JP4676077B2 - スクロール式流体機械 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば空気圧縮機等として好適に用いられるスクロール式流体機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、スクロール式流体機械は、ケーシングと、該ケーシングに設けられ鏡板の歯底面に渦巻状のラップ部が立設された固定スクロールと、前記ケーシングに回転可能に設けられた駆動軸と、前記ケーシング内で該駆動軸の先端側に旋回可能に設けられ、鏡板の歯底面に前記固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成するラップ部が立設された旋回スクロールとを備えている。
【0003】
この種の従来技術によるスクロール式流体機械は、外部から駆動軸を回転駆動し、旋回スクロールを固定スクロールに対して一定の偏心寸法をもって旋回運動させることにより、固定スクロールの外周側に設けた吸込口から空気等の流体を吸込みつつ、この流体を固定スクロールのラップ部と旋回スクロールのラップ部との間の各圧縮室内で順次圧縮し、固定スクロールの中心部に設けた吐出口から圧縮流体を外部に向けて吐出する。
【0004】
また、スクロール式流体機械には、固定スクロールをケーシング内に軸方向に可動的に設け、固定スクロールの鏡板背面側にはケーシングとの間に圧縮室内の中間圧を導く圧力室を設ける構成としたものがある(例えば特開2000−130365号公報等)。
【0005】
この従来技術にあっては、圧力室内の中間圧によって固定スクロールを旋回スクロールに向けて軸方向に押圧し、これにより固定スクロールのラップ部と旋回スクロールの歯底面との間のスラスト方向の隙間、および固定スクロールの歯底面と旋回スクロールのラップ部との間のスラスト方向の隙間を小さく保ち、圧縮室内の気密性を高めている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術によるスクロール式流体機械は、固定スクロールを圧力室内の中間圧によって旋回スクロールに向けて押圧することにより、固定スクロールを旋回スクロールの鏡板に接触させ、両スクロール間のスラスト方向の隙間を小さく保つ構成としている。
【0007】
しかし、この場合、固定スクロールのラップ部または旋回スクロールのラップ部が相手方の歯底面と接触することのないように、ラップ部と歯底面との間にスラスト方向の小さな隙間を確保しようとすると、ラップ部の加工時に高い加工精度が要求され、作業性が低下するという問題がある。
【0008】
一方、ラップ部の加工精度をある程度下げると、例えば固定スクロールのラップ部の高さが旋回スクロールのラップ部よりも大きくなることがあり、この場合、固定スクロールを旋回スクロールに向けて押圧したときに、固定スクロールのラップ部が旋回スクロールの歯底面に接触してしまい、両スクロール間の面圧が高くなり、異常摩耗の原因になるという問題がある。また、固定スクロールの歯底面と旋回スクロールのラップ部との間の隙間が大きくなり、圧縮性能が低下するという問題もある。
【0009】
また、運転時の圧縮熱により固定スクロールのラップ部、旋回スクロールのラップ部が軸方向(高さ方向)に熱膨張したときにも、ラップ部が相手方の鏡板の歯底面と接触してかじりが生じることがあるという問題がある。
【0010】
さらに、この従来技術にあっては、運転時に固定スクロールが圧力室により旋回スクロールの鏡板に常に押付けられるため、旋回スクロールの鏡板が固定スクロールと摺動し続けるようになり、両スクロール間で摩耗が進行する。そして、このような摩耗が進行するに従って、固定スクロールと旋回スクロールとの間のスラスト方向の隙間が徐々に縮小し、固定スクロールのラップ部または旋回スクロールのラップ部が相手方の鏡板と接触してかじりが生じるという問題がある。
【0011】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、固定スクロールのラップ部と旋回スクロールの歯底面との間、または固定スクロールの歯底面と旋回スクロールのラップ部との間に常に小さな隙間を確保できるようにし、これらの間で摩耗、かじりが発生するのを防止でき、圧縮性能を高められるようにしたスクロール式流体機械を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために請求項1の発明によるスクロール式流体機械は、ケーシングと、該ケーシング内に軸方向に可動的に設けられ鏡板の歯底面に渦巻状のラップ部が立設された固定スクロールと、前記ケーシングに回転可能に設けられた駆動軸と、前記ケーシング内で該駆動軸の先端側に旋回可能に設けられ鏡板の歯底面に前記固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成するラップ部が立設された旋回スクロールと、前記ケーシングと該固定スクロールの鏡板背面側との間に設けられ鏡板に穿設された連通孔を通じて前記圧縮室内の中間圧が導かれる圧力室とを備えている。
【0013】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記固定スクロールと旋回スクロールとのラップ部のうち少なくとも一方側のラップ部の歯先には、相手方の歯底面との間をシールするシール部材を設け、前記固定スクロールと旋回スクロールとの間には、前記固定スクロールが圧力室内の中間圧によって軸方向に移動したときに前記ラップ部の歯先と相手方の歯底面との間に隙間を確保するため、前記固定スクロールの移動を規制する規制部材を設け、前記規制部材は前記旋回スクロールに取付け、前記シール部材が相手方の歯底面と接触したときに前記固定スクロールと前記規制部材との間には微小な隙間を与え、前記シール部材が摩耗し、前記固定スクロールと前記規制部材とが接触した場合、前記固定スクロールと前記旋回スクロールの鏡板との間には隙間を確保し、前記規制部材が摩耗し、前記固定スクロールと前記旋回スクロールの鏡板とが接触した場合、前記固定スクロールの前記ラップ部の歯先と相手方の歯底面との間及び前記旋回スクロールの前記ラップ部の歯先と相手方の歯底面との間には隙間を確保する構成としたことにある。
【0014】
このように、固定スクロールと旋回スクロールとのラップ部のうち少なくとも一方側のラップ部の歯先には、相手方の歯底面との間をシールするシール部材を設ける構成したことにより、例えば固定スクロールのラップ部に設けたシール部材を相手方の歯底面に安定して接触させることができ、圧縮室内を良好にシールすることができる。そして、運転時に固定スクロールが中間室内の中間圧によってケーシング内を旋回スクロール側へと軸方向に移動したときには、固定スクロールが旋回スクロールに設けた規制部材に当接してこれ以上の固定スクロールの移動が規制される。
【0015】
これにより、固定スクロールのラップ部、歯底面と旋回スクロールの歯底面、ラップ部との間にそれぞれスラスト方向の隙間を確保でき、ラップ部と歯底面とが接触して摩耗するのを抑えることができる。
【0016】
この場合、運転の初期時には、固定スクロールと規制部材との間に微小隙間を形成し、この状態で圧力室からの中間圧によりシール部材を相手方の歯底面に押付けて摺接させることができる。また、シール部材が摩耗したときには、固定スクロールが規制部材と当接することにより圧力室内の中間圧によるスラスト荷重を受承でき、このスラスト荷重がシール部材に集中して作用するのを防止することができる。
【0017】
そして、前記シール部材が摩耗することにより、前記固定スクロールと前記規制部材とが接触した場合には、前記固定スクロールと前記旋回スクロールの鏡板との間には隙間を確保することができる。さらに、前記規制部材が摩耗し、前記固定スクロールと前記旋回スクロールの鏡板とが接触した場合には、前記固定スクロールの前記ラップ部の歯先と相手方の歯底面との間及び前記旋回スクロールの前記ラップ部の歯先と相手方の歯底面との間に隙間を確保することができる。
【0021】
一方、請求項の発明が採用する構成の特徴は、前記固定スクロールと旋回スクロールとのラップ部のうち少なくとも一方側のラップ部の歯先には、相手方の歯底面との間をシールするシール部材を設け、前記固定スクロールと旋回スクロールとの間には、前記固定スクロールが圧力室内の中間圧によって軸方向に移動したときに前記ラップ部の歯先と相手方の歯底面との間に隙間を確保するため、前記固定スクロールの移動を規制する規制部材を設け、前記規制部材は前記固定スクロールに取付け、前記シール部材が相手方の歯底面と接触したときに前記旋回スクロールと前記規制部材との間には微小な隙間を与え、前記シール部材が摩耗し、前記旋回スクロールと前記規制部材とが接触した場合、前記固定スクロールと前記旋回スクロールの鏡板との間には隙間を確保し、前記規制部材が摩耗し、前記固定スクロールと前記旋回スクロールの鏡板とが接触した場合、前記固定スクロールの前記ラップ部の歯先と相手方の歯底面との間及び前記旋回スクロールの前記ラップ部の歯先と相手方の歯底面との間に隙間を確保する構成としたことにある。
【0022】
このように構成したことにより、運転時に固定スクロールが中間室内の中間圧によってケーシング内を旋回スクロール側へと軸方向に移動したときには、固定スクロールに取付けた規制部材旋回スクロールに当接してこれ以上の固定スクロールの移動規制することができ、前述した請求項1の発明とほぼ同様に、固定スクロールのラップ部、歯底面と旋回スクロールの歯底面、ラップ部との間にそれぞれスラスト方向の隙間を確保することができる。
【0023】
そして、シール部材が摩耗することにより、旋回スクロールと規制部材とが接触した場合には、固定スクロールと旋回スクロールの鏡板との間には隙間を確保することができる。さらに、前記規制部材が摩耗し、固定スクロールと旋回スクロールの鏡板とが接触した場合には、固定スクロールのラップ部の歯先と相手方の歯底面との間及び旋回スクロールのラップ部の歯先と相手方の歯底面との間に隙間を確保することができる。
【0024】
また、請求項3によるスクロール式流体機械は、ケーシングと、該ケーシングの軸線上に位置して該ケーシングの両端側に軸方向に可動的に設けられ鏡板の歯底面に渦巻状のラップ部が立設された第1,第2の固定スクロールと、該第1,第2の固定スクロール間に位置して前記ケーシング内に設けられ、ロータとステータとが前記ケーシングの軸線と同一方向となるように配置された電動機と、前記第1,第2の固定スクロールと対面して該電動機の出力軸の両端側に設けられ、鏡板の歯底面に前記第1,第2の固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成するラップ部が立設された第1,第2の旋回スクロールと、前記ケーシングと第1,第2の固定スクロールの鏡板背面側との間に設けられ該鏡板に穿設された連通孔を通じて前記圧縮室内の中間圧が導かれる第1,第2の圧力室とを備えている。
【0025】
そして、請求項の発明が採用する構成の特徴は、固定スクロールと旋回スクロールとのラップ部のうち少なくとも一方側のラップ部の歯先には、相手方の歯底面との間をシールするシール部材を設け、前記第1,第2の固定スクロールと第1,第2の旋回スクロールとの間には、前記第1,第2の固定スクロールが第1,第2の圧力室内の中間圧によって軸方向に移動したときに前記ラップ部の歯先と相手方の歯底面との間に隙間を確保するため、前記第1,第2の固定スクロールの移動を規制する第1,第2の規制部材を設け、前記規制部材は前記旋回スクロールに取付け、前記シール部材が相手方の歯底面と接触したときに前記固定スクロールと前記規制部材との間には微小な隙間を与え、前記シール部材が摩耗し、前記固定スクロールと前記規制部材とが接触した場合、前記固定スクロールと前記旋回スクロールの鏡板との間には隙間を確保し、前記規制部材が摩耗し、前記固定スクロールと前記旋回スクロールの鏡板とが接触した場合、前記固定スクロールの前記ラップ部の歯先と相手方の歯底面との間及び前記旋回スクロールの前記ラップ部の歯先と相手方の歯底面との間に隙間を確保する構成としたことにある。
【0026】
このように構成したことにより、運転時に第1,第2の固定スクロールが中間室内の中間圧によってケーシング内を第1,第2の旋回スクロール側へと軸方向に移動したときには、各固定スクロールが例えば第1,第2の旋回スクロールに設けた第1,第2の規制部材に当接してこれ以上の固定スクロールの移動を規制でき、前述した請求項1の発明とほぼ同様に、固定スクロールのラップ部、歯底面と旋回スクロールの歯底面、ラップ部との間にそれぞれスラスト方向の隙間を確保することができる。
【0027】
即ち、運転の初期時には、固定スクロールと規制部材との間に微小隙間を形成し、この状態で圧力室からの中間圧によりシール部材を相手方の歯底面に押付けて摺接させることができる。また、シール部材が摩耗したときには、固定スクロールが規制部材と当接することにより圧力室内の中間圧によるスラスト荷重を受承でき、このスラスト荷重がシール部材に集中して作用するのを防止することができる。そして、前記シール部材が摩耗することにより、固定スクロールと規制部材とが接触した場合には、固定スクロールと旋回スクロールの鏡板との間に隙間を確保することができる。さらに、前記規制部材が摩耗し、固定スクロールと旋回スクロールの鏡板とが接触した場合には、固定スクロールのラップ部の歯先と相手方の歯底面との間及び旋回スクロールのラップ部の歯先と相手方の歯底面との間に隙間を確保することができる。
【0028】
さらに、請求項の発明が採用する構成の特徴は、前記固定スクロールと旋回スクロールとのラップ部のうち少なくとも一方側のラップ部の歯先には、相手方の歯底面との間をシールするシール部材を設け、前記第1,第2の固定スクロールと第1,第2の旋回スクロールとの間には、前記第1,第2の固定スクロールが第1,第2の圧力室内の中間圧によって軸方向に移動したときに前記ラップ部の歯先と相手方の歯底面との間に隙間を確保するため、前記第1,第2の固定スクロールの移動を規制する第1,第2の規制部材を設け、前記規制部材は前記固定スクロールに取付け、前記シール部材が相手方の歯底面と接触したときに前記旋回スクロールと前記規制部材との間には微小な隙間を与え、前記シール部材が摩耗し、前記旋回スクロールと前記規制部材とが接触した場合、前記固定スクロールと前記旋回スクロールの鏡板との間には隙間を確保し、前記規制部材が摩耗し、前記固定スクロールと前記旋回スクロールの鏡板とが接触した場合、前記固定スクロールの前記ラップ部の歯先と相手方の歯底面との間及び前記旋回スクロールの前記ラップ部の歯先と相手方の歯底面との間に隙間を確保する構成としたことにある。
【0029】
このように構成したことにより、運転の初期時には、旋回スクロールと規制部材との間に微小隙間を形成し、この状態で圧力室内の中間圧によりシール部材を相手方の歯底面に押付けて摺接させることができる。また、シール部材が摩耗したときには、規制部材が旋回スクロールと当接することにより圧力室内の中間圧によるスラスト荷重を受承でき、このスラスト荷重がシール部材に集中して作用するのを防止することができる。そして、前記シール部材が摩耗することにより、旋回スクロールと規制部材とが接触した場合には、固定スクロールと旋回スクロールの鏡板との間には隙間を確保することができる。さらに、前記規制部材が摩耗し、前記固定スクロールと前記旋回スクロールの鏡板とが接触した場合には、前記固定スクロールの前記ラップ部の歯先と相手方の歯底面との間及び前記旋回スクロールの前記ラップ部の歯先と相手方の歯底面との間に隙間を確保することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態によるスクロール式流体機械としてスクロール式空気圧縮機を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0031】
ここで、図1および図2は本発明の前提となる参考例を示し、1はスクロール式空気圧縮機の外枠を構成する筒状のケーシングで、該ケーシング1は、図1に示すように軸線O1−O1を有したケーシング本体2と、該ケーシング本体2の両端側に固着して設けられた軸受取付筒部3A,3Bと、該軸受取付筒部3A,3Bに固着して設けられ後述の旋回スクロール27A,27Bを外側から取囲んだ第1のスクロール収容筒部4A,4Bと、該スクロール収容筒部4A,4Bに固着して設けられ固定スクロール6A,6Bを外側から取囲んだ有底筒状の第2のスクロール収容筒部5A,5Bとにより構成されている。
【0032】
ここで、ケーシング1の軸受取付筒部3A,3Bのうち第1の軸受取付筒部3Aには補助クランク収容穴3A1が設けられている。また、スクロール収容筒部4A,4Bには周方向に複数の通気孔4A1,4B1(2個のみ図示)が穿設されると共に、スクロール収容筒部5A,5Bには後述の吸込口38A,38Bと連通する位置に開口部5A1,5B1が穿設されている。
【0033】
6A,6Bはケーシング1の両端側に位置してスクロール収容筒部5A,5B内に軸方向に可動的に設けられた第1,第2の固定スクロールで、該第1の固定スクロール6Aは、略円板状に形成され、中心がケーシング1の軸線O1−O1と一致するように配設され鏡板7Aと、該鏡板7Aの表面となる歯底面8Aに立設された渦巻状のラップ部9Aと、鏡板7Aの外周側から該ラップ部9Aを取囲むように軸方向に突出し、スクロール収容筒部5A内に嵌合して設けられた嵌合筒部10Aとによって構成されている。
【0034】
また、固定スクロール7Aの鏡板7A背面側には周方向に離間して軸方向に複数のピン穴7A1が穿設されている。さらに、固定スクロール6Aの嵌合筒部10Aは、その開口端側に後述の規制部材36Aと当接する端面10A1を有している。
【0035】
そして、固定スクロール6Aは、ピン穴7A1がケーシング1のスクロール収容筒部5Aに突設されたガイドピン11Aに摺動可能に挿嵌されることにより、ケーシング1に対して廻止め状態に保持されると共に軸方向に移動可能にガイドされる。ここで、固定スクロール6Aのラップ部9A歯先と後述の旋回スクロール27Aの歯底面29Aとの間には、図2に示すようにスラスト方向の隙間S1が設けられている。
【0036】
また、第2の固定スクロール6Bについても、鏡板7B、歯底面8B、ラップ部9Bおよび嵌合筒部10Bによって構成され、鏡板7B、嵌合筒部10Bはそれぞれピン穴7B1、端面10B1を有している。そして、固定スクロール6Bはガイドピン11Bによりケーシング1に対し廻止め状態に保持されると共に軸方向に移動可能にガイドされるものである。
【0037】
12A,12Bは固定スクロール6A,6Bのラップ部9A,9B歯先に装着された第1,第2のシール部材12Aで、該シール部材12Aは、耐摩耗性、耐摺動性に優れた弾性樹脂材料を用いて形成され、ラップ部9Aの歯先に沿って渦巻き状に延びている。また、このシール部材12Aはラップ部9Aの歯先から一定寸法だけ軸方向に突出し、相手方となる後述の旋回スクロール27Aの歯底面29Aに摺接し、歯底面29Aとの間を気密にシールしている。
【0038】
13は固定スクロール6A,6B間に位置してケーシング1内の中間部に設けれた電動機で、該電動機13は、ケーシング本体2の内周側に固定的に設けられたステータ14と、該ステータ14の内周側に該ステータ14によって回転するように配設されたロータ15とによって構成され、ステータ14の軸線とロータ15の軸線はケーシング1の軸線O1−O1と同一軸線上に配置されている。そして、電動機13は、ロータ15を回転することにより後述の回転軸23を駆動するものである。
【0039】
16A,16Bは固定スクロール6A,6Bと電動機13との間に位置して、軸受取付筒部3A,3Bの内周側に設けられた第1,第2の偏心軸受で、該第1の偏心軸受16Aは、外輪17Aと、該外輪17Aの内周側に外側転動体となる複数の球体18Aによって回転可能に設けられ、回転軸23の外周側に固着された外側中輪19Aと、回転軸23の内周側に固着された内側中輪20Aと、該内側中輪20Aの内周側に内側転動体となる複数の球体21Aによって回転可能に設けられた内輪22Aとによって構成されている。
【0040】
ここで、外輪17Aは、軸受取付筒部3Aの内周側に圧入されて取付けられ、軸線O1−O1上に配置される。また、外側中輪19Aは、球体18Aによって外輪17Aの内周側に位置決めされ、軸線O1−O1上に配置されている。そして、この状態で球体18Aは外輪17Aと外側中輪19Aとの間を軸線O1−O1を中心として転動する。
【0041】
これに対して内側中輪20Aは、外輪17Aの軸線O1−O1に対して径方向に一定寸法δだけ偏心した偏心軸線O2−O2上に配置されている。また、内輪22Aは、球体21Aによって内側中輪20Aの内周側に位置決めされ、偏心軸線O2−O2上に配置されている。そして、この状態で球体21Aは偏心軸線O2−O2を中心に転動する。
【0042】
かくして、偏心軸受16Aは、外側中輪19Aと内側中輪20Aとが回転軸23と一体に回転することにより、旋回軸24と一体となった内輪22Aが軸線O1−O1を中心として寸法δの旋回半径をもった旋回運動を行うものである。また、第2の偏心軸受16Bについても、外輪17B、球体18B、外側中輪19B、内側中輪20B、球体21Bおよび内輪22Bによって構成されている。
【0043】
23は電動機13のロータ15を挟んで両端側が偏心軸受16A,16Bに設けられた回転軸で、該回転軸23は、中空軸体として形成され、電動機13のロータ15内周側に挿嵌されて固定的に設けられている。
【0044】
ここで、回転軸23は、図1に示すように、外周側が外輪17A,17Bの軸線O1−O1上に配置されるのに対し、内周側は軸線O1−O1に対して径方向に一定寸法δだけ偏心した偏心軸線O2−O2上に配置される。
【0045】
そして、回転軸23は、両端側がそれぞれ外側中輪19A,19Bの内周側と内側中輪20A,20Bの外周側にそれぞれ固着され、ロータ15と一体となって回転することにより偏心軸受16A,16B、旋回軸24を介して旋回スクロール27A,27Bを駆動する駆動軸を構成している。
【0046】
24は回転軸23内を遊嵌して設けられ、偏心軸受16A,16Bの内輪22A,22Bに固定的に支持された旋回軸で、該旋回軸24は、中実な円柱体として形成され、偏心軸線O2−O2上に配置されている。また、旋回軸24の両端側は内輪22A,22Bの内周側に挿嵌して固着され、偏心軸受16A,16Bにより軸線O1−O1を中心として寸法δの旋回半径を持った旋回運動を行うものである。そして、旋回軸24は回転軸23と共に電動機13の出力軸を構成し、ロータ15の回転運動を回転軸23、偏心軸受16A,16Bを介して旋回運動に変換して出力するものである。
【0047】
25A,25Bは旋回軸24の両端側に固定的に設けられた第1,第2のスラスト受板で、該第1のスラスト受板25Aは、段付の円板状に形成されている。また、このスラスト受板25Aの中央には、軸線O1−O1と対応した位置に固定ボルト26Aが取付けられ、これによりスラスト受板25Aは旋回軸24の端部側に廻止め状態で固定して取付けられている。
【0048】
そして、スラスト受板25Aはその表面側が旋回スクロール27Aの背面側に当接することにより、旋回スクロール27Aに作用するスラスト荷重を支持するものである。また、スラスト受板25Aの裏面側には図2に示すように他の補助クランク収容穴25A1が設けられている。また、スラスト受板25Bについても固定ボルト26Bにより旋回軸24の端部側に固定されている。
【0049】
27A,27Bは固定スクロール6A,6Bと対面して旋回軸24の軸方向両端側にそれぞれ固定的に設けられた第1,第2の旋回スクロールで、該第1の旋回スクロール27Aは、円板状に形成された鏡板28Aと、該鏡板28Aの表面となる歯底面29Aから軸方向に立設された渦巻状のラップ部30Aとによって大略構成されている。また、旋回スクロール27Aの鏡板28A内部には、径方向に貫通して延びる複数の冷却風通路31A(1個のみ図示)が形成されている。
【0050】
そして、旋回スクロール27Aは、鏡板28Aがボルト(図示せず)等によりスラスト受板25Aに一体に取付けられている。ここで、旋回スクロール27Aのラップ部30A歯先と固定スクロール6Aの歯底面8Aとの間には、図2に示すようにスラスト方向の隙間S1が設けられている。
【0051】
そして、旋回スクロール27Aのラップ部30Aは、固定スクロール6Aのラップ部9Aに対し例えば180度だけずらして重なり合うように配設され、両者のラップ部9A,30A間には複数の圧縮室32A,32A,…が画成される。
【0052】
そして、スクロール式空気圧縮機の運転時には、後述の吸込口38Aから外周側の圧縮室32A内に空気を吸込みつつ、この空気を旋回スクロール27Aが旋回運動する間に各圧縮室32A内で順次圧縮し、最後に中心側の圧縮室32Aから後述の吐出口39Aを介して外部に圧縮空気を吐出する。
【0053】
また、第2の旋回スクロール27Bについても、鏡板28B、ラップ部30B、および冷却風通路31B等によって構成され、固定スクロール6Bとの間に複数の圧縮室32Bを画成している。
【0054】
33A,33Bは旋回スクロール27A,27Bのラップ部30A,30B歯先に装着された第1,第2のシール部材で、該第1,第2のシール部材33A,33Bについても、シール部材12A,12Bとほぼ同様に、耐摩耗性、耐摺動性に優れた弾性樹脂材料を用いて形成され、相手方となる固定スクロール6A,6Bの歯底面8A,8Bとの間を気密にシールしている。
【0055】
34A,34Bはケーシング1のスクロール収容筒部5A,5Bと固定スクロール6A,6Bの背面側との間に設けられた第1,第2の圧力室で、該第1の圧力室34Aは、圧縮室32A内の中間圧を固定スクロール6Aの鏡板7Aに穿設した連通孔35Aを通じて固定スクロール6Aの背面側に導き、固定スクロール6Aを旋回スクロール27A側へと軸方向に押圧するものである。
【0056】
また、第2の圧力室34Bについても、圧縮室32B内の中間圧を連通孔35Bを通じて固定スクロール6Bの背面側に導き、固定スクロール6Bを軸方向に押圧する構成となっている。
【0057】
36A,36Bはケーシング1のスクロール収容筒部4A,4B内周側に設けられた第1,第2の規制部材で、該第1の規制部材36Aは、例えば自己潤滑性、耐摩耗性等に優れた材料を用いることにより、スクロール収容筒部4Aの軸方向外側の開口端から径方向内側に突出した断面四角形状の環状突起として形成されている。
【0058】
また、規制部材36Aは、固定スクロール6Aとの対向面側が当接面36A1となっている。そして、規制部材36Aは、固定スクロール6Aが圧力室34Aによって軸方向に移動したときに嵌合筒部10Aの端面10A1が当接面36A1と当接し、これ以上の固定スクロール6Aの移動を規制するストッパとして機能する共に、圧力室34Aからのスラスト荷重を受承するスラスト受を構成している。
【0059】
ここで、図2に示すように規制部材36Aの当接面36A1は、固定スクロール6Aの端面10A1との間の軸方向の離間寸法L1を、固定スクロール6Aのラップ部9Aと旋回スクロール27Aの歯底面29Aとの間の隙間S1よりも小さく(L1<S1)設定している。また、第2の規制部材36Bについても規制部材36Aと同様に構成され、当接面36B1を有している。
【0060】
なお、37は旋回スクロール27A,27Bの自転を防止する自転防止機構となる複数の補助クランクで、該補助クランク37は、ケーシング1の補助クランク収容穴3A1内とスラスト受板25Aの補助クランク収容穴25A1内にそれぞれ相対回転可能に取付けれている。
【0061】
また、38A,38Bは圧縮室32A,32Bの外周側に位置して固定スクロール6A,6Bに設けられた吸込口、39A,39Bは圧縮室32A,32Bの中心側に位置してケーシング1および固定スクロール6A,6Bに設けられた吐出口である。
【0062】
さらに、40A,40Bはケーシング1のスクロール収容筒部5A,5Bと固定スクロール6A,6Bとの間をシールして圧力室34A,34B内を密封するOリングである。
【0063】
発明の参考例によるスクロール式空気圧縮機は上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
【0064】
まず、電動機13のロータ15を回転すると、該ロータ15と一体となった回転軸23は、偏心軸受16A,16Bの球体18A,18Bによって回転運動を行い、このときに旋回軸24は球体21A,21Bによって回転軸23の内周側で回転する。
【0065】
ここで、前記球体18A,18Bは、ケーシング1の軸線O1−O1を中心として回転するのに対し、球体21A,21Bは軸線O1-O1に対して径方向に寸法δだけ偏心した偏心軸線O2−O2を中心として回転するから、内輪22A,22Bと一体となった旋回軸24は、球体21A,21Bにより軸線O1−O1を中心として寸法δの旋回半径をもった旋回運動を行い、旋回スクロール27A,27Bを旋回させる。
【0066】
この結果、固定スクロール6Aと旋回スクロール27Aとの間に画成された各圧縮室32Aはそれぞれ連続的に縮小し、固定スクロール6Aの吸込口38Aから吸込んだ外気を各圧縮室32Aで順次圧縮しつつ、この圧縮空気を固定スクロール6Aの吐出口33Aから外部の空気タンク(図示せず)等に貯留させる。また、固定スクロール6Bと旋回スクロール27Bとの間に画成された各圧縮室32Bについても、それぞれが連続的に縮小することにより、圧縮空気を前記空気タンク等に貯留させる。
【0067】
また、運転時には外部からの冷却風をケーシング1の通気孔4A1,4B1から冷却風通路31A,31B内に向けて流通させることにより、旋回スクロール27A,27B等を冷却することができる。
【0068】
ところで、本発明の参考例では、固定スクロール6A,6Bの背面側に圧力室34A,34Bを設け、この圧力室34A,34Bに圧縮室32A,32B内の中間圧を導くことにより、固定スクロール6A,6Bを旋回スクロール27A,27B側へと軸方向に押圧し、ラップ部9A,9B,30A,30Bに設けたシール部材12A,12B,33A,33Bを相手方の歯底面29A,29B,8A,8Bと摺接させる構成としている。
【0069】
この場合、固定スクロール6A,6Bが旋回スクロール27A,27Bと摺接して、固定スクロール6A,6Bと旋回スクロール27A,27Bとの間で摩耗が生じると、これに伴って、両者の間のスラスト方向の隙間S1が徐々に小さくなり、シール部材12A,12B,33A,33Bが摩耗する。
【0070】
然るに、本発明の参考例では、ケーシング1側に設けた規制部材36A,36Bにより固定スクロール6A,6Bの軸方向の移動を規制する構成としたので、固定スクロール6A,6Bのラップ部9A,9Bを旋回スクロール27A,27Bの鏡板28A,28Bと非接触の状態に保つことができ、固定スクロール6A,6Bと旋回スクロール27A,27Bとの間で摩耗が生じるのを防止することができる。
【0071】
このため、固定スクロール6A,6Bと旋回スクロール27A,27Bとの間には常に一定の小さなスラスト方向の隙間S1を確保しておくことができ、シール部材12A,12B,33A,33Bの摩耗の進行を抑えることができる。
【0072】
この結果、シール部材12A,12B,33A,33Bを相手方の歯底面29A,29B,8A,8Bに一定の面圧をもって安定して接触させることができ、圧縮室32A,32B内を良好に密封し続けて圧縮性能を高く維持するとができ、信頼性等を向上することができる。
【0073】
また、圧力室34A,34B内の中間圧によるスラスト荷重を規制部材36A,36Bにより受承でき、このスラスト荷重がシール部材12A,12B,33A,33Bに集中して作用するのを防止でき、これらのシール部材12A,12B,33A,33Bの耐久性、寿命等を高めることができる。
【0074】
また、規制部材36Aの当接面36A1は、固定スクロール6Aの端面10A1との間の軸方向の離間寸法L1を、固定スクロール6Aと旋回スクロール27Aとの間のスラスト方向の隙間S1よりも小さく(L1<S1)設定している。
【0075】
これにより、例えシール部材12A,33Aが摩耗しても、固定スクロール6Aと旋回スクロール27Aとの間には、(S1−L1>0)の大きさをもったスラスト方向の隙間を確保でき、ラップ部9A,30Aと相手方の歯底面29A,8Aとが接触してかじりが生じるのを防止できると共に、シール部材12A,33Aを歯底面29A,8Aと安定して摺接させることができる。
【0076】
また、規制部材36Bについても、当接面36B1と旋回スクロール27Bの歯底面29Bとの間の軸方向の離間寸法を、固定スクロール6Bと旋回スクロール27Bとの間のスラスト方向の隙間よりも小さく設定したので、例え規制部材36Bが固定スクロール6Bとの間で摩耗し、固定スクロール6Bが旋回スクロール27Bと摺接したとしても、シール部材12A,33Bを相手方の歯底面29A,8Aと安定して摺接させることができる。
【0077】
また、運転時には規制部材36A,36Bによって固定スクロール6A,6Bと旋回スクロール27A,27Bとの間のスラスト方向の隙間S1を調整する構成としたので、この隙間S1を調整するためにラップ部9A,9B,30A,30B等の加工精度を高める必要がなくなり、固定スクロール6A,6B、旋回スクロール27A,27Bの加工時の作業性を向上することができる。
【0078】
また、固定スクロール6A,6Bと旋回スクロール27A,27Bとの間には、規制部材36A,36Bによりスラスト方向に常に一定の隙間S1を確保できることにより、ラップ部9A,9B,30A,30Bが圧縮熱により高さ方向に熱変形したとしても、この熱膨張分をシール部材12A,12B,33A,33Bによって吸収でき、ラップ部9A,9B,30A,30Bが歯底面29A,29B,8A,8Bと直接摺接してかじりが生じるのを防止することができる。
【0079】
次に、図3ないし図6は本発明の第の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、旋回スクロールの鏡板外周側には、固定スクロールが圧力室の中間圧によって軸方向に移動したときに固定スクロールと摺接して固定スクロールの移動を規制する規制部材を設ける構成としたことにある。
【0080】
なお、本実施の形態では、前述した参考例と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0081】
41は本実施の形態に係るケーシングで、該ケーシング41は、図1および図2に示す参考例で述べたケーシング1とほぼ同様に、ケーシング本体42と、該ケーシング本体42の両端側に設けらた軸受取付筒部43A,43Bと、該軸受取付筒部43A,43Bに設けられた段付筒状のスクロール収容筒部44A,44Bとにより構成されている。
【0082】
また、ケーシング41の軸受取付筒部43Aには補助クランク収容穴43A1が設けられている。さらに、スクロール収容筒部44A,44Bには、通気孔44A1,44B1が穿設されると共に、吸込口38A,38Bと連通する位置に開口部44A2,44B2が穿設されている。
【0083】
45A,45Bはケーシング41のスクロール収容筒部44A,44B内に軸方向に可動的に設けられた本実施の形態に係る第1,第2の固定スクロールで、該第1の固定スクロール45Aは、前記参考例で述べた固定スクロール6Aとほぼ同様に、円板状に形成されピン穴46A1を有した鏡板46Aと、該鏡板46Aの歯底面47Bに立設されたラップ部48Aと、鏡板46Aの外周側に設けられ端面49A1を有した嵌合筒部49Aとによって構成されている。
【0084】
また、図4に示すように空気圧縮機の組立直後の状態では、固定スクロール45Aのラップ部48A歯先と後述する旋回スクロール51Aの歯底面53Aとの間には、スラスト方向の隙間S2が確保されている。また、第2の固定スクロール45Bについても、鏡板46B、歯底面47B、ラップ部48Bおよび嵌合筒部49Bによって構成され、鏡板46B、嵌合筒部49Bはそれぞれピン穴46B1、端面49B1を有している。
【0085】
50A,50Bは固定スクロール45A,45Bのラップ部48A,48B歯先に沿って設けられた本実施の形態に用いる第1,第2のシール部材で、該第1,第2のシール部材50A,50Bは、旋回スクロール51A,51Bの歯底面53A,53Bに摺接し、圧縮室32A,32B内を密封している。
【0086】
51A,51Bは旋回軸24の軸方向両端側にそれぞれ固定的に設けられた本実施の形態に係る第1,第2の旋回スクロールで、該第1の旋回スクロール51Aは、円板状に形成された鏡板52Aと、該鏡板52Aの歯底面53Aに立設されたラップ部54Aと、鏡板52Aの内部に設けられた複数の冷却風通路55A(1個のみ図示)とによって構成されている。また、旋回スクロール51Aの鏡板52A外周端側には固定スクロール45Aの端面49A1側に開口する環状凹溝52A1が設けられている。
【0087】
さらに、図4に示すように空気圧縮機の組立直後の状態では、旋回スクロール51Aのラップ部54A歯先と固定スクロール45Aの歯底面47Aとの間には、スラスト方向の隙間S2が設けられている。また、第2の旋回スクロール51Bについても、鏡板52B、歯底面53B、ラップ部54Bおよび冷却風通路55Bが設けられている。
【0088】
56A,56Bは旋回スクロール51A,51Bのラップ部54A,54B歯先に沿って設けられた本実施の形態に用いる他の第1,第2のシール部材で、該第1,第2のシール部材56A,56Bは、固定スクロール45A,45Bの歯底面47A,47Bに摺接し、シール部材50A,50Bと一緒に圧縮室32A,32B内を密封している。
【0089】
57A,57Bは前述した参考例による規制部材36A,36Bに替えて、旋回スクロール51A,51Bに設けられた第1,第2の規制部材で、該第1の規制部材57Aは、自己潤滑性、耐摩耗性等に優れた金属材料、樹脂性材料等を用いて環状平板として形成されている。
【0090】
そして、規制部材57Aは、旋回スクロール51Aの環状凹溝52A1内に嵌合して固着され、その表面は図4、図5に示すように歯底面53Aから寸法D1(以下、突出寸法D1という)だけ突出して配置されている。また、規制部材57Aの表面と固定スクロール45Aの端面49A1との間にはスラスト方向の微小隙間S3が設けられている。
【0091】
ここで、当該空気圧縮機の組付直後は、図4に示すように、固定スクロール45Aと旋回スクロール51Aとの間のスラスト方向の隙間S2、旋回スクロール51Aからの規制部材57Aの突出寸法D1、規制部材57Aと固定スクロール45Aとの間のスラスト方向の微小隙間S3は、下記数1のように設定されている。
【0092】
【数1】
S2>D1+S3
【0093】
また、運転時にシール部材50A,56Aが微小隙間S3分だけ摩耗したときには、図5に示すように固定スクロール45Aは規制部材57Aと接触し、この状態で固定スクロール45Aの軸方向への移動が規制される。
【0094】
かくして、このように構成される本実施の形態では、当該空気圧縮機の組付直後は、図4に示すように、固定スクロール45Aと旋回スクロール51Aとの間の隙間S2、規制部材57Aの突出寸法D1、規制部材57Aと固定スクロール45Aとの間の微小隙間S3を数1の関係に設定している。
【0095】
このため、運転の初期時には、固定スクロール45Aと規制部材57Aとの間に微小隙間S3を確保した状態で、シール部材50A,56Aを、圧力室34Aからの押圧力によりそれぞれ旋回スクロール51Aの歯底面53A,固定スクロール45Aの歯底面47Aに押付けて摺接させ、圧縮室32A内を良好に密封することができる。
【0096】
また、運転を長期に亘って行うと、時間の経過に伴ってシール部材50A,56Aが徐々に摩耗する。そして、シール部材50A,56Aの摩耗量WがW=S3となり、固定スクロール45Aと旋回スクロール51Aとの間のスラスト方向の隙間S2′がS2′=S2−S3となったときには、図5に示すように固定スクロール45Aが規制部材57Aと当接することにより、これ以上の固定スクロール45Aの軸方向への移動を規制することができる。
【0097】
この結果、圧力室34A内の中間圧によるスラスト荷重を規制部材57Aにより受承でき、このスラスト荷重がシール部材50A,56Aに集中して作用するのを防止することができる。そして、シール部材50Aと固定スクロール45Aとの間、シール部材56Aと旋回スクロール51Aとの間でそれぞれ生じる摩擦抵抗を小さく保ち、シール部材50A,56Aの摩耗の進行を抑え、その耐久性、寿命等を高めることができる。
【0098】
また、運転時にシール部材50A,56Aを摩耗量Wだけ積極的に摩耗させることにより、固定スクロール45A,45Bまたは旋回スクロール51A,51Bの加工差分を吸収することができる。
【0099】
また、固定スクロール45Aが規制部材57Aと相対的に摺動することにより、固定スクロール45Aと旋回スクロール51Aの鏡板52Aとが直接摺動することがなくなり、両者の間でかじり等が生じるのを防止することができる。
【0100】
さらに、運転を長期に亘って続けるうちに規制部材57Aが仮に突出寸法D1分だけ摩耗した場合でも、図6に示す如く固定スクロール45Aと旋回スクロール51Aとの間には、数1によりスラスト方向の隙間S2″(S2″=S2−D1−S3>0)を確保でき、ラップ部48A,54Aの歯先が相手方の鏡板52A,46Aの歯底面53A,47Aと接触する不具合を解消でき、両者の間でかじりが生じるのを防止することができる。そして、固定スクロール45Aと旋回スクロール51Aとの間の隙間S2″をシール部材50A,56Aを用いてシールすることができる。
【0101】
次に、図7は本発明の第の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、固定スクロールには旋回スクロールとの対向面側に開口する環状凹溝を設け、この環状凹溝内には旋回スクロールと当接して固定スクロールの軸方向の移動を規制する規制部材を設ける構成としたことにある。
【0102】
なお、前述した参考例と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0103】
61は本実施の形態に係るケーシングで、該ケーシング61は、ケーシング本体62と、補助クランク収容穴63A1を有した軸受取付筒部63Aと、通気孔64A1、開口部64A2を有したスクロール収容筒部64Aとにより大略構成されている。
【0104】
65Aはケーシング61のスクロール収容筒部64内に軸方向に可動的に設けられた本実施の形態に係る第1の固定スクロールで、該第1の固定スクロール65Aは、ピン穴66A1を有した鏡板66Aと、歯底面67Bに立設されたラップ部68Aと、端面69A1を有した嵌合筒部69Aとによって構成されている。
【0105】
また、固定スクロール65Aのラップ部68A歯先には第1のシール部材70が設けられると共に、嵌合筒部69の端面69A1には旋回スクロール71A側に開口する環状凹溝69A2が設けられている。また、空気圧縮機の組立直後の状態では、固定スクロール65Aのラップ部68A歯先と後述する旋回スクロール71Aの歯底面73Aとの間にはスラスト方向の隙間S4が確保されている。
【0106】
71Aは旋回軸24の軸方向一端側に固定的に設けられた本実施の形態に係る第1の旋回スクロールで、該第1の旋回スクロール71Aは、鏡板72A、歯底面73A、ラップ部74Aおよび冷却風通路75Aによって構成されている。また、旋回スクロール71Aのラップ部74A歯先には他の第1のシール部材76が設けられている。また、空気圧縮機の組立直後の状態では、旋回スクロール71Aのラップ部74A歯先と固定スクロール65Aの歯底面67Aとの間にはスラスト方向の微小隙間S5が設けられている。
【0107】
77Aは固定スクロール65Aの環状凹溝69A2内に嵌着して設けられた第1の規制部材で、該第1の規制部材77Aは、前記の実施の形態で述べた規制部材57A,57Bとほぼ同様に、自己潤滑性、耐摩耗性等に優れた金属材料、樹脂性材料等を用いて環状平板として形成されている。
【0108】
そして、規制部材77Aは、その表面が固定スクロール65Aの端面69A1から寸法D2(以下、突出寸法D2という)だけ突出して配置されている。また、規制部材77Aの表面と旋回スクロール71Aの歯底面73Aとの間にはスラスト方向の微小隙間S5が設けられている。
【0109】
ここで、当該空気圧縮機の組付直後は、固定スクロール65Aと旋回スクロール71Aとの間のスラスト方向の隙間S4、旋回スクロール71Aからの規制部材77Aの突出寸法D2、規制部材77Aと固定スクロール65Aとの間のスラスト方向の微小隙間S5は、下記数2のように設定されている。
【0110】
【数2】
S4>D2+S5
【0111】
かくして、このように構成される本実施の形態でも第の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0113】
なお、前記実施の形態では、スクロール式流体機械としてスクロール式空気圧縮機を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば冷媒圧縮機等にも広く適用できるものである。
【0114】
【発明の効果】
以上詳述した通り、請求項1に記載の発明によれば、シール部材により圧縮室内を良好にシールすることができ、圧縮性能を高く維持することができる。そして、運転の初期時には、固定スクロールと規制部材との間に微小隙間を確保でき、固定スクロールと規制部材との間で摩耗が生じるのを防止することができる。また、固定スクロールが規制部材と当接するまでシール部材を相手方の歯底面との間で積極的に摩耗させることができ、このシール部材の摩耗によって固定スクロールまたは旋回スクロールの加工公差を吸収することができる。
【0115】
そして、シール部材が摩耗することにより、固定スクロールと規制部材とが接触した場合には、固定スクロールと旋回スクロールの鏡板との間に隙間を確保することができる。さらに、前記規制部材が摩耗し、固定スクロールと旋回スクロールの鏡板とが接触した場合には、固定スクロールのラップ部の歯先と相手方の歯底面との間及び旋回スクロールのラップ部の歯先と相手方の歯底面との間に隙間を確保することができる。これにより、固定スクロールのラップ部、歯底面と旋回スクロールの歯底面、ラップ部との間にそれぞれスラスト方向の隙間を確保でき、ラップ部と歯底面とが接触して摩耗するのを抑えることができ、スクロール式流体機械の耐久性、寿命等を高めることができる。
【0116】
また、固定スクロールのラップ部、歯底面と旋回スクロールの歯底面、ラップ部との間のスラスト方向の隙間を規制部材によって調整でき、固定スクロール、旋回スクロールの加工精度を高める必要がなくなり、これらのスクロールの加工時の作業性等を高めることができる。また、固定スクロールと旋回スロールとの間には常に一定のスラスト方向の隙間を確保できることにより、ラップ部が圧縮熱により高さ方向に熱変形したとしても、この熱膨張分を前記スラスト方向の隙間により吸収でき、ラップ部が相手方の歯底面と直接摺接してかじりが生じるのを防止することができる。
【0118】
また、請求項の発明でも、運転時には規制部材によりラップ部と相手方の歯底面との間にスラスト方向の微小な隙間を確保でき、ラップ部と歯底面とが接触して摩耗するのを抑えることができる。また、旋回スクロールが規制部材と当接するまでシール部材を相手方の歯底面との間で積極的に摩耗させることができ、このシール部材の摩耗によって固定スクロールまたは旋回スクロールの加工公差を吸収することができる。これにより、請求項1の発明とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0121】
一方、請求項の発明によると、運転の初期時には、第1,第2の固定スクロールと第1,第2の規制部材との間に微小隙間を確保でき、第1,第2の固定スクロールと第1,第2の規制部材との間で摩耗が生じるのを抑えることができる。また、第1,第2の固定スクロールが第1,第2の規制部材と当接するまでシール部材を相手方の歯底面との間で積極的に摩耗させることができ、このシール部材の摩耗によって固定スクロールまたは旋回スクロールの加工公差を吸収することができる。これにより、請求項1の発明とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0122】
さらに、請求項の発明によると、運転の初期時には、第1,第2の旋回スクロールと第1,第2の規制部材との間には微小隙間を確保でき、第1,第2の旋回スクロールと第1,第2の規制部材との間で摩耗が生じるのを抑えることができる。また、第1,第2の旋回スクロールが第1,第2の規制部材と当接するまでシール部材を相手方の歯底面との間で積極的に摩耗させることができ、このシール部材の摩耗によって固定スクロールまたは旋回スクロールの加工公差を吸収することができる。これにより、請求項2の発明とほぼ同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の前提となる参考例によるスクロール式空気圧縮機を示す縦断面図である。
【図2】 図1中の固定スクロール、旋回スクロールおよび規制部材等を拡大して示す要部拡大断面図である。
【図3】 本発明の第の実施の形態によるスクロール式空気圧縮機を示す縦断面図である。
【図4】 図1中の固定スクロール、旋回スクロールおよび規制部材等を拡大して示す要部拡大断面図である。
【図5】 シール部材の摩耗が進行して固定スクロールが規制部材と当接した状態を図4と同様位置からみた要部断面図である。
【図6】 シール部材と規制部材の摩耗が進行して固定スクロールが旋回スクロールと当接した状態を図4と同様位置からみた要部断面図である。
【図7】 本発明の第の実施の形態によるスクロール式空気圧縮機の固定スクロール、旋回スクロールおよび規制部材等を図2と同様位置からみた要部断面図である。

Claims (4)

  1. ケーシングと、
    該ケーシング内に軸方向に可動的に設けられ鏡板の歯底面に渦巻状のラップ部が立設された固定スクロールと、
    前記ケーシングに回転可能に設けられた駆動軸と、
    前記ケーシング内で該駆動軸の先端側に旋回可能に設けられ鏡板の歯底面に前記固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成するラップ部が立設された旋回スクロールと、
    前記ケーシングと前記固定スクロールの鏡板背面側との間に設けられ前記鏡板に穿設された連通孔を通じて前記圧縮室内の中間圧が導かれる圧力室とを備えてなるスクロール式流体機械において、
    前記固定スクロールと旋回スクロールとのラップ部のうち少なくとも一方側のラップ部の歯先には、相手方の歯底面との間をシールするシール部材を設け、
    前記固定スクロールと旋回スクロールとの間には、前記固定スクロールが圧力室内の中間圧によって軸方向に移動したときに前記ラップ部の歯先と相手方の歯底面との間に隙間を確保するため、前記固定スクロールの移動を規制する規制部材を設け
    前記規制部材は前記旋回スクロールに取付け、前記シール部材が相手方の歯底面と接触したときに前記固定スクロールと前記規制部材との間には微小な隙間を与え、
    前記シール部材が摩耗し、前記固定スクロールと前記規制部材とが接触した場合、前記固定スクロールと前記旋回スクロールの鏡板との間には隙間を確保し、
    前記規制部材が摩耗し、前記固定スクロールと前記旋回スクロールの鏡板とが接触した場合、前記固定スクロールの前記ラップ部の歯先と相手方の歯底面との間及び前記旋回スクロールの前記ラップ部の歯先と相手方の歯底面との間に隙間を確保する構成としたことを特徴とするスクロール式流体機械。
  2. ケーシングと、
    該ケーシング内に軸方向に可動的に設けられ鏡板の歯底面に渦巻状のラップ部が立設された固定スクロールと、
    前記ケーシングに回転可能に設けられた駆動軸と、
    前記ケーシング内で該駆動軸の先端側に旋回可能に設けられ鏡板の歯底面に前記固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成するラップ部が立設された旋回スクロールと、
    前記ケーシングと前記固定スクロールの鏡板背面側との間に設けられ前記鏡板に穿設された連通孔を通じて前記圧縮室内の中間圧が導かれる圧力室とを備えてなるスクロール式流体機械において、
    前記固定スクロールと旋回スクロールとのラップ部のうち少なくとも一方側のラップ部の歯先には、相手方の歯底面との間をシールするシール部材を設け、
    前記固定スクロールと旋回スクロールとの間には、前記固定スクロールが圧力室内の中間圧によって軸方向に移動したときに前記ラップ部の歯先と相手方の歯底面との間に隙間を確保するため、前記固定スクロールの移動を規制する規制部材を設け、
    前記規制部材は前記固定スクロールに取付け、前記シール部材が相手方の歯底面と接触したときに前記旋回スクロールと前記規制部材との間には微小な隙間を与え、
    前記シール部材が摩耗し、前記旋回スクロールと前記規制部材とが接触した場合、前記固定スクロールと前記旋回スクロールの鏡板との間には隙間を確保し、
    前記規制部材が摩耗し、前記固定スクロールと前記旋回スクロールの鏡板とが接触した場合、前記固定スクロールの前記ラップ部の歯先と相手方の歯底面との間及び前記旋回スクロールの前記ラップ部の歯先と相手方の歯底面との間に隙間を確保する構成としたことを特徴とするスクロール式流体機械。
  3. ケーシングと、
    該ケーシングの軸線上に位置して該ケーシングの両端側に軸方向に可動的に設けられ鏡板の歯底面に渦巻状のラップ部が立設された第1,第2の固定スクロールと、
    該第1,第2の固定スクロール間に位置して前記ケーシング内に設けられ、ロータとステータとが前記ケーシングの軸線と同一方向となるように配置された電動機と、
    前記第1,第2の固定スクロールと対面して該電動機の出力軸の両端側に設けられ、鏡板の歯底面に前記第1,第2の固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成するラップ部が立設された第1,第2の旋回スクロールと、
    前記ケーシングと第1,第2の固定スクロールの鏡板背面側との間に設けられ該鏡板に穿設された連通孔を通じて前記圧縮室内の中間圧が導かれる第1,第2の圧力室とを備えてなるスクロール式流体機械において、
    前記固定スクロールと旋回スクロールとのラップ部のうち少なくとも一方側のラップ部の歯先には、相手方の歯底面との間をシールするシール部材を設け、
    前記第1,第2の固定スクロールと第1,第2の旋回スクロールとの間には、前記第1,第2の固定スクロールが第1,第2の圧力室内の中間圧によって軸方向に移動したときに前記ラップ部の歯先と相手方の歯底面との間に隙間を確保するため、前記第1,第2の固定スクロールの移動を規制する第1,第2の規制部材を設け
    前記規制部材は前記旋回スクロールに取付け、前記シール部材が相手方の歯底面と接触したときに前記固定スクロールと前記規制部材との間には微小な隙間を与え、
    前記シール部材が摩耗し、前記固定スクロールと前記規制部材とが接触した場合、前記固定スクロールと前記旋回スクロールの鏡板との間には隙間を確保し、
    前記規制部材が摩耗し、前記固定スクロールと前記旋回スクロールの鏡板とが接触した場合、前記固定スクロールの前記ラップ部の歯先と相手方の歯底面との間及び前記旋回スクロールの前記ラップ部の歯先と相手方の歯底面との間に隙間を確保する構成としたことを特徴とするスクロール式流体機械。
  4. ケーシングと、
    該ケーシングの軸線上に位置して該ケーシングの両端側に軸方向に可動的に設けられ鏡板の歯底面に渦巻状のラップ部が立設された第1,第2の固定スクロールと、
    該第1,第2の固定スクロール間に位置して前記ケーシング内に設けられ、ロータとステータとが前記ケーシングの軸線と同一方向となるように配置された電動機と、
    前記第1,第2の固定スクロールと対面して該電動機の出力軸の両端側に設けられ、鏡板の歯底面に前記第1,第2の固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を画成するラップ部が立設された第1,第2の旋回スクロールと、
    前記ケーシングと第1,第2の固定スクロールの鏡板背面側との間に設けられ該鏡板に穿設された連通孔を通じて前記圧縮室内の中間圧が導かれる第1,第2の圧力室とを備えてなるスクロール式流体機械において、
    前記固定スクロールと旋回スクロールとのラップ部のうち少なくとも一方側のラップ部の歯先には、相手方の歯底面との間をシールするシール部材を設け、
    前記第1,第2の固定スクロールと第1,第2の旋回スクロールとの間には、前記第1,第2の固定スクロールが第1,第2の圧力室内の中間圧によって軸方向に移動したときに前記ラップ部の歯先と相手方の歯底面との間に隙間を確保するため、前記第1,第2の固定スクロールの移動を規制する第1,第2の規制部材を設け、
    前記規制部材は前記固定スクロールに取付け、前記シール部材が相手方の歯底面と接触したときに前記旋回スクロールと前記規制部材との間には微小な隙間を与え
    前記シール部材が摩耗し、前記旋回スクロールと前記規制部材とが接触した場合、前記固定スクロールと前記旋回スクロールの鏡板との間には隙間を確保し、
    前記規制部材が摩耗し、前記固定スクロールと前記旋回スクロールの鏡板とが接触した場合、前記固定スクロールの前記ラップ部の歯先と相手方の歯底面との間及び前記旋回スクロールの前記ラップ部の歯先と相手方の歯底面との間に隙間を確保する構成としたことを特徴とするスクロール式流体機械。
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