JP2014106254A - 偏光ビームスプリッターモジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】S偏光に対するコントラスト及び、光源の高出力化に対する耐久性を向上したプリズム型偏光ビームスプリッターを提供する。
【解決手段】プリズム型偏光ビームスプリッターの少なくともS偏光出射面に対して、ガラス偏光子又はワイヤーグリッド偏光子をオプティカル・コンタクトにより貼付する。
【選択図】図4
【解決手段】プリズム型偏光ビームスプリッターの少なくともS偏光出射面に対して、ガラス偏光子又はワイヤーグリッド偏光子をオプティカル・コンタクトにより貼付する。
【選択図】図4
Description
本発明は、優れた偏光分離性能と偏光フィルター性能とを併せ持つプリズム型偏光ビームスプリッターモジュールに関し、特に、レーザープロジェクター、レーザー干渉計あるいは光アイソレーターなど、高出力レーザーを光源として用いた光学装置での使用に適した、高出力レーザーによる劣化を受け難い、耐久性の高いプリズム型偏光ビームスプリッターモジュールに関する。
偏光ビームスプリッターとは、入射した光ビームをその偏光成分に分離させる光学素子であって、偏光分岐面においてp偏光成分を透過し、s偏光成分を反射させるものである。最も多く利用されているのは、第一のプリズムの斜面に対して偏光分離膜が形成され、該偏光分離膜に対して、第二のプリズムの斜面を接着したキューブ状プリズム型偏光ビームスプリッター(以後、プリズム型PBSと言う)である。斜面とは、直角二等辺三角柱である直角プリズムにおいて、二つの二等辺三角形の斜辺で挟まれた部分をいい、偏光分岐面となる面である。偏光分離膜とは、所定の設計波長の光が45度近傍の入射角で入射したとき、光学干渉作用によって、p偏光成分は透過しs偏光は反射するよう、偏光分岐面に形成された誘電体多層膜であって、屈折率の異なる2種類の膜が交互に積層されている。
また、プリズム型PBSにおいては、透過率が減ずるのを防止するため、入射光の入射面、p偏光の出射面及びs偏光の出射面にそれぞれ反射防止膜が形成されるのが普通である。そして、このようなプリズム型PBSは、偏光分離膜と反射防止膜の性能によって、図1に示すような偏光分離性能を示す。この例では、設計波長である600nmから650nm程度の波長の光おいて、p偏光成分が偏光分岐面に入射すると、98%程度が透過する。逆に言うと、約2%のp偏光成分は偏光分岐面で反射されてしまう。一方、s偏光成分が偏光分岐面に入射すると、約0.1%程度しか透過せず、偏光分岐面で99.9%程度が入射方向と垂直な方向に反射されるのである。入射方向に平行な方向に透過するs偏光成分は0.1%程度に過ぎないので、消光比は98/0.1≒1000に達する。一方、入射方向に垂直な方向では、s偏光の反射率は99.9%に達するもののp偏光成分の約2%が反射されるため、消光比は99.9/2≒50程度にしかならないのである。なお、消光比とはコントラストを表す指標で、より具体的には、一の偏光成分に対する他の偏光成分の割合に相当する。一の偏光成分の純度が高いほど、コントラストに優れる。性能のよいプリズム型PBSでは、p偏光透過率が高くなるよう、偏光分岐面に形成する偏光分離膜として高性能のものを用いるが、性能保証値としてのコントラストは、1000:1程度である。
近年では、レーザー光源の高出力化に対応するため、プリズム型PBSに用いられる2つのプリズムを、その斜面同士で貼付する際に、接着剤を使用せず、いわゆる光学接着(オプティカル・コンタクトとも言う)により貼付したタイプも開発されている。光学接着とは、高精度に研磨された2つの基板を、接着剤等を使わずに接合する技術である(例えば、非特許文献1及び2)。有機物である接着剤を使用しないことから、レーザー耐久性が向上するのである。
次に、偏光子について説明する。偏光子とは特定方向に変更した光以外は遮断し、偏光した光だけを通過させる偏光フィルターの機能を持った光学素子であり、自然光や円偏光や楕円偏光を直線偏光に変える光学素子として一般的である。偏光子の種類としては、結晶(方解石や水晶)の複屈折を利用して自然光を直線偏光にするプリズムがあるが、高価であるため、樹脂製の偏光子が広く用いられている。これは、ポリビニルアルコール樹脂にヨウ素を添加して引き伸ばした後、透明な保護材で挟んで積層したものであって、引き伸ばされた方向にヨウ素が配向することを利用して偏光特性が実現されるものである。
ワイヤーグリッド型の偏光子も一般的な偏光子である。フレーム内に導体のワイヤーが平行に多数形成されたもので、ワイヤーに平行な方向に振動する偏光を反射し、垂直な方向に振動する偏光を透過する偏光フィルターとして働くものである。ワイヤーは樹脂基材、樹脂フィルム、ガラス基材あるいは赤外線透過性の無機結晶材料の表面に形成される。
耐熱性やレーザー耐力に優れた偏光子として、ガラス偏光子が開発された。特許文献1や特許文献2に製造方法及び特性が開示されている。このガラス偏光子は、ガラス基材中に数10から数100nmのサイズのハロゲン化銀の粒子を析出させ、次いで、ガラス軟化点付近の温度で延伸することにより、この粒子を引き伸ばして一軸方向に配向させ、その後、水素ガスなどの還元雰囲気中で熱処理することにより、ガラス基材の表面層に一軸方向に配向した銀粒子を析出させたものである。なお、ガラス偏光子についても、透過率が減ずるのを防止するために、光の入射面及び出射面に反射防止膜が形成されるのが普通である。
プリズム型PBSと偏光子を組み合わせた使用法としては、次のような例が開示されている。特許文献3には、レーザー干渉計において、光源からの光を絞るピンホール部材と、光源からのs偏光を被検体側に反射し、基準面及び被検体からの反射光(p偏光)を干渉縞結像手段へと透過させる機能を有するプリズム型PBSの間に、偏光素子(偏光フィルター)を介装する構成が開示されている。こうすることによって、光学系からの戻り光がピンホール部材によって反射されて再び光学系にノイズとなって戻ることを防止し、干渉縞の画質を向上させることが開示されている。この構成において、偏光素子はp偏光を吸収しs偏光を透過するものであるが、その構成の一態様として、プリズム型PBSに偏光素子を固着した構成が開示されている。
特許文献4には、反射型液晶パネルに用いられるプリズム型PBSと1/4波長板とを組み合わせた構成及びプリズム型PBSと偏光板を組み合わせた構成が開示されている。これら構成は、プリズム型PBSに入射する光線と入射光軸のなす角度が大きくなったとき、投写画像のコントラストが低下するのを改善するためであって、プリズム型PBSと1/4波長板や偏光板とを組をみ合わせることにより、偏光方向の異なる光を除外することができることから、コントラストが改善されるとしている。この構成で、プリズム型PBSと1/4波長板あるいは偏光板を透明接着剤又は透明粘着剤でプリズム型PBSに固着することにより、空気との界面が減り、反射による透過光量の減少を抑えて、投写画像の明るさを向上させる効果のあることが開示されている。
株式会社光学技研, WEBページ,技術紹介
フッ酸直接接合を用いた多層膜光学素子の作製,NEW GLASS Vol.21 No.1 2006
米国コーニング社電子カタログ: PolarcorTM GlassPolarizers, Product Information, Specialty Materials, Issued August 2010
第一の課題として、プリズム型PBSの性能の基礎となる偏光分離膜の特性として、p偏光の反射率が少なくとも0.1%程度、性能の悪いものでは2%程度もある結果、s偏光のコントラストが100:1から1000:1程度にしかならない点があげられる。これは、偏光分離膜の形成に用いられる高屈折率材料と低屈折率材料の屈折率の比によって決まってしまう本質的な部分と、多層膜の成膜時における屈折率の安定性や膜厚制御性が十分ではないとき、透過率は設計での理論値よりもどうしても低くなり、反射率が高くなってしまうという生産技術的部分の両方に起因する。多くの利用分野で、プリズム型PBSによって分離されたs偏光のコントラストを高くしたいという課題が存在する。
第二の課題としては、偏光分離膜が形成された偏光分岐面への光ビームの入射角が必ずしも正確に45度近傍ではないことに起因してコントラストが悪化する点が挙げられる。例えばプロジェクターの明るさを向上させ、あるいはレーザー干渉計における検出光の光量を増大させるために、光源の光量を大きく、かつ有効に利用する必要がある。その場合、アパーチャーやスライドシャッターの開口度を大きくして、プロジェクター等に取り込む入射光量を増大させる手段が用いられることになる。しかし、このような手段では、入射光量は増大するものの、反射ミラーなどの光学素子を経由してプリズム型PBSやその他の光学素子に入射する光の中に、設定された入射角で入射する光だけでなく、設定された入射角から外れた角度で斜めに入射する光が含まれることになる。このことは、例えば45度でビームが入射するものとして設計されたプリズム型PBSの偏光分岐面に対して、例えば40度とか50度の角度で入射する光の成分が増大することを意味する。そのような場合、入射方向に対して平行な方向に透過するs偏光成分が増大し、また、入射方向に対して垂直な方向に反射するp偏光成分も増大することになり、偏光分離性能(コントラスト)が悪化してしまうのである。
第三の課題は、レーザーの高出力化への対応が必要な点である。レーザー光源は、情報・通信、超微細加工や医療分野で幅広く利用されている。そこではレーザー光の波長変換、集光・反射や増幅素子として光学材料が用いられているが、レーザー出力が大きくなるにつれて光学素子の光学材料に生じるレーザー損傷が問題となってきているのである。特許文献3及び特許文献4には、プリズム型PBSと偏光板の組み合わせが開示されているが、その構成上、偏光ビームスプリッターにも偏光板にも、あるいはそれらの接着方法についても、レーザー耐久性を向上させる手段は全く講じられていない。
本発明は主に上記した三つの課題を解決するためになされたものであって、第一の直角プリズムの斜面に偏光分離膜を形成し、該偏光分離膜に対して第二の直角プリズムをその斜面で光学接着により貼付してなるプリズム型PBSの少なくともs偏光出射面に対して、ガラス偏光子がオプティカル・コンタクトにより貼付されていることを特徴とする偏光ビームスプリッターモジュールを開示するものである。ここで、「モジュール」という意味は、あらかじめプリズム型PBSと平板型偏光子が貼付された光学素子という意味であって、通常のプリズム型PBSと同じように取り扱うことができ、そのまま光学系に組み込むことができる光学素子である。「少なくともs偏光出射面に」という意味は、前記したようにプリズム型PBSに形成される偏光分離膜の特性上、どうしてもs偏光のコントラストの方がp偏光のコントラストよりも悪いことから、少なくともs偏光のコントラストを向上させるという意味である。従って、p偏光のコントラストを改善するために、プリズム型PBSのp偏光の出射面にも平板型偏光子を貼付した偏光ビームスプリッターモジュールとすることもできる。
プリズム型PBSの少なくともにs偏光出射面にガラス偏光子を光学接着することで、従来、十分なコントラストが得られていなかったs偏光のコントラストを格段に向上させた偏光ビームスプリッターモジュールとすることができ、かつ、従来のプリズム型PBSと同様の取扱いができるのである。
ガラス偏光子を用いるのは、レーザー耐力など耐久性の点で有利であるからである。基材であるガラスが耐久性に優れ、高出力レーザーなど強い光源からの光を受けても劣化しないからである。同じ理由で、プリズム型PBSを構成する2つの直角プリズムが光学接着により貼付されているものを用い、そしてガラス偏光子もプリズム型PBSに光学接着により貼付しなければならない。プリズム型PBSとガラス偏光子の接着界面を精密研磨し、その後、微量のフッ酸や強アルカリ(例えばNaOH)を滴下しプレスすることにより貼り合せることができる。なお、本発明で用いることのできる光学接着の概要は、出願人らが参画して実施された委託研究の成果として非特許文献2に詳述されている。
プリズム型PBSに光学接着により貼付するガラス偏光子として、ガラス基材の表面層に一軸配向して分散している金属銀粒子の平均アスペクト比が1.5:1以上であって3:1以下であり、かつ平均粒子長さが30nm以上であって150nm以下となるように延伸したガラス偏光子を利用すると、プリズム型PBSの偏光分岐面を出た可視光線の赤色領域(波長が580nm−680nmの範囲)の波長に光に対して、90%以上という高い透過率と高いコントラストが実現できる。このような偏光ビームスプリッターモジュールは、高出力赤色レーザー光源を用いる光学装置用として好適である。なお、平均粒子長さが150nmを超えると、粒子散乱の影響でガラス偏光子の透過率が低下し、またアスペクト比が前記範囲外になると、可視光線の全領域の光に対してコントラストが急激に低下してしまう。これら金属銀粒子の平均アスペクト比及び平均粒子長さとして適切な範囲は、表1に示した評価結果に基づいて定めたものである。
ガラス偏光子の表面層に一軸配向して分散している金属銀粒子のアスペクト比及び粒子長さは、ガラス偏光子製造過程において、熱処理によってガラス基材中に析出させた塩化銀粒子(延伸後に還元処理される)を延伸する荷重、又は塩化銀粒子から還元された金属銀粒子を延伸する荷重の大きさによって調整することができる。強い荷重で引っ張ることによってガラス基材に強い応力が働き、塩化銀粒子や金属銀粒子が強く延伸される結果、大きなアスペクト比になる。そして、延伸時の温度や荷重を調整することにより、金属銀粒子のアスペクト比や粒子長さを必要な範囲に調整することができるのである。
表1は、ガラス偏光子の製造条件とガラス表層中に一軸配向して分散している金属銀粒子に平均アスペクト比及び平均粒子長さ、及びガラス偏光子の透過率とコントラストの関係をまとめたものである。塩化銀を含むガラスプリフォームを所定の温度で熱処理することによりガラスプリフォーム中に塩化銀粒子が析出する。その後、ガラスプリフォームを所定の粘度範囲になるまで加熱した後、延伸荷重を加えて塩化銀粒子を延伸する。そして、水素雰囲気中で還元処理すると、塩化銀粒子が金属銀粒子に還元される。還元されるのは、水素分子が侵入可能な、表面から約100μm程度の表層に限られる。このようにして金属銀が一軸配向して分散しているガラス偏光子が得られるのである。金属銀が分散している様子を透過電子顕微鏡で撮影した写真の例を図2に示す。そして、このような写真から金属銀のアスペクト比及び粒子長さを計測し、それぞれ平均値が算出された。
ガラス偏光子の透過率は分光光度計を用いて測定された。金属銀粒子の配向軸方向と直交する偏光振動面をもつ光の平均透過率TV%と金属銀粒子の配向軸方向に平行な偏光振動面をもつ光の平均透過率TP%をそれぞれ測定し、それらの比から次式に基づいて消光比を算出した。
消光比(dB)=10 × log10(TV%/TP%)
そして、表1に示した評価結果から、アスペクト比や平均粒子長さが上記した数値の範囲外になると、赤色領域で優れた透過率とコントラストとすることが困難になると判断されたのである。
消光比(dB)=10 × log10(TV%/TP%)
そして、表1に示した評価結果から、アスペクト比や平均粒子長さが上記した数値の範囲外になると、赤色領域で優れた透過率とコントラストとすることが困難になると判断されたのである。
プリズム型PBSに貼付するガラス偏光子として、ガラス基材の表面層に一軸配向して分散している金属銀粒子の平均アスペクト比が1.3:1以上であって2.6:1以下であり、かつ平均粒子長さが30nm以上であって50nm以下となるように延伸されている場合は、プリズム型PBSの偏光分岐面を出た可視光線の緑色領域(波長が500nm−600nmの範囲)の波長に光に対して、85%以上という高い透過率と高いコントラストが実現でき、緑色レーザーを用いるレーザープロジェクター等に好適な偏光ビームスプリッターモジュールとすることができる。ここで、平均粒子長さが50nmを超えると、緑色領域の波長の光に対する透過率が低下し、平均アスペクト比が前記範囲外になるとコントラストが急激に低下してしまう。この平均アスペクト比及び平均粒子長さの範囲は、前記表1に示したものと同様の評価試験を実施して定めたものである。
特許文献1や特許文献2に開示された方法に基づいて製造された従来のガラス偏光子の性能は、例えば、製造販売会社のホームページ上に電子カタログ(インフォメーション・シート)として開示されている(非特許文献3)。それによると、主として光通信用の光アイソレーターとして使用されるものであって、近赤外線の領域で優れた透過率とコントラストを有するものの、可視光線の領域では透過率が急激に低下するという課題があるため、本発明のうち、可視光線の領域で用いるガラス偏光子としては適したものとは言えない。
そこで、出願人による特許文献5や特許文献6に開示されているように、ガラス基材の表面に従来よりもアスペクト比と粒子長さの小さな金属銀粒子を一軸配向して分散させることにより、可視光線の領域で高い透過率とコントラストを示すガラス偏光子を開発した結果、このガラス偏光子を利用して、可視光線の領域で利用できる偏光ビームスプリッターモジュールが開発できたのである。
なお、プリズム型PBSに対して光学接着により貼付されたガラス偏光子において、貼付されていない側の表面に、波長選択膜のような機能膜や反射防止膜を形成することができる。波長選択膜を形成すると、出射光に含まれる不要な光を除去し、必要な波長範囲にある偏光のみを透過させることができる。反射防止膜を形成すると出射面で透過率が減ずるのを防止することができる。波長選択膜としては、バンドパスフィルターやエッジフィルターなどの光学素子に形成される光学多層膜を用いることができる。
本発明では、プリズム型PBSに貼付する偏光子として、ガラス偏光子の代わりにワイヤーグリッド偏光子も用いることができる。その場合、ワイヤーグリッドを形成する基板としてガラス又は無機結晶材料を用い、そのガラス又は無機結晶材料基材とプリズム型PBSが光学接着により貼付されている必要がある。高出力レーザーに対する耐久性を確保するためである。樹脂基材や樹脂フィルムを用いた場合には、耐熱性や耐光性に劣り、レーザー光や高出力白色光源などで黄変等の劣化が起こるためである。また、接着剤を用いた貼付では、接着剤がレーザーによって劣化するからである。
ワイヤーグリッド形成面をプリズム型PBS側に向けて、エアギャップ層を介して、プリズム型PBSに貼付することもできる。このような構造にするとレーザー光が透過する部分においては、接着剤等を用いる必要がなく、レーザー光が透過しない周辺部において貼付することができるからである。このような構成にすることによって、ワイヤーグリッドが取扱いや使用中に損傷を受けることから防止でき、かつワイヤーグリッド本来の性能を発揮させることができるという利点もある。この場合、界面における反射を減じるためには、プリズム型PBSのプリズムの出射面及びワイヤーグリッド偏光子の基材のワイヤーグリッドが形成されていない面に反射防止膜を形成するのが望ましい。
本発明は、ガラス偏光子及びワイヤーグリッド偏光子の偏光特性の角度依存性を評価した結果、入射する光線が所定の入射角から30度程度傾いた入射角であっても、偏光フィルター機能がほとんど変化しないという特性を利用している。このような偏光子をプリズム型PBSと光学接着又はエアギャップ層を介して貼付することによって、本発明の偏光ビームスプリッターモジュールを開発するに至ったものである。このような構成とすることによって、所定の角度から外れた角度で入射してきた光であっても、不要な偏光成分を除去し、コントラストを改善することができるのである。例として、ワイヤーグリッド偏光子の偏光特性の角度依存性(ワイヤーが張られた方向を軸として回転した場合の傾き)を図3に示した。ワイヤーグリッド型偏光子では、30度を超えて傾くと偏光特性がやや悪化するが、ガラス偏光子ではさらに広い角度範囲であっても、優れた偏光特性を維持されることが確認されている。
ワイヤーグリッド偏光子を、エアギャップ層を介してプリズム型PBSに貼付した場合においても、ワイヤーグリッドを形成した基板の偏光出射面に、波長選択膜又は反射防止膜を形成することができる。
本発明によれば、レーザープロジェクターやレーザー干渉計に用いられる偏光ビームスプリッター装置において、従来技術ではどうしてもコントラストと明るさを両立させることが困難であったs偏光成分について、プロジェクターの明るさや光量を犠牲にすることなくコントラストを高めることができるし、レーザー干渉計や光検出装置の検出光中に含まれるノイズを減少させることができる。一方、p偏光成分については、一般にs偏光成分よりもコントラストが高いが、さらにコントラストを高めたい場合には、p偏光出射面に対しても、平板型偏光子を貼付することによりコントラストを高めることができる。
本発明では、プリズム型PBSに貼付する偏光子として、偏光特性の角度依存性が小さいガラス偏光子又はワイヤーグリッド偏光子を利用しているので、偏光ビームスプリッターモジュールに入射する光が所定の角度から外れてしまっているような場合であっても、出射する偏光のコントラストを高く保つことができる。
本発明では、光ビームの光路中に一切の樹脂材料を含まない構成となっているので、光源が高出力レーザー光のような強い光ビームを発生させるものであっても、損傷を受けづらいという効果が期待できる。
本発明の実施形態の一例を図4に示す。ワイヤーグリッド偏光子をプリズム型PBSに光学接着した場合又はエアギャップ層を介して貼付した場合は、それぞれ図5又は図6に示した構成になる。以下、本発明について、さらに具体的に説明する。
プリズム型PBSとして、BK7プリズムガラスの斜面に、表2に示した膜構成で設計波長が633nmの偏光分離膜をコーティングし、もう一つのBK7プリズムガラスと光学接着により貼り合わせたものを用いた。設計上、p偏光透過率が約98%、s偏光反射率が99.9%以上、消光比(コントラスト)を600としたもので、その設計性能を図7に示した。光学接着は、非特許文献2に示した方法を用いて行った。
作製したプリズム型PBSに貼付する偏光子として、出願人によって特許文献7(特開2011−197465)に開示された実施例に記載の方法に基づいて作製したガラス偏光子を用いた。析出する金属銀粒子の平均サイズが75nm程度になるように、熱処理によってあらかじめ塩化銀を析出させたガラスプリフォームを、所定の条件で延伸し、その後、還元処理を施してガラス基材表層に一軸配向した金属銀粒子を分散し析出させたガラス偏光子であり、波長633nmを含む赤色領域において高い透過率と偏光フィルター機能を有するものである。この偏光子の偏光特性を図8に示した。プリズム型PBSとガラス偏光子を非特許文献2に示した方法で光学接着し、図9に示す構成の偏光ビームスプリッターモジュール(実施例1)を作製した。次いで、このモジュールを図10に示す評価用光学系のプリズム型PBSの位置にアライメントし、光強度とコントラストを測定した。
評価用光学系の光源には、波長632.8nmで最大出力25mWのHe−Neレーザーを用いた。レーザー光ビームは1/4波長板によって円偏光に変換され、全反射ミラーを介してビームエキスパンダーによって拡張された後、直径8mmのアパーチャーを通って、本発明の偏光ビームスプリッターモジュールに入射する。円偏光である入射光ビームが偏光ビームスプリッターモジュールの偏光分岐面に45度の入射角で入射する場合、プリズムの入射面に形成された反射防止膜によって光強度を維持したまま、偏光分離膜によって、s偏光は直角に反射され、プリズムに光学接着によって貼付されたガラス偏光子を透過し、さらに微調式偏光子ホルダーに搭載されたグラントムソンプリズムを通ってフォトダイオードPD2に入射し、その光量(強度)が計測される。ここで、ガラス偏光子のプリズム型PBSと接着されていない側の面には透過率を減じないために、反射防止膜が形成されている。光量の測定結果及びそれらから算出したコントラストを表3に示した。
(比較例)
(比較例)
比較例として、実施例で用いたプリズム型PBSを、偏光子を貼付することなく用いた。そして、実施例と同じ評価用光学系を用いて、PD2に入射した光量を計測し、コントラストを算出した。結果を実施例と対比して表3に示した。なお、表3中に示したmWは10−3Wであり、nWは10−9Wである。
これら実施例及び比較例の結果から、従来のプリズム型PBSでは、s偏光の強度が2.06mW、コントラストが2423:1であったのに対して、本発明の偏光ビームスプリッターモジュールでは、s偏光の強度が2.22mW、コントラストが88800:1であった。このことから、本発明の偏光ビームスプリッターモジュールを使用することにより、s偏光のコントラストが約40倍も向上すること確認された。
Claims (7)
- 第一の直角プリズムの斜面に偏光分離膜を形成し、該偏光分離膜に対して第二の直角プリズムの斜面を光学接着により貼付してなる偏光分離性能を有するキューブ状プリズム型偏光ビームスプリッターの、少なくともs偏光出射面に対して、ガラス偏光子が光学接着により貼付されていることを特徴とする偏光ビームスプリッターモジュール。
- 前記ガラス偏光子が、少なくともガラス表面層に、平均アスペクト比が1.5:1以上であって3:1以下であり、かつ平均粒子長さが30nm以上であって150nm以下となるように延伸されて一軸配向した金属銀粒子が分散して含まれてなるものであることを特徴とする請求項1に記載の偏光ビームスプリッターモジュール。
- 前記ガラス偏光子が、少なくともガラス表面層に、平均アスペクト比が1.3:1以上であって2.6:1以下であり、かつ平均粒子長さが30nm以上であって50nm以下となるように延伸されて一軸配向した金属銀粒子が分散して含まれてなるものであることを特徴とする請求項1に記載の偏光ビームスプリッターモジュール。
- 前記ガラス偏光子の光ビーム出射面に波長選択膜又は反射防止膜が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載の偏光ビームスプリッターモジュール。
- 第一の直角プリズムの斜面に偏光分離膜を形成し、該偏光分離膜に対して第二の直角プリズムの斜面を光学接着により貼付してなる偏光分離性能を有するキューブ状プリズム型偏光ビームスプリッターの、少なくともs偏光出射面に対して、ガラス又は無機結晶材料を基材としたワイヤーグリッド偏光子の該ガラス又は無機結晶材料基材が、光学接着により貼付されていることを特徴とする偏光ビームスプリッターモジュール。
- 第一の直角プリズムの斜面に偏光分離膜を形成し、該偏光分離膜に対して第二の直角プリズムの斜面を光学接着により貼付してなる偏光分離性能を有するキューブ状プリズム型偏光ビームスプリッターの、少なくともs偏光出射面に対して、ガラス又は無機結晶材料を基材としたワイヤーグリッド偏光子が、ワイヤーグリッド形成面を偏光ビームスプリッター側に向け、エアギャップ層を介して貼付されていることを特徴とする偏光ビームスプリッターモジュール。
- 前記ワイヤーグリッド偏光子の光ビーム出射面に波長選択膜又は反射防止膜が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の偏光ビームスプリッターモジュール。
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