JP2017507163A - がん幹細胞の根絶または増殖阻害のための化合物 - Google Patents

がん幹細胞の根絶または増殖阻害のための化合物 Download PDF

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Abstract

本発明は、がん幹細胞の根絶または増殖阻害のための、式Iの化合物、組成物、それらの使用、ならびに方法を提供し、がん幹細胞の根絶または増殖阻害は、がん幹細胞の死滅、および/またはがん幹細胞におけるアポトーシス誘導が含まれる。上記化合物、組成物、それらの使用および方法の範囲には、がん幹細胞の増殖を選択的に根絶または阻害するものが含まれる。【化1】

Description

本発明は、がん幹細胞の根絶または増殖阻害のための化合物、およびがん幹細胞の根絶または増殖阻害における前記化合物の使用に関する。本発明はまた、がん幹細胞の根絶または増殖阻害のための方法に関する。
がんは、今日にいたるまで最も恐ろしい疾患であると考えられており、いまだにがんの再発や再燃を、従来のがん療法のほとんどをもってしても抑えるのは困難である。放射線療法は、再発率をある程度低減すると考えられているが、処置部位内で迅速に分裂している正常な細胞にも損傷を与える。また放射線療法によって全体的な生存率が上がったという報告はなく、むしろ死亡率が上がっている。さらに、多くの種類のがんは初めは現在利用可能な薬物を用いた化学療法の標的となりうることも知られてはいるものの、こういった薬物を用いる治療に対する耐性はしばしば生じうるし、がんの再発や再燃はよくあることである。
近年になって、がんの発生について新たなモデルが、広く受け入れられるようになり、全腫瘍量のうちほんのわずかな量の細胞のみが、腫瘍内の腫瘍形成活性に関与しているという仮説が立てられている。このほんのわずかな量の腫瘍形成細胞は、この新たなモデルによれば、幹細胞様性質を有するがん化した細胞であり、「がん幹細胞」(CSC)と呼ばれる。1990年代に、急性骨髄性白血病(AML)におけるCSCのin vivoでの存在が実証された。後に、これらのCSCは、造血幹細胞のものと同一の細胞マーカー、CD34/CD38、を有することがわかった。それ以降、研究者らは、脳、乳房、腎臓、皮膚、前立腺などを含む様々な種類の腫瘍内からがん幹細胞を確証的に発見した。
研究により、がん幹細胞が、がんの発生、がん転移およびがん再発に本質的に関与していることが実証された。実際にがん幹細胞は放射線療法に対して耐性と考えられ、化学療法および標的薬に対しても不応性と考えられる。正常な体性幹細胞は、化学療法薬に対して耐性であると思われる。これは正常な体性幹細胞は、薬物を排出するための種々のポンプ(MDRなど)やDNA修復タンパク質を有し、また化学療法薬が迅速に複製する細胞を標的とするのに対し、正常な体性幹細胞のターンオーバーは速度が遅いからである。がん幹細胞は、正常な幹細胞が変異した細胞であると考えられるため、がん幹細胞もまた薬物療法および放射線治療に耐えることを可能せしめる似たような機序を有すると考えられる。従来の化学療法および放射線療法は、分化後または分化中の細胞を死に至らしめるが、分化後および分化中の細胞をもたらすがん幹細胞の集団は生き残り、疾患の再発を引き起こし得ると推論されている。さらに、化学療法処置によって化学療法耐性がん幹細胞のみが残ることで、再発した腫瘍もまた化学療法に対して耐性となる可能性が高い。
このようにがん幹細胞を選択的に標的とし、不応性がんの再発または再燃、および腫瘍転移を最小化または防止できるがん療法が必要とされているが、いまだに確立されていない。このようながん療法はがん患者の生存率および生活の質を改善するのに役立ち得る。
本発明は、式Iで表される化合物を提供する。一実施形態において、本発明は、がん幹細胞の根絶または増殖阻害のための、下記式Iで表される化合物またはその薬学的に許容される誘導体を提供する。
[式中、
、RおよびRはそれぞれ独立に、ハロゲン、C1〜6ハロアルキル基、−CN、−NO、−R、−OR、−SR、−N(R)、−N(R)NR、−C(NR)NR、−N(R)C(O)R、C(O)RN(R)、−N(R)C(O)N(R)、−N(R)C(O)OR、−OC(O)N(R)、−N(R)SOR、−SORN(R)、C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、および−SORから選択され、
Rはそれぞれ独立に、Hまたは置換されていてもよい基であり、前記基はC1〜6脂肪族基、3〜12員の飽和もしくは部分不飽和単環式炭素環、フェニル基、8〜12員の二環式芳香族炭素環、それぞれ独立に窒素、酸素もしくは硫黄である1〜2個のヘテロ原子を有する4〜8員の飽和もしくは部分不飽和単環式複素環式環、それぞれ独立に窒素、酸素もしくは硫黄である1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の単環式複素芳香環、およびそれぞれ独立に窒素、酸素もしくは硫黄である1〜5個のヘテロ原子を有する8〜10員の二環式複素芳香環から選択され、
はそれぞれ独立に、−R、−CN、ハロゲン、C1〜6ハロアルキル基、−NO、−SR、−N(R)、−N(R)NR、−C(NR)NR、−N(R)C(O)R、C(O)RN(R)、−N(R)C(O)N(R)、−N(R)C(O)OR、−OC(O)N(R)、−N(R)SOR、−SORN(R)、C(O)R、−C(O)OR、− −C(O)OR、−S(O)R、および−SORから選択され、
Rはそれぞれ独立に、Hまたは置換されていてもよい基であり、前記基はC1〜6脂肪族基、3〜12員の飽和もしくは部分不飽和単環式炭素環、フェニル基、8〜12員の二環式芳香族炭素環、それぞれ独立に窒素もしくは硫黄である1〜2個のヘテロ原子を有する4〜8員の飽和もしくは部分不飽和単環式複素環式環、それぞれ独立に窒素もしくは硫黄である1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の単環式複素芳香環、およびそれぞれ独立に窒素もしくは硫黄である1〜5個のヘテロ原子を有する8〜10員の二環式複素芳香環から選択され、
nは独立に0〜5である。特定の実施形態では、nは、1〜4である。いくつかの実施形態では、nは、1〜3である。さらにその他の実施形態では、nは、1〜2である。いくつかの実施形態では、nは、0、1、2、3、4または5である。]
本発明の化合物は、上記で一般的に記載されるものを含み、本明細書に開示されるクラス、サブクラスおよび分子種によってさらに例示される。本発明の化合物を説明するために上記で使用した種々の用語および専門用語、ならびに本明細書において使用するすべての技術用語および科学用語は、標準的な定義もしくは意味、または化学分野もしくは技術分野において使用されるような定義もしくは意味、または本発明が属する技術分野における当業者によって知られているか、当業者の間で共通に理解される定義もしくは意味と、同一であるか、それらを意味するか、もしくはそれらを参照するものである。
本発明の化合物は、「置換されていてもよい」部分を含有してもよい。一般に、用語「置換されて」は、用語「いてもよい」が続くか否かにかかわらず、指定された部分の1または複数の水素が、適切な置換基で置き換えられていることを意味する。特に断りのない限り、「置換されていてもよい」基は、基のそれぞれ置換可能な位置に適切な置換基を有してもよく、任意の構造において2以上の位置が、特定の群から選択される2つ以上の置換基によって置換されてもよい場合には、すべての位置の置換基が同一であっても、異なっていてもよい。本発明において想定される置換基の組合せは、安定な化合物、または化学的に容易な化合物の形成をもたらすものであることが好ましい。
「置換されていてもよい」基の置換可能な炭素原子上の適切な一価の置換基は、それぞれ独立に、ハロゲン、−(CH0〜4R°、−(CH0〜4OR°、−O(CH0〜4R°、−O−(CH0〜4C(O)OR°、−(CH0〜4CH(OR°)、−(CH0〜4SR°、R°で置換されていてもよい−(CH0〜4Ph、R°で置換されていてもよい−(CH0〜4O(CH0〜1Ph、R°で置換されていてもよい−CH=CHPh、R°で置換されていてもよい−(CH0〜4O(CH0〜1−ピリジル、−NO、−CN、−N、−(CH0〜4N(R°)、−(CH0〜4N(R°)C(O)R°、−N(R°)C(S)R°、−(CH0〜4N(R°)C(O)NR°、−N(R°)C(S)NR°、−(CH0〜4N(R°)C(O)OR°、−N(R°)N(R°)C(O)R°、−N(R°)N(R°)C(O)NR°、−N(R°)N(R°)C(O)OR°、−(CH0〜4C(O)R°、−C(S)R°、−(CH0〜4C(O)OR°、−(CH0〜4C(O)SR°、−(CH0〜4C(O)OSiR°、−(CH0〜4OC(O)R°、−OC(O)(CH0〜4SR−、SC(S)SR°、−(CH0〜4SC(O)R°、−(CH0〜4C(O)NR°、−C(S)NR°、−C(S)SR°、−SC(S)SR°、−(CH0〜4OC(O)NR°、−C(O)N(OR°)R°、−C(O)C(O)R°、−C(O)CHC(O)R°、−C(NOR°)R°、−(CH0〜4SSR°、−(CH0〜4S(O)R°、−(CH0〜4S(O)OR°、−(CH0〜4OS(O)R°、−S(O)NR°、−(CH0〜4S(O)R°、−N(R°)S(O)NR°、−N(R°)S(O)R°、−N(OR°)R°、−C(NH)NR°、−P(O)R°、−P(O)R°、−OP(O)R°、−OP(O)(OR°)、SiR°、−(C1〜4直鎖または分岐アルキレン)O−N(R°)、または−(C1〜4直鎖または分岐アルキレン)C(O)O−N(R°)であり、ここで、R°は、それぞれ、下記定義のように置換されていてもよく、且つ独立に、水素、C1〜6脂肪族基、−CHPh、−O(CH0〜1Ph、−CH−(5〜6員のヘテロアリール環)、または5〜6員の飽和環、部分不飽和環もしくはアリール環であって、独立に窒素、酸素もしくは硫黄である0〜4個のヘテロ原子を有する環である。あるいは上記の定義にかかわらず、2つの独立したR°は、そこに介在する原子(単数または複数)とともに、3〜12員の飽和環、部分不飽和環またはアリールである単環もしくは二環を形成し、当該単環もしくは二環は、独立に窒素、酸素もしくは硫黄である0〜4個のヘテロ原子を有し、下記に定義されるように置換されていてもよい。
R°(または2つの独立したR°とそこに介在する原子とともに形成する環)において適切な一価の置換基は、独立に、ハロゲン、−(CH0〜2、−(ハロR)、−(CH0〜2OH、−(CH0〜2OR、−(CH0〜2CH(OR、−O(ハロR)、−CN、−N、−(CH0〜2C(O)R、−(CH0〜2C(O)OH、−(CH0〜2C(O)OR、−(CH0〜2SR、−(CH0〜2SH、−(CH0〜2NH、−(CH0〜2NHR、−(CH0〜2NR 、−NO、−SiR 、−OSiR 、−C(O)SR、−(C1〜4直鎖または分岐アルキレン)C(O)OR、または−SSRであり、ここでRは、それぞれ、非置換であるか、または「ハロ」が先行する場合には1もしくは複数のハロゲンでのみ置換されており、独立にC1〜4脂肪族基、−CHPh、−O(CH0〜1Ph、および5〜6員の飽和環、部分不飽和環もしくはアリール環から選択され、当該環は独立に窒素、酸素もしくは硫黄である0〜4個のヘテロ原子を有するものである。R°の飽和炭素原子上の適切な二価置換基は、=Oおよび=Sを含む。
「置換されていてもよい」基の飽和炭素原子上の適切な二価置換基としては、以下が挙げられる:=O、=S、=NNR 、=NNHC(O)R、=NNHC(O)OR、=NNHS(O)、=NR、=NOR、−O(C(R ))2〜3O−または−S(C(R ))2〜3S−。ここでRは、それぞれ独立に、水素、下記定義のように置換されていてもよいC1〜6脂肪族基、および非置換の5〜6員環である飽和環、部分不飽和環もしくはアリール環から選択され、当該環は独立に窒素、酸素もしくは硫黄である0〜4個のヘテロ原子を有するものである。「置換されていてもよい」基に隣接した置換可能な炭素と結合している適切な二価置換基としては、−O(CR 2〜3O−が挙げられ、ここでRは、それぞれ独立に、水素、下記定義のように置換されていてもよいC1〜6脂肪族基、および非置換で5〜6員の飽和環、部分不飽和環もしくはアリール環から選択され、当該環は独立に窒素、酸素もしくは硫黄である0〜4個のヘテロ原子を有する環である。
の脂肪族基上の適切な置換基として、ハロゲン、−R、−(ハロR)、−OH、−OR、−O(ハロR)、−CN、−C(O)OH、−C(O)OR、−NH、−NHR、−NR または−NOが挙げられ、ここでRは、それぞれ非置換であるか、または「ハロ」が先行する場合には1もしくは複数のハロゲンでのみ置換されており、独立に、C1〜4脂肪族基、−CHPh、−O(CH0〜1Ph、または5〜6員の飽和環、部分不飽和環もしくはアリール環であって、独立に窒素、酸素もしくは硫黄である0〜4個のヘテロ原子を有する環である。
「置換されていてもよい」基の置換可能な窒素上の適切な置換基として、−R、−NR 、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−S(O)、−S(O)NR 、−C(S)NR 、−C(NH)NR または−N(R)S(O)が挙げられ、ここでRはそれぞれ独立に、水素、下記定義のように置換されていてもよいC1〜6脂肪族基、非置換の−OPh、または非置換の5〜6員の飽和環、部分不飽和環もしくはアリール環であって、独立に窒素、酸素もしくは硫黄である0〜4個のヘテロ原子を有する環である。あるいは上記の定義にかかわらず、2つの独立したRは、そこに介在する原子(単数または複数)とともに、非置換で3〜12員の飽和環、部分不飽和環またはアリールである単環もしくは二環を形成し、当該単環もしくは二環は、独立に窒素、酸素もしくは硫黄である0〜4個のヘテロ原子を有する。
の脂肪族基上の適切な置換基は、独立に、ハロゲン、−R、−(ハロR)、−OH、−OR、−O(ハロR)、−CN、−C(O)OH、−C(O)OR、−NH、−NHR、−NR または−NOであり、ここでRは、それぞれ、非置換であるか、または「ハロ」が先行する場合には、1もしくは複数のハロゲンでのみ置換されており、独立に、C1〜4脂肪族基、−CHPh、−O(CH0〜1Ph、または5〜6員の飽和環、部分不飽和環もしくはアリール環であって、独立に窒素、酸素もしくは硫黄である0〜4個のヘテロ原子を有する環である。
一実施形態において、本発明の提供する化合物は、式Iで表される化合物の薬学的に許容される塩である。一実施形態において、本発明の提供する化合物は、式Iで表される化合物の溶媒和物である。一実施形態において、本発明の提供する化合物は、式Iで表される化合物の水和物である。
一実施形態において、本発明は、がん幹細胞の根絶または増殖阻害のための、式IIまたはIIIで表される化合物の薬学的に許容される誘導体を提供する。
一実施形態において、本発明の提供する化合物は、式IIまたはIIIで表される化合物の薬学的に許容される塩、エステル、またはエステルの塩である。
別の態様によれば、本発明は、式I、IIもしくはIIIの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体と、担体、補助剤またはビヒクルを含む薬学的に許容される賦形剤とを包含する組成物を提供する。
特定の実施形態において、組成物は、一般式Iで表される化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体と、薬学的に許容される賦形剤、担体、補助剤またはビヒクルとを含む。
特定の実施形態において、組成物は、式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体と、薬学的に許容される賦形剤、担体、補助剤またはビヒクルとを含む。
特定の実施形態において、組成物は、式IIIの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体と、薬学的に許容される賦形剤、担体、補助剤またはビヒクルとを含む。
このような組成物は、がん幹細胞の根絶または増殖阻害のために有効な量で、生体サンプル内にまたはそれを必要とする対象内に送達される。特定の実施形態において、本発明の組成物中の化合物の量は、生体サンプルにおいてまたはそれを必要とする対象において、がん幹細胞の根絶または増殖阻害に有効であるような量である。
いくつかの実施形態において、式I、IIもしくはIIIの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体、または前記化合物を含む組成物は、がん幹細胞の根絶または増殖阻害のために使用される。
特定の実施形態において、本発明は、患者におけるがん幹細胞の根絶または増殖阻害のための方法であって、前記患者に、式I、IIもしくはIIIの化合物またはその誘導体、または前記化合物を含む組成物を、治療上有効な量で投与するステップを含む方法を提供する。
特定の実施形態において、本発明は、がんの緩解につながるがん幹細胞の根絶または増殖阻害のための方法であって、式I、IIもしくはIIIの化合物またはその誘導体、またはそれらを含む組成物を、治療上有効な量で、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
もう1つの実施形態において、本発明は、がん幹細胞の増殖に関連する障害、疾患または病態の治療方法であって、式I、IIもしくはIIIの化合物またはその誘導体、またはそれらを含む組成物を、治療上有効な量で、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。このような障害または疾患として、がん、例えば患者の前立腺、乳房、皮膚、筋肉、子宮頸部、結腸、胃、肝臓、膵臓、甲状腺、上皮小体、下垂体、胸腺、脾臓、頭部、頸部、咽頭、気管、胆嚢、唾液腺、副腎、食道、リンパ節、汗腺、皮脂腺、肺、心臓、脳、腎臓、卵巣、精巣、陰茎、網膜、ブドウ膜、結膜、直腸、血液または骨髄に発生したがんが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
特定の実施形態において、本発明は、がんの緩解につながる、患者におけるがん幹細胞の根絶または増殖阻害のための方法であって、式I、IIもしくはIIIの化合物またはその誘導体、またはそれらを含む組成物を、治療上有効な量で、それを必要とする患者に投与することを含む方法を提供する。
一実施形態において、本発明は、がん幹細胞の根絶または増殖阻害のための方法であって、がんの再燃を最小化または防止し、式I、IIもしくはIIIの化合物またはその誘導体、またはそれらを含む組成物を、治療上有効な量で、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
治療上有効な量の化合物、または治療上有効な濃度の化合物を含む組成物は、方法の実施において、それを必要とする対象への経口投与、非経口投与、吸入スプレーによる投与、局所投与、直腸投与、経鼻投与、口腔投与、経膣投与または埋め込まれたリザーバーによる投与に適切な投与剤形に製剤化される。その量は、がん幹細胞を根絶または増殖阻害するのに有効な量である。
治療される特定の病態または疾患に応じて、その病態を治療するために通常投与される追加治療薬が、本発明の化合物および組成物と組み合わせて投与されてもよい。いくつかの実施形態において、式I、IIもしくはIIIの化合物またはその誘導体は、1または複数のその他の化学療法薬と組み合わせて投与される。
本発明の化合物と組み合わせることのできる薬剤の他の例としては下記が挙げられるが、これらに限定されるものではない:ビタミン類および栄養補給剤、がんワクチン、アンチセンス剤、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体、siRNA治療薬、またはがん以外の病態、障害もしくは疾患の治療用のその他薬剤が挙げられる。一実施形態において、上記その他薬剤としては、1または複数の抗増殖性薬剤、抗炎症剤、免疫調節剤または免疫抑制剤が挙げられる。
それらの追加薬剤は、式I、IIもしくはIIIの化合物またはその誘導体、またはそれらを含む組成物とは別個に、複数回投与レジメンの一部として、投与することができる。あるいはそれらの薬剤は、単回投与剤形、即ち式I、IIもしくはIIIの化合物またはその誘導体と一緒に混合された単一組成物、の一部であってもよい。複数回投与レジメンの一部として投与される場合には、2種の活性薬剤は、同時に、続けて、または互いに一定期間内、通常、5時間内に、与えることができる。単回投与剤形を製造するために薬学的に許容される賦形剤または担体材料と組み合わせてもよい、(上記のような追加治療薬を含む組成物中の)式I、IIもしくはIIIの化合物またはその誘導体、および追加治療薬の量は、いずれも、治療相手および特定の投与様式に応じて変化する。
本明細書に記載される主題の上記態様およびその他の態様は、以下の詳細な説明の参照によって明らかとなる。
図1のAは、抗CD44−PE標識抗体および抗CD24−FITC標識抗体を用いて染色した、薬物処理を行わないMDA MB231生細胞のFSC−SSCグラフである。図1のBは、かなりの数(98.5%)がCD44発現細胞である、幹細胞特性を有する細胞、即ちがん幹細胞、の豊富な集団であることを示す、4象限プロットである。 図2のAは、抗CD44−PE標識抗体および抗CD24−FITC標識抗体を用いて染色した、IC25となる薬物濃度のシスプラチンを用いて処理したMDA MB231細胞のFSC−SSCグラフである。図2のBは、IC25となる薬物濃度のシスプラチン曝露が、MDA MB231細胞内のCD44発現細胞集団に対して大きな効果を示さず、シスプラチンが、CD44発現集団、即ちがん幹細胞、に対してそれほど有効ではないことを示す4象限プロットである。 図3のAは、抗CD44−PE標識抗体および抗CD24−FITC標識抗体を用いて染色した、IC25となる薬物濃度のエチル−5−メチル−4−(フェニルアミノ)チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートを用いて処理したMDA MB231細胞のFSC−SSCグラフである。図3のBは、IC25となる薬物濃度のエチル−5−メチル−4−(フェニルアミノ)チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレート曝露が、MDA MB231細胞内のCD44発現集団に対して著しい効果を示し、エチル−5−メチル−4−(フェニルアミノ)チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートが、CD44発現集団、即ち乳がん細胞内のがん幹細胞集団、に対して極めて有効であることを示す4象限プロットである。 図4のAは、抗CD44−PE標識抗体および抗CD24−FITC標識抗体を用いて染色した、IC25となる薬物濃度のエチル−5−メチル−4−(4−メチルフェニル)アミノチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートを用いて処理したMDA MB231細胞のFSC−SSCグラフである。図4のBは、IC25となる薬物濃度のエチル−5−メチル−4−(4−メチルフェニル)アミノチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレート曝露が、MDA MB231細胞内のCD44発現集団に対して著しい効果を示し、エチル−5−メチル−4−(4−メチルフェニル)アミノチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートがCD44発現集団、即ち乳がん細胞内のがん幹細胞集団、に対して極めて有効であることを示す4象限プロットである。 エチル−5−メチル−4−(フェニルアミノ)チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートおよびエチル−5−メチル−4−(4−メチルフェニル)アミノチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートが、MDA MB231がん細胞内のCD44発現細胞、即ち、がん幹細胞集団に対して、標準的な治療薬物であるシスプラチンと比べてはるかに良好且つ強力な活性を示したことを表す棒グラフである。 図6のAは、抗CD44−PE標識抗体および抗CD24−FITC標識抗体を用いて染色した、薬物処理を行わないDU145生細胞のFSC−SSCグラフである。図6のBは、かなりの数(98.5%)がCD44発現細胞である、幹細胞特性を有する細胞、即ちがん幹細胞、の豊富な集団であることを示す、4象限プロットである。 図7のAは、抗CD44−PE標識抗体および抗CD24−FITC標識抗体を用いて染色した、IC25となる薬物濃度のシスプラチンを用いて処理したDU145細胞のFSC−SSCグラフである。図7のBは、IC25となる薬物濃度のシスプラチン曝露が、DU145細胞内のCD44発現細胞集団に対して大きな効果を示さず、シスプラチンが、CD44発現集団、即ちがん幹細胞、に対してそれほど有効ではないことを示す4象限プロットである。 図8のAは、抗CD44−PE標識抗体および抗CD24−FITC標識抗体を用いて染色した、IC25となる薬物濃度のエチル−5−メチル−4−(フェニルアミノ)チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートを用いて処理したDU145細胞のFSC−SSCグラフである。図8のBは、IC25となる薬物濃度のエチル−5−メチル−4−(フェニルアミノ)チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレート曝露が、DU145細胞内のCD44発現集団に対して著しい効果を示し、エチル−5−メチル−4−(フェニルアミノ)チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートが、CD44発現集団、即ち前立腺がん細胞内のがん幹細胞集団、に対して極めて有効であることを示す4象限プロットである。 図9のAは、抗CD44−PE標識抗体および抗CD24−FITC標識抗体を用いて染色した、IC25となる薬物濃度のエチル−5−メチル−4−(4−メチルフェニル)アミノチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートを用いて処理したDU145細胞のFSC−SSCグラフである。図9のBは、IC25となる薬物濃度のエチル−5−メチル−4−(4−メチルフェニル)アミノチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレート曝露が、DU145細胞内のCD44発現集団に対して著しい効果を示し、エチル−5−メチル−4−(4−メチルフェニル)アミノチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートが、CD44発現集団、即ち前立腺がん細胞内のがん幹細胞集団、に対して極めて有効であることを示す4象限プロットである。 エチル−5−メチル−4−(フェニルアミノ)チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートおよびエチル−5−メチル−4−(4−メチルフェニル)アミノチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートが、DU145がん細胞内のCD44発現細胞、即ち、がん幹細胞集団に対して、標準的な治療薬物シスプラチンと比べてはるかに良好且つ強力な活性を示すことを表す棒グラフである。
本明細書において使用されるすべての科学用語および技術用語は、特に定義されない限り、当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。
一実施形態では、本発明の提供する化合物は、下記式Iの化合物である。一実施形態では、本発明の提供する化合物は、式Iの化合物またはその誘導体である。一実施形態では、本発明は、がん幹細胞の根絶または増殖阻害のための、一般式Iで表される化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物または水和物を提供する。
[式中、
、RおよびRはそれぞれ独立に、ハロゲン、C1〜6ハロアルキル基、−CN、−NO、−R、−OR、−SR、−N(R)、−N(R)NR、−C(NR)NR、−N(R)C(O)R、C(O)RN(R)、−N(R)C(O)N(R)、−N(R)C(O)OR、−OC(O)N(R)、−N(R)SOR、−SORN(R)、C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、および−SORから選択され、
Rはそれぞれ独立に、Hまたは置換されていてもよい基であり、前記基はC1〜6脂肪族基、3〜12員の飽和もしくは部分不飽和単環式炭素環、フェニル基、8〜12員の二環式芳香族炭素環、それぞれ独立に窒素、酸素もしくは硫黄である1〜2個のヘテロ原子を有する4〜8員の飽和もしくは部分不飽和単環式複素環式環、それぞれ独立に窒素、酸素もしくは硫黄である1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の単環式複素芳香環、およびそれぞれ独立に窒素、酸素もしくは硫黄である1〜5個のヘテロ原子を有する8〜10員の二環式複素芳香環から選択され、
はそれぞれ独立に、−R、−CN、ハロゲン、C1〜6ハロアルキル基、−NO、−SR、−N(R)、−N(R)NR、−C(NR)NR、−N(R)C(O)R、C(O)RN(R)、−N(R)C(O)N(R)、−N(R)C(O)OR、−OC(O)N(R)、−N(R)SOR、−SORN(R)、C(O)R、−C(O)OR、− −C(O)OR、−S(O)R、および−SORから選択され、
Rはそれぞれ独立に、Hまたは置換されていてもよい基であり、前記基はC1〜6脂肪族基、3〜12員の飽和もしくは部分不飽和単環式炭素環、フェニル基、8〜12員の二環式芳香族炭素環、それぞれ独立に窒素もしくは硫黄である1〜2個のヘテロ原子を有する4〜8員の飽和もしくは部分不飽和単環式複素環式環、それぞれ独立に窒素もしくは硫黄である1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の単環式複素芳香環、およびそれぞれ独立に窒素もしくは硫黄である1〜5個のヘテロ原子を有する8〜10員の二環式複素芳香環から選択され、
nは独立に0〜5である。特定の実施形態では、nは、1〜4である。いくつかの実施形態では、nは、1〜3である。さらにその他の実施形態では、nは、1〜2である。いくつかの実施形態では、nは、0、1、2、3、4または5である。]
本発明の化合物は、上記で一般的に記載されるものを含み、本明細書に開示されるクラス、サブクラスおよび分子種によってさらに例示される。本発明の化合物を説明するために上記で使用した種々の用語および専門用語、ならびに本明細書において使用するすべての技術用語および科学用語は、標準的な定義もしくは意味、または化学分野もしくは技術分野において使用されるような定義もしくは意味、または本発明が属する技術分野における当業者によって知られているか、当業者の間で共通に理解される定義もしくは意味と、同一であるか、それらを意味するか、もしくはそれらを参照するものである。
本発明の化合物は、「置換されていてもよい」部分を含有してもよい。一般に、用語「置換されて」は、用語「いてもよい」が続くか否かにかかわらず、指定された部分の1または複数の水素が、適切な置換基で置き換えられていることを意味する。特に断りのない限り、「置換されていてもよい」基は、基のそれぞれ置換可能な位置に適切な置換基を有してもよく、任意の構造において2以上の位置が、特定の群から選択される2つ以上の置換基によって置換されてもよい場合には、すべての位置の置換基が同一であっても、異なっていてもよい。本発明において想定される置換基の組合せは、安定な化合物、または化学的に容易な化合物の形成をもたらすものであることが好ましい。
「置換されていてもよい」基の置換可能な炭素原子上の適切な一価の置換基は、それぞれ独立に、ハロゲン、−(CH0〜4R°、−(CH0〜4OR°、−O(CH0〜4R°、−O−(CH0〜4C(O)OR°、−(CH0〜4CH(OR°)、−(CH0〜4SR°、R°で置換されていてもよい−(CH0〜4Ph、R°で置換されていてもよい−(CH0〜4O(CH0〜1Ph、R°で置換されていてもよい−CH=CHPh、R°で置換されていてもよい−(CH0〜4O(CH0〜1−ピリジル、−NO、−CN、−N、−(CH0〜4N(R°)、−(CH0〜4N(R°)C(O)R°、−N(R°)C(S)R°、−(CH0〜4N(R°)C(O)NR°、−N(R°)C(S)NR°、−(CH0〜4N(R°)C(O)OR°、−N(R°)N(R°)C(O)R°、−N(R°)N(R°)C(O)NR°、−N(R°)N(R°)C(O)OR°、−(CH0〜4C(O)R°、−C(S)R°、−(CH0〜4C(O)OR°、−(CH0〜4C(O)SR°、−(CH0〜4C(O)OSiR°、−(CH0〜4OC(O)R°、−OC(O)(CH0〜4SR−、SC(S)SR°、−(CH0〜4SC(O)R°、−(CH0〜4C(O)NR°、−C(S)NR°、−C(S)SR°、−SC(S)SR°、−(CH0〜4OC(O)NR°、−C(O)N(OR°)R°、−C(O)C(O)R°、−C(O)CHC(O)R°、−C(NOR°)R°、−(CH0〜4SSR°、−(CH0〜4S(O)R°、−(CH0〜4S(O)OR°、−(CH0〜4OS(O)R°、−S(O)NR°、−(CH0〜4S(O)R°、−N(R°)S(O)NR°、−N(R°)S(O)R°、−N(OR°)R°、−C(NH)NR°、−P(O)R°、−P(O)R°、−OP(O)R°、−OP(O)(OR°)、SiR°、−(C1〜4直鎖または分岐アルキレン)O−N(R°)、または−(C1〜4直鎖または分岐アルキレン)C(O)O−N(R°)であり、ここで、R°は、それぞれ、下記定義のように置換されていてもよく、且つ独立に、水素、C1〜6脂肪族基、−CHPh、−O(CH0〜1Ph、−CH−(5〜6員のヘテロアリール環)、または5〜6員の飽和環、部分不飽和環もしくはアリール環であって、独立に窒素、酸素もしくは硫黄である0〜4個のヘテロ原子を有する環である。あるいは上記の定義にかかわらず、2つの独立したR°は、そこに介在する原子(単数または複数)とともに、3〜12員の飽和環、部分不飽和環またはアリールである単環もしくは二環を形成し、当該単環もしくは二環は、独立に窒素、酸素もしくは硫黄である0〜4個のヘテロ原子を有し、下記に定義されるように置換されていてもよい。
R°(または2つの独立したR°とそこに介在する原子とともに形成する環)において適切な一価の置換基は、独立に、ハロゲン、−(CH0〜2、−(ハロR)、−(CH0〜2OH、−(CH0〜2OR、−(CH0〜2CH(OR、−O(ハロR)、−CN、−N、−(CH0〜2C(O)R、−(CH0〜2C(O)OH、−(CH0〜2C(O)OR、−(CH0〜2SR、−(CH0〜2SH、−(CH0〜2NH、−(CH0〜2NHR、−(CH0〜2NR 、−NO、−SiR 、−OSiR 、−C(O)SR、−(C1〜4直鎖または分岐アルキレン)C(O)OR、または−SSRであり、ここでRは、それぞれ、非置換であるか、または「ハロ」が先行する場合には1もしくは複数のハロゲンでのみ置換されており、独立にC1〜4脂肪族基、−CHPh、−O(CH0〜1Ph、および5〜6員の飽和環、部分不飽和環もしくはアリール環から選択され、当該環は独立に窒素、酸素もしくは硫黄である0〜4個のヘテロ原子を有するものである。R°の飽和炭素原子上の適切な二価置換基は、=Oおよび=Sを含む。
「置換されていてもよい」基の飽和炭素原子上の適切な二価置換基としては、以下が挙げられる:=O、=S、=NNR 、=NNHC(O)R、=NNHC(O)OR、=NNHS(O)、=NR、=NOR、−O(C(R ))2〜3O−または−S(C(R ))2〜3S−。ここでRは、それぞれ独立に、水素、下記定義のように置換されていてもよいC1〜6脂肪族基、および非置換の5〜6員環である飽和環、部分不飽和環もしくはアリール環から選択され、当該環は独立に窒素、酸素もしくは硫黄である0〜4個のヘテロ原子を有するものである。「置換されていてもよい」基に隣接した置換可能な炭素と結合している適切な二価置換基としては、−O(CR 2〜3O−が挙げられ、ここでRは、それぞれ独立に、水素、下記定義のように置換されていてもよいC1〜6脂肪族基、および非置換で5〜6員の飽和環、部分不飽和環もしくはアリール環から選択され、当該環は独立に窒素、酸素もしくは硫黄である0〜4個のヘテロ原子を有する環である。
の脂肪族基上の適切な置換基として、ハロゲン、−R、−(ハロR)、−OH、−OR、−O(ハロR)、−CN、−C(O)OH、−C(O)OR、−NH、−NHR、−NR または−NOが挙げられ、ここでRは、それぞれ非置換であるか、または「ハロ」が先行する場合には1もしくは複数のハロゲンでのみ置換されており、独立に、C1〜4脂肪族基、−CHPh、−O(CH0〜1Ph、または5〜6員の飽和環、部分不飽和環もしくはアリール環であって、独立に窒素、酸素もしくは硫黄である0〜4個のヘテロ原子を有する環である。
「置換されていてもよい」基の置換可能な窒素上の適切な置換基として、−R、−NR 、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−S(O)、−S(O)NR 、−C(S)NR 、−C(NH)NR または−N(R)S(O)が挙げられ、ここでRはそれぞれ独立に、水素、下記定義のように置換されていてもよいC1〜6脂肪族基、非置換の−OPh、または非置換の5〜6員の飽和環、部分不飽和環もしくはアリール環であって、独立に窒素、酸素もしくは硫黄である0〜4個のヘテロ原子を有する環である。あるいは上記の定義にかかわらず、2つの独立したRは、そこに介在する原子(単数または複数)とともに、非置換で3〜12員の飽和環、部分不飽和環またはアリールである単環もしくは二環を形成し、当該単環もしくは二環は、独立に窒素、酸素もしくは硫黄である0〜4個のヘテロ原子を有する。
の脂肪族基上の適切な置換基は、独立に、ハロゲン、−R、−(ハロR)、−OH、−OR、−O(ハロR)、−CN、−C(O)OH、−C(O)OR、−NH、−NHR、−NR または−NOであり、ここでRは、それぞれ、非置換であるか、または「ハロ」が先行する場合には、1もしくは複数のハロゲンでのみ置換されており、独立に、C1〜4脂肪族基、−CHPh、−O(CH0〜1Ph、または5〜6員の飽和環、部分不飽和環もしくはアリール環であって、独立に窒素、酸素もしくは硫黄である0〜4個のヘテロ原子を有する環である。
「薬学的に許容される誘導体」とは、本発明の化合物の任意の非毒性の塩、エステル、エステルの塩またはその他の誘導体であり、レシピエントへの投与によって、本発明の化合物、その活性代謝物または残渣を直接的または間接的に供給可能なものを意味する。
本明細書において、用語「薬学的に許容される塩」とは、堅実な医学的判断の範囲内において、ヒトおよび下等動物の組織との接触において過度の毒性、刺激作用、アレルギー反応などを伴うことなく使用するのに適しており、合理的な利益/リスク比に対応する塩を指す。本発明の化合物の薬学的に許容される塩としては、適切な無機および有機の酸および塩基に由来するものが挙げられる。薬学的に許容される非毒性の酸付加塩の例としては、アミノ基の塩が挙げられ、これは塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸や過塩素酸などの無機酸を用いて、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸やマロン酸などの有機酸を用いて、またはイオン交換などの当技術分野で使用されるその他の方法を使用することによって形成されるアミノ基の塩である。例示的な薬学的に許容される塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。
適切な塩基から誘導した塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩およびN(C1〜4アルキル)塩が挙げられる。塩となる代表的なアルカリ金属またはアルカリ土類金属としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらなる薬学的に許容される塩としては、適切な場合には、ハロゲン化物、水酸化物、カルボキシレート、サルフェート、ホスフェート、ニトレート、低級アルキルスルホネートおよびアリールスルホネートなどの対イオンを使用して形成される、非毒性のアンモニウムカチオン、第四級アンモニウムカチオンおよびアミンカチオンが挙げられる。
特に断りのない限り、本明細書に示した構造は、当該構造のすべての異性体(例えば、鏡像異性体、ジアステレオ異性体および幾何異性体(または配座異性体))の構造をも含むことを意図し、例えば、各不斉中心に対するRおよびS立体配置、ZおよびE二重結合異性体ならびにZおよびE配座異性体を含むものとする。したがって、本化合物の単一の立体化学的異性体のみならず、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体および幾何異性体(または配座異性体)の混合物も、本発明の範囲内である。特に断りのない限り、本発明の化合物のすべての互変異性体は、本発明の範囲内である。さらに、特に断りのない限り、本明細書に示した構造は、1種または複数種の同位体濃縮原子の存在においてのみ異なる化合物をも含むものとする。例えば、本発明の構造の水素を重水素またはトリチウムで置き換えたもの、または炭素を13Cまたは14C濃縮炭素で置き換えたものも、本発明の範囲内である。このような化合物は、例えば、本発明において、分析ツール、生物学的アッセイ用プローブ、または治療薬として有用である。特定の実施形態では、提供される化合物のウォーヘッドとなる部分であるRは、1または複数の重水素原子を含む。
一実施形態において、式Iの化合物は、式IIまたはIIIの化合物ではない。
特定の実施形態において、本発明は、がん幹細胞の根絶または増殖阻害のための下記式IIまたはIIIで表される化合物の薬学的に許容される誘導体を提供する。
一実施形態において、本発明において提供される化合物は、式IIまたはIIIで表される化合物の薬学的に許容される塩、エステル、エステルの塩である。
一実施形態において、式IIの化合物の誘導体は、下記式IVまたは式Vの化合物である。
一実施形態において、式IIIの化合物の誘導体は、下記式VIまたは式VIIの化合物である。
別の態様によれば、本発明は、式I、IIもしくはIIIの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体と、担体、補助剤またはビヒクルを含む薬学的に許容される賦形剤とを包含する組成物を提供する。
特定の実施形態において、組成物は、一般式Iで表される化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体と、薬学的に許容される賦形剤、担体、補助剤またはビヒクルとを含む。
特定の実施形態において、組成物は、式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体と、薬学的に許容される賦形剤、担体、補助剤またはビヒクルとを含む。
特定の実施形態において、組成物は、式IIIの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体と、薬学的に許容される賦形剤、担体、補助剤またはビヒクルとを含む。
用語「薬学的に許容される賦形剤、担体、補助剤またはビヒクル」とは、ともに製剤化される化合物の薬理学的活性を破壊しない、非毒性の賦形剤、担体、補助剤またはビヒクルを指す。
式IIまたはIIIの化合物の誘導体は、薬学的に許容されるエステルまたはエステルの塩であり得る。
本発明の組成物中の化合物の量は、生体サンプルまたは本化合物を必要とする対象において、がん幹細胞の根絶または増殖阻害に有効な量である。特定の実施形態においては、本発明の組成物中の化合物の量は、生体サンプルまたは本化合物を必要とする対象において、がん幹細胞の根絶または増殖阻害を測定可能な程度に達成するのに有効な量である。
「対象」は、哺乳動物、好ましくは、ヒトを含むが、獣医学的治療を必要とする動物でもよい。用語「それを必要とする対象」とは、がん幹細胞の増殖と関連した疾患、障害または病態、例えば任意の種類のがん、またはがんの再燃もしくは再発を患う患者を指す。
特定の実施形態において、組成物は、式I、IIもしくはIIIの化合物またはその誘導体を、生物学的に有効な用量と最大耐用量の間の量である、治療上有効な量で含む。
特定の実施形態において、本発明の組成物は、それを必要とする対象への投与のために製剤化され得る。いくつかの実施形態においては、本発明の組成物は、患者への経口投与のために製剤化されることが好ましい。
本発明の組成物は、経口投与、非経口投与、吸入スプレーによる投与、局所投与、直腸投与、経鼻投与、口腔投与、経膣投与または埋め込まれたリザーバーによる投与に適切な投与剤形に製剤化され得る。本発明の組成物は、液体投与剤形、固体投与剤形および半固体投与剤形を含む、経口投与剤形に製剤化され得る。本明細書における「非経口」という用語には、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内、関節内、滑液内、胸骨内、くも膜下腔内、肝内、病巣内および頭蓋内への注射または注入技術が含まれる。組成物は、経口、静脈内にまたは腹膜内に投与されることが好ましい。
本発明の組成物の滅菌注射用形態は、滅菌済の注射用の水溶液または油性懸濁液であって、非毒性の非経口投与可能な希釈剤もしくは溶媒、または懸濁液、適切な分散剤もしくは湿潤剤や懸濁剤を基剤とする液であり得る。
本発明の化合物の効果を延長するために、皮下または筋肉内注射において、化合物の吸収の遅延が望まれることが多い。これは水に対する溶解度の低い結晶性または非晶質材料の液体懸濁液を使用することで達成できる。デポ注射用製剤は、体組織と適合するリポソームまたはマイクロエマルジョン中に当該化合物を封入することによって調製することもできる。
本発明の薬学的に許容される組成物は、任意の経口投与可能な剤形で経口投与されてもよく、経口投与可能な剤形としては、カプセル剤、錠剤、水性懸濁液および溶液が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
経口投与のための固体投与剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤および顆粒剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。このような固体投与剤形では、活性化合物は、少なくとも1種の不活性な薬学的に許容される賦形剤もしくは担体、充填剤もしくは増量剤、結合剤、保水剤、崩壊剤、溶液溶解遅延剤、吸収促進剤、湿潤剤、吸収剤、滑沢剤、緩衝剤および/またはそれらの混合物と混合される。
経口投与のための液体投与剤形としては、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。活性化合物に加えて、液体投与剤形は、当技術分野でしばしば使用される不活性の希釈剤を含有してもよい。不活性の希釈剤の例としては、水やその他の溶媒、可溶化剤および/または乳化剤が挙げられる。経口組成物は、また、不活性の希釈剤の他に、湿潤剤、乳化剤や懸濁剤、甘味料、矯味剤および芳香剤などの補助剤も含み得る。
本発明の薬学的に許容される組成物は局所投与してもよく、それは、特に治療の標的が眼、皮膚または下部腸管の疾患などの、局所適用によって容易に到達可能な領域または臓器を含む場合である。これらの領域または臓器のために、それぞれ適切な局所製剤が容易に調製される。
局所適用のために提供される薬学的に許容される組成物は、1または複数の担体に懸濁または溶解した活性成分を含有する、適切な軟膏に製剤化することができる。あるいは、提供される薬学的に許容される組成物は、1または複数の薬学的に許容される担体に懸濁または溶解した活性成分を含有する、適切なローション、ゲルまたはクリームに製剤化してもよい。
本発明の化合物の局所または経皮投与のための投与剤形として、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、散剤、溶液、スプレー、吸入剤またはパッチなどがある。活性成分は、必要に応じて、滅菌条件下で薬学的に許容される担体および任意の必要とされる防腐剤またはバッファーと混合する。さらに、本発明においては、身体への化合物の制御下の送達といった更なる利点を有し得る経皮パッチの使用が考えられる。このような投与剤形は、化合物を適切な媒体に溶解または調合することによって製造することができる。化合物の皮膚を介した移動を増加させるために吸収エンハンサーも使用できる。この速度は、速度制御膜の使用、または化合物のポリマーマトリックスもしくはゲルへの分散のいずれかによって制御することができる。
眼科製剤、点耳液および点眼薬も、本発明の範囲内であると考えられる。眼科使用のために提供される薬学的に許容される組成物は、いずれも防腐剤を含むか含まない、等張なpH調整された滅菌生理食塩水の微粒子化懸濁液として、また好ましくは等張なpH調整された滅菌生理食塩水の溶液として製剤化され得る。あるいは、眼科使用のために、薬学的に許容される組成物は、軟膏として製剤化されてもよい。
本発明の薬学的に許容される組成物はまた、鼻腔エアゾールまたは吸入によって投与することができる。このような組成物は、医薬製剤化の技術分野で周知の技術に従って調製され、適切な防腐剤、バイオアベイラビリティを高めるための吸収プロモーターおよび/またはその他公知の可溶化剤もしくは分散剤を含む溶液として調製され得る。
下部腸管への局所適用は、直腸用の坐剤製剤(上記参照)または適切な浣腸製剤で行い得る。局所経皮パッチを使用してもよい。直腸または膣への投与のための組成物は、好ましくは、本発明の化合物を、適切な非刺激性の賦形剤または担体と混合することによって調製できる坐剤である。
最も好ましくは、本発明の薬学的に許容される組成物は、経口投与用に製剤化してもよい。このような製剤は、食物とともに、または別に投与されてもよい。
単回投与剤形の組成物を製造するために担体材料と組み合わせることのできる本発明の化合物の量は、治療される対象や特定の投与様式に応じて変化する。好ましくは、提供される組成物は、本発明の化合物の有効量を、これら組成物を受ける対象に投与できるように製剤化されなくてはならない。
特定の患者のための特定の投与量および治療レジメンは種々の因子によるものであることも理解されたい。このような因子としては、使用する特定の化合物の活性、年齢、体重、総合的な健康状態、性別、食事、投与時間、排出速度、薬物の組合せおよび担当医師の判断および治療中の特定疾患の重症度が挙げられる。組成物中の本発明の化合物の量はまた、組成物中の特定の化合物の有無にも依存する。
一実施形態において、一般式Iで表される本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩、またはその組成物は、がん幹細胞の根絶または増殖阻害のために使用されてもよく、それによって、関連する障害、疾患または病態を治療する。したがって、提供される化合物は、血液がんおよび固形腫瘍に限定されることのないがんを治療するために有用であり得る。
特定の実施形態において、式IIで表される本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩またはその組成物は、がん幹細胞の根絶または増殖阻害のために使用されてもよく、それによって、関連する障害、疾患または病態を治療する。したがって、提供される化合物は、血液がんおよび固形腫瘍に限定されることのないがんを治療するために有用である。
特定の実施形態において、式IIIで表される本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩またはその組成物は、がん幹細胞の根絶または増殖阻害のために使用されてもよく、それによって、関連する障害、疾患または病態を治療する。したがって、提供される化合物は、血液がんおよび固形腫瘍に限定されることのないがんを治療するために有用である。
本明細書において、用語「がん幹細胞の根絶または増殖阻害」とは、がん幹細胞の成長、分裂、成熟もしくは生存力の阻害もしくは抑制すること、および/または細胞傷害作用もしくはアポトーシス誘導による、個別のがん幹細胞または他のがん幹細胞との凝集体に対する、がん幹細胞死の発生による、がん幹細胞の根絶を意味する。当業者ならば、「がん幹細胞の根絶または増殖阻害」という表現には、がん幹細胞の成長、分裂、成熟もしくは生存力の根絶または阻害、および/または細胞傷害もしくはアポトーシス誘導による、個別のがん幹細胞または他のがん幹細胞との凝集体に対する細胞死の誘導が含まれることを認識するであろう。
別の実施形態において、本発明は、がん幹細胞の根絶または増殖阻害のための方法であって、治療上有効な量の、式Iで表される化合物、またはその薬学的に許容される誘導体もしくは塩、またはそれらを含む組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
特定の実施形態において、本発明は、がん幹細胞の根絶または増殖阻害のための方法であって、治療上有効な量の、式IIで表される化合物、またはその薬学的に許容される誘導体もしくは塩、またはそれらを含む組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
特定の実施形態において、本発明は、がん幹細胞の根絶または増殖阻害のための方法であって、治療上有効な量の、式IIIで表される化合物、またはその薬学的に許容される誘導体もしくは塩、またはそれらを含む組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
がん幹細胞またはその他のがん細胞の根絶または増殖阻害のために本発明において利用する化合物の活性は、in vitroまたはin vivoでアッセイすることができる。本発明の化合物の排除活性または細胞傷害活性のin vivoにおける評価は、がんの動物モデル、例えば、げっ歯類モデルまたは霊長類モデルを使用して行うことができる。細胞ベースのアッセイは、腫瘍または血液由来がんから単離された細胞株を使用して実施することができる。がん細胞株の特定のタンパク質または核酸成分、例えば、酵素、構造タンパク質、細胞表面マーカー、DNAまたはRNA、あるいはマイクロアレイ、に対する活性のための細胞ベースのアッセイも実施することができる。さらに、生化学またはメカニズムに基づくアッセイ、例えば、精製タンパク質を用いた転写アッセイ、ノーザンブロット、RT−PCRなどを実施することができる。In vitroアッセイは、細胞形態、生存率、細胞数または成長阻害、および/または細胞傷害活性、酵素阻害活性および/または機能的変化を、本発明の化合物による処理後のがん細胞について調べるアッセイを含む。別のin vitroアッセイは、本発明の化合物の、細胞内のタンパク質または核酸分子との結合能を定量する。
本明細書に記載される化合物および組成物による阻害能の試験に使用可能であるか、当該化合物および組成物によって阻害され得るがん細胞株であって、本明細書に記載される方法が有用であり得るがん細胞株の例としては、DU145、LNCaP、PC3、MDA MB 231、MCF7、T47D、L929、HeLa、Bu25tK、Colo320、または組織由来の他の細胞株が挙げられるが、これらに限定されるものではない。組織としては、前立腺、乳房、線維芽細胞、子宮頸部、結腸、肝臓、膵臓、肺、または腎臓が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
一実施形態によれば、本発明は、生体サンプル内のがん幹細胞の根絶または増殖阻害のための方法であって、前記生体サンプルを本発明の化合物または前記化合物を含む組成物と接触させることを含む方法に関する。特定の実施形態において、本発明は、生体サンプル内のがん幹細胞またはがん細胞を死滅させるための方法であって、前記生体サンプルを本発明の化合物または前記化合物を含む組成物と接触させることを含む方法に関する。
本明細書における「本発明の化合物(compound of this invention)」または「本発明の化合物(compound of the invention)」という用語は、式Iで表される化合物、その誘導体もしくは塩、または式IIもしくは式IIIの化合物の誘導体を含む。
本明細書における「生体サンプル」という用語は、細胞培養物またはその抽出物、哺乳動物から得た生検材料またはその抽出物、および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙またはその他の体液またはその抽出物を含むが、これらに限定されるものではない。
生体サンプル中のがん幹細胞の根絶は、当業者に公知の種々の目的にとって有用であり得る。このような目的の例として、生物学的アッセイ、遺伝子発現研究および生物学的標的同定が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
さらなる一実施形態において、本発明は、がん幹細胞関連性の障害、疾患または病態の治療方法であって、本発明の化合物または前記化合物を含む組成物を、有効な量で、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
特定の実施形態において、本発明は、がん幹細胞媒介性の障害の治療を必要とする患者において行うための方法であって、前記患者に、本発明の化合物または前記化合物を含む組成物を、有効な量で、投与することを含む方法を提供する。このような障害は、がんまたはがんの再発もしくは再燃を含む。
特定の実施形態において、本発明は、がんの緩解につながる、患者におけるがん幹細胞の根絶または増殖阻害のための方法であって、前記患者に本発明の化合物または前記化合物を含む組成物を、有効な量で、投与することを含む方法を提供する。
一実施形態において、本発明は、がん幹細胞の根絶または増殖阻害のための方法であって、がんの再燃または再発を最小化または防止し、有効量の本発明の化合物または前記化合物を含む組成物を、有効な量で、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
がんとしては、患者の前立腺、乳房、頸部、皮膚、筋肉、結腸、肝臓、胃、膵臓、腎臓、卵巣、肺、精巣、陰茎、甲状腺、上皮小体、下垂体、胸腺、網膜、ブドウ膜、結膜、脾臓、頭部、気管、胆嚢、直腸、唾液腺、副腎、咽頭、食道、リンパ節、汗腺、皮脂腺、心臓、脳、血液または骨髄において発生するがんが挙げられる。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物および組成物は、がんまたはその他の増殖性障害の治療方法に使用してもよい。いくつかの実施形態においては、本発明は、がんまたはその他の増殖性障害を治療するための方法であって、本発明の化合物または組成物を、がんまたはその他の増殖性障害を患う患者に投与することを含む方法を提供する。特定の実施形態において、本発明の化合物および組成物は、哺乳動物のがんの治療に使用してもよい。特定の実施形態において、哺乳動物は、ヒト患者である。特定の実施形態において、本発明の化合物および組成物は、ヒト患者においてがんを治療するために使用されてもよく、当該がんは、患者の前立腺、乳房、頸部、皮膚、筋肉、結腸、肝臓、胃、膵臓、腎臓、卵巣、肺、精巣、陰茎、甲状腺、上皮小体、下垂体、胸腺、網膜、ブドウ膜、結膜、脾臓、頭部、気管、胆嚢、直腸、唾液腺、副腎、咽頭、食道、リンパ節、汗腺、皮脂腺、心臓、脳、血液または骨髄に発生したものである。
特定の実施形態において、本発明は、乳がんの治療、緩解、あるいは再発または再燃の最小化または防止につながる、患者におけるがん幹細胞の根絶または増殖阻害のための方法であって、前記患者に本発明の化合物または前記化合物を含む組成物を、有効な量で、投与することを含む方法を提供する。
特定の実施形態において、本発明は、前立腺がんの治療、緩解、あるいは再発または再燃の最小化または防止につながる、患者におけるがん幹細胞の根絶または増殖阻害のための方法であって、前記患者に本発明の化合物または前記化合物を含む組成物を、有効な量で、投与することを含む方法を提供する。
治療されるべき特定の病態または疾患に応じて、その病態を治療するために通常投与される追加治療薬を、本発明の化合物および組成物と組み合わせて投与してもよい。いくつかの実施形態においては、提供される本発明の化合物またはその組成物を、1または複数のその他の化学療法薬と組み合わせて投与する。このような化学療法薬としては、キナーゼ阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、チューブリン安定化剤、チューブリン重合阻害剤、DNA複製阻害剤、細胞周期阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、細胞傷害性抗生物質または前記の薬剤のいずれかのナノ粒子もしくはタンパク質コンジュゲートなどの薬剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
特定の実施形態において、2種以上の化学療法薬の組合せを本発明の化合物と一緒に投与することができる。特定の実施形態において、3種以上の化学療法薬の組合せを本発明の化合物と一緒に投与することができる。いくつかの実施形態では、化学療法薬は、アルキル化剤および代謝拮抗剤から選択される。
本発明の化合物と組み合わせることのできる薬剤の他の例としては下記が挙げられるが、これらに限定されるものではない:ビタミン類および栄養補給剤、がんワクチン、アンチセンス剤、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体、siRNA治療薬、またはがん以外の病態、障害もしくは疾患の治療用のその他薬剤が挙げられる。
一実施形態において、上記その他薬剤としては、1または複数の抗増殖性薬剤、抗炎症剤、免疫調節剤または免疫抑制剤が挙げられる。
それらの追加薬剤は、本発明の化合物を含有する組成物とは別個に、複数回投与レジメンの一部として、投与することができる。あるいはそれらの薬剤は、単回投与剤形、即ち本発明の化合物と一緒に混合された単一組成物、の一部であってもよい。複数回投与レジメンの一部として投与される場合には、2種の活性薬剤は、同時に、続けて、または互いに一定期間内、通常、5時間内に、与えることができる。単回投与剤形を製造するために担体材料と組み合わせてもよい、(上記のような追加治療薬を含む組成物中の)本発明の化合物および追加治療薬の量は、いずれも、治療相手および特定の投与様式に応じて変化する。
追加治療薬を含む組成物においては、その追加治療薬と本発明の化合物は、相乗的に作用し得る。したがって、このような組成物中の追加治療薬の量は、その治療薬のみを利用する単剤療法において必要な量よりも少なくなる。
本発明の組成物中に含まれる追加治療薬の量は、その治療薬を唯一の活性薬剤として含む組成物における通常の投与量を超えない量とすることができる。好ましくは、ここで開示される組成物中の追加治療薬の量は、その治療薬を唯一の治療上活性な薬剤として含む組成物中に通常含まれる量の約5%〜90%の範囲内である。
化学療法薬に対する耐性は、多くの種類のがんおよびその他の増殖性障害に対する治療薬の有効性を制限する主要な因子である。これら細胞の速い分裂速度は、変異体の発生、またはMDRなどのポンプの上方制御を可能せしめ、現在の第一選択化学療法薬に対する耐性をもたらす。薬物耐性がより強いがんの再燃の問題は、がん患者を治療するための新規化学療法薬の薬物開発において直面するきわめて重要なハードルである。
本発明は、がん幹細胞の根絶または増殖阻害のための本発明の化合物およびその組成物を提供することによってこの問題に対処することでき、その結果、関連する障害または疾患または病態を治療し、特にがん再燃の問題を防ぐか最小化することができる。
本発明の化合物は、当業者が知り得る合成法に従って調製するか、または本明細書に記載される方法によって、本発明の化合物またはこれらの化合物それぞれのサブクラスもしくは分子種を合成するために具体的に設計することができる。
本発明に関する上述の記載は、単に本発明を例示するためになされたものであり、制限することを意図していない。本明細書で提供する化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成物、組成物、製剤および/または使用方法に限定されることのない技術を含む、本願で開示する態様に、本発明の精神および実質を組み込んだ改変を当業者は想到し得るため、本発明は、本開示範囲内のすべてのものを含むと解釈されなければならない。
実施例1
エチル−5−メチル−4−(フェニルアミノ)チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートの調製
三つ口丸底フラスコを、水冷却器、温度計ポケットとともにマグネチックスターラ上に配置し、室温で撹拌しながら、エチルアセトアセテート(4ml)、マロノニトリル(2.48gm)、硫黄(1.2gm)を含むメタノール(37.5ml)およびモルホリン(6.97ml)を仕込んだ。混合物を室温で10分間撹拌し、次いで、3時間還流した。反応をTLCでモニタリングし、変換が完了した後、反応混合物を室温で放冷し、真空下で濾過し、生成物をメタノールで洗浄して、エチル5−アミノ−4−シアノ−3−メチルチオフェン−2−カルボキシレートを得た。
上記と同様の反応装置を準備し、エチル5−アミノ−4−シアノ−3−メチルチオフェン−2−カルボキシレート(0.210gm、1mmol)を仕込み、そこに10mlのギ酸:濃塩酸(1:1)の混合物を加え、水浴中で2時間還流した。反応をTLCでモニタリングし、反応の完了後、反応混合物を室温で放冷し、砕いた氷上に注いだ。得られた固体を真空下で濾過し、水で洗浄して、純粋なエチル5−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートを得た。
上記と同様の反応装置を準備し、撹拌しながらエチル5−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレート(0.238gm、1mmol)、POCL(10ml)および2滴のDMFを仕込んだ。添加が完了した後、反応混合物を1時間還流し、冷却し、反応混合物を砕いた氷上に注いだ。沈殿したエチル4−クロロ−5−メチルチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートを真空下で濾過し、水で洗浄し、乾燥させて、純粋なエチル4−クロロ−5−メチルチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートを得た。
得られた純粋なエチル4−クロロ−5−メチルチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレート(0.256gm、1mmol)を、10mlのエタノールが入った50mlの丸底フラスコに加えた。フラスコをマグネチックスターラ上に配置し、水冷却器、温度計ポケットを装備し、アニリン(0.1ml、1mmol)をゆっくりと加え、4時間還流した。反応の完了後、反応混合物を室温で放冷し、砕いた氷上に注ぎ、生成物であるエチル−5−メチル−4−(フェニルアミノ)チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートが沈殿したら、これを真空下で濾過により分離し、水で洗浄し、乾燥させて、純粋なエチル−5−メチル−4−(フェニルアミノ)チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートを得た。
実施例2
エチル−5−メチル−4−(4−メチルフェニル)アミノチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートの調製
三つ口丸底フラスコを、水冷却器、温度計ポケットとともにマグネチックスターラ上に配置し、室温で撹拌しながら、エチルアセトアセテート(4ml)、マロノニトリル(2.48gm)、硫黄(1.2gm)を含むメタノール(37.5ml)およびモルホリン(6.97ml)を仕込んだ。混合物を室温で10分間撹拌し、次いで、3時間還流した。反応をTLC上でモニタリングし、変換が完了した後、反応混合物を室温で放冷し、真空下で濾過し、生成物をメタノールで洗浄して、エチル5−アミノ−4−シアノ−3−メチルチオフェン−2−カルボキシレートを得た。
上記と同様の装置を準備し、エチル5−アミノ−4−シアノ−3−メチルチオフェン−2−カルボキシレート(0.210gm、1mmol)を仕込み、そこに10mlのギ酸:濃塩酸(1:1)の混合物を加え、水浴中で2時間還流した。反応をTLCでモニタリングし、反応の完了後、反応混合物を室温で放冷し、砕いた氷上に注いだ。得られた固体を真空下で濾過し、水で洗浄して、純粋なエチル5−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートを得た。
上述の装置を準備し、撹拌しながらエチル5−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレート(0.238gm 1mmol)、POCL 10mlおよび2滴のDMFを仕込んだ。添加が完了した後、反応混合物を1時間還流し、冷却し、反応混合物を砕いた氷上に注いだ。沈殿したエチル4−クロロ−5−メチルチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートを真空下で濾過し、水で洗浄し、乾燥して、純粋なエチル4−クロロ−5−メチルチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートを得た。
得られた純粋なエチル4−クロロ−5−メチルチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレート(0.256gm、1mmol)を、10mlのエタノールが入った50mlの丸底フラスコに加えた。フラスコをマグネチックスターラ上に配置し、水冷却器、温度計ポケットを装備し、P−トルイジン(0.107gm、1mmol)をゆっくりと加え、4時間還流した。反応の完了後、反応混合物を室温で放冷し、砕いた氷の上に注ぎ、生成物であるエチル−5−メチル−4−[(4−メチルフェニル)アミノ]チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートが沈殿したら、これを真空下で濾過により分離し、水で洗浄し、乾燥させて、エチル−5−メチル−4−[(4−メチルフェニル)アミノ]チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートを得た。
実施例3
フローサイトメトリーによる分析
実施例3A
フローサイトメトリー分析による、エチル−5−メチル−4−(フェニルアミノ)チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレート、エチル−5−メチル−4−(4−メチルフェニル)アミノチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートおよびシスプラチンの乳がん細胞株MDA MB231に対する効果の検討
MDA MB231は、高度に転移性の乳がん細胞株である。フローサイトメトリーによる検討を行い、エチル−5−メチル−4−(フェニルアミノ)チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートおよびエチル−5−メチル−4−(4−メチルフェニル)アミノチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートのMDA MB231細胞に対する効果を、標準的な治療薬物であるシスプラチンと比較して観察した。
1.未処理集団:薬物処理を行わないMDA MB231細胞を、抗CD44−PE標識抗体および抗CD24−FITC標識抗体を用いて(FSC−SSCのグラフである図1のAに見られるように)染色し、4象限プロット内の発現を観察した。4象限プロットの上部左側領域(Q2−UL)には、CD44発現細胞のみが観察された。4象限プロットの上部右側領域(Q2−UR)には、CD44とCD24を発現する細胞が観察された。4象限プロットの下部左側領域(Q2−LL)には、CD24発現細胞のみが観察された。4象限プロットの下部右側領域(Q2−LR)には、CD44もCD24も発現しない細胞が観察された。4象限プロット(図1のB)からわかるように、かなりの数の細胞(98.5%)がCD44を発現し、これは、幹細胞特性を有する細胞、即ちがん幹細胞、が豊富な集団であることを示す。
2.IC25となる薬物濃度のシスプラチンに48時間曝露したMDA MB231細胞の、FACSの結果:IC25となる薬物濃度のシスプラチンを用いて処理したMDA MB231細胞を、抗CD44−PE標識抗体および抗CD24−FITC標識抗体を用いて(FSC−SSCのグラフである図2のAに見られるように)染色し、未処理集団と同様の方法で4象限プロット内の発現を観察した。4象限プロット(図2のB)からわかるように、IC25となる薬物濃度のシスプラチン曝露は、MDA MB231細胞内のCD44発現細胞集団に対して大きな効果を示さなかった。これは、シスプラチンが、CD44発現集団、即ちがん幹細胞、に対してそれほど有効ではないことを示す。
3.IC25となる薬物濃度のエチル−5−メチル−4−(フェニルアミノ)チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートに48時間曝露したMDA MB231細胞の、FACSの結果:IC25となる薬物濃度のエチル−5−メチル−4−(フェニルアミノ)チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートを用いて処理したMDA MB231細胞を、抗CD44−PE標識抗体および抗CD24−FITC標識抗体を用いて(FSC−SSCのグラフである図3のAに見られるように)染色し、未処理集団と同様の方法で4象限プロット内の発現を観察した。4象限プロット(図3のB)からわかるように、IC25となる薬物濃度のエチル−5−メチル−4−(フェニルアミノ)チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレート曝露は、MDA MB231細胞内のCD44発現集団に対して著しい効果を示した。これは、エチル−5−メチル−4−(フェニルアミノ)チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートが、CD44発現集団、即ち乳がん細胞内のがん幹細胞集団、に対して極めて有効であることを示す。
4.IC25となる薬物濃度のエチル−5−メチル−4−(4−メチルフェニル)アミノチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートに48時間曝露したMDA MB231細胞の、FACSの結果:IC25となる薬物濃度のエチル−5−メチル−4−(4−メチルフェニル)アミノチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートを用いて処理したMDA MB231細胞を、抗CD44−PE標識抗体および抗CD24−FITC標識抗体を用いて(FSC−SSCのグラフである図4のAに見られるように)染色し、未処理集団と同様の方法で4象限プロット内の発現を観察した。4象限プロット(図4のB)からわかるように、IC25となる薬物濃度のエチル−5−メチル−4−(4−メチルフェニル)アミノチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレート)曝露は、MDA MB231細胞内のCD44発現集団に対して著しい効果を示した。これは、エチル−5−メチル−4−(4−メチルフェニル)アミノチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレート)は、CD44発現集団、即ち乳がん細胞内のがん幹細胞集団、に対して極めて有効であることを示す。
上記ならびに図5から、エチル−5−メチル−4−(フェニルアミノ)チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートおよびエチル−5−メチル−4−(4−メチルフェニル)アミノチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートが、標準的な治療薬物であるシスプラチンと比較して、MDA MB231がん細胞内のがん幹細胞集団であるCD44発現細胞に対して、はるかに良好な、増強された活性を示したことが明らかである。このことから、エチル−5−メチル−4−(フェニルアミノ)チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートおよびエチル−5−メチル−4−(4−メチルフェニル)アミノチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートは、乳がん細胞内のがん幹細胞を根絶または増殖阻害する能力を有することが推論できる。
実施例3B
フローサイトメトリー分析による、エチル−5−メチル−4−(フェニルアミノ)チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレート、エチル−5−メチル−4−(4−メチルフェニル)アミノチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートおよびシスプラチンの前立腺がん細胞株DU145に対する効果の検討
DU145は、中程度に転移性の前立腺がん細胞株である。フローサイトメトリーによる検討を行い、エチル−5−メチル−4−(フェニルアミノ)チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートおよびエチル−5−メチル−4−(4−メチルフェニル)アミノチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートのDU145細胞に対する効果を、標準的な治療薬物であるシスプラチンと比較して観察した。
1.未処理集団:薬物処理を行わないDU145細胞を、抗CD44−PE標識抗体および抗CD24−FITC標識抗体を用いて(FSC−SSCのグラフである図6のAに見られるように)染色し、4象限プロット内の発現を観察した。4象限プロットの上部左側領域(Q2−UL)には、CD44発現細胞のみが観察された。4象限プロットの上部右側領域(Q2−UR)には、CD44とCD24を発現する細胞が観察された。4象限プロットの下部左側領域(Q2−LL)には、CD24発現細胞のみが観察された。4象限プロットの下部右側領域(Q2−LR)には、CD44もCD24も発現しない細胞が観察された。4象限プロット(図6のB)からわかるように、かなりの数の細胞(87.8%)がCD44を発現し、これは、幹細胞特性を有する細胞、即ちがん幹細胞、が豊富な集団であることを示す。
2.IC25となる薬物濃度のシスプラチンに48時間曝露したDU145細胞の、FACSの結果:IC25となる薬物濃度のシスプラチンを用いて処理したDU145細胞を、抗CD44−PE標識抗体および抗CD24−FITC標識抗体を用いて(FSC−SSCのグラフである図7のAに見られるように)染色し、未処理集団と同様の方法で4象限プロット内の発現を観察した。4象限プロット(図7のB)からわかるように、IC25となる薬物濃度のシスプラチン曝露は、DU145細胞内のCD44発現細胞集団に対して大きな効果を示さなかった。これは、シスプラチンが、CD44発現集団、即ちがん幹細胞、に対してそれほど有効ではないことを示す。
3.IC25となる薬物濃度のエチル−5−メチル−4−(フェニルアミノ)チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートに48時間曝露したDU145細胞の、FACSの結果:IC25となる薬物濃度のエチル−5−メチル−4−(フェニルアミノ)チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートを用いて処理したDU145細胞を、抗CD44−PE標識抗体および抗CD24−FITC標識抗体を用いて(FSC−SSCのグラフである図8のAに見られるように)染色し、未処理集団と同様の方法で4象限プロット内の発現を観察した。4象限プロット(図8のB)からわかるように、IC25となる薬物濃度のエチル−5−メチル−4−(フェニルアミノ)チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレート曝露は、DU145細胞内のCD44発現集団に対して著しい効果を示した。これは、エチル−5−メチル−4−(フェニルアミノ)チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートが、CD44発現集団、即ち前立腺がん細胞内のがん幹細胞集団、に対して極めて有効であることを示す。
4.IC25となる薬物濃度のエチル−5−メチル−4−(4−メチルフェニル)アミノチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートに48時間曝露したDU145細胞の、FACSの結果:IC25となる薬物濃度のエチル−5−メチル−4−(4−メチルフェニル)アミノチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートを用いて処理されたDU145細胞を、抗CD44−PE標識抗体および抗CD24−FITC標識抗体を用いて(FSC−SSCのグラフである図9のAに見られるように)染色し、未処理集団と同様の方法で4象限プロット内の発現を観察した。4象限プロット(図9のB)からわかるように、IC25となる薬物濃度のエチル−5−メチル−4−(4−メチルフェニル)アミノチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレート)曝露は、DU145細胞内のCD44発現集団に対して著しい効果を示した。これは、エチル−5−メチル−4−(4−メチルフェニル)アミノチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレート)は、CD44発現集団、即ち前立腺がん細胞内のがん幹細胞集団、に対して極めて有効であることを示す。
上記ならびに図10から、エチル−5−メチル−4−(フェニルアミノ)チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートおよびエチル−5−メチル−4−(4−メチルフェニル)アミノチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートが、標準的な治療薬物であるシスプラチンと比較して、DU145がん細胞内のがん幹細胞集団であるCD44発現細胞に対して、はるかに良好な、増強された活性を示したことが明らかである。このことから、エチル−5−メチル−4−(フェニルアミノ)チエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートおよびエチル−5−メチル−4−(4−メチルフェニル)アミノチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキシレートは、前立腺がん細胞内のがん幹細胞を根絶または増殖阻害する能力を有することが推論できる。

Claims (14)

  1. がん幹細胞の根絶または増殖阻害のための、下記式Iで表される化合物またはその薬学的に許容される化合物。
    式中、
    、RおよびRはそれぞれ独立に、ハロゲン、C1〜6ハロアルキル基、−CN、−NO、−R、−OR、−SR、−N(R)、−N(R)NR、−C(NR)NR、−N(R)C(O)R、C(O)RN(R)、−N(R)C(O)N(R)、−N(R)C(O)OR、−OC(O)N(R)、−N(R)SOR、−SORN(R)、C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−C(O)OR、−S(O)R、および−SORから選択され、
    Rはそれぞれ独立に、Hまたは置換されていてもよい基であり、前記基はC1〜6脂肪族基、3〜12員の飽和もしくは部分不飽和単環式炭素環、フェニル基、8〜12員の二環式芳香族炭素環、それぞれ独立に窒素、酸素もしくは硫黄である1〜2個のヘテロ原子を有する4〜8員の飽和もしくは部分不飽和単環式複素環式環、それぞれ独立に窒素、酸素もしくは硫黄である1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の単環式複素芳香環、およびそれぞれ独立に窒素、酸素もしくは硫黄である1〜5個のヘテロ原子を有する8〜10員の二環式複素芳香環から選択され、
    はそれぞれ独立に、−R、−CN、ハロゲン、C1〜6ハロアルキル基、−NO、−SR、−N(R)、−N(R)NR、−C(NR)NR、−N(R)C(O)R、C(O)RN(R)、−N(R)C(O)N(R)、−N(R)C(O)OR、−OC(O)N(R)、−N(R)SOR、−SORN(R)、C(O)R、−C(O)OR、−C(O)OR、−S(O)R、および−SORから選択され、
    Rはそれぞれ独立に、Hまたは置換されていてもよい基であり、前記基はC1〜6脂肪族基、3〜12員の飽和もしくは部分不飽和単環式炭素環、フェニル基、8〜12員の二環式芳香族炭素環、それぞれ独立に窒素もしくは硫黄である1〜2個のヘテロ原子を有する4〜8員の飽和もしくは部分不飽和単環式複素環式環、それぞれ独立に窒素もしくは硫黄である1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員の単環式複素芳香環、およびそれぞれ独立に窒素もしくは硫黄である1〜5個のヘテロ原子を有する8〜10員の二環式複素芳香環から選択され、
    nは独立に、0〜5または1〜4であり、いくつかの実施形態では、nは、1〜3であり、さらにその他の実施形態では、nは、1〜2である。
  2. 下記式IIまたは下記式IIIで表される化合物の薬学的に許容される誘導体である、請求項1に記載の化合物。
  3. 前記式IIで表される化合物の薬学的に許容される誘導体が、下記式IVまたは下記式Vで表される化合物である、請求項2に記載の化合物。
  4. 前記式IIIで表される化合物の薬学的に許容される誘導体が、下記式VIまたは下記式VIIで表される化合物である、請求項2に記載の化合物。
  5. 式I、IIもしくはIIIで表される化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体と、担体、補助剤またはビヒクルを含む薬学的に許容される賦形剤とを包含する組成物。
  6. がん幹細胞の根絶または増殖阻害のための方法であって、治療上有効な量の、式Iで表される化合物、またはその薬学的に許容される誘導体もしくは塩、またはそれらを含む組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法。
  7. がん幹細胞の根絶または増殖阻害のための方法であって、治療上有効な量の、式IIで表される化合物、またはその薬学的に許容される誘導体もしくは塩、またはそれらを含む組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法。
  8. がん幹細胞の根絶または増殖阻害のための方法であって、治療上有効な量の、式IIIで表される化合物、またはその薬学的に許容される誘導体もしくは塩、またはそれらを含む組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法。
  9. がん幹細胞関連またはがん幹細胞媒介性の障害、疾患または病態の治療方法であって、式I、IIもしくはIIIで表される化合物、またはその薬学的に許容される誘導体もしくは塩、またはそれらを含む組成物を、有効な量で、それを必要とする対象に投与することを含む方法。
  10. 前記がん幹細胞関連またはがん幹細胞媒介性の障害、疾患または病態が、がんまたは再発性もしくは再燃性のがんを含む、請求項9に記載の方法。
  11. がんの治療方法であって、式I、IIもしくはIIIで表される化合物、またはその薬学的に許容される誘導体もしくは塩、またはそれらを含む組成物を、有効な量で、それを必要とする対象に投与することを含む方法。
  12. 前記がんが、患者の前立腺、乳房、頸部、皮膚、筋肉、結腸、肝臓、胃、膵臓、腎臓、卵巣、肺、精巣、陰茎、甲状腺、上皮小体、下垂体、胸腺、網膜、ブドウ膜、結膜、脾臓、頭部、気管、胆嚢、直腸、唾液腺、副腎、咽頭、食道、リンパ節、汗腺、皮脂腺、心臓、脳、血液または骨髄に発生したがんを含む、請求項10または11に記載の方法。
  13. 前記がんが、患者の前立腺または乳房に発生したがんである、請求項12に記載の方法。
  14. 化学療法薬を含む追加治療薬の投与をさらに含む、請求項11に記載の方法。
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