JP3855906B2 - 電子写真機器用半導電性ベルト - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フルカラー複写機,フルカラープリンター等の電子写真技術を採用した電子写真機器において、感光体上のトナー像を写し取る中間転写体等に用いられる電子写真機器用半導電性ベルトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、フルカラー複写機,フルカラープリンター等の電子写真技術を採用した電子写真機器において、感光体上のトナー像を写し取る中間転写体等に用いられる半導電性ベルトは、通常、エンドレスベルトに形成され、一次転写ローラ、二次転写ローラ等の数本のローラに張架された状態で使用される。そして、このような半導電性ベルトは、所望の電気抵抗に調整して使用に供されることから、そのベルト形成材料として、ポリマー成分に、導電性材料となるカーボンブラック等を配合し適切な導電性領域を付与することが従来から行われている。しかしながら、カーボンブラックの添加量の調整のみで適切な導電性領域を安定化して付与することは極めて困難であることから、様々な提案がなされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、揮発分が2%以上30%未満のカーボンブラックをバインダー樹脂100重量部(以下「部」と略す)に対して1〜30部配合した半導電性樹脂組成物を用いてなる半導電性ベルトが提案されている。さらに、上記カーボンブラックにおいて、比表面積S(m2 /g)に対する揮発分H(%)比であるH/S値が3%以上10%未満となる中抵抗のカーボンブラックを用いたり、あるいはカーボンブラックとともに低導電性の無機質充填剤または黒鉛を併用して、電気抵抗値のばらつきを抑え安定化を図った半導電性ベルトが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−309712号公報
【0005】
しかしながら、上記半導電性樹脂組成物は、通常、溶液状態で用いられており、この溶液中において、経時的に、カーボンブラックが凝集,沈降したり、無機質充填剤や黒鉛が沈降するという現象が生起する。このため、再度攪拌しても凝集が均一とならないことから導電性の不安定化につながったり、溶液を塗布した塗膜表面に、凝集カーボンブラックに起因する「凝集塊」が発生して得られる画像に不具合が生じるという問題があった。さらに、カーボンブラックに、無機質充填剤や黒鉛を添加するため、必然的にバインダー樹脂に対する充填剤の添加量が多くなり、樹脂特性が劣化し、ベルトに割れやクラックが発生するという問題が生じる。一方、静置状態において、バインダー樹脂にカーボンブラックを直接分散させる方法では、中抵抗カーボンブラックといえどもバインダー樹脂との絡み合いが弱く、上記と同様、カーボンブラックの凝集沈降現象が生起することとなる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、均一かつ安定した電気抵抗が得られ、割れやクラックが生じない良好な画像を得ることができる電子写真機器用半導電性ベルトの提供をその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の電子写真機器用半導電性ベルトは、表面が感光体に接するかもしくは近接した状態で駆動される電子写真機器用半導電性ベルトであって、多層ないし単層の構成層を備え、その層の少なくとも一層が、下記の必須成分(A))を用いて形成されているという構成をとる。
(A)フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレア系樹脂および熱可塑性エラストマーからなる群から選ばれた少なくとも一つの溶剤可溶性ポリマー。
(B)シリカが表面に固定されたカーボンブラックであって、(B)中のシリカ量が、(B)全体の1〜10重量%の範囲内である
(C)有機溶剤。
【0008】
すなわち、本発明者らは、均一かつ安定した電気抵抗が得られ、割れやクラックが生じない良好な画像を得ることができる電子写真機器用半導電性ベルトを得るべく、鋭意研究を重ねた。そして、上記ベルト形成材料の主成分となる溶剤可溶性ポリマー液中に分散させる、カーボンブラックについて研究を続けた結果、導電性カーボンブラックに比べて溶剤可溶性ポリマー液中への分散性が良好であると思われていた塗料用カーボンブラックでも、溶剤可溶性ポリマーとの相互作用(親和性)が不充分で上記ポリマーとの絡み合いが弱いため、経時により塗料用カーボンブラックが凝集沈降し、電気抵抗のばらつきが生じることを突き止めた。そこで、上記カーボンブラックについてさらに研究を重ねた結果、カーボンブラックの表面をシリカで処理し、表面にシリカを固定した上記カーボンブラックを用いると、特定の溶剤可溶性ポリマーとの相互作用(親和性)が良くなり、特定の溶剤可溶性ポリマー液中でのカーボンブラックの分散性が向上し、経時によるカーボンブラックの凝集を抑制できるため、それを用いると、電気抵抗のばらつきが小さくなり、安定した導電性を備えた半導電性ベルトが得られることを見出し本発明に到達した。なお、シリカとカーボンブラックを別々に独立して使用すると、チキソ性が高くなりすぎ、塗料としての粘度が高くなるため使用し難くなり、実用性が著しく劣るようになり好ましくない。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
本発明の電子写真機器用半導電性ベルトは、表面が感光体に接するかもしくは近接した状態で駆動される電子写真機器用半導電性ベルトであって、通常、エンドレスベルトに形成されていて、多層ないし単層の構成層を備え、その層の少なくとも一層が、上記特定の材料を用いて形成されている。
【0011】
上記構成層の少なくとも一層を形成する特定の材料(構成層形成材料)としては、特定の溶剤可溶性ポリマー(A成分)と、シリカが表面に固定されたカーボンブラック(B成分)と、有機溶剤とが必須成分として用いられる。
【0012】
上記特定の溶剤可溶性ポリマー(A成分)としては、フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレア系樹脂、熱可塑性エラストマーがあげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、強度と耐屈曲性の面から、フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂が好適に用いられる。なお、本発明において、上記「溶剤可溶性」とは、溶剤に完全に溶解するか、もしくは懸濁状態(サスペンジョン)にある場合をいう。
【0013】
上記フッ素系樹脂としては、例えば、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体等があげられる。
【0014】
上記ポリイミド系樹脂とは、その構造中にイミド結合を有する樹脂全般をさし、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド等の一般名称で呼ばれる樹脂があげられる。
【0015】
上記ポリアミド系樹脂としては、例えば、N−メトキシメチル化ナイロン、ナイロン12、共重合ナイロン等があげられる。
【0016】
上記ウレタン系樹脂としては、例えば、エーテル系、エステル系、ポリカーボネート系、脂肪族系等のウレタンやそれにシリコーン系ポリオール、フッ素系ポリオールを共重合させたもの等があげられる。
【0017】
上記アクリル系樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリヒドロキシメタクリレート、アクリルシリコーン系樹脂、アクリルフッ素系樹脂等があげられる。
【0018】
上記エポキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、エポキシノボラック樹脂、臭素化型、ポリグリコール型、ポリアミド併用型、シリコン変性、アミノ樹脂併用型、アルキッド樹脂併用型等があげられる。
【0019】
上記特定の溶剤可溶性ポリマー(A成分)の数平均分子量(Mn)は、5,000〜200,000の範囲内が好ましく、特に好ましくは10,000〜100,000の範囲内である。
【0020】
上記特定の溶剤可溶性ポリマー(A成分)とともに用いられるB成分としては、シリカが表面に固定されたカーボンブラック(シリカ処理済みカーボンブラック)が用いられる。なお、本発明において、シリカ処理の対象となるカーボンブラックとは、広義のカーボンブラックを意味し、ファーネス法や衝撃法によって製造される全てのものを含む趣旨であり、具体的には、ファーネスブラック、ランプブラック(直燃式ブラック)、サーマルブラック(不活性ブラック)、アセチレンブラック、硬質ブラック、軟質ブラック、チャンネルブラック(活性ブラック)、ローラーブラック、ディスクブラック、粒状ブラック、デンスブラック、ペレットブラック等があげられる。
【0021】
上記シリカ処理済みカーボンブラック(B成分)は、例えば、つぎのようにして製造することができる。すなわち、まず、カーボンブラックを水中に分散させ、分散剤(例えば、メタノール、各種界面活性剤)を添加して均一なスラリーとする。つぎに、このスラリーをpH6以上、好ましくはpH10〜11に調節し、温度70℃以上、好ましくは85〜95℃に保ちながら、ケイ酸ナトリウムを加水分解させ、カーボンブラック粒子表面上に無定形シリカを付着または沈着させることによって製造することができる。
【0022】
上記シリカ処理済みカーボンブラック(B成分)中のシリカ(Si)量は、B成分全体の1〜10重量%の範囲内であり、特に好ましくは3〜8重量%の範囲内である。すなわち、上記シリカ量が1重量%未満であると、特定の溶剤可溶性ポリマー(A成分)に対する相互作用が弱ま、逆に10重量%を超えると、導電性への効果が減少するからである。
【0023】
上記シリカ処理済みカーボンブラック(B成分)の平均粒径は、0.01〜0.3μmの範囲内が好ましく、特に好ましくは0.02〜0.1μmの範囲内である。
【0024】
なお、上記構成層形成材料としては、上記シリカ処理済みカーボンブラック(B成分)とともに、本発明の効果を阻害しない範囲内においてシリカ処理していない通常のカーボンブラックを併用しても差し支えない。
【0025】
なお、上記構成層形成材料には、上記各成分および有機溶剤に加えて、硫黄,イソシアネート,フェノール等の架橋剤、炭酸カルシウム,マイカ,シリカ,グラファイト等の充填剤、可塑剤、オイル、老化防止剤、酸化亜鉛や酸化チタン等の着色剤等を適宜配合しても差し支えない。
【0026】
本発明の電子写真機器用半導電性ベルトは、例えばつぎのようにして作製することができる。すなわち、有機溶剤に、上記特定の溶剤可溶性ポリマー(A成分)およびシリカが表面に固定されたカーボンブラック(B成分)の必須成分、ならびに必要に応じて他の添加剤を所定の割合で配合し混練することにより構成層形成材料を調製する。ついで、この構成層形成材料を、所定温度(好ましくは、180℃)に予熱した遠心成形型に注型して成型し、ついで脱型することにより、図1に示すような単層構造のエンドレス半導電性ベルト1を作製することができる。
【0027】
上記有機溶剤としては、特に限定するものではなく、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、アセトン、シクロヘキサノン、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、メタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブ等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0028】
本発明の電子写真機器用半導電性ベルトの製法は、上記方法に限定されるものではなく、例えば、スプレーコーティング法、多層押出成形法、インフレーション法、ディッピング法等の方法により作製しても差し支えない。
【0029】
本発明の電子写真機器用半導電性ベルトは、前記図1に示した単層構造のものに限定されるものではなく、2層以上の多層構造であっても差し支えない。例えば、上記A〜B成分および有機溶剤を必須成分とする形成材料を用いて形成された層を補強弾性層とし、この外周面に表層が積層形成された2層構造のものがあげられる。ただし、半導電性ベルトを構成する構成層の少なくとも一層は、上記A〜B成分および有機溶剤を必須成分とする材料を用いて形成する必要がある。
【0030】
このようにして得られる本発明の電子写真機器用半導電性ベルトの総厚みは、通常、50〜250μmであり、好ましくは100〜200μmである。また、本発明の電子写真機器用半導電性ベルトは、内周長が200〜600mmで、幅が250〜500mm程度のものが好ましい。このような寸法であると、電子写真複写機等に組み込んで用いるのに適当な大きさとなるからである。
【0031】
なお、本発明の電子写真機器用半導電性ベルトは、主としてフルカラー複写機,フルカラープリンター等の中間転写体として用いられるが、フルカラーではない単色の電子写真複写機等の中間転写体として用いることもできる。
【0032】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0033】
まず、実施例および比較例に先立って、下記に示す材料を準備した。
【0034】
〔フッ素樹脂〕
アトフィナ・ジャパン社製、カイナーSL
【0035】
〔ポリイミド樹脂〕
新日本理化社製、リカコートEN−20
【0036】
〔ポリアミドイミド樹脂〕
東洋紡績社製、バイロマックスHR14−ET
【0037】
〔シリカ処理済みカーボンブラックa〕
カーボンブラック(三菱化学社製、ダイアブラック♯3050B)を500部計り取り、メタノールと水の混合溶液〔メタノール:水=1:9(重量比)〕1000部で湿潤させ、さらに4000部の水を加えスチールボールを充填したアトライターで均一で粘稠なスラリーになるまで充分に分散させた。つぎに、スラリーを篩を通してスチールボールと分離し、水10,000部に相当する容量まで希釈した。そして、スラリーを90℃に加熱した後、水酸化ナトリウム溶液の添加により、pHを10.0に調節した。つぎに2種類の溶液を別個に調製した。
(イ)3号ケイ酸ナトリウム溶液83.3部を、水1000部に相当する容量まで水で希釈した。
(ロ)2.50%硫酸溶液500部。
【0038】
その後、上記pHを10.0に調節したスラリーに、(イ)の希釈ケイ酸ナトリウム溶液50部を30秒以内で加え、スラリーのpHを11.0に調節した。このpHに保ったまま10分間攪拌を続けた後、(ロ)の硫酸溶液50部を30秒以内で加え、スラリーのpHを8.5に調節した。この添加方法を20回繰り返し、(イ)、(ロ)の両液を添加し終えた。さらに1時間攪拌を続け、希硫酸を加えpHを6.5〜7.0に調節した。スラリーを濾過し、可溶性塩がなくなるまで洗浄し乾燥することにより、目的とするシリカ処理済みカーボンブラックa(Si含有量5.0重量%)を作製した。
【0039】
〔シリカ処理済みカーボンブラックb〕
(イ)3号ケイ酸ナトリウム溶液を167部に変更し、かつ、(ロ)2.50%硫酸溶液を1000部に変更する以外は、上記と同様にしてシリカ処理済みカーボンブラックb(Si含有量10重量%)を得た。
【0040】
〔シリカ処理済みカーボンブラックc〕
(イ)3号ケイ酸ナトリウム溶液を16.7部に変更し、かつ、(ロ)2.50%硫酸溶液を100部に変更する以外は、上記と同様にしてシリカ処理済みカーボンブラックc(Si含有量1.0重量%)を得た。
【0041】
〔導電性カーボンブラックa〕
三菱化学社製、ダイアブラック♯3050B(シリカ未処理品)
【0042】
〔導電性カーボンブラックb〕
デグサジャパン社製、スペシャルブラック4(シリカ未処理品)
【0043】
〔アエロジル〕
日本アエロジル社製、アエロジル200
【0044】
〔黒鉛粉末〕
日本黒鉛社製、青P
【0045】
【実施例1】
メチルエチルケトン(MEK)400部に、フッ素樹脂100部とシリカ処理済みカーボンブラックa14部を配合し、攪拌・混合することにより層形成材料を調製した後、180℃に予熱した遠心成形型に注型して成型し、ついで脱型することにより、厚み100μmの単層構造の半導電性ベルト(図1参照)を作製した。
【0046】
【実施例2】
シリカ処理済みカーボンブラックa14部に代えて、シリカ処理済みカーボンブラックb18部を用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、半導電性ベルトを作製した。
【0047】
【実施例3】
シリカ処理済みカーボンブラックa14部に代えて、シリカ処理済みカーボンブラックc12部を用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、半導電性ベルトを作製した。
【0048】
【実施例4】
フッ素樹脂に代えてポリイミド樹脂を用い、脱型後真空オーブンにて100℃×5時間乾燥する以外は、実施例1と同様にして、半導電性ベルトを作製した。
【0049】
【実施例5】
フッ素樹脂に代えてポリアミドイミド樹脂を用い、脱型後真空オーブンにて100℃×5時間乾燥する以外は、実施例1と同様にして、半導電性ベルトを作製した。
【0050】
【比較例1】
シリカ処理済みカーボンブラックa14部に代えて、導電性カーボンブラックa12部を用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、半導電性ベルトを作製した。
【0051】
【比較例2】
シリカ処理済みカーボンブラックa14部に代えて、導電性カーボンブラックb35部を用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、半導電性ベルトを作製した。
【0052】
【比較例3】
シリカ処理済みカーボンブラックa14部に代えて、導電性カーボンブラックb35部およびアエロジル5部を併用した。それ以外は、実施例1と同様にして、半導電性ベルトを作製した。
【0053】
【比較例4】
シリカ処理済みカーボンブラックa14部に代えて、導電性カーボンブラックb35部および黒鉛粉末10部を併用した。それ以外は、実施例1と同様にして、半導電性ベルトを作製した。
【0054】
【実施例6】
〔2層構造の半導電性ベルト〕
実施例1で調製した補強弾性層形成材料を準備するとともに、下記に示す配合成分を用いて表層の形成材料である組成物を調製した。
〔表層形成材料〕
フッ素変性アクリル樹脂(アクリル酸の部分フッ素化アルキルエステルとメチルメタクリレートとを主成分とする共重合体、両者の含有割合は共重合体全体中の75重量%)100部と、アセトン400部とを混合攪拌することにより表層形成材料を調製した。
【0055】
そして、芯金型を準備し、この外周面に、上記層形成材料を塗布した後、乾燥した。つぎに、上記表層形成材料を槽に収容し、その液中に浸漬して引き上げることにより表層を形成し、溶剤を乾燥させた後に、60〜150℃×60分の条件で加熱架橋を行った。その後、芯金型を抜き取ることにより2層構造のエンドレス半導電性ベルトを製造した。
【0056】
【実施例7】
〔2層構造の半導電性ベルト〕
実施例2で調製した補強弾性層形成材料を準備するとともに、上記実施例6で調製したのと同様の表層形成材料である組成物を準備し、実施例6と同様にして2層構造のエンドレス半導電性ベルトを製造した。
【0057】
このようにして得られた実施例品および比較例品を用いて、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表1〜表3に併せて示した。
【0058】
〔層形成材料中のカーボンブラックのメジアン径〕
層形成材料を用いて、カーボンブラックの粒度分布(メジアン径)を、マイクロトラックUPA(日機装社製)を用いて測定した。
【0059】
〔引張弾性率〕
JIS K 7127に準じて、引張弾性率(MPa)を測定した。なお、引張速度は、毎分10±2.0mmとした。
【0060】
〔屈曲性〕
JIS P 8115に準じて、屈曲性を測定した。すなわち、厚み150μmのベルトを用い、荷重9.8Nの条件で、東洋精機社製のFolding Endurancetester MIT-D を使用して、30回未満で割れが生じたものを×、30回以上1500回未満で割れが生じたものを△、1500回で割れが生じなかったものを○として評価した。
【0061】
〔体積抵抗率の平均値〕
各層形成材料を用いて厚み100μmの塗膜を3回(N=1〜3)作製し、10Vの電圧を印加した時の電気抵抗(体積固有抵抗)を、SRIS 2304に準じて測定した。そして、その3回の測定の平均値を算出した。
【0062】
〔電気抵抗の均一性〕
周方向に等分したベルト内面側の8箇所における表面電気抵抗を、図2(A),(B)に示すように、印加電圧と電流を測定することにより求めた。すなわち、図2(A)に示す形状の電極11を、図2(B)に示す、ベルト10表面上に8箇所形成し、図2(B)に示す測定系により測定した。図において、11aは主電極、11bはガード電極である。なお、電気抵抗の均一性は、8箇所の測定値の最大値と最小値でのばらつきを桁数で示し、印加電圧は500Vとした。
【0063】
〔初期画出し評価〕
得られた半導電性ベルトを中間転写体として市販のフルカラー電子写真複写機に組み込み、80g/m2 紙によるフルカラー画像の出力を行い、初期画出し評価を行った。評価は、色ずれ、色抜け、むら等の画像不良がなく、良好な画像が得られたものを○、色ずれ、色抜け、むら等の画像不良が発生したものを×とした。
【0064】
〔耐久性〕
得られた半導電性ベルトを中間転写体として市販のフルカラー電子写真複写機に組み込み、80g/m2 紙によるフルカラー画像5万枚および続いて10万枚の出力を行った。評価は、5万枚および10万枚のそれぞれの出力後にベルトに亀裂が生じなかったものを○、ベルトに亀裂が生じたものを×とした。なお、5万枚の出力時においてベルトに亀裂が生じたものについては10万枚の出力時の評価は行わなかった。
【0065】
【表1】
Figure 0003855906
【0066】
【表2】
Figure 0003855906
【0067】
【表3】
Figure 0003855906
【0068】
上記表1〜表3の結果から、実施例品は、カーボンブラックの凝集もなく良好な屈曲性を示すとともに電気抵抗の均一性に優れ、しかも良好な画像が得られるとともに耐久性にも優れていることがわかる。
【0069】
これに対して、比較例1品は、シリカ処理していないカーボンブラックを用いているため、粒度が大きくなり屈曲性に劣り、電気抵抗のばらつきが大きくなり、良好な画像が得られず、耐久性にも劣っていることがわかる。また、比較例2品は、カーボンブラックの添加量が多いため、電気抵抗のばらつきは若干小さくなったが、屈曲性が悪くなり、良好な画像が得られず、耐久性にも劣っていることがわかる。さらに、比較例3,4品は、カーボンブラックの添加量が多く、またカーボンブラックとともにシリカあるいは黒鉛を併用したため、電気抵抗のばらつきは若干小さいが、屈曲性が著しく悪くなり、良好な画像が得られず、耐久性にも劣っていることがわかる。
【0070】
【発明の効果】
以上のように、本発明の電子写真機器用半導電性ベルトは、構成層の少なくとも一層が、特定の溶剤可溶性ポリマー(A成分)およびシリカが表面に固定されたカーボンブラック(B成分)および有機溶剤を必須成分とする層形成材料を用いて形成されている。そのため、シリカが表面に固定されたカーボンブラック(B成分)と特定の溶剤可溶性ポリマー(A成分)との相互作用(親和性)が良くなり、特定の溶剤可溶性ポリマー(A成分)液中での上記シリカ処理済みカーボンブラック(B成分)の分散性が向上し、経時による上記シリカ処理済みカーボンブラック(B成分)の凝集を抑制できるため、電気抵抗のばらつきが小さくなり、導電制御性に優れるという効果を奏する。また、上記シリカ処理済みカーボンブラック(B成分)を用いると、シリカ未処理の通常のカーボンブラックに比べて、シリカによる補強効果により強度が大きくなり、耐摩耗性や耐傷性が向上する。その結果、画像すじ等の不良を抑制できるとともに、カーボンブラックの脱落による画質低下を抑制できるため、耐久画質も向上するという効果を奏する。
【0071】
また、シリカ量が全体の1〜10重量%の範囲内に設定されたシリカ処理済みカーボンブラック(B成分)を用いるため、トナー帯電性、耐摩耗性等が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電子写真機器用半導電性ベルトの一例を示す部分断面図である。
【図2】 (A)は半導電性ベルトの電気抵抗を測定する際にベルト表面に形成する電極の形状を示す説明図、(B)はそれを用いての半導電性ベルトの電気抵抗値の測定系を示す説明図である。
【符号の説明】
1 半導電性ベルト

Claims (3)

  1. 表面が感光体に接するかもしくは近接した状態で駆動される電子写真機器用半導電性ベルトであって、多層ないし単層の構成層を備え、その層の少なくとも一層が、下記の必須成分(A))を用いて形成されていることを特徴とする電子写真機器用半導電性ベルト。
    (A)フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレア系樹脂および熱可塑性エラストマーからなる群から選ばれた少なくとも一つの溶剤可溶性ポリマー。
    (B)シリカが表面に固定されたカーボンブラックであって、(B)中のシリカ量が、(B)全体の1〜10重量%の範囲内である
    (C)有機溶剤。
  2. 上記必須成分(A))を用いて形成されてなる層が、補強弾性層である請求項1記載の電子写真機器用半導電性ベルト。
  3. 上記必須成分(A)〜(C)を用いてなる層形成材料が、下記の特性(D)を有する請求項1または2記載の電子写真機器用半導電性ベルト。
    (D)層形成材料調製後のカーボンブラックの粒度分布(メジアン径)が、0.73μm以下である。
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