JP2012162599A - 有機−無機複合体及びその製造方法 - Google Patents

有機−無機複合体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた成膜性を有し、良好な外観を有する透明なコーティング膜及び成形体を形成することが可能であるとともに、得られる成形体の屈折率を容易に制御できる有機−無機複合体を提供すること。
【解決手段】(A)円形度が0.92以下である無機酸化物粒子と、(B)ラジカル重合性モノマーの重合により形成され、分子量の分散度が1.9以下であり、上記無機酸化物粒子に結合しているポリマーと、を備える有機−無機複合体。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機−無機複合体及びその製造方法に関する。また、本発明は、有機−無機複合体を用いたコーティング材、コーティング膜、成形体、光学部材及び光学材料に関する。
従来、高分子から形成された成形体の屈折率の制御は、硫黄原子、ハロゲン原子又はベンゼン環などの芳香族基を高分子中に導入する方法によって行われてきた。しかしながら、有機高分子のみを用いる屈折率の制御には限界があり、また、吸湿率、屈折率の温度依存性、複屈折率などの光学特性が低下するという問題もあった。
そこで、光学特性を維持しつつ屈折率を制御する手段として、無機粒子を高分子中に分散させる試みが近年盛んに行われている。この場合、物性的な偏りやバラツキが無く、見栄えのよい製品を提供するためには、無機粒子が高分子中に均一に分散している必要がある。
しかしながら、無機粒子は凝集しやすく、特にナノオーダーサイズの無機粒子はその傾向が顕著である。そのため、無機粒子を用いた方法の実用化は妨げられている。
微粒子を高分子中に分散させる方法として、特許文献1には、微粒子表面に官能基を導入し、これを当該官能基と反応する官能基を有する高分子と複合することにより、微粒子の分散を図る方法が挙げられている。
特許文献2には、無機水酸化物と有機樹脂から構成される、無機−有機複合難燃性組成物に関する記載がある。
特許文献3には、高分子と、酸化チタン、カーボンブラック、染料等との組み合わせにより作製したコア粒子の表面に、高分子鎖をグラフトした電気泳動粒子の記載がある。
特許文献4には、酸化チタン表面に高分子を重合した粒子に関する記載がある。
特開平11−043556号公報 特開2005−179576号公報 特開2005−345617号公報 特開2008−106129号公報
本発明の主な目的は、優れた成膜性を有し、良好な外観を有する透明なコーティング膜及び成形体を形成することが可能であるとともに、得られるコーティング膜及び成形体の屈折率を容易に制御できる有機−無機複合体を提供することにある。
本発明は、以下のものに関する。
[1]
(A)円形度が0.92以下である無機酸化物粒子と、(B)ラジカル重合性モノマーの重合により形成され、分子量の分散度が1.9以下であり、上記無機酸化物粒子に結合しているポリマーとを備える有機−無機複合体。
[2]
ガラス転移温度が、−10〜180℃である、[1]に記載の有機−無機複合体。
[3]
ハロゲン含有量が、当該有機−無機複合体の全質量を基準として0.001〜5質量%である、[1]又は[2]に記載の有機−無機複合体。
[4]
銅含有量が、当該有機−無機複合体の全質量を基準として0.2質量%以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の有機−無機複合体。
[5]
上記無機酸化物粒子の平均粒径が1〜200nmである、[1]〜[4]のいずれかに記載の有機−無機複合体。
[6]
上記無機酸化物粒子の円形度が0.20〜0.85である、[1]〜[5]のいずれかに記載の有機−無機複合体。
[7]
上記無機酸化物粒子の最大長L及び最小幅DがL/D≧1.2を満たす、[1]〜[6]のいずれかに記載の有機−無機複合体。
[8]
上記無機酸化物粒子の密度が2.5〜8g/cmである、[1]〜[7]のいずれかに記載の有機−無機複合体。
[9]
上記無機酸化物粒子が酸化ジルコニウム粒子又は酸化チタン粒子である、[1]〜[4]のいずれかに記載の有機−無機複合体。
[10]
上記無機酸化物粒子の屈折率が1.4〜4.5である、[1]〜[9]のいずれかに記載の有機−無機複合体。
[11]
上記無機酸化物粒子の含有量が、当該有機−無機複合体の全質量を基準として2〜96質量%である、[1]〜[10]のいずれかに記載の有機−無機複合体。
[12]
上記無機酸化物粒子の含有量が、当該有機−無機複合体の全体積を基準として1〜85体積%である、[1]〜[11]のいずれかに記載の有機−無機複合体。
[13]
上記ラジカル重合性モノマーが、スチレン類、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選択される少なくとも1種のモノマーを含む、[1]〜[12]のいずれかに記載の有機−無機複合体。
[14]
上記ラジカル重合性モノマーが、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルを含み、上記ポリマーがアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの共重合ポリマーである、[1]〜[13]のいずれかに記載の有機−無機複合体。
[15]
上記ラジカル重合性モノマーが、スチレン類及びメタクリル酸エステルを含み、上記ポリマーがスチレン類とメタクリル酸エステルとの共重合ポリマーである、[1]〜[13]のいずれかに記載の有機−無機複合体。
[16]
上記ポリマーが、熱可塑性ポリマーである、[1]〜[15]のいずれかに記載の有機−無機複合体。
[17]
上記ポリマーの分子量の分散度が1.0〜1.7である、[1]〜[16]のいずれかに記載の有機−無機複合体。
[18]
上記ポリマーの数平均分子量が、5000〜200000g/molである、[1]〜[17]のいずれかに記載の有機−無機複合体。
[19]
無機酸化物粒子と重合開始基を有するカップリング剤とを反応させて表面改質無機酸化物粒子を得る工程と、重合開始基により開始されるラジカル重合性モノマーのリビングラジカル重合により、上記無機酸化物粒子に結合しているポリマーを形成する工程と、を備える、[1]〜[18]いずれかに記載の有機−無機複合体の製造方法。
[20]
上記リビングラジカル重合が、原子移動ラジカル重合である、[19]に記載の有機−無機複合体の製造方法。
[21]
上記重合開始基がハロゲン原子を含む、[19]又は[20]に記載の有機−無機複合体の製造方法。
[22]
上記表面改質無機酸化物粒子のハロゲン含有量が0.02〜10質量%である、[21]に記載の有機−無機複合体の製造方法。
[23]
上記カップリング剤が、リン酸基、カルボキシ基、酸ハライド基、酸無水物基、イソシアネート基、グリシジル基、クロロシリル基及びアルコキシシリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する、[19]〜[22]のいずれかに記載の有機−無機複合体の製造方法。
[24]
上記官能基が、クロロシリル基又はアルコキシシリル基である、[23]に記載の有機−無機複合体の製造方法。
[25]
上記カップリング剤が、上記官能基を1又は2有する、[23]又は[24]に記載の有機−無機複合体の製造方法。
[26]
[1]〜[18]のいずれかに記載の有機−無機複合体を含む、コーティング材。
[27]
有機溶媒を更に含む、[26]に記載のコーティング材。
[28]
固形分濃度が1〜70質量%である、[26]又は[27]に記載のコーティング材。
[29]
[26]〜[28]のいずれかに記載のコーティング材を含む、コーティング膜。
[30]
屈折率が1.5〜2.3である、[29]に記載のコーティング膜。
[31]
鉛筆硬度がHB以上である、[29]又は[30]に記載のコーティング膜。
[32]
水接触角が75°以上である、[29]〜[31]のいずれかに記載のコーティング膜。
[33]
[1]〜[18]のいずれかに記載の有機−無機複合体を含む、成形体。
[34]
粒子分散度が0.6以下である、[33]に記載の成形体。
[35]
屈折率が1.5〜2.3である、[33]又は[34]に記載の成形体。
[36]
[29]〜[32]のいずれかに記載のコーティング膜、又は[33]〜[35]のいずれかに記載の成形体を備える光学部材。
[37]
[1]〜[18]のいずれかに記載の有機−無機複合体を含む、光学材料。
本発明によれば、良好な外観を有する透明なコーティング膜及び成形体を形成することが可能であるとともに、得られるコーティング膜及び成形体の屈折率を容易に制御できる有機−無機複合体が提供される。
無機酸化物粒子に結合したポリマーの分子量が揃っていることにより、粒子の凝集が抑制された良好な外観を有する成形体やコーティング膜が得られる。
本発明の有機−無機複合体は、組み合わせられる高分子材料の選択肢の幅が広い。この点で、特許文献1の手法のように、高分子材料に特定の官能基を導入する必要がある場合と比べて有利である。
なお、特許文献2には、無機水酸化物と有機樹脂から構成される、無機−有機複合難燃性組成物の記載があるが、無機酸化物ではなく無機水酸化物が用いられている点や、その目的が難燃化である点で、本発明とは内容を異にする。
また、特許文献3には、高分子と、酸化チタン、カーボンブラック、染料等との組み合わせにより作製したコア粒子の表面に、高分子鎖をグラフトした電気泳動粒子の記載がある。しかし、本発明のコア粒子が無機酸化物から形成される点や、使用目的の点で、特許文献3の電気泳動素子は本発明とは全く異なる。
特許文献4には、酸化チタン表面に高分子を重合した粒子の記載があるが、この手法で作製した粒子にグラフトされたポリマーの分子量の分散度は大きい。すなわち、特許文献4の粒子は、ポリマーの分子量の分散度が小さい本発明の有機−無機複合体とは異なる性状を有するものである。
粒子の最大長及び最小幅の算出方法を示す模式図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、本実施の形態)について詳細に説明する。尚、本発明は、本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[有機−無機複合体]
本実施の形態の有機−無機複合体は、(A)無機酸化物粒子と、(B)ラジカル重合性モノマーの重合により形成されるポリマーとから構成される。
<(A)無機酸化物>
無機酸化物粒子は、炭素以外の元素の酸化物である、無機酸化物から形成された粒子であれば、特に限定されるものではない。成形品の透明性と屈折率制御の容易性の観点から、無機酸化物粒子は、好ましくは、酸化ジルコニウム粒子、酸化チタン粒子又は酸化アルミニウム粒子である。これらの中でも酸化ジルコニウム粒子及び酸化チタン粒子が好ましい。2種以上の無機酸化物粒子を組み合わせて使用することも可能である。
無機酸化物粒子の円形度は、0.92以下である。円形度が0.92以下であることにより、有機−無機複合体を成形して容易に成形体を得ることができる。同様の観点から、この円形度は、より好ましくは0.2〜0.85、更に好ましくは0.5〜0.8である。円形度の測定方法については後述の実施例において詳細に説明される。
無機酸化物粒子の形状や結晶形は、特に限定されるものではなく、例えば、球状、結晶状、鱗片状、柱状、繊維状、中空状、多孔質状等、様々な形状であってよい。
無機酸化物粒子の大きさは特に限定されるものではないが、無機酸化物粒子の平均粒径は好ましくは1〜200nmである。平均粒径が200nmより大きいと、有機−無機複合体を光学材料として使用したときに、光の散乱などの問題が発生し易くなる傾向があり、1nm未満であると、無機酸化物粒子を構成する物質固有の特性が変化する可能性がある。同様の観点から、無機酸化物粒子の平均粒径はより好ましくは2〜100nm、更に好ましくは2〜70nm、特に好ましくは5〜20nmである。特に、有機−無機複合体、及び、それを利用した成形体や光学材料に透明性が要求される場合には、粒子の大きさが、レイリー散乱領域に入る必要があるため、無機酸化物粒子の平均粒径が2〜70nmであることが好ましく、5〜20nmであることが更に好ましい。無機酸化物粒子の平均粒径の測定方法は後述の実施例において詳細に説明される。
無機酸化物粒子の最大長L及び最小幅Dは、特に限定されるものではないが、L/D≧1.2を満たすことが好ましい。L/Dが1.2以上であることにより、より優れた成形性が得られる。L/Dはより好ましく1.3〜5、更に好ましくは1.5〜3である。L/Dの測定方法については後述の実施例において詳細に説明される。
無機酸化物粒子の密度は、特に限定されるものではないが、成形品の高い屈折率を得やすくするためには、2.5〜8g/cm程度であることが好ましい。屈折率設計と成形性のバランスの観点からは、無機酸化物粒子の密度は、より好ましくは3.5〜5.5g/cmである。
無機酸化物粒子の屈折率は、特に限定されるものではないが、屈折率制御効果が得られやすいことから、1.4〜4.5程度であることが好ましい。屈折率設計と成膜性のバランスの観点からは、無機酸化物粒子の屈折率は、より好ましくは1.6〜3.0、更に好ましくは1.8〜2.5である。
有機−無機複合体における無機酸化物粒子の含有量は、特に限定されるものではないが、屈折率制御の観点から、好ましくは2〜96質量%、更に好ましくは20〜90質量%、特に好ましくは40〜85質量%である。また、屈折率制御と成形性の観点から、無機酸化物粒子の含有量は、好ましくは1〜85体積%、更に好ましくは5〜65体積%、特に好ましくは10〜55体積%である。
<(B)ポリマー>
有機−無機複合体を構成するポリマーは、無機酸化物粒子の表面にカップリング剤((C)重合開始基を有するカップリング剤)を介して共有結合により結合している。このポリマーは、1種または2種以上のラジカル重合性モノマーをモノマー単位として含んでいる。有機−無機複合体は、異なるモノマー単位から構成される複数種のポリマーを含有していてよい。
上記ポリマーの重合形態は、特に限定されるものではないが、例えば、ホモポリマー、周期共重合ポリマー、ブロック共重合ポリマー、ランダム共重合ポリマー、グラジエント共重合ポリマー、テーパード共重合ポリマー又はグラフト共重合ポリマーが挙げられる。中でも、Tgや屈折率等の物性制御の観点から、共重合ポリマーが好ましい。
上記ポリマーは、熱分解抑制の観点から、アクリル酸エステルと、メタクリル酸エステルとの共重合ポリマー、もしくは、スチレン類と、メタクリル酸エステルとの共重合ポリマーであることが好ましい。また上記ポリマーは、成形性や加工性に優れることから、熱可塑性ポリマーであることが望ましい。ここでいう、熱可塑性ポリマーとは、Tg又は融点まで加熱することで軟化し、成形が可能なポリマーを指し、熱可塑性を持たない硬化性ポリマーとは、明確に区別される。但し、一部に硬化性ポリマー(架橋性ポリマー)が共重合されたものであっても、熱可塑性ポリマーが主体であり、全体として熱可塑性を呈するものは、熱可塑性ポリマーとみなすことができる。
ラジカル重合性のモノマーは、原子移動ラジカル重合(以下、「ATRPと」言う。)、又は可逆的付加・脱離連鎖移動重合(以下、「RAFT」と言う)で重合可能であることが好ましい。
上記モノマーとしては、例えば、エチレン、「ブタ−1,3−ジエン、2−メチルブタ−1,3−ジエン、2−クロロブタ−1,3−ジエンのようなジエン類」、「スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、アセトキシスチレン、4−クロロメチルスチレン2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン、4−アミノスチレンなどのスチレン類」、「アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−フェニルエチル、アクリル酸3−フェニルプロピル、アクリル酸2−フェノキシエチル、アクリル酸フェノキシポリエチレングリコール、アクリル酸トリメチルシリル、アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、アクリル酸2,2,3,3,−テトラフルオロプロピル、アクリル酸1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル、アクリル酸1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル、アクリル酸1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチル、アクリル酸1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル、アクリル酸1H,1H−ヘプタフルオロブチルなどのアクリル酸エステル類」、「メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−フェニルエチル、メタクリル酸3−フェニルプロピル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸フェノキシポリエチレングリコール、メタクリル酸トリメチルシリル、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、メタクリル酸1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル、メタクリル酸1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチル、メタクリル酸2,2,3,3,−テトラフルオロプロピル、メタクリル酸1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル、メタクリル酸1H,1H,7H−ドデカフルオロペンチルなどのメタクリル酸エステル類」、「アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの(メタ)アクリル酸誘導体」、「酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニルのようなビニルエステル類」、「ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル類」、「ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルケトン類、N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾル、N−ビニルインドール、N-ビニルピロリドンなどのN-ビニル化合物」、「アリルアルコール、塩化アリル、酢酸アリル、塩化ビニル、塩化ビニリデンのようなアリル化合物」、「フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのフッ素アルキル基を有する化合物」、「アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等の官能性モノマー類」が挙げられる。中でも、コーティング膜や成形体の透明性を特に重視する場合は、スチレン類、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを選択することが好ましい。
上記モノマーの中でも、入手が容易であることから、スチレン類、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーの使用が好ましく、中でも、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル及びメタクリル酸ブチルから選ばれるモノマーが好ましい。
以下に、好ましいモノマーの具体例を化学式で示す。
Figure 2012162599
Figure 2012162599
Figure 2012162599
上記ポリマーの形状は、特に限定されるものではないが、例えば、鎖状、分岐鎖状、ラダー型、スター型が挙げられる。その他、任意の置換基等を導入し、分散性や相溶性を向上させることも可能である。
上記ポリマーの分子量は、特に限定されるものではないが、その数平均分子量(以下、「Mn」と言う。)は、好ましくは500〜500000g/mol、より好ましくは5000〜200000g/mol、更に好ましくは10000〜100000g/molである。Mnが500g/mol未満であると、無機酸化物粒子の凝集が起こり易くなる傾向があり、500000g/molを超えると、無機酸化物としての特性が発現されにくくなったり、有機−無機複合体の他の物質との相溶性が低下したりする傾向がある。
上記ポリマーの分子量の分散度は、質量平均分子量(以下、「Mw」と言う。)とMnより、下記式により求められる。
分子量の分散度=Mw/Mn
ここで言うMn及びMwは、後述の実施例において詳細に説明されるように、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される、ポリメタクリル酸メチル換算の値である。
本実施の形態において、分子量の分散度は1.9以下である。分子量の分散度が1.9以下であることにより、無機酸化物粒子の凝集が効果的に抑制される。分散性の観点からは、ポリマーの分子量(鎖長)が揃っていること、つまり、分子量の分散度が1に近い値であることが好ましい。係る観点から、分子量の分散度は、好ましくは1〜1.7、更に好ましくは1〜1.5、特に好ましくは1〜1.3である。
本実施形態の有機−無機複合体中には、無機酸化物粒子に結合しているポリマーの他に、無機酸化物粒子に結合していないポリマー(以下、「フリーポリマー」と言う。)が含まれていてもよい。本実施の形態における、無機酸化物粒子に結合しているポリマーの量は、後述の方法で求められ、透明性維持の観点から、その量は好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上である。
<(C)重合開始基を有するカップリング剤>
本実施の形態における(C)カップリング剤は、無機物粒子表面と、上述のポリマーとを連結するために用いられる化合物である。このカップリング剤は、重合開始基と、無機酸化物粒子表面と反応して結合を生成する官能基とを有する化合物であれば、特に限定されるものではない。このときの無機酸化物粒子表面は、無機酸化物そのものから形成されていてもよいし、表面処理されていてもよい。ここでいう表面処理とは、化学反応、熱処理、光照射、プラズマ照射、放射線照射等により、無機酸化物粒子表面を官能基により修飾することである。
カップリング剤を、無機物表面と結合させる方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、無機酸化物粒子表面の水酸基とカップリング剤とを反応させる方法や、無機物粒子表面の表面処理により導入された官能基とカップリング剤とを反応させる方法がある。無機酸化物粒子に結合したカップリング剤に、更にカップリング剤を反応させて、複数のカップリング剤を連結することも可能である。また、カップリング剤の種類によっては、水や触媒を併用してもよい。
カップリング剤が有する官能基は、特に制限はないが、例えば、無機酸化物表面の水酸基との反応により結合を生成する場合には、リン酸基、カルボキシ基、酸ハライド基、酸無水物基、イソシアネート基、グリシジル基、クロロシリル基、アルコキシシリル基、シラノール基、アミノ基、ホスホニウム基及びスルホニウム基等が挙げられる。中でも、反応性と、酸残存量や着色とのバランスの観点から、好ましいのは、イソシアネート基、クロロシリル基、アルコキシシリル基及びシラノール基であり、更に好ましくは、クロロシリル基及びアルコキシシリル基である。
カップリング剤の官能基数は、特に限定されるものではないが、副生成物の除去が容易であることから、一官能又は二官能であることが好ましく、より好ましくは一官能である。すなわち、カップリング剤は、上述の官能基を1又は2有することが好ましい。
カップリング剤が有する重合開始基は、重合開始能を有する官能基であれば、特に限定されるものではない。例えば、後述のニトロキシド媒介ラジカル重合(以下、「NMP」と言う。)、原子移動ラジカル重合(以下、「ATRP」と言う。)、可逆的付加・脱離連鎖移動重合(以下、RAFTと言う。)に用いられる重合開始基が挙げられる。
NMPにおける重合開始基は、ニトロキシド基が結合している基であれば、特に限定されるものではない。
ATRPにおける重合開始基は、典型的には、ハロゲン原子を含む基である。ハロゲン原子の結合解離エネルギーが低いことが好ましい。例えば、3級炭素原子に結合したハロゲン原子、ビニル基、ビニリデン基及びフェニル基等の不飽和炭素−炭素結合に隣接する炭素原子に結合したハロゲン原子、カルボニル基、シアノ基及びスルホニル基等のヘテロ原子含有共役性基に直接結合するか又はこれらに隣接する原子に結合したハロゲン原子が導入された基が、好ましい構造として挙げられる。より具体的には、下記一般式(1)で表される有機ハロゲン化物基、及び、一般式(2)で表されるハロゲン化スルホニル基が好適である。
Figure 2012162599
式(1)及び(2)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよいアリル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基、又は、置換基を有していてもよいアルキルアリール基を示し、Zはハロゲン原子を示す。
式(1)の重合開始基は、下記一般式(3)に示されるように、カルボニル基を有するものであってもよい。式(3)中、R、R及びZは、式(1)中のR、R及びZと同義である。
Figure 2012162599
式(3)の重合開始基の具体例を下記化学式に示す。
Figure 2012162599
RAFTにおける重合開始基は、RAFT剤として機能するイオウ原子を含有する基であれば、特に限定されるものではない。そのような重合開始基の例としては、トリチオカーボネート、ジチオエステル、チオアミド、チオカルバメート、ジチオカルバメート、チオウラン、チオ尿素、ジチオオキサミド、チオケトンおよびトリスルフィドが挙げられる。
好適なカップリング剤の具体例としては、以下のようなシラン化合物がある。
・3−(2−ブロモイソブチロキシ)プロピルジメチルクロロシラン(Cas番号:370870−81−8)
・プロピオン酸,2−ブロモ−2−メチル−,3−(ジクロロメチルシリル)プロピル エステル(Cas番号:1057260−39−5)
・プロピオン酸,2−ブロモ−2−メチル−,3−(トリクロロシリル)プロピル エステル(Cas番号:688359−84−4)
・3−(メトキシジメチルシリルプロピル)−2−ブロモ−2−メチルプロピオネート(Cas番号:531505−27−8)
・3−(ジメトキシメチルシリルプロピル)−2−ブロモ−2−メチルプロピオネート(Cas番号:1186667−60−6)
・3−(トリメトキシシリルプロピル)−2−ブロモ−2−メチルプロピオネート(Cas番号:314021−97−1)
・(3−(2−ブロモイソブチリル)プロピル)ジメチルエトキシシラン(Cas番号:265119−86−6)
・(3−(2−ブロモイソブチリル)プロピル)メチルジエトキシシラン(Cas番号:1186667−65−1)
・プロピオン酸,2−ブロモ−2−メチル−,3−(トリエトキシシリル)プロピル エステル(Cas番号:880339−31−1)
・プロピオン酸,2−ブロモ−,3−(クロロジメチルシリル)プロピル エステル(Cas番号:438001−36−6)
・プロピオン酸,2−ブロモ−,3−(トリクロロシリル)プロピル エステル(Cas番号:663174−64−9)
・プロピオン酸,2−ブロモ−,3−(メトキシジメチルシリル)プロピル エステル(Cas番号:861807−46−7)
・(3−(2−ブロモプロピオニル)プロピル)ジメチルエトキシシラン(Cas番号:265119−85−5)
・(3−(2−ブロモプロピオニル)プロピル)トリエトキシシラン(Cas番号:1233513−06−8)
有機−無機複合体のガラス転移温度(以下、Tgという。)は、特に限定されるものではないが、べたつきを抑制しつつ、良好な成膜性を付与できるという理由から、−10〜180℃であることが好ましく、より好ましくは0〜160℃、更に好ましくは20〜150℃、特に好ましくは40〜120℃である。
有機−無機複合体のハロゲン含有量は、特に限定されるものではないが、成膜性が良好であるという理由から、有機−無機複合体の全質量を基準として、0.001〜5質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.01〜2質量%、更に好ましくは0.1〜1質量%である。このハロゲン含有量は、有機−無機複合体中に含まれる臭素原子及び塩素原子の合計量を指す。
有機−無機複合体の銅含有量は、特に限定されるものではないが、コーティング膜や成形体の着色を抑制するため、有機−無機複合体の全質量を基準として、0.2質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.05質量%以下、更に好ましくは0.02質量%以下、特に好ましくは0.005質量%以下である。
[有機−無機複合体の製造方法]
本実施の形態に係る有機−無機複合体は、例えば、無機酸化物粒子の表面に、重合開始基を有するカップリング剤を結合させる工程と、重合開始基により開始されるラジカル重合により、上記ポリマーを形成させる工程と、を備える方法により得ることができる。
無機酸化物粒子とカップリング剤との反応により、無機酸化物粒子の表面にカップリング剤が導入された表面改質無機酸化物粒子が得られる。無機酸化物粒子とカップリング剤との反応は、これらが分散又は溶解する反応液中で行うことができる。必要により反応液を加熱してもよい。
表面改質無機酸化物粒子のハロゲン含有量は、特に限定されるものではないが、成膜性維持の観点から、表面改質無機酸化物粒子の全質量を基準として、0.02〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜4質量%、更に好ましくは0.3〜2質量%、特に好ましくは0.5〜1.5質量%である。このハロゲン含有量は、表面改質無機酸化物粒子中に含まれる臭素原子及び塩素原子の合計量を示す。
表面改質無機酸化物粒子が有する重合開始基により、ラジカル重合性モノマーのラジカル重合が開始し、無機酸化物粒子にポリマーが結合する。
ラジカル重合としては、生成するポリマーの分子量の分散度を小さくすることができる点で、リビングラジカル重合(以下、「LRP」と言う。)を選択することが好ましい。LRPとしては、NMP、ATRP及びRAFTがある。この中でも、重合開始剤の汎用度、適用可能なモノマーの種類の多さ、重合温度等の点から、ATRPが特に好ましい。
ラジカル重合の方式は特に限定されず、例えば、塊状重合法又は溶液重合法を選択できる。更に、生産性や安全性の観点から、懸濁重合、乳化重合、分散重合、シード重合等の方式を採用してもよい。
重合温度は、特に限定されるものではなく、重合方法やモノマー種に応じ、適宜、選択することができる。例えばATRPやRAFTの場合、重合温度は好ましくは−50℃〜200℃、更に好ましくは0℃〜150℃、特に好ましくは20℃〜130℃である。モノマーがアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル又はスチレン類を含む場合、50〜130℃で重合を行うと、比較的短時間で精密重合することができる。
重合反応は、無溶媒で行っても、溶媒存在下で行ってもよい。溶媒を使用する場合、表面改質無機酸化物粒子の分散性と、重合触媒の溶解性とが良好な溶媒が好ましい。溶媒は単独で用いても、複数種を組み合わせて使用してもよい。
溶媒の使用量は、特に限定されるものではないが、例えば、モノマー100質量部に対し、0〜2000質量部が好ましく、より好ましくは0〜1000質量部である。溶媒量が少ないと、反応速度が大きい傾向にあり有利であるが、モノマー種や重合条件によっては、重合溶液粘度が高くなる傾向にある。また、溶媒量が多いと、重合溶液粘度が低くなるが、反応速度が低下するため、適宜、配合比率を調整するのが好ましい。
重合反応は、無触媒で行っても、触媒を使用して行ってもよいが、生産性の観点から、触媒を使用することが好ましい。触媒の種類は、特に限定されるものではないが、重合方法やモノマー種等により、任意の触媒を適宜、使用すればよい。例えば、ATRPの場合、触媒の種類は、一般的に知られている各種のものの中から、重合方式等に応じて適宜選択すればよい。具体的には、例えば、Cu(0)、Cu、Cu2+、Fe、Fe2+、Fe3+、Ru2+又はRu3+を含む金属触媒を使用できる。中でも、分子量や分子量分布の高度な制御を達成する為には、特にCuを含む1価の銅化合物及び0価の銅が好ましい。その具体例としては、Cu(0)、CuCl、CuBr、CuO等が挙げられる。これらの銅化合物と、少量の2価の銅化合物(CuBr、CuCl等)を併用してもよい。これらは、単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。また、触媒の使用量は、重合開始基1モルに対して、通常0.01〜100モル、好ましくは0.01〜50モル、更に好ましくは0.01〜10モルである。
金属触媒は、通常、有機配位子と併用される。金属への配位原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子等が挙げられる。中でも、窒素原子、リン原子が好ましい。有機配位子の具体例としては、2,2’−ビピリジン及びその誘導体、1,10−フェナントロリンおよびその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(以下、PMDETAという。)、トリス(ジメチルアミノエチル)アミン(以下、Me6TRENという。)、トリス(2−ピリジルメチル)アミン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等が挙げられる。アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類の重合を行う場合は、PMDETA、Me6TREN、2,2’−ビピリジン及びその誘導体の1つである4,4’−ジ(5−ノニル)−2,2’−ジピリジン(以下、dNbpyという。)が好ましい。有機配位子の具体例を下記化学式に示す。
Figure 2012162599
金属触媒と有機配位子とは、別々に添加して重合系中で混合してもよいし、予め混合してからそれらを重合系中へ添加してもよい。特に、銅化合物を使用する場合は、前者の方法が好ましい。
重合反応において、上記に加え、添加剤を必要に応じて使用することができる。添加剤の種類としては、特に限定されるものではないが、例えば、分散剤・安定剤、乳化剤(界面活性剤)等が挙げられる。
分散剤・安定剤は、その機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、ポリヒドロキシスチレン、ポリスチレンスルホン酸、ビニルフェノール−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルフェノール−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のポリスチレン誘導体;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポチエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリル酸誘導体;ポリメチルビニルエーテル、ポリエチルビニルエーテル、ポリブチルビニルエーテル、ポリイソブチルビニルエーテル等のポリビニルアルキルエーテル誘導体;セルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリ酢酸ビニル等のポリ酢酸ビニル誘導体;ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリ−2−メチル−2−オキサゾリン等の含窒素ポリマー誘導体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のポリハロゲン化ビニル誘導体;ポリジメチルシロキサン等のポリシロキサン誘導体等の各種疎水性又は親水性の分散剤、安定剤が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用してもよい。
乳化剤(界面活性剤)は、その機能を有するものであれば、特に限定されるものではないが、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、脂肪酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン系乳化剤;アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アミンオキサイド等のカチオン系乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等のノニオン系乳化剤等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用してもよい。
[コーティング材]
本実施の形態のコーティング材は、上述の有機−無機複合体を含み、コーティング膜を形成するために用いられる材料である。コーティング材の形態は、液体でも固体でもよく、溶媒、添加剤、可塑剤、油脂、乳化剤(界面活性剤)、カップリング剤、酸、アルカリ、モノマー、オリゴマー、ポリマー、顔料、染料、香料、色素等の有機−無機複合体以外の物質を含んでいてもよい。
後述の通りコーティングの手法は、特に限定されるものではないが、大面積にコーティング可能であることや設備コストの抑制が可能であるため、ウエットコート法を採用することが望ましい。そのためには、コーティング材は、上述の有機−無機複合体を溶媒に分散させた液体であることが好ましい。
ここで使用する溶媒は、特に限定されるものではないが、上述の有機−無機複合体の分散性が良好で、比較的安全性が高く、汎用的な有機溶媒が好ましい。これらの溶媒は、単独で用いても、複数を混合して使用しても構わない。成膜性と安全性の観点から、有機溶媒の蒸発速度は、酢酸ブチルを100とした場合に、好ましくは20〜600、更に好ましくは50〜200である。同様の観点から、有機溶媒の沸点は好ましくは75〜200℃、更に好ましくは90〜180℃である。
有機溶媒の具体例としては、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン類、トルエン、アニソール等のベンゼン環を含む化合物、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、酢酸2−メトキシ−1−メチルエチル(PGMEA)等が挙げられる。
コーティング材における固形分濃度は、特に限定されるものではないが、分散性と成膜性のバランスから、コーティング材全体質量を基準として、好ましくは1〜70質量%、更に好ましくは5〜50質量%、特に好ましくは10〜20質量%である。固形分濃度は、有機−無機複合体をそのまま直接希釈して調整してもよいし、希薄溶液をエバポレーター等で濃縮して調製してもよい。
[コーティング膜]
本実施の形態のコーティング膜は、上述のコーティング材を、後述の手法でコーティングした膜であれば、特に限定されるものではないが、一般的には、基材(例えば、PETフィルム、TACフィルム、ガラス、金属、シリコンウエハ、LED、半導体、CD、DVD等)に、数nm〜数cmの厚みで形成した膜を指す。
コーティングの手法としては、「蒸着、スパッタリング、イオンプレーディング等のドライコーティング法」や、「印刷、スリットコート、バーコート、ワイヤーコート、アプリケーター塗工、スピンコート、ブレードコート、エアナイフコート、グラビアコート、ロールコート、スプレーコート、ディップコート等のウエットコーティング法」等が、一般的に知られている。また上述の方法以外に、「フィルム成形、ラミネート成形、射出成形、ブロー成形、圧縮成形、回転成形、押出成形、延伸成形等の成形加工法」を応用し、基材の上に、コーティング膜を形成する手法もある。これらの手法は、単独でも、複数を組み合わせて使用することも可能である。
本実施の形態に係るコーティング膜は、優れた透明性と光学特性を有しており、その指標である、全光線透過率は、特に限定されるものではないが、好ましくは86〜100%、より好ましくは85〜100%、更に好ましくは87〜100%である。同様に、ヘーズの値は、特に限定されるものではないが、好ましくは0〜5%、より好ましくは0〜3%、更に好ましくは0〜2%である。
本実施の形態に係るコーティング膜の硬度は、特に限定されるものではないが、その鉛筆硬度は、好ましくはHB以上、さらに好ましくはF以上である。
本実施の形態に係わるコーティング膜の水接触角は、撥水性の指標であり、その値は特に限定されるものではないが、好ましくは75°以上、より好ましくは80°以上、さらに好ましくは90°以上である。接触角が75°以上であると、水性の汚れに対し、付着抑制効果や、良好な拭き取り性を発現するからである。この機能は、コーティング膜が最外層である場合に、特に有用である。
本実施の形態に係るコーティング膜及び後述する成形体の屈折率は、特に限定されるものではないが、好ましくは1.5〜2.5、より好ましくは1.55〜2.3、更に好ましくは1.6〜1.2.2である。また、所望の屈折率を達成し易いことから、光学材料や光学部材として有用である。その代表例としては、反射防止膜やハードコート膜等がある。
本実施の形態に係るコーティング膜や成形体を、反射防止膜の高屈折率層として使用する場合、その屈折率は1.6以上であることが好ましく、より好ましくは1.65以上である。
[成形体]
本実施の形態の成形体は、上述の有機−無機複合体を所定の形状に成形したものである。成形方法は特に限定されないが、通常は、温度、圧力、光(可視光、紫外線、赤外線、近赤外線等)、電子線、プラズマ、衝撃波等の刺激を、有機−無機複合体に与え、所望の形状に成形するのが一般的である。例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形、キャスト成形、スピンコート等、一般のポリマー材料の成形法を採用することができる。また、その形状も、何ら限定されるものではなく、例えば、ブロック状、ペレット状、板状、フィルム状等、様々な形態をとり得る。また成形時に、溶媒、添加剤、可塑剤、油脂、乳化剤(界面活性剤)、カップリング剤、酸、アルカリ、モノマー、オリゴマー、ポリマー、顔料、染料、香料、色素、火薬・爆薬、肥料、医薬品、医薬品添加物、医薬部外品、食品、食品添加物、調味料、無機粒子、硬化剤、硬化促進剤、酸発生剤、カチオン発生剤等を加えて成形用組成物を準備し、これを成形することは、何ら制限されない。
本実施の形態に係る成形体の粒子分散度は、成形体における無機酸化物粒子の分散状態を反映する値である。粒子分散度は、特に限定されるものではないが、成形体の透明性の観点から、望ましくは0.6以下、更に好ましくは0.5以下、特に好ましくは0.3以下である。粒子分散度は、走査透過電子顕微鏡等を用いて成形体を観察し、観察された像において隣り合う粒子間の重心間距離を測定し、その測定結果に基いて下記式により算出される。
粒子分散度=(隣り合う粒子間の重心間距離の平均偏差)/(隣り合う粒子間の重心間距離)
本実施の形態に係る成形体は、優れた透明性を有しており、また、所望の屈折率を達成し易いことから、光学部材として有用である。光学部材としては、レンズ、光導波路、光ディスク、反射防止膜及び導電膜等がある。
[光学材料]
本実施の形態に係る光学材料は、上述の有機−無機複合体を含有し、光学部材を形成するために用いられる。光学材料は、例えば、コーティング材、ハードコート剤として好適に利用できる。
本実施の形態に係る成形体および光学材料は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各種有機樹脂、着色剤、レベリング剤、滑剤、界面活性剤、シリコーン系化合物、反応性希釈剤、非反応性希釈剤、酸化防止剤、光安定剤等を含有していてもよい。また、一般に樹脂用の添加剤(可塑剤、難燃剤、安定剤、帯電防止剤、耐衝撃強化剤、発泡剤、抗菌・防カビ剤、フィラー、防曇剤、架橋剤等)として供される物質を、配合しても差し支えない。他の物質が含まれていてもよい。他の物質としては、溶剤、油脂、油脂加工品、天然樹脂、合成樹脂、顔料、染料、色素、剥離剤、防腐剤、接着剤、脱臭剤、凝集剤、洗浄剤、脱臭剤、pH調整剤、感光材料、インク、電極、めっき液、触媒、樹脂改質剤、可塑剤、柔軟剤、農薬、殺虫剤、殺菌剤、医薬品原料、乳化剤・界面活性剤、防錆剤、金属化合物、フィラー、化粧品・医薬品原料、脱水剤、乾燥剤、不凍液、吸着剤、着色剤、ゴム、発泡剤、着色剤、研磨剤、離型剤、凝集剤、消泡剤、硬化剤、還元剤、フラックス剤、皮膜処理剤、鋳物原料、鉱物、酸・アルカリ、ショット剤、酸化防止剤、表面被覆剤、添加剤、酸化剤、火薬類、燃料、漂白剤、発光素子、香料、コンクリート、繊維(カーボンファイバー、アラミド繊維、ガラス繊維等)、ガラス、金属、賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、ゲル化剤、安定剤、保存剤、緩衝剤、懸濁化剤、粘稠剤等が挙げられる。
有機樹脂は、特に限定されるものではなく、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂が挙げられる。
着色剤は、着色を目的に使用される物質であれば特に限定されず、例えば、フタロシアニン、アゾ、ジスアゾ、キナクリドン、アントラキノン、フラバントロン、ペリノン、ペリレン、ジオキサジン、縮合アゾ、アゾメチン系の各種有機系色素、酸化チタン、硫酸鉛、クロムエロー、ジンクエロー、クロムバーミリオン、弁殻、コバルト紫、紺青、群青、カーボンブラック、クロムグリーン、酸化クロム、コバルトグリーン等の無機顔料等が挙げられる。これらの着色剤は単独でも、複数を組み合わせて使用してもよい。
レベリング剤は、特に限定されず、例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアクリレート類からなる分子量4000〜12000のオリゴマー類、エポキシ化大豆脂肪酸、エポキシ化アビエチルアルコール、水添ひまし油、チタン系カップリング剤等が挙げられる。これらのレベリング剤は単独でも、複数を組み合わせて使用してもよい。
滑剤は、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス等の炭化水素系滑剤、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等の高級脂肪酸系滑剤、ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレイルアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等の高級脂肪酸アミド系滑剤、硬化ひまし油、ブチルステアレート、エチレングリコールモノステアレート、ペンタエリスリトール(モノ−,ジ−,トリ−,又はテトラ−)ステアレート等の高級脂肪酸エステル系滑剤、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロール等のアルコール系滑剤、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リシノール酸、ナフテン酸等のマグネシウム、カルシウム、カドミウム、バリウム、亜鉛、鉛等の金属塩である金属石鹸類、カルナウバロウ、カンデリラロウ、ミツロウ、モンタンロウ等の天然ワックス類等が挙げられる。これらの滑剤は単独でも、複数を組み合わせて使用してもよい。
界面活性剤は、その分子中に溶媒に対して親和性を持たない疎水基と、溶媒に対して親和性を持つ親媒基(通常は親水基)を持つ、両親媒性物質を指す。また、その種類は特に限定されるものではなく、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は単独でも、複数を組み合わせて使用してもよい。
シリコーン系化合物は、特に限定されず、例えば、シリコーン樹脂、シリコーン縮合物、シリコーン部分縮合物、シリコーンオイル、シランカップリング剤、シリコーンオイル、ポリシロキサン等が挙げられ、その両末端、片末端、あるいは側鎖に有機基を導入して変性したものも含まれる。その変性の方法も特に限定されず、例えば、アミノ変性、エポキシ変性、脂環式エポキシ変性、カルビノール変性、メタクリル変性、ポリエーテル変性、メルカプト変性、カルボキシル変性、フェノール変性、シラノール変性、ポリエーテル変性、ポリエーテル・メトキシ変性、ジオール変性等が挙げられる。
反応性希釈剤は、特に限定されず、例えば、アルキルグリシジルエーテル、アルキルフェノールのモノグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1、6―ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アルカン酸グリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられ、非反応性希釈剤としては、特に限定されず、例えば、ベンジルアルコール、ブチルジグリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の高沸点溶剤等が挙げられる。
酸化防止剤は、特に限定されず、例えば、トリフェニルホスフェート、フェニルイソデシルホスファイトなどの有機リン系酸化防止剤、ジステアリル−3,3’−チオジプロピネート等の有機イオウ系酸化防止剤、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等のフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
光安定剤は、特に限定されず、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアクリルレート系、ニッケル系、トリアジン系等の紫外線吸収剤や、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。
本実施の形態に係る有機−無機複合体、コーティング材、コーティング膜および成形体の用途は、光学用途に限定されるものではない。例えば、電子材料(碍子類、交流変圧器、開閉機器等の注型及び回路ユニット、各種部品のパッケージ、IC・LED・半導体等の封止材、発電器、モーター等の回転機コイル、巻線含浸、プリント配線基板、絶縁ボード、中型碍子類、コイル類、コネクター、ターミナル、各種ケース類、電気部品類等)、塗料(防蝕塗料、メンテナンス、船舶塗装、耐蝕ライニング、自動車・家電製品用プライマー、飲料・ビール缶、外面ラッカー、押出チューブ塗装、一般防蝕塗装、メンテナンス途装、木工製品用ラッカー、自動車用電着プライマー、その他工業用電着塗装、飲料・ビール缶内面ラッカー、コイルコーティング、ドラム・缶内面塗装、耐酸ライニング、ワイヤーエナメル、絶縁塗料、自動車用プライマー、各種金属製品の美装兼防蝕塗装、パイプ内外面塗装、電気部品絶縁塗装等)、複合材料(化学プラント用パイプ・タンク類、航空機材、自動車部材、各種スポーツ用品、炭素繊維複合材料、アラミド繊維複合材料等)、土木建築材料(床材、舗装材、メンブレン、滑り止め兼薄層舗装、コンクリート打ち継ぎ・かさ上げ、アンカー埋め込み接着、プレキャストコンクリート接合、タイル接着、コンクリート構造物の亀裂補修、台座のグラウト・レベリング、上下水道施設の防蝕・防水塗装、タンク類の耐蝕積層ライニング、鉄構造物の防蝕塗装、建築物外壁のマスチック塗装等)、接着剤(金属・ガラス・陶磁器・セメントコンクリート・木材・プラスチック等の同種又は異種材質の接着剤、自動車・鉄道車両・航空機等の組み立て用接着剤、プレハブ用複合パネル製造用接着剤等:一液型、二液型、シートタイプを含む。)、航空機・自動車・プラスチック成形の治工具(プレス型、ストレッチドダイ、マッチドダイ等樹脂型、真空成形・ブロー成型用モールド、マスターモデル、鋳物用パターン、積層治工具、各種検査用治工具等)、改質剤・安定剤(繊維の樹脂加工、ポリ塩化ビニル用安定剤、合成ゴムへの添加剤等)等として用いられ得る。
本実施の形態に係る有機−無機複合体、コーティング材、コーティング膜及び成形体は、基板材、ダイボンド材、チップコート材、積層板、光ファイバー、光導波路、光フィルター、電子部品用の接着剤、コート材、シール材、絶縁材、フォトレジスト、エンキャップ材、ポッティング材、光ディスクの光透過層や層間絶縁層、プリント配線板、積層板、導光板、反射防止膜等の用途にも利用可能である。
以下に本実施の形態をより具体的に説明した実施例を例示する。ただし、本発明はその要旨を超えない限りにおいて以下の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例における物性の評価は以下の手順で行った。
<無機酸化物粒子の平均粒径>
(1)0.1gの有機−無機複合体と、9.9gのクロロホルム(和光純薬工業株式会社製)をサンプル瓶にはかりとり、そこに回転子を入れた。内容物をスターラーで30分間攪拌した後、30分間超音波処理を施して、サンプル溶液を得た。
(2)上記サンプル溶液を、グリッド(応研商事株式会社製、「STEM100Cuグリッド」)に滴下し、風乾させて、有機−無機複合体の膜を形成させた。
(3)グリッド上の有機−無機複合体を、高分解能走査透過電子顕微鏡(以下、HR−STEMと言う。)(株式会社日立製作所製、「HD−2300A」)の透過モードで観察し、撮影を行った。但し、粒子の大きさや形状に応じ、任意の測定倍率を選択した。
(4)撮影されたHR−STEM像を、画像解析ソフト(旭化成エンジニアリング株式会社製、「A像くん」)によって処理し、粒子200個について、各々の円相当径を求めた。本明細書において、「円相当径」とは、粒子の面積と等しい面積を有する円の直径を指す。
(5)200個の粒子の円相当径のうち、上位5%及び下位5%の数値を除去し、残り90%の平均値を求め、その値を無機酸化物粒子の平均粒径とした。
<無機酸化物粒子の円形度>
(1)0.1gの有機−無機複合体と、9.9gのクロロホルム(和光純薬工業株式会社製)をサンプル瓶にはかりとり、そこに回転子を入れた。内容物をスターラーで30分間攪拌した後、30分間超音波処理を施して、サンプル溶液を得た。
(2)上記サンプル溶液を、グリッド(応研商事株式会社製、「STEM100Cuグリッド」)に滴下し、風乾させて、有機−無機複合体の膜を形成させた。
(3)グリッド上の有機−無機複合体を、高分解能走査透過電子顕微鏡(以下、HR−STEMと言う。)(株式会社日立製作所製、「HD−2300A」)の透過モードで観察し、撮影を行った。但し、粒子の大きさや形状に応じ、任意の測定倍率を選択した。
(4)撮影されたHR−STEM像を、画像解析ソフト(旭化成エンジニアリング株式会社製、「A像くん」)によって処理し、粒子の「円相当径」と「周囲長」を算出した。算出された円相当径及び周囲長に基づき、下記式に従って、粒子200個各々の円形度を求めた。円形度が0.92以下である場合を「A」、円形度が0.92を超える場合を「B」と判定した。
円形度=(円相当径から求めた円周長)/(周囲長) ・・・(4)
ここで、(円相当径から求めた円周長)=(円相当径)×πである。
(5)200個の粒子の円形度のうち、上位5%及び下位5%の数値を除去し、残り90%の平均値を求め、その値を無機酸化物粒子の円形度とした。
<無機酸化物粒子のL/D>
(1)0.1gの有機−無機複合体と、9.9gのクロロホルム(和光純薬工業株式会社製)をサンプル瓶にはかりとり、そこに回転子を入れた。内容物をスターラーで30分間攪拌した後、30分間超音波処理を施して、サンプル溶液を得た。
(2)上記サンプル溶液を、グリッド(応研商事株式会社製、「STEM100Cuグリッド」)に滴下し、風乾させて、有機−無機複合体の膜を形成させた。
(3)グリッド上の有機−無機複合体を、高分解能走査透過電子顕微鏡(以下、HR−STEMと言う。)(株式会社日立製作所製、「HD−2300A」)の透過モードで観察し、撮影を行った。但し、粒子の大きさや形状に応じ、任意の測定倍率を選択した。
(4)上記HR−STEM像を、画像解析ソフト(旭化成エンジニアリング株式会社製、「A像くん」)によって処理し、粒子200個各々の「最大長」及び「最小幅」を算出した。図1は、各粒子の最大長及び最小幅の算出方法を示す模式図である。図1に示されるように、「最大長」とは、HR−STEM像における粒子の周上の任意の2点間の距離の最大値を指し、「最小幅」とは、粒子が最大長を示す方向に対して垂直な方向における粒子の幅を指す。
(5)求められた最大長L及び最小幅Dを下記式に代入して、粒子200個各々のL/Dを求めた。
L/D=(最大長)/(最小幅) ・・・(5)
(6)200個の粒子のL/Dのうち、上位5%及び下位5%の数値を除去し、残り90%の平均値を求め、その値を無機酸化物粒子のL/Dとした。
<無機酸化物粒子の密度>
後述の無機酸化物溶液の溶媒を除去して得られる固形物を、真空下、60℃で24時間乾燥した後、乳鉢ですりつぶして、測定用サンプルを得た。このサンプルの密度を、乾式自動密度計(株式会社島津製作所製、「アキュピック1330」)を用いて測定した。
<無機酸化物粒子の屈折率>
無機酸化物粒子の屈折率は、標準屈折液(Cargill社製)を使用して、以下の方法により求めた。但し、所望の屈折率の標準屈折液が入手できない場合は、屈折率既知の試薬で代用した。
(1)無機酸化物粒子の分散液をエバポレーターに採り、分散媒を蒸発させた。
(2)これを120℃の真空乾燥機で乾燥し、粉末にした。
(3)屈折率既知の標準屈折液を、2〜3滴ガラス板上に滴下し、これに上記粉末を混合した。
(4)上記(3)の操作を種々の標準屈折液で行い、混合液が透明になったときの標準屈折液の屈折率を無機酸化物粒子の屈折率とした。
<表面改質無機酸化物粒子のハロゲン含有量の測定>
表面改質無機酸化物粒子のハロゲン含有量を、燃焼処理及びそれに続くイオンクロマトグラフ法により、以下の手順で求めた。
(1)サンプルを酸素気流中で、石英燃焼管を使用して燃焼させ、発生したガスを、吸収液(3%過酸化水素水)に吸収させた。
(2)吸収液を適宜希釈し、吸収液中の臭素イオンと塩素イオンの量を、イオンクロマトグラフ(Daionex社製、「ICS−2000」)で、測定した。
(3)測定された臭素イオン及び塩素イオンの合計量から、表面改質無機酸化物の質量に対する、臭素イオン及び塩素イオンの合計量を、ハロゲン含有量として求めた。
<ポリマーの比重>
ASTM D792に準じて測定した。
<ポリマーの分子量及び分子量の分散度>
(前処理)
無機酸化物粒子に結合したポリマーの分子量測定のための前処理として、以下の手順に従って、有機−無機複合体に対してふっ化水素酸処理(以下、「HF処理」と言う。)を施した。
(1)テフロン(登録商標)製回転子を入れたテフロン(登録商標)製容器に、2mLのトルエン(和光純薬工業株式会社製)と、15mgの相間移動触媒(Aldrich社製、「Alquat336」)を加え、攪拌して、相間移動触媒がトルエンに溶解した溶液を得る。
(2)溶液に有機−無機複合体のサンプル200mgを加え、攪拌により溶解させる。
(3)得られた溶液に、更に、2mLのふっ化水素酸(和光純薬工業株式会社製、濃度:46〜48%)を加え、室温で24時間攪拌して、無機酸化物粒子からポリマーを分離する。
(4)上記溶液を、炭酸カルシウム(和光純薬工業株式会社製)の水溶液によって中和する。
(分子量測定)
上記前処理で得られたサンプル溶液について、下記の条件によりゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定を行った。測定結果から、ポリメタクリル酸メチルスタンダード(創和科学株式会社製)を用いて作成した検量線に基づいて、ポリメタクリル酸メチル換算の数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)を求めた。
・装置:東ソー株式会社製、「HLC−8220GPC」
・検出器:RI検出器
・移動相:テトラヒドロフラン
・流量:0.35mL/分
・カラム:東ソー株式会社製の「TSKgel GMHXL」を2本連結したものを用いた。
・カラム温度:40℃
(分子量の分散度)
ポリメタクリル酸メチル換算の数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)を以下の式に代入して、ポリマーの分子量の分散度を求めた。分子量の分散度が1.9以下である場合を「A」、分子量の分散度が1.9を超える場合を「B」と判定した。
分子量の分散度=Mw/Mn ・・・(6)
<有機−無機複合体の「無機酸化物に結合しているポリマー」の量>
(1)サンプル瓶に10gの有機−無機複合体をはかりとり、MIBKを加えて100mLとした後、回転子を入れて、内容物をスターラーで24時間攪拌した。
(2)別のサンプル瓶に、10mLの上記溶液をはかりとり、THFを加えて100mLに希釈後、回転子を入れて、内容物をスターラーで、更に24時間攪拌した。
(3)上記溶液を遠沈管に移し、遠心分離機で、6600rpmで30分間処理した。
(4)遠心分離後の上澄み液について、下記の条件によりゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定を行い、有機−無機複合体におけるフリーポリマーを測定した。測定結果から、ポリメタクリル酸メチルスタンダード(創和科学株式会社製)を用いて作成した検量線に基づいて、メインピークのポリメタクリル酸メチル換算の、ピークトップ分子量(Mp)を求めた。
・装置:東ソー株式会社製、「HLC−8220GPC」
・検出器:RI検出器
・移動相:テトラヒドロフラン
・流量:0.35mL/分
・カラム:東ソー株式会社製の「TSKgel GMHXL」を2本連結したものを用いた。
・カラム温度:40℃
(5)上記で得られた、Mp>800のピークを、フリーポリマーとして定量した。定量の際には、Mpが最も近い「定量標準物質」を下記から選択して検量線を作成し、定量標準物質換算で、有機−無機複合体中のフリーポリマーの量(質量%)を算出した。またピークが複数ある場合は、それらの合計量を求め、フリーポリマーの量(質量%)とした。
(5−1)定量標準物質:ポリメタクリル酸メチル(創和科学株式会社製)
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA850(Mp=860)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA2K(Mp=2,000)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA7K(Mp=7,500)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA11K(Mp=11,800)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA21K(Mp=20,850)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA30K(Mp=33,500)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA45K(Mp=46,300)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA85K(Mp=87,800)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA110K(Mp=107,000)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA135K(Mp=130,000)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA135K(Mp=130,000)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA190K(Mp=185,000)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA225K(Mp=240,000)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA320K(Mp=322,000)」
・ポリメタクリル酸メチル「PMMA680K(Mp=670,000)」
(6)有機−無機複合体中のポリマー量(無機酸化物に結合しているポリマー及びフリーポリマーの量)の測定
熱重量測定装置により、以下の条件で有機−無機複合体を加熱したときの質量減量(質量%)をn=3で測定し、その平均値を「有機−無機複合体中のポリマー量(無機酸化物に結合しているポリマー及びフリーポリマー)」とした。
・装置:株式会社島津製作所、「TGA−50」
・雰囲気:1%酸素含有窒素気流
・試料容器:アルミパン
・温度プログラム:25℃スタート→20℃/分で昇温→500℃に到達→500℃で1時間保持
(7)上記で得られた「フリーポリマーの量(質量%)」と、「有機−無機複合体中のポリマー量(無機酸化物に結合しているポリマー及びフリーポリマーの量)(質量%)」から、下記式に従って「無機酸化物に結合しているポリマーの量(質量%)」を算出した。
無機酸化物に結合しているポリマーの量(質量%)=(A−B)/A×100 ・・・(7)
ここで、A:有機−無機複合体中のポリマー量(無機酸化物に結合しているポリマー及びフリーポリマーの量)(質量%)、B:フリーポリマーの量(質量%)である。
<有機−無機複合体のTgの測定>
示差走査熱量測定装置(DSC)により、以下の条件で有機−無機複合体のTgを求めた。
・装置:PerkinElmer社製、「Diamond DSC」
・温度プログラム:−40℃スタート→20分間保持→20℃/分で昇温→200℃
<有機−無機複合体のハロゲン含有量の測定>
有機−無機複合体のハロゲン含有量は、前述の「表面改質無機酸化物粒子のハロゲン含有量の測定」と同様の方法で求めた。
<有機−無機複合体の銅含有量の測定>
酸分解及びそれに続くICP発光分析法により、以下の手順で、銅含有量を求めた。
(1)サンプルを、硫酸(和光純薬工業株式会社製)、硝酸(和光純薬工業株式会社製)、フッ化水素酸(和光純薬工業株式会社製)で分解した。
(2)更に、硝酸(1+2)で加温溶解を行った。
(3)上記溶液を希釈し、ICP発光分析装置(株式会社島津製作所製、「ICPS−8100」)で測定した。
<無機酸化物含有量の測定>
熱重量測定装置により、以下の条件で有機−無機複合体を加熱したときの質量減量を求めた。
・装置:株式会社島津製作所、「TGA−50」
・雰囲気:1%酸素含有窒素気流
・試料容器:アルミパン
・温度プログラム:25℃スタート→20℃/分で昇温→500℃に到達→500℃で1時間保持
測定をn=3で行い、それらの平均値を有機−無機複合体の無機酸化物含有量とした。質量%及び体積%の値を下記のように算出した。
(1)質量%
測定された質量減量(質量%)を以下の式に代入し、無機酸化物の含有量(質量%)を算出した。
無機酸化物含有量(質量%)=100−質量減量(質量%)
(2)体積%
(2−1)ポリマーの質量と体積の算出
測定された質量減量(mg)を、ポリマーの質量(mg)と見なし、その値を下記式に代入して、ポリマーの体積(μL)を算出した。
ポリマーの体積(μL)={ポリマーの質量(mg)}/{ポリマーの比重}
(2−2)無機酸化物の質量と体積の算出
測定された質量減量(mg)を下記式に代入して、無機酸化物の質量(mg)を算出した。
無機酸化物の質量(mg)=試料量(mg)−質量減量(mg)
無機酸化物の質量を下記式に代入して、無機酸化物の体積(μL)を算出した。
無機酸化物の体積(μL)={無機酸化物の質量(mg)}/{無機酸化物の密度(g/cm)}
(2−3)無機酸化物含有量(体積%)の算出
上記のようにして得られた値を下記式に代入して、無機酸化物含有量(体積%)を算出した。
Figure 2012162599
<コーティング材の作製>
有機−無機複合体に、任意の溶媒を加え、室温で24時間攪拌処理を行い、有機−無機複合体の溶媒分散液を調製後、1時間超音波処理を施したたものを、コーティング材とした。尚、必要に応じ、超音波処理やエバポレーターによる濃縮処理を、更に追加した。
<コーティング材の固形分濃度>
以下の手順で、コーティング材の固形分濃度を求めた。
(1)秤量瓶に、コーティング材をはかりとり、内容物の質量(質量A)を記録した。
(2)内容物の流動性が無くなるまで、窒素気流下で、上記秤量瓶を風乾した。
(3)上記秤量瓶を、105℃、真空下で、24時間乾燥させた後、デシケータ内で室温まで冷却した。
(4)秤量瓶の質量をはかり、内容物の質量(質量B)を記録した。
(5)以下の式により、固形分を求めた。
固形分(質量%)=(質量B)/(質量A)×100
<コーティング膜の作製>
以下の手順で、コーティング膜を作製した。
(1)上述のコーティング材を、適量、はかりとる。
(2)PETフィルム又はTACフィルムの上に、(1)のコーティング材を載せ、速やかにバーコーターで塗工した。但しバーコーターは、乾燥後のコーティング膜厚が3μm程度になるように、適宜選択した。
・PETフィルム:東洋紡績株式会社製、「コスモシャイン4100」(厚み100μm、全光線透過率90%、ヘーズ0.9%)
・TACフィルム:富士フィルム株式会社製(厚み80μm、全光線透過率93%、ヘーズ0.7%)
(3)1時間風乾後、100℃の防爆型送風乾燥機で、1時間乾燥したものを、コーティング膜とした。
<コーティング膜及び成形体の外観>
上記コーティング膜、及び後述の成形体を目視により観察し、粒子の凝集が実質的に見られない場合を合格(「A」)と判定し、粒子の凝集が見られた場合を「B」と判定した。
<屈折率測定>
屈折率測定装置を使用し、上記コーティング膜、及び後述の成形体の屈折率を下記条件で測定した。
・装置:Metricon社製、「MODEL 2010 PRISM COUPLER」
・モード:コーティング膜はシングルフィルムモード、成形体はバルクモードで測定
・測定波長:633nm
<全光線透過率及びヘーズの測定>
ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製、「NDH 5000W」)を使用し、「JIS K7105:プラスチックの光学的特性試験方法」に準じて、コーティング膜の、全光線透過率とヘーズを測定した。
<鉛筆硬度の測定>
電動鉛筆引っかき硬度試験機(株式会社安田精機製作所製)を使用し、荷重500gで、「JIS K5600−5−4:塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第4節:引っかき硬度(鉛筆法)」に準じて、コーティング膜の、鉛筆硬度を測定した。
<接触角の測定>
接触角計(協和界面科学株式会社製)を使用し、液滴法で、コーティング膜の水接触角(水に対する接触角)を測定した。
<コーティング膜の密着性>
コーティング膜の密着性を、「JIS K5600−5−4:塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」に準じて評価した。
JISの分類法で、分類0と1は合格(「A」)と判定し、分類2〜5は不合格(「B」)と判定した。
<成形体の作製>
圧縮成形機を用いて、以下の条件で有機−無機複合体を真空熱プレスすることによって、厚み約500μmの成形体を作製した。
・装置:株式会社神藤金属工業所製、「SFV−30」
・温度:255℃
<成形体の外観>
上記成形体を目視により観察し、粒子の凝集が実質的に見られない場合を合格(「A」)と判定し、粒子の凝集が見られた場合を「B」と判定した。
<成形体の粒子分散度>
(1)成形体から超薄切片を作製した。
(2)上記超薄切片を、高分解能走査透過電子顕微鏡(以下、HR−STEMと言う。)(株式会社日立製作所製、「HD−2300A」)の走査モードで観察し、撮影を行った。但し、粒子の大きさや形状に応じ、任意の測定倍率を選択した。
(3)上記HR−STEM像を、画像解析ソフト(旭化成エンジニアリング株式会社製、「A像くん」)で処理し、粒子500個について、重心間距離法により、下記式に従って、各々の粒子分散度を求め、その平均値を成形体の粒子分散度とした。粒子分散度が小さいほど、粒子がより均一に分散していることを意味する。
粒子分散度=(隣り合う粒子間の重心間距離の平均偏差)/(隣り合う粒子間の重心間距離) ・・・(9)
<原材料>
実施例及び比較例で使用した原材料の内容を以下の(1)〜(8)に示す。
(1)無機酸化物溶液
(1−1)ZrO溶液
・商品名:日産化学工業株式会社製、「ナノユースOZ−S30K」
・ZrO含有量:20質量%
・無機酸化物粒子の密度:5.1g/cm
(1−2)TiO溶液
・商品名:日揮触媒化成株式会社製、「オプトレイク6320Z」
・TiO含有量:20質量%
・無機酸化物粒子の密度:4.1g/cm
(1−3)SiO溶液−1
・商品名:日産化学工業株式会社製、「MIBK−ST」
・SiO含有量:31質量%
・無機酸化物の密度:後述の方法で測定したところ、2.0g/cmであった。
(1−4)SiO溶液−2
・商品名:日産化学工業株式会社製、「NBAC−ST」
・SiO含有量:30質量%
・無機酸化物の密度:後述の方法で測定したところ、2.0g/cmであった。
(2)シラン化合物
(2−1)3−(ジメチルクロロシリルプロピル)−2−ブロモ−2−メチルプロピオネート(以下、「BPS」と言う。)
公知の方法(特開2006−063042号公報等)を参考に、下記化学式(10)で表されるBPSを合成した。
Figure 2012162599

(2−2)3−(トリクロロシリルプロピル)−2−ブロモ−2−メチルプロピオネート(以下、「BPTS」と言う。)
公知の方法(特開2006−063042号公報)に従って、下記化学式(11)で表されるBPTSを合成した。
Figure 2012162599
(2−3)1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(以下、「HMDS」と言う。):東京化成工業株式会社製
(2−4)3−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン(以下、「MS」と言う。):Gelest社製
(3)触媒
(3−1)臭化銅(I)(CuBr):和光純薬工業株式会社製
(3−2)臭化銅(II)(CuBr):和光純薬工業株式会社製
(4)配位子
(4−1)N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(以下、「PMDETA」という。):Aldrich社製
(4−2)4,4’−ジ(5−ノニル)−2,2’−ジピリジン(以下、「dNbpy」という。):Aldrich社製
(5)モノマー
以下のモノマーは全て、アルミナカラムを通じて重合禁止剤を除去した後、1時間以上窒素バブリングして、脱酸素処理を行ってから使用した。アルミナカラムが使用できない場合は、蒸留等の公知の方法で、重合禁止剤を除去して使用した。
(5−1)メタクリル酸メチル(以下、「MMA」と言う。):東京化成工業株式会社製
(5−2)アクリル酸エチル(以下、「EA」と言う。):東京化成工業株式会社
(5−3)スチレン(以下、「St」と言う。):東京化成工業株式会社製
(5−4)アクリル酸n−ブチル(以下、「nBA」と言う。):東京化成工業株式会社製
(5−5)メタクリル酸ベンジル(以下、「BzMA」と言う。):東京化成工業株式会社
(5−6)アクリル酸2−フェノキシエチル(以下、「POEA」と言う。):東京化成工業株式会社
(6)溶剤等
(6−1)メタノール:和光純薬工業株式会社製
(6−2)2−プロパノール:和光純薬工業株式会社製
(6−3)テトラヒドロフラン(以下、「THF」と言う。):和光純薬工業株式会社製
(6−4)酢酸ブチル:和光純薬工業株式会社製
(6−5)アニソール:和光純薬工業株式会社製
(7)メタノール−水混合溶液:80容量%のメタノールと、20容量%のイオン交換水とを含む混合溶液
(8)重合開始剤
(8−1)2−ブロモイソ酪酸エチル(以下、「EBIB」と言う。):Aldrich社製
(8−2)2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(以下、「AIBN」と言う。):和光純薬工業株式会社製
<表面改質無機酸化物粒子の合成1(BPS改質ZrO粒子−1の合成)>
以下の手順に従って、BPS改質ZrO(BPSが表面に結合したZrO粒子)を合成した。
(1)冷却管を接続し、回転子を入れた二口フラスコの内部を、窒素置換した。
(2)窒素下で、フラスコ内に80容量%のZrO溶液を導入し、更に、10容量%のBPSを導入し、攪拌を開始した。
(3)上記フラスコを85℃のオイルバスに浸し、攪拌しながら36時間反応を行った。
(4)反応液を室温まで冷却した後、窒素下で10容量%のHMDSを導入した。
(5)室温で2時間攪拌後、80℃で8時間攪拌して反応を行い、反応液を室温まで冷却した。
(6)反応液を遠沈管に移し、遠心分離機(株式会社久保田製作所製、型式:7700)を用いて、10000rpm、10℃で、30分間、遠心分離を行った。
(7)遠沈管内の上澄み液をメタノール−水混合溶液に投入し、静置後、上澄み液を廃棄した。
(8)沈殿物に窒素を吹き込み、残留する液体を揮発させた後、少量のTHFを加え、攪拌により沈殿物をTHFに溶解させた。
(9)上記溶液をヘキサンに投入して攪拌し、静置した後、上澄み液を廃棄した。
(10)残った沈殿物にヘキサンを加えて攪拌し、静置した後、上澄み液を廃棄した。更にこの操作を8回繰り返した。
(11)上記沈殿物に窒素を吹きこみながら、一晩風乾することにより、液体を揮発させ、固形物を得た。
(12)上記固形物を、80℃、真空下で、24時間乾燥させて、BPS改質ZrO粒子−1を得た。
(13)BPS改質ZrO粒子−1のハロゲン含有量は1.6質量%であった。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
<表面改質無機酸化物粒子の合成2(BPS改質ZrO粒子−2の合成)>
以下の手順に従って、BPS改質ZrO(BPSが表面に結合したZrO粒子)を合成した。
(1)冷却管を接続し、回転子を入れた二口フラスコの内部を、窒素置換した。
(2)窒素下で、フラスコ内に88容量%のZrO溶液を導入し、更に、2容量%のBPSを導入し、攪拌を開始した。
(3)上記フラスコを85℃のオイルバスに浸し、攪拌しながら36時間反応を行った。
(4)反応液を室温まで冷却した後、窒素下で10容量%のHMDSを導入した。
(5)室温で2時間攪拌後、80℃で8時間攪拌して反応を行い、反応液を室温まで冷却した。
(6)反応液を遠沈管に移し、遠心分離機(株式会社久保田製作所製、型式:7700)を用いて、10000rpm、10℃で、30分間、遠心分離を行った。
(7)遠沈管内の上澄み液をメタノール−水混合溶液に投入し、静置後、上澄み液を廃棄した。この時、静置しても沈殿が沈降しない場合は、遠心分離処理で分離しても良い。
(8)沈殿物に窒素を吹き込み、残留する液体を揮発させた後、少量のTHFを加え、攪拌により沈殿物をTHFに溶解させた。
(9)上記溶液をヘキサンに投入して攪拌し、静置した後、上澄み液を廃棄した。
(10)残った沈殿物にヘキサンを加えて攪拌し、静置した後、上澄み液を廃棄した。更にこの操作を8回繰り返した。
(11)上記沈殿物に窒素を吹きこみながら、一晩風乾することにより、液体を揮発させ、固形物を得た。
(12)上記固形物を、80℃、真空下で、24時間乾燥させて、BPS改質ZrO粒子−2を得た。
(13)BPS改質ZrO粒子−2のハロゲン含有量は0.6質量%であった。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
<表面改質無機酸化物粒子の合成3(BPTS改質ZrO粒子の合成)>
以下の手順に従って、BPTS改質ZrO(BPTSが表面に結合したZrO粒子)を合成した。
(1)冷却管を接続し、回転子を入れた二口フラスコの内部を、窒素置換した。
(2)窒素下で、フラスコ内に84容量%のZrO溶液を導入し、更に、4容量%のBPTSを導入し、攪拌を開始した。
(3)上記フラスコを80℃のオイルバスに浸し、反応液を攪拌しながら48時間反応を行った。
(4)反応液を室温まで冷却した後、窒素下で12容量%のHMDSを導入した。
(5)室温で2時間攪拌後、80℃で8時間攪拌して反応を行い、反応液を室温まで冷却した。その後、上記「表面改質無機酸化物粒子の合成1(BPS改質ZrOの合成−1)」の(6)〜(12)と同様の操作を行って、BPTS改質ZrO粒子を得た。
(6)BPTS改質ZrO粒子のハロゲン含有量は1.2質量%であった。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
<表面改質無機酸化物粒子の合成4(BPS改質TiOの合成)>
ZrO溶液をTiO溶液に変更したこと以外は、上記「表面改質無機粒子の合成1(BPS改質ZrOの合成−1)」と同様の方法で、BPS改質TiO粒子(BPSが表面に結合したTiO粒子)を得た。
BPS改質TrO粒子のハロゲン含有量は1.5質量%であった。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
<表面改質無機酸化物粒子の合成5(BPS改質SiOの合成)>
ZrO溶液をSiO溶液−1に変更し、遠心分離の条件を5000rpmに変更した以外は、上記「表面改質無機酸化物粒子の合成1(BPS改質ZrO粒子の合成−1)」と同様の方法で、BPS改質SiO粒子(BPSが表面に結合したSiO粒子)を得た。
BPS改質SiO粒子のハロゲン含有量は2.2質量%であった。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
[実施例1]
有機−無機複合体Aを、表1の配合に従って、以下の手順で製造した。各成分の濃度は、各成分の合計量を基準とした数値である。得られた有機−無機複合体Aの評価結果を表2に示す。
(1)回転子を入れたシュレンクフラスコに、2.61質量%のBPS改質ZrO粒子、
0.045質量%のCuBr、0.007質量%のCuBr、及び0.288質量%のdNbpyを加えた。
(2)シュレンクフラスコに冷却管を接続し、フラスコ内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した。
(3)フラスコに、窒素下で97.05質量%のMMAを導入し、攪拌して、反応液を調製した。
(4)フラスコを60℃のオイルバスに浸し、反応液を45分間攪拌し、重合反応を行った。
(5)フラスコを氷浴に浸して速やかに冷却してから、2−プロパノールに投入して攪拌し、静置した。その後、上澄み液を廃棄した。
(6)残った沈殿物に、2−プロパノールを再び加えて静置し、上澄み液を廃棄した。この操作を更に8回繰り返した。
(7)残った沈殿物に窒素を吹きこみながら、一晩風乾することにより、液体を揮発させ、固形物を得た。
(8)上記固形物を、真空下、60℃で24時間乾燥させて、有機−無機複合体Aを得た。
(9)有機−無機複合体AのTgを上述の方法で測定したところ、115℃であった。
(10)有機−無機複合体Aのハロゲン含有量を、上述の方法で測定したところ、1.2質量%であった。塩素は検出されなかったため、臭素含有量をハロゲン含有量として示した。
(11)有機−無機複合体Aの銅含有量を、上述の方法で測定したところ、0.09質量%であった。
(12)有機−無機複合体Aを構成するポリマーの数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)を上述の方法で測定したところ、Mn=7900、Mw=9800であった。更に、分子量の分散度(Mw/Mn)を算出したところ、Mw/Mn=1.24(≦1.9)であり、鎖長が揃ったポリマー鎖が、無機酸化物粒子に結合していることがわかった。
(13)有機−無機複合体Aのフリーポリマー量を測定したところ4質量%であり、無機酸化物に結合しているポリマーの量は96質量%であった。
(14)有機−無機複合体Aの無機酸化物粒子の平均粒径を求めたところ、17nmであった。
(15)有機−無機複合体Aの無機酸化物粒子の円形度を求めたところ、円形度=0.76(≦0.92)であった。
(16)有機−無機複合体Aの無機酸化物粒子のL/Dを求めたところ、L/D=1.5(≧1.2)であった。
(17)有機−無機複合体Aの無機酸化物含有量を上述の方法で測定したところ、無機酸化物含有量は、68質量%(2〜96質量%)及び33体積%(1〜85体積%)であった。但し、ポリマーの比重は、比較例1のポリメタクリル酸メチル樹脂(以下、「pMMA」という。)の値を用いた。
(18)10質量%となるように、有機−無機複合体AとMIBKを混合し、上述の方法でコーティング材を得た。
(19)上記コーティング材を使用し、上述の方法で、PETフィルムに、塗工、乾燥後230℃で真空熱プレスして、コーティング膜を得た。得られたコーティング膜の外観を目視で確認したところ、粒子の凝集は見られず、透明性を維持していた。
(20)コーティング膜の全光線透過率とヘーズを、上述の方法で測定したところ、全光線透過率は89%、ヘーズは2.8%であった。
(21)上述の方法でTACフィルムに塗工、乾燥して得られたコーティング膜の屈折率を測定したところ、1.62であり、比較例1のpMMAと比較して、屈折率が0.13上昇した。このことから、有機−無機複合体の形成によりコーティング膜の屈折率の制御ができることが判明した。
(22)更に、上述の方法で測定した、コーティング膜の鉛筆硬度はFであり、比較例1のpMMAのコーティング膜の鉛筆硬度(F)と同等であり、十分な強度であった。
(23)上述の方法で、コーティング膜の密着性を評価した結果、合格(「A」)であった。
(24)上述の方法で、コーティング膜の接触角を評価した結果、水接触角は71°であった。
(25)有機−無機複合体Aを上述の方法で成形して、成形体を得た。得られた成形体の外観を目視で確認したところ、粒子の凝集は見られず、透明性を維持していた。更に、上述の方法で屈折率を測定したところ、1.62であり、比較例1のpMMAと比較して、屈折率が0.13上昇した。このことから、有機−無機複合体の形成により成形体の屈折率の制御ができることが判明した。
(26)上記成形体の粒子分散度を上述の方法で算出したところ、粒子分散度=0.27(≦0.5)であり、粒子の分散性が良好であることが確認された。
[実施例2]
有機−無機複合体Bを、重合反応の条件を70℃、1時間とした以外は、表1の配合に従って、実施例1と同様の方法で、有機−無機複合体Bを製造した。得られた有機−無機複合体B、コーティング材、コーティング膜及び成形体の評価結果を、表2及び3に示す。
有機−無機複合体Bを構成するポリマーの数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)を上述の方法で測定したところ、Mn=18900、Mw=23200、Mw/Mn=1.23(≦1.9)であり、鎖長が揃ったポリマー鎖が無機酸化物粒子に結合していることがわかった。
有機−無機複合体BにMIBKを混合し、上述の方法でコーティング材を得た。上記コーティング材を使用し、上述の方法で、PETフィルムに、塗工し、コーティング膜を得た。得られたコーティング膜の外観を目視で確認したところ、粒子の凝集は見られず、透明性を維持していた。得られたコーティング膜の屈折率を測定したところ、1.54であり、比較例1のpMMAと比較して、屈折率が0.13上昇した。このことから、有機−無機複合体の形成によりコーティング膜の屈折率の制御ができることが判明した。
更に、有機−無機複合体Bを上述の方法で成形して、成形体を得た。得られた成形体の外観を目視で確認したところ、粒子の凝集は見られず、透明性を維持していた。更に、上述の方法で屈折率を測定したところ、1.54であり、比較例1のpMMAと比較して、屈折率が0.05上昇した。このことから、有機−無機複合体の形成により成形体の屈折率の制御ができることが判明した。成形体の粒子分散度を上述の方法で算出したところ、粒子分散度=0.25(≦0.5)であり、粒子の分散性が良好であることが確認された。
[実施例3]
重合反応の条件を、100℃、30分に変更したこと以外は、表1の配合に従って、実施例1と同様の方法で、有機−無機複合体Cを製造した。得られた有機−無機複合体C、コーティング材、及びコーティング膜の評価結果を表2及び3に示す。
有機−無機複合体Cを構成するポリマーの分子量を測定したところ、Mn=10900、Mw=19400、Mw/Mn=1.78≦1.9であり、鎖長が揃ったポリマー鎖が無機酸化物粒子に結合していることがわかった。
有機−無機複合体Cにアニソールを混合し、上述の方法でコーティング材を得た。上記コーティング材を使用し、PETフィルムに、塗工し、実施例1と同様の方法で、コーティング膜を得た。得られたコーティング膜の外観を目視で確認したところ、粒子の凝集は見られず、透明性を維持していた。得られたコーティング膜の屈折率を測定したところ、1.68であり、比較例1のpMMAと比較して、屈折率が0.19上昇した。このことから、有機−無機複合体の形成によりコーティング膜の屈折率の制御ができることが判明した。
[実施例4]
重合反応時間を7時間とした以外は、表1の配合に従って、実施例1と同様の方法で、有機−無機複合体Dを製造した。得られた有機−無機複合体D、コーティング材、コーティング膜及び成形体の評価結果を表2及び3に示す。
有機−無機複合体Dを構成するポリマーの分子量を測定したところ、Mn=30200、Mw=38900、Mw/Mn=1.28≦1.9であり、鎖長が揃ったポリマー鎖が無機酸化物粒子に結合していることがわかった。
有機−無機複合体DにMIBKを混合し、上述の方法でコーティング材を得た。上記コーティング材を使用し、上述の方法で、PETフィルムに、塗工し、コーティング膜を得た。得られたコーティング膜の外観を目視で確認したところ、粒子の凝集は見られず、透明性を維持していた。得られたコーティング膜の屈折率を測定したところ、1.51であり、比較例1のpMMAと比較して、屈折率が0.02上昇した。このことから、有機−無機複合体の形成によりコーティング膜の屈折率の制御ができることが判明した。
有機−無機複合体Dを上述の方法で成形して、成形体を得た。得られた成形体の外観を目視で確認したところ、粒子の凝集は見られず、透明性を維持していた。更に、上述の方法で屈折率を測定したところ、1.51であり、比較例1のpMMAと比較して、屈折率が0.02上昇した。このことから、有機−無機複合体の形成により成形体の屈折率の制御ができることが判明した。成形体の粒子分散度を上述の方法で算出したところ、粒子分散度=0.29(≦0.5)であり、粒子の分散性が良好であることが確認された。
[実施例5]
重合反応条件を100℃、18時間とした以外は、表1の配合に従って、実施例1と同様の方法で、有機−無機複合体Eを製造した。得られた有機−無機複合体E、コーティング材、コーティング膜及び成形体の評価結果を表2及び3に示す。
有機−無機複合体Eを構成するポリマーの分子量を測定したところ、Mn=16900、Mw=24200、Mw/Mn=1.43≦1.9であり、鎖長が揃ったポリマー鎖が無機酸化物粒子に結合していることがわかった。
有機−無機複合体Eにアニソールを混合し、上述の方法でコーティング材を得た。上記コーティング材を使用し、上述の方法で、PETフィルムに、塗工し、コーティング膜を得た。得られたコーティング膜の外観を目視で確認したところ、粒子の凝集は見られず、透明性を維持していた。得られたコーティング膜の屈折率を測定したところ、1.64であり、比較例1のpMMAと比較して、屈折率が0.15上昇した。このことから、有機−無機複合体の形成によりコーティング膜の屈折率の制御ができることが判明した。
有機−無機複合体Eを上述の方法で成形して、成形体を得た。得られた成形体の外観を目視で確認したところ、粒子の凝集は見られず、透明性を維持していた。更に、上述の方法で屈折率を測定したところ、1.64であり、比較例1のpMMAと比較して、屈折率が0.15上昇した。このことから、有機−無機複合体の形成により成形体の屈折率の制御ができることが判明した。成形体の粒子分散度を上述の方法で算出したところ、粒子分散度=0.29(≦0.5)であり、粒子の分散性が良好であることが確認された。
[実施例6]
重合反応条件を100℃、7時間とした以外は、表1の配合に従って、実施例1と同様の方法で、有機−無機複合体Fを製造した。得られた有機−無機複合体F及び成形体の評価結果を表2及び3に示す。
有機−無機複合体Fを構成するポリマーの分子量を測定したところ、Mn=11800、Mw=19700、Mw/Mn=1.67≦1.9であり、鎖長が揃ったポリマー鎖が無機酸化物粒子に結合していることがわかった。
有機−無機複合体Fを上述の方法で成形して、成形体を得た。得られた成形体の外観を目視で確認したところ、粒子の凝集等は見られなかった。更に、上述の方法で屈折率を測定したところ、1.66であり、比較例2のpStと比較して、屈折率が0.08上昇した。このことから、有機−無機複合体の形成により成形体の屈折率の制御ができることが判明した。成形体の粒子分散度を上述の方法で算出したところ、粒子分散度=0.31(≦0.5)であり、粒子の分散性が良好であることが確認された。
[実施例7]
重合反応条件を90℃、7時間とした以外は、表1の配合に従って、実施例1と同様の方法で、有機−無機複合体Gを製造した。得られた有機−無機複合体G、コーティング材、コーティング膜及び成形体の評価結果を表2及び3に示す。
有機−無機複合体Gを構成するポリマーの分子量を測定したところ、Mn=11200、Mw=17700、Mw/Mn=1.58≦1.9であり、鎖長が揃ったポリマー鎖が無機酸化物粒子に結合していることがわかった。
有機−無機複合体Gにアニソールを混合し、上述の方法でコーティング材を得た。上記コーティング材を使用し、PETフィルムに、塗工し、実施例1と同様の方法で、コーティング膜を得た。得られたコーティング膜の外観を目視で確認したところ、粒子の凝集は見られず、透明性を維持していた。得られたコーティング膜の屈折率を測定したところ、1.69であり、比較例1のpMMAと比較して、屈折率が0.20上昇した。このことから、有機−無機複合体の形成によりコーティング膜の屈折率の制御ができることが判明した。
有機−無機複合体Gを上述の方法で成形して、成形体を得た。得られた成形体の外観を目視で確認したところ、粒子の凝集は見られず、透明性を維持していた。更に、上述の方法で屈折率を測定したところ、1.69であり、比較例1のpMMAと比較して、屈折率が0.20上昇した。このことから、有機−無機複合体の形成により成形体の屈折率の制御ができることが判明した。成形体の粒子分散度を上述の方法で算出したところ、粒子分散度=0.29(≦0.5)であり、粒子の分散性が良好であることが確認された。
[実施例8]
BPS改質ZrO粒子に代えてBPS改質TiO粒子を用い、重合反応の時間を3時間としたこと以外は、表1の配合に従って、実施例1と同様の方法で、有機−無機複合体Hを製造した。有機−無機複合体H、コーティング材、コーティング膜及び成形体の評価結果を表2に示す。
有機−無機複合体Hの分子量を測定したところ、Mn=10900、Mw=14200、Mw/Mn=1.30≦1.9であり、鎖長が揃ったポリマー鎖が無機酸化物粒子に結合していることがわかった。
有機−無機複合体Hの無機酸化物粒子の平均粒径を、上述の方法で算出したところ、14nmであった。円形度は0.80(≦0.92)であり、L/Dは2.0(≧1.2)であった。
有機−無機複合体HにMIBKを混合し、上述の方法でコーティング材を得た。上記コーティング材を使用し、PETフィルムに、塗工し、実施例1と同様の方法で、コーティング膜を得た。得られたコーティング膜の外観を目視で確認したところ、粒子の凝集は見られず、透明性を維持していた。得られたコーティング膜の屈折率を測定したところ、1.54であり、比較例1のpMMAと比較して、屈折率が0.05上昇した。このことから、有機−無機複合体の形成によりコーティング膜の屈折率の制御ができることが判明した。
有機−無機複合体Hを上述の方法で成形して、成形体を得た。得られた成形体の外観を目視で確認したところ、粒子の凝集は見られず、透明性を維持していた。更に、上述の方法で屈折率を測定したところ、1.54であり、比較例1のpMMAと比較して、屈折率が0.05上昇した。このことから、有機−無機複合体の形成により成形体の屈折率の制御ができることが判明した。成形体の粒子分散度を上述の方法で算出したところ、粒子分散度=0.29(≦0.5)であり、粒子の分散性が良好であることが確認された。
[比較例1]
表1の配合に従い、以下の手順で、無機酸化物粒子を配合せずに重合反応を行い、pMMAを合成した。得られたpMMA、コーティング材、コーティング膜及び成形体の評価結果を表2及び3に示す。
(1)回転子を入れたシュレンクフラスコに、0.045質量%のCuBr、0.007質量%のCuBr、及び0.288質量%のdNbpyを加えた。
(2)シュレンクフラスコに冷却管を接続し、フラスコ内部を真空処理してから窒素置換する操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した。
(3)フラスコに窒素下で、97.05質量%のMMAを導入し、攪拌して、反応液を調製した。
(4)0.102質量%のEBIBを加えてから、フラスコを60℃のオイルバスに浸し、反応液を2時間攪拌して、重合反応を行い、実施例1の(5)以降と同様の手順にしたがってpMMAを合成し、その評価を行った。
(5)ポリマーは、重合液を、2−プロパノールの代わりに、ヘキサンに投入して攪拌し、静置後、沈殿を洗浄・乾燥することで回収した。
(6)またpMMAの分子量は、HF処理を省略し、GPCで測定した。その結果、Mn=23500、Mw=28300、Mw/Mn=1.20(≦1.9)であり、鎖長が揃ったポリマー鎖が形成されていることがわかった。
上記pMMAにMIBKを混合し、上述の方法でコーティング材を得た。上記コーティング材を使用し、PETフィルムに、塗工し、実施例2と同様の方法で、コーティング膜を得た。得られたコーティング膜の屈折率は、1.49であった。
上記pMMAを、上述の方法で成形して、成形体を得た。更に、上述の方法で屈折率を測定したところ、1.49であり、比重は1.19であった。
[比較例2]
表1の配合に従い、重合時間を5時間とした以外は、比較例1と同様の手順で、無機酸化物粒子を配合せずに重合反応を行い、pStを合成した。得られたpSt、コーティング材、コーティング膜及び成形体の評価結果を表2に示す。
上記pStの分子量を測定したところ、Mn=29800、Mw=43508、Mw/Mn=1.46≦1.9であり、鎖長が揃ったポリマー鎖が形成されていることがわかった。
上記pMMAにアニソールを混合し、上述の方法でコーティング材を得た。上記コーティング材を使用し、PETフィルムに、塗工し、実施例2と同様の方法で、コーティング膜を得た。得られたコーティング膜の屈折率は、1.58であった。
上記pStを、上述の方法で成形して、成形体を得た。更に、上述の方法で屈折率を測定したところ、1.58であり、比重は1.05であった。
[比較例3]
以下の手順に従って、有機−無機複合体αを製造した。得られた有機−無機複合体αの評価結果を表1に示す。
(1)90質量%のTHFと回転子を入れたビーカーに、比較例1のpMMAを10質量%加え、室温で攪拌して溶解させて、pMMA溶液を得た。
(2)上記pMMA溶液と、上記ZrO溶液を、6:4の質量比で混合し、室温で攪拌した。
(3)上記溶液を、ナスフラスコに移し、エバポレーターを使用して溶媒を除去し、固形物を得た。
(4)上記固形物を、60℃、真空下で、24時間乾燥させ、有機−無機複合体αを得た。
(5)有機−無機複合体αの分子量及び分子量の分散度を、実施例1と同様の方法で求めた。その結果、Mn=23800、Mw=28500、Mw/Mn=1.20≦1.9であり、鎖長が揃ったポリマー鎖が形成されていることがわかった。
(6)有機−無機複合体αの無機酸化物粒子の平均粒径を、上述の方法で算出したところ、17nmであった。円形度は0.76(≦0.92)であり、L/Dは1.5(≧1.2)であった。
(7)有機−無機複合体αの無機酸化物含有量を、上述の方法で測定したところ、無機酸化物含有量が19〜75質量%及び4〜25体積%の範囲で大きく変動した。但し、ポリマーの比重は、比較例1のpMMAの値を用いた。
(8)有機−無機複合体αを使用して、実施例1と同様の方法で、成形体を作製した。得られた成形体の外観を目視で確認したところ、不透明な部分が点在する不均一な状態であり、透明な成形体は得られなかった。
(9)上記成形体の粒子分散度を、上述の方法で算出しようと試みたが、粒子の凝集が激しく、また、粒子の塊が大きすぎたために、画像処理ができなかった。
[比較例4]
以下の手順に従って、フリーラジカル重合により有機−無機複合体βを合成した。
(1)窒素置換した二口フラスコに、97.2質量%のSiO溶液−2(327.9g)、及び2.8質量%のMSを導入し、室温で24時間撹拌することで、MS改質SiO粒子(MSが表面に結合したSiO粒子)を含有する溶液を得た。
(2)冷却管を接続した二口フラスコに、0.3質量%のAIBNを加え、真空処理及び窒素置換の操作を3回繰り返して、フラスコ内を脱酸素した。
(3)上記フラスコに、窒素下で、48.6質量%の酢酸ブチルと、46.0質量%のMMAとを加えた後、MS改質SiO粒子を含有する溶液5.1質量%を加え、フラスコを80℃のオイルバスに浸し、3時間反応を行った。
(4)反応後のフラスコを氷浴に浸して速やかに冷却してから、反応液を2−プロパノールに投入して攪拌し、静置した後、上澄み液を廃棄した。
(5)残った沈殿物に、2−プロパノールを再び加えて静置し、上澄み液を廃棄した。この操作を更に8回繰り返した。
(6)上記沈殿物に窒素を吹きこみながら一晩風乾させることにより、液体を揮発させて、固形物を得た。
(7)上記固形物を、80℃、真空下で、24時間乾燥させ、有機−無機複合体βを得た。
(8)有機−無機複合体βを構成するポリマーの分子量及び分子量の分散度を、実施例1と同様の方法で求めたところ、高分子体の大きなピークを有しており、Mn=28600、Mw=81500、Mw/Mn=2.85(>1.9)であり、ポリマーの鎖長の均一性が低いことがわかった。
(9)有機−無機複合体βにMIBKを加え、比較例と同様の方法で、コーティング膜を得た。コーティング膜には、無機酸化物粒子の凝集と思われる箇所が、複数確認され、概観不良であった。
(10)更に、有機−無機複合体βを上述の方法で成形して、成形体を得た。得られた成形体の外観を目視で確認したところ、部分的に粒子の凝集が生じ、白濁した不均一な状態であり、透明な成形体が得られなかった。
(11)上記成形体の粒子分散度を、上述の方法で算出したところ、粒子分散度=0.64(<0.5)であり、粒子の分散性が良好でないことが判明した。
[比較例5]
重合反応の条件を、25分に変更したこと以外は、表1の配合に従って、実施例1と同様の方法で、有機−無機複合体γを製造した。得られた有機−無機複合体γ及び成形体の評価結果を表2及び3に示す。
有機−無機複合体γを構成するポリマー分子量を測定したところ、Mn=9500、Mw=10900、Mw/Mn=1.15(≦1.9)であり、鎖長が揃ったポリマーが無機酸化物粒子に結合していることがわかった。
有機−無機複合体γの無機酸化物粒子の平均粒径を、上述の方法で算出したところ、13nmであった。円形度は0.94(>0.92)であり、L/Dは1.1(<1.2)であった。
有機−無機複合体γを上述の方法で真空熱プレスによる成形を試みたが、成形体が非常に脆く、破損してしまい、屈折率測定や粒子分散度の算出ができなかった。
[比較例6]
実施例1の有機−無機複合体Aのコーティング材の代わりに、上述の「ZrO溶液」を使用して、コーティング膜を作製し、実施例2と同様の方法で評価した。評価結果を表3に示す。
コーティング膜の透明性が不十分であり、ヘーズが12.9%と高い値を示した。またコーティング膜表面に軽く触れると、粉状のものが剥離したため、マイクロスコープ(株式会社キーエンス製)を使用して、100倍で観察したところ、全面にひび割れが発生しており、正常に成膜できていないことがわかった。更に鉛筆硬度を測定したところ7B未満であり、密着性も不良であった。その他の評価項目は、コーティング膜の成膜不良のため、測定不能であった。
[比較例7]
実施例1の有機−無機複合体Aの代わりに、上述の「表面改質無機酸化物2(BPS改質ZrO粒子−1)」を使用して、コーティング膜を作製し、実施例2と同様の方法で評価した。評価結果を表3に示す。
コーティング膜は、白濁が激しく、ヘーズが53.1%と高い値を示した。またコーティング膜表面に軽く触れると、粉状のものが剥離したため、マイクロスコープ(株式会社キーエンス製)を使用して、100倍で観察したところ、全面にひび割れが発生しており、正常に成膜できていないことがわかった。更に鉛筆硬度を測定したところ7B未満であり、密着性も不良であった。その他の評価項目は、コーティング膜の成膜不良のため、測定不能であった。
Figure 2012162599
Figure 2012162599
Figure 2012162599
表3における総合判定について、外観の判定が合格である成形体が正常に成形できた場合を「A」、成形体の外観が合格でないか、または評価用の成形体が成形できなかった場合を「B」と表記した。表1に示される実験結果から、無機酸化物粒子の表面にポリマー鎖を結合することにより、成形体における粒子の凝集を抑制しながら、成形体の屈折率の制御が可能な有機−無機複合体を製造可能であることが明らかとなった。更に、得られた成形体は透明性を維持しつつ、且つ、屈折率の制御が可能であることがわかった。
本実施の形態に係る有機−無機複合体、コーティング材、コーティング膜及び成形体は、例えば、光学材料や光学部材として有用なものである。

Claims (37)

  1. (A)円形度が0.92以下である無機酸化物粒子と、
    (B)ラジカル重合性モノマーの重合により形成され、分子量の分散度が1.9以下であり、前記無機酸化物粒子に結合しているポリマーと、
    を備える有機−無機複合体。
  2. ガラス転移温度が、−10〜180℃である、請求項1に記載の有機−無機複合体。
  3. ハロゲン含有量が、当該有機−無機複合体の全質量を基準として0.001〜5質量%である、請求項1又は2に記載の有機−無機複合体。
  4. 銅含有量が、当該有機−無機複合体の全質量を基準として0.2質量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載1項に記載の有機−無機複合体。
  5. 前記無機酸化物粒子の平均粒径が1〜200nmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載1項に記載の有機−無機複合体。
  6. 前記無機酸化物粒子の円形度が0.20〜0.85である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
  7. 前記無機酸化物粒子の最大長L及び最小幅DがL/D≧1.2を満たす、請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
  8. 前記無機酸化物粒子の密度が2.5〜8g/cmである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
  9. 前記無機酸化物粒子が酸化ジルコニウム粒子又は酸化チタン粒子である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
  10. 前記無機酸化物粒子の屈折率が1.4〜4.5である、請求項1〜9のいずれか1項に記載1項に記載の有機−無機複合体。
  11. 前記無機酸化物粒子の含有量が、当該有機−無機複合体の全質量を基準として2〜96質量%である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
  12. 前記無機酸化物粒子の含有量が、当該有機−無機複合体の全体積を基準として1〜85体積%である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
  13. 前記ラジカル重合性モノマーが、スチレン類、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選択される少なくとも1種のモノマーを含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
  14. 前記ラジカル重合性モノマーが、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルを含み、前記ポリマーが前記アクリル酸エステルと前記メタクリル酸エステルとの共重合ポリマーである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
  15. 前記ラジカル重合性モノマーが、スチレン類及びメタクリル酸エステルを含み、前記ポリマーがスチレン類と前記メタクリル酸エステルとの共重合ポリマーである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
  16. 前記ポリマーが、熱可塑性ポリマーである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
  17. 前記ポリマーの分子量の分散度が1.0〜1.7である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
  18. 前記ポリマーの数平均分子量が、5000〜200000g/molである、請求項1〜17のいずれか1項に記載の有機−無機複合体。
  19. 無機酸化物粒子と重合開始基を有するカップリング剤とを反応させて表面改質無機酸化物粒子を得る工程と、
    前記重合開始基により開始されるラジカル重合性モノマーのリビングラジカル重合により、前記無機酸化物粒子に結合しているポリマーを形成する工程と、
    を備える、請求項1〜18のいずれか1項に記載の有機−無機複合体の製造方法。
  20. 前記リビングラジカル重合が、原子移動ラジカル重合である、請求項19に記載の有機−無機複合体の製造方法。
  21. 前記重合開始基がハロゲン原子を含む、請求項19又は20に記載の有機−無機複合体の製造方法。
  22. 前記表面改質無機酸化物粒子のハロゲン含有量が0.02〜10質量%である、請求項21に記載の有機−無機複合体の製造方法。
  23. 前記カップリング剤が、リン酸基、カルボキシ基、酸ハライド基、酸無水物基、イソシアネート基、グリシジル基、クロロシリル基及びアルコキシシリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する、請求項19〜22のいずれか1項に記載の有機−無機複合体の製造方法。
  24. 前記官能基が、クロロシリル基又はアルコキシシリル基である、請求項23に記載の有機−無機複合体の製造方法。
  25. 前記カップリング剤が、前記官能基を1又は2有する、請求項23又は24に記載の有機−無機複合体の製造方法。
  26. 請求項1〜18のいずれか1項に記載の有機−無機複合体を含む、コーティング材。
  27. 有機溶媒を更に含む、請求項26に記載のコーティング材。
  28. 固形分濃度が1〜70質量%である、請求項26又は27に記載のコーティング材。
  29. 請求項26〜28のいずれか1項に記載のコーティング材を含む、コーティング膜。
  30. 屈折率が1.5〜2.5である、請求項29に記載のコーティング膜。
  31. 鉛筆硬度がHB以上である、請求項29又は30に記載のコーティング膜。
  32. 水接触角が75°以上である、請求項29〜31のいずれか1項に記載のコーティング膜。
  33. 請求項1〜18のいずれか1項に記載の有機−無機複合体を含む、成形体。
  34. 粒子分散度が0.6以下である、請求項33に記載の成形体。
  35. 屈折率が1.5〜2.5である、請求項33又は34に記載の成形体。
  36. 請求項29〜32のいずれか1項に記載のコーティング膜、又は請求項33〜35のいずれか1項に記載の成形体を備える光学部材。
  37. 請求項1〜18のいずれか1項に記載の有機−無機複合体を含む、光学材料。
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