JP4982252B2 - 伝送線路開口型アンテナ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、マイクロ波、準ミリ波、ミリ波などの周波数帯で用いることができる、伝送線路開口型アンテナ装置に関する。
携帯電話などの無線通信システムはアンテナが送受信で必ず使用されている。従来のアンテナの概念は特定周波数に共振する構造体であり、代表的なダイポールアンテナは波長の1/2で共振するアンテナである。
ダイポールアンテナはTM(Transverse Magnetic)モードの波がポールの同心円状に発生する。しかしながら、波長の数倍の距離まで到達した電磁波はその境界部分で互いに干渉し合い、電磁波モードはTEM(Transverse Electro-Magnetic)(別名横波とも呼ばれる。)に変換され、ほぼ球面波となって放射する。極率半径が大きくなると近似的に平面波となる。横一線(進行方向に直角な面に対して平均的)に分布している多くの波が同時に進行している群波である。
特開2005−244733号公報。 K. Otsuka, et al, "Measurement Potential Swing by Electric Field on Package Transmission Lines", Proceedings of ICEP, pp.490-495, 2001.4. K. Otsuka, et al, "Measurement Evidence of Mirror Potential Traveling on Transmission Lines", Technical Digest of 5th VLSI Packaging Workshop of Japan, pp.27-28, 2000.12. 大塚寛治ほか,「スタックトペア線路」,エレクトロニクス実装学会誌,Vol.4,No.7,pp.556−561,2001年11月。
群波は空間に充満することから電波法による周波数割り当てが必要となるだけでなく、帯域から漏れる共振モードノイズに対して十分な保護回路も必要であり、高周波回路は一般にオーバーヘッドの大きな回路となる。しかも、GHz以上の帯域の高周波では空気中でも減衰が大きく、低周波における減衰定理「距離の2乗に反比例してエネルギーが弱くなる(球面状に拡大するため)」より大きく近似的に距離の3乗に反比例するレベルとなり、長距離通信はおぼつかない。
本発明の目的は以上の問題点を解決し、伝送線路に連結されたアンテナ装置であって、構成が簡単であってほとんど周波数特性の変化を有しない狭指向性を有して比較的遠距離でも通信可能なアンテナ装置を提供することにある。
本発明に係る伝送線路開口型アンテナ装置は、所定の特性インピーダンスを有する第1の伝送線路に接続された伝送線路開口型アンテナ装置において、
上記伝送線路の一端に連結され、1対の線路導体にてなる第2の伝送線路を含み、所定の特性インピーダンス一定を保持しつつかつ線路幅と間隔の少なくとも一方が所定のテーパー角でテーパー状に拡大して構成されたテーパー線路部と、
上記テーパー線路部の一端に連結されかつ放射開口を有する開口部とを備え、
上記開口部の開口端面の一辺の寸法が最低動作周波数の1/4波長以上に設定されたことを特徴とする。
上記伝送線路開口型アンテナ装置において、上記開口部の線路幅方向の略中央部において、上記1対の線路導体にてなる第2の伝送線路を短絡して支持する第1の支持部材をさらに備えたことを特徴とする。
また、上記伝送線路開口型アンテナ装置において、上記開口部の線路幅方向の両端において、上記1対の線路導体にてなる第2の伝送線路を短絡して支持する1対の第2の支持部材をさらに備えたことを特徴とする。
さらに、上記伝送線路開口型アンテナ装置において、上記開口部は、その線路幅がテーパー状で拡大して構成されたことを特徴とする。
またさらに、上記伝送線路開口型アンテナ装置において、上記テーパー線路部の第1の伝送線路の1対の線路導体の間に所定の誘電体を充填して構成されたことを特徴とする。
また、上記伝送線路開口型アンテナ装置において、上記開口部の第2の伝送線路の1対の線路導体の間に所定の誘電体を充填して構成されたことを特徴とする。
さらに、上記伝送線路開口型アンテナ装置において、上記テーパー線路部の第1の伝送線路の線路幅方向の両端部を所定の間隔で支持するための第1の支持部材をさらに備えたことを特徴とする。
またさらに、上記伝送線路開口型アンテナ装置において、上記開口部の第2の伝送線路の線路幅方向の両端部を所定の間隔で支持するための第2の支持部材をさらに備えたことを特徴とする。
また、上記伝送線路開口型アンテナ装置において、上記テーパー角は0度を超えかつ30度以下の所定値であるように設定されたことを特徴とする。
さらに、上記伝送線路開口型アンテナ装置において、上記特性インピーダンスは、50Ω以上から100Ω以下の所定値に設定されたことを特徴とする。
従って、本発明に係る伝送線路開口型アンテナ装置によれば、伝送線路に連結されたアンテナ装置であって、従来技術に比較して構成がきわめて簡単であってほとんど周波数特性の変化を有しないで狭指向性を有し、これにより多大のアンテナ利得を実現できるので、比較的遠距離でも通信可能である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
本発明は、例えばダイポールアンテナのごとく、特定の周波数で共振するアンテナとは全く異なる基本原理から考案したものであり、以下に詳述するように原理的にも新規性のある構成を有している。
図1は本発明の第1の実施形態に係る伝送線路開口型アンテナ装置の外観を示す斜視図である。第1の実施形態に係る伝送線路開口型アンテナ装置は、例えば50Ωである所定の特性インピーダンスを有しかつ互いに対向する1対の線路導体1a,1bにてなるスタックトペア線路1に接続された伝送線路開口型アンテナ装置であり、
(A)上記スタックトペア線路1の一端に連結され、互いに対向する1対の線路導体2a,2bにてなる伝送線路を含み、所定の特性インピーダンス一定を保持しつつかつ線路幅と間隔の両方(なお、少なくとも一方であってもよい。)が所定のテーパー角θ,φでテーパー状に拡大して構成されたテーパー線路部2と、
(B)テーパー線路部2の一端に連結されかつ放射開口を有し、互いに対向する1対の線路導体3a,3bにてなる開口部3とを備えて構成され、
(C)開口部3の開口端面の一辺の寸法が最低動作周波数の1/4波長以上に設定されたことを特徴とする。
本実施形態に係る伝送線路開口型アンテナ装置の構成及び動作について以下に説明する。
群波に対して伝送線路の構造中を走っている電磁波は進行方向の構造体に閉じ込められているため、その構造体で制限された一条の電磁波状態となる。ある周波数だけが進行していると位相も揃っている。これが仮に空間に放出されると、レーザー光と同様な一条の電磁波(光より周波数が低い)となる。本発明はこれが発想の原点となっている。当然光より低周波であり、レーザー光のように散乱しない状態を保つことはできず、最終的にはTEM波になるが、短い距離であれば散乱が抑えられ、距離の2乗項が無視でき、この間は減衰影響だけの効果、すなわち距離の2乗となりより弱いエネルギーで遠方の目的点まで到達する。距離が短ければ一条の光と同様で受信場所と方位が決まれば、発信方向を特定でき、受送信以外の方位には電波が漏れないため、従来の電波法とは異なった用途が考えられるだけでなく、さらには、空間ノイズレベル(グランドレベル)を持ち上げることがないため、クリーン電波となる。言ってみれば、電子回路の導体配線を空気中に施すと同じ概念となる。さらに、遠方ではTEM波となって従来アンテナと同様な扱いができるが近傍の収束部分であった距離だけ、効率よく遠方に届く構成となる。
以上、仮に伝送線路の電磁状態が空間に放出されるとして話しを進めたが、伝送線路をスタブ配線のように突然開口部とすることでそれが可能である。これは従来、スタブノイズ放射として一般に知られている現象である。これを積極的に利用し、その効率を考えたアンテナが本発明である。
伝送線路として図11乃至図14のような構造が考えられる。ここでは2組の線路にてなる伝送線路が示されているが、基本構造は1ペアでよい。これらは当然公知である。プレーナペア線路(図13)、コプレーナ線路(図14)、スタックトペア線路(図11)、分割ストリップ線路(図12)などが考えられる。これらの伝送線路は周波数特性を持たないことが世の中の常識として公知である。
本発明の原理を簡単に以下に示す。まず、所定の長さを持つ伝送線路の特性インピーダンスZ[Ω]は、線路の単位長さ当たりのインダクタンスをL[H/m]とし、単位長さ当たりのキャパシタンスをC[F/m]とし、単位長さ当たりの抵抗をR[Ω/m]とし、単位長さ当たりの漏洩コンダクタンスをG[S/m]とすると次式で表される。
線路が短く、抵抗R0と漏洩コンダクタンスG0を無視できるとすると、R0=G0=0となり、式(1)は、次式で表される。
周波数依存性と長さ依存性が消去され、線路全体の長さのパラメータと等価となる。すなわち、伝送線路は短くても極端に長くても規定された特性インピーダンスは同じである。これを比喩的に表現すると、水のパイプの断面積に相当するコンダクタンスの逆数ということになる。伝送線路のあらゆる切り口のコンダクタンスの逆数という物理概念で表現できる。従って、この切り口の電磁波が通りうる寸法的な構造で表現できる。すなわち、次式で表される。
例えばスタックトペア線路である伝送線路の構造及びそのパラメータを図8に示す。次の表1で示すフリンジ係数Kは、図8の線路幅wと1対の線路導体1a,1bにより挟設された間隔(又は開口寸法)dの物質(例えば、比誘電率εr及び比透磁率μrを有する誘電体1c又は空気であってもよい。)内の電磁エネルギー(分子)の、それより外側に分布したものを含めた合計電磁エネルギー(分母)に対する割合である。
[表1]
フリンジ係数K
―――――――――――――――――――――――――――――――
w/d εr=1,μr=1 εr=4.5,μr=1
―――――――――――――――――――――――――――――――
0.100 14.33 9.30
0.125 12.08 7.90
0.200 8.51 5.68
0.250 7.25 4.86
0.500 4.25 3.14
1.000 2.98 2.17
2.500 1.92 1.50
5.000 1.52 1.27
10.00 1.29 1.14
―――――――――――――――――――――――――――――――
さて、ペア線路の電磁界の分布をもう少し説明すると、図9及び図10のようになる。図9のように上部線路導体1aにはプラス電荷があると、下部線路導体1bにはマイナス電荷が対応している。電気力線はこのプラス電荷からマイナス電荷につながるように発生し、空間的に互いの干渉を最小限にするように広がりを持つようになる。無数の電荷が導体内に存在することから、無限の空間に広がるが、近似的にエネルギー的に無視できない空間のみを扱えばよい。これら電荷が紙面の奥の方向に移動すると、線路導体1a,1bを取り巻くように磁力線が発生し、電気力線と直交する。上半分はプラス電荷が紙面の奥に進むため、時計回りの磁界となり、下半分は反時計回りとなる。中心でお互いが歯車のかみ合うように助け合う。この要素はマイナスの相互インダクタンスM12,M21として、各導体の自己インダクタンスL,Lを相殺する。ここで、単位長さ当たりの実効インダクタンスLは次式で表される。
上下の線路導体1a,1b間が狭くなるほど、相互インダクタンスM12,M21が大きくなり、単位長さ当たりの実効インダクタンスLは小さくなる。一方、上下の線路導体1a,1bが近づくと電気力線長さが短くなり、カップリングが強くなる結果、単位長さ当たりの容量が増大する。すなわち、次式で表される。
結果として線路導体1a,1b間が近づくほど式(3)で示されたように、特性インピーダンスは小さくなる。
さて、図10は進行方向に見たときのスタックトペア線路における電磁力線分布である。右端面を開口部とみなしたとが図9の状態になっているように信号が最大振幅となっていて、電磁ベクトルは図示したように紙面と直角となっている。開口の間隔dと、信号周波数の1/4波長(正確には、伝送線路の管内波長λgの1/4)は同じ寸法で描かれた図となっていて、この寸法であると、ベクトル変化の時間に相当する時間が間隔dを通過する時間であり、電磁放射が効率よく行えることを本発明者らは発見した。しかも、(1/4)λg≦dであればよく、間隔dより短い(1/4)λgを持つ周波数は全て効率よく放射することを発見した。すなわち、周波数特性を持たない指向性アンテナの発見である。
伝送線路内では、よく知られているように、電磁波は特性インピーダンスの変化のところでその変化の度合いに応じてエネルギー反射する。ポート1(サフィックス1)からポート2(サフィックス2)へ電磁波が進行すると、その反射率をΓは次式で表される。
もし、伝送線路が開放端であれば、電荷から見たインピーダンスは無限大のため、式(6)において反射率Γ=+1となって全反射して、空中に電磁波が放射できない。短絡端にするとΓ=−1で反射し、整合端にすると整合抵抗にすべてのエネルギーが消費されて、熱エネルギーとなって放出され、アンテナの効果は全く発揮できない。しかし、図10のように(1/4)λg≦dであれば、空間放射状件を満足する時間空間緩和状態ができるものと思われる。(1/4)λg≦dを保った開放端伝送線路構造が本発明に係る伝送線路開口型アンテナ装置の基本構造である。
伝送線路は一条の電磁波を伝播していて、単一周波数であれば位相が揃っているため、放射された電磁波はレーザー光と同じように、散乱しにくい一条の電磁波となって、進行する利点も持ち合わせている。伝送線路は周波数特性を持たないため、パルスのような合成波であっても、その合成比率を変えないで放射することが可能となるため、発信回路、受信回路に周波数変換回路、一般に言われている高周波回路は全く不要なアンテナ構造を提案するものである。
当然基本構造から無数の派生的な構造が考えられるが、本発明のもう1つの基本的構造は(1/4)λg≦dを満足する線路導体の間隔dを確保するため、回路内の伝送線路の特性インピーダンスZが開口部3まで揃っているように寸法を調整する構造を有する手段を兼ね備えることである。特性インピーダンスZを維持するため、線路幅wは間隔dの関数、すなわち式(3)であることから自動的に決定される。線路幅wと間隔dと時間tの断面パラメータを相似拡大縮小を行い一定にする手法として、図1のような形状となる。好ましくは電磁界の乱れを最小限にするため、テーパー角θ、φ(ここで、θは線路幅方向のテーパー角であり、φは線路長方向のテーパー角である。)はそれぞれ0度を超えかつ30度以下が好ましい。相似拡大縮小が自由にできるため、巨大アンテナや微小なマイクロアンテナが可能であり、あらゆる用途に適用できる。図7は誘電体10に囲まれた、1対の線路導体1a,1bにてなる線路幅w1のスタックトペア線路1から空気中の線路幅w2(>w)のスタックトペア線路(1対の線路導体1c,1dにてなる。)に取り出す構造の一例である。
もう一つ重要なことは、図7及び図9−図10からわかるように伝送線路内の電磁波はTEMモードになっていて、これを正確に守る手段を講じる必要がある。伝送線路構成をすべて誘電体内に埋め込む方法が一つの例であり、図7はその概念で図示したものである。電磁波速度cは次式で表される。
ここで、μは当該誘電体の比誘電率であり、εは当該誘電体の非透磁率である。伝送線路中、すなわち、図9及び図10の有効な電磁力線分布の進行断面範囲に比誘電率や比透磁率の異なる部分を作るとその部分の電磁力線が速く進んだり遅れたりしてTEMモードが崩れる。これを擬似TEMモードと呼んでいるが、時間分散する結果、空間放射効率がその分悪くなる。図7のように絶縁物で完全に囲うことが望ましい。その寸法的な実用規定は平面では両サイドに線路幅wだけ余分に誘電体10を広げ、側面図では上下に線路長dだけ広げるとよい。
図2は本発明の第2の実施形態に係る伝送線路開口型アンテナ装置の外観を示す斜視図である。図2において、第2の実施形態に係る伝送線路開口型アンテナ装置は、第1の実施形態に比較して、開口部3の線路幅方向の両端において、その伝送線路の1対の線路導体を短絡して支持するための、金属又は誘電体にてなる支持部材4a,4bをさらに備えたことを特徴とする。
図3は本発明の第3の実施形態に係る伝送線路開口型アンテナ装置の外観を示す斜視図である。図3において、第3の実施形態に係る伝送線路開口型アンテナ装置は、第1の実施形態に比較して、開口部3の線路幅方向の略中央部において、その伝送線路の1対の線路導体3a,3bを短絡して支持するための、金属又は誘電体にてなる支持部材4cをさらに備えたことを特徴とする。
図4は本発明の第4の実施形態に係る伝送線路開口型アンテナ装置の外観を示す斜視図である。図4において、第4の実施形態に係る伝送線路開口型アンテナ装置は、第1の実施形態に比較して、開口部3の1対の線路導体5a,5bは、その線路幅がテーパー状で拡大して構成されたことを特徴とする。
図5は本発明の第5の実施形態に係る伝送線路開口型アンテナ装置の外観を示す斜視図である。図5において、第5の実施形態に係る伝送線路開口型アンテナ装置は、第4の実施形態に比較して、開口部3の線路幅方向の両端において、その伝送線路の1対の線路導体5a,5bを短絡して支持するための、金属又は誘電体にてなる支持部材4a,4bをさらに備えたことを特徴とする。
図6は本発明の第6の実施形態に係る伝送線路開口型アンテナ装置の外観を示す斜視図である。図6において、第6の実施形態に係る伝送線路開口型アンテナ装置は、第4の実施形態に比較して、開口部3の線路幅方向の略中央部において、その伝送線路の1対の線路導体5a,5bを短絡して支持するための、金属又は誘電体にてなる支持部材4cをさらに備えたことを特徴とする。
以上の実施形態においては、入力線路としてスタックトペア線路1を用いているが、本発明はこれに限らず、不平衡のコネクタを介して、例えば同軸ケーブルなどの別の不平衡型ケーブル又は伝送線路を接続してもよい。
さらに、上記各実施形態において、開口部3のの1対の線路導体3a,3b又は5a,5bの間に、線路導体を支持する所定の誘電体を充填して構成してもよい。また、テーパー線路部2の線路幅方向の両端部を所定の間隔で支持するための誘電体にてなる支持部材をさらに備えてもよい。さらに、開口部3の線路幅方向の両端部を所定の間隔で支持するための、誘電体にてなる支持部材をさらに備えてもよい。
なお、上記テーパー角θ,φは好ましくは、0度を超えかつ30度以下の所定値であるように設定される。また、スタックトペア線路1、テーパー線路部2、及び開口部3の特性インピーダンスZは、好ましくは、50Ω以上から100Ω以下の所定値に設定される。
以上の実施形態においては、(1/4)λg≦dと設定することが好ましいが、これに代えて、(1/4)λg≦wと設定しても同様の作用効果を得ることができる。
次いで、本発明者らにより行われたシミュレーションとその結果について以下に説明する。
図15は本実施例のシミュレーションで用いた伝送線路開口型アンテナ装置のアンテナ開口面を示す斜視図である。また、図16は本実施例のシミュレーションで用いた伝送線路開口型アンテナ装置のアンテナ開口面におけるポート電界分布[V/m]を示す斜視図である。さらに、図17は本実施例のシミュレーションで用いた伝送線路開口型アンテナ装置の反射係数S11[dB]の周波数特性(周波数0から10GHzまで)を示す図である。またさらに、図18は本実施例のシミュレーションで用いた伝送線路開口型アンテナ装置の入力端におけるインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
図15乃至図18においては、1m×1m開口面の伝送線路開口型アンテナ装置の反射及びインピーダンス特性について図示しており、開口部3をポートとしたときの空間に向けた特性を示している。図16から明らかなように、開口面全面に渡って均質な電界強度(Waveguide port)でTEM波であることをわかる。空間に向けたときの反射エネルギー(Sパラメータで表示したときの反射係数S11)が小さいほどよく、図17から明らかなように、w=d=1mのために、(1/4)λ=1000mm、λ=75MHzとなり、当該周波数では、すでに反射係数S11=−23dBと非常に小さく、それより周波数が高い部分で−30dB以下が保持されていて、周波数特性はほとんどなく、これほど効率よく電磁放射をしているアンテナは前例を見ない。また、図18のスミスチャートから明らかなように、開口部3の特性インピーダンス(図18の○)が194Ωとなっているが10GHzでは反射の電磁共振(Imaginary Part)で(図18の●)376Ωと空間電磁インピーダンスに整合していることがわかる。
図19は本実施例のシミュレーションで用いた伝送線路開口型アンテナ装置の指向特性を示す図である。図19の左上から右方向に向かった後、左下から右方向に向かって、動作周波数は、1GHz、2.5GHz、5GHz、7.5GHz、10GHzであり、各指向性利得は22dBi、30dBi、36dBi、39dBi、41dBiである。図19から明らかなように、1GHzの比較的低い周波の指向性でも22dBiを示し、このような良好な指向性を持ったアンテナは従来見当たらない。
図20は本実施例のシミュレーションで用いた、特性インピーダンス50Ωの伝送線路開口型アンテナ装置の電磁放射空間分布を示す図である。図21は本実施例のシミュレーションで用いた伝送線路開口型アンテナ装置の電磁放射電界エネルギー分布を示す図である。図20の左上から右方向に向かった後、下段に向かって、動作周波数は、2GHz、5GHz、10GHzである。図21においては、d=70mm、w=460mmの伝送線路開口型アンテナ装置における空間のエネルギー集中度を示している。図21から明らかなように、(1/4)λが1.11GHzであり、2GHzは−20dB以下の反射であるが、開口面から200mm離れたところですでに倍以上の拡散状態となっている。しかし、横方向はほとんど拡散していない。周波数が高くなるとこの拡散は少なくなるが、上下にサイドローブが見られる。ここでも横方向の拡散はほとんどなく、通信の地表面に対して地図上の方位は充分取れると予想できる。開口面積と指向性利得をまとめると表2のようになる。
[表2]
開口面寸法と指向性利得[dBi]
――――――――――――――――――――――――――――――――――
開口面寸法[mm] 1GHz 5GHz 10GHz
――――――――――――――――――――――――――――――――――
100×100 3.967 18.42 23.58
300×300 11.15 26.32 32.13
500×500 16.11 30.40 36.23
1000×1000 21.72 35.91 41.81
――――――――――――――――――――――――――――――――――
表2の結果から、開口面が大きいほど指向性に対して良好なアンテナ特性が得られていることがわかる。
図22は本実施例のシミュレーションで用いた、特性インピーダンスZ=100Ωの伝送線路開口型アンテナ装置の開口面積と反射係数S11の周波数特性を示す図である。また、図23は本実施例のシミュレーションで用いた伝送線路開口型アンテナ装置のガスシアンパルスの受信信号波形を示す波形図である。図22は、伝送線路開口型アンテナ装置の特性インピーダンスZを100Ωを保持したままで開口面積を変化させたときの反射の周波数特性を示す。また、図23は、d=32mmの伝送線路開口型アンテナ装置を送受信に使用してガウシアンパルス入力時の受信特性を示す。ここで、d=32mm、w=80mmの1対の伝送線路開口型アンテナ装置を互いに対向させて送受信に使用したときのガウシアンパルス受信特性であり、アンテナ間隔を10mm、30mm、60mmと変化させた。また、ガウシアンパルスの周波数成分は0.01GHzから20GHzのエネルギーをフラットに含む合成波とした。ここでは、d=60mmで受信可能な波形を示している。しかし、図22から明らかなように、反射係数S11=−20dBになるのが6.5GHzのため、周波数特性はフラットにならず、あまり伝送特性はよくない。
図24は上記ガウシアンパルスの実施例のシミュレーションで用いた伝送線路開口型アンテナ装置のタイムドメイン強度(830psec)で表示した伝送波形を示す図であり、図25は上記ガウシアンパルスの実施例のシミュレーションで用いた伝送線路開口型アンテナ装置のタイムドメイン強度(1050psec)で表示した伝送波形を示す図である。図24及び図25では、d=32mmでw=80mmの伝送線路開口型アンテナ装置における上記伝送特性を電界エネルギーで表している。
図26は図23におけるアンテナ間隔を変化したときの違いを示す信号波形図である。図26から明らかなように、d=65mmの開口面に対する受信特性を比較すると、100mm離れているにもかかわらずd=32mmより良好な特性が得られている。(1/4)λg≦dの関係を信号伝送シミュレーションで確認できたことになる。伝送線路開口型アンテナ装置は送受信でほぼ同じ効率で伝送できていることが、図23から判明した。
図27は本実施例のシミュレーションで用いた伝送線路開口型アンテナ装置において特性インピーダンスを一定にしたときのテーパー拡大電界分布を示す図である。すなわち、図27では、特性インピーダンスZを一定に保ちながら120度のテーパー角θを付けたときの10GHz正弦波の電磁波の伝送状態である。拡大出発点を起点とする円弧状態で拡散していることが判明する。開口部3は円弧になった分、時間分散したことになり、アンテナとしてのTEM波送信ができない。その拡散角度はおよそ60度であり、伝送線路電磁カップリングを完全に取る状態で拡大するテーパー角θ(又はφ)は30度以下と考え、これを本発明の特徴とした。
図28は本実施例のシミュレーションで用いた伝送線路開口型アンテナ装置の反射係数S11の周波数特性(0.05GHzから20GHzまでの基準値(上限値よりも1目盛り下の横軸)が0dBであり、1目盛り5dBである。)を示す図である。図28は実験例であって、アクリル板で拡大テーパー線路部2を作り、途中で中空に浮かせた構造となっている。開口部3の諸元はd=20mm、w=30mm、(1/4)λ=3.75GHzである。本実験では、スタックトペア線路1はなく、テーパー線路部2は直列にBNCコネクタに接続される。当該BNCコネクタの特性インピーダンスZは50Ωであり、アクリル部で作成されたテーパー線路部2の特性インピーダンスZは83.5Ωであり、開口部3の特性インピーダンスZは139.4Ωとなっていて、特性インピーダンスは一定と言うには程遠い条件で、大きな反射減衰が出る構成であるが、図28の反射係数S11の周波数特性を見ると、3.75GHz以上ではS11=概略−10dBになっていて周波数特性を持たず放射特性としては悪くはない結果が得られている。
図29は本実施例のシミュレーションで用いた1対の伝送線路開口型アンテナ装置において開口面同士の距離及び中心線からの偏心距離を変化したときに信号波形を示す信号波形図である。図29においては、10GHzの正弦波(1V振幅)を入力したときのd=20mm、w=30mmの寸法を有する1対の伝送線路開口型アンテナ装置を対向状態にしたときの送受信特性を示す。図29の上段では、図28の伝送線路開口型アンテナ装置を互いに対向させて送受信に使用したときの10GHz正弦波伝送特性(受信波形)である。送信アンテナ装置への入力は1Vのため、アンテナ間隔1mの送信で−40dBのアンテナ利得が得られている。アンテナ装置内の特性インピーダンスZが一定であれば、シミュレーションと同様な効果が期待できるものと思われる。また、図29の下段では、アンテナ間隔50cmの送受信アンテナ装置でそれらの中心軸を線路幅方向に平行移動したときの受信特性で、指向性があることを示す結果となっている。
本発明者らは、さらに、図2乃至図6の実施形態に係る伝送線路開口型アンテナ装置についてもシミュレーションを行った。その結果、支持部材4a,4b又は4cを設けた場合でも、線路幅に対して十分に小さい幅(例えば、d=100μmに対して1μmの幅)であれば、通過係数S21や反射係数S11においてほとんど影響がないことを確認した。また、開口部3をテーパー状に拡大する図4乃至図6では、反射係数S11が低下するとともに、アンテナ利得が若干増大し、これによりトータルのアンテナ放射効率は増大するという結果が得られた。
以上詳述したように、本発明に係る伝送線路開口型アンテナ装置によれば、伝送線路に連結されたアンテナ装置であって、従来技術に比較して構成がきわめて簡単であってほとんど周波数特性の変化を有しないで狭指向性を有し、これにより多大のアンテナ利得を実現できるので、比較的遠距離でも通信可能である。本発明に係る伝送線路開口型アンテナ装置は、以下の種々のアプリケーションに適用することができる。
(1)ICチップ内グローバル配線のIP端末間の受送信に適用できる。
(2)ICチップ間の通信手段に適用できる。
(3)LSIパッケージ間の通信手段に適用できる。
(4)ボード間通信に適用できる。
(5)長距離通信に適用できる。
(6)周波数特性を持たないことからUWBやデジタル信号を変調しないでそのまま通信するシステムに適用できる。
(7)反射目的物の距離測定や形状測定に適用できる。
(8)RFIDなどの基地局側の送受信に適用できる。
(9)狭指向性を利用してスキャニング発信、スキャニング受信を目的とする送受信や反射受信を目的とする用途に適用できる。
(10)特性インピーダンスの原理は相似縮小拡大が可能なため、MEMS通信、医用の体内通信から巨大なアンテナによる衛星通信や電力送信に適用できる。
(11)狭指向性のため無線周波数割り当てに関係がない用途に適用できる。
本発明の第1の実施形態に係る伝送線路開口型アンテナ装置の外観を示す斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係る伝送線路開口型アンテナ装置の外観を示す斜視図である。 本発明の第3の実施形態に係る伝送線路開口型アンテナ装置の外観を示す斜視図である。 本発明の第4の実施形態に係る伝送線路開口型アンテナ装置の外観を示す斜視図である。 本発明の第5の実施形態に係る伝送線路開口型アンテナ装置の外観を示す斜視図である。 本発明の第6の実施形態に係る伝送線路開口型アンテナ装置の外観を示す斜視図である。 誘電体に囲まれた伝送線路と、本実施形態に係る伝送線路とを連結することを示す斜視図である。 本実施形態で用いるスタックトペア線路の構造を示す縦断面図である。 図8のスタックトペア線路の1対の線路導体間の電磁力線分布を示す、線路幅方向に平行な面での縦断面図である。 図8のスタックトペア線路の1対の線路導体間の電磁力線分布を示す、線路長方向に平行な面での縦断面図である。 従来技術に係るスタックトペア線路の構造を示す斜視図である。 従来技術に係る分割ストリップ線路(上下コモン)の構造を示す斜視図である。 従来技術に係るプレーナペア線路の構造を示す斜視図である。 従来技術に係るコプレーナ線路(両端コモン)の構造を示す斜視図である。 本実施例のシミュレーションで用いた伝送線路開口型アンテナ装置のアンテナ開口面を示す斜視図である。 本実施例のシミュレーションで用いた伝送線路開口型アンテナ装置のアンテナ開口面におけるポート電界分布を示す斜視図である。 本実施例のシミュレーションで用いた伝送線路開口型アンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示す図である。 本実施例のシミュレーションで用いた伝送線路開口型アンテナ装置の入力端におけるインピーダンス特性を示すスミスチャートである。 本実施例のシミュレーションで用いた伝送線路開口型アンテナ装置の指向特性を示す図である。 本実施例のシミュレーションで用いた伝送線路開口型アンテナ装置の電磁放射空間分布を示す図である。 本実施例のシミュレーションで用いた伝送線路開口型アンテナ装置の電磁放射電界エネルギー分布を示す図である。 本実施例のシミュレーションで用いた伝送線路開口型アンテナ装置の開口面積と反射係数S11の周波数特性を示す図である。 本実施例のシミュレーションで用いた伝送線路開口型アンテナ装置のガスシアンパルスの受信信号波形を示す波形図である。 上記ガウシアンパルスの実施例のシミュレーションで用いた伝送線路開口型アンテナ装置のタイムドメイン強度(830psec)で表示した伝送波形を示す図である。 上記ガウシアンパルスの実施例のシミュレーションで用いた伝送線路開口型アンテナ装置のタイムドメイン強度(1050psec)で表示した伝送波形を示す図である。 図23におけるアンテナ間隔を変化したときの違いを示す信号波形図である。 本実施例のシミュレーションで用いた伝送線路開口型アンテナ装置において特性インピーダンスを一定にしたときのテーパー拡大電界分布を示す図である。 本実施例のシミュレーションで用いた伝送線路開口型アンテナ装置の反射係数S11の周波数特性を示す図である。 本実施例のシミュレーションで用いた1対の伝送線路開口型アンテナ装置において開口面同士の距離及び中心線からの偏心距離を変化したときに信号波形を示す信号波形図である。
符号の説明
1…スタックトペア線路、
2…テーパー線路部、
3…開口部、
1a,1b,2a,2b…線路導体、
3a,3b,4a,4b…開口導体、
4a,4b,4c…支持部材。

Claims (10)

  1. 所定の特性インピーダンスを有する第1の伝送線路に接続された伝送線路開口型アンテナ装置において、
    上記伝送線路の一端に連結され、それぞれ平板形状を有しかつ互いに分離された1対の線路導体にてなる第2の伝送線路を含み、所定の特性インピーダンス一定を保持しつつかつ線路幅と間隔の少なくとも一方が所定のテーパー角でテーパー状に拡大して構成されたテーパー線路部と、
    上記テーパー線路部の一端に連結され、それぞれ平板形状を有し、互いに平行で対向しかつ互いに分離された1対の線路導体にてなる放射開口を有する開口部とを備え、
    上記開口部の開口端面の一辺の寸法が最低動作周波数の1波長を超えるように設定され、
    上記第1の伝送線路に入力された電磁波は上記第2及び第3の伝送線路をTEMモードで伝搬し、
    上記伝送線路開口型アンテナ装置は、デジタル信号を変調しないでそのまま通信する通信システムのためのアンテナ装置であることを特徴とする伝送線路開口型アンテナ装置。
  2. 上記開口部の線路幅方向の略中央部において、上記1対の線路導体にてなる第2の伝送線路を短絡して支持する第1の支持部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の伝送線路開口型アンテナ装置。
  3. 上記開口部の線路幅方向の両端において、上記1対の線路導体にてなる第2の伝送線路を短絡して支持する1対の第2の支持部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の伝送線路開口型アンテナ装置。
  4. 上記開口部は、その線路幅がテーパー状で拡大して構成されたことを特徴とする請求項1乃至3のうちのいずれか1つに記載の伝送線路開口型アンテナ装置。
  5. 上記テーパー線路部の第1の伝送線路の1対の線路導体の間に所定の誘電体を充填して構成されたことを特徴とする請求項1乃至4のうちのいずれか1つに記載の伝送線路開口型アンテナ装置。
  6. 上記開口部の第2の伝送線路の1対の線路導体の間に所定の誘電体を充填して構成されたことを特徴とする請求項1乃至5のうちのいずれか1つに記載の伝送線路開口型アンテナ装置。
  7. 上記テーパー線路部の第1の伝送線路の線路幅方向の両端部を所定の間隔で支持するための第1の支持部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至6のうちのいずれか1つに記載の伝送線路開口型アンテナ装置。
  8. 上記開口部の第2の伝送線路の線路幅方向の両端部を所定の間隔で支持するための第2の支持部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至7のうちのいずれか1つに記載
    の伝送線路開口型アンテナ装置。
  9. 上記テーパー角は0度を超えかつ30度以下の所定値であるように設定されたことを特徴とする請求項1乃至8のうちのいずれか1つに記載の伝送線路開口型アンテナ装置。
  10. 上記特性インピーダンスは、50Ω以上から100Ω以下の所定値に設定されたことを特徴とする請求項1乃至9のうちのいずれか1つに記載の伝送線路開口型アンテナ装置。
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