JP4022155B2 - 動物飼育用キューブ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はペット、あるいは医療機関等の研究に使用されているラットやウサギの飼育時の排泄物を吸収する飼育用キューブに関する。
更に詳しくは、動物が排泄した排泄物を速やかに吸収すると共に、使用後に洗浄,乾燥により再使用可能な飼育用キューブに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ペット飼育時の排泄物処理は日常、経験しているが、特に医療関係の研究に使用されているラットやウサギ等の飼育時の排泄物は近時、年々膨大な量になっており、その処理が心配されている。
現在上記動物飼育時の排泄物処理に使用されている素材は鉋屑や、おが屑等が主流であり、砂等も用いられているが、これらは使用後廃棄する外はなく、排泄物量の増加と共に、この処理が大変になって来ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者は上述の実状に鑑み、その打開を図るべく、ラット等に使用している飼育鉋屑の代替について不織布の利用を検討し、要求される性能について考究した。
その結果、層間剥離なく、形態保持が可能であること、水切り性が良好であること、100℃の蒸気に耐え、複数回の洗浄が可能であること、動物が食べても安全であること、洗浄後の乾燥が簡単であること等、種々の性能を見出すに至った。
【0004】
本発明は上述の如き検討の結果、、特にラット等に使用されている飼育用鉋屑等の代替品として使用可能な不織布素材を見出すことにより、排泄物吸収の効率を高めると共に、使用後に洗浄,乾燥により再使用を可能として処理を簡易化し、経済性を向上するフェルト状不織布製キューブを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、上記目的に適合する本発明の特徴は、先ず、第1に高融点繊維と、熱融着性繊維及び親水性繊維からなるフェルト状不織布であって、その垂直剥離強力が少なくとも1.2N/cm2以上である該不織布を所要形状に裁断加工して動物飼育用キューブとなした点にある。
【0006】
ここで、上記高融点繊維と熱融着性繊維及び親水性繊維の各構成比率は、高融点繊維は85重量%以下で、熱融着性繊維は5〜70重量%、親水性繊維は10〜90重量%の範囲であることが好ましく、上記範囲において適宜、選択構成する。
【0007】
高融点繊維は一般にナイロン,ポリエステル,ポリプロピレン,ポリエチレンで知られる繊維群から選ばれた1又は2以上の繊維が用いられ、熱融着性繊維は同種または異種の高融点繊維成分と低融点繊維成分からなるサイドバイサイドあるいは芯鞘構造を有する複合繊維が用いられる。
また、親水性繊維としては綿繊維の外、羊毛,レイヨン繊維,アクリル繊維から選ばれた1又は2以上の繊維が使用される。
【0008】
なお、上記動物飼育用キューブはその製造にあたっては高融点繊維と熱融着性繊維及び親水性繊維の混繊からなる繊維層にニードル加工を施した後、該繊維層をホットエアスルー法による熱風処理し、繊維層中の熱融着性繊維を溶融し、高融点繊維と親水性繊維に互いに接着してフェルト状織布を得、その後に該不織布をサイコロ状など、所要形状に裁断する方法が用いられる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、更に本発明の具体的な実施態様について詳述する。
本発明キューブは上記のように高融点繊維と熱融着性繊維及び親水性繊維の混繊からなる繊維層によるフェルト状不織布を素材として構成されるものである。
この場合、繊維層形成における各繊維の構成比率は高融点繊維が85重量%以下、熱融着性繊維が5〜70重量%,親水性繊維が10〜90重量%の各範囲が好ましい。
【0010】
使用される高融点繊維としてはナイロン,ポリエステル,ポリプロピレン,ポリエチレンから選ばれた1種又は2種以上の繊維であり、コスト面より性能の許す限り増量材として使用することが好ましく、85重量%を上限として可及的多く平均的に50重量%程度使用することが好適である。
【0011】
熱融着性繊維は同種あるいは異種の高融点繊維成分と低融点繊維成分からなるサイドバイサイドあるいは芯鞘構造の何れかの複合繊維であり、例えば、鞘成分がナイロン又は低融点ポリエステル樹脂、芯成分がポリエステル樹脂あるいはナイロン66樹脂からなるものが一般的であり、なかでも鞘成分が低融点ポリエステル樹脂、芯成分がポリエステル樹脂からなるものが実用的である。
この場合、熱融着する鞘成分のナイロン又は低融点ポリエステル樹脂は芯成分に比し、低融点で110℃〜220℃程度であり、特に低融点ポリエステル樹脂は110℃程度である。
【0012】
この熱融着性成分を含む熱融着性繊維は5重量%以下では繊維層における繊維間の交絡状態がニードルパンチだけでは不十分であり、通常、70重量%以下、特に10〜30重量%の混入が好適である。
70重量%を超えると不織布が固くなり、また厚さの調整がしにくくなるので好ましくない。
親水性繊維は、親水性を有する繊維であればよいが、通常、綿繊維,羊毛繊維,レイヨン繊維,アクリル繊維が使用され、これらは1種に限らず2種以上を混合してもよい。
【0013】
配合にあたっては10〜90重量%の範囲が適用され、好ましくは10〜30重量%で、10重量%以下では繊維層の吸水速度が低下し、何時までもじとじとして濡れの十分な効果を得ることができない。
また、100重量%の適用も可能であるが、繊維層における繊維間交絡がニードルパンチだけでは不十分となり、少なくとも5重量%以上の熱融着性繊維が必要となる。
従って、以上のような観点から本発明の繊維層は前述した構成比率による繊維層が好適な繊維層として用いられる。
【0014】
上記繊維層形成に用いられる繊維の繊度ならびに繊維層の目付,密度は特に規制されるものではないが、傾向としては以下の範囲が使用される。
即ち、繊維繊度としては特に限定せず、一般的に使用される繊度範囲でよいが、好適な範囲としては1dTex〜30dTex、望ましくは3〜15dTexである。
1dTex以下ではキューブ自身が柔らか過ぎ、厚さが得にくい。30dTex以上では繊維が固く肌触りがよくないので好ましくない。
また、繊維層目付としては300〜2000g/m2が好適であり、300g/m2以下では密度に関係し、動物の荷重による変形が大きくなる限界で、動物の手足に繊維が絡まり易くなる。
【0015】
一方、2000g/m2以上では形成したキューブの中央部分の接着が難しく、十分に接着することができない恐れがある。
更に、密度については見掛け密度25mg/cc〜100mg/ccの範囲が好ましく、25mg/cc以下では動物の荷重による変形が大きく限界で、また動物の手足に絡まり易くなる。
一方、100mg/cc以上では繊維層が固くなり、肌触りに難を生じ易くなる。
【0016】
次に前記高融点繊維と熱融着性繊維及び親水性繊維の混繊からなる繊維層は、これにニードル加工を施して繊維間を交絡し、一体化すると共に、ホットエアースルー法による熱風処理を行って繊維層中の熱融着性繊維を溶融し、高融点繊維と親水性繊維に互いに接着させて均一なフェルト状不織布シートとし、このシート状不織布をサイコロ状,円柱,直方形状など、所要形状に裁断して本発明におけるキューブとして使用する。
【0017】
ニードル加工は既知の手段に従って、例えば表面側に針深さ5mm,打ち込み本数100本/cm2,裏面側に同様に針深さ5mm,打ち込み本数100本/cm2でニードルパンチ処理されるが、繊維層の構成目付等に応じて適宜、選択し変動することは勿論である。
【0018】
また、ホットエアースルー方式による熱処理は、ニードルパンチ処理後の繊維層に対し均一に加熱処理する上に有効であり、通常、160℃前後、処理速度2m/minで、180秒間程度の処理が施される。勿論、この熱処理も、温度,処理速度,処理時間共に前記に必らずしも拘束されるものではなく、適宜、変更可能であることは云うまでもない。
そして得られたフェルト状不織布は、例えば25mm角程度の大きさのサイコロ状など所要形状に裁断してキューブに作成する。
勿論、25mm角に限らず、使用目的,使用場所に応じて適宜決められる。
【0019】
なお、本発明フェルト状不織布は層間剥離を嫌うため垂直剥離強力が1.2N/cm2以上であることが必要である。垂直剥離強力は繊維間同志の接着の程度を知ることができ、洗濯時の試料の毛羽立ち、即ち、繊維層間の剥離度合いと対応する。
垂直剥離強力が1.2N/cm2以下では規定の条件で洗濯した場合に何回洗濯できるかに対して1回で剥離が生じてしまい、製品としては不合格である。
【0020】
【実施例】
以下、更に本発明の実施例ならびに比較例を掲げる。
【0021】
実施例1
繊度7.8デシテックス(dTex)、繊維長51mmのポリエステル繊維(融点:260℃)50重量%、繊度7.8デシテックス、繊維長51mmのレイヨン繊維30重量%と、繊度4.4デシテックス、繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維(低融点ポリエステルの融点:110℃)20重量%を均一に混合し、次いで、カーディングして目付1412g/m2の繊維層とし、引き続き、表面側に針深さ5mm、打ち込み本数100本/cm2、裏面側に同様に針深さ5mm、打ち込み本数100本/cm2のニードルパンチ処理を施し、次いで熱処理機(ホットエアースルー方式)で160℃、処理速度2m/minで180秒間処理してフェルト状不織布を得た。次いで、該不織布を25mm角に裁断して本発明の動物飼育用キューブ製品を得た。
【0022】
実施例2
繊度7.8デシテックス(dTex)、繊維長51mmのポリエステル繊維(融点:260℃)50重量%、繊度7.8デシテックス、繊維長51mmのレイヨン繊維30重量%と、繊度4.4デシテックス、繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維(低融点ポリエステルの融点:110℃)20重量%を均一に混合し、次いで、カーディングして目付679g/m2の繊維層とし、引き続き、表面側に針深さ5mm、打ち込み本数100本/cm2、裏面側に同様に針深さ5mm、打ち込み本数100本/cm2のニードルパンチ処理を施し、次いで熱処理機(ホットエアースルー方式)で160℃、処理速度2m/minで180秒間処理してフェルト状不織布を得た。次いで、該不織布を25mm角に裁断して本発明の動物飼育用キューブ製品を得た。
【0023】
実施例3
繊度7.8デシテックス(dTex)、繊維長51mmのポリエステル繊維(融点:260℃)70重量%、繊度7.8デシテックス、繊維長51mmのレイヨン繊維10重量%と、繊度4.4デシテックス、繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維(低融点ポリエステルの融点:110℃)20重量%を均一に混合し、次いで、カーディングして目付700g/m2の繊維層とし、引き続き、表面側に針深さ5mm、打ち込み本数100本/cm2、裏面側に同様に針深さ5mm、打ち込み本数100本/cm2のニードルパンチ処理を施し、次いで熱処理機(ホットエアースルー方式)で160℃、処理速度2m/minで180秒間処理してフェルト状不織布を得た。次いで、該不織布を25mm角に裁断して本発明の動物飼育用キューブ製品を得た。
【0024】
実施例4
繊度3.3デシテックス(dTex)、繊維長51mmのポリエステル繊維(融点:260℃)50重量%、繊度3.3デシテックス、繊維長51mmのレイヨン繊維30重量%と、繊度4.4デシテックス、繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維(低融点ポリエステルの融点:110℃)20重量%を均一に混合し、次いで、カーディングして目付727g/m2の繊維層とし、引き続き、表面側に針深さ5mm、打ち込み本数100本/cm2、裏面側に同様に針深さ5mm、打ち込み本数100本/cm2のニードルパンチ処理を施し、次いで熱処理機(ホットエアースルー方式)で160℃、処理速度2m/minで180秒間処理してフェルト状不織布を得た。次いで、該不織布を25mm角に裁断して本発明の動物飼育用キューブ製品を得た。
【0025】
比較例1
繊度7.8デシテックス(dTex)、繊維長51mmのポリエステル繊維(融点:260℃)70重量%、繊度4.4デシテックス、繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維(低融点ポリエステルの融点:110℃)30重量%を均一に混合し、次いで、カーディングして目付600g/m2の繊維層とし、引き続き、表面側に針深さ5mm、打ち込み本数100本/cm2、裏面側に同様に針深さ5mm、打ち込み本数100本/cm2のニードルパンチ処理を施し、次いで熱処理機(ホットエアースルー方式)で160℃、処理速度2m/minで180秒間処理してフェルト状不織布を得た。次いで、該不織布を25mm角に裁断して比較の動物飼育用キューブ製品を得た。
【0026】
比較例2
繊度7.8デシテックス(dTex)、繊維長51mmのポリエステル繊維(融点:260℃)50重量%、繊度7.8デシテックス、繊維長51mmのレイヨン繊維30重量%と、繊度4.4デシテックス、繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維(低融点ポリエステル融点:110℃)20重量%を均一に混合し、次いで、カーディングして目付680g/m2の繊維層とし、引き続き、表面側に針深さ5mm、打ち込み本数100本/cm2、裏面側に同様に針深さ5mm、打ち込み本数100本/cm2のニードルパンチ処理を施し、次いで熱処理機(ホットエアースルー方式)で160℃、処理速度2m/minで180秒間処理してフェルト状不織布を得た。次いで、該不織布を25mm角に裁断して比較動物飼育用キューブ製品を得た。
【0027】
上記実施例及び比較例により得られた各キューブ製品の性能について夫々、対比したところ、下記表1の如き結果を得た。
表中の目付,厚さ,垂直剥離強力,吸水速度,洗濯性判定は夫々、下記に従った。
【0028】
目付量;JIS L1906の5.2記載の方法に準拠して求めた。
厚さ ;JIS L1906の5.1記載の方法に従って荷重2KPaで測定した。
垂直剥離強力;試験片を5cm角にカットした後、両面に両面テープを貼り、テンシロン引張り試験機にて、垂直方向に200mm/minのスピードで引っ張り最大点を測定し、その平均値で表す、(整数位まで)n=3
吸水高さ;JIS L1906の6.12 1B法(バイレック法)記載の方法に準拠して求めた。
(a)標準状態の水に試験片の下端が3cmつかる様にする。
(b)5分間の上昇高さを測定する。
(c)タテn=3の平均
洗濯試験;動物の排泄物を想定して下記のものを作成した。
(a)25×25×h(mm3)の試料片10ケを無作為にサンプリングする。
(b)4%アンモニア水に赤土を10g/リットル分散した溶液(A)
(c)試料片(10ケ)を溶液(A)に30秒間浸漬する。)
(d)含浸試料を一昼夜静置する。
(e)含浸試料を水荒いし、先端ネットに入れて(蒸気+温水)にて15分洗浄する。
(f)洗浄試料を脱水後、乾燥する(100℃×60min)。
(g)試料の形態判定をする。形態の崩れがなければ(c)→(f)を繰り返す。
(h)洗濯判定 洗濯5回の状態を下記に分類した。
◎ 10個のキューブのうち、全部ダメージなし。
○ 10個のキューブのうち、9から7個はダメージなし。
△ 10個のキューブのうち、6から4個はダメージなし。
× 10個のキューブのうち、3個以下ダメージなし。
【0029】
【表1】
【0030】
上記表より本発明によるキューブ製品は比較例のキューブ製品に比し、吸水速度に優れ、吸収性能良好であると共に、洗濯性においても良好であり、キューブ製品として充分、使用に好適であることが理解される。
【0031】
【発明の効果】
本発明は以上のように高融点繊維と、熱融着性繊維及び親水性繊維を夫々、所定の比率で混繊して構成し、垂直剥離強力を1.2N/cm2以上とした不織布を用い、所要形状に裁断した動物飼育用キューブであり、親水性繊維を混繊したことにより所要の吸水速度を得て、濡れの十分な効果が得られると共に、熱融着性繊維を混入することにより、ニードルパンチによる繊維の交絡状態を熱融着性繊維の融解接着により安定させて、1.2N/cm2以上の垂直剥離強力と相俟って形態安定性を高め、水切りをよくして洗濯性を向上させて排泄物を速やかに吸収し、かつ使用後の100℃の蒸気に耐えて12回の洗浄ができ、洗浄,乾燥により十分、再使用可能で動物飼育用キューブとして頗る顕著な効果を有する。
Claims (5)
- 高融点繊維と熱融着性繊維及び親水性繊維とからなり、垂直剥離強力が1.2N/cm2以上であるフェルト状不織布を所要形状に裁断加工し形成してなることを特徴とする動物飼育用キューブ。
- 高融点繊維と熱融着性繊維及び親水性繊維からなり、その構成比率が高融点繊維は85重量%以下で、親水性繊維は10重量%〜90重量%、熱融着性繊維は5重量%〜70重量%である請求項1記載の動物飼育用キューブ。
- 高融点繊維がポリエステル,ナイロン,ポリプロピレン,ポリエチレンからなる繊維より選ばれた何れか1又は2以上の繊維である請求項1または2記載の動物飼育用キューブ。
- 熱融着性繊維が同種あるいは異種の高融点繊維成分と低融点繊維成分からなるサイドバイサイドあるいは芯鞘の構造を有する複合繊維である請求項1または2記載の動物飼育用キューブ。
- 親水性繊維が綿繊維や羊毛,レイヨン繊維,アクリル繊維から選ばれた何れか1又は2以上の繊維である請求項1または2記載の動物飼育用キューブ。
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