本発明は一般的に、マイクロ構造やナノ構造の製作に用いられるフォトリソグラフィの分野に関し、具体的には、タルボ効果すなわち自己結像に基づくフォトリソグラフィの分野に関する。
リソグラフィ製作では、表面上にマイクロパターンやナノパターンを形成することができる。これをフォトリソグラフィ技術で実現するには、所望のパターンに対応した強度分布の光照射野に対して感光性表面を露光する。感光性表面は通常、フォトレジスト等の感光性材料の薄層であって、基板表面に直接コーティングされているか、又はその他材料の中間層上で間接的にコーティングされている。露光の結果として感光層に生じる化学的又は物理的な変化を後続のプロセスで利用することにより、基板の材料中又は別の材料の中間層中に所望のパターンが得られる。最も一般的なフォトリソグラフィ技術では、マスクに規定されたパターンの像が光学系により基板表面に投射される。このような従来のシステムで一般的に用いられているマスクは振幅マスクであって、そのパターンフィーチャは、透明基板上の不透明材料(通常、クロム)の層中における開口領域として規定されている。その他、位相シフトマスク(PSM)も用いられており、そのパターンフィーチャは、材料の一定の厚さ又は材料中の陥凹の深さによって規定されているため、このフィーチャ中を伝搬する光は他の伝搬光に対して位相がシフトする。その結果、像平面中で相互に干渉して、所望のパターンが形成される。投射式、接触式、近接式、又は従来のタルボリソグラフィで用いられるPSMの場合、マスクは、透過するすべての回折次数間の干渉を考慮して設計される。1次元パターンの場合、PSMでは、印刷可能な最小周期を振幅マスクに対して2倍小さくすることができる。これは主に、0次回折ビームを抑制することにより、1次回折ビームとの干渉による強度変調を除去することによって実現される。
多くの用途において、1次元又は2次元で繰り返すパターンフィーチャの単位格子を含むパターンすなわち周期パターンが必要となる。このようなパターンをマスクから基板へ転写する特殊なフォトリソグラフィ技術は、タルボ効果に基づく。マスクに規定された周期パターンに単色光の平行ビームを照射すると、透過光照射野における回折次数によって、マスクから一定の距離ごとに存在するいわゆるタルボ平面において当該パターンの「自己像」が再構成される。これら自己像間の離間距離Sは、タルボ距離として知られるが、照射波長λ及びパターンの周期pを用いて以下のように表される。
ラインとスペースから成る1次元の周期パターンの場合はk=2であるが、2次元の周期パターンの場合、kの値は、当該パターンの配列の対称性によって決まる。この式は、p>>λの場合(すなわち、1次回折次数の角度が小さいとき)は良い精度を示すが、pの大きさがλに近づくと精度が低くなる。フォトレジストでコーティングされた基板を自己像平面のいずれかに配置すると、マスクパターンがフォトレジスト中に印刷されてしまう(たとえばC.ZankeらによるLarge area patterning for photonic crystals via coherent diffraction lithography, J.Vac.Sci.Technol.B22、3352ページ(2004年)参照)。さらに、自己像平面間の中間距離においては、マスクのパターンよりも高い空間周波数を有するタルボ副像が形成され、フォトレジストでコーティングされた基板をこれら副像平面のいずれかに置くと印刷されることになる。これらの技術により得られる印刷結果は、タルボ平面又は副像平面での強度変化が高コントラストとなるようにマスクパターンのデューティサイクル(すなわち、パターンフィーチャ周期の一部としてのフィーチャ寸法)を選択することで改善される(米国特許第4,360,586号参照)。また、従来技術においては、位相シフト材料を用いてマスクの周期パターンを製作することによりタルボ像のコントラストをさらに向上可能であることも知られている。タルボ結像を用いたフォトリソグラフィは、高解像度のパターンを印刷する従来の投射型フォトリソグラフィシステムのコストを考えると、そのような高解像度の周期パターンを印刷する場合に特に有利である。
ただし、タルボ技術の大きな欠点として、マスクからの距離に対する自己像及び副像の強度分布の感度が挙げられる。すなわち、被写界深度が非常に浅い。これは、パターンを正確に印刷するために、基板をマスクに対して非常に高精度に位置決めする必要があることを意味する。これは、格子周期が小さくなるにつれてより困難となる。その理由は、自己像及び副像の被写界深度がパターン周期の2乗に比例するためである。さらに、それほど平坦ではない基板表面、高レリーフの微細パターンが既に存在する表面、又はフォトレジスト厚層中へのパターンの印刷が必要な場合には、所望の結果が得られない場合もある。
近年、高解像度の周期パターンを低コストで印刷する新たな方法として、収色性タルボリソグラフィ(ATL:Achromatic Talbot Lithography)が導入されている(H.H.Solakらによる"Achromatic Spatial Frequency Multiplication:A Method for Production of Nanometer-Scale Periodic Structures", J.Vac.Sci.Technol. 第23巻、2705ページ〜2710ページ(2005年)及び米国特許出願第2008/0186579号参照)。この技術は、リソグラフィへの応用として2つの有意な利点を示している。1つは、旧知のタルボ法が直面する被写界深度の問題を克服できることである。もう1つは、多くのパターン種について、空間周波数の増倍がなされることである。すなわち、マスクのパターンに対して印刷フィーチャの解像度が高くなる。ATLにおいては、光源からの広スペクトル帯域幅の平行ビームをマスクに照射すると、マスクから一定の距離を隔てて、強度分布が略不変のいわゆる静止像が透過光照射野により形成され、距離がさらに増加する。ラインとスペースから成る1次元パターン(すなわち、線形格子)の場合、静止像が生じるマスクからの最小距離dminは、マスクのパターンの周期p及びビームのスペクトルプロファイルの半値全幅Δλの関数として、以下のように表される。
この距離を超えると、マスクからの距離の増加とともに異なる波長ごとのタルボ像平面が連続的に分布して、静止像が形成される。したがって、フォトレジストでコーティングされた基板をこの領域に置くと、特定の波長に関して連続するタルボ平面間に形成されたすべての横強度分布で基板が露光される。このため、基板上に印刷されるパターンは、この所定範囲の横強度分布の平均又は積分となって、マスクに対する基板の長手方向の変位とは実質無関係である。この技術を用いると、標準的なタルボ結像よりも被写界深度がはるかに深くなり、また、従来の投射式、近接式、又は接触式印刷と比べても被写界深度が格段に深くなる。
特定のマスクパターンからのATL像における強度分布は、マスク以降の電磁波の伝搬を模擬するモデリングソフトウェアを用いて決定可能である。また、このようなシミュレーションツールを用いることにより、基板表面において特定の印刷パターンを得るためのマスクパターンの設計を最適化することも可能である。
ATL法は主として、少なくとも1つの方向に一定の周期で繰り返す単位格子を含む周期パターンの印刷を目的として開発されたものである。ただし、この技術は、周期が略一定のマスクの一部によって静止像の特定部分を形成する回折次数が生成されるように、マスク全体にわたって十分に「遅く」空間的な周期が徐々に変化するパターンにも難なく適用可能である。このようなパターンは、準周期的と言い表すこともできる。
ATLの短所は、マスクと基板間に必要な離間距離が大きくなって不都合を被ることがないように、有意なスペクトル帯域幅の光源を要する点である。マスクから伝搬する異なる回折次数の角度発散により、基板表面における異なる次数間の空間オフセットが生じて、パターンエッジの像再構成が不完全となり、離間距離の増加とともに悪化する。また、回折次数のエッジにおけるフレネル回折によっても印刷パターンのエッジが劣化し、同じく離間距離の増加とともに悪化する。このため、レーザー光源は、スペクトル帯域幅が相対的に狭いため、ほとんどの場合においてATLには適さない。
アーク灯や発光ダイオード等の非レーザー光源をATLに適用すると、製造プロセスにおける高スループットを確保するための高出力と高解像度のフィーチャを結像するための良好なコリメーションとの組み合わせを有する所要寸法の露光ビームを発生するのが困難となる。このような光源からのビームのコリメーションは、空間フィルタリングによって所要レベルまで向上可能であるが、一般的には許容範囲を超えるビームパワーの損失が生じる。
ATL技術の利点は、米国特許出願第2008/0186579号に開示の異なる関連技術によって得られる。この方式では、マスクの周期パターンに単色光の平行ビームを照射し、当該露光中に、連続するタルボ像平面間の離間距離の整数倍に相当する範囲で基板のマスクからの距離を変化させることにより、タルボ平面間の強度分布の平均が基板上に印刷されるようにする。したがって、取り得る最小変位は、連続するタルボ平面間の離間距離に等しい(整数=1の場合)。露光中のこの変位により、基板に印刷されるパターンは、ATL技術を用いて印刷する場合と略同じである。また、範囲内の複数の離散位置において基板を露光することにより、連続的又は離散的な変位が可能となることも開示されている。この一般的な技術は、変位タルボリソグラフィ(DTL:Displacement Talbot Lithography)と称することもできる。
ATL技術及びDTL技術により基板で生じる平均強度分布は、本質的に同等であって、いずれも印刷パターンの被写界深度を深くできるとともに、空間周波数の増倍が可能である。DTL方式は、基板とマスク間の離間距離がATL方式よりもはるかに小さい場合に使用可能である。このため、パターンエッジの劣化が抑えられ、コリメーションに対する要求が低いことから、光源からの出力をいっそう効率的に利用可能である。さらに、DTL技術によれば、レーザー光源を使用できるようになり、製造プロセスに好適と考えられる。このような光源からの光は、パワー損失が無視できる高度にコリメートされたビームへと形成可能であることから、フィーチャ解像度の損失が最小限に抑えられる一方、像コントラストは最大化される。
また、DTLにより特定のマスクパターンから印刷されるパターンの構造は、シミュレーションソフトウェアを用いて理論的に決定可能である。
米国特許出願第2008/0186579号に記載のDTL技術には、露光中のマスクに対する基板の長手方向の変位をタルボ距離の整数倍と高精度に対応させる必要がある、という制約がある。変位が厳密に整数倍の場合、基板を露光する平均強度分布は、基板とマスク間の最初の離間距離とは無関係であるため、マスク及び基板が高精度に平坦かつ平行でなくても、基板上には一様なパターンフィーチャが露光される。一方、たとえば変位アクチュエータの機械的ヒステリシス又はステッピング解像度の制限もしくは照射システムによる露光継続時間と基板変位との不正確な同期により、変位がタルボ距離の厳密な整数倍でない場合、平均強度分布は、最初の離間距離によって決まる。この場合、マスク及び基板が高精度に平坦かつ平行でなければ、フィーチャサイズの空間変動が印刷パターンに取り込まれる。あるいは、マスク及び基板が高精度に平坦かつ平行ではあるものの、その離間距離が基板ごとに異なる場合は、印刷フィーチャのサイズが基板ごとに変化する。いずれの場合も、特定の用途においては問題となり得る。これらフィーチャサイズの変動は、多数のタルボ距離に相当する距離だけ基板をマスクに対して長手方向に変位させることにより抑えることができるものの、(照射ビームが高度にコリメートされていない場合の)フィーチャ解像度の劣化、(変位方向が高精度に長手方向ではない場合の)フィーチャ形状の歪み、(間隙が広すぎる場合の)パターンエッジの劣化等、別の問題を引き起こす可能性があり、機械システムの移動範囲の拡大を要するため不都合である。
本明細書中に参考として援用する未公開米国特許出願第13/035,012号は、この制約を克服するDTL技術の改良を教示しており、露光中に基板をマスクに対して長手方向に変位させることによりタルボ距離の整数倍と高精度に対応させることなく、周期的又は準周期的なパターンを一様かつ再現可能に印刷可能である。さらに、マスクからの透過光照射野に2次以上の回折次数が存在することで厳密なタルボ結像及び厳密なタルボ距離が実現できていない場合には、周期パターンを一様かつ再現可能に印刷可能である。また、パターンの周期が軸ごとに異なる場合には、2次元周期のフィーチャパターンを一様かつ再現可能に基板上に印刷可能である。さらに、マスクパターンの周期が一定ではなく、チャープ格子のようにマスク全体で連続的に変化しているか、又はステップ状に変化している場合は、フィーチャパターンを一様かつ再現可能に基板上に印刷可能である。この特許出願は、変位の速度及び/又は露光ビームの強度を変更することによって、マスクに対する基板の変位増分当たりの照射線量が変位中に変化することを教示している。
この改良DTL技術にも、いくつか不都合がある。フォトレジストでコーティングされた基板のマスクに対する露光中の長手方向の変位を厳密に制御する必要があるため、露光システムの機械的構造及び機能に課される要求が増えるものの、コスト上困難な場合がある。特に、解像度、マスクに対する基板の変位の速度及びヒステリシス、ならびに印刷パターンの領域上における変位の一様性に関する要求が課される。また、基板面に対して変位を高精度に直角方向とする必要もある。その理由は、露光中に基板がマスクに対して横方向に変位すると、印刷パターンの解像度が劣化してしまうためである。さらに、所要の変位を実現するのに通常は圧電変換器等の高解像度アクチュエータが必要であり、また、標準的な接触式又は近接式のマスクアライナには一般的にこのようなアクチュエータが備わっていないことから、そのようなシステムでこの技術を実施することはできない。さらに、フォトレジストでコーティングされた基板の設置及び取り外しには一般的に大きな変位を要するため、高解像度アクチュエータをマスクアライナに組み込むのは困難である。また、大きなパターンが一様に印刷可能となるように、基板上で変位を一様化する必要もある。露光ビームの強度を変えることによりマスクに対する基板の変位増分に伴う照射線量を変化させる場合は、変位に対して強度変調を高精度に同期させることも必要となるが、マスクに対して基板を変位させる機械システムにヒステリシスが存在すると、所要精度で同期を得るのは困難となる。
上述の未公開米国特許出願は、本明細書中に参考として援用する。
以上のことからから本発明の課題は、フォトレジストでコーティングされた基板上に周期的又は準周期的なフィーチャパターンを印刷する方法及び装置において、ATL技術と同じ利点、すなわち焦点深度が深く、マスクのパターンに対して印刷パターンの空間周波数を増倍可能であり、露光中にフォトレジストでコーティングされた基板をマスクに対して長手方向に変位させることなく上記のパターンを結像可能にすることである。
さらに本発明の課題は、マスクとウェハー間の離間距離の変動とは実質無関係の線量分布がフォトレジストに与えられ、さらには、様々なパターン種及び周期において同時にこの無関係性が実現されるように、タルボ像平面間で形成される様々な強度分布の平均を精密に制御可能とすることである。
本発明の第1の態様によれば、所望の周期的なフィーチャパターンを感光層に印刷する方法において、
a)所定の周期のマスクパターンを有するマスクを提供するステップと、
b)前記感光層を有する基板を提供するステップと、
c)前記マスクと略平行に離間距離をおいて前記基板を配置するステップと、
d)複数の異なるピーク発光波長を有し、所定範囲の波長で一斉に光をする複数のレーザーを提供するステップと、
e)所定のコリメーション度を有し、前記所定範囲の波長における照射線量のスペクトル分布で前記マスクを照射するビームを前記光から形成するステップと、
f)前記マスクパターンを透過した各波長の光が複数のタルボ平面間の所定範囲の横強度分布を形成するとともに、前記感光層が露光されて像成分が形成されるように前記ビームで前記マスクを照射することにより、前記成分の時間積分された重畳で前記所望のパターンを印刷するステップとを含み、
前記いずれかの波長の光で形成された前記所定範囲の横強度分布の平均に対して前記成分の重畳が略同等となるように、前記離間距離及びスペクトル分布が前記周期と関連して定められており、前記印刷パターンのフィーチャが解像されるように、前記コリメーション度が前記離間距離と関連して定められることを特徴とする方法が提供される。
前記照射ビームは、前記照射線量のスペクトル分布と略同じプロファイルを有する強度のスペクトル分布で形成され、すべての像成分が前記感光層を同じ露光時間にわたって同時に露光するように、前記ビームで前記マスクを照射するのが好ましい。この場合、強度のスペクトル分布は、前記複数のレーザー光源からの出力ビームの相対パワーを調整して得るのが好ましい。あるいは、略一様なスペクトル分布の結合ビームが生成されるようにレーザー光源の出力パワーを略同じ値に調整した後、スペクトル特性が所要の線量分布に対応したスペクトルフィルタ(たとえば、透過又は反射)上へと当該結合ビームの配向を行うことによって生成するようにしてもよい。
前記照射ビームは、前記各ピーク波長における強度が略同じ光で形成され、波長依存性が前記スペクトル分布に略対応した露光時間にわたり各ピーク波長の光で前記マスクを照射するようにしてもよい。このような波長依存性の露光時間は、個々のレーザーからのビーム経路にシャッターを設けるか、又はレーザーをオン/オフ切り替えすることによって得るようにしてもよい。また、波長依存性の露光時間は、総露光時間が最小となるように重複しているのが好ましい。この場合、マスクを照射しているビームの強度(スペクトル成分の合計)は、露光中に変化する。あるいは、露光時間は連続的であってもよく、この場合、ビームの強度は略一定であってもよい。
照射波長をλ0−wからλ0+wへと変化させた場合に(λ0はスペクトル分布の中心波長、2wは分布の半値全幅)、フォトレジストを照射する横強度分布が、中心波長λ0でマスクを照射することにより形成される強度分布のタルボ周期に少なくとも対応した距離だけ長手方向に変位するように、マスクと基板間の離間距離を構成するのが最も好ましい。
スペクトル分布の形状は、切頂ガウスプロファイル、切頂又は非切頂余弦プロファイル、及び切頂又は非切頂三角形プロファイルのうちの1つに略対応しているのが好ましい。あるいは、分布の包絡線が前記プロファイルのうちの1つに略対応しているのが好ましい。
スペクトル分布は、滑らかであるのが最も好ましい。また、複数のピークを有さないのが好ましい。あるいは、実質的に複数のピークが存在しないのが好ましい。
ビームは、マスク照射時に変化せず、マスクパターン全体にわたって強度が略一様であるのが最も好ましい。
あるいは、ビームは、露光中にパターン全体にわたって変位又はスキャンするようにしてもよい。後者の場合は、マスクパターンの時間積分露光密度が略一様となるように、ビームのスキャン動作及び断面強度プロファイルを構成すると都合が良い。たとえば、少なくとも1つの次元におけるビームの強度プロファイルは、ガウス分布に略対応するように構成してもよいし、マスク全体にわたってビームをラスターパターン状にスキャンしてもよい。このようなスキャン露光の場合、光のスペクトル分布は、ビーム全体にわたって略一様であるのが好ましい。あるいは、各レーザー光源からの光は、所要のスペクトル線量分布に対応してパワーが波長に依存する略平行な光のサブビームへと形成してもよい。そして、照射ビームは、これらサブビームが空間的には分離されているものの、結果的に得られる複合照射ビーム内では平行となるように、サブビームを結合して形成するようにしてもよい。その後、マスクパターン全体にわたって複合ビームをスキャンすることにより、線量のスペクトル分布が与えられる。
所望のパターン及びマスクパターンは、1次元すなわち線形格子であってもよい。あるいは、正方形、長方形、又は六角形格子上のフィーチャアレイ等の2次元であってもよい。
所望のパターン及びマスクパターンは、厳密に周期的ではなく、準周期的であってもよい。すなわち、所望のパターン及びマスクパターンが局所的には厳密に周期的であると見なせるように、パターン領域にわたってゆっくりと変化する周期を有していてもよい。
マスクは、同一又は異なる周期の複数の所望パターンを印刷するための同一又は異なる周期の複数の周期パターンを含んでいてもよい。
本発明の第2の態様によれば、所望の周期的なフィーチャパターンを感光層に印刷する装置において、
a)所定の周期のマスクパターンを有するマスクと、
b)前記感光層を有する基板と、
c)前記マスクと略平行に離間距離をおいて前記基板を配置する手段と、
d)複数の異なるピーク発光波長を有し、所定範囲の波長で一斉に光を発する複数のレーザーと、
e)あるコリメーション度を有し、所定の照射線量のスペクトル分布に対して前記感光層を露光する所定範囲の波長の照射ビームを前記発光から形成する手段と、
f)前記マスクパターンを透過した各波長の光がタルボ平面間の所定範囲の横強度分布を形成するとともに、前記感光層が露光されて像成分が形成されるように前記ビームで前記マスクを照射することにより、前記成分の時間積分された重畳で前記所望のパターンを印刷する手段が設けられており、
前記いずれかの波長の光で形成された前記様々な横強度分布の平均に対して前記成分の重畳が略同等となるように、前記離間距離及びスペクトル分布が前記周期と関連して定められており、前記所望のパターンのフィーチャが解像されるように、前記コリメーション度が前記離間距離と関連して定められていることを特徴とする装置が提供される。
ビーム形成手段は、複数のレーザー光源からの出力ビームを結合して単一ビームを形成することにより、ビーム全体にわたってスペクトル分布が略一様な出力ビームを生成する手段を備えるとともに、前記単一ビームの光をコリメートして照射ビームを形成する手段を備えているのが好ましい。
レーザー光源からの出力ビームは、結合して十分な長さの光ファイバへと誘導し、ファイバ中の光伝搬によって異なる波長の光が完全に混ぜ合わされて、スペクトル分布が空間的に略一様なビームがファイバから出力されるようにすると都合が良い。また、ファイバ出力面からの光は、レンズ、レンズ系、又はその他の光学素子により、マイクロレンズアレイ上へ集光されるようにすると都合が良い。タンデム状のアレイであれば、最も都合が良い。円筒状のマイクロレンズアレイを用いる場合は、第1のアレイと直交する同じような第2のアレイを透過光が通過することにより、これら一対のアレイによって、強度が略一様な正方形又は長方形照射野の発散光が生成されるようにするのが好ましい。そして、この光は、コリメートしてマスクを照射する照射ビームを形成するのが好ましい。あるいは、円筒状のマイクロレンズアレイを1つ用いて、1つの方向の強度が略一様な発散光を生成し、コリメートすることによって、マスク全体にわたるスキャンによりマスクパターンの一様な時間積分露光を行う照射ビームを生成するようにしてもよい。さらには、球状のマイクロレンズアレイを用いて、強度が略一様な円形照射野の発散光を生成し、コリメートすることによって、マスクを照射する照射ビームを形成するようにしてもよい。
あるいは、レーザー光源からの出力ビームは、結合してマイクロレンズアレイに直接誘導するようにしてもよい。アレイは、タンデム状であれば都合が良い。円筒状のマイクロレンズアレイを用いる場合は、第1のアレイと直交する同じような第2のアレイを透過光が通過することにより、これら一対のアレイによって、強度が略一様な正方形又は長方形照射野の発散光が生成されるようにするのが好ましい。そして、この光は、コリメートして照射ビームを形成するのが好ましい。ビームは、露光中はマスクに対して変化しないのが好ましい。円筒状のマイクロレンズアレイを1つ用いる場合は、アレイからの発散光をコリメートして、1つの方向に略一様な照射ビームを形成するのが好ましい。そして、このビームは、マスク全体にわたってスキャンすることにより、マスクパターンを一様に露光するのが好ましい。あるいは、球状のマイクロレンズアレイを1つ用いて、円形照射野の発散光を生成し、コリメートすることによって、強度が略一様な照射ビームを形成するようにしてもよい。ビームは、露光中はマスクに対して変化しないのが好ましい。
レーザー光源は、レーザーダイオードが好ましい。また、その出力波長は、前記波長範囲にわたって略同等に間隔を空けるように選択すると都合が良い。
露光中にレーザーダイオードの温度及び/又は駆動電流を変化させて、露光中に照射ビームが与える前記照射線量の時間積分スペクトル分布を平滑化する手段を備えていると都合が良い。
マスクは、周期パターンのフィーチャが不透明材料中の開口として形成された振幅マスクであってもよいし、透明又は部分的に透明な材料中の一定又は異なる深さの開口としてフィーチャが形成された位相シフトマスクであってもよい。
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施例を説明する。
本発明の第1の実施形態を示す図
レーザーダイオードの出力ビームの代表的なスペクトルプロファイルを示す図
第1の実施形態に係るマスク中の周期パターンの単位格子を示す図
第1の実施形態に係るレーザーダイオードアレイの相対出力パワー及びその発光波長依存性を示す図
第1の実施形態に係るレーザーダイオードアレイが生成する積分スペクトル分布を示す図
第1の実施形態の装置で生成されたフォトレジストを露光する積分強度分布のコンピュータシミュレーションを示す図
フォトレジストでコーティングされた基板とマスク間の離間距離に対するフォトレジストを露光する積分強度分布の中心における強度の依存性の計算結果を示した図
本発明の第2の実施形態を示す図
単色照射及びガウススペクトルを有する照射の2つの場合に関して、マスクからの距離に対するマスク中の六角形パターンを透過した光照射野の特定の横座標における強度の依存性のコンピュータシミュレーション結果を示す図
マスク中の六角形孔パターンの照射に用いられるスペクトル分布を示す図
図10のスペクトル分布のフーリエ変換を示す図
図10のパターンにおける1つの孔の中心に対応した横座標において、マスクからの距離に対するスペクトル分布を照射する六角形パターンを透過した光照射野における強度の依存性のコンピュータシミュレーション結果を示す図
製造プロセス用露光システムの設計に本発明を適用する場合の一連のステップ手順を例示した図
図1を参照して、本発明の第1の例示的な実施形態においては、20個のレーザーダイオードのアレイ1が照射源に含まれ、各レーザーダイオードは、それぞれが制御回路を有しており、出力パワーを独立して調整可能である。レーザーダイオード(LD)は、図2のスペクトルプロファイルで示すように、それぞれの中心波長又はピーク波長がスペクトル範囲371〜379nmにわたって概ね同等の間隔(すなわち、およそ0.4nmの間隔)となり、各LDのスペクトル帯域幅が通常およそ1nmとなるように選択したものである。各LDの出力パワーは、多重横モードで発光するLDを用いることにより、最大200mWを出力可能である。そのようなLDとしては、たとえば日亜化学工業製のものを利用してもよい。各LDからの発散偏光出力ビームは、レンズ2(本発明の実施形態を示す図面中の他のレンズと同様に模式的に示しており、たとえばマルチエレメントレンズ又はGRINレンズ等を含んでいてもよい)でコリメートされた後、第2のレンズ3で集光され、コア径がおよそ0.1mmの光ファイバ4に誘導される。光ファイバの他端は束ねられており、発生光がアダプタを介して、コア径がおよそ0.7mmでNA=0.2の単一のファイバ6に誘導される。ファイバ6は、長さが2mを超え、スペクトル成分が伝搬中に十分混ざり合うことでファイバ6の出力面に現れるビームのスペクトル分布が略一様となるように、ループ状に構成されている。また、光がファイバを伝搬することで、出力ビームの偏光は解消される。分布のFWHM円錐角がおよそ10°(FWHM)となるように発散光線の円錐角を大きくすると、出力ビームの強度は弱くなる。
ファイバ6の出力面からの光は、円筒状マイクロレンズの第1のタンデムアレイ9上に直径およそ1.5mmの照射スポットを形成するレンズ7でコリメートされる。アレイ9はyz平面で光を屈折させるように配向しており、マイクロレンズの開口数は、およそ±7°の様々な角度で光を屈折させるように設定されている。透過ビームはその後、類似する第2のマイクロレンズアレイ11に入射する。このアレイは、xz平面において、およそ±7°の様々な角度で光を屈折させるように、第1のアレイ9に近接して直交配置されている。したがって、これら2つのアレイ9、11は、遠視野において、強度及びスペクトル分布が略一様な光の正方形分布を生成する。マイクロレンズアレイ9、11の前段(又は後段)の光路には、入射光の空間コヒーレンスを低減するとともに、マイクロレンズアレイ9、11の周期構造に起因する不要な干渉効果を抑えるため、拡散器8を備えていてもよい。拡散器8は、リソグラフィ露光中にビーム方向と平行な軸周りに拡散器を回転して時間積分露光を一様にするモーター(図示せず)に搭載する必要がある。ファイバ6とコリメートレンズ7間のビーム光路には、電子的に動作するシャッター12を追加して、フォトリソグラフィ露光の継続時間を高精度かつ再現可能に制御できるようにする。マイクロレンズアレイ9、11からの発散ビームは、ミラー14によりレンズ16の方へ反射され、コリメートされた後、略垂直入射でマスク18中のパターン19を照射する。レンズ16の焦点距離は、直径が最大6インチまでのマスクパターンの露光が可能なように、およそ0.75mに選択されている。この焦点距離により、マスクパターンの各点を光が照射する角度範囲は十分に小さく、該当する特定用途で必要な結像解像度が得られる。タルボ結像では、照射ビームの角度が変化するとタルボ像が横方向に変位するため、様々な角度で照射すると像がぼけてしまい、特定の限界を超えると、フィーチャ解像度が損なわれる。直径およそ1.5mmのビームがマイクロレンズアレイ9、11及び焦点距離およそ0.75mのレンズ16を照射している状態では、結果として、マスクの各点における入射角度の範囲はおよそ2mRである。照射ビームの各点における光の角度範囲は、ビームのコリメーション度と反比例しているものと見なしてもよい。すなわち、角度範囲が狭くなると、コリメーション度は高くなる。
マスク18は、標準的な電子ビームリソグラフィで製作された石英ガラス基板上のクロム層に形成された2次元周期パターン19を有する。パターン19は、図3の単位格子で示すように、最短隣接距離600nmで六角形格子状に配置された直径300nmの孔のアレイを備えている。マスク18は、チルトシステムに搭載された真空チャック(図示せず)と、マスク18の下方に配置された基板20に対してマスク18の下面が平行かつ特定の距離となるようにマスク18を位置決め可能な移動ステージ(マスクアライナの精密構造の当業者には周知のため図示せず)とで保持されている。基板20の上面は、標準的なi線感応フォトレジスト層21でコーティングされている。また、基板20は、上面が略平坦となるように、別の真空チャック(図示せず)に搭載されている。マスク18は、近接配置された2つの基板間の離間距離を測定する標準的な測定手段により、基板20に対して略平行かつある距離で配置されている。たとえば、様々な厚さの基準ゲージをマスク18及び基板20のエッジ間に導入してもよいし、好ましくは、光学干渉測定システム(たとえば、白色光又は広帯域光干渉法に基づく)を用いて、マスクパターン19上の異なる位置で離間距離を局所的に測定するようにしてもよい。
ファイバ6の出力端において光の特定のスペクトル分布を生成するには、コリメートレンズ7後段のビーム光路に検出器を介設した後、各LDを順次オンする一方でその他のLDはオフとし、各LDの駆動電流を調整して所要出力パワーのビームを得ることにより、各LDからのビームのスペクトル成分のパワーを測定する(あるいは、各LDのコリメートレンズ2と集光レンズ3間にシャッターを設け、レンズ7後段の検出器で測定しつつ各シャッターを順次開く一方でその他のシャッターは閉じることにより、個々のLDの出力パワーを測定するようにしてもよい。さらには、分光計を用いてレンズ7後段のビームのスペクトル成分を測定することにより、すべてのLDの出力パワーを同時に測定するようにしてもよい)。具体的には、発光波長λnに対する出力パワーPの依存性が以下の切頂ガウス分布で実質的に記述されるように、LDの出力パワーを調整する。
ここで、exp()は指数関数を表し、λ
0は範囲中心における波長、σはガウス分布の標準偏差、tは切頂パラメータ(1以上が好ましい)である。
本実施形態にかかるLDアレイ1から得られる様々な波長を考慮して、σ及びtは、それぞれ2.6nm及び1.5とする。これらの値により、LD出力パワーの中心波長依存性は、図4に示す通りとなる。各LDからのスペクトル帯域幅がおよそ1nmであれば、ファイバ6から現れる光の積分スペクトル組成は、図5に示す通りとなる。この分布の半値全幅(FWHM)は、純粋なガウス形からは幾分逸脱しており、6.2nmと判断される。
照射によってフォトレジスト21に静止像が形成されるように、フォトレジストでコーティングされた基板20とマスク18間の離間距離を調整する。波長がλ0−wからλ0+wへと変化する単色ビーム(2wは分布のFWHM)によるマスクの(仮)照射によって、少なくとも中心波長λ0での照射で形成された強度分布のタルボ周期に対応した距離だけフォトレジスト21を照射する横強度分布が長手方向に変位するように離間距離が設定されている場合は、上述の準ガウス分布により、略静止像を形成する。これは、数学的には以下のように表される。
ここで、T(λ)はタルボ周期の照射波長λ依存性を表し、dはマスクと基板間の離間距離である。
タルボ周期は、波長と以下の関係にある。
ここで、φ(λ)はマスク中の周期パターンからの1次回折次数の極角である。
最短隣接距離pのパターンフィーチャの六角形アレイの場合、1次回折次数の極角は、以下で求められる。
式(4)〜(6)から、基板とマスク間の離間距離が以下のように構成されている場合には、フォトレジストで静止像が形成されることが導かれる。
本実施形態に係る特定のパラメータ値(λ0=375nm、p=600nm、2w=6.2nm)でこの値を求めると、φ(λ0)=46.2°となるため、d≧50μmが得られる。当然のことながら、使用するレーザー光源から形成されるスペクトルプロファイルのFWHMが3.1nmであれば、マスクと基板間の離間距離は2倍必要となる。マスクと基板間の離間距離は、このようにその都度構成するのが好ましいが、特定用途で必要な印刷フィーチャのサイズの一様性に応じて、幾分か小さな離間距離を用いるようにしてもよい。
式(7)は、入射ビームのすべてのスペクトル成分を同じ効率でミラー14が反射することと、LDアレイ1とマスク18間のその他すべての光学素子も同じ効率でスペクトル成分を透過させることで、マスクを照射するスペクトル分布がLDアレイ1からの分布に対応することを前提としている。本発明の別の実施形態において、LDアレイとマスク間の光学素子が同じ効率で光の反射及び/又は透過を行わない場合は、個々のLDの出力パワーを適宜調整して光学的なスペクトル変調を補償する必要がある。また、式(7)のパラメータwは、LDアレイからの分布ではなく、マスクを照射するスペクトル分布のHWHMを表すものとする。
フィーチャの所要解像度がフォトレジストに印刷可能となるように、照射ビームは、十分にコリメートする必要がある。特に、マスクパターンの任意の点を照射する光線の角度範囲Δω(FWHM)は、以下を満足するのが好ましい。
ここで、Lは印刷パターンにおける所望のフィーチャサイズ、dはマスクと基板間の離間距離である。
本実施形態においては、印刷パターンにおける所要フィーチャサイズがマスクパターンの六角形アレイにおける孔の直径と同じであるため、マスクと基板間の離間距離がおよそ50μmに設定されている場合は、式(8)により、マスクパターンの任意の点を照射する入射角度範囲が2mR(FWHM)以下である必要がある。
上述の光学系によるコリメーション度はおよそ2mRであるため、フォトレジスト21に印刷された静止像のおよそ300nmのフィーチャを解像するには十分である。ビームのコリメーション度が高くなると、フィーチャをより正確に規定可能となる。
フォトレジスト21に静止像を印刷する場合にマスク18と基板20間で必要なこの最小離間距離は、マスク18を透過する光照射野のコンピュータシミュレーションによって決定及び/又は検証を行うようにしてもよい。この場合は、Grating Solver Development社が開発したGSolverやマサチューセッツ工科大学が開発したMEEP等の市販又は無料のソフトウェアを用いて、有限差分時間領域法(FTDT)や厳密結合波解析法(RCWA)等の標準的な手法を採用するようにしてもよい。ATL技術及びDTL技術によるこのようなシミュレーションツールのフォトリソグラフィ露光への適用については、米国同時係属出願第12/903,389号に詳しく記載されている。マスクと基板間の離間距離を50μmとして本実施形態の露光ビームでマスクパターン19を照射することにより形成したフォトレジスト層21における積分強度分布のコンピュータシミュレーション結果を図6に示す。図中の強度スケールから、分布中の強度ピークが高いコントラストを有し、デバイス製造において堅牢なリソグラフィプロセスを提供可能であることが分かる。基板20とマスク18間の離間距離をさらに大きくして焦点深度を深くできるように、強度分布が実際に安定すなわち不変であることを検証するため、マスク18と基板20間の離間距離を大きくした場合の関数として分布中心における強度を計算した。図7に示す結果から、離間距離が小さい場合は強度が急速に変化するが、離間距離がおよそ50μmを超えると基本安定値に達して(残留変動およそ±2%未満)、式(4)〜(6)で計算した最小所要離間距離に適合する。
ある露光時間にわたってマスク18が平行ビームで照射されて特定の露光エネルギー密度(すなわち照射線量)が伝達されるように、シャッター12を開いた後に閉じて露光を行う。ビームのすべての波長成分に対してフォトレジストも同時に露光されるため、照射線量のスペクトル分布は、ビームのスペクトル強度分布に対応する(すなわち、同じプロファイルを有する)。また、総照射線量は、線量スペクトル分布の積分であって、露光時間に比例する。現像したフォトレジスト21において照射線量が所望の構造を形成するように、露光時間を調整する。これは、フォトレジストでコーティングした多数の基板を様々な照射線量に露光して、光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡により印刷パターンを評価することで最適な線量を決定する方法等、標準的なフォトリソグラフィ技術で決定するようにしてもよい。
米国特許出願第13/035,012号には、切頂ガウスプロファイル、切頂正弦プロファイル、及び切頂三角形プロファイルに従って、フォトレジストでコーティングされた基板の変位増分当たりの照射線量を変化させることにより、実質的に同じ利点及び印刷結果が得られることが示されているが、この教示内容と同様に、LD出力パワーの出力波長依存性が(非)切頂正弦プロファイル及び(非)切頂三角形プロファイルのうちの一方と適合して、マスクを照射する光のスペクトル分布が同様に記述されるように、上記と同じ利点及び印刷結果を得るようにしてもよい。前者の場合、LDの出力パワーP(λn)は、発光波長λn依存性が次式で表されるように調整する必要がある。
ここで、λ
0は範囲の中心波長、2wは非切頂関数のFWHM、tは切頂パラメータ(1以下が好ましい)である。
(非)切頂正弦プロファイルでは、照射波長をλ0−wからλ0+wへと変化させることによって、少なくとも中心波長λ0の光で形成された強度分布のタルボ周期に対応した距離だけフォトレジストを照射する横強度分布が長手方向に変位するように離間距離dが設定されている場合は、フォトレジストに静止像が形成される。こうなるのは、パラメータwが(非)切頂正弦プロファイルの半値半幅(HWHM)を表すものとして式(4)が満たされる場合である。
したがって、マスク中のフィーチャの六角形アレイから静止像を形成する場合にマスクと基板間で必要な最小離間距離は、式(7)を用いて計算するようにしてもよい。
(非)切頂三角形プロファイルの場合、LDの出力パワーP(λn)は、発光波長λn依存性が次式で表されるように調整する必要がある。
ここで、λ
0は範囲の中心波長、2wは非切頂関数のFWHM、tは選択可能な切頂パラメータ(1に近い1未満が好ましい)である。
(非)切頂三角形プロファイルでは、照射波長をλ0−wからλ0+wへと変化させることによって、少なくとも中心波長λ0の光で形成された強度分布のタルボ周期Tに対応した距離だけフォトレジストを照射する横強度分布が長手方向に変位するように離間距離dが設定されている場合は、フォトレジストに静止像が形成される。こうなるのは、パラメータwが(非)切頂三角形プロファイルのHWHMを表すものとして式(4)が満たされる場合である。
したがって、マスク中のフィーチャの六角形アレイから静止像を形成する場合にマスクと基板間で必要な最小離間距離は、同じように式(7)を用いて計算するようにしてもよい。
このように、FWHMの値が同じガウスプロファイル、(非)切頂正弦プロファイル、及び(非)切頂三角形プロファイルのスペクトル分布では、マスクから略同じ距離で静止像が形成され、フォトレジストの印刷パターンも略同じとなる。
上述の好適な切頂ガウスプロファイル、(非)切頂三角形プロファイル、及び(非)切頂正弦プロファイルの形状はすべて、中心ピークの波長の滑らかな関数であって、それぞれのFWHM値のおよそ2倍の全幅を有する点で類似している。したがって、当然のことながら、本発明の別の実施形態においては、これらと類似する別のスペクトル分布形状を採用してもよく、その場合も実質的に同じ利点及び印刷結果が得られることが予想される。たとえば、適当な台形プロファイルのスペクトル分布を採用してもよい。このような異なる分布では、式(7)及び/又はコンピュータシミュレーションにより、スペクトル分布のFWHM値からマスクとフォトレジストでコーティングされた基板間の露光中の最小離間距離を決定するのが好ましい。ATL像が形成される安定距離を推定するための補完方法では、スペクトル分布のフーリエ変換を考慮に入れるが、これについては本明細書中で後述する。
照射ビーム及び/又は照射線量のスペクトル分布においては、2次的な複数のピークが抑えられているのが好ましい。このため、個々のレーザー光源からのビームのスペクトル幅は、昇順に並べた場合のピーク波長のスペクトル分離よりも大きければ、重畳するスペクトルプロファイル間が実質的に重複するため都合が良い。
上述の実施形態において、マスクのパターンが正方形アレイ又はハニカムアレイ等、別の対称性を有する2次元アレイもしくは平行なラインとスペースが交互に現れる1次元アレイの場合は、該当するアレイ種別に対応した式(7)の等価形態を導出して使用する必要がある。
マスクが1次元アレイを有する場合、スペクトルを混合したビームの経路中に偏光子を設けると都合が良くなる可能性がある。マスク照射光を格子線と平行な方向に偏光することによって、フォトレジストを露光する積分強度分布のコントラストが向上して、印刷フィーチャをより正確に規定可能となる。
図8を参照して、本発明の第2の実施形態においては、20個のレーザーダイオードの2次元4×5アレイ30が照射源に含まれ、各レーザーダイオードは、それぞれが制御回路を有しており、出力パワーを独立して調整可能である。LDは、それぞれの中心波長又はピーク波長がスペクトル範囲371〜379nmにわたって概ね同等の間隔(すなわち、およそ0.4nmの間隔)となり、各LDのスペクトル帯域幅が通常およそ1nmとなるように選択したものである。各LDからのビームは、yz平面よりもxy平面でより高速に発散するが、レンズ32に入射してコリメートされることにより、断面が楕円形のビームとなる。そして、このビームは、アナモルフィックプリズム対34を通過して、xy平面におけるビームの圧縮により、断面が略円形で直径がおよそ1mmの平行ビームとなる。各LDからの平行ビームは、円筒状マイクロレンズの第1のタンデムアレイ37を照射するように、ミラー36で偏向される。アレイ30中の別のLDからのビームについても同様に、ビーム成形アレイ33中の対応するレンズ及びアナモルフィックプリズム対によって平行化及び円形化された後、ミラーアレイ35中の対応するミラーで偏向されるため、すべてのビームが実質的に重畳することにより、マイクロレンズアレイ37において直径およそ2mmの照射スポットが形成される。マイクロレンズの開口数は、およそ±7°の様々な角度で光を屈折させるように設定されている。また、アレイ37は、yz平面で光を屈折させるように配向している。第1のマイクロレンズアレイ37から発散した光はその直後に、直交平面内で配向し、xz平面においておよそ±7°の様々な角度で光を屈折させる同じような第2のアレイ38に入射する。したがって、ビーム結合器としても作用するこれら2つのアレイ37、38からの発散光は、遠視野において、強度及びスペクトル分布が略一様な光の正方形分布を生成する。発生光中の「クロストーク」の問題を回避するため、マイクロレンズアレイ37、38に入射するビームの発散角は、xz平面及びyz平面の両者で±7°未満となるように構成されている。これは、アレイ30中のLD、ビーム成形アレイ33中のレンズ及びアナモルフィックプリズム、ならびにアレイ35中のミラーを1列ではなく2次元形状に配置することで容易となる。マイクロレンズアレイ37、38の前段の光路には、マイクロレンズアレイ37、38の周期構造を照射する各ビームの光の空間コヒーレンスを低減することで出力ビーム中の不要な干渉効果を抑えるため、拡散器40を備えているのが好ましい。拡散器40は、リソグラフィ露光中にマイクロレンズアレイ37、38の平面と垂直な軸周りに回転して時間積分露光を一様にするモーター(図示せず)に搭載されている。拡散器40の前段には、電子制御のシャッター41を追加して、アレイ30中のLDからのビームを同時に遮断することにより、リソグラフィ露光の継続時間を高精度かつ再現可能に制御できるようにする。マイクロレンズアレイ37、38からの発散ビームは、ミラー42によりレンズ44の方へ反射され、コリメートされた後、略垂直入射でマスク46中のパターン47を照射する。マスクパターン47は、第1の実施形態と同じである。タンデムアレイ37、38を照射する積分ビームの直径を考慮して、コリメートレンズ44の焦点距離は、マスクのパターンの各点を照射する光の角度範囲がおよそ2mRとなるように、およそ1mに選択されている。
マスク46の下方では、第1の実施形態と同じ機械装置及び間隙測定方法により、フォトレジストでコーティングされた基板48がマスク46と略平行に近接して配置されている。
マスク46を照射する光のスペクトル分布は、第1の実施形態と略同じ分布に調整されている。これは、検出器を用いて各LDからの平行ビームのパワーを測定した後、各LDの制御回路によりそれぞれの出力パワーを所要値に調整することによって、同等の方法で実現するようにしてもよい。マスク46とフォトレジストでコーティングされた基板48間の離間距離は、同じくおよそ50μmに調整されている。これは、マスクパターンの静止像を形成するのに必要であり、照射ビームのコリメーション度を所与として、印刷パターンのフィーチャが十分に解像されるようにするのにも必要である。また、露光は、第1の実施形態と本質的に同じ手順で実施する。
六角形アレイの場合と同様に、マスクパターンが2次元の場合は、マスクを照射するビームが線形偏光されないように、偏光変換素子を光学系に設けると都合が良くなる可能性がある。各LDからの線形偏光平行ビームに1/4波長位相差板又はデポラライザを設けることにより、マスクを照射するビームの偏光が等方的に分散され、円孔等の回転対称フィーチャがフォトレジスト中で容易に形成される。
別の実施形態においては、マスクを照射するビームが線形偏光されないように、アレイ中のLDを異なる配向で配置する。たとえば、半数のLDは、出力ビームの方向と平行な軸周りに90°回転させて搭載することにより、マスクを照射するビーム中の光の半分がある平面で偏光され、残りの半分が直交平面で偏光されるようにしてもよい。これにより、回転対称フィーチャの2次元パターンの印刷でも、略同じ利点が得られる。
一方、マスクのパターンが1次元の場合は、静止像のコントラストが高くなるように、マスクを照射するビームが平面偏光されているのが好ましい。
本発明の別の実施形態においては、2n個のLDがある範囲Δλにわたり出力波長がおよそΔλ/(n−1)の等間隔で用いられており、各波長の値ごとに2つのLDを使用する。同様に、別の実施形態では、3n個又は4n個(又は、それ以上)のLDがある範囲Δλにわたり出力波長がおよそΔλ/(n−1)の等間隔で用いられており、各波長の値ごとに3つ又は4つのLDを使用する。
上述の実施形態では、中心波長がある範囲にわたって等間隔となり、相対出力パワーが所要スペクトル分布に従って調整されるようにレーザー光源が選択されているが、本発明の別の実施形態では、単位波長間隔当たりのレーザー数が様々な波長で変化するとともに、出力パワーが好ましくは略同じ値に調整されることによって、結合ビームの積分スペクトル分布が所望の準ガウス分布又はその他のプロファイルに対応するようにレーザーが選択されている。
本発明の別の実施形態においては、LDの出力パワーが略同じ値に調整されており、好ましくは最初の結合及びコリメートの後に、スペクトル透過曲線が所要分布に対応したフィルタへと出力ビームが誘導され、この透過ビームによってマスクを照射している。同様かつ同等の実施形態においては、好ましくは最初の結合及びコリメートの後に、スペクトル反射曲線が所要分布に対応した反射フィルタ上へと出力ビームが誘導され、この反射ビームによってマスクを照射している。
上述の実施形態において、照射ビームは露光中に変化せず、これが好ましくはあるが、露光中にマスク全体にわたってスキャンするようにしてもよい。この場合は、マスクパターン上の時間積分露光密度が略一様となるように、ビームの断面強度プロファイル及びスキャン動作を構成するのが好ましい。
本発明のさらに別の実施形態においては、波長ごとにマスクの露光時間を変化させて、照射波長での照射線量の全部又は一部を必要に応じて変化させている。これは、たとえば各LDからの出力ビームのパワーを略同じ値に調整した後、LDからのビーム光路に設けられた独立制御可能なシャッターにより(あるいは、各LDを個別にオン/オフ切り替えすることにより)、たとえば準ガウス分布に従って、各LDからの光へのマスク露光時間を波長とともに変化させることにより行うようにしてもよい。また、異なる波長の光がマスクを照射する時間の周期は、総露光時間が最小となるように重複しているのが好ましい。ただし、連続していてもよい。本実施形態の変形例においては、各LDからのビームが略同じ瞬時パワーを有するものの、その光は、所望の準ガウス分布又はその他の分布に従って、好ましくは一定周波数かつ波長とともに変化するデューティサイクル(これにより時間平均パワーが決まる)を有するパルスで与えられる。各LDからのビームのこのようなパルス化は、ビーム光路に設けられた電子制御のシャッターを用いるか、又はLDをオン/オフ切り替えすることによって実現するようにしてもよい。あるいは、パワーの高値とゼロ値間ではなく、高値と低値間でパルス化を行うようにしてもよい。また、同じ目的で、各LDからのパワーのアナログ変調を利用してもよい。
別の実施形態においては、上述の実施形態に記載のように個々のLDからのビームが重畳して単一の略一様なビームとはならず、結合されて複合ビームとなる。この場合、異なるLDからの平行サブビームは、空間的に区別された状態のままで、略平行である。また、サブビーム中の光のパワーの波長依存性は、所要の線量スペクトル分布に対応するように構成されている。そして、異なる波長の各サブビームに対してマスクパターンが一様に露光され、その結果として所望のスペクトル分布に一様に露光されるように、一定の入射角度でマスク全体にわたり複合ビームをスキャンしてリソグラフィ露光を行う。本実施形態では、異なる波長に対して、同時ではなく連続してマスクパターンを露光する。
本発明の別の実施形態においては、独立した冷却機構(熱電冷却等)により各LDの温度を個別に調整することによって、たとえばLDの中心波長が範囲上で高精度に等間隔となるように出力ビームの中心波長を所要の値に微調整する。あるいは、露光中に高値と低値間でLDの温度を振動させることによって、各LDの時間積分スペクトルを広げることで、準ガウス分布又は所望のFWHMを有する類似のスペクトルプロファイルの複合ビームの形成に必要なLD数を低減するようにしてもよい。また、このようなLDの温度振動を用いることにより個々のLDのスペクトル中の考え得る微細構造の影響を抑えて、複数のLDからの時間積分複合スペクトルが所望のプロファイルにより近くなるようにしてもよい。さらには、個々のLDのスペクトル間の重複を大きくして、積分スペクトル中の2次的又は複数のピークを抑制さらには除去する。
あるいは、露光中にLDの駆動電流を振動させることによって、同じように個々のLDの時間積分スペクトルの拡大及び/又は微細構造の抑制を図るようにしてもよい。各LDからの時間積分スペクトルの形状は、要求に応じて各振動中の駆動電流変化プロファイルを選択することにより、さらに変更するようにしてもよい。
別の実施形態においては、結合ビームの積分スペクトル分布が所望のプロファイルに十分近くなるように出力ビームの相対パワーを調整することによって(パワー分布が波長の等間隔を前提として厳密に計算されない)、たとえば範囲上でレーザー光源の実中心波長が等間隔となるための所望の値からの実中心波長のオフセットがある程度は補償されている。
上述の実施形態で選択されたLDが多重横モードで発光して出力ビームが相対的に高いパワーを有することは、マスク及びフォトレジストの露光時間最小化という利点であるのに対して、別の実施形態においては、単一横モードで発光するレーザーを採用してもよい。
また、上述の実施形態では、異なるレーザー光源からの発光を結合して、マスク中の周期パターンを照射する単一のスペクトル一様なビームを形成するため、光ファイバ及びマイクロレンズアレイをそれぞれ採用しているが、当然のことながら、本発明の別の実施形態においては、他のビーム結合手段を採用して同様又は類似の結果を得るようにしてもよい。
同様に、上述の実施形態では、マイクロレンズアレイを採用して、マスクパターン全体にわたって強度が極めて一様な照射ビームを生成しているが、別の実施形態においては、同じ目的で他の手段を採用するようにしてもよい。たとえば、第1の実施形態のファイバ6からの発散ビームは、実質的にガウス角度分布を有するが、これをまずはコリメートした後、屈折型ガウス/長方形ビーム変換器に誘導して、強度分布が略一様な出力ビームを生成し、その後、ビームをさらに拡張してマスクの照射に必要なビームサイズ及びコリメーション度を得るようにしてもよい。
上述の実施形態では、異なる波長の多数のレーザーからのビームを結合して、個々のレーザーよりも大きなスペクトル帯域幅及び収色性タルボリソグラフィの原理に従ってフォトリソグラフィ露光を行う際の所望のスペクトル形状を有する一様なビームを形成するため、レーザー光源とマスク間の光学系を構築・採用しているが、略同じ光学系を採用することによって、略同じ中心波長を有する多数のレーザーからの出力ビームを結合して個々のレーザーと略同じ単色スペクトルプロファイルを有する高強度の一様なビームを形成することにより、変位タルボリソグラフィの原理に従ったリソグラフィ露光を行うようにしてもよい。このような高強度のビームには、露光時間の短縮によって、単一レーザーを用いる場合よりも高いウェハースループットが得られるという利点がある。このような実施形態においては、たとえば375nmの中心波長(及び、およそ1nmのスペクトル帯域幅)を有する20個のレーザーのセットを用いるようにしてもよい(これについても、日亜化学工業製のものが利用可能である)。スペクトルプロファイルの形状に関しては、DTLの要件はATLとは異なるため、レーザーの駆動電流は、出力パワーが略同じになるように調整するようにしてもよい。当然のことながら、この用途でも、光学系のスペクトルフィルタによって、結合ビーム中の光のスペクトル分布形状を変更する必要はない。
マスクとウェハー間の離間距離が露光中に変化するDTL型の露光を行うには、大きなスペクトル帯域幅及び様々な出力中心波長を有する複数のレーザーから生成された所要形状を有する照射ビームと、上述の実施形態に示したような露光システムとを採用するようにしてもよい。このような露光は、略単色のビームで周期パターンを照射する従来技術に係るDTL露光に対して一定の利点がある。具体的には、マスクと垂直な方向に生成された光照射野の強度変化が周期型から大幅に逸脱していると都合が良い。これが起こるのは、たとえばマスクとウェハー間の光照射野に2次以上の回折次数も存在して、0次回折次数と1次回折次数間の光学干渉を変調させている場合である。また、露光中にマスクとウェハー間の離間距離を変化させる手段が十分に精密ではないか、又は露光プロセスの継続時間と高精度に同期していなければ都合が良くなる可能性がある。いずれの場合も、印刷パターンが非一様及び/又は再現不可能となる可能性がある。このことは、マスクからの距離の関数として強度が高速及び/又は大きく振動することによって、特に悪化する。より広いスペクトル分布を有するビームでマスクを照射することにより、DTL型露光で得られる結果は大幅に改善する。これは、ATL露光で製造されたマスクと垂直な方向の透過光照射野の強度振動を考慮することによって理解可能である。すなわち、強度振動の振幅は、マスクからの距離の関数として小さくなり、ATLに係る静止像を得るのに必要な距離よりもはるかに小さな距離で相対的に小さな値に達する。また、強度分布の高周波振動の振幅は、2次以上の回折次数で生成されるものであるが、マスクからの距離が大きくなると、タルボ距離で特徴付けられる基本的な強度振動よりも急速に小さくなる。したがって、本発明の実施形態に示した露光システムを用いて様々な波長を有する複数のレーザー光源からのビームを結合することにより生成された広いスペクトル分布を有する照射ビームを用いてDTL法を実施すると、印刷パターンの再現可能性及び一様性が高くなる。この技術を代替又は追加とすることで、印刷パターンの特定の再現可能性及び一様性を得るための従来技術に要する精度と比較して、DTL変位の所要精度は低く抑えることができる。
これらの利点を以下の例によりさらに詳述する。最短隣接距離900nmの孔の六角形パターンを有する振幅マスクに対して、中心波長365nmのビームを照射する。第1の場合として、単色光ビームでマスクを照射する。第2の場合として、FWHM幅4.7nmのガウススペクトルを有するビームでマスクを照射する。図9は、これら2つの場合の照射に関して、マスクからの距離(間隔100〜110μm)の関数としての透過光照射野の強度の依存性を示した図である。「プロット1」及び「プロット2」はそれぞれ、単色光及びガウススペクトルの場合に相当する。強度振動の振幅は、第2の場合におよそ4倍小さくなっていることが分かる。また、第1の場合に存在する高周波振動が第2の場合には存在しない。したがって、ガウススペクトルの照射によるDTL法では、積分距離の変動及び積分の開始距離に対する印刷パターンの感度が低下する。
本発明の別の実施形態においては、スペクトル分布のフーリエ変換を考慮することによって、フォトレジストでコーティングされた基板のマスクからの距離がさらに大きくなっても略不変の安定した静止像を得るためのスペクトル分布の所要形状を決定するようにしてもよい。上述の通り、マスクからの距離の関数としての像の安定性は、ビームのスペクトル及び格子の詳細を考慮に入れた電磁シミュレーションによって求めることができる。また、z方向に沿った強度振動の振幅を推定するのに、格子を透過した光のスペクトルのフーリエ変換を利用することもできる。たとえば、純粋な単色光ビームの場合は、フーリエ変換が一定のインパルス関数でスペクトルを表すことができる。したがって、純粋な単色光照射の場合は、強度振動が一定の振幅で無限に続く。
さらに別の例として、z軸に沿った強度振動とビームスペクトルのフーリエ変換との間の関係を図10、図11、及び図12に示す。この例では、最短隣接距離720nmの孔の六角形配置を有する2次元格子に方形波スペクトルの光を照射する。図10に示すように、このスペクトルの中心波長は365nmであり、幅は4nmである。図11はこのスペクトルのフーリエ変換の絶対値を示しており、図12は光軸に沿って計算した強度分布を示している。このプロット中の強度は、マスクにおける1つの孔の中心に対応した点で計算したものである。フーリエ変換と強度振動との間の対応が顕著に表れている。一般的に、距離zにおける強度振動の振幅は、当該z値に対応した空間周波数におけるスペクトルのフーリエ変換を計算することによっておおよそ推定可能である。この対応は、以下の関係で求められる。
ここで、fはスペクトルのフーリエ変換を計算する空間周波数点、λ
0はスペクトルの中心波長、pはマスクパターンの周期、φ(λ
0)は1次回折次数の回折の角度である。
ここで、例を挙げてこの方法の使用方法を詳細に説明する。たとえば、最短隣接距離720nmの孔の六角形アレイを印刷したい場合で、照射ビームの中心波長が365nmであるものと仮定する。さらには、ATL法により、マスクからおよそz=100μm以上の距離でこのパターンを印刷したいものと仮定する。式(11)から、この距離に対応した空間周波数がf=0.175nm-1と計算される。したがって、スペクトルのフーリエ変換は、0.175nm-1以上の空間周波数に対して有意な強度を有していないはずである。このフーリエ変換法と式(7)に導入した基準との比較として、距離100μmを超えて静止像を与えるスペクトルの幅wを計算する。式(6)を用いると、この例の上述した印刷要求を満足するには、FWHM(2w)が5.7nmのガウス状スペクトルが必要であることが分かる。また、上記の式により計算した空間周波数(f=0.175nm-1)が式(7)で計算したFWHMの逆数f=1/2wに等しいことが分かる。したがって、いずれの方法でも同様の結果が得られる。式(7)はガウス状の滑らかなスペクトルの場合に特に適しているが、たとえば複数のピークを有するスペクトル等のより複雑なスペクトルの場合は、強度振動の様子及び所要の安定距離を推定する方法としてフーリエ変換法の使用が好ましい。フーリエ変換法は、電磁シミュレーションが不要なため、都合良く利用可能である。たとえばMathWorks社が開発したMatlabソフトウェア等、多くの市販ソフトウェアツールがフーリエ変換機能を備えており、所与のスペクトルに関する計算を容易に実行可能である。
一般的な指針として使用すべきは、スペクトル幅に基づいて式(7)により求められた推定又は上述したスペクトルのフーリエ変換である。また、振動の振幅は一般に、フィーチャサイズ等のマスクパターンの詳細ならびにフィーチャの位相シフト及び/又は減衰特性によって決まる。さらに、マスクからの距離の増大に伴う強度振動の許容値には、用途に応じた要件及びフォトレジストプロセスの特性も影響する。したがって、プロセスの要件に応じて、格子及び用途の詳細を考慮した適当な電磁計算により、像コントラストと併せて特定の距離における振動振幅を決定するようにしてもよい。また、フォトレジスト中の予想パターンの計算は、このような光学計算の結果を用いて、当該フォトレジスト向けに設計されたシミュレーションツールにより行うようにしてもよい。
本発明の教示内容は、マスクと基板間の離間距離の許容範囲や所望の露光時間等、リソグラフィ用途のその他要件も考慮に入れつつ、露光システムの設計に適用してもよい。このような設計の場合は、たとえば印刷する周期パターンの種類や周期、マスクとフォトレジストコーティング基板間の許容離間距離、印刷可能な最大パターン面積、フォトレジストの感度、及び所望の露光時間等、露光システムの仕様をまず初めに規定する。マスクとウェハー間の離間距離の許容範囲は、マスクとウェハー間の接触に起因する損傷の回避及び粒子汚染又はウェハーの非平坦性に対する一定許容値の規定の必要に応じて影響を受ける場合がある。そして、これらのシステム仕様に基づいて、特に照射野面積A、照射強度Φ、直交平面におけるビーム光線の角度範囲(すなわち、デコリメーション度)θ、及びスペクトル分布の帯域幅(好ましくはFWHM値)w等、マスクにおいて必要な照射条件を決定するようにしてもよい。所要照射強度は、フォトレジストの感度、フォトマスクの透過性、及び目標露光時間によって決まる。また、所要コリメーション度は、印刷パターンの目標解像度によって決まり、式(8)を用いて決定してもよい。また、照射ビームの所要スペクトル帯域幅は、静止像を形成するマスクからの距離によって決まり、式(7)を用いて推定してもよい。
上述の実施形態で説明したように、本発明を実施するのに適したレーザー光源は、様々な出力波長を有するレーザーダイオードのセットである。このようなレーザーの出力特性は、利用可能な波長の範囲λ
min〜λ
max、該当する波長に関して各レーザーで利用可能な最大パワーPλ、該当する波長に関する各レーザーの出力パワーの駆動電流依存性Pλ=fλ(l)、各レーザーからのビームのスペクトル線幅Δλ、及び発散ビームの平面におけるビーム断面と当該平面における断面の各点を通る光線の立体角との積として規定可能なビームの面積sを考慮して定義するようにしてもよい(Δλ及びsはいずれも、異なるレーザーに対して略同じと仮定してもよい)。そして、この定義と、レーザーとマスク間の光学系の透過効率の推定値εとに基づいて、目標とする仕様を実現するための上記所定のスペクトル分布及びビーム強度を生成するのに必要なレーザー数N、ピーク波長λ
1、λ
2、・・・λ
N、及び駆動電流I
1、I
2、・・・I
Nを選択可能である。基本的な光学原理によれば、光学系を伝搬する光の面積は、保存又は増大する。すなわち、減少することはない(空間フィルタリング又はその同等作用により光が損失していないものと仮定)。したがって、マスクを照射するビームの面積Sは、異なるレーザー光源からのビームの面積の合計を下回ることはない。すなわち、
であることから、
である。
この条件が満たされない場合、N個のレーザー光源からのビームは、(少なくとも光の空間フィルタリングや許容範囲外のレーザーパワー損失があれば)結合して断面積A及びデコリメーション度θのビームを生成することはできない。このような場合は、妥協が必要となる。たとえば、結合ビーム中の光は、空間フィルタリングによって面積を小さくすることにより、上記の式の左辺を小さくするようにしてもよい。あるいは、レーザー数を削減してもよい。後者を選択した場合は、スペクトル幅への影響を考慮する必要がある。たとえば、スペクトル幅が小さくなると、マスクとウェハー間の離間距離を大きくする必要があるため、より小さなビームのデコリメーションが必要となる場合がある。また、いずれの場合も、照射ビームの強度が低下するため、露光時間及びシステムスループットに悪影響が出る。
さらに、N個のレーザー光源からのビームを結合するために用いる手段に応じて、結合ビーム中の光の面積が式(13)の右辺のNsよりも実質的に大きくなる場合がある。したがって、条件違反の場合はシステム仕様の再考が当然必要であるが、違反していなくても、マスクにおけるビームサイズやデコリメーション角の観点では、照射要件が確実に満たされるわけではない。したがって、式(13)は最小要件を表しており、システム設計に応じて拡大する必要がある。特定の場合においては、実用上の制約及び設計関連の制約によって、(少なくとも許容範囲外のパワー損失があれば)ビームを結合して結果的に面積Nsを有することができなくなる場合もある。
本発明の教示内容に基づくリソグラフィ露光システムの設計に利用可能な上記一連のステップ手順を図13のフローチャートに示す。当然のことながら、これの代わりに別の設計方法を採用してもよい。
上記詳述した第1の実施形態の場合、使用するレーザー光源の数は20個であり、各LDの発光断面はおよそ10μm2であり、直交平面における各LDからの出力ビームの発散は通常およそ15°×30°(FWHM値)である。このため、出力ビームの総面積すなわち式(13)の右辺は、およそ0.3cm2mR2となる。一方、第1の実施形態においてマスクを照射するビームの面積はおよそ225cm2(レンズ口径による欠失は一切無視)であり、ビーム中のコリメーション度は各平面においておよそ1.4mRである。このため、マスクを照射するビームの面積すなわち式(13)の左辺は、およそ440cm2mR2である。したがって、式(13)で表される条件は容易に順守され、当該要件を実現する光学系の設計が可能であることを裏付けている。また、式(13)の右辺は、第1の実施形態の光学系における中間位置で計算することにより、総面積が光学系の一部で大きくなっていないことを確認するようにしてもよい。たとえば、ファイバ6の出力において計算するようにしてもよい。ここで、発光表面の面積はおよそ0.33mm2であり、出力ビームの発散角は直交平面においておよそ10°である。このため、ファイバ6の端部におけるビームの面積は、およそ100cm2mR2である。この値は、マスクを照射するビームについて上記計算した値よりもはるかに小さく、ファイバ6の出力ビームを変換してマスクの照射に必要な特性を有するビームを形成する光学系の設計が可能であることを裏付けている。
上述の実施形態は、本発明の好適な実施形態と考えられるが、当然のことながら、本発明の精神から逸脱することなく、構成又は細部について種々改良及び変更が容易に可能である。したがって、本発明は、上記説明した厳密な構成に限定されるものではなく、添付の請求の範囲に含まれ得るすべての改良を網羅するように構築すべきである。