JP4201449B2 - ガス検知器の点検方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、 ガス検知素子を備えたガス検知手段を内装するガス検知空間を備えたケーシングを設け、前記ケーシングに、前記ガス検知空間内外方向への通気を許容し、前記ケーシング外方から前記ガス検知素子に被検知ガスを誘導可能にする通気部を開口形成してあるガス検知器に、前記通気部から前記ガス検知空間に点検用ガスを供給して前記ガス検知手段の動作を点検するガス検知器の点検方法に関する。
ここで、ガス検知器の点検とは、所定濃度の所定被検知ガスを検知して、前記ガス検知器が濃度の表示濃度レベルに対応した警報動作を所定の精度で行う、という仕様を満足しているかどうかを確認することをいう。
たとえば、ガス警報器の仕様としては、「被検知ガスに対して、所定濃度範囲の被検知ガスの存在下で警報を発すること」が定められている。ここで、燃料ガスの漏れによる爆発防止を目的とするものでは、その燃料ガスを被検知ガスとしてその1/4LEL以下の濃度レベルを警報ラインと設定するとともに、その警報ラインで警報を発することが出来なければならない。また、ガス燃焼機器の不完全燃焼を検知して警報する目的のものであれば、COガス濃度で550ppm以下の濃度レベルを警報ラインと設定するとともに、その警報ラインで警報を発することが出来なければならない。
ガス検知器を正しく使用するためには、点検作業を正しく行い、その仕様が満足されていることを確認しておくことが必要になる。
【0002】
【従来の技術】
この種のガス検知器の点検方法としては、通常、適当な被検知ガスを適当なガス濃度で採取して点検用ガスとして用い、前記通気部を介して点検作業者ごとに独自の注入スピードで点検用ガスの所定量を前記ガス検知空間に注入し、前記点検を行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような点検作業によると、前記前記ガス検知空間内に注入された被検知ガス濃度がどのようになっているのかを詳細に確認することが出来ず、点検作業者ごとに異なる環境での点検作業を行っているために、その点検条件にばらつきが生じている場合が想定される。そのため、同様の点検結果を得たガス検知器同士の間にもその性能にはばらつきが生じることになり、点検作業が正しく行われているという保証が得られなくなるおそれがある。
具体的には、燃料ガスのガス漏れをガスライターのガス(ブタンガス)を用いて点検する場合、ガスライターから供給されるガスはほぼ100%ブタンガスであるため、前記ガス検知器の動作を点検すべき1/4LEL以下の警報ラインに相当するガス濃度として供給される訳ではないので、正しい点検が行われたとは断言できない状態であると想定される。
【0004】
また、前記ガス検知器のガス検知空間の形状、構造により通気部からのガスの出入りが容易に形成されているような場合には、前記ガス検知空間内の被検知ガス濃度は希釈されがちになって、やはり、正しい点検が行われたとは言い難い場合があり得る。
【0005】
さらに、上述のようにガスライターから直接点検用ガスの供給を行う場合は、供給されるガス量も一定であるとは言い難く、前記ガス検知空間内の被検知ガス濃度を安定供給しにくいことになる。
【0006】
従って、本発明の目的は、上記欠点に鑑み、ガス検知器の形状、点検用ガスの供給方法の相違によっても、正しい点検作業を行いやすくするガス検知器の点検方法を提供することにある。
【0007】
この目的を達成するための本発明のガス検知器の点検方法の特徴手段は、
ガス検知素子を備えたガス検知手段を内装するガス検知空間を備えたケーシングを設け、前記ケーシングに、前記ガス検知空間内外方向への通気を許容し、前記ケーシング外方から前記ガス検知素子に被検知ガスを誘導可能にする通気部を開口形成してあるガス検知器に、前記通気部から前記ガス検知空間に点検用ガスを供給して前記ガス検知手段の動作を点検するに、前記通気部を介して点検用ガスの所定量を注入する際に、前記通気部の開口度及び前記ケーシング内における前記ガス検知空間の容積に基づき、前記点検用ガスの供給時間を設定し、前記通気部から前記ガス検知空間に前記点検用ガスを前記供給時間で供給する点にある。
このとき、
前記ガス検知空間の容積をV、
前記通気部の開口度により決定される前記ガス検知空間の換気流量をQ、
前記ガス検知素子が前記ガス検知手段の動作を点検するために必要な出力を発するときの被検知ガス濃度をC、
前記点検用ガス中に含まれる被検知ガスの濃度をC1、
点検のために注入する点検用ガス量をv
としたときに、点検用ガスをv供給するのに要する供給時間Tを
C={v/(v+QT)}・C1・[1−exp(−{(v+QT)/V})]
の関係式から設定する。
【0008】
〔作用効果〕
つまり、ガス検知素子を備えたガス検知手段を内装するガス検知空間を備えたケーシングを設け、前記ケーシングに、前記ガス検知空間内外方向への通気を許容し、前記ケーシング外方から前記ガス検知素子に被検知ガスを誘導可能にする通気部を開口形成してあるガス検知器は、前記通気部から前記ガス検知器内部に点検用ガスを供給することにより、前記ガス検知空間内部にまでに点検用ガスを供給することができる。このとき、前記ガス検知空間では、点検用ガスが内部に流入するとともに、内部から空気が流出し、ガス検知空間内部のガスが置換される事になる。すると、前記ガス検知空間内部の被検知ガス濃度は、前記点検用ガス中の被検知ガス濃度よりも希釈されることになる。その希釈度は、ガス検知器器の形状と、前記点検用ガスの供給時間によって決まるから、あらかじめ、そのガス検知器の形状のパラメータを知っておくことにより、前記供給時間を前記パラメータに対応して設定し、その設定通りに点検用ガスを供給すれば、好ましい点検状態が知られるのである。つまり、通気部の開口度及びガス検知空間の容量から点検用ガスの供給時間が設定できるのである。
【0009】
ここで、
前記ガス検知空間の容積をV、
前記通気部の開口度により決定される前記ガス検知空間の換気流量をQ、
前記ガス検知素子が前記ガス検知手段の動作を点検するために必要な出力を発するときの被検知ガス濃度をC、
前記点検用ガス中に含まれる被検知ガスの濃度をC1、
点検のために注入する点検用ガス量をv
としたときに、
点検用ガスの総注入量vを供給時間Tで均一に注入した場合に、前記ガス検知空間内の被検知ガス濃度cは、(前記ガス検知空間に注入したガスが瞬時にその空間内に拡散すると仮定して、)以下のような関係にある。
【0010】
0<t≦Tの時、
cとtの関係は、数1で表されるから、数2の関係が成り立つ。
【0011】
【数1】
【0012】
【数2】
【0013】
T<tの時、同様に、数3の関係から数4の関係が成り立つ。
【0014】
【数3】
【0015】
【数4】
【0016】
ここで、c( t)をグラフにすると、
v=6
V =60
Q =7.5として、図5のようになる。
ただし、T はT=0,5,10、30とした。
図5 より、ガス検知空間に注入された被検知ガスは供給動作に伴い高濃度になり、ある最高濃度に達した後、減衰することが読み取れる。
最高濃度は数4において、t=Tの時に相当するので、最高濃度をCとすれば、
【0017】
【数5】
【0018】
X、Y、PをQ、v、Tで表すと
【0019】
【数6】
【0020】
となる。
ここで、T の値を変えた時にC の値がどう変わるかを図示すると図6のようになる。このグラフより、注入時間T が短ければ、最高濃度C は比較的高く、T が長ければ長いほど最高濃度C は低くなる事が分かる。
したがって、ガス検知空間の被検知ガス濃度C が点検に際して用いるべき被検知ガス濃度を満たすようにするには、点検用ガスの注入時間T を適度に設定すれば良いことになる。
以下、一例を示す。
注入する点検用ガスとして被検知ガス10%の濃度が得られものとし(C1=10%)、点検に際して用いるべき被検知ガス(すなわちガス検知空間の被検知ガス)が0.6〜0.8%の濃度であることが望ましいとする場合を考えよう。
0.6%のガスと10%のガスの比率は0.06であるから、図6よりCが0.06×C1になる注入時間T を求めると約7.3秒となる。どうように0.8%では、注入時間Tが約3.6秒となる。したがって、この場合は、点検用ガスを4〜7秒程度の注入時間で点検すれば良いこということになる。
このように、数6の関係式から点検用ガスの注入時間を適切に設定することによって、前記ガス検知空間内の被検知ガス濃度をガス検知レベルに対応した適度な濃度に達せうることになるので、ガス検知器の点検において特に好ましいといえる。
さて、点検用ガスの濃度C1は点検に必要な被検知ガスの濃度Cに比べ高い濃度でなければならないことに留意する必要があるが、点検用ガスとして濃度100%の純ガスや大気希釈の適度な濃度のものを用いれば良い。
また、簡便には、点検用ガスをガス燃焼機器から採取することも可能である。この場合にはガス機器の燃焼炎の各位置からシリンジあるいはスポイト状の器具で被検知ガスを採取することにより、各種濃度の被検知ガスが採取できることが知られている(図2,3参照)。
たとえば、図3(イ)は都市ガス(13A)の燃焼機器の場合で、燃焼炎の最下端B(ノズルからの距離=0)からは5.5%のメタンガスが得られ、内炎先端部まで徐々に位置をずらすことでより低い濃度のメタンガスが得られる。一方、燃焼炎の内炎先端部近傍C(ノズルからの距離=2.5)では、3%程度の一酸化炭素が得られ、位置を上下にずらすことで、より低い濃度の一酸化炭素濃度が得られる。
また、図3(ロ)はLPG燃焼機器の場合で、都市ガス燃焼機器の場合と同様に、燃焼炎の位置で適度な濃度の点検用ガスが得られることが分かる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
(1) ガス検知素子1をガス検知回路2に設け、そのガス検知素子1からの出力を受け警報信号を発する警報部3を備えたガス検知手段を内装するガス検知空間4を備えたケーシング5を設け、前記ケーシング5に、前記ガス検知空間4内外方向への通気を許容し、前記ケーシング外方から前記ガス検知素子に被検知ガスを誘導可能にする通気部6を開口形成してあるガス検知器(図1参照)に、前記通気部6から前記ガス検知空間4に点検用ガスを供給して前記ガス検知手段の動作を点検する際に、
前記通気部6を介して点検用ガスの所定量を注入する際に、前記通気部6の開口度及び前記ケーシング5内における前記ガス検知空間4の容積に基づき、前記点検用ガスの供給時間を設定し、前記通気部6から前記ガス検知空間4に前記点検用ガスを前記供給時間で供給する。
この際、経験則に基づきガス検知空間4の容積とその通気部6の開口度を考慮することができるし、流体力学的に前記ガス検知空間4の換気流量を求めてもよい。
【0023】
(2) 同様に、前記ガス検知器に、前記通気部6から前記ガス検知空間4に点検用ガスを供給して前記ガス検知手段の動作を点検する際に、前記通気部6を介して点検用ガスの所定量を注入する際に、前記点検用ガスの供給時間を、
前記ガス検知空間4の容積をV、
前記通気部6の開口度により決定される前記ガス検知空間4の換気流量をQ、
前記ガス検知素子1が前記ガス検知手段の動作を点検するために必要な出力を発するときの被検知ガス濃度をC、
前記点検用ガス中に含まれる被検知ガスの濃度をC1、
点検のために注入する点検用ガス量をv
としたときに、点検用ガスをv供給するのに要する時間Tを、前記数6の関係式から設定し、前記通気部から前記ガス検知空間に前記点検用ガスを前記供給時間で供給する。
【0024】
この方法によれば、ガス警報器ごとに前記換気流量を求めてあれば、点検作業者の用意した点検用ガスの被検知ガス濃度によらず、適切なガス供給時間を選択することにより、確実な点検を行える。
【0025】
【実施例】
以下に本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
(1) 経験則に基づきガス検知空間とその通気部の開口度を考慮する場合
A社製LPG警報器を用意し、警報器のガス検知空間に点検用ガスを注入した。ここで、前記警報器は、46mlのガス検知空間を有し、イソブタンガス濃度換算で0.25%の鳴動レベル以上の被検知ガスを検知したときに鳴動する設定を満足することがあらかじめ知られており、点検用ガスの供給には、8mlのシリンジを用いた。
【0026】
注入するイソブタンガス濃度を0.25%から2.5%まで変化させつつ、前記点検用ガスの注入速度を全量注入するのに要する時間が2秒、4秒、6秒となるように調整し、前記ガス検知装置が鳴動するかどうかを、繰り返し調べたところ表1のようになった。
【0027】
【表1】
○:すべて鳴動する、△:鳴動する場合がある、×:全く鳴動しない、
【0028】
表1によると、注入する点検用ガス濃度が、鳴動レベルよりも十分高い場合で無ければ、前記点検用ガスを短時間で供給しなければならず、2%で4秒という組み合わせが、鳴動するかどうかの境界線になっている。つまり、このガス検知器のガス検知空間とその通気部の開口度を考慮すると、以下のことがわかる。
〈1〉 8mlの点検用ガスを用いる場合、鳴動レベルの10倍程度の被検知ガス濃度とすることが望ましい。
〈2〉 点検用ガスの注入時間は、2秒程度以下が望ましく、前記点検用ガスが鳴動レベルの10倍程度の被検知ガス濃度となっている場合には、2秒から6秒が好ましい。
【0029】
このような点検を行うことにより、確実な点検が可能となった。
【0030】
(2) ガス検知空間の換気流量に基づく場合。
B社製都市ガス警報器を用意し、警報器のガス検知空間に点検用ガスを注入した。ここで、前記警報器は、95mlのガス検知空間を有しており、約2mm幅のスリット状開口部が周部に形成してあって、その総開口面積が612mm2 であった。
このガス検知器の前記開口部を通気部として、点検用ガスとして10%(C1)のメタンガスを6ml(ガス供給量v)瞬時に前記ガス検知空間内に供給し、その後、前記ガス検知空間内でのメタンガス濃度がどのように変化するのかを求めた。
【0031】
すると、図4に示すように、前記ガス検知空間内の被検知ガス濃度は、時間とともに減衰し、数7の曲線を描いていることがわかる(図4中実線)。この曲線は、数8の関係を示すから、これらより、Qを求めて、前記ガス検知空間の換気流量は5.76ml/秒であることが求められる。
【0032】
【数7】
C=0.154exp(−0.0606t)
【0033】
【数8】
C∝exp[−(Q/95)t]
【0034】
この値を用い、各種警報器に8mlを5秒間で供給した場合に、前記数6の関係を満たす被検知ガス濃度の点検用ガスを調製し、前記警報器の点検を行い、前記ガス検知空間の被検知ガス濃度の計算値と、実際の値とを比較したところ、表2のようになった。
【0035】
【表2】
【0036】
表2より、前記ガス検知空間内の被検知ガス濃度は、前記数6に従って適切に設定されていることがわかる。尚、ガス検知空間濃度(ガス検知空間内の被検知ガス濃度)の実測値が、計算値よりも小さくなっているのは、実測可能な条件下でも、ガス検知素子の出力が応答遅れを伴って観測されることによると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガス検知器の概略図
【図2】燃焼炎と点検用ガス採取位置との関係を示す図
【図3】燃焼炎と点検用ガス採取位置との関係を示すグラフ(イ)は都市ガス燃焼機器の場合、(ロ)はLPGガス燃焼機器の場合
【図4】ガス検知空間内の被検知ガス濃度の実測経時変化を示すグラフ
【図5】ガス検知空間内の被検知ガス濃度の経時変化を示すグラフ
【図6】ガス検知空間内の被検知ガス濃度の換気流量依存性を示すグラフ
【符号の説明】
1 ガス検知素子
2 ガス検知回路
3 警報部
4 ガス検知空間
5 ケーシング
6 通気部
Claims (1)
- ガス検知素子を備えたガス検知手段を内装するガス検知空間を備えたケーシングを設け、
前記ケーシングに、前記ガス検知空間内外方向への通気を許容し、前記ケーシング外方から前記ガス検知素子に被検知ガスを誘導可能にする通気部を開口形成してあるガス検知器に、
前記通気部から前記ガス検知空間に点検用ガスを供給して前記ガス検知手段の動作を点検するガス検知器の点検方法であって、
前記通気部を介して点検用ガスの所定量を注入する際に、
前記通気部の開口度及び前記ケーシング内における前記ガス検知空間の容積に基づき、前記点検用ガスの供給時間を設定するべく、
前記ガス検知空間の容積をV、
前記通気部の開口度により決定される前記ガス検知空間の換気流量をQ、
前記ガス検知素子が前記ガス検知手段の動作を点検するために必要な出力を発するときの被検知ガス濃度をC、
前記点検用ガス中に含まれる被検知ガスの濃度をC1、
点検のために注入する点検用ガス量をvとしたときに、前記点検用ガスをv供給するのに要する供給時間Tを
C={v/(v+QT)}・C1・[1−exp(−{(v+QT)/V})]
の関係式から設定して、
前記通気部から前記ガス検知空間に前記点検用ガスを前記供給時間で供給するガス検知器の点検方法。
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