6.詳細な説明
本発明は、1以上の領域に1以上のアミノ酸改変(例えば置換、それだけでなく挿入または欠失も含む)を有する変異型Fc領域を含む分子、好ましくはポリペプチド、さらに好ましくは免疫グロブリン(例えば、抗体)を用いて癌または他の疾患を治療する方法に関し、この改変は変異型Fc領域の、FcγRに対する親和性を変更する、例えば、増大させる、または低下させる。抗体依存性細胞媒介細胞傷害作用(ADCC)、補体依存性細胞傷害作用(CDC)または抗体依存性細胞媒介食作用(ADCP)を媒介する免疫グロブリンの能力の増強は、癌および感染性疾患に対する免疫グロブリンの治療活性を増強するためのアプローチを提供する。
よって、本発明は、FcγRにより媒介されるエフェクター細胞機能(例えば、ADCC)の効力の増強が望まれる(例えば、癌、感染性疾患)かまたはFcγRにより媒介されるエフェクター細胞応答の変調が望まれる(例えば、自己免疫障害または炎症性障害)疾患もしくは障害の治療または予防、またはその症状の改善における治療用抗体を包含する。いくつかの実施形態では、本発明は、限定するものではないが、米国特許出願公開第2005/0037000号および同第2005/0064514号;ならびに国際特許出願公開WO04/063351に開示されているいずれの改変も含むアミノ酸改変を有するFc領域を含む分子の使用を包含する。上述の出願はそれぞれ参照によりその全内容が本明細書に組み入れられる。
本発明のポリペプチドは変異型Fcドメインを含み得る。Fcドメインの改変は通常、表現型の変更、例えば、血清半減期の変更、安定性の変更、細胞酵素に対する感受性の変更またはエフェクター機能の変更をもたらす。例えば癌治療において抗体の効力を増強するために、本発明の抗体をエフェクター機能に関して改変することが望まれる場合がある。ある特定の場合、例えば、作用機序が標的抗原を有する細胞の死滅ではなく、遮断または拮抗を含む抗体の場合には、エフェクター機能の低下または消失が望ましい。FcγRが低レベルで発現される腫瘍および外来細胞、例えば、低レベルのFcγRIIBを有する腫瘍特異的B細胞(例えば、非ホジキンリンパ腫、CLLおよびバーキットリンパ腫)などの望ましくない細胞を対象とする場合には、一般に、エフェクター機能の増強が望ましい。該実施形態において、エフェクター機能活性が付与または変更された本発明の分子は、エフェクター機能活性の効力の増強が望まれる疾患、障害または感染の治療および/または予防に有用である。
特定の実施形態では、本発明の分子は、Fcドメインのアミノ酸に、そのFc領域の、および従って本発明の分子の、1以上のFcγR受容体に対する親和性および結合力を低下させる、1以上の改変を含む。他の実施形態では、本発明の分子は、Fc領域のアミノ酸に、そのFc領域の、および従って本発明の分子の、1以上のFcγR受容体に対する親和性および結合力を増大させる、1以上の改変を含む。他の実施形態では、これらの分子は変異型Fcドメインを含み、該変異体は、Fcドメインを含まないか、または野生型Fcドメインを含む分子に比べて、ADCC活性の増大および/またはFcγRIIAに対する結合の増大を付与または媒介する。代替の実施形態では、これらの分子は変異型Fcドメインを含み、該変異体は、Fcドメインを含まないか、または野生型Fcドメインを含む分子に比べて、ADCC活性(または他のエフェクター機能)の低下および/またはFcγRIIBに対する結合の低下を付与または媒介する。
いくつかの実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む分子であって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域を含む対応する分子に比べて、いずれのFcγRに対しても検出可能な結合を示さない、前記分子を包含する。他の実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む分子であって、該変異型Fc領域は単一のFcγR、好ましくは、FcγRIIA、FcγRIIBまたはFcγRIIIAの1つとのみ結合する、前記分子を包含する。
本発明のポリペプチドは、活性化型Fcγ受容体および/または阻害型Fcγ受容体に対する変更された親和性を含み得る。一実施形態において、該抗体またはポリペプチドは、野生型Fc領域を有する対応する分子に比べて、FcγRIIBに対する親和性が増大され、かつ、FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性が低下した変異型Fc領域を含む。別の実施形態では、本発明のポリペプチドは、野生型Fc領域を有する対応する分子に比べて、FcγRIIBに対する親和性が増大され、かつ、FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性が低減された変異型Fc領域を含む。さらに別の実施形態では、本発明のポリペプチドは、野生型Fc領域を有する対応する分子に比べて、FcγRIIBに対する親和性が低減され、かつ、FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性が低減された変異型Fc領域を含む。さらに別の実施形態では、本発明のポリペプチドは、野生型Fc領域を有する対応する分子に比べて、FcγRIIBに対する親和性が不変であり、かつ、FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性が低減(または増大)された変異型Fc領域を含む。
特定の実施形態では、本発明は、FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性が変更された変異型Fc領域を含む免疫グロブリンであって、その結果、該免疫グロブリンは増強されたエフェクター機能、例えば、抗体依存性細胞媒介細胞傷害作用を有するようになる、前記免疫グロブリンを包含する。エフェクター細胞機能の非限定的な例としては、抗体依存性細胞媒介細胞傷害作用(ADCC)、抗体依存性食作用、食作用、オプソニン化、オプソニン食作用、細胞結合、ロゼット形成、C1q結合および補体依存性細胞媒介細胞傷害作用が挙げられる。
好ましい実施形態では、親和性またはエフェクター機能の変更は、野生型Fc領域を含む対応する分子の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍または少なくとも100倍である。本発明の他の実施形態では、変異型Fc領域は、1以上のFcRと、野生型Fc領域を含む分子よりも少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、175%、200%、225%または250%高い親和性で免疫特異的に結合する。このような測定はインビボアッセイであってもインビトロアッセイであってもよく、好ましい実施形態では、ELISAまたは表面プラズモン共鳴アッセイなどのインビトロアッセイである。
種々の実施形態において、該分子は変異型Fcドメインを含み、該変異体はFcγR受容体の少なくとも1つの活性を刺激するか、またはFcγR受容体の少なくとも1つの活性に拮抗する。好ましい実施形態では、該分子は、FcγRIIBの1以上の活性、例えば、B細胞受容体媒介シグナル伝達、B細胞の活性化、B細胞増殖、抗体生産、B細胞の細胞内カルシウム流入、細胞周期の進行、FcεRIシグナル伝達のFcγRIIB媒介阻害、FcγRIIBのリン酸化、SHIP動員、SHIPリン酸化およびShcとの会合またはFcγRIIBシグナル伝達経路の1以上の下流分子(例えば、MAPキナーゼ、JNK、p38またはAkt)の活性を刺激する(または、に拮抗する)変異体を含む。別の実施形態では、該分子は、FcεRIの1以上の活性、例えば、肥満細胞の活性化、カルシウム動員、脱顆粒、サイトカイン生産またはセロトニン放出を刺激する(または、に拮抗する)変異体を含む。
特定の実施形態では、該分子は、2以上のIgGアイソタイプ(例えば、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4)に由来するドメインまたは領域を含むFcドメインを含む。種々のIgGアイソタイプは、例えばFlesch and Neppert (1999) J. Clin. Lab. Anal. 14: 141-156; Chappel et al. (1993) J. Biol. Chem. 33: 25124-25131; Chappel et al. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 88: 9036-9040; Bruggemann et al. (1987) J. Exp. Med 166: 1351-1361に記載されるように、それらのヒンジおよび/またはFcドメインのアミノ酸配列の違いによって、血清半減期、補体結合、FcγR結合親和性およびエフェクター機能活性(例えば、ADCC、CDCなど)を含む、異なる物理的特性および機能的特性を示す。この種の変異型Fcドメインは、Fcにより媒介されるエフェクター機能および/または結合活性に影響を与えるために、単独で用いてもよいし、アミノ酸改変と組み合わせて用いてもよい。アミノ酸改変とIgGヒンジ/Fc領域を組み合わせると、野生型Fc領域を含む本発明の分子に比べて、同等の機能性(例えば、FcγRIIAに対する親和性の増大)を示す場合もあるし、本発明の分子のエフェクター機能の改変に相加的、またはより好ましくは相乗的に働く場合もある。他の実施形態では、アミノ酸改変とIgGFc領域は反対の機能(例えばそれぞれ、FcγRIIAに対する親和性の増大および低下)を示す場合があり、Fc領域を含まないか、または同じアイソタイプの野生型Fc領域を含む本発明の分子に比べて、本発明の分子の具体的な機能を選択的に抑制または低減する働きをする場合もある。
具体的な実施形態では、本発明は、それらの可変ドメインを介して、FcγRIIA、例えばそれぞれATCC受託番号PTA−4591およびPTA−4592を有するクローン2B6または3H7により産生されるマウスモノクローナル抗体に由来する抗体よりも高い親和性で、FcγRIIBと免疫特異的に結合する治療用抗体を包含する。他の実施形態では、本発明の抗FcγRIIB抗体は、それぞれATCC受託番号PTA−5958、PTA−5961、PTA−5962、PTA−5960およびPTA−5959を有するクローン1D5、2E1、2H9、2D11または1F2により産生されるマウスモノクローナル抗体に由来する。抗体2B6および3H7を産生するハイブリドーマは、特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約の下、2002年8月13日にAmerican Type Culture Collection (10801 University Blvd., Manassas, VA. 20110-2209)に寄託され、それぞれ受託番号PTA−4591(2B6産生ハイブリドーマ)およびPTA−4592(3H7産生ハイブリドーマ)を割り当てられたものであり、参照により本明細書に組み入れる。1D5、2E1、2H9、2D11および1F2を産生するハイブリドーマは、ブダペスト条約の下、2004年5月7日にAmerican Type Culture Collection (10801 University Blvd., Manassas, VA. 20110-2209)に寄託され、それぞれPTA−5958、PTA−5961、PTA−5962、PTA−5960およびPTA−5959を割り当てられたものであり、参照により本明細書に組み入れる。好ましい実施形態では、本発明の抗FcγRIIB抗体(例えば、2B6)は変異型Fc領域を含み、該変異型Fc領域は、243位でのロイシンによる置換、292位でのプロリンによる置換、300位でのロイシンによる置換、305位でのイソロイシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換を有する。別の実施形態では、本発明は、243位にロイシンを、292位にプロリンを、300位にロイシンを、305位にイソロイシンを、および396位にロイシンを有する2B6抗体を包含する。他の実施形態では、本発明は、243位でのロイシンによる置換、292位でのプロリンによる置換、および300位でのロイシンによる置換を有する変異型Fc領域を含む2B6抗体を包含する。他の実施形態では、本発明は、243位にロイシンを、292位にプロリンを、および300位にロイシンを有する2B6抗体を包含する。他の実施形態では、本発明は、247位でのロイシンによる置換、270位でのグルタミン酸による置換、および421位でのリシンによる置換を有する変異型Fc領域を含む2B6抗体を包含する。別の実施形態では、本発明は、247位にロイシンを、292位にグルタミン酸を、および421位にリシンを有する2B6抗体を包含する。
具体的な実施形態では、本発明は、Her2/neu癌原遺伝子(配列番号31のアミノ酸配列)と結合する治療用抗体(例えば、参照によりその全内容を本明細書に組み入れるCarter et al., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 4285-9;米国特許第5,677,171号;または国際特許出願公開WO01/00245に開示されているAb4D5抗体)を包含する。ある特定の実施形態では、4D5抗体はキメラである。別の実施形態では、4D5抗体はヒト化されている。具体的な実施形態では、4D5抗体は、少なくとも1つのアミノ酸残基の改変(例えば、置換、挿入、欠失)により変異型Fc領域を含むように操作されており、該改変は、野生型Fc領域を含む対応する抗体に比べて、Fc領域のFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性を増大させ、かつ/またはFc領域のFcγRIIBに対する親和性を低下させ、かつ/または抗体のエフェクター機能を変調する。特定の実施形態では、本発明の4D5抗体は、243位でのロイシンによる置換、292位でのプロリンによる置換、300位でのロイシンによる置換、305位でのイソロイシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換を有する変異型Fc領域を含む。他の実施形態では、本発明は、243位にロイシンを、292位にプロリンを、300位にロイシンを、305位にイソロイシンを、および396位にロイシンを有する4D5抗体を包含する。さらに別の実施形態では、本発明は、243位でのロイシンによる置換、292位でのプロリンによる置換、および300位でのロイシンによる置換を有する変異型Fc領域を含む4D5抗体を包含する。さらに他の実施形態では、本発明は、243位にロイシンを、292位にプロリンを、および300位にロイシンを有する4D5抗体を包含する。他の実施形態では、本発明は、247位でのロイシンによる置換、270位でのグルタミン酸による置換、および421位でのリシンによる置換を有する変異型Fc領域を含む4D5抗体を包含する。別の実施形態では、本発明は、247位にロイシンを、292位にグルタミン酸を、および421位にリシンを有する4D5抗体を包含する。
いくつかの実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む分子であって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、該変異型Fc領域は、野生型Fc領域を含む対応する分子に比べて、いずれのFcγRに対しても検出可能な結合を示さない(例えばELISAアッセイにより測定した際に、例えば、FcγRIIA、FcγRIIBまたはFcγRIIIAと結合しない)、前記分子を包含する。
具体的な実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む分子であって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、該変異型Fc領域は1つのFcγRとのみ結合し、該FcγRはFcγIIIAである、前記分子を包含する。別の具体的な実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む分子であって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、該変異型Fc領域は1つのFcγRとのみ結合し、該FcγRはFcγRIIAである、前記分子を包含する。さらに別の実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む分子であって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、該変異型Fc領域は1つのFcγRとのみ結合し、該FcγRはFcγRIIBである、前記分子を包含する。本発明は、例えば治療用抗体のエフェクター機能を増強する、例えば、ADCCを増強することにより、治療用抗体の効力を増強するための、ヒトまたはヒト化治療用抗体(例えば、腫瘍特異的抗血管新生または抗炎症性モノクローナル抗体)の改変に特に関する。
特定の実施形態では、該分子は、1以上の領域に1以上のアミノ酸改変を有する変異型Fc領域を含み、この改変は変異型Fc領域の、活性化型FcγR(FcγRIIAまたはFcγRIIIAなど)に対する親和性と阻害型FcγR(FcγRIIBなど)に対する親和性との比:
(野生型Fc領域に比べて)を変更する。
Fc変異体が1より大きい親和性比を有する場合、本発明の方法は、例えば癌または感染性疾患などの、FcγRにより媒介されるエフェクター細胞機能(例えば、ADCC)の効力の増強が望まれる疾患、障害もしくは感染の治療的処置もしくは予防的処置の提供、またはその症状の改善に特に有用である。Fv変異体が1未満の親和性比を有する場合、本発明の方法は、例えば自己免疫障害または炎症性障害などの、FcγRにより媒介されるエフェクター細胞機能の効力の低下が望まれる疾患もしくは障害の治療的処置もしくは予防的処置の提供、またはその症状の改善に特に有用である。表1は、親和性比が1より大きいか1未満であるかによって、単一、二重、三重、四重および五重突然変異の例を挙げたものである。種々の突然変異の特異的結合データが表2に示され、これらの突然変異に関するより詳しい情報は「Antibody Engineering Technology Art」に示されている。
他の実施形態では、該分子は、1以上のアミノ酸置換を有する変異型Fc領域を含み、該置換は(野生型Fc領域に比べて)変異型Fc領域の結合を変更する、例えば、活性化型FcγR(FcγRIIAまたはFcγRIIIAなど)に対する結合を増強し、かつ/または阻害型FcγR(FcγRIIBなど)に対する結合を低減する。1以上のアミノ酸変化を有する種々のFc突然変異を操作により作出し、表3に示されるように表面プラズモン共鳴によりk
offを解析した。種々のFcγRとの結合に関する解離速度定数をBIAcore解析により求め、野生型Fcの解離速度定数と直接比較し、その比(x=WT k
off/突然変異体k
off)を各供試FcγRに関して表3の右側の欄に示した。
また、「Antibody Engineering Technology Art」にも、望ましい改変に関する包括的な指針がある。特定の場合に望ましいものであり得る改変の例を以下に挙げる。
具体的な実施形態では、変異型Fc領域において、235、240、241、243、244、247、262、263、269、298、328または330位のいずれかでの任意のアミノ酸改変(例えば、置換)および好ましくは、以下の残基:A240、I240、L241、L243、H244、N298、I328またはV330の1以上。異なる具体的な実施形態では、変異型Fc領域において、268、269、270、272、276、278、283、285、286、289、292、293、301、303、305、307、309、331、333、334、335、337、338、340、360、373、376、416、419、430、434、435、437、438または439位のいずれかでの任意のアミノ酸改変(例えば、置換)、および好ましくは、以下の残基:H280、Q280、Y280、G290、S290、T290、Y290、N294、K295、P296、D298、N298、P298、V298、I300またはL300の1以上。
好ましい実施形態では、変更された親和性でFcγRと結合する変異型Fc領域において、255、256、258、267、268、269、270、272、276、278、280、283、285、286、289、290、292、293、294、295、296、298、300、301、303、305、307、309、312、320、322、326、329、330、332、331、333、334、335、337、338、339、340、359、360、373、376、416、419、430、434、435、437、438または439位のいずれかでの任意のアミノ酸改変(例えば、置換)。好ましくは、該変異型Fc領域は、以下の残基:A256、N268、Q272、D286、Q286、S286、A290、S290、A298、M301、A312、E320、M320、Q320、R320、E322、A326、D326、E326、N326、S326、K330、T339、A333、A334、E334、H334、L334、M334、Q334、V334、K335、Q335、A359、A360またはA430のいずれかを有する。
異なる実施形態では、低減された親和性で(そのFc領域を介して)FcγRと結合する変異型Fc領域において、252、254、265、268、269、270、278、289、292、293、294、295、296、298、300、301、303、322、324、327、329、333、335、338、340、373、376、382、388、389、414、416、419、434、435、437、438または439位のいずれかでの任意のアミノ酸改変(例えば、置換)。
異なる実施形態では、増強された親和性で(そのFc領域を介して)FcγRと結合する変異型Fc領域において、280、283、285、286、290、294、295、298、300、301、305、307、309、312、315、331、333、334、337、340、360、378、398または430位のいずれかでの任意のアミノ酸改変(例えば、置換)。異なる実施形態では、増強された親和性でFcγRIIAと結合する変異型Fc領域において、以下の残基:A255、A256、A258、A267、A268、N268、A272、Q272、A276、A280、A283、A285、A286、D286、Q286、S286、A290、S290、M301、E320、M320、Q320、R320、E322、A326、D326、E326、S326、K330、A331、Q335、A337またはA430のいずれか。
他の実施形態では、本発明は、Jefferis et al. (2002) Immunol Lett 82: 57-65; Presta et al. (2002) Biochem Soc Trans 30: 487-90; Idusogie et al. (2001) J Immunol 166: 2571-75; Shields et al. (2001) J Biol Chem 276: 6591-6604; Idusogie et al. (2000) J Immunol 164: 4178-84; Reddy et al. (2000) J Immunol 164: 1925-33; Xu et al. (2000) Cell Immunol 200: 16-26; Armour et al. (1999) Eur J Immunol 29: 2613-24; Jefferis et al. (1996) Immunol Lett 54: 101-04; Hinton et al; 2004, J. Biol. Chem. 279(8): 6213-6; Lund et al. (1996) J Immunol 157: 4963-69; Hutchins et al. (1995) Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 92: 11980-84; Jefferis et al. (1995) Immunol Lett. 44: 111-17; Lund et al. (1995) FASEB J 9: 115-19; Alegre et al. (1994) Transplantation 57: 1537-43; Lund et al. (1992) Mol Immunol 29: 53-59; Lund et al. (1991) J. Immunol 147: 2657-62; Duncan et al. (1988) Nature 332: 563-64;米国特許第5,624,821号;同第5,885,573号;同第6,194,551号;同第7,276,586号;および同第7,317,091号;ならびにPCT公開WO00/42072およびPCTWO99/58572に開示されているものなどの当技術分野で公知のいずれのFc変異体の使用も包含する。
好ましい変異体は、228、230、231、232、233、234、235、239、240、241、243、244、245、247、262、263、264、265、266、271、273、275、281、284、291、296、297、298、299、302、304、305、313、323、325、326、328、330または332位のいずれかでの1以上の改変を含む。
特に好ましい変異体は、A〜AI群:
A.228E、228K、228Yまたは228G;
B.230A、230E、230Yまたは230G;
C.231E、231K、231Y、231Pまたは231G;
D.232E、232K、232Y、232G;
E.233D;
F.234Iまたは234F;
G.235D、235Q、235P、235Iまたは235V;
H.239D、239E、239Nまたは239Q;
I.240A、240I、240Mまたは240T;
J.243R、243、243Y、243L、243Q、243W、243Hまたは243I;
K.244H;
L.245A;
M.247G、247Vまたは247L;
N.262A、262E、262I、262T、262Eまたは262F;
O.263A、263I、263Mまたは263T;
P.264F、264E、264R、264I、264A、264Tまたは264W;
Q.265F、265Y、265H、265I、265L、265T、265V、265Nまたは265Q;
R.266A、266I、266Mまたは266T;
S.271D、271E、271N、271Q、271K、271R、271S、271T、271H、271A、271V、271L、271I、271F、271M、271Y、271Wまたは271G;
T.273I;
U.275Lまたは275W;
V.281D、281K、281Yまたは281P;
W.284E、284N、284T、284L、284Yまたは284M;
X.291D、291E、291Q、291T、291H、291Iまたは291G;
Y.299A、299D、299E、299F、299G、299H、299I、299K、299L、299M、299N、299P、299Q、299R、299S、299V、299Wまたは299Y;
Z.302I;
AA.304D、304N、304T、304Hまたは304L;
AB.305I;
AC.313F;
AD.323I;
AE.325A、325D、325E、325G、325H、325I、325L、325K、325R、325S、325F、325M、325T、325V、325Y、325Wまたは325P;
AF.328D、328Q、328K、328R、328S、328T、328V、328I、328Y、328W、328P、328G、328A、328E、328F、328H、328Mまたは328N;
AG.330L、330Y、330Iまたは330V;
AH.332A、332D、332E、332H、332N、332Q、332T、332K、332R、332S、332V、332L、332F、332M、332W、332P、332Gまたは332Y;および
AI.336E、336Kまたは336Y
から選択される1以上の改変を含む。
いっそうより特に好ましい変異体は、表4の1〜105群から選択される1以上の改変を含む。
エフェクター機能は、「Antibody Engineering Technology Art」に記載されているものなどの技術または他の手段により改変することができる。例えば、システイン残基をFc領域に導入してもよく、それにより、この領域に鎖間ジスルフィド結合の形成が可能となり、その結果、インターナリゼーション能の向上および/または補体により媒介される細胞死およびADCCの増大を示し得るホモダイマー抗体が生成される。Caron et al. (1992) J. Exp Med. 176: 1191-1195;およびB. Shopes (1992) J. Immunol. 148: 2918-2922参照。抗腫瘍活性の増強されたホモダイマー抗体はまた、Wolff et al. (1993) Cancer Research 53: 2560-2565に記載されているようなヘテロ二官能性架橋剤を用いて作製することもできる。あるいは、二重Fc領域を有する抗体を操作により作出することもでき、それにより、補体溶解およびADCC能が増強し得る。Stevenson et al. (1989) Anti-Cancer Drug Design 3: 219-230。
本発明の分子の、FcγRに対する親和性および結合特性は、まず、Fc−FcγR相互作用、すなわち、Fc領域とFcγRとの特異的結合を測定するための当技術分野で公知のインビトロアッセイ(生化学または免疫学に基づくアッセイ)、限定するものではないが、例えば、ELISAアッセイ、表面プラズモン共鳴アッセイ、免疫沈降アッセイなどを用いて測定される(第6.2.2参照)。好ましくは、本発明の分子の結合特性はまた、1以上のFcγRメディエーターエフェクター細胞機能を測定するためのインビトロ機能的アッセイによっても特徴付けられる(第6.2.2節参照)。最も好ましい実施形態では、本発明の分子は、インビボモデル(例えば、本明細書に記載および開示されるもの)においてインビトロ系アッセイにおける結合特性と同様の結合特性を有する。しかしながら、本発明は、インビトロ系アッセイで所望の表現型を示さないがインビボでは所望の表現型を示す本発明の分子を除外するものではない。
いくつかの実施形態では、変異型Fc領域を含む本発明の分子は、アミノ酸342〜447にわたると定義されるFc領域のCH3ドメインに少なくとも1つのアミノ酸改変を含む。他の実施形態では、変異型Fc領域を含む本発明の分子は、アミノ酸231〜341にわたると定義されるFc領域のCH2ドメインに少なくとも1つのアミノ酸改変を含む。いくつかの実施形態では、本発明の分子は少なくとも2つのアミノ酸改変を含み、1つの改変はCH3領域にあり、1つの改変はCH2領域にある。本発明はさらにヒンジ領域にもアミノ酸改変を包含する。CH2および/またはCH3ドメインに1以上のアミノ酸改変を有する本発明の分子は、本明細書に記載される、または当業者に公知の方法を用いて測定した際に、FcγRに対する親和性が変更されている。
具体的な実施形態では、本発明は、Fc領域のCH1ドメインにアミノ酸改変を包含する。
特に好ましい実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む分子であって、該変異体は、当業者に公知であり、本明細書で例示されている方法を用いて測定した際に、FcγRIIA(CD32A)に対する結合の増大および/またはADCC活性の増大を示す、前記分子を包含する。本発明の方法に従って用いられるADCCアッセイは、NK依存的またはマクロファージ依存的であり得る。
本発明のFc変異体は、限定するものではないが、エフェクター機能を変更する改変およびFcγR結合親和性を変更する改変を含む他の既知のFc改変と組み合わせてもよい。具体的な実施形態では、CH3ドメイン、CH2ドメインまたはヒンジ領域に第一のアミノ酸改変を含む本発明のFc変異体は、第一のFc改変と同じドメインにはない第二のFc改変と組み合わせてもよく、その結果、第一のFc改変は第二のFc改変に相加的、相乗的または新規な特性を付与する。いくつかの実施形態では、本発明のFc変異体は、CH2ドメインにアミノ酸改変を持たない。
好ましい具体的な実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む分子であって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該分子は、FcγRに対する変更された親和性を有するようになり、ただし、該変異型Fc領域は、Sondermann et al., 2000 (Nature, 406: 267-273;参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)により開示されているものなどのFc−FcγR相互作用の結晶学的構造解析に基づけば、FcγRと直接接触する位置での置換は持たない、前記分子を包含する。FcγRと直接接触するFc領域内の位置の例は、アミノ酸234〜239(ヒンジ領域)、アミノ酸265〜269(B/Cループ)、アミノ酸297〜299(C’/Eループ)、およびアミノ酸327〜332(F/Gループ)である。いくつかの実施形態では、変異型Fc領域を含む本発明の分子は、結晶学的構造解析に基づけば、FcγRと直接接触する少なくとも1つの残基の改変を含む。
FcγR相互作用ドメインは下流ヒンジ領域およびIgG重鎖のCH2およびCH3ドメイン内の選択部位にマッピングされる。実際の接触位置に隣接するアミノ酸残基とCH3ドメイン内のアミノ酸残基が、それぞれ突然変異誘発実験および小ペプチド阻害剤を用いた実験により示されるように、IgG/FcγR相互作用に役割を果たす(Sondermann et al., 2000 Nature, 406: 267-273; Diesenhofer et al., 1981, Biochemistry, 20: 2361-2370; Shields et al., 2001, J. Biol. Chem. 276: 6591-6604; それぞれ参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)。本明細書において直接的接触とは、互いに少なくとも1Å、少なくとも2Å、もしくは少なくとも3Åの範囲内にあるか、または1Å、1.2Å、1.5Å、1.7Åもしくは2Åファンデルワールス半径の範囲内にあるアミノ酸を指す。
別の好ましい実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む分子であって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該分子は、野生型Fc領域を含む分子に比べて変更された親和性で、そのFc領域を介してFcγRと結合するようになり、ただし、該変異型Fc領域は、255、256、258、267、268、269、270、272、276、278、280、283、285、286、289、290、292、293、294、295、296、298、300、301、303、305、307、309、312、320、322、326、329、330、332、331、333、334、335、337、338、339、340、359、360、373、376、416、419、430、434、435、437、438、439位のいずれにも置換を持たないか、または単独で前記のいずれかの位置での置換ではない、前記分子を包含する。具体的な実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む分子であって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該分子は、野生型Fc領域を含む分子に比べて変更された親和性で、そのFc領域を介してFcγRと結合するようになり、ただし、該変異型Fc領域は、255、258、267、269、270、276、278、280、283、285、289、292、293、294、295、296、300、303、305、307、309、322、329、332、331、337、338、340、373、376、416、419、434、435、437、438、439位のいずれにも置換を持たないか、または単独で前記のいずれかの位置での置換ではなく、かつ、256、290、298、312、333、334、359、360、326もしくは430位のいずれかにアラニン;330位にリシン;339位にトレオニン;320位にメチオニン;326位にセリン;326位にアスパラギン;326位にアスパラギン酸;326位にグルタミン酸;334位にグルタミン;334位にグルタミン酸;334位にメチオニン;334位にヒスチジン;334位にバリン;または334位にロイシン;335位にリシン;268位にアスパラギン;272位にグルタミン;286位にグルタミン、セリンもしくはアスパラギン酸;290位にセリン;320位にメチオニン、グルタミン、グルタミン酸もしくはアルギニン;322位にグルタミン酸;326位にセリン、グルタミン酸もしくはアスパラギン酸;330位にリシン;335位にグルタミン;または301位にメチオニンを持たない、前記分子を包含する。
具体的な実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む分子であって、該変異型Fc領域は、268、269、270、272、276、278、283、285、286、289、292、293、301、303、305、307、309、331、333、334、335、337、338、340、360、373、376、416、419、430、434、435、437、438もしくは439位のいずれにも置換を持たないか、または単独で前記のいずれかの位置での置換ではなく、かつ、280位にヒスチジン、グルタミンまたはチロシン;290位にセリン、グリシン、トレオニンまたはチロシン;300位にロイシンまたはイソロイシン;294位にアスパラギン;296位にプロリン;298位にプロリン、アスパラギン、アスパラギン酸またはバリン;295位にリシンを持たない、前記分子を包含する。さらに別の好ましい実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む分子であって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該分子は、野生型Fc領域を含む分子に比べて低い親和性で、そのFc領域を介してFcγRと結合するようになり、ただし、該変異型Fc領域は、252、254、265、268、269、270、278、289、292、293、294、295、296、298、300、301、303、322、324、327、329、333、335、338、340、373、376、382、388、389、414、416、419、434、435、437、438もしくは439位のいずれにも置換を持たないか、または単独で前記のいずれかの位置での置換ではない、前記分子を包含する。さらに別の好ましい実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む分子であって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該分子は、野生型Fc領域を含む分子に比べて増強された親和性で、そのFc領域を介してFcγRと結合するようになり、ただし、該変異型Fc領域は、280、283、285、286、290、294、295、298、300、301、305、307、309、312、315、331、333、334、337、340、360、378、398もしくは430位のいずれにも置換を持たないか、または単独で前記のいずれかの位置での置換ではない、前記分子を包含する。
具体的な実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む分子であって、該変異型Fc領域は、330、243、247、298、241、240、244、263、262、235、269もしくは328位のいずれにも置換を含まないか、または単独で前記のいずれかの位置での置換ではなく、かつ、243位にロイシン、298位にアスパラギン、241位にロイシン、および240位にイソロイシンもしくはアラニン、244位にヒスチジン、330位にバリン、または328位にイソロイシンを持たない、前記分子を包含する。
最も好ましい実施形態では、変異型Fc領域を有する、活性化型および/または阻害型受容体に対する変更された親和性を有する本発明の分子は、1以上のアミノ酸改変を有し、該1以上のアミノ酸改変は、288位でのアスパラギンによる置換、330位でのセリンによる置換、および396位でのロイシンによる置換(MgFc10);または334位でのグルタミン酸による置換、359位でのアスパラギンによる置換、および366位でのセリンによる置換(MgFc13);または316位でのアスパラギン酸による置換、378位でのバリンによる置換、および399位でのグルタミン酸による置換(MgFc27);または392位でのトレオニンによる置換、および396位でのロイシンによる置換(MgFc38);または221位でのグルタミン酸による置換、270位でのグルタミン酸による置換、308位でのアラニンによる置換、311位でのヒスチジンによる置換、396位でのロイシンによる置換、および402位でのアスパラギン酸による置換(MgFc42);または240位でのアラニンによる置換、および396位でのロイシンによる置換(MgFc52);または410位でのヒスチジンによる置換、および396位でのロイシンによる置換(MgFc53);または243位でのロイシンによる置換、305位でのイソロイシンによる置換、378位でのアスパラギン酸による置換、404位でのセリンによる置換、および396位でのロイシンによる置換(MgFc54);または255位でのイソロイシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換(MgFc55);または370位でのグルタミン酸による置換、および396位でのロイシンによる置換(MgFc59);または243位でのロイシンによる置換、292位でのプロリンによる置換、300位でのロイシンによる置換、305位でのイソロイシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換(MgFc88);または243位でのロイシンによる置換、292位でのプロリンによる置換、300位でのロイシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換(MgFc88A);または243位でのロイシンによる置換、292位でのプロリンによる置換、および300位でのロイシンによる置換(MgFc155);または243位でのロイシンによる置換、292位でのプロリンによる置換、および300位でのロイシンによる置換;または243位でのロイシンによる置換、292位でのプロリンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または243位でのロイシンによる置換、および292位でのプロリンによる置換;または243位でのロイシンによる置換;または273位でのフェニルアラニンによる置換;または247位でのロイシンによる置換、270位でのグルタミン酸による置換、および421位でのリシンによる置換である。
具体的な一実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む分子であって、該変異型Fc領域は396位でのロイシンによる置換、270位でのグルタミン酸による置換および243位でのロイシンによる置換を含む、前記分子を包含する。別の具体的な実施形態では、該分子はさらに、本明細書に開示されているものなどの1以上のアミノ酸改変を含む。
いくつかの実施形態では、本発明は、以下の位置:119、125、132、133、141、142、147、149、162、166、185、192、202、205、210、214、217、219、215、216、217、218、219、221、222、223、224、225、227、288、229、231、232、233、234、235、240、241、242、243、244、246、247、248、250、251、252、253、254、255、256、258、261、262、263、268、269、270、272、273、274、275、276、279、280、281、282、284、287、288、289、290、291、292、293、295、298、300、301、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、315、316、317、318、319、320、323、326、327、328、330、333、334、335、337、339、340、343、344、345、347、348、352、353、354、355、358、359、360、361、362、365、366、367、369、370、371、372、375、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、404、406、407、408、409、410、411、412、414、415、416、417、419、420、421、422、423、424、427、428、431、433、435、436、438、440、441、442、443、446、447の1以上にアミノ酸改変を有する変異型Fc領域を含む分子を包含する。好ましくは、このような突然変異は、本明細書で開示および例示され、また、当業者に公知の方法を用いて測定した際に、FcγRに対する改変された親和性を有し、かつ/または変更されたエフェクター細胞媒介機能を有する分子をもたらす。
いくつかの実施形態では、本発明の分子、好ましくは、免疫グロブリンは1以上のグリコシル化部位をさらに含み、その結果、1以上の糖鎖が該分子と共有結合される。好ましくは、Fc領域に1以上のグリコシル化部位および/または1以上の改変を有する本発明の抗体は、増強された抗体媒介エフェクター機能、例えば、増強されたADCC活性を有する。いくつかの実施形態では、本発明は、限定するものではないが、241、243、244、245、245、249、256、258、260、262、264、265、296、299および301位のアミノ酸を含む、抗体の糖鎖と相互作用することが直接的または間接的に知られているアミノ酸の1以上の改変を含む抗体をさらに含む。抗体の糖鎖と直接的または間接的に相互作用するアミノ酸は当技術分野で公知である。例えば、参照によりその全内容を本明細書に組み入れるJefferis et al., 1995 Immunology Letters, 44: 111-7参照。
グリコシル化は、同時翻訳/翻訳後改変であり、グリコシル化高マンノースオリゴ糖(GlcNAc2Man9Glu3)の結合をもたらし、その後処理されて、まず、GlcNAc2Man9(「Man9」)構造(図41)に、次に順次、GlcNAc2Man8(「Man8」)、GlcNAc2Man7(「Man7」)、GlcNAc2Man6(「Man6」)、そして最終的にGlcNAc2Man5(「Man5」)構造を生じる。このGlcNAc2Man5(「Man5」)構造は次にグリコシルトランスフェラーゼの一連の作用によって処理され、複雑な二アンテナ構造(図42)を示す「G0F」、「G1F」および「G2F」オリゴ糖を生成する(Jefferis, R. (2005) “Glycosylation of Recombinant Antibody Therapeutics,” Biotechnol. Prog. 21: 11-16; Kornfeld, R. et al. (1985) “Assembly Of Asparagine-Linked Oligosaccharides,” Ann. Rev. Biochem. 54: 631-664)。
本発明は、抗体の1以上の部位に、好ましくは、その抗体の機能性、例えば、FcγRに対する結合活性を変更することなく、1以上のグリコシル化部位を導入することにより改変された抗体を包含する。グリコシル化部位は、本発明の抗体の可変領域および/または定常領域に導入することができる。本明細書において「グリコシル化部位」とは、オリゴ糖(すなわち、連結された2以上の単糖を含有する糖鎖)が特異的に共有結合する抗体におけるいずれの具体的なアミノ酸配列も含む。オリゴ糖側鎖は一般に、N−結合またはO−結合のいずれかを介して抗体の骨格に結合される。N−結合グリコシル化とは、オリゴ糖部分とアスパラギン残基の側鎖との結合を指す。O−結合グリコシル化とは、オリゴ糖部分とヒドロキシアミノ酸、例えば、セリン、トレオニンとの結合を指す。本発明の抗体は、N−結合およびO−結合グリコシル化部位を含む1以上のグリコシル化部位を含み得る。当技術分野で公知のN−結合またはO−結合グリコシル化のいずれのグリコシル化部位も本発明に従って使用可能である。本発明の方法に従って有用なN−結合グリコシル化部位の例はアミノ酸配列:Asn−X−Thr/Ser(ここで、Xはいずれのアミノ酸であってもよく、Thr/Serはトレオニンまたはセリンを示す)である。このような1または複数の部位は、本発明が属する分野で周知の方法を用いて、本発明の抗体に導入することができる。例えば、参照によりその全内容を本明細書に組み入れる“In Vitro Mutagenesis,” Recombinant DNA: A Short Course, J. D. Watson, et al. W.H. Freeman and Company, New York, 1983, chapter 8, pp. 106-116参照。グリコシル化部位を本発明の抗体に導入する方法の例は、所望のAsn−X−Thr/Ser配列が得られるように抗体のアミノ酸配列を改変または突然変異させることを含み得る。
いくつかの実施形態では、本発明は、グリコシル化部位を付加または欠失させることにより本発明の抗体の糖質含量を改変する方法を包含する。抗体の糖質含量を改変する方法は当技術分野で周知であり、本発明に包含される。例えば、米国特許第6,218,149号;EP0359096B1;米国特許公開第US2002/0028486号;WO03/035835;米国特許公開第2003/0115614号;米国特許第6,218,149号;米国特許第6,472,511号(全て参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)参照。他の実施形態では、本発明は、抗体の1以上の内在する糖鎖を欠失させることにより本発明の抗体の糖質含量を改変する方法を包含する。具体的な実施形態では、本発明は、297位(例えば、アスパラギンから、利用可能なアミン基を持たない残基、例えば、グルタミンへ)および/または297位に隣接する位置を改変することにより抗体のFc領域のグリコシル化部位をシフトさせることを包含する。具体的な実施形態では、本発明は、296位がグリコシル化され、297位がグリコシル化されないように296位を改変することを包含する。
フコシル化糖鎖構造は、組織発達、血管新生、受精、細胞接着、炎症および腫瘍転移を含む、真核生物の様々な生物学的および病理学的プロセスに関与する(Ma, B. et al. (Epub 2006 Sep 14) “Fucosylation In Prokaryotes And Eukaryotes,” Glycobiology. 16(12): 158R-184R)。Fcオリゴ糖のコアフコースを完全に欠いた治療用抗体は、ヒトにおいてそれらのフコシル化対応物よりも遙かに高いADCCを示すことが見出されている(Iida, S. et al. (2009) “Two Mechanisms Of The Enhanced Antibody-Dependent Cellular Cytotoxicity (ADCC) Efficacy Of Non-Fucosylated Therapeutic Antibodies In Human Blood,”BMC Cancer. 18: 9: 58)。しかしながら、このような抗体の生産は、これまでのところ、グリコシラーゼにより抗体に付加されたフコース残基の酵素的除去(例えば、N−グリコシダーゼFを使用)を必要としていた。
本発明の一態様は、抗体のFc領域のバリエーションが細胞のグリコシル化機構に干渉することができ、それにより、グリコシル化(および特に、フコシル化)程度が低減された抗体を生じ得るという認識に関する。
よって、本発明は、1以上、2、3、4、5またはそれを超える天然Fc残基を置換して変異型Fc領域を形成させることにより、グリコシル化(および特に、フコシル化)程度が低減された抗体を作製する手段を提供する。作用機序に関する具体的な理論に縛られるものではないが、好適な置換は、天然Fc領域よりもフコシル化が少ないか、または全くフコシル化されていない変異型Fc領域を有するポリペプチドを生じ、そして、このようなポリペプチドは、それらのグリコシル化(および特に、フコシル化)程度が変更されている(または存在しない)ために、天然Fc領域を有するポリペプチドに比べて改良されたエフェクター機能を示すと考えられる。従って、このような変異型Fc領域を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、正常なグリコシル化(および特に、正常なフコシル化)を媒介することができる宿主細胞を含む宿主細胞(例えば、CHO細胞、酵母など)に導入することができるが、このようなヌクレオチドは、天然Fc領域を含むポリペプチドに比べて、グリコシラーゼ(またはフコシラーゼ)による翻訳後修飾が少ないか、またはこのような酵素により翻訳後修飾されないポリペプチドとして発現され、それにより、改良されたエフェクター機能(例えば、活性化型受容体(例えば、CD16A、CD32A)との結合の改良およびCD32Bとの結合の低下)を示す。このようなエフェクター機能の改良は解離速度解析を用いて測定することができる。このような解析はインビボFcγR結合活性の、起こり得る改良の最良の指標を提供するが、これは動力学的変数としてそれが抗体濃度とは独立にFc−FcγR相互作用を直接反映するためである。
本明細書において、このようなグリコシル化(および特に、フコシル化)程度の低下は、そのFc領域にこのようなバリエーションが存在しない抗体により示されるグリコシル化(および特に、フコシル化)程度の好ましくは80%未満、より好ましくは60%未満、さらにより好ましくは40%未満、最も好ましくは20%未満である。より好ましい実施形態では、抗体のFc領域におけるこのようなバリエーションは、このような抗体により示されるグリコシル化(および特に、フコシル化)の程度を実質的に消失させるか、または完全に消失させる。このようなFc変異体の、グリコシル化(および特に、フコシル化)程度を低下させる能力は一般的な特徴であり、本明細書では抗Her2/neu抗体に関して例示する。
本発明は特に、高マンノース型オリゴ糖グリコシル化と複合型オリゴ糖グリコシル化との比の増大をもたらす変異型Fc領域を有するポリペプチド(例えば、抗体)に関する。本明細書において、このような比は、Fc領域により示されるグリコシル化がMan5、Man6、Man7、Man8またはMan9(図41参照)である場合の程度に対する、Fc領域により示されるグリコシル化がG0F、G1FまたはG2F(図42参照)のいずれかの複合型オリゴ糖である場合の程度の比較を表す。従って、高マンノース型オリゴ糖グリコシル化と複合型オリゴ糖グリコシル化との比は、
Σ(%Man5+%Man6+%Man7+%Man8+%Man9):Σ(%G0F+%G1F+%G2F)
である。好ましくは、高マンノース型オリゴ糖グリコシル化と複合型オリゴ糖グリコシル化との増大した比は、約0.2より大きい。より好ましくはこの比は約0.5より大きく、さらにより好ましくはこの比は約1.0より大きく、約1.5より大きく、約2.0より大きく、約2.5より大きく、約3.0より大きく、約3.5より大きく、約4.0より大きく、約4.5より大きく、約5.0より大きく、約5.5より大きく、または6.0より大きい。最も好ましくは、このような比の上方域は約10未満、より好ましくは約9.5未満、約9未満、約8.5未満、約8未満、約7.5未満、約7未満、約6.5未満、約6未満または約5.5未満である。このような比の企図される具体的な範囲は、約0.2より大きく、約5.5未満;約0.5より大きく、約5.5未満;約1.0より大きく、約5.5未満;約2.0より大きく、約5.5未満;約3.0より大きく、約5.5未満;約4.0より大きく、約5.5未満;および約5.0より大きく、約5.5未満を含む。
好ましくは、グリコシル化(および特に、フコシル化)程度が低下したFc変異体は、L234および/またはL235位のいずれかまたは両方のアミノ酸置換を含む。より好ましくは、このようなFc変異体は、F243、R292、Y300、V305および/またはP396位のいずれかまたは全てに少なくとも1つの付加的アミノ酸置換をさらに含む。よって、グリコシル化(および特に、フコシル化)程度が低減された好ましいFc変異体は、L234および/またはL235位のいずれかまたは両方、ならびにF243位;R292位;Y300位;V305位;P396位;F243およびR292位;F243およびY300位;F243およびV305位;F243およびP396位;R292およびY300位;R292およびV305位;R292およびP396位;Y300およびV305位;Y300およびP396位;V305およびP396位;F243、R292およびY300位;F243、R292およびV305位;F243、R292およびP396位;F243、Y300およびV305位;F243、Y300およびP396位;F243、V305およびP396位;R292、Y300およびV305位;R292、Y300およびP396位;R292、V305およびP396位;Y300、V305およびP396位;F243、R292、Y300およびV305位;F243、R292、Y300およびP396位;F243、R292、V305およびP396位;F243、Y300、V305およびP396位;R292、Y300、V305およびP396位;またはF243、R292、Y300、V305およびP396位にアミノ酸置換を含む。L234置換L234Fおよび/またはL235置換L235Vが特に好ましい。
6.1 変異型Fc領域を有するポリペプチドおよび抗体
1以上の変更された特性、例えば、変更されたエフェクター機能を有するFc領域変異体を作製するために、本発明は、アミノ酸置換とは別に、Fc領域アミノ酸配列の他の改変を企図することが当業者には理解されるであろう。本発明は、FcγRに対する結合を低減するための、Fc領域の1以上のアミノ酸残基の欠失を企図する。好ましくは、5個以下、10個以下、20個以下、30個以下、50個以下のFc領域残基を、本発明のこの実施形態に従って欠失される。1以上のアミノ酸欠失を含む本明細書のFc領域は、好ましくは少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%の野生型Fc領域を保持する。いくつかの実施形態では、例えば、非免疫原性、FcγRIIIA結合性、FcγRIIA結合性またはそれらの特性の組合せなどの該分子の1以上の特性が維持される。
別の実施形態では、本発明は、変更されたエフェクター機能を含む変更された特性を有するFc領域変異体を作製するためのアミノ酸挿入を包含する。具体的な一実施形態では、本発明は、本明細書で特定したFc領域の1以上の位置に近接する、少なくとも1個のアミノ酸残基、例えば1〜2個のアミノ酸残基、好ましくは10個以下のアミノ酸残基の導入を包含する。別の実施形態では、本発明はさらに、FcγR相互作用および/もしくは結合に影響することが当技術分野で知られているFc領域の1以上の位置に近接する、少なくとも1個のアミノ酸残基、例えば1〜2個のアミノ酸残基、好ましくは10個以下のアミノ酸残基の導入を包含する。
本発明はさらに、本発明のFc変異体を作製するための非天然アミノ酸の組込みを包含する。このような方法は、例えばタンパク質への非天然アミノ酸の組込みを可能にする天然の生合成機構を用いる方法など、当業者には公知である。例えば、Wang et al., 2002 Chem. Comm. 1: 1-11; Wang et al., 2001, Science, 292: 498-500; van Hest et al., 2001. Chem. Comm. 19: 1897-1904(それぞれ参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)参照。もう1つの方法論では、アミノアシル−tRNAの生合成を担う酵素に注目している。例えば、Tang et al., 2001, J. Am. Chem. 123(44): 11089-11090; Kiick et al., 2001, FEBS Lett. 505(3): 465(それぞれ参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)参照。
本発明において用いられるFc変異体またはそのフラグメントの親和性および結合特性は、まず、酵母ディスプレイ系を用い、好ましくは、Fc−FcγR相互作用、すなわち、Fc領域とFcγRとの特異的結合を測定するための当技術分野で公知のインビトロアッセイ(生化学または免疫学に基づくアッセイ)、限定するものではないが、例えば、ELISAアッセイ、表面プラズモン共鳴アッセイ、免疫沈降アッセイなどと組み合わせて用いて測定される(第6.2.1節参照)。具体的な実施形態では、この酵母ディスプレイ系を用いて同定された候補Fc変異体が、該インビトロアッセイで試験するために抗体またはそのフラグメントにさらに組み込まれる。好ましくは、本発明の分子の結合特性は、1以上のFcγRメディエーターエフェクター細胞機能を測定するためのインビトロ機能的アッセイによっても特徴付けられる(第6.2.6節参照)。このような方法は本発明者らにより従前に開示されており(例えば、米国特許出願公開第2005/0037000号および同第2005/0064514号、ならびに国際特許出願公開WO04/063351(それぞれ参照によりその全内容が本明細書に組み入れられる)参照)、FcγRIIIAおよびFcγRIIBに対する結合特性に基づいて新規なFc突然変異を同定および特性決定するために用いられている(例えば、表5参照)。
最も好ましい実施形態では、本発明の分子は、インビボモデル(例えば本明細書に開示され、かつ/または当技術分野で公知のもの)において、インビトロ系アッセイの場合と同様の結合特性を有する。しかしながら、本発明は、インビトロ系アッセイでは所望の表現型を示さないが、インビボにおいては所望の表現型を示す本発明の分子を除外するものではない。本発明の分子のスクリーニングおよび特性決定の典型的なフローチャートを図1に記載する。
本発明は、1以上のFcγRとより大きな親和性で結合する変異型Fc領域を含む分子を包含する。このような分子は、好ましくは、以下に述べるようにより効果的にエフェクター機能を媒介する。他の実施形態では、本発明は、1以上のFcγRとより小さな親和性で結合する変異型Fc領域を含む分子を包含する。例えば、抗体の作用機序が標的抗原を担持する細胞の阻害または拮抗作用に関与するが細胞死には関与しないような抗体の場合など、ある特定の場合には、エフェクター機能の低減または消失が望ましい。エフェクター機能の低減または消失は自己免疫疾患の場合に望ましく、この場合には、エフェクター細胞においてFcγR活性化受容体が遮断される(このタイプの機能は宿主細胞に備わっているであろう)。一般に、増大したエフェクター機能は腫瘍細胞および外来性細胞を対象とする。
本発明のFc変異体は、限定するものではないが、エフェクター機能を変更する改変を含む、他のFc改変と組み合わせることができる。本発明は、抗体もしくはFc融合体に相加的、相乗的または新規な特性を与えるために、本発明のFc変異体と他のFc改変との併用を包含する。好ましくは、本発明のFc変異体は、組み合わされた改変の表現型を増強する。例えば、本発明のFc変異体を、野生型Fc領域を含む対応する分子よりも大きな親和性でFcγRIIIAと結合することが知られている突然変異体と組み合わせる場合、この本発明の突然変異体との組合せは、FcγIIIA親和性により高い倍率の増強をもたらす。
一実施形態において、本発明のFc変異体は、例えば、Duncan et al, 1988, Nature 332: 563-564; Lund et al., 1991, J. Immunol 147: 2657-2662; Lund et al, 1992, Mol Immunol 29: 53-59; Alegre et al, 1994, Transplantation 57: 1537-1543; Hutchins et al., 1995, Proc Natl. Acad Sci U S A 92: 11980-11984; Jefferis et al, 1995, Immunol Lett. 44: 111-117; Lund et al., 1995, Faseb J 9: 115-119; Jefferis et al, 1996, Immunol Lett 54: 101-104; Lund et al, 1996, J Immunol 157: 4963-4969; Armour et al., 1999, Eur J Immunol 29: 2613-2624; Idusogie et al, 2000, J Immunol 164: 4178-4184; Reddy et al, 2000, J Immunol 164: 1925-1933; Xu et al., 2000, Cell Immunol 200: 16-26; Idusogie et al, 2001, J Immunol 166: 2571-2575; Shields et al., 2001, J Biol Chem 276: 6591-6604; Jefferis et al, 2002, Immunol Lett 82: 57-65; Presta et al., 2002, Biochem Soc Trans 30: 487-490);米国特許第号5,624,821号;同第5,885,573号;同第6,194,551号;PCT WO00/42072;PCT WO99/58572(それぞれ参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)に開示されているものなどの他の既知のFc変異体と組み合わせることができる。
いくつかの実施形態では、本発明のFc変異体は、1以上の操作グリコフォーム(すなわち、Fc領域を含む分子に共有結合されている糖質組成物であり、このような糖質組成物は、Fc領域を含む親分子とは化学的に異なる)を含む抗体またはFc融合体に組み込まれる。操作グリコフォームは、限定するものではないが、エフェクター機能の増強または低減を含む、様々な目的に有用であり得る。操作グリコフォームは、当業者に公知のいずれの方法によって作製してもよいが、例えば、操作されたもしくは変異型発現株の使用によるか、例えばDI N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTI11)などの1以上の酵素との同時発現によるか、種々の生物もしくは種々の生物由来の細胞系統でのFc領域を含む分子の発現によるか、またはFc領域を含む分子が発現された後に糖鎖を改変することによる。操作グリコフォームを作製する方法は、当技術分野で公知であり、限定するものではないが、Umana et al, 1999, Nat. Biotechnol 17: 176-180; Davies et al., 20017 Biotechnol Bioeng 74: 288-294; Shields et al, 2002, J Biol Chem 277: 26733-26740; Shinkawa et al., 2003, J Biol Chem 278: 3466-3473;米国特許第6,602,684号;USSN10/277,370;USSN10/113,929;PCT WO00/61739A1;PCT WO01/292246A1;PCT WO02/311140A1;PCT WO02/30954A1; Potillegent(商標) technology (Biowa, Inc. Princeton, NJ); GlycoMAb(商標) glycosylation engineering technology (GLYCART biotechnology AG, Zurich, スイス)(それぞれ参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)に記載されているものが挙げられる。例えば、WO00061739;EA01229125;US20030115614; Okazaki et al., 2004, JMB, 336: 1239-49(それぞれ参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)参照。
本発明のFc変異体は、様々な特性に関して至適化することができる。至適化され得る特性としては、限定するものではないが、FcγRに対する親和性の増強または低減、エフェクター機能の増強または低減が含まれる。好ましい実施形態では、本発明のFc変異体は、ヒト活性化型FcγR、好ましくは、FcγR、FcγRIIA、FcγRIIc、FcγRIIIAおよびFcγRIIIB、最も好ましくはFcγRIIIAに対する増強された親和性を有するように至適化される。代替の好ましい実施形態では、Fc変異体は、ヒト阻害型受容体FcγRIIBに対する低減された親和性を有するように至適化される。これらの好ましい実施形態は、本明細書に記載および例示されるような、ヒトにおいて増強された治療特性、例えば、増強されたエフェクター機能およびより高い抗癌効力を有する抗体およびFc融合体を提供すると考えられる。これらの好ましい実施形態は、マウス異種移植腫瘍モデルにおいて腫瘍除去能が増強された抗体およびFc融合体を提供すると考えられる。
代替の実施形態では、本発明のFc変異体は、限定するものではないが、FcγRI、FcγRIIA、FcγRIIB、FcγRIIc、FcγRIIIAおよびFcγRIIIBを含むヒトFcγRに対する親和性を低減するように至適化される。これらの実施形態は、例えばエフェクター機能の低減および毒性の軽減などの、ヒトにおける治療特性が増強された抗体およびFc融合体を提供すると考えられる。
代替の実施形態では、本発明のFc変異体は、限定するものではないが、マウス、ラット、ウサギおよびサルを含む非ヒト生物由来のFcγRに対する増強または低減された親和性を有する。非ヒトFcγRとの結合に関して至適化されたFc変異体は、実験に利用することができる。例えば、マウスモデルは、様々な疾患に利用可能であり、所与の薬物候補の効力、毒性および薬物動態などの特性の試験を可能にする。当技術分野で知られているように、癌細胞をマウスに移植または注射して、ヒト癌を模倣することができる(異種移植と呼ばれる方法)。1以上のマウスFcγRに対して至適化されたFc変異体を含む抗体またはFc融合体の試験は、抗体またはFc融合体の効力、その作用機序などに関して価値ある情報を提供し得る。特定の実施形態では、変異体ヒトFc領域を含む本発明の分子は、1以上のヒトFcγ受容体(例えば、FcγRIIIA、FcγRIIA、FcγRIIB)を発現するトランスジェニックマウスで試験される。
FcγRに対する結合を変更することが好ましいが、本発明はさらに、新生児受容体(FcRn)に対する結合親和性が変更されたFc変異体を企図する。具体的な作用機序に縛られるものではないが、FcRnに対する親和性が改良されたFc領域変異体は、より長い血清半減期を有するものと考えられ、このような分子は、投与したポリペプチドの長い半減期が、例えば慢性疾患または障害を治療することが望まれる場合に、哺乳動物を処置する方法において有用な用途を有する。具体的な作用機序に縛られるものではないが、FcRn結合親和性が低下したFc領域変異体は逆により短い半減期を有すると予想され、このような分子は、例えば、循環時間の短縮が有利であり得る場合、例えば、インビボ画像診断、または長時間血流中に循環したままとなると有毒な副作用を有するポリペプチドの場合に、哺乳動物に投与することができる。FcRn結合親和性が低下したFc領域変異体は、胎盤を通過する可能性が低いと考えられ、そのため妊娠中の女性の疾患または障害の治療に用いることができる
他の実施形態では、これらの変異体は、例えば、国際公開WO98/23289およびWO97/34631、ならびに米国特許第6,277,375号(それぞれ参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)に記載されているものなど、FcRn親和性が変更された他の既知のFc改変体と組み合わせることができる。
本発明は、例えば1以上のアミノ酸の改変(すなわち、置換、挿入もしくは欠失)をIgG定常ドメインまたはそのFcRn結合フラグメント(好ましくは、Fcまたはヒンジ−Fcドメインフラグメント)に導入することにより、インビボ半減期が延長された抗体を作製するための当技術分野で公知の他のあらゆる方法を包含する。例えば、国際公開WO98/23289およびWO97/34631、ならびに米国特許第6,277,375号(本発明のFc変異体と併用するために、それぞれ参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)参照。さらに、本発明の抗体は、抗体または抗体フラグメントを、インビボにおいてより安定とするため、またはインビボにおいてより長い半減期を有するようにするために、アルブミンとコンジュゲートさせることができる。当技術分野で周知の技術については、例えば、国際公開WO93/15199、WO93/15200およびWO01/77137、ならびに欧州特許第EP413,622号(これらは全て参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)を参照。
本明細書に記載される変異体は、多くの場合、変異体の企図した用途に応じて、さらなる改変を施してもよい。このような改変は、アミノ酸配列のさらなる変更(アミノ酸残基の置換、挿入および/または欠失)、異種ポリペプチドとの融合、および/または共有結合修飾を含み得る。このようなさらなる改変は、Fc受容体結合および/またはADCC活性の変更といった、変更された特性をもたらす本明細書に開示されるアミノ酸改変の前に、改変と同時に、または改変の後に行うことができる。
その代わりに、またはそれに加えて、本発明は、本明細書に開示されるアミノ酸改変と、インビトロおよび/またはインビボで測定した際にFc領域のC1q結合および/または補体依存性細胞傷害機能を改変する1以上のさらなるアミノ酸改変との組合せを包含する。好ましくは、本明細書において特に注目される出発分子は通常、C1qと結合し、かつ、補体依存性細胞傷害作用(CDC)を示す分子である。本明細書に記載されるさらなるアミノ酸置換は一般に、C1qと結合する出発分子の能力を変更し、かつ/またはその補体依存性細胞傷害機能を改変して、例えばこれらのエフェクター機能を低減および好ましくは消失させるのに役立つと考えられる。他の実施形態では、記載された1以上の位置に置換を含み、C1q結合および/または補体依存性細胞傷害(CDC)機能が改良された分子が本明細書において企図される。例えば、出発分子はC1qと結合できず、かつ/またはCDCを媒介できないかもしれないが、本明細書の教示に従って、該分子がこれらのさらなるエフェクター機能を獲得するように改良することができる。さらに、C1q結合活性を予め有し、場合によってはCDCを媒介する能力をさらに有する分子を、これらの活性の一方または両方が変更(例えば、増強)されるように改変してもよい。いくつかの実施形態では、本発明は、C1q結合は何ら変更させることなく、CDC活性が変更された変異型Fc領域を包含する。さらに他の実施形態では、本発明は、CDC活性およびC1q結合が変更された変異型Fc領域を包含する。
C1q結合および/または補体依存性細胞傷害(CDC)機能が変更されたFc領域を作製するために、改変されるべきアミノ酸位置は一般に、270、322、326、327、329、331、333および334位から選択されるが、この場合、IgG重鎖の残基の符番は、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md.(199)におけるようなEUインデックスの符番である。これらのアミノ酸改変は、本明細書に開示される1以上のFc改変と組み合わせて、C1q結合および/またはCDC活性に相乗的効果または相加的効果を与えることができる。他の実施形態では、本発明は、396位でのロイシンおよび255位でのロイシンによるアミノ酸置換;または396位でのロイシンおよび419位でのヒスチジンによるアミノ酸置換;396位でのロイシンおよび370位でのグルタミン酸によるアミノ酸置換;396位でのロイシンおよび240位でのアラニンによるアミノ酸置換;396位でのロイシンおよび392位でのトレオニンによるアミノ酸置換;247位でのロイシンおよび421位でのリシンによるアミノ酸置換を含み、C1q結合および/または補体依存性細胞傷害(CDC)機能を改変するFc領域の既知の改変を含み、C1q結合および/または補体依存性細胞傷害(CDC)機能が変更されたFc変異体を包含する。本発明は、Idusogie et al., 2001, J. Immunol. 166(4) 2571-5; Idusogie et al., J. Immunol. 2000 164(8): 4178-4184(それぞれ参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)に開示されているものなど、C1q結合および/または補体依存性細胞傷害(CDC)機能を変更するFc領域のいずれの既知の改変を包含する。
上記に開示されるように、本発明は、エフェクター機能、例えば、C1q結合および/またはFcR結合が変更され、それにより、CDC活性および/またはADCC活性が変更されたFc領域を包含する。具体的な実施形態では、本発明は、C1q結合が改良され、かつ、FcγRIII結合が改良された、例えば、ADCC活性が改良され、かつ、CDC活性が改良された、改変型Fc領域を包含する。別の実施形態では、本発明は、CDC活性および/またはADCC活性が低減された変異型Fc領域を包含する。他の実施形態では、これらの活性の1つのみを増大させてもよく、場合によっては他方の活性を低減して、例えば、ADCC活性が向上し、CDC活性を低減させた(またその逆の)Fc領域変異体を作製してもよい。
6.1.1 FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性が増大するように変更された突然変異体
本発明は、1以上の領域に1以上のアミノ酸改変(例えば、置換)を有する変異型Fc領域を含む分子であって、このような改変は、変異型Fc領域の活性化性型FcγRに対する親和性を変更する、前記分子を包含する。いくつかの実施形態では、本発明の分子は、1以上の領域に1以上のアミノ酸改変(例えば、置換)を有する変異型Fc領域を含み、該改変は、野生型Fc領域を含む対応する分子に比べて、変異型Fc領域のFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性を少なくとも2倍増大させる。別の具体的な実施形態では、本発明の分子は、1以上の領域に1以上のアミノ酸改変(例えば、置換)を有する変異型Fc領域を含み、該改変は、野生型Fc領域を含む対応する分子に比べて、変異型Fc領域のFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性を2倍より大きく増大させる。本発明の他の実施形態では、これらの1以上のアミノ酸改変は、野生型Fc領域を含む対応する分子に比べて、変異型Fc領域のFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性を少なくとも3倍、4倍、5倍、6倍、8倍または10倍増大させる。本発明のさらに他の実施形態では、これらの1以上のアミノ酸改変は、野生型Fc領域を含む対応する分子に比べて、変異型Fc領域のFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性を少なくとも3倍、4倍、5倍、6倍、8倍または10倍低下させる。このような倍率の増加は、好ましくはELISAまたは表面プラズモン共鳴アッセイにより測定することができる。具体的な実施形態では、これらの1以上のアミノ酸改変は、329、331または322位のいずれか1つの位置での任意のアミノ酸による置換を含まないか、または単独で前記位置のいずれか1つでの置換ではない。特定の実施形態では、これらの1以上のアミノ酸改変は、256、290、298、312、333、334、359、360もしくは430位のいずれか1つの位置でのアラニンによる置換;330位でのリシンによる置換;339位でのトレオニンによる置換;320位でのメチオニンによる置換;326位でのセリン、アスパラギン、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸による置換;334位でのグルタミン、グルタミン酸、メチオニン、ヒスチジン、バリンもしくはロイシンによる置換を含まないか、または単独で前記の置換ではない。別の具体的な実施形態では、これらの1以上のアミノ酸改変は、280、290、300、294もしくは295位のいずれの位置にも置換を含まないか、または単独で前記のいずれかの位置での置換ではない。別のさらに特定の実施形態では、これらの1以上のアミノ酸改変は、300位でのロイシンもしくはイソロイシンによる置換;295位でのリシンによる置換;294位でのアスパラギンによる置換;298位でのバリン、アスパラギン酸、プロリン、アスパラギンもしくはバリンによる置換;280位でのヒスチジン、グルタミンもしくはチロシンによる置換;290位でのセリン、グリシン、トレオニンもしくはチロシンによる置換を含まないか、または単独で前記の置換ではない。
別の具体的な実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む分子であって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応する分子がFcγRIIAと結合するよりも高い親和性で、そのFc領域を介してFcγRIIAと特異的に結合するようになり、ただし、該変異型Fc領域は、256、290、326、255、258、267、272、276、280、283、285、286、331、337、268、272もしくは430位のいずれかにアラニン;268位にアスパラギン;272位にグルタミン;286位にグルタミン、セリンもしくはアスパラギン酸;290位にセリン;320位にメチオニン、グルタミン、グルタミン酸もしくはアルギニン;322位にグルタミン酸;326位にセリン、グルタミン酸もしくはアスパラギン酸;330位にリシン;335位にグルタミン;または301位にメチオニンを持たない、前記分子を包含する。具体的な実施形態では、本発明の分子は、1以上の領域に1以上のアミノ酸改変(例えば、置換)を有する変異型Fc領域を含み、該改変は、野生型Fc領域を含む対応する分子に比べて、変異型Fc領域のFcγRIIAに対する親和性を少なくとも2倍増大させる。別の具体的な実施形態では、本発明の分子は、1以上の領域に1以上のアミノ酸改変(例えば、置換)を有する変異型Fc領域を含み、該改変は、野生型Fc領域を含む対応する分子に比べて、変異型Fc領域のFcγRIIAに対する親和性を2倍より大きく増大させる。本発明の他の実施形態では、これらの1以上のアミノ酸改変は、野生型Fc領域を含む対応する分子に比べて、変異型Fc領域のFcγRIIAに対する親和性を少なくとも3倍、4倍、5倍、6倍、8倍または10倍増大させる。
具体的な実施形態では、本発明は、1以上のアミノ酸改変(例えば、置換、それだけでなく挿入または欠失も含む)を有する変異型Fc領域を含む分子、好ましくはポリペプチド、より好ましくは免疫グロブリン(例えば、抗体)を包含し、該改変は、野生型Fc領域を含む対応する分子に比べて、変異型Fc領域のFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性を少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、少なくとも100%、少なくとも150%および少なくとも200%増大させる。
具体的な実施形態では、変異型Fc領域の1以上の活性化型FcγRに対する親和性を増大させる1以上のアミノ酸改変は、347位でのヒスチジンによる置換、および339位でのバリンによる置換;または425位でのイソロイシンによる置換、および215位でのフェニルアラニンによる置換;または408位でのイソロイシンによる置換、215位でのイソロイシンによる置換、および125位でのロイシンによる置換;または385位でのグルタミン酸による置換、および247位でのヒスチジンによる置換;または348位でのメチオニンによる置換、334位でのアスパラギンによる置換、275位でのイソロイシンによる置換、202位でのメチオニンによる置換、および147位でのトレオニンによる置換;または275位でのイソロイシンによる置換、334位でのアスパラギンによる置換、および348位でのメチオニンによる置換;または279位でのロイシンによる置換、および395位でのセリンによる置換;または246位でのトレオニンによる置換、および319位でのフェニルアラニンによる置換;または243位でのイソロイシンによる置換、および379位でのロイシンによる置換;または243位でのロイシンによる置換、255位でのロイシンによる置換、および318位でのリシンによる置換;または334位でのグルタミン酸による置換、359位でのアスパラギンによる置換、および366位でのセリンによる置換;または288位でのメチオニンによる置換、および334位でのグルタミン酸による置換;または334位でのグルタミン酸による置換、および380位でのアスパラギン酸による置換;または256位でのセリンによる置換、305位でのイソロイシンによる置換、334位でのグルタミン酸による置換、および390位でのセリンによる置換;または335位でのアスパラギンによる置換、370位でのグルタミン酸による置換、378位でのバリンによる置換、394位でのメチオニンによる置換、および424位でのロイシンによる置換;または233位でのアスパラギン酸による置換、および334位でのグルタミン酸による置換;または334位でのグルタミン酸による置換、359位でのアスパラギンによる置換、366位でのセリンによる置換、および386位でのアルギニンによる置換;または246位でのトレオニンによる置換、および396位でのヒスチジンによる置換;または268位でのアスパラギン酸による置換、および318位でのアスパラギン酸による置換;または288位でのアスパラギンによる置換、330位でのセリンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または244位でのヒスチジンによる置換、358位でのメチオニンによる置換、379位でのメチオニンによる置換、384位でのリシンによる置換、および397位でのメチオニンによる置換;または217位でのセリンによる置換、378位でのバリンによる置換、および408位でのアルギニンによる置換;または247位でのロイシンによる置換、253位でのアスパラギンによる置換、および334位でのアスパラギンによる置換;または246位でのイソロイシンによる置換、および334位でのアスパラギンによる置換;または320位でのグルタミン酸による置換、および326位でのグルタミン酸による置換;または375位でのシステインによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または243位でのロイシンによる置換、292位でのプロリンによる置換、300位でのロイシンによる置換、305位でのイソロイシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または243位でのロイシンによる置換、292位でのプロリンによる置換、300位でのロイシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または234位でのロイシンによる置換、292位でのプロリンによる置換、および300位でのロイシンによる置換;または234位でのロイシンによる置換、292位でのプロリンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または234位でのロイシンによる置換、292位でのプロリンによる置換、および305位でのイソロイシンによる置換;または234位でのロイシンによる置換、および292位でのプロリンによる置換;または234位でのロイシンによる置換;または247位でのロイシンによる置換、270位でのグルタミン酸による置換、および421位でのリシンによる置換を含む。インビトロにおいてFcγRIIIAに対する増強された親和性をもたらす他のアミノ酸置換の例を以下に開示し、表3にまとめる。
本発明は、変異型Fc領域を含む分子であって、該変異型Fc領域は243位でのイソロイシンによる置換および379位でのロイシンによる置換を含み、その結果、該分子は、ELISAアッセイにより測定した際に、野生型Fc領域を含む対応する分子がFcγRIIIAと結合するよりも約1.5倍高い親和性で、FcγRIIIAと結合するようになる、前記分子を包含する。具体的な実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む分子であって、該変異型Fc領域は288位でのアスパラギンによる置換、330位でのセリンによる置換、および396位でのロイシンによる置換を含み、その結果、該分子は、ELISAアッセイにより測定した際に、野生型Fc領域を含む対応する分子がFcγRIIIAと結合するよりも約5倍高い親和性で、FcγRIIIAと結合するようになる、前記分子を包含する。具体的な実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む分子であって、該変異型Fc領域は243位でのロイシンによる置換および255位でのロイシンによる置換を含み、その結果、該分子は、ELISAアッセイにより測定した際に、野生型Fc領域を含む対応する分子がFcγRIIIAと結合するよりも約1倍高い親和性で、FcγRIIIAと結合するようになる、前記分子を包含する。具体的な実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む分子であって、該変異型Fc領域は334位でのグルタミン酸による置換、359位でのアスパラギンによる置換、および366位でのセリンによる置換を含み、その結果、該分子は、ELISAアッセイにより測定した際に、野生型Fc領域を含む対応する分子がFcγRIIIAと結合するよりも約1.5倍高い親和性で、FcγRIIIAと結合するようになる、前記分子を包含する。具体的な実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む分子であって、該変異型Fc領域は288位でのメチオニンによる置換および334位でのグルタミン酸による置換を含み、その結果、該分子は、ELISAアッセイにより測定した際に、野生型Fc領域を含む対応する分子がFcγRIIIAと結合するよりも約3倍高い親和性で、FcγRIIIAと結合するようになる、前記分子を包含する。具体的な実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む分子であって、該変異型Fc領域は316位でのアスパラギン酸による置換、378位でのバリンによる置換、および399位でのグルタミン酸による置換を含み、その結果、該分子は、ELISAアッセイにより測定した際に、野生型Fc領域を含む対応する分子がFcγRIIIAと結合するよりも約1.5倍高い親和性で、FcγRIIIAと結合するようになる、前記分子を包含する。具体的な実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む分子であって、該変異型Fc領域は315位でのイソロイシンによる置換、379位でのメチオニンによる置換、および399位でのグルタミン酸による置換を含み、その結果、該分子は、ELISAアッセイにより測定した際に、野生型Fc領域を含む対応する分子がFcγRIIIAと結合するよりも約1倍高い親和性で、FcγRIIIAと結合するようになる、前記分子を包含する。具体的な実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む分子であって、該変異型Fc領域は243位でのイソロイシンによる置換、379位でのロイシンによる置換、および420位でのバリンによる置換を含み、その結果、該分子は、ELISAアッセイにより測定した際に、野生型Fc領域を含む対応する分子がFcγRIIIAと結合するよりも約2.5倍高い親和性で、FcγRIIIAと結合するようになる、前記分子を包含する。具体的な実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む分子であって、該変異型Fc領域は247位でのロイシンによる置換および421位でのリシンによる置換を含み、その結果、該分子は、ELISAアッセイにより測定した際に、野生型Fc領域を含む対応する分子がFcγRIIIAと結合するよりも約3倍高い親和性で、FcγRIIIAと結合するようになる、前記分子を包含する。具体的な実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む分子であって、該変異型Fc領域は392位でのトレオニンによる置換および396位でのロイシンによる置換を含み、その結果、該分子は、ELISAアッセイにより測定した際に、野生型Fc領域を含む対応する分子がFcγRIIIAと結合するよりも約4.5倍高い親和性で、FcγRIIIAと結合するようになる、前記分子を包含する。具体的な実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む分子であって、該変異型Fc領域は293位でのバリンによる置換、295位でのグルタミン酸による置換、および327位でのトレオニンによる置換を含み、その結果、該分子は、ELISAアッセイにより測定した際に、野生型Fc領域を含む対応する分子がFcγRIIIAと結合するよりも約1.5倍高い親和性で、FcγRIIIAと結合するようになる、前記分子を包含する。具体的な実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む分子であって、該変異型Fc領域は268位でのアスパラギンによる置換および396位でのロイシンによる置換を含み、その結果、該分子は、ELISAアッセイにより測定した際に、野生型Fc領域を含む対応する分子がFcγRIIIAと結合するよりも約2倍高い親和性で、FcγRIIIAと結合するようになる、前記分子を包含する。具体的な実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む分子であって、該変異型Fc領域は319位でのフェニルアラニンによる置換、352位でのロイシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換を含み、その結果、該分子は、ELISAアッセイにより測定した際に、野生型Fc領域を含む対応する分子がFcγRIIIAと結合するよりも約2倍高い親和性で、FcγRIIIAと結合するようになる、前記分子を包含する。
具体的な実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも高い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が396位でのヒスチジンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。具体的な実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも高い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が248位でのメチオニンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドと同等の親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が392位でのアルギニンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドと同等の親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が315位でのイソロイシンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドと同等の親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が132位でのイソロイシンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドと同等の親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が162位でのバリンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも高い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が396位でのロイシンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも高い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が379位でのメチオニンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも高い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が219位でのチロシンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも高い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が282位でのメチオニンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも高い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が401位でのバリンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも高い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が222位でのアスパラギンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも高い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が334位でのグルタミン酸による置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも高い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が377位でのフェニルアラニンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも高い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が334位でのイソロイシンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも高い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が247位でのロイシンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域が野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、前記ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドより高い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになる、該少なくとも1つのアミノ酸改変が326位でのグルタミン酸による置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域が野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも高い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が372位でのチロシンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも高い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が224位でのロイシンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。
本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも高い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つアミノ酸改変が275位でのチロシンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも高い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が398位でのバリンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも高い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が334位でのアスパラギンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも高い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が400位でのプロリンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも高い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が407位でのイソロイシンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも高い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が372位でのチロシンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドと同等の親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が366位でのアスパラギンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも低い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が414位でのアスパラギンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも低い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が225位でのセリンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも低い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が377位でのアスパラギンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも高い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が243位でのロイシンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも高い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が292位でのプロリンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも高い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が300位でのロイシンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも高い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が305位でのイソロイシンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも高い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が396位でのロイシンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも高い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が273位でのフェニルアラニンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。
具体的な実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、ELISAアッセイにより測定した際に、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも約2倍高い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が379位でのメチオニンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。別の具体的な実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、ELISAアッセイにより測定した際に、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも約1.5倍高い親和性で、FcγRIIIAと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が248位でのメチオニンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。
いくつかの実施形態では、本発明の分子は、Fc−FcγR相互作用、すなわち、Fc領域とFcγRとの特異的結合を測定するための当技術分野で公知のインビトロアッセイ(生化学または免疫学に基づくアッセイ)、限定するものではないが、例えば、ELISAアッセイ、表面プラズモン共鳴アッセイ、免疫沈降アッセイなどを用いて測定した際に、FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する変更された親和性を有する(第6.2.5.1節参照)。好ましくは、活性化型FcγR受容体に対する親和性が変更されたこれら分子の結合特性はまた、1以上のFcγRメディエーターエフェクター細胞機能を測定するためのインビトロ機能的アッセイによって測定されるそれらの活性とも相関し(第6.2.7節参照)、例えば、FcγRIIIAに対する増強された親和性を有する変異型Fc領域を含む分子は、増強されたADCC活性を有する。最も好ましい実施形態では、インビトロアッセイで活性化型FcγR受容体、例えばFcγRIIIAに対して変更された結合特性を有する本発明の分子は、インビボモデル(例えば、本明細書に記載および開示されるもの)においても変更された結合特性を示す。しかしながら、本発明は、インビトロ系アッセイでFcγR結合の変更を示さないがインビボでは所望の表現型を示す本発明の分子を除外するものではない。
6.1.2 FcγRIIIAに対する親和性が増強され、FcγRIIBに対する親和性が低減されているかまたは存在しない突然変異体
具体的な実施形態では、本発明の分子は、1以上の領域に1以上のアミノ酸改変(すなわち、置換)を有する変異型Fc領域を含み、該1以上の改変は、野生型の親和性でFcγRIIIAおよびFcγRIIBと結合する野生型Fc領域を含む対応する分子に比べて、変異型Fc領域のFcγRIIIAに対する親和性を増大させ、かつ、変異型Fc領域のFcγRIIBに対する親和性を低下させる。ある特定の実施形態では、該1以上のアミノ酸改変は、256、298、333、334、280、290、294、298もしくは296位のいずれかでのアラニンによる置換;または298位でのアスパラギン、バリン、アスパラギン酸もしくはプロリンによる置換;または290位でのセリンによる置換を含まないか、または単独で前記の置換ではない。特定の実施形態では、該1以上のアミノ酸改変は、変異型Fc領域のFcγRIIIAに対する親和性を少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%増大させるが、変異型Fc領域のFcγRIIBに対する親和性を少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%低下させる。
具体的な実施形態では、ch−4−4−20抗体を用いたELISAアッセイおよび/もしくはADCC系アッセイ、または変異型Fc領域を保有するキメラ4D5抗体を用いた表面プラズモン共鳴アッセイに基づいて測定した際に、FcγRIIIAに対する親和性が増強され、かつ、FcγRIIBに対する親和性が低下しているかまたは存在しない変異型Fc領域を含む本発明の分子は、275位でのイソロイシンによる置換、334位でのアスパラギンによる置換、および348位でのメチオニンによる置換;または279位でのロイシンによる置換、および395位でのセリンによる置換;または246位でのトレオニンによる置換、および319位でのフェニルアラニンによる置換;または243位でのロイシンによる置換、255位でのロイシンによる置換、および318位でのリシンによる置換;または334位でのグルタミン酸による置換、359位でのアスパラギンによる置換、および366位でのセリンによる置換;または334位でのグルタミン酸による置換、および380位でのアスパラギン酸による置換;または256位でのセリンによる置換、305位でのイソロイシンによる置換、334位でのグルタミン酸による置換、および390位でのセリンによる置換;または335位でのアスパラギンによる置換、370位でのグルタミン酸による置換、378位でのバリンによる置換、394位でのメチオニンによる置換、および424位でのロイシンによる置換;または233位でのアスパラギン酸による置換、および334位でのグルタミン酸による置換;または334位でのグルタミン酸による置換、359位でのアスパラギンによる置換、366位でのセリンによる置換、および386位でのアルギニンによる置換;または312位でのグルタミン酸による置換、327位でのアスパラギンによる置換、および378位でのセリンによる置換;または288位でのアスパラギンによる置換、および326位でのアスパラギンによる置換;または247位でのロイシンによる置換、および421位でのリシンによる置換;または298位でのアスパラギンによる置換、および381位でのアルギニンによる置換;または280位でのグルタミン酸による置換、354位でのフェニルアラニンによる置換、431位でのアスパラギン酸による置換、および441位でのイソロイシンによる置換;または255位でのグルタミンによる置換、および326位でのグルタミン酸による置換;または218位でのアルギニンによる置換、281位でのアスパラギン酸による置換、および385位でのアルギニンによる置換;または247位でのロイシンによる置換、330位でのトレオニンによる置換、および440位でのグリシンによる置換;または284位でのアラニンによる置換、および372位でのロイシンによる置換;または335位でのアスパラギンによる置換、387位でのセリンによる置換、および435位でのグルタミンによる置換;または247位でのロイシンによる置換、431位でのバリンによる置換、および442位でのフェニルアラニンによる置換;または243位でのロイシンによる置換、292位でのプロリンによる置換、305位でのイソロイシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または243位でのロイシンによる置換、292位でのプロリンによる置換、および305位でのイソロイシンによる置換;または292位でのプロリンによる置換、305位でのイソロイシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または243位でのロイシンによる置換、および292位でのプロリンによる置換;または292位でのプロリンによる置換;または243位でのロイシンによる置換、292位でのプロリンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または243位でのロイシンによる置換、292位でのプロリンによる置換、300位でのロイシンによる置換;または243位でのロイシンによる置換を含む。
具体的な実施形態では、変異型Fc領域を保有するch−4−4−20抗体を用いたELISAアッセイおよび/またはADCC系アッセイに基づいて測定した際に、FcγRIIIAに対する親和性が増強され、かつ、FcγRIIBに対する親和性が低下しているかまたは存在しない変異型Fc領域を含む本発明の分子は、379位でのメチオニンによる置換;219位でのチロシンによる置換;282位でのメチオニンによる置換;401位でのバリンによる置換;222位でのアスパラギンによる置換;334位でのイソロイシンによる置換;334位でのグルタミン酸による置換;275位でのチロシンによる置換;398位でのバリンによる置換を含む。さらに別の具体的な実施形態では、変異型Fc領域を保有する、ch−4−4−20抗体を用いたELISAアッセイおよび/もしくはADCC系アッセイ、またはキメラ4D5抗体を用いた表面プラズモン共鳴アッセイに基づいて測定した際に、FcγRIIIAに対する親和性が増強され、かつ、FcγRIIBに対する親和性が低下した変異型Fc領域を含む本発明の分子は、243位でのロイシンによる置換;292位でのプロリンによる置換;および300位でのロイシンによる置換を含む。
本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、ELISAアッセイにより測定した際に、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも約3倍低い親和性で、FcγRIIBと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が288位でのアスパラギンによる置換、330位でのセリンによる置換、および396位でのロイシンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、ELISAアッセイにより測定した際に、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも約10〜15倍低い親和性で、FcγRIIBと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が316位でのアスパラギン酸による置換、378位でのバリンによる置換、および399位でのグルタミン酸による置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、ELISAアッセイにより測定した際に、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも約10倍低い親和性で、FcγRIIBと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が315位でのイソロイシンによる置換、379位でのメチオニンによる置換、および399位でのグルタミン酸による置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、ELISAアッセイにより測定した際に、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも約7倍低い親和性で、FcγRIIBと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が243位でのイソロイシンによる置換、379位でのロイシンによる置換、および420位でのバリンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、ELISAアッセイにより測定した際に、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも約3倍低い親和性で、FcγRIIBと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が392位でのトレオニンによる置換、および396位でのロイシンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明は、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、ELISAアッセイにより測定した際に、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも約5倍低い親和性で、FcγRIIBと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が268位でのアスパラギンによる置換、および396位でのロイシンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。本発明はまた、変異型Fc領域を含む単離されたポリペプチドであって、該変異型Fc領域が野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、該ポリペプチドは、ELISAアッセイにより測定した際に、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドよりも約2倍低い親和性で、FcγRIIBと特異的に結合するようになり、該少なくとも1つのアミノ酸改変が319位でのフェニルアラニンによる置換、352位でのロイシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換を含む、前記ポリペプチドを包含する。
6.1.3 FcγRIIIAおよびFcγRIIBに対する親和性が増強された突然変異体
本発明は、1以上のアミノ酸改変を有する変異型Fc領域を含む分子を包含し、該改変は、変異型Fc領域のFcγRIIIAおよびFcγRIIBに対する親和性を少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%増大させ、かつ、変異型Fc領域のFcγRIIBに対する親和性を少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも300%、少なくとも400%低下させる。具体的な実施形態では、(本明細書に記載されるような、変異型Fc領域を保有するch−4−4−20抗体を用いたELISAアッセイおよび/またはADCC系アッセイ、またはキメラ4D5抗体を用いた表面プラズモン共鳴アッセイに基づいて測定した際に)FcγRIIIAに対する親和性が増強され、FcγRIIBに対する親和性が低減された変異型Fc領域を含む本発明の分子は、415位でのイソロイシンによる置換、および251位でのフェニルアラニンによる置換;または399位でのグルタミン酸による置換、292位でのロイシンによる置換、および185位でのメチオニンによる置換;または408位でのイソロイシンによる置換、215位でのイソロイシンによる置換、および125位でのロイシンによる置換;または385位でのグルタミン酸による置換、および247位でのヒスチジンによる置換;または348位でのメチオニンによる置換、334位でのアスパラギンによる置換、275位でのイソロイシンによる置換、202位でのメチオニンによる置換、および147位でのトレオニンによる置換;または246位でのトレオニンによる置換、および396位でのヒスチジンによる置換;または268位でのアスパラギン酸による置換、および318位でのアスパラギン酸による置換;または288位でのアスパラギンによる置換、330位でのセリンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または244位でのヒスチジンによる置換、358位でのメチオニンによる置換、379位でのメチオニンによる置換、384位でのリシンによる置換、および397位でのメチオニンによる置換;または217位でのセリンによる置換、378位でのバリンによる置換、および408位でのアルギニンによる置換;または247位でのロイシンによる置換、253位でのアスパラギンによる置換、および334位でのアスパラギンによる置換;または246位でのイソロイシンによる置換、および334位でのアスパラギンによる置換;または320位でのグルタミン酸による置換、および326位でのグルタミン酸による置換;または375位でのシステインによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または343位でのセリンによる置換、353位でのロイシンによる置換、375位でのイソロイシンによる置換、383位でのアスパラギンによる置換;または394位でのメチオニンによる置換、および397位でのメチオニンによる置換;または216位でのアスパラギン酸による置換、345位でのリシンによる置換、および375位でのイソロイシンによる置換;または288位でのアスパラギンによる置換、330位でのセリンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または247位でのロイシンによる置換、および389位でのグリシンによる置換;または222位でのアスパラギンによる置換、335位でのアスパラギンによる置換、370位でのグルタミン酸による置換、378位でのバリンによる置換、および394位でのメチオニンによる置換;または316位でのアスパラギン酸による置換、378位でのバリンによる置換、および399位でのグルタミン酸による置換;または315位でのイソロイシンによる置換、379位でのメチオニンによる置換、および394位でのメチオニンによる置換;または290位でのトレオニンによる置換、および371位でのアスパラギン酸による置換;または247位でのロイシンによる置換、および398位でのグルタミンによる置換;または326位でのグルタミンによる置換、334位でのグルタミン酸による置換、359位でのアスパラギンによる置換、および366位でのセリンによる置換;または247位でのロイシンによる置換、および377位でのフェニルアラニンによる置換;または378位でのバリンによる置換、390位でのイソロイシンによる置換、および422位でのイソロイシンによる置換;または326位でのグルタミン酸による置換、および385位でのグルタミン酸による置換;または282位でのグルタミン酸による置換、369位でのイソロイシンによる置換、および406位でのフェニルアラニンによる置換;または397位でのメチオニンによる置換、411位でのアラニンによる置換、および415位でのアスパラギンによる置換;または223位でのイソロイシンによる置換、256位でのセリンによる置換、および406位でのフェニルアラニンによる置換;または298位でのアスパラギンによる置換、および407位でのアルギニンによる置換;または246位でのアルギニンによる置換、298位でのアスパラギンによる置換、および377位でのフェニルアラニンによる置換;または235位でのプロリンによる置換、382位でのメチオニンによる置換、304位でのグリシンによる置換、305位でのイソロイシンによる置換、および323位でのイソロイシンによる置換;または247位でのロイシンによる置換、313位でのアルギニンによる置換、および388位でのグリシンによる置換;または221位でのチロシンによる置換、252位でのイソロイシンによる置換、330位でのグリシンによる置換、339位でのトレオニンによる置換、359位でのアスパラギンによる置換、422位でのイソロイシンによる置換、および433位でのロイシンによる置換;または258位でのアスパラギン酸による置換、および384位でのリシンによる置換;または241位でのロイシンによる置換、および258位でのグリシンによる置換;または370位でのアスパラギンによる置換、および440位でのアスパラギンによる置換;または317位でのアスパラギンによる置換、および423位での欠失;または243位でのイソロイシンによる置換、379位でのロイシンによる置換、および420位でのバリンによる置換;または227位でのセリンによる置換、および290位でのグルタミン酸による置換;または231位でのバリンによる置換、386位でのヒスチジンによる置換、および412位でのメチオニンによる置換;または215位でのプロリンによる置換、274位でのアスパラギンによる置換、287位でのグリシンによる置換、334位でのアスパラギンによる置換、365位でのバリンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または293位でのバリンによる置換、295位でのグルタミン酸による置換、および327位でのトレオニンによる置換;または319位でのフェニルアラニンによる置換、352位でのロイシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または392位でのトレオニンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または268位でのアスパラギンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または290位でのトレオニンによる置換、390位でのイソロイシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または326位でのイソロイシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または268位でのアスパラギン酸による置換、および396位でのロイシンによる置換;または210位でのメチオニンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または358位でのプロリンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または288位でのアルギニンによる置換、307位でのアラニンによる置換、344位でのグルタミン酸による置換、および396位でのロイシンによる置換;または273位でのイソロイシンによる置換、326位でのグルタミン酸による置換、328位でのイソロイシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または326位でのイソロイシンによる置換、408位でのアスパラギンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または334位でのアスパラギンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または379位でのメチオニンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または227位でのセリンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または217位でのセリンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または261位でのアスパラギンによる置換、210位でのメチオニンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または419位でのヒスチジンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または370位でのグルタミン酸による置換、および396位でのロイシンによる置換;または242位でのフェニルアラニンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または255位でのロイシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または240位でのアラニンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または250位でのセリンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または247位でのセリンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または410位でのヒスチジンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または419位でのロイシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または427位でのアラニンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または258位でのアスパラギン酸による置換、および396位でのロイシンによる置換;または384位でのリシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または323位でのイソロイシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または244位でのヒスチジンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または305位でのロイシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または400位でのフェニルアラニンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または303位でのイソロイシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または243位でのロイシンによる置換、305位でのイソロイシンによる置換、378位でのアスパラギン酸による置換、404位でのセリンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または290位でのグルタミン酸による置換、369位でのアラニンによる置換、393位でのアラニンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または210位でのアスパラギンによる置換、222位でのイソロイシンによる置換、320位でのメチオニンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または217位でのセリンによる置換、305位でのイソロイシンによる置換、309位でのロイシンによる置換、390位でのヒスチジンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または246位でのアスパラギンによる置換、419位でのアルギニンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または217位でのアラニンによる置換、359位でのアラニンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または215位でのイソロイシンによる置換、290位でのバリンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または275位でのロイシンによる置換、362位でのヒスチジンによる置換、384位でのリシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または334位でのアスパラギンによる置換;または400位でのプロリンによる置換;または407位でのイソロイシンによる置換;または372位でのチロシンによる置換;または366位でのアスパラギンによる置換;ま
たは414位でのアスパラギンによる置換;または352位でのロイシンによる置換;または225位でのセリンによる置換;または377位でのアスパラギンによる置換;または248位でのメチオニンによる置換;または243位でのロイシンによる置換、292位でのプロリンによる置換、300位でのロイシンによる置換、305位でのイソロイシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または243位でのロイシンによる置換、292位でのプロリンによる置換、300位でのロイシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または243位でのロイシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または292位でのプロリンによる置換、および305位でのイソロイシンによる置換を含む。
6.1.4 いずれのFcγRとも結合しない突然変異体
いくつかの実施形態では、本発明は、変異型Fc領域を含む分子であって、該変異型Fc領域は野生型Fc領域に対して少なくとも1つアミノ酸改変を含み、該変異型Fc領域は、当技術分野で公知であり、本明細書に開示される標準的アッセイにより測定した際に、野生型Fc領域を含む対応する分子に比べて、いずれのFcγRとも結合しない、前記分子を包含する。具体的な実施形態では、あらゆるFcγRとの結合を消失させる1以上のアミノ酸改変は、232位でのセリンによる置換、および304位でのグリシンによる置換;または269位でのリシンによる置換、290位でのアスパラギンによる置換、311位でのアルギニンによる置換、および433位でのチロシンによる置換;または252位でのロイシンによる置換;または216位でのアスパラギン酸による置換、334位でのアルギニンによる置換、および375位でのイソロイシンによる置換;または247位でのロイシンによる置換、406位でのフェニルアラニンによる置換、または335位でのアスパラギンによる置換、387位でのセリンによる置換、および435位でのグルタミンによる置換;または334位でのグルタミン酸による置換、380位でのアスパラギン酸による置換、および446位でのバリンによる置換;または303位でのイソロイシンによる置換、369位でのフェニルアラニンによる置換、および428位でのロイシンによる置換;または251位でのフェニルアラニンによる置換、および372位でのロイシンによる置換;または246位でのグルタミン酸による置換、284位でのメチオニンによる置換、および308位でのアラニンによる置換;または399位でのグルタミン酸による置換、および402位でのアスパラギン酸による置換;または399位でのグルタミン酸による置換、および428位でのロイシンによる置換を含む。
6.1.5 FcγR媒介エフェクター機能が変更された突然変異体
本発明は、エフェクター機能が変更されたFc変異体を含む免疫グロブリンを包含する。いくつかの実施形態では、Fc変異体を含む免疫グロブリンは、当技術分野で公知であり、本明細書に例示されるアッセイを用いて測定した際に、エフェクター細胞の存在下でより効率的にエフェクター機能を媒介する。他の実施形態では、Fc変異体を含む免疫グロブリンは、当技術分野で公知であり、また本明細書に例示されるアッセイを用いて測定した際に、エフェクター細胞の存在下でそれほど効率的にはエフェクター機能を媒介しない。具体的な実施形態では、本発明のFc変異体は、エフェクター機能を変更する他の既知のFc改変と組み合わせることができ、その結果、このような組合せは相加的、相乗的効果を有する。本発明のFc変異体は、インビトロおよび/またはインビボにおいてエフェクター機能が変更されている。
具体的な実施形態では、FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性が増強された本発明の免疫グロブリンは、本明細書に開示されるADCC活性アッセイを用いて測定した際に、増強されたFcγR媒介エフェクター機能を有する。本発明の分子により媒介され得るエフェクター機能の例としては、限定するものではないが、C1q結合、補体依存性細胞傷害作用、抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)、食作用などが挙げられる。本発明の分子のエフェクター機能は、当技術分野で公知の標準的方法を用いてアッセイすることができ、その例は第6.2.6節に開示する。
具体的な実施形態では、FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性が増強された変異型Fc領域を含む本発明の免疫グロブリンは、野生型Fc領域を含む免疫グロブリンに比べて、2倍効果的に抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)を媒介する。他の実施形態では、FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性が増強された変異型Fc領域を含む本発明の免疫グロブリンは、野生型Fc領域を含む免疫グロブリンに比べて、少なくとも4倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍、少なくとも104倍、少なくとも105倍効果的に抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)を媒介する。別の具体的な実施形態では、FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性が増大した本発明の免疫グロブリンは、変更されたC1q結合活性を有する。いくつかの実施形態では、FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性が増強された本発明の免疫グロブリンは、野生型Fc領域を含む免疫グロブリンよりも、少なくとも2倍、少なくとも4倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍、少なくとも104倍、少なくとも105倍高いC1q結合活性を有する。さらに別の具体的な実施形態では、FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性が増強された本発明の免疫グロブリンは、変更された補体依存性細胞傷害作用を有する。さらに別の具体的な実施形態では、FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性が増強された本発明の免疫グロブリンは、野生型Fc領域を含む免疫グロブリンよりも増大した補体依存性細胞傷害作用を有する。いくつかの実施形態では、FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性が増大した本発明の免疫グロブリンは、野生型Fc領域を含む免疫グロブリンよりも、少なくとも2倍、少なくとも4倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍、少なくとも104倍、少なくとも105倍高い補体依存性細胞傷害作用を有する。
特定の実施形態では、本発明のFc変異体は、米国特許出願公開第2005/0037000号および同第2005/0064514号、ならびに国際特許出願公開WO04/063351(それぞれ参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)に開示されているように、本発明者らにより、エフェクター機能を変調することが従前に確認されているいずれのFc変異体と組み合わせてもよく、またはこれを含んでもよい。著者らにより従前に確認されているこのようなFc変異体の例は下記の表6および7に示されている。
他の実施形態では、FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性が増大した本発明の免疫グロブリンは、当業者に公知の、または本明細書に開示される標準的アッセイにより測定した際に、野生型Fc領域を含む免疫グロブリンに比べて、増強された食作用活性を有する。いくつかの実施形態では、FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性が増強された本発明の免疫グロブリンは、野生型Fc領域を含む免疫グロブリンよりも、少なくとも2倍、少なくとも4倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍高い食作用活性を有する。
具体的な実施形態では、本発明は、FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性が増強された、1以上のアミノ酸改変を有する変異型Fc領域を含む免疫グロブリンを包含し、その結果、該免疫グロブリンは、増強されたエフェクター機能、例えば、抗体依存性細胞傷害作用または食作用を有するようになる。具体的な実施形態では、変異型Fc領域のFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性を増大させ、かつ、免疫グロブリンのADCC活性を増大させる1以上のアミノ酸改変は、379位でのメチオニンによる置換;または243位でのイソロイシンによる置換、および379位でのロイシンによる置換;または288位でのアスパラギンによる置換、330位でのセリンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または243位でのロイシンによる置換、および255位でのロイシンによる置換;または334位でのグルタミン酸による置換、359位でのアスパラギンによる置換、および366位でのセリンによる置換;または288位でのメチオニンによる置換、および334位でのグルタミン酸による置換;または334位でのグルタミン酸による置換、および292位でのロイシンによる置換;または316位でのアスパラギン酸による置換、378位でのバリンによる置換、および399位でのグルタミン酸による置換;または315位でのイソロイシンによる置換、379位でのメチオニンによる置換、および399位でのグルタミン酸による置換;または243位でのイソロイシンによる置換、379位でのロイシンによる置換、および420位でのバリンによる置換;または247位でのロイシンによる置換、および421位でのリシンによる置換;または248位でのメチオニンによる置換;または392位でのトレオニンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または293位でのバリンによる置換、295位でのグルタミン酸による置換、および327位でのトレオニンによる置換;または268位でのアスパラギンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または319位でのフェニルアラニンによる置換、352位でのロイシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または243位でのロイシンによる置換、292位でのプロリンによる置換、300位でのロイシンによる置換、305位でのイソロイシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または243位でのロイシンによる置換、292位でのプロリンによる置換、300位でのロイシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または243位でのロイシンによる置換、292位でのプロリンによる置換、および300位でのロイシンによる置換を含む。
別の具体的な実施形態では、免疫グロブリンのADCC活性を増大させる1以上のアミノ酸改変は、下記の表8に示す突然変異のいずれかである。
その代わりに、またはそれに加えて、上記アミノ酸改変または本明細書に開示される他のいずれかのアミノ酸改変と、Fc領域のC1q結合および/または補体依存性細胞傷害機能を変更する1以上のさらなるアミノ酸改変とを組み合わせることが有用であり得る。本明細書において特に注目される出発分子は通常、C1qと結合し、かつ、補体依存性細胞傷害(CDC)を示す分子である。本明細書に記載されるさらなるアミノ酸置換は一般に、出発分子のC1q結合能を変更し、かつ/またはその補体依存性細胞傷害機能を改変して、例えばこれらのエフェクター機能を低下させる(好ましくは、消失させる)のに役立つと考えられる。しかしながら、記載された1以上の位置に置換を含み、C1q結合および/または補体依存性細胞傷害(CDC)機能が改良された分子が本明細書において企図される。例えば、出発分子はC1qと結合できず、かつ/またはCDCを媒介できないかもしれないが、本明細書の教示に従って、該分子がこれらのさらなるエフェクター機能を獲得するように改良することができる。さらに、C1q結合活性を予め有し、場合によってはCDCを媒介する能力をさらに有する分子を、これらの活性の一方または両方が増強されるように改変してもよい。
上記に開示されるように、例えば、C1q結合および/またはFcR結合を改変し、それにより、CDC活性および/またはADCC活性を変化させることによって、エフェクター機能が変更されたFc領域を設計することができる。例えば、C1q結合が向上し、かつ、FcγRIII結合が向上した、例えば、改良されたADCC活性とCDC活性の両方が改良された、変異型Fc領域を作製することができる。あるいは、エフェクター機能の低減または消失が望まれる場合には、CDC活性および/またはADCC活性を低減した変異型Fc領域を設計することができる。他の実施形態では、これらの活性の1つのみを増大させてもよく、場合によっては他方の活性を低減して、例えば、ADCC活性が向上し、CDC活性が低減された(またその逆の)Fc領域変異体を作製してもよい。
本発明は、2nd−4th−ラウンドのソーティング後に突然変異体の酵母ライブラリから本発明の方法を用いて同定されたFc領域の具体的な変異体を包含し、これらを表9に示す。表9に、本発明の方法を用いて同定された種々の突然変異体をまとめる。これらの突然変異体は、FcγRIIIAおよびFcγRIIBとの結合を測定するためのELISAアッセイを用いてアッセイした。突然変異体はまた、本明細書に開示および例示される方法を用いてFc変異体をch 4−4−20抗体にクローニングすることにより、ADCCアッセイにおいても試験した。太字の項目は実験を指し、その際、ADCCアッセイ前にch 4−4−20抗体を精製した。用いた抗体濃度は0.5μg/mL〜1.0μg/mLの範囲であった。
好ましい実施形態では、本発明は、1以上のアミノ酸改変を有する変異型Fc領域を含む改変された免疫グロブリン分子(例えば、抗体)を包含し、該1以上のアミノ酸改変は、該分子のFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性を増大する。このような免疫グロブリンには、天然にFcγR結合領域(例えば、FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIB結合領域)を含むIgG分子、またはFcγR結合領域(例えば、FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIB結合領域)を含むように操作された免疫グロブリン誘導体が含まれる。本発明の改変された免疫グロブリンは、抗原と結合し、好ましくは免疫特異的に結合し、すなわち、特異的な抗原−抗体結合をアッセイするための当技術分野で周知のイムノアッセイにより測定した際に、非特異的結合とは競合せず、かつ、FcγR結合領域(例えば、FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIB結合領域)を含む、いずれの免疫グロブリン分子も含む。このような抗体としては、限定するものではないが、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、ジスルフィド架橋Fv、およびVLドメインもしくはVHドメインのいずれかまたは抗原と特異的に結合する相補性決定領域(CDR)さえも含む、具体的な場合には、FcγR結合領域を含むように操作されたかまたはFcγR結合領域と融合された、フラグメントが含まれる。
いくつかの実施形態において、本発明の分子は、Fc領域の部分を含む。本明細書において「Fc領域の部分」とは、Fc領域のフラグメント、好ましくはエフェクター活性および/またはFcγR結合活性を有する部分(またはそのような活性を欠く突然変異体の対応領域)を指す。Fc領域のフラグメントは、5アミノ酸から、全Fc領域より1アミノ酸を除いたものまでのサイズ範囲であり得る。Fc領域の部分は、N末端またはC末端から最大10個、最大20個、最大30個のアミノ酸を欠失していてもよい。
本発明のIgG分子は、IgGのIgG1サブクラスであることが好ましいが、所与の動物の他のいずれのIgGサブクラスであってもよい。例えば、ヒトでは、IgGクラスにIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4が含まれ、マウスでは、IgGクラスにIgG1、IgG2a、IgG2b、IgG2cおよびIgG3が含まれる。
免疫グロブリン(および本明細書において用いる他のポリペプチド)は、鳥類および哺乳動物をはじめとする、いずれの動物に由来してもよい。好ましくは、抗体はヒト、齧歯類(例えば、マウスおよびラット)、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマまたはニワトリのものである。本明細書において「ヒト」抗体には、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体が含まれ、ヒト免疫グロブリンライブラリから単離された抗体、または以下に記載され、また例えばKucherlapatiらによる米国特許第5,939,598号に記載されるような、1以上のヒト免疫グロブリンに対してトランスジェニックであり、かつ、内因性の免疫グロブリンを発現しない動物から単離された抗体が含まれる。
本発明の抗体は、単一特異的、二重特異的、三重特異的、またはより高次の多重特異的であり得る。多重特異的抗体は、1つのポリペプチドの異なるエピトープに特異的であっても、異種ポリペプチドまたは固相支持材料などの異種エピトープに特異的であってもよい。例えば、PCT公開WO93/17715;WO92/08802;WO91/00360;WO92/05793;Tutt et al., J. Immunol., 147: 60-69, 1991;米国特許第4,474,893号;同第4,714,681号;同第4,925,648号;同第5,573,920号;同第5,601,819号;Kostelny et al., J. Immunol., 148: 1547-1553, 1992参照。
多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有する。このような分子は一般に、2つの抗原に結合するのみであるが(すなわち、二重特異性抗体、BsAb)、さらなる特異性を有する抗体(例えば、三重特異性抗体)も本発明に包含される。BsAbの例としては、限定するものではないが、一方のアームが腫瘍細胞抗原に特異的であり、他方のアームが、細胞傷害性分子に特異的である抗体を含む。
二重特異性抗体を作製するための方法は、当該分野で公知である。全長二重特異性抗体の慣用作製法は、2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖対の同時発現に基づくものであり、この2つの鎖は、異なる特異性を有する(Millstein et al., Nature, 305: 537-539 (1983);参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)。免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の無作為な組合せのため、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、可能性として10種の異なる抗体分子の混合物を産生し、このうちの1つだけが、正確な二重特異性構造を有する。適切な分子の精製(通常は、アフィニティークロマトグラフィー工程により行う)はむしろ煩雑で、産物の収率は低い。同様の手法がWO93/08829およびTraunecker et al., EMBO J., 10: 3655-3659 (1991)に開示されている。
異なるアプローチによれば、所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗体−抗原結合部位)が、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合される。この融合体は好ましくは、少なくともヒンジ、CH2およびCH3領域の部分を含む、免疫グロブリン重鎖定常ドメインを有する。少なくとも1つの融合体に存在する、軽鎖結合に必要な部位を含む第1重鎖定常領域(CH1)を持つことが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合体および所望により免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAを、別個の発現ベクターに挿入し、好適な宿主生物に同時にトランスフェクトする。これにより、構築に用いた3つのポリペプチド鎖の不均等な比率が最適な収率を与える具体例において、3つのポリペプチド断片の相互の割合を調節する上で、大きな柔軟性が得られる。しかしながら、2つまたは3つ全てのポリペプチド鎖のコード配列を1つの発現ベクターに挿入することも可能であるが、それは少なくとも2つのポリペプチド鎖の等比率での発現が高収率をもたらすか、またはそうした比率が特に重要でない場合である。
本アプローチの好ましい実施形態では、二重特異性抗体は、一方のアームに第1の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖、および他方のアームにハイブリッド免疫グロブリン重鎖−軽鎖対(第2の結合特異性を与える)を含む。この非対称構造は、所望の二重特異性化合物を、望まない免疫グロブリン鎖の組合せから分離することを容易にすることが見出された(二重特異性分子の半分だけに免疫グロブリン軽鎖が存在することが、容易な分離法を提供するため)。このアプローチは、WO94/04690に開示されている。二重特異性抗体を作製するさらなる詳細については、例えば、Suresh et al., Methods in Enzymology, 121: 210 (1986)を参照。WO96/27011に記載されている別のアプローチによれば、一対の抗体分子を操作して、組換え細胞培養物から回収されるヘテロダイマーのパーセンテージを最大にすることができる。好ましい境界面は、抗体定常ドメインのCH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、第1の抗体分子の境界面に由来する1以上の小さなアミノ酸側鎖を大きな側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)に置換する。この大きな側鎖と同一または同様の大きさの補償的「内腔」は、大きなアミノ酸側鎖を小さなアミノ酸側鎖(例えば、アラニンまたはスレオニン)で置換することによって、第2の抗体分子の境界面上に作出される。これにより、ホモダイマーなどの他の望ましくない最終産物よりも、ヘテロダイマーの収率を高めるための機構が得られる。
二重特異性抗体としては、架橋抗体または「ヘテロコンジュゲート」抗体が含まれる。例えば、ヘテロコンジュゲート中の1つの抗体をアビジンに結合させ、他方をビオチンに結合させることができる。例えば、このような抗体は、免疫系細胞を望ましくない細胞にターゲッティングするために(米国特許第4,676,980号)、またHIV感染の治療のために(WO91/00360、WO92/200373およびEP03089)提案されている。ヘテロコンジュゲート抗体は、都合の良い架橋法のいずれかを使用して作製することができる。好適な架橋剤は当技術分野で周知であり、多数の架橋技術とともに米国特許第4,676,980号に開示されている。
3以上の結合価を有する抗体が企図される。例えば、三重特異性抗体を作製することができる。例えば、参照により本明細書に組み入れるTutt et al. J. Immunol. 147: 60 (1991)参照。
本発明の抗体には、他の方法で修飾された誘導体、すなわち、抗体への任意のタイプの分子の共有結合により修飾された誘導体が含まれる。ただし、この共有結合は、抗体が抗原と結合すること、および/または抗イディオタイプ応答を生じることを妨げないものである。例えば、限定するものではないが、抗体誘導体には、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/遮断基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞性リガンドまたは他のタンパク質への結合などによって修飾されている抗体が含まれる。多数の化学的修飾のうちのいずれを、限定するものではないが、特異的化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含む公知の技法によって行ってもよい。さらに、これらの誘導体は1以上の非古典的アミノ酸のアミノ酸を含み得る。
抗体のヒトでのインビボ使用およびインビトロ検出アッセイを含むいくつかの用途において、キメラ、ヒト化またはヒト抗体を用いることが好ましい。キメラ抗体は、抗体の異なる部分が異なる動物種に由来する分子であり、例えば、マウスモノクローナル抗体由来の可変領域とヒト免疫グロブリン由来の定常領域を有する抗体などである。キメラ抗体の作製方法は当技術分野で公知である。例えば、Morrison, Science, 229: 1202, 1985; Oi et al., BioTechniques, 4: 214 1986; Gillies et al., J. Immunol. Methods, 125: 191-202, 1989; 米国特許第5,807,715号;同第4,816,567号;および同第4,816,397号(参照によりこれらの全内容を本明細書に組み入れる)参照。ヒト化抗体は非ヒト種由来の1以上の相補性決定領域 (CDR)と、ヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域および定常ドメインとを有する、所望の抗原と結合する非ヒト種由来の抗体分子である。多くの場合、ヒトフレームワーク領域のフレームワーク残基をCDRドナー抗体由来の対応する残基で置換すると、抗原結合が変更(好ましくは向上)される。これらのフレームワーク置換は、例えば、CDRとフレームワーク残基との相互作用をモデル化して抗原結合にとって重要なフレームワーク残基を同定し、配列決定を行って具体的な位置にある特異なフレームワーク残基を同定することによるなど、当技術分野で周知の方法により確認することができる。例えば、Queen et al., 米国特許第5,585,089号;Riechmann et al., Nature, 332: 323, 1988(参照によりこれらの全内容を本明細書に組み入れる)参照。抗体は、例えば、CDR−グラフティング(EP239,400;PCT公開WO91/09967;米国特許第5,225,539号;同第5,530,101号および同第5,585,089号)、ベニアリング(veneering)またはリサーフェシング(resurfacing)(EP592,106;EP519,596;Padlan, Molecular Immunology, 28(4/5): 489-498, 1991;Studnicka et al., Protein Engineering, 7(6): 805-814, 1994;Roguska et al., Proc Natl. Acad. Sci. USA, 91: 969-973, 1994)、およびチェーンシャッフリング(chain shuffling)(米国特許第5,565,332号)(これらは全て参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)を含む、当技術分野で公知の様々な技法によりヒト化することができる。ヒト化抗体は、米国特許第5,693,762号(Protein Design Labs)、同第5,693,761号(Protein Design Labs)、同第5,585,089号(Protein Design Labs)、同第6,180,370号(Protein Design Labs)および米国公開第20040049014号、同第200300229208号(それぞれ参照により全内容を本明細書に組み入れる)に記載されているいずれかの方法を用いて作製することができる。
ヒト患者の治療的処置には、完全ヒト抗体が特に望ましい。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列から誘導された抗体ライブラリを用いる上記のファージディスプレイ法を含む、当技術分野で公知の様々な方法により作製することができる。米国特許第4,444,887号および第4,716,111号;ならびにPCT公開WO98/46645;WO98/50433;WO98/24893;WO98/16654;WO96/34096;WO96/33735;およびWO91/10741(それぞれ参照により全内容を本明細書に組み入れる)参照。
また、機能的な内因性の免疫グロブリンを発現することはできないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるヒト抗体を、トランスジェニックマウスを用いて生産することができる。ヒト抗体を生産するためのこの技術の概要については、Lonberg and Huszar, Int. Rev. Immunol., 13: 65-93, 1995参照。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を生産するためのこの技術の詳細、ならびにこのような抗体を生産するためのプロトコールについては、PCT公開WO98/24893;WO92/01047;WO96/34096;WO96/33735;欧州特許第0598877号;米国特許第5,413,923号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,569,825号;同第5,661,016号;同第5,545,806号;同第5,814,318号;同第5,885,793号;同第5,916,771号;および同第5,939,598号(参照により全内容を本明細書に組み入れる)参照。さらに、Abgenix, Inc. (Freemont, CA)、Medarex (NJ)およびGenpharm (San Jose, CA)などの会社は、上記と類似の技術を用いて、選択された抗原に対するヒト抗体を提供することを請け負っている。
選択されたエピトープを認識する完全ヒト抗体は、「guided selection」と呼ばれる技法を用いて作製することができる。このアプローチでは、同じエピトープを認識する完全ヒト抗体の選択の指針とするために、選択された非ヒトモノクローナル抗体(例えば、マウス抗体)を用いる(Jespers et al., Bio/technology, 12: 899-903, 1988)。
本発明は、ヒトまたはヒト化治療用抗体(例えば、腫瘍特異的モノクローナル抗体)のFc領域を、少なくとも1つのアミノ酸残基の改変(例えば、置換、挿入、欠失)により操作することを包含し、この改変は、Fc領域のFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性を増大させる。別の実施形態では、本発明は、ヒトまたはヒト化治療用抗体(例えば、腫瘍特異的モノクローナル抗体)のFc領域を、少なくとも1つのアミノ酸残基の改変により操作することに関し、この改変は、Fc領域のFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性を増大させ、かつ、Fc領域のFcγRIIBに対する親和性を低下させる。操作された治療用抗体はさらに、当業者に公知の標準的アッセイにより測定した際に、増強されたエフェクター機能、例えば、増強されたADCC活性、食作用活性などを持ち得る。
具体的な実施形態では、本発明は、Her2/neu癌原遺伝子に特異的なヒト化モノクローナル抗体(例えば、Carter et al., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 4285-9に記載されているAb4D5ヒト化抗体)を、少なくとも1つのアミノ酸残基の改変(例えば、置換、挿入、欠失)により操作することを包含し、この改変は、Fc領域のFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性を増大させる。別の具体的な実施形態では、ヒト化Her2/neuモノクローナル抗体の改変はまたさらに、Fc領域のFcγRIIBに対する親和性を低下させ得る。さらに別の具体的な実施形態では、操作された、Her2/neuに特異的なヒト化モノクローナル抗体は、当技術分野で公知であり、本明細書に開示および例示される標準的アッセイにより測定した際に、増強されたエフェクター機能をさらに持ち得る。
別の具体的な実施形態では、本発明は、マウス・ヒトのキメラ抗CD20モノクローナル抗体2H7を、少なくともつのアミノ酸残基の改変(例えば、置換、挿入、欠失)により操作することを包含し、この改変は、Fc領域のFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性を増大させる。別の具体的な実施形態では、抗CD20モノクローナル抗体2H7の改変はまたさらに、Fc領域のFcγRIIBに対する親和性を低下させ得る。さらに別の具体的な実施形態では、操作された抗CD20モノクローナル抗体2H7は、当技術分野で公知であり、本明細書に開示および例示される標準的アッセイにより測定した際に、増強されたエフェクター機能をさらに持ち得る。
別の具体的な実施形態では、本発明は、A33、CD5、CD11c、CD19、CD20、CD22、CD23、CD27、CD40、CD45、CD79a、CD79b、CD103、CTLA4、ErbB1、ErbB3、ErbB4、VEGF受容体、TNF−α受容体、TNF−β受容体またはTNF−γ受容体と結合する抗体(特に、抗体のヒト化型またはキメラ化型)を、少なくとも1つのアミノ酸残基の改変(例えば、置換、挿入、欠失)により操作することを包含し、この改変は、Fc領域のFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性を増大させる。別の具体的な実施形態では、A33、CD5、CD11c、CD19、CD20、CD22、CD23、CD27、CD40、CD45、CD79a、CD79b、CD103、CTLA4、ErbB1、ErbB3、ErbB4、VEGF受容体、TNF−α受容体、TNF−β受容体またはTNF−γ受容体と結合する抗体の改変はまたさらに、Fc領域のFcγRIIBに対する親和性を低下させ得る。さらに別の具体的な実施形態では、A33、CD5、CD11c、CD19、CD20、CD22、CD23、CD27、CD40、CD45、CD79a、CD79b、CD103、CTLA4、ErbB1、ErbB3、ErbB4、VEGF受容体、TNF−α受容体、TNF−β受容体またはTNF−γ受容体と結合する抗体はまたさらに、当技術分野で公知であり、本明細書で開示および例示される標準的アッセイで測定した際に、増強されたエフェクター機能を持ち得る。
特定の実施形態では、本発明は、それぞれATCC受託番号PTA−4591、PTA−4592、PTA−7610、PTA−5958、PTA−5961、PTA−5962、PTA−5960およびPTA−5959を有するクローン2B6、3H7、8B5.4.3、1D5、2E1、2H9、2D11もしくは1F2(ATCC, 10801 University Boulevard, Manassas, VA 02209-2011に寄託、全て参照により本明細に組み入れる)により産生されるモノクローナル抗体の重鎖可変ドメインならびに/または軽鎖可変ドメインを含む抗体(またはそのキメラ、ヒト化もしくは他の操作型)を操作することを包含する。具体的な実施形態では、本発明は、2B6、3H7または8B5.3.4の重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメインを含むヒト化抗体を操作することを包含する。別の具体的な実施形態では、本発明は、2B6、3H7または8B5.3.4のCDRを含むヒト化抗体を操作することを包含する。別の具体的な実施形態では、本発明は、配列番号1、配列番号2または配列番号3のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインと、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7または配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインとを含むヒト化抗体を操作することを包含する。別の具体的な実施形態では、本発明は、配列番号13のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインと、配列番号14のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインとを含む抗FcγRIIB抗体を操作することを包含する。別の具体的な実施形態では、本発明は、配列番号3のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインと、配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインとを含むヒト化抗FcγRIIB抗体を操作することを包含する。別の具体的な実施形態では、本発明は、配列番号9のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインと、配列番号10のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインとを含むヒト化抗FcγRIIB抗体を操作することを包含する。
別の具体的な実施形態では、本発明は、限定するものではないが、2002年8月12日出願の米国仮出願第60/403,266号、2003年8月14日出願の米国出願第10/643,857号、2004年4月16日出願の米国仮出願第60/562,804号、2004年6月21日出願の米国仮出願第60/582,044号、2004年6月21日出願の米国仮出願第60/582,045号、2004年12月15日出願の米国仮出願第60/636,663号および2005年2月11日出願の米国出願第10/524,134号に開示されている抗体のいずれかを含む、抗FcγRIIB抗体を、少なくとも1つのアミノ酸残基の改変(例えば、置換、挿入、欠失)により操作することを包含し、この改変は、Fc領域のFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性を増大させる。別の具体的な実施形態では、本発明は、限定するものではないが、2004年5月10日出願の米国仮出願第60/569,882号、2004年6月21日出願の米国仮出願第60/582、043号、および2005年5月10日出願の米国出願第11/126,978号に開示されている抗体のいずれかを含むヒト化抗FcγRIIB抗体を、少なくとも1つのアミノ酸残基の改変(例えば、置換、挿入、欠失)により操作することを包含し、この改変はFc領域のFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性を増大させる。上述の出願はそれぞれ参照によりその全内容を本明細書に組み入れる。本発明の方法に従って操作可能な抗FcγRIIB抗体の例(ヒト化されていてもされていなくてもよい)は、2B6モノクローナル抗体(ATCC受託番号PTA−4591)および3H7(ATCC受託番号PTA−4592)、1D5モノクローナル抗体(ATCC受託番号PTA−5958)、1F2モノクローナル抗体(ATCC受託番号PTA−5959)、2D11モノクローナル抗体(ATCC受託番号PTA−5960)、2E1モノクローナル抗体(ATCC受託番号PTA−5961)、8B5.3.4(ATCC受託番号PTA−7610)、および2H9モノクローナル抗体(ATCC受託番号PTA−5962)(全て10801 University Boulevard, Manassas, VA 02209-2011に寄託、参照により本明細に組み入れる)である。別の具体的な実施形態では、抗FcγRIIB抗体の改変はまたさらに、Fc領域のFcγRIIBに対する親和性を低下させ得る。さらに別の具体的な実施形態では、操作された抗FcγRIIB抗体は、当技術分野で公知であり、本明細書で開示および例示される標準的アッセイで測定した際に、増大したエフェクター機能をさらに持ち得る。
具体的な実施形態では、本発明は、それぞれATCC受託番号PTA−4591、PTA−4592およびPTA−7610を有するクローン2B6、3H7または8B5.3.4により産生される抗体の1以上の相補性決定領域(CDR)、好ましくは、6つ全てのCDR(例えば、重鎖CDR3)を含む抗FcγRIIB抗体を、本発明の方法に従って操作することを包含する。具体的な実施形態では、本発明の方法に従って操作された抗FcγRIIB抗体は、それぞれATCC受託番号PTA−5958、PTA−5961、PTA−5962、PTA−5960およびPTA−5959を有するクローン1D5、2E1、2H9、2D11および1F2により産生される抗体の1以上の相補性決定領域(CDR)、好ましくは、6つ全てのCDR(例えば、重鎖CDR3)を含む。別の実施形態では、本発明の方法に従って操作された抗FcγRIIB抗体は、それぞれATCC受託番号PTA−4591、PTA−4592およびPTA−7610を有するクローン2B6、3H7または8B5.3.4から産生されるマウスモノクローナル抗体と同じエピトープと結合し、かつ/または例えばELISAアッセイまたは他の適当な競合的イムノアッセイで測定した際に、それぞれATCC受託番号PTA−4591、PTA−4592およびPTA−7610を有するクローン2B6、3H7または8B5.3.4から産生されるマウスモノクローナル抗体と競合し、また、該抗体またはそのフラグメントがFcγRIIAと結合するよりも高い親和性でFcγRIIBと結合する。別の実施形態では、本発明の方法に従って操作された抗FcγRIIB抗体は、それぞれATCC受託番号PTA−5958、PTA−5961、PTA−5962、PTA−5960およびPTA−5959を有するクローン1D5、2E1、2H9、2D11および1F2から産生されるマウスモノクローナル抗体と同じエピトープと結合し、かつ/または例えばELISAアッセイまたは他の適当な競合的イムノアッセイで測定した際に、それぞれATCC受託番号PTA−5958、PTA−5961、PTA−5962、PTA−5960およびPTA−5959を有するクローン1D5、2E1、2H9、2D11および1F2から産生されるマウスモノクローナル抗体と競合し、また、該抗体またはそのフラグメントがFcγRIIAと結合するよりも高い親和性で、その可変領域を介してFcγRIIBと結合する。
本発明はまた、それぞれATCC受託番号PTA−4591、PTA−4592、PTA−7610、PTA−5958、PTA−5961、PTA−5962、PTA−5960およびPTA−5959を有するクローン2B6、3H7、8B5.3.4、1D5、2E1、2H9、2D11または1F2により産生されるマウスモノクローナル抗体の重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一の重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列を含む抗FcγRIIB抗体を操作することを包含する。本発明はさらに、それぞれATCC受託番号PTA−4591、PTA−4592、PTA−7610、PTA−5958、PTA−5961、PTA−5962、PTA−5960およびPTA−5959を有するクローン2B6、3H7、8B5.3.4、1D5、2E1、2H9、2D11または1F2により産生されるマウスモノクローナル抗体の1以上のCDRのアミノ酸配列と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一の1以上のCDRのアミノ酸配列を含む抗FcγRIIB抗体の操作を包含する。2つのアミノ酸配列の同一性%の決定は、BLASTタンパク質検索を含む当業者に公知の任意の方法によって行うことができる。
本発明はまた、それぞれATCC受託番号PTA−4591、PTA−4592、PTA−7610、PTA−5958、PTA−5961、PTA−5962、PTA−5960およびPTA−5959を有するクローン2B6、3H7、8B5.3.4、1D5、2E1、2H9、2D11または1F2により産生されるマウスモノクローナル抗体の1以上の可変ドメインのヌクレオチド配列とストリンジェント条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされる1以上の可変ドメインを含む1以上の抗FcγRIIB抗体の操作を包含する。好ましい実施形態では、本発明は、それぞれATCC受託番号PTA−4591、PTA−4592、PTA−7610、PTA−5958、PTA−5961、PTA−5962、PTA−5960およびPTA−5959を有するクローン2B6、3H7、8B5.3.4、1D5、2E1、2H9、2D11または1F2により産生されるマウスモノクローナル抗体の軽鎖可変鎖ドメインおよび/または重鎖可変鎖ドメインのヌクレオチド配列とストリンジェント条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされる軽鎖可変鎖ドメインおよび/または重鎖可変鎖ドメインを含む1以上の抗FcγRIIB抗体を操作することを包含する。別の好ましい実施形態では、本発明は、それぞれATCC受託番号PTA−4591、PTA−4592、PTA−7610、PTA−5958、PTA−5961、PTA−5962、PTA−5960およびPTA−5959を有するクローン2B6、3H7、8B5.3.4、1D5、2E1、2H9、2D11または1F2により産生されるマウスモノクローナル抗体の1以上のCDRのヌクレオチド配列とストリンジェント条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされる1以上のCDRを含む抗FcγRIIB抗体の操作を提供する。ストリンジェントハイブリダイゼーション条件としては、限定するものではないが、フィルターに結合させたDNAの、約45℃、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でのハイブリダイゼーションとその後の約50〜65℃、0.2×SSC/0.1%SDS中での1回以上の洗浄、フィルターに結合させたDNAの、約45℃、6×SSC中でのハイブリダイゼーションとその後の約60℃、0.1×SSC/0.2%SDS中での1回以上の洗浄などの高ストリンジェント条件、または当業者に公知の他のストリンジェントハイブリダイゼーション条件(例えば、参照により本明細書に組み入れるAusubel, F.M. et al., eds. 1989 Current Protocols in Molecular Biology, vol. 1, Green Publishing Associates, Inc. and John Wiley and Sons, Inc., NY 6.3.1〜6.3.6および2.10.3頁参照)が挙げられる。
好ましい実施形態では、本発明で操作される抗体は、当技術分野で公知の、もしくは本明細書に記載される任意の方法によりヒト化され、かつ/またはヒト化FcγRIIB特異的抗体もしくはヒト化CD20特異的抗体のCDR領域を含み、このCDRはそれぞれFcγRIIBまたはCD20に特異的なマウス抗体に由来する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるヒト化抗体は、限定するものではないが、アクセプター抗体、すなわち、ドナーモノクローナル抗体の結合特異性を保持するのに必要なヒト重鎖および/または軽鎖可変ドメインフレームワーク領域のアミノ酸欠失、挿入、改変をはじめとする変更を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるヒト化抗体のフレームワーク領域は、天然に存在するヒト抗体可変領域のフレームワーク領域の正確なアミノ酸配列から必ずしもならず、限定するものではないが、ヒト化抗体の特性を変更する、例えば、マウスFcγRIIBまたはCD20特異的抗体と同じ標的に特異的なヒト化抗体可変領域の結合特性を改良するアミノ酸欠失、挿入、改変をはじめとする種々の変更を含む。最も好ましい実施形態では、非ヒトフレームワーク残基の大規模な導入を避けるため、また、ヒトにおける本発明のヒト化抗体の免疫原性の最小化を保証するために、フレームワーク領域に最小数の変更を行う。ドナーモノクローナル抗体は好ましくは、FcγRIIBと結合するクローン2B6、3H7、8B5.3.4、1D5、2E1、2H9、2D11または1F2(それぞれATCC受託番号PTA−4591、PTA−4592、PTA−7610、PTA−5958、PTA−5961、PTA−5962、PTA−5960およびPTA−5959を有する)により産生されるモノクローナル抗体であるか、またはモノクローナル抗体は、リツキシマブまたは2H7などのCD20抗体である。
具体的な実施形態では、本発明は、レシピエント抗体のフレームワーク残基と、FcγRIIBと特異的に結合するドナーモノクローナル抗体(例えば、それぞれATCC受託番号PTA−4591、PTA−4592、PTA−7610、PTA−5958、PTA−5961、PTA−5962、PTA−5960およびPTA−5959を有するクローン2B6、3H7、8B5.3.4、1D5、2E1、2H9、2D11または1F2から産生されるモノクローナル抗体)に由来する残基とを含む重鎖可変領域ドメインを含むCDRグラフト抗体を操作することを包含する。別の具体的な実施形態では、本発明は、レシピエント抗体のフレームワーク残基と、FcγRIIBと特異的に結合するドナーモノクローナル抗体(例えば、クローン2B6、3H7、8B5.3.4、1D5、2E1、2H9、2D11または1F2から産生されるモノクローナル抗体)に由来する残基とを含む軽鎖可変領域ドメインを含むCDRグラフト抗体を操作することを包含する。
好ましくは、FcγRIIBヒト化抗体は、天然ヒトFcγRIIBの細胞外ドメインと結合する。これらの組合せのヒト化抗FcγRIIB抗体は、CDR1(配列番号15もしくは配列番号16)および/もしくはCDR2(配列番号17もしくは配列番号18)および/もしくはCDR3(配列番号19もしくは配列番号20)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、ならびに/またはCDR1(配列番号21もしくは配列番号22)および/もしくはCDR2(配列番号23、配列番号24、配列番号25もしくは配列番号26)および/もしくはCDR3(配列番号27もしくは配列番号28)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を持ち得る。
具体的な実施形態では、本発明は、配列番号1、配列番号2または配列番号3のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインと、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7または配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインとを有するヒト化抗FcγRIIB抗体の操作を包含する。
具体的な一実施形態では、本発明は、FcγRIIB抗体のVH領域が、ヒト生殖細胞系VHセグメントVH1−18(Matsuda et al., 1998, J. Exp. Med. 188: 2151062)およびJH6(Ravetch et al., 1981, Cell 27(3 Pt. 2): 583-91)由来のFRセグメントと、配列番号1、配列番号17または配列番号19のアミノ酸配列を有する2B6 VHの1以上のCDR領域とからなる、ヒト化抗FcγRIIB抗体を操作することを包含する。一実施形態において、2B6 VHは、配列番号1、配列番号3または配列番号29のアミノ酸配列を有する。別の具体的な実施形態では、ヒト化抗FcγRIIB抗体はさらに、ヒト生殖細胞系VLセグメントVK−A26(Lautner-Rieske et al., 1992, Eur. J. Immunol. 22: 1023-1029)およびJK4(Hieter et al., 1982, J. Biol. Chem. 257: 1516-22)のFRセグメントと、配列番号21、配列番号23、配列番号24、配列番号25および配列番号27のアミノ酸配列を有する2B6VLの1以上のCDR領域とからなる、VL領域を含む。一実施形態では、2B6 VLは、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8または配列番号30のアミノ酸配列を、任意で上記に挙げた2B6 VHの1つと組み合わせて有する。
いくつかの実施形態では、本発明の方法に従って操作された抗FcγRIIB抗体は、アミノ酸配列(H2B6VH−3)(配列番号3):
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYWIHWVRQAPGQGLEWIGVIDPSDTYPNYNKKFKGRVTMTVDTSTSTAYMELRSLRSDDTAVYYCARNGDSDYYSGMDYWGQGTTVTVSS
を含むVH鎖および/またはVHドメインを有する。
いくつかの実施形態では、本発明の方法に従って操作された抗FcγRIIB抗体は、アミノ酸配列(H2B6VL−5)(配列番号8):
EIVLTQSPDFQSVTPKEKVTFTCRTSQSIGTNIHWYQQKPDQSPKLLIKEVSESISGVPSRFSGSGSGTDFTLTINSLEAEDAATYYCQQSNTWPFTFGGGTKVEIK
を含むVL鎖および/またはVLドメインを有する。
いくつかの実施形態では、本発明の方法に従って操作された抗FcγRIIB抗体は、アミノ酸配列(H2B6VH−3):
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYWIHWVRQAPGQGLEWIGVIDPSDTYPNYNKKFKGRVTMTVDTSTSTAYMELRSLRSDDTAVYYCARNGDSDYYSGMDYWGQGTTVTVSS(配列番号3)
を含むVH鎖および/またはVHドメインと、アミノ酸配列(H2B6VL−5)(配列番号8):
EIVLTQSPDFQSVTPKEKVTFTCRTSQSIGTNIHWYQQKPDQSPKLLIKEVSESISGVPSRFSGSGSGTDFTLTINSLEAEDAATYYCQQSNTWPFTFGGGTKVEIK
を含むVL鎖および/またはVLドメインを有する。
いくつかの実施形態では、本発明の方法に従って操作された抗FcγRIIB抗体は、アミノ酸配列(8B5.3.4 VH、図2参照):
EVKLEESGGGLVQPGGSMKLSCEASGFTFSDAWMDWVRQSPEKGLEWVAEIRNKAKNHATYYAESVIGRFTISRDDSKSSVYLQMNSLRAEDTGIYYCGALGLDYWGQGTTLTVSS(配列番号9)
を含むVHドメインおよび/またはVH鎖を有する。
いくつかの実施形態では、本発明の方法に従って操作された抗FcγRIIB抗体は、アミノ酸配列(8B5.3.4 VL、図3参照)(配列番号10):
DIQMTQSPSSLLAALGERVSLTCRASQEISGYLSWLQQKPDGTIKRLIYAASTLDSGVPKRFSGSESGSDYSLTISSLESEDFADYYCLQYFSYPLTFGAGTKLELK
を含むVLドメインおよび/またはVL鎖を有する。
いくつかの実施形態では、本発明の方法に従って操作された抗FcγRIIB抗体は、アミノ酸配列(8B5.3.4 VH)(配列番号9、図2参照):
EVKLEESGGGLVQPGGSMKLSCEASGFTFSDAWMDWVRQSPEKGLEWVAEIRNKAKNHATYYAESVIGRFTISRDDSKSSVYLQMNSLRAEDTGIYYCGALGLDYWGQGTTLTVSS
を含むVHドメインおよび/またはVH鎖と、アミノ酸配列(8B5.3.4 VL、図3参照)(配列番号10):
DIQMTQSPSSLLAALGERVSLTCRASQEISGYLSWLQQKPDGTIKRLIYAASTLDSGVPKRFSGSESGSDYSLTISSLESEDFADYYCLQYFSYPLTFGAGTKLELK
を含むVLドメインおよび/またはVL鎖を有する。
別の具体的な実施形態では、本発明の方法に従って操作された抗FcγRIIB抗体は、FcγRIIB VH領域がヒト生殖細胞系VHセグメント由来のFRセグメントと、配列番号37のアミノ酸配列を有する3H7 VHのCDR領域とからなる、ヒト化3H7抗体である。別の具体的な実施形態では、ヒト化3H7抗体はさらに、ヒト生殖細胞系VLセグメントのFRセグメントと、配列番号7のアミノ酸配列を有する3H7VLのCDR領域とからなる、VL領域を含む。
特に、、本発明は、抗体が天然ヒトFcγRIIBの細胞外ドメインと免疫特異的に結合する抗FcγRIIB抗体の操作を包含し、該FcγRIIB抗体は、2B6、3H7または8B5.3.4のCDR配列を、以下の組合せ:VH CDR1およびVL CDR1;VH CDR1およびVL CDR2;VH CDR1およびVL CDR3;VH CDR2およびVL CDR1;VH CDR2およびVL CDR2;VH CDR2およびVL CDR3;VH CDR3およびVH CDR1;VH CDR3およびVL CDR2;VH CDR3およびVL CDR3;VH1 CDR1、VH CDR2およびVL CDR1;VH CDR1、VH CDR2およびVL CDR2;VH CDR1、VH CDR2およびVL CDR3;VH CDR2、VH CDR3およびVL CDR1;VH CDR2、VH CDR3およびVL CDR2;VH CDR2、VH CDR2およびVL CDR3;VH CDR1、VL CDR1およびVL CDR2;VH CDR1、VL CDR1およびVL CDR3;VH CDR2、VL CDR1およびVL CDR2;VH CDR2、VL CDR1およびVL CDR3;VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR2;VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR3;VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3およびVL CDR1;VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3およびVL CDR2;VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3およびVL CDR3;VH CDR1、VH CDR2、VL CDR1およびVL CDR2;VH CDR1、VH CDR2、VL CDR1およびVL CDR3;VH CDR1、VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR2;VH CDR1、VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR3;VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR2;VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR3;VH CDR2、VH CDR3、VL CDR2およびVL CDR3;VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR2;VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR3;VH CDR1、VH CDR2、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3;VH CDR1、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3;VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3;または本明細書に開示されるVH CDRとVL CDRの任意の組合せのいずれかで含む(あるいは、これからなる)。
具体的な実施形態では、抗FcγRIIBモノクローナル抗体は、334位でのグルタミン酸による改変、359位でのアスパラギンによる改変、および366位でのセリンによる改変(MgFc13);または316位でのアスパラギン酸による置換、378位でのバリンによる置換、および399位でのグルタミン酸による置換(MgFc27);または243位でのイソロイシンによる置換、379位でのロイシンによる置換、および420位でのバリンによる置換(MgFc29);または392位でのトレオニンによる置換および396位でのロイシンによる置換(MgFc38);または221位でのグルタミン酸による置換、270位でのグルタミン酸による置換、308位でのアラニンによる置換、311位でのヒスチジンによる置換、396位でのロイシンによる置換、および402位でのアスパラギン酸による置換(MgFc42);または410位でのヒスチジンによる置換、および396位でのロイシンによる置換(MgFc53);または243位でのロイシンによる置換、305位でのイソロイシンによる置換、378位でのアスパラギン酸による置換、404位でのセリンによる置換、および396位でのロイシンによる置換(MgFc54);または255位でのイソロイシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換(MgFc55);または370位でのグルタミン酸による置換、および396位でのロイシンによる置換(MgFc59);または243位でのロイシンによる置換、292位でのプロリンによる置換、300位でのロイシンによる置換、305位でのイソロイシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換(MgFc88);または243位でのロイシンによる置換、292位でのプロリンによる置換、300位でのロイシンによる置換、および396位でのロイシンによる置換(MgFc88A);または234位でのロイシンによる置換、292位でのプロリンによる置換、および300位でのロイシンによる置換(MgFc155);または243位でのロイシンによる置換、292位でのプロリンによる置換、および300位でのロイシンによる置換;または243位でのロイシンによる置換、292位でのプロリンによる置換、および396位でのロイシンによる置換;または243位でのロイシンによる置換、および292位でのプロリンによる置換;または243位でのロイシンによる置換;または273位でのフェニルアラニンによる置換を含む。
6.1.6 ポリペプチドおよび抗体コンジュゲート
変異型Fc領域を含む本発明の分子(すなわち、ポリペプチド、抗体)は、異種ポリペプチド(すなわち、無関係のポリペプチドまたはその一部、好ましくは少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個または少なくとも100個のアミノ酸のポリペプチド)と組換え的に融合させるか、または化学的に結合(共有結合と非共有結合の両方を含む)させて融合タンパク質を作製することができる。融合は必ずしも直接である必要はなく、リンカー配列を介して行なってもよい。
さらに、変異型Fc領域を含む本発明の分子(すなわち、ポリペプチド、抗体)は、治療薬または所与の生物学的応答を改変する薬物部分とコンジュゲートさせることができる。治療薬または薬物部分は古典的な化学治療薬に限定されると解釈されるべきでない。例えば、薬物部分は所望の生物学的活性を有するタンパク質またはポリペプチドであってもよい。このようなタンパク質としては、例えば、アブリン、リシンA、シュードモナス外毒素(すなわち、PE−40)、またはジフテリア毒素、リシン、ゲロニン、およびアメリカヤマゴボウ(pokeweed)抗ウイルスタンパク質などの毒素;腫瘍壊死因子などのタンパク質;限定するものではないが、α−インターフェロン(IFN−α)、β−インターフェロン(IFN−β)を含むインターフェロン;神経増殖因子(NGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)、アポトーシス薬(例えば、TNF−α、TNF−β、PCT公開WO97/33899に開示されているAIM I)、AIM II(PCT公開WO97/34911)、Fasリガンド(Takahashi et al., J. Immunol., 6: 1567-1574, 1994)、およびVEGI(PCT公開WO99/23105)、血栓薬または抗血管新生薬(例えば、アンギオスタチンもしくはエンドスタチン)、または生物反応修飾薬、例えば、リンホカイン(例えば、インターロイキン−1(「IL−1」)、インターロイキン−2(「IL−2」)、インターロイキン−6(「IL−6」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM−CSF」)、および顆粒球コロニー刺激因子(「G−CSF」)、マクロファージコロニー刺激因子(「M−CSF」)、または増殖因子、例えば、成長ホルモン(「GH」);プロテアーゼ、またはリボヌクレアーゼが挙げられる。
本発明の分子(すなわち、ポリペプチド、抗体)は、精製を容易にするためのマーカー配列、例えばペプチドと融合させることができる。好ましい実施形態では、マーカーアミノ酸配列はヘキサ−ヒスチジンペプチド、例えば、とりわけ、pQEベクター(QIAGEN, Inc., 9259 Eton Avenue, Chatsworth, CA, 91311)中に提供されるタグであり、これらの多くは市販されている。Gentz et al., 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86: 821-824に記載されているように、例えば、ヘキサ−ヒスチジンは融合タンパク質の便宜な精製を提供する。精製に有用な他のペプチドタグとしては、限定するものではないが、インフルエンザヘマグルチニンタンパク質に由来するエピトープに相当するヘマグルチニン「HA」タグ(Wilson et al., Cell, 37: 767 1984)および「flag」タグ(Knappik et al., Biotechniques, 17(4): 754-761, 1994)が挙げられる。
さらなる融合タンパク質は、遺伝子シャッフリング、モチーフシャッフリング、エキソンシャッフリングおよび/またはコドンシャッフリング(ひとまとめに「DNAシャッフリング」と呼ぶ)の技術を介して作製することができる。DNAシャッフリングを用いて本発明の分子の活性を変更することができる(例えば、より高い親和性およびより低い解離速度を持つ抗体)。一般に、米国特許第5,605,793号;同第5,811,238号;同第5,830,721号;同第5,834,252号;および同第5,837,458号、ならびにPatten et al., 1997, Curr. Opinion Biotechnol. 8: 724-33; Harayama, 1998, Trends Biotechnol. 16: 76; Hansson et al., 1999, J. Mol. Biol. 287: 265;ならびにLorenzo and Blasco, 1998, BioTechniques 24: 308参照(これらの特許および刊行物はそれぞれ参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)。変異型Fc領域を含む本発明の分子、または本発明の分子をコードする核酸は、組換えに先立って、エラープローンPCR(error-prone PCR)による無作為突然変異誘発、無作為ヌクレオチド挿入または他の方法を施すことによりさらに変更することができる。本発明の分子をコードするポリヌクレオチドの1以上の部分を、1以上の異種分子の1以上の成分、モチーフ、セクション、部分、ドメイン、フラグメントなどと組換えることができる。
本発明はまた、診断薬もしくは治療薬とコンジュゲートされた、または血清半減期の延長が望まれ、および/もしくは具体的な細胞のサブセットにターゲッティングされる他のいずれかの分子とコンジュゲートされた、変異型Fc領域を含む本発明の分子(すなわち、抗体、ポリペプチド)を包含する。本発明の分子を診断に用いて、例えば、所与の治療計画の効力を調べるために、臨床試験手順の一部として疾患、障害または感染の発生または進行をモニタリングすることができる。検出は、本発明の分子を検出可能な物質とカップリングさせることにより容易にすることができる。検出可能な物質の例としては、種々の酵素、補欠分子団、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、放射性物質、陽電子放出金属、および非放射性常磁性金属イオンが挙げられる。検出可能な物質は、当技術分野で公知の技術を用い、本発明の分子と直接的にまたは中間体(例えば、当技術分野で公知のリンカー)を介して間接的にカップリングまたはコンジュゲートさせることができる。例えば、本発明に従って診断薬として使用される抗体にコンジュゲートさせることができる金属イオンに関しては、米国特許第4,741,900号を参照。このような診断および検出は、本発明の分子を、限定するものではないが、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼをはじめとする種々の酵素;限定するものではないが、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンなどの補欠分子団複合体;限定するものではないが、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリトリンなどの蛍光物質;限定するものではないが、ルミノールなどの発光物質;限定するものではないが、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンなどの生物発光物質;限定するものではないが、ビスマス(213Bi)、炭素(14C)、クロム(51Cr)、コバルト(57Co)、フッ素(18F)、ガドリニウム(153Gd、159Gd)、ガリウム(68Ga、67Ga)、ゲルマニウム(68Ge)、ホルミウム(166Ho)、インジウム(115In、113In、112In、111In)、ヨウ素(131I、125I、123I、121I)、ランタン(140La)、ルテチウム(177Lu)、マンガン(54Mn)、モリブデン(99Mo)、パラジウム(103Pd)、リン(32P)、プラセオジム(142Pr)、プロメチウム(149Pm)、レニウム(186Re、188Re)、ロジウム(105Rh)、ルテニウム(97Ru)、サマリウム(153Sm)、スカンジウム(47Sc)、セレン(75Se)、ストロンチウム(85Sr)、硫黄(35S)、テクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、スズ(113Sn、117Sn)、トリチウム(3H)、キセノン(133Xe)、イッテルビウム(169Yb、175Yb)、イットリウム(90Y)、亜鉛(65Zn)などの放射性物質;種々の陽電子放出断層撮影に用いる陽電子放出金属、および非放射性常磁性金属イオンを含むが、これらに限定されない、検出可能な物質とカップリングすることにより達成することができる。
変異型Fc領域を含む本発明の分子(すなわち、ポリペプチド、抗体)は、細胞増殖抑制薬または殺細胞薬などの細胞毒素、治療薬または放射性元素(例えば、α線放射体、γ線放射体など)などの治療部分とコンジュゲートすることができる。細胞毒素または細胞傷害薬としては、細胞に有害であるいずれの薬剤も含まれる。例としては、パクリタキセル、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロールおよびピューロマイシン、ならびにその類似体またはホモログが挙げられる。治療薬としては、限定するものではないが、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキセート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびシスジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(旧名称ダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(旧名称アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシンおよびアントラマイシン(AMC))、および抗有糸分裂薬(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)が挙げられる。
さらに、本発明の分子は、放射性金属イオン(上記放射性物質の例を参照)をコンジュゲートするのに有用な放射性物質または大環状キレート剤などの治療部分とコンジュゲートさせることができる。ある特定の実施形態では、大環状キレート剤は、リンカー分子を介して抗体と結合させることができる1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N’,N’’,N’’’−四酢酸(DOTA)である。このようなリンカー分子は当技術分野で一般に公知であり、Denardo et al., 1998, Clin Cancer Res. 4: 2483-90; Peterson et al., 1999, Bioconjug. Chem. 10: 553;およびZimmerman et al., 1999, Nucl. Med. Biol. 26: 943-50(それぞれ参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)に記載されている。
このような治療部分を抗体とコンジュゲートさせる技術は周知である。例えば、Arnon et al., “Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy”, Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy, Reisfeld et al. (eds.), 1985, pp. 243-56, Alan R. Liss, Inc.); Hellstrom et al., “Antibodies For Drug Delivery”, Controlled Drug Delivery (2nd Ed.), Robinson et al. (eds.), 1987, pp. 623-53, Marcel Dekker, Inc.); Thorpe, “Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review”, Monoclonal Antibodies '84: Biological And Clinical Applications, Pinchera et al. (eds.), 1985, pp. 475-506); “Analysis, Results, And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy”, Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy, Baldwin et al. (eds.), 1985, pp. 303-16, Academic Press;およびThorpe et al., Immunol. Rev., 62: 119-58, 1982参照。
一実施形態において、本発明の分子が変異型Fc領域を含む抗体である場合、このような抗体は、それにコンジュゲートされた治療部分を伴ってまたは伴わずに、単独で投与することもできるし、または治療的処置として用いるための細胞傷害性因子および/またはサイトカインと組み合わせて投与することもできる。あるいは、本発明の抗体は、第2の抗体とコンジュゲートさせて、米国特許第4,676,980号(参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)においてSegalにより記載されているような抗体へテロコンジュゲートを作製することもできる。本発明の抗体はまた、固相支持体に結合させてもよく、これはイムノアッセイまたは標的抗原の精製に特に有用である。このような固相支持体としては、限定するものではないが、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルまたはポリプロピレンが挙げられる。
6.2 変異型Fc領域を有する分子のFcγRIII結合の増強に関するスクリーニングおよびその特性決定
好ましい実施形態では、変更されたFcγR親和性(例えば、増強されたFcγRIIIA親和性)を有する変異型Fc領域を含む分子のスクリーニングおよび同定は、本明細書に記載されるように、または米国特許出願公開2005/0037000および2005/0064514、ならびに国際特許出願公開WO04/063351(それぞれ参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)に開示されているように、酵母ディスプレイ技術を、1以上の生化学的アッセイと組み合わせて、好ましくはハイスループット様式で行う。これら1以上の生化学的アッセイは、Fc−FcγR相互作用、すなわち、Fc領域とFcγRとの特異的結合を同定するための当技術分野で公知のいずれのアッセイであってもよく、限定するものではないが、ELISAアッセイ、表面プラズモン共鳴アッセイ、免疫沈降アッセイ、アフィニティークロマトグラフィーおよび平衡透析が含まれる。いくつかの実施形態では、変更されたFcγR親和性(例えば、増強されたFcγRIIIA親和性)を有する変異型Fc領域を含む分子のスクリーニングおよび同定は、本明細書に記載される酵母ディスプレイ技術を、1以上の機能的アッセイと組み合わせて、好ましくはハイスループット様式で用いて実施する。機能的アッセイは、本明細書の第6.2.7節に記載されているものなど、1以上のFcγR媒介エフェクター細胞機能を特性決定するための当技術分野で公知のいずれのアッセイであってもよい。本発明の方法に従って用いることのできるエフェクター細胞機能の例としては、限定するものではないが、抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)、抗体依存性食作用、食作用、オプソニン化、オプソニン食作用(opsonophagocytosis)、細胞結合、ロゼット形成、C1q結合、および補体依存性細胞媒介細胞傷害作用が挙げられる。いくつかの実施形態では、変更されたFcγR親和性(例えば、増強されたFcγRIIIA親和性)を有する変異型Fc領域を含む分子のスクリーニングおよび同定は、本明細書に記載される酵母ディスプレイ技術を、1以上の生化学的アッセイと組み合わせて、または1以上の機能的アッセイと並行して、好ましくはハイスループット様式で実施する。
Fc領域とFcγRとの「特異的結合」とは、Fc領域と、例えば、ELISAまたは表面プラズモン共鳴アッセイ(例えば、BIAcore(商標))を用いて測定した際に、モノマーFcγRIIIAの場合には少なくとも約150nM、ダイマーFcγRIIBの場合には少なくとも約60nMの親和定数を有する具体的なFcγRとの相互作用を指す。Fc領域のモノマーFcγRIIIAに対する親和定数は150nM、200nMまたは300nMであり得る。Fc領域のダイマーFcγRIIBに対する親和定数は60nM、80nM、90nMまたは100nMであり得る。本発明の方法で用いるダイマーFcγRIIBは、当業者に公知の方法を用いて作製することができる。典型的には、FcγRIIBの細胞外領域を、ダイマー形成が可能な異種ポリペプチドに共有結合させ、その結果、得られる融合タンパク質がダイマーとなる(例えば、2003年1月13日出願の米国出願60/439,709(代理人整理番号11183−005−888)(参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)を参照)。特異的相互作用は一般に、例えば、ヒトまたは他の脊椎動物もしくは無脊椎動物などの生物個体中に見られる条件、ならびに哺乳動物細胞または他の脊椎動物もしくは無脊椎動物由来の細胞を維持および培養するために用いられる条件などの細胞培養に見られる条件をはじめとする生理学的条件下で安定である。
具体的な実施形態では、変異型Fc領域と変更されたFcγR親和性を含む分子のスクリーニングおよび同定は、変異型Fc領域を含む分子を酵母表面に提示すること、およびFc−FcγR相互作用の測定のための生化学的アッセイ、好ましくはELISAに基づくアッセイを用いて、変異型Fc領域を含む分子とFcγR(1または複数)との結合を同定することを含む。ひと度、変異型Fc領域を含む分子が、少なくとも1つの生化学的アッセイ、例えばELISAアッセイによって、1以上のFcγRとのその相互作用に関して特性決定され、1以上のFcγRに対して変更された親和性を持つことが判定されれば、当技術分野で公知の標準的組換えDNA技術を用いて、その分子を完全な免疫グロブリン中に導入し、さらに生化学的に特性決定するために、この変異型Fc領域を含む免疫グロブリンを哺乳動物細胞中で発現させることができる。本発明の変異型Fc領域が導入される(例えば、免疫グロブリンのFc領域を置換する)免疫グロブリンは、限定するものではないが、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、ヒト化抗体、およびキメラ抗体をはじめとするいずれの免疫グロブリンであってもよい。好ましい実施形態では、変異型Fc領域を、細胞表面受容体、腫瘍抗原または癌抗原に特異的な免疫グロブリンに導入する。本発明の変異型Fc領域が導される免疫グロブリンは、癌または腫瘍抗原と特異的に結合することができ、限定するものではないが、例えば、KS 1/4汎癌腫抗原(Perez and Walker, 1990, J. Immunol. 142: 3662-3667; Bumal, 1988, Hybridoma 7(4): 407-415)、卵巣癌抗原(CA125)(Yu et al., 1991, Cancer Res. 51(2): 468-475)、前立腺酸性ホスフェート(prostatic acid phosphate)(Tailor et al., 1990, Nucl. Acids Res. 18(16): 4928)、前立腺特異的抗原(Henttu and Vihko, 1989, Biochem. Biophys. Res. Comm. 160(2): 903-910; Israeli et al., 1993, Cancer Res. 53: 227-230)、黒色腫関連抗原p97(Estin et al., 1989, J. Natl. Cancer Instit. 81(6): 445-446)、黒色腫抗原gp75(Vijayasardahl et al., 1990, J. Exp. Med. 171(4): 1375-1380)、高分子量黒色腫抗原(HMW−MAA)(Natali et al., 1987, Cancer 59: 55-63; Mittelman et al., 1990, J. Clin. Invest. 86: 2136-2144)、前立腺特異的膜抗原、癌胎児性抗原(CEA)(Foon et al., 1994, Proc. Am. Soc. Clin. Oncol. 13: 294)、多型性上皮ムチン抗原、ヒト乳脂肪球抗原、結直腸腫瘍関連抗原(例えば、CEA、TAG−72(Yokata et al., 1992, Cancer Res. 52: 3402-3408)、C017−1A(Ragnhammar et al., 1993, Int. J. Cancer 53: 751-758); GICA 19−9(Herlyn et al., 1982, J. Clin. Immunol. 2: 135)、CTA−1およびLEA)、バーキットリンパ腫抗原−38.13、CD19(Ghetie et al., 1994, Blood 83: 1329-1336)、ヒトBリンパ腫抗原−CD20(Reff et al., 1994, Blood 83: 435-445)、CD33(Sgouros et al., 1993, J. Nucl. Med. 34: 422-430)、黒色腫特異的抗原(例えば、ガングリオシドGD2(Saleh et al., 1993, J. Immunol., 151, 3390-3398)、ガングリオシドGD3(Shitara et al., 1993, Cancer Immunol. Immunother. 36: 373-380)、ガングリオシドGM2(Livingston et al., 1994, J. Clin. Oncol. 12: 1036-1044)、ガングリオシドGM3(Hoon et al., 1993, Cancer Res. 53: 5244-5250))、腫瘍特異的移植型細胞表面抗原(TSTA)(例えば、DNA腫瘍ウイルスのT抗原およびRNA腫瘍ウイルスのエンベロープ抗原をはじめとするウイルス誘発性腫瘍抗原)、腫瘍胎児抗原−α−フェトプロテイン(例えば、結腸のCEA、膀胱腫瘍胎児抗原(Hellstrom et al., 1985, Cancer. Res. 45: 2210-2188))、分化抗原(例えば、ヒト肺癌抗原L6、L20(Hellstrom et al., 1986, Cancer Res. 46: 3917-3923))、線維肉腫の抗原、ヒト白血病T細胞抗原−Gp37(Bhattacharya-Chatterjee et al., 1988, J. of Immun. 141: 1398-1403)、ネオ糖タンパク質、スフィンゴ脂質、乳癌抗原(例えば、EGFR(上皮増殖因子受容体))、HER2抗原(pl85HER2)、多型性上皮ムチン(PEM)(Hilkens et al., 1992, Trends in Bio. Chem. Sci. 17: 359)、悪性ヒトリンパ球抗原−APO−1(Bernhard et al., 1989, Science 245: 301-304)、分化抗原(Feizi, 1985, Nature 314: 53-57)、例えば、胎児赤血球に見られるI抗原;成体赤血球、着床前の胚に見られる一次内胚葉I抗原;胃腺癌に見られるI(Ma);乳房上皮に見られるM18、M39;骨髄細胞に見られるSSEA−1;結腸直腸癌に見られるVEP8、VEP9、Myl、VIM−D5、D156−22;TRA−1−85(血液型H);結腸腺癌に見られるC14;肺腺癌に見られるF3;胃癌に見られるAH6;胚性癌細胞に見られるYハプテンであるLey;TL5(血液型A);A431細胞に見られるEGF受容体;膵癌に見られるE1系列(血液型B);胚性癌細胞に見られるFC10.2;胃腺癌抗原、腺癌に見られるCO−514(血液型Lea);腺癌に見られるNS−10;CO−43(血液型Leb);A431細胞のEGF受容体に見られるG49;結腸腺癌に見られるMH2(血液型ALeb/Ley);結腸癌、胃癌ムチンに見られる19.9;骨髄細胞に見られるT5A7;黒色腫に見られるR24;胚性癌細胞に見られる4.2、GD3、D1.1、OFA−1、GM2、OFA−2、GD2およびM1:22:25:8;ならびに4〜8細胞期の胚に見られるSSEA−3およびSSEA−4が挙げられる。一実施形態では、抗原は皮膚T細胞リンパ腫のペプチドに由来するT細胞受容体である(Edelson, 1998, The Cancer Journal 4: 62参照)。
本発明は特に、Fc変異体とFcγRとの結合が、以下のような癌抗原を配置する細胞を標的とする細胞エフェクターを活性化する実施形態に関する:A33(結腸直腸癌抗原;Almqvist, Y. 2006, Nucl Med Biol. Nov; 33(8): 991-998);B1(Egloff, A.M. et al. 2006, Cancer Res. 66(1): 6-9);BAGE(Bodey, B. 2002 Expert Opin Biol Ther. 2(6): 577-84);β−カテニン(Prange W. et al. 2003 J Pathol. 201(2): 250-9);CA125(Bast, R.C. Jr. et al. 2005 Int J Gynecol Cancer 15 Suppl 3: 274-81);CD5(Calin, G.A. et al. 2006 Semin Oncol. 33(2): 167-73);CD19(Troussard, X. et al. 1998 Hematol Cell Ther. 40(4): 139-48);CD20(Thomas, D.A. et al. 2006 Hematol Oncol Clin North Am. 20(5): 1125-36);CD22(Kreitman, R.J. 2006 AAPS J. 18; 8(3): E532-51);CD23(Rosati, S. et al. 2005 Curr Top Microbiol Immunol. 5; 294: 91-107);CD25(Troussard, X. et al. 1998 Hematol Cell Ther. 40(4): 139-48);CD27(Bataille, R. 2006 Haematologica 91(9): 1234-40);CD28(Bataille, R. 2006 Haematologica 91(9): 1234-40);CD36(Ge, Y. 2005 Lab Hematol. 11(1): 31-7);CD40/CD154(Messmer, D. et al. 2005 Ann N Y Acad Sci. 1062: 51-60);CD45(Jurcic, J.G. 2005 Curr Oncol Rep. 7(5):339-46);CD56(Bataille, R. 2006 Haematologica 91(9): 1234-40);CD79a/CD79b(Troussard, X. et al. 1998 Hematol Cell Ther. 40(4): 139-48; Chu, P.G. et al. 2001 Appl Immunohistochem Mol Morphol. 9(2): 97-106);CD103(Troussard, X. et al. 1998 Hematol Cell Ther. 40(4): 139-48);CDK4(Lee, Y.M. et al. 2006 Cell Cycle 5(18): 2110-4);CEA(癌胎児性抗原;Mathelin, C. 2006 Gynecol Obstet Fertil. 34(7-8): 638-46; Tellez-Avila, F.I. et al. 2005 Rev Invest Clin. 57(6): 814-9);CTLA4(Peggs, K.S. et al. 2006 Curr Opin Immunol. 18(2): 206-13);EGF−R(上皮細胞増殖因子受容体;Adenis, A. et al. 2003 Bull Cancer. 90 Spec No:S228-32);Erb(ErbB1;ErbB3;ErbB4;Zhou, H. et al. 2002 Oncogene 21(57): 8732-40; Rimon, E. et al. 2004 Int J Oncol. 24(5): 1325-38);GAGE(GAGE−1;GAGE−2;Akcakanat, A. et al. 2006 Int J Cancer. 118(1): 123-8);GD2/GD3/GM2(Livingston, P.O. et al. 2005 Cancer Immunol Immunother. 54(10): 1018-25);gp100(Lotem, M. et al. 2006 J Immunother. 29(6): 616-27);HER−2/neu(Kumar, Pal S et al. 2006 Semin Oncol. 33(4): 386-91);ヒト パピローマウイルス−E6/ヒトパピローマウイルス−E7(DiMaio, D. et al. 2006 Adv Virus Res. 66: 125-59);KSA(17−1A)(Ragupathi, G. 2005 Cancer Treat Res. 123: 157-80);MAGE(MAGE−1;MAGE−3(Bodey, B. 2002 Expert Opin Biol Ther. 2(6): 577-84);MART(Kounalakis, N. et al. 2005 Curr Oncol Rep. 7(5): 377-82);MUC−1(Mathelin, C. 2006 Gynecol Obstet Fertil. 34(7-8): 638-46);MUM−1(Castelli, C. et al. 2000 J Cell Physiol. 182(3): 323-31);N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(Dennis, J.W. 1999 Biochim Biophys Acta. 6; 1473(1): 21-34);p15(Gil, J. et al. 2006 Nat Rev Mol Cell Biol. 7(9): 667-77);PSA(前立腺特異的抗原;Cracco, C.M. et al. 2005 Minerva Urol Nefrol. 57(4): 301-11);PSMA(Ragupathi, G. 2005 Cancer Treat Res. 123:157-80);sTn(Holmberg, L.A.2001 Expert Opin Biol Ther. 1(5): 881-91);TNF−受容体(TNF−α受容体、TNF−β受容体またはTNF−γ受容体;van Horssen, R. et al. 2006 Oncologist. 11(4): 397-408; Gardnerova, M. et al. 2000 Curr Drug Targets. 1(4): 327-64);またはVEGF受容体(O’Dwyer. P.J. 2006 Oncologist. 11(9): 992-8)。また、具体的な感染因子、例えば、限定するものではないが、ウイルス因子(例えば、限定するものではないが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、インフルエンザ、ヒトパピローマウイルス(HPV)、手足口病(コクサッキーウイルス)、狂犬病ウイルス、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ならびにロタウイルス、アデノウイルス、カリシウイルス、アストロウイルスおよびノーウォークウイルスをはじめとする胃腸炎の原因因子);細菌因子(例えば、限定するものではないが、大腸菌(E. coli)、ネズミチフス菌(Salmonella thyphimurium)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、インフルエンザ菌(Hemophilus influenzae)、志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)および肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae));真菌因子;ならびにジアルジア(Giardia)などの寄生虫に特異的な抗原も注目される。
いくつかの実施形態では、本発明の変異型Fc領域を、抗フルオレセインモノクローナル抗体4−4−20(参照によりその全内容を本明細書に組み入れるKranz et al., 1982 J. Biol. Chem. 257(12): 6987-6995)に導入する。他の実施形態では、本発明の変異型Fc領域を、B細胞上のCD20細胞表面リンタンパク質を認識するマウス−ヒトキメラ抗CD20モノクローナル抗体2H7(参照によりその全内容を本明細書に組み入れるLiu et al., 1987, Journal of Immunology, 139: 3521-6)に導入する。さらに他の実施形態では、本発明の変異型Fc領域を、Carter et al. (1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 4285-9;参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)が記載しているようなヒト上皮増殖因子受容体2(p185 HER2)に対するヒト化抗体(Ab4D5)に導入する。さらに他の実施形態では、本発明の変異型Fc領域を、ヒト化抗TAG72抗体(CC49)(Sha et al., 1994 Cancer Biother. 9(4): 341-9)に導入する。他の実施形態では、本発明の変異型Fc領域を、リンパ腫の治療に使用されるリツキサン(Rituxan)に導入する。
別の具体的な実施形態では、本発明は、限定するものではないが、米国特許出願公開2005/02157667;同2004/0185045;同2005/0260213;または同2006/013810;国際特許出願公開WO2005/110474またはWO2005/115452;2005年12月15日出願の米国特許出願第11/305,787号;または仮出願第60/809,116号;同第60/816,126号;または同第60/816,688号(それぞれ2006年5月26日、2006年6月23または2006年6月26日出願)に開示されているいずれかの抗体を含む抗FcγRIIB抗体を、少なくとも1つのアミノ酸残基の改変(例えば、置換、挿入、欠失)により操作することを包含し、この改変は、そのFc領域のFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性を増大させる。上記の参照文献はそれぞれ参照によりそれらの全内容を本明細書に組み入れる。本発明の方法に従って操作することができる抗FcγRIIB抗体(ヒト化されていてもされていなくてもよい)の例は、2B6モノクローナル抗体(ATCC受託番号PTA−4591)および3H7(ATCC受託番号PTA−4592)、ID5モノクローナル抗体(ATCC受託番号PTA−5958)、1F2モノクローナル抗体(ATCC受託番号PTA−5959)、2D11モノクローナル抗体(ATCC受託番号PTA−5960)、2E1モノクローナル抗体(ATCC受託番号PTA−5961)、および2H9モノクローナル抗体(ATCC受託番号PTA−5962)である(全て10801 University Boulevard, Manassas, VA 02209-2011に寄託、全て参照により本明細に組み入れる)。別の具体的な実施形態では、抗FcγRIIB抗体の改変はまたさらに、そのFc領域のFcγRIIBに対する親和性を低下させる。さらに別の具体的な実施形態では、操作された抗FcγRIIB抗体は、当技術分野で公知であり、本明細書で開示および例示される標準的アッセイにより測定した際に、増強されたエフェクター機能をさらに持ち得る。いくつかの実施形態では、本発明の変異型Fc領域を、限定するものではないが、エルビタックス(Erbitux)(商標)(IMC−C225としても知られる)(ImClone Systems Inc.)(EGFRに対するキメラ化モノクローナル抗体);HERCEPTIN(登録商標)(トラスツズマブ(Trastuzumab))(Genentech, CA)(転移性乳癌患者の治療用のヒト化抗HER2モノクローナル抗体);REOPRO(登録商標)(アブシキシマブ(abciximab))(Centocor)(血餅形成抑制のための血小板上の抗糖タンパク質IIb/IIIa受容体);ZENAPAX(登録商標)(ダクリズマブ(daclizumab))(Roche Pharmaceuticals, Switzerland)(急性腎同種移植片拒絶の抑制のための免疫抑制性ヒト化抗CD25モノクローナル抗体)をはじめとする、癌抗原または細胞表面受容体に特異的な治療用モノクローナル抗体に導入する。他の例としては、ヒト化抗CD18F(ab’)2(Genentech);CDP860(ヒト化抗CD18F(ab’)2)(Celltech, UK);PR0542(CD4と融合した抗HIV gp120抗体)(Progenics/Genzyme Transgenics);C14(抗CD14抗体)(ICOS Pharm);ヒト化抗VEGF IgG1抗体(Genentech);OVAREX(商標)(マウス抗CA125抗体)(Altarex);PANOREX(商標)(マウス抗17−IA細胞表面抗原IgG2a抗体)(Glaxo Wellcome/Centocor);IMC−C225(キメラ抗EGFR IgG抗体)(ImClone System);VITAXIN(商標)(ヒト化抗αVβ3インテグリン抗体)(Applied Molecular Evolution/MedImmune);Campath 1H/LDP−03(ヒト化抗CD52 IgG1抗体)(Leukosite);Smart M195(ヒト化抗CD33 IgG抗体)(Protein Design Lab/Kanebo);リツキサン(RITUXAN)(商標)(キメラ抗CD20 IgG1抗体)(IDEC Pharm/Genentech, Roche/Zettyaku);LYMPHOCIDE(商標)(ヒト化抗CD22 IgG抗体)(Immunomedics);Smart ID10(ヒト化抗HLA抗体)(Protein Design Lab);ONCOLYM(商標)(Lym−1)(放射性標識マウス抗HLA DR抗体)(Techniclone);抗CD11a(ヒト化IgG1抗体)(Genetech/Xoma);ICM3(ヒト化抗ICAM3抗体)(ICOS Pharm);IDEC−114(霊長類化抗CD80抗体)(IDEC Pharm/Mitsubishi);ZEVALIN(商標)(放射性標識マウス抗CD20抗体)(IDEC/Schering AG);IDEC−131(ヒト化抗CD40L抗体)(IDEC/Eisai);IDEC−151(霊長類化抗CD4抗体)(IDEC);IDEC−152(霊長類化抗CD23抗体)(IDEC/Seikagaku);SMART抗CD3(ヒト化抗CD3IgG)(Protein Design Lab);5G1.1(ヒト化抗補体因子5(C5)抗体)(Alexion Pharm);IDEC−151(霊長類化抗CD4IgG1抗体)(IDECPharm/SmithKline Beecham);MDX−CD4(ヒト抗CD4IgG抗体)(Medarex/Eisai/Genmab);CDP571(ヒト化抗TNF−αIgG4抗体)(Celltech);LDP−02(ヒト化抗α4β7抗体)(LeukoSite/Genentech);OrthoClone OKT4A(ヒト化抗CD4 IgG抗体)(Ortho Biotech);ANTOVA(商標)(ヒト化抗CD40L IgG抗体)(Biogen);ANTEGREN(商標)(ヒト化抗VLA−4 IgG抗体)(Elan);MDX−33(ヒト抗CD64(FcγR)抗体)(Medarex/Centeon);rhuMab−E25(ヒト化抗IgE IgG1抗体)(Genentech/Norvartis/Tanox Biosystems);IDEC−152(霊長類化抗CD23抗体)(IDEC Pharm);ABX−CBL(マウス抗CD−147 IgM抗体)(Abgenix);BTI−322(ラット抗CD2 IgG抗体)(Medimmune/Bio Transplant);Orthoclone/OKT3(マウス抗CD3 IgG2a抗体)(ortho Biotech);SIMULECT(商標)(キメラ抗CD25 IgG1抗体)(Novartis Pharm);LDP−01(ヒト化抗β2−インテグリンIgG抗体)(LeukoSite);抗LFA−1(マウス抗CD18 F(ab’)2)(Pasteur-Merieux/Immunotech);CAT−152(ヒト抗TGF−β2抗体)(Cambridge Ab Tech);およびCorsevin M(キメラ抗因子VII抗体)(Centocor)がある。
本発明の変異型Fc領域は、好ましくは免疫グロブリンに関して、1以上の生化学的アッセイおよび/または1以上の機能的アッセイを用い、好ましくはハイスループット様式で、さらに特性決定することができる。いくつかの別の実施形態では、本発明の変異型Fc領域は、免疫グロブリンに導入せず、これを1以上の生化学的アッセイおよび/または1以上の機能的アッセイを用い、好ましくはハイスループット様式で、さらに特性決定する。この1以上の生化学的アッセイは、限定するものではないが、ELISAアッセイ、ならびにFc−FcγR相互作用の動態パラメータを決定するための表面プラズモン共鳴アッセイ、例えばBIAcoreアッセイをはじめとする、Fc−FcγR相互作用を同定するための当技術分野で公知のいずれのアッセイであってもよい。この1以上の機能的アッセイは、当業者に公知であるか、または本明細書に記載される1以上のFcγR媒介エフェクター細胞機能を特性決定するための、当技術分野で公知のいずれのアッセイであってもよい。具体的な実施形態では、変異型Fc領域を含む免疫グロブリンを、1種以上のFcγR、例えば、FcγRIIIA、FcγRIIA、FcγRIIAとの結合に関してELISAアッセイで、その後、1以上のADCCアッセイでアッセイする。いくつかの実施形態では、変異型Fc領域を含む免疫グロブリンを、表面プラズモン共鳴に基づくアッセイ、例えばBIAcoreを用いてさらにアッセイする。表面プラズモン共鳴に基づくアッセイは当技術分野で周知であり、第6.2.7節でさらに述べ、本明細書の実施例7.8に例示する。
変異型Fc領域を含む免疫グロブリンを特性決定するための例示的なハイスループットアッセイは、本発明の変異型Fc領域を、例えば標準的組換えDNA技法によって4−4−20抗体に導入すること;変異型Fc領域を含む4−4−20抗体と、FcγR(例えば、FcγRIIIA、FcγRIIB)との特異的結合をELISAアッセイで特性決定すること;変異型Fc領域を含む4−4−20抗体をADCCアッセイで(本明細書に開示される方法を使用)特性決定すること(この際、標的細胞は変異型Fc領域を含む4−4−20抗体でオプソニン化される);その後、変異型Fc領域を第2の免疫グロブリン、例えば4D5、2H7にクローニングし、この第2の免疫グロブリンをADCCアッセイで特性決定すること(この際、標的細胞は変異型Fc領域を含む第2の抗体でオプソニン化される)を含む。次に、この変異型Fc領域を含む第2の抗体を、ELISAに基づくアッセイを用いて分析し、FcγRへの特異的結合を確認する。
好ましくは、本発明の変異型Fc領域は、ELISAアッセイで測定した際に、野生型Fc領域よりも高い親和性でFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAと結合する。最も好ましくは、本発明の変異型Fc領域は、ELISAアッセイで測定した際に、野生型Fc領域よりも高い親和性でFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAと結合し、かつ/または野生型Fc領域よりも低い親和性でFcγRIIBと結合する。いくつかの実施形態では、変異型Fc領域は、ELISAアッセイで測定した際に、野生型Fc領域がFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAと結合するよりも少なくとも2倍、少なくとも4倍、より好ましくは少なくとも6倍、最も好ましくは少なくとも8〜10倍高い親和性でFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAと結合し、かつ、野生型Fc領域がFcγRIIBと結合するよりも少なくとも2倍、少なくとも4倍、より好ましくは少なくとも6倍、最も好ましくは少なくとも8〜10倍低い親和性でFcγRIIBと結合する。
変異型Fc領域を含む免疫グロブリンは、本明細書に開示され、当業者に公知の方法を用いて、Fc−FcγR相互作用の動態パラメータを定義するため、どの時点においても、表面プラズモン共鳴に基づくアッセイ、例えばBIAcoreを用いて解析することができる。好ましくは、本発明の変異型Fc領域の、モノマーFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAとの結合に関するKdは、BIAcore解析により測定した際に、約100nM、好ましくは約70nM、最も好ましくは約40nMであり、本発明の変異型Fc領域の、ダイマーFcγRIIBとの結合に関するKdは、約80nM、約100nM、より好ましくは約200nMである。
最も好ましい実施形態では、変異型Fc領域を含む免疫グロブリンを、FcγRとの相互作用に関して、動物モデルでさらに特性決定する。本発明の方法で用いるのに好ましい動物モデルは、例えば、ヒトFcγRを発現するトランスジェニックマウス、例えば、米国特許第5,877,397号および同第6,676,927号(参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)に記載されているいずれかのマウスモデルである。本発明の方法で用いられるトランスジェニックマウスとしては、限定するものではないが、ヒトFcγRIIIAを保有するヌードノックアウトFcγRIIIAマウス;ヒトFcγRIIAを保有するヌードノックアウトFcγRIIIAマウス;ヒトFcγRIIBおよびヒトFcγRIIIAを保有するヌードノックアウトFcγRIIIAマウス;ヒトFcγRIIBおよびヒトFcγRIIAを保有するヌードノックアウトFcγRIIIAマウス;ヒトFcγRIIIAおよびヒトFcγRIIAを保有するヌードノックアウトFcγRIIIAおよびFcγRIIAマウス;ならびにヒトFcγRIIIA、FcγRIIAおよびFcγRIIBを保有するヌードノックアウトFcγRIIIA、FcγRIIAおよびFcγRIIBマウスが挙げられる。
6.2.1 設計の方法論
本発明は、Fc変異体を作製するための、限定するものではないが、コンピューター設計法、ライブラリ作製法、ならびに実験的生産およびスクリーニング法を含む操作方法を包含する。これらの方法論を個々に、または様々な組合せで応用して、本発明のFc変異体を操作することができる。
最も好ましい実施形態では、本発明の操作方法は、Fc領域とFcリガンドとの境界面にあるアミノ酸を改変しない方法を含む。Fcリガンドとしては、限定するものではないが、FcγR、C1q、FcRn、C3、マンノース受容体、プロテインA、プロテインG、マンノース受容体、およびFcと結合する未知の分子を含む。Fc領域とFcリガンドとの境界面にあるアミノ酸は、Fc領域とリガンドとの直接的および/または間接的接触をなすか、境界面のコンフォメーションを決定する上で構造的な役割を果たすか、またはX線結晶学および分子モデリングなどの構造解析により判定した際に、互いから少なくとも3オングストローム内、好ましくは少なくとも2オングストローム内にある、アミノ酸として定義される。Fc領域とFcリガンドの境界面にあるアミノ酸は、Fc−FcγR相互作用の結晶学的解析および構造解析に基づいて、FcγRとの直接的接触をなすアミノ酸を含む(例えば、Sondermann et al., 2000, Nature, 406: 267-273に開示されるもの;参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)。FcγRと直接的接触をなすFc領域内の位置の例としては、アミノ酸234〜239(ヒンジ領域)、アミノ酸265〜269(B/Cループ)、アミノ酸297〜299(C’/Eループ)、およびアミノ酸327〜332(F/Gループ)である。いくつかの実施形態では、変異型Fc領域を含む本発明の分子は、構造学的および結晶学的解析に基づけばFcγRと直接的に接触しておらず、例えば、Fc−FcγR結合部位内には存在しない少なくとも1つの残基の改変を含む。
好ましくは、本発明の操作方法は、ヒンジ領域に近接したFc領域のCH2ドメインに位置し(例えば、Leu234〜Pro238;Ala327、Pro329)、Fc領域の全てのヒトFcγRへの結合に影響を及ぼす、Shields et al.によって同定されたアミノ酸は改変しない。
他の実施形態では、本発明は、このFc変異体がFc領域とFcリガンドの境界面の位置にアミノ酸改変を含まないように、FcγR親和性および/またはエフェクター機能が変更されたFc変異体を包含する。好ましくは、このようなFc変異体を、Fc領域とFcリガンドの境界面にある1以上の他のアミノ酸改変と組み合わせると、具体的な変更された特性、例えば、変更されたFcγR親和性に対してさらなる影響を及ぼす。FcとFcリガンドの境界面にあるアミノ酸の改変は、例えばFc−リガンド複合体の構造解析に基づいて、当技術分野で公知の方法を用いて行うことができる。例えば、限定するものではないが、結合境界面に影響を与えるFc位置のエネルギー的に都合の良い置換を探すことにより、新しい境界面のコンフォメーションをとる変異体を操作することができ、この中には、Fcリガンドとの結合が向上しているものや、Fcリガンドとの結合が低下しているものや、他の都合のよい特性を持つものが存在し得る。このような新しい境界面のコンフォメーションは、例えば、境界面を形成するFcリガンド残基との直接的相互作用、または側鎖もしくは骨格コンフォメーションの摂動といったアミノ酸改変によって生じる間接的作用の結果であると考えられる。
本発明は、本明細書に開示されるアミノ酸改変のいずれかを、297位のFc糖鎖のコンフォメーションが変更される他の改変と組み合わせて含むFc変異体を操作することを包含する。本発明は、所望の特性、例えば、FcγRに対する親和性の増大または低下をもたらすN297糖鎖におけるコンフォメーション変化および組成変化を包含する。このような改変は、本発明のFc変異体の元のアミノ酸改変の表現型をさらに増強する可能性がある。具体的な作用機序に縛られるものではないが、このような方法論は、糖鎖構造およびコンフォメーションがFc−FcγRおよびFc/C1q結合に劇的に影響を及ぼすという所見により裏付けられる(Umaha et al., 1999, Nat Biotechnol 17: 176-180; Davies et al., 2001, Biotechnol Bioeng 74:288-294; Mimura et al., 2001, J Biol Chem 276: 45539; Radaev et al., 2001, J Biol Chem 276: 16478-16483; Shields et al., 2002, J Biol Chem 277: 26733-26740; Shinkawa et al., 2003, J Biol Chem 278: 3466-3473)。
本発明に従ってFc変異体を作製するための別の設計法も提供され、この場合には、Fc領域がグリコシル化への構造的および機能的依存を消失するように再操作される。この設計法は、N297糖鎖の不在下での、Fc構造、安定性、溶解性および/またはFc機能(例えば、1以上のFcリガンドに対するFcの親和性)の至適化を含む。1つのアプローチでは、グリコシル化が存在しない場合に溶媒に曝される位置を、安定で、Fc構造と構造的に一致し、かつ、凝集傾向を持たないように操作する。無グリコシル化Fcを至適化するためのアプローチは、限定するものではないが、Cg2−Cg2ダイマー軸に対して内側に面する極性および/または荷電残基を組み込むことによって、また、無グリコシル化Fc−FcγR境界面もしくは無グリコシル化Fcと他のFcリガンドとの境界面を直接増強するアミノ酸改変を設計することによって、無グリコシル化Fcの安定性および/または溶解性を高めるアミノ酸改変を設計することを含む。
本発明のFc変異体は、限定するものではないが、エフェクター機能を変更する改変を含む、他のFc改変と組み合わせることができる。本発明は、本発明のFc変異体と他のFc改変とを組み合わせて、抗体またはFc融合体の相加的、相乗的または新規な特性を提供することを包含する。このような改変は、CH1、CH2もしくはCH3ドメイン、またはそれらの組合せに存在し得る。好ましくは、本発明のFc変異体は、それらが組み合わされる改変の特性を増強する。例えば、本発明のFc変異体を、野生型Fc領域を含む対応する分子よりも高い親和性でFcγRIIIAと結合することが知られている変異体と組み合わせれば、本発明の変異体とのその組合せはFcγRIIIA親和性に何倍もの増強をもたらす。
一実施形態において、本発明のFc変異体は、Duncan et al, 1988, Nature 332: 563-564; Lund et al., 1991, J. Immunol 147: 2657-2662; Lund et al, 1992, Mol Immunol 29: 53-59; Alegre et al, 1994, Transplantation 57: 1537-1543; Hutchins et al., 1995, Proc Natl. Acad Sci U S A 92: 11980-11984; Jefferis et al, 1995, Immunol Lett. 44: 111-117; Lund et al., 1995, Faseb J 9: 115-119; Jefferis et al, 1996, Immunol Lett 54:101-104; Lund et al, 1996, J Immunol 157: 4963-4969; Armour et al., 1999, Eur J Immunol 29: 2613-2624; Idusogie et al, 2000, J Immunol 164: 4178-4184; Reddy et al, 2000, J Immunol 164: 1925-1933; Xu et al., 2000, Cell Immunol 200:16-26; Idusogie et al, 2001, J Immunol 166:2571-2575; Shields et al., 2001, J Biol Chem 276: 6591-6604; Jefferis et al, 2002, Immunol Lett 82: 57-65; Presta et al., 2002, Biochem Soc Trans 30: 487-490;米国特許第5,624,821号;同第5,885,573号;同第6,194,551号;PCT WO00/42072;PCT WO99/58572(それぞれ参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)に開示されているものなど、他の既知のFc変異体と組み合わせることができる。
6.2.2 変異型Fc領域を有する分子の機能的アッセイ
本発明は、本発明の分子(例えば、米国特許出願公開第2005/0037000および2005/0064514、ならびに国際特許出願公開WO04/063351(それぞれ参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)に開示されている酵母ディスプレイ技術およびFcγR−Fc結合アッセイにより同定された変異型Fc領域を含む抗体;または本発明の方法に従って操作された治療用モノクローナル抗体)の、この分子のエフェクター細胞機能を同定するための当業者に公知のアッセイを用いた特性決定を包含する。特に、本発明は、本発明の分子の、FcγRにより媒介されるエフェクター細胞機能に関する特性決定を包含する。本発明に従ってアッセイすることができるエフェクター細胞機能の例としては、限定するものではないが、抗体依存性細胞媒介細胞傷害作用、食作用、オプソニン化、オプソニン食作用、C1q結合、および補体依存性細胞媒介細胞傷害作用が挙げられる。エフェクター細胞機能活性を判定するために、当業者に公知のいずれの細胞系または無細胞アッセイも使用可能である(エフェクター細胞アッセイに関しては、Perussia et al., 2000, Methods Mol. Biol. 121: 179-92; Baggiolini et al., 1998 Experientia, 44(10): 841-8; Lehmann et al., 2000 J. Immunol. Methods, 243(1-2): 229-42; Brown EJ. 1994, Methods Cell Biol., 45: 147-64; Munn et al., 1990 J. Exp. Med., 172: 231-237; Abdul-Majid et al., 2002 Scand. J. Immunol. 55: 70-81; Ding et al., 1998, Immunity 8:403-411(それぞれ参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)を参照)。
一実施形態では、本発明の分子をヒト単球においてFcγR媒介食作用に関してアッセイすることができる。あるいは、本発明の分子のFcγR媒介食作用を他の食細胞、例えば、好中球(多型核白血球;PMN);ヒト末梢血単球、単球由来マクロファージにおいてアッセイしてもよく、これらは当業者に公知の標準的手順を用いて得ることができる(例えば、Brown EJ. 1994, Methods Cell Biol., 45: 147-164参照)。一実施形態では、本発明の分子の機能を、既述の方法(Tridandapani et al., 2000, J. Biol. Chem. 275: 20480-7)により、フルオレセイン化IgG−オプソニン化ヒツジ赤血球細胞(SRBC)を貪食するTHP−1細胞の能力を測定することにより特性決定する。例えば、増強されたFcγRIIIAに対する親和性を有する変異型Fc領域を含む本発明の分子の食作用を測定するための例示的アッセイは、THP−1細胞を本発明の分子またはFcγRIIIAと結合しない対照抗体で処理すること、この細胞の活性レベルを比較することを含み、ここで、細胞の活性(例えば、ロゼット形成活性(IgGコーティングSRBCと結合しているTHP−1細胞の数)、接着活性(THP−1細胞に結合したSRBCの総数)、および食細胞率)の差異が本発明の分子の機能性を示唆する。当業者ならば、この例示的アッセイを用いて、本発明の方法により同定されるいずれの分子もアッセイ可能であることが理解できるであろう。
本発明の分子の食作用を測定するための別の例示的アッセイは、抗体依存性オプソニン食作用アッセイ(ADCP)であり、これは、大腸菌標識FITC(Molecular Probes)または黄色ブドウ球菌−FITCなどの標的生体粒子を、(i)FcγR依存性ADCPに対する対照抗体としての、野生型4−4−20抗体(フルオレセインに対する抗体)(参照によりその全内容を本明細書に組み入れるBedzyk et al., 1989, J. Biol. Chem, 264(3): 1565-1569参照);または(ii)FcγR依存性ADCPに対するバックグラウンド対照としての、FcγRIIIへの結合をノックアウトするD265A突然変異を保有する4−4−20抗体、(iii)本発明の方法により同定され、実施例7.6に例示されるように生産された変異型Fc領域を保有する4−4−20抗体、でコーティングすること;およびオプソニン化粒子を形成させること;記載されているオプソニン化粒子(i〜iii)のいずれかをTHP−1エフェクター細胞(ATCCより入手可能な単球細胞系)に60:1の比率で加えて、FcγR媒介食作用を生じさせること;好ましくは、この細胞と大腸菌−FITC/抗体を37℃で1.5時間インキュベートすること;インキュベーション後、細胞にトリパンブルーを加えて(好ましくは室温で2〜3分)、内部に取り込まれないで細胞表面の外側に接着した細菌の蛍光をクエンチすること;細胞をFACSバッファ(例えば、PBS中0.1%BSA、0.1%アジ化ナトリウム)に移し、FACS(例えば、BD FACS Calibur)を用いてTHP1細胞の蛍光を分析することを含み得る。好ましくは、このアッセイに用いられるTHP−1細胞を、FACSにより、細胞表面上のFcγRの発現に関して分析する。THP−1細胞はCD32AおよびCD64の両方を発現する。CD64は、本発明の方法に従ってADCPアッセイを実施する際にブロックされる高親和性FcγRである。THP−1細胞を、好ましくは、100μg/mLの可溶性IgG1または10%ヒト血清でブロックする。ADCPの程度を分析するため、ゲートを好ましくはTHP−1細胞に設定し、蛍光強度の中央値を測定する。個々の突然変異体に対してADCP活性を算出し、得られた野生型chMab 4−4−20に対してノーマライズした値として記録する。オプソニン化粒子をTHP−1細胞に、オプソニン化粒子とTHP−1細胞の比率が30:1または60:1になるように加える。最も好ましい実施形態では、ADCPアッセイを、培地中の大腸菌−FITC、大腸菌−FITCおよびTHP−1細胞(FcγR非依存性ADCP活性として働く)、大腸菌−FITC、THP−1細胞および野生型4−4−20抗体(FcγR依存性ADCP活性として働く)、大腸菌−FITC、THP−1細胞、4−4−20 D265A(FcγR依存性ADCP活性に対するバックグラウンド対照として働く)などの対照を用いて行う。
別の実施形態では、本発明の分子を、当業者に公知の標準的方法のいずれかを用いて、エフェクター細胞、例えばナチュラルキラー細胞において、FcγR媒介ADCC活性に関してアッセイすることができる(例えば、Perussia et al., 2000, Methods Mol. Biol. 121: 179-92参照)。本発明の分子のADCC活性を測定するための例示的アッセイは51Cr放出アッセイに基づき、このアッセイは、標的細胞を[51Cr]Na2CrO4で標識すること(この細胞膜透過性分子は、細胞質タンパク質と結合して細胞から速度論的に緩慢に自発放出されるが、標的細胞の壊死の後に大量に放出されることから、標識用に一般に用いられる);変異型Fc領域を含む本発明の分子で標的細胞をオプソニン化すること;オプソニン化された放射性標識標的細胞とエフェクター細胞とを、標的細胞とエフェクター細胞との適切な比率で、マイクロタイタープレート中で合わせること;この細胞混合物を16〜18時間、37℃でインキュベートすること;上清を回収すること;および放射活性を分析することを含む。その後、本発明の分子の細胞傷害性を、例えば下式を用いて求めることができる:溶解%=(実験的cpm−標的漏出cpm)/(界面活性剤溶解cpm−標的漏出cpm)×100%、あるいは、溶解%=(ADCC−AICC)/(最大放出−自発放出)。特異的溶解は下式を用いて算出することができる:特異的溶解=本発明の分子の存在下での溶解%−本発明の分子の不在下での溶解%。標的:エフェクター細胞比または抗体濃度のいずれかを変更することにより、グラフを作成することができる。
さらに別の実施形態では、本発明の分子を、抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)に関して特性決定する。例えば、Ding et al., Immunity, 1998, 8: 403-11(参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)参照。
好ましくは、本発明のADCCアッセイで使用するエフェクター細胞は末梢血単核細胞(PBMC)であり、これは好ましくは、当業者に公知の標準的方法、例えばFicoll−Paque密度勾配遠心分離を用いて、正常ヒト血液から精製される。本発明の方法で使用するのに好ましいエフェクター細胞は、異なるFcγR活性化受容体を発現する。本発明は、Fc抗体突然変異体が野生型IgG1抗体に比べて増大したADCC活性および食作用を示すかどうかを判定するための、FcγRI、FcγRIIAおよびFcγRIIBを発現するエフェクター細胞THP−1、ならびにFcγRIIIAおよびFcγRIIBの両方を発現する、ヒト全血に由来する単球由来一次マクロファージを包含する。
ヒト単球細胞系統THP−1は、高親和性受容体FcγRIおよび低親和性受容体FcγRIIAの発現を介して食作用を活性化する(Fleit et al., 1991, J. Leuk. Biol. 49: 556)。THP−1細胞は、FcγRIIAまたはFcγRIIBを構成的に発現しない。サイトカインを用いたこれらの細胞の刺激は、FcR発現パターンに影響を与える(Pricop et al., 2000 J. Immunol. 166: 531-7)。サイトカインIL4の存在下でのTHP−1細胞の増殖はFcγRIIB発現を誘発し、FcγRIIAおよびFcγRI発現の低下をもたらす。FcγRIIB発現も細胞密度の増加によって増強することができる(Tridandapani et al., 2002, J. Biol Chem. 277: 5082-9)。対照的に、IFNγはFcγRIIIAの発現をもたらし得ることが報告されている(Pearse et al., 1993 PNAS USA 90: 4314-8)。細胞表面上に受容体が存在するか存在しないかは、当業者に公知の一般的方法を用いてFACSにより判定することができる。サイトカインにより誘発される細胞表面上でのFcγRの発現は、FcγRIIBの存在下での活性化および阻害の両方を試験する系を提供する。THP−1細胞がFcγRIIBを発現することができない場合は、本発明は別のヒト単球細胞系統U937をさらに包含する。これらの細胞は、IFNγおよびTNFの存在下で、最終的にマクロファージに分化することが示されている(Koren et al., 1979, Nature 279: 328-331)。
FcγR依存性腫瘍細胞死は、マウス腫瘍モデルでマクロファージおよびNK細胞によって媒介される(Clynes et al., 1998, PNAS USA 95 : 652-656)。本発明は、食作用およびADCCアッセイの両方で、標的細胞の細胞傷害性を誘発するFc突然変異体の効力を分析するため、エフェクター細胞としての、分離した(elutriated)ドナー由来単球の使用を包含する。FcγRI、FcγRIIIAおよびFcγRIIBの発現パターンは、異なる増殖条件によって影響を受ける。冷凍した分離(elutriated)単球、新鮮な分離(elutriated)単球、10%FBS中で維持した単球、ならびにFBS+GM−CSF中および/またはヒト血清中で培養した単球からのFcγR発現は、当業者に公知の一般的方法を用いて判定することができる。例えば、細胞をFcγR特異的抗体で染色し、FACSにより解析してFcγRプロフィールを決定することができる。その後、マクロファージのインビボ FcγR発現を最もよく模倣する条件を本発明の方法に使用する。
いくつかの実施形態では、本発明は、特に、適合するFcγRプロフィールを持つヒト細胞を取得することができない場合に、マウス細胞の使用を包含する。いくつかの実施形態では、本発明は、ヒトFcγRIIIAでトランスフェクトすることができるマウスマクロファージ細胞系統RAW264.7(ATCC)、および当技術分野で公知の方法を用いて単離された安定な形質転換体を包含する(例えば、Ralph et al., J. Immunol. 119: 950-4参照)。形質転換体は、通常の実験操作を用いたFACS解析によりFcγRIIIA発現を定量し、高発現体を本発明のADCCアッセイに使用することができる。他の実施形態では、本発明は、本明細書で開示されるものなどのノックアウトトランスジェニックマウスからの、ヒトFcγRを発現する脾臓腹腔マクロファージの単離を包含する。
リンパ球は、Ficoll−Paque勾配(Pharmacia)を用いて、ドナーの末梢血(PBM)から回収することができる。単離された細胞の単核集団内で、ほとんどのADCC活性は、その表面にFcγRIIIAを含むがFcγRIIBは含まないナチュラルキラー細胞(NK)を介して生じる。これらの細胞での結果は、NK細胞ADCCの誘発に対する突然変異体の効力を示唆し、分離した(elutriated)単球を用いて試験するための試薬を確立する。
本発明のADCCアッセイで用いる標的細胞としては、限定するものではないが、乳癌細胞系統、例えば、SK−BR−3(ATCC受託番号HTB−30)(例えば、Tremp et al., 1976, Cancer Res. 33-41参照);Bリンパ球;バーキットリンパ腫由来の細胞、例えばRaji細胞(ATCC受託番号CCL−86)(例えば、Epstein et al., 1965, J. Natl. Cancer Inst. 34: 231-240参照)、およびDaudi細胞(ATCC受託番号CCL−213)(例えば、Klein et al., 1968, Cancer Res. 28: 1300-10参照)。標的細胞はアッセイすべき免疫グロブリンの抗原結合部位により認識されるものでなければならない。
ADCCアッセイは、アポトーシス経路によって細胞死を媒介するNK細胞の能力に基づく。NK細胞は部分的に、細胞表面の抗原に結合したIgGをFcγRIIIAが認識することにより細胞死を媒介する。本発明の方法に従って用いるADCCアッセイは、放射活性に基づくアッセイであっても蛍光に基づくアッセイであってもよい。変異型Fc領域を含む本発明の分子を特性決定するために用いるADCCアッセイは、標的細胞、例えばSK−BR−3、MCF−7、OVCAR3、Raji、Daudi細胞を標識すること;標的細胞を、抗原結合部位を介して標的細胞上の細胞表面受容体を認識する抗体でオプソニン化すること;標識したオプソニン化標的細胞とエフェクター細胞とを適切な比率(これは通常の実験操作により決定することができる)で合わせること;細胞を回収すること;使用した標識に基づく適切な検出スキームを用いて、溶解した標的細胞の上清中の標識を検出することを含む。標的細胞は当技術分野で公知の標準的方法を用いて、放射性標識または蛍光標識のいずれかで標識することができる。例えば、標識としては、限定するものではないが、[51Cr]Na2CrO4;および蛍光増強リガンド2,2’:6’,2’’−テルピリジン−6−6’’−ジカルボン酸(TDA)のアセトキシメチルエステルがある。
具体的な好ましい実施形態では、蛍光増強リガンドである2,2’:6’,2’’−テルピリジン−6−6’’−ジカルボン酸(TDA)のアセトキシメチルエステルで標識した標的細胞に対するADCC活性を測定するために、時間分解蛍光アッセイを使用する。このような蛍光アッセイは、当技術分野で公知である(例えば、参照によりその全内容を本明細書に組み入れるBlomberg et al., 1996, Journal of Immunological Methods, 193: 199-206参照)。簡単に述べると、標的細胞を膜透過性のTDAアセトキシメチルジエステルである(ビス(アセトキシメチル)2,2’:6’,2’’−テルピリジン−6−6’’−ジカルボン酸(BATDA))で標識し、これは生細胞の細胞膜を通過して迅速に拡散する。細胞内エステラーゼがエステル基を開裂させ、再生された膜非透過性TDA分子は細胞内に捕捉される。エフェクターおよび標的細胞を例えば、少なくとも2時間、最長3.5時間、37℃、5%CO2下でインキュベートした後、溶解標的細胞から放出されたTDAをEu3+でキレート化し、生成したユーロピウム−TDAキレートの蛍光を時間分解蛍光光度計(例えば、Victor 1420, PerkinElmer/Wallac)で定量する。
別の具体的な実施形態では、変異型Fc領域を含む本発明の分子を特性決定するために用いるADCCアッセイは、以下の工程を含む。好ましくは4〜5×106の標的細胞(例えば、SK−BR−3、MCF−7、OVCAR3、Raji細胞)をビス(アセトキシメチル)2,2’:6’,2’’−テルピリジン−t−6’’−ジカルボン酸(DELFIA BATDA Reagent, Perkin Elmer/Wallac)で標識する。最適な標識効率を得るには、ADCCアッセイで用いる標的細胞の数を好ましくは5×106を超えないようにすべきである。この細胞にBATDA試薬を加え、その混合物を37℃、好ましくは5%CO2下で少なくとも30分間インキュベートする。次に、細胞を生理学的バッファ、例えば0.125mMスルフィンピラゾールを含むPBS、および0.125mMスルフィンピラゾールを含有する培地で洗浄する。次に、標識された標的細胞を、変異型Fc領域を含む本発明の分子、すなわち、本発明の変異型Fc領域を含む免疫グロブリン(限定するものではないが、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体を含む)でオプソニン化(コーティング)する。好ましい実施形態では、ADCCアッセイで用いる変異型Fc領域を含む免疫グロブリンは、細胞表面受容体、腫瘍抗原または癌抗原に特異的である。本発明の変異型Fc領域が導入される免疫グロブリンは、第6.4節に挙げられているものなどのいずれかの癌または腫瘍抗原と特異的に結合することができる。その上、本発明の変異型Fc領域が導入される免疫グロブリンは、第6.4節に挙げられているものなどの癌抗原に特異的ないずれの治療用抗体であってもよい。いくつかの実施形態では、ADCCアッセイで用いる変異型Fc領域を含む免疫グロブリンは、抗フルオレセインモノクローナル抗体4−4−20(Kranz et al., 1982 J. Biol.Chez. 257(12): 6987-6995)、マウス−ヒトキメラ抗CD20モノクローナル抗体2H7(Liu et al., 1987, Journal of Immunology, 139: 3521-6)、またはヒト表皮増殖因子受容体2(p185 HER2)に対するヒト化抗体(Ab4D5)(Carter et al., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 4285-9)である。ADCCアッセイ中の標的細胞は、免疫グロブリンが標的細胞の細胞表面受容体と特異的に結合するように本発明の変異型Fc領域が導入された免疫グロブリンに従って選択される。好ましくは、本発明のADCCアッセイは、本発明のFc変異型を保有している2種以上の操作された抗体、例えば、抗Her2/neu、4−4−20、2B6、リツキサン(Rituxan)および2H7を用いて実施する。最も好ましい実施形態では、本発明のFc変異体を少なくとも3つの抗体に導入し、それらのADCC活性を試験する。具体的な作用機序に縛られるものではないが、これらの機能的アッセイで少なくとも3つの抗体を実験することで、有効なFc突然変異を誤って排除する機会を低減するものと思われる。
オプソニン化された標的細胞をエフェクター細胞、例えばPBMCに、エフェクター:標的比が約50:1、75:1または100:1になるように加える。具体的な実施形態では、変異型Fc領域を含む免疫グロブリンが4−4−20の可変ドメインを持つ場合、エフェクター:標的比は75:1である。エフェクターおよび標的細胞を少なくとも2時間、最長3.5時間、37℃、5%CO2下でインキュベートする。細胞上清を回収し、酸性ユーロピウム溶液(例えば、DELFIA Europium Solution, Perkin Elmer/Wallac)に加える。生成したユーロピウム−TDAキレートの蛍光を時間分解蛍光光度計(例えば、Victor 1420, Perkin Elmer/Wallac)で定量する。最大放出(MR)および自発放出(SR)を、標的細胞をそれぞれ1%TX−100および培地単独とインキュベートすることにより測定する。抗体非依存性細胞傷害作用(AICC)は、標的およびエフェクター細胞を抗体の不在下でインキュベートすることにより測定する。各アッセイは、好ましくは3反復で実施する。特異的溶解の平均パーセンテージを次のように算出する:
実験放出値(ADCC−AICC)/(MR−SR)×100。
本発明は、NK依存性およびマクロファージ依存性ADCCアッセイの両方での、Fc変異体の特性決定を包含する。本発明のFc変異体は、NK依存性アッセイまたはマクロファージ依存性アッセイでアッセイした際の、変更されたエフェクター機能など、変更された表現型を有する。
本発明は、C1qに結合し、かつ補体依存性細胞傷害作用(CDC)を媒介するための、当技術分野で公知であり、かつ、本明細書に例示されるアッセイを包含する。C1q結合を測定するために、C1q結合ELISAを実施することができる。例示的アッセイは、以下を含み得る:アッセイプレートを、ポリペプチド変異体または出発ポリペプチド(対照)とともに、コーティングバッファ中、4℃で一晩コーティングする。次に、このプレートを洗浄し、ブロックする。洗浄後、ヒトC1qのアリコートを各ウェルに加え、室温で2時間インキュベートする。さらに洗浄した後、100μLのヒツジ抗補体C1qペルオキシダーゼコンジュゲート抗体を各ウェルに加え、室温で1時間インキュベートする。プレートを再び洗浄バッファで洗浄し、OPD(O−フェニレンジアミンジヒドロクロリド(Sigma))を含有する100μlの基質バッファを各ウェルに加える。酸化反応(黄色の出現によって観察される)を30分間進行させ、100μlの4.5N H2SO4の添加により反応を停止させる。その後、吸光度を(492〜405)nmで読み取る。
本発明による好ましい変異体は、このアッセイまたは類似のアッセイで検出および測定した際に、C1q結合の有意な低減を示すものである。Fc変異体を含む分子が、非突然変異型IgG1領域を有する対照抗体に比べて、C1q結合の約50倍の低減、約60倍、約80倍または約90倍の低減を示すことが好ましい。最も好適な実施形態では、Fc変異体を含む分子はC1qと結合しない、すなわち、この変異体は対照抗体に比べてC1q結合の約100の1またはそれを超える低減を示す。
別の例示的変異体は、野生型Fc領域を含む分子に比べてヒトC1qに対してより良好な結合親和性を有するものである。このような分子は、例えば、野生型Fc領域を含む親分子に比べて、ヒトC1q結合に約2倍以上、好ましくは約5倍以上の向上を示し得る。例えば、ヒトC1q結合は、野生型Fc領域を含む分子に比べて約2倍〜約500倍、好ましくは約2倍または約5倍〜約1000倍向上し得る。
補体活性化を評価するには、補体依存性細胞傷害(CDC)アッセイを、例えば参照によりその全内容を本明細書に組み入れるGazzano-Santoro et al., J. Immunol. Methods 202:163 (1996)に記載されているように実施することができる。簡単に述べると、変異型Fc領域およびヒト補体を含む様々な濃度の分子をバッファで希釈すればよい。変異型Fc領域を含む分子が結合する抗原を発現する細胞は、約1×106細胞/mlの密度に希釈すればよい。変異型Fc領域を含む分子、希釈したヒト補体、および抗原を発現する細胞の混合物を、平底組織培養96ウェルプレートに加え、37℃、5%CO2下で2時間インキュベートして補体により媒介される細胞溶解を促進させることができる。次に、50μLのアラマーブルー(Accumed International)を各ウェルに加え、37℃で一晩インキュベートすればよい。吸光度は96ウェル蛍光光度計を用い、530nmでの励起および590nmでの発光により測定する。結果は相対蛍光単位(RFU)で表すことができる。サンプル濃度は標準曲線からコンピューターで計算することができ、非変異分子(すなわち、野生型Fc領域を含む分子)と比較した活性%が目的の変異体について記録される。
いくつかの実施形態では、本発明のFc変異体は補体を活性化しない。変異体が上記CDCアッセイにおいてCDC活性を持っていると思われないことが好ましい。本発明はまた、親分子(野生型Fc領域を含む分子)に比べてCDCが増強された、例えば、例えば インビトロまたはインビボでCDC活性に(例えば、比較中の各分子のIC50値で)約2倍〜約100倍の向上を示す変異体に関する。補体アッセイはモルモット、ウサギまたはヒト血清を用いて実施することができる。標的細胞の補体溶解は、Korzeniewski et al., 1983 Immunol. Methods 64(3): 313-20;およびDecker et al., 1988 J. Immunol Methods 115(1): 61-9(それぞれ参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)に記載されているように、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)などの細胞内酵素の放出;またはユーロピウム、クロミウム51もしくはインジウム111などの細胞内標識(この場合、標的細胞が本明細書に記載されるように標識される)の放出をモニタリングすることによって検出することができる。
6.2.3 その他のアッセイ
変異型Fc領域を含む本発明の分子は、Fc−FcγR相互作用性結合の動態パラメータを特定するために当技術分野で公知の表面プラズモン共鳴に基づくアッセイを用いてアッセイすることもできる。限定するものではないが、Biacore AB (Uppsala, スエーデン)製のBIAcore装置;Affinity Sensors(Franklin, MA.)製のIAsys装置;Windsor Scientific Limited(Berks, UK)製のIBISシステム;Nippon Laser and Electronics Labpep(日本、北海道)製のSPR−CELLIAシステム;およびTexas Instruments(Dallas, TX)製のSPR DetectorSpreetaをはじめとする市販のSPR装置のいずれかを本発明で使用することができる。SPRに基づく技術に関する概説は、Mullet et al., 2000, Methods 22: 77-91; Dong et al., 2002, Review in Mol. Biotech., 82: 303-23; Fivash et al., 1998, Current Opinion in Biotechnology 9:97-101; Rich et al., 2000, Current Opinion in Biotechnology 11: 54-61(全て参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)参照。さらに、米国特許第6,373,577号;同第6,289,286号;同第5,322,798号;同第5,341,215号;同第6,268,125号に記載されているタンパク質−タンパク質相互作用を測定するためのSPR装置およびSPRに基づく方法はいずれも本発明の方法内にあると考えられる(全て参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)。
簡単に述べると、SPRに基づくアッセイは、結合対の一方を表面に固定化すること、および溶液中で結合対の他方との相互作用をリアルタイムでモニタリングすることを含む。SPRは、複合体の形成または解離の際に生じる表面付近での溶媒の屈折率の変化を測定することに基づく。固定化を行う表面はセンサーチップであり、これがSPR技術の心臓部となる。このセンサーチップは金の薄層でコーティングされたガラス表面からなり、分子と表面との結合性を至適化するように設計された一定の特殊表面の基礎をなす。特に上記の会社から様々なセンサーチップが市販されており、これらは全て本発明の方法で使用可能である。センサーチップの例としては、BIAcore AB, Inc.から入手可能なもの、例えば、Sensor Chip CM5、SA、NTAおよびHPAがある。本発明の分子は、限定するものではないが、アミン基を介した直接共有結合、スルフヒドリル基を介した直接共有結合、アビジンコーティング面へのビオチン接着、炭水化物基へのアルデヒドカップリング、およびヒスチジンタグを介したNTAチップとの接着をはじめとする、当技術分野で公知の固定化法および化学法のいずれかを用いて、センサーチップの表面に固定化することができる。
いくつかの実施形態では、変異型Fc領域を含む本発明の分子、例えば、変異型Fc領域を含む免疫グロブリンのFcγRとの結合の動態パラメータを、BIAcore装置(例えば、BIAcore装置1000, BIAcore Inc., Piscataway, NJ)を用いて測定することができる。任意のFcγRを用いて、変異型Fc領域を含む本発明の分子との相互作用を評価することができる。具体的な実施形態では、FcγRはFcγRIIIA、好ましくは可溶性モノマーFcγRIIIAである。例えば、一実施形態では、可溶性モノマーFcγRIIIAは、リンカー−AVITAG配列に連結されたFcγRIIIAの細胞外領域である(2003年1月9日出願の米国仮出願第60/439,498号、(代理人整理番号11183−004−888)および2003年3月19日出願の米国仮出願第60/456,041号(参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)参照)。別の具体的な実施形態では、FcγRはFcγRIIB、好ましくは可溶性ダイマーFcγRIIBである。例えば、一実施形態では、可溶性ダイマーFcγRIIBタンパク質を、2003年1月13日出願の米国仮出願第60/439,709号(参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)に記載されている方法論に従って作製される。
変異型Fc領域を含む分子が4−4−20抗体である場合に、BIAcore装置を用いて該分子のFcγRに対する動態パラメータを測定するための例示的アッセイは、以下を含む:BSA−FITCをセンサーチップ表面の4つのフローセルの1つに、好ましくはアミンカップリング化学法を介して、約5000応答単位(RU)のBSA−FITCが表面に固定化されるように固定化する。好適な表面が作製されたところで、Fc突然変異を保有する4−4−20抗体を、好ましくは20μg/mL溶液を流速5μL/mLで1分間注入することにより、その表面に流す。表面に結合した4−4−20抗体のレベルは、400〜700RUの範囲である。次に、HBS−Pバッファ(20mM HEPES、150mM NaCl、3mM EDTA、pH7.5)中の受容体(FcγRIIAおよびFcγRIIB−Fc融合タンパク質)の希釈系をその表面に100μL/分で注入する。異なる受容体希釈間での抗体の再生は、好ましくは100mM NaHCO3 pH9.4;3M NaClを5秒間、1回注入することにより行う。本発明の方法においては、当技術分野で公知のいずれの再生技術も企図される。
全てのデータセットを取得したところで、得られる結合曲線を、SPR装置製造元、例えばBIAcore, Inc.(Piscataway, NJ)から供給されているコンピューターアルゴリズムを用いて包括的当てはめを行う。これらのアルゴリズムでは、KonおよびKoffの両方を算出し、これらから見かけの平衡結合定数Kdを、2つの速度定数の比(すなわち、Koff/Kon)として推定する。個々の速度定数を導くためのさらに詳細な処理は、BIAevaluaion Software Handbook (BIAcore, Inc., Piscataway, NJ)に見出せる。作成されたデータの解析は、当技術分野で公知のいずれの方法を用いて行ってもよい。作成された動態データの様々な解釈法に関する概説は、Myszka, 1997, Current Opinion in Biotechnology 8: 50-7; Fisher et al., 1994, Current Opinion in Biotechnology 5: 389-95; O’Shannessy, 1994, Current Opinion in Biotechnology, 5:65-71; Chaiken et al., 1992, Analytical Biochemistry, 201: 197-210; Morton et al., 1995, Analytical Biochemistry 227: 176-85; O’Shannessy et al., 1996, Analytical Biochemistry 236: 275-83(全て参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)を参照。
好ましい実施形態では、SPR解析、例えばBIAcoreを用いて測定した動態パラメータを、本発明の分子が機能的アッセイ、例えばADCCにおいてどのように機能するかを予測する指標として用いることができる。SPR解析から得られた動態パラメータに基づいて本発明の分子の効力を予測するための例示的方法は、以下を含む:本発明の分子とFcγRIIIAおよびFcγRIIBとの結合に関してKoff値を測定すること;(1) FcγRIIIAに関するKoff(wt)/Koff(mut);(2)FcγRIIBに関するKoff(mut)/Koff(wt)をADCCデータに対してプロットする。1より大きい数値は、野生型に比べて、FcγRIIIAに関する解離速度が低下し、FcγRIIBに関する解離速度が増大し、増強されたADCC機能を有することを示す。
6.3 本発明の分子を組換えにより製造する方法
6.3.1 本発明の分子をコードするポリヌクレオチド
本発明はまた、本発明の方法により同定される本発明の分子(ポリペプチドおよび抗体を含む)をコードするポリヌクレオチドも含む。本発明の分子をコードするポリヌクレオチドは、当技術分野で公知のいずれの方法により得てもよく、そのポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定してもよい。
本発明の方法により同定される分子(例えば、抗体)のヌクレオチド配列が決定されれば、そのヌクレオチド配列を当技術分野で周知の方法、例えば、組換えDNA技術、部位特異的突然変異誘発、PCRなどを用いて操作し(例えば、Sambrook et al., 2001, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 3rd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY;およびAusubel et al., eds., 1998, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY(両方とも参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)に記載されている技術を参照)、例えばアミノ酸の置換、欠損および/または挿入を作出することにより、例えば異なるアミノ酸配列を持つ抗体を作製することができる。
具体的な実施形態では、核酸が抗体をコードする場合、通常の組換えDNA技術を用いて、フレームワーク領域内に1以上のCDRを挿入する。フレームワーク領域は天然のものでもコンセンサスフレームワーク領域でもよく、好ましくはヒトフレームワーク領域である(ヒトフレームワーク領域の一覧は、例えば、Chothia et al., 1998, J. Mol. Biol. 278: 457-479を参照)。
別の実施形態では、ヒトライブラリまたは当技術分野で利用可能な他の任意のライブラリを当技術分野で公知の標準的技術によりスクリーニングして、本発明の分子をコードする核酸をクローニングすることができる。
6.3.2 本発明の分子の組換え発現
本発明の分子(すなわち、抗体)をコードする核酸配列が得られれば、該分子を産生するためのベクターを、当技術分野で周知の技術を用い、組換えDNA技術により作出することができる。当業者に周知の方法を用いて、本発明の分子のコード配列および適当な転写・翻訳制御シグナルを含有する発現ベクターを構築することができる。これらの方法としては、例えば、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ遺伝子組換えが挙げられる(例えば、Sambrook et al., 1990, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2d Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NYおよびAusubel et al. eds., 1998, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NYに記載されている技術を参照)。
本発明の方法により同定された分子(すなわち、抗体)のヌクレオチド配列を含む発現ベクターは、従来技術(例えば、エレクトロポレーション、リポソームトランスフェクション、およびリン酸カルシウム沈降)により宿主細胞に導入し、その後、トランスフェクト細胞を従来技術により培養して、本発明の分子を産生させることができる。具体的な実施形態では、本発明の分子の発現は、構成的、誘導型または組織特異的なプロモーターにより調節される。
本発明の方法により同定された分子を発現させるために用いる宿主細胞は、大腸菌などの細菌細胞、または好ましくは、特に完全な組換え免疫グロブリン分子を発現させるためには、真核細胞でありうる。特に、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)などの哺乳動物細胞とヒトサイトメガロウイルス由来の主要中間初期遺伝子プロモーターエレメントなどのベクターとの併用が、免疫グロブリンのための有効な発現系である(Foecking et al., 1998, Gene 45:101; Cockett et al., 1990, Bio/Technology 8:2)。
様々な宿主−発現ベクター系を利用して、本発明の方法により同定された分子を発現させることができる。このような宿主−発現系は、本発明の分子のコード配列を産生し、続いて精製することができるビヒクルを表すだけでなく、適当なヌクレオチドコード配列で形質転換またはトランスフェクトされた場合に本発明の分子をインシチュで発現することができる細胞も表す。これらとしては、限定するものではないが、例えば、本発明の方法により同定された分子のコード配列を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクターにより形質転換された細菌(例えば、大腸菌および枯草菌(B. subtilis))などの微生物;本発明の方法により同定された分子をコードする配列を含有する組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えば、サッカロミセス属(Saccharomyces)、ピキア属(Pichia));本発明の方法により同定された分子をコードする配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)を感染させた昆虫細胞系;本発明の方法により同定された分子をコードする配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)およびタバコモザイクウイルス(TMV))を感染させた、または組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系;あるいは哺乳動物細胞のゲノム由来のプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルス由来のプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含有する組換え発現構築物を保有する哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、293T、3T3細胞、リンパ球(米国特許第5,807,715号参照)、Per C.6細胞(Crucellにより開発されたヒト網膜細胞))が挙げられる。
細菌系では、発現される分子に対して意図される用途に応じて、多くの発現ベクターを有利に選択することができる。例えば、抗体の医薬組成物を作製するために大量の上記タンパク質を産生させる場合には、容易に精製される融合タンパク質産物の高レベルの発現を指令するベクターが望ましい。このようなベクターとしては、限定するものではないが、融合タンパク質が産生されるように抗体コード配列をベクター中にlacZコード領域とインフレームで個々に連結することができる大腸菌発現ベクターpUR278(Ruther et al., 1983, EMBO J. 2:1791);pINベクター(Inouye & Inouye, 1985, Nucleic Acids Res. 13:3101-3109; Van Heeke & Schuster, 1989, J. Biol. Chem. 24: 5503-5509)などが挙げられる。また、pGEXベクターを用いて、外来ポリペプチドをグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として発現させることもできる。一般に、このような融合タンパク質は可溶性であり、溶解した細胞から、マトリックスグルタチオン−アガロースビーズへの吸着および結合、その後の遊離グルタチオンの存在下での溶出により容易に精製することができる。pGEXベクターはトロンビンまたはXa因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計され、そのため、クローニングされた標的遺伝子産物をGST部分から遊離させることができる。
昆虫系では、オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)核多角体病ウイルス(AcNPV)が外来遺伝子を発現させるためのベクターとして用いられる。このウイルスはヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞中で増殖する。抗体コード配列をウイルスの非必須領域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)中に個々にクローニングし、AcNPVプロモーター(例えば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下に置くことができる。
哺乳動物宿主細胞では、多くのウイルスに基づく発現系を利用することができる。アデノウイルスを発現ベクターとして用いる場合には、目的の抗体コード配列を、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモーターおよび三分割リーダー配列と連結させることができる。次に、このキメラ遺伝子をアデノウイルスゲノムにインビトロまたはインビボ組換えにより挿入することができる。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、E1またはE3領域)に挿入すると、感染した宿主内で生存可能であり、かつ、免疫グロブリン分子を発現することができる組換えウイルスが得られる(例えば、Logan & Shenk, 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:355-359参照)。具体的な開始シグナルも、挿入した抗体コード配列の効率的な翻訳のために必要であり得る。これらのシグナルは、ATG開始コドンおよび隣接配列を含む。さらに、開始コドンは、全挿入配列の翻訳を確保にするために、目的のコード配列のリーディングフレームと同位相になければならない。これらの外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは様々な起源のものであってよく、天然でも合成でもよい。発現効率は、適当な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどを含めることにより増強することができる(Bittner et al., 1987, Methods in Enzymol. 153:51-544参照)。
さらに、挿入配列の発現を変調したり、遺伝子産物を所望の具体的な様式で修飾およびプロセシングしたりする宿主細胞株を選択することもできる。このようなタンパク質産物の修飾(例えば、グリコシル化)およびプロセシング(例えば、切断)はタンパク質の機能にとって重要であり得る。種々の宿主細胞が、タンパク質および遺伝子産物の翻訳後プロセシングおよび修飾に対する特徴的かつ特異的な機構を有する。発現される外来タンパク質の適切な修飾およびプロセシングを確保するために適当な細胞系統または宿主系を選択することができる。このために、一次転写物の適切なプロセシング、遺伝子産物のグリコシル化およびリン酸化のための細胞機構を持つ真核宿主細胞を用いることができる。このような哺乳動物宿主細胞としては、限定するものではないが、CHO、VERY、BHK、Hela、COS、MDCK、293、293T、3T3、WI38、BT483、Hs578T、HTB2、BT20およびT47D、CRL7030およびHs578Bstが挙げられる。
組換えタンパク質を長期間、高収率で産生させるためには、安定した発現が好ましい。例えば、本発明の抗体を安定に発現する細胞系統を操作することができる。ウイルスの複製起点を含有する発現ベクターを使用するよりもむしろ、宿主細胞は、適当な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)により制御されるDNAおよび選択マーカーで形質転換させることもできる。外来DNAを導入した後に、操作した細胞を富化培地中で1〜2日間増殖させ、次いで、選択培地に切り替えればよい。組換えプラスミド中の選択マーカーはその選択に対して耐性を付与し、細胞はプラスミドをその染色体中に安定に組み込み、増殖して増殖巣を形成し、続いてクローニングし、拡張して細胞系統とすすることができる。この方法は、本発明の抗体を発現する細胞系統を操作するのに有利に使用することができる。このように操作された細胞系統は、本発明の抗体と直接または間接的に相互作用する化合物のスクリーニングおよび評価に特に有用であり得る。
限定するものではないが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler et al., 1977, Cell 11: 223)、ヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska & Szybalski, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 48:202)、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy et al., 1980, Cell 22: 817)遺伝子は(それぞれtk−、hgprt−またはaprt−細胞において使用可能である)をはじめとする多くの選択系を使用することができる。また、代謝拮抗物質耐性は、以下の遺伝子:メトトレキセート耐性を付与するdhfr(Wigler et al., 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:357; O'Hare et al., 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78: 1527);ミコフェノール酸耐性を付与するgpt(Mulligan & Berg, 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78: 2072);アミノグリコシドG−418耐性を付与するneo(Clinical Pharmacy 12: 488-505; Wu and Wu, 1991, 3: 87-95; Tolstoshev, 1993, Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 32: 573-596; Mulligan, 1993, Science 260: 926-932;およびMorgan and Anderson, 1993, Ann. Rev. Biochem. 62: 191-217; May, 1993, TIB TECH 11(5): 155-215)を選択するための基礎として用いることができる。使用可能な組換えDNA技術の分野で一般に知られている方法は、Ausubel et al. (eds.), 1993, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY; Kriegler, 1990, Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual, Stockton Press, NY; およびChapters 12 and 13, Dracopoli et al. (eds), 1994, Current Protocols in Human Genetics, John Wiley & Sons, NY.; Colberre-Garapin et al., 1981, J. Mol. Biol. 150:1に記載されている。およびハイグロマイシン耐性を与えるhygro(Santerre et al., 1984, Gene 30:147)。
本発明の抗体の発現レベルは、ベクター増幅により増加させることができる(概要については、Bebbington and Hentschel, The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning, Vol. 3 (Academic Press, ニューヨーク, 1987)を参照)。抗体を発現するベクター系中のマーカーが増幅可能である場合、宿主細胞の培養物中に存在する阻害剤のレベルを増加させると、マーカー遺伝子のコピー数が増える。増幅された領域は抗体のヌクレオチド配列と結びついているので、抗体の産生も増大する(Crouse et al., 1983, Mol. Cell. Biol. 3:257)。
宿主細胞は、本発明の2つの発現ベクター、すなわち、重鎖由来ポリペプチドをコードする第1のベクターと軽鎖由来ポリペプチドをコードする第2のベクターで同時にトランスフェクトすることができる。これら2つのベクターは、重鎖および軽鎖ポリペプチドの同等の発現を可能にする同一の選択マーカーを含有してもよい。あるいは、重鎖および軽鎖ポリペプチドの両方をコードする単一のベクターを用いてもよい。このような状況では、軽鎖を重鎖の前に配置して有毒な遊離重鎖が過剰になるのを避けるべきである(Proudfoot, 1986, Nature 322: 52; Kohler, 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77: 2197)。重鎖および軽鎖のコード配列は、cDNAまたはゲノムDNAを含み得る。
本発明の分子(すなわち、抗体)が組換発現されれば、これをポリペプチドまたは抗体を精製するための当技術分野で公知の任意の方法により、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、特にプロテインAクロマトグラフィー後の特異的抗原に対するアフィニティークロマトグラフィーによる、およびサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、示差溶解度、またはポリペプチドまたは抗体を精製するための他の任意の標準的技術により、精製することができる。
6.4 予防方法および治療方法
本発明は、疾患、障害または感染に関連する1以上の症状を予防、治療または改善するために、1以上の本発明の分子(すなわち、抗体)を動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトに投与することを包含する。本発明の分子は、FcγRにより媒介されるエフェクター細胞機能(例えば、ADCC)の効力の増強が望まれる疾患または障害を治療または予防するのに特に有用である。本発明の方法および組成物は、原発性または転移性の新生物疾患(すなわち、癌)および感染性疾患の治療または予防に特に有用である。本発明の分子は、当技術分野で公知の、または本明細書に記載されるような、薬学上許容される組成物として提供することができる。以下に詳述するように、本発明の分子は、癌(特に、受動免疫療法による)、自己免疫疾患、炎症性障害または感染性疾患を治療または予防する方法に使用することができる。
本発明の分子はまた、癌、自己免疫疾患、炎症性障害または感染性疾患を治療または予防するための当技術分野で公知の他の治療薬と組み合わせて有利に使用することができる。具体的な実施形態では、本発明の分子を、例えば、該分子と相互作用して免疫応答を増大させるエフェクター細胞の数または活性を増大させるのに役立つ、モノクローナル抗体もしくはキメラ抗体、リンホカインまたは造血系増殖因子(例えば、IL−2、IL−3およびIL−7など)と併用してもよい。本発明の分子はまた、例えば、以下の第6.4.1.2節および第6.4.2.1節に詳述されるように、疾患、障害または感染を治療するために用いる1以上の薬物、例えば、抗癌薬、抗炎症薬または抗ウイルス薬と組み合わせて有利に利用することもできる。
6.4.1 癌
本発明は、被験体に治療上有効な量の、変異型Fc領域を含む1以上の分子を投与することを含む、その被験体の癌または転移の治療または予防のための方法および組成物を包含する。
変異型Fc領域を含む本発明の分子(すなわち、ポリペプチド、抗体)を用いて、原発性腫瘍の増殖または癌性細胞の転移を予防、阻害または低減することができる。一実施形態では、本発明の分子は、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドがFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAと結合するよりも高い親和性でFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAと結合する変異型Fcを含み、かつ/またはその変異型Fc領域は増強されたエフェクター機能、例えば、ADCC、CDC、食作用、オプソニン作用などを有する。このような分子は、癌の治療または予防に単独で使用することができる。別の実施形態では、本発明の分子は、野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドがFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAと結合するよりも高い親和性でFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAと結合し、さらに野生型Fc領域を含む対応するポリペプチドがFcγRIIBと結合するよりも低い親和性でFcγRIIBと結合する変異型Fcを含み、かつ/または該変異型Fc領域は増強されたエフェクター機能、例えば、ADCC、CDC、食作用、オプソニン作用などを有する。このような分子も、癌の治療または予防に単独で使用することができる。
いくつかの実施形態では、本発明は、FγRIIIA−158VまたはFcγRIIIA−158F対立遺伝子に関して同型接合性などのFcγR多型を有する被験体の癌の治療または予防のための方法および組成物を包含する。いくつかの実施形態では、本発明は、治療用抗体、例えば、本発明の方法による腫瘍特異的モノクローナル抗体の操作を包含し、その結果、操作された抗体は、FcγRIIIAの低親和性対立遺伝子(158F)に関して同型接合である患者において増大した効力を持つ。他の実施形態では、本発明は、治療用抗体、例えば、本発明の方法による腫瘍特異的モノクローナル抗体の操作を包含し、その結果、操作された抗体はFcγRIIIAの高親和性対立遺伝子(158V)に関して同型接合性の患者において増大した効力を持つ。
いくつかの実施形態では、本発明の操作された抗体は、非ホジキンリンパ腫(NHL)の治療および/または予防に特に有効である。本発明の操作された抗体は、限定するものではないが、抗CD20 mAbであるリツキシマブ(Rituximab)を使用する化学療法および免疫療法を含む、NHLに対する現行の治療計画よりも、治療上有効性が高い。しかしながら、抗CD20モノクローナル抗体の効力は、被験体のFcγR多型に依存する(Carton et al., 2002 Blood, 99: 754-8; Weng et al., 2003 J Clin Oncol. 21(21): 3940-7(両方とも参照によりその全内容を本明細書に組み入れる))。これらの受容体はエフェクター細胞の表面で発現され、ADCCを媒介する。低親和性活性化受容体の高親和性対立遺伝子は、エフェクター細胞の、ADCCを媒介する能力を向上させる。本発明の方法により、Fc突然変異を有する抗CD20抗体を操作して、その変更されたFcドメインを介してエフェクター細胞上のFcγRに対するその親和性を増強することが可能になる。本発明の操作された抗体は、患者に、そのFcγR多型にかかわらず、よりよい免疫療法試薬を提供する。
被験体における操作された抗CD20抗体の効力を判定するための例示的方法は、以下を含み得る:Fc突然変異を有し、ADCCにおいて実質的に増大した致死性を示すキメラ抗HER2/neu重鎖遺伝子を保有するプラスミドを、リツキシマブ重鎖遺伝子に由来する可変ドメイン中へ移すための骨格として使用することができる。抗HER2/neu Fc変異体に由来する可変領域を、リツキシマブ由来の可変領域で置換する。野生型FcドメインもしくはFcγR結合性を無効にするD265A突然変異、または抗CD20 Fc変異体を含有するプラスミドを、リツキシマブ軽鎖遺伝子とともに、コンディショニング培地中の293H細胞に一時的に同時トランスフェクトし、常法を用いて抗体をプロテインGカラムで精製する。
Fc変異体を有する抗CD20 mAbを、培養B細胞系統を用いたADCCにより試験して、Fc突然変異のADCCを増大させる能力を判定する。本明細書に開示される方法を用いて、標準的ADCCを実施する。Ficoll−Paque勾配(Pharmacia)を用いて、リンパ球を末梢血から採取する。標的Daudi細胞(CD20を発現するB細胞系統)にユーロピウム(PerkinElmer)を添加し、エフェクターとともに37℃で4時間インキュベートする。蛍光プレートリーダー(Wallac)を用いて、放出されたユーロピウムを検出する。得られたADCCデータは、NK細胞媒介性細胞傷害作用を誘発するFc変異体の効力を示し、どの抗CD20 Fc変異体が患者サンプルと分離した(elutriated)単球の両方で試験可能性であるかが確認できる。次に、抗CD20抗体の効力を増大させる最大の能力を示すFc変異体を、患者由来のPBMCを用いたADCCアッセイで試験する。健康なドナー由来のPBMCをエフェクター細胞として用いる。抗CD20変異体およびリツキシマブを用いたインビトロ ADCCアッセイは、濾胞性リンパ腫を有する患者由来の原発性リンパ腫細胞中で行う。当技術分野で公知の方法を用い、ドナーの特異的FcγR多型を判定し、一覧化する。ADCCアッセイは、異なるFcγRIIIAおよびFcγRIIA遺伝子型を有する患者由来のエフェクター細胞によって行う。
本発明の一態様によれば、変異型Fc領域を含む本発明の分子(例えば、抗体)は、野生型Fc領域を含む分子に比べて、抗体エフェクター機能、例えば、ADCC、CDC、食作用、オプソニン作用などの能力を増大させることにより、癌免疫療法の効力を増強する。具体的な実施形態では、変異型Fc領域を有する本発明の分子を用いて、腫瘍細胞の抗体依存性細胞傷害作用および/または食作用が増強される。本発明の分子は、少なくとも1つの抗体媒介エフェクター機能を増強することにより、免疫療法による癌治療の効力を増強することができる。特定の一実施形態では、変異型Fc領域を含む本発明の分子は、補体依存性カスケードを増強することにより、免疫療法処置の効力を増強する。本発明の別の実施形態では、変異型Fc領域を含む本発明の分子は、標的腫瘍細胞の食作用および/またはオプソニン作用を増強することにより、免疫療法処置の効力を増強する。本発明の別の実施形態では、変異型Fc領域を含む本発明の分子は、標的腫瘍細胞の破壊における抗体依存性細胞媒介細胞傷害作用(「ADCC」)を増強することにより、治療の効力を増強する。
本発明はさらに、治療用抗体の治療効力を増強するために、例えば治療用抗体のエフェクター機能(例えば、ADCC)を増強することにより、治療用抗体(例えば、腫瘍特異的モノクローナル抗体)を操作することを企図する。好ましくはこの治療用抗体は細胞傷害性および/またはオプソニン作用抗体である。当業者ならば、本発明の方法に従って、所望の結合特性を有する本発明の分子(例えば、少なくとも1つのアミノ酸改変を有する変異型Fc領域を有する分子、この改変は、野生型Fc領域を含む対応する分子よりも、変異型Fc領域の、FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性を増大する)が同定されたところで(第6.2節および表9参照)、第6.2.2節に記載されるように、標準的組換えDNA技術および既知の突然変異誘発技術を用いて治療用抗体を操作し、同定された、所望の結合特性を有する突然変異部位を保有する、操作された治療薬を作製可能であることが理解できるであろう。癌治療での治療上の有用性が証明されている、表10に列挙した治療用抗体はいずれも、本発明の方法に従って、例えば、野生型Fc領域を有する治療用抗体に比べて、FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対して増大した親和性を有するようにFc領域を改変することによって、操作することができ、かつ、癌抗原を特徴とする癌の治療および/または予防のために使用することができる。他の治療抗体としては、病原体に対するもの(肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)血清型6Bに対するものなど)が挙げられる(例えば、Sun et al., 1999, Infection and Immunity, 67(3): 1172-9参照)。
本発明のFc変異体は、本明細書に開示されるもの、または他のFc融合臨床候補などの治療用抗体、すなわち、臨床試験において本発明者らが認可を受けているFc領域を含む分子または本発明のFc変異体、そのヒト化型、親和成熟型、改変型もしくは操作型から利益が得られる他の任意の分子に組み込むことができる。
本発明はまた、限定するものではないが、ENBRELなどの、治療上の有用性を有するFc領域を含む他の任意のポリペプチドを、例えばFc領域を含むポリペプチドのエフェクター機能を増強することにより、このようなポリペプチドの治療効力を増強するために、本発明の方法に従って操作することも包含する。
従って、本発明は、癌抗原と結合し、細胞傷害性であり、本発明に従って、親治療用抗体よりも高い親和性でFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAと結合するように、Fc領域中の1以上の部位が改変されており、かつ/または、エフェクター機能(例えば、ADCC、食作用)をより有効に媒介する治療用抗体を用いて、癌抗原を特徴とする癌を予防または治療する方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、癌抗原と結合し、細胞傷害性であり、本発明に従って、親治療用抗体よりも高い親和性でFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAと結合し、親治療用抗体よりも低い親和性でFcγRIIBと結合するように操作されており、かつ/またはエフェクター機能(例えば、ADCC、食作用)をより有効に媒介する治療用抗体を用いて、癌抗原を特徴とする癌を予防または治療する方法を提供する。本発明に従って操作された治療用抗体は、増大した細胞傷害性(例えば、増大した腫瘍細胞死および/または例えば増大したADCC活性もしくはCDC活性)を持つので、癌の予防または治療に有用である。
癌抗原が関連する癌は、癌抗原と結合し、細胞傷害性であり、本発明の方法に従って、例えば増強されたエフェクター機能を有するように操作された治療用抗体の投与によって、治療または予防することができる。具体的な一実施形態では、本発明の方法によって操作された治療用抗体は、具体的な癌抗原に対する抗体の、抗体媒介細胞傷害作用を増強する。例えば、限定するものではないが、以下の癌抗原と関連する癌を本発明の方法および組成物によって治療または予防することができる:KS 1/4汎癌腫抗原(Perez and Walker, 1990, J. Immunol. 142: 3662-3667; Bumal, 1988, Hybridoma 7(4): 407-415)、卵巣癌抗原(CA125)(Yu et al., 1991, Cancer Res. 51(2): 468-475)、前立腺酸性ホスフェート(prostatic acid phosphate)(Tailor et al., 1990, Nucl. Acids Res. 18(16): 4928)、前立腺特異的抗原(Henttu and Vihko, 1989, Biochem. Biophys. Res. Comm. 160(2): 903-910; Israeli et al., 1993, Cancer Res. 53: 227-230)、黒色腫関連抗原p97(Estin et al., 1989, J. Natl. Cancer Instit. 81(6): 445-446)、黒色腫抗原gp75(Vijayasardahl et al., 1990, J. Exp. Med. 171(4): 1375-1380)、高分子量黒色腫抗原(HMW−MAA)(Natali et al., 1987, Cancer 59: 55-63; Mittelman et al., 1990, J. Clin. Invest. 86: 2136-2144)、前立腺特異的膜抗原、癌胎児性抗原(CEA)(Foon et al., 1994, Proc. Am. Soc. Clin. Oncol. 13: 294)、多型性上皮ムチン抗原、ヒト乳脂肪小球抗原、結直腸腫瘍関連抗原(例えば、CEA、TAG−72(Yokata et al., 1992, Cancer Res. 52: 3402-3408)、CO17−1A(Ragnhammar et al., 1993, Int. J. Cancer 53: 751-758); GICA 19−9(Herlyn et al., 1982, J. Clin. Immunol. 2: 135)、CTA−1およびLEA)、バーキットリンパ腫抗原−38.13、CD19(Ghetie et al., 1994, Blood 83: 1329-1336)、ヒトBリンパ腫抗原−CD20(Reff et al., 1994, Blood 83: 435-445)、CD33(Sgouros et al., 1993, J. Nucl. Med. 34: 422-430)、黒色腫特異的抗原(例えば、ガングリオシドGD2(Saleh et al., 1993, J. Immunol., 151, 3390-3398)、ガングリオシドGD3(Shitara et al., 1993, Cancer Immunol. Immunother. 36: 373-380)、ガングリオシドGM2(Livingston et al., 1994, J. Clin. Oncol. 12: 1036-1044)、ガングリオシドGM3(Hoon et al., 1993, Cancer Res. 53: 5244-5250))、腫瘍特異的移植型細胞表面抗原(TSTA)(例えば、DNA腫瘍ウイルスのT抗原およびRNA腫瘍ウイルスのエンベロープ抗原を含むウイルス誘発性腫瘍抗原)、腫瘍胎児抗原−α−フェトプロテイン(例えば、結腸のCEA、膀胱腫瘍胎児抗原(Hellstrom et al., 1985, Cancer. Res. 45: 2210-2188))、分化抗原(例えば、ヒト肺癌抗原L6、L20(Hellstrom et al., 1986, Cancer Res. 46: 3917- 3923))、線維肉腫の抗原、ヒト白血病T細胞抗原−Gp37(Bhattacharya-Chatterjee et al., 1988, J. of Immun. 141: 1398-1403)、ネオ糖タンパク質、スフィンゴ脂質、乳癌抗原(例えば、EGFR(上皮増殖因子受容体))、HER2抗原(pl85HER2)、多型性上皮ムチン(PEM)(Hilkens et al., 1992, Trends in Bio. Chem. Sci. 17: 359)、悪性ヒトリンパ球抗原−APO−1(Bernhard et al., 1989, Science 245: 301-304)、分化抗原(Feizi, 1985, Nature 314: 53-57)、例えば、胎児赤血球および一次内肺葉に見られるI抗原、胃腺癌に見られるI(Ma);乳房上皮に見られるM18およびM39;骨髄細胞に見られるSSEA−1;結腸直腸癌に見られるVEP8、VEP9、Myl、VIM−D5およびD156−22;TRA−1−85(血液型H);結腸腺癌に見られるC14;肺腺癌に見られるF3;胃癌に見られるAH6;胚性癌細胞に見られるYハプテンであるLey;TL5(血液型A)、A431細胞に見られるEGF受容体;膵癌に見られるE1系列(血液型B);胚性癌細胞、胃腺癌抗原に見られるFC10.2;腺癌に見られるCO−514(血液型Lea);腺癌に見られるNS−10;CO−43(血液型Leb);G49;EGF受容体;結腸腺癌に見られる(血液型ALeb/Ley);結腸癌および胃癌ムチンに見られる19.9;骨髄細胞に見られるT5A7;黒色腫に見られるR24;胚性癌細胞に見られる4.2、GD3、D1.1、OFA−1、GM2、OFA−2、GD2、M1:22:25:8);ならびに4〜8細胞期の胚に見られるSSEA−3、SSEA−4が挙げられる。別の実施形態では、抗原は皮膚T細胞リンパ腫のペプチドに由来するT細胞受容体である(Edelson, 1998, The Cancer Journal 4: 62参照)。
本発明の方法および組成物によって治療または予防することができる癌および関連の疾患には、限定するものではないが、以下のものが挙げられる:白血病(限定するものではないが、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病(骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性、赤白血球性白血病および脊髄形成異常症候群など)、慢性白血病(限定するものではないが、慢性骨髄性(顆粒球)白血病、慢性リンパ性白血病、毛様細胞白血病など));真性赤血球増加症;リンパ腫(限定するものではないが、ホジキン病、非ホジキン病など);多発性骨髄腫(限定するものではないが、くすぶり型多発性骨髄腫、非分泌性骨髄腫、骨硬化性骨髄腫、形質細胞白血病、孤立性形質細胞腫および髄外性形質細胞腫など));ワルデンシュトレームマクログロブリン血症;意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症;良性単クローン性ガンマグロブリン血症;重鎖病;骨および結合組織肉腫(限定するものではないが、骨部肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性巨細胞腫、骨の線維肉腫、脊索腫、骨膜肉腫、軟組織肉腫、血管肉腫、線維肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、神経鞘腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫など);脳腫瘍(限定するものではないが、神経膠腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、上衣細胞腫、乏突起神経膠腫、非神経膠腫瘍、聴神経鞘腫、頭蓋咽頭腫、髄芽腫、髄膜腫、松果体腫、松果体芽腫、原発脳リンパ腫など);乳癌(限定するものではないが、腺癌、小葉(小細胞)癌、管内癌、髄様乳癌、粘液乳癌、管状乳癌、乳頭状乳癌、ページェット病および炎症性乳癌など);副腎癌(限定するものではないが、クロム親和性細胞腫および副腎皮質癌など);甲状腺癌(限定するものではないが、乳頭状もしくは濾胞性甲状腺癌、髄様甲状腺癌および未分化甲状腺癌など);膵癌(限定するものではないが、膵島細胞腫、ガトリノーマ、グルカゴノーマ、ビポーマ、ソマトスタチン分泌腫瘍およびカルチノイドまたは膵島細胞腫瘍など);下垂体癌(限定するものではないが、クッシング病、プロラクチン分泌腫瘍、末端肥大症および尿崩症など);眼の癌(限定するものではないが、眼部黒色腫(虹彩黒色腫、脈絡膜黒色腫および毛様体黒色腫など)、および網膜芽腫など);膣癌(限定するものではないが、扁平上皮癌、腺癌および黒色腫など);外陰部癌(限定するものではないが、扁平上皮癌、黒色腫、腺癌、基底細胞癌、肉腫およびページェット病など);子宮頸癌(限定するものではないが、扁平上皮癌および腺癌など);子宮癌(限定するものではないが、子宮内膜癌および子宮肉腫など);卵巣癌(限定するものではないが、卵巣上皮癌、境界性腫瘍、胚細胞腫瘍および間質腫瘍など);食道癌(限定するものではないが、扁平上皮癌、腺癌、腺様嚢胞癌、粘膜表皮癌、腺扁平上皮癌、肉腫、黒色腫、形質細胞腫、疣状癌および燕麦細胞(小細胞)癌など);胃癌(限定するものではないが、腺癌、菌状(ポリープ状)、潰瘍性、表在性、拡散性、悪性リンパ腫、脂肪肉腫、線維肉腫および癌肉腫など);結腸癌;直腸癌;肝癌(限定するものではないが、肝細胞癌および肝芽腫など);胆嚢癌(限定するものではないが、腺癌など);胆管癌(限定するものではないが、乳頭状、結節性および拡散性など);肺癌(限定するものではないが、非小細胞肺癌、扁平上皮癌(表皮癌)、腺癌、大細胞癌および小細胞肺癌など);精巣癌(限定するものではないが、胚腫瘍、精上皮腫、未分化性、古典的(典型的)、精子細胞、非精上皮腫、胎児性癌、奇形腫、絨毛癌(卵黄嚢腫瘍)など);前立腺癌(限定するものではないが、腺癌、平滑筋肉腫および横紋筋肉腫など);陰茎癌;口腔癌(限定するものではないが、扁平上皮癌など);基底癌;唾液腺癌(限定するものではないが、腺癌、粘膜表皮癌および腺様嚢胞癌など);咽頭癌(限定するものではないが、扁平上皮癌および疣状癌など);皮膚癌(限定するものではないが、基底細胞癌、扁平上皮癌および黒色腫、表在性黒色腫、結節性黒色腫、悪性黒子黒色腫、末端性黒子性黒色腫など);腎癌(限定するものではないが、腎細胞癌、腺癌、副腎腫、線維肉腫、移行性細胞癌(腎骨盤および/または子宮)など);ウィルムス腫瘍;膀胱癌(限定するものではないが、移行性細胞癌、扁平上皮癌、腺癌、癌肉腫など)。さらに、癌としては、粘液肉腫、骨原性肉腫、内皮肉腫、リンパ管内皮肉腫、中皮腫、滑膜腫、血管芽腫、上皮癌、嚢胞腺癌、気管支原性癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌および乳頭腺癌が挙げられる(このような疾患の総説としては、Fishman et al., 1985, Medicine, 2d Ed., J.B. Lippincott Co., PhiladelphiaおよびMurphy et al., 1997, Informed Decisions: The Complete Book of Cancer Diagnosis, Treatment, and Recovery, Viking Penguin, Penguin Books U.S.A., Inc., アメリカ合衆国を参照)。
従って、本発明の方法および組成物は、限定するものではないが、癌(膀胱、乳房、結腸、腎臓、肝臓、肺、卵巣、膵臓、胃、前立腺、子宮頸部、甲状腺および皮膚の癌を含む);扁平上皮癌など;リンパ造血系腫瘍(白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫など);骨髄造血系腫瘍(急性および慢性骨髄性白血病ならびに前骨髄球性白血病など);間葉起源の腫瘍(線維肉腫および横紋筋肉腫など);その他の腫瘍(黒色腫、精上皮腫、奇形癌、神経芽腫および神経膠腫など);中枢および末梢神経系の腫瘍(星状細胞腫、神経芽腫、神経膠腫および神経鞘腫など);間葉起源の腫瘍(線維肉腫、横紋筋肉腫および骨肉腫など);ならびに他の腫瘍(黒色腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、精上皮腫、甲状腺濾胞性癌および奇形癌など)を含む多様な癌または他の異常増殖性疾患の治療または予防においても有用である。また、アポトーシスの異常に起因する癌を、本発明の方法および組成物によって治療することも企図される。このような癌としては、限定するものではないが、濾胞性リンパ腫、p53突然変異を伴う癌、乳房、前立腺および卵巣のホルモン依存性腫瘍、ならびに前癌性病変(家族性腺腫様ポリープ症および脊髄形成異常症候群など)が挙げられる。具体的な実施形態では、卵巣、膀胱、乳房、結腸、肺、皮膚、膵臓または子宮において、悪性もしくは増殖異常変化(異形成および形成不全など)、または過剰増殖性疾患を、本発明の方法および組成物によって治療または予防する。他の具体的な実施形態では、肉腫、黒色腫または白血病を、本発明の方法および組成物によって治療または予防する。
具体的な実施形態では、本発明の分子(例えば、変異型Fc領域を含む抗体、または本発明の方法に従って操作された治療用モノクローナル抗体)は、原発腫瘍の増殖または癌性細胞の転移を、該本発明の分子の不在下での原発腫瘍の増殖または転移に比べて、少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも45%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも35%、少なくとも30%、少なくとも25%、少なくとも20%、または少なくとも10%阻害または低減する。
6.4.1.1 併用療法
本発明はさらに、限定するものではないが、現行の標準的および実験的化学療法、ホルモン療法、生物療法、免疫療法、放射線療法または外科手術を含む、癌の治療または予防に関して当業者に知られている他の療法と併用して本発明の分子を投与することを包含する。いくつかの実施形態では、本発明の分子を、治療上または予防上有効な量の1以上の抗癌薬、治療用抗体(例えば、表10に列挙した抗体)、または癌の治療および/もしくは予防に関して当業者に知られている他の薬剤(第6.4.1.2節参照)と併用投与することができる。
特定の実施形態では、1以上の本発明の分子を、癌の治療に有用な他の1以上の治療薬と同時に、哺乳動物、好ましくはヒトに投与する。「同時に」とは、予防薬または治療薬を厳密に同時に投与することに限定されるものではなく、むしろ本発明の分子および他の薬剤を、本発明の分子が他の薬剤とともに作用して、これらを別々に投与した場合よりも高い利益を提供するように、連続的かつ一定の時間間隔内で哺乳動物に投与することを意味する。例えば、予防薬または治療薬(例えば、化学療法、放射線療法、ホルモン療法または生物療法)はそれぞれ、厳密に同時に、または任意の順序で連続的に異なる時点で投与することができるが、厳密に同時に投与しない場合には、所望の治療効果または予防効果が提供されるように、時間的に十分近接させて投与すべきである。各治療薬は、任意の適切な形態で、かつ任意の好適な経路で、別々に投与することができる。種々の実施形態では、予防薬または治療薬は、1時間未満の間隔、約1時間間隔、約1時間〜約2時間間隔、約2時間〜約3時間間隔、約3時間〜約4時間間隔、約4時間〜約5時間間隔、約5時間〜約6時間間隔、約6時間〜約7時間間隔、約7時間〜約8時間間隔、約8時間〜約9時間間隔、約9時間〜約10時間間隔、約10時間〜約11時間間隔、約11時間〜約12時間間隔、24時間間隔以下または48時間間隔以下で投与する。好ましい実施形態では、2以上の成分を患者の同一来診時に投与する。
他の実施形態では、予防薬または治療薬を、約2〜4日間隔、約4〜6日間隔、約1週間間隔、約1〜2週間間隔、2週間を超える間隔で投与する。好ましい実施形態では、予防薬または治療薬を、両方の薬剤が活性を維持する時間枠内で投与する。当業者ならば、投与する薬剤の半減期を測定することにより、このような時間枠を決定することができる。
特定の実施形態では、本発明の予防薬または治療薬を被験者に周期的に投与する。周期的治療には、第1の薬剤をある期間投与した後、第2の薬剤および/または第3の薬剤をある期間投与し、この連続投与を反復することを含む。周期的治療は、1以上の療法に対する耐性の進行を軽減し、療法の1つの副作用を回避または軽減し、かつ/または治療の効力を改善することができる。
特定の実施形態では、予防薬または治療薬を、約3週間未満の周期で、約2週間に1回、約10日に1回、または約1週間に1回投与する。1周期には、各周期につき約90分間、各周期につき約1時間、各周期につき約45分間の注入による治療薬または予防薬の投与を含み得る。各周期は少なくとも1週間の休止、少なくとも2週間の休止、少なくとも3週間の休止を含み得る。投与周期の回数は、約1〜約12回、より一般には約2〜約10回、より一般にはは約2〜約8回である。
さらに別の実施形態では、本発明の治療薬および予防薬を、メトロノーム投与計画で、連続的注入または長期の休止期を設けない頻繁な投与のいずれかによって投与する。このようなメトロノーム投与は、休止期を設けずに一定の間隔での投与を含み得る。一般に、治療薬、特に細胞傷害薬を低用量で使用する。このような投与計画には、長期間の比較的低用量の慢性投与が包含される。好ましい実施形態では、低用量の使用により、有毒な副作用を最少にし、休止期間を排除することができる。特定の実施形態では、治療薬および予防薬は、約24時間〜約2日、〜約1週間、〜約2週間、〜約3週間、〜約1ヶ月、〜約2ヶ月、〜約3ヶ月、〜約4ヶ月、〜約5ヶ月、〜約6ヶ月の範囲の慢性低用量投与または連続注入によって送達される。このような投与計画のスケジュールは腫瘍専門家により至適化することができる。
他の実施形態では、複数の治療クールを哺乳動物に同時に投与する。すなわち、個々の用量の治療薬を別個にではあるが、本発明の分子が他の薬剤または薬剤群と共働できるような時間間隔内で投与する。例えば、1成分を1週間に1回投与し、それと組み合わせて、他の成分を2週間に1回、または3週間に1回投与してもよい。言い換えれば、治療薬を同時にまたは患者の同一来診時に投与しなくても、各治療薬の投与計画が同時に実施される。
他の予防薬および/または治療薬と併用する場合、本発明の分子と予防薬および/または治療薬は相加的、またはより好ましくは相乗的に作用することができる。一実施形態では、本発明の分子を1以上の治療薬とともに、同一の医薬組成物において同時に投与する。別の実施形態では、本発明の分子を1以上の他の治療薬とともに、別個の医薬組成物において同時に投与する。さらに別の実施形態では、本発明の分子を、別の予防薬または治療薬を投与する前、または投与した後に投与する。本発明は、同一または異なる投与経路、例えば、経口経路および非経口経路で、本発明の分子を他の予防薬または治療薬と併用して投与することを企図する。具体的な実施形態では、本発明の分子を、限定するものではないが毒性などの有害副作用をもたらす可能性がある別の予防薬または治療薬と同時に投与する場合、その予防薬または治療薬を、有害副作用が誘発される閾値より低い用量で投与するのが有利である。
本明細書で提供する用量および投与頻度は、治療上有効なおよび予防上有効なという用語に包含される。用量および頻度はさらに、一般には各患者に特異的な要因に従って、投与する具体的な治療薬または予防薬、癌の重篤度およびタイプ、投与経路、ならびに患者の年齢、体重、応答性および過去の病歴に応じて変動する。好適な治療計画は、このような要因を考慮し、例えば文献に報告され、また、Physician's Desk Reference (第56版, 2002)で推奨されている用量に従って、当業者が選択することができる。
6.4.1.2 他の治療薬/予防薬
具体的な実施形態では、本発明の方法は、1以上の本発明の分子の、癌の治療および/または予防に用いられる1以上の治療薬との投与を包含する。一実施形態では、血管新生阻害剤を本発明の分子と併用投与することができる。本発明の方法および組成物に使用可能な血管新生阻害剤としては、限定するものではないが、アンギオスタチン(Angiostatin)(プラスミノーゲン断片);抗血管新生抗トロンビンIII;アンギオザイム(Angiozyme);ABT−627;Bay 12−9566;ベネフィン(Benefin);ベバシズマブ(Bevacizumab);BMS−275291;軟骨由来阻害剤(CDI);CAI;CD59補体断片;CEP−7055;Col 3;コンブレタスタチン(Combretastatin)A−4;エンドスタチン(Endostatin)(コラーゲンXVIII断片);フィブロネクチン(Fibronectin)断片;グロβ(Gro-beta);ハロフギノン(Halofuginone);ヘパリナーゼ;ヘパリンヘキササッカライド断片;HMV833;ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG);IM−862;インターフェロンα/β/γ;インターフェロン誘導性タンパク質(IP−10);インターロイキン−12;クリングル(Kringle)5(プラスミノーゲン断片);マリマスタット(Marimastat);メタロプロテイナーゼ阻害剤(TIMP);2−メトキシエストラジオール;MMI270(CGS27023A);MoAb IMC−1C11;ネオバスタット(Neovastat);NM−3;パンゼム(Panzem);PI−88;胎盤リボヌクレアーゼ阻害剤;プラスミノーゲン活性化因子阻害剤;血小板因子−4(PF4);プリノマスタット(Prinomastat);プロラクチン16kD断片;プロリフェリン(Proliferin)関連タンパク質(PRP);PTK787/ZK 222594;レチノイド;ソリマスタット(Solimastat);スクアラミン(Squalamine);SS3304;SU5416;SU6668;SU11248;テトラヒドロコルチゾール−S;テトラチオモリブダート;サリドマイド;トロンボスポンジン−1(TSP−1);TNP−470;トランスフォーミング増殖因子β(TGF−b);バスキュロスタチン(Vasculostatin);バソスタチン(Vasostatin)(カルレティキュリン断片);ZD6126;ZD6474;ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(FTI);およびビスホスホネートが挙げられる。
本発明の医薬組成物および投与形ならびにキットをはじめとする本発明の種々の実施形態において本発明の分子と併用可能な抗癌薬としては、限定するものではないが、アシビシン(acivicin);アクラルビシン(aclarubicin);塩酸アコダゾール(acodazole);アクロニン(acronine);アドゼレシン(adozelesin);アルデスロイキン(aldesleukin);アルトレタミン(altretamine);アンボマイシン(ambomycin);酢酸アメタントロン(ametantrone);アミノグルテチミド(aminoglutethimide);アムサクリン(amsacrine);アナストロゾール(anastrozole);アントラマイシン(anthramycin);アスパラギナーゼ;アスペルリン(asperlin);アザシチジン(azacitidine);アゼテパ(azetepa);アゾトマイシン(azotomycin);バチマスタット(batimastat);ベンゾデパ(benzodepa);ビカルタミド(bicalutamide);塩酸ビサントレン(bisantrene);ジメシル酸ビスナフィド(bisnafide);ビゼレシン(bizelesin);硫酸ブレオマイシン(bleomycin);ブレキナル(brequinar) ナトリウム;ブロピリミン(bropirimine);ブスルファン(busulfan);カクチノマイシン(cactinomycin);カルステロン(calusterone);カラセミド(caracemide);カルベチメル(carbetimer);カルボプラチン(carboplatin);カルムスチン(carmustine);塩酸カルビシン(carubicin);カルゼレシン(carzelesin);セデフィンゴル(cedefingol);クロラムブシル(chlorambucil);シロレマイシン(cirolemycin);シスプラチン(cisplatin);クラドリビン(cladribine);メシル酸クリスナトール(crisnatol);シクロホスファミド;シタラビン(cytarabine);ダカルバジン(dacarbazine);ダクチノマイシン(dactinomycin);塩酸ダウノルビシン(daunorubicin);デシタビン(decitabine);デキソルマプラチン(dexormaplatin);デザグアニン(dezaguanine);メシル酸デザグアニン;ジアジクオン(diaziquone);ドセタキセル(docetaxel);ドキソルビシン(doxorubicin);塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン(droloxifene);クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン(dromostanolone);ジュアゾマイシン(duazomycin);エダトレキサート(edatrexate);塩酸エフロルニチン(eflornithine);エルサミトルシン(elsamitrucin);エンドプラチン(enloplatin);エンプロマート(enpromate);エピプロピジン(epipropidine);塩酸エピルビシン(epirubicin);エルブロゾール(erbulozole);塩酸エソルビシン(esorubicin);エストラムスチン(estramustine);エストラムスチン(estramustine)リン酸エステルナトリウム;エタニダゾール(etanidazole);エトポシド(etoposide);リン酸エトポシド;エトプリン(etoprine);塩酸ファドロゾール(fadrozole);ファザラビン(fazarabine);フェンレチニド(fenretinide);フロキシウリジン(floxuridine);リン酸フルダラビン(fludarabine);フルオロウラシル;フルロシタビン(flurocitabine);フォスキドン(fosquidone);フォストリエシン(fostriecin)ナトリウム;ゲムシタビン(gemcitabine);塩酸ゲムシタビン;ヒドロキシ尿素;塩酸イダルビシン(idarubicin);イフォスファミド(ifosfamide);イルモフォシン(ilmofosine);インターロイキンII(組換えインターロイキンIIまたはrIL2を含む);インターフェロンα−2a;インターフェロンα−2b;インターフェロンα−n1;インターフェロンα−n3;インターフェロンβ−Ia;インターフェロンγ−Ib;イプロプラチン(iproplatin);塩酸イリノテカン(irinotecan);酢酸ランレオチド(lanreotide);レトロゾール(letrozole);酢酸ロイプロリド(leuprolide);塩酸リアロゾール(liarozole);ロメトレキソール(lometrexol)ナトリウム;ロムスチン(lomustine);塩酸ロソキサントロン(losoxantrone);マソプロコール(masoprocol);メイタンシン(maytansine);塩酸メクロレタミン(mechlorethamine);酢酸メゲストロール(megestrol);酢酸メレンゲストロール;メルファラン(melphalan);メノガリル(menogaril);メルカプトプリン;メトトレキセート(methotrexate);メトトレキセートナトリウム;メトプリン(metoprine);メツレデパ(meturedepa);ミチンドミド(mitindomide);ミトカルシン(mitocarcin);ミトクロミン(mitocromin);ミトギリン(mitogillin);ミトマルシン(mitomalcin);マイトマイシン(mitomycin);ミトスペル(mitosper);ミトタン(mitotane);塩酸ミトキサントロン(mitoxantrone);ミコフェノール酸(mycophenolic acid);ノコダゾール(nocodazole);ノガラマイシン(nogalamycin);オルマプラチン(ormaplatin);オキシスラン(oxisuran);パクリタキセル(paclitaxel);ペグアスパルガーゼ(pegaspargase);ペリオマイシン(peliomycin);ペンタムスチン(pentamustine);硫酸ペプロマイシン(peplomycin);ペルホスファミド(perfosfamide);ピポブロマン(pipobroman);ピポスルファン(piposulfan);塩酸ピロキサントロン(piroxantrone);プリカマイシン(plicamycin);プロメスタン(plomestane);ポルフィマー(porfimer)ナトリウム;ポルフィロマイシン(porfiromycin);プレドニムスチン(prednimustine);塩酸プロカルバジン(procarbazine);ピューロマイシン(puromycin);塩酸ピューロマイシン;ピラゾフリン(pyrazofurin);リボプリン(riboprine);ログレチミド(rogletimide);サフィンゴル(safingol);塩酸サフィンゴル(safingol);セムスチン(semustine);シントラゼン(simtrazene);スパルフォサート(sparfosate)ナトリウム;スパルソマイシン(sparsomycin);塩酸スピロゲルマニウム(spirogermanium);スピロムスチン(spiromustine);スピロプラチン(spiroplatin);ストレプトニグリン(streptonigrin);ストレプトゾシン(streptozocin);スロフェヌル(sulofenur);タリソマイシン(talisomycin);テコガラン(tecogalan)ナトリウム;テガフール(tegafur);塩酸テロキサントロン(teloxantrone);テモポルフィン(temoporfin);テニポシド(teniposide);テロキシロン(teroxirone);テストラクトン(testolactone);チアミプリン(thiamiprine);チオグアニン(thioguanine);チオテパ(thiotepa);チアゾフリン(tiazofurin);チラパザミン(tirapazamine);クエン酸トレミフェン(toremifene);酢酸トレストロン(trestolone);リン酸トリシリビン(triciribine);トリメトレキサート(trimetrexate);グルクロン酸トリメトレキサート;トリプトレリン(triptorelin);塩酸ツブロゾール(tubulozole);ウラシルマスタード(uracil mustard);ウレデパ(uredepa);バプレオチド(vapreotide);ベルテポルフィン(verteporfin);硫酸ビンブラスチン(vinblastine);硫酸ビンクリスチン(vincristine);ビンデシン(vindesine);硫酸ビンデシン;硫酸ビンエピジン(vinepidine);硫酸ビングリシナート(vinglycinate);硫酸ビンレウロシン(vinleurosine);酒石酸ビノレルビン(vinorelbine);硫酸ビンロシジン(vinrosidine);硫酸ビンゾリジン(vinzolidine);ボロゾール(vorozole);ゼニプラチン(zeniplatin);ジノスタチン(zinostatin);塩酸ゾルビシン(zorubicin)が挙げられる。他の抗癌薬としては、限定するものではないが、20−エピ−1,25ジヒドロキシビタミンD3;5−エチニルウラシル;アビラテロン(abiraterone);アクラルビシン(aclarubicin);アシルフルベン(acylfulvene);アデシペノール(adecypenol);アドゼレシン(adozelesin);アルデスロイキン(aldesleukin);ALL−TK拮抗薬;アルトレタミン(altretamine);アンバムスチン(ambamustine);アミドックス(amidox);アミフォスチン(amifostine);アミノレブリン酸(aminolevulinic acid);アムルビシン(amrubicin);アムサクリン(amsacrine);アナグレリド(anagrelide);アナストロゾール(anastrozole);アンドログラホリド(andrographolide);血管新生阻害剤;拮抗薬D;拮抗薬G;アンタレリクス(antarelix);抗背方化形態発生タンパク質−1;抗アンドロゲン前立腺癌;抗エストロゲン;抗ネオプラストン;アンチセンスオリゴヌクレオチド;グリシン酸アフィジコリン(aphidicolin);アポトーシス遺伝子モジュレーター;アポトーシスレギュレーター;アプリン酸;アラ−CDP−DL−PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン(asulacrine);アタメスタン(atamestane);アトリムスチン(atrimustine);アキシナスタチン(axinastatin)1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン(azasetron);アザトキシン(azatoxin);アザチロシン(azatyrosine);バッカチンIII誘導体;バラノール(balanol);バチマスタット(batimastat);BCR/ABL拮抗薬;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン(benzoylstaurosporine);βラクタム誘導体;βアレチン(beta-alethine);βクラマイシン(betaclamycin)B;ベツリン酸;bFGF阻害剤;ビカルタミド(bicalutamide);ビサントレン(bisantrene);ビサジリジニルスペルミン(bisaziridinylspermine);ビスナフィド(bisnafide);ビストラテン(bistratene)A;ビゼレシン(bizelesin);ブレフラート(breflate);ブロピリミン(bropirimine);ブドチタン(budotitane);ブチオニンスルホキシイミン(buthionine sulfoximine);カルシポトリオール(calcipotriol);カルホスチン(calphostin)C;カンプトテシン(camptothecin)誘導体;カナリア痘IL−2;カペシタビン(capecitabine);カルボキサミド−アミノ−トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRest M3;CARN 700;軟骨由来阻害剤;カルゼレシン(carzelesin);カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン(castanospermine);セクロピン(cecropin)B;セトロレリクス(cetrorelix);クロルルン(chlorlns);クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト(cicaprost);シス−ポルフィリン;クラドリビン(cladribine);クロミフェン(clomifene)類似体;クロトリマゾール(clotrimazole);コリスマイシン(collismycin)A;コリスマイシンB;コンブレタスタチン(combretastatin)A4;コンブレタスタチン類似体;コナゲニン(conagenin);クラムベシジン(crambescidin)816;クリスナトール(crisnatol);クリプトフィシン(cryptophycin)8;クリプトフィシンA誘導体;キュラシン(curacin)A;シクロペンタアントラキノン;シクロプラタム(cycloplatam);シペマイシン(cypemycin);シタラビンオクホスファート(cytarabineocfosfate);細胞溶解因子;シトスタチン(cytostatin);ダクリキシマブ(dacliximab);デシタビン(decitabine);デヒドロジデムニン(dehydrodidemnin)B;デスロレリン(deslorelin);デキサメタゾン(dexamethasone);デキシホスファミド(dexifosfamide);デクスラゾキサン(dexrazoxane);デクスベラパミル(dexverapamil);ジアジクオン(diaziquone);ジデミン(didemnin)B;ジドクス(didox);ジエチルノルスペニン(diethylnorspennine);ジヒドロ−5−アザシチジン;ジヒドロタキソール,9−;ジオキサマイシン(dioxamycin);ジフェニルスピロムスチン(diphenyl spiromustine);ドセタキセル(docetaxel);ドコサノール(docosanol);ドラセトロン(dolasetron);ドキシフルリジン(doxifluridine);ドロロキシフェン(droloxifene);ドロナビノール(dronabinol);ジュオカルマイシン(duocarmycin)SA;エブセレン(ebselen);エコムスチン(ecomustine);エデルフォシン(edelfosine);エドレコロマブ(edrecolomab);エフロルニチン(eflornithine);エレメン(elemene);エミテフール(emitefur);エピルビシン(epirubicin);エプリステリド(epristeride);エストラムスチン(estramustine)類似体;エストロゲン作動薬;エストロゲン拮抗薬;エタニダゾール(etanidazole);リン酸エトポシド(etoposide);エキセメスタン(exemestane);ファドロゾール(fadrozole);ファザラビン(fazarabine);フェンレチニド(fenretinide);フィルグラスチム(filgrastim);フィナステリド(finasteride);フラボピリドール(flavopiridol);フレゼラスチン(flezelastine);フルアステロン(fluasterone);フルダラビン(fludarabine);塩酸フルロダウノルニシン(fluorodaunorunicin);フォルフェニメクス(forfenimex);フォルメスタン(formestane);フォストリエシン(fostriecin);フォテムスチン(fotemustine);ガドリニウ
ムテキサフィリン(gadolinium texaphyrin);硝酸ガリウム;ガロシタビン(galocitabine);ガニレリクス(ganirelix);ゲラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン(gemcitabine);グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム(hepsulfam);ヘレグリン(heregulin);ヘキサメチレンビスアセトアミド;ハイペリシン(hypericin);イバンドロン酸;イダルビシン(idarubicin);イドキシフェン(idoxifene);イドラマントン(idramantone);イルモフォシン(ilmofosine);イロマスタット(ilomastat);イミダゾアクリドン;イミキモド(imiquimod);免疫刺激ペプチド;インスリン様増殖因子−1受容体阻害剤;インターフェロン作動薬;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアン(iobenguane);ヨードドキソルビシン(iododoxorubicin);イポメアノール(ipomeanol),4−;イロプラクト(iroplact);イルソグラジン(irsogladine);イソベンガゾール(isobengazole);イソホモハリコンドリン(isohomohalicondrin)B;イタセトロン(itasetron);ジャスプラキノリド(jasplakinolide);カハラリド(kahalalide)F;三酢酸ラメラリン(lamellarin)−N;ランレオチド(lanreotide);レイナマイシン(leinamycin);レノグラスチム(lenograstim);硫酸レンチナン(lentinan);レプトルスタチン(leptolstatin);レトロゾール(letrozole);白血病抑制因子;白血球αインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;ロイプロレリン(leuprorelin);レバミソール(levamisole);リアロゾール(liarozole);線状ポリアミン類似体;親油性ジサッカライドペプチド;親油性白金化合物;リソクリナミド(lissoclinamide)7;ロバプラチン(lobaplatin);ロンブリシン(lombricine);ロメトレキソール(lometrexol);ロニダミン(lonidamine);ロソキサントロン(losoxantrone);ロバスタチン(lovastatin);ロキソリビン(loxoribine);ルルトテカン(lurtotecan);ルテチウムテキサフィリン(lutetium texaphyrin);リソフィリン(lysofylline);溶解性ペプチド;マイタンシン(maitansine);マンノスタチン(mannostatin)A;マリマスタット(marimastat);マソプロコール(masoprocol);マスピン(maspin);マトリリシン(matrilysin)阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;メノガリル(menogaril);メルバロン(merbarone);メテレリン(meterelin);メチオニナーゼ;メトクロプラミド(metoclopramide);MIF阻害剤;ミフェプリストン(mifepristone);ミルテホシン(miltefosine);ミリモスチム(mirimostim);ミスマッチ二本鎖RNA;ミトグアゾン(mitoguazone);ミトラクトール(mitolactol);マイトマイシン類似体;ミトナフィド(mitonafide);マイトトキシン線維芽細胞増殖因子−サポリン(saporin);ミトキサントロン(mitoxantrone);モファロテン(mofarotene);モルグラモスチム(molgramostim);モノクローナル抗体、ヒト絨毛ゴナドトロフィン;モノホスホリル脂質A+ミオバクテリウム細胞壁sk;モピダモール(mopidamol);多剤耐性遺伝子阻害剤;多発性腫瘍抑制因子1に基づく治療;マスタード抗癌薬;マイカペルオキシドB;マイコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン(myriaporone);N−アセチルジナリン(acetyldinaline);N−置換ベンズアミド;ナファレリン(nafarelin);ナグレスチップ(nagrestip);ナロキソン(naloxone)+ペンタゾシン(pentazocine);ナパビン(napavin);ナフテルピン(naphterpin);ナルトグラスチム(nartograstim);ネダプラチン(nedaplatin);ネモルビシン(nemorubicin);ネリドロン酸;中性エンドペプチダーゼ;ニルタミド(nilutamide);ニサマイシン(nisamycin);一酸化窒素モジュレーター;ニトロキシド抗酸化剤;ニトルリン(nitrullyn);06−ベンジルグアニン;オクトレオチド(octreotide);オキセノン(okicenone);オリゴヌクレオチド;オナプリストン(onapristone);オンダンセトロン(ondansetron);オンダンセトロン(ondansetron);オラシン(oracin);経口サイトカイン誘導薬;オルマプラチン(ormaplatin);オサテロン(osaterone);オキサリプラチン(oxaliplatin);オキサウノマイシン(oxaunomycin);パクリタキセル(paclitaxel);パクリタキセル類似体;パクリタキセル誘導体;パラウアミン(palauamine);パルミトイルリゾキシン(palmitoylrhizoxin);パミドロン酸;パナキシトリオール(panaxytriol);パノミフェン(panomifene);パラバクチン(parabactin);パゼリプチン(pazelliptine);ぺグアスパルガーゼ(pegaspargase);ペルデシン(peldesine);ポリ硫酸ペントサンナトリウム;ペントスタチン(pentostatin);ペントロゾール(pentrozole);パーフルブロン(perflubron);パーホスファミド(perfosfamide);ペリリルアルコール;フェナジノマイシン(phenazinomycin);酢酸フェニル;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニル(picibanil);塩酸ピロカルピン(pilocarpine);ピラルビシン(pirarubicin);ピリトレキシム(piritrexim);プラセチン(placetin)A;プラセチンB;プラスミノーゲン活性化因子阻害剤;白金複合体;白金化合物;白金−トリアミン複合体;ポルフィマー(porfimer)ナトリウム;ポルフィロマイシン(porfiromycin);プレドニゾン(prednisone);プロピルビス−アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;タンパク質Aに基づく免疫調節薬;タンパク質キナーゼC阻害剤;タンパク質キナーゼC阻害剤;ミクロアルガル(microalgal);タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレンコンジュゲート;raf拮抗薬;ラルチトレキセド(raltitrexed);ラモセトロン(ramosetron);rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras−GAP阻害剤;脱メチル化レテリプチン(retelliptine);レニウムRe186エチドロナート;リゾキシン(rhizoxin);リボザイム;RIIレチナミド(retinamide);ログレチミド(rogletimide);ロヒツキン(rohitukine);ロムルチド(romurtide);ロキニメクス(roquinimex);ルビギノン(rubiginone)B1;ルボキシル(ruboxyl);サフィンゴル(safingol);サイントピン(saintopin);SarCNU;サルコフィトール(sarcophytol)A;サルグラモスチン(sargramostim);Sdi 1ミメティクス;セムスチン(semustine);セネセンス誘導阻害剤1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シグナル伝達モジュレーター;一本鎖抗原結合タンパク質;シゾフィラン(sizofiran);ソブゾキサン(sobuzoxane);ボロカプト酸ナトリウム;フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール(solverol);ソマトメジン(somatomedin)結合タンパク質;ソネルミン(sonermin);スパルホジン酸(sparfosic acid);スピカマイシン(spicamycin)D;スピロムスチン(spiromustine);スプレノペンチン(splenopentin);スポンギスタチン(spongistatin)1;スクアラミン(squalamine);幹細胞阻害剤;幹細胞分裂阻害剤;スチピアミド(stipiamide);ストロメリシン(stromelysin)阻害剤;スルフィノシン(sulfinosine);高作用性血管作用性腸内ペプチド拮抗薬;スラジスタ(suradista);スラミン(suramin);スウェインソニン(swainsonine);合成グリコサミンオグリカン;タリムスチン(tallimustine);タモキシフェンメチオジド(tamoxifen methiodide);タウロムスチン(tauromustine);タザロテン(tazarotene);テコガラン(tecogalan)ナトリウム;テガフール(tegafur);テルラピリリウム(tellurapyrylium);テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン(temoporfin);テモゾロミド(temozolomide);テニポシド(teniposide);テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン(tetrazomine);タリブラスチン(thaliblastine);チオコラリン(thiocoraline);トロンボポエチン;トロンボポエチンミメティック;チマルファシン(thymalfasin);チモポエチン(thymopoietin)受容体作動薬;チモトリナン(thymotrinan);甲状腺刺激ホルモン;チエニルエチオプルプリンスズ;チラパザミン(tirapazamine);二塩化チタノセン;トプセンチン(topsentin);トレミフェン(toremifene);全能性幹細胞因子;翻訳阻害剤;トレチノイン(tretinoin);トリアセチルウリジン;トリシリビン(triciribine);トリメトレキサート(trimetrexate);トリプトレリン(triptorelin);トロピセトロン(tropisetron);ツロステリド(turosteride);チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン(tyrphostins);UBC阻害剤;ウベニメクス(ubenimex);尿生殖洞由来増殖抑制因子;ウロキナーゼ受容体拮抗薬;バプレオチド(vapreotide);バリオリン(variolin)B;ベクター系、赤血球遺伝子療法;ベラレソール(velaresol);ベラミン(veramine);ベルジン;ベルテポルフィン(verteporfin);ビノレルビン(vinorelbine);ビンキサルチン(vinxaltine);ビタキシン(vitaxin);ボロゾール(vorozole);ザノテロン(zanoterone);ゼニプラチン(zeniplatin);ジラスコルブ(zilascorb);およびジノスタチンスチマラマー(zinostatin stimalamer)が挙げられる。好ましいその他の抗癌薬は5−フルオロウラシルおよびロイコボリン(leucovorin)である。
本発明の方法で使用可能な治療用抗体の例としては、限定するものではないが、ZENAPAXS(登録商標)(ダクリズマブ(daclizumab))(Roche Pharmaceuticals, スイス)(急性腎同種移植片拒絶反応の予防用の免疫抑制性ヒト化抗CD25モノクローナル抗体);PANOREX(商標)(マウス抗17−IA細胞表面抗原IgG2a抗体)(Glaxo Wellcome/Centocor);BEC2(マウス抗イディオタイプ(GD3エピトープ)IgG抗体)(ImClone System);IMC−C225(キメラ抗EGFR IgG抗体)(ImClone System);VITAXIN(商標)(ヒト化抗αVβ3インテグリン抗体)(Applied Molecular Evolution/MedImmune);Smart M195(ヒト化抗CD33 IgG抗体)(Protein Design Lab/Kanebo);LYMPHOCIDE(商標)(ヒト化抗CD22IgG抗体)(Immunomedics);ICM3(ヒト化抗ICAM3抗体(ICOS Pharm);IDEC−114(霊長類化抗CD80抗体)(IDECPharm/Mitsubishi);IDEC−131(ヒト化抗CD40L抗体)(IDEC/Eisai);IDEC−151(霊長類化抗CD4抗体)(IDEC);IDEC−152(霊長類化抗CD23抗体)(IDEC/Seikagaku);SMART抗CD3(ヒト化抗CD3 IgG)(Protein Design Lab);5G1.1(ヒト化抗補体因子5(C5)抗体)(Alexion Pharm);D2E7(ヒト化抗TNF−α抗体)(CAT/BASF);CDP870(ヒト化抗TNF−αFabフラグメント)(Celltech);IDEC−151(霊長類化抗CD4 IgG1抗体)(IDECPharm/SmithKline Beecham);MDX−CD4(ヒト抗CD4 IgG抗体)(Medarex/Eisai/Genmab);CDP571(ヒト化抗TNF−αIgG4抗体)(Celltech);LDP−02(ヒト化抗α4β7抗体)(LeukoSite/Genentech);OrthoClone OKT4A(ヒト化抗CD4 IgG抗体)(Ortho Biotech);ANTOVA(商標)(ヒト化抗CD40L IgG抗体)(Biogen);ANTEGREN(商標)(ヒト化抗VLA−4 IgG抗体)(Elan);およびCAT−152(ヒト抗TGF−β2抗体)(Cambridge Ab Tech)が挙げられる。本発明に従って使用可能な治療用抗体の他の例を表10に示す。
6.4.2 自己免疫疾患および炎症性疾患
いくつかの実施形態では、本発明の分子は、1以上の領域に1以上のアミノ酸改変を有する変異型Fc領域を含み、該改変は、変異型Fc領域のFcγRIIBに対する親和性を増大させるが、変異型Fc領域のFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性を低下させる。このような結合特性を有する本発明の分子は、免疫応答の調節、例えば、自己免疫疾患または炎症性疾患に関連する免疫応答の阻害に有用である。いずれの作用機序にも縛られるものではないが、FcγRIIBに対する親和性が増強され、かつ、FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性が低下した本発明の分子は、FcγRの活性化応答を低下させ、かつ細胞の応答性の阻害をもたらし得る。
いくつかの実施形態では、変異型Fc領域を含む本発明の分子は、免疫グロブリンではなく、少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、該改変は、野生型Fc領域を含む分子に比べて、変異型Fc領域のFcγRIIBに対する親和性を増大させる。他の実施形態では、該分子はさらに1以上のアミノ酸改変を含み、該改変は、該分子の活性化FcγRに対する親和性を低下させる。いくつかの実施形態では、該分子は可溶性(すなわち、膜結合型でない)Fc領域である。本発明は、この可溶性Fc領域内の他のアミノ酸改変を企図するものであり、該改変は、本明細書に記載されている当業者に公知のものを含む、種々のFc受容体に対するその親和性を変調する。他の実施形態では、該分子(例えば、少なくとも1以上のアミノ酸改変を含むFc領域)は、当業者に公知であり、本明細書に記載される技術を用いて、Fc領域のインビボ半減期を延長するように改変される。このような分子は、自己免疫障害の治療および/または予防において、治療上の有用性を有する。いずれの作用機序にも縛られるものではないが、FcγRIIBに対する親和性が増強されたこのような分子は、活性化受容体の低下、および従って、免疫応答の低下をもたらし、自己免疫障害の治療および/または予防において治療有効性を有する。
特定の実施形態では、変異型Fc領域のFcγRIIBに対する親和性を増大させるが、変異型Fc領域のFcγRIIIAに対する親和性を低下させる1以上のアミノ酸改変は、246位でのトレオニンによる置換および396位でのヒスチジンによる置換;または268位でのアスパラギン酸による置換および318位でのアスパラギン酸による置換;または217位でのセリンによる置換、378位でのバリンによる置換、および408位でのアルギニンによる置換;または375位でのシステインによる置換および396位でのロイシンによる置換;または246位でのイソロイシンによる置換および334位でのアスパラギンによる置換を含む。一実施形態では、変異型Fc領域のFcγRIIBに対する親和性を増大させるが、変異型Fc領域のFcγRIIIAに対する親和性を低下させる1以上のアミノ酸改変は、247位でのロイシンによる置換を含む。別の実施形態では、変異型Fc領域のFcγRIIBに対する親和性を増大させるが、変異型Fc領域のFcγRIIIAに対する親和性を低下させる1以上のアミノ酸改変は、372位でのチロシンによる置換を含む。さらに別の実施形態では、変異型Fc領域のFcγRIIBに対する親和性を増大させるが、変異型Fc領域のFcγRIIIAに対する親和性を低下させる1以上のアミノ酸改変は、326位でのグルタミン酸による置換を含む。一実施形態では、変異型Fc領域のFcγRIIBに対する親和性を増大させるが、変異型Fc領域のFcγRIIIAに対する親和性を低下させる1以上のアミノ酸改変は、224位でのロイシンによる置換を含む。
野生型Fc領域を含む対応する分子に比べて、FcγRIIBに対する親和性が増大し、FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性が低下した変異型Fc領域は、自己免疫疾患または炎症性疾患を治療または予防するために用いることができる。本発明は、被験体の自己免疫障害または炎症性障害に関連する1以上の症状を予防、治療または管理する方法を提供し、該方法は、野生型Fc領域を含む対応する分子に比べて、FcγRIIBに対する親和性が増大し、FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性が低下した変異型Fc領域を有する1以上の本発明の分子の、治療上または予防上有効な量を該被験体に投与することを含む。
本発明はまた、被験体の炎症性障害に関連する1以上の症状を予防、治療または管理する方法を提供し、該方法は、1以上の抗炎症薬の治療上または予防上有効な量を該被験体に投与することをさらに含む。本発明はまた、自己免疫疾患に関連する1以上の症状を予防、治療または管理する方法を提供し、該方法は、1以上の免疫調節薬の治療上または予防上有効な量を該被験体に投与することをさらに含む。第6.4.2.1節は、抗炎症薬および免疫調節薬の非限定的な例を示す。
本発明の分子を投与することにより治療可能な自己免疫障害の例としては、限定するものではないが、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、副腎の自己免疫疾患、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎および睾丸炎、自己免疫性血小板減少症、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能障害症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発性神経障害、チャーグ−ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、寒冷凝集素病、クローン病、円板状狼蒼、本態性混合クリオグロブリン血症、線維筋痛−線維筋炎、糸球体腎炎、グレーヴズ病、ギラン−バレー、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA神経障害、若年性関節炎、扁平苔癬、紅斑性狼瘡、メニエール病、混合結合組織病、多発性硬化症、I型または免疫媒介糖尿病、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発性動脈炎、多発性軟骨炎、多腺症候群、リウマチ性多発性筋痛、多発性筋炎および皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティフマン症候群、全身性紅斑性狼瘡、紅斑性狼瘡、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、血管炎(疱疹状皮膚炎脈管炎など)、白斑、およびウェゲナー肉芽腫症が挙げられる。炎症性障害の例としては、限定されるものでないが、喘息、脳炎、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー障害、敗血性ショック、肺線維症、未分化脊椎関節症、未分化関節症、関節炎、炎症性骨溶解、および慢性的なウイルスまたは細菌感染から生じる慢性炎症が挙げられる。本明細書の第3.2.2節に記載されているように、いくつかの自己免疫障害は炎症性症状と関連している。このように、自己免疫障害と考えられるものと炎症性障害と考えられるものの間には重複がある。従って、いくつかの自己免疫障害は炎症性障害としても特徴付けることができる。本発明の方法に従って予防、治療または管理することができる炎症性障害の例としては、限定されるものでないが、喘息、脳炎、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性障害、敗血性ショック、肺線維症、未分化脊椎関節症、未分化関節症、関節炎、炎症性骨溶解、および慢性的なウイルスまたは細菌感染から生じる慢性炎症が挙げられる。
野生型Fc領域を含む対応する分子に比べて、FcγRIIBに対する親和性が増強され、FcγRIIIAに対する親和性が低下した変異型Fc領域を有する本発明の分子はまた、炎症性障害の動物、特に哺乳動物が受ける炎症を軽減するために使用することもできる。具体的な実施形態では、本発明の分子は動物の炎症を、該分子を投与されてない動物の炎症に比べて、少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも45%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも35%、少なくとも30%、少なくとも25%、少なくとも20%,または少なくとも10%軽減する。
野生型Fc領域を含む対応する分子に比べて、FcγRIIBに対する親和性が増強され、FcγRIIIAに対する親和性が低下した変異型Fc領域を含む本発明の分子はまた、移植片の拒絶を予防するために使用することもできる。
本発明はさらに、自己免疫疾患または炎症性疾患の治療および/または予防のための、当技術分野で公知の抗体のいずれかを、該抗体が、野生型Fc領域を含む対応する分子に比べて、増強されたFcγRIIBに対する親和性と、低下したFcγRIIIAに対する親和性を有するものと本発明の方法により同定された1以上のアミノ酸改変を含む変異型Fc領域を含むように操作することを企図する。本発明に従って操作可能な炎症性障害の治療または予防に使用される抗体の非限定的な例を表11に示し、自己免疫障害の治療または予防に使用される抗体の非限定的な例を表12に示す。
6.4.2.1 免疫調節薬および抗炎症薬
本発明は、自己免疫疾患および炎症性疾患に対する治療法を提供し、該方法は、FcγRIIBに対する親和性が増強され、FcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する親和性が低下した変異型Fc領域を有する分子を、他の治療薬と併用投与することを含む。免疫調節薬の例としては、限定されるものでないが、メトトレキセート、エンブレル(ENBREL)、レミケード(REMICADE)(商標)、レフルノミド、シクロホスファミド、シクロスポリンA、およびマクロライド系抗生物質(例えば、FK506(タクロリムス))、メチルプレドニゾロン(MP)、コルチコステロイド、ステロイド、ミコフェノール酸モフェチル(mycophenolate mofetil)、ラパマイシン(rapamycin)(シロリムス(sirolimus))、ミゾリビン(mizoribine)、デオキシスペルグアリン(deoxyspergualin)、ブレキナル(brequinar)、マロノニトリロアミンド(malononitriloamindes)(例えば、レフルナミド(leflunamide))、T細胞受容体モジュレーター、およびサイトカイン受容体モジュレーターが挙げられる。
抗炎症薬は、炎症性および自己免疫障害の治療に成功を収めており、現在、このような障害のための共通かつ標準の治療薬となっている。当業者に周知のいずれの抗炎症薬を本発明の方法に使用してもよい。抗炎症薬の非限定的な例としては、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、ステロイド系抗炎症薬、β作動薬、抗コリン作動薬、およびメチルキサンチンが挙げられる。NSAIDの例としては、限定されるものでないが、アスピリン、イブプロフェン(ibuprofen)、セレコキシブ(celecoxib)(CELEBREX(商標))、ジクロフェナク(diclofenac)(VOLTAREN(商標))、エトドラク(etodolac)(LODINE(商標))、フェノプロフェン(fenoprofen)(NALFON(商標))、インドメタシン(indomethacin)(INDOCIN(商標))、ケトロラク(ketoralac)(TORADOL(商標))、オキサプロジン(oxaprozin)(DAYPRO(商標))、ナブメントン(nabumenton)(RELAFEN(商標))、スリンダク(sulindac)(CLINORIL(商標))、トルメンチン(tolmentin)(TOLECTIN(商標))、ロフェコキシブ(rofecoxib)(VIOXX(商標))、ナプロキセン(naproxen)(ALEVE(商標)、NAPROSYN(商標))、ケトプロフェン(ketoprofen)(ACTRON(商標))およびナブメトン(nabumetone)(RELAFEN(商標))が挙げられる。このようなNSAIDはシクロオキシゲナーゼ酵素(例えば、COX−1および/またはCOX−2)を阻害することにより機能する。ステロイド系抗炎症薬の例としては、限定されるものでないが、グルココルチコイド、デキサメタゾン(DECADRON(商標))、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン(prednisone)(DELTASONE(商標))、プレドニゾロン(prednisolone)、トリアムシノロン(triamcinolone)、アザルフィジン(azulfidine)、およびエイコサノイド(例えばプロスタグランジン、トロンボキサンおよびロイコトリエン)が挙げられる。
6.4.3 感染症
本発明はまた、被験体における感染性疾患を治療または予防する方法を包含し、該方法は、1以上の本発明の分子の治療上または予防上有効な量を投与することを含む。本発明の分子によって治療または予防可能な感染性疾患としては、限定するものではないが、ウイルス、細菌、真菌、原虫およびウイルスを含む感染因子により引き起こされる。
本発明の分子を本発明の方法とともに用いて治療または予防可能なウイルス性疾患としては、限定されるものでないが、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、インフルエンザウイルス、水痘ウイルス、アデノウイルス、I型単純ヘルペスウイルス(HSV−I)、II型単純ヘルペスウイルス(HSV−II)、牛疫ウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス、ロタウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、パピローマウイルス、パポバウイルス、サイトメガロウイルス、エキノウイルス、アルボウイルス、ハンタウイルス、コクサッキーウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ポリオウイルス、天然痘ウイルス、エプスタイン−バーウイルス、I型ヒト免疫不全ウイルス(HIV−I)、II型ヒト免疫不全ウイルス(HIV−II)、およびウイルス性髄膜炎、脳炎、デング熱または天然痘などのウイルス性疾患の感染因子により引き起こされるものが挙げられる。
本発明の分子を本発明の方法とともに用いて治療または予防可能な細菌性疾患としては、限定されるものでないが、マイコバクテリア、リケッチア、マイコプラズマ、ナイセリア、肺炎連鎖球菌(S. pneumonia)、ライム病ボレリア(Borrelia burgdorferi)(ライム病)、炭疽菌(Bacillus anthracis)(炭疽病)、破傷風菌、ストレプトコッカス、スタフィロコッカス、マイコバクテリウム、破傷風菌、百日咳菌、コレラ菌、ペスト菌、ジフテリア菌、クラミジア、黄色ブドウ球菌(S. aureus)およびレジオネラ菌により引き起こされるものが挙げられる。
本発明の分子を本発明の方法とともに用いて治療または予防可能な原虫性疾患としては、限定されるものでないが、リーシュマニア、コクシジオア(kokzidioa)、トリパノソーマまたはマラリア原虫により引き起こされるものが挙げられる。
本発明の分子を本発明の方法とともに用いて治療または予防可能な寄生虫性疾患としては、限定されるものでないが、クラミジアおよびリケッチアにより引き起こされるものが挙げられる。
本発明の一態様によれば、変異型Fc領域を含む本発明の分子は、野生型Fc領域を含む対応する分子と比べて、例えば病原性タンパク質などの感染因子に対する抗体エフェクター機能が増強されている。感染因子の例としては、限定するものではないが、細菌(例えば、大腸菌(Escherichia coli)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、腸球菌(Enterococcus faecials)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、スタフィロコッカス・ビリダンス(Staphylococcus viridans)および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa))、病原体(例えば、Bリンパ球パポーバウイルス(LPV);ボルダテラ・ペルツッシス(Bordatella pertussis);ボルナ病ウイルス(BDV);ウシコロナウイルス;脈絡髄膜炎ウイルス;デング熱ウイルス;ウイルス、大腸菌;エボラ;エコーウイルス1;エコーウイルス11(EV);エンドトキシン(LPS);腸内細菌;腸内オーファンウイルス;腸内ウイルス;ネコ白血病ウイルス;口蹄疫ウイルス;テナガザル白血病ウイルス(GALV);グラム陰性細菌;ヘリコバクター・ピロリ(Heliocacter pylori);B型肝炎ウイルス(HBV);単純ヘルペスウイルス;HIV−1;ヒトサイトメガロウイルス;ヒトコロナウイルス;インフルエンザA、BおよびC;レジオネラ菌;リーシュマニア・メキシカーナ(Leishmania mexicana);リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes);麻疹ウイルス(Measles virus);髄膜炎菌;モルビリウイルス;マウス肝炎ウイルス;マウス白血病ウイルス;マウスガンマヘルペスウイルス;マウスレトロウイルス;マウスコロナウイルス;マウス肝炎ウイルス;鳥結核菌M(Mycobacterium avium-M);淋菌(Neisseria gonorrhoeae);ニューカッスル病ウイルス;パルボウイルスB19;熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum);ポックスウイルス;シュードモナス;ロタウイルス;ネズミチフス菌(Samonella typhiurium);赤痢菌;連鎖球菌;T細胞リンパ球ウイルス1;ワクシニアウイルス)が挙げられる。
具体的な実施形態では、本発明の分子は、感染性疾患を引き起こす感染因子の貪食および/またはオプソニン作用を増強することにより、感染性疾患の治療効力を増強する。別の具体的な実施形態では、本発明の分子は、感染性疾患を引き起こす感染細胞のADCCを増強することにより、感染性疾患の治療効力を増強する。
いくつかの実施形態では、本発明の分子は、感染性疾患の治療および/または予防のために、当業者に公知の1以上の付加的治療薬の治療上または予防上有効な量と併用投与してもよい。本発明は、本発明の分子と、感染性疾患の治療および/または予防のための、当業者に公知の抗生物質との併用を企図する。本発明の分子と併用可能な抗生物質は、限定されるものでないが、マクロライド(例えば、トブラマイシン(tobramycin)(Tobi(登録商標))、セファロスポリン(cephalosporin)(例えば、セファレキシン(cephalexin)(Keflex(登録商標))、セフラジン(cephradine)(Velocef(登録商標))、セフロキシム(cefuroxime)(Ceftin(登録商標))、セフプロジル(cefprozil)(Cefzil(登録商標))、セファクロール(cefaclor)(Ceclor(登録商標))、セフィキシム(cefixime)(Suprax(登録商標))またはセファドロキシル(cefadroxil)(Duricef(登録商標)))、クラリスロマイシン(clarithromycin)(例えば、クラリスロマイシン(Biaxin(登録商標))、エリスロマイシン(erythromycin)(例えば、エリスロマイシン(EMycin(登録商標))、ペニシリン(penicillin)(例えば、ペニシリンV(V−Cillin K(登録商標)またはPen Vee K(登録商標)))またはキノロン(quinolone)(例えば、オフロキサシン(ofloxacin)(Floxin(登録商標))、シプロフロキサシン(ciprofloxacin)(Cipro(登録商標))またはノルフロキサシン(norfloxacin)(Noroxin(登録商標)))、アミノ配糖体系抗生物質(例えば、アプラマイシン(apramycin)、アルベカシン(arbekacin)、バンベルマイシン(bambermycin)、ブチロシン(butirosin)、ジベカシン(dibekacin)、ネオマイシン(neomycin)、ネオマイシン、ウンデシレネート(undecylenate)、ネチルマイシン(netilmicin)、パロモマイシン(paromomycin)、リボスタマイシン(ribostamycin)、シソマイシン(sisomicin)およびスペクチノマイシン(spectinomycin))、アンフェニコール(amphenicol)系抗生物質(例えば、アジダムフェニコール(azidamphenicol)、クロラムフェニコール(chloramphenicol)、フロルフェニコール(florfenicol)およびチアンフェニコール(thiamphenicol))、アンサマイシン系抗生物質(例えば、リファマイド(riphamide)およびリファンピン(rifampin))、カルバセフェム系(carbacephems)(例えば、ロラカルベフ(loracarbef))、カルバペネム系(carbapenems)(例えば、ビアペネム(biapenem)およびイミペネム(imipenem))、セファロスポリン系(cephalosporins)(例えば、セファクロール(cefaclor)、セファドロキシル(cefadroxil)、セファマンドール(cefamandole)、セファトリジン(cefatrizine)、セファゼドン(cefazedone)、セフォゾプラン(cefozopran)、セフピミゾール(cefpimizole)、セフピラミド(cefpiramide)およびセフピロム(cefpirome))、セファマイシン系(cephamycins)(例えば、セフブペラゾン(cefbuperazone)、セフメタゾール(cefmetazole)およびセフミノクス(cefminox))、モノバクタム系(monobactams)(例えば、アズトレオナム(aztreonam)、カルモナム(carumonam)およびチゲモナム(tigemonam))、オキサセフェム系(oxacephems)(例えば、フロモキセフ(flomoxef)およびモキサラクタム(moxalactam))、ペニシリン系(penicillins)(例えば、アムジノシリン(amdinocillin)、アムジノシリンピボキシル(amdinocillin pivoxil)、アモキシシリン(amoxicillin)、バカンピシリン(bacampicillin)、ベンジルペニシリン酸、ベンジルペニシリンナトリウム、エピシリン(epicillin)、フェンベニシリン(fenbenicillin)、フロキサシリン(floxacillin)、ペナムシリン(penamccillin)、ペネタメートヒドリオジド(penethamate hydriodide)、ペニシリンo−ベネタミン(penicillin o-benethamine)、ペニシリンO、ペニシリンV、ペニシリンVベンザチン(penicillin V benzathine)、ペニシリンVヒドラバミン(penicillin V hydrabamine)、ペニメピシクリン(penimepicycline)およびフェンシヒシリンカリウム(phencihicillin potassium))、リンコサミド系(lincosamides)(例えば、クリンダマイシン(clindamycin)およびリンコマイシン(lincomycin))、アンフォマイシン(amphomycin)、バシトラシン(bacitracin)、カプレオマイシン(capreomycin)、コリスチン(colistin)、エンジュラシジン(enduracidin)、エンビオマイシン(enviomycin)、テトラサイクリン系(tetracyclines)(例えば、アピサイクリン(apicycline)、クロルテトラサイクリン(chlortetracycline)、クロモサイクリン(clomocycline)およびデメクロサイクリン(demeclocycline))、2,4−ジアミノピリミジン系(例えば、ブロジモプリム(brodimoprim))、ニトロフラン系(例えば、フラルタドン(furaltadone)および塩化フラゾリウム(furazolium chloride))、キノロンおよびその類似体(例えば、シノキサシン(cinoxacin)、クリナフロキサシン(clinafloxacin)、フルメキン(flumequine)およびグレパグロキサシン(grepagloxacin))、スルホンアミド系(例えば、アセチルスルファメトキシピラジン、ベンジルスルファミド、ノプリルスルファミド、フタリルスルフアセトアミド、スルフアクリソイジン(sulfachrysoidine)およびスルファシチン(sulfacytine))、スルホン系(例えば、ジアチモスルホン(diathymosulfone)、グルコスルホンナトリウムおよびソラスルホン(solasulfone))、シクロセリン、ムピロシン(mupirocin)およびチュベリン(tuberin)が挙げられる。
特定の実施形態では、本発明の分子は、1以上の抗真菌薬の治療上または予防上有効な量と併用投与することができる。本発明の分子と併用可能な抗真菌薬としては、限定するものではないが、アンフォテリシン(amphotericin)B、イトラコナゾール(itraconazole)、ケトコナゾール(ketoconazole)、フルコナゾール(fluconazole)、イントラセカル(intrathecal)、フルシトシン(flucytosine)、ミコナゾール(miconazole)、ブトコナゾール(butoconazole)、クロトリマゾール(clotrimazole)、ニスタチン(nystatin)、テルコナゾール(terconazole)、チオコナゾール(tioconazole)、シクロピロクス(ciclopirox)、エコナゾール(econazole)、ハロプログリン(haloprogrin)、ナフチフィン(naftifine)、テルビナフィン(terbinafine)、ウンデシレネート(undecylenate)およびグリセオフルビン(griseofuldin)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、本発明の分子は、1以上の抗ウイルス薬の治療上または予防上有効な量と併用投与することができる。本発明の分子と併用可能な有用な抗ウイルス薬としては、限定されるものでないが、プロテアーゼ阻害剤、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤およびヌクレオシド類似体が挙げられる。抗ウイルス薬の例としては、限定されるものでないが、ジドブジン(zidovudine)、アシクロビル(acyclovir)、ガンシクロビル(gangcyclovir)、ビダラビン(vidarabine)、イドクスウリジン(idoxuridine)、トリフルリジン(trifluridine)およびリバビリン(ribavirin)、ならびにホスカルネット(foscarnet)、アマンタジン(amantadine)、リマンタジン(rimantadine)、サキナビル(saquinavir)、インジナビル(indinavir)、アンプレナビル(amprenavir)、ロピナビル(lopinavir)、リトナビル(ritonavir)、αインターフェロン、アデフォビル(adefovir)、クレバジン(clevadine)、エンテカビル(entecavir)、プレコナリル(pleconaril)が挙げられる。
6.5 ワクチン療法
本発明はさらに、本発明の組成物を用いて、抗原性または免疫原性物質に対する免疫応答を誘発することを包含し、該物質には、限定されるものでないが、癌抗原および感染性疾患抗原(これらの例は後述する)が含まれる。本発明のワクチン組成物は、それに対する免疫応答が望まれる1以上の抗原性または免疫原性物質を含み、該1以上の抗原性または免疫原性物質は、FcγRIIIAに対する親和性が増強された本発明の変異型抗体でコーティングされる。具体的な作用機序に縛られるものではないが、FcγRIIIAに対する親和性が増強された本発明の変異型抗体による抗原性または免疫原性物質のコーティングは、体液性応答および細胞媒介応答を誘発することにより、目的の抗原性または免疫原性物質に対する免疫応答を増強する。本発明のワクチン組成物は、抗原性または免疫原性物質に対する免疫応答、好ましくは防御免疫応答を惹起するのに特に有効である。
いくつかの実施形態では、本発明のワクチン組成物における抗原性または免疫原性物質は、それに対する免疫応答が望まれるウイルスを含む。該ウイルスは組換え体またはキメラでもよく、好ましくは弱毒化されている。組換えウイルス、キメラウイルスおよび弱毒化ウイルスの産生は、当業者に公知の標準的方法を用いて実施することができる。本発明は、本発明に従って製剤化される生組換えウイルスワクチンまたは不活化組換えウイルスワクチンを包含する。生ワクチンが好ましいが、これは宿主内での複製が、自然状態の感染で起こるのと同種かつ同程度の持続的な刺激をもたらし、従って、実質的に持続的な免疫を付与するためである。このような生組換えウイルスワクチン製剤の生産は、細胞培養またはニワトリ胚尿嚢中でのウイルス増殖と、それに続く精製を含む従来の方法を用いて達成することができる。
具体的な実施形態では、組換えウイルスは、それが投与される被験体に対して非病原性である。これに関して、ワクチン目的での遺伝的に操作されたウイルスの使用は、これらの株に弱毒特性が存在することを必要とする。トランスフェクションに用いる鋳型に適当な突然変異(例えば、欠失)を導入すれば、弱毒特性を有する新規ウイルスが得られる。例えば、温度感受性または寒冷適応に関連する具体的なミスセンス突然変異を作出して欠失突然変異体を得ることができる。これらの突然変異は、寒冷または温度感受性変異体に関連する点突然変異よりも安定であるはずであり、復帰突然変異の頻度が極めて低いはずである。組換えウイルスを作製するための組換えDNA技術は当技術分野で公知であり、本発明に包含される。例えば、マイナス鎖RNAウイルスを改変するための技術が当技術分野で公知である。例えば、米国特許第5,166,057号(参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)参照。
あるいは、本発明の皮内ワクチン製剤に用いるために、「自殺」特性を有するキメラワクチンを構築することもできる。このようなウイルスは、宿主内で1〜数回複製するだけである。ワクチンとして用いる場合、該組換えウイルスは限られた複製サイクルを遂行し、十分なレベルの免疫応答を誘発するが、ヒト宿主中でそれ以上の複製サイクルを遂行して疾病を引き起こすことはない。あるいは、不活化(死滅)ウイルスを本発明に従って製剤化することもできる。不活化ワクチン製剤は、キメラウイルスを「死滅させる」従来の方法を用いて調製することができる。不活化ワクチンは、その感染性が破壊されているという意味で「死んで」いる。理想的には、ウイルスの感染性は、免疫原性に影響を及ぼすことなく破壊される。不活化ワクチンを調製するためには、キメラウイルスを細胞培養またはニワトリ胚尿嚢中で増殖させ、ゾーン超遠心により精製し、ホルムアミドまたはβ−プロピオラクトンにより不活化し、プールする。
特定の実施形態では、他のウイルス性または非ウイルス性病原体に由来する抗原をはじめとする完全に外来性のエピトープを、本発明の皮内ワクチン製剤に用いるためにウイルスに導入することができる。例えば、HIV(gp160、gp120、gp41)などの無関連のウイルスの抗原、寄生虫抗原(例えば、マラリア)、細菌もしくは真菌抗原、または腫瘍抗原を、弱毒株に導入することができる。
事実上いずれの異種遺伝子配列も、皮内ワクチン製剤で用いるための本発明のキメラウイルス中に構築することができる。好ましくは、異種遺伝子配列は、生物学的応答修飾物質として働く部分およびペプチドである。様々な任意の病原体に対する防御免疫応答を誘発するエピトープ、または中和抗体と結合する抗原が、キメラウイルスによって、またはキメラウイルスの一部として発現され得ることが好ましい。例えば、本発明のキメラウイルス中に構築可能な異種遺伝子配列としては、限定されるものでないが、インフルエンザおよびパラインフルエンザ血球凝集素ノイラミニダーゼならびに融合糖タンパク質(例えば、ヒトPIV3のHNおよびF遺伝子)が上げられる。さらに別の実施形態では、キメラウイルス中に導入可能な異種遺伝子配列は、免疫調節活性を有するタンパク質をコードするものを含む。免疫調節タンパク質の例としては、限定されるものでないが、サイトカイン、I型インターフェロン、γインターフェロン、コロニー刺激因子、インターロイキン−1、−2、−4、−5、−6、−12、およびこれらの物質のアンタゴニストを含む。
さらに他の実施形態では、本発明は、変異型抗体をその表面に発現する病原細胞またはウイルス、好ましくは弱毒ウイルスを包含する。
代替の実施形態では、本発明のワクチン組成物は、抗原性または免疫原性物質が、FcγRIIIAに対する親和性が増強された本発明の変異型抗体と機能的に連結されている融合ポリペプチドを含む。本発明のワクチン組成物に用いるための融合ポリペプチドの操作は、慣例の組換えDNA技法を用いて行われ、通常の技術の範囲内である。
本発明はさらに、本発明の組成物を投与することにより、被験体において耐性を誘発する方法を包含する。好ましくは、被験体において耐性を誘発するのに好適な組成物は、本発明の変異型抗体でコーティングされた抗原性または免疫原性物質を含み、この場合、該変異型抗体はFcγRIIBに対してより高い親和性を有するものである。具体的な作用機序の縛られるものではないが、このような組成物はFcγRIIBを介した阻害経路を活性化することにより、耐性を誘発するのに有効である。
6.6 組成物および投与方法
本発明は、変異型Fc領域を含む本発明の分子(すなわち、抗体、ポリペプチド)を含む方法および医薬組成物を提供する。本発明はまた、疾患、障害または感染に関連する1以上の症状を、本発明の融合タンパク質もしくはコンジュゲート分子、または本発明の融合タンパク質もしくはコンジュゲート分子を含む医薬組成物の有効量を被験体に投与することにより、治療、予防および改善する方法を提供する。好ましい態様では、抗体、融合タンパク質またはコンジュゲート分子は、実質的に精製されている(すなわち、その効果を制限するかまたは望ましくない副作用を生じる物質を実質的に含まない)。具体的な実施形態では、被験体は動物、好ましくは哺類動物、例えば、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットなど)および霊長類(例えば、カニクイザルなどのサル、およびヒト)である。好ましい実施形態では、被験体はヒトである。さらに別の好ましい実施形態では、本発明の抗体は被験体と同じ種に由来するものである。
様々な送達系が公知であり、変異型Fc領域を含む本発明の分子(すなわち、抗体、ポリペプチド)を含む組成物を投与するために使用することができ、例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセルへの封入、抗体または融合タンパク質を発現することができる組換え細胞、受容体媒介エンドサイトーシス(例えば、Wu and Wu, 1987, J. Biol. Chem. 262:4429-4432参照)、レトロウイルスまたは他のベクターの一部としての核酸の構築などがある。本発明の分子を投与する方法は、限定されるものでないが、非経口投与(例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内および皮下)、硬膜外、および粘膜(例えば、鼻腔内および口腔経路)を含む。具体的な実施形態では、本発明の分子を筋肉内、静脈内または皮下に投与する。組成物は任意の都合のよい経路により、例えば、注入またはボーラス注射により、上皮または皮膚粘膜上皮(例えば、口腔粘膜、直腸および腸管粘膜など)を介する吸収により投与してもよく、他の生物学的に活性な薬剤と一緒に投与してもよい。投与は全身投与であっても局所投与であってもよい。さらに、例えば、吸入器または噴霧器の使用により、およびエアゾル化剤を用いた製剤により、肺投与を用いることもできる。例えば、米国特許第6,019,968号;同第5,985,320号;同第5,985,309号;同第5,934,272号;同第5,874,064号;同第5,855,913号;同第5,290,540号;および同第4,880,078号;ならびにPCT公開WO92/19244;WO97/32572;WO97/44013;WO98/31346;およびWO99/66903(それぞれ参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)参照。
本発明はまた、変異型Fc領域を含む本発明の分子(すなわち、抗体、ポリペプチド)を、アンプルまたは小袋などの密閉容器中にパッケージし、抗体の量を表示して提供する。一実施形態では、本発明の抗体を、乾燥無菌凍結乾燥粉末または無水濃縮物として密閉容器に入れて供給し、例えば、水または生理食塩水を用いて、被験体に投与するのに適当な濃度に再構成することもできる。好ましくは、本発明の分子を、乾燥無菌凍結乾燥粉末または無水濃縮物として密閉容器に入れ、少なくとも5mg、より好ましくは少なくとも10mg、少なくとも15mg、少なくとも25mg、少なくとも35mg、少なくとも45mg、少なくとも50mg、または少なくとも75mgの単位用量で供給する。凍結乾燥した本発明の分子は、その元の容器中で2〜8℃の間で保存しなければならず、該分子は、再構成後12時間以内、好ましくは6時間以内、5時間以内、3時間以内、または1時間以内に投与しなければならない。代替の実施形態では、本発明の分子を、液体として密閉容器に入れて、分子、融合タンパク質、またはコンジュゲート分子の量および濃度を表示して供給する。好ましくは、本発明の分子の液体を密閉容器に入れて、本分子が少なくとも1mg/ml、より好ましくは少なくとも2.5mg/ml、少なくとも5mg/ml、少なくとも8mg/ml、少なくとも10mg/ml、少なくとも15mg/kg、少なくとも25mg/ml、少なくとも50mg/ml、少なくとも100mg/ml、少なくとも150mg/ml、少なくとも200mg/mlで供給する。
障害に関連する1以上の症状を治療、予防または改善するのに有効である本発明の組成物の量は、標準的な臨床技術により決定することができる。製剤に用いる正確な用量はまた、投与経路、および症状の重篤度によっても異なり、医師の判断および各患者の状況に応じて決定しなければならない。有効用量はインビトロまたは動物モデル試験系から導き出した用量応答曲線から推定することができる。
本発明に包含される抗体に関して、患者に投与される用量は、一般には、患者の体重1kg当たり0.0001mg〜100mgである。好ましくは、患者に投与される用量は、患者の体重1kg当たり0.0001mg〜20mg、0.0001mg〜10mg、0.0001mg〜5mg、0.0001〜2mg、0.0001〜1mg、0.0001mg〜0.75mg、0.0001mg〜0.5mg、0.0001mg〜0.25mg、0.0001〜0.15mg、0.0001〜0.10mg、0.001〜0.5mg、0.01〜0.25mgまたは0.01〜0.10mgである。一般に、ヒト抗体はヒト体内において他種由来の抗体より半減期が長い(外来ポリペプチドに対する免疫応答のため)。従って、多くの場合、ヒト抗体の低用量化および投与頻度の低減が可能である。さらに、例えば、脂質化などの修飾により抗体の取込みおよび組織浸透を増強することによって、本発明の抗体またはそのフラグメントの投与の用量と頻度を低減することができる。
一実施形態では、患者に投与される本発明の分子の用量は、単剤療法として用いる場合、0.01mg〜1000mg/日である。他の実施形態では、本発明の分子を他の治療組成物と併用し、患者に投与される用量は、該分子を単剤療法として用いる場合よりも低い。
具体的な実施形態では、本発明の医薬組成物を、治療を必要とする領域に局所投与することが望ましい場合があり、例えば、限定されるものでないが、局所注入により、注射により、またはまたは繊維をはじめとする多孔質、非孔質、またはゼラチン状材料(シアラスチック(sialastic)膜などの膜を含む)のインプラントによって達成することができる。好ましくは、本発明の分子を投与する場合、該分子を吸収しない材料を使用するようにしなければならない。
別の実施形態では、組成物をベシクル、特にリポソームで送達することができる(Langer, Science 249:1527-1533 (1990); Treat et al., Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer, Lopez-Berestein and Fidler (eds.), Liss, New York, pp. 353-365 (1989); Lopez-Berestein, 同書, pp. 3 17-327;全般的に同書を参照)。
さらに他の実施形態では、組成物を制御放出系または徐放系で送達することができる。1以上の本発明の分子を含む徐放性製剤を作製するには、当業者に公知のいずれの技術を用いてもよい。例えば、米国特許第4,526,938号;PCT公開WO91/05548;PCT公開WO96/20698;Ning et al., 1996, “Intratumoral Radioimmunotheraphy of a Human Colon Cancer Xenograft Using a Sustained-Release Gel,”Radiotherapy & Oncology 39:179-189, Song et al., 1995, “Antibody Mediated Lung Targeting of Long-Circulating Emulsions,” PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 50:372-397; Cleek et al., 1997, “Biodegradable Polymeric Carriers for a bFGF Antibody for Cardiovascular Application,”Pro. Int'l. Symp. Control. Rel. Bioact. Mater. 24:853-854;およびLam et al., 1997, “Microencapsulation of Recombinant Humanized Monoclonal Antibody for Local Delivery,” Proc. Int'l. Symp. Control Rel. Bioact. Mater. 24:759-760(それぞれ参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)参照。一実施形態では、ポンプを制御放出系に用いることができる(Langer,前掲; Sefton, 1987, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:20; Buchwald et al., 1980, Surgery 88:507;およびSaudek et al., 1989, N. Engl. J. Med. 321:574参照)。別の実施形態では、ポリマー材料を用いて抗体の制御放出を達成することができる(例えば、Medical Applications of Controlled Release, Langer and Wise (eds.), CRC Pres., Boca Raton, Florida (1974); Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance, Smolen and Ball (eds.), Wiley, New York (1984); Ranger and Peppas, 1983, J., Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61参照。また、Levy et al., 1985, Science 228:190; During et al., 1989, Ann. Neurol. 25:351; Howard et al., 1989, J. Neurosurg. 7 1:105;米国特許第5,679,377号;同第5,916,597号;同第5,912,015号;同第5,989,463号;同第5,128,326号;PCT公開WO99/15154;およびPCT公開WO99/20253も参照)。徐放性製剤に使用されるポリマーの例としては、限定されるものでないが、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリグリコリド(PLG)、ポリ無水物、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)、およびポリオルトエステルが挙げられる。さらに別の実施形態では、制御放出系を治療標的(例えば、肺)の近位に配置することができ、そうすれば全身用量の一部分しか必要としない(例えば、Goodson, Medical Applications of Controlled Release, 前掲, vol. 2, pp. 115-138 (1984)参照)。別の実施形態では、制御放出インプラントとして有用なポリマー組成物が、Dunn et al.(米国特許第5,945,155号参照)に従って用いられる。この具体的な方法は、ポリマー系からの生物活性物質のインシチュ制御放出の治療効果に基づくものである。移植は一般に、治療処置を必要とする患者体内のいずれの場所に行ってもよい。別の実施形態では、非ポリマー徐放系を使用し、これにより、被験体の体内の非ポリマーインプラントを薬物送達系として用いる。体内に移植すると、インプラントの有機溶媒は、該組成物から周囲の組織液中に散逸、分散または浸出し、非ポリマー材料が徐々に凝集または沈降し、充実した微多孔性マトリックスを形成する(米国特許第5,888,533号参照)。
制御放出系は、Langer (1990, Science 249:1527-1533)による総説に述べられている。本発明の1以上の治療薬を含む徐放性製剤を作製するには、当業者に公知のいずれの技術を用いてもよい。例えば、米国特許第4,526,938号;国際公開WO91/05548およびWO96/20698;Ning et al., 1996, Radiotherapy & Oncology 39:179-189; Song et al., 1995, PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 50:372-397; Cleek et al., 1997, Pro. Int'l. Symp. Control. Rel. Bioact. Mater. 24:853-854;およびLam et al., 1997, Proc. Int'l. Symp. Control Rel. Bioact. Mater. 24:759-760(それぞれ参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)参照。
具体的な実施形態では、本発明の組成物が抗体をコードする核酸である場合、これを適当な核酸発現ベクターの一部として構築し、細胞内に取り込まれるようにこれを投与することによって、例えば、レトロウイルスベクターを使用することによって(米国特許第4,980,286号参照)、または直接注射によって、または微粒子衝撃(例えば、遺伝子銃;Biolistic, Dupont)によって、または脂質もしくは細胞表面受容体もしくはトランスフェクト剤でコーティングすることによって、または核に侵入することが知られるホメオボックス様ペプチドと連結して投与すること(例えば、Joliot et al., 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:1864-1868参照)などによって、そのコードされた抗体の発現を促進するために、その核酸をインビボに投与することができる。あるいは、相同的組換えによる発現のために、細胞内に核酸を導入し、宿主細胞DNA内に組み込むこともできる。
抗体に関して、被験体に投与される治療上または予防上有効な用量は、一般に、被験体の体重1kg当たり0.1mg〜200mgである。好ましくは、被験体に投与される用量は、被験体の体重1kg当たり0.1mg〜20mg、より好ましくは、被験体に投与される用量は被験体の体重1kg当たり1mg〜10mgである。本発明の抗体の投与の用量および頻度はまた、例えば脂質化などの修飾によって抗体または融合タンパク質の取込みおよび組織浸透(例えば、肺への)を増強することによって低減することもできる。
本発明の分子の治療上または予防上有効な量による被験体の治療は、単回処置も含み得るし、または、好ましくは、一連の処置も含み得る。好ましい例では、体重1kg当たり約0.1〜30mgの範囲の本発明の分子で、毎週1回、約1〜10週間、好ましくは約2〜8週間、より好ましくは約3〜7週間、いっそうより好ましくは約4、5または6週間、被験体を処置する。他の実施形態では、本発明の医薬組成物を1日1回、1日2回、または1日3回投与する。他の実施形態では、医薬組成物を毎週1回、毎週2回、2週間に1回、1か月に1回、6週間に1回、2か月に1回、毎年2回または毎年1回投与する。当然のことながら、治療に用いる分子の有効用量が、具体的な治療クールにわたって増減可能であると考えられる。
6.6.1 医薬組成物
本発明の組成物は、医薬組成物の製造に有用である原薬組成物(例えば、不純または非滅菌組成物)および単位投与形の調製に使用可能な医薬組成物(すなわち、被験体または患者への投与に適した組成物)を含む。このような組成物は、本明細書に開示されている予防薬および/もしくは予防上もしくは治療上有効な量またはそれらの薬剤と薬学上許容される担体との組合せを含む。好ましくは、本発明の組成物は、予防上または治療上有効な量の1以上の本発明の分子と薬学上許容される担体を含む。
特定の一施形態では、医薬組成物は、変異型Fc領域を含む1以上の本発明の分子の治療上有効な量と薬学上許容される担体を含み、該変異型Fc領域は、野生型Fc領域を含む対応する分子がFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAと結合するよりも高い親和性でFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAと結合し、かつ/または該変異型Fc領域は、野生型Fc領域を含む対応する分子よりも少なくとも2倍効果的なエフェクター機能を媒介する。別の実施形態では、医薬組成物は、変異型Fc領域を含む1以上の本発明の分子の治療上有効な量と薬学上許容される担体を含み、該変異型Fc領域は、野生型Fc領域を含む対応する分子がFcγRIIIAと結合するよりも高い親和性でFcγRIIIAと結合し、かつ、該変異型Fc領域は、野生型Fc領域を含む対応する分子がFcγRIIBと結合するよりも低い親和性でFcγRIIBと結合し、かつ/または該変異型Fc領域は、野生型Fc領域を含む対応する分子よりも少なくとも2倍効果的なエフェクター機能を媒介する。別の実施形態では、該医薬組成物は1以上の抗癌薬をさらに含む。
本発明はまた、具体的な癌抗原に特異的であり、本発明に従って測定した際にFc領域に1以上のアミノ酸改変を含む治療用抗体(例えば、腫瘍特異的モノクローナル抗体)と、薬学上許容される担体とを含む医薬組成物を包含する。
具体的な実施形態では、「薬学上許容される」とは、動物、より詳しくはヒトにおける使用に関して、連邦または州政府の規制当局により認可された、または米国薬局方もしくは他の一般に認知されている薬局方に挙げられていることを意味する。「担体」とは、治療薬がそれらとともに投与される、希釈剤、アジュバント(例えば、フロイントアジュバント(完全および不完全))、賦形剤またはビヒクルを指す。このような製薬担体は、例えば落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの、油、動物、植物または合成起源のものをはじめとする水および油などの無菌の液体であってよい。医薬組成物を静脈内投与する場合、水が好ましい担体となる。生理食塩水およびデキストロースおよびグリセロール水溶液も液状担体、特に注射溶液として使用することができる。好適な製薬腑形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。所望により、組成物はまた、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含有してもよい。これらの組成物は、溶液、懸濁液、エマルション、錠剤、丸薬、カプセル、粉末、徐放性製剤などの剤形をと得る。
一般に、本発明の組成物の成分は、個別にまたは混合して単位投与形で、例えば、乾燥凍結乾燥粉末または無水濃縮物として、アンプルまたは小袋などの密閉容器に入れ、活性薬の量を表示して供給される。組成物を注入により投与する場合、無菌医薬品級の水または生理食塩水を含有する注入ボトルで分配することができる。組成物を注射により投与する場合、無菌の注射用水または生理食塩水のアンプルを提供して、その成分を投与前に混合できるようにすることができる。
本発明の組成物を、中性または塩形態として製剤化してもよい。薬学上許容される塩としては、限定されるものでないが、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などから誘導されるものなどの陰イオンを伴って形成された塩、およびナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどから誘導されるものなどの陽イオンを伴って形成された塩を含む。
6.6.2 キット
本発明は、本発明の分子(すなわち、変異型Fc領域を含む抗体、ポリペプチド)を充填した1以上の容器を含む医薬パックまたはキットを提供する。さらに、疾患の治療に有用な1以上の他の予防薬または治療薬を、この医薬パックまたはキットに含んでもよい。本発明はまた、本発明の医薬組成物の1以上の成分を充填した1以上の容器を含む医薬パックまたはキットも提供する。場合によってはこのような容器に、医薬品または生物製品の製造、使用または販売を規制する政府当局が指示した形式で注意書きを添付してもよく、この注意書きはヒト投与用の製造、使用または販売の当局による認可を表すものである。
本発明は、上記の方法で使用することができるキットを提供する。一実施形態では、キットは1以上の本発明の分子を含む。別の実施形態では、キットはさらに、1以上の容器中に、癌の治療用に有用な1以上の他の予防薬または治療薬を含む。別の実施形態では、キットはさらに、癌に関連する1以上の癌抗原と結合する1以上の細胞傷害性抗体を含む。特定の実施形態では、他の予防薬または治療薬は化学療法薬である。他の実施形態では、予防薬または治療薬は生物学的治療薬またはホルモン治療薬である。
6.7 治療有用性の特性決定および実証
本発明の医薬組成物、予防薬または治療薬のいくつかの態様を、好ましくは、インビトロにおいて細胞培養系で、また、齧歯類動物モデル系などの動物モデル生物で、所望の治療活性に関して試験した後に、ヒトに使用する。例えば、特定の医薬組成物の投与が望ましいかどうかを確認するために用いることができるアッセイとしては細胞培養アッセイがあり、患者の組織サンプルを培養で増殖させ、本発明の医薬組成物に曝すか、またはそうでなければ接触させ、組織サンプルに対するこのような組成物の効果を観察する。組織サンプルは患者から生検により得ることができる。この試験により、個々の患者に対して治療上最も有効な予防用または治療用分子を同定することができる。種々の具体的な実施形態では、自己免疫障害または炎症性障害に関与する細胞種の代表的細胞(例えば、T細胞)を用いてインビトロアッセイを行い、本発明の医薬組成物がこのような細胞種に対して所望の効果を有するかどうかを確認することができる。
予防薬および/または治療薬の組合せは、ヒトで使用する前に、適当な動物モデル系で試験することができる。このような動物モデル系としては、限定されるものでないが、ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ブタ、イヌ、ウサギなどが挙げられる。当技術分野で周知のいずれの動物系を使用してもよい。本発明の具体的な実施形態では、予防薬および/または治療薬の組合せはマウスモデル系で試験する。このようなモデル系は広く用いられており、当業者に周知である。予防薬および/または治療薬は、反復して投与することができる。手順のいくつかの態様は可変である。該態様は、予防薬および/または治療薬を投与する時間的管理、およびこのような薬剤を個別に投与するか混合物として投与するかを含む。
本発明の方法に用いる好ましい動物モデルは、例えば、マウスエフェクター細胞上でヒトFcγRを発現するトランスジェニックマウスであり、例えば、米国特許第5,877,396号(参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)に記載されているいずれのマウスモデルも本発明に使用することができる。本発明の方法に用いるトランスジェニックマウスとしては、限定されるものでないが、ヒトFcγRIIIAを保有するマウス;ヒトFcγRIIAを保有するマウス;ヒトFcγRIIBおよびヒトFcγRIIIAを保有するマウス;ヒトFcγRIIBおよびヒトFcγRIIAを保有するマウスが挙げられる。
好ましくは、上記の機能的アッセイにおいて最大レベルの活性を示す突然変異を、ヒトで使用する前に、動物モデル試験における使用に関して試験する。本発明の方法を用いて同定され、ADCCアッセイにおいて試験されたFc変異体を有する抗体(2つの抗Erb−B2抗体ch4D5とch520C9、および抗TAG72抗体chCC49を含む)は、既に異種移植マウスモデルにおいて用いられていたことから(Hudsiak et al., 1989, Mol. Cell Biol. 9: 1165-72; Lewis et al., 1993, Cancer Immunol. Immunother. 37: 255-63; Bergman et al., 2001 Clin. Cancer Res. 7: 2050-6; Johnson et al., 1995, Anticancer Res. 1387-93)、動物モデルにおける使用に好ましい。上記の方法を用い、例えば、本明細書で開示および例示された哺乳動物発現系およびIgG精製法を用いて、動物モデルにおける使用のために十分量の抗体を調製することができる。典型的な実験は、少なくとも約5.4mgの変異型抗体を必要とする。この計算は、8〜10匹の30gマウスを、負荷用量4μg/g、週維持用量2μg/gで10週間保護するのに必要な野生型抗体の平均量に基づくものである。本発明は、乳腺腺癌患者に由来するSK−BR−3、BT474およびHT29細胞など、異種移植腫瘍の供給源としての腫瘍細胞を包含する。これらの細胞はErb−B2およびプロラクチン受容体の両方をその表面に持つ。SK−BR−3細胞は、ADCCおよび異種移植腫瘍モデルの両方において、好結果で用いられている。他のアッセイでは、ヒト卵巣腺癌由来のOVCAR3細胞を用いることができる。これらの細胞は、TAG72抗原を細胞表面で発現し、chCC49抗体と併用することができる。種々の抗体と複数の腫瘍モデルを使用すれば、抗体特異的Fc変異体の不適合によるいかなる特定の突然変異の損失も回避することができる。
マウス異種移植モデルは、腫瘍特異的標的に対して作製されたマウス抗体の効力を、抗体分子のCDR領域の親和性および特異性、ならびに抗体のFc領域の、免疫応答を惹起する能力に基づいて調べるために用いることができる(Wu et al., 2001, Trends Cell Biol. 11: S2-9)。マウスエフェクター細胞上でヒトFcγRを発現するトランスジェニックマウスは独特なものであり、ヒトFc−FcγR結合の効力を試験するために適合された動物モデルである。下記表13に挙げられているものなど、Dr. Jeffrey Ravetchの研究室で作製されたFcγRIIIA、FcγRIIBおよびFcγRIIAトランスジェニックマウス系統のつがいがロックフェラー大学およびSloan Kettering Cancer centerとのライセンス契約を介して)使用可能である。
好ましくは、FcγRIIIAに対する結合が増大し、FcγRIIBに対する結合が低下し、ADCCおよび貪食アッセイにおける活性が増大したFc変異体が、動物モデル実験で試験される。動物モデル実験は、天然抗体を投与された対照と比べて、FcγRIIIAトランスジェニック、ヌードmCD16AノックアウトマウスにおけるFc変異体を有する抗体の効力の増大を調べる。好ましくは、8〜10匹のマウス群を、標準的プロトコールを用いて調べる。例示的な動物モデル実験は、以下のステップを含み得る:乳癌モデルにおいて、1日目に、約2×106個のSK−BR−3細胞を、マトリゲル(Becton Dickinson)と混合した0.1mLのPBSとともに皮下注入する。まず、所定治療用量の曲線を設定するために、野生型キメラ抗体およびアイソタイプ対照を1日目に、初期用量4μg/gの4D5の静注、続いて毎週2μg/gの注入により投与する。疾病の進行を測定するために、腫瘍容積を6〜8週間モニタリングする。アイソタイプ対照を注入した動物においては、腫瘍容積は時間とともに直線的に増大するはずである。これに対して、4D5を注入した群ではわずかな腫瘍増殖しか起こらないはずである。標準用量試験の結果は、Fc変異体を調べる実験の上限を設定するために用いる。これらの試験はFc変異体を含む抗体を治療用量以下で用いて行う。FcγRIIBノックアウトマウスにおいて行われた実験では、異種移植モデルで1/10の用量が用いられたが(Clynes et al., 2000, Nat. Med. 6: 443-6参照)、結果として腫瘍細胞増殖の阻止が見られた。本発明の突然変異体は好ましくはFcγRIIIA活性化の増大とFcγRIIB結合の低下を示すので、これらの突然変異体は治療用量の1/10で検討する。間隔を変えて腫瘍サイズを調べれば、より低用量で抗体の効力が示される。t検定を用いたデータの統計学的解析は、データが有意かどうかを決める方法を提供する。増大した効力を示すFc変異体は漸減用量で試験し、それらの効力の尺度としての最小可能用量を求める。
本発明の併用療法の抗炎症活性は、当技術分野で公知であり、Crofford L.J. and Wilder R.L., "Arthritis and Autoimmunity in Animals", Arthritis and Allied Conditions: A Textbook of Rheumatology, McCarty et al.(eds.), Chapter 30 (Lee and Febiger, 1993)に記載されている炎症性関節炎の様々な実験動物モデルを用いることによって決定することができる。炎症性関節炎および自己免疫リウマチ疾患の実験的および自然発生的動物モデルもまた、本発明の併用療法の抗炎症活性を評価するために使用することができる。以下は例として示されるいくつかのアッセイであるが、これに限定されない。
当技術分野で公知であり、広く用いられている関節炎または炎症性疾患の主要な動物モデルとしては、アジュバント誘発関節炎ラットモデル、コラーゲン誘発関節炎ラットおよびマウスモデル、ならびに抗原誘発関節炎ラット、ウサギおよびハムスターモデルが挙げられ、これらは全てArthritis and Allied Conditions: A Textbook of Rheumatology, McCarty et al.(eds.), Chapter 30 (Lee and Febiger, 1993)内のCrofford L.J. and Wilder R.L., “Arthritis and Autoimmunity in Animals”に記載されている(参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)。
本発明の併用療法の抗炎症活性は、カラギーナン誘発関節炎ラットモデルを用いて評価することができる。カラギーナン誘発関節炎はまた、慢性関節炎または炎症の研究において、ウサギ、イヌおよびブタにおいても用いられてきた。定量的な組織形態計測的評価が治療効力の決定に用いられる。このようなカラギーナン誘発関節炎モデルを用いる方法は、Hansra P. et al., "Carrageenan-Induced Arthritis in the Rat," Inflammation, 24(2): 141-155, (2000)に記載されている。また、当技術分野で公知であり、記載されているザイモサン誘発炎症動物モデルも一般的に用いられる。
本発明の併用療法の抗炎症活性はまた、カラギーナン誘発性のラットの足浮腫の抑制を、Winter C. A. et al., “Carrageenan-Induced Edema in Hind Paw of the Rat as an Assay for Anti-inflammatory Drugs” Proc. Soc. Exp. Biol Med. 111, 544-547, (1962)に記載されている方法の改変を用いて測定することにより評価することもできる。このアッセイはほとんどのNSAIDの抗炎症活性に対する一次インビボスクリーニングとして用いられており、ヒトでの効力を予測すると考えられている。試験予防薬または治療薬の抗炎症活性は、ビヒクルを投与した対照群に対する試験群の後足重量増加の抑制率%として表される。
さらに、炎症性腸疾患の動物モデルを、本発明の併用療法の効力を評価するのに用いることもできる(Kim et al., 1992, Scand. J. Gastroentrol. 27:529-537; Strober, 1985, Dig. Dis. Sci. 30(12 Suppl):3S-10S)。潰瘍性大腸炎およびクローン病はヒト炎症性腸疾患であり、動物において誘発させることができる。硫酸化多糖類(限定されるものでないが、アミロペクチン、カラギーン、硫酸アミロペクチンおよび硫酸デキストランを含む)または化学刺激剤(限定されるものでないが、トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)および酢酸を含む)を動物に経口投与して炎症性腸疾患を誘発させることができる。
自己免疫障害の動物モデルもまた、本発明の併用療法の効力を評価するのに用いることができる。I型糖尿病、甲状腺自己免疫、全身性紅斑性狼瘡および糸球体腎炎などの自己免疫障害の動物モデルが開発されている(Flanders et al., 1999, Autoimmunity 29:235-246; Krogh et al., 1999, Biochimie 81:511-515; Foster, 1999, Semin. Nephrol. 19:12-24)。
さらに、当業者に公知のいずれのアッセイを、自己免疫および/または炎症性疾患に対する本発明に開示されている組合せ療法の予防的および/または治療的有用性を評価するのに用いてもよい。
本発明の予防プロトコールおよび/または治療プロトコールの毒性および効力は、例えば、LD50(集団の50%に対する致死用量)およびED50(集団の50%における治療上有効な用量)を決定するための、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手法により決定することができる。毒性と治療効果の間の用量比が治療指数であり、LD50/ED50比として表すことができる。大きな治療指数を示す予防薬および/または治療薬が好ましい。有毒な副作用を示す予防薬および/または治療薬を使用することもできるが、非感染細胞に対する傷害のおそれを最小化し、それにより、副作用を軽減するために、このような薬剤が罹患組織の部位を標的とする送達系を設計するように注意を払わなければならない。
細胞培養アッセイおよび動物試験から得たデータは、ヒトに使用するための、ある用量範囲の予防薬および/または治療薬を製剤化する上で使用することができる。このような薬物の用量は、好ましくは、毒性が低いか全くなく、ED50を含む循環濃度の範囲内にある。用量は、用いる投与形および用いる投与経路に応じて、この範囲内で可変である。本発明の方法で用いられるいずれの薬物についても、治療上有効な用量はまず細胞培養アッセイから評価することができる。用量は、細胞培養で決定した際にIC50(すなわち、症状の最大の2分の1の抑制を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するように、動物モデルにおいて決定することができる。このような情報は、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定するために使用することができる。血漿中のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーにより測定することができる。
本発明に従って使用される療法の抗癌活性はまた、癌研究用の様々な実験動物モデル、例えばSCIDマウスモデルまたはトランスジェニックマウスもしくはヒト異種移植片を有するヌードマウス、当技術分野で公知の、また、Relevance of Tumor Models for Anticancer Drug Development (1999, eds. Fiebig and Burger); Contributions to Oncology (1999, Karger); The Nude Mouse in Oncology Research (1991, eds. Boven and Winograd);およびAnticancer Drug Development Guide (1997 ed. Teicher)(参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)に記載されているハムスター、ウサギなどの動物モデルを用いることにより決定することもできる。
本発明の分子の治療効力を決定するのに好ましい動物モデルは、マウス異種移植モデルである。異種移植腫瘍の供給源として使用可能な腫瘍細胞系統としては、限定されるものでないが、SKBR3およびMCF7細胞を含み、それらは乳腺腺癌の患者に由来するものであり得る。これらの細胞は、erbB2およびプロラクチン受容体の両方を有する。SKBR3細胞は、ADCCおよび異種移植腫瘍モデルとして、当技術分野において通常用いられている。あるいは、ヒト卵巣腺癌に由来するOVCAR3細胞を、異種移植腫瘍の供給源として使用することもできる。
本発明のプロトコールおよび組成物は、ヒトで使用する前に、好ましくは、インビトロで、次いでインビボで、所望の治療活性または予防活性について試験する。治療薬および治療法は、腫瘍または悪性細胞系統の細胞を用いてスクリーニングすることができる。当技術分野において標準的な多くのアッセイを用いて、このような生存および/または増殖を評価することができる。例えば、細胞増殖は、3H−チミジン組込みを測定することによるか、直接細胞を数えることによるか、癌原遺伝子(例えば、fos、myc)または細胞周期マーカーなどの既知の遺伝子の転写活性の変化を検出することにより評価することができる。細胞生存率は、トリパンブルー染色により評価することができ、分化は、形態変化、軟寒天中での増殖および/もしくはコロニー形成の低下または三次元基底膜もしくは細胞外マトリックス調製物中での管状ネットワークの形成などに基づいて視覚的に評価することができる。
療法に用いる化合物は、ヒトで試験する前に、例えば上記の動物など、限定されるものでないが、ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ウサギ、ハムスターなどをはじめとする好適な動物モデル系で試験することができる。該化合物はその後、適当な臨床試験に使用することができる。
さらに、当業者に公知の任意のアッセイを用いて、癌、炎症性障害、または自己免疫疾患の治療または予防に関して、本明細書に開示される併用療法の予防および/または治療的有用性を評価することができる。
以上、本発明を全般的に記載してきたが、本発明は以下の実施例を参照すればより容易に理解できる。これらの実施例は例示として示され、特に断りのない限り、本発明を限定するものではない。
7.1 Fc突然変異体の動態パラメータの解析
FcγRIIIAおよびFcγRIIBに対する親和性が変更されたFc突然変異体を、米国特許出願公開第2005/0037000号および同第2005/0064514号、ならびに国際特許出願公開WO04/063351(それぞれ参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)に開示されているように、酵母ディスプレイ技術およびFcγR−Fc相互作用アッセイから確認した。インビトロアッセイにおける突然変異体の効果は、BIAcoreアッセイ(BIAcore instrument 1000, BIAcore Inc., Piscataway, N.J.)を用い、Fc突然変異体を保有するch4−4−20抗体の結合の動態パラメータを決定することによって評価した。このアッセイで用いたFcγRIIIAは、リンカー−AVITAG配列に連結させたFcγRIIIAの細胞外領域である、可溶性モノマータンパク質であり、一方、このアッセイで用いたFcγRIIBは可溶性ダイマータンパク質であり、両者とも米国特許出願公開第2005/0037000号および同第2005/0064514号、ならびに国際特許出願公開WO04/063351に記載されているように調製した。簡単に述べると、使用したFcγRIIBはヒトIgG2のヒンジ−CH2−CH3ドメインに融合されたFcγRIIBの細胞外ドメインであった。
BSA−FITC(10mM酢酸バッファ、pH5.0中、36μg/mL)を、センサーチップ表面の4つのフローセルの1つ(フローセル2)に、アミンカップリング化学により(NHS/EDCの混合物によるカルボキシルメチル基の修飾により)、約5000応答単位(RU)のBSA−FITCが表面に固定化されるように固定化した。この後、1M Et−NH2の注入によって、未反応の活性エステルを「キャップオフ(capped off)」した。好適な表面が調製されたところで、Fc突然変異を保有するch 4−4−20抗体を、20μg/mL溶液を流速5μL/mLで1分注入することによりその表面に流した。表面に結合したch−4−4−20抗体のレベルは400〜700RUの範囲であった。次に、HBS−Pバッファ(10mM HEPES、150mM NaCl、0.005%界面活性剤P20、3mM EDTA、pH7.4)中の受容体(FcγRIIIAおよびFcγRIIB−Fc融合タンパク質)の希釈系を100μL/分で表面に注入した。受容体希釈液が代わる際には、100mM NaHCO3 pH9.4、3M NaClを5秒間1回注入することによって抗体の再生を行った。
アッセイの最初と最後に、対照注入として、ch−4−4−20抗体を含まない受容体の同率希釈液をBSA−FITC表面に注入した。
全データセットが採取されたところで、得られた結合曲線を、製造者BIAcore, Inc.(Piscataway, NJ)が提供するコンピューターアルゴリズムを用いて大まかに当てはめた。これらのアルゴリズムでKonおよびKoffの両方が算出され、これらから見かけの平衡結合定数KDが、2つの速度定数の比(すなわち、Koff/Kon)として推定される。個々の速度定数をどのようにして導くかのさらに詳細な処理法は、BIAevaluaion Software Handbook (BIAcore, Inc., Piscataway, NJ)に示されている。
2種類の異なる濃度(FcγRIIIAでは200nMと800nM、FcγRIIB融合タンパク質では200nMと400nM)に対する結合曲線をアラインし、応答を同レベルの捕捉抗体に合わせて調整し、さらに実験曲線から対照曲線を差し引いた。会合および解離相はそれぞれ当てはめを行った。解離速度定数は解離相の32〜34秒間隔で得、会合相の当てはめは1:1 Langmuirモデルによって取得し、ベースの当てはめはRmaxおよびchi2指標を基準にして選択した。
結果
図4は、BSA−FTIC固定化センサーチップ上の、変異型Fc領域を有するch 4−4−20抗体の捕捉を示す。BSA−FITC表面上に、約20μg/mL濃度の抗体6μLを、5μL/分で注入した。図5は、FcγRIIIAと、変異型Fc領域を保有するch−4−4−20抗体とのリアルタイム結合のセンソグラムである。FcγRIIIAの結合は200nM濃度で分析し、共鳴シグナル応答を、野生型ch−4−4−20抗体に関して得られた応答のレベルでノーマライズした。FcγRIIIAとch−4−4−20抗体との結合に関する動態パラメータを、2種の異なるFcγRIIIA濃度、200および800nMで得られたデータを当てはめることによって得た(図6)。実線は、解離曲線に対して32〜34秒間隔で算出したKoff値に基づいて得た会合の当てはめを表す。KDおよびKoffは、使用した2種の異なるFcγRIIIA濃度から算出した平均値を表す。図7は、FcγRIIB−Fc融合タンパク質と、変異型Fc領域を保有するch−4−4−20抗体とのリアルタイム結合のセンソグラムである。FcγRIIB−Fc融合タンパク質の結合を200nM濃度で分析し、共鳴シグナル応答を、野生型ch−4−4−20抗体に関して得られた応答レベルでノーマライズした。FcγRIIB−Fc融合タンパク質とch−4−4−20抗体との結合に関する動態パラメータは、2種の異なるFcγRIIB−Fc融合タンパク質濃度、200および400nMで得たデータを当てはめることによって得た(図8)。実線は、解離曲線に対して32〜34秒間隔で算出したKoff値に基づいて得た会合の当てはめを表す。KDおよびKoffは、使用した2種の異なるFcγRIIB−Fc融合タンパク質濃度から算出した平均値を表す。
BIAcore解析から決定した動態パラメータ(KonおよびKoff)は、ELISAアッセイにより測定した際のその突然変異体の結合特性およびADCCアッセイで測定した際のその突然変異体の機能的活性と相関があった。具体的には、表14に見られるように、野生型タンパク質に比べて増強されたADCC活性を持ち、かつ、ELISAアッセイで測定した際に増強されたFcγRIIIAに対する結合性を持つ突然変異体は、FcγRIIIAに対して向上したKoff(すなわち、より低いKoff)を有していた。従って、ある突然変異Fcタンパク質に関して、FcγRIIIAに対するKoff値が野生型タンパク質に比べて低い場合には、増強されたADCC機能を有する可能性がある。反対に、表15に見られるように、野生型タンパク質に比べて増強されたADCC活性を持ち、かつ、ELISAアッセイにより測定した際にFcγRIIB−Fc融合タンパク質に対して低減された結合性を持つ突然変異体は、FcγRIIB−Fc融合タンパク質に関してより高いKoffを有していた。
従って、FcγRIIIAおよびFcγRIIBに対するK
off値を、ある突然変異体がADCCなどの機能アッセイでどのように挙動するかの予測的尺度として用いることができる。実際に、野生型タンパク質に対するその突然変異体のFcγRIIIAおよびFcγRIIB−Fc融合タンパク質のK
off値の比をADCCデータに対してプロットした(図9)。具体的には、FcγRIIIAに関するK
off値の場合、K
off(野生型)/K
off(突然変異体)の比をADCCデータに対してプロットし、FcγRIIBに関するK
off値の場合は、K
off(突然変異体)/K
off(野生型)の比をADCCデータに対してプロットした。1より大きい数は、野生型に比べて、FcγRIIIAに対して低下した解離速度、およびFcγRIIB−Fcに対して増大した解離速度を示す。示されたボックス内に入る突然変異体は、FcγRIIIA結合に関してより低い解離速度(off rate)とFcγRIIB−Fc結合に関するより高い解離速度を持ち、増強されたADCC機能を有する。
強調した突然変異体は、ELISAまたはADCCデータにより、そのグループには当てはまらない。
7.2 固相アッセイを用いた複数回の富化によるFc突然変異体のスクリーニング
以下の突然変異体スクリーニングは、FcγRIIIAに対して向上した結合およびFcγRIIBに対して低下した結合を示す、さらなる突然変異体セットを同定することを目的とした。選択されたFc変異体の二次スクリーニングをELISAによって行った後、4−4−20系中でADCCに関して試験した。その後、突然変異体を、標的としてフルオレセインでコーティングしたSK−BR3細胞およびエフェクター細胞集団としてヒトドナーから単離されたPBMCを用い、主として、4−4−20を介してADCCを媒介するその能力に基づいて選択した。次に、ADCCで相対的増大、例えば2倍の増強を示したFc突然変異体を抗HER2/neuまたは抗CD20 chAb中にクローニングし、標的として適切な腫瘍細胞を用いたADCCアッセイで試験した。この突然変異体はまたBIAcoreによっても解析し、その相対的Koffを求めた。
スクリーニング1:一連の固相枯渇およびFcγRIIBでコーティングした磁気ビーズを用いた選択と、それに続くFcγRIIIAでコーティングした磁気ビーズを用いた選択
このスクリーニングの目的は、FcγRIIBと結合しなくなったか、またはFcγRIIBに対して結合の低減を示すFc変異体を同定することであった。10倍過剰のナイーブライブラリ(約10
7細胞)を、FcγRIIBでコーティングした磁気ビーズ("My One", Dynal)とともにインキュベートした。ビーズに結合した酵母は、その混合物を含有する試験管を磁場に置くことにより、非結合画分から分離した。ビーズと結合しなかった酵母細胞を取り出し、新鮮な培地に入れた。これらを次に、FcγRIIIAでコーティングしたビーズに結合させた。ビーズに結合した酵母は、その混合物を含有する試験管を磁場に置くことにより、非結合画分から分離した。結合しなかった酵母細胞を除去し、結合した酵母を激しいボルテックス混合により取り出した。回収した細胞をグルコース含有培地で再増殖させ、ガラクトースを含有する選択培地で再誘導した。この選択工程を反復した。その後、最終培養物を用いてDNAを回収した。Fcドメインを含む挿入配列をPCRにより増幅し、4−4−20中にクローニングした。4−4−20 ELISAおよびADCCアッセイにより、約90のFc突然変異体をスクリーニングした。得られた陽性突然変異体を表16に示す。
スクリーニング2および3:FACS、平衡スクリーニングおよび動態スクリーニングにより選択された突然変異体:
一次ライブラリスクリーニングで、396位のアミノ酸がプロリンからロイシンへ変異した突然変異(P396L)が同定された。このFc変異体はFcγRIIIAおよびFcγRIIBの両方に対して増大した結合を示した。基準としてP396Lを用い、第2のライブラリを構築した。PCR突然変異誘発を用い、それぞれがP396L突然変異を含み、かつ、その他のヌクレオチド変異を含む約107の突然変異体を作出した。このP396Lライブラリを2セットの条件を用いてスクリーニングした。
既述の方法を用い、モノマーとしてビオチン化FcγRIIIA−リンカー−avitagを使用して平衡スクリーニングを行った。約10倍過剰のライブラリ(10
8細胞)を、0.5mLの約7nM FcγRIIIAとともに1時間インキュベートした。この混合物をFACSにより選別し、上から1.2%の結合体を選択した。選択した酵母細胞をグルコース含有選択培地で増殖させ、ガラクトース含有選択培地で再誘導した。平衡スクリーニングをもう一度繰り返し、上から0.2%の結合体を回収するように選別ゲートを設定した。次に、選択した酵母細胞をグルコース中の選択条件下で増殖させた。その後、この培養物を用いてDNAを回収した。Fcドメインを含む挿入配列をPCRにより増幅し、既述の方法を用いて、4−4−20可変ドメインをコードするヌクレオチド配列中にクローニングした。4−4−20 ELISAおよびADCCアッセイにより、約90のFc突然変異体をスクリーニングした。得られた陽性突然変異体を表17に示す。
また、FcγRIIIAとの結合に関して向上したKoffを有する突然変異体を同定するために、動態スクリーニングも行った。酵母表面に提示されたP396L Fc変異体を有する株を用いて、P396Lライブラリをスクリーニングするための条件を確立した。簡単に述べると、誘導条件下で増殖させた細胞を、0.1μMのビオチン化FcγRIIIA−リンカー−avitagモノマーとともに1時間インキュベートした。細胞を洗浄して標識されたリガンドを除去した。次に、標識された細胞を0.1μMの非標識FcγRIIIA−リンカー−avitagモノマーとともに様々な時間インキュベートし、洗浄した後、FACS解析のためにSA:PEで染色した(図10)。また、細胞をヤギ抗ヒトFcでも染色して、Fc提示がこの実験中に維持されることを示した。
競合試験に基づき、1分間のインキュベーションは細胞染色の約50%の損失をもたらすことが確認された。この時点を、P396Lライブラリを使用する動態スクリーニングのために選定した。約10倍過剰のライブラリ(108細胞)を、0.5mL容量中、0.1μMのビオチン化FcγRIIIA−リンカー−avitagモノマーとともにインキュベートした。細胞を洗浄した後、非標識リガンドとともに1分間インキュベートした。その後、細胞を洗浄し、SA:PEで標識した。この混合物をFACSにより選別し、上から0.3%の結合体を選択した。選択した酵母細胞をグルコース含有選択培地で増殖させ、ガラクトース含有選択培地で再誘導した。この動態スクリーニングをもう一度繰り返し、上から0.2%の結合体を回収するように選別ゲートを設定した。非選択P396Lライブラリを、FACSによって結合の向上に関して選択された酵母細胞と比較した(図11)。ヒストグラムは、FcγRIIIA/PEおよびヤギ抗ヒトFc/FITCの両方で同時に染色された細胞のパーセンテージを示す(右上)。
次に、二次選別で選択された酵母細胞を、グルコース中の選択条件下で増殖させた。次に、この培養物を使用してDNAを回収した。Fcドメインを含む挿入配列をPCRにより増幅し、上記の方法を用いて、4−4−20可変ドメインをコードするヌクレオチド配列中にクローニングした。4−4−20 ELISAおよびADCCによって、約90のFc突然変異体をスクリーニングした。得られた陽性突然変異体を表18に示す。
スクリーニング4および5:固相FcγRIIB枯渇ステップと、FcγRIIIA 158V対立遺伝子を用いたFACSによるFcγRIIIA選択との組合せ
スクリーニング1からのFc変異体の分析は、二次スクリーニングから選択された突然変異体がFcγRIIIAおよびFcγRIIBの両方に対して向上した結合を持つことを示した。従って、このデータから、確立された条件下での磁気ビーズ(固相)を用いた一連の枯渇および選択は、FcγRIIIAおよびFcγRIIBに対する示差的結合に関して効果的に選択しなかったことが示唆された。従って、FcγRIIIAと結合するが、FcγRIIBとの結合が低減されたかまたは結合しない突然変異体に関してより効果的なスクリーニングを行うために、固相FcγRIIB枯渇ステップを、FACS選別によるFcγRIIIA選択と組み合わせた。この組合せにより、野生型Fc以上の親和性でFcγRIIIAと結合するFc変異体が同定された。
10倍過剰のナイーブライブラリ(約107細胞)を、FcγRIIBでコーティングした磁気ビーズとともにインキュベートした。ビーズに結合した酵母は、この混合物を含有する試験管を磁場に置くことにより、非結合画分から分離した。ビーズに結合しなかった酵母細胞を取り出し、新鮮な培地に入れ、その後、ガラクトースを含有する選択培地で再誘導した。この磁気ビーズによるFcγRIIB枯渇を5回反復した。得られた酵母集団を分析し、ヤギ抗ヒトFcで染色される細胞が50%を超え、FcγRIIIAで染色される細胞はごくわずかなパーセンテージであることが分かった。次に、これらの細胞を、0.1μMのビオチン化FcγRIIIA−リンカー−avitagを用いたFACS選別により2回選択した(データは示されていない)。FcγRIIIAは158Vアロタイプであった。各選別後、酵母細胞をFcγRIIIA結合とFcγRIIB結合の両方について分析し、野生型Fcドメインによる結合と比較した(図12A−B)。
次に、二次選別から選択された酵母細胞を、グルコース中の選択条件下で増殖させた。次に、この培養物を用いてDNAを回収した。Fcドメインを含む挿入配列をPCRにより増幅し、4−4−20可変ドメインをコードするヌクレオチド配列中にクローニングした。4−4−20 ELISAおよびADCCにより、約90のFc突然変異体をスクリーニングした。得られた陽性突然変異体を表19に示す(突然変異体61〜66)。
FcγRIIIAの158F対立遺伝子を用いたFc変異体のスクリーニング:
IgG1 Fcドメインに対して異なる結合親和性を持つ、FcγRIIIA受容体の2種の異なる対立遺伝子が存在する(Koene et al., 1997, Blood 90: 1109-1114; Wu et al., 1997, J. Clin. Invest. 100: 1059-70)。158F対立遺伝子は、158V対立遺伝子の5分の1〜10分の1の結合定数でFcドメインと結合する。これまででは、酵母ディスプレイを用いるFcスクリーニングは全て、この高結合性158V対立遺伝子をリガンドとして用いて行われた。この実験では、ビオチン化FcγRIIIA158F−リンカー−avitagモノマーをリガンドとして用い、FcγRIIB枯渇酵母集団からFc突然変異体を選択した。選別ゲートを上から0.25%のFcγRIIIA 158F結合体を選択するように設定した。得られた富化集団をFACSにより解析した(図12B)。次に、個々のクローンを単離し、種々のFcγRに対するその結合をFACSにより解析した(図12B)。この集団からの個々のクローンの解析の結果、5つの突然変異(V284M、S298N、K334E、R355W、R416S)を保有する1つの突然変異体MgFc67が同定され、FcγRIIIAに対する増強された結合とFcγRIIBに対する低減された結合を有していた。
スクリーニング1、2および3のためのADCCアッセイによる突然変異体の二次スクリーニング:
上記のスクリーニングで選択された突然変異体を、次に、標準的ADCCアッセイを用いて解析し、Fc変異体を保有するch4−4−20により媒介される溶解の相対速度を決定した。既述の方法を用いて、Fc変異体を保有するch4−4−20抗体を構築した。標的としてSK−BR3細胞を用い、エフェクター細胞は上記(第7.7節)のようにFicoll勾配を用いてドナーから単離したPBMCとした。これらの突然変異体のADCC活性の結果を表20にまとめる。
表20に見られるように、FcγRIIB枯渇およびFcγRIIIA選択に基づき、上記の一次および二次スクリーニングを用いて単離した突然変異体は、野生型に比べて増強されたADCC活性を示した。
0.5μg/mLのch4−4−20を用いて、突然変異体37、38、39、41、43を分析した。その他の抗体は全て、1μg/mLで試験した。全ての速度を野生型ch4−4−20(IgG1)に対してノーマライズした。
突然変異体をさらに、抗腫瘍モノクローナル抗体4D5(抗HER2/neu)および抗CD20モノクローナル抗体2H7の重鎖中に、これらのモノクローナル抗体のFcドメインを置き換えることによりクローニングした。293H細胞中への一時的トランスフェクションとプロテインGカラム上での精製による標準的方法を用い、これらのキメラモノクローナル抗体を発現させ、精製し、ADCCアッセイにより試験した。これらのキメラ4D5抗体は、ADCCアッセイにおいて、標的としてSK−BR3細胞を用いて試験し(図13)、キメラ2H7抗体は、ADCCアッセイにおいて、標的としてDaudi細胞を用いて試験した(図14)。
BIAcoreによる突然変異体の二次スクリーニング:
上記のスクリーニングで選択した突然変異体をBIAcoreにより解析し、FcγRIIIA(158V)およびFcγRIIBとの結合に関する動態パラメータを決定した。使用した方法は上記第7.1節に開示したものと同様とした。
示したデータは、ch4−4−20モノクローナル抗体中でFc変異体を使用する実験から測定した、野生型の解離速度に対するKoff値である。1より大きい相対数は、Koff速度の低下を示す。1より小さい数は解離速度の増大を示す。
FcγRIIIAに関する解離速度の低下を示した突然変異体は、MgFc38(K392、P396L)、MgFc43(Y319F、P352L、P396L)、MgFc42(D221E、D270E、V308A、Q311H、P396L、G402D)、MgFc43b(K288R、T307A、K344E、P396L)、MgFc44(K334N、P396L)、MgFc46(P217S、P396L)、MgFc49(K261N、K210M、P396L)であった。FcγRIIBに関する解離速度の低下を示した突然変異体は、MgFc38(K392、P396L)、MgFc39(E293V、Q295E、A327T)、MgFc43(K288R、T307A、K344E、P396L)、MgFc44(K334N、P396L)であった。BIAcoreデータを表21にまとめる。
7.3 PBMC媒介ADCCアッセイ
材料および方法
FcγRIIIAに対する結合の向上を示すFc変異体を、60:1のエフェクター:標的比を用い、PBMCに基づくADCCにより試験した。2つの異なる腫瘍モデル系、SK−BR3(抗HER2/neu)とDaudi(抗CD20)を標的として用いた。各突然変異体について比溶解率%を定量した。線形回帰解析を用いてデータをプロットし、最大溶解率%を100%に設定した。
ADCCは、低親和性FcγRと免疫複合体との間の相互作用により誘発されるシグナル伝達経路を介して、免疫系エフェクター細胞上で活性化される。エフェクター細胞集団は、一次血液または活性化単球由来のマクロファージ(MDM)のいずれかから誘導した。標的細胞にユーロピウムを負荷し、キメラMAbとともにインキュベートした後、エフェクター細胞集団とともにインキュベートした。ユーロピウムは51Crと同様に働くが、非放射性であり、放出されたユーロピウムは蛍光プレートリーダーで検出される。ドナーの末梢血(PBM)からFicoll−Paque勾配(Pharmacia)を用いて回収したリンパ球は、主としてナチュラルキラー細胞(NK)を含む。ADCC活性の大部分は、その表面にFcγRIIIAを含むがFcγRIIBは含まないNKによって生じる。
実験は、2つの異なる標的細胞集団SK−BR−3とDaudi(それぞれHER2/neuおよびCD20を発現する)を用いて行った。ADCCアッセイは、Ch4−4−20/FITCコーティングSK−BR−3、Ch4D5/SKBR3、およびリツキサン/Daudiを用いて設定した(データは示されていない)。同定されたFc変異体を用いてキメラMAb抗体を改変した。Fc変異体をCh4D5にクローニングした。精製したAbを用いて、SK−BR−3細胞またはDaudi細胞をオプソニン化した。Fc変異体をCh4D5にクローニングした。
結果
Fc変異体は、SK BR3細胞においてPBMC媒介ADCC活性の向上を示した(図13)。プロットは、標準的ADCCアッセイの線形回帰解析を示す。抗体は、エフェクター:標的比を75:1として3logにわたって抗体価を測定した。溶解%=(実験的放出−SR)/(MR−SR)×100
Fc変異体は、Daudi細胞においてPBMC媒介ADCC活性の向上を示した(図14)。
7.4 単球由来マクロファージ(MDM)に基づくADCCアッセイ
FcγR依存性腫瘍細胞死は、マウスの腫瘍モデルにおいてマクロファージとNK細胞により媒介される(Clynes et al., 1998, PNAS USA, 95: 652-6)。分離した(elutriated)ドナー由来の単球をエフェクター細胞として用い、Fc変異体がADCCアッセイにおいて標的細胞の細胞傷害性を誘発する効率を分析した。FcγRI、FcγR3AおよびFcγR2Bの発現パターンは、様々な増殖条件の影響を受ける。種々のサイトカインの組合せとヒト血清を含有する培地で培養した単球を凍結させたものからのFcγRの発現を、FcR特異的MAbを用いてFACSにより試験した(図15)。培養細胞をFcγR特異的抗体で染色し、FACSにより解析し、MDM FcγRプロフィールを決定した。マクロファージのインビボでのFcγR発現を最も良く模倣した条件、すなわち、CD16とCD32Bとを発現する細胞の最大画分を示した条件を、単球由来マクロファージ(MDM)に基づくADCCアッセイで用いた。図15の実験の場合、分離して(elutriated)凍結した単球を、M−CSF(条件1)またはGM−CSF(条件2)のいずれかを含有するDMEMおよび20%FBS中で8日間増殖させた。図16の実験の場合、分離して(elutriated)凍結した単球を、ADCCアッセイの前に、GM−CSF、IL−2およびIFNγを含有するDMEMおよび20%FBS中で2日間培養した。高レベルのCD16およびCD32Bの発現を可能にする無血清条件も開発されている(データは示されていない)。簡単に述べると、精製した単球を、GM−CSF、M−CSF、IL−6、IL−10およびIL−1βを含有するマクロファージ−SFM(Invitrogen)中で6〜8日間増殖させた。これらの培養物中のCD32B+/CD16+細胞の出現率は、サイトカインの混合物を用いる場合に最も高くなるが、2以上のサイトカインの組合せはFcγRの発現も高める(M−CSF/IL−6、M−CSF/IL−10、またはM−CSF/IL−1β)。ADCCアッセイのため、最後の24〜48時間にIFNγを添加した。
MDMに基づくADCCは、標的細胞の死滅を確認するために16時間を超えるインキュベーション時間を必要とした。標的細胞にインジウム−111を負荷したが、これは長いインキュベーションの間、標的細胞内に保持される。インジウムの放出は、ガンマカウンターを用いて定量した。他の試薬、抗体および標的細胞は全て、PBMCに基づくADCCアッセイと同様であった。FcγRIによるADCC活性は、抗FcRI遮断抗体(M21、Ancell)を用いて効率的に遮断することができる。アッセイ条件は、PBMCに基づくアッセイとは若干異なる。標的:エフェクター比は20:1とし、37℃で18〜14時間のインキュベーションとした。
PBMC ADCCの向上、FcγRIIIAに対する結合の増大、またはFcγRIIBに対する結合の低下を示すFc変異体を試験した(図16)。
7.5 補体活性に対するFc変異体の影響
Fc変異体は最初にFcγRIIIAに対する結合の増大に基づいて同定された。その後、これらの突然変異体には、全ての低親和性受容体に対する親和性の向上と、多くの場合には、PBMCにより媒介されるADCC活性の向上が確認された。インビボにおいて抗体媒介細胞傷害作用は、複数の機構を通じて起こり得る。ADCCに加え、可能性のある他の機構としては、補体依存性細胞傷害作用(CDC)およびアポトーシスが挙げられる。C1qと免疫グロブリンのFc領域との結合は、CDCにより細胞溶解をもたらすカスケードとして開始する。C1qとFcとの相互作用は、一連のFc変異体において研究されている。これらの実験の結果は、C1qと低親和性FcRがFcの重複した領域に結合するものの、Fc内の接触残基自体は様々であることを示唆する。
PBMCに基づくアッセイでADCCの向上を示した突然変異体を、CDCにおけるその効力に関して調べた。抗体を抗CD20 Ch−mAbである2H7において分析した。本発明者らは、供試した各突然変異ch−mAbに関してCDCの向上を検出した。興味深いことに、これらの突然変異体はADCCの向上に関して選択されたにも関わらず、CDCの増強も示す。
材料および方法
CDCアッセイを用い、抗CD20および標的としてのDaudi細胞を用いてFc変異体を試験した。補体の供給源としてモルモット血清(US Biological)を用いた。CDCアッセイはPBMCに基づくADCCの場合と同様であった。標的細胞にユーロピウムを負荷し、Ch MAbを用いてオプソニン化した。ただし、エフェクター細胞の代わりに、補体であるモルモット血清を添加した。図17はアッセイのフローチャートを示す。3桁にわたって抗CD20 ChMabの抗体価を測定した。溶解%を算出した。Daudi細胞(3×106)をBADTA試薬で標識した。1×104細胞を96ウェルプレートの各ウェルに分注した。3倍希釈を用い、ウェル中で抗体価の測定を行った。オプソニン化反応は、37℃、5%CO2中で30〜40分間行った。モルモット血清を添加して終濃度を20%とした。反応は、37℃、5%CO2中で3.5時間行った。その後、100μlの細胞培養培地を反応物に加え、細胞を遠心沈殿させた。検出のため、20μlの上清を200μlのユーロピウム溶液に加え、プレートをVictor2(Wallac)で読み取った。
結果
活性化FcRまたはC1qのいずれかに対する結合の向上を示す突然変異体を全て、CDCアッセイにかけた(図18)。FcγRIIIAに対する結合の増強を示したFc変異体はまた、補体活性の向上も示した。各突然変異体は、野生型に比べて補体活性の増強を示す。供試した突然変異体は二重突然変異体である。いずれの場合にも、存在する突然変異の1つはP396Lである。
CDCの増加がC1qとIgG1 Fcとの結合の増大と相関するかどうかを判定するため、この2つのタンパク質間の結合を、表面プラズモン共鳴法を用いてリアルタイムで測定した。C1qとIgG1 Fcとの結合を調べるために、Fc変異体を、抗CD32B ch−mABである2B6にクローニングした。これにより、本発明者らは可溶性CD32Bタンパク質を介して野生型抗体および変異型抗体をスライドガラスに捕捉することができた(図19A)。CDCにおいて試験した4つの突然変異体のうち3つについては、Biacoreでも調べた。3つの突然変異体は全て、野生型Fcに比べて極めて高いK
offを示した(図19B)。2B6突然変異体に対するC1qの結合に関するBiacore形式は、P396L変異を有する突然変異体の結合の増強を示す(図20)。突然変異D270EはC1q結合を様々な程度で低減させ得る。FcγRおよびC1q結合の動態解析の概要を以下の表22に示す。
7.6 FcγRIIBに対する結合が低下したFc変異体の設計
FcγRIIBに対する結合を低下させ、かつ、FcγRIIA 131Hに対する結合を増大させるFc変異体の選択に基づいて、D270Eを含む多くの突然変異を同定した。各突然変異を、低親和性Fc受容体およびそれらの対立遺伝子変異体に対する結合に関して個々に試験した。
D270Eは、FcγRIIB結合を特異的に低下させると示唆された結合特性を有していた。D270Eは、全てのFcRに対する結合の向上に基づいて従前に同定された突然変異と組み合わせて試験した。
結果
表23および表24ならびに図21および図22に示されるように、D270E突然変異の付加は、FcγRIIIAおよびFcγRIIA H131結合を増強し、FcγRIIBに対する結合を低減する。図23は、突然変異体の選択のためにCD32A H131H結合を測定した際のK
offに対するMDM ADCCデータのプロットを示す。
7.7 Fc変異体の動態パラメータの解析
Fc変異体を有するキメラ4D5抗体の、FcγRIIIAの2つのアロタイプ、FcγRIIA 131HおよびFcγRIIBとの結合に関する動態パラメータを、前記第7.8節に開示したものと同様の方法を用いてBIAcoreにより解析した。FcγRIIIAの2つのアロタイプ、FcγRIIIA 158VおよびFcγRIIIA 158Fは、前記第7.9節に詳細に記載されている。
材料および方法
このアッセイに用いたFcγRIIIAの両アロタイプは、可溶性モノマータンパク質であり、FcγRIIIAの細胞外領域は、第7.1節に記載のとおり、リンカー−AVITAG配列に連結されていた。このアッセイに用いたFcγRIIBおよびFcγRIIAは、可溶性ダイマータンパク質であり、すなわち、FcγRIIBまたはFcγRIIAの細胞外ドメインは、前記第7.1節に記載のとおり、ヒトIgG2のヒンジ−CH2−CH3ドメインと融合されていた。
BIAcoreの方法論および解析の詳細は、第7.1節に示されている。このアッセイでは、ヒト上皮細胞増殖因子受容体2(HER2/neu)に対して特異的なキメラ4D5抗体に、変異型Fc領域をクローニングした。抗原、HER2/neuを、センサーチップのフローセルの1つに固定化した。次いで、Fc突然変異を有するキメラ4D5抗体を、300nM溶液を流速5μl/分で3分間注入することによりその表面に流した。次に、HBS−Pバッファ(10mM HEPES、150mM NaCL、0.005%界面活性剤P20、3mM EDTA、pH7.4)による受容体の希釈系を表面上に100μl/分で注入した。
2種類の異なる濃度の受容体(FcγRIIIA V158およびFcγRIIIA 158Fの両方に対して400nMおよび800nM;FcγRIIAおよびFcγRIIBの両方に対して100nMおよび200nM)についての結合曲線をアラインし、応答を同レベルの捕捉抗体に合わせて調整し、さらに実験曲線から対照曲線を差し引いた。結合相と解離相は別々に当てはめた。
結果
FcγRIIIA、アロタイプ158Vおよび158F、FcγRIIBおよびFcγRIIA 131Hの結合を解析し、共鳴応答を、野生型キメラ4D5抗体で得られた応答レベルでノーマライズした。FcγRと、キメラ4D5抗体との結合に関する動態パラメータは、2種類の異なるFcγR濃度、すなわち、FcγRIIIA V158およびFcγRIIIA 158Fの両方に対して400nMおよび800nM;FcγRIIAおよびFcγRIIBの両方に対して100nMおよび200nMでのデータを当てはめることにより得た。
表25は、示された変異型Fc領域に関して解析した4つの各受容体の解離速度を表す。
表26は、二反復試験の結果を表し、野生型の解離速度に対するキメラ4D5抗体のK
off値を計算した。1より大きい相対数はK
off速度の低下を示す。1より小さい数はK
off速度の増大を示す。
*nb、結合せず
7.8 Fc変異体のADCCアッセイ
実施例7.7においてFcγIIIAおよび/またはFcγIIAに対する親和性の増加を伴うことが確認されたFc突然変異をそれらの相対的ADCC活性に関して解析した。
材料および方法
ADCCアッセイに関する詳細は、第7.1節ならびに米国特許出願公開第2005/0037000号および同第2005/0064514号、ならびに国際特許出願公開WO04/063351に示されており、それぞれ参照によりその全内容を本明細書に組み入れる。このアッセイでは、インジウム−111が負荷されたHT29結腸癌細胞(ATCC受託番号HTB−38)を標的として用い、エフェクター細胞はフィコール勾配を用いてドナーから単離されたPBMCとした。標的細胞に、変異型Fc領域を含むキメラ4D5抗体により終濃度2〜5000ng/mlでオプソニン化した。次いで、オプソニン化された標的細胞をエフェクター細胞に加えて、エフェクター:標的比を50:1とし、37℃、5%CO2で18時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を約220×g、10℃で5分間遠心分離した。上清中のインジウム−111のレベルをガンマカウンターで記録した。
結果
変異型Fc領域MGFc88(F243L、R292P、Y300L、V305I、P396L)、MGFc88A(F243L、R292P、Y300L、P396L)およびMGFc155(F243L、R292P、Y300L)を含むキメラ4D5抗体を、FcγRIIIAおよび/またはFcγIIAに対する親和性の増強に基づいて選択し、それらのADCC活性に関して試験した。図24AおよびBは、試験したFc変異体が、20ng/mlを上回るオプソニン化濃度で、野生型抗体に比べてADCC活性の増強を濃度依存的に示すことを示している。そのデータは、FcγRIIIAに対する親和性の増加を伴うことが確認されたFc突然変異体はまたADCC活性の増強も示す可能性があることを示している。
7.9 インビボ腫瘍モデルにおけるFc突然変異体媒介腫瘍増殖制御
FcγIIIAおよび/またはFcγIIAに対する親和性の増強を伴うことが確認されたFc突然変異を、インビボ腫瘍モデル系を用いて、腫瘍制御の相対的効力に関してさらに解析した。
材料および方法
マウス異種移植系において、Fc変異体を有する抗体を抗腫瘍活性に関して試験した。Balbc/ヌードマウスに5×106のDaudi細胞を皮下注射し、その後、疾病の一般的徴候、例えば、体重増加/減少および身づくろい行動についてモニタリングする。処置を行わなかった場合、このモデル系は死亡率が100%になり、平均生存期間は腫瘍細胞接種後およそ2週間である。処置は、野生型抗体または変異型Fc領域を含む抗体の週1回の間隔での投与からなる。同じ間隔でバッファ単独を投与する動物を対照とする。皮下腫瘍の推定容積に基づき、式(幅2×長さ)/2に従って腫瘍重量を計算する。
結果
週1回の間隔で、Daudi細胞を接種したマウスに、野生型ヒト化2B6(「h2B6」)、突然変異体FcMG0088(F243L、R292P、Y300L、V305I P396L)を含むヒト化2B6(「h2B6 0088」)またはバッファ単独を与えた。野生型およびFc変異型のh2B6抗体は、試験した最大用量計画である週用量25μgで同様のレベルの腫瘍抑制を示した(図25AおよびB)。しかしながら、用量を減じた場合には抗体効力に有意差が認められた。野生型h2B6用量を100分の1および10分の1に減じた場合にもたらされた腫瘍抑制はバッファ単独で投与した場合を上回ることはなかった(図42A)。これに対して、h2B6 0088は週用量2.5μgで有意な防御をもたらし、週用量0.25μgで少なくとも限定された防御をもたらした(図25B)。
Fc変異型抗体の最小用量でも与えられる防御を生存比較により確認した。11週目に、0.25μg用量のh2B6 0088で処置した群では7個体のマウスのうち4個体が生残したのに対し、同用量の野生型h2B6で処置した群で生残したのは7個体のうち1個体だけであった(図26AおよびB)。
7.10 ヒトFc受容体発現トランスジェニックマウス腫瘍モデルにおけるFc変異体により媒介される腫瘍増殖抑制
FcγIIIAおよび/またはFcγIIAに対する親和性の増強を伴うことが確認されたFc突然変異を、インビボ異種移植ヒトFc受容体トランスジェニックマウス腫瘍モデル系を用いて、腫瘍抑制の相対的効力に関してさらに解析した。
材料および方法
マウスFcγIIIA(CD16)がそのヒト相同分子種、CD16A(huCD16A)と置き換えられているマウス異種移植系において、Fc突然変異を有する、ヒトCD32Bに対するヒト化抗体(h2B6)またはHER2/neuに対するヒト化抗体(h4D5)を抗腫瘍活性に関して試験した。免疫不全マウスに5×106腫瘍細胞を注射し、その後、疾病の一般的徴候、例えば、体重増加/減少および身づくろい行動についてモニタリングした。処置は、1日1回または週1回の間隔で(記載のとおり)投与される野生型抗体または変異型Fc領域を含む抗体の投与からなる。同じ間隔でバッファ単独または突然変異N297Q(この突然変異はどのFcγRとの結合も無効にする)を含む抗体が投与される動物を対照とする。皮下腫瘍の推定体積に基づき、式(幅2×長さ)/2に従って腫瘍重量を計算した。
結果
h2B6:ヒト化抗CD32BおよびFc変異体
腫瘍注射の2週間後から週1回の間隔で、Raji細胞(CD32B発現腫瘍細胞)を皮下注射したRAG1−/−C57BI/6マウスに、野生型ヒト化2B6(「h2B6」;リツキサン)、突然変異体FcMG0088(F243L、R292P、Y300L、V305I P396L)を含むヒト化2B6(「h2B6 0088」、「FcMg88」またはMGA321)またはバッファ単独を与えた。野生型およびFc変異型のh2B6抗体は、週用量250μgおよび25μgで同レベルの腫瘍増殖抑制を示した(図27)。しかしながら、用量を2.5μgに減じた場合には抗体効力に有意差が認められた。この用量では、野生型h2B6は、バッファ単独投与に比べて限定された腫瘍増殖制御をもたらし、対照的に、2.5μg用量のh2B6 0088は腫瘍進行を1週間ほど遅らせた(図27)。別の実験では、試験した低用量のFc至適化MGA321の効力は対照(PBSまたは等価用量のリツキシン(Rituxin))と同等であったが、Fc至適化h2B6抗体の最大用量(250μg)の投与は、野生型h2B6で処置したマウスおよびバッファ単独で処置したマウスに比べて有意な腫瘍増殖抑制をもたらした(図28A〜2B)。
Fc変異型抗体により付与される防御を生存比較により確認した。ヌード(FoxN1)マウスにEL4−CD32B細胞を腹腔内注射した後、0日目、1日目、2日目、3日目および6日目に、IP投与によりヒト化2B6 1.3または突然変異体31/60(P247L、D270E、N421K)を含むヒト化2B6 1.3(「h2B6 1.3 3160」)で処置した。14週目に、h2B6 1.3 3160で処置されたマウスの少なくとも90%が生存していたのに対し、同用量の野生型h2B6 1.3で処置した群では55%以下であった(図29および図30)。
同じ系でのさらなる生存実験では、マウスをIP投与によりヒト化2B6 3.5、突然変異体FcMG0088(F243L、R292P、Y300L、V305I、P396L)を含むヒト化2B6 3.5(「h2B6 3.5 0088」)、ヒト化2B6 3.5 N297Q(陰性対照)またはバッファ単独で処置した。14週目に、h2B6 3.5 0088で処置した全てのマウスが生存していたのに対し、同用量の野生型h2B6 3.5で処置した群では30%、N297Q突然変異体またはPBSで処置した群での生存は20%未満であった(図31A;0日目、1日目、2日目、3日目に処置);4μg/g体重という低い用量でも同じ結果が達成された(図31B;0日目、1日目、2日目、3日目、4日目に処置)。
mCD16−/−huCD16A+遺伝子型に加えてヒトCD32Aを有するトランスジェニックマウスにおいて、上記のEL4−CD32Bモデルを用いて、変異型Fc領域を含む抗体の防御効果をさらに試験した。野生型h2B6または陰性対照であるh2B6 3.5 N297Qによる処置では、腫瘍接種後100日目に生存率は20%に過ぎず、Fc至適化抗体であるh2B6 3.5 0088による処置では、生存率は10%増加し、接種後100日目に30%であった(図32)。
h2B6抗体による処置に対する、トランスジェニックマウスEL4−CD32B腫瘍モデルにおけるhCD16Aおよび/またはhCD32Aの発現の影響を、hCD16Aに対して陽性であるか、hCD16AとhCD32Aの両方に対して陽性であるか、またはhCD32Aに対して陽性であるヌード(FoxN1)マウス(それぞれ、mCD16−/−バックグラウンドに基づく)を用い、さらに調査した。トランスジェニックマウスにEL4−CD32B細胞を腹腔内注射した後、0日目、1日目、2日目および3日目に、野生型ヒト化2B6 3.5(「h2B6 3.5」)、突然変異体FcMG0088(F243L、R292P、Y300L、V305I、P396L)を含むヒト化2B6 3.5(「h2B6 3.5 88」)、h2B6 N297Q(「h2B6 3.5 N297Q」;陰性対照)またはバッファ単独で処置した。腫瘍接種後100日目に、h2B6 3.5 88で処置した全てのCD16A陽性マウスが生存していたのに対し、同用量の野生型h2B6 3.5または対照で処置した群では生存率は50%以下であった(図33A)。mCD16−/−huCD16A+遺伝子型に加えてヒトCD32Aを有するマウスでは、処置に関係なく、接種後100日目に生存率は25%以下であった(図33B)。hCD32Aを発現するがhCD16を発現しないマウスでは、h2B6 3.5 88で処置したFc至適化処置群のマウスだけが1ヶ月より長く生存し、接種後100日目の生存率は25%であった(図33C)。
また、マウス生存率に対する、Fc至適化抗体(h2B6 0088;「MGA321」)での処置の時間経過による影響も調査した。腫瘍注射直後のマウスへのMGA321の腹腔内注射は、単回投与または連日もしくは連週にわたる複数回投与のいずれにおいてもマウスの75%〜100%を生存させた(図34)。腫瘍を導入して1日以上経過した後に、MGA321を最初に投与した場合には、数日または数週にわたって複数回投与で投与した場合でも、最大40%の生存率を与えた(図34)。
ch4D5:キメラ抗HER2/neuおよびFc変異体
HER2/neu陽性腫瘍モデルは、ヒトCD16AまたはヒトCD16AとヒトCD32Aの両方を有し、発現したmCD16ノックアウトヌード(FoxN1)マウスへのmSKOV3細胞(HER2/neu発現卵巣腫瘍細胞)のIP注射により確立した。0時点から始め、週1回の間隔で8回、接種マウスにヒトHER2/neuに対する抗体「野生型」キメラ抗体(ch4D5)、FcMG0088(F243L、R292P、Y300L、V305I P396L)を含むch4D5(「ch4D5 0088」)、N297Qを含むch4D5(無グリコシル化陰性対照「ch4D5 N297Q」)またはバッファ単独を皮下注射した。ch4D5 0088による処置は、ヒトCD16Aに対して陽性であるトランスジェニックマウス(mCD16−/−バックグラウンドに基づく)において、またはmCD16−/−huCD16A+遺伝子型に加えてヒトCD32Aを有するトランスジェニックマウスにおいて、実験の全過程の間(10週間)腫瘍増殖を抑制した(それぞれ図35Aまたは35B)。
Fc変異型ch4D5抗体により付与される防御を生存比較により確認した。ヒトCD16Aに関してトランスジェニックであるノックアウトmCD16(mCD16−/−)ヌード(N/N)マウスにmSKOV3細胞を腹腔内注射し、その後、野生型キメラ4D5(「ch4D5」)、FcMG0088(F243L、R292P、Y300L、V305I P396L)を含むch4D5、ch4D5 N297Q(陰性対照)またはバッファ単独で処置した。腫瘍接種マウスに、100μgまたは1μgの抗体を0日目(腫瘍接種からの日数)に始め、6回のIP送達により与えた(それぞれ図36Aおよび36B)。14週目に、100μg ch4D5 0088で処置したマウスの約60%が生存していたのに対し、同用量の野生型ch4D5で処置した群では約40%、ch4D5 N297Qまたはバッファ単独で処置したマウスの生存率は10%未満であった(図36A)。1μgの用量では、野生型またはFc至適化抗体で処置したマウスの全生存期間は100μgで処置したものに比べて短縮された。しかしながら、6週目に、ch4D5 0088で処置したマウスの80%を超えるものがなお生存していたのに対し、他の処置を与えたマウスの生存率は約10%であった(図36B)。このことにより、中程度の用量のFc至適化ch4D5が生存率の向上において野生型抗体に有意な改善を与えることが確認される。
他のFc変異型のch4D5を同様の生存実験において試験した。
上記のように、突然変異体MGFc0155(F243L、R292P、Y300L)を含むキメラ4D5(「ch4D5 0155」)または突然変異体MCFc3160(P247L、D270E、N421K)を含むキメラ4D5(「ch4D5 3160」)を、野生型ch4D5、ch4D5 N297Qおよびch4D5 0088と同時に試験した。マウスに0日目(腫瘍接種)から始め、週1回の100μg抗体での腹腔内処置を8回行った。100μgの用量を与えたマウスでは、接種後130日目にch4D5 0155で処置した群の100%が生存していたのに対し、ch4D5 0088で処置したものの生存率は約85%、ch4D5 3160で処置したものについては50%であった。対照的に、野生型ch4D5を与えたマウスについては130日目にまだ生存していたのはおよそ30%に過ぎなかった。バッファ単独またはch4D5 N297Qで処置した全てのマウスが、腫瘍注射後、それぞれ14週間以内および10週間以内に死に至った(図37A)。10分の1の用量では、Fc至適化抗体は野生型ch4D5に比べて生存の向上に有効性が低かった。ch4D5 0155は、早期時点において生存の向上に最大の効果があり、18週目に、ch4D5 0155またはch4D5 0088で処置した群ではマウスの約60%が生存していたのに対し、野生型処置群については50%、ch 4D5 3160処置群については25%であった(図37B)。
別の一連の生存実験では、ヒトCD16Aに関してトランスジェニックであるか、またはヒトCD16A(「hCD16」)およびヒトCD32A(「hCD32A」)の両方に関してトランスジェニックであるノックアウトmCD16(mCD16−/−)ヌード(N/N)マウスにmSKOV3細胞を腹腔内注射し、その後、0日目に始め、野生型ch4D5、ch4D5 0088、ch4D5 N297Qまたはバッファ単独での週1回処置を8回与えた。腫瘍注射後7週目に、全てのch4D5 0088処置したhCD16陽性マウスが生存していたのに対し、Ch4D5 N297Qの生存率は約30%に過ぎず、バッファにより処置したhCD16陽性マウスについては約10%であった(図38A)。mCD16−/−huCD16A+遺伝子型に加えてヒトCD32Aを有するヌードマウスでは、8週間後にch4D5 0088により処置したマウスの50%が生存していたのに対し、ch4D5 N297Qを与えたものでは8週目の生存率は15%であり、あるいはバッファ単独を与えたものでは6週間までに全て死に至った(図38B)。
7.11 親和性比が変更されたFc変異体
上記のようにFc領域を突然変異させた免疫グロブリンを、変異体およびそれらの野生型免疫グロブリン前駆体のK
offを評価することにより、FcγRIIIおよびFcγRIIに対する親和性比が変更されたFc変異体に関してスクリーニングする。試験は、FcγRIIIのV158およびF158アイソタイプの両方を用い、また、FcγRIIBおよびFcγRIIAH131に対しても行う。結果を表27にまとめる。
これらの結果は、本発明の方法により、野生型より親和性比が大きい(すなわち、>1)Fc領域を有する分子だけでなく、野生型より親和性比が小さい(すなわち、>1)Fc領域を有する分子も生産可能であることを示す。Fc変異体の解析は、表28に示されるように、変異体Fc含有分子が様々なクラスに分類されることを示す。
7.12 親和性比の予測効力
マウスFcγRの範囲に関して親和性比の向上を示したFc変異体のFcドメインについて、それらのインビボ効力を判定するための評価を行った。このような目的で、それらのFcドメインを治療用抗体の原型に組み込み、B細胞リンパ腫の異種移植マウスモデルにおいて、また、ヒトCD16Aの低結合性対立遺伝子を発現するFcγRIIIノックアウトマウスの腫瘍モデルにおいて試験した。Fc操作の腫瘍クリアランスに及ぼす影響を、WTマウスまたはヒトFcγRトランスジェニックマウスを用いて調べた。Hu2B6は、マウスにおいて補体溶解またはアポトーシスを誘導しないが極めてFcγ依存性が高い機構により腫瘍増殖を阻害することから、この抗体をmAbモデルとして用いた(Rankin, C.T. et al. 2006 Blood 108: 2384-2391)。hu2B6はマウス(m)FcγRIIまたは他の内因性マウスタンパク質と交差反応しないため、このモデルでは移植されたCD32B陽性腫瘍細胞以外の抗体標的は存在しない(Rankin, C.T. et al. 2006 Blood 108: 2384-2391)。さらに、hu2B6はヒトCD32Bを完全に遮断するため、交絡因子としてのhu2B6 Fc領域の標的細胞との結合をなくす。このために、Fc変異体088、3160、5660、3860および0071を選択した。
Fc変異体088および3160を、16A tgマウスにおけるB細胞腫瘍の処置に関して試験する。Fc変異体088、3160、5660、3860および0071をBalb/cマウスにおけるB細胞腫瘍の処置に関して試験した。
マウス腫瘍モデル
異種移植モデル:雌無胸腺Balb/cヌード(nu/nu)マウス、8〜10週齢をTaconicから購入する。Daudi細胞(1マウス当たり5×106)をPBS+マトリゲルに懸濁させ、Balb/cヌードマウスの右脇腹に皮下注射する。腫瘍発生を、週2回カリパスを使用してモニタリングし、次式:腫瘍重量=(長さ×幅2)/2によって腫瘍重量を推定する。様々な濃度(1μg/gまたは0.1μg/g)での抗体の腹腔内(IP)注射を0日目から始め、週1回6週間行う。
EL4/CD32Bモデル:雄および雌無胸腺mFcγRIII−/−、hCD16A+ヌードマウスをMacroGenics, Inc.動物施設で飼育する。EL4/CD32B細胞(1マウス当たり1×104)をPBSに懸濁させ、0日目にIP注射する。0日目、1日目、2日目および3日目に抗体のIP注射(10μg/gまたは4μg/g)を行う。マウスの体重を週2回測定する。過度の体重増加および腹水腫瘍の徴候を示すマウスをCO2窒息により犠牲にする。この手順に従って生存率を記録した。標準偏差(ADCC、腫瘍モデル)ならびにT検定およびログランク解析(腫瘍モデル)を用いた統計的有意性の計算のために、PRISM(Graphpad Software, San Diego California)を使用してデータを解析する。
データの完全な機械論的解釈を得るために、作製したFcγのマウス(m)FcγRに対する結合特性を十分に特徴付けた。mFcγRのうち、mFcγRIIはヒトCD32Bと構造的にも機能的にも相同であるが、mFcγRIIIおよびmFcγRIVは、それぞれNK細胞および単球/マクロファージ上で発現されるヒト活性化FcγRと機能的に関連した受容体である(Nimmerjahn, F. et al. 2005 Science 310:1510-1512; Nimmerjahn, F. 2005 Immunity 23:41-51)。活性化型および阻害型FcγRに対するFcγの結合比はインビボでの抗体依存性結果を決定するのに重要であることが示されているため(Nimmerjahn, F. et al. 2005 Science 310:1510-1512; Nimmerjahn, F. 2005 Immunity 23:41-51)、突然変異体は、ヒトFcRを用いてそれらの結合特性(表29)に基づいて選択する。表29のデータは、野生型親和性に対する変化倍率として表す。
突然変異体MGFc3160(P247E/D270E/N421K)およびMGFc0088は、それぞれmFcγRIIIおよびmFcγRIVに対する結合の増大を示した。しかしながら、MGFc3160は、同時にmFcγRII結合の増大を示し、一方、MFc0088はより有利な活性化/阻害特性を示し、阻害型受容体に対する結合の増大は見られなかった。突然変異体MGFc0071(D270E/G316D/R416G)は全てのmFcγRとWT Fcγレベルの結合を示し(表29)、これを対照として含めた。
ヌードマウスにおいてDaudi細胞の皮下接種により限局性の進行的に拡大する腫瘍を作り、この増殖は1μg/g WT hu2B6の週1回の腹腔内(i.p.)注射により有意に減少する(図39A)。しかしながら、週1回の0.1μg/g用量は効果的ではない。より高い用量では、hu2B6−MGFc3160による処置はWT hu2B6による処置と変わらないが、より低い用量ではWT hu2B6の若干の改善が検出可能である。しかしながら、hu2B6−MGFc0088は、試験した全ての用量で腫瘍増殖の有意な低減をもたらし、それは、mFcγRII結合の対応する増大がないことによりそのmFcγRIV結合の増強および極めて有利な活性化/阻害比と一致した。Hu2B6−MGFc0071は、全てのmFcγRとWTレベルの結合を示し、WT hu2B6と同様な挙動を見せた(図39B)。
ヒトCD16Aトランスジェニックマウスにおける腫瘍クリアランスの増強
Fc操作mAbの活性を、ヒトCD16Aの低親和性対立遺伝子の導入遺伝子を発現するmFcγRIIIノックアウトマウスにおいてさらに解析する(Li, M. et al. 1996 J. Exp. Med. 183: 1259-1263)。これらのマウスでは、ヒトCD16A−158pheは、ヒトにおけるその細胞種特異的発現と同様に、NK細胞および単核食細胞により発現される(Perussia, B. et al. Eur. J. Immunol.21: 425-429)。マウス細胞系統EL4(Gorer, P.A. (1950) Brit. J. Canc. 4(4): 372-379)にヒトCD32Bを形質導入し、Daudi細胞の代わりに使用したが、これらのトランスジェニックマウスではその腫瘍量は少なかった。CD32B−EL4細胞をi.p.注射したノックアウトトランスジェニックマウスmFcγRIII−/−/CD16A−158phe+は、接種の8週間後に死に至った。hu2B6−WTによる処置はマウスの40%を救済したが、hu2B6−MGFc3160を与えた後には90%が生存していた(図39C)。独立した実験で、WT Fcγとして腫瘍増殖を妨げなかったhu2B6−MGFc0088の投与計画で実験期間中100%のマウス生存を示した(図39D)。従って、hu2B6−MGFc3160およびhu2B6−MGFc0088のインビボでの効力は、マウスにおいて発現されるFcγRとの結合におけるそれらの相対的な改善と一致して位置づけられる(表29)。
よって、Fc変異体の親和性比はFc変異型領域を含む分子のインビボ効力を予測し得ることが分かる。hu2B6−MGFc3160およびhu2B6−MGFc0088は両方とも、WT mAbに比べて腫瘍細胞増殖の阻害の増大を示した。MGFc3160は、mFcγRIV相互作用の向上なくmFcγRIII結合において単独の増大を示したことから、活性の増大はNK細胞および単核食細胞の両方に起因すると考えられる。一方、MGFc0088(すなわち、mFcγRIVに対する親和性が実質的に増大しているが、mFcγRIII結合特性はWTと同様であるFcγドメイン)の特性は、単核食細胞は腫瘍排除の向上に重要な細胞であるという概念と一致した。huFcγRトランスジェニックマウスでは、NK細胞および単球の両方で、mFcγRIIIをhuCD16A−158
pheで置換すると、MGFc0088に対して活性化/阻害結合比の増大をもたらした。また、hu2B6−MGFc0088によるマウス生存率のより大きな増加は、単球/マクロファージにより発現される第2の活性化受容体mFcγRIVに対する親和性の増大と相関があった(Nimmerjahn, F. et al. 2005 Immunity 23:41-51)。Fc変異体の混合ヒト/マウスFcγRIIIおよびFcγRII受容体との結合能を測定した。それらの結果(表30)は、変異体が実質的に同等にキメラ受容体と結合することを示す。
選択したFc変異体とFc受容体との結合、およびそれらの親和性比を表31に示す。
7.13 フコシル化の低下を示すHER2反応性抗体のFC変異体
上述のように、本発明の一態様は、抗体のFc領域におけるバリエーションは細胞のグリコシル化機構に干渉することができ、それによりグリコシル化(特に、フコシル化)程度の低下を示す抗体をもたらし得るという認識に関する。本発明の抗Her2抗体をフコシル化する細胞の能力に対する、Fc領域におけるそのようなバリエーションの影響を示すために、抗Her2/neu抗体ch45D4−FcMT2の一連の変異体を構築した(表32)。
抗体ch4D5−FcMT2は、配列番号45のアミノ酸配列を有する軽鎖と、配列番号46のアミノ酸配列を有する重鎖を有する。ch4D5−FcMT2は軽鎖にN65S置換を有し、その置換により脱グリコシル化された軽鎖となり、重鎖にL235V、F243L、R292P、Y300LおよびP396Lの置換(全てKabatに従って符番)がもたらされる。この抗体は、CD16A(FcγRIII−A)と結合し、CD16−158Pheとの結合はCD16−158Valとの結合よりも比例して大きくなるように増強されるが、CD32B(FcγRII−B)との結合の低減を示す。ch4D5−FcMT2軽鎖および重鎖をコードするポリヌクレオチドは、それぞれ配列番号47および48で示される。
表32は、示されたFcバリエーションを有する抗体についての野生型K
off/突然変異体K
off比を示す。抗体ch45D4−FcMT2についての結果を表32の網掛けした行に太字で示す(n.bは結合なし;n.d.は検出可能な結合なし)。
さらなる比較のために、表3は、示されたFcバリエーションを有するCh4D5抗CD20(リツキシマブ)抗体についての野生型Koff/変異型Koff比を示している(Stavenhagen, J. B. et al. (2007)“Fc Optimization of Therapeutic Antyibodies Enhances Their Ability to Kill Tumor Cells In vitro and Controls Tumor Expansion In vivo via Low-Affinity Activating Fcγ Receptors,”Cancer Res. 67(18): 8882-8890参照)。
表3および表32から明らかなように、L234またはL235位における置換を、特に、F243、R292、Y300、V305およびP396位の任意の1以上における置換と組み合わせて含むFc変異体を有する抗体は、FcγRIIIに対するFc結合の変更(例えば、活性化受容体(例えば、CD16A、CD32A)との結合の向上およびCD32Bとの結合の低下)を示す。
抗体ch45D4−FcMT2のグリコシル化を、MAb中性単糖類分析(3時間加水分解)(GLY−2−2−4グリコシル化を調べるため)を用いて、また、「水性クロマトグラフィー分離を用いた中性オリゴ糖のN結合型オリゴ糖プロファイリング」(GLY−12−3−2グリコシル化を調べるため)により調べた。この結果を図40のパネルA〜Dに示す。図40パネルAは、抗体参照パネルを用いて測定した際のN結合型オリゴ糖の割当てを示す。図40から明らかなように、抗体ch45D4−FcMT2について観察されたグリカンピーク(パネルBおよびC)は、パネルAに示されるグリカンのいずれにも対応しない。それらのグリカンは、添加した既知グリカンの存在下で抗体ch45D4−FcMT2グリカンのクロマトグラフィー分析を行い、図40パネルBおよびCに示されるピークのいずれかのピークサイズの増大を引き起こす既知グリカンを同定することにより容易に同定される。
抗体の単糖類コンピューター分析を表33に示すが、単糖類(the monosacchrides)フコース(Fuc)、N−アセチルガラクトース(GALNAc)、N−アセチルグルコース(GlcNAc)、ガラクトース(Gal)およびマンノース(Man)に関して単糖類/抗体のpmol/注射およびmol/molを示す。表9では、BLQは単糖類の濃度が定量限界を下回ったことを示す。この分析により確認された極めて高いレベルのマンノースは、マノシル化(manosylation)程度の上昇が本発明の変異型Fc領域を有する抗体の治療効力(例えば、変異型K
off/野生型K
off比により測定される)を増強することを示す。
7.14 フコシル化の低下と関連するFCバリエーションの部位
IgG Fc領域のフコシル化に対する、234、235、243、292、300および396位におけるバリエーションの、単独でまたは相互に組み合わせての影響を評価するために、一連のFc変異体を、IgG ch4D5(キメラ抗Her2/neu)、h2B6 3.5(抗FcγRIIB;US2008/0044417参照)、ch2.4G2(ラット抗マウスFcγRII−III;Kurlander et al. (1984) “The Blockade Of Fc Receptor-Mediated Clearance Of Immune Complexes In Vivo By A Monoclonal Antibody (2.4G2) Directed Against Fc Receptors On Murine Leukocytes,” J. Immunol. 133(2): 855-862; Unkeless, J. C. (1979) “Characterization of a Mooclonal Antibody Directed Against Mouse Macrophage and Lymphocyte Fc Receptors,” J. Exper. Med. 150:580-596;この抗体のVH鎖およびVL鎖の配列はGenbankから入手可能である(それぞれ、ACP40510およびACP40511))を用いて作製し、構築し、それぞれのグリコシル化パターンを決定した。表34は、このような抗体のFc変異体においてグリコシル化種G0F、G1F、G2F、man5、man6、man7、man8およびman9が得られたパーセンテージを示す(man(マンノース)、cpx(複合型オリゴ糖))。
表35は、表34のCH4D5 IgG FcについてのCD16AおよびCd32Bとの相対的結合(K(解離)野生型/K(解離)変異体)を示す。よって、1.0より大きい値はIgG変異体がFc受容体と野生型Fcよりも高い親和性で結合したことを示し、1.0より小さい値は、IgG変異体がFc受容体と野生型Fcよりも低い親和性で結合したことを示す。
よって、それらの結果は、243および292位に関するバリエーションが、得られたフコシル化パターンに対して、また、CD16A、CD32AおよびCD32Bに対するFc結合親和性に対して明らかな影響を与えたことを示す(図43〜48)。図43〜48では、単一y軸を維持するために、観察されたman5もしくはman6グリコシル化パターンの割合(%man56)または観察されたman7、man8もしくはman9グリコシル化パターンの割合(%man789)を10で割って示している。従って、例えば、%man56グリコシル化パターンに関するこれらの図での報告値4.0は、変異体のグリコシル化付加物の40%がman5またはman6のいずれかであったことを示す。同様に、マンノースの全割合(%総man)および複合型オリゴ糖の全割合(%総cpx)の値も10で割って示している。
図43は、四重変異体(F243X、R292P、Y300L、P396L)のF243位で置換される残基の属性の変化についての、その変異体の観察されたグリコシル化特性に対する影響およびFc変異体とFc受容体との相対的結合(K(解離)野生型/K(解離)変異型)に対する影響を示す。この図は、野生型に対してグリコシル化の変化およびCD16Aに対する親和性の増大を引き起こすには、243位における改変だけで十分であることを示す。F243Lは、特に、CD16Aに対する親和性を野生型Fcよりも増大させることが可能であった。
図44は、四重変異体(F243L、R292X、Y300L、P396L)のR292位で置換される残基の属性の変化についての、その変異体の観察されたグリコシル化特性に対する影響およびFc受容体とFc変異体との相対的結合(K(解離)野生型/K(解離)変異型)に対する影響を示す。この図は、野生型に対してグリコシル化の変化およびCD16Aに対する親和性の増大を引き起こすには、292位における改変だけで十分であることを示す。R292Pは、特に、CD16Aに対する親和性を野生型Fcよりも増大させることが可能であった。
図45は、F243C Fc変異体のR292、Y300およびP396位で置換される残基の属性の漸進的変化についての、その変異体の観察されたグリコシル化特性に対する影響およびFc受容体とFc変異体との相対的結合(K(解離)野生型/K(解離)変異型)に対する影響を示す。この図は、これらの部位における漸進的改変がCD16Aに対する親和性を野生型Fcよりも相乗的に増強することを示す。
図46は、F243L Fc変異体のR292、Y300およびP396位で置換される残基の属性の漸進的変化についての、その変異体の観察されたグリコシル化特性に対する影響およびFc受容体とFc変異体との相対的結合(K(解離)野生型/K(解離)変異型)に対する影響を示す。この図は、これらの部位における漸進的改変がCD16Aに対する親和性を野生型Fcよりも相乗的に増強することを示し、四重変異体F243L、R292P、Y300L、P396Lは相対的CD16A結合親和性において最大の増大を示している。
図47は、F243R四重変異体のR292、Y300およびP396位で置換される残基の属性の漸進的変化についての、その変異体の観察されたグリコシル化特性に対する影響およびFc受容体とFc変異体との相対的結合(K(解離)野生型/K(解離)変異型)に対する影響を示す。この図は、Y300またはY396位における改変がF243R変異体のCD16Aに対する親和性を野生型Fcよりも相乗的に増強することを示す。
図48は、四重変異体(F243V、R292X、Y300X、P396X)のR292、Y300およびP396位で置換される残基の属性の漸進的変化についての、その変異体の観察されたグリコシル化特性に対する影響およびFc受容体とFc変異体との相対的結合(K(解離)野生型/K(解離)変異型)に対する影響を示す。この図は、これらの部位における漸進的改変がCD16Aに対する親和性を野生型Fcよりも相乗的に増大させることを示し、四重変異体F243V、R292P、Y300L、P396Lは相対的CD16A結合親和性において最大の増大を示している。
本明細書に記載される全ての刊行物および特許は、個々の刊行物または特許出願が参照によりその全内容が組み入れられると具体的にかつ個別に示される場合と同様に、参照により本明細書に組み入れられる。本発明をその特定の実施形態に関して記載してきたが、さらなる改変が可能であり、本出願は、本発明の原理に一般的に従いかつ本発明が属する技術分野で公知または慣例の実施の範囲内に入り、また、以上に示した本質的特徴に当てはまり得る限り、本開示からの逸脱を含む本発明のいずれの変形形態、使用または適合も包含することを意図するものであることが理解されるであろう。
本発明をその特定の実施形態に関して記載してきたが、さらなる改変が可能であり、本出願は、本発明の原理に一般的に従いかつ本発明が属する技術分野で公知または慣例の実施の範囲内に入り、また、以上に示した本質的特徴に当てはまり得る限り、本開示からの逸脱を含む本発明のいずれの変形形態、使用または適合も包含することを意図するものであることが理解されるであろう。