JP4907809B2 - 耐火被覆構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄骨丸柱やコンクリート充填鋼管等の横断面円形の部材に対し適用する耐火被覆構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、鉄骨丸柱又はコンクリート充填鋼管の耐火被覆構造として、柱の外周面に耐火被覆材を吹付け或いは鏝塗りした後、その外側に鋼製下地材を組み込み、これに上張りボードを取付ける構造と、柱の外周面に鋼製又は無機質耐火材からなる下地材を取付け、その下地材に横断面が円弧状の耐火被覆材を同心状に固定する構造とがある。
【0003】
後者の耐火被覆構造においては、一般に、耐火被覆材が、柱の外周面に溶接により固定された軽量溝型鋼等の下地材に、タッピンねじを用いて固定されている。以下にその具体的な例を示す。
【0004】
特開平11−193580号公報には、鉄骨丸柱又はコンクリート充填鋼管の外周に、耐火性無機質成形体からなるスペーサを接着剤で固定し、このスペーサの表面に鋼板を接着して下地材を構成し、断面が円弧状に成形された耐火被覆材を前記下地材にタッピンねじによって固定するところの耐火被覆構造に関する技術が開示されている。
【0005】
また、実開平07−6312号公報には、建造物の骨組を構成する鉄骨丸柱の周囲を円筒状耐火被覆部により周隙を存して覆う鉄骨丸柱の耐火被覆構造において、円筒状耐火被覆部は、円弧状耐火被覆材から縦方向の継ぎ目が一線となるように組み立てられていると共に、鉄骨丸柱と円筒状耐火被覆部との間の周隙内には、円筒状耐火被覆部の縦方向の継ぎ目に沿うように軽量溝型鋼が設置され、該軽量溝型鋼に対し、円筒状耐火被覆部を構成している円弧状耐火被覆材のそれぞれの端部をタッピンねじにより固着する、鉄骨丸柱の耐火被覆構造に関する技術が開示されている。
【0006】
さらに、実開平07−10123号公報には、鉄骨丸柱の周囲を周隙を存して覆う一段又は複数段構成の円筒状耐火被覆部を具備し、各段の耐火被覆部は、円筒を形成するように、継ぎ目を介して接続された複数個の円弧状耐火被覆材と、円筒を形成する耐火被覆材の裏面側の継ぎ目ごとに、継ぎ目を横切るように配置された板状金物と、該板状金物を耐火被覆材のそれぞれに取付け固定するタッピンねじとから一体に組み立てられており、鉄骨丸柱と円筒状耐火被覆部との間には裏面が鉄骨丸柱の外周に接着され、表面が板状金物に接する間隙保持ブロック(スペーサ)が、板状金物ごとに配置されている、鉄骨丸柱の耐火被覆構造に関する技術が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の技術においては、それぞれ以下のような問題があった。すなわち、従来の鉄骨丸柱やコンクリート充填鋼管に対する耐火被覆構造にあっては、耐火被覆材を吹付け或いは鏝塗りした後、その外側に鋼製下地材を組み込み上張りボードを取付ける構造の場合、鋼製下地材の取付けに大きな空間を必要とし、柱が太くなって室内の有効床面積が少なくなると共に、その施工が湿式工法と乾式工法の組合せであるために、作業に時間を要することとなっていた。また、柱の外周面に軽量溝型鋼等の下地材を取付け、その下地材に円弧状の耐火被覆材を同心状に固定する耐火被覆構造の場合には、鋼製下地材の溶接に専門者を要し、更に、溶接作業時に発生する火花の養生処理が必要となり、その施工性に問題があった。
【0008】
また、特開平11−193580号公報の耐火被覆構造では、スペーサ及び鋼板をそれぞれ接着により固定する必要があるため、スペーサの固定に用いた接着剤が硬化するまでは、その表面に鋼材を接着することができず、その作業が煩雑となることが多かった。
【0009】
また、実開平7−6312号公報の構造では、耐火被覆材をタッピンねじの螺入により固定するため、下地材である軽量溝型鋼の反り返りを防止するためにその螺入箇所毎に、けい酸カルシウム製のパッキン材(スペーサ)を正確に配置する必要があり、耐火被覆材の固定作業が煩雑であり、その施工性に問題があった。
【0010】
さらに、実開平07−10123号公報の耐火被覆構造では、表面からタッピンねじを螺入する際、この螺入位置の板状金物の裏面側に下地材がないため、板状金物が浮き上がってしまうなど耐火被覆材を強固に連結するのが困難となる場合があった。
【0011】
本発明は、上述したような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、スペーサの取付け作業が容易で施工性の良好な耐火被覆構造を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明は、鉄骨丸柱やコンクリート充填鋼管等の横断面円形の部材に対し、その外周に互いに間隔を設けて配置された複数のスペーサと、これらのスペーサをその部材に固定するために、スペーサの外側に巻き回されているバンドと、このバンドの外側に配置されている複数の耐火被覆材とからなる耐火被覆構造において、前記スペーサは、横断面コ字形状又はU字形状の鋼材とこの鋼材のコ字部又はU字部の内側に一部が押し込まれて鋼材と係合する無機質耐火材とからなり、前記鋼材が部材の外周に当接しないように配置されていることを特徴とする耐火被覆構造を提供する。
また、好適には、前記耐火被覆材は、前記バンド及び前記スペーサの交差する位置において固定される。さらに、好適には、前記耐火被覆材と耐火被覆材の間の目地は、前記バンド又は前記スペーサの上に位置している。また、前記バンドは、金属板、無機質繊維クロス又は不織布からなるようにしてもよい。また、前記断熱層は、空気層又は無機質繊維充填層であるのがよい。
【0013】
ここで、本発明の耐火被覆構造は、特に、内部が中空である円形鋼管柱である鉄骨丸柱や、この鋼管の内部にコンクリートを充填したコンクリート充填鋼管柱に適用されるものである。しかしながら、本発明は、かかる部材に限定されず、横断面円形の部材であれば広く適用可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る耐火被覆構造を添付図面に基づいて説明するために、先ず、鉄骨丸柱やコンクリート充填鋼管等の横断面円形の部材に対し、その外周に互いに間隔を設けて配置された無機質耐火材からなる複数のスペーサと、これらのスペーサをその部材に固定するために、スペーサの外側に巻き回されているバンドと、このバンドの外側に配置されている複数の耐火被覆材とからなる耐火被覆構造を参考のために説明する。
【0015】
参考例.
図1〜図3に示されるように、耐火被覆構造は、横断面円形の部材である鉄骨丸柱10に対し、断熱層12を形成するために、その外周に無機質耐火材からなる複数のスペーサ14を互いに間隔を設けるように配置し、さらに、これらのスペーサ14の周囲には、スペーサ14を固定するために、バンド16が巻き回され、このバンド16の外側に、耐火被覆材18が配置されているものである。
【0016】
この参考例では、スペーサ14は4つ設けられ、各スペーサ14は、無機質耐火材からなる、横断面がほぼ矩形の柱状部材である。より詳細には、各スペーサ14の鉄骨丸柱10と当接する面は、鉄骨丸柱10の外周面の湾曲に対応して僅かに湾曲していてもよく、また、スペーサ14の外周方向への厚さの範囲は、特に制限されるものではないが、10〜100mm程度である。無機質耐火材としては、けい酸カルシウム系、石膏系、セメント系成形板又はその成形体、およびそれらの繊維強化製品などである。
【0017】
4つのスペーサ14を取り囲むように巻かれるバンド16は、鋼板、亜鉛メッキ鋼板、ステンレス板等の金属板、あるいは、ガラスクロス、セラミッククロス等の無機質繊維クロス又は不織布からなる帯状の部材である。また、バンドは巻回した後、例えば、ビス、ステープル、リベット、ピン、バックル、針金等により固定される。
【0018】
バンド16の周囲に配置される耐火被覆材18は、けい酸カルシウムからなる成形板や石こう系成形板等の耐火性成形材料から構成されている。また、耐火被覆材18は、2分割タイプであり、それぞれ横断面が半円弧状に湾曲した壁状部材である。
【0019】
次に、以上のような構成の耐火被覆構造の施工について説明する。まず、鉄骨丸柱10の外周に、4つのスペーサ14を配置する。各スペーサ14は、鉄骨丸柱10の長手方向にほぼ沿って延びるように配置される。また、4つのスペーサ14は、鉄骨丸柱の周方向に互いに間隔を設け、その間隔が等間隔(等角度)であるように配置される。次に、これらスペーサ14を取り囲むようにバンド16を巻き回す。このようにバンド16を巻き付けるだけで4つのスペーサ14が一度に鉄骨丸柱又はコンクリート充填鋼管10に固定されるため、従来に比較してスペーサの取り付けが容易であり施工性が非常に良好となっている。すなわち、スペーサ14の最終的な固定は、接着剤によってではなくバンドにより行われるため、従来のように接着剤が硬化するまで次の作業を待つ必要もなく、施工作業が煩雑になることもない。
【0020】
次に、上記のようにスペーサ14及びバンド16が取り付けられた鉄骨丸柱10の外周面を覆うように、複数の耐火被覆材18を配置する。このとき、耐火鉄骨丸柱10の長手方向の耐火被覆材18と耐火被覆材18の間の目地18aがスペーサ14の上に位置するように、また、鉄骨丸柱10の周方向の耐火被覆材18と被覆材18の間の目地18bがバンド16の上に位置するように、耐火被覆材18の配置を行う。これにより複数の耐火被覆材18の全ての目地裏面にはスペーサ14又はバンド16が配置されることとなるため、耐火性能を向上させることができる。また、耐火被覆材18をスペーサ14の外側に配置することにより、耐火被覆材18と鉄骨丸柱10との間には、断熱層12が形成される。耐火被覆材18の配置が終了したら、複数のタッピンねじ20により耐火被覆材18の固定を行う。タッピンねじ20を打ち込む位置は、バンド16とスペーサ14との交差する位置であり、これにより、各タッピンねじ20は、バンド16とスペーサ14との双方に係合することとなる。したがって、タッピンねじ20がスペーサ14に打ち込まれることにより、耐火被覆材18が凹んだり歪んだりすることが防止されるため、鉄骨丸柱10との間に所定の間隔を保持することができると共に、耐火被覆材18を強固に取り付けることができる。また、タッピンねじ20が硬質のバンド16を通してスペーサ1に螺合するので、タッピンねじ20はバンド16への螺着4によって好適に拘束され、耐火被覆材18を強固に取り付けることができる。また、バンド16は鉄骨丸柱10の周方向に延び、スペーサ14は鉄骨丸柱10の長手方向に延びているため、外からバンド16とスペーサ14の交差する位置を容易に確認することができ、施工性が向上している。
【0021】
このように、バンド16は複数のスペーサ14を一度に固定する機能だけでなく、上記のようにタッピンねじ20をしっかり拘束するための機能も有するため、スペーサ14の取付け作業が容易でありながら、耐火被覆材18を強固に取付けることができ、さらに、従来のようにねじ拘束のためにだけ必要な部品(例えば、鋼板、軽量溝型鋼、板状金物等)を用意する必要がなく、部品点数や施工工程数の低減を図ることができる。
【0022】
実施の形態.
次に、図4に基づいて本発明の実施の形態に係る耐火被覆構造ついて説明する。実施の形態に係る耐火被覆構造は、上述した参考例の耐火被覆構造において、無機質耐火材15の外周の一部を横断面コ字形状の鋼材22のコ字部の内側に押し込んで係合させたスペーサ14を配置したものである。各スペーサ14のタッピンねじ20の螺入側に鋼材22を配置し、かつ、スペーサ14が鉄骨丸柱10の外周に固定される際に、鋼材22が鉄骨丸柱10に当接しないように配置されているものである。鋼材22は、鋼板、亜鉛メッキ鋼板、ステンレス板等の金属板を、その横断面がコ字形状になるように加工成形したものや、市販の鋼材でもよい。また、スペーサ14における鋼材22と無機質耐火材15との係合は、接着剤を使用せず横断面コ字部の内側に無機質耐火材15が挟み込まれるように、無機質耐火材15を鋼材22に押し込むことにより容易に行われる。かかる本発明の実施の形態に係る耐火被覆構造においては、上記参考例の場合と同様に、バンド16により複数のスペーサ14を一度に固定すると共に、バンド16への螺着により、タッピンねじ20がしっかり拘束されるため、スペーサ14の取付け作業が容易でありながら、耐火被覆材を強固に取付けることができる。また、鋼材22と無機質耐火材15との係合は上記のように接着剤を使用しないものであるため、従来のように接着剤が硬化するまで次の作業を待つ必要がない。よって、スペーサ14の取付け作業の容易化を阻害することもない。さらに、鋼材22への螺着もタッピンねじ20を拘束するため、より強固にタッピンねじ20及び耐火被覆材18を保持することができる。
【0023】
なお、鋼材の横断面形状は、図4及び図5の(a)に示されるようなコ字形状に限定されるものではなく、図5の(b)に示されるような、先端が少し内側に折れ曲がったコ字形状や、図5の(c)に示されるようなU字形状など、鋼材のコ字部又はU字部の内側に無機質耐火材の一部が押し込まれ、挟み込まれた無機質耐火材と鋼材とが係合するような形状であればよい。
【0024】
その他の実施の形態.
本発明は、さらに、上述した実施の形態に限定されるものではなく、例えば、以下のように改変して実施することもできる。すなわち、上記の実施の形態では、鉄骨丸柱10と耐火被覆材18との間に形成される断熱層12が空気層であったが、これに限定されず、断熱層12にロックウール、グラスウール、セラミックウール等の無機質繊維断熱材を充填してもよく、この場合には耐火被覆構造全体の厚さ(外径)を低減させることができる。また、耐火被覆材は半円弧状の2分割タイプに限定されず、扇状に形成された3分割以上のタイプで実施することも可能である。さらに、耐火被覆材18は、等分割であることが好ましいが、特に限定されるものではない。
【0025】
さらに、スペーサ14の数や形状、配置態様も上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、同一高さにスペーサ14が3つ未満あるいは5つ以上配置されていてもよい。また、スペーサ14は、鉄骨丸柱やコンクリート充填鋼管等の横断面円形の部材10の長手方向に連続的に延びているものに限定されず、図6に示されるように、横断面円形の部材10の長手方向に分離したスペーサ114を複数配置するような態様でも良い。さらに、図7に示されるように、部材10の周方向に隣接した一対のスペーサ片224a,224bからなるスペーサ224を複数配置するような態様でも良い。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の耐火被覆構造によれば、バンドを巻き付けるだけでスペーサの最終固定が行えるため、従来に比較してスペーサの取り付け作業が容易であり施工性が非常に良好であると共に、耐火被覆材を強固に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例である耐火被覆構造の横断面図である。
【図2】 図1における耐火被覆材の目地付近を示す図である。
【図3】 本発明の参考例である耐火被覆構造の斜視図である。
【図4】 本発明の実施の形態に係る耐火被覆構造に関し、図2の参考例と同様な図である。
【図5】 本発明の実施の形態に係る耐火被覆構造に関し、鋼材のバリエーションを示す図である。
【図6】 本発明の実施の形態に係る耐火被覆構造に関し、スペーサのバリエーションを示す図である。
【図7】 本発明の実施の形態に係る耐火被覆構造に関し、スペーサのバリエーションを示す図である。
【符号の説明】
10…横断面円形の部材(鉄骨丸柱)、12…断熱層、14…スペーサ、15…無機質耐火材(スペーサ)、16…バンド、18…耐火被覆材、18a,18b…目地、20…タッピンねじ、22…鋼材(スペーサ)。
Claims (5)
- 鉄骨丸柱やコンクリート充填鋼管等の横断面円形の部材に対し、その外周に互いに間隔を設けて配置された複数のスペーサと、これらのスペーサをその部材に固定するために、スペーサの外側に巻き回されているバンドと、このバンドの外側に配置されている複数の耐火被覆材とからなる耐火被覆構造において、前記スペーサは、横断面コ字形状又はU字形状の鋼材とこの鋼材のコ字部又はU字部の内側に一部が押し込まれて鋼材と係合する無機質耐火材とからなり、前記鋼材が部材の外周に当接しないように配置されていることを特徴とする耐火被覆構造。
- 前記耐火被覆材が、前記バンド及び前記スペーサの交差する位置において固定されていることを特徴とする請求項1に記載の耐火被覆構造。
- 前記耐火被覆材と耐火被覆材の間の目地が、前記バンド又は前記スペーサの上に位置していることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐火被覆構造。
- 前記バンドが、金属板、無機質繊維クロス又は不織布からなることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の耐火被覆構造。
- 前記横断面円形の部材の外周と耐火被覆材の間には、空気層又は無機質繊維充填層からなる断熱層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の耐火被覆構造。
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