JP3856071B2 - 示差走査熱量計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は示差走査熱量計に関し、更に詳しくは、室温以下の温度領域での測定を可能とするための冷却装置を備えた示差走査熱量計に関する。
【0002】
【従来の技術】
示差走査熱量計においては、一般に、試料と参照試料(基準物質)とを加熱炉内に収容して、これら両者の温度を一定の熱的環境下で変化させるとともに、加熱炉内に設けられたDSC(示差走査熱量測定)センサによって試料と参照試料との刻々の温度差に係る情報を検出して、試料の相転位や融解等の熱的性質を測定する。
【0003】
また、この種の装置においては、室温以下の温度領域での測定を行うべく、加熱炉の近傍を直接または間接的に冷却する冷却手段を備えたものが実用化されている。このような冷却手段としては、液体窒素を冷媒とした冷媒槽を用いるものや、液体窒素以外の冷媒とコンプレッサを用いた電気式冷却器を用いるもの等がある。
【0004】
ここで、以上のような冷却手段により加熱炉の近傍を冷却すると、加熱炉の周囲が結露してしまう。このような結露を防止するために、従来、装置全体を窒素雰囲気にてパージしたり、あるいは、大量の断熱材によって装置と周辺空気とを分離するといった対策が採られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、以上のような従来の示差走査熱量計における結露防止の対策では、装置全体が大型化してしまうため、装置の設置のための所要面積が大きくなってしまうという問題がある。また、液体窒素を用いた冷却手段と、それ以外の電気式冷却器を用いた冷却手段ではその冷却能力が大きく相違するため、冷却手段の種類に応じて全く個別の結露防止対策を講じるか、あるいは、液体窒素を用いた冷却手段に合わせた結露防止対策を採用した加熱炉構成とする必要があり、前者の場合は2種類の対策を選択できるような構成が必要となってその構造が複雑化し、あるいは使用に際しての煩雑さが生じ、また、後者の場合には特に電気式冷却器を用いる場合に却って冷却効率が悪化してその最低到達温度が上がってしまうという問題がある。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、コンパクトな装置構成のもとに、また、冷却能力の相違する冷却手段に対しても容易に対処可能であり、複数種の冷却手段に対して共通に最低到達温度の最小化を図りながら、加熱炉周囲の結露を確実に防止することのできる示差走査熱量計の提供を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の示差走査熱量計は、試料および参照試料を収容してこれらを加熱する加熱炉と、その加熱炉内に配置され、試料と参照試料との刻々の温度差に係る情報を検出するセンサを備えるとともに、室温以下の温度領域での測定を可能とすべく加熱炉の近傍を冷却する冷却手段を備えた示差走査熱量計において、上記加熱炉の周囲に結露防止用ヒータが設けられているとともに、上記冷却手段は、互いに冷却能力が異なり、かつ、選択可能な複数種の冷却手段を有してなり、当該冷却手段の選択状況を判別するための温度センサを備え、上記結露防止用ヒータへの印加電圧は、上記温度センサにより判別された冷却手段の選択状況に基づき、決定されることによって特徴づけられる。
【0008】
本発明は、加熱炉の周囲に設けたヒータの駆動により加熱炉近傍の表面温度のみを上昇させ、これにより、コンパクトな構成のもとに最低到達温度の最小化を図りつつ、加熱炉近傍の冷却時に加熱炉の周囲に結露が生じることを防止しようとするものである。
【0009】
本発明における結露防止用ヒータは、結露が生じない程度に加熱炉近傍の表面温度を上げるだけでよいため小型でよく、また、この結露防止用ヒータに対する印加電圧を変化させるだけで、冷却能力の異なる複数種の冷却手段にも容易に対処可能で、共通に最低到達温度の最小化を達成しつつ確実に結露防止を実現できる。すなわち、冷却能力の異なる複数種の冷却手段の選択状況を温度センサで判別して、その選択状況に応じて結露防止用ヒータに印加する電圧の大きさを決定すること、具体的には、冷却能力の大きい冷却手段が選択されているほど自動的に大きくすることで、最低到達温度に悪影響を与えることなく確実な結露防止が可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の好適な実施の形態について説明する。図1は本発明の実施の形態の構成図であり、機械的構成の概略を表す模式図と電気的構成を表すブロック図とを併記して示す図である。加熱炉1は、その下方に配置された加熱用ヒータ2の駆動によってその全体が加熱されるとともに、同じく下方に配置された伝熱板3に対して密着している。伝熱板3には、加熱炉1との密着部位に近接してその上面に冷媒槽4が載せられており、この伝熱板3を介して加熱炉1と冷媒槽4とが互いに熱的に結合されている。
【0011】
加熱炉1には、その内部に被測定試料Sおよび参照試料Rを互いに同等の熱的環境のもとに収容するスペースを有し、また、その内部には炉内温度検出用の温度センサ5と、被測定試料Sと参照試料Rとの温度差情報を検出するためのDSCセンサ6が配置されている。温度センサ5による炉内温度検出信号は温度制御回路11に取り込まれ、この温度制御回路11では、その炉内温度の検出結果があらかじめ設定された速度のもとに上昇するように前記した加熱用ヒータ2を駆動制御する。また、DSCセンサ6の出力は測定回路12を経てDSC信号として外部に出力される。
【0012】
この実施の形態においては、室温以下の温度領域での測定に際しては、その温度をある一定温度以下の低温域にまで低下させる必要がある場合には、図1に示すように、冷媒槽4内に液体窒素LNを収容して伝熱板3を介して加熱炉1を冷却する。また、上記のような低温域にまで低下させる必要がない場合には、冷媒槽4内に液体窒素LNを収容することに代えて、図2に要部模式図を示すように、電気式冷却器7を用いる。この電機式冷却器7は、冷媒として液体窒素以外の通常の冷媒を用いたコンプレッサを主体とする冷却器本体71と、その冷却器本体71に接続されて冷却されるコールドヘッド72を有し、そのコールドヘッド72を冷媒槽4の底面位置で伝熱板3に密着させることにより、伝熱板3を介して加熱炉1を冷却することができる。
【0013】
さて、加熱炉1の周囲には結露防止用ヒータ8が配設されているとともに、冷媒槽4の直下の伝熱板3の下面部には冷却手段判定用の温度センサ9が配置されている。結露防止用ヒータ8は、室温以下の温度領域での測定に際して、つまり冷媒槽4内に液体窒素LNを収容するか、あるいは電気式冷却器7を駆動する場合に起動されるものであり、結露防止用制御回路13から供給される電圧信号によって駆動制御される。結露防止用制御回路13では、以下に示すように、冷却手段判定用の温度センサ9の出力信号に基づいて冷却手段の種類を自動的に判別し、その判別結果に基づき、結露防止用ヒータ7に供給すべき電圧信号を変化させる。
【0014】
すなわち、結露防止用制御回路13では、温度センサ9による温度検出結果がある一定の温度以下である場合には、冷媒槽4内に液体窒素LNが収容されていると判定し、その場合、図3(A)にタイムチャートを例示するような一定の直流電圧Vが印加される。この直流電圧Vの大きさは、冷媒槽4に液体窒素LNを収容して加熱炉1を冷却した状態において、結露防止用ヒータ8に当該直流電圧Vを印加して加熱炉1の近傍の表面を加熱したときに、加熱炉1の近傍の表面に結露が生じない最低の大きさとされ、その具体的な電圧レベルはあらかじめ実験等によって決定される。
【0015】
一方、温度センサ9による温度検出結果が上記の一定温度を越えている場合には、冷却手段として電気式冷却器7が使用されているものと判定し、その場合には、図3(B)にタイムチャートを例示するように、上記の直流電圧Vを所定の周期でON/OFFしたパルス状の電圧が印加される。このパルス状電圧のパルスデューティは、電気式冷却器7を最大能力のもとに駆動して加熱炉1を冷却した状態において、結露防止用ヒータ8に当該パルス状電圧を印加して加熱炉1の近傍の表面を加熱したときに、加熱炉1の近傍の表面に結露が生じない最低のデューティとされ、その具体的なデューティは上記と同様にあらかじめ実験等によって決定される。
【0016】
以上の本発明の実施の形態によれば、冷却手段として液体窒素LNおよび電気式冷却器7のいずれを選択しても、その冷却手段の種類が自動的に判別され、結露防止用ヒータ8に印加される電圧が各冷却手段の冷却能力に応じた最適の電圧に自動的に設定される。そして、その設定電圧の結露防止用ヒータ8への印加により、冷却手段として液体窒素LNを用いる場合と電気式冷却器7を用いる場合のいずれにおいても、それぞれの冷却能力に基づく加熱炉1の最低到達温度を可及的に低くしながら、加熱炉1の近傍での結露を確実に防止することができる。
【0017】
なお、冷却能力の低い電気式冷却器7を用いる場合の結露防止用ヒータ8の駆動電圧としては、上記のように液体窒素LNを用いる場合に供給する直流電圧Vの絶対値を変化させずにパルス状にチョッピングしたパルス状の電圧とするほか、絶対値を低くした直流電圧としてもよい。
【0018】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、加熱炉の周囲に結露防止用ヒータを配置して、加熱炉近傍の表面を加熱し得るように構成しているので、室温以下の温度領域での示差走査熱量測定に際して冷却手段により加熱炉を冷却しても、加熱炉近傍に結露が生じることを確実に防止することができ、しかも、冷却能力の異なる複数種の冷却手段のいずれが選択されているかを温度センサで判別し、その判別結果に応じて結露防止用ヒータへの印加電圧を変更するので、冷却能力の異なる複数種の冷却手段のいずれを用いてもその最低到達温度の最小化を図ることができ、コンパクトな装置構成のもとに高性能の示差走査熱量計が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の構成図で、機械的構成を表す模式図と電気的構成を表すブロック図とを併記して示す図である。
【図2】本発明の実施の形態において冷却手段として電気式冷却器7を用いた状態を表す要部模式図である。
【図3】本発明の実施の形態における結露防止用ヒータ8への印加電圧波形の例を示すタイムチャートで、(A)は液体窒素LNを用いる場合、(B)は電気式冷却器7を用いる場合をそれぞれ示す図である。
【符号の説明】
1 加熱炉
2 加熱用ヒータ
3 伝熱板
4 冷媒槽
5 温度センサ(炉内温度検出用)
6 DSCセンサ
7 電気式冷却器
8 結露防止用ヒータ
9 温度センサ(冷却手段判別用)
11 温度制御回路
12 測定回路
13 結露防止用制御回路
LN 液体窒素
S 被測定試料
R 参照試料
Claims (1)
- 試料および参照試料を収容してこれらを加熱する加熱炉と、その加熱炉内に配置され、試料と参照試料との刻々の温度差に係る情報を検出するセンサを備えるとともに、室温以下の温度領域での測定を可能とすべく加熱炉の近傍を冷却する冷却手段を備えた示差走査熱量計において、
上記加熱炉の周囲に結露防止用ヒータが設けられているとともに、上記冷却手段は、互いに冷却能力が異なり、かつ、選択可能な複数種の冷却手段を有してなり、当該冷却手段の選択状況を判別するための温度センサを備え、上記結露防止用ヒータへの印加電圧は、上記温度センサにより判別された冷却手段の選択状況に基づき、決定されることを特徴とする示差走査熱量計。
Priority Applications (1)
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| JP01341299A JP3856071B2 (ja) | 1999-01-21 | 1999-01-21 | 示差走査熱量計 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP01341299A JP3856071B2 (ja) | 1999-01-21 | 1999-01-21 | 示差走査熱量計 |
Publications (2)
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ID=11832433
Family Applications (1)
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|---|---|---|---|
| JP01341299A Expired - Lifetime JP3856071B2 (ja) | 1999-01-21 | 1999-01-21 | 示差走査熱量計 |
Country Status (1)
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1999
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