JP3044829B2 - ヘキサブロモシクロドデカンの製造法 - Google Patents

ヘキサブロモシクロドデカンの製造法

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JP3044829B2 JP3137078A JP13707891A JP3044829B2 JP 3044829 B2 JP3044829 B2 JP 3044829B2 JP 3137078 A JP3137078 A JP 3137078A JP 13707891 A JP13707891 A JP 13707891A JP 3044829 B2 JP3044829 B2 JP 3044829B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性に優れた1,
2,5,6,9,10−ヘキサブロモシクロドデカンを
製造する方法に関する。本発明で得られる1,2,5,
6,9,10−ヘキサブロモシクロドデカンは、高分子
化合物の難燃剤として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】1,2,5,6,9,10−ヘキサブロ
モシクロドデカン(以下HBCDと略記する)はポリス
チレン樹脂等に使用されている難燃剤である。この難燃
剤は、臭素を1,5,9−シス,トランス,トランス−
シクロドデカトリエン(以下CDTと略記する)に付加
させる反応によって合成される。
【0003】ODS逆相カラムを装着した高速液体クロ
マトグラフィーを用いて分析すると、HBCDには3種
類の異性体が存在することが知られている。それらはカ
ラムから溶出する順番にα−HBCD、β−HBCD、
γ−HBCDと命名されている[E.R.Larsen
and E.L.Ecker, J.FireSc
i.,4,261(1986)]。
【0004】本発明者らが、各異性体を単離し、物性値
を測定した結果では、α−、β−、γ−体のそれぞれの
融点は184〜186℃、168〜171℃、196〜
198℃である。また熱重量分析(空気中、昇温速度1
0℃/min)では、5%加熱重量減温度はそれぞれ2
42℃、217℃、245℃で、50%加熱重量減温度
はそれぞれ255℃、232℃、258℃である。従っ
てγ−HBCD、α−HBCD、β−HBCDの順に熱
安定性は高い。難燃剤として用いられるHBCDはγ−
体が主体のものであるが、これらの異性体の存在比の違
いにより、HBCDの品質が大きく左右される。例え
ば、融点が低く熱安定性が低いβ−HBCDの存在比が
高くなると、HBCDの融点と耐熱性は低くなる。その
ため、HBCDの熱分解が比較的低温で起こり始めるた
めに、成型加工機の腐蝕が起こったり、樹脂が着色を起
こす等の問題があった。
【0005】臭素をCDTに付加させる反応によってH
BCDは合成されているが、現在までに以下のようなさ
まざまな反応方法が開示されている。
【0006】ドイツ特許第1147574号明細書に
は、CDTのエチルアルコール溶液へ臭素を滴下して、
臭素付加反応を行うことが記載されてる。しかしこの方
法では、反応途中に不溶の樹脂状物が析出するため、攪
拌が困難になり、スケールアップが困難であった。さら
にこのとき生成するHBCDは融点が低く、耐熱性が劣
るといった欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】反応途中に不溶の樹脂
状物が析出する欠点を解決するために、同様の反応方法
でいくつかの混合溶媒系が開示されている。例えば特公
昭49−24474号ではアルコールとベンゼンの混合
溶媒系そして特公昭49−24475号ではアルコール
とエステルの混合溶媒系、USP3833675号では
t−ブチルアルコ−ルとベンゼンの混合溶媒系、特公昭
50−5187号ではアルコ−ルとハロゲン系炭化水素
の混合溶媒系、EP181414号ではアルコ−ルとジ
オキサンの混合溶媒系等である。これらの溶媒で反応を
行うと、反応溶媒の溶解度が高いため反応途中の樹脂状
物の析出はなくなる。しかし生成するHBCDの融点と
耐熱性が低いため、問題が残っていた。
【0008】また、特公昭53−12510号には、反
応器に溶媒を仕込んでおき、CDTと臭素を同時に滴下
して反応する方法が示されている。しかし、生成するH
BCDの耐熱性および融点が低いという問題が残ってい
た。
【0009】上述の反応方法では、耐熱性の高いγ−H
BCDの選択率が低いばかりではなく、臭素付加反応以
外に、アリル位の臭素化、脱臭化水素、または溶媒の臭
素化等のような副反応が起こりやすいため、収率が低下
したり、不純物がHBCDの結晶中に混入するなどの問
題があった。これらの不純物も、成型加工機の腐蝕や、
樹脂の着色の原因になることがわかっている。
【0010】そこで、熱安定性の高いγ−HBCDの高
選択的な製造方法が求められていた
【0011】。
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記事情
に鑑み、熱安定性の高いγ−HBCDの高選択的な製造
方法について鋭意検討した結果、炭素数1〜4のアルコ
ールまたはそれを含有する有機溶媒中で、臭素とCDT
を反応させHBCDを製造する方法において、ハロゲン
化水素酸を反応溶媒中のアルコールに対して3〜30w
t/vol%加えて反応させると、加えないときに比べ
てγ−HBCDの選択率が著しく向上すること、反応溶
媒との副反応を抑えられること、さらには不純物の生成
量が著しく減少することを見出し本発明に到達した。
【0012】すなわち本発明は、臭素を炭素数1〜4の
アルコールまたはそれを含有する有機溶媒中で、CDT
と臭素を反応させ、HBCDを製造する方法において、
CDTと臭素の反応開始前に、ハロゲン化水素酸を反応
溶媒に中のアルコールに対して、3〜30wt/vol
%加えることを特徴とする、HBCDの製造法に関す
る。
【0013】以下本発明を詳細に説明する。
【0014】本発明の方法で用いられる溶媒は、炭素数
1〜4のアルコールまたはそれを含有する有機溶媒であ
る。炭素数1〜4のアルコールとしては、メタノール、
エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n
−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、
tert−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、プロピレングリコール等があげられる。
これらのアルコ−ルの中でエタノール、n−プロパノー
ル、tert−ブタノールなどが特に好ましい。アルコ
ールと混合する有機溶媒としては、エーテル系の溶媒、
ハロゲン系炭化水素溶媒、エステル系の溶媒があげられ
る。アルコールと混合するそれぞれの溶媒の混合比率は
特に規定されない。それぞれの溶媒の具体例としては、
エーテル系の溶媒としてはジプロピルエーテル、ジイソ
プロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジ
オキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジ
エチレングリコールジエチルエーテル等が、ハロゲン系
炭化水素溶媒としては、四塩化炭素、クロロホルム、塩
化メチレン、エチレンジクロライド(EDC)等が、エ
ステル系の溶媒としては酢酸エチル、酢酸メチル、2−
メトキシエチルアセタート等があげられる。混合溶媒と
してはエタノール−酢酸エチル、エタノール−THF、
エタノール−ジオキサン、エタノール−EDC、エタノ
ール−塩化メチレン等が反応成績の面から特に好ましい
ものである。
【0015】ハロゲン化水素酸の反応溶媒中への溶解方
法は特に限定されない。一例を挙げると、反応溶媒中に
ハロゲン化水素酸ガスを直接吹込む方法や、ハロゲン化
水素酸を含んだ反応溶媒を使用する方法、臭素と反応し
て臭化水素酸を発生するものを反応系中に添加しておく
方法等がある。
【0016】ハロゲン化水素酸の添加時期については、
臭素を反応溶媒に溶解させた中にCDTを滴下して反応
させる場合には、反応溶媒と臭素の副反応を抑制するた
めに反応溶媒へ臭素を溶解する前に、反応溶媒にCDT
を溶解させた中に臭素を滴下して反応させる場合は臭素
の滴下開始前に、臭素とCDTを同時に滴下して反応さ
せる場合には、臭素とCDTを滴下する前にハロゲン化
水素酸を添加すれば良い。
【0017】ハロゲン化水素酸の添加量は、反応溶媒中
のアルコールに対して3〜30wt/vol%(ハロゲ
ン化水素酸/アルコール)好ましくは5〜20wt/v
ol%が選ばれる。3wt/vol%より少ない添加量
では、ハロゲン化水素酸の添加効果が少なく、30wt
/vol%以上加えても添加効果はそれ以上向上せず、
経済的な観点からも好ましくない。
【0018】本反応で使用されるハロゲン化水素酸の種
類は、フッ化水素酸や、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素酸
等またはこれらの混合物であり、好ましくは塩酸および
臭化水素酸である。
【0019】本発明を実施するにあたっての反応方法
は、CDTを反応溶媒に溶解した中に臭素を滴下して反
応させる方法や、臭素を反応溶媒に溶解した中にCDT
を滴下して反応させる方法、反応溶媒中にCDTと臭素
を同時に滴下して反応させる方法などが考えられ何れの
方法でもかまわないが、反応溶媒中にCDTと臭素を同
時に滴下して反応させる方法が耐熱性の高いγ−HBC
Dの選択率が高くなるため好ましい。
【0020】本発明の方法を実施するにあたってのCD
Tの基質濃度(CDT/反応溶媒=wt/vol%)
は、CDTを溶媒に溶解した中に臭素を滴下して反応さ
せる場合や、臭素を溶媒に溶解した中にCDTを滴下し
て反応させる方法の場合、特願平2−288453号に
開示されているように、有機溶媒に対して0.1〜20
wt/vol%、好ましくは0.5〜10wt/vol
%が選ばれる。0.1%より低い濃度で反応を行って
も、0.1wt/vol%の時のγ−HBCDの選択率
に比較して、期待されるほどγ−HBCDの選択率は向
上せず、また経済的な見地から有用ではない。また20
wt/vol%を越えて反応を行うと、γ−HBCDの
選択率が著しく低下するため選ばれない。また、反応溶
媒中にCDTと臭素を同時に滴下する方法の場合には、
有機溶媒に対して0.1〜50wt/vol%、好まし
くは0.5〜40wt/vol%が選ばれる。0.1%
より低い濃度で反応を行っても、経済的な見地から有用
ではなく、40%を越える場合は、スラリー濃度が高く
なりすぎるため好ましくない。
【0021】本発明の方法を実施するにあたっての反応
温度は格別の限定はないが、高温で反応をおこなうと、
臭素付加反応以外の置換反応が起こりやすくなるため不
純物が増加したり、反応溶媒と臭素の反応が起こりやす
くなるため、あまり好ましくない。また極端な低温で反
応を行った場合には、溶媒の変性はおさえられるが、反
応速度がおそくなるため反応が完結せず、反応中間体で
止まるため好ましくない。反応温度は通常約−20℃〜
約50℃の範囲である。
【0022】本発明を実施するにあたっての反応時間は
反応方法や反応温度、仕込み量等により変わりうるが、
CDTを溶媒に溶解した中に臭素を滴下して反応させる
方法の場合、臭素の滴下時間は通常約10分ないし10
時間程度、さらにCDTの滴下が終了してから約0〜3
時間程度反応させることでなしとげられる。臭素を溶媒
に溶解した中にCDTを滴下して反応させる方法の場
合、CDTの滴下時間は通常約10分ないし10時間程
度、さらにCDTの滴下が終了してから約0〜3時間程
度反応させることでなしとげられる。反応溶媒中にCD
Tと臭素を同時に滴下する方法の場合は、臭素およびC
DTの滴下時間は通常約10分ないし20時間程度、さ
らにCDTの滴下が終了してから約0〜3時間程度反応
させることでなしとげられる。
【0023】CDTに対する臭素の使用量は、Br
CDT(モル比)で3.0以上、好ましくは3.0〜
5.0である。3.0未満では、CDTに対して臭素が
不足しているため、反応が完結しない。5.0を越える
場合では、過剰臭素による副反応が起こりやすくなるこ
とと、経済的な見地からも好ましくない。
【0024】反応終了後生成したHBCDは公知の手段
で粉体として単離できる。例えば、析出した結晶をその
まま濾過する方法や反応終了時の反応液を貧溶媒に投入
することで結晶を取り上げる方法、反応終了時の反応液
に貧溶媒を投入する方法などが考えられる。さらにろ液
として回収された溶媒は、新しい溶媒を補充することで
反応溶媒として繰り返し使用することができる。
【0025】
【発明の効果】本発明の方法を実施することにより、H
BCDのγ−体を高選択率、高収率で製造できるように
なった。また、色相、熱安定性に優れたHBCDを製造
できるようになった。
【0026】
【実施例】以下、実施例に従って本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれらにより限定されるものではな
い。
【0027】実施例1〜4 還流冷却器、撹拌羽根を装備した丸底フラスコに、表1
に示す組成になるように反応溶媒とHBrを仕込んだ。
その中に表1に示す量のCDTと臭素を15℃で2時間
かけて滴下することで反応させた。滴下終了後、さらに
2時間熟成した。反応終了後の反応スラリー液を高速液
体クロマトグラフィー(カラム TSKゲル−ODS8
0TM、溶離液 アセトニトリル/水=80/20vo
l%、検出器 UV215nm)で分析しその結果をま
とめて表1に示した。なお同定できない成分については
不明分とした。表1中のDBCD(ジブロモシクロドデ
カジエン)、TBCD(テトラブロモシクロドデセン)
は、HBCDの反応中間体である。なおTBCDには異
性体が存在するので、高速液体クロマトグラフィーでO
DS逆相カラムを用いて分析し、カラムから溶出する順
番にα−TBCD、β−TBCDと命名した。
【0028】γ−HBCDの選択率は、γ−HBCDの
生成量をHBCD異性体の合計量で割った値で示した
[γ−HBCD/(α−TBCD+β−TBCD+γ−
HBCD)]。
【0029】反応終了時の反応液をろ過し、得られた結
晶を乾燥させ融点を測定し、その結果をまとめて表1に
示した。
【0030】実施例5〜8 還流冷却器、撹拌羽根を装備した丸底フラスコに、表1
に示す組成になるように反応溶媒とHBrと臭素を仕込
んだ。その中に表1に示す量のCDTを15℃で2時間
かけて滴下することで反応させた。滴下終了後、さらに
2時間熟成した。反応終了後、実施例と同様な方法で後
処理と分析を行いその結果をまとめて表1に示した。
【0031】実施例9 還流冷却器、撹拌羽根を装備した丸底フラスコに、表1
に示す組成になるように反応溶媒とHBrとCDTを仕
込んだ。その中に表1に示す量の臭素を15℃で2時間
かけて滴下することで反応させた。滴下終了後、さらに
2時間熟成した。反応終了後、実施例と同様な方法で後
処理と分析を行いその結果をまとめて表1に示した。
【0032】
【表1】 比較例1 還流冷却器、撹拌羽根を装備した丸底フラスコに、表2
に示す組成の反応溶媒を仕込んだ。その中に表2に示す
量のCDTと臭素を15℃で2時間かけて滴下すること
で反応させた。滴下終了後、さらに2時間熟成した。反
応終了後、実施例と同様な方法で後処理と分析を行いそ
の結果をまとめて表2に示した。
【0033】比較例2,3 還流冷却器、撹拌羽根を装備した丸底フラスコに、表2
に示す組成の反応溶媒と臭素を仕込んだ。その中に表2
に示す量のCDTを15℃で2時間かけて滴下すること
で反応させた。滴下終了後、さらに2時間熟成した。反
応終了後、実施例と同様な方法で後処理と分析を行いそ
の結果をまとめて表2に示した。
【0034】比較例4 還流冷却器、撹拌羽根を装備した丸底フラスコに、表2
に示す組成の反応溶媒とCDTを仕込んだ。その中に表
2に示す量の臭素を15℃で2時間かけて滴下すること
で反応させた。滴下終了後、さらに2時間熟成した。反
応終了後、実施例と同様な方法で後処理と分析を行いそ
の結果をまとめて表2に示した。
【0035】
【表2】

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素数1〜4のアルコールまたはそれを含
    有する有機溶媒中で、臭素を1,5,9−シス,トラン
    ス,トランス−シクロドデカトリエンと反応させ、1,
    2,5,6,9,10−ヘキサブロモシクロドデカンを
    製造する方法において、ハロゲン化水素酸を反応溶媒中
    のアルコールに対して、3〜30wt/vol%加える
    ことを特徴とする、1,2,5,6,9,10−ヘキサ
    ブロモシクロドデカンの製造法。
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