JP2017116151A - 冷却装置、これを搭載した電子機器および電気自動車 - Google Patents
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Abstract
【課題】電子機器および電気自動車の電子回路内の半導体素子が発生する熱量が低発熱量から高発熱量まで変動する場合、特に低発熱量時の冷却性能の低下と動作安定性を確保しつつ、高発熱量まで広範囲で高い冷却性能を実現した冷却装置を提供することを目的とする。【解決手段】放熱経路6の鉛直部を主経路路6aと副経路6bで構成し、前記副経路6bの断面積は、前記主経路6aの断面積より小さい構成とすることで、低発熱量時は副経路6bが主に動作することで低発熱量時の冷却性能の低下と動作安定性を確保し、高発熱量時は主経路6aと副経路6bが同時に動作するように構成したことで、高い冷却性能を低発熱量〜高発熱量の広範囲にわたって実現したことを特徴とする冷却装置。【選択図】図2
Description
本発明は、冷却装置、これを搭載した電子機器、および電気自動車に関するものである。
従来この種の冷却装置は、電子機器および電気自動車の電力変換回路に搭載されたものが知られている。電気自動車では、駆動動力源となる電動モータを電力変換回路であるインバータ回路でスイッチング駆動していた。インバータ回路には、パワートランジスタを代表とする半導体スイッチング素子が複数個使われていて、それぞれの素子に数十アンペアの大電流が流れていた。そのため、大きな熱が発生し、冷却することが必要であった。
そこで、従来は、例えば特許文献1のように、加熱部101と冷却器102と上昇管103と下降管104とで構成するループ型ヒートパイプにより半導体スイッチング素子などの発熱体の冷却を行っていた。
以下、特許文献1に示すループ型ヒートパイプについて、図8を参照しながら説明する。
図8に示すようにループ型ヒートパイプは上昇管103と下降管104とを別個に含むループ回路105と、ループ回路105に真空下において封入された作動流体である熱媒体106と、ループ回路105の一部を構成しかつループ回路105の上方に位置する冷却器102と、上昇管103の下部に位置する加熱部101と、ループ回路105内の下部に介装しループ回路105内の熱媒体106の循環方向を限定する逆止弁107とを備えている。
ここで、加熱部101に接触させた半導体スイッチング素子に熱が発生すると、発生した熱は加熱部101へ伝わり、加熱部101を循環する熱媒体106に熱が加えられ気化する。逆止弁107によりその循環方向が制限され、気化した熱媒体106は上昇管103を上昇し冷却器102に導かれて冷却され、ここで、加熱部101で加えられた熱を放出する。冷却器102で熱を放出した熱媒体106は下降管104を下降し、逆止弁107を介して再び加熱部101へと循環する。
このような従来の冷却装置において、上昇管103の管径は、発生する熱媒体106の気化量に応じて、気化量が多くなるほど、大きくする必要がある。すなわち、半導体スイッチング素子の発熱量が多いほど熱媒体106の気化量が多くなるため、上昇管103の管径を大きくする必要がある。一方で、半導体スイッチング素子の発熱量は常に一定とは限らず、同一の半導体スイッチング素子であっても運転状態によって発熱量が変動し、特に半導体スイッチング素子の起動時においては発熱量は通常運転時より少なくなる場合が多い。
このような場合、発熱量に対して、上昇管103の管径が大き過ぎると、上昇管103の途中で液相の熱媒体106が下側すなわち加熱部101側へ逆流する現象を引き起こす場合が多く、加熱部101で熱を受け取った熱媒体106がスムーズに冷却器102側に移動せず加熱部101内にとどまるため加熱部101の温度が上昇し、結果的に冷却性能が低下するという課題を有していた。
そこで本発明は、上記の従来の課題を解決するものであり、半導体スイッチング素子の起動時、上昇管103(放熱経路)内の熱媒体106(作動流体)が下側すなわち加熱部101側へ逆流することを防止することにより、起動時の低い発熱量でも受熱部から放熱部へ作動流体をスムーズに循環させることができ、結果的に冷却性能の低下を防止する却装置を提供することを目的とする。
そして、この目的を達成するために、本発明の冷却装置は、発熱体からの熱を前記発熱体に接触させた受熱板から前記作動流体に伝える受熱部と、前記作動流体の熱を放出する放熱部と、前記受熱部と前記放熱部とを接続する放熱経路と帰還経路とを備え、前記作動流体を、前記受熱部、前記放熱経路、前記放熱部、前記帰還経路、前記受熱部へと循環させて熱の移動を行う冷却装置であって、前記帰還経路には逆流防止弁を備え、前記逆流防止弁の上流の圧力が前記逆流防止弁の下流の圧力より高くなった時に前記作動流体は前記逆流防止弁を通過し、前記作動流体は前記受熱板上に供給され、供給された前記作動流体の一部が気化し、その際の体積膨張により残りの作動流体が前記流入口と前記受熱板との隙間から外周部へ拡散され、前記受熱板の表面に前記作動流体が薄い膜として広がり気化するとともに、前記放熱経路の鉛直部は、主経路と副経路で構成され、前記副経路の断面積は、前記主経路の断面積より小さいことを特徴としており、これにより所期の目的を達成するものである。
本発明の冷却装置によれば、発熱体からの熱を前記発熱体に接触させた受熱板から前記作動流体に伝える受熱部と、前記作動流体の熱を放出する放熱部と、前記受熱部と前記放熱部とを接続する放熱経路と帰還経路とを備え、前記作動流体を、前記受熱部、前記放熱経路、前記放熱部、前記帰還経路、前記受熱部へと循環させて熱の移動を行う冷却装置であって、前記帰還経路には逆流防止弁を備え、前記逆流防止弁の上流の圧力が前記逆流防止弁の下流の圧力より高くなった時に前記作動流体は前記逆流防止弁を通過し、前記作動流体は前記受熱板上に供給され、供給された前記作動流体の一部が気化し、その際の体積膨張により残りの作動流体が前記流入口と前記受熱板との隙間から外周部へ拡散され、前記受熱板の表面に前記作動流体が薄い膜として広がり気化するとともに、前記放熱経路の鉛直部は、主経路と副経路で構成され、前記副経路の断面積は、前記主経路の断面積より小さい構成を有する。
これにより、単一の放熱経路と比較して放熱経路を主経路と副経路の2つに分割することで、起動時の低い発熱量でも受熱部から放熱部へ作動流体をスムーズに循環させることができ、結果的に冷却性能の低下を防止することができるのである。
管路の断面積が小さいほど管路の中に存在する液体の表面張力は大きくなり、液体の表面を押し上げる方向に力がはたらくことが毛細管現象として知られている。すなわち、副経路の断面積を、主経路の断面積より小さくすることで、副経路内の作動流体の表面張力が大きくなり、副経路内の作動流体を押し上げる方向に力がはたらくので、放熱部側への作動流体を主経路より容易に運ぶことができる。その結果、起動時の低い発熱量でも受熱部から放熱部へ作動流体をスムーズに循環させることができ、結果的に冷却性能の低下を防止することができるのである。
本発明の請求項1記載の冷却装置は、発熱体からの熱を前記発熱体に接触させた受熱板から前記作動流体に伝える受熱部と、前記作動流体の熱を放出する放熱部と、前記受熱部と前記放熱部とを接続する放熱経路と帰還経路とを備え、前記作動流体を、前記受熱部、前記放熱経路、前記放熱部、前記帰還経路、前記受熱部へと循環させて熱の移動を行う冷却装置であって、前記帰還経路には逆流防止弁を備え、前記逆流防止弁の上流の圧力が前記逆流防止弁の下流の圧力より高くなった時に前記作動流体は前記逆流防止弁を通過し、前記作動流体は前記受熱板上に供給され、供給された前記作動流体の一部が気化し、その際の体積膨張により残りの作動流体が前記流入口と前記受熱板との隙間から外周部へ拡散され、前記受熱板の表面に前記作動流体が薄い膜として広がり気化するとともに、前記放熱経路の鉛直部は、主経路と副経路で構成され、前記副経路の断面積は、前記主経路の断面積より小さい構成を有する。
これにより、単一の放熱経路と比較して放熱経路を主経路と副経路の2つに分割することで、起動時の低い発熱量でも受熱部から放熱部へ作動流体をスムーズに循環させることができ、結果的に冷却性能の低下を防止することができるのである。管路の断面積が小さいほど管路の中に存在する液体の表面張力は大きくなり、液体の表面を押し上げる方向に力がはたらくことが毛細管現象として知られている。すなわち、副経路の断面積を、主経路の断面積より小さくすることで、副経路内の作動流体の表面張力が大きくなり、副経路内の作動流体を押し上げる方向に力がはたらくので、放熱部側への作動流体を主経路より容易に運ぶことができる。その結果、起動時の低い発熱量でも受熱部から放熱部へ作動流体をスムーズに循環させることができ、結果的に冷却性能の低下を防止できることになる。
また、副経路が、主経路に内接した構成としてもよい。これにより、簡素な構造で起動時の良好な作動流体の循環を実現できる。
また、副経路が、主経路と同心円に位置させる構成としてもよい。これにより、起動時の良好な作動流体の循環を実現できる。
また、放熱経路の主経路に内蔵した副経路が、主経路に外接する構成としてもよい。これにより、起動時の良好な作動流体の循環を実現できる。
また、主経路の断面積A1と副経路の断面積A2の面積比A2/A1が、0.1〜0.5の範囲とする構成としてもよい。これにより、起動時の良好な作動流体の循環を実現できる。
また、本発明の冷却装置を備えた構成とした電子機器とする構成にしてもよい。 これにより、電子機器の起動時、冷却装置内の作動流体の循環が安定し、冷却性能の低下を抑制することができるという効果を得ることができる。
また、本発明の冷却装置を備えた構成とした電気自動車にしてもよい。これにより、電気自動車は、起動時、冷却装置内の作動流体の循環が安定し、冷却性能の低下を抑制する効果を有した冷却装置を備えた構成となり、その結果、電気自動車の起動時の動作安定性も確保できるという効果を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1に示すように、電気自動車1の車軸(図示せず)を駆動する電動モータ(図示せず)は、電気自動車1内に配置した電力変換装置であるインバータ回路2に接続されている。
図1に示すように、電気自動車1の車軸(図示せず)を駆動する電動モータ(図示せず)は、電気自動車1内に配置した電力変換装置であるインバータ回路2に接続されている。
インバータ回路2は、電動モータに電力を供給するもので、複数個の半導体スイッチング素子9(図2)を備えおり、この半導体スイッチング素子9が動作中に熱を発生する。
このため、この半導体スイッチング素子9を冷却するために、熱媒体となる作動流体11(図2)を循環させることで冷却を行う冷却装置3を備えている。
ここで、この作動流体11には、例えば水やエタノール等を使用している。
冷却装置3は、作動流体11に熱を伝達する受熱部4と、伝達された作動流体11の熱を放出する放熱部5とを備え、受熱部4と放熱部5との間で熱媒体となる作動流体を循環させる放熱経路6と、帰還経路7とを設けることで、受熱部4、放熱経路6、放熱部5、帰還経路7、受熱部4を作動流体11が循環する循環経路を構成している。
さらに、帰還経路7に逆流防止弁16(図2)を備えることで、受熱部4内で作動流体11が、高圧の気相状態(水の場合水蒸気)に変化した際、帰還経路7側へ逆流すること無く、液相を伴った混相状態で、受熱部4から放熱経路6を通って放熱部5に至り放熱後、全て液相状態で帰還経路7を経て受熱部4へと一方向に、循環するようになっている。
放熱部5は送風機8から外気が送風されることで、冷却され熱を放出している。
なお、この放熱部5から放出された熱は、電気自動車1の車内の暖房に活用することも出来る。
これより、図2を用いて、本発明の冷却装置3について詳述する。
図2に示すように受熱部4は、半導体スイッチング素子9に接触させて熱を吸収する受熱板10と、この受熱板10の表面を覆い、流れ込んだ作動流体11を蒸発させる受熱空間12を形成する受熱板カバー13とを備えている。
さらに、受熱板カバー13には、受熱空間12に帰還経路7から作動流体11を流入させる流入口14と、受熱空間12から放熱経路6へ作動流体11を排出する排出口15が設けられている。
また、帰還経路7には、流入口14近傍に逆流防止弁16を備えている。
このような構成による冷却装置3の作用について説明する。
上記構成において、インバータ回路2(図1)の半導体スイッチング素子9が動作を開始すると電動モータに電力が供給されて、電気自動車1(図1)は、動きだすこととなる。
このとき、半導体スイッチング素子9には大電流が流れることにより、大きな熱が発生する。
ここで、半導体スイッチング素子9で発生した熱は受熱板10へ伝わる。受熱板10へ伝わった熱は、受熱空間12の受熱板10上に供給された作動流体11を瞬時に気化させ、作動流体11の一部を気相状態へと変化させる。気化潜熱および顕熱を与えられた気相と液相との混相状態の作動流体11は、排出口15から放熱経路6へと循環して放熱部5に流入し、放熱部5で冷却され気相の作動流体11の全てが凝縮し、液相状態になることにより、凝縮潜熱および顕熱を外気に放出する。
続いて、凝縮潜熱および顕熱を放出した作動流体11は帰還経路7へと循環し、逆流防止弁16の上に溜まることとなる。逆流防止弁16の上に溜まった作動流体11は、徐々に帰還経路7内で増加し、水頭圧力が高くなる。(水頭高さが高くなる。)一方、受熱空間12では作動流体11が供給されないため、作動流体11の気化に伴い徐々に作動流体11が減少し、受熱空間12の圧力が低下する。
逆流防止弁16の上流の圧力(逆流防止弁16の上流近傍の圧力と、帰還経路7内の作動流体11の持つ水頭圧力との和)が逆流防止弁16の下流の圧力(逆流防止弁16の下流近傍の圧力)より高くなった時に、逆流防止弁16が押し下げられて開き、作動流体11は逆流防止弁16を通過し、再び受熱空間12の受熱板10上に作動流体11が供給される。
受熱空間12においては、逆流防止弁16を通過した作動流体11は、流入口14から受熱板10上に供給される。供給された作動流体11は、受熱板10の熱が加えられることで一部が気化する。そして、作動流体11は気化による体積膨張により、未沸騰の作動流体11を伴って流入口14と受熱板10との隙間から外周部へ高速拡散される。このとき、受熱板10の表面に、作動流体11が薄い膜として広がり、高温の受熱板10の熱を加えられ一瞬にして気化することとなる。
なお、受熱空間12を含む冷却装置3内部の内圧は、使用する作動流体11によって異なるが、例えば作動流体11として水を使用した場合、大気圧よりも低く設定することで、大気圧中の水の沸騰に比べて低い温度で気化させることができる。本実施の形態では、ほぼ真空に減圧した冷却装置3内に所望の水を封入し、外気温度に応じた飽和水蒸気状態にしておくことで、外気温度+数10度程度の気化温度で容易に水を気化させることができる。
これにより、半導体スイッチング素子9から発生した熱は、作動流体11に気化潜熱および顕熱として除去され、効率的な冷却が可能となる。
また、作動流体11が気化するときに受熱空間12の圧力は増加するが、逆流防止弁16の作用により、作動流体11は逆流して帰還経路7側へ戻ることはなく、確実に排出口15から放熱経路6へ放出させることができる。
このように冷却装置3を動作させることで、規則的な受熱と放熱のサイクルができ、連続して作動流体11を受熱空間12で気化させて半導体スイッチング素子9からの熱を効率的に除去し、大きな冷却効果を実現することができる。
次に、本実施形態における最も特徴的な部分について説明する。
図2に示す様に排出口15に接続した放熱経路6のうち鉛直方向に配置された鉛直部は、主経路6aと副経路6bの2つの経路に分割され、主経路6aに副経路6bが内接した構成となっている。副経路6bの作動流体11の循環方向に対する垂直断面積A2は、主経路6aの垂直断面積A1よりも相対的に小さくなっている。
管路の断面積が小さいほど管路の中に存在する液体の表面張力は大きくなり、液体の表面を押し上げる方向に力がはたらくことが毛細管現象として知られている。すなわち、副経路6bの断面積を、主経路6aの断面積より小さくすることで、副経路6b内の作動流体11の表面張力が大きくなり、副経路6b内の作動流体11を押し上げる方向に力がはたらくので、放熱部5側への作動流体11を主経路6aより容易に運ぶことができる。その結果、起動時の低い発熱量でも受熱部4から放熱部5へ作動流体11をスムーズに循環させることができ、結果的に冷却性能の低下を防止することができるのである。
さらに、同時に従来の冷却装置の起動時に単一の上昇管内で発生していた、加熱された液相が加熱部側と冷却器側を行き来する脈動現象も防止することができる。
ここで、前述の脈動現象について、図3、図4、図5を用いてもう少し詳しく説明を行うことにする。図3は、従来の冷却装置の起動時における上昇管103内の作動流体の状態を示す概略図である。図3(a)は、起動の極初期の状態で加熱部から熱を受けた上昇管に接触した作動流体(熱媒体)の一部が、管壁面で蒸発し多数の気泡を形成している状態である。管径が十分に大きい場合は、通常、加熱量が増加しても気泡のサイズが大きくなるだけであり、この状態が継続されることになる。しかし、上昇管の管径が縮小し、上昇管の内壁面に作動流体の表面張力による上部メニスカス108が形成されるような状態では、図3(b)に示すように、加熱された未沸騰の作動流体が一つの塊となって押し上げられることになる。この様な状態でも作動流体の表面張力が大きく、上下のメニスカスが維持できる状態であれば、加熱部側の圧力上昇を伴って冷却器側へ作動流体の塊は押し上げられることになる。しかし、作動流体の表面張力が上下のメニスカスを維持できるほど強く無い場合、管を上昇中に上下のメニスカスが崩壊し、図3(c)のように加熱部側にすべて逆流してくることになる。通常、この図3(a)〜(c)を繰り返す現象を脈動現象と呼ぶ。この現象を冷却装置から見た場合、一旦、加熱部から顕熱として熱を受け取った高温の作動流体が、冷却器に到達せず加熱部に逆流することになるため、熱輸送の媒体として機能しておらず、顕熱分が常に加熱部に累積する形となり、相変化を利用した冷却装置では、重大な冷却性能の低下や不安定動作をまねく現象となっている。また、図3(b)のように起動時に大量の作動流体を冷却器側まで押し上げるには、前述のとおり加熱部側の圧力上昇が必要であり、これは、作動流体の飽和温度を高めることとなり、結果的に冷却性能の低下を招くことになる。加えて図4は、従来の冷却装置において、図3で述べた脈動現象が発生した状態を投入熱量Qに対する作動流体の循環量や圧力変動として表した場合のグラフである。図4(a)は、投入熱量Qに対する作動流体の気相循環量Wgと液相循環量Wlの関係を表しており、同図より、投入熱量が低い範囲すなわち起動時に近い状態では、作動流体の循環量が極めて低いことを示している。また、図4(b)は、この時の投入熱量Qに対する受熱部内圧力Pを示したものであり、作動流体の循環が極めて低い範囲では急激な圧力上昇と圧力変動が存在することを示している。この高圧の圧力変動の領域が前記の脈動現象が発生した状態を示している。
通常、脈動現象を防止するには、放熱経路の断面積を小さくするとこが有効である。しかし、相変化を用いた冷却装置では、作動流体が気化する段階で大きな体積膨張を伴うため、単純に放熱経路の断面積を縮小することは、最大熱輸送量自体を縮小する結果をまねくことになる。その点を説明したのが図5である。図5(a)は、放熱経路の管径を変化させた場合の投入熱量Qと受熱部内圧力Pを示したものである。太実線で示す断面積の大きい単一管である管断面積A1においては、投入熱量Qが小さい範囲、すなわち、起動時の発熱量が小さい範囲おいては、受熱部内圧力Pが上昇した状態で上下に変化を繰り返していることから、脈動現象が発生していることがわかる。
一方、細実線で示す断面積の小さい単一管である管断面積A2においては、管径を小さくして作動流体の表面張力が大きくなっているため上下のメニスカスが崩壊せず作動流体の塊が押し上げられるので、投入熱量Qが小さい範囲おいて、受熱部内圧力Pは、断面積の大きい単一管である管断面積A1ほど上昇せず、上下に変化もしていないことから、脈動現象が発生していないことがわかる。しかし、断面積の小さい単一管である管断面積A2においては、管断面積が小さいため、高発熱量側で急激に圧力上昇が起こっており高い熱量に対応できていないことを表している。
これに対して、本発明の実施の形態1で示した放熱経路の鉛直部を主経路6aと副経路6bで構成した場合の断面積A3が点線で表したグラフである。断面積A3の場合、低発熱量の範囲では、管断面積A1と同じく起動時の圧力上昇と脈動現象は抑制されており、且つ高発熱量側では大きな管断面積A1に匹敵する低い圧力状態を示していることが分かる。すなわち、本発明の実施の形態1に示した放熱経路b6の鉛直部を主経路6aと副経路6bで構成することで、低発熱量時の圧力上昇と脈動現象を抑制し、且つ高発熱量に対しても十分な性能が確保できることを示した結果である。また、図5(b)は、放熱経路の主経路断面積A1と副経路断面積A2の比である経路断面積比(A2/A1)と起動時の最大圧力P3を示したグラフである。同図より、経路断面積(A2/A1)は、0.1〜0.5の範囲を選択すべきであることが分かる。
次に、図6を用いて、図2で説明した放熱経路6の鉛直部の主経路6aと副経路6bの他の配置関係の場合について追加説明を加えることにする。図6(a)は、放熱経路6の主経路6aと副経路6bの軸心が同心円に配置された構成例であり、図6(b)は、放熱経路6の主経路6a内に仕切り板を加えて副経路6bが内接する形で構成とした例である。
さらに、図7は、本発明の実施の形態2を示したものである。図6までの実施の形態1の場合は、放熱経路6の副経路6bが主経路6aの内部に配置されていたが、この場合、主経路6aの外側に副経路6bが併設する構成となっている。ただし、冷却装置としての特性は実施の形態1の場合と同様の冷却性能を実現することが可能である。
以上、本発明の実施の形態1を用いることで起動時の冷却性能の低下や不安定動作を防止するとともに、低発熱量から高発熱量までの広い範囲で安定した高い冷却性能を維持した冷却装置を実現することが可能である。
なお、上記実施形態においては、冷却装置3を電気自動車1に適用したものとして説明して来たが、電子機器に冷却装置3を適用することも出来る。
本発明にかかる冷却装置は、低発熱量から高発熱量までの広い範囲で安定した高い冷却性能を維持した冷却装置を実現することができ、電子機器および電気自動車の発熱量の変動が大きな半導体回路内の冷却に有用である。
1 電気自動車
2 インバータ回路
3 冷却装置
4 受熱部
5 放熱部
6 放熱経路
6a 主経路
6b 副経路
7 帰還経路
8 送風機
9 半導体スイッチング素子
10 受熱板
11 作動流体
12 受熱空間
13 受熱板カバー
14 流入口
15 排出口
16 逆流防止弁
2 インバータ回路
3 冷却装置
4 受熱部
5 放熱部
6 放熱経路
6a 主経路
6b 副経路
7 帰還経路
8 送風機
9 半導体スイッチング素子
10 受熱板
11 作動流体
12 受熱空間
13 受熱板カバー
14 流入口
15 排出口
16 逆流防止弁
Claims (7)
- 発熱体からの熱を前記発熱体に接触させた受熱板から前記作動流体に伝える受熱部と、
前記作動流体の熱を放出する放熱部と、
前記受熱部と前記放熱部とを接続する放熱経路と帰還経路とを備え、
前記作動流体を、前記受熱部、前記放熱経路、前記放熱部、前記帰還経路、前記受熱部へと循環させて熱の移動を行う冷却装置であって、
前記帰還経路には逆流防止弁を備え、
前記逆流防止弁の上流の圧力が前記逆流防止弁の下流の圧力より高くなった時に前記作動流体は前記逆流防止弁を通過し、前記作動流体は前記受熱板上に供給され、供給された前記作動流体は前記流入口と前記受熱板との隙間から外周部へ拡散され、前記受熱板の表面に前記作動流体が薄い膜として広がり気化するとともに、
前記放熱経路の鉛直部は、主経路路と副経路で構成され、
前記副経路の断面積は、前記主経路の断面積より小さいことを特徴とする冷却装置。 - 前記副経路が、前記主経路に内接していることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
- 前記副経路が、前記主経路と同心円に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
- 前記副経路が、前記主経路に外接していることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
- 前記主経路の断面積A1と前記副経路の断面積A2の面積比A2/A1が、0.1〜0.5の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
- 請求項1から5いずれか一つに記載の冷却装置を備えたことを特徴とする電子機器。
- 請求項1から6いずれか一つに記載の冷却装置を備えたことを特徴とする電気自動車。
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ID=59233988
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| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2015250159A Pending JP2017116151A (ja) | 2015-12-22 | 2015-12-22 | 冷却装置、これを搭載した電子機器および電気自動車 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2017116151A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2019054076A1 (ja) * | 2017-09-13 | 2019-03-21 | 株式会社デンソー | 機器温調装置 |
| JP2019052837A (ja) * | 2017-09-13 | 2019-04-04 | 株式会社デンソー | 機器温調装置 |
-
2015
- 2015-12-22 JP JP2015250159A patent/JP2017116151A/ja active Pending
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2019054076A1 (ja) * | 2017-09-13 | 2019-03-21 | 株式会社デンソー | 機器温調装置 |
| JP2019052837A (ja) * | 2017-09-13 | 2019-04-04 | 株式会社デンソー | 機器温調装置 |
| CN110892225A (zh) * | 2017-09-13 | 2020-03-17 | 株式会社电装 | 设备温度调节装置 |
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