JP4076401B2 - 盛土の品質管理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、盛土の品質管理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、盛土の締固め時の品質管理方法は、盛土の締固め度、空気間隙率、細粒分含有率を個別に基準として品質管理を行っていた。
【0003】
例えば、まず、盛土として利用すべき土の細粒分含有率を測定し、細粒分含有率が高い土については、粘性が高く締固め度が高くなりにくい土であるため、空気間隙率を基準として締固め時の品質を管理していた。一方、細粒分含有率が低い土については、粘性が低く締固めが容易な土であるため、締固め度を基準として締固め時の品質を管理していた。
【0004】
しかし、土の締固め度、空気間隙率、及び、細粒分含有率を個別の基準として盛土の締固め時の品質を管理しており土の強度との相関が不明確であるため、品質管理に力学的根拠が乏しいという問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、盛土に利用しようとする全ての土について、締固め時の品質を管理する工学的な一定の基準を求め、この基準により盛土の品質管理を行う方法を提供することを技術的課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、盛土の品質管理方法であり、上記技術的課題を解決するために以下のように構成されている。
【0007】
すなわち、本発明は、盛土として利用すべき複数種類の土の細粒分含有率Fcついて含水量を変化させながら締め固めを行うことによって締固め曲線を求め、
この締固め曲線を基に、締固め度D値及び細粒分含有率Fcがそれぞれ相違する複数の試供体を作成し、
先ず、これらの試供体に対して浸水前と浸水後の室内コーン試験を実施し、所定の必要強度のコーン指数を設定して、このコーン指数を満足する空気間隙率Vaの範囲を求め、次に、締固め度D値について、前記コーン指数を満足する空気間隙率Vaと前記細粒分含有率Fcとの関係を求め、
さらに、前記細粒分含有率Fcについて前記コーン指数を満足する空気間隙率Vaと締固め度D値との関係を求め、
前記コーン指数を満足する空気間隙率Va、前記細粒分含有率Fc及び前記締固め度D値の関係を用い、これらの空気間隙率Va、前記細粒分含有率Fc及び前記締固め度D値が所定の範囲にあり、盛土として利用すべき土を決定することにより、盛土の締固め時の品質を管理することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、締固め度,細粒分含有率,降雨による強度低下を考慮した必要強度を満たす空気間隙率、それぞれの関係を明らかにし、この関係を用いることにより、強度との相関をもって盛土の品質を管理することが出来る。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る盛土の品質管理方法の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
本発明に係る盛土の品質管理方法は、図1のフローチャートに示すように、まず、複数種類の細粒分含有率Fcの締固め曲線を試験により求める(ステップ1)。土の締固め曲線については後述する。次に、上記の締固め曲線を基にした締固め度D値、及び、細粒分含有率Fc毎に強度試験を行うための試供体を作成する(ステップ2)。
【0011】
次に、前記試供体に対して、浸水前と浸水後の室内コーン試験を実施し、必要強度を満たす空気間隙率Vaの範囲を測定する(ステップ3)。次に、上記で測定した試験結果から、締固め度D値毎に浸水前、浸水後の必要強度を満たす空気間隙率Vaと細粒分含有率Fcとの関係を求める(ステップ4)。
【0012】
次に、上記で求めたコーン試験結果を基に、細粒分含有率Fc毎に浸水前、浸水後の必要強度を満たす空気間隙率Vaと締固め度D値との関係を求める(ステップ5)。次に、ステップ3〜5で求めた関係を基にして、細粒分含有率Fc(%)、必要強度を満たす空気間隙率Va、締固め度D値を三次元的に表現し、強度との相関をもって、締固め後の土の品質を管理する(ステップ6)。
【0013】
次に、上記ステップにおける処理内容について説明する。まず、ステップ1における細粒分含有率Fcとは、土に含まれている成分のうち粒径が75μm未満の細粒分の含有率をいう。
【0014】
この細粒分含有率Fcは、日本工業規格「土の細粒分含有率試験方法」(JIS A1223)に基づいて測定する。なお、この規格では、細粒分含有率Fcは「土の炉乾燥質量が占める割合を、百分率で表したものと定義されている。
【0015】
そして、複数の細粒分含有率Fc毎に、締固め試験を行い、締固め曲線を作成する。締固め試験とは、まず、適当に乾燥させた土を、一定容積のモールドにして、これに一定の衝撃エネルギー(2.5kgのランマを30cmの高さから落下、土を3層にわけて25回突固め)を与えて締め固める。次に、含水量だけを少しずつ増すようにして、同じ条件で締固めを行う。その一連の締固め試験を通じて、1回毎の含水比Wと乾燥密度ρd(g/cm)とを測定する。
【0016】
ここで、含水比W(%)とは、土塊を構成している土粒子・水・空気の三相のうち、土粒子に対する水の質量比を百分率で表したものである。ここで、土粒子の質量は恒温乾燥炉又は電子レンジにより乾燥して残留する質量であり、水の質量は乾燥によって失われる質量である。また、土の含水比Wは、日本工業規格「土の含水比試験方法」(JISA1203:1999)によって測定する。
【0017】
また、乾燥密度ρdとは、土塊を構成している土粒子・水・空気の三相のうち、土塊全体の容積に対する土粒子の質量を百分率で表したものであり、その土の締固め度を表している。
【0018】
そして、図2に示すように、測定した含水比Wと乾燥密度ρdのとの関係をグラフ化する。図2は、横軸が含水比W、縦軸が乾燥密度ρdであり、細粒分含有率Fc=98%の土についての締固め曲線を示す。また、本実施の形態では、細粒分含有率Fc=47%、71%、98%の土について締固め曲線を作成した。
【0019】
この締固め曲線からわかるように、はじめは含水比Wが増すに従って乾燥密度ρdが増加していき、ある含水比W、本実施の形態では含水比W40%〜50%位のところで最大乾燥密度ρdとなる。更に含水比Wが増加すると、乾燥密度ρdは低下する。これらの値は、土の種類や締固めエネルギーによって異なるが、締固め曲線の傾向は同じである。
【0020】
次いで、ステップ2として、上記の締固め曲線を基にして試供体を作成する。細粒分含有率Fcごとに表した締固め曲線を基にして、締固め度D値及び空気間隙率Vaごとに複数の試供体を作成する。
【0021】
ここで、締固め度D値とは、上記の締固め曲線で求めた最大乾燥密度ρdを締め固め度100%として、これに対しての乾燥密度ρdを百分率で表したものである。D値80%とは、最大乾燥密度ρdに0.8を乗じたものである。本発明の実施の形態では、細粒分含有率Fc47%、71%、98%毎に、D値80%、85%、90%の土の試供体を作成した。
【0022】
また、空気間隙率Vaとは、土全体の体積に対する土中の間隙に含まれる空気の体積の比で表したもの。一般に、空気間隙率Vaの小さいほど良く締まった土と見なすことができ、良く締まった土の空気間隙率Vaは2〜10%の範囲にある。この空気間隙率Vaは、上記締固め試験で求めた乾燥密度ρd、含水比Wから計算により求める。
【0023】
図2には、乾燥密度ρd及び含水比Wとの空気間隙率Vaとの関係が示されている。土塊は、土粒子、水、空気の3相よりなっているが、空気部分を水で満たして、Va=0と考えたときの理論上の密度をゼロ空気間隙密度という。各含水比−乾燥密度関係ごとにそれを求めて、1つの曲線を描いたものをゼロ空気間隙曲線あるいは飽和曲線という。
【0024】
この試供体に対し、ステップ3として浸水前、浸水後の室内コーン試験を実施する。室内コーン試験とは、土の強度を測定する試験であり、日本工業規格「締固めた土のコーン試験方法(案)」(JIS A1228)に基づいて測定する。
【0025】
この室内コーン試験は、まず、4.75mmふるいを貫通した土をモールド内に突き固める。次いで、突き固めた試供体をコーンペネトロメータを用いてコーン指数を測定する。コーン指数とは、コーンペネトロメータを1cm/sの貫入速度で5cm,7cm及び10cm連続的に押し込んだ時に、コーンに作用する貫入抵抗力の平均値を入先端のコーン断面積で除した値である。これを、ステップ2で作成した試供体を浸水前と浸水後について行う。浸水前と浸水後について行うのは、降雨による盛土の強度低下を考慮したためである。
【0026】
そして、上記で求めたコーン指数と浸水前と浸水後の空気間隙率Vaとの関係をグラフ化する。図3は,横軸が空気間隙率Va、縦軸がコーン指数(kN/m)を示しており、細粒分含有率Fc=71%、締固め度D値=85%の土について、コーン指数と浸水前と浸水後の空気間隙率Vaとの関係を表している。図3中の白四角の点は浸水前における空気間隙率Vaとコーン指数との関係、黒四角の点は浸水後における空気間隙率Vaとコーン指数との関係を示している。
【0027】
そして、このグラフを基に必要強度を満たす空気間隙率Vaの範囲を求める。まず、対象となる土を盛土として用いる場合に必要となる強度(コーン指数)を設定する。この強度qcは、土の種類や使用条件によって異なるが、本実施の形態では、強度qc=300(kN/m)に設定した。
【0028】
次に、図3のコーン指数曲線上で強度qc=300(kN/m)を満足する空気間隙率Vaを求める。本実施の形態では、qc=300を満足する浸水前の空気間隙率Vaqc3d=5%以上であり、浸水後の空気間隙率Vaqc3w=13.5%以下であり、空気間隙率Va=5〜13.5%が管理範囲となる。
【0029】
次いで、図3のグラフを基に、必要強度を満たす空気間隙率Vaと細粒分含有率Fcの関係をグラフ化する(ステップ4)。図4は、横軸は細粒分含有率Fc、縦軸が必要強度を満たす空気間隙率Vaを示しており、D値=85%とD値=90%の土について必要強度を満たす空気間隙率Vaと細粒分含有率Fcの関係を表している。
【0030】
図4中の白四角の点はD値=85%の土の浸水前における必要強度を満たす空気間隙率Vaqc3dと細粒分含有率Fcとの関係を示しており、黒四角の点は同様の土の浸水後における必要強度を満たす空気間隙率Vaqc3wと細粒分含有率Fcとの関係を示している。また、白三角の点は、D値=90%の土の浸水前における必要強度を満たす空気間隙率Vaqc3dと細粒分含有率Fcとの関係を示しており、黒三角の点は同様の土の浸水後における必要強度を満たす空気間隙率Vaqc3wと細粒分含有率Fcとの関係を示している。
【0031】
次いで、図4のグラフを基に、必要強度を満たす空気間隙率Vaと締固め度D値の関係をグラフ化する(ステップ5)。図5は、横軸は締固め度D値、縦軸が必要強度を満たす空気間隙率Vaを示しており、細粒分含有率Fc=47%、71%及び98%の土について必要強度を満たす空気間隙率Vaと締固め度D値との関係を表している。
【0032】
図5中の白三角の点は細粒分含有率Fc=47%の土の浸水前における必要強度を満たす空気間隙率Vaqc3dと締固め度D値との関係を示しており、黒三角の点は同様の土の浸水後における必要強度を満たす空気間隙率Vaqc3wと締固め度D値との関係を示している。また、白四角の点は、細粒分含有率Fc=71%の土の浸水前における必要強度を満たす空気間隙率Vaqc3dと締固め度D値との関係を示しており、黒四角の点は同様の土の浸水後における必要強度を満たす空気間隙率Vaqc3wと細粒分含有率Fcとの関係を示している。加えて、白丸の点は、細粒分含有率Fc=98%の土の浸水前における必要強度を満たす空気間隙率Vaqc3dと締固め度D値との関係を示しており、黒丸の点は同様の土の浸水後における必要強度を満たす空気間隙率Vaqc3wと細粒分含有率Fcとの関係を示している。
【0033】
このグラフにより、ある細粒分含有率における空気間隙率Vaと締固め度D値との関係から盛土に適しているか否かを判断することが出来る。例えば、細粒分含有率Fc=71%の土であれば、図5中の斜線部分が、盛土に適している土の範囲である。
【0034】
次いで、ステップ3からステップ5で求めた関係を基にして、細粒分含有率Fc、必要強度を満たす空気間隙率Va、及び、締固め度D値との関係を三次元的にグラフ化する(ステップ6)。図6は、横軸は締固め度D値(%)、縦軸は必要強度を満たす空気間隙率Va、奥行き方向の軸は細粒分含有率Fc(%)を示している。図6で示す、A面より上で、B面より下で囲まれた範囲が盛土の管理範囲となる。
【0035】
このように本発明によれば、細粒分含有率Fc、必要強度を満たす空気間隙率Va、及び、締固め度D値との関係を明らかにすることにより、強度との相関をもって、盛土の締固め時の品質を管理することが出来る。
【0036】
また、必要強度を満たす空気間隙率Vaと細粒分含有率Fc、及び、必要強度を満たす空気間隙率Vaと締め固め度との関係を、それぞれグラフ化することにより、様々な場合において、最小限のデータをもとに盛土の品質管理を行うことが可能である。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、細粒分含有率Fc、締固め度D値、及び、降雨による必要強度を考慮した必要強度を満たす空気間隙率Vaの関係を明確にすることにより、強度との相関をもって、盛土の締め固め時の品質管理を的確に行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る盛土の品質管理方法を説明するフローチャートである。
【図2】本発明に係る盛土の品質管理方法における締固め曲線を示す図である。
【図3】本発明に係る盛土の品質管理方法におけるコーン指数と空気間隙率との関係を示す図である。
【図4】本発明に係る盛土の品質管理方法における細粒分含有率と空気間隙率との関係を示す図である。
【図5】本発明に係る盛土の品質管理方法における締固め度と空気間隙率との関係を示す図である。
【図6】本発明に係る盛土の品質管理方法における締固め度、空気間隙率、及び、細粒分含有率との関係を示す図である。
【符号の説明】
Fc 細粒分含有率
D値 締め固め度
Va 空気間隙率
Vaqc3d 浸水前の空気間隙率
Vaqc3w 浸水後の空気間隙率
ρd 乾燥密度

Claims (1)

  1. 盛土として利用すべき複数種類の土の細粒分含有率Fcついて含水量を変化させながら締め固めを行うことによって締固め曲線を求め、
    この締固め曲線を基に、締固め度D値及び細粒分含有率Fcがそれぞれ相違する複数の試供体を作成し、
    先ず、これらの試供体に対して浸水前と浸水後の室内コーン試験を実施し、所定の必要強度のコーン指数を設定して、このコーン指数を満足する空気間隙率Vaの範囲を求め、次に、締固め度D値について、前記コーン指数を満足する空気間隙率Vaと前記細粒分含有率Fcとの関係を求め、
    さらに、前記細粒分含有率Fcについて前記コーン指数を満足する空気間隙率Vaと締固め度D値との関係を求め、
    前記コーン指数を満足する空気間隙率Va、細粒分含有率Fc及び締固め度D値の関係を用い、これらの空気間隙率Va、前記細粒分含有率Fc及び前記締固め度D値が所定の範囲にあり、盛土として利用すべき土を決定することにより、盛土の締固め時の品質を管理することを特徴とする盛土の品質管理方法。
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