周面に対向するようにして、第2ステータ29’が配置されている。第2ステータ29’は、第2本体12Bの下端から半径方向に延在したフランジ部12bの円筒状外周部に取り付けられており、電磁鋼板の積層材で形成され、各突極には絶縁処理としてボビンを嵌め込んだ後にモータコイルが集中巻されている。第2ステータ29’の外径は隔壁13の内径と略同一もしくは小さい寸法としている。
第2ステータ29’に隣接且つ平行して、第2内側ロータ30’が配置されている。第2内側ロータ30’は、ロータホルダ31’の外周に固定され、第2本体12Bに対して、玉軸受33’を介して回転自在に支持されている。
第2内側ロータ30’は、ロータホルダ31’の外周に等間隔に形成された凹部内に配置される永久磁石30a’と、永久磁石30a’の背面に装着され磁路を形成するための磁性体から成る板状のバックヨーク30b’とからなる。永久磁石30a’は、30極の構成でS極−N極−S極又はN極−S極−N極の磁石が各10個交互に磁性金属からなっている。従って、第2内側ロータ30’は、磁気カップリング作用により、第2ステータ29’によって駆動される第2外側ロータ部材21’に同期して連れ回されるようになっている。バックヨーク30b’は、高い磁性を有する低炭素鋼を材料とし,加工成形後に防錆のためにクロメートめっきを施している。
永久磁石30a’のエアギャップ側の外周側の形状は、隔壁13の内径より若干小さい半径を有する円弧状であり、軸方向において、回転軸と平行である。永久磁石30a’の回転軸中心側の形状は平面であり、軸方向において、回転軸と平行になる。永久磁石30a’の円周方向端面の形状は直線状であり、円周方向端面においては真空側と対向する側が狭く、回転軸中心側が広い略台形状であり、軸方向端面は直線状であるが、軸線に対して直角である。永久磁石30a’の各辺は面取りが施してあり、微細な割れや欠けを防いでいる。軸方向長さは大気側カップリング磁石とほぼ同じに設定する。
ロータホルダ31’は、図10を参照して、花の形状のように、円周方向に沿って外周側に永久磁石30a’の固定部があり、各固定部は永久磁石30a’と同極数で配置されている。各固定部には永久磁石30a’と嵌めあう台形凹部が設置されている。各凹部の側面は軸方向とほぼ平行し、かつ、円周方向において、ここに組み付けられる永久磁石30a’の側面の傾きに倣って、平行かつ隙間を有する形状である。また、この隙間は永久磁石30a’がエアギャップ方向に浮いたとしても、位置決めキーとの吸着力よりヨーク21d’との吸着力の方が強く、かつ、モータの使用温度および保存温度の低温側にさらされた際でも隙間が残留する寸法である。永久磁石30a’の軸方向運動を拘束するために、2液エポキシ接着剤を使って永久磁石30a’を第2内側ロータ30’に固定することより、高信頼性のモータを提供することができる。
モータ軸方向において、大気側の永久磁石30a’と真空側カップリング磁石21c’の中心をずらして設置することによって、永久磁石30a’に軸方向下向きの吸引力を作用させることができ、これにより第2内側ロータ30’を介して、軸受装置33’にアキシアル荷重が伝達され、適切な予圧効果を与えることができる。これによって、高精度な回転ができ、正確な位置検出ができる。
第2内側ロータ30’を回転自在に支持する軸受33’は、ラジアル、アキシアル、モーメント荷重を負荷できる二つの深溝玉軸受からなる。隔壁13の内部は大気環境であるため、一般的な軸受鋼と鉱油を基油としたグリス潤滑を用いた軸受を適用できる。
隔壁13内部は大気環境であるため、永久磁石30a’はバックヨーク30b’に接着固定してある。永久磁石30a’はエネルギー積の高いネオジウム(Nd−Fe−B)系磁石であり、錆による減磁を防ぐためにニッケルコーティングを施してある。バックヨーク30b’は高い磁性を有する低炭素鋼を材料とし、加工成形後に防錆のためにクロメートめっきを施している。
図1において、第2内側ロータ30’を取り付けたロータホルダ31’の内周は、回転角度を計測する検出器として、レゾルバロータ34a’及び34b’を保持してなる回転筒34c’に組みつけられている。ロータホルダ31’の内周を保持する回転筒34c’は、軸受33’により回転自在に支持されている。レゾルバロータ34a’及び34b’に対向する形で、第2本体12Bの外周に、レゾルバステータ35’,36’を取り付けているが、本実施の形態では、高分解能のインクリメンタルレゾルバステータ35’と、1回転のいずれの位置にロータがあるかを検出できるアブソリュートレゾルバステータ36’とを2層に配置している。これによりアブソリュートレゾルバからの絶対角度情報に基づき,電源投入直後の回転子機械角の認識と,モータコイルへのコンミテーションを行っている。一方,インクリメンタルレゾルバからの相対角度情報に基づき,高分解能の角度位置決め動作を行っている。このため電源投入時にも、アブソリュートレゾルバロータ34b’の回転角度がわかり、原点復帰が不要であり、また、コイルに対する磁石の電気的位相角度がわかるため、ブラシレスモータBM2の駆動電流制御に使用する回転角度検出が、極検出センサを用いることなく可能となっている。このため、本実施の形態の如く,スカラーロボットを駆動するようなダイレクトドライブモータには好適である。
本実施の形態に用いている高分解能の可変リラクタンス形レゾルバにおいて、インクリメンタルレゾルバロータ34a’は、一定のピッチを有する複数のスロツト歯列を有し、インクリメンタルレゾルバステータ35’の外周面には、回転軸と平行に各磁極でインクリメンタルレゾルバロータ34a’に対して位相をずらした歯が設けられており、コイルが各磁極に巻回されている。軸受33’により支持された第2内側ロータ30’と一体でインクリメンタルレゾルバロータ34a’が回転すると、インクリメンタルレゾルバステータ35’の磁極との間のリラクタンスが変化し、インクリメンタルレゾルバロータ34a’の1回転でリラクタンス変化の基本波成分がn周期となるようにして、そのリラクタンス変化を検出して、図2に例を示すレゾルバ制御回路によりデジタル化し、位置信号として利用することでインクリメンタルレゾルバロータ34a’即ち第2内側ロータ30’の回転角度(又は回転速度)を検出するようになっている。レゾルバロータ34a’、34b’と、レゾルバステータ35’,36’とで検出器を構成する。
本実施の形態によれば、第2外側ロータ部材21’に対して、磁気カップリング作用により第2内側ロータ30’が同速で回転し、すなわち連れ回るので、第2外側ロータ部材21’の回転角を隔壁13越しに検出することができる。また、本実施の形態では、モータを形成する部品やハウジングを用いることなくレゾルバ単体で軸受33’を有しており、従ってハウジングに組み込む前に、レゾルバ単体での偏芯調整やレゾルバコイルの位置調整などの精度調整が行えるので、ハウジングや両フランジに調整用の穴や切り欠きを別途設ける必要がない。
次に、ブラシレスモータBM3について説明するが、ここでは第3本体12Cがハウジングを構成する。上述したブラシレスモータBM2の一部となる第2円筒状部材23’は、ブラシレスモータBM3の上端まで上方に延在しており、その内周段部に、真空中で用いられる複列の背面組合せアンギュラ玉軸受19”の外輪が嵌合的に取り付けられ、環状の抑え部材PT5を介して不図示のボルトにより固定されている。一方、背面組合せアンギュラ玉軸受19”の内輪は、第3外側ロータ部材21”のヨーク21d”の外周段部に嵌合しており、上方から第3円筒状部材23”により押圧されている。第3外側ロータ部材21”は、第3円筒状部材23”と一体的に、隔壁13に対して回転自在に支持されている。後述する第2アームアセンブリAA2を支持する第3円筒状部材23”は、慣性低減のため、金属材料としては比重が小さいアルミニウム合金を材料とし、ヨーク21d”の外径部との嵌合部と、ヨーク21d”の端面との締結部を有している。第3外側ロータ部材21”は、第3円筒状部材23”と一体的に、隔壁13に対して回転自在に支持されている。尚、第3外側ロータ部材21”と第3円筒状部材23”が、モータ回転子を構成する。
背面組合せアンギュラ玉軸受19”(真空軸受装置)は、ラジアル、アキシアル、モーメント荷重を1個の軸受で負荷できる。この形式の軸受を用いることにより、ブラシレスモータBM3のロータ支持用の軸受は1個で済むため、本発明の3軸同軸ダイレクトドライブモータを薄型化できる。背面組合せアンギュラ玉軸受19”は、内外輪とも耐食性が高くかつ焼入れによる硬化が得られるマルテンサイト系ステンレスを材料とし、転動体はセラミックボール、潤滑剤は真空であっても固化しない真空用のグリスを用いている。
尚、背面組合せアンギュラ玉軸受19”は内輪と外輪に金や銀などの軟質金属をプレーティングして、真空中でもアウトガス放出のない金属潤滑としたものを用いてもよく、また後述するアームアッセンブリからの第3外側ロータ部材21”がチルトする方向のモーメントを受けることができるが、これに限らず、クロスローラ、クロスボール、クロステーパ軸受も用いることができ、予圧状態で用いても良いし、潤滑性向上のためフッ素系被膜処理(DFO)を行っても良い。
第3外側ロータ部材21”は、磁石ホルダ21a”によって保持された永久磁石21b”及び真空カップリング磁石21c”と、磁路を形成するため磁性体から成る円環状のヨーク21d”とによって構成されている。
永久磁石21b”は極ごとに分割されたセグメント形式であり、エネルギー積の高いネオジウム(Nd−Fe−B)系磁石を材料としている。このネオジウム系磁石は、鉄と比較して線膨張係数が非常に小さい上にもろく割れやすい性質を持つ。本実施の形態においては、耐食性を高め、かつ、耐磨耗性の高いニッケルコーティングを施してある。このような表面処理を施すことにより、不純分子を吸蔵しにくく、かつ、後述する磁石ホルダ21a”で固定する際のすべりや、極度の高温または低温時にさらされた際の、摺動磨耗による発塵を防げるので真空環境に好適である、その個々の形状は略分割円環状である。
永久磁石21b”のヨーク21d”と接する外径側の形状は、後述するヨーク21d”の内周と同一半径ないし若干大きい半径を有する円弧状である。又、永久磁石21b”のエアギャップ側である内周側の形状は、ヨーク21d”に配置された際に、各々の永久磁石21b”の円弧中心が回転中心と同一となるような半径を有する円弧状である。更に、永久磁石21b”の円周方向端面の形状は直線状であり、円周方向端面においては、後述する第3ステータ29”と対向する側が狭く、ヨーク21d”と接する側が広い略台形状であり、軸方向端面は直線状であるが、軸線に対して直角である。尚、永久磁石21b”の各辺は面取りが施してあり、微細な割れや欠けを防いでいる。軸方向の長さは第3ステータ29”の長さと同じか、やや長く設定し、トルク不足を防止することが望ましい。
一方、真空カップリング磁石21c”は、一つの磁石の面に3極(N−S−N又はS−N−S)着磁したタイプであって、エネルギー積の高いネオジウム(Nd−Fe−B)系磁石を材料としている。このネオジウム系磁石は、鉄と比較して線膨張係数が非常に小さい上にもろく割れやすい性質を持つ。本実施の形態においては、耐食性を高め、かつ、耐磨耗性の高いニッケルコーティングを施してある。このような表面処理を施すことにより、不純分子を吸蔵しにくく、かつ、後述する磁石ホルダ21a”で固定する際のすべりや、極度の高温または低湿時にさらされた際の、摺動磨耗による発塵を防げるので真空環境に好適である。その個々の形状は略分割円環状である。
真空カップリング磁石21c”のヨーク21d”と接する外径側の形状は、後述するヨーク21d”の内周と同一半径ないし若干大きい半径を有する円弧状である。又、真空カップリング磁石21c”のエアギャップ側である内周側の形状は、ヨーク21d”に配置された際に、各々の永久磁石21b”の円弧中心が回転中心と同一となるような半径を有する円弧状である。更に、真空カップリング磁石21c”の円周方向端面の形状は直線状であり、円周方向端面においては、後述する大気カップリング磁石30”と対向する側が狭く、ヨーク21d”と接する側が広い略台形状であり、軸方向端面は直線状であるが、軸線に対して直角である。尚、真空カップリング磁石21c”の各辺は面取りが施してあり、微細な割れや欠けを防いでいる。軸方向の長さは後述する大気カップリング磁石30a”の長さと同じか、やや長く設定し、トルク不足を防止することが望ましい。
磁石ホルダ21a”は、磁束が短絡して第3ステータ29”への鎖交磁束が低減することを防ぐため、非磁性材料で作られ、永久磁石21b”及び真空カップリング磁石21c”がヨーク21d”から外れること防ぐ機能を有する。特に、この材料に非磁性ステンレスを使用した場合には、耐食性が高いので不純分子を吸蔵しにくく、真空環境に好適に使用されている。
図10に示すものと同様に、軸方向における磁石ホルダ21a”の両端面には、均等に永久磁石21b”及び真空カップリング磁石21c”の固定用溝(切欠)を櫛歯状に有し、円筒の外径はヨーク21d”の内径と、しまり嵌めの関係になることよって、永久磁石21b”及び真空カップリング磁石21c”を円周上で精度良く均等に配置でき、これによりコキングトルクの低減や磁気カップリング剛性向上の効果が得られる。
永久磁石21b”を保持する溝と真空カップリング磁石21c”を保持する溝は互いに独立し、必要なモータトルクと磁気カップリングの性能に従って、永久磁石21b”及び真空カップリング磁石21c”を独立に設定できる。
本実施の形態の磁石ホルダ21a”は、永久磁石21b”の固定用溝が20個、真空カップリング磁石21c”の固定用溝10個で構成されている。
1つの磁石片は1つの溝と嵌めあい、各溝の側面は軸方向とほぼ平行し、かつ、円周方向において、永久磁石21b”及び真空カップリング磁石21c”の側面の傾きに倣って、平行かつ隙間を有する形状である。また、この隙間は永久磁石21b”及び真空カップリング磁石21c”がエアギャップ方向に浮いたとしても、第3ステータ29”との吸着力より、ヨーク21d”との吸着力の方が強く、かつ、モータの使用温度および保存温度の低温側にさらされた際でも隙間が残留する寸法である。
ヨーク21d”は、高い磁性を有する低炭素鋼を材料とし、加工成形後に防錆および耐食性を高め、かつ軸受交換時の磨耗を防ぐためにニッケルめっきを施している。その形状は略円環状である。
永久磁石21b”及び真空カップリング磁石21c”を配置する内径部には、止め輪21e”を配置する溝21f”を両端に設置し、両端の止め輪溝21f”間距離は、永久磁石21b”長さ+磁石ホルダ21a”の間座部長さ+真空カップリング磁石21c”長さより若干幅広である。
両端の止め輪溝21f”間距離と、永久磁石21b”長さ+磁石ホルダ21a”の間座部長さ+真空カップリング磁石21c”長さとの差は、モータの使用温度および保存温度の低温側にさらされた際でも隙間が残留する寸法である。
ヨーク21d”の外径側には、背面組合せアンギュラ玉軸受19”の内輪に嵌合固定する段部を有しており、互いに嵌合する構造となっている。本実施の形態の場合は、真空用グリス潤滑の背面組合せアンギュラ玉軸受19”を用いているので、内輪を、加工精度を出しやすくかつ線膨張係数が軸受の軌道輪材質と略同一であるヨークに対して締まり嵌めあるいは中間嵌めとし、外輪を第1円筒状部材23に対してすきま嵌めとすることで、背面組合せアンギュラ玉軸受19”の回転精度の低下や温度上昇による摩擦トルクの上昇を防ぐ構成となっている。
本実施の形態では、トルク発生機能を持つ永久磁石21b”と磁気カップリング吸引機能を持つ真空カップリング磁石21c”は、磁石ホルダ21a”により、分離されているが、永久磁石21b”及び真空カップリング磁石21c”を必ず分ける必要がなく、トルク発生と磁気カップリング吸引力の発生源を一つの磁石にまとめ、適切な固定方法より固定することも可能である。
永久磁石21b”を磁石ホルダ21d”に組入れた後、軸方向における永久磁石21b”の上下運動を拘束するために、非磁性ステンレスで作られた2重止め輪21e”をヨーク21d”の両端にある止め輪用溝21f”にいれて、永久磁石21b”を固定する。
磁石ホルダ21d”を固定するボルト(不図示)は、ヨーク21d”と同様に高い磁性を有する低炭素鋼を材料とし、加工成形後に防錆および耐食性を高め、かつ軸受交換時の磨耗を防ぐためにニッケルめっきを施している。
隔壁13の半径方向内側において、第3外側ロータ部材21”の内周面に対向するようにして、第3ステータ29”が配置されている。第3ステータ29”は、第3本体12Cの下端から半径方向に延在したフランジ部12cの円筒状外周部に取り付けられており、電磁鋼板の積層材で形成され、各突極には絶縁処理としてボビンを嵌め込んだ後にモータコイルが集中巻されている。第3ステータ29”の外径は隔壁13の内径と略同一もしくは小さい寸法としている。
第3ステータ29”に隣接且つ平行して、第3内側ロータ30”が配置されている。第3内側ロータ30”は、ロータホルダ31”の外周に固定され、第3本体12Cに対して、玉軸受33”を介して回転自在に支持されている。
第3内側ロータ30”は、ロータホルダ31”の外周に等間隔に形成された凹部内に配置される永久磁石30a”と、永久磁石30a”の背面に装着され磁路を形成するための磁性体から成る板状のバックヨーク30b”とからなる。永久磁石30a”は、30極の構成でS極−N極−S極又はN極−S極−N極の磁石が各10個交互に磁性金属からなっている。従って、第3内側ロータ30”は、磁気カップリング作用により、第3ステータ29”によって駆動される第3外側ロータ部材21”に同期して連れ回されるようになっている。バックヨーク30b”は、高い磁性を有する低炭素鋼を材料とし,加工成形後に防錆のためにクロメートめっきを施している。
永久磁石30a”のエアギャップ側の外周側の形状は、隔壁13の内径より若干小さい半径を有する円弧状である。軸方向において、回転軸と平行である。永久磁石30a”の回転軸中心側の形状は平面であり、軸方向において、回転軸と平行になる。永久磁石30a”の円周方向端面の形状は直線状であり、円周方向端面においては真空側と対向する側が狭く、回転軸中心側が広い略台形状であり、軸方向端面は直線状であるが、軸線に対して直角である。永久磁石30a”の各辺は面取りが施してあり、微細な割れや欠けを防いでいる。軸方向長さは大気側カップリング磁石とほぼ同じに設定する。
ロータホルダ31”は、図10を参照して、花の形状のように、円周方向に沿って外周側に永久磁石30a”の固定部があり、各固定部は永久磁石30a”と同極数で配置されている。各固定部には永久磁石30a”と嵌めあう台形凹部が設置されている。各凹部の側面は軸方向とほぼ平行し、かつ、円周方向において、ここに組み付けられる永久磁石30a”の側面の傾きに倣って、平行かつ隙間を有する形状である。また、この隙間は永久磁石30a”がエアギャップ方向に浮いたとしても、位置決めキーとの吸着力よりヨーク21d”との吸着力の方が強く、かつ、モータの使用温度および保存温度の低温側にさらされた際でも隙間が残留する寸法である。永久磁石30a”の軸方向運動を拘束するために、2液エポキシ接着剤を使って永久磁石30a”を第3内側ロータ30”に固定することより、高信頼性のモータを提供することができる。
モータ軸方向において、大気側の永久磁石30a”と真空側カップリング磁石21c”の中心をずらして設置することによって、永久磁石30a”に軸方向下向きの吸引力を作用させることができ、これにより第3内側ロータ30”を介して、軸受装置33”にアキシアル荷重が伝達され、適切な予圧効果を与えることができる。これによって、高精度な回転ができ、正確な位置検出ができる。
第3内側ロータ30”を回転自在に支持する軸受33”は、ラジアル、アキシアル、モーメント荷重を負荷できる二つの深溝玉軸受からなる。隔壁13の内部は大気環境であるため、一般的な軸受鋼と鉱油を基油としたグリス潤滑を用いた軸受を適用できる。
隔壁13内部は大気環境であるため、永久磁石30a”はバックヨーク30b”に接着固定してある。永久磁石30a”はエネルギー積の高いネオジウム(Nd−Fe−B)系磁石であり、錆による減磁を防ぐためにニッケルコーティングを施してある。バックヨーク30b”は高い磁性を有する低炭素鋼を材料とし、加工成形後に防錆のためにクロメートめっきを施している。
図1において、第3内側ロータ30”を取り付けたロータホルダ31”の内周は、回転角度を計測する検出器として、レゾルバロータ34a”及び34b”を保持してなる回転筒34c”に組みつけられている。ロータホルダ31”の内周を保持する回転筒34c”は、軸受33”により回転自在に支持されている。レゾルバロータ34a”及び34b”に対向する形で、第3本体12Cの外周に、レゾルバステータ35”,36”を取り付けているが、本実施の形態では、高分解能のインクリメンタルレゾルバステータ35”と、1回転のいずれの位置にロータがあるかを検出できるアブソリュートレゾルバステータ36”とを2層に配置している。これによりアブソリュートレゾルバからの絶対角度情報に基づき,電源投入直後の回転子機械角の認識と,モータコイルへのコンミテーションを行っている。一方,インクリメンタルレゾルバからの相対角度情報に基づき,高分解能の角度位置決め動作を行っている。このため電源投入時にも、アブソリュートレゾルバロータ34b”の回転角度がわかり、原点復帰が不要であり、また、コイルに対する磁石の電気的位相角度がわかるため、ブラシレスモータBM3の駆動電流制御に使用する回転角度検出が、極検出センサを用いることなく可能となっている。このため、本実施の形態の如く,スカラーロボットを駆動するようなダイレクトドライブモータには好適である。
角度検出器の回転側と軸受33”の回転側および検出器カップリングとを連結するアウタボスおよび角度検出器の静止側と軸受装置の静止側とを連結するインナボスは,モータの界磁およびモータコイルからの電磁ノイズが検出器であるレゾルバに伝達しないように,磁性体である炭素鋼を材料とし,加工成形後に防錆のためにクロメートめっきを施している。
本実施の形態に用いている高分解能の可変リラクタンス形レゾルバにおいて、インクリメンタルレゾルバロータ34a”は、一定のピッチを有する複数のスロツト歯列を有し、インクリメンタルレゾルバステータ35”の外周面には、回転軸と平行に各磁極でインクリメンタルレゾルバロータ34a”に対して位相をずらした歯が設けられており、コイルが各磁極に巻回されている。軸受33”により支持された第3内側ロータ30”と一体でインクリメンタルレゾルバロータ34a”が回転すると、インクリメンタルレゾルバステータ35”の磁極との間のリラクタンスが変化し、インクリメンタルレゾルバロータ34a”の1回転でリラクタンス変化の基本波成分がn周期となるようにして、そのリラクタンス変化を検出して、図2に例を示すレゾルバ制御回路によりデジタル化し、位置信号として利用することでインクリメンタルレゾルバロータ34a”即ち第3内側ロータ30”の回転角度(又は回転速度)を検出するようになっている。レゾルバロータ34a”、34b”と、レゾルバステータ35”,36”とで検出器を構成する。
本実施の形態によれば、第3外側ロータ部材21”に対して、磁気カップリング作用により第3内側ロータ30”が同速で回転し、すなわち連れ回るので、第3外側ロータ部材21”の回転角を隔壁13越しに検出することができる。また、本実施の形態では、モータを形成する部品やハウジングを用いることなくレゾルバ単体で軸受33”を有しており、従ってハウジングに組み込む前に、レゾルバ単体での偏芯調整やレゾルバコイルの位置調整などの精度調整が行えるので、ハウジングや両フランジに調整用の穴や切り欠きを別途設ける必要がない。
本実施の形態の3軸同軸ダイレクトドライブモータの半径方向において、ブラシレスモータBM1〜BM3の外周側から順に、真空軸受装置19,19’、19”と、モータ回転子である外側ロータ部材21,21’、21”と、隔壁13と、ステータ29,29’、29”と、大気側回転子である内側ロータ部材30,30’、30”に連結された角度検出器と、大気側軸受装置33,33’、33”の並びで配置されており、そのうち少なくとも2つは軸線直交方向に見て重合する位置に配置されている。
本実施の形態の3軸同軸ダイレクトドライブモータにおいて、第1のブラシレスモータBM1の真空軸受装置19の静止輪は、隔壁13以外の静止部材(ここではベース10の円筒部10b)に固定され、その回転輪は、第1円筒状部材23に固定されている。また、第2のブラシレスモータBM2の真空軸受装置19’の外輪は、第1円筒状部材23に固定され、その内輪は、第2円筒状部材23’に固定されている。更に、第3のブラシレスモータBM3の真空軸受装置19”の外輪は、第2円筒状部材23’に固定され、その内輪は、第3円筒状部材23”に固定されている。
図3は、ブラシレスモータBM1〜BM3の駆動回路を示すブロック図である。外部のコンピュータからモータ回転指令が入力されたとき、ブラシレスモータBM1用のモータ制御回路DMC1、ブラシレスモータBM2用のモータ制御回路DMC2、ブラシレスモータBM3用のモータ制御回路DMC3は、それぞれ、そのCPUから3層アンプ(AMP)に駆動信号を出力し、3層アンプ(AMP)からブラシレスモータBM1〜BM3に駆動電流が供給される。それによりブラシレスモータBM1〜BM3の円筒状部材23,23’、23”が独立して回転し、後述するようにしてアームアセンブリを移動させるようになっている。円筒状部材23,23’、23”が回転すると、上述のようにして回転角度を検出したレゾルバステータ35,36,35’、36’、35”、36”からレゾルバ信号が出力されるので、それをレゾルバデジタル変換器(RDC)でデジタル変換した後に入力したCPUは、円筒状部材23,23’、23”が指令位置に到達したか否かを判断し、指令位置に到達すれば、3層アンプ(AMP)への駆動信号を停止することで円筒状部材23,23’、23”の回転を停止させる。これにより円筒状部材23,23’、23”のサーボ制御が可能となる。
次に、本実施の形態の3軸同軸ダイレクトドライブモータを用いたスカラーロボットについて説明する。図4は、図1の3軸同軸ダイレクトドライブモータを用いたスカラーロボットの上方から見た斜視図であり、図5は下方から見た斜視図であり、図6は、ウェハ支持部を削除した状態で示すスカラーロボットの斜視図であり、図7は、ウェハ支持部を削除した状態で示すスカラーロボットの正面図であり、図8は、ウェハ支持部を削除した状態で示すスカラーロボットの断面図である。
図において、第1のブラシレスモータBM1のモータ回転子に連結された円筒状部材23の周囲には、第1アームアセンブリAA1が設けられている。第1アームアセンブリAA1において、円筒状部材23に一端側をボルト止めされた筐体状の第1フレームFR1は、その他端側に第11ポストPS11を取り付けている。第11ポストPS11の上端には、第12プーリ(第1固定環)PL12が同軸に固定されている。
第11ポストPS11の周囲において、第1中空シャフトHS1が玉軸受BRにより回転自在に支持されている。第1中空シャフトHS1の下端には、第11プーリ(第1回転環)PL11が連結されており、第1中空シャフトHS1の上端には、筐体状の第1アーム部AM1の一端が固定されている。第1アーム部AM1の一端側は、第12プーリPL12を収容しており、その他端には、第12ポストPS12の下端側が玉軸受BRにより回転自在に支持されている。第12ポストPS12の上端には、第13プーリ(第1末端環)PL13が固定されている。第13プーリPL13の上面には、ウェハ等を保持するための第1爪部材NL1が一体的に回転するように取り付けられている。
第11プーリPL11の外径部と、円筒状部材23’の第1レース面23a’との間には、第11ベルトBL11が張設され、両者は外径に応じた所定の関係で回転するようになっている。又、第12プーリPL12の外径部と、第13プーリPL13の外径部との間には、第12ベルトBL12が張設され、両者は外径に応じた所定の関係で回転するようになっている。
一方、第3のブラシレスモータBM2のモータ回転子に連結された円筒状部材23”の周囲には、第2アームアセンブリAA2が設けられている。第1アームアセンブリAA1と類似の構成を有する第2アームアセンブリAA2において、円筒状部材23”に一端側をボルト止めされた筐体状の第2フレームFR2は、その他端側に第21ポストPS21が取り付けられている。第21ポストPS21の上端には、第22プーリ(第1回転環)PL22が同軸に固定されている。
第21ポストPS21の周囲において、第2中空シャフトHS2が玉軸受BRにより回転自在に支持されている。第2中空シャフトHS2の下端には、第21プーリ(第2回転環)PL21が連結されており、第2中空シャフトHS2の上端には、筐体状の第2アーム部AM2の一端が固定されている。第2アーム部AM2の一端側は、第22プーリPL22を収容しており、その他端には、第22ポストPS22の下端側が玉軸受BRにより回転自在に支持されている。第22ポストPS22の上端には、第23プーリ(第2末端環)PL23が固定されている。第23プーリPL23の上面には、ウェハ等を保持するための第2爪部材NL2が一体的に回転するように取り付けられている。尚、図8に示すように、高さ方向において、第1アーム部AM1は、第2アーム部AM3とダイレクトドライブモータDとの間に進入できる寸法となっている。
第21プーリPL21の外径部と、円筒状部材23’の第2レース面23b’との間には、第21ベルトBL21が張設され、両者は外径に応じた所定の関係で回転するようになっている。又、第22プーリPL22の外径部と、第23プーリPL23の外径部との間には、第22ベルトBL22が張設され、両者は外径に応じた所定の関係で回転するようになっている。
次に、図9を用いて、スカラーロボットの動作について説明する。図9は、簡略化した第1アームアセンブリAA1を、モータの軸線方向に見た図であるが、理解しやすいように第1アーム部は省略しており、プーリ径は実際と異なる。まず、第2のブラシレスモータBM2を静止させ、第1のブラシレスモータBM1を動作させることより、第1フレームが反時計回りに回動したとすると、第1フレームFR1の旋回により、第1ポストPS1が図9に示すようにモータの回転軸線Oの回りを移動する。
ところが、第2のブラシレスモータBM2が静止しているので、第2円筒状部材23’と第11ベルトBL11により連結された第11プーリPL11は回転が拘束される。よって、第11ポストPS11と第1中空シャフトHS1との間に相対回転が生じ、それにより第1フレームFR1に対して第1アーム部AM1が角度付けされることとなる。
このとき、第1アーム部AM1に取り付けられた第12ポストPS12も変位するが、第12ポストPS12は、玉軸受BRにより回転自在に支持されており、且つ第13プーリPL13及び第12ベルトBL12を介して第11ポストPS11との間で回転が拘束されているため、結局、第13プーリPL13に取り付けられた第1爪部材NL1が、元の位置に対して、モータの回転軸線Oに対して半径方向に直線的に移動することとなる。即ち、第2のブラシレスモータBM2を静止させ、第1のブラシレスモータBM1を動作させることより、第1爪部材NL1が半径方向に所望の距離だけ移動する。逆方向も同様である。
一方、第2のブラシレスモータBM2を静止させ、第3のブラシレスモータBM3を動作させることより、同様に、第2爪部材NL2が半径方向に所望の距離だけ移動する。逆方向も同様である。
更に、ブラシレスモータBM1〜BM3を、同時に同一方向へ同速度・同角度で作動させることにより、アームアセンブリAA1,AA2を旋回前の姿勢を保ちながら、任意の角度で旋回させることができる。以上の組み合わせにより、爪部材NL1、NL2を独立して任意の2次元座標の位置に変位させることができる。
本実施の形態によれば、モータ回転子を支持する軸受装置の静止輪を隔壁に取り付ける必要が無く、機械的な剛性を高めることができる。また、隔壁13とベース10との間に設けたO−リングORを分解しないで軸受交換を行える構造とすることができる。更に、ダイレクト駆動のため、多重シャフト構造は不要となり、各軸の慣性とねじり剛性がほぼ同じに設定できるので、バランスよい駆動性能が実現できる。多重シャフトと磁気カップリングによる動力伝達構造の代わりにダイレクト駆動と磁気カップリングによる位置信号伝達の構造を使用することによって、ダイレクト検出が実現でき、ロボット位置決め精度が向上できる。特に、3つのモータで二つのアーム部を独立に駆動でき、搬送効率向上ができる。
以上、本実施例においては、アウタロータ方式のモータを例として説明したが、インナロータ方式でも同様の効果が得られる。その場合、永久磁石とヨーク(磁石ホルダ)の端面の接線交点は、本実施の形態の如くヨークとの隙間以上は浮くことができない角度にすべきである。また、永久磁石の飛散防止のために、モータ回転子に非磁性の薄管を被せると良い。永久磁石は、ネオジウム(Nd−Fe−B)系磁石を用い、耐食性を高めるためのコーティングとして、ニッケルコーティングを施した例を用いて説明したが、この材質、表面処理に限定されるものではなく、使用される環境などによって適宜変更されるものであり、例えばベークアウト時の温度条件によっては高温減磁しにくいサマリウム−コバルト(Sm−Co)系の磁石を用いるべきであり、超真空中で使用されるのであればアウトガス遮断性の高い窒化チタンコーティングを施すべきである。
また、ヨークは、低炭素鋼を材料とし、ニッケルめっきを施した例を用いて説明したが、この材質、表面処理に限定されるものではなく、使用される環境などによって適宜変更されるものであり、特に表面処理に関しては、超真空中で使朋されるのであればピンホールの少ないカニゼンめっきやクリーンエスめっき、窒化チタンコーティング等を施すべきである。
また、真空軸受装置は、真空用グリス潤滑の背面組合わせアンギュラ玉軸受を用いた例を説明したが、この形式、材質、潤滑方法に限定されるものではなく、使用される環境、荷重条件、回転速度などによって適宜変更されるものであり、クロスローラ軸受であっても良いし、深溝玉軸受や4点接触軸受として予圧をかける構造としても良いし、超真空中で使用される場合は、軌道輪に金や銀などの軟質金属をプレーティングしたような、ガス放出のない金属潤滑としたものを用いても良い。
また、ホルダやボルトの材質は、製造コストや使用される環境などによって適宣変更されるものである。更に、モータ回転子は、必ずしも一体の円形である必要もなく、同じ機能ができれば、分割構成となってもかまわない。この場合、素材コストを低減できる。
また、磁気カップリングとして機能する内側ロータとして、永久磁石とバックヨークを用いた形式で説明したが、永久磁石とバックヨークの材質および形状はこれに限定されるものではない。例えば、レゾルバの質量と軸受の摩擦トルクによっては、ロータと同極数でなくても良いし、同幅でなくても良い。永久磁石を用いない突極でも良い。
また、角度検出器としてレゾルバを用いた例で説明したが、製造コストや分解能によって適宜変更されるものであり、例えば光学式のロータリエンコーダでも良い。
また、角度検出器の回転側を回転自在に支持する軸受33,33”として、グリス潤滑の深溝玉軸受を用いた例を説明したが、この形式、潤滑方法に限定されるものではなく、設置スぺースや摩擦トルク、回転速度などによって適宜変更されるものであり、高速回転や摩擦トルクの低減など、多点接触軸受を用いることができない場合は、アンギュラ軸受や深溝玉軸受を各軸ごとに2個配置して、予圧をかける構造としても良い。
また、その他の隔壁の外、中に配置される構造部品および隔壁の材質、形状、製造方法は、製造コストや使用される環境、荷重条件、構成などによって適宜変更されるものである。
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。例えば、本実施の形態のスカラーロボットは、真空雰囲気に限らず、大気外の雰囲気で使用することができる。例えば、半導体製造工程の場合、真空排気後に真空槽内部にエッチング用の反応性ガスが導入されることがあるが、本実施の形態のダイレクトドライブモータでは、隔壁により内部と外部とが遮蔽されているため、モータコイルや絶縁材等がエッチングされてしまうおそれもない。