JP2016210325A - 4輪駆動車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】クラッチの温度の高低に加えて、クラッチ解放時のクラッチの入出力要素の相対回転速度の大きさに応じてクラッチ解放時のクラッチの押圧ピストンの位置を制御することによって、2輪駆動状態から4輪駆動状態への切替応答性を向上させる4輪駆動車両の制御装置を提供する。【解決手段】トランスファ22の油温Tと車速Vとの双方に応じてクラッチ隙間Cが変更され、クラッチ隙間Cによって前輪駆動用クラッチ50が解放されたクラッチ解放時のピストン82の位置が変化させられるので、従来のクラッチ温度のみに応じてピストン位置を変化させる場合に比べ、前輪駆動用クラッチ50の摩擦係合要素80の相対回転速度が高い場合には、所定値以下の引摺トルクを維持した上で、ピストン82の待機位置を前輪駆動用クラッチ50の押圧開始が行われる位置に接近させることができ、2輪駆動状態から4輪駆動状態への切替応答性を一層向上させられる。【選択図】図5
Description
本発明は、多板クラッチを解放させることにより駆動源から左右の主駆動輪へ駆動力を伝達する2輪駆動状態と、多板クラッチを係合させることにより前記駆動源から左右の副駆動輪へも駆動力を伝達する4輪駆動状態とが選択される4輪駆動車両において、2輪駆動状態から4輪駆動状態への切替応答性を向上させる技術に関する。
特許文献1には、デフケースと一対のサイドギヤの一方との間(の動力伝達経路)に多板クラッチが設けられた差動制限機能付きのディファレンシャル装置が記載されている。上記多板クラッチでは、モータが第1カムプレートと第2カムプレートとの間にボールが挟持されたボールカムを介してピストンを反力スプリングの付勢力に抗して移動させ、多板クラッチを係合させており、ディファレンシャル装置の油温変化に応じて非差動制限時の上記多板クラッチでのピストンの位置を変化させ、その油温変化による多板クラッチの部品の寸法変化に伴うクラッチ隙間の変化を低減して、多板クラッチのクリアランスの増加による差動制限状態への応答性の低下や、逆にクリアランスの減少による引き摺りトルクの増大を抑制している。
ところで、上記に示すようなディファレンシャル装置の多板クラッチを、例えば、駆動源と動力伝達部材との間の動力伝達経路を断接するクラッチとして用いて、その多板クラッチを解放させることにより駆動源から左右の主駆動輪へ駆動力を伝達する2輪駆動状態と、多板クラッチを係合させることにより前記駆動源から左右の副駆動輪へも駆動力を伝達する4輪駆動状態とが選択される4輪駆動車両に適用させることが考えられる。
しかしながら、上記多板クラッチを後述するディスコネクト機能付の4輪駆動車両のトランスファの副駆動輪駆動用クラッチとして適用させた場合、クラッチ解放時のクラッチの入出力要素の相対回転速度やその変化が大きくなり、その変化に伴うクラッチの引摺りトルクの大きさの変化を鑑みると、クラッチ制御方法に改良の余地がある。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、クラッチの温度の高低に加えて、クラッチ解放時のクラッチの入出力要素の相対回転速度の大きさに応じてクラッチ解放時のクラッチの押圧ピストンの位置を制御することによって、2輪駆動状態から4輪駆動状態への切替応答性を向上させる4輪駆動車両の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するための、本発明の要旨とするところは、(a)駆動源と動力伝達部材との間の動力伝達経路を断接する多板クラッチと、前記動力伝達部材と左右の副駆動輪との間の動力伝達経路を断接する断接クラッチとを備え、前記断接クラッチと前記多板クラッチとを解放させることにより前記駆動源から左右の主駆動輪へ駆動力を伝達する2輪駆動状態と、前記断接クラッチと前記多板クラッチとを係合させることにより前記駆動源から前記左右の副駆動輪へも駆動力を伝達する4輪駆動状態とが選択される4輪駆動車両の、制御装置であって、(b)前記多板クラッチのピストンを、モータと、そのモータの回転運動を直線運動に変換するネジ機構とで駆動するクラッチ駆動装置と、(c)前記多板クラッチのクラッチ温度またはその推定温度と前記多板クラッチのクラッチ入出力要素の相対回転速度との双方に応じて、前記多板クラッチが解放されたクラッチ解放時の前記ピストンの位置を変化させるように前記クラッチ駆動装置を制御するクラッチ制御手段とを、含み、(d)前記クラッチ制御手段は、前記多板クラッチのクラッチ温度またはその推定温度が高いほど、前記多板クラッチのクラッチ入出力要素の相対回転速度が高くなるほど、前記ピストンの待機位置を前記多板クラッチの押圧開始が行われる基準位置に接近させることにある。
このように構成された4輪駆動車両によれば、前記多板クラッチのクラッチ温度またはその推定温度と前記多板クラッチのクラッチ入出力要素の相対回転速度との双方に応じて、前記多板クラッチが解放されたクラッチ解放時の前記ピストンの位置が変化させられるので、従来のクラッチ温度のみに応じてピストン位置を変化させる場合に比べ、前記多板クラッチの入出力要素の相対回転が高い場合には、所定値以下の引き摺りトルクを維持した上で、前記ピストンの待機位置を前記多板クラッチの押圧開始が行われる位置に接近させることができ、2輪駆動状態から4輪駆動状態への切替応答性を一層向上させることができる。
ここで、好適には、前記ネジ機構は、前記モータにより駆動される回転部材と、前記回転部材に螺合して前記ピストンを駆動するナット部材とからなる。このため、前記ナット部材をモータで駆動する場合に比べ、よりコンパクトな構成で、前記ネジ機構において前記モータによって前記回転部材が回転駆動させられるとネジの作用によって前記ナット部材が移動し、前記ピストンが所定位置に移動する。
また、好適には、前記4輪駆動車両の制御装置に記憶された、前記多板クラッチに対する押圧開始時の前記ピストンの位置を基準に前記モータの回転角が決められている。このため、前記ピストンの位置をその押圧開始時のピストン位置を基準として前記モータによって好適に所定の位置に移動させることができるので、高い位置決め精度が得られる。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用される車両(4輪駆動車両)10の概略構成を説明する図であると共に、車両10における各種制御の為の制御系統の要部を説明する図である。図1において、車両10は、駆動源としてのエンジン12、左右の前輪14L、14R(特に区別しない場合には前輪14という)、左右の後輪16L、16R(特に区別しない場合には後輪16という)、エンジン12の動力を前輪14と後輪16とへそれぞれ伝達する車両用動力伝達装置18(以下、動力伝達装置18という)などを備えている。後輪16は、2輪駆動(2WD)走行中及び4輪駆動(4WD)走行中のときに共に駆動輪となる主駆動輪である。前輪14は、2WD走行中のときに従動輪となり且つ4WD走行中のときに駆動輪となる副駆動輪である。従って、車両10は、前置エンジン後輪駆動(FR)をベースとする4輪駆動車両である。
動力伝達装置18は、エンジン12に連結された変速機(トランスミッション)20、変速機20に連結された前後輪動力分配装置であるトランスファ22、トランスファ22にそれぞれ連結されたフロントプロペラシャフト(動力伝達部材)24及びリヤプロペラシャフト26、フロントプロペラシャフト24に連結された前輪用差動歯車装置28、リヤプロペラシャフト26に連結された後輪用差動歯車装置30、前輪用差動歯車装置28に連結された左右の前輪車軸32L、32R(特に区別しない場合には前輪車軸32という)、後輪用差動歯車装置30に連結された左右の後輪車軸34L、34R(特に区別しない場合には後輪車軸34という)などを備えている。このように構成された動力伝達装置18において、変速機20を介してトランスファ22へ伝達されたエンジン12の動力は、トランスファ22から、リヤプロペラシャフト26、後輪用差動歯車装置30、後輪車軸34等の後輪側の動力伝達経路を順次介して後輪16へ伝達される。また、後輪16側へ伝達されるエンジン12の動力の一部は、トランスファ22にて前輪14側へ分配されて、フロントプロペラシャフト24、前輪用差動歯車装置28、前輪車軸32等の前輪側の動力伝達経路を順次介して前輪14へ伝達される。
前輪用差動歯車装置28は、フロント側クラッチ(断接クラッチ)36を前輪車軸32R側に(すなわち前輪用差動歯車装置28と前輪14Rとの間に)備えている。フロント側クラッチ36は、前輪用差動歯車装置28と前輪14Rとの間の動力伝達経路すなわちフロントプロペラシャフト24と左右の前輪14L、14Rとの間の動力伝達経路を選択的に接続又は遮断(断接)する、電気的(電磁的)に制御されるドグクラッチ(すなわち噛合式クラッチ)である。尚、フロント側クラッチ36において、更に、同期機構(シンクロ機構)が備えられていても構わない。
図2はトランスファ22の概略構成を説明する骨子図であって、図3はトランスファ22の一部を拡大した断面図である。図2において、トランスファ22は、非回転部材としてのトランスファケース40を備えている。トランスファ22は、トランスファケース40内において、入力回転部材としての入力軸42と、左右の主駆動輪としての後輪16へ動力を出力する第1の出力回転部材としての後輪側出力軸44と、左右の副駆動輪としての前輪14へ動力を出力する第2の出力回転部材としてのドライブギヤ46と、入力軸42の回転を変速して後輪側出力軸44へ伝達する副変速機としてのハイロー切替機構48と、後輪側出力軸44からドライブギヤ46へ伝達する伝達トルクを調整する多板クラッチとしての前輪駆動用クラッチ50とを共通の軸心C1回りに備えている。また、トランスファ22は、トランスファケース40内において、前輪側出力軸52と、前輪側出力軸52に一体的に設けられたドリブンギヤ54とを共通の軸心C2回りに備え、更に、ドライブギヤ46とドリブンギヤ54との間を連結する前輪駆動用チェーン56と、後輪側出力軸44とドライブギヤ46とを一体的に連結するドグクラッチとしてデフロック機構58とを備えている。
入力軸42は、変速機20の図示しない出力回転部材にスプライン嵌合継手などを介して連結されており、エンジン12から変速機20を介して入力された駆動力(トルク)によって回転駆動させられる。後輪側出力軸44は、リヤプロペラシャフト26に連結された主駆動軸である。ドライブギヤ46は、後輪側出力軸44に対して軸心C1まわりに相対回転可能に後輪側出力軸44に支持されている。前輪側出力軸52は、フロントプロペラシャフト24に連結された副駆動軸である。
このように構成されたトランスファ22は、例えばドライブギヤ46へ伝達するトルクを調整して、変速機20から伝達された動力を後輪16のみへ伝達したり、或いは前輪14及び後輪16のそれぞれに分配する。また、トランスファ22は、例えばリヤプロペラシャフト26とフロントプロペラシャフト24との間の回転差動が制限されない差動状態とそれらの間の回転差動が制限された非差動状態(所謂センターデフロック状態)とを切り替える。また、トランスファ22は、例えば高速側ギヤ段(高速側変速段)H及び低速側ギヤ段(低速側変速段)Lの何れかを成立させて、変速機20からの回転を変速して後段へ伝達する。つまり、トランスファ22は、入力軸42の回転をハイロー切替機構48を介して後輪側出力軸44へ伝達すると共に、前輪駆動用クラッチ50を介した伝達トルクが零とされ且つデフロック機構58が解放された状態では、後輪側出力軸44から前輪側出力軸52への動力伝達は行われない一方で、前輪駆動用クラッチ50を介してトルクが伝達されるか或いはデフロック機構58が係合された状態では、後輪側出力軸44からドライブギヤ46、前輪駆動用チェーン56、及びドリブンギヤ54を介して前輪側出力軸52への動力伝達が行われる。
具体的には、ハイロー切替機構48は、シングルピニオン型の遊星歯車装置60と、ハイロースリーブ62とを備えている。遊星歯車装置60は、入力軸42に対して軸心C1回りに相対回転不能に連結されたサンギヤSと、そのサンギヤSに対して略同心に配置され、トランスファケース40に軸心C1回りに相対回転不能に連結されたリングギヤRと、これらサンギヤS及びリングギヤRに噛み合う複数のピニオンギヤPを自転可能且つサンギヤS回りの公転可能に支持するキャリヤCAとを有している。よって、サンギヤSの回転速度は入力軸42に対して等速であり、キャリヤCAの回転速度は入力軸42に対して減速される。このサンギヤSの内周面にはハイ側ギヤ歯64が固設されており、キャリヤCAにはハイ側ギヤ歯64と同径のロー側ギヤ歯66が固設されている。ハイ側ギヤ歯64は、入力軸42と等速の回転を出力する、高速側ギヤ段Hの成立に関与するスプライン歯である。ロー側ギヤ歯66は、ハイ側ギヤ歯64よりも低速側の回転を出力する、低速側ギヤ段Lの成立に関与するスプライン歯である。ハイロースリーブ62は、後輪側出力軸44に軸心C1と平行な方向の相対移動可能にスプライン嵌合されており、フォーク連結部62aと、フォーク連結部62aと隣接して一体的に設けられた、後輪側出力軸44の軸心C1と平行な方向への移動によってハイ側ギヤ歯64とロー側ギヤ歯66とにそれぞれ噛み合う外周歯62bとを有している。ハイ側ギヤ歯64と外周歯62bとが噛み合うことで、入力軸42の回転と等速の回転が後輪側出力軸44へ伝達され、ロー側ギヤ歯66と外周歯62bとが噛み合うことで、入力軸42の回転に対して減速された回転が後輪側出力軸44へ伝達される。ハイ側ギヤ歯64とハイロースリーブ62とは、高速側ギヤ段Hを形成する高速側ギヤ段用クラッチとして機能し、ロー側ギヤ歯66とハイロースリーブ62とは、低速側ギヤ段Lを形成する低速側ギヤ段用クラッチとして機能する。ハイロー切替機構48は、ハイロースリーブ62がハイ側ギヤ歯64とロー側ギヤ歯66との何れとも噛み合わないことにより動力伝達遮断状態(ニュートラル状態)になり、高速側ギヤ段Hと低速側ギヤ段Lとの間でギヤ段が切り替えられる際には、この動力伝達遮断状態を経てから切り替えられる。
デフロック機構58は、ドライブギヤ46の内周面に固設されたロック歯68と、後輪側出力軸44に軸心C1と平行な方向の相対移動可能にスプライン嵌合されて、軸心C1と平行な方向への移動によってロック歯68に噛み合う外周歯70aが外周面に固設されたロックスリーブ70とを有している。トランスファ22は、ロックスリーブ70の外周歯70aとロック歯68とが噛み合ったデフロック機構58の係合状態では、後輪側出力軸44とドライブギヤ46とが一体的に回転させられて、センターデフロック状態が形成される。
ハイロースリーブ62は、入力軸42の支持ベアリング71に対して(より具体的には遊星歯車装置60に対して)ドライブギヤ46側の空間に設けられている。ロックスリーブ70は、ハイロー切替機構48とドライブギヤ46との間の空間に、ハイロースリーブ62と隣接して別体で設けられている。トランスファ22は、ハイロースリーブ62とロックスリーブ70との間に、それぞれに当接してハイロースリーブ62とロックスリーブ70とを相互に離間させる側へ付勢する第1のスプリング72(以下、第1スプリング72という)を備えている。トランスファ22は、ドライブギヤ46とロックスリーブ70との間に、後輪側出力軸44の凸部44aとロックスリーブ70とに当接してロックスリーブ70をロック歯68から離す側へ付勢する第2のスプリング74(以下、第2スプリング74という)を備えている。凸部44aは、ドライブギヤ46の径方向内側の空間においてロック歯68側に突出して設けられた後輪側出力軸44の鍔部である。ハイ側ギヤ歯64は、軸心C1に平行な方向に見てロー側ギヤ歯66よりもロックスリーブ70から離れた位置に設けられている。ハイロースリーブ62の外周歯62bは、ハイロースリーブ62がロックスリーブ70から離間する側(図2において左側)にてハイ側ギヤ歯64に噛み合い、ハイロースリーブ62がロックスリーブ70に接近する側(図2において右側)にてロー側ギヤ歯66に噛み合う。ロックスリーブ70の外周歯70aは、ロックスリーブ70がドライブギヤ46に接近する側(図2において右側)にてロック歯68に噛み合う。従って、ロックスリーブ70の外周歯70aは、ハイロースリーブ62がロー側ギヤ歯66と噛み合う位置にてロック歯68に噛み合う。
前輪駆動用クラッチ50は、後輪側出力軸44に相対回転不能に連結されたクラッチハブ76と、ドライブギヤ46に相対回転不能に連結されたクラッチドラム78と、クラッチハブ76とクラッチドラム78との間に介挿されこれらを選択的に断接する摩擦係合要素(クラッチ入出力要素)80と、摩擦係合要素80を押圧するピストン82とを備える、多板の摩擦クラッチである。前輪駆動用クラッチ50は、後輪側出力軸44の軸心C1方向で、ドライブギヤ46に対してハイロー切替機構48とは反対側に後輪側出力軸44の軸心C1回りに配置されて、ドライブギヤ46側に移動するピストン82によって摩擦係合要素80が押し付けられる。前輪駆動用クラッチ50は、ピストン82がドライブギヤ46から軸心C1に平行な方向に離れる側である非押圧側(図3において右側)に移動させられて摩擦係合要素80に当接しない状態では、解放状態となる。一方で、前輪駆動用クラッチ50は、ピストン82がドライブギヤ46に軸心C1に平行な方向に近づく側である押圧側(図3において左側)に移動させられて摩擦係合要素80に当接する状態では、ピストン82の移動量によって伝達トルク(トルク容量)が調整され、スリップ状態又は係合状態となる。前輪駆動用クラッチ50は、エンジン12とフロントプロペラシャフト24との間の動力伝達経路に設けられ、その動力伝達経路を断接する多板クラッチである。
トランスファ22は、前輪駆動用クラッチ50の解放状態且つロックスリーブ70の外周歯70aとロック歯68とが噛み合っていないデフロック機構58の解放状態では、後輪側出力軸44とドライブギヤ46との間の動力伝達経路が遮断されて、変速機20から伝達された動力を後輪16のみへ伝達する。トランスファ22は、前輪駆動用クラッチ50のスリップ状態又係合状態では、変速機20から伝達された動力を前輪14及び後輪16のそれぞれに分配する。トランスファ22は、前輪駆動用クラッチ50のスリップ状態では、後輪側出力軸44とドライブギヤ46との間の回転差動が許容されて、差動状態(非センターデフロック状態)が形成される。トランスファ22は、前輪駆動用クラッチ50の係合状態では、後輪側出力軸44とドライブギヤ46とが一体的に回転させられて、センターデフロック状態が形成される。前輪駆動用クラッチ50は、伝達トルクが制御されることで、前輪14と後輪16とのトルク配分を例えば0:100〜50:50の間で連続的に変更することができる。
トランスファ22は、ハイロー切替機構48、前輪駆動用クラッチ50、及びデフロック機構58を作動させる装置として、モータ84と、モータ84の回転運動を直線運動に変換するネジ機構86と、ネジ機構86の直線運動力をハイロー切替機構48、前輪駆動用クラッチ50、及びデフロック機構58へそれぞれ伝達する伝達機構88とを、更に備えている。モータ84は、例えばブラシレスモータであり、内蔵された或いはモータシャフト上に設けられた、モータ84の回転角度Am(以下、モータ回転角度Amという)を検出する回転角度センサ85(図1参照)を備えている。
ネジ機構86は、後輪側出力軸44と同じ軸心C1回りに配置されており、トランスファ22に備えられたウォームギヤ90(図2参照)を介してモータ84に間接的に連結された回転部材すなわちモータ84により軸心C1回りに回転駆動させられる回転部材としてのねじ軸部材92と、ねじ軸部材92の回転に伴って軸心C1と平行な方向に移動可能にねじ軸部材92に連結された直線運動部材すなわちねじ軸部材92に螺合してピストン82を駆動するナット部材94とを備えている。ネジ機構86は、ねじ軸部材92とナット部材94が多数のボール96を介して作動するボールねじである。ウォームギヤ90は、モータ84のモータシャフトと一体的に形成されたウォーム98と、軸心C1回りに配置されてねじ軸部材92と一体的に形成されたウォームホイール100とを備えた歯車対である。モータ84の回転は、ウォームギヤ90を介してねじ軸部材92へ減速されて伝達される。ネジ機構86は、ねじ軸部材92に伝達されたモータ84の回転を、ナット部材94の直線運動に変換する。なお、例えばモータ84およびネジ機構86等は、前輪駆動用クラッチ50のピストン82を駆動させて、前輪駆動用クラッチ50を解放状態、スリップ状態、係合状態にするクラッチ駆動装置95である。
伝達機構88は、図2に示すように、ねじ軸部材(回転部材)92の軸心C1と平行な別の軸心C3回りに設けられて、ナット部材94に連結されたフォークシャフト102と、フォークシャフト102に固設されて、ハイロースリーブ62に連結されたフォーク104とを備えている。伝達機構88は、ネジ機構86におけるナット部材94の直線運動力を、フォークシャフト102、及びフォーク104を介してハイロー切替機構48のハイロースリーブ62へ伝達する。ハイロースリーブ62とロックスリーブ70とは第1スプリング72を介して相互に力が付与され、ロックスリーブ70は第2スプリング74を介して後輪側出力軸44の凸部44aから力が付与されている。従って、伝達機構88は、ネジ機構86におけるナット部材94の直線運動力を、ハイロースリーブ62を介してデフロック機構58のロックスリーブ70へ伝達する。その為、第1スプリング72及び第2スプリング74は、伝達機構88の一部を構成する部材として機能する。
ネジ機構86は、前輪駆動用クラッチ50に対してドライブギヤ46とは反対側に配置されている。前輪駆動用クラッチ50のピストン82は、ネジ機構86のナット部材94とは軸心C1と平行な方向の相対移動不能且つ軸心C1回りの相対回転可能に連結されている。従って、ネジ機構86におけるナット部材94の直線運動力は、ピストン82を介して前輪駆動用クラッチ50の摩擦係合要素80に伝達される。その為、ピストン82は、ナット部材94に連結された、前輪駆動用クラッチ50の摩擦係合要素80を押し付ける押付部材であり、伝達機構88の一部を構成する部材として機能する。このように、伝達機構88は、ネジ機構86におけるナット部材94の直線運動力を、前輪駆動用クラッチ50の摩擦係合要素80へ伝達する。
伝達機構88は、図2に示すように、ナット部材94とフォークシャフト102とを連結する連結機構106を備えている。連結機構106は、軸心C3と平行な方向にフォークシャフト102と摺動可能に軸心C3回りに配置された、一端部に設けられた鍔どうしが相対する2つの鍔付円筒部材108a,108b、2つの鍔付円筒部材108a,108bの間に介在させられた円筒状のスペーサ110、及びスペーサ110の外周側に配置された第3のスプリング112(以下、第3スプリング112という)と、2つの鍔付円筒部材108a,108bを軸心C3と平行な方向に摺動可能に把持する把持部材114と、把持部材114とナット部材94とを連結する連結部材116とを備えている。把持部材114は、鍔付円筒部材108a,108bの鍔に当接することで鍔付円筒部材108a,108bをフォークシャフト102上で摺動させる。鍔付円筒部材108a,108bの鍔が共に把持部材114と当接した状態における鍔間の長さは、スペーサ110の長さよりも長くされている。従って、鍔が共に把持部材114と当接した状態は、第3スプリング112の付勢力によって形成される。
フォークシャフト102は、鍔付円筒部材108a,108bの各々を軸心C3と平行な方向の摺動不能とするストッパ118a,118bを、外周面に備えている。ストッパ118a,118bにより鍔付円筒部材108a,108bが摺動不能とされることで、伝達機構88は、ナット部材94の直線運動力を、フォークシャフト102、及びフォーク104を介してハイロー切替機構48へ伝達することができる。
ロックスリーブ70の外周歯70aは、フォークシャフト102がハイロースリーブ62の外周歯62bをロー側ギヤ歯66に噛み合わせる位置(ローギヤ位置と称す)にてロック歯68に噛み合う。前輪駆動用クラッチ50の摩擦係合要素80は、フォークシャフト102がハイロースリーブ62の外周歯62bをハイ側ギヤ歯64に噛み合わせる位置(ハイギヤ位置と称す)にてピストン82によって押し付けられ、フォークシャフト102のローギヤ位置にてピストン82によって押し付けられない。
フォークシャフト102のハイギヤ位置では、鍔付円筒部材108a,108bの鍔間の長さを、鍔が共に把持部材114と当接した状態での長さと、スペーサ110の長さとの間で変化させることができる。従って、連結機構106は、フォークシャフト102のハイギヤ位置のままで、前輪駆動用クラッチ50の摩擦係合要素80がピストン82によって押し付けられる位置と押し付けられない位置との間で、ナット部材94の軸心C1と平行な方向の移動を許容する。
トランスファ22は、フォークシャフト102のハイギヤ位置を保持し、又、フォークシャフト102のローギヤ位置を保持するギヤ位置保持機構120を備えている。ギヤ位置保持機構120は、フォークシャフト102が摺動するトランスファケース40の内周面に形成された収容孔122と、収容孔122に収容されたロックボール124と、収容孔122に収容されてロックボール124をフォークシャフト102側へ付勢するロック用スプリング126と、フォークシャフト102の外周面に形成された、フォークシャフト102のハイギヤ位置においてロックボール124の一部を受け入れる凹部128h及びフォークシャフト102のローギヤ位置においてロックボール124の一部を受け入れる凹部128lとを備えている。ギヤ位置保持機構120によりフォークシャフト102の各ギヤ位置が保持されることで、その各ギヤ位置においてモータ84からの出力を停止してもフォークシャフト102の各ギヤ位置が保持される。
以上のように構成された車両10では、後述する電子制御装置150(図1参照)で例えば4輪駆動走行モードが選択されると、前輪駆動用クラッチ50およびフロント側クラッチ36が係合させられ、エンジン12から左右の後輪16L、16Rおよび左右の前輪14L、14Rへ駆動力を伝達する4輪駆動状態が形成される。また、電子制御装置150で例えば2輪駆動走行モードが選択されると、前輪駆動用クラッチ50およびフロント側クラッチ36が解放させられ、エンジン12から左右の後輪16L、16Rへ駆動力を伝達する2輪駆動状態が形成される。なお、上記2輪駆動状態では、前輪駆動用クラッチ50およびフロント側クラッチ36が解放されるので、上記4輪駆動状態において専ら左右の前輪14L、14Rへ駆動力を伝達するためのフロントプロペラシャフト24をエンジン12および左右の前輪14L、14Rから切り離すディスコネクト状態となる。すなわち、車両10は、2輪駆動状態では4輪駆動状態において専ら副駆動輪である左右の前輪14L、14Rへ駆動力を伝達するための動力伝達部材をエンジン12およびその副駆動輪から切り離すディスコネクト機能付の4輪駆動車両である。
図1に戻り、動力伝達装置18には、例えば2輪駆動状態と4輪駆動状態とを切り替える切替制御等を実行する制御装置を含む電子制御装置(制御装置)150が備えられている。電子制御装置150は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより動力伝達装置18の各種制御を実行する。
電子制御装置150には、車両10に設けられた各センサにより検出される各種入力信号が供給されるようになっている。例えば、回転角度センサ85により検出されるモータ84のモータ回転角度Amを表す信号、車速センサ152により検出される車両10の車速V(km/h)を表す信号、油温センサ154により検出されるトランスファ22の油温T(℃)を表す信号、運転者の操作によって高速側ギヤ段Hを選択する為のHレンジ選択スイッチ156から検出されるHレンジ選択スイッチ156が操作されたことを表す信号であるHレンジ要求HON、運転者の操作によって4輪駆動状態を選択する為の4WD選択スイッチ158から検出される4WD選択スイッチ158が操作されたことを表す信号である4WD要求4WDON、運転者の操作によってセンターデフロック状態を選択する為のデフロック選択スイッチ160から検出されるデフロック選択スイッチ160が操作されたことを表す信号であるデフロック要求LOCKON、が電子制御装置150に入力される。
また、電子制御装置150から、車両10に設けられた各装置に各種出力信号が供給されるようになっている。例えば、フロント側クラッチ36の状態を切り替える為の作動指令信号Sd、モータ回転角度Amに基づいてモータ84の回転角を制御する為のモータ駆動指令信号Sm等が、フロント側クラッチ36のアクチュエータ、モータ84等へそれぞれ出力される。
図1に示すシフトポジション判定部162は、トランスファ22においてピストン82のシフトポジションが、高速側ギヤ段Hでエンジン12から左右の後輪16L、16Rへ駆動力を伝達する2輪駆動状態を実行するH2位置であるか否かを判定する。例えば、シフトポジション判定部162では、トランスファ22においてピストン82のシフトポジションが、高速側ギヤ段Hでエンジン12から左右の後輪16L、16Rおよび左右の前輪14L、14Rへ駆動力を伝達する4輪駆動状態を実行するH4位置である場合や、トランスファ22においてピストン82のシフトポジションが、低速側ギヤ段Lにてセンターデフロック状態で4輪駆動状態を実行するL4位置である場合等に、トランスファ22においてピストン82のシフトポジションがH2位置でないと判定する。なお、電子制御装置150では、たとえば、その電子制御装置150に記憶された前輪駆動用クラッチ50に対する押圧開始時のピストン82の位置を基準に、モータ84の回転角が決定されており、そのモータ84の回転角からピストン82のシフトポジションすなわちピストン82の位置が求められる。
モータ駆動制御部164は、電子制御装置150で選択される車両10の走行モードによって、モータ84を駆動制御してピストン82を移動する。例えば、電子制御装置150において、車両10の走行モードが、高速側ギヤ段Hでエンジン12から左右の後輪16L、16Rへ駆動力を伝達する2輪駆動状態を実行するH2モードであると、モータ駆動制御部164では、モータ84を駆動させてピストン82を前記H2位置に移動させる。また、電子制御装置150において、車両10の走行モードが、高速側ギヤ段Hでエンジン12から左右の後輪16L、16Rおよび左右の前輪14L、14Rへ駆動力を伝達する4輪駆動状態を実行するH4モードであると、モータ駆動制御部164では、モータ84を駆動させてピストン82を前記H4位置に移動させる。また、電子制御装置150において、車両10の走行モードが、低速側ギヤ段Lにてセンターデフロック状態で4輪駆動状態を実行するL4モードであると、モータ駆動制御部164では、モータ84を駆動させてピストン82を前記L4位置に移動させる。なお、電子制御装置150では、例えば、運転者によってHレンジ選択スイッチ156が操作され、且つ、車両10の運転走行状態が、車両10の発進走行、車輪のスリップ、アンダーステア、旋回走行、加速走行、高負荷走行、減速走行のいずれか1つの4輪駆動開始条件を満たすことによって、前記H4モードが選択されるようになっている。また、電子制御装置150では、例えば、運転者によってHレンジ選択スイッチ156が操作され、且つ、車両10の運転走行状態が、前記4輪駆動開始条件を満たさないことによって、前記H2モードが選択されるようになっている。また、電子制御装置150では、例えば、運転者によってデフロック選択スイッチ160が操作されることによって、前記L4モードが選択されるようになっている。
クラッチ隙間変更制御部166は、シフトポジション判定部162でピストン82のシフトポジションが前記H2位置であると判定されると、前輪駆動用クラッチ50のクラッチ温度の推定温度すなわちトランスファ22の作動油(冷却用や潤滑用等)の油温T(℃)と、前輪駆動用クラッチ50の摩擦係合要素80の相対回転速度すなわち車速V(km/h)との双方に応じて前輪駆動用クラッチ50のクラッチ隙間C(mm)を変更し、その変更したクラッチ隙間C(mm)になるようにクラッチ駆動装置95によってピストン82の位置を変更する。なお、クラッチ隙間変更制御部166は、前輪駆動用クラッチ50のクラッチ温度の推定温度と前輪駆動用クラッチ50の摩擦係合要素80の相対回転速度との双方に応じて、前輪駆動用クラッチ50が解放されたクラッチ解放時のピストン82の位置すなわちピストン82の前記H2位置を変化させるようにクラッチ駆動装置95のモータ84を制御するクラッチ制御手段として機能する。また、上記クラッチ隙間Cは、前輪駆動用クラッチ50が解放状態において摩擦係合要素80がドライブギヤ46側に寄った場合の最もピストン82側の摩擦係合要素80とピストン82との間の距離である。前輪駆動用クラッチ50が係合してピストン82が摩擦係合要素80を押圧するとクラッチ隙間Cは零になる。なお、前輪駆動用クラッチ50のクラッチ温度は直接的、間接的に検出されることができる。クラッチ温度の推定温度すなわちトランスファ22の作動油(冷却用や潤滑用等)の油温T(℃)は、図示しない油温センサで検出される。例えば、トランスファケース40の下部に溜まったトランスファ22の作動油をポンプでくみ上げ、後輪側出力軸44のセンターからその作動油が放射状に放出されて前輪駆動用クラッチ50等が冷却・潤滑される。トランスファケース40の下部に形成されたくみ上げ口近傍に設けられた油温センサにより検出されたトランスファ40の作動油の油温T(℃)に基づいて前輪駆動用クラッチ50のクラッチ温度が推定される。
図4は、前輪駆動用クラッチ50のクラッチ隙間C(mm)と前輪駆動用クラッチ50の引摺りトルクTH(Nm)の大きさとの関係を示す図と、前輪駆動用クラッチ50のクラッチ隙間C(mm)と前輪駆動用クラッチ50のクラッチ係合時間TK(sec)との関係を示す図とを表すものである。図4に示すように、前輪駆動用クラッチ50のクラッチ温度が高くなるほど、前輪駆動用クラッチ50の摩擦係合要素80の相対回転速度が高くなるほど、前輪駆動用クラッチ50の引摺りトルクTHが小さくなっている。前者は、前輪駆動用クラッチ50のクラッチ温度が高いほど摩擦係合要素80の間に介在する油の温度が高くなり粘性が低下するので、摩擦係合要素80の間に介在する油のせん断抵抗が低下するためであり、後者は、前輪駆動用クラッチ50の摩擦係合要素80の間に介在する油が摩擦係合要素80の相対回転速度が高くなるほど遠心力によってその油が摩擦係合要素80の間から外に出て行き易くなり摩擦係合要素80の間に介在する油のせん断抵抗が低下するためだと考えられる。また、クラッチ隙間変更制御部166で変更されるクラッチ隙間Cは、例えば、図4に示すように引摺りトルクTHが所定値TH1(Nm)になるように予め実験等により設定された値である。上記所定値TH1(Nm)は、例えば、前輪駆動用クラッチ50の引摺りトルクTHによってフロントプロペラシャフト24が回転しない程度の大きさである。また、図4に示すように、前輪駆動用クラッチ50の引摺りトルクTHが所定値TH1(Nm)となるようにクラッチ隙間Cを決定すると、前輪駆動用クラッチ50のクラッチ温度が高いほど、前輪駆動用クラッチ50の摩擦係合要素80の相対回転速度が高くなるほど、クラッチ隙間Cを小さくすることができるので、つまりピストン82の位置が前輪駆動用クラッチ50の摩擦係合要素80に接近するすなわち前輪駆動用クラッチ50の押圧開始が行われる基準位置に接近させることができるので、ピストン82が移動する時間が短縮され、前輪駆動用クラッチ50のピストン移動開始からクラッチが係合開始する時間TK(sec)を短くすることができる。
クラッチ隙間変更制御部166では、図4に示すように前輪駆動用クラッチ50の引摺りトルクTHの大きさが所定値TH1(Nm)となるように前輪駆動用クラッチ50のクラッチ温度の推定温度と前輪駆動用クラッチ50の摩擦係合要素80の相対回転速度とによって決定したクラッチ隙間Cを、例えば図5に示すようなマップにして、図5のマップからクラッチ隙間C(mm)を変更するようにしている。図5のマップでは、所定範囲内のトランスファ22の油温T(℃)と所定範囲内の車速V(km/h)とに対応するクラッチ隙間Cを表す複数のマップ値(例えば、A1、A2、・・・、B1、B2、・・・)が設定されている。このため、図5のマップでは、トランスファ22の油温T(℃)と車速V(km/h)とが決まるとそれら複数のマップ値(例えば、A1、A2、・・・、B1、B2、・・・)の一つが決定して、クラッチ隙間Cが決まる。なお、図5のマップに設定された複数のマップ値(例えば、A1、A2、・・・、B1、B2、・・・)が表すクラッチ隙間Cは、車速V(km/h)が高くなるほどクラッチ隙間Cが小さくなり車速V(km/h)が低くなるほどクラッチ隙間Cが大きくなる。また、図5のマップのクラッチ隙間Cは、トランスファ22の油温T(℃)が高くなるほどクラッチ隙間Cが小さくなり、トランスファ22の油温T(℃)が低くなるほどクラッチ隙間Cが大きくなる。
モータ駆動制御部164は、シフトポジション判定部162でトランスファ22においてピストン82のシフトポジションがH2位置でないと判定されると、ピストン82の各シフトポジションでのモータ84の駆動制御を実施する。例えば、モータ駆動制御部164では、シフトポジション判定部162でトランスファ22においてピストン82のシフトポジションがH2位置でなく前記H4位置であると判定されると、車両10の走行状態に応じて前輪駆動用クラッチ50の伝達トルクの大きさが制御されるように、モータ84によってピストン82が駆動させられる。
変化判定部168は、クラッチ隙間変更制御部166でクラッチ隙間Cが変更されると、そのクラッチ隙間Cが変更された時の車速V(km/h)およびトランスファ22の油温T(℃)から、現在の車速V(km/h)およびトランスファ22の油温T(℃)の少なくとも1つが一定以上変化したか否かを判定する。なお、変化判定部168では、クラッチ隙間変更制御部166で一度もクラッチ隙間Cを変更していない時例えばエンジン始動時には、予め設定された所定値の車速V(km/h)およびトランスファ22の油温T(℃)に対して、現在の車速V(km/h)およびトランスファ22の油温T(℃)の少なくとも1つが一定以上変化したか否かを判定する。
クラッチ隙間変更制御部166は、変化判定部168でクラッチ隙間変更制御部166でクラッチ隙間Cが変更された時の車速V(km/h)およびトランスファ22の油温T(℃)の少なくとも1つが一定以上変化したと判定されると、トランスファ22の油温T(℃)と車速V(km/h)とにより図5のマップを用いて前輪駆動用クラッチ50のクラッチ隙間C(mm)を変更し、その変更したクラッチ隙間C(mm)になるようにクラッチ駆動装置95によってピストン82の位置を移動する。例えば、クラッチ隙間変更制御部166では、車速センサ152から比較的高い車速V(km/h)が検出され且つ油温センサ154から比較的高い油温T(℃)が検出されると、図5のマップによって比較的小さい値のクラッチ隙間C(mm)に変更される。また、クラッチ隙間変更制御部166では、車速センサ152から比較的低い車速V(km/h)が検出され且つ油温センサ154から比較的低い油温T(℃)が検出されると、図5のマップによって比較的大きい値のクラッチ隙間C(mm)に変更される。また、クラッチ隙間変更制御部166は、変化判定部168でクラッチ隙間変更制御部166でクラッチ隙間Cが変更された時の車速V(km/h)およびトランスファ22の油温T(℃)のいずれもが一定以上変化してないと判定されると、図5のマップを用いてクラッチ隙間Cを変更せずに前回のクラッチ隙間変更制御部166で変更されたクラッチ隙間Cを維持する。また、クラッチ隙間変更制御部166は、変化判定部168でクラッチ隙間変更制御部166でクラッチ隙間Cが変更された時の車速V(km/h)およびトランスファ22の油温T(℃)のいずれもが一定以上変化してないと判定されると、モータ84に供給される電流を停止してピストン82の位置を保持する。
図6は、電子制御装置150において、車両走行中に車両10の走行モードが変更されて、クラッチ駆動装置95によってピストン82の位置が移動させられる前輪駆動用クラッチ50のクラッチ制御の制御作動の一例を説明するフローチャートである。
先ず、シフトポジション判定部162の機能に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S1において、トランスファ22においてピストン82のシフトポジションが、高速側ギヤ段Hでエンジン12から左右の後輪16L、16Rへ駆動力を伝達する2輪駆動状態を実行するH2位置であるか否かが判定される。そのS1の判定が否定される場合には、モータ駆動制御部164の機能に対応するS2が実行させられるが、そのS1の判定が肯定される場合には、変化判定部168の機能に対応するS3が実行させられる。
上記S2では、ピストン82の各シフトポジションでのモータ84の駆動制御が実施される。例えば、ピストン82のシフトポジションが前記H2位置でなく前記H4位置であると判定されると、車両10の走行状態に応じて前輪駆動用クラッチ50の伝達トルクが制御されるようにモータ84によってピストン82が駆動させられる。
上記S3では、後述するS5でクラッチ隙間Cが変更された時の車速V(km/h)およびトランスファ22の油温T(℃)から、または一度もクラッチ隙間Cが変更されていない場合には予め設定された車速V(km/h)およびトランスファ22の油温T(℃)から、現在の車速V(km/h)およびトランスファ22の油温T(℃)の少なくとも1つが一定以上変化したか否かが判定される。
上記S3が否定される場合には、クラッチ隙間変更制御部164の機能に対応するS4が実行されるが、上記S3が肯定される場合には、クラッチ隙間変更制御部166の機能に対応するS5が実行される。上記S4では、モータ84に供給される電流が停止されてピストン82の位置が保持される。
上記S5では、トランスファ22の油温T(℃)と車速V(km/h)とによって図5のマップからクラッチ隙間Cが変更され、その変更されたクラッチ隙間C(mm)になるようにクラッチ駆動装置95によってピストン82の位置が移動させられる。
図6のフローチャートでは、上記S3で、上記S5でクラッチ隙間Cが変更された時の車速V(km/h)およびトランスファ22の油温T(℃)から、現在の車速V(km/h)およびトランスファ22の油温T(℃)のいずれもが一定以上変化した場合には、上記S5でクラッチ隙間Cが変更されるが、現在の車速V(km/h)およびトランスファ22の油温T(℃)のいずれもが一定以上変化しない場合には、上記S5で変更されたクラッチ隙間Cが維持されると共に、モータ84への電流の供給が停止する。
上述のように、本実施例の車両10の電子制御装置150によれば、前輪駆動用クラッチ50のクラッチ温度に関連するトランスファ22の油温T(℃)と前輪駆動用クラッチ50の摩擦係合要素80の相対回転速度に関連する車速V(km/h)との双方に応じてクラッチ隙間Cが変更され、そのクラッチ隙間Cによって前輪駆動用クラッチ50が解放されたクラッチ解放時のピストン82の位置が変化させられるので、従来のクラッチ温度のみに応じてピストン位置を変化させる場合に比べ、前輪駆動用クラッチ50の摩擦係合要素80の相対回転速度が高い場合には、所定値以下の引き摺りトルクを維持した上で、ピストン82の待機位置を前輪駆動用クラッチ50の押圧開始が行われる位置に接近させることができ、2輪駆動状態から4輪駆動状態への切替応答性を一層向上させることができる。
また、本実施例の車両10の電子制御装置150によれば、ネジ機構86は、モータ84により駆動されるねじ軸部材92と、ねじ軸部材92に螺合してピストン82を駆動するナット部材94とからなる。このため、ナット部材94をモータ84で駆動する場合に比べ、よりコンパクトな構成で、ネジ機構86においてモータ84によってねじ軸部材92が回転駆動させられるとネジの作用によってナット部材94が移動し、ピストン82が所定位置に移動する。
また、本実施例の車両10の電子制御装置150によれば、車両10の電子制御装置10に記憶された、前輪駆動用クラッチ50に対する押圧開始時のピストン82の位置を基準にモータ84の回転角が決められている。このため、ピストン82をその押圧開始時のピストン82の位置を基準としてモータ84によって好適に所定の位置に移動させることができるので、高い位置決め精度が得られる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例の車両10は、FRベースの4輪駆動車両であったが、本発明は、FFベース、RRベースなどに適宜実施することができる。
前述の実施例において、クラッチ隙間変更制御部166では、前輪駆動用クラッチ50のクラッチ温度の推定温度としてトランスファ22の作動油(冷却用や潤滑用等)の油温T(℃)が用いられていたが、それに替えて、4輪駆動車両10の走行開始後の走行距離や走行時間から推定されるクラッチの推定温度を用いても良い。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:車両(4輪駆動車両)
12:エンジン
14L、14R:前輪(副駆動輪)
16L、16R:後輪(主駆動輪)
24:フロントプロペラシャフト(動力伝達部材)
36:フロント側クラッチ(断接クラッチ)
50:前輪駆動用クラッチ(多板クラッチ)
80:摩擦係合要素(クラッチ入出力要素)
82:ピストン
84:モータ
86:ネジ機構
95:クラッチ駆動装置
150:電子制御装置(制御装置)
166:クラッチ隙間変更制御部(クラッチ制御手段)
12:エンジン
14L、14R:前輪(副駆動輪)
16L、16R:後輪(主駆動輪)
24:フロントプロペラシャフト(動力伝達部材)
36:フロント側クラッチ(断接クラッチ)
50:前輪駆動用クラッチ(多板クラッチ)
80:摩擦係合要素(クラッチ入出力要素)
82:ピストン
84:モータ
86:ネジ機構
95:クラッチ駆動装置
150:電子制御装置(制御装置)
166:クラッチ隙間変更制御部(クラッチ制御手段)
Claims (1)
- 駆動源と動力伝達部材との間の動力伝達経路を断接する多板クラッチと、前記動力伝達部材と左右の副駆動輪との間の動力伝達経路を断接する断接クラッチとを備え、前記断接クラッチと前記多板クラッチとを解放させることにより前記駆動源から左右の主駆動輪へ駆動力を伝達する2輪駆動状態と、前記断接クラッチと前記多板クラッチとを係合させることにより前記駆動源から前記左右の副駆動輪へも駆動力を伝達する4輪駆動状態とが選択される4輪駆動車両の、制御装置であって、
前記多板クラッチのピストンを、モータと、そのモータの回転運動を直線運動に変換するネジ機構とで駆動するクラッチ駆動装置と、
前記多板クラッチのクラッチ温度またはその推定温度と前記多板クラッチのクラッチ入出力要素の相対回転速度との双方に応じて、前記多板クラッチが解放されたクラッチ解放時の前記ピストンの位置を変化させるように前記クラッチ駆動装置を制御するクラッチ制御手段とを、含み、前記クラッチ制御手段は、前記多板クラッチのクラッチ温度またはその推定温度が高いほど、前記多板クラッチのクラッチ入出力要素の相対回転速度が高くなるほど、前記ピストンの待機位置を前記多板クラッチの押圧開始が行われる基準位置に接近させることを特徴とする4輪駆動車両の制御装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2015096926A JP2016210325A (ja) | 2015-05-11 | 2015-05-11 | 4輪駆動車両の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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|---|---|
| JP2016210325A true JP2016210325A (ja) | 2016-12-15 |
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Country Status (1)
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|---|---|
| JP (1) | JP2016210325A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2019001284A (ja) * | 2017-06-14 | 2019-01-10 | 株式会社ジェイテクト | 駆動力伝達装置 |
| JP2019038378A (ja) * | 2017-08-25 | 2019-03-14 | 株式会社ジェイテクト | 4輪駆動車及び4輪駆動車の制御方法 |
-
2015
- 2015-05-11 JP JP2015096926A patent/JP2016210325A/ja active Pending
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2019001284A (ja) * | 2017-06-14 | 2019-01-10 | 株式会社ジェイテクト | 駆動力伝達装置 |
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