JP2018028124A - 低融点金属被覆複合金属材よりなる立体構造体、立体構造体製造方法及び立体構造体製造装置 - Google Patents

低融点金属被覆複合金属材よりなる立体構造体、立体構造体製造方法及び立体構造体製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】低融点金属で被覆された複合金属材より形成された立体構造体及びその立体構造体製造装置の提供。【解決手段】1.低融点金属より為る被覆層と金属芯材で構成された複合金属材1を所定の位置に定置させて、2.局所的な微細加熱2を行い隣接材bと融着させ、3.この単純な操作1、2を繰り返して、4.最終的に所望の複雑な立体構造体3を製造する方法。次に、隣接材と融着した複合金属材で形成された紋様の必要な部分を非金属粒子で埋めて仮足場を形成する操作を行い、最後に当該非金属粒子を除去する操作で、例えば中子を持つ様な立体構造体3やその製造方法。更に、この複雑な立体構造体の製造に当たり、複合金属材の供給冶具、複合金属材の代表径より細かい位置を制御する位置決め可動基台、低融点金属より為る被覆層を熔融させる微細加熱具2、給気装置を少なくとも具備内蔵した筐体より成る装置。【選択図】図2

Description

本発明は、低融点金属で被覆された複合金属材より形成された立体構造体及びその立体構造体製造装置に関する。低温度で造形しながらそれより高温での耐熱性が有る立体構造体並びに新たな立体構造体製造装置に関し、特に抗菌医用や宝飾品などの耐蝕性耐摩耗性を有する微細構造物の製造に適している。
近年急速に発展する所謂3Dプリンター技術では、有機無機材料や金属材料などが適用されて多様な応用が実現された。樹脂材料では、線材を中心とした成形法が進んでおり、中空の形状などでも線材の無駄な使用が少ない。しかし、中子などを造る為には、足場となる別の樹脂を敷き詰めて立体形状を完成した後に中子の樹脂を強力なアルカリ等で取り除く必要がある。その為に、余計な手間暇や無駄、環境への悪影響が指摘されている。
一方、本願が関する金属材料において、現状技術は一層分だけ敷き詰めた微小金属粒子をレーザーなどで加熱する事により当該粒子を部分的に熔融固化し結着させる描画を行い、さらにその上に一層敷き詰めて同じ操作を繰り返し積層する事で所望の立体形状を得る。耐熱性に優れ強度が高く、また、熔融固化せず残った粒子を簡単に除去できるので環境に優しい特徴がある。しかし、用いる金属材料の融点以上に加熱して熔融させる為には高出力のレーザーなどの熱源や多量の高価な粒子が必要とされるなどの課題がある。
平成25年度特許出願技術動向調査報告書「3Dプリンター」平成26年3月 特許庁 H. Nakazawa et al. , Earth and Planetary Science Letters 235 (2005) 356-36 Yoshihiro Furukawa,et al., NATURE GEOSCIENCE VOL 2(JANUARY 2009)62-66
金属材よりなる立体構造体の製造方法は色々と有る。例えば、溶融金属を型に流し込む方法や、溶射された金属粒を型に充填して加熱加圧成形する方法など多岐にわたる。これらはいずれも、高温熱処理や高圧処理、更には高価な耐熱の型が必要とされており、課題となっている。一方、最近特に注目されている所謂3Dプリンター技術では、上記の課題は解決されたが、次の様な新たな課題が生じている。
所謂3Dプリンター技術では、先ず一層分だけ敷き詰めた微小金属粒子をレーザーなどで加熱する事により当該粒子を部分的に熔融固化し結着させる描画を行い、さらにその上に一層敷き詰めて同じ操作を繰り返し積層する事で所望の立体形状を得るが、用いる金属材料の融点以上に加熱して熔融させる為に高出力のレーザーなどの熱源や、多量の高価な粒子が必要とされるなどの課題がある。本発明は、これらの課題に応える新たな手法や材料及び装置を提供する。特に医療用や宝飾品などの耐蝕性耐摩耗性を有する微細構造物の製造に適している。
本発明は新たな金工の材料と手法を提供し、その応用により金属工芸品を簡単に作成できるだけでなく、銀、銅などの金属の抗菌性を活かした複雑な形状の医用部材を簡便に提供できる。
本発明に係る基本的な要綱は、1.低融点金属より為る被覆層と金属芯材で構成された複合金属材を所定の位置に定置させて、2.局所的な微細加熱を行い隣接材と融着させ、3.この単純な操作1、2を繰り返して、4.最終的に所望の複雑な立体構造体を製造する事にある。
次に、本発明は隣接材と融着した複合金属材で形成された紋様の必要な部分を非金属粒子で埋めて仮足場を形成する操作を行い、最後に当該非金属粒子を除去する操作で、例えば中子を持つ様な立体構造体やその製造方法を提供する。
更に、本発明はこの複雑な立体構造体の製造に当たり、複合金属材の供給冶具、複合金属材の代表径より細かい位置を制御する位置決め可動基台、低融点金属より為る被覆層を熔融させる微細加熱具、給気装置を少なくとも具備内蔵した筐体より成る装置を提供する。
本発明に係る複合金属材や装置によれば、金型などを用いずに、しかも金型などでは実現し難い非常に複雑な立体構造体を容易に短期間に製造する事ができた。更に、従来の3Dプリンター技術の様に多量の金属微粉材を無駄に捨てる事が無く、しかも低融点金属より為る被覆層を僅かに溶かすだけの熱で済むので、全体設備を大幅に簡略化出来ただけでなく省エネで低コスト化を実現できた。また、同様に低温で形成される樹脂性の立体構造体に比べては、耐熱性や強度が格段に良いだけでなく、環境に優しい特徴を有している。
更に、本発明における足場材で仮足場を形成する操作を行えば、最後に当該足場材を単純に吹き飛ばす操作や振り落す操作で除去する事に依り、例えば中子を持つ様な複雑な立体構造体を簡単に得られる。除去の操作は簡単で低コストで薬剤なども使わないので環境にも優しい。さらに医療用や宝飾品などの抗菌/耐蝕性/耐摩耗性を有する微細構造物として有用である。
本発明の基本的な複合金属材の断面図。A:球材 B:線材 C:矩形材 代表的な従来の3D金属プリンターの操作概念図。 本発明の基本的な操作概念図。 本発明の次なる基本的な操作概念図。 本発明による実施例の操作概念図。 本発明による実施例の操作概念図。 充填された複合金属材の融着構造図。 充填された複合金属材の融着収縮図。 本発明の基本的な立体構造体形成装置の概略図。
本発明に用いる基本的な金属芯を図1に示す。同図Aに示すように、複合金属材1は中心部の高融点金属体1cの表面を低融点金属層1sが覆っている。隣接部を局所的に加熱する事により、表面の低融点金属層1のみが直ちに融解して隣接部と直ちに接合する。この融解接合部は融点温度以下の温度でも高融点金属芯1cと金属拡散を生じて複合合金を作り、融点が上昇して上記の低融点金属層1sを溶かす加熱では融け難くなる。
なお、高融点金属は、球体でも良いし同図Bの様に線材であっても良い。更に、その断面は同図Cの様に矩形であっても良い。
本発明の基本的な操作を球体の複合金属材1を例にとって説明する。図3Aの様に複合金属材1を所定の位置に隣接して定置させて、例えば微細加熱具としてレーザー光2を当てて適度に加熱すると瞬時に表面の低融点金属層1sが融解して、同図Bの様にその隣接部と融着する。この時、融点の高い高融点金属芯1cは溶けることは殆ど無い。得られた構造体の上に複合金属材1を更に重ねて並べてレーザー光2を当てて(同図C)融着する操作(同図D)を繰り返すことによって立体的な融着体(同図E)を得る。この様子は正に樹脂材料の3Dプリンターと同じで有る。この時に、複合金属材表面の酸化物や汚染物を除去する為に、例えば、松脂、蟻酸や臭素含有有機酸などの弱酸に代表される還元剤や清浄剤を用いる事は有用である。松脂などや市販のフラックス、例えば千住金属のPO―Fシリーズは酸化物除去に役立つだけで無く、その粘着性から隣接定置に非常に有効である事が示された。
この様な単純操作を何回も繰り返す事により、最終的には所望の複雑な立体構造体3を得る事が出来る。しかも、全体が加熱昇温されている間に、隣接の低融点金属層1sの熔解部と高融点金属芯1cの構成金属元素が拡散してその融点が上昇する。即ち、立体構造体の耐熱性が上昇するという好ましい結果を得る。なお、その時は僅かでは有るが収縮するの。その収縮量を調整しておくことは高精度の構造体を得る為に有効である。
図1Bに示す線材についても同様の操作で立体的な融着体を得る事が出来る。
高融点金属芯1cと低融点金属層1sの組み合わせとして、例えば錫(融点232度)、錫銅合金(同415度)、金(1064度)、Ti(1668度)、銅(同1083度)、鉄(同1600度)に対して、一般市販の80度から250度位の多様なはんだ合金(昨今主流の非鉛系の、例えば、SnAgCu系/220度、SnCu系/229度、CuBi系/130度など)との組み合わせが多く挙げられる。
これらから、銅に対して錫合金、亜鉛や錫に対して低融点はんだ、鋼や金に対して錫や錫銅合金とする例などの多様な組み合わせが実現できる。
金属芯の代表径としての制約は特に無いが、粒子形状の場合には5−250ミクロン、線材形状の場合には5−500ミクロンが小型の部材作成には使い易い。
なお、矩形線材の場合には、代表寸法が5mmに至るまで大きな問題が無く使用出来た。
粉体に適当な媒体に混ぜてインクジェットで構造体上に噴射して造形、熔融させて融着させる事も出来る。なお、媒体に吸収係数向上を向上させる染料や適切なフラックスを混ぜておく事は作業性を高めるだけでなく、構造物の品質を高める上でも有効である。
更に、金属の熔着を阻害する酸化物や汚染除去などには適切なフラックスの使用が望まれる。例えば、はんだ付けに使われる松脂や蟻酸 臭素含有有機酸などの一般市販の還元剤が有用である。また、融解部全体を非酸化性ガス(例えば、窒素ガスや水素の様な還元性ガスを添加した雰囲気)で満たして操作するのは、汚染物を減らす上で好ましい。
加熱手段としてはレーザー光、赤外線、ガス炎、水素炎や小型のヒーターを使う事が出来る。レーザー光で加熱する際には、吸収係数向上の為に適切な染料を予め塗布しておく事は有効である。
立体構造体を構築する基板を載せて金属芯材の代表径より細かい位置を制御する位置決め可動基台、低融点金属より為る被覆層を熔融させる微細加熱具、煙霧を除く換気装置を少なくとも具備内蔵した筐体より成る立体構造体形成装置が、以上の説明でも示されたように非常に有用である。
複合金属材である球材1b(直径50ミクロン;銅芯材に約2ミクロン厚の銅錫銀はんだ層)を適用して以下の様な基本的操作を繰り返した。なお製造には、図9に示すような立体構造体形成装置を用いた。
複合金属材である球材1bを供給器6“から送り出し、横の補助具10から少量のフラックスをたらして基盤bに固定する。次の球材1bを図3Aの様に所定の位置に隣接して定置させた。その後、微細加熱具としてのレーザー光2を当てて適度に加熱すると瞬時に表面の低融点金属層1sが融解して、同図Bの様にその隣接部と融着する。得られた構造体3の上に、同じ手順で球材1bを更に重ねて並べて定置して、レーザー光2を当てて(同図C)融着する操作(同図D)を繰り返すことによって立体的な融着体3(同図E)を得る事ができた。これを更に繰り返す事で、薄壁の立体構造体を製造した。
尚、フラックスをたらして構造体3に固定する時に同図C中央に示す様に位置を少しずらして設置することで斜面を形成することが出来た。下部に支えが無くとも球体の半分程度のズレが有っても構造体を斜めに成長させる事が出来た。この様な技術を随時適用することで、非常に複雑な構造体を製造できることが実証された。
〔比較例1〕
実施例1で用いた図9に示す立体構造体形成装置を応用して、銅金属単体より為る球材1(直径50ミクロン)を基板b全面に定置した(図2A)。この内、所定の位置のみを強力なレーザー光2を当てて球体1を融解して融着3(図2B)させた。この後、銅球材1を更に基板b全面に定置(図2C)して、所定の部分のみをレーザーで照射して融解して下層及び隣接部を融着させて立体構造体の部分を成長(図2D)させた。以上の操作を最後まで繰り返した後に、融解せずに残った球材1を振るい落として実施例1と同様の立体構造体(図2E)を得た。
上記の本発明の実施例に比べて、高融点の銅材を溶かす為に非常に強力なレーザー光が必要であり、球材を全面に定置する為に球材の無駄が多い事が判明した。金属製の器を例に挙げれば、器の壁は僅かであり、中身に敷いた球材は総べて無駄となる。例えば、1mmの薄い壁より為る半径50mmの円筒を考えれば、96%の球材が無駄になる計算である。更に、壁際には望ましくない融着球材が付着するので、その除去や仕上げに大変な手間がかかった。
実施例1と同様に、複合金属材である球材1b(直径50ミクロン)を適用して同様の基本的操作を繰り返した。この時、微細加熱具としてのレーザー光2に替えて微小な酸水素炎を用い、製造には図9に示す同じ構造の立体構造体形成装置を用いた。
球材1bを図3Aの様に所定の位置に隣接して定置させて酸水素炎2を当てて適度に加熱しその隣接部と融着させる操作を繰り返すことによって、実施例1と同様に立体的な融着体3(同図E)を得る事ができた。この時、定置した球材1bの底部に直接当たり加熱熔融するように、酸水素炎2を横から照射した。
これらを操作を更に繰り返す事で、薄壁の立体構造体を製造できた。なお、この時には酸水素炎の当て方が重要であり、成長方向に炎が拡がる事が望ましい。逆方向であれば、既に融解固着した球材が緩み僅かであるが変形する事が見られた。
以上の例では芯材に銅を用いたが、それ以外の金属、例えば錫銅合金や錫、鉄、アルミやステンレス等を、被覆金属材には芯材より融点の低い金属や合金を組み合わせて用いれば、同じ操作を行う事で所望の立体構造体を得る事が判る。なお、被覆金属材には、例えば、一般市販の80度から250度位の多様なはんだ合金や錫、亜鉛や鉛などの比較的に低融点の金属や合金を用いれば良い。
実施例1と同様に、複合金属材である球材1b(直径5−500ミクロン)を用いて同様の操作を行った。この時には微細加熱具としてのレーザー光2は加熱対象となる球材の直径とほぼ同じ大きさに設定した。その結果、何れの球材でもほぼ所望の立体融着体が得られた。直径5ミクロンの球材を用いて作成した融着体の表面状態は、一番滑らかに出来ており、直径500ミクロンの球材の物が最も粗であった。
なお、図3Cの中央に示す様に球材1bを半径分だけずらして定置した時には隣接する球材に支えられているが、融着する際に若干ずれやすい事が認められた。特に、直径が250ミクロンを超えるとズレが大きくなると共に表面状態が顕著に粗面になる傾向が認められた。これに伴い全体的な歪みが観察された。直径が大きくなると表面の低融点金属層が融解した時に、自重で動き始めて歪みを生じたと考えられた。なお、直径5ミクロン未満の球材については、適当な材料を入手出来なかったので実証する事が出来なかった。しかし、これら以上の実験結果から、問題無く立体融着体が得られると推定された。
実施例1と同様に、複合金属材である球材1b(直径50ミクロン)を適用して同様の基本的操作を繰り返した。図4に示す様に、定置した球材1bを熔融固定する操作を繰り返して実施例1と同様に立体構造体を造る操作に於いて、足場材1nを定置しておくとその上に球材1bを定置できる。従って、実施例3の様に球材をずらして横に成長させる時の限界が無い。図4Cに示す様に限界無く横方向に容易に定置出来た。
足場材1nとしては、球材1bそのものを使えるが、球材と融合性が悪い非金属材を使う事も出来る。どちらを使用しても、加熱源レーザー光2は融着すべき部分3に相当する球材1bにのみ当るので全く問題無かった。操作終了後に融着せず固定されていない足場材図4Dを高圧の空気流を当てて吹き飛ばす事で除去し、図4Eに示す様に空洞を形成できた。また、震動を与えて振り落す操作でも同じ効果が見られ、中子を持つ様な複雑な立体構造体を簡単に得られた。この除去の操作は簡単で低コストで薬剤なども使わないので環境にも優しい。特に樹脂を使った3Dプリンター技術では、除去に際して強アルカリを使うので危険が伴い、環境に非常に悪い。
撤去する足場材としては、球材1bよりも廉価である材料、例えば金属材とは親和性の良くないセラミックやガラス、極端には樹脂類や極低融点材料などを使えた。
100ミクロン径の高融点金属芯に純銅、3ミクロン厚の低融点金属層にSnAgCuはんだより為る円筒線材1L(図1B)を用いて、実施例3同様の操作を行った。この時、照射するレーザー光は線材の真上からでは無く、線材の浮きを防ぐ押さえ治具を避ける様に少し斜めの角度から照射した。この線材を押さえて定置し照射し表面層を融解して固定する操作を連続的に行った。図5に示す様に線材を少しずらしながら渦巻き状に積み上げる事で、斜めに成長させる事が行え、所望の複雑な円筒柱状の立体構造体を得る事ができた。樹脂フィラメント材料を使った3Dプリンター技術に類似の操作が出来た。
100ミクロン径の高融点金属芯に純銅、3ミクロン厚の低融点金属層にSnAgCuはんだより為る矩形線材1r(図1C)を用いて実施例5と同様の操作を行った所、同じ様に所望の複雑な円筒柱状の立体構造体を得た。
なお、矩形の場合には、横方向に大幅にずらしても問題なく定置できた。円筒線材よりも急な傾斜形状が得られた。これは図7Bに示された断面から判る様に、円筒形よりも矩形の方が安定して積層される為と云える。
実施例6と同様の操作でアーチを作成する操作を行った。矩形線材1rを下地の構造体を橋渡しするように渡して融着する事(図6B)でも、低融点材4sで出来た足場材1nの上に設置する事(図6C)でも、非金属材4cで出来た足場材1nの上に設置する事(図6D)でも形成できた。残った足場材1nは、融解除去ないしは圧縮ガスで吹き飛ばす事で完全に除去出来、片梁状の出っ張りを形成できた。極低融点材料としてSnBi系はんだを使っているのでSnAg系はんだよりも100度も低い140度の加熱で足場材を熔融除去できた。非常に簡便であり有用であった。
仮足場4は不要となった時点で足場材を除去する事で消去出来るので、随時下地の無い宙吊り構造を形成する事が出来る事が判った。
複合金属材1b/1Lや矩形材1rの集合体(図7)を融着すると、当初は図8Aの様に接している低融点金属層1sが溶け合い、図8Bに示す様に縮む。最大その層厚分だけ収縮する事が観察された。さらに、後熱処理で合金化を進めると図8Cの様に一段と収縮する事が見られた。この為に、処理工程に従った収縮量を予行で予め見計らった寸法で作成する事は、最終の出来上がり寸法を厳密に得る為には重要であった。
また、融着中にも僅か収縮が生じているので、その分を見込んで設置位置を修正する事も有効であった。
以上の様な複雑な立体構造体の効率的で迅速な製造には、図9に示す様な装置を用いた。その基本的な操作は以下の通りである。先ず全体の覆う筐体5の扉を開き、立体複合物を形成させる基板bを可動基台7上の所定の位置に固定する。供給具6を通して複合金属線材1Lを既定の位置に設置できることを確認してから扉を閉じて、吸気孔や 8排気孔9を用いて吸排気を始める。なお、複合金属線材1Lの表面にある酸化物などを除去する為に供給冶具6を通る間に還元剤を潜らす。定置された金属芯材1Lを弱い酸水素炎2にて炙り、表面の低融点金属層1sを熔かして融着させて熔着体3を成長させる。金属芯材1Lを切断する時は酸水素炎を強めて溶断する。この時、補助具10を熔着体3に当てて、周辺の過度な温度上昇を防ぐ事は時には有効である。酸水素炎の操作は半導体素子の金配線工程と同じで容易であった。可動基台7を所定通りに動かしながらこの様な操作を繰り返し、所望する複雑な立体構造体を得る事が出来た。
加熱源2としては、一般的なファイバーレーザーを用いる事ができた。100ミクロンレベルの複合金属材が対象であれば、出力50Wレベルで100−150ミクロンに絞ったパルスレーザー光を用いれば良い。
次に、無機物紛体への高機械エネルギー注入による有機化合物の合成に関して
40億年前の無機物から有機物合成、更にアミノ酸合成について、現在広く世界で研究が行われている(引用文献2−3を参照)。当初はプラズマ中での合成が試みられ、最近では非常に特殊な超高圧法が試されているが、いずれも合成される量はmgやμg単位の微量であり、その分析は非常に困難である。本研究者らは、超微粉砕プロセスで一般的なメカノケミカル反応の研究をする中で、特に無機物の加水分解、炭酸化、窒化に注目して有機物合成実験を重ねて、本発明に至った。本発明の様に小規模で簡単な実験装置でもg単位が合成されるのは画期的、驚異的である。
本発明の超微粉砕は、例えば、金属や酸化物炭化物窒化物や炭酸塩、硝酸塩などの紛体に水を加えて、数mm以下の硬いボールを用いて、高速回転する事で為される。
反応の要は、水の存在と、水を還元する金属や非金属、その化合物の存在である。酸素を奪われて生じた水素の還元性雰囲気の中で極圧条件下で窒化や水添などを含んだ種々の有機反応が生じていると推定される。水と反応する出発原料としては、金属元素の他に炭素や硫黄の様な非金属、FeOの様に低価数の化合物が有り、炭素源としては炭化物や炭酸化物など、窒素源としては窒化物や硝酸塩などの様々な候補が有り、多様な輻輳した反応が考えられる。なお、現在の処、一昼夜以上の長時間が掛かっているが、触媒などの条件を更に詰めればもっと短時間で実現できると推定される。
本発明の根幹は、回転軸の界面、研磨面の界面、ボールミル粉砕の紛体界面などの極圧と局部的な高温が発生する摩擦界面での短時間でも繰り返す生じる特異な反応を活用するので、以下の参考実施例の様なボールミル等による微粉砕に限らず、例えば、超音波振動、紛体が充填された流動層、摩擦を伴う各種の機械加工でも無し得る。
地震などの大規模な震動では、数分の短時間であっても非常に広域なので、かなりの量の有機物が合成されると推定される。また、大陸の移動面に沿っては巨大な摩擦界面が有るので、広大な界面に沿って長時間に亘っての反応が生じていると考えられる。単位面積、単位体積当たりでは微量であっても、総計では巨大な量に上る。石油の生成、無機起源説に一つの根拠を与える実験結果と云える。
先ず、基本的なアンモニア合成実験(実験1)を、内藤教授や小澤準教と共同で行った。
出発原料として、Fe4Nを4g、粘土(スメクタイト)1g、水50mL、直径5φのZrO2ボール150gをSUS304で出来た容量170ccのミル容器に充填して、加速度150Gの強力な遊星型ボールミル(栗本鉄工所製ハイジー遊星ミル)で64時間の長時間運転を行った。冷却後、容器を開けると一瞬ガスが噴き出し、NH3臭が漂った。
また、真っ黒な泥状の回収物からは泡がブツブツと噴き出していた。泥のpH11であり、その比表面積は100m2/gと大きく、X線分析でFe3O4が主体であり、FeNは全く検出されず、Fe71Zr16Cr5その他からなる組成であった。この結果から、以下の窒化鉄の加水分解反応が推定された。
Fe4N+16/3H2O――>4/3Fe3O4+NH3+23/6H2
更に、泥組成やpHから、原料窒素の約1/3がアンモニア化しており、発生した水素や窒素ガス圧は15気圧相当と計算された。かなりのガスは、高比表面積のスメクタイトやマグネタイトに吸着されており、容器解放後に脱着し泡を発生したと考えられた。
次に、固形物出発原料として、FeCを3g、Cを1g、粘土(スメクタイト)1gを秤量して、実験1と類似の実験2を行うと、やはりガス発生が認められ、IRスペクトラ分析から、CH3基やCH2基を含む有機物の形成が推定された。
さらに、固形物出発原料として、Fe4Nを1g、FeCを2g、Cを1g、粘土(スメクタイト)1gを用いて実験2と同様の実験では、やはりマグネタイトやガス発生が認められ、IRスペクトラ分析から、CH3基やCH2基の形成の他にNH2基が認められて、アミン基を含む有機物合成が推定される。
余剰に発生する水素による強還元性を緩める為に、窒素源や炭素源に硝酸塩や炭酸塩が有効と推定されるので、固形物出発原料として、NaNO3を2g、Fe(CO)5を2g、Cを1g、粘土(スメクタイト)1gを用いて、実験2と同様の実験3を行う。やはりガス発生が認められ、IRスペクトラ分析から、CH3基やCH2基、OH基、COOH基、NH2基が認められ、アミン基やCOOH基を含む有機物の合成が推定された。また、固形物出発原料として、NaNO3を2g、FeSを1g、Cを2g、粘土(スメクタイト)1gを用いて、実験2と同様の実験4を行えば、やはりガス発生が認められ、IRスペクトラ分析から、アミン基やCOOH基を含む有機物が生成したと推定された。出発原料、触媒、無機物の加水分解、炭酸化、窒化、硫化反応を制御するプロセス条件の調整で、さらに高級有機化合物の合成が可能になる事は明確である。
一方で、有機物が逆に分解される反応が有るので、最適条件が有ると推定される。
なお、同様の操作で廃油などに水添し軽質化や脱酸するなど有用化する事もできる。
本発明は、低温度で造形しながらそれより高温での耐熱性が有る立体構造体並びに新たな立体構造体製造装置に関し、特に抗菌医用や宝飾品などの耐蝕性耐摩耗性を有する微細構造物の製造に適している。金属構造物の簡易で低廉な3Dプリンター技術として有用であり、広く利用され得る。
b 基板
1 複合金属材
1b球材
1L線材
1r矩形材
1s 低融点金属層
1c 高融点金属芯
1n 足場材
2 加熱源
3 熔着体
4 仮足場
5 筐体
6、6’供給具
7 可動基台
8 吸気孔
9 排気孔
10 補助具

Claims (9)

  1. 低融点金属より為る被覆層と高融点金属芯を有する複合金属材を隣接して定置後に融着してなる操作を繰り返して成る事を特徴とした立体構造体
  2. 低融点金属より為る被覆層と高融点金属芯を有する複合金属材を隣接して定置後に融着してなる操作を繰り返して成る事を特徴とした立体構造体の製造方法
  3. 低融点金属より為る被覆層を有する複合金属材を供給する手段、当該複合金属材先端の3次元的な位置調整機構、当該複合金属材の代表寸法より大きな部分を加熱し少なくとも低融点金属の表面を融解する過熱手段、さらに強制給気や強制排気の換気手段を少なくとも具備した事を特徴とした立体構造体形成装置
  4. 当該複合金属材の代表寸法が5mm以下で有る事を特徴とした特許請求の範囲1の立体構造体
  5. 非金属粒子で仮足場を形成する操作や当該非金属粒子を除去する操作を含む事を特徴とした特許請求の範囲2の立体構造体の製造方法
  6. 支持用の仮足場を焼き飛ばす操作を含む事を特徴とした特許請求の範囲2の立体構造体の製造方法
  7. 被覆層表面に薄く還元剤が塗布された状態で加熱融着する事を特徴とした特許請求の範囲1の立体構造体
  8. 被覆層の厚みに相応した収縮量を見込んだ位置決め方法を含んだ事を特徴とした特許請求の範囲2の立体構造体の製造方法
  9. 熔融温度より低い温度で焼鈍する事を特徴とした請求項1−8の立体構造体

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