JP3902964B2 - 電子源の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子放出素子を多数配置してなる電子源の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子放出素子として表面伝導型電子放出素子が知られている。表面伝導型電子放出素子とは、基板上に形成された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用するものである。表面伝導型電子放出素子の構成、製造方法などは、例えば特開平8−321254号公報などに開示されている。
【0003】
上記公報などに開示されている一般的な表面伝導型電子放出素子の構成を図18に模式的に示す。図18(A)および図18(B)はそれぞれ、平面図および断面図である。図18において、1701は基体であり、1702,1703は対向する一対の電極、1704は導電性膜、1705は第2の間隙、1706はカーボン膜、1707は第1の間隙である。
【0004】
図18に示した構造の電子放出素子の作成工程の一例を図17に模式的に示す。
【0005】
先ず、基体1701上に一対の電極1702,1703を形成し(図17(A))、続いて、電極1702、1703間を接続する導電性膜1704を形成する(図17(B))。
【0006】
次に、電極1702,1703間に電流を流し、導電性膜1704の一部に第2の間隙1705を形成する“フォーミング工程”を行う(図17(C))。
【0007】
さらに、炭素化合物雰囲気中にて、前記電極1702,1703間に電圧を印加して、第2の間隙1705内の基体1701上、およびその近傍の導電性膜1704上にカーボン膜1706を形成する“活性化工程”を行い、電子放出素子が形成される(図17(D))。なお、活性化工程では、有機物質を含む雰囲気で、素子電流間にパルス電圧を繰り返し印加することにより、炭素及び/または炭素化合物を素子上に堆積させる。
【0008】
一方、特開平9−237571号公報には、表面伝導型電子放出素子の別の製造方法が開示されている。そこでは、上述の活性化工程を行う替わりに、導電性膜上に熱硬化性樹脂等の材料を塗布する工程及びそれを炭化する工程からなる電子放出素子の製造方法が開示されている。
【0009】
以上の電子放出素子を複数個形成した電子源を用いれば、蛍光体などからなる画像形成部材と組み合わせることで画像表示装置を構成することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従来の表面伝導型電子放出素子を用いた電子源は、大きく以下の二点の課題を有している。
【0011】
1)電子放出素子に導電性膜を用いる場合、膜厚、膜質を精度良く形成することは必ずしも容易ではなく、フラットディスプレイパネルのような多数の電子放出素子から構成される電子源を形成する場合、均一性を低下させる要因となりうる。
【0012】
2)電子源において、良好な電子放出特性を有する狭い間隙の形成のために、有機物質を含有する雰囲気を形成する工程、高分子を導電性膜上に精度良く形成する工程など、付加的な工程が多く、工程管理も煩雑化していた。
【0013】
そこで、本発明は、上記課題を解決するものであって、複数の電子放出素子からなる電子源の作成プロセスを安定化させ、欠損のない表示品位に優れた画像形成装置を安価に製造し得る電子源の製造方法を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述する課題を解決するために鋭意検討を行ってなされたものであり、下述する製造方法によって与えられる。
【0015】
即ち、本発明の電子源の製造方法は、基体上に、各々が一対の電極と該電極間を接続する高分子膜とからなる複数のユニットと、該ユニットの電極に接続された配線とを配置する工程と、前記ユニットから選択された複数のユニットに同時に光照射することで、前記高分子膜を低抵抗化し、カーボン膜にせしめる工程と、前記カーボン膜に電流を流すことにより、間隙を形成する工程とを有し、前記光が、赤外光から紫外光の波長域にある光であって、前記光に対する、前記配線の吸収率が、前記一対の電極の吸収率よりも、低いことを特徴とする。
【0016】
本発明の製造方法は、「前記光照射は、順次走査しながら全ての前記ユニットに行われること」、「前記配線の吸収率が、前記一対の電極の光吸収率よりも、15%以上低いこと」、「前記配線の光吸収率が、20%以下であること」、「前記配線にコーティングを施すことにより、配線の吸収率を電極の吸収率より低くする工程を有すること」を好ましい態様として含むものである。
【0017】
本発明の電子源の製造方法によれば、電極が比較的高い光吸収率を有するか、或いは、比較的低い光反射率を有するので、光は電極に吸収されて効率よく温度が上昇し、更に、熱伝導によって高分子膜の温度が上昇し低抵抗化を促進する。一方、電極に接続する配線は、比較的低い光吸収率を有するか、或いは、比較的高い光反射率を有するので、配線に照射された光の多くは反射され、配線の温度上昇を抑制することができる。
【0018】
なお、照射する光の波長域、強度、及び、照射時間は、配線の温度上昇が、配線の耐熱温度以下に止まり、且つ、電極の温度が効率よく上昇し、電極から高分子膜への熱伝導による高分子膜の温度上昇、及び、高分子膜自体の光吸収によって、高分子膜が改質され、十分低抵抗化するように調節される。
【0019】
その結果、配線の短絡、断線がなく、表示画素の欠損のない画像表示装置が得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態例を図面を参照して説明するが、本発明はこれらの形態例に限定されるものではない。
【0021】
図1は、本発明の製造方法により製造される電子源103を用いた画像形成装置の一例を示す模式図である。なお、図1では画像形成装置(気密容器)内を説明するために、後述する支持枠104およびフェースプレート102の一部を取り除いた図である。
【0022】
図1において、101は電子源103を有するリアプレートである。102は、画像形成部材(106,107)が配置されたフェースプレートである。104は、フェースプレート102とリアプレート101間を減圧状態に保持するための支持枠である。105はフェースプレート102とリアプレート101間の間隔を保持するために、配置されたスペーサである。
【0023】
画像形成装置がディスプレイの場合には、画像形成部材は蛍光体膜106とメタルバック107などの導電性膜から構成される。7および9はそれぞれ電子源103に電圧を印加するために接続された配線である。Doy1〜DoynおよびDox1〜Doxmは、画像形成装置の外部に配置される駆動回路などと、画像形成装置の減圧空間(フェースプレート102とリアプレート101と支持枠104とで囲まれる空間)から外部に導出された配線7および9の端部とを接続するための取り出し配線である。
【0024】
電子源103を構成する電子放出素子をより詳細に示したのが図2である。図2は、電子放出素子の一構成例を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は電極2と,電極3の間を通り、電極2,3が配置された基体1の表面に対して実質的に垂直な平面(断面)図である。
【0025】
図2において、1は基体、2と3は電極、4’は高分子膜が低抵抗化された膜、5は間隙である。6は高分子膜が低抵抗化された膜4’と基体1との間の空隙であり、間隙5の一部を構成する。そして、図2(b)などに示す様に、間隙5内の少なくともその一部において、電極2の表面が露出(存在)している。
【0026】
上記のように構成される電子放出素子では、間隙5に十分な電界が印加されたときに電子が間隙5をトンネルして、電極2、3間に電流が流れる。このトンネル電子の一部が散乱により放出電子となる。
【0027】
次に、図2を参照して本発明の電子放出源の製造方法の一例を説明する。
【0028】
(1)ガラスなどからなる基板(基体)1を洗剤、純水および有機溶剤等を用いて十分に洗浄し、真空蒸着法、スパッタ法等により電極材料を堆積後、例えばフォトリソグラフィー技術を用いて基体1上に電極2、3を形成する。基体1の材料としては、基体裏面からの光照射を行う場合などにおいては、ガラスなどの透明な基体を用いることが好ましいが、基本的には絶縁性の基体であれば良い。
【0029】
そして、特に、図2に示した間隙5が電極近傍に配置される、電極2、3の材料としては、後述の改質工程において、光を効率よく吸収して昇温する特性を持ち、かつ融点が高く、後述の間隙5を形成するための電圧印加工程を終えた後の高分子膜が低抵抗化された膜4’とは異なる材料を用いる。
【0030】
具体的には高分子膜の改質温度である800℃以上の融点を持ち、また、光の吸収反射特性は、使用する光の波長によって異なるが、使用する光の波長に対して、好ましくは光吸収率が25%以上、或いは、光反射率が75%以下である材料を用いる。また、効率的な昇温のためには、熱伝導度が小さい材料が好ましい。
【0031】
このような条件を満たす材料として、金属材料を用いることができ、可視光を用いる場合、Pt、Pd、Fe、Ni、W、Ti、Moなどの金属材料を用いることができる。また、可視光を用いる場合、前記材料の他にAlなどの金属材料を用いることもできる。
【0032】
また、電極2および電極3の材料として、上記電極材料として必要な条件を満たす材料であれば、互いに異なった材料を用いることもできる。
【0033】
なお、電極2と電極3との間隔Lは、1μm以上100μm以下に設定するのが好ましい。
【0034】
(2)電極2、3を設けた基体1上に、電極2,3間を繋ぐ高分子膜を形成する。
【0035】
本発明における「高分子」とは、少なくとも炭素原子同士の結合を有するものを意味する。炭素原子間の結合を有する高分子に熱を加えると、炭素原子間の結合の解離、再結合が生じて導電性が上昇する場合があり、この様に熱を加えた結果導電性が上昇した高分子を「熱分解高分子(Pyrolytic Polymer)」と呼ぶ。
【0036】
本発明においては、熱以外の要因、例えば光子による分解再結合が、熱による分解再結合に加味されて、炭素原子間の結合の解離、再結合が生じて導電性を増す場合も熱分解高分子と表記する。
【0037】
ただし、本発明においては、熱、及び熱以外の要因による高分子の構造的変化及び導電特性の変化を総称して「改質」と表記する。
【0038】
熱分解高分子では、高分子中の炭素原子間の共役二重結合が増加することで導電性が増すと解釈することができ、改質の進行の度合いにより導電性が異なる。
【0039】
炭素原子間の結合の解離・再結合によって導電性が発現しやすい高分子、すなわち炭素原子間の二重結合が生成しやすい高分子としては、芳香族系高分子が挙げられる。そのため、本発明においては、芳香族系高分子を用いることが好ましい。また、その中でも、特に芳香族ポリイミドは、比較的低温で高い導電性を有する熱分解高分子が得られる高分子であるので本発明においてより好ましい材料である。
【0040】
一般に芳香族ポリイミドは、それ自身絶縁体であるが、ポリフェニレンオキサジアゾール、ポリフェニレンビニレンなど、熱分解を行う前から導電性を有する高分子もある。これらの高分子も、熱分解により更なる導電性が発現するため、本発明において好ましく用いることができる高分子である。
【0041】
高分子膜の形成方法は、公知の種々の方法、すなわち、回転塗布法、印刷法、ディッピング法等を用いることができる。特に、印刷法によれば、安価に高分子膜を形成できるため、好ましい手法である。中でも、インクジェット方式の印刷法を用いれば、パターニング工程を不要とすることができ、また、数百μm以下のパターンの形成も可能であるため、フラットディスプレイパネルに適用されるような、高密度に電子放出素子を配置した電子源の製造に対しても有効である。
【0042】
インクジェット方式によって高分子膜を形成する場合、高分子材料の溶液を液滴付与し、乾燥させればよいが、必要に応じて、所望の高分子の前駆体溶液を液滴付与し、加熱等により高分子化させることもできる。
【0043】
本発明においては、上記高分子材料としては、芳香族系高分子が好ましく用いられるが、これらの多くは溶媒に溶けにくいため、その前駆体溶液を塗布する手法が有効である。一例を挙げれば、芳香族ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸溶液を塗布し、加熱等によりポリイミド膜を形成することができる。
【0044】
尚、高分子の前駆体を溶かす溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが使用でき、また、n−ブチルセロソルブ、トリエタノールアミンなどと併用することもできるが、本発明が適用できれば特に制限は無く、これらの溶媒に限定されるわけではない。以上の工程により、一対の電極と、該電極間を接続する高分子膜とから構成されるユニットが形成される。
【0045】
(3)次に、高分子膜を低抵抗化せしめる「低抵抗化処理」を行う。「低抵抗化処理」は、高分子膜に導電性を発現せしめ、高分子膜を所望の抵抗値を有する導電性膜(高分子膜が低抵抗化された膜)4’とする処理である。なお、この「低抵抗処理」により形成される導電性膜4’は、「炭素を主成分とする導電性膜」、あるいは単に「カーボン膜」と言うこともできる。
【0046】
この工程では、後述の間隙5の形成工程の観点から、高分子膜を、シート抵抗が、103Ω/□以上107Ω/□以下の範囲の導電性膜4’に変化するまで低抵抗化処理を行う。
【0047】
この「低抵抗化処理」の一例としては、高分子膜を加熱することにより、高分子膜を低抵抗化することができる。加熱により高分子膜が低抵抗化する(導電化する)理由としては、高分子膜内の炭素原子間結合の解離、及び再結合を行うことで導電性を発現する。加熱による「低抵抗化処理」は、前記高分子膜を構成する高分子を分解温度以上の温度で加熱することで達成することができる。また、上記高分子膜の加熱は不活性ガス雰囲気中や真空中といった酸化抑制雰囲気下において行うことが特に好ましい。前述した芳香族高分子、特に芳香族ポリイミドは、高い熱分解温度を有するが、その熱分解温度を超えた温度、典型的には700℃以上で加熱することにより、高い導電性を発現せしめることができる。
【0048】
しかしながら、本発明のように、電子放出素子を構成する部材である高分子膜が熱分解するまでの加熱を行う場合、オーブンやホットプレートなどによって全体を加熱する方法では、電子放出素子を構成する配線等の部材の耐熱性の観点から、制約を受ける場合がある。特に、基体1においては、石英ガラスやセラミックス基板など、特に高い耐熱性を有するものに限定され、大面積のディスプレイパネル等への適用を考えると、非常に高価なものになってしまう。
【0049】
そこで、本発明では、より好適な「低抵抗化処理」の方法として、集光されたキセノン光やアルゴン光、或いはレーザービームなどの光照射手段から、赤外光から紫外光の波長域にある光を照射することにより昇温し、該高分子膜を低抵抗化する方法を用いる。このようにすれば、特別な基板を用いることなく、高分子膜への低抵抗化処理を行うことが可能である。
【0050】
更に、本発明では、電子源の複数の電子放出素子を含む領域に一度に光照射するため、効率よく高分子膜の低抵抗化を行うことができ、改質工程の時間を大幅に短縮することが可能となる。この場合、該高分子材料及び、該高分子材料近傍の電極だけではなく、該電極に接続した配線等にも光照射されるので、該配線の耐熱限界を超えて温度上昇する場合があり、該配線材料の熱融解による断線、或いは、該配線間を絶縁する絶縁層の熱融解による短絡等を生じてしまい、画素の欠損が生じてしまうという問題があるが、本発明では、光に対する、配線の光吸収率を、電極の光吸収率よりも低句することにより、この問題を回避している。
【0051】
なお、集光された光を照射する場合は、電極2,3、高分子膜を形成した基体1を、ステージ上に配置し、高分子膜に対して光照射する。このとき、光照射する環境は、高分子膜の酸化(燃焼)を抑制するため、不活性ガス中や真空中で行うのが好ましい。
【0052】
光の照射を、順次、走査しながら行う場合には、各ユニットを構成する高分子膜の抵抗値が実質的に均一になるように走査照射されるようにする。高分子膜の抵抗値が実質的に均一になるようにするには、一例としては、各高分子膜に光が照射される時間を実質的に同じに制御したり、照射される光のスポットの範囲内において照射される光量が実質的に一定になるように制御したりすることで対応できる。
【0053】
尚、ここでは、光を順次走査しながら照射した場合について説明したが、本発明は、各ユニットが形成されている領域全面に対して、光を一括して照射する方法にも当然のことながら適用することができる。
【0054】
光照射している間、電極2、3間の抵抗値をモニターし、所望の抵抗値が得られた時点で光照射の終了を判断しても良い。
【0055】
(4)次に、前記工程(3)により得られた導電性膜4’に、間隙5の形成を行う。
【0056】
間隙5の形成は、電極2、3間に電圧を印加する(導電性膜4’に電流を流す)ことによって行なわれる。この電圧印加工程により、導電性膜4’(高分子膜が低抵抗化された膜)の一部に間隙5が形成される。このとき印加する電圧は、DCでもACでもよく、また、矩形パルス等のパルス状の電圧を、一回、或いは、必要に応じて複数回印加する方法でもよい。
【0057】
なお、上記電圧印加工程は、前述の「低抵抗化処理」と同時に、電極2、3間に電圧を連続的に印加することによっても行うことができる。また、間隙5を再現性よく形成するためには、電極2,3に印加する電圧を漸増させる昇圧フォーミングを行うことが好ましい。また、上記電圧印加工程は、減圧雰囲気下で行うことが好ましく、特には1.3×10-3Pa以下の圧力の雰囲気下で行うのが望ましい。
【0058】
上記の様にして形成した間隙5を有する導電性膜4’に、破断時に電極2,3間に印加されていた電圧よりも高い電圧を印加すると間隙5をトンネル電流が流れる。そして、このときに、基体1に対向して配置されたアノード電極(不図示)に高電圧を印加する。この様にすると、上記トンネル電流の一部が散乱され、そして、その散乱されたトンネル電流の一部をアノード電極に到達させることができる。
【0059】
前記間隙5の幅(電極3に接続するカーボン膜4’の、電極2側に向かう部分の先端と、間隙5内に露出する電極2の表面(または間隙5を構成する、電極2上に配置されるカーボン膜4’の表面)との距離)は、好ましくは50nm以下であり、より好ましくは10nm以下、さらに好ましくは5nm以下である。この様にすることで、本発明の電子放出素子は数十Vで駆動することができる。
【0060】
以上のような工程を経て得られた本発明の電子源の電圧−電流特性を図3に示した測定装置によって計測したところ、図12に模式的に示した特性を有していた。即ち、本発明の電子放出素子は、しきい値電圧Vthを持っており、この電圧より低い電圧を電極2,3間に印加しても、電子は実質的に放出されないが、この電圧より高い電圧を印加することによって、素子からの放出電流(Ie)、電極2,3間を流れる素子電流(If)が増加しはじめる。
【0061】
本発明の電子放出素子は、上記した特性を有するため、同一基板上にマトリックス状に上記電子放出素子を複数配した電子源を構成し、所望の素子を選択して駆動する単純マトリックス駆動が可能である。
【0062】
図3は、電子源を駆動するための、基本構成を示したものである。尚、図3において、図2などで用いた符合と同じ符号を用いた部材は、同じ部材を指す。34はアノードであり、33は高圧電源、32は電子源から放出された放出電流Ieを測定するための電流計、31は電子源に駆動電圧Vfを印加するための電源、30は電極2,3間を流れる電流Ifを測定するための電流計である。電子源の電流If、放出電流Ieの測定にあたっては、電極2、3に電源31と電流計30とを接続し、該電子源の上方に電源33と電流計32とを接続したアノード電極34を配置している。また、本電子源及びアノード電極34は真空装置内に設置されており、その真空装置には不図示の排気ポンプ及び真空計等の真空装置に必要な機器が具備されており、所望の真空下で本電子源の測定評価を行えるようになっている。なお、アノード電極と電子源間の距離Hを4mmしており、真空装置内の圧力を1×10-6Paとした。
【0063】
次に、図1に示した、上記電子源を用いた本発明の画像形成装置の製造方法の一例を図4乃至図12などを用いて以下に示す。
【0064】
(A)まず、リアプレート(基体)1を用意する。リアプレート1としては、絶縁性材料からなるものを用い、特には、ガラスが好ましく用いられる。
【0065】
(B)次に、リアプレート1上に、図1で説明した一対の電極2,3を複数組形成する(図4)。電極2,3の形成方法は、スパッタ法、CVD法、印刷法など種々の製造方法を用いることができる。なお、図4では、説明を簡略化するために、X方向に3組、Y方向に3組、合計9組の電極対を形成した例を用いているが、この電極対の数は、画像形成装置の解像度に応じて適宜設定される。
【0066】
(C)次に、電極3の一部を覆うように接続される、下配線7を形成する(図5)。
【0067】
下配線7の材料としては、後述する高分子膜4の低抵抗化処理において照射される光に対する吸収率が、電極2,3の吸収率よりも低い、好ましくは15%以上低い材料を用いることにより、効率よく光を反射し、配線の温度上昇を抑制する。使用する光の波長によって異なるが、好ましくは、光吸収率が20%以下(光反射率が80%以上)である材料を用いる。また、効率よく放熱するために、熱伝導度が大きい材料であればなおよい。
【0068】
このような条件を満たす材料として、可視光を用いる場合は、Ag、Cu、Alなどの金属材料を用いることができる。また、赤外光を用いる場合は、Ag、Au、Cuなどの金属材料も用いることができる。また、例えばITOなどの透明な金属酸化物材料を用いてもよい。
【0069】
下配線7の形成方法は、様々な手法を用いることができる。光の乱反射を防ぐためには、表面が滑らかな方が好ましく、そのためには、スパッタ法、真空蒸着法、CVD法などが好ましいが、大面積の基板に対しては、印刷法が安価に形成できるというメリットがあるので、使用することもある。
【0070】
また、例えば、電気メッキ法等により、下配線7にコーティングを施してもよい。この場合、下地となる配線と、コーティングの材料は異なっていてもよく、コーティングにより、配線の光吸収率を電極の光吸収率より低くすることもできる。また、コーティングにより、表面を滑らかにすることもでき、印刷法で配線を形成した後、コーティングすることにより、安価に表面が滑らかな配線を形成することができ、好ましい。
【0071】
(D)下配線7と、次工程で形成する上配線9との交差部に絶縁層8を形成する(図6)。絶縁層8の形成方法も様々な手法を用いることができるが、後述の上配線9を滑らかに形成するためには、絶縁層8も滑らかに形成することが好ましく、そのためには、スパッタ法、真空蒸着法、CVD法などが好ましいが、大面積の基板に対しては、印刷法が安価に形成できるというメリットがあるので、使用することもある。
【0072】
(E)下配線7と実質的に直交し、電極2に接続される上配線9を形成する(図7)。
【0073】
上配線9の材料としては、下配線7と同様の理由で、下配線7と同様の材料を用いる。上配線9の形成方法も、下配線7同様の手法を用いることができる。
【0074】
(F)次に、各電極対2、3間を接続するように、高分子膜4を形成する(図8)。高分子膜4は、前述のように様々な方法で作成することができる。フォトリソグラフィ技術を用い、パターンニングして所望の形状の高分子膜4を形成しても良く、大面積に簡易に形成するには、インクジェット法を用いることもできる。
【0075】
(G)続いて、前述した様に、各高分子膜4を低抵抗化する「低抵抗化処理」を行う(図9)。「低抵抗化処理」については、前記したキセノン光、アルゴン光、或いはレーザービームなどを照射することにより行われる。この「低抵抗化処理」は好ましくは減圧雰囲気中で行われる。
【0076】
この工程により、高分子膜4に導電性が付与され、導電性膜4’に変化する。具体的には、導電性膜4’の抵抗値としては、103Ω/□以上107Ω/□以下の範囲となる。
【0077】
(H)つぎに、前記工程(G)により得られた導電性膜4’(高分子膜4が低抵抗化された膜)に、間隙5の形成を行う。
【0078】
この間隙5の形成は、各配線7および配線9に電圧を印加することによって行う。これにより、各電極対2、3間に電圧が印加される。尚、印加する電圧としてはパルス電圧であることが好ましい。この電圧印加工程により、導電性膜4’(高分子膜4”が低抵抗化された膜)の一部に間隙5が形成される(図10)。
【0079】
なお、この電圧印加工程は、前述の低抵抗化処理と同時に、すなわち、光照射を行っている最中に、電極2、3間に電圧パルスを連続的に印加することによっても行うことができる。いずれの場合においても、電圧印加工程は、減圧雰囲気下で行うのが望ましい。
【0080】
(I)次に、予め用意しておいた、アルミニウム膜からなるメタルバック107と蛍光体膜106とを有するフェースプレート102と、上記工程(A)〜(H)を経たリアプレート101とを、メタルバック107と電子放出素子が対向するように、位置合わせする(図12(a))。支持枠104とフェースプレート102との当接面(当接領域)には接合部材が配置される。同様に、リアプレート101と支持枠104との当接面(当接領域)にも接合部材が配置される。上記接合部材には、真空を保持する機能と接着機能とを有するものが用いられ、具体的にはフリットガラスやインジウム、インジウム合金などが用いられる。
【0081】
図12においては、支持枠104が、予め上記工程(A)〜(H)を経たリアプレート101上に接合部材によって固定(接着)された例を図示しているが、必ずしも本工程(I)時に接合されている必要はない。また、同様に、図12においてはスペーサ105がリアプレート101上に固定された例を示しているが、スペーサ105も、本工程(I)時にリアプレート101に必ずしも固定されている必要はない。
【0082】
また、図12では、便宜上、リアプレート101を下方に配置し、フェースプレート102をリアプレート101の上方に配置した例を示したが、どちらが上であっても構わない。
【0083】
さらには、図12では、支持枠104およびスペーサ105は、予め、リアプレート101上に固定(接着)しておいた例を示したが、次の「封着工程」時に固定(接着)されるよう、リアプレート101上またはフェースプレート102上に載置するだけでもよい。
【0084】
(J)次に、封着工程を行う。上記工程(I)で対向して配置されたフェースプレート102とリアプレート101とを、その対向方向に加圧しながら、少なくとも前記接合部材を加熱する(図12(b))。上記加熱は、熱的な歪を低減するために、フェースプレート102およびリアプレート101の全面を加熱することが好ましい。
【0085】
なお、本発明においては、「封着工程」は、減圧(真空)雰囲気中あるいは非酸化雰囲気中にて行うことが好ましい。具体的な減圧(真空)雰囲気としては、10-5Pa以下、好ましくは10-6Pa以下の圧力が好ましい。
【0086】
この封着工程により、フェースプレート102と支持枠104とリアプレート101との当接部が気密に接合され、同時に、内部が高真空に維持された、図1に示した気密容器(画像形成装置)が得られる。
【0087】
ここでは、減圧(真空)雰囲気中あるいは非酸化雰囲気中にて「封着工程」を行う例を示した。しかしながら、大気中で「封着工程」を行っても良い。この場合は、別途、フェースプレート102とリアプレート101間の空間を排気するための排気管を設けておき、「封着工程」後に、気密容器内部を10-5Pa以下に排気する。その後、排気管を封止することで内部が高真空に維持された気密容器(画像形成装置)を得ることができる。
【0088】
「封着工程」を真空中にて行う場合には、画像形成装置(気密容器)内部を高真空に維持するために、工程(I)と工程(J)との間に、メタルバック107上(メタルバック107のリアプレート101と対向する面上)にゲッター材を被覆する工程を設けることが好ましい。この時、用いるゲッター材としては、被覆を簡易にする理由から蒸発型のゲッターであることが好ましい。したがって、バリウムをゲッター膜としてメタルバック73上に被覆することが好ましい。また、このゲッターの被覆工程は、上記工程(J)と同様に、減圧(真空)雰囲気中で行われる。
【0089】
また、ここで説明した画像形成装置の例では、フェースプレート102とリアプレート101との間には、スペーサ105を配置した。しかしながら、画像形成装置の大きさが小さい場合には、スペーサ105は必ずしも必要としない。また、リアプレート101とフェースプレート102との間隔が数百μm程度であれば支持枠104を用いずに、接合部材によって直接リアプレート101とフェースプレート102とを接合することも可能である。そのような場合には、接合部材が支持枠104の代替部材を兼ねる。
【0090】
また、本発明においては、電子放出素子の間隙5を形成する工程(工程(H))の後に、位置合わせ工程(工程(I))および封着工程(工程(J))を行った。しかしながら、工程(H)を、封着工程(工程J)の後に行うこともできる。
【0091】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。
【0092】
[実施例1]
本実施例は、本発明の電子放出素子をマトリックス配置させた電子源および画像表示装置を作製したものである。
【0093】
以下、図4〜図14を用いて、本実施例を説明する。
【0094】
ガラス基板(基体1)上に、スパッタリング法により、厚さ100nmのPt膜を堆積し、フォトリソグラフィー技術を用いてPt膜からなる電極2,3を複数形成した(図4)。なお、電極2、3の間隔は10μmとした。
【0095】
次に、複数の電極3に接続するX方向配線である下配線7を形成した(図5)。ここでは、スクリーン印刷法によりAgペーストを印刷し、加熱焼成することにより、Agからなる下配線7を形成した。
【0096】
続いて、下配線7とY方向配線となる上配線9の交差部になる位置に、スクリーン印刷法により絶縁層8を形成した(図6)。絶縁層はシリコン酸化膜からなる。
【0097】
次に、複数の電極2に接続するY方向配線となる上配線9を形成し、基体1上にマトリックス配線を形成した(図7)。ここでは、下配線7と同様に、スクリーン印刷法によりAgペーストを印刷し、加熱焼成することにより、Agからなる上配線9を形成した。
【0098】
以上のようにしてマトリックス配線を形成した基体1の電極2,3間に跨る位置に、ポリイミド膜からなる台形形状の高分子膜4を形成した(図8)。
【0099】
図2に示した様に、電極2と高分子膜4(あるいは高分子膜が低抵抗化された膜4’)との接続長と、電極3と高分子膜4(あるいは高分子膜が低抵抗化された膜4’)との接続長とを、高分子膜4(あるいは高分子膜が低抵抗化された膜4’)の形状によって異なるように、具体的には、高分子膜と電極2との接続長(≒W1)と、高分子膜と電極3との接続長(≒W2)とが異なるように、高分子膜4を形成した。
【0100】
即ち、マトリックス配線を形成した基体1に、芳香族ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸(日立化成工業(株)社製:PIX−L110)溶液を、3%のトリエタノールアミンを溶かしたN−メチルピロリドン溶媒で希釈したスピンコータによって全面に塗布し、真空条件下に350℃まで昇温しベークして、イミド化を行った。その後、フォトレジストを塗布し、露光(図省略)、現像、エッチングの各工程を施すことによって、ポリイミド膜を素子電極2,3を跨ぐ台形形状にパターニングし、台形形状の高分子膜4を作製した。この時の、ポリイミド膜の膜厚は30nmであった。
【0101】
次に、Ptからなる電極2,3、マトリックス配線7,9、ポリイミド膜からなる高分子膜4を形成した基体1をステージ上にセットし、キセノン光照射し、低抵抗化処理を行った。キセノン光は、キセノンランプ光源から発せられた光を、鏡によって光ファイバー先端に集光され、光ファイバーによって、基体1上に導かれた光は、光ファイバーの他端で集光レンズを用いて更に収束される(図14)。基体1上での光照射径は3mmφとし、パワーは40Wとした。即ち、光照射径内には、複数の高分子膜4が含まれ、それらに接続された電極、及び、配線が同時に光照射されることになる(図13)。
【0102】
キセノン光のスペクトルは、近赤外から可視光までの領域の波長成分が含まれるが、特に近赤外の波長成分が支配的である。これに対して、Ptは70%以下の光反射率であり、25%程度の光吸収率があり、吸収された光は熱に変わる。しかも、熱伝導率は、72W/mKと金属の中では比較的小さい。
【0103】
一方、配線に用いたAgの近赤外光に対する光吸収率は15%以下(光反射率は85%程度)であり、入射した光の多くは反射される。熱伝導度が430W/mKと大きく、僅かに吸収された光により発生した熱も、効率よく光照射部以外に放熱され、Agが溶融することはなかった。即ち、Agの融点である961℃以上に温度が上がることはなかったと見られる。
【0104】
キセノン光照射により、電極2,3部は温度が上昇し、更に熱伝導によって電極2,3に挟まれた間隙部の温度が上昇し、それに伴って高分子膜4が加熱される。これによってポリイミド膜からなる高分子膜4は、グラファイト成分を含むカーボン膜に改質された(図9)。
【0105】
上記光照射条件では、数秒で所望の抵抗値まで減少した。典型的には、膜厚20nm、幅50μmの高分子膜で、約1kΩであった。
【0106】
光照射機構を、基板との距離を保って、基板と平行に移動させ、次々に、隣接する高分子膜に、順次、光を走査照射した(図13)。
【0107】
このようにして作製した複数の素子をマトリクス状に配列形成した基板(電子源基板)101と、フェースプレート102を対向させて、2mmの厚みの支持枠104を介して配置し、フリットガラスを用いて400℃にて封着を行った(図12)。なお、フェースプレート102の電子源基板101との対向面には、発光部材である蛍光膜106と、アノード電極に相当するAlからなる金属膜(メタルバック107)を配置した。蛍光膜106には、R(赤)、G(緑)、B(青)、の3原色を発光する蛍光体の各々が、ストライプ形状に配置されたものを用いた。
【0108】
作製した基板101、フェースプレート102、支持枠104からなる密閉容器の内部を不図示の排気管を通じ真空ポンプにて排気し、さらに真空度を維持するために不図示の非蒸発型ゲッターを密閉容器内で加熱処理(ゲッターの活性化処理)した後、排気管をガスバーナーで溶着して容器を封止した。
【0109】
最後に、X方向配線7、Y方向配線9を通じて、各々の素子、すなわち電極2,3間に25V、パルス幅1msec、パルス間隔10msecの両極性矩形パルスを印加し電圧印加工程を行った(図10)。この工程により電極2際のカーボン膜4’に間隙5を形成し、本実施例の電子源、および画像表示装置を作製した。
【0110】
以上のようにして完成した画像表示装置において、X方向配線7、Y方向配線9を通じて、所望の電子放出素子を選択して22Vの電圧を印加し、高圧端子Hvを通じてメタルバック107に8kVの電圧を印加したところ、欠損画素のない、均一で良好な画像を表示することができた。
【0111】
[実施例2]
本実施例は、本発明の電子放出素子をマトリックス配置させた電子源および画像表示装置を作製したものである。
【0112】
実施例1とは、配線形成プロセスが異なるが、その他のプロセスは共通としたので、図15を用いて、配線形成プロセスのみ説明する。
【0113】
ガラス基板1501上に、スパッタリング法により、厚さ100nmのPt膜を堆積し、フォトリソグラフィー技術を用いてPt膜からなる電極1502,1503を複数形成した(図15(a))。なお、電極1502、1503の間隔は10μmとした。
【0114】
次に、ポジ型フォトレジスト1504を塗布し、電極1503に接続するX方向配線パターンを描画したフォトマスクを用いて露光し、更に現像する。さらに、スパッタリング法を用いて、厚さ50nmのPt膜1505を形成した(図15(b))。
【0115】
次に、電気メッキ法を用いて、Pt膜1505上にAgメッキ1506を200nmの厚さに形成した(図15(c))。
【0116】
次に、リフトオフによって、下配線1507を得た(図15(d))。下配線1507は、Pt上にAgが鏡面コートされた構造を有し、光照射したときの乱反射が抑制され、高い光反射率が得られる。
【0117】
続いて、X方向配線である下配線1507と、Y方向配線である上配線1509の交差部になる位置に、絶縁層1508を形成した(図15(e))。ここでは、通常のフォトリソグラフィ技術を用いて、絶縁層1508としてシリコン酸化膜を形成した。
【0118】
次に、ポジ型フォトレジストを塗布し、電極1502に接続するY方向配線パターンを描画したフォトマスクを用いて露光し、現像する。次に、スパッタリング法を用いて、厚さ50nmのPt膜1509を形成した。
【0119】
次に、電気メッキ法を用いて、Pt膜1509上にAgメッキ1510を200nmの厚さに形成する。次に、リフトオフによってフォトレジストと共にフォトレジスト上のPt膜1509、及びAg膜1510を除去し、上配線1511を得た(図15(f))。
【0120】
上配線1511は、Pt上にAgが鏡面コートされた構造を有し、光照射したときの乱反射が抑制され、95%以上の高い光反射率が得られた。
【0121】
以上のようにしてマトリックス配線を形成した基板1501の電極1502,1503間に跨る位置に、ポリイミド膜からなる高分子膜4を形成した。
【0122】
配線表面の近赤外光に対する光吸収率は5%以下(光反射率は95%以上)であり、入射した光の多くは反射され、高分子膜の改質工程においてAgが溶融することはなかった。
【0123】
[実施例3]
本実施例は、本発明の電子放出素子をマトリックス配置させた電子源および画像表示装置を作製したものである。
【0124】
実施例1、或いは実施例2とは、配線形成プロセスが異なるが、その他のプロセスは共通とした。
【0125】
ガラス基板(基体1)上に、スパッタリング法により、厚さ100nmのPt膜を堆積し、フォトリソグラフィー技術を用いてPt膜からなる電極2,3を複数形成した(図4)。なお、電極2、3の間隔は10μmとした。
【0126】
次に、スクリーン印刷法によりAgペーストを印刷し、加熱焼成することにより、複数の電極3に接続するX方向配線となる下配線7を形成した(図5)。
【0127】
続いて、X方向配線である下配線7とY方向配線である上配線9の交差部になる位置に、スクリーン印刷法により絶縁性ペーストを印刷し、加熱焼成して絶縁層8を形成した(図6)。
【0128】
次に、スクリーン印刷法によりAgペーストを印刷し、加熱焼成することにより、複数の電極2に接続するY方向配線となる上配線9を形成し、基体1上にマトリックス配線を形成した(図7)。
【0129】
続いて、配線7,9に囲まれた領域にあるPt電極に対して、レジスト10を塗布した。これには、フォトリソグラフィ、スクリーン印刷などの手法を用いることができるが、ここでは、より間便な方法としてインクジェット法を用いて、フォトレジストを塗布した(図16)。
【0130】
次に、電気メッキ法を用いて、配線7,9にAgメッキを100μmの厚さに施した後、レジスト10を除去した。このとき、レジスト10はメッキに対する保護層として働き、Pt電極部にAgが付着するのを防ぐことができた。
【0131】
上記の工程によって、配線表面は鏡面となり、実施例1の作成方法で得られた配線表面よりも、更に光反射率を向上させることができた。
【0132】
以上のようにしてマトリックス配線を形成した基板1の電極2,3間に跨る位置に、ポリイミド膜からなる高分子膜4を形成した(図8)。
【0133】
配線表面の近赤外光に対する光吸収率は5%以下(光反射率は95%以上)であり、入射した光の多くは反射され、高分子膜の改質工程においてAgが溶融することはなかった。
【0134】
【発明の効果】
本発明によれば、電子源作成における高分子膜の改質工程での光照射時に、高分子膜に接続する電極では、光吸収によって温度が上昇するので高分子膜の改質が進行し、一方で、電極に接続する配線に照射された光は効率よく反射され、配線部の温度上昇が抑制されるので、配線のダメージを低減することができ、電子放出の不良個所のない電子源を作成することが可能となった。
【0135】
また、電極を含めた領域の一括光照射による改質が可能になり、効率的に電子源を作成することが可能となった。
【0136】
更に、本発明の製造方法によって作成された電子源を用いれば、大面積の良好な画質の画像を表示できる画像表示装置を、効率よく作成することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の単純マトリクス配置の画像表示装置の表示パネルの一例を示す模式図である。
【図2】本発明の電子源の一例を示す模式図である。
【図3】測定評価機能を備えた真空装置の一例を示す模式図である。
【図4】本発明の電子源の製造方法の例を示す模式図である。
【図5】本発明の電子源の製造方法の例を示す模式図である。
【図6】本発明の源の製造方法の例を示す模式図である。
【図7】本発明の電子源の製造方法の例を示す模式図である。
【図8】本発明の電子源の製造方法の例を示す模式図である。
【図9】本発明の電子源の製造方法の例を示す模式図である。
【図10】本発明の電子源の製造方法の例を示す模式図である。
【図11】本発明の電子源の電気伝導特性分布の例を示す模式図である。
【図12】本発明の電子源の製造方法の例を示す模式図である。
【図13】本発明の電子源の製造方法の例を示す模式図である。
【図14】本発明の電子源の製造方法の例を示す模式図である。
【図15】本発明の電子源の製造方法の別の例を示す模式図である。
【図16】本発明の電子源の製造方法の別の例を示す模式図である。
【図17】従来の電源の製造方法の例を示す模式図である。
【図18】従来の電子源を構成する電子放出素子の例を示す模式図のである。
【符号の説明】
1 基体
2、3 電極
4 高分子膜
4’ 高分子膜が低抵抗化された膜(導電性膜、カーボン膜)
5 間隙
6 高分子膜が低抵抗化された膜と基体との間の空隙
7 下配線
8 絶縁層
9 上配線
30 素子電流Ifを測定するための電流計
31 素子電圧Vfを印加するための電源
32 放出電流Ieを測定するための電流計
33 アノード電極に電圧を印加するための高圧電源
34 アノード電極
101 リアプレート
102 フェースプレート
103 電子源
104 支持枠
105 スペーサ

Claims (5)

  1. 基体上に、各々が一対の電極と該電極間を接続する高分子膜とからなる複数のユニットと、該ユニットの電極に接続された配線とを配置する工程と、前記ユニットから選択された複数のユニットに同時に光照射することで、前記高分子膜を低抵抗化し、カーボン膜にせしめる工程と、前記カーボン膜に電流を流すことにより、間隙を形成する工程とを有し、前記光が、赤外光から紫外光の波長域にある光であって、前記光に対する、前記配線の吸収率が、前記一対の電極の吸収率よりも、低いことを特徴とする電子源の製造方法。
  2. 前記光照射は、順次走査しながら全ての前記ユニットに行われることを特徴とする請求項1に記載の電子源の製造方法。
  3. 前記配線の吸収率が、前記一対の電極の光吸収率よりも、15%以上低いことを特徴とする請求項1または2に記載の電子源の製造方法。
  4. 前記配線の光吸収率が、20%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子源の製造方法。
  5. 前記配線にコーティングを施すことにより、配線の吸収率を電極の吸収率より低くする工程を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子源の製造方法。
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