JP3554622B2 - 横型1軸反応器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘稠な液体の物質移動を伴う処理を行うのに適した横型1軸反応器に関するものであり、更に詳しくは、広い粘度領域で特に高粘度領域において優れた性能を有する横型1軸反応器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル、ポリカーボネート等のエステル交換を使用したポリマーの連続重合やポリマー中の揮発物の除去、ポリマーへの気体成分の吸収等の粘稠な液体の物質移動を伴う処理では、低沸点成分の液中での拡散が効率に密接に関与することが知られており、被処理物質の液深を低下させるために横型の反応器がよく使用されている。
【0003】
横型反応器には1軸と2軸の2タイプが存在し、横型1軸反応器は安価であるが適用粘度領域が2軸タイプよりも狭く、横型2軸反応器は使用できる粘度領域が広くとれるものの高価であると言う欠点を有する。従って、安価に製作できる横型1軸反応器において使用可能な粘度領域の拡大が求められている。
【0004】
このため、横型1軸反応器に使用する撹拌翼の形状が数多く検討されており、この過程で、端部円板と該端部円板間に配設された複数個の仕切円板とを回転方向と逆方向に傾斜又は湾曲した撹拌羽根によって、所定間隔に連結固定し、かつ、両端部円板の中央部を回転軸で支持した構造を有する横型1軸反応器が提案されている。
【0005】
このタイプの横型1軸反応器は、回転構造の中央に撹拌軸が存在しないため、液粘度上昇に伴う軸周囲での液の共回りが防止され、一方で、撹拌翼によって液を汲み上げ、回転と共に自由表面を形成しつつ落下させること、及び、反応器内壁に液膜を形成させることによって大きな比表面積を達成すること、ができる優れた反応器ではあるが、その構造上、液粘度が高くなると落下に伴う自由表面の形成能力が低下し、比表面積が減少することにより、効率が悪化するという欠点を有しており、その改善が求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、端部円板と該端部円板間に配設された複数個の仕切円板を回転方向と逆方向に傾斜又は湾曲した撹拌羽根によって、所定間隔に連結固定し、かつ、両端部円板の中央部を回転軸で支持した構造を有する横型1軸反応器の利点を保有しつつ、更に適用粘度を特に高粘度側に拡大した、横型1軸反応器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの課題を解決すべく鋭意検討した結果、撹拌翼に特別の工夫を施すことにより解決し得ることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
即ち、本発明は、実質的に円筒形の反応器内に、一定方向に回転する端部円板と該端部円板間に中央部に開口を有する複数個の仕切円板とをほぼ平行に設け、これらの円板をその回転方向と逆方向に傾斜又は湾曲した撹拌羽根によって、所定間隔に連結固定し、かつ、両端部円板の中央部を回転軸で支持した構造を有する横型1軸反応器であって、該撹拌羽根に複数の開口を設け、かつ反応液の入側から出側に向かって撹拌羽根の開口度を順次大きくしたことを特徴とする横型1軸反応器であり、さらに、上記撹拌羽根の先端に回転方向と逆方向に延び、かつ反応器内壁と小間隙を有する尾翼を設けたことを特徴とする横型1軸反応器である。
【0009】
本発明の横型1軸反応器では、該反応器内部の2個の端部円板間にほぼ平行に配設された複数個の仕切円板を、これらの円板の回転方向と逆方向に傾斜又は湾曲した撹拌羽根によって連結固定することにより、ホールドアップを高めても翼先端部と反応器内壁で形成される空間部により撹拌回転と共に反応液(処理液)が汲み上げられ、次いで重力により自由液膜を形成しつつ落下し、かつ、該撹拌羽根によって容器内壁の気相部分に液が塗布されるため、該反応器内で反応液の表面積は大きく保たれ、その結果として、高い物質移動速度、生産性が維持される。
【0010】
そして、反応器内部の両端に設けた、撹拌軸(回転軸)を有する2個の端部円板を、中央に開口を有する仕切円板を介して、複数の撹拌羽根で連結固定しているため、撹拌羽根の内側には撹拌軸が存在せず、液粘度が上昇した場合に特に問題となる軸周りの滞留部分が発生しない。
【0011】
本発明の反応器においては、仕切円板と端部円板とを連結固定する上記撹拌羽根を複数の開口を有する多孔板等で構成するとともに、入側から出側に向けて、撹拌羽根の開口度を順次大きくする。このようにすることにより処理液の粘度が高い場合でも大きな物質移動速度を得ることが出来、適用粘度を引き上げることが可能となる。このような複数の開口の形状としては、板状の撹拌羽根に複数の円形状、方形状の開口部を設けたものが好ましいが、所定間隔でスリットを形成せしめたものでもよい。
【0012】
本発明において、複数の開口を有する撹拌羽根を構成するものとして、円形の開口部を有する平板(多孔板)を用いることが出来る。円形の開口径は1〜100mmが好ましい。開口径がこれより小さくなると、開口部を通しての高粘度処理液の移動が阻害されるので好ましくない。また、開口径がこれ以上大きくなると、撹拌回転によって発生するねじり力に耐える羽根の強度が低下する。撹拌羽根の面積に占める開口の割合(開口度)は全体で30%以上とすることが好ましい。このような開口の作成方法としては特に制限はなく、例えば、打ち抜き、切削加工等を用いることができるし、パンチングプレートを用いることもできる。
【0013】
開口度は、上述の範囲内で反応液入側から出側に向かって連続的又は段階的に順次大きくするが、好ましくは反応器の液入側の開口度は1〜80%、反応器の液出側の開口度は2〜90%の範囲から選択される。
【0014】
本発明において、撹拌羽根の材料として円形の開口部を有する平板を用いる場合、円形の開口部を有する平板の開口径と反応液の粘度によって異なる効果が得られる。例えば、反応液粘度が3000ポイズより高い場合、直径5mmより大きい円形の開口部を有する平板で撹拌羽根を構成することにより、撹拌回転によって生じる反応液と撹拌羽根の相対速度差により開口を通って撹拌羽根の裏側に反応液が流動し、撹拌羽根表面での液の滞留を防止すると共に羽根の裏側に液溜まりを形成し、これが重力によって自由液膜を形成しながら落下することにより表面積が増加し、反応速度が速くなる。この効果は適用粘度の引き上げに有効である。また、反応液粘度が100ポイズよりも低い場合、5mmより小さい開口を有する材料で撹拌羽根を構成することにより、反応液の比表面積が増加し、反応速度が大きくなる。この効果は反応液粘度が低いほど顕著であり、適用粘度の引き上げに有効である。
【0015】
また、本発明における撹拌羽根の材料として、金網を用いることもできる。この場合、撹拌回転によって発生する捻り力に耐える必要があり、枠状の補強部材と共に用いることが好ましい。
【0016】
本発明において、使用する金網の目開きは1000メッシュよりも大きい開孔を有するものが好ましい。開孔の大きさがこれよりも細かくなると金網に付着した処理液の流動が阻害され、表面更新が出来にくくなるため、効率の低下や長期滞留による処理液の劣化を引き起こすので好ましくない。
【0017】
また、本発明において開口を有する撹拌羽根の形状を構成するものとして、円柱状、角柱状材料を所定の間隔に配置しその間隙(スリット)を開口として用いることも出来る。この場合、撹拌羽根を構成する円柱状、角柱状材料の間隔は1mm以上が好ましい。該間隔が小さすぎると処理液が撹拌羽根と共廻りをおこしてしまい、開口部を通しての高粘度処理液の移動が阻害されるので好ましくない。
【0018】
いずれの場合も、撹拌羽根の開口度を反応器の処理液入側から出側に向かって粘度の上昇に併せて開口度を順次大きくすることにより適応粘度が広くなる。
【0019】
即ち、本発明において、処理液の粘度が低い領域では、例えば細かい目開きの金網を用いて撹拌羽根を形成し、液の粘度が高まるに伴い、開口径の大きいパンチングプレートまたは開口径の大きな円形の開口部を有する平板を用いて撹拌羽根を形成することにより横型1軸反応器の適用粘度域を大幅に拡大することができる。
【0020】
本発明において、上述の如き複数の開口を有する撹拌羽根には、その先端に該撹拌羽根の回転方向と逆方向に延在し、容器内壁と小間隙を保持する尾翼を設けることが好ましい。かかる尾翼の設置は容器内壁への液膜の塗布と反応液の汲み上げ性を向上させる効果を有する。この尾翼の表面積は反応器の液入側と出側そで差を設け、出側の表面積をより小さくするのが好ましい。また、尾翼の設置角度θは0°(周に沿った弧)〜60°の範囲とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の横型1軸反応器の1例を図面によって説明する。
図1は本発明に係る横型1軸反応器を示す断面図、図2、図3はそれぞれ図1のA−AおよびB−B矢視図である。
【0022】
図において、1は中空円筒状の反応器本体、2は該本体を取り巻く加熱装置、3,4はそれぞれ反応液(処理液)の入口と出口、5,6は両側部の側板(又は鏡板)である。7は入口3側の側板5に近接した位置でその内端部を回転軸8に固定された複数個の羽根で、回転方向Rに対し逆方向に湾曲(以下、中心部又は軸心から見た場合を指す)して延び、かつ回転軸方向の羽根面Fが側壁5に対し反応液を掻き上げて塗布するように傾斜している。他端にも同じような羽根7’が設けられている。
【0023】
9,9’は回転軸8,8’に支持されかつ羽根7,7’の内部側に設けた端部円板で、外周部に多数の切り欠き開口10,10’が設けられ入口3からの或いは出口4への液配分を適切に行えるようにしている。
【0024】
11は、上記端部円板9,9’の間に複数の撹拌羽根13を介して所定間隔でほぼ平行に複数個(図1では6個)配列支持された仕切円板であり、12は仕切円板11の中央にある開口部である。
【0025】
撹拌羽根13は、仕切円板11の外周部に一定間隔で固定され、かつ、該円板面とほぼ直角方向に伸び、各仕切円板11を相互に連結する複数の板状体から構成されるが、図2、図3に示す如く、回転方向Rと逆方向に傾斜すると共にその先端が反応器本体内側の胴壁1に近接しており、撹拌羽根13と胴壁1とで形成される空間Sで反応液を掻き上げ胴壁1に塗布する作用を有する。
【0026】
この撹拌羽根13は、複数の開口を有する多孔板等で形成され、かつ、該撹拌羽根13の開口率は、反応器の入側は比較的小さく、出側に向かって順次増大するようになっている。
【0027】
更に、これら撹拌羽根13の先端には、この塗布分配作用を効果的に行うため胴壁1に近接して回転方向Rと逆方向に延びる尾翼14が設けられている。この尾翼14は撹拌羽根13の回転方向R側の面からできるだけ突出しないように設けられる。
【0028】
更に、尾翼14は、本例の如く、軸方向に沿って仕切円板11で形成される各室全部に設けても或いは処理液の粘度に応じて一部に設けてもよく、また反応器中での処理液の粘度増減に従って各室における尾翼14の表面積を変化させてもよい。
【0029】
なお、仕切円板11、撹拌羽根13、尾翼14の各々と胴壁1との間隙は10mm以下、好ましくは5〜8mmにするのがよく、また、入り口側の羽根7と側板5との間隙は3mm以下とし、出口側の羽根7’と側板5’との間隙は10mm以下とするのが好ましい。更に、端部円板9,9’面に羽根7,7’を結合し一体化したものにすることもできる。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、広い粘度領域で優れた性能を有する横型1軸反応器が提供される。特に、この反応器は反応液の粘度が高くなるポリカーボネートの溶融重合における反応器として特に有用である。
【0031】
【実施例】
以下、ポリカーボネートの溶融重合を例にあげて本発明の横型1軸反応器の使用例を詳細に説明する。なお、実施例中の%及び部は、特に断らない限り重量%又は重量部である。また、本発明はこの実施例によってなんらの限定を受けるものではない。
【0032】
[実施例1]
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対し1.01モルの割合でジフェニルカーボネートを撹拌機を備えた溶融槽に仕込み、窒素置換後150℃で溶解し、該溶融混合液を150℃に保った原料貯槽に移送した。
【0033】
次いで、精留塔を備え、内温を240℃、内圧を10Torrに維持した竪型撹拌槽に該溶融混合液を60Kg/Hrの割合で連続的に供給すると共に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対し0.00002当量のビスフェノールAジナトリウム塩(0.000012重量部に相当)を重合触媒として連続供給し、生成したフェノールを精留塔より除去しつつ反応を行った。得られた反応物をギヤポンプを用いて連続的に抜き出した。得られた反応物の重合度を固有粘度を測定することで求めた。なお固有粘度は0.7g/dlの反応物塩化メチレン溶液をウベローデ粘度系を用いて測定することで求めた。その結果、[η]=0.16のプレポリマーが得られたことが判明した。
【0034】
次いで、該プレポリマーを内温を270℃、内圧を1Torrに保った5rpmで回転する図1〜図3記載の如き横型1軸反応器に連続的に供給した。尚、該横型1軸反応器は、端部円板と仕切円板で区切られた8個のセクションを有し、反応液供給側の最初の4セクションは300メッシュの金網で構成された撹拌羽根を備えており、これより下流(反応液抜き出し側)側4セクションはSUS316製金属板に8mmの直径のパンチングを総開口面積が35%(金網部より大きい)となるように穿孔したパンチングプレートで構成された撹拌羽根を備えたものである。また、撹拌羽根と反応器内壁との間隙は7mmに設計した。
【0035】
この反応器を用いて、発生するフェノールを系外に除去しつつ更に重合させることにより[η]=0.45のポリカーボネートを連続的に製造した。
【0036】
横型1軸反応器の入り側の反応液の粘度は270℃において30ポイズに相当し、抜き出し反応液粘度は270℃において14000ポイズに相当した。この間の平均重合速度は△[η]/△tで表して0.3(1/Hr)であった。
【0037】
[比較例1]
横型1軸反応器の撹拌羽根を全て開口を有しないSUS316製の金属板で構成した以外は実施例1と同様にして操作した。その結果、横型1軸反応器の平均重合速度は0.21(1/Hr)であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る横型1軸反応器の構造の1例を示す断面図
【図2】図1のA−A矢視図
【図3】図1のB−B矢視図
【符号の説明】
1 反応器本体
2 加熱装置
3 処理液入口
4 処理液出口
5,6 両側部の側板(又は鏡板)
7,7’ 両側部の回転軸に取付けた羽根
8,8’ 回転軸
9,9’ 外周に切り欠きを有する端部円板
10,10’ 切り欠き開口
11 仕切円板
12 仕切円板の中央開口部
13 撹拌羽根
14 撹拌羽根に設けた尾翼

Claims (2)

  1. 円筒形の反応器内に、一定方向に回転する端部円板及び中央部に開口を有する複数個の仕切円板を該端部円板間に平行に設け、これらの円板をその回転方向と逆方向に傾斜又は湾曲した撹拌羽根によって所定間隔に連結固定し、かつ、両端部円板の中央部を回転軸で支持した構造を有する横型1軸反応器であって、該撹拌羽根に複数の開口を設け、かつ反応液の入側から出側に向かって撹拌羽根の開口度を順次大きくしたことを特徴とする横型1軸反応器。
  2. 端部円板及び/又は仕切円板間に配設された撹拌羽根が、その先端に回転方向と逆方向に延在しかつ反応器内壁と小間隙を保持する尾翼を有することを特徴とする請求項1記載の横型1軸反応器。
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