JP2017228413A - リチウムイオン電池正極用導電ペースト及びリチウムイオン電池正極用合材ペースト - Google Patents
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Abstract
Description
項1.分散樹脂(A)、ポリフッ化ビニリデン(B)、導電カーボン(C)、溶媒(D)、及びヒンダードアミン化合物(E)を含有することを特徴とするリチウムイオン電池正極用導電ペースト。
項2.分散樹脂(A)が、多環芳香族炭化水素基を有する樹脂(A1)を含有することを特徴とする項1に記載のリチウムイオン電池正極用導電ペースト。
項3.分散樹脂(A)が、ポリビニルアルコール樹脂(A2)を含有することを特徴とする項1又は2に記載のリチウムイオン電池正極用導電ペースト。
項4.導電カーボン(C)が、アセチレンブラックを含有することを特徴とする項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池正極用導電ペースト。
項5.導電カーボン(C)が、黒鉛を含有することを特徴とする項1〜4のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池正極用導電ペースト。
項6.溶媒(D)が、N−メチル−2−ピロリドンを含有することを特徴とする項1〜5のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池正極用導電ペースト。
項7.さらに、酸性化合物を含有することを特徴とする項1〜6のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池正極用導電ペースト。
項8.導電ペースト中の水分含有量が、1.0質量%未満であることを特徴とする項1〜7のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池正極用導電ペースト。
項9.露点10℃以下の雰囲気下で混合及び/又は顔料分散を行なうことを特徴とする項1〜8のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池正極用導電ペーストの製造方法。
項10.項1〜9のいずれか1項に記載の導電ペーストに、さらに電極活物質を配合してなるリチウムイオン電池正極用合材ペースト。
項11.合材ペースト中の水酸化リチウム含有量が、ポリフッ化ビニリデン(B)の質量を基準として、1.5質量%未満であることを特徴とする項10に記載のリチウムイオン電池正極用合材ペースト。
項12.項10又は11に記載のリチウムイオン電池正極用合材ペーストを用いて得られるリチウムイオン電池正極用電極。
項13.項12に記載のリチウムイオン電池正極用電極を有するリチウムイオン電池。
本発明においては、成分(A)〜(D)に、有害なラジカルを捕捉し、新たなラジカルを発生しないようにする機能を有するヒンダードアミン化合物(E)を組み合わせることにより、ポリフッ化ビニリデン分子の重合を抑制し、リチウムイオン電池正極用導電又は合材ペーストの粘度上昇、ゲル化を抑えることができたものと考えられる。
なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含むものとして理解されるべきである。
本発明は、分散樹脂(A)、ポリフッ化ビニリデン(B)、導電カーボン(C)、溶媒(D)、及びヒンダードアミン化合物(E)を含有することを特徴とするリチウムイオン電池正極用導電ペーストである。
本発明の導電ペーストで用いることができる分散樹脂(A)としては、本発明が属するリチウムイオン電池正極用導電ペーストの分野において導電助剤を分散させるために使用されているものを広く用いることができる。
本発明の導電ペーストに用いることができる多環芳香族炭化水素基を有する樹脂(A1)は、モノマー混合物の固形分の総量を基準として、多環芳香族炭化水素を有するモノマー(A1−1)を1〜70質量%含有するモノマー混合物を共重合することにより得られることを特徴とする。従って、本発明においては、樹脂(A1)は、モノマー混合物の固形分の総量を基準として、多環芳香族炭化水素を有するモノマー(A1−1)を1〜70質量%含有するモノマー混合物の共重合体と言い換えることもできる。
本発明の顔料分散樹脂で用いることができる多環芳香族炭化水素を有するモノマー(A1−1)の多環芳香族炭化水素としては、例えば、ナフタレン環、アントラセン環、トリフェニレン環、テトラフェン環、テトラセン環、クリセン環、ピレン環、ペンタセン環、ヘキサセン環、ヘプタセン環、コロネン環、ケクレン環を有する炭化水素基及びその誘導体が挙げられる。本発明の好ましい実施形態において、多環芳香族炭化水素を有するモノマー(A1−1)としては、上記多環芳香族のうち、ナフタレン環を有するもの、すなわち、ナフチル基を有する重合性不飽和モノマー又はその誘導体(A1−2)が挙げられる。ナフチル基を有する重合性不飽和モノマー又はその誘導体(A1−2)としては、例えば、後述する式(3)で表わされるナフチル基を有する重合性不飽和モノマー又はその誘導体(A1−1−2)等が挙げられる。
上記ナフチル基を有する重合性不飽和モノマー又はその誘導体(A1−1−2)としては、例えば、ビニルナフタレン、ナフチル(メタ)アクリレート、ナフチルアルキル(メタ)アクリレート、及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
上記ナフチル(メタ)アクリレート又はその誘導体(A1−1−3)としては、例えば、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、及びこれらの誘導体等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
上記式(5)中の置換基であるZがアルコキシ基の場合、アルコキシ基の炭素数としては、通常1〜8であり、好ましくは1〜4であり、より好ましくは1〜2であり、特に好ましくは1である。
本発明で用いることができる樹脂(A1)は、多環芳香族炭化水素を有する重合性不飽和モノマー(A1−1)と該(A1−1)以外の重合性不飽和モノマーを共重合して得ることができる。多環芳香族炭化水素を有する重合性不飽和モノマー(A1−1)以外の重合性不飽和モノマーとしては、通常、アクリル樹脂の合成で使用される重合性不飽和モノマーであれば特に制限なく用いることができ、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート等の炭素数3以下のアルキル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート等のイソボルニル基を有する重合性不飽和化合物;アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンチル基を有する重合性不飽和化合物;ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香環含有重合性不飽和モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物、該(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、分子末端が水酸基であるポリオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン化合物との付加物等のウレタン結合を含まない含窒素重合性不飽和モノマー;イソシアネート基含有重合性不飽和モノマーと水酸基含有化合物との反応生成物又は水酸基含有重合性不飽和モノマーとイソシアネート基含有化合物との反応生成物等のウレタン結合を有する重合性不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、アリルスルホン酸、4−スチレンスルホン酸等、これらスルホン酸のナトリウム塩及びアンモニウム塩等のスルホン酸基を有する重合性不飽和モノマー;2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート等のリン酸基を有する重合性不飽和モノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等のフッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー;マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー;分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルテレフタレート、ジビニルベンゼン等の重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
また、ポリアルキレングリコールマクロモノマーは、下記式(6)で示される非イオン性の重合性不飽和モノマーであり、そのようなモノマーの具体例としては、例えば、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらのうち、特に、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートが好適である。
CH2=C(R1)COO(CnH2nO)m−R2 ・・・式(6)
〔式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、mは4〜60、特に4〜55の整数であり、nは2〜3の整数であり、ここで、m個のオキシアルキレン単位(CnH2nO)は同じであっても又は互いに異なっていてもよい。〕
また、少なくとも1種の(メタ)アクリルアミド化合物を含有することが好ましい。上記(メタ)アクリルアミド化合物としては、それ自体既知のものを特に制限なく用いることができ、具体的には、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドブチルエーテル、N−メチロールメタクリルアミドブチルエーテル、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N−シクロプロピルメタクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシプロピルアクリルアミド、N−ヒドロキシブチルアクリルアミド、N−ヒドロキシペンチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチル−N−エチルアクリルアミド、N−メチル−N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N−ジヒドロキシメチルアクリルアミド、N,N−ジヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N−ジヒドロキシプロピルアクリルアミド、N,N−ジヒドロキシブチルアクリルアミド、N,N−ジヒドロキシペンチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、N−ヒドロキシブチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシペンチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシメチル−N−エチルメタクリルアミド、N−メチル−N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N,N−ジヒドロキシメチルメタクリルアミド、N,N−ジヒドロキシエチルメタクリルアミド、N,N−ジヒドロキシプロピルメタクリルアミド、N,N−ジヒドロキシブチルメタクリルアミド、N,N−ジヒドロキシペンチルメタクリルアミド、N,N−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド、及びN−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−メチル,N−エチルアクリルアミド、N−メチル,N−エチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドメチルエーテル、N−メチロールメタクリルアミドメチルエーテル、N−メチロールアクリルアミドエチルエーテル、N−メチロールメタクリルアミドエチルエーテル、N−メチロールアクリルアミドプロピルエーテル、N−メチロールメタクリルアミドプロピルエーテル、N−メチロールアクリルアミドブチルエーテル、N−メチロールメタクリルアミドブチルエーテル、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有(メタ)アクリルアミド化合物、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(アクリエステルDMC、商品名、三菱レイヨン社製)等の第4級アンモニウム塩基含有アクリルアミド化合物、アクリロイルモルホリン等を挙げることができる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
なかでも、下記式(7)で表わされる(メタ)アクリルアミド化合物であることが好ましい。
CH2=C(−R1)−C(=O)−N(−R2)−R3 ・・・式(7)
上記式(7)中のR1は水素原子又はメチル基であり、R2及びR3は異なっていても同じでも良く、水素原子、水酸基を有する有機基及びアルキル基から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。さらにR2及びR3の両方又は片方が水酸基を有する有機基であることがより好ましく、具体的には、例えば、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル−N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル−N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル−N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド、及びN−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル)アクリルアミドから選ばれる少なくとも1種であることが特に好ましい。
本発明の導電ペーストで用いることができる多環芳香族炭化水素基を有する樹脂(A1)は、ラジカル重合開始剤の存在下に、有機溶剤中で溶液重合する方法、又は水性媒体中でエマルション重合する方法等の、それ自体既知のラジカル重合法によって得ることができる。
脱溶媒の方法としては、常圧で加熱により行ってもよいし、減圧下で脱溶媒してもよい。溶媒置換の方法としては、脱溶媒前、脱溶媒途中、又は脱溶媒後のいずれの段階で置換溶媒を投入してもよい。
ポリビニルアルコール樹脂(A2)としては、下記式(1)で示される重合性不飽和基含有モノマー(A2a−1)とその他の重合性不飽和モノマーとを共重合して得られる樹脂(本明細書において、単にポリビニルアルコール樹脂(A2a)又は樹脂(A2a)と示すこともある)、スルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂(A2b)(本明細書において、単にポリビニルアルコール樹脂(A2b)又は樹脂(A2b)と示すこともある)、及び樹脂(A2a)と樹脂(A2b)以外のポリビニルアルコール樹脂(A2c)(本明細書において、単にポリビニルアルコール樹脂(A2c)又は樹脂(A2c)と示すこともある)が挙げられる:
本発明においては、ポリビニルアルコール樹脂(A2)として、ポリビニルアルコール樹脂(A2a)及び/又はポリビニルアルコール樹脂(A2b)を好適に用いることができるが、さらにポリビニルアルコール樹脂(A2c)を併用して用いることが好ましい。
ポリビニルアルコール樹脂(A2a)は、前記式(I)で示される重合性不飽和基含有モノマー(A2a−1)とその他の重合性不飽和モノマーとを共重合して得られる樹脂である。本発明において、「重合性不飽和基含有モノマー(A2a−1)を構成成分の1つとする樹脂」とは、重合性不飽和基含有モノマー(A2a−1)を含む原料モノマーの(共)重合により得られる樹脂を意味する。同様に、本発明において、モノマーXを「構成成分とする」樹脂とは、モノマーXを含む原料を(共)重合することにより得られる樹脂を意味する。また、上記ポリビニルアルコール樹脂(A2a)はスルホン酸変性をしておらず、スルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂(A2b)とは明確に区別できる。
中でも、単結合(Xは存在しない)、炭化水素基、エステル基〔−C(=O)−O−〕、アミド基〔−C(=O)−NH−〕、アミドメチル基〔−C(=O)NH−CH2−〕から選ばれる連結鎖であることが好ましく、単結合(Xは存在しない)であることがより好ましい。
これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。中でも、2つ以上の水酸基を持つものが好ましい。
また、前記式(1)で表わされるモノマー(A2a−1)中のX、R3、及びR4中の炭素原子と酸素原子の合計数が、3以上であることが好ましい。
ケン化度としては、50〜100mol%の範囲内であることが好ましく、70〜100mol%の範囲内であることがより好ましく、86〜100mol%の範囲内であることが更に好ましく、88〜99.9mol%の範囲内であることが特に好ましい。
言い換えると、少なくとも1種の重合性不飽和基含有モノマー(A2a−1)と少なくとも1種の脂肪酸ビニルエステル(A2a−2)の共重合体をケン化することによって、樹脂(A2a)が、重合性不飽和基含有モノマー(A2a−1)、脂肪酸ビニルエステル(A2a−2)、及びビニルアルコール(A2a−3)を構成成分とする樹脂となることが特に好ましい。
アルカリ触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物や、アルコラート等を用いることができる。酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸等の無機酸水溶液、p−トルエンスルホン酸等の有機酸を用いることができるが、水酸化ナトリウムを用いることが望ましい。
ケン化反応の温度は、特に限定されないが、好ましくは10〜70℃、より好ましくは30〜40℃の範囲であることが望ましい。反応時間は、特に限定されないが、30分〜3時間の範囲で行なうことが望ましい。
脱溶媒の方法としては、常圧で加熱により行ってもよいし、減圧下で脱溶媒してもよい。溶媒置換の方法としては、脱溶媒前、脱溶媒途中、又は脱溶媒後のいずれの段階で置換溶媒を投入してもよい。
スルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂(A2b)は、以下の製造方法でスルホン酸を付与したポリアルコール樹脂のことである。また、ポリビニルアルコール樹脂(A2b)は前記式(I)で示される重合性不飽和基含有モノマー(A2a−1)を含有しておらず、ポリビニルアルコール樹脂(A2a)とは明確に区別できる。
(1)スルホン酸基及び重合性不飽和基を含有する化合物と、酢酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステルとを共重合し、得られる重合体を更にケン化する方法。
(2)ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等をポリビニルアルコールにマイケル付加させる方法。
(3)ポリビニルアルコールを硫酸化合物溶液(硫酸水溶液や亜硫酸ナトリウム水溶液等)で加熱する方法。
(4)ポリビニルアルコールをスルホン酸基含有アルデヒド化合物でアセタール化する方法。
(5)スルホン酸基を有するアルコール、アルデヒド及びチオール等の官能基を有する化合物を連鎖移動剤として共存させ、ポリビニルアルコールの重合をする方法。
スルホン酸変性ポリビニルアルコール樹脂(A2b)中におけるスルホン酸基を有する重合性不飽和モノマーの含有割合は、0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.2〜5質量%である。本発明において、「樹脂(A2b)におけるスルホン酸基を有するモノマーの含有割合」とは、樹脂(A2b)の原料となるモノマー混合物中のスルホン酸基を有するモノマーの含有割合を意味する。従って、樹脂(A2b)中のスルホン酸基を有するモノマーの含有割合が0.1〜10質量%である、とは、樹脂(A2b)が、スルホン酸基を有するモノマーを0.1〜10質量%含む原料モノマーの共重合体であることを意味する。
本発明の導電ペーストで用いることができる分散樹脂(A)は、前記重合性不飽和基含有モノマー(A2a−1)を含まず、スルホン酸変性をしていないケン化度30〜100mol%のポリビニルアルコール樹脂(A2c)を含有することができる。本発明において、「重合性不飽和基含有モノマー(A2a−1)を含まないポリビニルアルコール樹脂」とは、重合性不飽和基含有モノマー(A2a−1)を含まない原料モノマーの(共)重合により得られるポリビニルアルコール樹脂を意味する。また、「スルホン酸変性をしていないポリビニルアルコール樹脂」とは、スルホン酸基を含有しない原料モノマーの(共)重合により得られるポリビニルアルコール樹脂またはポリビニルアルコール樹脂を前述した変性等によりスルホン酸基を付加していない樹脂を意味する。
脂肪酸ビニルエステルと共重合可能な重合性不飽和モノマーとしては、前記重合性不飽和基含有モノマー(A2a−1)とスルホン酸基を有する重合性不飽和モノマー以外のモノマーであれば特に制限なく使用することができ、例えば、エチレン、プロピレン等のオレフィン系モノマー;アルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有モノマー;アリルグリシジルエーテル等のアリルエーテル;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル系化合物;アルキルビニルエーテル、4−ヒドロキシビニルエーテル等のビニルエーテル等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
アルカリ触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物や、アルコラート等を用いることができる。酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸等の無機酸水溶液、p−トルエンスルホン酸等の有機酸を用いることができるが、水酸化ナトリウムを用いることが望ましい。
ケン化反応の温度は、特に限定されないが、好ましくは10〜70℃、より好ましくは30〜40℃の範囲であることが望ましい。反応時間は、特に限定されないが、30分〜3時間の範囲で行なうことが望ましい。
また、ケン化度は、通常30〜100mol%の範囲内であり、好ましくは32〜85mol%の範囲内である。
本発明においてポリビニルアルコール樹脂(A2c)のケン化度とは、ポリビニルアルコール樹脂(A2c)に含まれる脂肪酸ビニルエステル由来の構成単位のうち、エステル結合が加水分解されているものの割合(mol%)を意味する。ケン化度は、ポリビニルアルコール樹脂を水酸化ナトリウムのようなアルカリ性物質で完全にケン化し、得られた脂肪酸塩(例えば酢酸塩)の量を測定することにより測定することができる。(完全にケン化したかは赤外吸光分析により確認することができる。)
尚、上記ポリビニルアルコール樹脂(A2c)は市販品であっても良い。
脱溶媒の方法としては、常圧で加熱により行ってもよいし、減圧下で脱溶媒してもよい。溶媒置換の方法としては、脱溶媒前、脱溶媒途中、又は脱溶媒後のいずれの段階で置換溶媒を投入してもよい。
分散樹脂(A)には、上記の樹脂(A1)及び樹脂(A2)以外の樹脂を任意選択で配合してもよい。例えば、樹脂(A1)及び樹脂(A2)以外のアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリケート樹脂、塩素系樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)以外のフッ素系樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、及びこれらの複合樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。なかでも、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、フッ素樹脂の中から選ばれる少なくとも1種の樹脂を併用して用いることが好ましい。また、これらの樹脂は、顔料分散樹脂として、又は顔料分散後の添加樹脂として導電ペーストに配合することができる。
ポリフッ化ビニリデンとしては、発明が属するリチウムイオン電池正極用導電ペーストの分野において導電助剤を分散させるために使用されているものを広く用いることができる。ポリフッ化ビニリデンの重量平均分子量は特に限定されないが、通常10,000〜2,000,000が好ましく、50,000〜1,700,000がより好ましく、100,000〜1,500,000が特に好ましい。
導電カーボン(C)としては、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャネルブラック、ケッチェンブラック、バルカン、カーボンナノチューブ、グラフェン、気相成長カーボンファイバー(VGCF)、黒鉛等が挙げられる。好ましくは、アセチレンブラック、黒鉛等が挙げられ、より好ましくはアセチレンブラック等が挙げられる。また、本発明の好ましい実施形態において、導電カーボン(C)は、アセチレンブラック及び黒鉛の両方を含んでいてもよい。これらの導電カーボンは、1種単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
溶媒(D)としては、前述した多環芳香族炭化水素基を有する樹脂(A3)の重合又は希釈に使用される溶媒を好適に用いることができる。好ましい溶媒(D)の具体例としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メタノール等が挙げられ、好ましくはN−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
また、本発明の導電ペーストは、ペーストの総量を基準として、水分含有量が1.0質量%未満であることが好ましく、0.7質量%未満であることがより好ましく、0.5質量%未満であることがさらに好ましい。本発明において、導電ペーストの水分含有量は、カールフィッシャー電量滴定法にて測定する。具体的には、カールフィッシャー水分率計(京都電子工業株式会社製、製品名:MKC−610)を用い、該装置に備えられた水分気化装置(京都電子(株)製、ADP−611)の設定温度は130℃として測定することができる。導電ペースト中の水分量が1.0質量%以上であると、貯蔵安定性などが劣ることになるため、本発明の導電ペーストは、実質的に非水系の導電ペーストといえる。
本発明で用いることができるヒンダードアミン化合物(E)としては、低分子量の化合物又は高分子量の化合物など、公知のものを特に制限なく用いることができ、具体的には、例えば、低分子量の化合物としては、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロパーオキサイドおよびオクタンの反応生成物(分子量737)70重量%とポリプロピレン30重量%からなるもの;ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート(分子量685);ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートおよびメチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート混合物(分子量509);ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(分子量481);テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(分子量791);テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(分子量847);2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートとトリデシル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートの混合物(分子量900);1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートとトリデシル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートの混合物(分子量900)などを挙げることができる。
これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のリチウムイオン電池正極用導電ペーストは、さらに、酸性化合物(F)を含んでいてもよい。前述したポリフッ化ビニリデン主鎖中の二重結合形成及びポリフッ化ビニリデンの重合は、塩基性条件下で顕在化する。従って、酸性化合物(F)を添加することにより、ポリフッ化ビニリデンの重合、及びそれに伴うリチウムイオン電池正極用導電ペーストの粘度上昇、ゲル化を抑制し得る。酸性化合物(F)としては、特に限定されず、無機酸及び有機酸のいずれを用いることもできる。無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。有機酸としては、カルボン酸化合物、スルホン酸化合物等が挙げられる。カルボン酸化合物としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フルオロ酢酸等が挙げられる。スルホン酸化合物としては、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸等が挙げられる。また、上記酸性化合物の無水物、水和物、又は一部が塩になっている酸性化合物も用いることができる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
リチウムイオン電池正極用導電ペーストには、上記成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、及び(F)以外の成分(その他の添加剤と示すこともある)を配合してもよい。その他の添加剤としては、例えば、中和剤、顔料分散剤、消泡剤、防腐剤、脱水剤、防錆剤、可塑剤、結着剤(バインダー)等を挙げることができる。
本発明のリチウムイオン電池正極用導電ペースト固形分中の分散樹脂(A)の固形分含有量の合計量は、通常30質量%以下、好ましくは20質量%以下であることが、顔料分散時の粘度、顔料分散性、分散安定性及び生産効率等の面から好適である。また、本発明の好ましい実施形態において、塗膜の導電性の観点からは、本発明のリチウムイオン電池正極用導電ペースト固形分中の分散樹脂(A)の固形分含有量の合計量は、通常、20質量%以下、好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは1.0〜10質量%であることが好適である。
水分はできるだけ除去することが好ましいが、原材料や大気から水分が導電ペースト内に混入されることになるため、少なくとも0.01質量%以上の水分は含有することになり得る。また、設備や製造工程の関係上、0.06質量%以上の水分は含有することになり得る。
本発明は、上記導電ペーストに、さらに電極活物質を配合してなるリチウムイオン電池正極用合材ペーストを提供する。
電極活物質としては、例えば、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2等のリチウム複合酸化物等が挙げられる。これらの電極活物質は、1種単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。本発明のリチウムイオン電池正極用合材ペースト固形分中の電極活物質の固形分含有量は、通常70質量%以上、かつ100質量%未満、好ましくは80質量%以上、かつ100質量%未満であることが、電池容量、電池抵抗等の面から好適である。
本発明のリチウムイオン電池正極用合材ペーストは、前述したリチウムイオン電池正極用導電ペーストをまず調製し、当該導電ペーストにリチウムイオン電池正極用導電ペーストに電極活物質を配合することにより得ることができる。また、本発明のリチウムイオン電池正極用合材ペーストは、前述の成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)及び任意選択で成分(F)等のその他成分と、電極活物質とを混和して調製してもよい。
尚、上記の水分含有量は合剤ペーストに含まれる含有量であって、合材ペーストを乾燥した正極合材層に含まれる水分含有量ではない。合材ペーストを乾燥する過程において、合材ペーストに含まれる水分の一部又は全部が蒸発するものと考えられる。
前述したように、リチウムイオン二次電池の正極合材層は、リチウムイオン電池正極用合材ペーストを正極芯材の表面に塗布し、これを乾燥することで、製造することができる。また、本発明のリチウムイオン電池正極用導電ペーストの用途としては、合材層のペーストとして用いる以外に、正極芯材と合成層との間のプライマー層としても用いることができる。
リチウムイオン電池正極用合材ペーストの塗布方法は、ダイコーター等を用いた自体公知の方法により行うことができる。リチウムイオン電池正極用合材ペーストの塗布量は特に限定されないが、例えば、乾燥後の正極合材層の厚みが0.04〜0.30mm、好ましくは0.06〜0.24mmの範囲となるように設定することができる。乾燥工程の温度としては、例えば、80〜200℃、好ましくは100〜180℃の範囲内で適宜設定することができる。乾燥工程の時間としては、例えば、5〜120秒、好ましくは5〜60秒の範囲内で適宜設定することができる。
上記乾燥工程において、本発明の合材ペーストに含まれるヒンダードアミン化合物(E)ができるかぎり蒸発または昇華され、乾燥膜である正極合材層中に残らないことが、電池性能の観点から好ましい。
多環芳香族炭化水素基を有する樹脂(A1)の製造
製造例1
攪拌加熱装置と冷却管を備えた反応容器に、プロピレングリコールモノメチルエーテル300部を仕込み、窒素置換後、110℃に保った。この中に、以下に示すモノマー混合物を3時間かけて滴下した。
<モノマー混合物>
4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレート 300部
スチレン 200部
n−ブチルアクリレート 300部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 200部
2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 40部
滴下終了後から1時間経過後、この中に2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)5部をプロピレングリコールモノメチルエーテル100部に溶かした溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、これをさらに1時間110℃に保持したのち、排出して熱風乾燥機で乾燥した。最終的に固形分100%の多環芳香族炭化水素基を有する樹脂No.1溶液を得た。多環芳香族炭化水素基を有する樹脂No.1は、重量平均分子量10,000であった。
製造例1のモノマー組成を下記表1の種類及び配合量とする以外は、製造例1と同じ組成及び製造方法で多環芳香族炭化水素基を有する樹脂No.2〜7溶液を製造した。
製造例8
温度計、環流冷却管、窒素ガス導入管および撹拌機を備えた反応容器に、重合性モノマーとして酢酸ビニル90質量部及び2−ブテン−1,4−ジオール10質量部、溶媒としてメタノール、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを約60度の温度で共重合反応を行った後、減圧下に未反応のモノマーを除去し、樹脂溶液を得た。次いで、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加してケン化反応を行い、よく洗浄した後、熱風乾燥機で乾燥した。最終的に、重合度300、ケン化度92モル%、重合性不飽和基含有モノマー(A2a−1)含有量10質量%のポリビニルアルコール樹脂No.1を得た。
温度計、環流冷却管、窒素ガス導入管および撹拌機を備えた反応容器に、重合性モノマーとして酢酸ビニル90質量部及び1−ブテン−3,4−ジオール10質量部、溶媒としてメタノール、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを用いて約60度の温度で共重合反応を行った後、減圧下に未反応のモノマーを除去し、樹脂溶液を得た。次いで、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加してケン化反応を行い、よく洗浄した後、熱風乾燥機で乾燥した。最終的に、重合度300、ケン化度92モル%、重合性不飽和基含有モノマー(A2a−1)含有量10質量%のポリビニルアルコール樹脂No.2を得た。
温度計、環流冷却管、窒素ガス導入管および撹拌機を備えた反応容器に、重合性モノマーとして酢酸ビニル90質量部及び1−ペンテン−4,5−ジオール10質量部、溶媒としてメタノール、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを用いて約60度の温度で共重合反応を行った後、減圧下に未反応のモノマーを除去し、樹脂溶液を得た。次いで、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加してケン化反応を行い、よく洗浄した後、熱風乾燥機で乾燥した。最終的に、重合度300、ケン化度92モル%、重合性不飽和基含有モノマー(A2a−1)含有量10質量%のポリビニルアルコール樹脂No.3を得た。
製造例11
温度計、環流冷却管、窒素ガス導入管および撹拌機を備えた反応容器に、重合性モノマーとして酢酸ビニル97質量部及びアリルスルホン酸ナトリウム3.0質量部、溶媒としてメタノール、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを用いて約60度の温度で共重合反応を行った後、減圧下に未反応のモノマーを除去し、樹脂溶液を得た。次いで、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加してケン化反応を行い、よく洗浄した後、熱風乾燥機で乾燥した。最終的に、重合度300、ケン化度92モル%、スルホン酸基含有重合性不飽和モノマー含有量3.0質量%のポリビニルアルコール樹脂No.4を得た。
製造例12
温度計、環流冷却管、窒素ガス導入管および撹拌機を備えた反応容器に、重合性モノマーとして酢酸ビニル、溶媒としてメタノール、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを用いて約60度の温度で共重合反応を行った後、減圧下に未反応のモノマーを除去し、樹脂溶液を得た。次いで、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加してケン化反応を行い、よく洗浄した後、熱風乾燥機で乾燥した。最終的に、重合度500、ケン化度50モル%のポリビニルアルコール樹脂No.5を得た。
温度計、環流冷却管、窒素ガス導入管および撹拌機を備えた反応容器に、重合性モノマーとして酢酸ビニル、溶媒としてメタノール、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを用いて約60度の温度で共重合反応を行った後、減圧下に未反応のモノマーを除去し、樹脂溶液を得た。次いで、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加してケン化反応を行い、よく洗浄した後、熱風乾燥機で乾燥した。最終的に、重合度500、ケン化度70モル%のポリビニルアルコール樹脂No.6を得た。
温度計、環流冷却管、窒素ガス導入管および撹拌機を備えた反応容器に、重合性モノマーとして酢酸ビニル、溶媒としてメタノール、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを用いて約60度の温度で共重合反応を行った後、減圧下に未反応のモノマーを除去し、樹脂溶液を得た。次いで、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加してケン化反応を行い、よく洗浄した後、熱風乾燥機で乾燥した。最終的に、重合度500、ケン化度90モル%のポリビニルアルコール樹脂No.7を得た。
実施例1
製造例1で得られたポリビニルアルコール樹脂No.1 30部(固形分30部)、アセチレンブラック1200部、KFポリマーW#7300(商品名、ポリフッ化ビニリデン、クレハ社製)220部、N−メチル−2−ピロリドン8500部、及びTINUVIN144 100部を混合してボールミルにて5時間分散し、導電ペーストX−1を得た。尚、混合、顔料分散、及び排出の各工程は、露点4.5℃の雰囲気下で行なった。
導電ペースト配合を下記表2とする以外は、実施例1と同様にして、導電ペーストX−2〜X−34を製造した。尚、表中の樹脂配合量は固形分の値である。
表中の水分含有量はカールフィッシャー水分率計(京都電子工業株式会社製、製品名:MKC−610)を用いて測定した。
(注2)HALS292:商品名、チバガイギー社製、ヒンダードアミン化合物、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとメチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとの混合物。
(注3)TINUVIN123:商品名、チバガイギー社製、ヒンダードアミン化合物、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステル、1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物。
実施例32
実施例1で得られた導電ペーストX−1 8部、活物質粒子(組成式LiNi0.5Mn1.5O4で表されるスピネル構造のリチウムニッケルマンガン酸化物粒子。平均粒径6μm、BET比表面積0.7m2/g)90部、及びN−メチル−2−ピロリドン57部を混合して合材ペーストY−1を製造した。
導電ペーストを下記表3の種類とする以外は、実施例32と同様にして、合材ペーストY−2〜Y−34を製造した。
<粘度>
実施例及び比較例で得られた導電ペーストをコーン&プレート型粘度計「Mars2」(商品名、HAAKE社製)を用い、シアーレート1.0sec−1で粘度を測定し、下記基準により評価した。評価としては、S、A、B、Cが合格で、Dが不合格である。
S:粘度が、1Pa・s未満である。
A:粘度が、1Pa・s以上、かつ5Pa・s未満である。
B:粘度が、5Pa・s以上、かつ30Pa・s未満である。
C:粘度が、30Pa・s以上、かつ100Pa・s未満である。
D:粘度が、100Pa・s以上である。
実施例及び比較例で得られた合材ペーストを25℃の温度で2日間貯蔵を行い、初期粘度と貯蔵後の粘度の比較を行なった。粘度は、コーン&プレート型粘度計「Mars2」(商品名、HAAKE社製)を用い、シアーレート1.0sec−1で測定し、下記式により粘度上昇率を評価した。評価としては、S、A、B、Cが合格で、Dが不合格である。
粘度上昇率(%)=貯蔵後粘度/初期粘度×100−100
S:貯蔵後の粘度上昇率(%)が、10%未満である。
A:貯蔵後の粘度上昇率(%)が、10%以上、かつ50%未満である。
B:貯蔵後の粘度上昇率(%)が、50%以上、かつ100%未満である。
C:貯蔵後の粘度上昇率(%)が、100%以上、かつ200%未満である。
D:貯蔵後の粘度上昇率(%)が、200%以上である。
実施例及び比較例で得られた合材ペーストを用いて、電池性能(IV抵抗増加率)の評価を行った。評価方法は、次の手順で行った。
(1)下記[ブランクとなる導電ペースト、合材ペーストの製造]に示した方法によりブランクとなる導電ペースト及び合材ペーストを製造し、後述する[正極の作製]、[負極の作製]及び[リチウムイオン二次電池の構築]に示した方法で正極及び負極を設置したリチウムイオン二次電池を構築した。次いで得られたリチウムイオン二次電池を用い、後述する[IV抵抗の測定方法]に従い、IV抵抗を測定した。
(2)ブランクとなる合材ペーストに代えて、実施例及び比較例で得られた合材ペーストY−1〜34を用いる以外、上記(1)と同様にして正極及び負極を設置したリチウムイオン二次電池を構築し、IV抵抗を測定した。続いてブランクに対するIV抵抗増加率(%)を算出し、評価を行った。
なお、導電カーボンの種類は3種類(アセチレンブラック単独、アセチレンブラックと黒鉛併用、黒鉛単独)あるため、それぞれ同じ種類の顔料のブランクと比較を行なった。(合材ペーストY−26の評価はアセチレンブラック600部及び黒鉛600部のブランク、合材ペーストY−27の評価は黒鉛1200部のブランク、それ以外の合材ペーストはアセチレンブラック1200部のブランク)
電池性能(IV抵抗増加率)の評価は、下記基準により行った。S,A、B、Cが合格で、Dが不合格である。
S:IV抵抗増加率が、ブランクと比較して、+3%未満である。
A:IV抵抗増加率が、ブランクと比較して、+3%以上、+4.5%未満である。
B:IV抵抗増加率が、ブランクと比較して、+4.5%以上、+6%未満である。
C:IV抵抗増加率が、ブランクと比較して、+6%以上、かつ+8%未満である。
D:IV抵抗増加率が、ブランクと比較して、+8%以上である。
アセチレンブラック1200部、KFポリマーW#7300(商品名、ポリフッ化ビニリデン、クレハ社製)220部、及びN−メチル−2−ピロリドン8500部を混合してボールミルにて5時間分散し、分散剤及び重合禁止剤無添加の導電ペーストを得た。(各工程は露点4.5℃の雰囲気下で行なった)
上記導電ペースト 8部、活物質粒子(組成式LiNi0.5Mn1.5O4で表されるスピネル構造のリチウムニッケルマンガン酸化物粒子。平均粒径6μm、BET比表面積0.7m2/g)90部、及びN−メチル−2−ピロリドン57部を混合して分散剤及び重合禁止剤無添加の合材ペーストを製造し、これをブランクとした。また、アセチレンブラック1200部に代えて、アセチレンブラック600部及び黒鉛600部と、黒鉛1200部のブランクも製造した。(アセチレンブラック単独、アセチレンブラックと黒鉛併用、黒鉛単独の3種類のブランクを製造)
[正極の作製]
合材ペーストを、平均厚み凡そ15μmの長尺状アルミニウム箔(正極集電体)の両面に、片面あたりの目付量が10mg/cm2(固形分基準)となるようにローラコート法で帯状に塗布して乾燥(乾燥温度80℃、1分間)することにより、正極活物質層を形成した。この正極集電体に担持された正極活物質層をロールプレス機により圧延して、性状を調整した。
負極活物質としての天然黒鉛粉末(C、平均粒径:5μm、比表面積:3m2/g)と、バインダーとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、これらの材料の質量比がC:SBR:CMC=98:1:1となり、且つ固形分濃度が約45質量%となるようにイオン交換水と混合して、負極活物質層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、平均厚み凡そ10μmの長尺状銅箔(負極集電体)の両面に、片面あたりの目付量が7mg/cm2(固形分基準)となるようにローラコート法で帯状に塗布して乾燥(乾燥温度120℃、1分間)することにより、負極活物質層を形成した。これをロールプレス機により圧延して、性状を調整した。
上記で作製した正極シートと負極シートとを、セパレータシート(ここでは、ポリエチレン(PE)の両面にポリプロピレン(PP)が積層された三層構造であって、厚み20μmのものを用いた。)を介して対面に配置し、楕円状に捲回することによって捲回電極体を作製した。作製した電極体を円筒型の電池ケース内に配置し、そこに非水電解液(ここでは、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とをEC:DMC:EMC=3:4:3の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPF6を1.0mol/Lの濃度で溶解させたもの。)を注液した。そして、電極体の端部において露出した正極集電体および負極集電体に、正極端子および負極端子を溶接したのち、電池ケースを封口し、18650型のリチウムイオン二次電池を構築した。
−30℃の環境下においてSOC60%の充電状態(SOC:state of charge)における評価用セルのIV抵抗を測定した。ここで、IV抵抗は、予め定められた電流値(I)で10秒間定電流放電し、放電後の電圧(V)をそれぞれ測定する。そして、予め定められた電流値(I)と、放電後の電圧(V)を基に、X軸にI、Y軸にVを取ってプロットし、各放電により得られたプロットを基に、近似直線を引き、その傾きをIV抵抗とする。ここでは、0.3C、1C、3Cの電流値で定電流放電を行なって得られる各放電後の電圧(V)を基にIV抵抗(mΩ)を算出した。
Claims (13)
- 分散樹脂(A)、ポリフッ化ビニリデン(B)、導電カーボン(C)、溶媒(D)、及びヒンダードアミン化合物(E)を含有することを特徴とするリチウムイオン電池正極用導電ペースト。
- 分散樹脂(A)が、多環芳香族炭化水素基を有する樹脂(A1)を含有することを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電池正極用導電ペースト。
- 分散樹脂(A)が、ポリビニルアルコール樹脂(A2)を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池正極用導電ペースト。
- 導電カーボン(C)が、アセチレンブラックを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池正極用導電ペースト。
- 導電カーボン(C)が、黒鉛を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池正極用導電ペースト。
- 溶媒(D)が、N−メチル−2−ピロリドンを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池正極用導電ペースト。
- さらに、酸性化合物を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池正極用導電ペースト。
- 導電ペースト中の水分含有量が、1.0質量%未満であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池正極用導電ペースト。
- 露点10℃以下の雰囲気下で混合及び/又は顔料分散を行なうことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池正極用導電ペーストの製造方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の導電ペーストに、さらに電極活物質を配合してなるリチウムイオン電池正極用合材ペースト。
- 合材ペースト中の水酸化リチウム含有量が、ポリフッ化ビニリデン(B)の質量を基準として、1.5質量%未満であることを特徴とする請求項10に記載のリチウムイオン電池正極用合材ペースト。
- 請求項10又は11に記載のリチウムイオン電池正極用合材ペーストを用いて得られるリチウムイオン電池正極用電極。
- 請求項12に記載のリチウムイオン電池正極用電極を有するリチウムイオン電池。
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