本発明に係る眼科撮影装置の好適な実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明は、眼内レンズ(IOL)が装着された被検眼の撮影(特に眼底撮影)を好適に行うことを目的としている。以下、第1の実施形態においては、IOLが装着された被検眼に対する検査時に照明光学系の絞り(照明絞り)を制御することで、撮影画像におけるフレアの発生の抑制することが可能な眼科撮影装置について説明する。また、第2、第3の実施形態においては、被検眼に装着されたIOLの種類(例えば、各社製品、レンズ本体の色など)に関わらずに好適な色合いの眼底像を取得することを可能とする眼科撮影装置について説明する。
〈第1の実施形態〉
[外観構成]
図1は、本発明に係る眼科撮影装置の一例としての眼底カメラ1の外観構成を表す。眼底カメラ1は、ベース2と、このベース2上に前後左右方向(水平方向)にスライド可能に搭載された架台3とを備えている。
架台3には、ジョイスティック4が設置されており、検者はジョイスティック4を操作することによって、架台3をベース2上において自由に移動させることができる。ジョイスティック4の先端部には、操作ボタン4aが配置されており、これを押下することにより眼底撮影が実行される。また、架台3上には、撮影モードの設定入力やIOLモードの設定入力など、眼底カメラ1の各種動作に関する入力を行うためのボタン、キー、スイッチ等を備えたコントロールパネル3aが設けられている。なお、コントロールパネル3aは、タッチパネル方式の液晶パネルなどで構成することもできる。
ベース1上には支柱5が立設され、被検者の顎部を載置させるための顎受け6aと、被検者の額が当接される額当て6bと、被検眼Eを固視させるための光源である外部固視灯7とが設けられている。
架台3上には、眼底カメラ1の各種光学系や制御系を格納する本体部8が搭載されている。なお、制御系は、ベース2や架台3の内部等に設けられていてもよい。本体部8には、被検眼Eに対向配置される対物レンズ部8aと、検者が被検眼Eの観察等を行うための接眼レンズ部8bとが設けられている。本体部8は、ジョイント部8cを介して架台3に接続されている。ジョイント部8cには、従来のように、本体部8の向きを上下左右に変更可能とする機構が格納されている。
また、本体部8には、被検眼Eの前眼部や眼底の特に静止画像を撮影するための撮像装置9と、前眼部や眼底の観察画像を撮影するためのテレビカメラ10とが接続されている。撮像装置9及びテレビカメラ10は、本体部8に対して取り外し可能に接続されている。特に、撮像装置9としては、検査の目的等に応じて、CCDを搭載したテレビカメラやデジタルカメラ、(例えば35mmの)フィルムカメラ、インスタントカメラ等が選択的に適用される。また、撮像装置9やテレビカメラ10による撮影画像を、眼底カメラの外部に設けられたコンピュータ等の画像記録装置に送信して保存することができる。
更に、本体部8の検者側には、テレビカメラ10により取得された映像信号を基に被検眼Eの前眼部像や眼底像Ef′を表示するモニタ11が設けられている。モニタ11は、本発明にいう表示手段を構成するもので、薄型(好ましくは軽量)タイプの例えば液晶モニタにより構成される。モニタ11としては、例えばタッチパネルモニタが使用され、その画面中央を原点とするXY座標系が眼底像Ef′等に重ねて表示され、画面に触れた位置に対応する座標値が表示されるようになっている。
[光学系の構成]
図2は眼底カメラ1の光学系の構成を示している。眼底カメラ1には、被検眼Eの前眼部や眼底Efに照明を照射する照明光学系100と、照明光の前眼部反射光や眼底反射光を受光して前眼部や眼底Efを観察し撮影するための撮影光学系120とが設けられている。
〔照明光学系〕
照明光学系100は、ハロゲンランプ101、コンデンサレンズ102、キセノンランプ103、コンデンサレンズ104、エキサイタフィルタ105及び106、リングスリット板107a、107b、107c、ミラー108、液晶表示器109、リレーレンズ111、孔開きミラー112、対物レンズ113を備えている。
ハロゲンランプ101は、定常光(観察照明光)を発する観察光源である。コンデンサレンズ102は、ハロゲンランプ101が発した定常光を集光し、被検眼E(特にその眼底Ef)を均等に照射するための光学素子である。また、キセノンランプ103は、眼底Efを撮影するときにフラッシュ発光される撮影光源である。コンデンサレンズ104は、キセノンランプ103が発したフラッシュ光(撮影照明光)を集光し、眼底Efを均等に照射するための光学素子である。
エキサイタフィルタ105、106は、眼底Efの眼底像の蛍光撮影を行うときに使用されるフィルタで、図示しないソレノイド等によりそれぞれ光路に対して挿脱される。FAG撮影時にはエキサイタフィルタ105が光路上に挿入され、ICG撮影時にはエキサイタフィルタ106が光路上に挿入される。また、カラー撮影時には、エキサイタフィルタ105、106はともに光路上から退避される。
リングスリット板107a〜107cは、照明光の一部を遮蔽する照明絞りとして作用し、観察画像や撮影画像のフレアの除去などを図るために、照明光の断面形状をリング状に制限するものである。なお、照明光の「断面」とは、照明光の進行方向(照明光学系100の光軸方向)に対し直交する面における断面を表すこととする。
各リングスリット板107a〜107cは、図3に示すように、照明光の断面の周辺領域を遮蔽する周辺遮光部Raと、照明光の断面の中心領域を遮蔽する中心遮光部Rbとを備えている。周辺遮光部Ra及び中心遮光部Rbは、照明光学系100の光軸を中心とする同心円をなすように形成されている。照明光は、周辺遮光部Raと中心遮光部Rbの間に形成されたリングスリットRsを透過して断面がリング状とされる。なお、各リングスリット板107a〜107cの周辺遮光部Ra及び/又は中心遮光部Rbは、それぞれ異なる大きさに形成されている。言い換えれば、各リングスリット板107a〜107cのリングスリットRsは、それぞれ異なるサイズ、つまり異なる外径及び/又は内径を有している。
リングスリット板107a〜107cは、それぞれ照明光学系100の光軸方向に移動可能とされている。検査時において、リングスリット板107bは瞳孔(虹彩)に共役になるように位置が調整され、それからリングスリット板107a、107cがそれぞれ角膜、水晶体(の後面)に共役となるように位置調整される。それにより、各人毎の角膜や水晶体の厚さの相違、あるいは角膜と水晶体後面との間隔の相違などに応じてリングスリット板107a〜107cの位置を調整することができる。
なお、リングスリット板107a〜107cの照明光学系100の光軸方向への移動は、手動で行うように構成することもできるし、パルスモータ等の駆動装置によって電気的に行うように構成することもできる。本実施形態では、各リングスリット板107a〜107cの位置を微調整できるように後者の構成(駆動装置)を採用することとする。各駆動装置は、例えば、コントロールパネル3aやジョイスティック4に対する操作に対応して各リングスリット板107a〜107cを駆動する。
以下、被検眼Eの角膜に略共役に配置されるリングスリット板107aを角膜絞りと称し、虹彩に略共役に配置されるリングスリット板107bを虹彩絞りと称し、水晶体の後面に略共役に配置されるリングスリット板107cを水晶体絞りと称することがある。また、これら3つの絞りをまとめて照明絞り107と称することがある。
角膜絞り107a及び/又は水晶体絞り107cは、リング状の透光部(リングスリットRs)を有するリングスリット板である必要はなく、中心遮光部Rbのみを有する遮光板を適用してもよい。また、虹彩絞り107bについても、リング状の透光部を有するリングスリット板である必要はなく、周辺遮光部Raのみを有する遮光板を適用してもよい。したがって、例えば、照明光の外径の制限は虹彩絞り107bのみによって行い、照明光の内径については3つの絞り107a〜107cにより決定するような構成を採用することができる。
更に、少なくとも虹彩絞り107bと水晶体絞り107cは、透光部のサイズが異なる複数のリングスリット板を含んでおり、それらが照明光学系の光軸上に択一的に切り換え配置されるように構成されている(詳細は後述する)。図4に、本実施形態における虹彩絞り107bと水晶体絞り107cの構成を表す。図4(A)は、虹彩絞り107bを形成する虹彩絞り部材107Bの構成を示し、図4(B)は、水晶体絞り107cを形成する水晶体絞り部材107Cの構成を示している。
虹彩絞り部材107Bは、照明光を透過させる透明な板状部材を基に構成されており、人眼水晶体を有する被検眼(健常眼と呼ぶ)の観察、撮影を行うときに使用される健常眼用虹彩絞り107b−1と、IOLが装着された被検眼の観察、撮影を行うときに使用されるIOL用虹彩絞り107b−2とを備えている。この虹彩絞り部材107Bは、被検眼Eの虹彩(瞳孔)の位置における照明光の外径を制限する本発明の「外径制限手段」を構成するものである。
健常眼用虹彩絞り107b−1とIOL用虹彩絞り107b−2とは、後述する外径変更手段(ソレノイド等)により照明光の光路上に択一的に配置され、それぞれが上記の虹彩絞り(リングスリット板)107bとして作用する。
健常眼用虹彩絞り107b−1には、図3に示したように、周辺遮光部Ra、中心遮光部Rb、及び、それらの間に形成されたリングスリットRsが設けられている。同様に、IOL用虹彩絞り107b−2についても、周辺遮光部Ra′、中心遮光部Rb、リングスリットRs′が設けられている。
ここで、IOL用虹彩絞り107b−2の周辺遮光部Ra′は、健常眼用虹彩絞り107b−1の周辺遮光部Raよりも広い領域に形成されており、よって、IOL用虹彩絞り107b−2のリングスリットRs′は、健常眼用虹彩絞り107b−1のリングスリットRsよりも外径が小さく形成されている。したがって、IOL用虹彩絞り107b−2を透過する照明光は、健常眼用虹彩絞り107b−1を透過するときよりも外径の小さなリング状光束とされる。健常眼用虹彩絞り107b−1のリングスリットRsは、本発明の「第1の透光部」を構成し、IOL用虹彩絞り107b−2のリングスリットRs′は、本発明の「第2の透光部」を構成している。
なお、IOL用虹彩絞り107b−2のリングスリットRs′の外径のサイズは、一般的なIOLのレンズ本体のエッジ部やレンズ本体を支える支持部を避けて照明光が通過するような大きさに設定されている。
一方、水晶体絞り部材107Cも透明な板状部材を基に構成されており、健常眼の観察、撮影を行うときに使用される健常眼用水晶体絞り107c−1と、IOLが装着された被検眼の観察、撮影を行うときに使用されるIOL用水晶体絞り107c−2とを備えている。この水晶体絞り部材107Cは、照明光の中心領域を遮蔽して水晶体後面の位置における照明光の内径を決定する本発明の「中心遮光手段」を構成するものである。
健常眼用水晶体絞り107c−1とIOL用水晶体絞り107c−2とは、後述する内径変更手段(ソレノイド等)により照明光の光路上に択一的に配置され、それぞれが上記の水晶体絞り(リングスリット板)107cとして作用する。
健常眼用水晶体絞り107c−1には、図3に示したように、周辺遮光部Ra、中心遮光部Rb、及び、それらの間に形成されたリングスリットRsが設けられている。同様に、IOL用水晶体絞り107c−2についても、周辺遮光部Ra、中心遮光部Rb′、リングスリットRs′が設けられている。
ここで、IOL用水晶体絞り107c−2の中心遮光部Rb′は、健常眼用水晶体絞り107c−1の中心遮光部Rbよりも小さく形成されており、よって、IOL用水晶体絞り107c−2のリングスリットRs′は、健常眼用水晶体絞り107c−1のリングスリットRsよりも内径が小さく形成されている。したがって、IOL用水晶体絞り107c−2を透過する照明光は、健常眼用水晶体絞り107c−1を透過するときよりも内径の小さなリング状光束とされる。健常眼用水晶体絞り107c−1の中心遮光部Rbは、本発明の「第1の中心透光部」を構成し、IOL用水晶体絞り107c−2のリングスリットRs′は、本発明の「第2の中心透光部」を構成している。
さて、照明光学系100のミラー108は、照明絞り107を透過して断面リング状とされた照明光を撮影光学系120の光軸方向に反射させる反射鏡である。また、液晶表示器109は、被検眼Eの固視を促すための固視標などを表示する透過型の液晶パネルである。
孔開きミラー112は、照明光学系100の光軸と撮影光学系120の光軸とを合成する光学素子であり、双方の光軸をほぼ中心とする孔部112aを備えている。対物レンズ113は、被検眼Eに対峙して配置されるレンズであり、本体部8の対物レンズ部8a内に設けられている。
このような照明光学系100により、被検眼Eの前眼部や眼底Efは次のようにして照明される。前眼部又は眼底の観察時にはハロゲンランプ101から観察照明光が出射され、この観察照明光は、コンデンサレンズ102、104を介して照明絞り107に照射される。各リングスリット板107a〜107cのリングスリットRSを通過して断面リング状の光束とされた観察照明光は、ミラー108により反射され、液晶表示器109とリレーレンズ111とを経由し、孔開きミラー112により反射されて撮影光学系120の光軸に合成され、対物レンズ113により集束されて被検眼Eを照明する。
ここで、リングスリット板107a、107b、107cは、それぞれ被検眼Eの角膜、瞳孔、水晶体(の後面)にほぼ共役に配置されていることから、角膜、瞳孔、水晶体にはそれぞれ対応するリングスリット板によるリングスリット像が形成される。照明光の眼底反射光は、各リングスリット像の中心暗部(中心遮光部Rb、Rb′により遮蔽された領域)を通じて被検眼Eから出射して撮影光学系120に入射する。また、被検眼Eの前眼部を観察するときには、観察照明光の眼底反射光が撮影光学系120に入射する。
また、眼底撮影時には、キセノンランプ103がフラッシュ発光され、同様の光路を通じて眼底Efを照明する。蛍光撮影の場合には、FAG撮影かICG撮影かに応じて、エキサイタフィルタ105又は106が選択的に光路上に配置される。
〔撮影光学系〕
撮影光学系120は、対物レンズ113、孔開きミラー112(の孔部112a)、撮影絞り121、バリアフィルタ122及び123、変倍レンズ124、リレーレンズ125、撮影レンズ126及びクイックリターンミラー127を含んで構成される。符号9aは、撮像装置9の撮像媒体(CCD(撮像素子)、カメラフィルム、インスタントフィルム等)を表している。
撮影絞り121は、例えばサイズの異なる複数の透光部が形成された円板状の部材から構成され、ステッピングモータ等により回動されることにより、各透光部が光路上に択一的に配置され、その絞り値を変更するようになっている。撮影絞り121の絞り値は、撮影モード(カラー撮影、FAG撮影、ICG撮影)、観察倍率や撮影倍率(画角)、あるいは観察深度や撮影深度などに応じて変更される。
バリアフィルタ122、123は、ソレノイド等により光路に対して挿脱可能とされ、FAG撮影のときはバリアフィルタ122が、ICG撮影のときにはバリアフィルタ123が光路上に挿入される。カラー撮影のときには、バリアフィルタ122、123は、光路上からともに退避される。
変倍レンズ124は、図示しない駆動機構によって光軸方向に移動可能とされており、観察倍率や撮影倍率の変更や、眼底像のフォーカス合わせのために用いられる。撮影レンズ126は、被検眼Eからの眼底反射光を撮像媒体9a上に結像させるレンズである。
クイックリターンミラー127は、回動軸127a周りに回動可能に設けられている。このクイックリターンミラー127は、被検眼Eの観察時には光路上に斜設され、眼底反射光を反射して接眼レンズ130やテレビカメラ10の方向に案内する。また、クイックリターンミラー127は、撮像装置9で眼底を撮影するとき、上方に一瞬跳ね上げられて、眼底反射光を撮像媒体9aに一時的に導くように制御される。
撮影光学系120には、クイックリターンミラー127により反射された眼底反射光を案内する、フィールドレンズ(視野レンズ)128、切換ミラー129、接眼レンズ130、リレーレンズ131、反射ミラー132及びリレーレンズ133が設けられている。
切換ミラー129は、クイックリターンミラー127と同様に、回動軸129a周りに回動しれ光路上に挿脱可能とされている。なお、切換ミラー129の光路に対する挿脱は、手動により操作するように構成してもよいし、観察態様の切換操作に連動して自動的に行われるように構成してもよい。
切換ミラー129は、検者が接眼レンズ部8bをのぞき込んで被検眼Eを観察するときには光路上に斜設配置されて、光束を接眼レンズ130に導く。
また、テレビカメラ10で被検眼Eを撮影するときには、切換ミラー129は光路上から退避される。被検眼Eからの前眼部反射光や眼底反射光は、リレーレンズ131、ミラー132、リレーレンズ133を介して撮像素子(CCD)10aに投影される。
モニタ11には、テレビカメラ10によって撮影された前眼部像や眼底像Ef′が表示される。検者は、その表示画像を視認することによって被検眼Eの前眼部観察、眼底観察を行う。なお、撮像装置9としてCCD等の撮像素子を撮像媒体9aとするテレビカメラやデジタルカメラを適用する場合、撮像装置9による撮影画像もモニタ11に表示できるようにしてもよい。
[制御系の構成]
図5は、本実施形態の眼底カメラ1の制御系の概略構成を表している。眼底カメラ1の制御系は、上述のように、例えば本体部8内に設けられている。
眼底カメラ1の制御系は、制御部30と、コントロールパネル3aに設けられたIOLモード設定キー31と、パルスモータ32a、32b、32cと、ソレノイド33b、33cとを含んで構成されている。なお、眼底カメラ1にコンピュータ装置を接続しシステムとして運用する場合には、当該コンピュータ装置のCPU等を制御部30として構成することも可能である。
制御部30は、CPU等の演算制御装置を含んで構成され、図示しないROMやハードディスクドライブ等の記憶装置に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより、いずれも図示を省略するが、ハロゲンランプ101やキセノンランプ103による照明光の切り換えの制御、クイックリターンミラー127や切換ミラー129による光路の切り換えの制御、エキサイタフィルタ105、106やバリアフィルタ122、123の挿脱の制御、変倍レンズ124の駆動制御、撮像装置9やテレビカメラ10による撮影の制御、モニタ11による撮影画像の表示制御などを行う。また、制御部30は、ジョイスティック4の傾倒操作に応じて装置各部を制御し、特に、ジョイスティック4の操作ボタン4aの押下に対応して眼底撮影を実行するように制御を行う。
IOLモード設定キー31は、眼底カメラ1による観察、撮影対象の被検眼EにIOLが装着されているときに操作される。IOLモード設定キー31が操作されると、被検眼EにIOLが装着されている旨を表す信号がIOLモード設定キー31から制御部30に入力される。このIOLモード設定キー31は、本発明にいう「入力手段」に相当するものである。
パルスモータ32a、32b、32cは、それぞれ、角膜絞り107a、虹彩絞り部材107B、水晶体絞り部材107Cを照明光学系100の光軸方向に駆動する。各パルスモータ32a、32b、32cは、例えば、コントロールパネル3aやジョイスティック4に対する操作に応じて制御部30により動作制御される。
ソレノイド33bは、本発明の「外径変更手段」及び「駆動手段」を構成しており、虹彩絞り部材107Bを駆動制御することにより、健常眼用虹彩絞り107b−1とIOL用虹彩絞り107b−2とを照明光学系100の光軸上に択一的に配置させる。同様に、ソレノイド33cは、本発明の「内径変更手段」及び「駆動手段」を構成しており、水晶体絞り部材107Cを駆動制御することにより、健常眼用水晶体絞り107c−1とIOL用水晶体絞り107c−2とを照明光学系100の光軸上に択一的に配置させる。ソレノイド33b、33cは、それぞれ、制御部30によって動作制御される。
[動作態様]
以上のような構成を備える眼底カメラ1の動作態様の一例について説明する。
眼底カメラ1による観察、撮影対象の被検眼EにIOLが装着されている場合、検者は、コントロールパネル3aのIOLモード設定キー31を操作する。制御部30は、IOLモード設定キー31からの入力信号を受信すると、照明絞り107の状態を次のようなIOLモードに設定する。ここで、被検眼Eに対する光学系のアライメントや、パルスモータ32a、32b、32cによる角膜絞り107a、虹彩絞り部材107B、水晶体絞り部材107Cの位置調整等の予備的な処理は完了しているものとする。
制御部30は、IOLモード設定キー31からの入力信号を受信すると、ソレノイド33bを制御してIOL用虹彩絞り107b−2を照明光学系100の光軸上に配置させるとともに、ソレノイド33cを制御してIOL用水晶体絞り107c−2を照明光学系100の光軸上に配置させる。
照明絞り107をこのようなIOLモードに設定した状態で、当該被検眼Eに対する観察、撮影を実行する。当該被検眼Eの眼底撮影が終了したら、例えば、検者は、撮影した眼底像をモニタ11等に表示させ、診断等のために保存する眼底像を選択して保存処理を行う。眼底像は、例えば、眼底カメラ1に接続されたコンピュータ装置やサーバにより管理される当該被検者の電子カルテに保存される。眼底像の保存処理が終了すると、制御部30は、ソレノイド33b、33cを制御して、健常眼用虹彩絞り107b−1及び健常眼用水晶体絞り107c−1を照明光学系100の光軸上に配置させる。
なお、IOLモードを解除するためのキー等をコントロールパネル3a等に設け、それを操作することによってIOLモードから健常眼モードに切り換えるようにしてもよい。また、眼底カメラ1の電源投入時などに自動的に健常眼モードに設定されるようにしてもよい。また、IOLを装着した被検眼を連続して検査するような場合には、IOLモードに一時的に固定するようにしてもよい。IOLモードに固定する操作としては、例えば、IOLモード設定キー31を2回続けて操作することによりIOLモードを固定できるように構成すればよい。
[作用、効果]
このような動作を実行する眼底カメラ1によれば、次のような作用、効果が奏される。
まず、IOL用虹彩絞り107b−2のリングスリットRs′は、健常眼用虹彩絞り107b−1のリングスリットRsと比較して外径が小さいことから、虹彩に形成されるリングスリット像の外径が小さくなる。よって、被検眼E内のIOLに入射する照明光の外径が小さくなるので、IOLのレンズ本体のエッジ部や支持部における散乱が抑制され、フレアの発生が防止される。したがって、本実施形態の眼底カメラ1によれば、IOLを装着した被検眼Eの眼底を撮影するときに、照明絞り107をIOL用の設定に切り換えるだけで、フレアのない眼底像を容易に取得することが可能である。そのための操作も、IOLモード設定キー31を操作するだけの簡単なものである。
また、IOL用水晶体絞り107c−2の中心遮光部Rb′は、健常眼用水晶体絞り107c−1の中心遮光部Rbと比較して径が小さいことから、IOL用水晶体絞り107c−2のリングスリットRs′を透過する照明光の断面積は、健常眼用水晶体絞り107c−1のリングスリットRsを透過する照明光の断面積よりも大きくなる。これは、光源の出力光量を増加させない限り、透過する照明光の光量が大きくなることを意味する。したがって、IOL用虹彩絞り107b−2を使用するときに、水晶体絞り107cをIOL用水晶体絞り107c−2に切り換えることにより、被検眼Eに照射される照明光の光量が増加されるので、明るい眼底像を撮影することが可能となる。
[変形例]
上記実施形態における虹彩絞り部材107B(外径制限手段)は、図4(A)に示したように、比較的大きな直径を有する健常眼用のリングスリットRs(透光部)と、比較的小さな直径を有するリングスリットRs′(透光部)とを有する構成とされている。本発明に係る外径制限手段が具備する透光部の個数は、このように2つに限定されるものではなく、3つ以上の透光部を任意に設けることが可能である。その場合、例えば、IOLのレンズ本体のサイズ等に応じて、様々な直径の透光部を外径制限手段に設け、ソレノイドやパルスモータ等の駆動装置(外径変更手段)により、それら複数の透光部を光軸上に切り換え配置させるように構成することができる。このとき、透光部の選択は、コントロールパネル3aに設けた選択キーなどによって行うことができる。
同様に、本発明に係る中心遮光手段についても、上記実施形態の水晶体絞り部材107Cのように、遮光部の個数は2つ(図4(B)の中心遮光部Rb、Rb′)に限定されるものではなく、直径の異なる中心遮光部を有する絞りを3つ以上設けてもよい。
また、上記実施形態における虹彩絞り107bの透光部はリング状に形成されているが、本発明に係る眼科撮影装置においては、例えば円形状の透光部を適用してもよい。また、水晶体絞り107cや角膜絞り107aについても、上記実施形態のようなリングスリット板ではなく、中心遮光部として作用する遮光板を適用することが可能である。
更に、本発明に係る照明絞りとして、透過型の液晶パネルなどを用いることができる。その場合、当該液晶パネルは、通常の液晶駆動装置によって駆動されることにより、周辺遮光部、中央遮光部、透光部を形成する。
また、上記実施形態の照明絞り107は、角膜絞り107a、虹彩絞り107b、水晶体絞り107cの3つの絞りを備えているが、1つ、2つ、あるいは4つ以上の絞りを有する構成としてもよい。例えば、単一の照明絞りとそれを光軸方向に移動させる駆動装置とを設けることにより、当該照明絞りを角膜、虹彩、水晶体等に対応する絞りとして作用させる構成を適用することも可能である。その場合、例えば、当該照明絞りが虹彩に略共役に配置されているときには、IOLモードとしてその外径を小さくするよう制御し、水晶体に略共役に配置されているときには、リングスリットの内径を小さくするよう制御するように構成することができる。2つあるいは4つ以上の絞りを含む場合についても同様の制御を行うことができる。
眼底カメラ1が、患者の電子カルテを管理する電子カルテ管理システムに接続されている場合において、被検者の電子カルテにIOLを装着している旨が記載されているときに、IOL情報(IOLを装着している旨を示す情報)を当該システムから眼底カメラ1に自動入力して照明絞り107をIOLモードに自動設定することも可能である。
また、本実施形態の眼底カメラ1に、後述の第2の実施形態や第3の実施形態の構成(補正手段等)を付加した構成とすることもできる。すなわち、眼内レンズが装着された被検眼Eに対して照明光の外径が小さく変更されて撮影された眼底像の色バランスを、健常眼について撮影される眼底像の色バランスに合わせるように補正するように構成することができる。
〈第2の実施形態〉
本発明に係る眼科撮影装置の第2の実施形態について説明する。本実施形態の眼科撮影装置は、被検眼にIOLが装着されているときに、当該IOLが撮影画像の色バランスに与える影響を低減して、人眼水晶体の被検眼に対する撮影画像の色合いに補正するように作用する。
ここで、「色バランス」とは、撮影画像の色を構成する基準となる色(RGB(赤、緑、青)、CMY(シアン、マゼンタ、黄)など;基準色と呼ぶこととする)のバランスを意味する。本実施形態では、CCD等の電子的な撮像素子を用いて画像を取得する。一般に、カラー撮影用のCCDは、撮影光をRGBに分解して検出する原色CCDと、CMYに分解して検出する補色CCDとに分類されることがある。本実施形態では原色CCDを用いた構成を適用するが、補色CCDを用いる場合についても同様に構成することができる。なお、一般に、原色CCDは色再現性に優れ、補色CCDは検出感度に優れているとされる。
本実施形態の眼科撮影装置(眼底カメラ)は、第1の実施形態と同様の外観構成(図1参照)及び光学系の構成(図2参照)を備えている。以下、第1の実施形態と同様の構成部分については、図1、図2に示した符号を用いて説明を行う。なお、本実施形態では、原色CCDを撮像素子9a、10aとする撮像装置9及びテレビカメラ10を用いる。なお、撮像装置9とテレビカメラ10は、それぞれ、本発明にいう「撮像手段」を構成している。
[制御系の構成]
図6に、本実施形態の眼底カメラ200の制御系の構成を示す。眼底カメラ200は、制御部210、補正情報記憶部220、色バランス補正部、撮影画像格納部240を備えている。また、コントロールパネル3aには、IOLモード設定キー251、IOL製品名入力キー252、レンズ色入力キー253が設けられている。
コントロールパネル3aのIOLモード設定キー251は、本発明の「入力手段」を構成するもので、被検眼にIOLが装着されているときに操作されるキーである。このIOLモード設定キー251が操作されると、制御部210の制御の下に後述の補正処理が実行される。
IOL製品名入力キー252は、本発明の「種類入力手段」を構成するもので、各種IOLの製品名を入力するために操作される。このIOL製品名入力キー252は、例えば、コントロールパネル3aの表示領域や眼底カメラ200のモニタ11に一覧表示される各種IOLの製品名から所望の製品名を選択入力するためのキーである。
レンズ色入力キー253は、本発明の「レンズ色入力手段」を構成するものであり、被検眼に装着されたIOLのレンズ本体の色を入力するために操作され、例えば「黄」、「透明」、「薄青」等の各種のレンズ色のキーによって構成される。
撮像装置9やテレビカメラ10は、それぞれ、上述のように(原色)CCDを撮像素子9a、10aとして備えており、撮影光をR、G、Bの成分に分解して各成分の強度を検出することにより撮影画像の色を形成する。撮像装置9やテレビカメラ10により撮影された画像のデータ(撮影画像データ241)は、イメージメモリ等の画像記憶装置からなる撮影画像格納部240に保存される。撮影画像データ241は、R成分の強度情報であるR画像データ241R、G成分の強度情報であるG画像データ241G、B成分の強度情報であるB画像データ241Bとして成分毎に保存される。
制御部210は、第1の実施形態の制御部30と同様に、CPU等の演算制御装置を含んで構成され、ROMやハードディスクドライブ等に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより装置各部の制御を行う。特に、制御部210は、撮像装置9やテレビカメラ10による撮影画像の保存処理、色バランス補正部230の動作制御などを行う。
補正情報記憶部220は、ROMやハードディスクドライブ等の不揮発性の記憶装置から構成されており、以下に説明するようなIOL分光特性情報221、人眼水晶体分光特性情報222及びレンズ色分光特性情報223をあらかじめ記憶している。補正情報記憶部220に記憶される情報の更新や追加は、適宜行うことができる。なお、補正情報記憶部220は、本発明の「記憶手段」を構成するものである。
IOL分光特性情報221は、本発明にいう「複数種類の眼内レンズの分光特性情報」に相当し、IOLを透過した光をR成分、G成分、B成分に分解したときの各成分の強度比を含んだ分光特性情報である。ここで、例えば、R成分は600〜700nmの波長成分に対応し、G成分は500〜600nmの波長成分に対応し、B成分は400〜500nmの波長成分に対応する。
図7は、IOL分光特性情報221の一例を表す概念図である。IOL分光特性情報221は、同図に示すように、各種IOL製品(製品名A〜H)についてのRGBの各成分の強度比(%)によって形成される。例えば、製品名AのIOLを透過した光のR成分、G成分、B成分の強度比は、37%:35%:28%となる。なお、図7中の製品名A〜Cは黄色タイプの着色IOLであり、製品名D〜Fは透明タイプのIOLであり、製品名G、Hは薄青色タイプのIOLである。もちろん、IOL分光特性情報221は、その他のタイプのIOLを含んでいてもよいし、製品数も任意である。
IOL分光特性情報221に含まれる各製品の分光特性情報は、メーカや販売者等により開示されるデータを利用してもよいし、当該眼底カメラ200のキセノンランプ103と同スペックの光源や白色光などを用いてあらかじめ計測して求めることもできる。
人眼水晶体分光特性情報222は、人眼水晶体を透過した光をR成分、G成分、B成分に分解したときの各成分の強度比を含んだ分光特性情報であり、上記のIOL分光特性情報221と同様の形式にて記憶される。この人眼水晶体分光特性情報222としては、例えば臨床データなどが用いられる。一般に、水晶体は短波長(B成分)を若干吸収するので、それを透過した光は黄色味を帯びている。ここで、人眼水晶体分光特性情報222を、R:G:B=35%:38%:27%とする。
レンズ色分光特性情報223は、各種レンズ色のIOLにおける代表的なRGBの各成分の強度比を含んだ分光特性情報である。図8は、レンズ色分光特性情報223の一例を表す概念図であり、レンズ色が黄色、透明、薄青色のIOLの代表的なRGBの各成分の強度比が含まれている。当該情報は、例えば、同系色の複数のIOLについての強度比の平均値として求めることができる。
ここで、IOL分光特性情報221、人眼水晶体分光特性情報222及びレンズ色分光特性情報223を求めるときには、それぞれ同一の測定光を用いることが好ましい。また、当該測定光としては、上述のキセノンランプからの光や白色光を用いる。特に、白色光は、各波長における強度が平均化されているので、これらの情報221〜223を求めるためのRGBの強度比の測定に好適であると考えられる。なお、これら情報221〜223はRGBにおける強度比として形成されるため、レーザ光等の単色光は当該測定光としては不適当である。
色バランス補正部230は、所定のコンピュータプログラムを実行するCPU等の演算制御装置により構成され、分光特性情報選択部231、補正係数算出部232及びRGB補正処理部233を含んでいる。この色バランス補正部230は、本発明の「補正手段」を構成している。
分光特性情報選択部231は、コントロールパネル3aのIOL製品名入力キー252により入力された製品名に該当する分光特性情報を補正情報記憶部220のIOL分光特性情報221から選択する処理を行う。また、分光特性情報選択部231は、入力された製品名に該当する分光特性情報がIOL分光特性情報221に含まれていない場合、レンズ色入力キー253から入力されたレンズ色における代表的な分光特性情報をレンズ色分光特性情報223から選択する。
補正係数算出部232は、分光特性選択部231により選択された分光特性情報と人眼水晶体分光特性情報222とに基づいて当該補正処理における補正係数を算出する。当該補正係数は、選択された分光特性情報(被検眼内のIOLにおけるRGBの各成分の強度比;図7参照)を、人眼水晶体分光特性情報222に示す強度比に合わせるように補正する係数情報である。例えば、製品名AのIOLにおける強度比37%:35%:28%を人眼水晶体の強度比35%:38%:27%に合わせるための補正係数(KR、KG、KB)は、例えば、KR=35/37≒0.946、KG=38/35≒1.086、KB=27/28≒0.964とされる。
RGB補正処理部233は、補正係数算出部232により求められた補正係数(KR、KG、KB)に基づいて、撮像装置9やテレビカメラ10による撮影画像の色バランスを補正する処理を実行する。すなわち、RGB補正処理部233は、撮影画像格納部240に保存された撮影画像データ241を上記補正係数を用いて補正する。例えば、RGB補正処理部233は、R成分の検出強度であるR画像データ241Rに補正係数KRを乗算し、G成分の検出強度であるG画像データ241Gに補正係数KGを乗算し、B成分の検出強度であるB画像データ241Bに補正係数KBを乗算することにより、撮影画像の色バランス補正処理を行う。
[動作態様]
以上のような構成を備える眼底カメラ200の動作態様の一例について説明する。
眼底カメラ200による観察、撮影対象の被検眼EにIOLが装着されている場合、検者は、コントロールパネル3aのIOLモード設定キー251を操作する。制御部210は、IOLモード設定キー251からの入力信号を受信すると、色バランス補正部230を動作状態にする。
また、検者は、被検眼E内のIOLの製品名をIOL製品名入力キー252を操作して入力する。入力された製品名は、例えば図示しないRAM等に記録される。なお、製品名は、例えばカルテ等を参照するなどして入力される。
IOL製品名入力キー252における選択肢に当該IOLの製品名がない場合、検者は、レンズ色入力キー253を操作して当該IOLのレンズ色を入力する。入力されたレンズ色は、例えばRAM等に記録される。
分光特性情報選択部231は、IOL製品名入力キー252から入力された製品名に対応する分光特性情報をIOL分光特性情報221から選択する。また、当該IOLの製品名がない場合においては、分光特性情報選択部231は、レンズ色入力キー253から入力されたレンズ色において代表的な分光特性情報をレンズ色分光特性情報223から選択する。
補正係数算出部232は、分光特性情報選択部231により選択された分光特性情報と人眼水晶体分光特性情報222の分光特性情報とに基づいて補正係数(KR、KG、KB)を算出する。算出された補正係数(KR、KG、KB)は、例えばRAM等に記録される。
撮像装置9あるいはテレビカメラ10により被検眼Eの眼底像が撮影されると、制御部210は、その撮影画像データ241をRGBの各成分毎の画像データ(R画像データ241R、G画像データ241G、B画像データ241B)として撮影画像格納部240に保存する。
RGB補正処理部233は、補正係数KRに基づいてR画像データ241Rを変更し、補正係数KGに基づいてG画像データ241Gを変更し、補正係数KBに基づいてB画像データ241Bを変更することにより、撮影された眼底像の色バランスを補正する。制御部210は、補正された眼底像を撮影画像格納部240に保存し、検者等の要求に応じて当該補正された眼底像をモニタ11等に表示させる。
[作用、効果]
以上のような撮影画像の補正処理によれば、被検眼Eに装着されたIOLの製品名を入力するだけで、当該IOLにおけるRGBの各成分の強度比を人眼水晶体における強度比に合わせるように撮影画像が補正されるので、健常眼に対する撮影画像に近い色合いの眼底像を容易に取得することが可能である。
また、その製品名がIOL分光特性情報221に登録されていない場合であっても、当該IOLのレンズ本体の色を入力するだけで、同様に、健常眼に対する撮影画像に近い色合いの眼底像を容易に取得することができる。
したがって、本実施形態によれば、IOLのタイプによらずに人眼水晶体に近い色味の撮影像を取得することが可能となるので、例えば眼底像に写った眼底の出血部位や病変部などを明確に視認できる。それにより、被検眼Eの眼底の状態を精度よく確認することができ、正確で効果的な診療を行うことが可能となる。
[変形例]
上記第2の実施形態においては、補正情報記憶部220に記憶されているIOLや人眼水晶体の分光特性情報から補正係数を算出するような構成が適用されているが、例えば、各種IOLに対応する補正係数をあらかじめ算出して補正情報記憶部220に記憶しておき、検査時においてコントロールパネル3aから入力されたIOLの製品名やレンズ色に対応する補正係数を選択して補正処理を行うように構成することも可能である。それにより、補正処理に掛かる時間の短縮を図ることができる。
上記のIOL分光特性情報221は、各製品についての分光特性情報により形成されているが、例えば、類似の製品をグループ化して各グループ毎に分光特性情報を付与した構成としてもよい。
本実施形態は、IOLの種類(製品名)に応じて眼底像の色バランスを補正するように構成されているが、製品名以外のIOLの種類(識別子)に応じた補正処理を行ってもよい。
コントロールパネル3aのIOL製品名入力キー252やレンズ色入力キー253による入力態様としては、上記の方式以外にも、例えばプルダウンメニュー等により選択入力する構成を採用することができる。
補正係数の算出方法やRGB補正処理部233による補正方法についても、任意の方法を適宜用いることが可能である。
補正時に入力されたIOLの製品名やレンズ色等のデータを、補正された眼底像とともに保存するように構成してもよい。また、当該入力されたデータを眼底像とともにモニタ11等に表示させることも可能である。それにより、当該IOLの種類を確認でき、また、当該眼底像がどのようなIOLを介して撮影されたかを確認することが可能となる。
補正に用いた補正係数を撮影画像データとともに保存し、どのような補正処理が行われたかを後で確認できるようにしてもよい。また、当該補正係数を用いて撮影画像データを元のデータに逆変換することも可能である。
眼底像を検出する撮像素子9a、10aとしては、例えばCMOSセンサなどCCD以外の撮像素子を用いてもよい。
本実施形態の眼底カメラ200が電子カルテ管理システムに接続されている場合、当該被検者の電子カルテからIOLの製品名やレンズ色が自動入力されるように構成できる。
〈第3の実施形態〉
本発明に係る眼科撮影装置(眼底カメラ)の第3の実施形態について説明する。本実施形態の眼科撮影装置は、上述した第2の実施形態と同様に、被検眼にIOLが装着されているときに、当該IOLが撮影画像の色バランスに与える影響を低減して、人眼水晶体の被検眼に対する撮影画像の色合いに補正するものである。
上記第2の実施形態は、コントロールパネル3aなどから入力されたIOLの製品名やレンズ色に基づいて撮影画像の色バランス補正を行うものであったが、本実施形態は、被検眼E内のIOLの画像を撮影し、その画像を解析することによって水晶体の分光特性情報を取得し、その分光特性情報に基づいて撮影画像の補正を行うように構成されている点が特徴的である。
本実施形態の眼科撮影装置は、第1、第2の実施形態と同様の外観構成(図1参照)及び光学系の構成(図2参照)を備えている。以下、それらと同様の構成部分については、図1、図2に示した符号を用いて説明を行う。なお、本実施形態においても、第2の実施形態と同様に原色CCDを撮像素子9a、10aとする撮像装置9及びテレビカメラ10を用いるが、補色CCDを撮像素子とした場合についても同様の補正処理を実行できる。
図9は、本実施形態の眼底カメラ300の制御系の構成を表すブロック図である。眼底カメラ300は、制御部310、前眼部像格納部320、色バランス補正部330、撮影画像格納部340及び補正情報記憶部350を備えている。また、コントロールパネル3aには、被検眼にIOLが装着されているときに操作されるIOLモード設定キー361が本発明の「入力手段」として設けられている。
撮像装置9やテレビカメラ10は、それぞれ、原色CCDを撮像素子9a、10aとして備えており、撮影光をR、G、Bの成分に分解して各成分の強度を検出することにより撮影画像の色を形成する。
撮像装置9やテレビカメラ10により撮影された被検眼Eの眼底像の画像データ(撮影画像データ341)は、イメージメモリ等の画像記憶装置からなる撮影画像格納部340に保存される。撮影画像データ341は、R成分の強度情報であるR画像データ341R、G成分の強度情報であるG画像データ341G、B成分の強度情報であるB画像データ341Bとして成分毎に保存される。
また、撮像装置9やテレビカメラ10により撮影された被検眼Eの前眼部像の画像データ(前眼部像データ321)は、イメージメモリ等の画像記憶装置からなる前眼部像格納部320に保存される。前眼部像データ321は、撮影画像データ341と同様に、R成分の強度情報であるR画像データ321R、G成分の強度情報であるG画像データ321G、B成分の強度情報であるB画像データ321Bとして成分毎に保存される。撮影される前眼部像には、被検眼Eに装着されたIOLの画像(IOL画像)が含まれている。なお、前眼部像を撮影するとき、IOLの拡大画像を撮影するようにしてもよい。
制御部310は、第2の実施形態の制御部210と同様に、CPU等の演算制御装置を含んで構成され、ROMやハードディスクドライブ等に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより装置各部の制御を行う。
補正情報記憶部350は、ROMやハードディスクドライブ等の不揮発性の記憶装置から構成されており、人眼水晶体によりされた光をR成分、G成分、B成分に分解したときの各成分の強度比を含んだ人眼水晶体分光特性情報351をあらかじめ記憶している。この補正情報記憶部350は、本発明の「記憶手段」を構成するものである。
ここで、上記第2の実施形態における人眼水晶体分光特性情報222が水晶体を「透過」した光に関する情報(つまり分光透過率に関連する情報)であったのに対し、本実施形態の人眼水晶体分光特性情報351は、水晶体により「反射」された光に関する情報(つまり分光反射率に関連する情報)とされている。なお、人眼水晶体による光の散乱に関する情報を当該人眼水晶体分光特性情報351に反映させてもよい。
色バランス補正部330は、所定のコンピュータプログラムを実行するCPU等の演算制御装置により構成され、前眼部像解析部331、補正係数算出部332及びRGB補正処理部333を含んでいる。この色バランス補正部330は、本発明の「補正手段」を構成している。
前眼部像解析部331は、本発明にいう「解析手段」に相当するものであり、前眼部像格納部320に保存される前眼部像データ321を解析して、当該前眼部像に含まれるIOLの分光特性情報を取得する処理を行う。より詳しくは、前眼部像解析部331は、撮像装置9等のCCDによる前眼部反射光の検出結果、すなわち前眼部像データ321のR画像データ321R、G画像データ321G、B画像データ321Bの強度に基づいて、前眼部像データ321が表すIOL画像のRGBの各成分の強度比を取得する。ここで、IOL画像は、IOLにおける照明光の反射光を検出することにより形成される画像である。
補正係数算出部332は、前眼部像解析部31により取得されたIOL画像の各成分の強度比と人眼水晶体分光特性情報351とに基づいて、第2の実施形態と同様の補正係数(KR、KG、KB)を算出する。各補正係数KR、KG、KBは、IOL画像におけるRGBの各成分の強度比を人眼水晶体における強度比に合わせるように補正する係数情報である。
RGB補正処理部333は、第2の実施形態と同様に、補正係数算出部332により算出された補正係数(KR、KG、KB)に基づいて、撮像装置9やテレビカメラ10による撮影画像の色バランスを補正する処理を実行する。例えば、RGB補正処理部333は、R成分の検出強度であるR画像データ341Rに補正係数KRを乗算し、G成分の検出強度であるG画像データ341Gに補正係数KGを乗算し、B成分の検出強度であるB画像データ341Bに補正係数KBを乗算することにより、撮影画像の色バランス補正処理を行う。
[動作態様]
以上のような構成を備える眼底カメラ300の動作態様の一例について説明する。
眼底カメラ300による観察、撮影対象の被検眼EにIOLが装着されている場合、検者は、コントロールパネル3aのIOLモード設定キー361を操作する。制御部310は、IOLモード設定キー361からの入力信号を受信すると、色バランス補正部330を動作状態にする。
検者は、眼底カメラ300を操作して、撮像装置9又はテレビカメラ10により被検眼Eの前眼部像を撮影する。撮影された前眼部像のデータ(前眼部像データ321)は、制御部310により、R画像データ321R、G画像データ321G、B画像データ321Bのように各成分毎の画像データとして前眼部像格納部320に保存される。
前眼部像解析部331は、前眼部像格納部320に保存された前眼部像データ321のR画像データ321R、G画像データ321G、B画像データ321Bのそれぞれの強度を比較することにより、被検眼Eに装着されたIOLの画像におけるRGBの各成分の強度比を算出する。
補正係数算出部232は、前眼部像解析部331により算出されたIOL画像におけるRGBの各成分の強度比と、人眼水晶体分光特性情報351に示す強度比とに基づいて、補正係数(KR、KG、KB)を算出する。算出された補正係数(KR、KG、KB)は、例えばRAM等に記録される。
撮像装置9あるいはテレビカメラ10により被検眼Eの眼底像が撮影されると、制御部310は、その撮影画像データ341をRGBの各成分毎の画像データ(R画像データ341R、G画像データ341G、B画像データ341B)として撮影画像格納部340に保存する。
RGB補正処理部333は、補正係数KRに基づいて撮影画像データ341のR画像データ341Rを変更し、補正係数KGに基づいてG画像データ341Gを変更し、補正係数KBに基づいてB画像データ341Bを変更することにより、撮影された眼底像の色バランスを補正する。制御部310は、補正された眼底像を撮影画像格納部340に保存し、検者等の要求に応じて当該補正された眼底像をモニタ11等に表示させる。
[作用、効果]
以上のような撮影画像の補正処理によれば、IOLが装着された被検眼Eの前眼部像(IOL画像)を撮影するだけで、当該IOLにおけるRGBの各成分の強度比を人眼水晶体における強度比に合わせるように撮影画像が補正されるので、健常眼に対する撮影画像に近い色合いの眼底像を容易に取得することが可能である。また、被検眼Eに装着されているIOLの分光特性情報に基づいて補正が行われるので、実際に装着されているIOLに応じた補正を行うことができる。
[各種変形例]
以上の各実施形態において詳述した構成は、本発明に係る眼科撮影装置の一例に過ぎないものであり、本発明の要旨の範囲内において適宜変形を施すことが可能である。
例えば、実際に撮影された画像を解析してIOLモードで撮影を行うか否かを自動的に判断するように構成することができる。また、実際の撮影画像を解析して被検眼にIOLが装着されているか否かを判断し、装着されていると判断された場合に、当該撮影画像に自動的に色補正等の画像処理を施すように構成することもできる。
また、可視光の照明光による眼底反射像を受光して眼底を観察するときに、その画像の色合い等を解析して自動的にIOLモードに切り換えるように構成することができる。また、当該画像の色合い等の解析結果に基づいて、当該被検眼はIOLを装着しているか否か判断するとともに、装着していると判断された場合に、「IOLが装着されているか確認してください」などのメッセージをモニタ等に表示させるように構成して、IOLモードの必要性の有無を検者に確認させるようにしてもよい。
また、IOLモードが選択されている場合に、その旨を示すメッセージやマーク等をモニタ等に表示させてもよい。
また、赤外光の照明光を用いて眼底を観察するとき、可視光を事前に発光(プレ発光)してその眼底反射光を別途設けたディテクタやCCD等で受光するとともに、その受光結果を解析することによりIOLモードに設定するか否かを判断するように構成することもできる。