JP2014016459A - 積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】透明基体上にルチル型酸化チタンから主としてなる酸化チタン層が形成された積層体であって、可視光の吸収およびヘイズの発生が十分に抑制された積層体を製造するための積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】積層体の製造方法は、成膜工程と熱処理工程とを有する。成膜工程は、透明基体上に、膜密度が4.2〜4.4g/cm3または波長550nmにおける消衰係数が0.2〜0.6である亜酸化チタン層をスパッタリング法によって成膜する。熱処理工程は、亜酸化チタン層が形成された透明基体を600〜700℃で熱処理して、ルチル型酸化チタンから主としてなり、波長500nmにおける吸収率が1%以下、かつヘイズ値が1%以下である酸化チタン層を得る。
【選択図】なし
【解決手段】積層体の製造方法は、成膜工程と熱処理工程とを有する。成膜工程は、透明基体上に、膜密度が4.2〜4.4g/cm3または波長550nmにおける消衰係数が0.2〜0.6である亜酸化チタン層をスパッタリング法によって成膜する。熱処理工程は、亜酸化チタン層が形成された透明基体を600〜700℃で熱処理して、ルチル型酸化チタンから主としてなり、波長500nmにおける吸収率が1%以下、かつヘイズ値が1%以下である酸化チタン層を得る。
【選択図】なし
Description
本発明は、ルチル型酸化チタンから主としてなる酸化チタン層を有する積層体を製造するための積層体の製造方法に関する。
ディスプレイや開口部材を高機能化するために、例えばディスプレイの表示画面や開口部材の開口面に光学コーティングが設けられる。光学コーティングとしては、例えば、写り込みを低減するための反射防止膜、室内等の温度上昇を防止するための赤外線反射膜が挙げられる。反射防止膜、赤外線反射膜等の光学コーティングとしては、例えば、高屈折率誘電体層と低屈折率誘電体層とが交互に積層された誘電体多層膜が挙げられる。
誘電体多層膜は、高屈折率誘電体層と低屈折率誘電体層との屈折率差が大きいほど、全体の層数および厚みを低減でき、設計の自由度を大きくできるとともに生産性を良好にでき、光学特性も向上できる。このため高屈折率誘電体層を構成する高屈折率誘電材料として、これまで以上に高屈折率を有するものが必要とされている。
高屈折率誘電体としては、例えば、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化チタン、窒化ケイ素等が挙げられ、これらのなかでも高屈折率を有するものとして酸化チタンが挙げられる。低屈折率誘電体としては、フッ化マグネシウム、酸化ケイ素等が挙げられ、これらのなかでも耐熱性の良好な材料として酸化ケイ素が挙げられる。
酸化チタンは、結晶構造によって屈折率が異なり、例えば、波長550nmでの屈折率で、アモルファス状態の屈折率は2.2〜2.32、アナターゼ型の屈折率は2.53、ルチル型の屈折率は2.66である。光学特性を向上させる観点からは、高い屈折率が得られるルチル型が好ましい。従来、ルチル型酸化チタンを得る方法として、900℃以上の高温で熱処理する方法が知られているが、可視光の吸収やヘイズの発生を抑制しつつ、ルチル型酸化チタンを得ることは必ずしも容易でなかった。
例えば、石英基板上に反応性DCスパッタによってアモルファス状態の酸化チタン層を形成した後、900℃以上で熱処理してルチル型酸化チタンを含む酸化チタン層を得ることが知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかしながら、このような酸化チタン層については、可視光の吸収が必ずしも十分に抑制されておらず、また屈折率も必ずしも十分に大きくない。
また、石英基板上にDCスパッタによってチタン層を形成した後、高温で熱処理してルチル型酸化チタンを含む酸化チタン層を得ることが知られている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、このような酸化チタン層については、屈折率が必ずしも十分に大きくなく、可視光の吸収も必ずしも十分に抑制されていない。
さらに、基板を347℃に加熱し、プラズマ発光モニター(PEM)の制御により亜酸化チタン(TiO2−x)層を成膜し、800℃程度で熱処理を行ってルチル型酸化チタンを含む酸化チタン層を得ることが知られている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、可視光の吸収については必ずしも明らかでなく、またヘイズの抑制についても必ずしも明らかでない。また、酸化チタン層の厚さが200〜1000nmと大きく、誘電体多層膜に使用するには厚すぎる。
また、亜酸化チタン(TiO2−x)を原料に用いた電子線蒸着法によって、基板を200〜450℃に加熱しながら蒸着を行うことで、ルチル型酸化チタンを含む酸化チタン層を得ることが知られている(例えば、特許文献6参照)。しかしながら、可視光の吸収については必ずしも明らかでなく、ヘイズの抑制についても必ずしも明らかでない。
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本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、比較的低温での熱処理により、ルチル型酸化チタンから主としてなる酸化チタン層が形成された積層体であって、可視光の吸収およびヘイズの発生が抑制された積層体を製造できる積層体の製造方法の提供を目的とする。
本発明の積層体の製造方法は、成膜工程と熱処理工程とを有する。成膜工程は、透明基体上に、膜密度が4.2〜4.4g/cm3または波長550nmにおける消衰係数が0.2〜0.6である亜酸化チタン層をスパッタリング法によって成膜する。また、熱処理工程は、亜酸化チタン層が形成された透明基体を550〜750℃で熱処理して、ルチル型酸化チタンから主としてなり、波長500nmにおける吸収率が1%以下、かつヘイズ値が1%以下である酸化チタン層を得る。
本発明の積層体の製造方法によれば、比較的低温での熱処理により、ルチル型酸化チタンから主としてなる酸化チタン層を有する積層体であって、可視光の吸収が小さく、かつヘイズの発生が抑制された積層体を製造できる。
以下、本発明の積層体の製造方法の実施形態について説明する。
実施形態の積層体の製造方法は、成膜工程と熱処理工程とを有する。成膜工程は、透明基体上に、膜密度が4.2〜4.4g/cm3または波長550nmにおける消衰係数が0.2〜0.6である亜酸化チタン層をスパッタリング法によって成膜する。ここで、亜酸化チタンは、酸素欠陥を有するものであれば必ずしも制限されないが、一般式:TiO2−x(xは0<x≦1を満たす実数である)で表されるものが好ましい。
実施形態の積層体の製造方法は、成膜工程と熱処理工程とを有する。成膜工程は、透明基体上に、膜密度が4.2〜4.4g/cm3または波長550nmにおける消衰係数が0.2〜0.6である亜酸化チタン層をスパッタリング法によって成膜する。ここで、亜酸化チタンは、酸素欠陥を有するものであれば必ずしも制限されないが、一般式:TiO2−x(xは0<x≦1を満たす実数である)で表されるものが好ましい。
熱処理工程は、亜酸化チタン層が形成された透明基体を550〜750℃で熱処理して、ルチル型酸化チタンから主としてなり、波長500nmにおける吸収率が1%以下、かつヘイズ値が1%以下である酸化チタン層(TiO2)層を得る。ここで、ルチル型酸化チタンから主としてなるとは、酸化チタン層におけるアナターゼ型酸化チタンとルチル型酸化チタンとの合計量に対するルチル型酸化チタンの質量での割合(ルチル型酸化チタン/(アナターゼ型酸化チタン+ルチル型酸化チタン))が80%以上であることを意味する。
亜酸化チタン層を熱処理して酸化チタン層とすることで、ルチル型酸化チタンから主としてなる酸化チタン層を得ることができる。すなわち、酸化チタンの結晶構造がアナターゼ型からルチル型に相転移する際、8面体の共有する稜の組み換えが発生してより緻密な構造となる。この際、亜酸化チタンによれば、酸素空孔を有することから稜の組み換えに必要なエネルギーが少なくて済み、ルチル型への相転移が促進されると考えられる。ルチル型への相転移が促進される結果、熱処理温度を比較的低温にでき、結果として生産性を向上できる。また、亜酸化チタン層によれば、それ自体の成膜速度を大きくでき、結果として生産性を向上できる。
特に、亜酸化チタン層の膜密度または消衰係数の少なくとも一方を所定の範囲内とすることで、熱処理したときに可視光の吸収が小さく、かつヘイズの発生が抑制された酸化チタン層を得ることができる。結果として、可視光の吸収が小さく、かつヘイズの発生が抑制された積層体を得ることができる。以下、各工程について具体的に説明する。
成膜工程は、透明基体上にスパッタリング法によって亜酸化チタン層を成膜する。亜酸化チタン層は、後工程である熱処理工程によって熱処理されて酸化チタン層となるものであり、酸化チタン層の前駆体となるものである。亜酸化チタン層は、透明基体上に直接形成してもよいし、透明基体上に他の層を介して形成してもよい。この際、膜密度が4.2〜4.4g/cm3となるように、または波長550nmにおける消衰係数が0.2〜0.6となるように成膜する。
透明基体としては、特に制限されず、例えば、車両用、特に自動車用の窓ガラスや通常使用されているフロ−トガラス、またはロ−ルアウト法によって製造されたソーダライムガラス等の無機質の透明性があるガラス板を使用できる。ガラス板には、クリアガラス、高透過ガラス等の無色のもの、熱線吸収ガラス等の緑等に着色されたものともに使用できるが、可視光透過率を考慮すると、クリアガラス、高透過ガラス等の無色ガラスが好ましい。また、風冷強化ガラス、化学強化ガラス等の各種強化ガラスも使用できる。さらには、ホウケイ酸塩ガラス、低膨張ガラス、ゼロ膨張ガラス、低膨張結晶化ガラス、ゼロ膨張結晶化ガラス等の各種ガラスを用いることができる。透明基体の厚さは、必ずしも制限されないが、例えば1〜20mmが好ましい。
亜酸化チタン層の膜密度が4.2g/cm3未満の場合、熱処理工程における550〜750℃の熱処理によってルチル型酸化チタンを十分に得られないおそれがある。また、熱処理前後の相転移に基づく密度変化が大きいことから、ヘイズが発生しやすい。すなわち、膜密度が4.2g/cm3未満の場合、熱処理によって得られるルチル型酸化チタンの密度が4.3g/cm3程度であることから、熱処理前後の密度変化が大きく、ヘイズが発生しやすい。また、膜密度が4.4g/cm3を超える場合、熱処理工程における550〜750℃の熱処理によってルチル型酸化チタンを得やすくなるが、やはり熱処理前後の密度変化が大きいことからヘイズが発生しやすい。
一方、消衰係数が0.2未満の場合、酸化チタンの相転移を容易にする酸素空孔が少なく、550〜750℃の熱処理ではルチル型酸化チタンが得られないおそれがある。一方、0.6を超える場合、熱処理工程における550〜750℃の熱処理によってルチル型酸化チタンを得やすくなるが、熱処理前後の密度変化が大きいことからヘイズが発生しやすい。ここで、消衰係数は、次のように定義される。すなわち、物質が光を吸収する場合、透過光Iは、入射光強度I0、光の侵入深さZを用いて、I=I0e−αzの関係式にしたがって減衰する。このとき、単位長さあたりの減衰を示すαを吸収係数と呼ぶ。一方、光と物質の相互作用を理論的に扱う場合には、光の電磁場の振動1回あたりの吸収量が基準となる。このため、物質による光の吸収を定義する量として消衰係数kが定義されている。消衰係数k、吸収係数α、波長λの間には、k=α×λ/4πという関係がある。
消衰係数kは以下のようにして算出できる。すなわち、光学定数(屈折率及び消衰係数)が既知な基材上に形成された亜酸化チタン層の透過率および反射率を、分光光度計(例えば、日立ハイテクノロジーズ社製、商品名:U4100)を用いて測定する。続いて、解析ソフト(例えば、ジェー・エー・ウーラムジャパン株式会社、商品名:WVASE32)を用いて測定した透過率および反射率を目標値として亜酸化チタン層の屈折率nと消衰係数kを算出する。算出の際、分光エリプソメータ(例えば、ジェー・エー・ウーラムジャパン株式会社、商品名:M−2000)を用いて測定した偏光状態の変化を目標値として加えてもよい。
スパッタリング法は、膜密度が4.2〜4.4g/cm3または消衰係数が0.2〜0.6となる亜酸化チタン層が得られるものであれば必ずしも制限されないが、特にスパッタリングターゲットとして主としてチタンからなるチタン(Ti)ターゲットを用い、反応性ガスを導入して行う反応性スパッタリング法が好ましい。このような反応性スパッタリング法によれば、膜密度が4.2〜4.4g/cm3または消衰係数が0.2〜0.6である亜酸化チタン層を効率的に得ることができる。
成膜時のスパッタ圧力は、0.1〜3Paが好ましく、0.2〜0.5Paがより好ましい。反応性ガスとしては、少なくとも酸化性ガスを含有するものが用いられ、不活性ガスと酸化性ガスとの混合ガスが好適に用いられる。不活性ガスとしては、Ar、He、Ne、Kr、およびXeから選ばれる1種または2種以上を使用できる。酸化性ガスとしては、O2、O3、H2O、およびCO2から選ばれる1種または2種以上を使用できる。これらの中でも、安全性と成膜装置の保守の観点からO2が好ましい。
反応性ガス中における酸化性ガスの濃度は、不活性ガスの流量と酸化性ガスの流量との割合の調整により行うことができる。酸化性ガスの流量は、反応性ガス中、20〜100体積%が好ましく、20〜30体積%がより好ましい。
スパッタリング方式は、特に制限されず、DC(直流)スパッタリング方式、AC(交流)スパッタリング方式、高周波スパッタリング方式、マグネトロンスパッタリング方式等の各種方式を適用できる。これらの中でも、プロセスが安定しており、大面積への成膜が容易であることから、DCスパッタリング方式、ACスパッタリング方式が好ましい。
反応性スパッタリング法では、プラズマ発光モニター(Plasma Emission Monitor=PEM)により、反応性ガス、特に酸化性ガスの導入流量の制御を行うことが好ましい。プラズマ発光モニターは、原料成分とプラズマとの相互作用により生じる励起種から発生する発光光の強度を監視して、成膜室内の雰囲気を監視するものである。成膜室内の酸化性ガスの分圧、例えば酸素の分圧は分圧真空計等でも監視できるが、変動する雰囲気を監視するには応答性のより早いプラズマ発光モニターが好ましい。
プラズマ発光モニターでは、プラズマとの相互作用によって励起された原料成分の構成元素から生じる発光光の強度を監視する。すなわち、原料成分にチタン(Ti)を使用する場合、構成元素であるチタン(Ti)の発光強度(例えば、λ=500nm)をモニターすればよい。
ここで、反応性ガスを導入しないときのチタンの発光強度を100%とする。成膜室内の各所、例えば、スパッタリングターゲット、透明基体、または成膜室の構成部材等から放出されるガス量が変化することで、成膜室内の酸化性ガスの分圧、例えば酸素の分圧が変動してチタンの発光強度が変動する。従って、チタンの発光強度を監視することで、成膜室内の酸化性ガスの分圧、例えば酸素の分圧の変動を感知できる。酸化物モードでは、チタン原子の飛来量が少なくなり、成膜レートが小さくなるために、発光強度は0〜10%程度となる。発光強度が10〜100%が遷移領域であり、発光強度が所定値となるように反応性ガスの導入流量、特に酸化性ガスの導入流量を制御する。反応性ガスの導入流量、特に酸化性ガスの導入流量は、例えば、プラズマ発光モニターからの発光強度に基づいて反応性ガスの導入流量、特に酸化性ガスの導入流量を調整する制御装置により行うことができる。
具体的には、チタンの発光強度の設定値(目標値)は、30%を超えて50%未満が好ましい。30%を超えて50%未満とすることで、膜密度が4.2〜4.4g/cm3または消衰係数が0.2〜0.6である亜酸化チタン層を効率的に成膜できる。チタンの発光強度の設定値は、膜密度が4.2〜4.4g/cm3または消衰係数が0.2〜0.6である亜酸化チタン層を効率的に成膜する観点から、32%以上48%以下がより好ましく、35%以上45%以下がさらに好ましい。
成膜時の透明基体の温度は、必ずしも制限されないが、150℃以下が好ましい。ここで、透明基体の温度は成膜時間が長くなるとともに上昇するが、この場合には最も温度が高くなったときの温度が150℃以下となるようにする。150℃を超えるためには、別途加熱のための設備が必要となるため、効率的でない。透明基体の温度は、150℃以下であれば必ずしも限定されないが、ルチル型酸化チタンから主としてなる酸化チタン層を効率的に得る観点から、25℃以上が好ましく、75℃以上がより好ましい。
亜酸化チタン層の厚さは、特に制限されないが、200nm未満が好ましい。なお、厚さは、特に断らない限り幾何学的厚さとする。亜酸化チタン層の厚さを200nm未満とすることで、誘電体多層膜に好適なものとできる。また、実施形態の製造方法によれば、亜酸化チタン層の厚さが200nm未満の場合であっても、可視光の吸収が小さく、かつヘイズの発生が抑制された酸化チタン層を得ることができる。亜酸化チタン層の厚さは、180nm以下がより好ましく、150nm以下がさらに好ましい。また、亜酸化チタン層の厚さは、0.1nm以上がより好ましく、1nm以上がさらに好ましい。
熱処理工程は、亜酸化チタン層が形成された透明基体を550〜750℃で熱処理して、亜酸化チタン層の酸化チタンを相転移させ、ルチル型酸化チタンから主としてなり、波長500nmにおける吸収率が1%以下、かつヘイズ値が1%以下である酸化チタン層とする。熱処理工程は、通常、大気中で行うことができる。熱処理温度が550℃未満の場合、ルチル型酸化チタンへと十分に相転移させることができない。熱処理温度は750℃もあれば、ルチル型酸化チタンへの相転移には十分である。より好ましくは600〜700℃であり、従来の湾曲ガラスの製造工程、特に曲げ加工工程をそのまま適用できる。
ここで、ルチル型酸化チタンから主としてなるとは、既に説明したように、酸化チタン層におけるアナターゼ型酸化チタンとルチル型酸化チタンとの合計量に対するルチル型酸化チタンの質量での割合(ルチル型酸化チタン/(アナターゼ型酸化チタン+ルチル型酸化チタン))が80%以上であることを意味する。なお、一般に、亜酸化チタンを熱処理した場合、アナターゼ型酸化チタンのみを含むもの、ルチル型酸化チタンのみを含むもの、またはこれらの両方を含むもの、のいずれかが得られる。
酸化チタン層におけるルチル型酸化チタンの質量での割合は、X線回折装置による結晶構造の観察により決定される。具体的には、X線回折装置により得られた回折スペクトルにおいて、アナターゼ型酸化チタンの(101)面の回折ピークの積分強度IA、ルチル型酸化チタンの(110)面の回折ピークの積分強度IRをそれぞれ計算し、得られた積分強度から以下の式によって算出される。
R={1/(1+0.79IA/IR)}×100
R={1/(1+0.79IA/IR)}×100
酸化チタン層におけるルチル型酸化チタンの質量での割合は、酸化チタン層を高屈折率なものとする観点から、85%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましい。上記割合は、例えば、成膜工程における亜酸化チタン層の膜密度または消衰係数、同工程における透明基体の温度、熱処理工程における熱処理温度や熱処理時間によって調整できる。
熱処理時間は、亜酸化チタン層の酸化チタンを相転移させて、ルチル型酸化チタンから主としてなる酸化チタン層を得ることができれば特に制限されないが、1分以上とすることでルチル型酸化チタンへと十分に相転移させることができるために好ましい。熱処理時間は、1分以上がより好ましく、5分以上がさらに好ましい。熱処理時間は、ルチル型酸化チタンへと相転移させるには30分もあれば十分であり、これ以下とすることで生産性を良好にできる。熱処理時間は、30分以下がより好ましく、15分以下がさらに好ましい。
なお、熱処理工程は、必ずしも成膜工程毎に行う必要はない。例えば、成膜工程のみを複数回行った後、すなわち亜酸化チタン層を直接または他の層を介して間接的に複数積層した後、熱処理工程を行って複数の亜酸化チタン層をまとめて熱処理して複数の酸化チタン層としてもよい。このような方法によれば、複数の酸化チタン層を有する誘電体多層膜等を効率的に製造できる。
また、熱処理工程は、必ずしも酸化チタンの相転移を目的としたものに限られず、所定の熱処理温度となるものであって、ルチル型酸化チタンへと十分に相転移させることができるものであれば特に制限されない。例えば、熱処理工程としては、自動車用フロントガラス等の湾曲ガラスを製造する際に行われる加熱を伴う曲げ加工の加熱を利用してもよい。
自動車用フロントガラス等の湾曲ガラスは、例えば、平板ガラスに誘電体多層膜等の光学膜を形成した後、この光学膜を有する平板ガラスを切断して550℃以上の高温環境下で曲げ加工を行うことにより製造される。このような曲げ加工のための加熱を熱処理工程として利用することで、新たに熱処理工程を設ける必要がなく、従来の製造工程をそのまま適用できる。実施形態の製造方法によれば、熱処理温度が750℃以下であることから、特に曲げ加工のための加熱を好適に利用できる。
以下、実施形態の製造方法によって製造される積層体の具体例について説明する。
図1は、積層体の一実施形態を示す断面図である。
図1は、積層体の一実施形態を示す断面図である。
積層体10は、透明基体11と、この透明基体11に積層された光学膜12とを有する。光学膜12は、例えば、誘電体多層膜であって、高屈折率誘電体層121と低屈折率誘電体層122とが交互に積層された交互積層構造を有する。このうち、高屈折率誘電体層121の少なくとも一部、好ましくは全部が、実施形態の製造方法によって形成される。
光学膜12としては、例えば、車内温度の上昇を防止するための赤外線反射膜、ダッシュボードの写り込みを低減するための反射防止膜が挙げられる。
光学膜12としての赤外線反射膜は、必ずしも制限されないが、高屈折率誘電体層121と低屈折率誘電体層122とを合計した層数が5以上であるものが好ましい。高屈折率誘電体層121と低屈折率誘電体層122との合計した層数を5以上とすることで、可視光透過率や近赤外線領域における反射率を高くできる。高屈折率誘電体層121と低屈折率誘電体層122との合計した層数は、光学特性等と生産性とを両立させる観点から、13以下が好ましい。
赤外線反射膜に複数の高屈折率誘電体層121が存在する場合、少なくとも1層の高屈折率誘電体層121が実施形態の製造方法によって形成される酸化チタン層であればよいが、全ての高屈折率誘電体層121が実施形態の製造方法によって形成される酸化チタン層であることが好ましい。
高屈折率誘電体層121として実施形態の製造方法によって形成される酸化チタン層以外の誘電体膜を併用する場合、屈折率(波長550nmでの屈折率、以下同様)が1.90以上の高屈折率誘電体からなるものが好ましい。このような誘電体としては、各種の金属酸化物が挙げられる。
金属酸化物としては、スズ、亜鉛、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、およびハフニウムから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を主成分とするものが挙げられる。なお、少なくとも1層の高屈折率誘電体層121は実施形態の製造方法によって形成される酸化チタン層であり、好ましくは全ての高屈折率誘電体層121が実施形態の製造方法によって形成される酸化チタン層である。
低屈折率誘電体層122は、屈折率が1.5以下、好ましくは1.2〜1.5の低屈折率誘電体からなるものが好ましい。このような誘電体としては、例えば、酸化シリコン、フッ化マグネシウム等の低屈折率の誘電体の中から選ばれる少なくとも1種からなるものが好ましい。
高屈折率誘電体層121の厚さは、必ずしも制限されないが、90〜120nmが好ましく、90〜115nmがより好ましい。低屈折率誘電体層122の厚さは、必ずしも制限されないが、150〜190nmが好ましく、155〜185nmがより好ましい。このような厚さとすることで、可視光透過率や赤外線反射率を良好にできる。
なお、高屈折率誘電体層121が複数存在する場合において、その最上層となるものの厚さについては、5〜30nmが好ましく、6〜25nmがより好ましい。また、低屈折率誘電体層122が複数存在する場合において、その最上層となるものの厚さについては、8〜50nmが好ましく、10〜45nmがより好ましい。このようなものとすることで、表面の色調を、刺激色を帯びない中間的色調にできる。
光学膜12としての反射防止膜は、必ずしも制限されないが、高屈折率誘電体層121と低屈折率誘電体層122とを合計した層数が4以上であることが好ましい。高屈折率誘電体層121と低屈折率誘電体層122との合計した層数は、光学特性等と生産性とを両立させる観点から、10以下が好ましい。
反射防止膜に複数の高屈折率誘電体層121が存在する場合、少なくとも1層の高屈折率誘電体層121が実施形態の製造方法によって形成される酸化チタン層であればよいが、好ましくは全ての高屈折率誘電体層121が実施形態の製造方法によって形成される酸化チタン層である。反射防止膜における実施形態の製造方法によって形成される酸化チタン層以外の高屈折率誘電体層121、低屈折率誘電体層122は、赤外線反射膜の場合と同様の構成材料から構成できる。
反射防止膜における高屈折率誘電体層121の厚さは、必ずしも制限されないが、80〜120nmが好ましく、90〜110nmがより好ましい。反射防止膜における低屈折率誘電体層122の厚さは、必ずしも制限されないが、80〜120nmが好ましく、90〜110nmがより好ましい。なお、高屈折率誘電体層121が複数存在する場合において、その最下層となるものの厚さについては、5〜30nmが好ましく、6〜25nmがより好ましい。また、低屈折率誘電体層122が複数存在する場合において、その最上層となるものの厚さについては、10〜50nmが好ましく、15〜45nmがより好ましい。
光学膜12としての赤外線反射膜としては、必ずしも誘電体多層膜からなる赤外線反射膜に限られず、例えば、酸化物層と金属層とを交互に積層するものであってもよい。酸化物層と金属層との合計した層数は、3以上が好ましい。また、酸化物層と金属層との合計した層数は、9以下が好ましい。
酸化物層と金属層とを有するものについては、酸化物層が実施形態の製造方法によって形成される酸化チタン層である。複数の酸化物層が存在する場合、少なくとも1層の酸化物層が実施形態の製造方法によって形成される酸化チタン層であればよく、全ての酸化物層が実施形態の製造方法によって形成される酸化チタン層であってもよい。
酸化物層として実施形態の製造方法によって形成される酸化チタン層以外の酸化物膜を併用する場合、屈折率が1.90以上の高屈折率材料からなる酸化物層が好ましい。このような酸化物層としては、各種の金属酸化物が挙げられる。
金属酸化物としては、スズ、亜鉛、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、インジウム、およびハフニウムから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を主成分とするものが挙げられる。一方、金属層を構成する金属は、銀を主成分とするものであり、銀のみからなるもの、または銀を主成分とする合金からなるものとすることができる。金属層における銀以外の構成成分は、例えばパラジウム、金、銅等であり、これら銀以外の構成成分の含有量は合計で0.3〜10原子%が好ましい。
酸化物層や金属層の厚さは、全体の層数や各層の構成材料によっても異なるが、例えば各酸化物層は5〜100nmが好ましく、各金属層は5〜20nmが好ましく、全ての酸化物層と金属層とを合わせた全体の厚さは50〜400nmが好ましく、150〜300nmが好ましい。
図2は、積層体10の使用例を示したものであり、車両用、特に自動車用フロントガラスとしての赤外線反射膜を有する合わせガラスへの使用例を示したものである。合わせガラス30は、積層体10の光学膜12側にポリビニルブチラール(PVB)等の中間膜13を介して他の透明基体14が貼り合わされている。積層体10は、光学膜12として赤外線反射膜を有しており、例えば、光学膜12側が凹状となるような湾曲形状とされ、光学膜12側が車内側となるように設けられる。他の透明基体14としては、積層体10の透明基体11と同様のものを使用できる。
このような合わせガラス30は、例えば、以下のようにして製造できる。
まず、平板状の透明基体11上に高屈折率誘電体層121と低屈折率誘電体層122とを交互に積層して光学膜12を成膜する。この際、複数の高屈折率誘電体層121の少なくとも一部、好ましくは全部については、実施形態の製造方法における成膜工程を行って、膜密度が4.2〜4.4g/cm3または消衰係数が0.2〜0.6である亜酸化チタン層を成膜する。また、その他の高屈折率誘電体層121と低屈折率誘電体層122とについては、公知の製造方法により製造できる。以下、この光学膜12が形成された透明基体11を積層体前駆体10と記す。
まず、平板状の透明基体11上に高屈折率誘電体層121と低屈折率誘電体層122とを交互に積層して光学膜12を成膜する。この際、複数の高屈折率誘電体層121の少なくとも一部、好ましくは全部については、実施形態の製造方法における成膜工程を行って、膜密度が4.2〜4.4g/cm3または消衰係数が0.2〜0.6である亜酸化チタン層を成膜する。また、その他の高屈折率誘電体層121と低屈折率誘電体層122とについては、公知の製造方法により製造できる。以下、この光学膜12が形成された透明基体11を積層体前駆体10と記す。
その後、積層体前駆体10の光学膜12上に離型剤を塗布し、この上に他の湾曲していない平板状の透明基体14を重ね合わせた後、全体を曲げ加工用の成形型上に載置する。成形型は、例えば積層体前駆体10の周縁部を下側から支持する形状を有する。この状態では、積層体前駆体10および他の透明基体14は、いずれも湾曲していない平板状となっている。
次いで、積層体用前駆体10および他の透明基体14の周縁部を成形型によって下側から支持した状態で550℃以上に加熱して軟化させ、積層体用前駆体10および他の透明基体14を自重曲げにより曲げ加工する。なお、自重曲げによる曲げ加工の代わりに、プレス曲げによる曲げ加工を行ってもよい。この結果、積層体用前駆体10および他の透明基体14は、製品形状と同様な湾曲形状となる。この際、同時に実施形態の製造方法における熱処理工程が行われて、亜酸化チタン層の酸化チタンが相転移されて、ルチル型酸化チタンから主としてなる酸化チタン層が得られ、結果として積層体10が得られる。その後、積層体10および他の透明基体14を冷却して分離した後、洗浄して離型剤を除去する。
離型剤の除去後、積層体10の光学膜12上に、可撓性のPVB等の中間膜13を重ね合わせ、さらに他の透明基体14を重ね合わせて、熱圧着を行う。このようにして、合わせガラス30を製造することができる。なお、積層体用前駆体10、他の透明基体14は、必ずしも両者を重ね合わせて曲げ加工を行う必要はなく、それぞれ単板で自重曲げやプレス曲げにより曲げ加工を行ってもよい。
図3は、積層体10の他の使用例を示したものであり、車両用、特に自動車用フロントガラスとしての反射防止膜を有する合わせガラスを示したものである。合わせガラス30は、積層体10の透明基体11側にPVB等の中間膜13を介して他の透明基体14が貼り合わされている。積層体10は、光学膜12として反射防止膜を有しており、例えば、光学膜12側が凹状となるような湾曲形状とされ、光学膜12側が車内側となるように設けられる。このような合わせガラス30についても、基本的に上記した赤外線反射膜を有する合わせガラス30の製造方法と同様にして曲げ加工を行って製造できる。
以上、実施形態の製造方法について説明したが、実施形態の製造方法によって製造される積層体としては、必ずしも透明基体上に複数の酸化チタン層が設けられるものに制限されず、透明基体上に単数の酸化チタン層が設けられるものであってもよい。また、実施形態の製造方法によって製造される積層体としては、必ずしも自動車用フロントガラスに限られず、自動車用サイドガラスまたはリアガラスであってもよいし、鉄道車両用、さらには、航空機用、建築用であってもよい。さらには、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等のフラットディスプレイにおける前面板等であってもよい。
次に、本発明の具体的な実施例およびその評価結果について述べる。
なお、以下の説明は本発明を限定するものではく、本発明の趣旨に沿った形での改変が可能である。
なお、以下の説明は本発明を限定するものではく、本発明の趣旨に沿った形での改変が可能である。
(実施例1)
スパッタリングターゲットとしてチタンからなるチタンターゲット、電源として交流電源、透明基体としてソーダライムガラス(100mm×100mm×2mmt)を用いた。そして、成膜装置の真空槽内を真空ポンプによって1×10−5Pa以下となるまで排気した。その後、スパッタガスとしてアルゴンガスと酸素ガスとを導入し、チタンターゲットに1.7kW/mの交流電圧を印加して亜酸化チタン層を成膜した(成膜工程)。
スパッタリングターゲットとしてチタンからなるチタンターゲット、電源として交流電源、透明基体としてソーダライムガラス(100mm×100mm×2mmt)を用いた。そして、成膜装置の真空槽内を真空ポンプによって1×10−5Pa以下となるまで排気した。その後、スパッタガスとしてアルゴンガスと酸素ガスとを導入し、チタンターゲットに1.7kW/mの交流電圧を印加して亜酸化チタン層を成膜した(成膜工程)。
なお、アルゴンガスの導入量は1000sccmとした。また、酸素ガスの導入流量は、プラズマ発光モニター(フォンアルデンヌ社製、商品名:PEM05)によりチタンの発光強度を監視して行うものとし、チタンの発光強度の設定値(PEM SET)を40%として制御を行った。このときの酸素ガスの導入量は213sccmであった。また、亜酸化チタン層の厚さは100nmとした。
さらに、亜酸化チタン層が形成された透明基体に対して、大気中、700℃で17分の熱処理を行って、透明基体上に酸化チタン層を有する積層体を得た(熱処理工程)。
(比較例1)
チタンの発光強度の設定値(PEM SET)を30%として酸素ガスの導入流量の制御を行った以外は実施例1と同様にして透明基体上に亜酸化チタン層を成膜し、さらに熱処理を行って透明基体上に酸化チタン層を有する積層体を得た。なお、成膜時の酸素ガスの導入量は180sccmであった。
チタンの発光強度の設定値(PEM SET)を30%として酸素ガスの導入流量の制御を行った以外は実施例1と同様にして透明基体上に亜酸化チタン層を成膜し、さらに熱処理を行って透明基体上に酸化チタン層を有する積層体を得た。なお、成膜時の酸素ガスの導入量は180sccmであった。
(比較例2)
チタンの発光強度の設定値(PEM SET)を50%として酸素ガスの導入流量の制御を行った以外は実施例1と同様にして透明基体上に亜酸化チタン層を成膜し、さらに熱処理を行って透明基体上に酸化チタン層を有する積層体を得た。なお、成膜時の酸素ガスの導入量は222sccmであった。
チタンの発光強度の設定値(PEM SET)を50%として酸素ガスの導入流量の制御を行った以外は実施例1と同様にして透明基体上に亜酸化チタン層を成膜し、さらに熱処理を行って透明基体上に酸化チタン層を有する積層体を得た。なお、成膜時の酸素ガスの導入量は222sccmであった。
実施例1、比較例1、2の製造方法において、成膜後の亜酸化チタン層の膜密度および消衰係数、ならびに熱処理後の酸化チタン層の結晶構造を以下に示すようにして評価した。また、熱処理後の積層体の可視光吸収率およびヘイズを以下に示すようにして評価した。結果を表1に示す。
(膜密度)
成膜工程後の亜酸化チタン層について、X線反射率分析(XRR)により膜密度の測定を行った。測定は、対陰極:Cu、出力:50kV−300mA、走査速度:0.2deg/min、ステップ幅0.001deg、測定範囲0.40〜2.00degの条件で行った。
成膜工程後の亜酸化チタン層について、X線反射率分析(XRR)により膜密度の測定を行った。測定は、対陰極:Cu、出力:50kV−300mA、走査速度:0.2deg/min、ステップ幅0.001deg、測定範囲0.40〜2.00degの条件で行った。
(消衰係数)
透明基体上に形成された亜酸化チタン層の透過率および反射率を分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、商品名:U4100)を用いて測定した。続いて、解析ソフト(ジェー・エー・ウーラムジャパン株式会社、商品名:WVASE32)を用いて測定した透過率および反射率を目標値として亜酸化チタン層の消衰係数kを算出した。
透明基体上に形成された亜酸化チタン層の透過率および反射率を分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、商品名:U4100)を用いて測定した。続いて、解析ソフト(ジェー・エー・ウーラムジャパン株式会社、商品名:WVASE32)を用いて測定した透過率および反射率を目標値として亜酸化チタン層の消衰係数kを算出した。
(結晶構造)
成膜工程後の亜酸化チタン層について、X線回折装置(Shimazdu社製、商品名:RINT−2500)を用いて測定を行った。X線源は、管電流200mA、管電圧200V、CuKα線を使用した。入射角度ωを0.5度に固定して、20〜40度の範囲で測定した。得られた回折スペクトルについて、解析ソフト(JADE6.0)を用いて、バックグラウンドの除去、回折ピークサーチを実施し、アナターゼ型酸化チタンの(101)面の回折ピークの積分強度IA、ルチル型酸化チタンの(110)面の回折ピークの積分強度IRをそれぞれ計算した。得られた積分強度から以下の式によって質量割合を算出した。なお、表1中、「アナターゼ」はアナターゼ型酸化チタンのみからなるもの、「ルチル」はルチル型酸化チタンのみからなるものをそれぞれ示す。
R={1/(1+0.79IA/IR)}×100
成膜工程後の亜酸化チタン層について、X線回折装置(Shimazdu社製、商品名:RINT−2500)を用いて測定を行った。X線源は、管電流200mA、管電圧200V、CuKα線を使用した。入射角度ωを0.5度に固定して、20〜40度の範囲で測定した。得られた回折スペクトルについて、解析ソフト(JADE6.0)を用いて、バックグラウンドの除去、回折ピークサーチを実施し、アナターゼ型酸化チタンの(101)面の回折ピークの積分強度IA、ルチル型酸化チタンの(110)面の回折ピークの積分強度IRをそれぞれ計算した。得られた積分強度から以下の式によって質量割合を算出した。なお、表1中、「アナターゼ」はアナターゼ型酸化チタンのみからなるもの、「ルチル」はルチル型酸化チタンのみからなるものをそれぞれ示す。
R={1/(1+0.79IA/IR)}×100
(可視光吸収率)
熱処理工程後の積層体における酸化チタン層について、分光光度計(Shimazdu社製、商品名:UV−3100PC)を用いて分光透過率、分光反射率を測定し、波長500nmにおける吸収率を求めた。なお、比較例1、2については、ヘイズ値の測定結果が高いことから測定を行わなかった。
熱処理工程後の積層体における酸化チタン層について、分光光度計(Shimazdu社製、商品名:UV−3100PC)を用いて分光透過率、分光反射率を測定し、波長500nmにおける吸収率を求めた。なお、比較例1、2については、ヘイズ値の測定結果が高いことから測定を行わなかった。
(ヘイズ)
熱処理工程後の積層体における酸化チタン層について、ヘイズメータ(スガ試験機社製、商品名:HZ−2)を用いてダブルビーム方式にてヘイズ値を測定した。
熱処理工程後の積層体における酸化チタン層について、ヘイズメータ(スガ試験機社製、商品名:HZ−2)を用いてダブルビーム方式にてヘイズ値を測定した。
実施例1の製造方法のように、透明基体上に膜密度が4.2〜4.4g/cm3または波長550nmにおける消衰係数が0.2〜0.6となるようにスパッタリング法によって亜酸化チタン層を成膜することで、その後の熱処理温度を550〜750℃といった比較的低温条件でも、ルチル型酸化チタンからなり、可視光の吸収が抑制されるとともに、ヘイズの発生が抑制された酸化チタン層を得ることができる。一方、比較例1の製造方法のように、亜酸化チタン層の膜密度が4.2g/cm3未満の場合、ルチル型酸化チタンからなる酸化チタン層を得ることができない。また、比較例2の製造方法のように、亜酸化チタン層の膜密度が4.4g/cm3を超える場合、ルチル型酸化チタンからなる酸化チタン層を得ることができるが、依然としてヘイズが発生する。
10…積層体、11…透明基体、12…光学膜、13…中間膜、14…他の透明基体、30…合わせガラス、121…高屈折率誘電体膜、122…低屈折率誘電体膜、
Claims (6)
- 透明基体上に、膜密度が4.2〜4.4g/cm3または波長550nmにおける消衰係数が0.2〜0.6である亜酸化チタン層をスパッタリング法によって成膜する成膜工程と、
前記亜酸化チタン層が形成された前記透明基体を550〜750℃で熱処理して、ルチル型酸化チタンから主としてなり、波長500nmにおける吸収率が1%以下、かつヘイズ値が1%以下である酸化チタン層を得る熱処理工程と
を有することを特徴とする積層体の製造方法。 - 前記酸化チタン層の厚さが200nm未満である請求項1記載の積層体の製造方法。
- 前記亜酸化チタン層はTiO2−x(xは0<x≦1を満たす実数である)からなる請求項1または2記載の積層体の製造方法。
- 前記亜酸化チタン層の成膜は、スパッタリングターゲットとしてチタンから主としてなるチタンターゲットを用いた反応性スパッタリング法によって行われる請求項1乃至3のいずれか1項記載の積層体の製造方法。
- 前記亜酸化チタン層の成膜は、プラズマ発光モニターにより反応性ガスの導入流量の制御を行う請求項4記載の積層体の製造方法。
- 前記透明基体はソーダライムガラスである請求項1乃至5のいずれか1項記載の積層体の製造方法。
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2016181983A1 (ja) * | 2015-05-12 | 2016-11-17 | 旭硝子株式会社 | 低反射膜付き基体 |
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| JP2017187729A (ja) * | 2016-03-31 | 2017-10-12 | キヤノン株式会社 | 光学素子、光学系、撮像装置及びレンズ装置 |
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| JP2025537470A (ja) * | 2022-10-14 | 2025-11-18 | フーイャォ グラス インダストリー グループ カンパニー リミテッド | 車窓ガラスとその製造方法、並びに車両 |
-
2012
- 2012-07-09 JP JP2012153496A patent/JP2014016459A/ja active Pending
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