JP2017141505A - 造形物の製造装置、及び製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】近赤外波長のレーザ光の吸収率が低い金属粉末材料であっても、低コストで積層造形による立体造形物の製作が可能な製造装置及び製造方法を提供する。【解決手段】製造装置100は、造形光ビームL1の照射によって金属粉末15を焼結又は溶融によって固化させ積層造形する造形物の製造装置であって、チャンバ10と、金属粉末15を照射範囲Ar1に供給する金属粉末供給装置20と、照射範囲Ar1の金属粉末15へ造形光ビームL1を照射する造形光ビーム照射装置30と、金属粉末15に対して所定の吸収率向上支援処理を行なう吸収率向上支援部40と、吸収率向上支援処理の実施後に、造形光ビームL1を照射し、金属粉末15を加熱し、焼結又は溶融によって固化させ積層造形する造形処理を行なう造形部70と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、レーザ光を用い金属粉末を原料として積層造形物を製造する製造装置及び製造方法に関する。
近年、粉末状の金属をレーザ光の照射によって焼結又溶融して固化させ、一層ずつ層状に積層して立体的な造形物を製造する金属AM(Additive Manufactuaring)の開発が盛んになってきている。このような金属AMでは、試作対応だけでなく、量産対応への検討も始まっている。金属AMで使用される金属には、主に安価なレーザ光である近赤外波長のレーザ光の吸収率がよいため低コストで製造が可能となるマルエージング鋼、ステンレス鋼(SUS)、及びチタン鋼(Ti)などがある。
しかしながら、市場では、金属AMの金属粉末材料として、マルエージング鋼、ステンレス鋼(SUS)、及びチタン鋼(Ti)だけでなく、近赤外波長のレーザ光の吸収率が低い銅やアルミなども採用したいという要望が強くある。これに対し、特許文献1には、金属粉末材料をアルミとした、金属AMの技術が開示されている。特許文献1の技術では、アルミ粉末に、近赤外波長のレーザ光の吸収率が高いレーザ吸収剤を含ませている。これにより、近赤外波長のレーザ光が照射されると、まず、レーザ吸収剤に近赤外波長のレーザ光が吸収されて加熱され、その熱がアルミ粉末に伝導してアルミ粉末を加熱するとともに保温する。そして、このような環境において、さらにアルミ粉末を近赤外波長のレーザ光の照射とレーザ吸収剤からの熱によって加熱し溶融させると記載されている。
特開2011−21218号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、レーザ吸収剤自体がコストアップの要因となる虞がある。また、アルミ粉末と混在するレーザ吸収剤が不純物となり、製品の強度等によくない影響を及ぼす虞もある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、近赤外波長のレーザ光の吸収率が低い金属粉末材料であっても、低コストで積層造形による立体造形物の製作が可能な製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る造形物の製造装置は、造形光ビームの照射によって金属粉末を焼結又は溶融によって固化させ積層造形する造形物の製造装置であって、外気と内気との遮断が可能なチャンバと、前記チャンバの内部に設けられ、前記金属粉末を前記造形光ビームの照射範囲に供給する金属粉末供給装置と、前記照射範囲に供給された前記チャンバ内の前記金属粉末へ前記造形光ビームを照射する造形光ビーム照射装置と、照射される前記造形光ビームの前記金属粉末への吸収率を向上させるため、前記金属粉末に対して所定の吸収率向上支援処理を行なう吸収率向上支援部と、前記吸収率向上支援処理の実施後に、前記造形光ビームを前記照射範囲に供給された前記金属粉末に照射し、前記金属粉末を加熱し、前記焼結又は前記溶融によって固化させ前記積層造形する造形処理を行なう造形部と、を備える。
このように、造形物の製造装置は、吸収率向上支援部によって金属粉末に対する造形光ビームの吸収率を高める吸収率向上支援処理をおこなった後、造形光ビームを金属粉末に照射する。このため、造形光ビームは、金属粉末に良好に吸収される。従って、短時間の造形光ビームの照射によって金属粉末は良好に加熱され焼結又は溶融によって固化されるので積層造形する時間を短くすることができ、造形物を低コストに製造可能となる。
また、本発明の請求項23に係る造形物の製造方法は、造形光ビームの照射によって金属粉末を焼結又は溶融によって固化させ積層造形する造形物の製造方法であって、前記金属粉末を前記造形光ビームの照射範囲に供給する金属粉末供給工程と、照射される前記造形光ビームの前記金属粉末への吸収率を向上させるため、前記金属粉末に対して所定の吸収率向上支援処理を行なう吸収率向上支援工程と、前記吸収率向上支援処理の実施後に、前記造形光ビームを前記照射範囲に供給された前記金属粉末に照射し、前記金属粉末を加熱し、前記焼結又は前記溶融によって固化させ前記積層造形する造形処理を行なう造形工程と、を備える。これにより、請求項1で製造される造形物と同様の造形物が製作できる。
第一、第二実施形態に係る製造装置の概要図である。 図1における金属粉末供給装置の上面図である。 金属材料別の近赤外レーザ光の波長と吸収率との関係を示すグラフである。 図1における造形光ビーム照射装置の部分透視図である。 薄膜層の表面に酸化膜が形成された状態を説明する模式図である。 銅に対する酸化膜の膜圧と近赤外レーザ光の吸収率との関係を示すグラフである。 第一実施形態に係る製造方法のフローチャート1である。 図7の予熱処理における短波長レーザ光の照射の状態を示す図である。 図7の酸化膜形成処理における近赤外レーザ光及び短波長レーザ光の照射の状態を示す図である。 図7の酸化膜形成処理において、複数個所で酸化膜が形成された状態を示す図である。 図7の造形処理における近赤外レーザ光の照射の状態を示す説明する図である。 図7の造形処理において、複数個所で固化薄膜が形成された状態を示す図である。 第二実施形態において、酸化膜形成処理における近赤外レーザ光及び短波長レーザ光の照射の状態を示す図である。 二実施形態において、造形処理における近赤外レーザ光の照射の状態を示す図である。 第三実施形態の酸化膜形成処理における近赤外レーザ光及び短波長レーザ光の照射の状態を示す図である。 第三実施形態に係る製造装置の概要図である。 第三実施形態の製造方法のフローチャート2である。 第三実施形態の酸化膜形成処理における近赤外レーザ光の照射の状態を示す図である。 第三実施形態の酸化膜形成処理において酸化膜を複数形成した状態を示す図である。 第三実施形態の造形処理における近赤外レーザ光の照射の状態を示す図である。 第四実施形態に係る製造装置の概要図である。 第五実施形態に係る製造装置の概要図である。 第五実施形態の製造方法のフローチャート3である。
<1.第一実施形態>
(1−1.概要)
本発明に係る三次元造形物(造形物に相当)の製造装置について、図面に基づき説明する。三次元造形物の製造装置は、主に後に詳述する造形光ビームの照射によって金属粉末15を焼結又は溶融によって固化させ三次元造形物を積層造形する装置である。なお、本実施形態では、造形光ビームは、近赤外波長のレーザ光であり、以降、近赤外レーザ光L1と称す。
また、金属粉末15としては、常温時における近赤外波長のレーザ光の吸収率が、所定の値以下の「低吸収率材料」を対象とする。なお、このとき所定の値は、例えば吸収率30%とする(図3参照)。この場合、「低吸収率材料」として、銅やアルミ等が対象となり、以降の実施形態では、銅の粉末である銅粉を金属粉末15として選択し説明する。また、本実施形態においては、三次元造形物を積層造形する際、金属粉末15を焼結ではなく、溶融によって固化させ積層造形するものとして説明する。なお、溶融ではなく、焼結によって、三次元造形物を製造してもよい。
(1−2.製造装置100)
図1は、本発明に係る第一実施形態の製造装置100の概要図である。製造装置100は、チャンバ10と、金属粉末供給装置20と、造形光ビーム照射装置30と、吸収率向上支援部40と、支援光ビーム照射装置41と、造形部70と、を備える。吸収率向上支援部40、及び造形部70は、制御部45に設けられる。また、吸収率向上支援部40は、レーザ光照射制御部49、膜厚推定部50及び処理切替判定部60を備える。
チャンバ10は、概ね直方体形状で形成された筐体であり、外気と内気との遮断が可能な容器である。チャンバ10は、内部の空気を、例えばHe(ヘリウム)、N(窒素)やAr(アルゴン)などの不活性ガスに置換可能な装置を備える(不図示)。なお、チャンバ10は、内部を不活性ガスに置換するのではなく、減圧可能な構成としてもよい。
金属粉末供給装置20は、チャンバ10の内部に設けられ、三次元造形物の原材料となる金属粉末15を近赤外レーザ光L1(造形光ビームに相当)の照射範囲Ar1(図2参照)に供給する。金属粉末15は銅(Cu)粉末である。なお、ここでいう金属粉末15とは、各銅粉が複数集まった集合体をいう。
図1、図2に示すように、金属粉末供給装置20は、造形用容器21と、粉末収納容器22とを備える。造形用容器21内には、図1に示すように、造形物昇降テーブル23が設けられる。造形物昇降テーブル23上では、金属粉末15の薄膜層15aが形成される。そして、主に近赤外レーザ光L1の薄膜層15aへの照射によって薄膜層15aの金属粉末15を溶融させ、その後固化させて固化薄膜層15bを形成する。次に、造形物昇降テーブル23を下方に移動させて、上記と同様に、再び薄膜層15aを形成する。そして、主に近赤外レーザ光L1の薄膜層15aへの照射によって薄膜層15aの金属粉末15を溶融させ、その後固化させて固化薄膜層15bを再び形成し、先ほど形成した固化薄膜層15bの上に積層する。このような作業の繰り返しによって三次元造形物が作製される。
粉末収納容器22では、フィードテーブル24上に金属粉末15が収納され、フィードテーブル24を上方に移動させることにより、金属粉末15を供給する。なお、造形物昇降テーブル23、フィードテーブル24には、それぞれ支持軸23a、24aが取り付けられる。支持軸23a、24aは、駆動装置(図略)に接続され、駆動装置の作動によって上下に移動される。
また、造形用容器21、及び粉末収納容器22の開口の全領域にわたって移動するリコータ26が設けられる。リコータ26は、図1、図2の右から左に向かって移動する。これにより、フィードテーブル24の上昇により供給された金属粉末15を造形物昇降テーブル23上に運搬するとともに、造形物昇降テーブル23上に金属粉末15の薄膜層15aを形成する。薄膜層15aの厚さは、造形物昇降テーブル23の下降量で決まる。本実施形態では、薄膜層15aの厚さは、50μm〜100μm程度である。ただし、この厚さはあくまで一例を例示したのみであり、この厚さに限定はされない。
造形光ビーム照射装置30は、金属粉末供給装置20によって、照射範囲Ar1(図2参照)に供給されたチャンバ10内の金属粉末15の薄膜層15aの表面に近赤外レーザ光L1を照射する。図1に示すように、造形光ビーム照射装置30は、レーザ発振器31、レーザヘッド32を備える。また、レーザ発振器31は、レーザ発振器31から発振された近赤外レーザ光L1をレーザヘッド32に伝送する光ファイバ35を備える。
レーザ発振器31は、波長が予め設定された所定の近赤外波長となるよう発振させて連続波CWのレーザ光である近赤外レーザ光L1を生成する。近赤外レーザ光L1の波長の大きさは、1.0μm前後である。具体的には、近赤外レーザ光L1として、HoYAG(波長:約1.5μm)、YVO(イットリウム・バナデイト、波長:約1.06μm)、Yb(イッテルビウム、波長:約1.09μm)およびファイバーレーザなどが採用可能である。これにより、レーザ発振器31を安価に製作できるとともに、運用時においても消費エネルギーは小さく安価である。なお、材料別のレーザ光の波長(μm)とレーザ光の吸収率(%)との関係を表す図3に示すように、近赤外レーザ光L1は、銅やアルミに対する吸収率が比較的低く、吸収率は30%以下である。
図1に示すように、レーザヘッド32は、チャンバ10内の金属粉末15の薄膜層15aの表面から所定の距離を隔て、且つ垂直方向に対して所定の角度α°を有して配置される。
図4に示すように、レーザヘッド32は、コリメートレンズ33、ミラー34、ガルバノスキャナ36、及びfθレンズ38を備える。コリメートレンズ33、ミラー34、ガルバノスキャナ36、及びfθレンズ38は、レーザヘッド32の筐体内に配置される。コリメートレンズ33は、光ファイバ35から出射された近赤外レーザ光L1をコリメートして平行光に変換する。
ミラー34は、コリメートされた近赤外レーザ光L1が、ガルバノスキャナ36に入射するよう近赤外レーザ光L1の進行方向を変換する。本実施形態において、ミラー34は、近赤外レーザ光L1の進行方向を90度変換する。
ガルバノスキャナ36は、レーザ光Lの進行方向を変更し、近赤外レーザ光L1を、fθレンズ38を介して、薄膜層15aの表面の所定の位置に照射する。つまり、レーザヘッド32は、ガルバノスキャナ36によって、レーザ発振器31から発振された近赤外レーザ光L1の照射角度を自在に変更可能である。なお、近赤外レーザ光L1を照射する所定の位置については、後に詳述する。ガルバノスキャナ36には、例えば、直交する2方向に首ふり運動の可能な一対の可動ミラー(図示しない)を含む周知のスキャナが用いられる。fθレンズ38は、ガルバノスキャナ36から入射された平行なレーザ光Lを集光するレンズである。また、レーザヘッド32から照射されたレーザ光Lは、チャンバ10の上面に設けられる透明なガラス又は樹脂を通してチャンバ10内に照射される。
吸収率向上支援部40は、上述した近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)及び後述する短波長レーザ光L2(支援光ビーム)を用いて吸収率向上支援処理を実施する制御部であり、制御部45に設けられる(図1参照)。吸収率向上支援部40は、様々な所定の手段(吸収率向上支援処理)をとり得る。しかし、第一実施形態においては、所定の膜厚の酸化膜OMを金属粉末15の薄膜層15aの表面に形成する処理を吸収率向上支援処理とする。
この処理により、吸収率向上支援処理の後に行なわれる、後述する造形処理において、金属粉末15(銅粉末)に対する近赤外レーザ光L1の吸収率を向上させることができる。なお、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)及び短波長レーザ光L2(支援光ビーム)の照射は、レーザ光照射制御部49によって制御される。
なお、短波長レーザ光の詳細については後述するが、説明の都合上、ここで簡単に説明しておく。短波長レーザ光L2は、近赤外波長より波長が短い短波長(例えば、波長0.2〜0.6μm)のレーザ光である。また、本実施形態において、短波長レーザ光L2は、連続波CWのレーザ光である。材料別のレーザ光の波長(μm)とレーザ光の吸収率(%)との関係を示す図3を見ると、銅に対する短波長レーザ光の吸収率は近赤外レーザ光の吸収率よりも高い。短波長レーザの例として、UVレーザ、グリーンレーザ、及びブルーレーザ等が挙げられる。第一実施形態においては、例えばブルーレーザを適用する。
第一実施形態において、吸収率向上支援部40が実施する(制御する)吸収率向上支援処理は、薄膜層15aの表面に対する予熱処理と、予熱処理に引き続いて薄膜層15aの表面に対し行なわれる酸化膜形成処理とである。まず、予熱処理では、金属粉末15(銅粉)に対する吸収率が高い短波長レーザ光L2(支援光ビーム)を、短波長レーザ光照射部46の制御によって薄膜層15aの表面に照射する。この照射により、照射位置であるチャンバ10内における金属粉末15の薄膜層15aの表面を、銅の融点(1060℃)以下である例えば600℃〜800℃まで加熱する。このとき、照射位置における薄膜層15aの表面に酸化膜OMはまだ形成されない。
図3に示すように、短波長レーザ光L2は、本来、銅に対する吸収率が高いので、低出力でも十分加熱が可能である。これにより、短波長レーザ光L2であっても比較的安価に薄膜層15aの表面の加熱(予熱)ができる。次に、酸化膜形成処理では、薄膜層15aの表面が加熱(予熱)され、ベース温度が上昇した状態で、短波長レーザ光L2及び近赤外レーザ光L1を同時に重畳照射し薄膜層15aの表面に酸化膜OMを形成する。
なお、上記において、薄膜層15aの表面を予熱する目的は、酸化膜形成処理において、薄膜層15aの表面に酸化膜OMをより容易に形成可能とするためである。つまり、予熱によって、薄膜層15aのベース温度が上昇する。このため、短波長レーザ光L2及び近赤外レーザ光L1を同時に重畳照射する際、酸化膜OMの形成までに昇温させるべき温度の幅を小さくすることができる。従って、短波長レーザ光L2及び近赤外レーザ光L1の重畳照射時間が短縮でき、短時間、低出力で酸化膜OMの形成が可能となる。
また、銅においては、融点近傍において、近赤外レーザ光L1の吸収率が向上するとともに、照射表面に酸化膜OM(酸化第一銅)が形成されることがわかっている。このため、薄膜層15aの表面を短波長レーザ光L2の照射によって600℃〜800℃に予熱することにより、酸化膜形成処理における短波長レーザ光L2及び近赤外レーザ光L1による重畳照射の照射時間、及び出力(必要エネルギー)を良好に抑制できる。このように、第一実施形態においては、薄膜層15aの表面に、短波長レーザ光L2を照射することによって予熱する予熱処理、及び予熱されて保温状態となっている薄膜層15aの表面に、短波長レーザ光L2及び近赤外レーザ光L1を重畳照射することにより酸化膜OMを形成する酸化膜形成処理が、吸収率向上支援処理となる。
ここで、銅に対する近赤外レーザ光L1の吸収率と酸化膜OMの膜厚との関係について説明しておく。図5に示すように、金属粉末15の各銅粉の表面に酸化膜OMが形成されると、酸化膜OMに向かって照射される近赤外レーザ光L1は、酸化膜OMを透過又は酸化膜OM内を反射しながら、銅粉の表面に効率的に吸収され、銅粉を良好に加熱する。なお、銅粉に対して近赤外レーザ光L1の吸収率を向上させる酸化膜OMの作用は、公知の知見に基づくものである。よって、効果を生じさせる原理等の説明は省略する。また、近赤外レーザ光L1の銅粉への吸収率は、図6のグラフに示すように酸化膜OMの膜厚に応じて異なる。
図6のグラフでは、横軸が銅部材の表面に形成した酸化膜OMの膜厚(nm)であり、縦軸が、形成した酸化膜OMを介して近赤外レーザ光L1を銅部材に照射したときにおける銅部材への近赤外レーザ光L1の吸収率(%)である実験データである。この実験では、近赤外レーザ光L1の照射の対象として銅粉を用いず、一辺10mmの角材を用いたが、各銅粉の表面に酸化膜OMを形成したときと、近似の結果が得られると推定して図6の銅部材のデータを採用する。
図6のグラフを見ると、近赤外レーザ光L1の吸収率は、酸化膜OMの膜厚との関係において、膜厚の増大方向への変化に対して極大値と極小値とが交互に出現する周期性を有している。また、酸化膜OMの膜厚が0のときに、吸収率は最も小さくなっている。これより、発明者は、周期性を有する吸収率との関係において、酸化膜OMの所定の膜厚が、ゼロを超え、はじめに吸収率が極大値として出現する第一極大値aに対応する第一極大膜厚A以下の範囲内となるよう設定することとした。これにより、酸化膜形成後の銅粉の吸収率は、酸化膜が全く形成されていない銅粉の吸収率に対して確実に大きくなる。
なお、上記の実験の条件であるが、使用した近赤外レーザ光L1は、YAGレーザによるものであり、連続波CWのレーザ光である。また、酸化膜OMは、加熱炉内で形成した。さらに、酸化膜OMの膜厚は、SERA法(連続電気化学還元法)によって測定した。なお、SERA法とは公知の膜厚測定法である。具体的には、まず、金属表面に電解液をあて、電極から微小電流を流して還元反応を起こさせる。このとき、各物質は、固有の還元電位を持つことから、還元に要した時間を測定することで膜厚が算出できる。また、図6のグラフのデータを適用させる金属粉末15(銅粉末)の各銅粉の粒径は、20μm〜60μmの範囲にあり、平均粒径D50が40μm程度である。また、粒径の測定は、公知のレーザ回折・散乱法による。また、図6のデータは、あくまで近赤外レーザ光L1の吸収率と、酸化膜OMの膜厚との関係の一例を示すものであり、数値等はこれに限定されるものではない。
図1に示す支援光ビーム照射装置41は、近赤外レーザ光L1とは異なる波長の支援光ビームを金属粉末15に向かって照射する製造装置100が備える装置である。支援光ビーム照射装置41は、吸収率向上支援部40によって支援光ビームの照射が制御される。前述したように、支援光ビームは、近赤外波長より波長が短い短波長(例えば、波長0.2μm〜0.6μm)の短波長レーザ光L2である。
また、前述したように、短波長レーザ光L2は、図3の材料別のレーザ光の波長(μm)とレーザ光の吸収率(%)との関係に示すように、例えば、銅やアルミに対しては、近赤外波長のレーザ光よりも吸収率が高い。しかし、近赤外波長のレーザ光と較べてその運用コストが高い。そこで、本発明においては、短波長レーザ光L2(支援光ビーム)を、高出力が要求される金属粉末15の溶融のため(造形処理)に用いるのではなく、主に吸収率向上支援処理における図5に示すような酸化膜OM形成のために用いる。
支援光ビーム照射装置41は、造形光ビーム照射装置30に対し、レーザ発振器43が発振するレーザ光の波長が異なる。また、造形光ビーム照射装置30に対し、ガルバノスキャナを有していない点が異なる。これにより、レーザヘッド42から照射されるレーザ光は一定方向のみである。
また、支援光ビーム照射装置41は、レーザヘッド42が造形光ビーム照射装置30のレーザヘッド32と干渉しないよう垂直方向に対して所定の角度β°を有して配置される。さらに、支援光ビーム照射装置41は、レーザヘッド42が、図略のXYロボットによって移動されることにより、レーザ光の照射位置を制御される。これにより、短波長レーザ光L2の照射位置が、チャンバ10内の金属粉末15の薄膜層15aの表面上をXY軸上で移動可能となっている。なお、本実施形態において、XY平面は、水平面と平行な平面とする。
また、短波長レーザ光L2は、近赤外レーザ光L1のスポット径と比較して、より大きなスポット径での照射が可能である。つまり、短波長レーザ光L2は、スポット径を大きくすることでパワー密度を下げて照射することが可能である。短波長レーザ光L2の照射は、図2に示す照射範囲Ar1内で行なわれ、XYロボットの制御により行なわれる照射位置は、吸収率向上支援部40によって制御される。上記以外は、造形光ビーム照射装置30と同様であるので、詳細な説明及び図については省略する。
吸収率向上支援部40の膜厚推定部50は、吸収率向上支援処理によって薄膜層15aの表面に形成される酸化膜OMの膜厚を推定する。図1に示すように、膜厚推定部50は、表面温度測定部51と、照射時間計測部52と、酸化膜厚演算部53と、を備える。
表面温度測定部51は、酸化膜形成処理時において、薄膜層15aの表面への短波長レーザ光L2及び近赤外レーザ光L1の重畳照射時における薄膜層15aの表面温度Tを測定する。このとき、表面温度Tは、非接触式の赤外線放射温度計39(図1参照)によって測定する。ただし、この態様には限定されず、温度測定は、どのような測定器を用いて行なってもよい。測定された薄膜層15aの表面温度データは、酸化膜厚演算部53に送信される。
照射時間計測部52は、酸化膜形成処理時において、短波長レーザ光L2及び近赤外レーザ光L1が薄膜層15aの表面に重畳照射された各照射時間Hを計測する。この場合、実際に照射時間Hを計測してもよい。しかし、この態様には限らず、予め設定されている照射時間データを制御部45から取得してもよい。その後、照射時間データは、酸化膜厚演算部53に送信される。
酸化膜厚演算部53は、測定された表面温度Tと計測された照射時間Hとに基づき、酸化膜OMの膜厚を演算し推定する。酸化膜OMの膜厚は、短波長レーザ光L2及び近赤外レーザ光L1の重畳照射によって上昇する薄膜層15aの表面温度Tと重畳照射の照射時間H(照射継続時間)とに応じた厚さで形成される。つまり、酸化膜OMの各膜厚は、表面温度Tと照射時間Hと、によって演算可能である。
吸収率向上支援部40の処理切替判定部60は、酸化膜厚演算部53によって演算された酸化膜OMの膜厚が、所定の膜厚に達したか否かを判定する。そして、処理切替判定部60が、酸化膜OMの膜厚が所定の膜厚に達したと判定した場合に、実施する処理を吸収率向上支援処理から後述する造形部70による造形処理に切替える。
なお、本実施形態のように、酸化膜OMの形成箇所が複数ある場合には、処理切替判定部60は、全ての酸化膜OMが形成された後に、実施する処理を吸収率向上支援処理から後述する造形部70による造形処理に切替える。
造形部70は、吸収率向上支援処理の実施後に、制御部45の近赤外レーザ光照射部47によって、造形光ビーム照射装置30を作動させ、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を薄膜層15aの表面上に形成された所定の膜厚の酸化膜OMに向かって照射する制御部である。
なお、この態様に限らず、造形部70は、近赤外レーザ光照射部47及び制御部45の短波長レーザ光照射部46によって、造形光ビーム照射装置30及び支援光ビーム照射装置41を作動させ、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)及び短波長レーザ光L2(支援光ビーム)を酸化膜OMに向かって同時に照射してもよい。
これにより、主に近赤外レーザ光L1が、酸化膜OMの膜厚に応じて薄膜層15aの表層に存在する各銅粉の表面から各銅粉内部に良好に吸収される。このように、造形部70は、薄膜層15aを加熱し、薄膜層15aを溶融させ、後に固化させて造形物を積層造形する造形処理を行なう。
詳細には、主に近赤外レーザ光L1の照射によって、薄膜層15aにおける表層の各銅粉の温度が銅の融点を超えて上昇し各銅粉は短時間で溶融する。そして、上昇した薄膜層15aの銅粉の熱は、表層の銅粉の下側で表層の各銅粉と接する下層の銅粉の温度も上昇させ溶融させる。このようにして連鎖的に短時間で薄膜層15aが溶融する。その後、溶融した薄膜層15aを冷却することにより、薄膜層15aの下方で既に形成されている固化薄膜層15bとの間で界面が良好に接合されて積層造形される。
(1−3.製造方法)
次に、造形物の製造方法について,図7のフローチャート1に基づき説明する。造形物の製造方法は、金属粉末供給工程S10と、吸収率向上支援工程S20と、造形工程S30と、を備える。なお、吸収率向上支援工程S20は、予熱処理工程S20a、酸化膜形成処理工程S20b、膜厚演算工程S20c、膜厚判定工程S20d及び処理切替判定工程S20eを備える。
まず、準備段階について説明する。はじめに、粉末収納容器22内に、金属粉末15を投入する。次に、製造装置100のチャンバ10内の空気を、図略のガス置換装置によって、例えばHeガスに置換する。このとき、空気は100%置換されなくともよい。空気は、薄膜層15aの表面に、ナノメートル(nm)オーダーの酸化膜OMを形成可能とする酸素を含む空気の分だけチャンバ10内に残留していてもよい。この空気の置換量は、予め実験等により求めておく。
これにより、造形物が完成したとき、造形物内に残留する酸化物量は最小限となるので、造形された造形物の強度は一定以上に維持される。また、各レーザ光照射時に意図せぬ燃焼が発生することもない。
金属粉末供給工程S10では、制御部45の金属粉末供給制御部25が、金属粉末供給装置20を作動させ、造形物昇降テーブル23上に金属粉末15を供給し、照射範囲Ar1に金属粉末15の薄膜層15aを形成する。このため、金属粉末供給制御部25が、まず、金属粉末15を載せたフィードテーブル24を上昇させるとともに、造形物昇降テーブル23を薄膜層15aの一層分だけ下降させる。
そして、リコータ26を、図1における右から左に向かって移動させて、粉末収納容器22から造形用容器21に金属粉末15を供給し、造形物昇降テーブル23上に粉末の薄膜層15aを形成する。
次に、吸収率向上支援工程S20では、吸収率向上支援部40の制御によって、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)の金属粉末15への吸収率を向上させるため、金属粉末15に対して、所定の吸収率向上支援処理を行なう。このとき、吸収率向上支援処理は、上述したように、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)及び短波長レーザ光L2(支援光ビーム)を用いて、薄膜層15aの表面に酸化膜OMを形成する処理である。
具体的には、予熱処理工程S20a(吸収率向上支援工程S20)は、短波長レーザ光L2の照射による予熱のための予熱処理を行なう。予熱処理工程S20aでは、吸収率向上支援部40が備えるレーザ光照射制御部49が、短波長レーザ光照射部46を制御し、まず支援光ビーム照射装置41を作動させる。
これにより、図8Aに示すように、照射範囲Ar1内における薄膜層15aの表面の第五照射位置P5に、短波長レーザ光L2(支援光ビーム)を第五スポット径φEで照射し、予熱処理を実施する。第五スポット径φEは、比較的大きな径である。このため、第五照射位置P5では、短波長レーザ光L2が本来照射可能なパワー密度より小さなパワー密度で照射される。そして、短波長レーザ光L2は、第五照射位置P5が例えば600℃〜800℃になるよう加熱する。
第五照射位置P5の表面温度Tは、例えば、非接触式の赤外線放射温度計39(図1参照)によって監視すればよい。そして、第五照射位置P5の温度が、例えば600℃〜800℃になったことを確認したら、予熱処理を停止する。
次に、酸化膜形成処理工程S20b(吸収率向上支援工程S20)にて、レーザ光照射制御部49が、短波長レーザ光照射部46及び近赤外レーザ光照射部47を制御し、支援光ビーム照射装置41及び造形光ビーム照射装置30を同時に作動させる。これにより、図8Bに示すように、短波長レーザ光L2及び近赤外レーザ光L1を、予熱処理され保温されている薄膜層15aの表面に重畳して照射する。
なお、このとき、短波長レーザ光L2の照射位置及び照射スポット径は、予熱処理時における照射スポット径と同じである(第五照射位置P5、第五スポット径φE)。よって、短波長レーザ光L2は、予熱処理からそのまま継続して照射し続けてもよい。
また、近赤外レーザ光L1の照射のスポット径である第六スポット径φF(第四スポット径φDにも相当)は、第五スポット径φE(第三スポット径φCにも相当)よりも小さな径である。そして、近赤外レーザ光L1は、短波長レーザ光L2の照射範囲である第五スポット径φEの範囲内の所定の位置に重畳照射される。
このとき、所定の位置とは、これから作製すべき三次元造形物のスライスデータ(描画パターン)に基づく位置であり、三次元造形物を形成させたい位置である。なお、短波長レーザ光L2が照射される照射位置である第五照射位置P5も、作製すべき三次元造形物のスライスデータ(描画パターン)に基づき設定されていることはいうまでもない。
そして、近赤外レーザ光L1が短波長レーザ光L2に重畳照射される薄膜層15aの表面上の位置において、照射位置の表面温度Tが、銅の融点近傍に近づくと酸化膜OMが形成され始める。
次に、膜厚演算工程S20c(吸収率向上支援工程S20)では、膜厚推定部50によって、薄膜層15aの表面に形成される酸化膜OMの膜厚tを演算する。
膜厚判定工程S20d(吸収率向上支援工程S20)では、膜厚演算工程S20cで演算した酸化膜OMの膜厚tが、所定の膜厚の範囲内に入っているか否かが、処理切替判定部60によって判定される。
演算された酸化膜OMの膜厚tが、所定の膜厚の範囲内である、0を超え、且つA(nm)以下の範囲である、B(nm)〜A(nm)内に入っていれば、当該位置における近赤外レーザ光L1の照射を停止し、処理切替判定工程S20eに移動する。しかし、膜厚tが、B(nm)〜A(nm)の範囲内に入っていなければ、膜厚演算工程S20cに移動し、膜厚tが、B(nm)〜A(nm)の範囲内に入るまで、S20c及びS20dを繰り返し処理する。
なお、B(nm)〜A(nm)は、図6のグラフにおいて、吸収率b%〜a%に対応する膜厚である。また、所定の膜厚の範囲は、0を超え、且つA(nm)以下の範囲内であれば、どのような範囲で設定してもよい。なお、このとき、一例として、所定の膜厚(B(nm)〜A(nm))を、図6のグラフに示すように吸収率10%(b%)〜60%(a%)に対応する5nm〜85nmとしてもよい。ただし、この設定膜厚はあくまで一例を示したものであって、数値は任意に変更可能である。また、A(nm)の値も、85nmに限るものではない。また、酸化膜OMは、図5に示すように、金属粉末15の各銅粉の最表面に形成される。
処理切替判定工程S20e(吸収率向上支援工程S20)では、処理切替判定部60が、薄膜層15aにおいて形成されるべき複数の酸化膜OMの全てが形成されてはおらず、形成されるべき酸化膜OMがまだ残っていると判定したら、酸化膜形成処理工程S20bに戻り、近赤外レーザ光L1の照射位置を短波長レーザ光L2の照射範囲内において変更し、次の酸化膜OMの形成処理を行なう。このような処理を繰り返し行ない、造形物を形成するため必要な酸化膜OMを照射範囲Ar1内において複数(全箇所)形成する(図8C参照)。
しかし、処理切替判定工程S20eにおいて、処理切替判定部60が、形成されるべき酸化膜OMは全箇所形成された、と判定したら、処理を酸化膜形成処理から造形処理に切り替え、造形工程S30に移動する。このように、本実施形態においては、短波長レーザ光L2と近赤外レーザ光L1との重畳照射によって、形成すべき全ての酸化膜OMが、所定の膜厚に達した状態で形成されたと判定された場合に、吸収率向上支援処理から造形処理に切替える。このようにして、造形物を形成するため必要な酸化膜OMを第五スポット径φEの範囲内において第五スポット径φEより小さな第六スポット径φFで複数形成する(図8C参照)。
なお、上記の膜厚演算工程S20cにおいて演算される酸化膜OMの膜厚は、上述したように膜厚推定部50(表面温度測定部51、照射時間計測部52、及び酸化膜厚演算部53)によって推定する。膜厚推定部50の作動については、前述したとおりであるので、詳細な説明については省略する。
造形工程S30(造形処理)では、制御部45が備える造形部70が、造形光ビーム照射装置30を作動させ、図8Dに示すように、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を、薄膜層15aの表面の各酸化膜OMの形成位置に第六スポット径φFでそれぞれ照射する。このため、近赤外レーザ光L1は、酸化膜OMが形成されたことにより近赤外レーザ光L1の吸収率が向上した金属粉末15を良好に加熱する。
そして、金属粉末15を短時間で溶融させた後、固化させ薄膜層15aを固化薄膜層15bとして形成し積層造形する。図8Eに示すように、全ての酸化膜OMの形成位置における薄膜層15aを固化薄膜層15bとして形成し終えたら、S10に戻る。そして、金属粉末供給装置20による次の薄膜層15aの形成から再度開始する。
なお、上記においては、吸収率向上支援工程S20において、短波長レーザ光L2と近赤外レーザ光L1との重畳照射によって所定の膜厚の酸化膜OMを複数箇所形成したのち、造形工程S30に移動した。そして、造形工程S30において、近赤外レーザ光L1を照射して固化薄膜層15bを形成し造形物を積層造形した。
しかし、この態様には限らない。吸収率向上支援工程S20において、短波長レーザ光L2と近赤外レーザ光L1との重畳照射によって所定の膜厚の酸化膜OMを1箇所形成したのち、膜厚判定工程S20d及び処理切替判定工程S20eの判定によって造形工程S30に移動し、近赤外レーザ光L1を照射して固化薄膜層15bを形成し造形物を積層造形してもよい。この場合、吸収率向上支援工程S20と造形工程S30との間を複数回往復することで、複数個の固化薄膜層15bが形成される。
(1−4.第一実施形態の変形態様)
上記第一実施形態においては、造形工程S30において、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)のみの照射によって、固化薄膜層15bを形成して積層造形した。しかしこの態様には限らない。第一実施形態の変形態様として、造形工程S30においては、吸収率向上支援工程S20における短波長レーザ光L2の照射を停止させず、図8Bと同様に、近赤外レーザ光L1を短波長レーザ光L2に重畳して照射してもよい。これにより、第一実施形態に対し、より多くのエネルギーは消費するが、短波長レーザ光L2のエネルギー分だけより短時間で固化薄膜層15bが形成できる。
(1−5.第一実施形態の変形例1)
また、上記第一実施形態では、予熱処理工程S20a(吸収率向上支援工程S20)において、薄膜層15aの表面に対し予熱処理を行なう際、短波長レーザ光L2のみの照射によって行なった。しかし、この態様には限らない。第一実施形態の変形例1として、予熱処理工程S20aにおいて予熱処理を行なう際、図8Bと同様に、短波長レーザ光L2に加え、近赤外レーザ光L1を重畳して照射してもよい。この場合、近赤外レーザ光L1の照射範囲は短波長レーザ光L2の照射範囲よりも狭いが、第一実施形態より早い薄膜層15aの予熱処理の完了が期待できる。
(1−6.第一実施形態の変形例2)
また、上記第一実施形態の変形態様においても、予熱処理を行なう際、第一実施形態の変形例1と同様、図8Bに示すように、短波長レーザ光L2に加え、近赤外レーザ光L1を重畳して照射してもよい。この態様を、第一実施形態の変形例2とする。この場合においても、第一実施形態の変形態様に対して、より早い薄膜層15aの予熱の完了が期待できる。
<2.第二実施形態>
(2−1. 製造装置200)
次に、第二実施形態について説明する。図1に示す第二実施形態の製造装置200は、第一実施形態の製造装置100に対して、吸収率向上支援部40の吸収率向上支援処理が、予熱処理を有さない点が異なる。また、製造装置200は、第一実施形態の製造装置100に対して、吸収率向上支援処理における酸化膜OMを形成する処理(酸化膜形成処理)が一部異なる。
具体的には、第一実施形態の製造装置100では、酸化膜形成処理において、短波長レーザ光L2(支援光ビーム)を金属粉末15の照射範囲Ar1内における第五照射位置P5に第五スポット径φEで照射すると同時に、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を第五スポット径φEより径の小さな第六スポット径φFで短波長レーザ光L2(支援光ビーム)に重畳して照射することで、酸化膜OMを形成した。
しかし、第二実施形態の製造装置200では、図9Aに示すように、酸化膜形成処理において、短波長レーザ光L2(支援光ビーム)を金属粉末15の照射範囲Ar1内における第一照射位置P1に第一スポット径φAで照射するのと同時に、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を第一照射位置P1に第一スポット径φAで短波長レーザ光L2(支援光ビーム)に重畳して照射することで、酸化膜OMを形成する。
つまり、短波長レーザ光L2、及び近赤外レーザ光L1の各照射スポット径が同じであり、第一実施形態とは、この点が大きく異なる。そして、造形部70は、図9Bに示すように、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を第一スポット径φAで酸化膜OMの形成位置である第一照射位置P1に照射して造形処理を実施(制御)する。造形部70による造形処理は、第一実施形態と同様である。
上記第二実施形態によれば、造形物の製造装置200において、吸収率向上支援処理は、金属粉末15の表面に酸化膜OMを形成する処理であり、吸収率向上支援部40は、短波長レーザ光L2(支援光ビーム)を金属粉末15の照射範囲Ar1内における第一照射位置P1に第一スポット径φAで照射すると同時に、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を第一照射位置P1に第一スポット径φAで短波長レーザ光L2(支援光ビーム)に重畳して照射することで、酸化膜OMを形成する。
これにより、予熱処理がなくとも、吸収率向上支援処理では、同じ径で照射されるパワー密度の高い短波長レーザ光L2、及び近赤外レーザ光L1の重畳照射により出力が上昇し、短時間で酸化膜OMの形成が可能となり、効率的である。
(2−2.第二実施形態の変形態様)
上記第二実施形態では、造形処理を行なう際、第一実施形態と同様に、近赤外レーザ光L1のみの照射で実施した。しかしこの態様には限らない。造形処理は、吸収率向上支援処理(酸化膜形成処理)と同様、図9Aと同様、短波長レーザ光L2(支援光ビーム)を、金属粉末15の照射範囲Ar1内における第一照射位置P1に第一スポット径φAで照射すると同時に、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を第一照射位置P1に第一スポット径φAで短波長レーザ光L2(支援光ビーム)に重畳して照射してもよい。これにより、コストは高くなるが、造形処理は、短時間で完了できる。
(2−3.第二実施形態の変形例1)
また、上記第二実施形態では、吸収率向上支援処理(酸化膜形成処理)を行なう際、短波長レーザ光L2(支援光ビーム)を金属粉末15の照射範囲Ar1内における第一照射位置P1に第一スポット径φAで照射すると同時に、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を第一照射位置P1に第一スポット径φAで短波長レーザ光L2(支援光ビーム)に重畳して照射した。また、造形部70では、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を第一スポット径φAで酸化膜OMの形成位置である第一照射位置P1に照射して造形処理を実施した。
しかし、この態様には限らない。第二実施形態の変形例1として、吸収率向上支援部40は、図10に示すように、短波長レーザ光L2(支援光ビーム)を金属粉末15の照射範囲Ar1内における第三照射位置P3に第三スポット径φCで照射すると同時に、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を第三スポット径φCより径の小さな第四スポット径φDで短波長レーザ光L2(支援光ビーム)に重畳して照射することで、酸化膜OMを形成してもよい。つまり、吸収率向上支援部40は、広範囲に照射した短波長レーザ光L2に、狭い範囲の近赤外レーザ光L1を重畳して照射してもよい。これにより、短波長レーザ光L2の照射については、酸化膜形成に寄与しながら大きなコストはかからない。
(2−4.第二実施形態の変形例2)
また、第二実施形態の変形例2として、第二実施形態の変形例1に対し造形部70のみ変更してもよい。具体的には、造形部70は、第二実施形態の変形例1の吸収率向上支援部40と同様に、図10に示すように、短波長レーザ光L2(支援光ビーム)を、金属粉末15の照射範囲Ar1内における第三照射位置P3に第三スポット径φCで照射するのと同時に、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を第三スポット径φCより径の小さな第四スポット径φDで短波長レーザ光L2(支援光ビーム)に重畳して照射することで造形処理を実施してもよい。つまり、造形部70は、広範囲に照射した短波長レーザ光L2に、狭い範囲の近赤外レーザ光L1を重畳して照射してもよい。これにより、短波長レーザ光L2の照射については、加熱に寄与しながら大きなコストはかからない。
<3.第三実施形態>
(3−1. 製造装置300)
次に、第三実施形態について図11に基づき説明する。第三実施形態の製造装置300は、第一実施形態の製造装置100に対して、造形光ビーム照射装置30が異なる。具体的には、造形光ビーム照射装置30と支援光ビーム照射装置41とが一体となって、造形光及び支援光ビーム照射装置130を構成する。つまり、製造装置300は、1台の造形光及び支援光ビーム照射装置130によって、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)と短波長レーザ光L2(支援光ビーム)との切替え照射が可能な構成である。よって、造形光及び支援光ビーム照射装置130は、支援光ビーム照射装置41を備えているといえる。
つまり、製造装置300は、チャンバ10と、金属粉末供給装置20と、造形光及び支援光ビーム照射装置130と、吸収率向上支援部140(膜厚推定部50及び処理切替判定部60)と、造形部70と、を備える。吸収率向上支援部140及び造形部70は、制御部45に対応する制御部145に設けられる。よって、第一実施形態の製造装置100に対して、異なる点のみ説明し、同様部分については、説明を省略する。また、同様の構成には、同じ符号を付して説明する場合がある。
造形光及び支援光ビーム照射装置130は、金属粉末供給装置20によって、照射範囲Ar1に、供給されたチャンバ10内の金属粉末15の薄膜層15aの表面に近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)又は短波長レーザ光L2(支援光ビーム)を照射する。近赤外レーザ光L1及び短波長レーザ光L2は、制御部145が備えるレーザ切替部48の制御によって切替えられる。造形光及び支援光ビーム照射装置130は、レーザ発振器131、及びレーザヘッド132を備える。また、レーザ発振器131は、レーザ発振器131から発振された近赤外レーザ光L1及び短波長レーザ光L2をレーザヘッド132に伝送する光ファイバ135を備える。
レーザヘッド132は、図11に示すように、チャンバ10内の金属粉末15の薄膜層15aの表面から所定の距離を隔て、軸線が垂直となるよう配置される。レーザヘッド132は、レーザヘッド32と同様の構成であるため、説明を省略する。吸収率向上支援部140は、短波長レーザ光L2(支援光ビーム)を用いて吸収率向上支援処理を実施する制御部である。
(3−2.製造方法)
次に、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を用いて造形物を積層造形する製造方法について,図12のフローチャート2に基づき説明する。造形物の製造方法は、金属粉末供給工程S10と、吸収率向上支援工程S120と、造形工程S130と、を備える。金属粉末供給工程S10については、変更はないので説明を省略する。
吸収率向上支援工程S120では、吸収率向上支援部140の制御によって、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)の金属粉末15への吸収率を向上させるため、金属粉末15に対して、所定の吸収率向上支援処理を行なう。吸収率向上支援工程S120は、酸化膜形成処理工程S120a、膜厚演算工程S120b、膜厚判定工程120c及び処理切替判定工程S120dを備える。
酸化膜形成処理工程S120a(吸収率向上支援工程S120)は、短波長レーザ光L2(支援光ビーム)のみの照射によって酸化膜OMを形成する(酸化膜形成処理)。このため、酸化膜形成処理工程S120aでは、レーザ光照射制御部49がレーザ切替部48を制御し、短波長レーザ光照射部46を作動させる。これにより、短波長レーザ光照射部46が、造形光及び支援光ビーム照射装置130を作動させ、短波長レーザ光L2を薄膜層15aの表面に照射する。
短波長レーザ光L2(支援光ビーム)は、図13Aに示すように、照射範囲Ar1内における薄膜層15aの表面の第二照射位置P2に、第二スポット径φBで照射し酸化膜OMを形成する。このとき、第二スポット径φBは、短波長レーザ光L2が単独で薄膜層15aの表面に酸化膜OMを形成可能とする比較的小さなスポット径である。つまり、短波長レーザ光L2は、パワー密度が大きなレーザ光である。そして、短波長レーザ光L2(支援光ビーム)が照射される位置において、表面温度Tが、銅の融点近傍に近づくと酸化膜OMが形成され始める。
膜厚演算工程S120b(吸収率向上支援工程S120)では、膜厚推定部50によって、薄膜層15aの表面に形成される酸化膜OMの膜厚tを演算する。
膜厚判定工程120c(吸収率向上支援工程S120)では、膜厚演算工程S120bで演算した酸化膜OMの膜厚tが、所定の膜厚の範囲内に入っているか否かが、処理切替判定部60によって判定される。
演算された酸化膜OMの膜厚tが、所定の膜厚の範囲内である例えば、B(nm)〜A(nm)内に入っていれば、当該位置における近赤外レーザ光L1の照射を停止し、処理切替判定工程S120dに移動する。しかし、膜厚tが、B(nm)〜A(nm)の範囲内に入っていなければ、膜厚演算工程S120bに移動し、膜厚tが、B(nm)〜A(nm)の範囲内に入るまで、S120b及びS120cを繰り返し処理する。
処理切替判定工程S120d(吸収率向上支援工程S120)では、処理切替判定部60が、薄膜層15aにおいて形成されるべき複数の酸化膜OMの全て(全箇所)が形成されてはおらず、形成されるべき酸化膜OMがまだ残っていると判定したら、酸化膜形成処理工程S120aに戻り、短波長レーザ光L2の照射位置を変更し、形成されていない次の酸化膜OMの形成処理を行なう。そして、このような処理を繰り返し行ない、造形物を形成するために必要な複数の酸化膜OMを照射範囲Ar1内において全て形成する(図13B参照)。
しかし、処理切替判定工程S120dにおいて、形成されるべき酸化膜OMが全箇所形成されていると判定されると、処理切替判定部60は,処理を酸化膜形成処理から造形処理に切り替え、造形工程S130に移動させる。このように、本実施形態においては、短波長レーザ光L2の照射によって、形成すべき全ての酸化膜OMが、所定の膜厚に達した状態で形成されたと判定された場合に、吸収率向上支援処理から造形処理に切替える。
造形工程S130では、制御部145が備える造形部70が、レーザ切替部48を制御し、造形光及び支援光ビーム照射装置130を作動させる。これにより、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を、図13Cの実線の円で示すように、薄膜層15aの表面の各酸化膜OMの形成位置に第二スポット径φBで照射する。
従って、近赤外レーザ光L1は、酸化膜OMの形成により近赤外レーザ光L1の吸収率が向上した金属粉末15を良好に加熱し、短時間で溶融させて固化させ薄膜層15aを固化薄膜層15bとして形成し造形物を積層造形する。そして、図13Cの二点鎖線の円で示す全ての酸化膜OMの形成位置における薄膜層15aを固化薄膜層15bとして形成し終えたら、S10に戻る。そして、金属粉末供給装置20による次の薄膜層15aの形成から再度開始する。
このように、第三実施形態においては、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)及び短波長レーザ光L2(支援光ビーム)を、一つの造形光及び支援光ビーム照射装置130を備えるだけで実施できるので安価に製造できる。
<4.第四実施形態>
(4−1. 製造装置400)
なお、本発明は、第四実施形態として、上記第一〜第三実施形態の製造装置100〜300とは異なる構成を有する特開2007−216235号公報に開示されるタイプの製造装置400にも適用できる(図14参照)。製造装置400は、上記第一〜第三実施形態の製造装置100〜300と、金属粉末供給装置20、造形光ビーム照射装置30、及び造形光及び支援光ビーム照射装置130が異なる。その中でも特に、金属粉末供給装置20の態様が異なる。
製造装置400は、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)及び短波長レーザ光L2(支援光ビーム)を、レーザ切替部48の制御によって一つの造形光及び支援光ビーム照射装置230を切替えながら照射する。よって、製造装置400は、第三実施形態と同様、支援光ビーム照射装置41を備えているといえる。
また、これに加え、製造装置400は、金属粉末供給装置20に対応する金属粉末供給装置220を、レーザ光を出射するレーザヘッド232の外周側に一体的に備える。さらに、製造装置400においては、金属粉末供給装置220及びレーザヘッド232はチャンバ210内に配置される。なお、このようなタイプの製造装置は公知であるので、詳細な説明については省略する。
これにより、製造装置400は、金属粉末15をレーザヘッド232の外周部から金属粉末供給装置220によって照射範囲Ar1内に噴射後、造形光及び支援光ビーム照射装置230から照射する短波長レーザ光L2(支援光ビーム)の照射によって酸化膜形成処理(吸収率向上支援処理)を行ない、薄膜層15aの表面に酸化膜OM(図14では図略)を形成する。そして、酸化膜OMの形成後、制御部145のレーザ切替部48が、造形光及び支援光ビーム照射装置230のレーザ照射を短波長レーザ光L2から近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)に切替える。
これにより、造形光及び支援光ビーム照射装置230から近赤外レーザ光L1を酸化膜OMの形成位置に照射して、造形処理を行ない、三次元造形物を形成する。なお、吸収率向上支援工程及び造形工程は、第二実施形態の吸収率向上支援工程S120及び造形工程S130と同様である。これにより、製造装置400によっても、第三実施形態の製造装置300で製造する造形物と同様の三次元造形物が形成される。
<5.第五実施形態>
(5−1. 製造装置500)
次に、第五実施形態について図15に基づき説明する。図15に示す第五実施形態の製造装置500は、第一実施形態の製造装置100に対し、支援光ビーム照射装置41を有していない。つまり、製造装置500は、造形光ビーム照射装置30によって、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)のみが照射される装置である。以降においては、主に第一実施形態の製造装置100に対して異なる点のみ説明し、同様部分については、説明を省略する。また、同様の構成には、同じ符号を付して説明する場合がある。
製造装置500は、チャンバ10と、金属粉末供給装置20と、造形光ビーム照射装置30と、黒色皮膜形成装置250と、第一実施形態の制御部45に対応する制御部245と、を備える。制御部245は、金属粉末供給制御部25と、吸収率向上支援部240と、近赤外レーザ光照射部47と、造形部70と、を備える。
吸収率向上支援部240は、照射範囲Ar1に供給される金属粉末15の表面に対して所定の吸収率向上支援処理を行なう。ここで、所定の吸収率向上支援処理とは、金属粉末15が照射範囲Ar1に供給された後に、金属粉末15の表面に後述する黒色材料を付着させて黒色皮膜BMを形成する処理である。
黒色皮膜形成装置250は、チャンバ10内に設けられる。黒色皮膜形成装置250は、制御部245が備える吸収率向上支援部240によって制御される。黒色皮膜形成装置250は、金属粉末供給装置20によって照射範囲Ar1に供給された後の金属粉末15の薄膜層15aの表面に、所定の吸収率向上支援処理として、黒色材料の一例であるカーボンブラックCBを噴射して付着させる。
黒色皮膜形成装置250は、貯留容器(図略)内に貯留したカーボンブラックCB(黒色材料)を、薄膜層15aの表面全面に噴射し吹きつけ可能であれば、どのような構成を有して形成されていてもよい。なお、カーボンブラックCBとは、工業的に品質制御して製造される炭素の微粒子であり、インキ、タイヤ等多くの分野で利用されている公知の材料であり、これ以上の詳細な説明については、省略する。カーボンブラックCBは、照射範囲Ar1に供給された金属粉末15(銅粉)の薄膜層15aの表面に薄く付着して、黒色皮膜BMを形成する。
なお、本実施形態において、黒色材料とは、その名のとおり黒色で形成された材料であり、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)の吸収率が高い材料である。黒色材料の例としては、カーボンブラックCB以外に、黒鉛、炭、黒色塗料(黒色インキ)等が挙げられる。黒色材料において、黒色の定義は、厳密ではなく、上述した黒鉛、炭、黒色塗料(黒色インキ)のような、通常、黒色と判断される程度の色であればよい。
造形部70は、吸収率向上支援処理(黒色皮膜BMの形成)の実施後に、近赤外レーザ光照射部47によって、造形光ビーム照射装置30を作動させ、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を薄膜層15aの表面上に設定された所定の位置に照射する。このとき、所定の位置とは、これから作製すべき三次元造形物のスライスデータ(描画パターン)に基づく位置である。このように、造形部70は、黒色皮膜BMが形成された薄膜層15aの表面を加熱し、薄膜層15aを溶融させ、後に固化させて造形物を積層造形する造形処理を行なう。
(5−2.製造方法)
次に、第五実施形態における造形物の製造方法について,図16のフローチャート3に基づき説明する。造形物の製造方法は、金属粉末供給工程S10と、吸収率向上支援工程S220と、造形工程S230と、造形終了確認工程S240とを備える。なお、金属粉末供給工程S10は、フローチャート1と同様である。以降においては、主に第一実施形態のフローチャート1と異なる部分について説明する。
吸収率向上支援工程S220では、吸収率向上支援部240の制御によって、黒色皮膜形成装置250が、照射範囲Ar1に供給された後の金属粉末15の薄膜層15aの表面全面に、カーボンブラックCBを噴射して付着させ黒色皮膜BMを形成する。黒色皮膜BMの厚さは数μm〜十数μm程度でよい。ただし、この厚さに限定されるものではない。
黒色皮膜BMは、近赤外レーザ光L1を効率よく吸収し、迅速に昇温する。また、黒色皮膜BMは、自身の昇温に伴い、付着する金属粉末15を熱伝導によって迅速に昇温させるとともに保温し、金属粉末15の昇温を補助する。これにより、酸化膜OMが形成される上記実施形態と同様、黒色皮膜BMの形成によって、金属粉末15(銅粉末)に対する近赤外レーザ光L1の吸収率が向上するといえる。
造形工程S230(造形処理)では、制御部245の造形部70が、造形光ビーム照射装置30を作動させ、前述した薄膜層15aの表面における所定の照射位置に、所定の照射径で照射する(図略)。
近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)が、薄膜層15aの表面に形成される黒色皮膜BMに照射されると、前述したように、黒色皮膜BMは、迅速に昇温する。これに伴い、黒色皮膜BMは、接触している金属粉末15を熱伝導によって迅速に昇温させるとともに保温する。
その後、昇温した薄膜層15aが融点(例えば1060℃)を超えると、薄膜層15aは、溶融して下方の固化薄膜層15bと接合され積層造形される。このとき、金属粉末15が溶融する際には、黒色皮膜BM(カーボンブラックCB)は、すでに気化され、溶融した金属粉末15には混入されない。
ここで、黒色皮膜BM(カーボンブラックCB)の気化について簡単に説明しておく。上記において、カーボンブラックCB(黒色皮膜BM)の気化温度は、銅粉(金属粉末15)の融点よりも高い。しかしながら、カーボンブラック(黒色皮膜BM)は、薄膜層15aの表面に薄く付着している。このため、近赤外レーザ光L1が照射される部分における黒色皮膜BMの容積、つまり熱容量は小さい。従って、黒色皮膜BMへの近赤外レーザ光L1の照射によって、黒色皮膜BMは、金属粉末15が融点に達する以前に気化温度まで到達可能である。これにより、造形処理において、黒色皮膜BM(カーボンブラックCB)は、金属粉末15が溶融する以前に気化し、金属粉末15には混入しない。
このようなプロセスで、金属粉末15を、短時間で溶融させた後、固化させ薄膜層15aを固化薄膜層15bとして形成し積層造形する。1つの薄膜層15aの表面における全てのスライスデータの所定の照射位置に近赤外レーザ光L1を照射し終えたら、造形終了確認工程S240に移行する。
造形終了確認工程S240では、予め積層造形がされるものとして設定された複数の薄膜層15aの全てに対して積層造形がされたか否かが確認される。造形終了確認工程S240にて、まだ積層造形がされていない薄膜層15aがあると判定されると金属粉末供給工程S10に戻る。そして、金属粉末供給装置20による次の薄膜層15aの形成から再度開始する。
以降、金属粉末供給装置20によって薄膜層15aが照射範囲Ar1に供給された後には、毎回、吸収率向上支援部240の制御により黒色皮膜BMが、金属粉末15の表面に形成される。このような処理の繰り返しにより、従来よりも短時間で三次元造形物を形成することができる。また、造形終了確認工程S240にて、予定された複数の薄膜層15aの積層造形が全て終了したと判定された場合には、プログラムを終了する。
(5−3.その他)
なお、上記第五実施形態では、吸収率向上支援工程S220において、照射範囲Ar1に供給された後の金属粉末15の薄膜層15aの表面全面に、黒色皮膜BMが形成された。しかし、この態様には限らない。薄膜層15aの表面に形成する黒色皮膜BMの範囲は、造形部70が、造形処理を行なうため、金属粉末15の薄膜層15a表面に近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を照射する所定の照射位置に対応する範囲のみであってもよい。これにより、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)が照射されない部分への黒色皮膜BMの形成は行なわれないので、カーボンブラックCBの使用量が抑制できコスト低減が図れる。
また、上記第五実施形態では、薄膜層15aが照射範囲Ar1に全て供給された後に、薄膜層15aの表面にカーボンブラックCBが噴射され黒色皮膜BMが形成された。しかしこの態様には限らない。黒色皮膜BMは、金属粉末15の薄膜層15aが照射範囲Ar1に供給されるタイミングから少し遅れたタイミングで追従しながら、形成されてもよい。これによっても、同様の効果が得られる。
また、上記第五実施形態では、照射範囲Ar1に供給された後の金属粉末15の薄膜層15aの表面に、カーボンブラックCBを噴射し黒色皮膜BMを形成した。しかし、この態様に限らない。その他の変形態様として、吸収率向上支援部240の吸収率向上支援処理により、以下のように製作しても良い。
具体的には、照射範囲Ar1に供給される前の金属粉末15の原料(金属粉末集合体に相当)にカーボンブラックCBを混入するとともに攪拌する。これにより、原料の各金属粉末の表面にカーボンブラックCBを付着させ、黒色皮膜BMつきの原料(金属粉末集合体)を製作する。
この場合、金属粉末15の原料が貯留される容器内にカーボンブラックCBを所定量投入し、手、又は機械によって攪拌すればよい(図略)。その後、カーボンブラックCBが外表面全面に付着した原料の各金属粉末が、金属粉末供給装置20によって照射範囲Ar1に供給されると、照射範囲Ar1に供給された金属粉末15の表面には、確実にカーボンブラックCBが付着された状態、即ち黒色皮膜BMが形成された状態となっている。これにより、上記第五実施形態と同様の効果が得られる。
(4.上記実施形態による効果)
上述から明らかなように、上記第一〜第五実施形態によれば、造形物の製造装置100〜500は、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)の照射によって金属粉末15を焼結又は溶融によって固化させ積層造形する造形物の製造装置100〜500である。製造装置100〜500は、外気と内気との遮断が可能なチャンバ10,210と、チャンバ10,210の内部に設けられ、金属粉末15を近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)の照射範囲Ar1に供給する金属粉末供給装置20,220と、照射範囲Ar1に供給されたチャンバ10、210内の金属粉末15(薄膜層15a)の表面へ近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を照射する造形光ビーム照射装置30(造形光及び支援光ビーム照射装置130,230)と、照射される近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)の、金属粉末15(薄膜層15a)への吸収率を向上させるため、金属粉末15(薄膜層15a)に対して所定の吸収率向上支援処理を行なう吸収率向上支援部40,140,240と、吸収率向上支援処理の実施後に、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を照射範囲Ar1に供給された金属粉末15(薄膜層15a)に照射し、金属粉末15(薄膜層15a)を加熱し、焼結又は溶融によって固化させ積層造形する造形処理を行なう造形部70と、を備える。
このように、造形物の製造装置100〜500は、吸収率向上支援部40,140,240によって、金属粉末15(薄膜層15a)に対する近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)の吸収率を高める吸収率向上支援処理をおこなった後、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を金属粉末15(薄膜層15a)に照射する。このため、近赤外レーザ光L1は、金属粉末15(薄膜層15a)に良好に吸収される。従って、短時間の近赤外レーザ光L1の照射によって金属粉末15(薄膜層15a)は良好に加熱され焼結又は溶融によって固化されるので積層造形する時間を短くすることができ、低コストに製作可能となる。
また、上記実施形態によれば、第一〜第三実施形態に係る造形物の製造装置100〜300は、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)と異なる波長の短波長レーザ光L2(支援光ビーム)を、金属粉末15(薄膜層15a)へ照射する支援光ビーム照射装置41を備える(又は備えると見なせる)。そして、吸収率向上支援部40,140は、少なくとも短波長レーザ光L2(支援光ビーム)を用いて吸収率向上支援処理を実施し、造形部70は、少なくとも近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を用いて造形処理を実施する。
短波長レーザ光L2(支援光ビーム)は、運用コストは高いが、金属粉末15への吸収率が良好である。このため、大きな出力を必要としない吸収率向上支援処理における予熱処理や酸化膜形成処理には、低出力で照射すればよく比較的安価に実施ができる。そして、吸収率向上支援処理によって、金属粉末15の吸収率が向上した状態で運用コストの安い近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)によって造形処理を行なうため、こちらも安価に製作できる。このように、各レーザ光L1,L2のそれぞれの特徴を生かすことで吸収率向上支援処理及び造形処理は、ともに安価となる。
また、上記第一実施形態の変形態様、第一実施形態の変形例2、第二実施形態の変形態様、及び変形例2によれば、造形部70は、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)及び短波長レーザ光L2(支援光ビーム)の両方を用いて造形処理を実施する。これにより、短時間で造形処理が実施できる。
また、上記第一及び第二実施形態によれば、吸収率向上支援部40,140は、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)及び短波長レーザ光L2(支援光ビーム)の両方を用いて吸収率向上支援処理を実施する。これにより、短時間で吸収率向上支援処理が実施できる。
また、上記第一実施形態によれば、吸収率向上支援処理は、金属粉末15(薄膜層15a)の表面に酸化膜OMを形成する処理である。そして、吸収率向上支援部40は、短波長レーザ光L2(支援光ビーム)を金属粉末15(薄膜層15a)の照射範囲Ar1内における第三照射位置P3に第三スポット径φCで照射すると同時に、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を第三スポット径φCより径の小さな第四スポット径φDで支援光ビームに重畳して照射することで、酸化膜OMを形成する。そして、造形部70は、少なくとも近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を第四スポット径φDで酸化膜OMの形成位置に照射して造形処理を実施する。
このように、酸化膜OMの形成時には、広範囲(第三スポット径φC)を照射する短波長レーザ光L2(支援光ビーム)と、短波長レーザ光L2よりも狭い範囲(第四スポット径φD)で、短波長レーザ光L2に近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を重畳して照射することで、重畳部分では高出力となる。このため、短時間で酸化膜OMの形成ができる。
また、上記第一実施形態によれば、吸収率向上支援処理は、金属粉末15(薄膜層15a)を予熱し、且つ、予熱後に金属粉末15(薄膜層15a)の表面に酸化膜OMを形成する処理である。そして、吸収率向上支援部40は、少なくとも短波長レーザ光L2(支援光ビーム)を金属粉末15の照射範囲Ar1内における第五照射位置P5に第五スポット径φEで近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)の照射前に照射して、予熱処理を実施する。その後、短波長レーザ光L2(支援光ビーム)を金属粉末15の照射範囲Ar1内における第五照射位置P5に第五スポット径φEで照射すると同時に、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を、第五スポット径φEより径の小さな第六スポット径φFで短波長レーザ光L2(支援光ビーム)に重畳して照射することで、酸化膜OMを形成する。造形部70は、少なくとも近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を、第六スポット径φFで酸化膜OMの形成位置に照射して造形処理を実施する。
このように、吸収率向上支援処理は金属粉末15(薄膜層15a)を予熱し、予熱後に金属粉末15(薄膜層15a)の表面に酸化膜OMを形成する。これにより、酸化膜OMを形成する時間が短縮できる。また、酸化膜OMの形成時には、広範囲(第五スポット径φE)を照射する短波長レーザ光L2と、短波長レーザ光L2よりも狭い範囲(第六スポット径φF)で短波長レーザ光L2(支援光ビーム)に近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を重畳して照射することで、重畳部分では高出力となる。このため、短時間で酸化膜OMの形成ができる。
また、上記第一実施形態及び第一実施形態の変形態様によれば、吸収率向上支援部40は、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を用いずに、短波長レーザ光L2(支援光ビーム)を用いて予熱処理を実施する。このように、予熱の実施に対して、金属粉末15への吸収率が低い近赤外レーザ光L1を用いないことによって、予熱処理にかかる時間はそれほど変わらないのに低コストで実施できる。
また、上記第一〜第四実施形態によれば、金属粉末15に対する近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)の吸収率は、酸化膜OMの膜厚との関係において、膜厚の増大方向への変化に対して極大値と極小値とが交互に出現する周期性を有するとともに酸化膜OMの膜厚がゼロの場合に最も小さくなる特性を有する。そして、吸収率向上支援部40,140では、ゼロを超えて形成される酸化膜OMの所定の膜厚が、周期性を有する吸収率との関係において、酸化膜OMの膜厚がゼロを超え、はじめに吸収率が極大値として出現する第一極大値aに対応する第一極大膜厚A以下の範囲内で設定される。これにより、酸化膜OMを形成させずに、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を金属粉末に吸収させる場合と比較して、近赤外レーザ光L1の吸収率は確実に向上する。
また、上記第一〜第四実施形態によれば、吸収率向上支援部40,140は、吸収率向上支援処理によって金属粉末15(薄膜層15a)の表面に形成される酸化膜OMの膜厚を推定する膜厚推定部50と、推定された酸化膜OMの膜厚が所定の膜厚に達したか否かを判定し、所定の膜厚に達したと判定した場合に吸収率向上支援処理から造形部70による造形処理に切替える処理切替判定部60と、を備える。
また、膜厚推定部50は、酸化膜OMが形成される金属粉末15の薄膜層15aの表面温度Tを測定する表面温度測定部51と、短波長レーザ光L2(支援光ビーム)若しくは重畳された短波長レーザ光L2(支援光ビーム)及び近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)が、酸化膜OMの形成のため金属粉末15の薄膜層15aの表面に照射された照射時間Hを計測する照射時間計測部52と、測定された表面温度Tと計測された照射時間Hとに基づき、酸化膜OMの推定膜厚を演算する酸化膜厚演算部53と、を備える。これにより、酸化膜OMの膜厚が精度よく推定でき、所望の吸収率向上の効果が良好に得られる。
また、上記第一〜第四実施形態によれば、造形光ビームは、近赤外波長のレーザ光(近赤外レーザ光L1)であり、支援光ビームは、近赤外波長より波長が短い短波長のレーザ光(短波長レーザ光L2)である。このように、金属粉末15の薄膜層15aを高い温度まで上昇させる必要のない吸収率向上支援処理のためには、主に運用コストが高いが吸収率のよい短波長の短波長レーザ光L2を使用し、金属粉末15の薄膜層15aを高い温度まで上昇させる必要のある造形処理には、運用コストが低い近赤外波長の近赤外レーザ光L1を使用するので、低コストに実施できる。
また、上記第一〜第五実施形態によれば、金属粉末15は銅粉末である。これにより、市場において、ニーズの高い銅粉によって、金属AMによる三次元造形物の製造ができる。
また、上記第五実施形態によれば、吸収率向上支援処理は、金属粉末供給装置20によって照射範囲Ar1に供給される金属粉末15の表面に黒色材料を付着させて黒色皮膜BMを形成する処理である。そして、吸収率向上支援部240は、金属粉末15が照射範囲Ar1に供給される前、又は金属粉末15が照射範囲Ar1に供給された後における吸収率向上支援処理によって照射範囲Ar1に供給される金属粉末15の表面に黒色皮膜BMを形成する。これにより、造形光ビームの照射時間を短縮できるので、短時間で吸収率向上支援処理が実施でき、低コスト化が図れる。
また、上記第五実施形態によれば、吸収率向上支援処理の実施後に、造形部70が金属粉末15の表面に近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を照射して金属粉末15を加熱し、焼結又は溶融によって固化させた際、黒色皮膜BMは、固化させ積層造形した造形物内に残留しない。これにより、造形物の強度は高くなり、製品としての品質が向上する。
また、上記第五実施形態によれば、吸収率向上支援部240は、チャンバ10の内部に設けられ、金属粉末15が照射範囲Ar1に供給された後において、金属粉末15の表面に黒色皮膜BMを形成する黒色皮膜形成装置250を備える。このように、金属粉末15が照射範囲Ar1に供給された後に黒色皮膜BMが形成されるので、余分な黒色皮膜BMを金属粉末15の薄膜層15aの表面以外に付着させずにすみ、ムダが少なくなる。
また、上記第五実施形態によれば、吸収率向上支援部240が、金属粉末15の表面上において黒色皮膜BMを形成する範囲は、吸収率向上支援処理の実施後に、造形部70が、造形処理を行なうため、金属粉末15の表面に近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を照射する所定の照射位置に対応する範囲である。このように、金属粉末15の照射範囲Ar1における薄膜層15aの表面全面に黒色皮膜BMを付着させずにすむので、さらにムダが少ない。
また、上記第五実施形態によれば、黒色皮膜BMは、金属粉末供給装置20によって金属粉末15が照射範囲Ar1に供給された後に毎回、吸収率向上支援部240により金属粉末15の表面に形成される。これにより、金属粉末15が照射範囲Ar1に供給された後には毎回、短時間で積層造形できるので、完成物である三次元造形物が短時間で製作可能となる。
また、上記第五実施形態の変形態様によれば、吸収率向上支援部240は、金属粉末15が照射範囲Ar1に供給される前において、黒色材料(カーボンブラックCB)を金属粉末15の原料である金属粉末集合体に混入し攪拌して金属粉末の表面に付着させ、黒色皮膜BMを形成する。これによっても、上記第五実施形態と同様の効果が得られる。
また、上記第一〜第五実施形態によれば、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)の照射によって、金属粉末15の薄膜層15aを焼結又は溶融によって固化させ積層造形する造形物の製造方法が、金属粉末15の薄膜層15aを近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)の照射範囲Ar1に供給する金属粉末供給工程S10と、照射される近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)の金属粉末15への吸収率を向上させるため、金属粉末15の薄膜層15aに対して所定の吸収率向上支援処理を行なう吸収率向上支援工程S20,S120,S220と、吸収率向上支援処理の実施後に、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を照射範囲Ar1に供給された金属粉末15の薄膜層15aに照射し、金属粉末15(薄膜層15a)を加熱し、焼結又は溶融によって固化させ積層造形する造形処理を行なう造形工程S30,S130と、を備える。これにより、製造装置100〜500で製造した三次元造形物と同様の低コストな三次元造形物が製造できる。
また、上記第五実施形態によれば、吸収率向上支援工程S220は、金属粉末15が照射範囲Ar1に供給される前、又は金属粉末15が照射範囲Ar1に供給された後に実施される吸収率向上支援処理によって、照射範囲Ar1に供給される金属粉末15の表面に黒色皮膜BMが形成された状態とする。このように、黒色皮膜BMを形成するだけで近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を高吸収率で吸収でき低コスト化が図れる。
(5.その他)
なお、上記第一〜第四実施形態においては、吸収率向上支援部40,140による吸収率向上支援処理では、金属粉末15の薄膜層15aの表面に、所定の膜厚の酸化膜OMを形成して、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)の吸収率を向上させた。しかし、この態様には限らない。吸収率向上支援処理では、金属粉末15の各銅粉表面に凹凸を形成し、これによって、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)の吸収率を向上させてもよい。この場合、上記第一〜第四実施形態とは、吸収率向上支援工程S20、S120の実施内容が異なってくるが、他の工程(金属粉末供給工程S10、造形工程S30,S130)については、同様に実施すればよい。
各銅粉表面に凹凸を形成することにより、近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)の吸収率が向上することは公知の知見に基づくものであり、詳細な説明については省略する。なお、各銅粉表面に凹凸を形成させるためには、公知のアトマイズ法によって銅粉を作製する際に、銅粉を球形とするための形成条件とは異なる条件を採用することによって実現できる。これによっても、相応の効果は得られる。
また、上記第一〜第四実施形態においては、吸収率向上支援工程S20、S120によって、金属粉末15の薄膜層15aの表面に、短波長レーザ光L2(支援光ビーム)若しくは短波長レーザ光L2及び近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)を照射することによって酸化膜OMを形成した。しかし、この態様には限らず、酸化膜OMは、加熱炉内で予め形成してもよい。これにより、酸化膜OMを形成する効率は低下するが、造形工程S30,S130だけをみた場合、上記実施形態と同様の効果が得られる。
また、上記第一〜第五実施形態では、金属粉末15を銅粉とした。しかし、金属粉末は、銅粉に限らずアルミ粉等の低吸収率材料でもよい。ただし、第一〜第四実施形態においては、アルミ等の低吸収率材料を金属粉末として適用した場合、各金属毎に、レーザ光の吸収率−酸化膜厚特性が異なる。この場合、各金属毎に対応した吸収率−酸化膜厚特性を把握した上で、所定の膜厚を新たに設定すればよい。なお、低吸収率材料は、上記で説明したとおりであり、近赤外レーザ光L1の吸収率が30%以下の金属材料をいう。
また、上記第一〜第四実施形態では、吸収率向上支援工程S20、S120において、酸化膜OMを、金属粉末15の薄膜層15aの表面に形成する際、膜厚推定部50によって、形成される酸化膜OMの膜厚を演算した。そして、所定の膜厚の酸化膜OMが形成されるまでの間は、照射する短波長レーザ光L2(支援光ビーム)若しくは短波長レーザ光L2及び近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)の出力は一定とした。しかし、この態様には限らない。膜厚推定部50によって、演算した酸化膜OMの膜厚が、所望の膜厚より小さい場合には、その後、レーザ光の照射の出力を上げて対応するようにしてもよい。つまり、演算した酸化膜OMの膜厚に応じてフィードバック制御する態様としてもよい。これにより、より短時間で造形物の製造ができる。
また、上記第一〜第四実施形態では、吸収率向上支援部40,140の吸収率向上支援処理により形成する酸化膜OMの膜厚の設定値は、周期性を有する吸収率との関係において、ゼロを超え、はじめに吸収率が極大値として出現する第一極大値aに対応する第一極大膜厚A以下の範囲内となるよう設定した。しかし、この態様には限らない。設定する酸化膜OMの膜厚は、第一極大膜厚Aを超える膜厚で設定してもよい。
つまり、第一極大値aに対応する第一極大膜厚Aと第一極小値aaに対応する第一極小膜厚AAとの間の膜厚において、吸収率がb%〜a%の範囲内となるよう酸化膜の膜厚を設定してもよい。また、さらに大きな酸化膜の膜厚によって、吸収率が、b%〜a%の範囲内となるよう酸化膜の膜厚を設定してもよい。
また、上記第一〜第四実施形態では、短波長レーザ光L2及び近赤外レーザ光L1(造形光ビーム)の照射スポットの形状を円形として説明した。しかし、この態様に限らない。可能であれば、各レーザ光L1,L2の照射スポットの形状は矩形でもよい。これによっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
また、上記第五実施形態では、造形光ビームとして近赤外レーザ光L1を適用したが、造形光ビームとして短波長レーザ光L2を適用してもよい。これにより、さらに三次元造形物の製造時間がさらに短縮できるので、高価な短波長レーザ光L2であっても、コスト低減に対して相応の効果が期待できる。
10,210:チャンバ、 15:金属粉末、 15a:薄膜層、 20,220:金属粉末供給装置、 30:造形光ビーム照射装置、 39:赤外線放射温度計、 40,140,240:吸収率向上支援部、 41:支援光ビーム照射装置、 45,145,245:制御部、 50:膜厚推定部、 51:表面温度測定部、 52:照射時間計測部、 53:酸化膜厚演算部、 60:処理切替判定部、 70:造形部、 100,200,300,400,500:製造装置、 130,230:造形光及び支援光ビーム照射装置、 250:黒色皮膜形成装置、 Ar1:照射範囲、 BM:黒色皮膜、 H:照射時間、 L1:近赤外レーザ光(造形光ビーム)、 L2:短波長レーザ光(支援光ビーム)、 OM:酸化膜、 P1:第一照射位置、 P2:第二照射位置、 P3:第三照射位置、 P5:第五照射位置、 S10:金属粉末供給工程、 S20,S120,S220:吸収率向上支援工程、 S30,S130:造形工程、 T:表面温度、 φA:第一スポット径、 φB:第二スポット径、 φC:第三スポット径、 φD:第四スポット径、 φE:第五スポット径。

Claims (24)

  1. 造形光ビームの照射によって金属粉末を焼結又は溶融によって固化させ積層造形する造形物の製造装置であって、
    外気と内気との遮断が可能なチャンバと、
    前記チャンバの内部に設けられ、前記金属粉末を前記造形光ビームの照射範囲に供給する金属粉末供給装置と、
    前記照射範囲に供給された前記チャンバ内の前記金属粉末へ前記造形光ビームを照射する造形光ビーム照射装置と、
    照射される前記造形光ビームの前記金属粉末への吸収率を向上させるため、前記金属粉末に対して所定の吸収率向上支援処理を行なう吸収率向上支援部と、
    前記吸収率向上支援処理の実施後に、前記造形光ビームを前記照射範囲に供給された前記金属粉末に照射し、前記金属粉末を加熱し、前記焼結又は前記溶融によって固化させ積層造形する造形処理を行なう造形部と、
    を備える造形物の製造装置。
  2. 前記造形物の製造装置は、前記造形光ビームと異なる波長の支援光ビームを前記金属粉末へ照射する支援光ビーム照射装置を備え、
    前記吸収率向上支援部は、少なくとも前記支援光ビームを用いて前記吸収率向上支援処理を実施し、
    前記造形部は、少なくとも前記造形光ビームを用いて前記造形処理を実施する、請求項1に記載の造形物の製造装置。
  3. 前記造形部は、前記造形光ビーム及び前記支援光ビームを用いて前記造形処理を実施する、請求項2に記載の造形物の製造装置。
  4. 前記吸収率向上支援部は、前記造形光ビーム及び前記支援光ビームを用いて前記吸収率向上支援処理を実施する、請求項2に記載の造形物の製造装置。
  5. 前記吸収率向上支援部は、前記造形光ビームを用いずに、前記支援光ビームを用いて前記吸収率向上支援処理を実施し、
    前記造形部は、前記支援光ビームを用いずに、前記造形光ビームを用いて前記造形処理を実施する、請求項2に記載の造形物の製造装置。
  6. 前記吸収率向上支援処理は、前記金属粉末の表面に酸化膜を形成する処理であり、
    前記吸収率向上支援部は、前記支援光ビームを前記金属粉末の前記照射範囲内における第一照射位置に第一スポット径で照射すると同時に、前記造形光ビームを前記第一照射位置に前記第一スポット径で前記支援光ビームに重畳して照射することで、前記酸化膜を形成し、
    前記造形部は、少なくとも前記造形光ビームを前記第一スポット径で前記酸化膜の形成位置である前記第一照射位置に照射して前記造形処理を実施する、請求項2−4の何れか一項に記載の造形物の製造装置。
  7. 前記吸収率向上支援処理は、前記金属粉末の表面に酸化膜を形成する処理であり、
    前記吸収率向上支援部は、前記支援光ビームを前記金属粉末の前記照射範囲内における第二照射位置に第二スポット径で照射することで、前記酸化膜を形成し、
    前記造形部は、前記造形光ビームを前記第二スポット径で前記酸化膜の形成位置である前記第二照射位置に照射して前記造形処理を実施する、請求項5に記載の造形物の製造装置。
  8. 前記吸収率向上支援処理は、前記金属粉末の表面に酸化膜を形成する処理であり、
    前記吸収率向上支援部は、前記支援光ビームを前記金属粉末の前記照射範囲内における第三照射位置に第三スポット径で照射すると同時に、前記造形光ビームを前記第三スポット径より径の小さな第四スポット径で前記支援光ビームに重畳して照射することで、前記酸化膜を形成し、
    前記造形部は、少なくとも前記造形光ビームを前記第四スポット径で前記酸化膜の形成位置に照射して前記造形処理を実施する、請求項2−4の何れか一項に記載の造形物の製造装置。
  9. 前記吸収率向上支援処理は、前記金属粉末を予熱し、且つ、予熱後に前記金属粉末の表面に酸化膜を形成する処理であり、
    前記吸収率向上支援部は、
    少なくとも前記支援光ビームを前記金属粉末の前記照射範囲内における第五照射位置に第五スポット径で前記造形光ビームの照射前に照射して、予熱処理を実施し、
    前記支援光ビームを前記金属粉末の前記照射範囲内における前記第五照射位置に前記第五スポット径で照射すると同時に、前記造形光ビームを前記第五スポット径より径の小さな第六スポット径で前記支援光ビームに重畳して照射することで、前記酸化膜を形成し、
    前記造形部は、少なくとも前記造形光ビームを前記第六スポット径で前記酸化膜の形成位置に照射して前記造形処理を実施する、請求項2又は4に記載の造形物の製造装置。
  10. 前記吸収率向上支援部は、前記造形光ビームを用いずに、前記支援光ビームを用いて前記予熱処理を実施する、請求項9に記載の造形物の製造装置。
  11. 前記吸収率向上支援部は、
    前記吸収率向上支援処理によって前記金属粉末の表面に形成される前記酸化膜の膜厚を推定する膜厚推定部と、
    前記推定された前記酸化膜の前記膜厚が所定の膜厚に達したか否かを判定し、前記所定の膜厚に達したと判定した場合に前記吸収率向上支援処理から前記造形部による前記造形処理に切替える処理切替判定部と、
    を備え、
    前記膜厚推定部は、
    前記酸化膜が形成される前記金属粉末の表面温度を測定する表面温度測定部と、
    前記支援光ビーム、若しくは前記支援光ビーム及び前記造形光ビームが、前記酸化膜の形成のため前記金属粉末の表面に照射された照射時間を計測する照射時間計測部と、
    測定された前記表面温度と計測された前記照射時間とに基づき、前記酸化膜の推定膜厚を演算する酸化膜厚演算部と、
    を備える、請求項6−10の何れか1項に記載の造形物の製造装置。
  12. 前記金属粉末に対する前記造形光ビームの前記吸収率は、前記酸化膜の前記膜厚との関係において、前記膜厚の増大方向への変化に対して極大値と極小値とが交互に出現する周期性を有するとともに前記酸化膜の前記膜厚がゼロの場合に最も小さくなる特性を有し、
    前記吸収率向上支援部では、
    前記ゼロを超えて形成される前記酸化膜の所定の膜厚が、
    前記周期性を有する前記吸収率との関係において、前記ゼロを超え、はじめに前記吸収率が前記極大値として出現する第一極大値に対応する第一極大膜厚以下の範囲内で設定される、請求項11に記載の造形物の製造装置。
  13. 前記造形光ビームは、近赤外波長のレーザ光であり、
    前記支援光ビームは、前記近赤外波長より波長が短い短波長のレーザ光である、請求項2−12の何れか1項に記載の造形物の製造装置。
  14. 前記吸収率向上支援処理は、前記金属粉末供給装置によって前記照射範囲に供給される前記金属粉末の表面に黒色材料を付着させて黒色皮膜を形成する処理であり、
    前記吸収率向上支援部は、前記金属粉末が前記照射範囲に供給される前、又は前記金属粉末が前記照射範囲に供給された後における前記吸収率向上支援処理によって前記照射範囲に供給される前記金属粉末の前記表面に前記黒色皮膜を形成する、請求項1に記載の造形物の製造装置。
  15. 前記吸収率向上支援処理の実施後に、前記造形部が前記金属粉末の前記表面に前記造形光ビームを照射して前記金属粉末を加熱し、前記焼結又は前記溶融によって固化させた際、前記黒色皮膜は、固化させ積層造形した前記造形物内に残留しない、請求項14に記載の造形物の製造装置。
  16. 前記吸収率向上支援部は、前記チャンバの内部に設けられ、前記金属粉末が前記照射範囲に供給された後において、前記金属粉末の前記表面に前記黒色皮膜を形成する黒色皮膜形成装置を備える、請求項14又は15に記載の造形物の製造装置。
  17. 前記吸収率向上支援部が、前記金属粉末の表面上において前記黒色皮膜を形成する範囲は、
    前記吸収率向上支援処理の実施後に、前記造形部が、前記造形処理を行なうため、前記金属粉末の前記表面に前記造形光ビームを照射する所定の照射位置に対応する範囲である、請求項16に記載の造形物の製造装置。
  18. 前記黒色皮膜は、前記金属粉末供給装置によって前記金属粉末が前記照射範囲に供給された後に毎回、前記吸収率向上支援部により前記金属粉末の前記表面に形成される、請求項14〜17の何れか1項に記載の造形物の製造装置。
  19. 前記吸収率向上支援部は、
    前記金属粉末が前記照射範囲に供給される前において、前記黒色材料を前記金属粉末の原料である金属粉末集合体に混入し攪拌して前記金属粉末の前記表面に付着させ、前記黒色皮膜を形成する、請求項14又は15に記載の造形物の製造装置。
  20. 前記黒色皮膜を形成する前記黒色材料はカーボンブラックである、請求項14−19の何れか1項に記載の造形物の製造装置。
  21. 前記造形光ビームは、近赤外波長のレーザ光である、請求項14−20の何れか1項に記載の造形物の製造装置。
  22. 前記金属粉末は銅粉末である、請求項1〜21の何れか1項に記載の造形物の製造装置。
  23. 造形光ビームの照射によって金属粉末を焼結又は溶融によって固化させ積層造形する造形物の製造方法であって、
    前記金属粉末を前記造形光ビームの照射範囲に供給する金属粉末供給工程と、
    照射される前記造形光ビームの前記金属粉末への吸収率を向上させるため、前記金属粉末に対して所定の吸収率向上支援処理を行なう吸収率向上支援工程と、
    前記吸収率向上支援処理の実施後に、前記造形光ビームを前記照射範囲に供給された前記金属粉末に照射し、前記金属粉末を加熱し、前記焼結又は前記溶融によって固化させ前記積層造形する造形処理を行なう造形工程と、
    を備える造形物の製造方法。
  24. 前記吸収率向上支援工程は、
    前記金属粉末が前記照射範囲に供給される前、又は前記金属粉末が前記照射範囲に供給された後に実施される前記吸収率向上支援処理によって、前記照射範囲に供給される前記金属粉末の表面に黒色皮膜が形成された状態とする、請求項23に記載の造形物の製造方法。
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