JP3690449B2 - 圧電振動ジャイロ用圧電振動子 - Google Patents

圧電振動ジャイロ用圧電振動子 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として自動車のナビゲーションシステムやカメラ一体型VTRカメラの手振れ補正機構等に用いられるジャイロスコープに属される超音波振動を利用した振動ジャイロ用圧電振動子であって、詳しくは振動モードとしてエネルギー閉じ込め振動モードを利用した圧電振動ジャイロ用圧電振動子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の圧電振動ジャイロスコープ(ここでは、単に圧電振動ジャイロと呼ぶ)は、圧電振動子を一定方向に励振しておいた状態で圧電振動子がその振動方向に直角な方向の軸のまわりに回転した際、励振方向及び回転軸に直角の方向に生ずるコリオリ力を検知して回転角速度を検出するようになっている。
【0003】
このような圧電振動ジャイロとして、最近では圧電振動子の振動モードとして、振動のエネルギーが駆動電極近傍に集中しているエネルギー閉じ込め振動モードを利用した圧電振動ジャイロ(以下、エネルギー閉じ込め型圧電振動ジャイロと呼ぶ)が開発されている。このエネルギー閉じ込め型圧電振動ジャイロは、振動エネルギーが圧電振動子の局部に集中しているため、圧電振動子の支持構造を簡単にして容易にでき、遊離しているリード線が不要となる等の利点がある上、耐振動特性及び耐衝撃性にも優れている。
【0004】
例えば、特開昭62−162915号公報に開示されたエネルギー閉じ込め型圧電振動ジャイロでは、圧電振動子の振動エネルギーを局部に閉じ込めるために、圧電振動子の厚みを局部的に厚く形成し、その厚目の部分を厚み方向に分極し、厚い局部の対向端面の一方の面に駆動電極,他方の面に検出電極を設けている。尚、その他の例としては、駆動電極及び検出電極を圧電板の一面に設け、駆動電極間に検出電極として交差指電極を設けた構成のものが挙げられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した既存のエネルギー閉じ込め型圧電振動ジャイロ用圧電振動子の場合、圧電板の厚みを局部的に厚くする必要があったり、或いは交差指電極を形成しなければならないという要件があるため、製造が困難になっている。
【0006】
又、圧電板において一対の駆動電極と一対の検出電極とが互いに近傍に設けられた構成の場合、駆動電極から圧電板内に印加した駆動電界が検出電極に影響され、駆動電界方向が変化して高い精度が得られなくなってしまうという欠点もある。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決すべくなされたもので、その技術的課題は、小型で構造及び製造が簡単であり、エネルギー閉じ込め振動の集中度が高くて優れたジャイロ特性を有するエネルギー閉じ込め振動型圧電振動ジャイロ用圧電振動子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、厚さ方向に分極軸成分を有する圧電板の少なくとも一方の主面に外側から中央部近傍へ向かって延びた駆動用及び検出用を含む複数の電極が形成されると共に、平行電界励振型エネルギー閉じ込め厚み滑り振動を利用した振動ジャイロ用圧電振動子において、圧電板は、円形を含む楕円形又は6角以上の多角形による略円形である圧電振動ジャイロ用圧電振動子が得られる。
【0009】
又、本発明によれば、上記圧電振動ジャイロ用圧電振動子において、圧電板の主面における中央部近傍の複数の電極の局部によって囲まれた平行電界励振型エネルギー閉じ込め厚み滑り振動を生じさせるための振動領域のみを円形状を含む楕円形状又は6角以上の多角形状による略円形状に分極した圧電振動ジャイロ用圧電振動子が得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を挙げ、本発明の圧電振動ジャイロ用圧電振動子について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施例に係る圧電振動ジャイロ用圧電振動子1の基本構成を示したもので、同図(a)はその平面図に関するもの,同図(b)はその一方向からの側面図に関するものである。
【0012】
この圧電振動子1は、後述する平行電界励振型エネルギー閉じ込め厚み滑り振動を利用するもので、厚さ方向に分極軸成分を有する円形の圧電板10の一方の主面に外側から中央部近傍へ向かって延びた駆動用及び検出用を含む複数(ここでは3つ)の電極11,12,13が形成されている。
【0013】
又、この圧電振動子1では、円形の圧電板10の主面における中央部近傍の電極11,12,13の局部(即ち、ここでは電極11,12,13のそれぞれにおける端子部11a,12a,13aを示す)によって囲まれた平行電界励振型エネルギー閉じ込め厚み滑り振動を生じさせるための振動領域Eのみを円形状に分極している。
【0014】
具体的に云えば、円形の圧電板10は、例えばPZTやチタン酸バリウム等の圧電セラミックス板から成り、図1に破線で示されるように、中央部の円形状の振動領域Eのみが厚さ方向に分極軸成分を有している。この圧電板10の一方の主面における中央部には、ストリップ状で同じ大きさの3つの電極11,12,13が正三角形の各頂点で垂直二等分線を軸に線対称となるような位置に形成され、これらの電極にはそれぞれ外部に導出するための端子部11a,12a,13aが接続されている。
【0015】
ここで、圧電板10に設けられる電極11,12,13及び端子部11a,12a,13aは、蒸着やスパッタリングで例えばNi−Cu−Ag多層膜を成膜して形成するのが適しているが、これ以外にも銀ペースト等を印刷して形成することも可能である。又、外部への導出を行うための端子部11a,12a,13aは圧電振動子1上(圧電板10面上)に設けず、これに代えてリード線を接続するようにしても良い。
【0016】
即ち、この圧電振動子1の場合、圧電板10において3つの電極11,12,13で囲まれるほぼ円形の領域だけが振動領域Eとして圧電板10の厚さ方向に分極されているが、このように電極11,12,13で囲まれるほぼ円形の振動領域Eだけを分極した場合、分極されている振動領域Eと分極されていない領域との圧電的特性が変化するため、エネルギー閉じ込めの状態(集中度)が良好になる。
【0017】
図2は図1に示す圧電振動子1を圧電振動ジャイロに適用した場合の電気回路の構成を示したブロック図である。この電気回路では、圧電振動子1における電極12,13にそれぞれ電流検出回路18,19が接続され、これらの電流検出回路18,19の出力側には差動回路22が接続され、更に差動回路22に接続された同期検波回路23及びこの同期検波回路23に接続された整流回路24を介してセンサ出力が得られるようになっている。
【0018】
一方、電流検出回路18,19はそれぞれ自励発振条件を満たすための発振回路25に接続され、この発振回路25及び電極11にX軸方向振動用の駆動回路26が接続されることにより、自励発振回路を構成している。この自励発振回路によって、圧電振動子1の厚み滑り振動の共振周波数にほぼ等しい周波数の交流駆動電圧が電極11に印加される。
【0019】
図3は、電流検出回路18,19の細部構成を例示した回路図である。ここでは、演算増幅器27の正極側の非反転入力端子は基準電圧に接地されており、演算増幅器27の出力端子と負極側の反転入力端子との間に抵抗器Rが接続されており、演算増幅器27の仮想接地機能により反転入力端子が常に基準電位に保たれるようになっている。
【0020】
この反転入力端子に入力電流iを流入すると、抵抗器Rにより電圧に変換されるため、演算増幅器27では入力電流iに比例した出力電圧VOUT として、VOUT =−i・Rを得ることができる。従って、電流検出回路18,19の出力電圧VOUT は−i・Rとして得られる。
【0021】
このような圧電振動子1及び電気回路を備える圧電振動ジャイロでは、電極11と電極12,13との間に駆動交流電圧を印加すると、X方向の振動が励振され、この状態で圧電板10がZ軸の周りに回転すると、Y方向にコリオリ力による振動が発生し、これによって電極12,13間に起電力が発生する。従って、この起電力を検知することによって、コリオリ力による振動の大きさから回転角速度を検知することができる。
【0022】
尚、上述した一実施例では圧電板10を円形としたが、圧電板10の形状は例えば楕円形や6角以上の多角形であっても良い。そこで、円形を含む楕円形又は6角以上の多角形を略円形と表現すれば、円形の圧電板10の形状がその他の略円形である場合、その振動領域のみをその他の略円形状(楕円形状や6角以上の多角形状を示す)に分極すれば良い。
【0023】
図4は、図1に示した圧電振動子1に採用される平行電界励振型エネルギー閉じ込め厚み滑り振動を説明するために構造を簡易化した圧電振動子1´の基本構成を示したもので、同図(a)はその平面図に関するもの,同図(b)その一方向における側面図に関するものである。
【0024】
この圧電振動子1´では、矩形(長方形)の圧電板10´が用いられている。圧電板10´は、厚さ方向(Z軸方向)に分極されており、中央部の同一面上にX軸方向に所定の間隔を有して対向するストリップ状の電極D1,D2が形成されている。ここで、対向する電極D1,D2のそれぞれの端子部T1,T2の間に電圧を印加すると、電極D1,D2の間の圧電板10´の局部領域(電極間領域)には、ほぼ板面に平行な方向(X軸方向)の電界が印加されるため、この電界と直交する厚さ方向(Z軸方向)の分極との相互作用により、電極間領域にはX方向に歪みが生じることになる。
【0025】
そこで、電極D1,D2の寸法を圧電板10´の特性に合わせて適当に設計すると、この歪み部分に厚み滑り振動を励起することができる。その振動は電極間領域の周辺には減衰して伝搬せずに閉じ込められるため、結果としてエネルギー閉じ込め振動子を成すことができる。又、この厚み滑り振動は、変位方向が板面に平行で波の伝搬方向が板厚方向の振動であるが、ここでは圧電板10´の板面に平行な電界によって生じるため、平行電界励振型厚み滑り振動とみなすことができる。
【0026】
図5は、圧電板10´の厚み滑り振動の変位分布を示したものである。一般に圧電板の場合、厚み滑り振動の変位分布は励振部分から端面に向かうに従って指数関数的に減衰するが、圧電板が有限であれば、端面において変位が0とはならない。このため、漏れによって種々の副振動が生じる。
【0027】
図7は、副振動の発生を説明するために圧電板内における電気力線の分布を示したものである。ここでは、圧電板の分極方向が白抜き矢印の方向で示される場合、電極間の矢印の方向で示される電気力線の分布による電界が完全に板面に平行ではなく、厚み方向(分極方向)成分を持つ部分があり、これにより輪郭振動(副振動)が生じる。
【0028】
矩形の圧電板10´の場合には副振動が相殺されないため、インピーダンス特性にスプリアスが多く現われる。しかし、円形の圧電板10の場合、副振動が相殺されるため、厚み滑り振動の変位分布は無限遠に近似されたもの、つまり漏れの影響の無い振動子を形成することができる。
【0029】
図6は、異なる形状の圧電板の厚み滑り振動のインピーダンス特性を比較して示したもので、同図(a)は矩形の圧電板10´に関するもの,同図(b)は略円形(16角形)の圧電板に関するものである。ここでは、周波数f(kHz)に対するインピーダンスZの絶対値(kΩ)に関して、矩形の圧電板10´の場合には主振動以外にも副振動のものがかなり大きく現われているが、略円形(16角形)の圧電板の場合には主振動を残して副振動のみが抑制されていることを示している。
【0030】
図8は、異なる形状の圧電板の両面に電極を設けた場合の厚み滑り振動のインピーダンス特性を比較して示したもので、同図(a)は矩形の圧電板に関するもの,同図(b)は円形の圧電板に関するものである。但し、ここではインピーダンス特性の測定に際して、図9に示されるように、圧電板の上下面に電極を設けてリード端子を接続し、各電極間での測定を行う。
【0031】
図8(a)及び(b)からは、周波数fに対するインピーダンスZの絶対値に関して、矩形の圧電板の場合には低周波側の輪郭振動領域E1において輪郭振動にスプリアスが乗っているが、円形の圧電板の場合には綺麗な単振動となっており、スプリアスが図7に示した電界の厚み方向成分における輪郭振動の要因によるものであることが判る。又、図8(a)及び(b)からは、厚み振動領域E2において厚み振動が矩形の圧電板の場合には安定しないが、円形の圧電板の場合には安定して現われていることが判る。
【0032】
因みに、圧電振動ジャイロを構成する場合、圧電板の面内で互いに直交する二つの方向の振動特性を等しくすることが要求されるため、分極領域の形状を少なくとも1軸対称な形状とすることが望ましく、圧電板の形状としては図1に示したような円形が最も適している。
【0033】
【発明の効果】
以上に述べた通り、本発明の圧電振動ジャイロ用圧電振動子によれば、圧電板の形状を略円形としてその中央近傍の電極の局部によって囲まれる領域のみを略円形状に分極するようにしているため、エネルギー閉じ込め振動の集中度を高めることができ、振動漏れに起因する輪郭振動等の副振動が無く、単一振動が励振される対称性に優れた高精度なものとなる。結果として、小型で構造及び製造が簡単であり、静止時の出力のばらつきが極めて抑制された優れたジャイロ特性を有するエネルギー閉じ込め振動型圧電振動ジャイロが得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る圧電振動ジャイロ用圧電振動子の基本構成を示したもので、(a)はその平面図に関するもの,(b)はその一方向からの側面図に関するものである。
【図2】図1に示す圧電振動ジャイロ用圧電振動子を圧電振動ジャイロに適用した場合の電気回路の構成を示したブロック図である。
【図3】図2に示す電気系回路で用いられる電流検出回路の細部構成を例示した回路図である。
【図4】図1に示す圧電振動ジャイロ用圧電振動子に採用される平行電界励振型エネルギー閉じ込め厚み滑り振動を説明するために構造を簡易化した圧電振動子の基本構成を示したもので、(a)はその平面図に関するもの,(b)その一方向における側面図に関するものである。
【図5】図4に示した圧電板の厚み滑り振動の変位分布を示したものである。
【図6】異なる形状の圧電板圧電板の厚み滑り振動のインピーダンス特性を比較して示したもので、(a)は矩形の圧電板に関するもの,(b)は略円形(16角形)の圧電板10に関するものである。
【図7】副振動の発生を説明するために圧電板内における電気力線の分布を示したものである。
【図8】異なる形状の圧電板の両面に電極を設けた場合の厚み滑り振動のインピーダンス特性を比較して示したもので、(a)は矩形の圧電板に関するもの,(b)は円形の圧電板に関するものである。
【図9】図8(a)及び(b)のインピーダンス特性の測定を行う場合の圧電板の上下面に電極を設けてリード端子を接続した様子を示した側面図である。
【符号の説明】
1,1´ 圧電振動子
10,10´ 圧電板
11,12,13 電極
11a,12a,13a 端子部
18,19 電流検出回路
22 差動回路
23 同期検波回路
24 整流回路
25 発振回路
26 駆動回路
27 演算増幅器
E 振動領域

Claims (2)

  1. 厚さ方向に分極軸成分を有する圧電板の少なくとも一方の主面に外側から中央部近傍へ向かって延びた駆動用及び検出用を含む複数の電極が形成されると共に、平行電界励振型エネルギー閉じ込め厚み滑り振動を利用した振動ジャイロ用圧電振動子において、前記圧電板は、円形を含む楕円形又は6角以上の多角形による略円形であることを特徴とする圧電振動ジャイロ用圧電振動子。
  2. 請求項1記載の圧電振動ジャイロ用圧電振動子において、前記圧電板の前記主面における前記中央部近傍の前記複数の電極の局部によって囲まれた前記平行電界励振型エネルギー閉じ込め厚み滑り振動を生じさせるための振動領域のみを円形状を含む楕円形状又は6角以上の多角形状による略円形状に分極したことを特徴とする圧電振動ジャイロ用圧電振動子。
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