JP3854571B2 - 柄用経糸を製造する方法および柄経糸用部分整経機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本出願にかかる一つの発明は、糸が整経ドラムの周りに案内されて軸方向搬送装置上に給糸され、糸が糸シュートを介して案内される柄用経糸を製造する方法に関する。本出願にかかる他の発明はさらに、整経方向に移動可能な軸方向搬送装置を有する整経ドラムと、整経ドラムの周りを移動可能な少なくとも1つの糸ガイドと、整経ドラムの周りに分散配置される複数の糸シュートとを備えた柄経糸用部分整経機に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種類の柄用経糸を製造する方法および柄経糸を製造する柄経糸用部分整経機は公知である(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
EP(ヨーロッパ特許)第0652310A1公報
この公知のものでは、整経方向とは逆に傾けられた糸変位器が糸の各巻層で小さな値だけ整経方向に動かされる。糸ガイドが糸を前記糸変位器上に給糸し、そこから糸は滑り落ちる。各巻層で前記糸変位器が動くことによって次に個々の巻層は整経ドラム上でさまざまな軸方向位置を占め、個々の糸層が積層されて円錐状の形態が得られる。「短尺経糸」と称すこともできる柄用経糸の所要長が達成されると、すなわち所要数の糸巻層が得られたなら、糸変位器は再びその出発位置に戻される。同時に、軸方向搬送装置を形成するコンベヤのコンベヤベルトが1糸ピッチだけ整経方向に動かされ、コーンの次の糸層を巻着することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記した公知のものは、一方で糸変位器、他方でコンベヤベルトの比較的複雑な動きの制御が必要とする。この糸変位器は糸ガイドが1回転したときに比較的小さな距離だけ進まねばならない。この距離として糸太さの0.5〜2倍の距離が記載されている。糸変位器を再びその出発位置に動かすための手段を設けておかねばならない。これは高い設計および整備の費用が必要となる。それにもかかわらず、満足のゆく整経結果があらゆる場合に達成できるのではない。糸変位器の記載された動き範囲(動作領域)の一部において、糸変位器の動きによって生成される円錐角度が過度に急峻であり、糸がコーンから滑り落ちてもつれる。そのことから、後に整経ドラムから糸を繰り出すときに問題が生じる。
【0005】
本発明の課題は、簡単な手段で柄用経糸の製造を可能とする、柄用経糸の製造方法と柄経糸用部分整経機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この課題は、冒頭に指摘した種類の方法において、糸シュートが整経方向に対して傾けられ、所定の経糸長に相当する数の巻数分だけ糸が糸シュートに沿って糸シュート上に給糸され、この相当する数の巻数分だけ給糸完了後に、糸シュートが糸巻層(経糸帯ともいう)の下から引き出されるような製造方法によって解決される。
【0007】
このような処理によって、巻かれた全ての糸は正確に並べられた状態で糸シュート上に給糸することができる。糸シュートが整経方向に対して傾けられているので、この場合、糸巻層は正しい順序でもって軸方向搬送装置上の経糸帯群の傾斜方向に並ぶ。これにより、希望する構成の経糸帯群が得られる。整経ドラムが例えば7mの周長を有し、140mの整経長を希望する場合、20巻数からなる糸巻層が必要である。つまり、糸シュート上に20本の糸が正しい順序で並ぶ。前記140mが整経ドラムの糸シュート上に巻着されたなら、該糸シュートは単純に外方に引き出される。その際、糸シュートに巻着されていた各糸は軸方向搬送装置へ移動する際にも該各糸の順序は変わらない。つまり、糸シュートから軸方向搬送装置へ移動する糸巻層は、既にそれ以前に軸方向搬送装置上に巻着された糸によって形成された経糸帯群の正面に糸シュートの引出しに伴って順次当接する。整経過程の開始時にもこの処理は満足のゆく結果をもたらす。糸シュートを引き出すとき、外側にある糸巻層の中において張力が確かに弱まる。しかし、これはなお容認できる。というのも、柄用経糸で製造される織物または編物の場合、それら外側の糸巻層によって織成(編成)される縁領域はいずれにしても一般に従属的な役割を演じるだけである。即ち、織物または編物の縁領域は、繊維製品としてその後の加工時に、しばしば、もはや必要とされない部分となるからである。糸シュートの動きの制御は、きわめて簡単である。糸シュートをその上に給糸された糸の下、すなわち糸または糸群の巻層(糸巻層)の下から引き出すのに、単純な後退運動だけで間に合う。整経ドラム上に経糸帯群を形成するために、糸シュート上に特別正確な制御は必要でない。糸の案内に利用される糸ガイドは、最終の巻糸もなお糸シュートに適合し、好ましくは小さな距離を滑り落ちることができるように該糸を糸シュート上に給糸するように、案内しなければならないだけである。つまり、糸シュートに対する糸ガイドの配置も、軸方向搬送装置に対する糸シュートの配置も、糸シュートへの糸の巻付け時には一定に保つことができる。
【0008】
好ましくは、糸シュートが経糸帯群の円錐状の部分(正面部分)の傾斜角度に一致した角度に傾けられていることである。この円錐状の部分の傾斜角度は、例えば糸ピッチと糸太さとを含む変化量によって予め決定可能である。糸シュートがこの傾斜角度に等しい角度に調整されると、給糸され形成された糸巻層の下から糸シュートを引き出すとき糸の張力変化は生じない。糸巻層の個々の巻層は、事前に形成された経糸帯群側へ均一に転移される。その際、糸巻層は整経ドラムに対して半径方向内方に小さな距離だけ「落下」し、この距離は糸シュートの厚さに一致する。
【0009】
好ましくは、糸シュートが直線的に動かされるようにすることである。このように構成すると、糸シュートの比較的簡単な制御で済む。そして、高速度を達成することのできる直線駆動装置を使用することができる。
【0010】
好ましくは、糸シュートの動きが糸の案内と同期化して、つまり「タイミングをとって」おこなわれることである。その場合、糸ガイドが糸または(複数本の糸が同時に整経される場合)、帯状の糸の最後の巻層分を当該糸シュート上に給糸したなら、糸シュートはすぐに作動することができる。こうして、高い整経速度が達成できる。
【0011】
好ましくは、給糸により糸巻層を糸シュート上に形成するとき、糸シュートと軸方向搬送装置との間で相対的な運動が起きないようにすることである。糸シュート上での糸巻層の形成はこの場合、きわめて高い品質で行うことができる。糸を整経ドラム上置くときに起きる唯一の動作は糸ガイドの引き抜き(後退)動作である。糸シートの相応する「糸巻層」が巻着されてはじめて、該糸シュートの動きが起きる。
【0012】
好ましくは、糸シュートを引き出して後、軸方向搬送装置が1整経ピッチだけ整経方向に動かされるようにすることである。これにより、新たな「糸巻層」を構成するためのスペース、すなわち新たな糸を所要数の巻数で糸シュート上に「糸巻層」を形成するためのスペースが形成され、一方、糸シュートから軸方向搬送装置上の経糸帯群側に前回の糸巻層が搬出(移動)されているので、該糸シュートは、引き出されて後に再び軸方向搬送装置側へ進入できる。
単一の糸が同時に整経ドラムの周りに案内されるだけでの場合、整経ピッチは糸ピッチに一致する。
しかし、例えば回転式クリールで可能であるように複数本の糸が同時に整経ドラムの周りに案内される場合、整経ピッチはその際に生成される帯状の合糸または束状の合糸のピッチに一致することになる。
【0013】
好ましくは、糸シュートが、軸方向搬送装置側へ再進入前に整経方向とは逆の方向に揺動され、再進入完了後に、整経方向に揺動して元の傾き(所定の傾き)に復帰するようにすることである。この構成は、再進入時に糸シュートが形成済みの経糸帯群に決して衝突しないという利点を有する。再進入時に糸シュートは小さな揺動運動によってコーンとの間に小さな空間を得ることができる。特に、糸が局所的スラブのある多少不均一なものである場合、不都合な状況のもとで、糸シュートが再進入時にこのようなスラブに引っ掛かって動かなくなり、前記経糸帯群の正面の糸が崩れることが生じることもあるが、このように、糸シュートが再進入時に経糸帯群の正面から小さな距離(空間)を有するように動作(移動)する場合、こうした虞を排除することができる。
【0014】
本発明は、冒頭述べた種類の柄経糸用部分整経機においても、糸シュートが、整経方向に対して傾けて配置されており、滑り方向において整経ドラムに対して変位可能に構成されていることによって、解決される。
【0015】
つまり、単数または複数本の糸が単数または複数の糸ガイドによって糸シュート上に給糸される。単数または複数本の糸の個々の巻糸は糸シュート上を整経ドラムの方へ滑り、この際、第1巻目の巻糸のみが半径方向内方に完全に滑ることができる。そして、この第1巻目の巻糸より後続の各巻糸は、先行する巻糸に順次当接する。つまり、希望する経糸長に達するまで糸巻層を形成するために全巻糸が糸シュート上に載ったままである。
上で述べたように、糸シュート上に巻装された糸巻層は、単純に糸シュートが糸の下から引き出されることによって経糸帯群側へ、問題なく引き渡される。つまり、糸シュートの動きは、糸の個々の巻糸が該糸シュート上を滑る方向とは正反対の方向への動きである。
【0016】
好ましくは、前記滑り方向(22)において整形ドラム(2)に対して変位可能になっている前記糸シュート(15)は、前記糸ガイドによる給糸に際し、機台(4)に対して定置に位置し、該糸ガイドは常に同じ位置において糸シュート(15)へ給糸するよう構成されていることである。つまり、このように構成すると、糸シュートは費用がかさむ動作制御を必要としない。この場合、糸ガイドとの同期化はきわめて簡単である。つまり、糸ガイドは個々の糸を常に同じ位置で糸シュートを介して整経ドラム上に給糸できる。
【0017】
好ましくは、糸シュートの傾き角が調整可能になっているような構成にすることである。この場合、糸シュートの傾き角は、整経ドラム上に形成される経糸帯群の円錐状の部分の傾斜角度に合致させられる。この傾斜角度は、特に、使用する糸の太さ、糸ピッチまたは整経ピッチに依存して変えられるべきである。
【0018】
好ましくは、軸方向搬送装置が複数のコンベヤベルトを有し、各コンベヤベルトに1つの糸シュートが付設されているように構成することである。このような構成が円錐状の部分をもった経糸帯群の形成を著しく改善する。個々の糸は、基本的に、後に給糸される個所で正確に巻き付けられ、すなわち整経ドラムに接触する。
【0019】
好ましくは、各糸シュートが2つのフォーク状部材を有し、この2つのフォーク状部材の各1つが、それらが付属しているコンベヤベルトの両側で、半径方向内方にコンベヤベルトから張り出すように配置されていることである。つまり、コンベヤベルトの搬送方向側に該コンベヤベルトの左右に当該フォーク状部材が存在する。糸または束状(帯状)の糸の一番下の巻糸が糸シュート上で実際に保持され、それに続く後続の巻糸が前記巻糸に当接できる状態が、この構成でもって担保される。一番下の巻糸が糸シュートとコンベヤベルトとの間の隙間を通して、後続の巻糸の当接が、もはや所要の確実さでは保証されていない位置に無制御の状態で生じるような事態は起き得ない。さらに、この構成は、コンベヤベルトに近接する方向への糸シュートの動作を、過度に高い精度で制御する必要がないという利点を有する。フォーク状部材がコンベヤベルトから半径方向内方に張り出すように構成されている限り、糸シュートの機能は確実に保証される。つまりミリメートル範囲の動作誤差(公差)は、当然に、甘受できる。
【0020】
好ましくは、前記整経ドラムの半径方向においてコンベヤベルトより外側の領域で、前記フォーク状部材と前記フォーク状部材との間に相互距離からなる間隙を有するように、これらフォーク状部材が設けられているような構成を採用することである。前記間隙内で、特に厚さ的に薄い糸シュートの場合、糸シュートに載せられた糸巻層はコンベヤベルト上に既に形成された経糸帯群の正面に接触できる。そのことから、糸巻層を形成する個々の糸が間違って経糸帯群側へ移動させられるような虞なしに、各糸シュートを引き出すことができることになる。その形態の保持力の主要部分は、確かに糸張力を介して既に加えられる。フォーク状部材の間の間隙が、糸の保持性能(確実性)を向上する。さらに、前記構成は、材料を省くことになり該材料を省くことによって重量軽減が達成でき、糸シュートの進入動作時の加速に必要な力は小さいままとなる。
【0021】
その際、特別好ましくは、前記相互距離からなる間隙がコンベヤベルトの幅よりも大きな寸法であるように構成することである。このように構成すると、糸シュートの動作制御時に、一層、制御の簡易化が達成される。つまり、糸シュートが小さな距離を越えて過度に進入しても何ら問題でない。その場合にも、コンベヤベルトとの接触は起きず、コンベヤベルトの損傷またはその他の否定的現象を防止することができる。
【0022】
好ましくは、糸シュートがその前面と平行に延びる裏面を有するように構成することである。このように構成することで、該糸シュートの引出し動作が容易となる。
【0023】
その際、特別好ましくは、前面と裏面が最大4mmの相互距離を有するように構成することである。糸巻層を形成する個々の巻糸が経糸帯群側に相対的に滑落(移動)しなければならないステップは、このにより滑落(移動)に必要な距離を極く小さいものに抑えられる。前記前面と裏面との厚み寸法に応じて、小さな張力変化が生じるだけとなる。
【0024】
好ましくは、糸シュートが、滑り方向で動作する流体作動式ピストン・シリンダ駆動装置を有するような構成である。例えば、流体作動式ピストン・シリンダ駆動装置として空圧シリンダを使用することができる。このようなシリンダでもって糸シュートの進入動作時に高い速度を達成することができる。動作行程(ストローク量)が比較的小さい。前記シリンダの動作行程は、経糸帯群の高さを円錐状の部分の傾斜角度の正弦で除したものより多少大きいだけである。この動作行程は、センチメートルの範囲でしかない。流体作動式ピストン・シリンダ駆動装置によって、このような動作行程は、比較的迅速に実現できる。流体作動式ピストン・シリンダ駆動装置に代えて、電磁駆動装置(ソレノイド駆動装置)も当然に使用できる。
【0025】
その際、好ましくは糸シュートが揺動駆動装置を有するように構成することである。この揺動駆動装置は他の独自のモータによって形成しておくことができる。しかし、基本位置に進入時に糸シュートが短時間だけ経糸帯群から揺動して離間するようにカム制御装置を設けておいても実現させることができる。選択的な実施形態として、巻着済み糸で形成された経糸帯群の正面から糸シュートを揺動させて離間させる「ばね」によっても揺動駆動装置を形成することはできる。その場合、糸シュートは次に巻着される糸(糸の張力)によって再び揺動して元の位置に復帰させられる。
【0026】
好ましくは、糸シュートの表面が糸との間において0.2以下の摩擦係数を有するように構成することである。このように構成すると、糸と糸シュートとの間の摩擦が著しく低下し、糸は糸シュートに巻着された直後に大きな問題なしにコンベヤベルトの方向に滑ることができ、糸シュートを僅かな力でもって引き戻すことができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明にかかる好ましい実施形態に基づいて本発明を詳しく説明する。
【0028】
本柄経糸用部分整経機1は、整経ドラム2を有する。この整経ドラム2は、回転軸3を介して、回転可能に機台4上に支承されている。この整経ドラム2の回転機能は、整経された糸シートを繰り出すのに必要となる。しかし、一方において、糸を載置するために、この整経ドラム2は回転しないように係止できるように構成されている必要もある。
【0029】
この実施形態では、軸方向搬送装置として、整経ドラム2の周面の周りに分散されて配置された複数のコンベヤベルト5を有し、この複数の各コンベヤベルト5がプーリ6、7を介して、移動可能となっている。前記機台4に隣接した側の前記プーリ7が、駆動装置8としてのステッピングモータを有する。それぞれのコンベヤベルト5の外側に位置するキャリア面(コンベヤベルトのキャリア面)16が機台4側に向かって移動するように、前記駆動装置8はコンベヤベルト5を駆動する。この移動方向が「整経方向」と称され、図1において矢印9で概略示されている。
【0030】
前記機台4とは反対側の整経ドラム2の末端の部位に糸ガイド10が配置されており、この糸ガイド10は整経ドラム2の周りを一体に動く(周回する)ことのできるガイドアイ11を有する。このために、糸ガイド10は、図示しない駆動装置を有する。この図示しない駆動装置は、整経ドラム2の機台4から離れた方の側に糸ガイド10を駆動する独自の駆動装置を設けてもよいが、機台4から離れた方の側(機台4の反対の側)に設けない場合には、例えば回転軸3内を挿通した図示しない駆動軸を介して整経ドラム2の機台4側から駆動されるように構成してもよい。この糸ガイド10によって案内される糸12は、略示的に示したクリール14から円板状の糸ディスク13を介して、整経ドラム2の周面の外周方の円周上で、しかもこの糸12が糸シュート15上に載置されるように、供給される(図2参照)。この糸シュート15は、コンベヤベルト5のキャリア面16、換言すれば、前記整経方向に対して角度αだけ傾いており、この傾斜角度αは6°〜26°の範囲内の任意の角度に設定できるようになっている。しかし、この場合、比較的小さな値(傾斜角度)、特に18°以下の値(つまり6°〜18°以下の値)が好ましい。
【0031】
図3に図示するように、前記糸シュート15は2つのフォーク状部材17、18を有し、この2つのフォーク状部材17、18は横材19を介して互いに連結されている。空気圧で作動するピストン・シリンダ装置21の作動部材(シリンダロッド)20の先端が前記横材19に連結され、該横材19に作用する。しかし、ピストン・シリンダ装置21の代りに、電磁駆動装置(ソレノイド駆動装置)または他の直線的に働く駆動装置も使用することもできる。
【0032】
前記ピストン・シリンダ装置21を利用して、前記糸シュート15は該糸シュート15の前面24と平行に、図2において両方向矢印22で示す、両方向に摺動することができ、この方向において作動部材20はピストン・シリンダ装置21のシリンダ23内に収納されあるいは突出される。糸12は糸シュート15の前面24でコンベヤベルト5方の方向へ滑るので、この前面24の面の方向は「滑り方向」とも呼ばれる。
【0033】
両方のフォーク状部材17、18は、コンベヤベルト5のキャリア面16から半径方向内方(図1,図2において左斜め下方:この明細書においてこの方向を半径方向内方と、その反対側の方向を半径方向外方という)にさらに突出している。その具体的な構成は図3に図示されている。両方のフォーク状部材17、18の相互距離Aは整経ドラム2の略周方向におけるコンベヤベルトの幅Bよりも大きい。そのため、糸シュート15を比較的粗い制御でコンベヤベルト5のキャリア面16の方向あるいはその逆の方向に動かすことが可能となっている。
【0034】
前記ピストン・シリンダ装置21は、軸支点25を介して吊下げ装置26に固着されている。そして、この吊下げ装置26は、例えば機台4側に取着されている。
【0035】
前記糸シュート15の傾斜角度は調整可能であり、しかもこの実施形態では吊下げ装置26に配設されている調整ねじ100を介して調整可能になっている。この調整ねじ100が限定する角度内(限定する角度より浅い角度)で、前記軸支点25を中心に、糸シュート15はコンベヤベルト5のキャリア面16に向かって揺動できる。また、この吊下げ装置26内には他の調整ねじ70が設けられており、この調整ねじ70によって糸シュート15の別方向への揺動を制限(規制)することができる。両方の調整ねじ100、70は普通、糸シュート15が小さな揺動運動のみ実行し得るように調整される。
【0036】
この糸シュート15は、前記シリンダ23と吊下げ装置26との間に配置されるばね50の作用を受けており、このばね50は糸シュート15を引っ張ってキャリア面16から離間させる。しかし、既に述べたようにこのときの動きの限界は、前記調整ねじ70によって制限されている。
【0037】
この糸シュート15は、該糸シュート15に当接する糸12の引張応力を受けてコンベヤベルト5の方向へ押圧され、糸シュート15は、最大傾斜角で、調整ねじ100によって限定された角度である傾斜角度αを占めることができる。
【0038】
この図2では糸シュート15とコンベヤベルト5のキャリア面16との間の傾斜角度αが誇張して示してある。実際には、前記傾斜角度αは6〜26°であり、その範囲のなかで18°以下の小さな値が優先的に使用される。それに応じて、糸シュート15の両方のフォーク状部材17、18とコンベヤベルト5のキャリア面16との間の交叉範囲(交叉状態の変化範囲)は、角度変化時、図2の図示状態から推測できるよりも小さい角度(浅い角度)状態で変化する。糸シュート15を介してコンベヤベルト5のキャリア面16側へ滑る糸12が、糸シュート15の前部の領域で、つまりプーリ6近傍でコンベヤベルト5上に載置され得るように、前記交叉範囲は設定されている。
【0039】
次に、図2を基づいて柄経糸用部分整経機1の動作過程(工程)を説明する。
【0040】
斜線で略示されているように、キャリア面16上に既に多数の糸12が給糸されており、これらの糸12は正面(前記給糸された多数の糸の正面)に円錐状の部分の傾斜角度αの経糸帯群29を形成するように巻付けられている。この傾斜角度αは特に各糸の太さと糸密度(糸ピッチ)とに依存している。一般に、糸密度が小さければ小さいほど傾斜角度αは一層小さい。糸シュート15は傾斜角度の点において、予想されるこの傾斜角度αの角度と一致するような傾斜角度に調整(セット)されている。それゆえに、糸シュート15はその裏面30がコーン状(端面テーパ状になった巻層)の経糸帯群29に当接する。なお、この裏面30は該糸シュート15の前面24に平行に形成されている。
【0041】
糸ガイド10は矢印31の方向で整経ドラム2(図1参照)の周りに糸12を案内し、そのガイドアイ11で糸12を糸シュート15の上端領域、すなわち半径方向外方側の部位の領域に給糸する。すると、糸12は糸シュート15の前面24上を半径方向内方(図2において、左斜め下方)へ滑る。その際、第1巻層の糸は既にコンベヤベルト5のキャリア面16に当接し、該キャリア面16から半径方向内方へ張り出すようなフォーク状部材17の構成に起因して、コンベヤベルト5上を滑ることがないのでその場所で確実に保持される。糸ガイド10がさらに1回転するとき、糸12は、第1巻層の糸の上方の糸シュート15上に載る。糸ガイド10が整経ドラムの回りを回転する度にこのような動作が継続して、糸シュート15の前面24には、該前面24上にきちんと並んだ一連の糸巻層が得られる。このシート状の糸巻層は、既に巻着された糸層からなる経糸帯群29と正確に同じ円錐状の部分の傾斜角度αを有し、この経糸帯群29からフォーク状部材17、18の厚さdだけ反整経方向に離間している。しかし、一般に、この厚さdは4mm未満である。
【0042】
前記糸ガイド10が所要数の巻数分の糸からなる糸巻層を糸シュート15上に載置し、それに応じて所要本数の糸が糸シュート15上に並んだなら、糸シュート15は滑り方向22に、すなわちキャリア面16に対して傾いた状態で、半径方向外方に引き出すことができる。そこに至るまで糸シュート15の前面24上にあった個々の糸は、そのとき経糸帯群29側へ順次引き渡される。実際には、前記糸シュート15の引き出し動作は半径方向外方(図2において、右斜め上方)への滑り方向22において、きわめて迅速に起きる。そして、その引き出し動作の直後、糸シュート15は図2に示す位置に戻る動作を行い、こうして糸シュート15は所要数の巻数からなる次の糸巻層を有するべく、次に巻く糸を受容することが可能な状態となる。
【0043】
前述のように、糸シュート15が半径方向外方に移動すると、コンベヤベルト5は糸ピッチに一致した距離だけ整経方向9(図1参照:図2において右方)に動く。このため、糸シュート15が再び図2に示す位置に移動(復帰)すると、糸シュート15は経糸帯群29の直前の位置に位置することになる。
【0044】
糸シュート15の滑り方向22の動作である「引き出し動作」と「進入動作」はそれぞれ10分の1秒以内に実現できる。
【0045】
糸シュート15は、揺動駆動手段(揺動駆動装置)によって、揺動するよう構成されている。つまり、この糸シュート15は、揺動駆動手段であるばね50の張力によって、該糸シュート15の進入時、すなわち図2に示す位置状態に戻るとき、糸シュート15が揺動して、コンベヤベルト上の経糸帯群29から多少離間してそこにある糸との衝突を防止するよう機能する。揺動角度(揺動の限界角)は前記調整ねじ70によって調整可能である。一般に、比較的小さな揺動運動で間に合う。しかし、遅くとも、糸シュート15が再び完全に進入したとき、該糸シュート15は図2に示す位置に揺動復帰し、しかも半径方向内方に相応する引張力を糸シュート15に加える糸12のばね作用によって、揺動して復帰する。
【0046】
糸シュート15を動かす高い速度が比較的大きな加速度をもたらす。そのことの利点として、糸シュート15はその前面24に載置された糸12とその裏面30にある経糸帯群29との間で問題なく、該糸シュート15を引き出すことができ、且つ、糸または糸の一部がそこに引っ掛かったままとなる虞はない。その他の構成としては、糸シュート15の前面24と裏面30は互いに平行な面であり、滑り方向22と平行になっている。さらに、少なくとも糸シュート15の糸12が滑動する面(前面24)は、糸12との摩擦係数が0.2以下と比較的小さくなるように処理され仕上げられている。つまり、前面24と糸12との間の摩擦はきわめて小さい。
【0047】
糸シュート15は、単一の糸だけでなく、例えば回転式クリール(図示しない)を介して供給される複数本の糸が同時に糸シュート15に巻着される場合にも、同じ様に機能する。その場合、束状の糸12または帯状の糸12が糸シュート15上に給糸され、前記単糸の場合と全く同じ手法(状態)で束状の糸(あるいは帯状の糸)が順次横方向に並んで給糸される。その際、1束状の糸(糸群)の個々の糸が図2に示したような良好な秩序では必ずしも載置されないとしても、個々の束状の糸または帯状の糸が適宜な秩序を有する限り、そのことは何ら問題とならない。この場合、糸シュート15は部分整経機に到達後、しかも最終の糸がキャリア面に移されて後、次に第1巻目の巻糸が当該糸シュート15に達する前に、再び元の状態(図2参照)に復帰する。
【0048】
整経ドラムはそれ自体周知であるので、詳しくは図示して説明しないが、この整経ドラムは開口装置を有する。
【0049】
この明細書において、「整経ドラム」という用語は、円筒体または実質的に円筒体状のものだけを意味しているのではない。ほぼ円筒形の整経ドラム2の代りに、別の幾何学的な構成、例えば多角形状または例えばDE‐PS(ドイツ国公開特許)1227398号公報により知られているような縦長の伸長体をも含まれる概念で使用する。
【0050】
【発明の効果】
本発明にかかる柄用経糸の製造方法と柄経糸用部分整経機によれば、簡単な手段によって柄用経糸の製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 柄経糸用部分整経機の概略構成を概念的に示す側面図である。
【図2】 図1に示す部分整経機の要部の構成を示す部分拡大側面図である。
【図3】 図2に示すフォーク状部材とキャリア面部分の構成を示す部分拡大正面図である。
【符号の説明】
1……柄経糸用部分整経機
2……整経ドラム
9……整経方向
10……糸ガイド
12……糸
15……糸シュート
16……軸方向搬送装置
22……滑り方向

Claims (19)

  1. 糸が、整経ドラムの周りに案内され、軸方向搬送装置上に糸シュートを介して給糸される、柄用経糸を製造する方法において、
    前記糸シュートが整経方向に対して傾けられ、
    所定の経糸長に相当する数の巻数分だけ糸が糸シュートに沿って該糸シュート上に給糸され、
    前記経糸長に相当する数の巻数分だけ給糸完了後に、糸シュートが糸巻層の下から引き出されることを特徴とする柄用経糸を製造する方法。
  2. 前記糸シュートが傾けられる角度は、経糸帯群の円錐状の部分の傾斜角度に一致していることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 前記糸シュートが直線的に引き出されることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
  4. 前記糸シュートの引出し動作が、糸の案内と同期化されておこなわれることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1の項に記載の方法。
  5. 糸を糸シュート上に給糸するとき該糸シュートと軸方向搬送装置との間で相対運動を生じさせないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1の項に記載の方法。
  6. 前記糸シュートを引き出した後に、軸方向搬送装置が1整経ピッチだけ整経方向に動かされることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1の項に記載の方法。
  7. 糸シュートが、再進入前に整経方向とは逆の方向に揺動し、再進入完了後に整経方向に揺動して元の傾き状態に復帰することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
  8. 整経方向に移動可能な軸方向搬送装置を有する整経ドラムと、整経ドラムの周りを移動可能な少なくとも1つの糸ガイドと、整経ドラムの周りに分散して配置される複数の糸シュートとを備えた柄経糸用部分整経機において、
    前記糸シュート(15)が、整経方向(9)に対して傾けて配置されており、滑り方向(22)において整経ドラム(2)に対して変位可能になっていることを特徴とする柄経糸用部分整経機。
  9. 前記滑り方向(22)において整形ドラム(2)に対して変位可能になっている前記糸シュート(15)は、前記糸ガイドによる給糸に際し、機台(4)に対して定置に位置し、該糸ガイドは常に同じ位置において糸シュート(15)へ給糸するよう構成されていることを特徴とする請求項8記載の部分整経機。
  10. 前記傾けて配置された糸シュート(15)のその傾き角(α)が調整可能になっていることを特徴とする請求項8または9記載の部分整経機。
  11. 前記軸方向搬送装置は複数のコンベヤベルト(5)を有し、各コンベヤベルト(5)に1つの前記糸シュート(15)が付設されていることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1の項に記載の部分整経機。
  12. 各糸シュート(15)が2つのフォーク状部材(17、18)を有し、この2つのフォーク状部材(17、18)の各1つが、それが付属しているコンベヤベルト(5)の両側で、それぞれ半径方向内方にコンベヤベルト(5)から張り出すように配置されていることを特徴とする請求項11記載の部分整経機。
  13. 前記整経ドラム(2)の半径方向においてコンベヤベルト(5)より外側の領域で、前記フォーク状部材(17)と前記フォーク状部材(18)との間に相互距離(A)からなる間隙を有するように、これらフォーク状部材(17,18)が設けられていることを特徴とする請求項12記載の部分整経機。
  14. 前記相互距離(A)からなる間隙がコンベヤベルト(5)の幅(B)よりも大きな寸法であることを特徴とする請求項13記載の部分整経機。
  15. 前記糸シュート(15)がその前面(24)と平行に延びる裏面(30)とを有することを特徴とする請求項8〜14のいずれか1項記載の部分整経機。
  16. 前記前面(24)と裏面(30)が最大4mmの相互距離を有することを特徴とする請求項15記載の部分整経機。
  17. 前記糸シュート(15)が、滑り方向(22)において動作する流体作動式ピストン・シリンダ駆動装置(21)を有することを特徴とする請求項8〜16のいずれか1項記載の部分整経機。
  18. 前記糸シュート(15)が揺動駆動手段を有することを特徴とする請求項17記載の部分整経機。
  19. 前記糸シュート(15)の糸を載置する表面は、給糸される糸(12)との間で生じる摩擦係数が0.2以下であることを特徴とする請求項8〜18のいずれか1の項に記載の部分整経機。
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