本発明は、電子写真感光体および電子写真装置に関する。
現在、電子写真感光体としては、低価格および高生産性の観点から、光導電性物質(電荷発生物質や電荷輸送物質)として有機材料を用いた感光層(有機感光層)を支持体上に設けてなる有機電子写真感光体が普及している。有機電子写真感光体としては、高感度および材料設計の多様性の利点から、次のような感光体が主流となっている。すなわち、光導電性染料や光導電性顔料の電荷発生物質を含有する電荷発生層と、光導電性ポリマーや光導電性低分子化合物の電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、を積層してなる積層型感光層を有する電子写真感光体である。
電子写真感光体の表面には、帯電、露光、現像、転写、クリーニングにおいて、電気的外力および/または機械的外力が直接加えられるため、電子写真感光体にはこれら外力に対する耐久性が要求される。具体的には、外力による表面の傷や摩耗の発生に対する耐久性、すなわち、耐傷性および耐摩耗性が要求される。
以上の課題に対して、有機電子写真感光体の表面の耐傷性や耐摩耗性を向上させる技術としては、結着樹脂として硬化性樹脂を用いた硬化層を表面層とした電子写真感光体が開示されている(特許文献1参照)。また、炭素−炭素二重結合を有するモノマーと炭素−炭素二重結合を有する電荷輸送性モノマーとを、熱または光のエネルギーにより硬化重合させることによって形成される電荷輸送性硬化層を表面層とした電子写真感光体が開示されている(特許文献2、3参照)。さらには、同一分子内に連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を電子線のエネルギーにより硬化重合させることによって形成される電荷輸送性硬化層を表面層とした電子写真感光体が開示されている(特許文献4、5参照)。
このように、近年、有機電子写真感光体の周面の耐傷性や耐摩耗性を向上させる技術として、電子写真感光体の表面層を硬化層とすることで、表面層の機械的強度を高めるという技術が確立されてきている。
ところで、電子写真感光体は、一般的には上述のように、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程からなる電子写真画像形成プロセスに用いられる。そのうち、転写工程後に電子写真感光体に残留する転写残トナーを除去することによって該電子写真感光体の周面をクリーニングするクリーニング工程は、鮮明な画像を得るために重要な工程である。
クリーニング方法としては、クリーニングブレードを用いる方法が、コスト、設計の容易性の利点から主流となっている。詳しくは、クリーニングブレードを電子写真感光体に当接させて該クリーニングブレードと該電子写真感光体との間の隙間をなくし、トナーのスリ抜けを防止することによって、転写残トナーを掻き取る方法である。
しかしながら、上記のクリーニング方法だと、クリーニングブレードと電子写真感光体との摩擦力が大きいため、クリーニングブレードのビビリやメクレが起こりやすい。さらには、ブレードのエッジのえぐれや欠けによるクリーニング不良も起こりやすい。ここで、クリーニングブレードのビビリとは、クリーニングブレードと電子写真感光体の周面との摩擦抵抗が大きくなることでクリーニングブレードが振動することによって生じる現象である。また、クリーニングブレードのメクレとは、電子写真感光体の移動方向にクリーニングブレードが反転してしまう現象である。
これらクリーニングブレードの問題は、電子写真感光体の表面層の機械的強度が高くなるほど、つまりは、電子写真感光体の周面が摩耗しにくいほど顕著になる。すなわち、この問題は、上記のように電子写真感光体の表面層を硬化層とし、表面層の機械的強度を高めることで生じるのである。また、有機電子写真感光体の表面層は一般的に浸漬塗布法により形成されることが多いが、浸漬塗布法により形成された表面層の表面(すなわち電子写真感光体の周面)は非常に平滑になる。よって、クリーニングブレードと電子写真感光体の周面との接触面積が大きくなり、クリーニングブレードと電子写真感光体の周面との摩擦抵抗が増大し、上記問題が顕著になる。
上記クリーニングブレードのビビリやメクレを克服する方法として、電子写真感光体の表面を適度に粗面化する方法が知られている。電子写真感光体の表面を粗面化する技術としては、例えば、次のような方法がある。電子写真感光体の表面からの転写材の分離を容易にするために、電子写真感光体の表面粗さを規定の範囲内に収める技術、また表面層を形成する際の乾燥条件を制御することにより、電子写真感光体の表面をユズ肌状に粗面化する方法(特許文献6参照)である。また、表面層に粒子を含有させることで、電子写真感光体の表面を粗面化する技術(特許文献7参照)もある。また、金属製のワイヤーブラシを用いて表面層の表面を研磨することによって、電子写真感光体の表面を粗面化する技術(特許文献8参照)もある。また、特定のクリーニング手段およびトナーを用いた特定のプロセススピード以上の電子写真装置で問題となるクリーニングブレードの反転(メクレ)やエッジ部の欠けを解決するために有機電子写真感光体の表面を粗面化する技術(特許文献9参照)もある。また、フィルム状研磨材を用いて表面層の表面を研磨することによって、電子写真感光体の表面を粗面化する技術(特許文献10参照)もある。さらには、ブラスト処理により電子写真感光体の周面を粗面化する技術(特許文献11参照)もある。
しかしながら、上記の諸特許文献には、以上のようにして粗面化した電子写真感光体の表面の形状の詳細は具体的には記載されていない。また、以上の従来技術による粗面化は、表面層を適度に粗くするという観点から、前述のクリーニングブレードとの摩擦力の低減に対して一定の効果は認められるものの、さらなる改善が求められている。さらに、その表面形状がスジ状であったり、不定形あるいは大きさのばらつきを有する凸凹であったりする点において、微視的な観点におけるクリーニング性能の制御やトナーの付着という課題に対しても、さらなる改善が求められている。
これに対し、電子写真感光体の表面形状の制御に着目し、詳細な解析および検討を行うことによって、所定のディンプル形状を有する電子写真感光体が提案されている(特許文献12、13参照)。この方法によって、クリーニング性能や摺擦メモリーに関する問題を解決する方向性が見いだされた。具体的には、井戸型の凹凸のついたスタンパを用いて電子写真感光体の表面を圧縮成型加工する技術が開示されている。この技術は、前述の特許文献6から11に開示された技術と比較して、独立した凹凸形状をより良く制御して電子写真感光体表面に形成できるという点で、前述の課題を解決するためにより効果的であると考えられる。この方法によれば、電子写真感光体表面に10〜3,000nmの長さやピッチを有する井戸型の凹凸形状を形成することにより、トナーの離型性が向上し、クリーニングブレードのニップ圧を低減することが可能になる。結果、感光体の磨耗を減少させることが可能であるとされている。
特開平02−127652号公報
特開平05−216249号公報
特開平07−072640号公報
特開2000−066424号公報
特開2000−066425号公報
特開昭53−092133号公報
特開昭52−026226号公報
特開昭57−094772号公報
特開平01−099060号公報
特開平02−139566号公報
特開平02−150850号公報
特開2001−066814号公報
国際公開第2005/093518号パンフレット
しかしながら、上記のようなクリーニングブレードのニップ圧を低減した画像形成装置では、低温や低湿といった環境下におけるクリーニング不良が発生しやすい傾向にある。また、近年のフルカラー画像形成装置においては、高画質化のためにトナーの小粒径化および球形化が進んでいるが、そのようなトナーは流動性が高いことにより、従来のトナーと比較してクリーニングが困難であるとされている。クリーニングブレードのニップ圧を低減することは、このような小粒径で球形度の高いトナーに対しては、クリーニング性能の維持と言う観点で、より不利である。そのため、感光体の寿命を通して、安定的なクリーニング性能を維持することが難しい。
以上のように、従来技術は、耐久性能の向上やクリーニング性能の向上、画像欠陥の抑制に対して一定の効果があるものの、総合的な性能を向上させるにあたっては、未だ改良の余地が残されているのが現状である。
本発明の目的は、上記課題に鑑みてなされたものであり、長期使用時においても、様々な使用環境において良好なクリーニング性能が発揮できる電子写真感光体およびそれを用いた電子写真装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、感光体表面形状を特定の範囲に制御することによって、上述の問題を効果的に改善することができることを見いだした。さらに、感光体表面形状とクリーニング手段を制御することにより、上述の問題をさらに効果的に改善することができることを見いだした。下記にその詳細を記す。
本発明は、支持体および該支持体上に形成された感光層を有し、表面に独立した凸部を有する電子写真感光体であって、
該表面に独立した凸部は、レーザーアブレーション加工、または所定の形状を有するモールドを電子写真感光体の表面に圧接して形状転写を行うことで形成されたものであり、
凸部面積率Smrを下記式(1)にて定義するとき、該電子写真感光体の表面における該凸部面積率Smrが、下記式(2)を満たすことを特徴とする電子写真感光体である。
Smr=Scut/Sk (1)
(Skは、基準面積を示し、Scutは、基準面積にて3次元表面形状曲面を得て、該3次元表面形状曲面を平均高さ面(全測定データの高さ値を平均した高さにて構成される面)にて切断して得られる断面積を示す。Scutの平均高さ面は、JIS B 0601−2001で定義される粗さ曲線の負荷長さRmr(50%)を面方向に拡張して得た値である。)
Smr≦0.40 (2)
さらに、本発明は、電子写真感光体と、該電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電された該電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する露光手段と、該静電潜像をトナーによって現像することで該電子写真感光体の表面にトナー像を形成する現像手段と、該電子写真感光体の表面に形成された該トナー像を転写材に転写する転写手段と、該トナー像を転写した後の該電子写真感光体の表面をクリーニングするクリーニング手段と、を少なくとも有する電子写真装置であって、該電子写真感光体が、上記電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置である。
本発明によれば、長期の耐久時や種々の使用環境下においても、良好なクリーニング性能が維持され、トナーの転写性の高い電子写真感光体および電子写真装置を提供することができる。
これより、本発明に従う電子写真感光体および電子写真装置を、図を参照しながら詳細に説明する。
最初に、本発明の電子写真感光体の特徴について説明する。
本発明の感光体は、表面に凹凸形状を有し、凸部面積率Smrを下記式(1)
Smr=Scut/Sk (1)
(Skは基準面積を示し、Scutは基準面積にて得られた3次元表面形状曲面を平均高さ面(全測定データの高さ値を平均した高さにて構成される面)にて切断して得られる断面積を示す)
にて定義するとき、該凸部面積率Smrは下記式(2)
Smr≦0.40 (2)
を満たすことを特徴とする。
ここで、本発明におけるScutとは、JIS B 0601−2001で定義される粗さ曲線の負荷長さRmr(50%)を面方向に拡張して得た値である。
また、測定パラメータは以下の様に定めた。
基準面積(Sk)=100μm2
カットオフ値(λs)=0.25μm
カットオフ値(λc)=0.08mm
測定は、電子写真感光体の表面を感光体回転方向に4等分し、該感光体回転方向と直交する方向に25等分して得られる計100箇所の測定点に対して上記パラメータにしたがって行う。そして、各測定点について得られたScutの値を算術平均し、基準面積で割ることで得た値を本発明におけるSmrと定める。
次に、本発明における感光体においては、感光体長手方向に対する凸形状間隔の標準偏差Tσが、下記式(3)
Tσ≦Lpc (3)
(Lpcは表面形状曲面を平均高さ面にて切断して得られる断面積から求めた各凸形状の平均直径を表す)
を満たすことが好ましい。
本発明において、前記標準偏差Tσは以下の手順で求めた。まず、Scutの算出に用いた100μm2の表面形状データを感光体回転方向と直交する方向に10分割し、分割線位置での高さ方向に対する輪郭曲線データを抽出する。次に、得られた輪郭曲線を切断レベル50%で切断し、各凸要素の負荷長さを求める。ここで、隣接する各凸要素負荷長さ線分の中点どうしの距離をT(i)と定め、得られたT(i)全体に対する標準偏差をTσと定義する。
電子写真感光体の表面の凸部の測定は、市販のレーザー顕微鏡により可能である。例えば、次のようなレーザー顕微鏡が利用可能である。(株)キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡VK−8550、VK−8700。(株)菱化システム製の表面形状測定システムSurface Explorer SX−520DR型機。オリンパス(株)製の走査型共焦点レーザー顕微鏡OLS3000。あるいは、レーザーテック(株)製のリアルカラーコンフォーカル顕微鏡オプリテクスC130、など。
個々の凸形状のScut値が1μm2以下となる場合でも、レーザー顕微鏡および光学顕微鏡による観察が可能であるが、より測定精度を高める場合には、次の如き電子顕微鏡による観察および測定を行うことが好ましい。(株)キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡VK−9500、VK−9500GII、VK−9700。(株)島津製作所製のナノサーチ顕微鏡SFT−3500の如きバイオレットレーザー顕微鏡。(株)キーエンス製のリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−7800、VE−8800、VE−9800。あるいは、日本電子(株)製のキャリースコープJCM−5100。
図1は、独立した凸部を複数有する本発明の電子写真感光体の表面の一例を示す。図2A〜Gは、各凸部の具体的なScut測定面形状の例を示す。そして、Scut測定面の断面積から求めた各凸形状の平均直径をLpcと定義する。測定面図3A〜Fは、各々の凸部の感光体法線方向への断面の具体的な形状の例を示している。Scut測定面形状としては、図2A〜Gに示したように、円、楕円、正方形、長方形、三角形、六角形などの種々の形状が形成可能である。また、法線方向への断面形状としては、図3A〜Fに示したように、三角形、四角形、多角形などのエッジを有するもの、連続した曲線からなる波型、前記三角形、四角形、多角形のエッジの一部または全部を曲線に変形したものなどの種々の形状が可能である。
電子写真感光体の表面において形成される複数の凸部は、すべてが同一の形状、大きさ、深さであってもよいし、あるいは異なる形状、大きさのものが混在していてもよい。
また、ここで、図2A〜Gに示すように、各凸部の最大となる直線の長さを長軸径Rpcと定義する。例えば、円の場合は直径、楕円の場合は短径、長方形の場合は辺のうち短い方を短軸径として採用する。また、例えば、円の場合は直径、楕円の場合は長径、四角形の場合は対角線のうち長い方を長軸径Rpcとして定義する。
さて、本発明において、電子写真感光体の表面に凸部を複数形成する方法して、例えば、レーザーアブレーション加工が挙げられる。レーザーアブレーション加工により、感光体表面にディンプル形状の凹部を形成する場合、用いるレーザーの発振パルス幅が、1ps以上100ns以下であることが好ましい。発振パルス幅が1psより短いレーザーは、干渉性が高くなりすぎるためマスク露光を行うことが困難となり生産性が落ちる。また、発振パルス幅が100nsより長い場合は、熱による表面ダメージを受けやすくなり、所望の径のディンプルが得られにくくなる。また、発振パルス幅が1ps以上100ns以下であるレーザーとしては、エキシマレーザーが好適に利用できる。
本発明で用いるエキシマレーザーにおいては、まず、Ar、Kr、Xeの如き希ガスと、F、Clの如きハロゲンガスの混合気体とを放電、電子ビームまたはX線でエネルギーを与えて励起して結合する。その後、それが基底状態に落ちることで解離する際にレーザー光を放出する。
エキシマレーザーにおいて用いるガスとしては、ArF、KrF、XeCl、XeFが挙げられる。特に、KrFまたはArFが好ましい。凹部の形成方法としては、図4に示すように、レーザー光透過部bと遮蔽部aとを適宣配列したマスクを使用する。マスクを透過したレーザー光のみがレンズで集光され、被加工物に照射されることにより、所望の形状と配列を有した凸部の形成される。一定面積内の多数の凸部を、凸部の形状や面積に関わらず瞬時に同時に形成できるため、工程は短時間ですむ。エキシマレーザーでは、1回の照射あたり数mm2から数cm2の加工がなされる。また、レーザー加工では、図5に示すように、感光体(感光ドラム)fをワーク回転用モーターdで自転させつつ、レーザー照射位置をワーク移動装置eで感光体の軸方向上にずらしていくことにより、感光体の表面全域に効率良く凸部を形成することができる。このとき、エキシマレーザー照射器cは動いていない。凸部の深さは0.1〜2.0μmとすることが好ましい。本発明によれば、凸部の大きさ、形状、配列の制御性が高く、高精度かつ自由度の高い粗面加工が実現できる。
また、本発明において、同じマスクパターンの繰返し加工を採用した場合、感光体表面全体における粗面均一性が高くなり、その結果、電子写真装置において使用する際のクリーニングブレードにかかる力学的負荷は均一となる。また、図6に示すように、感光体の任意の周方向線上に、凸部hと凹部gの双方が存在する配列となるようにマスクパターンを形成することにより、クリーニングブレードにかかる力学的負荷の偏在を、より防止することができる。
また、本発明において、電子写真感光体の表面に凸部を複数形成する別の方法として、所定の形状を有するモールドを電子写真感光体の表面に圧接して形状転写を行う方法が挙げられる。
図7に装置の断面の概略図を示す。加圧および解除を繰り返し行える加圧装置Aに所定のモールドBを取り付けた後、感光体Cに対して所定の圧力でモールドを当接させて形状転写を行う。その後、加圧を一旦解除し、感光体Cを回転させた後に、再度加圧して形状転写工程を行う。この工程を繰り返すことによって、感光体Cの全周にわたって所定の凸形状を形成することが可能である。
また、モールドによる形状転写の方法としては、次の方法も可能である。図8に示すように、加圧装置Aに感光体Cの全周長よりも長いモールドBを取り付けた後、感光体Cに対して所定の圧力をかけながら、感光体Cを矢印の方向に回転、移動させる。そうすることで、感光体全周にわたって所定のディンプル形状を形成することが可能である。
他の例として、シート状のモールドをロール状の加圧装置と感光体の間に挟み、モールドシートを送りながら表面加工することも可能である。なお、形状転写を効率的に行う目的で、モールドや感光体を加熱することも可能である。
モールド自体の材質や大きさ、形状は適宜選択することができる。材質としては、微細表面加工された金属、またはシリコンウエハーの表面にレジストによりパターンニングをしたもの、微粒子が分散された樹脂フィルム、所定の微細表面形状を有する樹脂フィルムに金属コーティングされたものが挙げられる。モールド形状の一例を、図9のAおよびBに示す。図9Aにおいて、A−1はモールド形状を上方向から見た図であり、A−2はモールド形状を横方向から見た透視図である。図9Bにおいて、B−1はモールド形状を上方向から見た図であり、B−2はモールド形状を横方向から見た透視図である。
また、感光体に対して圧力を均一に付与する目的で、モールドと加圧装置の間に弾性体を設置することも可能である。
ところで、本発明の凹凸形状は、表面が摩耗しにくい電子写真感光体に適用したときに最も効果的に作用する。表面が摩耗しにくい電子写真感光体は、高耐久である一方で、クリーニングブレードのビビリやメクレ、摺擦メモリー、画像流れ、現像性および転写性の問題が発生しやすいからである。よって、本発明において、電子写真感光体の表面の弾性変形率は40%以上65%以下であることが好ましく、45%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。また、電子写真感光体の表面のユニバーサル硬さ値(HU)は、150N/mm2以上220N/mm2以下であることが好ましい。
前記ユニバーサル硬さ値(HU)が大きすぎたり、前記弾性変形率が小さすぎたりすると、電子写真感光体の表面の弾性力が不足する。すると、電子写真感光体の周面とクリーニングブレードとの間に挟まれた紙粉やトナーが、電子写真感光体の周面を擦ることによって、電子写真感光体の表面に傷が発生しやすくなり、それにともなって摩耗も発生しやすくなる。
また、ユニバーサル硬さ値(HU)が大きすぎると、たとえ弾性変形率が高くても弾性変形量は小さくなってしまうため、結果として、電子写真感光体の表面の局部に大きな圧力がかかり、よって電子写真感光体の表面に深い傷が発生しやすくなる。また、ユニバーサル硬さ値(HU)が上記範囲にあっても弾性変形率が小さすぎると、塑性変形量が相対的に大きくなってしまうため、電子写真感光体の表面に細かい傷が発生しやすくなり、摩耗も発生しやすくなる。これは、弾性変形率が小さすぎるだけでなくユニバーサル硬さ値(HU)が小さすぎる場合、特に顕著になる。
以上説明したように、ユニバーサル硬さ値(HU)と弾性変形率が上記の範囲にあることで、電子写真感光体は、表面が摩耗しにくく、さらに傷が発生しにくくなる。したがって、上記の微細表面形状が初期から繰り返し使用後まで変化が非常に小さく、あるいは変化しないため、長期間繰り返し使用した場合にも初期の性能を良好に維持することができる。
ここで、上記の電子写真感光体の表面のユニバーサル硬さ値(HU)および弾性変形率は、温度23℃/湿度50%RH環境下、微小硬さ測定装置フィシャースコープH100V(Fischer社製)を用いて測定した値である。このフィシャースコープH100Vは、測定対象(電子写真感光体の周面)に圧子を当接し、この圧子に連続的に荷重をかけ、荷重下での押し込み深さを直読することにより連続的硬さを求める装置である。圧子として対面角136°のビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用い、電子写真感光体の周面に圧子を押し当て、圧子に連続的にかける荷重の最終(最終荷重)を6mNとし、圧子に最終荷重6mNをかけた状態を保持する時間(保持時間)を0.1秒とした。また、測定点は273点とした。
図10に、フィシャースコープH100V(Fischer社製)の出力チャートの概略を示す。また、図11に、本発明の電子写真感光体を測定対象としたときのフィシャースコープH100V(Fischer社製)の出力チャートの一例を示す。図10および図11において、縦軸は圧子にかけた荷重F(mN)を、横軸は圧子の押し込み深さh(μm)を示す。図10は、圧子にかける荷重を段階的に増加させて荷重が最大になった(A→B)後、段階的に荷重を減少させた(B→C)ときの結果を示している。図11は、圧子にかける荷重を段階的に増加させて最終的に荷重を6mNとし、その後、段階的に荷重を減少させたときの結果を示している。
ここで、ユニバーサル硬さ値(HU)は、圧子に最終荷重6mNをかけたときの前記圧子の押し込み深さから下記式により求めることができる。なお、下記式中、HUはユニバーサル硬さ(HU)を意味し、Ffは最終荷重を意味し、Sfは最終荷重をかけたときの圧子の押し込まれた部分の表面積を意味し、hfは最終荷重をかけたときの圧子の押し込み深さを意味する。
また、弾性変形率は、圧子が測定対象(電子写真感光体の周面)に対して行った仕事量(エネルギー)、すなわち、圧子の測定対象(電子写真感光体の周面)に対する荷重の増減によるエネルギーの変化より求めることができる。具体的には、弾性変形仕事量Weを全仕事量Wtで除した値(We/Wt)が弾性変形率である。なお、全仕事量Wtは、図10のA−B−D−Aで囲まれる領域の面積であり、弾性変形仕事量Weは、C−B−D−Cで囲まれる領域の面積である。
次に、本発明に従う電子写真感光体の構成について説明する。
上述のとおり、本発明の電子写真感光体は、支持体および該支持体上に設けられた有機感光層(以下、単に「感光層」ともいう)を有する電子写真感光体である。一般的には、円筒状支持体上に感光層を形成した円筒状有機電子写真感光体が広く用いられるが、ベルト状あるいはシート状の形状も可能である。
感光層は、電荷輸送物質と電荷発生物質とを同一の層に含有する単層型感光層であっても、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに分離した積層型(機能分離型)感光層であってもよい。電子写真特性の観点からは、積層型感光層が好ましい。また、積層型感光層には、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した順層型感光層と、支持体側から電荷輸送層、電荷発生層の順に積層した逆層型感光層がある。電子写真特性の観点からは順層型感光層が好ましい。また、電荷発生層を積層構造としてもよく、また、電荷輸送層を積層構成としてもよい。さらに、耐久性能向上を目的とし感光層上に保護層を設けることも可能である。
支持体としては、導電性を示すもの(導電性支持体)であればよい。例えば、鉄、銅、金、銀、アルミニウム、亜鉛、チタン、鉛、ニッケル、スズ、アンチモン、インジウム、クロム、アルミニウム合金、ステンレスの如き金属製(合金製)の支持体を用いることができる。また、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化スズ合金を真空蒸着によって被膜形成した層を有する上記金属製支持体やプラスチック製支持体を用いることもできる。また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子、銀粒子の如き導電性粒子を適当な結着樹脂と共にプラスチックや紙に含浸した支持体や、導電性結着樹脂を有するプラスチック製の支持体を用いることもできる。
また、支持体の表面は、レーザー光の散乱による干渉縞の防止を目的として、切削処理、粗面化処理、またはアルマイト処理が施されていてもよい。
支持体と後述の中間層あるいは感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、レーザー光の散乱による干渉縞の防止や、支持体の傷の被覆を目的とした導電層を設けてもよい。
導電層は、カーボンブラック、導電性顔料や抵抗調節顔料を結着樹脂に分散および/または溶解させた導電層用塗布液を用いて形成することができる。導電層用塗布液には、加熱または放射線照射により硬化重合する化合物を添加してもよい。導電性顔料や抵抗調節顔料を分散させた導電層は、その表面が粗面化される傾向にある。
導電層の膜厚は、0.2〜40μmであることが好ましく、さらには1〜35μmであることがより好ましく、さらには5〜30μmであることがより一層好ましい。
導電層に用いられる結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレンの如きビニル化合物の重合体/共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール。ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂およびエポキシ樹脂。
導電性顔料および抵抗調節顔料としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀、ステンレスの如き金属(合金)の粒子や、これらをプラスチックの粒子の表面に蒸着したものが挙げられる。また、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズの金属酸化物の粒子でもよい。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合するだけでもよいし、固溶体や融着の形にしてもよい。
支持体または導電層と感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、バリア機能や接着機能を有する中間層を設けてもよい。中間層は、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護のために形成される。
中間層の材料としては、以下のものが挙げられる。ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、カゼイン、ポリアミド、N−メトキシメチル化6ナイロン、共重合ナイロン、にかわおよびゼラチン。中間層は、これらの材料を溶剤に溶解させることによって得られる中間層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成される。
中間層の膜厚は0.05〜7μmであることが好ましく、さらには0.1〜2μmであることがより好ましい。
本発明の感光層に用いられる電荷発生物質としては、以下のものが挙げられる。ピリリウム、チアピリリウム系染料。各種の中心金属および各種の結晶系(α、β、γ、ε、X型など)を有するフタロシアニン顔料。アントアントロン顔料。ジベンズピレンキノン顔料。ピラントロン顔料。モノアゾ、ジスアゾ、トリスアゾの如きアゾ顔料。インジゴ顔料。キナクリドン顔料。非対称キノシアニン顔料。キノシアニン顔料。アモルファスシリコン。これら電荷発生物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷輸送物質としては、以下のものが挙げられる。ピレン化合物、N−アルキルカルバゾール化合物、ヒドラゾン化合物、N,N−ジアルキルアニリン化合物、ジフェニルアミン化合物、トリフェニルアミン化合物、トリフェニルメタン化合物、ピラゾリン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物。
感光層を電荷発生層と電荷輸送層とに機能分離する場合、電荷発生層を、次のようにして形成することができる。まず、電荷発生物質を0.3〜4倍量(質量比)の結着樹脂および溶剤とともに、ホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライターまたはロールミルなどを用いて分散する。そのようにして得られた電荷発生層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって電荷発生層は形成される。また、電荷発生層は電荷発生物質の蒸着膜としてもよい。
電荷輸送層は、電荷輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解させることによって得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。また、上記電荷輸送物質のうち単独で成膜性を有するものは、結着樹脂を用いずにそれ単独で成膜し、電荷輸送層とすることもできる。
電荷発生層および電荷輸送層に用いる結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレンの如きビニル化合物の重合体および共重合体。ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂およびエポキシ樹脂。
また、電荷発生層の膜厚は5μm以下であることが好ましく、さらには0.1〜2μmであることがより好ましい。電荷輸送層の膜厚は5〜50μmであることが好ましく、さらには10〜35μmであることがより好ましい。
本発明において電子写真感光体に求められる特性の一つである耐久性能の向上にあたっては、上述の機能分離型感光体の場合、表面層となる電荷輸送層の材料設計は重要である。そのための手段として、高強度の結着樹脂を用いたり、可塑性を示す電荷輸送物質と結着樹脂との比率をコントロールしたり、高分子電荷輸送物質を使用するなどが挙げられるが、より耐久性能を発現させるためには表面層を硬化系樹脂で構成することが有効である。
すなわち、本発明においては、電荷輸送層自体を硬化系樹脂で構成し、上述の電荷輸送層上に第二の電荷輸送層あるいは保護層として硬化系樹脂層を形成することが可能である。硬化系樹脂層に求められる特性は、膜の強度と電荷輸送能力の両立であり、電荷輸送物質および重合あるいは架橋性のモノマーやオリゴマーから構成されるのが一般的である。
電荷輸送物質としては、公知の正孔輸送性化合物および電子輸送性化合物を用いることが可能である。重合あるいは架橋性のモノマーやオリゴマーとしては、アクリロイルオキシ基やスチレン基を有する連鎖重合系の材料、水酸基やアルコキシシリル基、イソシアネート基を有する逐次重合系の材料が挙げられる。なかでも、得られる電子写真特性、汎用性や材料設計、製造安定性の観点から、正孔輸送性化合物と連鎖重合系材料の組み合わせが好ましく、さらには正孔輸送性基およびアクリロイルオキシ基の両者を分子内に有する化合物を硬化させる系が特に好ましい。硬化手段としては、熱、光、放射線を用いる公知の手段が利用できる。
また、硬化層の膜厚は、電荷輸送層の場合は前述と同様5〜50μmであることが好ましく、さらには10〜35μmであることがより好ましい。第二の電荷輸送層あるいは保護層の場合は、0.1〜20μmであることが好ましく、さらには1〜10μmであることがより好ましい。
さらに、本発明の電子写真感光体の各層には各種添加剤を添加することができる。添加剤としては、酸化防止剤や紫外線吸収剤の如き劣化防止剤や、フッ素原子含有樹脂粒子の潤滑剤などが挙げられる。
これより、本発明で使用するトナーについて説明する。
トナーの重量平均粒径は、細孔電気抵抗法によって好適に測定できる。本発明においてトナーの重量平均粒径の測定は、コールターマルチサイザーII(コールター社製)を用いてなされた。電解液は1級塩化ナトリウムを用いて調製した1%NaCl水溶液を用いればよく、例えば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.3ml加え、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置によりトナーの体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出し、重量平均粒径(D4)(各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)およびその標準偏差を求める。
重量平均粒径が6.0μmより大きい場合には、100μmアパーチャーを用いて、2〜60μmの粒子を測定する。重量平均粒径3.0〜6.0μmの場合には、50μmアパーチャーを用い、1〜30μmの粒子を測定する。重量平均粒径が3.0μm未満の場合には、30μmアパーチャーを用い、0.6〜18μmの粒子を測定する。
本発明において、トナーの形状は、平均円形度にて定義される。その際、トナーの平均円形度は、フロー式粒子像測定装置「FPIA−2100型」(シスメックス社製)を用いて測定を行い、下式を用いて算出する。
ここで、「粒子投影面積」とは二値化されたトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。測定においては、512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)で画像処理した時の粒子像の周囲長を用いる。本発明における円形度はトナー粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合に1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
また、円形度頻度分布の平均値を意味する平均円形度Cは、粒度分布の分割点iでの円形度(中心値)をci、測定粒子数をmとすると、次式から算出される。
なお、本発明で用いている測定装置である「FPIA−2100」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度の算出に当たって、得られた円形度によって、粒子を円形度0.4〜1.0を0.01ごとに等分割したクラスに分ける。そして、その分割点の中心値と測定粒子数を用いて平均円形度の算出を行う。
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、さらに測定試料を0.02g加え、均一に分散させる。分散させる手段としては、超音波分散機「Tetora150型」(日科機バイオス社製)を用い、2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。また、円形度のバラツキを抑えるため、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100の機内温度が26〜27℃になるように装置の設置環境を23℃±0.5℃にコントロールする。そして、一定時間おきに、好ましくは2時間おきに、2μmラテックス粒子を用いて自動焦点調整を行う。
トナーの円形度測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のトナーの濃度が3000〜1万個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整し、トナーの粒子を1000個以上計測する。計測後、このデータを用いて、円相当径2μm未満のデータをカットして、トナーの平均円形度を求める。
さらに、本発明で用いている測定装置である「FPIA−2100」は、従来トナーの形状を算出するために用いられていた「FPIA−1000」と比較して、次のような利点を有する。すなわち、処理粒子画像の倍率が向上しており、さらに取り込んだ画像の処理解像度の向上(256×256→512×512)によりトナーの形状測定の精度が上がっており、それにより微粒子のより確実な補足をすることが可能である。したがって、本発明のように、より正確に形状を測定する必要がある場合には、より正確に形状に関する情報が得られるFPIA2100の方が有利である。
トナー粒子の平均円形度は、0.925〜0.995であることが好ましい。平均円形度が0.925未満では、転写効率(特に多重転写や二次転写)が低下し始め、結果として耐久時のトナーフィルミング確立が上昇してしまう。逆に0.995を超えると、トナー自身が非常に良く転がるためクリーニングでのすり抜けが発生しやすくなり、結果としてクリーニング不良をおこしやすい。
本発明のトナーの製造方法は特に限定されないが、平均円形度を制御にするためには、懸濁重合法、機械式粉砕法、球形化処理によって製造されるのが好ましい。さらに、平均円形度0.925〜0.950とするためには機械式粉砕法、球形化処理が特に好ましく、平均円形度0.950〜0.995とするためには懸濁重合法が特に好ましい。
トナーの形状としては上記範囲にあることが好ましいが、この範囲は、上記トナーの粉砕条件や表面処理改質処理条件を調整することで達成できる。
本発明の画像形成装置に用いられる現像方法としては、まず、感光体に対して非接触状態で現像する方法(一成分非接触現像)がある。また、感光体に対して接触状態で現像する方法(一成分接触現像)もある。さらに、トナー粒子に対して磁性キャリアを混合したものを現像材として用い、この現像材を磁気力により搬送し、感光体に対して接触状態で現像する方法(二成分接触現像)もある。また、上記二成分現像材を感光体に対して非接触状態で現像する方法(二成分非接触現像)もある。本発明においては、上記のいずれの方法も好適に用いることができる。
次に、本発明の感光体が搭載された画像写形成装置の全体構成について説明する。
図12に、本発明の画像形成方法の実施に適するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す。指示番号1は円筒状の電子写真感光体(感光ドラム)であり、それは軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。回転駆動される電子写真感光体1の周面は、帯電手段(一次帯電手段:帯電ローラーなど)3により、正または負の所定電位に均一に帯電される。次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光の如き露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)4を受ける。こうして電子写真感光体1の周面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。なお、帯電手段3は、帯電ローラーを用いた接触帯電手段に限られず、コロナ帯電器を用いたコロナ帯電手段であってもよいし、その他の方式の帯電手段であってもよい。
そして、電子写真感光体1の周面に形成された静電潜像は、現像手段5のトナーにより現像されてトナー像となる。次いで、電子写真感光体1の周面に形成担持されているトナー像は、転写手段(転写ローラーなど)6からの転写バイアスによって、転写材(普通紙・コート紙)Pに順次転写されていく。なお、転写材Pの代わりに、一旦中間転写体や中間転写ベルトにトナー像を転写した後、さらに転写材に転写するシステムも可能である。
トナー像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体1の周面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。トナー像を転写した後の電子写真感光体1の周面は、クリーニング手段(クリーニングブレード)7によって転写残りのトナーの除去を受けて清浄面化される。そして、さらに前露光手段(不図示)からの前露光光(不図示)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、図12に示すように、帯電手段3が帯電ローラーを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
上述の電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5、転写手段6およびクリーニング手段7の構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成することが可能である。このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。図12では、電子写真感光体1と、帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段7とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールの如き案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9としている。
次に、本発明におけるクリーニング構成についてより詳細に説明する。
図13は、本発明の電子写真感光体およびクリーニング手段の概略構成の一例を示す図である。クリーニングブレード7aは、平板形状をしており、その厚みはt(mm)であり、その上部をブレード支持板金7bに保持され、自由長L(mm)がブレード支持板金7bから突き出している。クリーニングブレード7aは、感光体1上の点Aで感光体1に接している。
ここで、前記感光体に接触するように設けられたクリーニングブレードのヤング率をYb[MPa]、クリーニングブレードの感光体に対する当接圧力をAb[N/m]とする。そのとき、該感光体の凸部面積率Smr、凸部高さLdv、ヤング率Ybおよび当接圧力Abの関係が下記式(4)
0.0143×Ab÷Yb÷Smr<Ldv (4)
を満たす場合に、クリーニング時のトルク上昇が少なくなることを見出した。これは、式(4)を満たす領域においては、クリーニングブレードが押し込まれた際に、ブレード面が感光体上に形成された凹凸部の底面に到達しないためであると考えられる。
また、トナーの重量平均粒径をDtとしたとき、下記式(5)
Ldv−0.0143×Ab÷Yb÷Smr<Dt (5)
を満たす場合に、クリーニング時のトナーすり抜けが少なくなることを見出した。これは、式(5)を満たす領域においては、クリーニングブレードが押し込まれた際、ブレード面と感光体上の凹凸部の底面との間隔がトナー粒径よりも狭くなるためだと考えられる。この観点から、さらに下記式(6)
Ldv−0.0143×Ab÷Yb÷Smr<Dt−σ (6)
(Dt−σはDtから前記トナーの粒度分布の標準偏差を引いた値を表す)
を満たす場合には、トナーすり抜けがさらに改善されることを見出した。
したがって、本発明の電子写真装置は、下記式(4)および(5)
0.0143×Ab÷Yb÷Smr<Ldv (4)
Ldv−0.0143×Ab÷Yb÷Smr<Dt (5)
(Ldvは凸部の高さを、Dtは前記トナーの重量平均粒径を表す)
を満たすことが好ましい。
さらには、前記凸部面積率Smr、ヤング率Ybおよび当接圧力Abは、下記式(6)
Ldv−0.0143×Ab÷Yb÷Smr<Dt−σ (6)
(Dt−σはDtから前記トナーの粒度分布の標準偏差を引いた値を表す)
をさらに満たすことがより好ましい。
また、ブレード支持板金7bの延長線と感光体1が交差する点Aにおける、ブレード支持板金7bの延長線と、感光体1上の接線と、がなす角をクリーニングブレードの前記感光体に対する設定角θと定義する。θは、10°以上80°以下が好ましく、さらには20°以上70°以下が好ましい。というのも、θが10°を下回ると、当接圧力が分散することによりクリーニング性能が低下する傾向にあるからである。また、θが80°を上回ると、クリーニングブレード7aが反転し、クリーニング性能が劣る傾向にあるからである。
また、クリーニングブレード7aと感光体1との当接部Aにおける前記感光体の回転移動方向の当接長さは、5μm以上100μm以下であり、かつ当接圧力が0.5MPa以上20MPa以下であることが好ましい。さらには、当接圧力は0.5MPa以上2.0MPa以下であることがより好ましい。というのも、当接長さが5μmを下回ると、クリーニングブレードと感光体の当接が不安定になり、一方、100μmを上回ると当接圧力が分散することにより、クリーニング不良が発生しやすい傾向にあるからである。また、当接圧力が0.5MPaを下回ると、クリーニングブレードと感光体の当接が不安定になりトナーがすり抜けやすく、20MPaを上回ると、前述の摩擦力の増大による課題が発生する傾向にある。
クリーニングブレード7aは、ウレタンゴムを主体とした弾性ブレードであり、その物性値はJIS−K6301記載の測定方法によるものである。クリーニングブレードの硬度は、50〜90(ショア硬さHS)、100%モジュラスが20〜90(Kgf/cm2)、反発弾性が5〜70%の範囲が好ましい。また、クリーニングブレード7aの感光体1に対する当接部分を含む一部に対して、イソシアネート化合物によりクリーニングブレードの表面を処理することは好ましい。すなわち、ポリウレタン樹脂の表面上でイソシアネート化合物と空気中の水分やポリウレタン樹脂自身とを反応させて、ポリウレタン樹脂の表面に硬化薄膜を形成したものの使用は、本発明においてより一層の効果を奏するため好ましい。本発明におけるブレードのヤング率は、単軸引っ張り試験から求めた。
また、クリーニングブレード7aの支持方法および形状は、図13に限られず、使用するシステムに応じて適宜選択することが可能である。
これより、本発明の実施例を説明するが、本発明は以下に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
<感光体製造例1>
最初に、本発明で用いる電子写真感光体を製造した。
直径84mm、長さ370.0mmの表面切削加工されたアルミニウムシリンダーを支持体(円筒状支持体)とした。
次に、酸化スズの被覆層を有する硫酸バリウム粒子からなる粉体60部、酸化チタン15部、レゾール型フェノール樹脂43部、シリコーンオイル0.015部、シリコーン樹脂3.6部、2−メトキシ−1−プロパノール50部/メタノール50部を用意した。そして、それら材料からなる溶液を約20時間、ボールミルで分散し、導電層用塗料を調製した。このようにして調合した導電層用分散液をアルミニウムシリンダー上に浸漬法によって塗布し、温度140℃のオーブンで1時間加熱硬化することにより、膜厚が15μmの樹脂層を形成した。ここで、前記酸化スズの被覆層を有する硫酸バリウム粒子からなる粉体は、商品名:パストランPC1、三井金属鉱業(株)製である。前記酸化チタンは、商品名:TITANIX JR、テイカ(株)製である。前記レゾール型フェノール樹脂は、商品名:フェノライト J−325、大日本インキ化学工業(株)製で、固形分70質量%である。前記シリコーンオイルは、商品名:SH28PA、東レシリコーン(株)製である。前記シリコーン樹脂は、商品名:トスパール120、東芝シリコーン(株)製である。
次に、共重合ナイロン樹脂10部と、メトキシメチル化6ナイロン樹脂30部とをメタノール400部/n−ブタノール200部の混合液に溶解した溶液を、前記樹脂層の上に浸漬塗布し、温度100℃のオーブンで30分間加熱乾燥した。そうすることで、膜厚が0.45μmの中間層が形成された。ここで、前記共重合ナイロン樹脂は、商品名:アミランCM8000、東レ(株)製である。また、前記メトキシメチル化6ナイロン樹脂は、商品名:トレジンEF−30T、帝国化学(株)製である。
次に、CuKα特性X線回折のブラッグ角2θ±0.2°の7.4°および28.2°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン20部、下記構造式のカリックスアレーン化合物0.2部、
ポリビニルブチラール〔商品名:エスレックBX−1、積水化学(株)製〕10部およびシクロヘキサノン600部を、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後、酢酸エチル700部を加えて電荷発生層用分散液を調製した。これを浸漬コーティング法で塗布し、温度80℃のオーブンで15分間加熱乾燥することにより、膜厚が0.170μmの電荷発生層を形成した。
次いで、下記構造式の正孔輸送性化合物70部、
およびポリカーボネート樹脂〔ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製〕100部を、モノクロロベンゼン600部およびメチラール200部の混合溶媒中に溶解および調製して電荷輸送層用塗料を作った。その塗料用いて、前記電荷発生層上に電荷輸送層を浸漬塗布し、温度100℃のオーブンで30分間加熱乾燥することにより、膜厚が15μmの電荷輸送層を形成した。
次いで、分散剤として、フッ素原子含有樹脂0.5部を、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン20部および1−プロパノール20部の混合溶剤に溶解した後、潤滑剤として4フッ化エチレン樹脂粉体10部を加えた溶液を作った。そして、その溶液を高圧分散機で58.8MPa〔600kgf/cm2〕の圧力で4回の処理を施し均一に分散させた。これをポリフロンフィルター(商品名PF−040、アドバンテック東洋(株)製)で濾過を行い、潤滑剤分散液を作成した。ここで、前記フッ素原子含有樹脂は、商品名:GF−300、東亞合成(株)製である。前記1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンは、商品名:ゼオローラH、日本ゼオン(株)製である。前記4フッ化エチレン樹脂粉体は、商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製である。前記高圧分散機は、商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics社製である。
その後、下記構造式で示される正孔輸送性化合物90部、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン70部および1−プロパノール70部を前記潤滑剤分散液に加えた。そして、ポリフロンフィルター〔商品名:PF−020、アドバンテック東洋(株)製〕で濾過を行い、第二電荷輸送層用塗料を調製した。
この塗料を用いて、前記電荷輸送層上に第二電荷輸送層を塗布した後、大気中温度50℃のオーブンで10分間乾燥した。その後、窒素中において加速電圧150KV、ビーム電流3.0mAの条件でシリンダーを200rpmで回転させながら1.6秒間電子線照射を行い、引き続いて窒素中において温度25℃から温度125℃まで30秒かけて昇温させ硬化反応を行った。なお、このときの電子線の吸収線量を測定したところ15KGyであった。また、電子線照射および加熱硬化反応雰囲気の酸素濃度は15ppm以下であった。その後、大気中において電子写真感光体を温度25℃まで自然冷却し、温度100℃のオーブンで30分間の大気中後加熱処理を行って、膜厚5μmの第二電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を得た。
上記のようにして得られた電子写真感光体の最表面層に、KrFエキシマレーザー(波長λ=248nm、パルス幅=17ns)を用いて凹部を形成した。このとき、図14に示すように、直径28μmの円形のレーザー光遮光部aが10μm間隔で配列するパターンを有する石英ガラス製のマスクを用い、照射エネルギーを0.9J/cm2とし、1回照射あたりの照射面積は1.4mm四方とした。図14において、bはレーザー光透過部である。そして、図6に示すように、感光体を回転させ、照射位置を軸方向にずらしつつ照射を行って感光体No.1を得た。
該感光体No.1の表面形状をレーザー顕微鏡((株)キーエンス製VK−9500)で拡大観察したところ、図15のAに示すように、凸部の平均直径Lpcが5.6μmである円柱状の凸部が2.8μmの間隔で形成されていることが確認された。図15のBは、図15のAの線15Bにおける断面図である。そこに示すように、凸部の高さLdvの平均値は1.0μmであった。また、凸形状間隔Tの平均値は8.0μmであり、標準偏差Tσは0.4μmであった。また、10000μm2あたりの凸部の個数は156個、Smrは38%であった。
さらに、該電子写真感光体No.1を、温度23℃/湿度50%RH環境下に24時間放置した後、弾性変形率およびユニバーサル硬さ(HU)を測定した。結果、弾性変形率値は54%、ユニバーサル硬さ(HU)値は180N/mm2であった。
<感光体製造例2>
次に、感光体製造例1とは凹部の形成方法が異なる電子写真感光体を作製した。
まず、感光体製造例1と同様にして、第二電荷輸送層が形成された電子写真感光体を得た。
得られた電子写真感光体に対して、図8に示した装置において、図16に示した形状転写用のモールドを設置し表面加工を行った。図16において、Aは上方向から見たモールドの形状を示し、Bは横方向から見たモールドの形状を示す。また、D、EおよびFはそれぞれ凹部の最長径、間隔および高さを表す。加圧部分の電荷輸送層の温度が110℃となるように電子写真感光体およびモールドの温度を制御し、4.9MPa(50kg/cm2)の圧力で加圧しながら、感光体を周方向に回転させて形状転写を行い、感光体No.2を得た。
上記のようにして得られた感光体No.2の表面形状をレーザー顕微鏡((株)キーエンス製VK−9500)で拡大観察したところ、図17に示すように、Lpc:1.4μm、深さLdv:1.0μmの凸部が形成されていることがわかった。図17において、AはScut面の配列状態を示す。また、BはScut面の法線方向への感光体のScutの算出に用いた100μm2の表面形状データを感光体回転方向と直交する方向に10分割し、分割線位置での高さ方向に対する輪郭曲線データ凸部を有する表面の断面形状を示す。形状計測結果を下記の表1に示す。
<感光体製造例3>
次に、感光体製造例1とは凹部の形成条件が異なる電子写真感光体を作製した。
凹部形成におけるエキシマレーザーの照射エネルギーを1.8J/cm2とした以外は、感光体製造例1と同様に加工を行って感光体No.3を得た。形状計測結果を下記の表1に示す。
<感光体製造例4>
次に、感光体製造例1とは凹部の形成方法が異なる電子写真感光体をさらに製作した。
まず、第二電荷輸送層を塗布した後、大気中温度50℃のオーブンで10分間乾燥するまでは、製造例1と同様の方法により作成した。上記の方法により作製された塗膜表面に対して、図8に示されたモールドによる圧接形状転写加工装置において、図9に示された形状転写用のモールドを設置し、表面加工を行った。このときに使用したモールド凹部の最長径、間隔および高さはそれぞれ2.0μm、1.0μm、3.0μmであった。加工時の電子写真感光体およびモールドの温度は80℃に制御し、2MPaの圧力で加圧しながら、感光体を周方向に回転させ形状転写を行った。
その後、窒素雰囲気下において加速電圧150KVおよびビーム電流3.0mAの条件で支持体を200rpmで回転させながら1.6秒間電子線照射を行った。引き続いて、窒素雰囲気下において、支持体周囲の温度を25℃から125℃まで30秒かけて昇温させ、表面層に含有される重合性材料の重合反応を行った。なお、このときの電子線の吸収線量を測定したところ、15KGyであった。また、電子線照射および加熱重合反応雰囲気の酸素濃度は15ppm以下であった。その後、大気中において電子写真感光体を温度25℃まで自然冷却し、温度100℃のオーブンで30分間の大気中後加熱処理を行って、膜厚5μmの第二電荷輸送層を形成し、感光体No.4を得た。形状計測結果を表1に示す。
<感光体製造例5>
次に、感光体製造例1とは、感光体の材料および凹部の形成方法が異なる電子写真感光体を製作した。
まず、製造例1において、ポリカーボネート樹脂〔ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製〕の代わりに、下記構造式で示される共重合型ポリアリレート樹脂を用いて膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。その後、第二電荷輸送層を形成しないものを電子写真感光体として得た。
(式中、mおよびnは、繰り返し単位の本樹脂における比(共重合比)を示し、本樹脂においては、m:n=7:3である。また、本樹脂はランダム共重合体である)
なお、上記ポリアリレート樹脂中のテレフタル酸構造とイソフタル酸構造とのモル比(テレフタル酸構造:イソフタル酸構造)は50:50である。また、重量平均分子量(Mw)は、130,000である。
次に、感光体製造例2で使用したモールドにおいて、D:10.0μm、E:5.0μm、F:6.0μmとし、加工時の電子写真感光体表面の温度を150℃とした以外は、感光体製造例2と同様に加工を行って感光体No.5を得た。形状観察結果を表1に示す。
<感光体製造例6>
次に、感光体製造例5とは、凹部の形成条件が異なる電子写真感光体を製作した。
まず、感光体製造例5と同様に電子写真感光体を作製した。
次に、感光体製造例2で使用したモールドにおいて、D:10.0μm、E:5.0μm、F:6.5μmとし、加工時の電子写真感光体およびモールドの温度を125℃に制御し、2.5MPa(25kg/cm2)の圧力で加圧した。それ以外は感光体製造例2と同様に加工を行って感光体No.6を得た。形状観察結果を表1に示す。
<感光体製造例7>
次に、感光体製造例2とは、凹部の形成方法が異なる電子写真感光体を製作した。
感光体にモールド転写による表面加工を行わないこと以外は感光体製造例2と同様にして感光体No.7を得た。形状計測結果を表1に示す。
<感光体製造例8>
次に、感光体製造例1とは、凹部の形成条件が異なる電子写真感光体を製作した。
まず、感光体製造例1と同様に電子写真感光体を作製した。
次に、レーザー光遮光部aの直径を30μmに拡大したマスクを使用した以外は感光体製造例1と同様に加工を行って感光体No.8を得た。形状計測結果を表1に示す。
<感光体製造例9>
次に、感光体製造例1とは、凹部の形成方法が異なる電子写真感光体を製作した。
まず、感光体製造例1と同様に電子写真感光体を作製した。
次いで、研磨によって凹凸を形成した。研磨シート(商品名:C−2000、富士写真フィルム(株)製)、研磨砥粒:Si−C(平均粒径:9μm)、基材:ポリエステルフィルム(厚さ:75μm)を用い、感光体表面の粗面化を行った。詳しくは、研磨シート送りスピード:220mm/秒、電子写真感光体回転数:40rpm、押し当て圧:3N/m2、研磨シートおよび電子写真感光体の回転方向はカウンター方向に3分間で、粗面化を行い、感光体No.9を得た。形状計測結果を表1に示す。
<感光体製造例10>
次に、感光体製造例1とは、凹部の形成方法が異なる電子写真感光体を製作した。
まず、感光体製造例1と同様に電子写真感光体を作製した。
次いで、ブラストによって凹凸を形成した。乾式ブラスト装置(不二精機製造所製)を用いて、下記条件にてブラスト処理を行った。研磨材砥粒は球状ガラスビーズで、平均粒径が30μm(商品名:UB−01L、(株)ユニオン製)のものを使用した。その際、エア吹き付け圧力:3.5kgf/cm2、ブラストガン移動速度:333mm/秒、ワーク(感光体)回転速度:300rpmであった。また、ブラストガン吐出口と感光体の距離:100mm、砥粒吐出角度:90°、砥粒供給量:200g/分、ブラスト回数:片道×2回であった。
さらに、感光体表面に残存付着した研磨材を圧縮エアを吹き付けることによって除去し感光体No.10を得た。形状計測結果を表1に示す。
<非磁性トナー製造例1>
次に、本発明で用いる非磁性体トナーを製造した。
まず、下記材料をブレンダーにて混合した。
・スチレン/n−ブチルアクリレート共重合体 84.5部
(質量比85/15、Mw=330000)
・飽和ポリエステル樹脂(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg=56℃、Mw=18000、酸価=8、水酸基価=13) 2.5部
・負荷電性制御剤(ジターシャリーブチルサリチル酸のAl化合物) 3部
・カーボンブラック 7.0部
・精製ノルマルパラフィンワックス 5部
(DSCにおける昇温測定時の最大吸熱ピーク74℃)
それから、上記混合物を110℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミル(ホソカワミクロン(株)製)で粗粉砕し、次いで、エアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。衝突板は、衝突する方向に対して90度となるよう調整した。得られた微粉砕物を風力分級してトナー粒子を得た。その後、バッチ式の衝撃式表面処理装置で球形化処理を行った(処理温度40℃、回転式処理ブレード周速75m/秒、処理時間3分)。
次に、得られた球形化トナー粒子100部に対して、ルチル型酸化チタン微粒子1.0部、一次粒径15nmの疎水性シリカ微粒子0.7部、一次粒径110nmの疎水性シリカ粒子2.5部、をヘンシェルミキサーで外添した。そうして、非磁性トナー(ブラックトナー)No.1を得た。ここで、前記ルチル型酸化チタン微粒子は、一次粒径35nmで、イソブチルシランカップリング剤10質量%処理したものである。前記一次粒径15nmの疎水性シリカ微粒子は、シリコーンオイル10質量%処理したのものである。前記一次粒径110nmの疎水性シリカ粒子は、シリコーンオイル5質量%処理したものである。非磁性トナーNo.1の物性を下記の表2に示す。
<非磁性トナー製造例2>
次に、非磁性トナー製造例1とは、用いられる材料が異なっている非磁性トナーを製造した。
まず、カーボンブラックを7.0部用いる代わりに、C.Iピグメントブルー15:3を7.0部用いたこと以外は、非磁性トナー製造例1と同様にして、非磁性トナー(シアントナー)No.2を得た。非磁性トナーNo.2の物性を下記の表2に示す。
<非磁性トナー製造例3>
次に、上記製造例とは異なる方法で非磁性トナーを製造した。
まず、イオン交換水405部に0.1N−Na3PO4水溶液250部を投入し60℃に加温した後、1.07N−CaCl2水溶液40.0部を徐々に添加して、燐酸カルシウム塩を含む水系媒体を得た。
一方、下記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合し、単量体組成物を調製した。
・スチレン 80部
・n−ブチルアクリレート 20部
・ジビニルベンゼン 0.2部
・飽和ポリエステル樹脂(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg=70℃、Mw=41000、酸価=15mgKOH/g、水酸基価=25) 4.0部
・負帯電性荷電制御剤(ジ−ターシャリーブチルサリチル酸のAl化合物) 1部
・C.Iピグメントブルー15:3 6.0部
この単量体組成物を温度60℃に加温し、そこにベヘニン酸ベヘニルを主体とするエステルワックス(DSCにおける昇温測定時の最大吸熱ピーク72℃)12部を添加・混合・溶解した。これに重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)[t1/2(半減期)=140分、60℃条件下]3部を溶解して、重合性単量体組成物を調製した。
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、温度60.5℃、N2雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))を用いて10,000rpmで15分間撹拌し、造粒した。続いて、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、温度60.5℃で6時間反応させた。その後、液温を80℃としさらに4時間撹拌を続けた。反応終了後、温度80℃でさらに3時間蒸留を行い、懸濁液を冷却し、塩酸を加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤しているトナー粒子を得た。それから、上記粒子を40℃にて12時間乾燥して着色粒子(トナー粒子)を得た。
このトナー粒子100部と、一次粒径が12nmの疎水性シリカ微粒子1.0部および一次粒径が110nmの疎水性シリカ微粒子1.5部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合した。そうして、非磁性トナー(シアントナー)No.3を得た。ここで、前記一次粒径が12nmの疎水性シリカ微粒子は、シリコーンオイル10質量%処理されて、BET比表面積値130m2/gである。また、前記一次粒径が110nmの疎水性シリカ微粒子は、シリコーンオイル5質量%処理されたものである。非磁性トナーNo.3の物性を下記の表2に示す。
<キャリアの製造>
次に、本発明で用いるキャリアを製造した。
まず、下記材料を四ツ口フラスコに入れ、撹拌混合しながら50分間で85℃まで昇温し、この温度で120分間反応・硬化させた。
・フェノール(ヒドロキシベンゼン) 50部
・37質量%のホルマリン水溶液 80部
・水 50部
・シラン系カップリング剤(KBM403;信越化学工業(株)製)で表面処理されたマグネタイト微粒子 320部
・シラン系カップリング剤(KBM403;信越化学工業(株)製)で表面処理されたα−Fe2O3微粒子 80部
・25質量%のアンモニア水 15部
それから、上記混合された材料をその後30℃まで冷却し500部の水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗し、風乾した。次いで、これを減圧下(665Pa=5mmHg)160℃で24時間乾燥して、フェノール樹脂をバインダ樹脂とする磁性キャリアコア(A)を得た。
得られた磁性キャリアコア(A)の表面に、γ−アミノプロピルトリメトキシシランの3質量%メタノール溶液を塗布した。塗布中は、磁性キャリアコア(A)に剪断応力を連続して印加しながら、塗布しつつメタノールを揮発させた。
上記処理機内のシランカップリング剤で処理された磁性キャリアコア(A)を50℃で撹拌しながら、シリコーン樹脂SR2410(東レダウコーニング(株)製)を、シリコーン樹脂固形分として20%になるようトルエンで希釈した。その後、減圧下で添加して、0.5質量%の樹脂被覆を行った。
以後、窒素ガスの雰囲気下で2時間撹拌しつつ、トルエンを揮発させた後、窒素ガスによる雰囲気下で140℃、2時間熱処理を行い、凝集をほぐした後、200メッシュ(75μmの目開き)以上の粗粒を除去し、キャリアを得た。
得られたキャリアの体積平均粒径は35μm、真比重は3.7g/cm3であった。
(実施例1)
前記電子写真感光体1を、キヤノン(株)製の電子写真複写機iRC6800の改造機(負帯電型に改造)に装着し、以下のように評価を行った。
まず、温度23℃/湿度50%RH環境下で、電子写真感光体の暗部電位(Vd)が−700V、明部電位(Vl)が−200Vになるように電位の条件を設定し、電子写真感光体の初期電位を調整した。
次に、ポリウレタンゴム製のクリーニングブレードを、電子写真感光体表面に対して、当接角25°、当接圧26g/cmとなるように設定した。
まず、この状態のまま改造機に装着し、トナーを介在させない状態の感光体の回転状況を以下のように評価した。
◎:回転が可能
○:回転が可能だが、ごくわずかにブレードのびびりが発生
△:回転が可能だが、ブレードがびびる
×:ブレードがめくれ回転出来ない
結果、下記の表3に示すように、本発明の感光体およびクリーニング構成では、トナーが介在しない状態においても、良好なクリーニング状態が成立することがわかった。
次に、非磁性トナー1と、キャリアとをトナー濃度8%で混合して二成分系現像剤No.1を作製し、A4紙サイズ2枚間欠の条件で5000枚の画像出力耐久試験を行った。なお、テストチャートは、印字比率5%のものを用いた。耐久後の電子写真感光体回転方向下流側におけるクリーニングブレードエッジを観察し、クリーニング不良によるトナーのすり抜け状態を以下のように評価した。
◎:トナーのすり抜けなし
○:電子写真感光体長手方向の一部に、ごく軽微なトナーのすり抜けあり
△:電子写真感光体長手方向全域にトナーのすり抜けあり
結果、下記の表3に示すように、クリーニング不良によるトナーのすり抜けは観察されなかった。
合わせて、耐久前後の感光体の回転トルクを、モーターの電流値により測定した。初期トルクは、耐久開始後5枚目から10枚目までの電流の平均値とし、耐久後のトルクは1000枚後に、5枚のプリント出力を行い、その間の電流の平均値とした。このときの初期トルク電流値を1.0とし、耐久後のトルク電流値との比を求めた。評価結果を下記の表3に示す。
(実施例2)
非磁性トナー3と、キャリアとをトナー濃度8%で混合して二成分系現像剤No.3を作成し、画像出力に用いる感光体、ブレードおよび設定条件を、下記の表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様に画像出力試験を行い、評価をした。評価結果を下記の表3に示す。
本実施例により、本発明の感光体は平均円形度の高いトナーを用いても、良好なクリーニング性能を維持できることが判る。
(実施例3〜12)
画像出力に用いる感光体、現像剤、クリーニングブレードおよび設定条件を、下記の表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様に画像出力試験を行い、評価をした。ここで、実施例12だけは、非磁性トナー2と、キャリアとをトナー濃度8%で混合して作った二成分系現像剤No.2を用いた。評価結果を下記の表3に示す。
本実施例においては、トルク上昇が発現する場合が見られたものの、いずれの場合においても、良好なクリーニング特性を示していた。
(比較例1〜4)
画像出力に用いる感光体および現像剤を、下記の表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様に画像出力試験を行った。評価結果を下記の表3に示す。
本比較例の画像出力方法は、感光体に対するクリーニング特性が劣り、耐久時にもトルク上昇が増大し、その結果、耐久末期において画像不良の発生が見られた。
独立した凹部を複数有する電子写真感光体の表面の一例を示す図である。
本発明における電子写真感光体表面の凹部の開口の形状の例(A〜G)を示す図である。
本発明における電子写真感光体表面の凹部の断面の形状の例(A〜F)を示す図である。
本発明のマスクの配列パターンの例(部分拡大図)を示す図である。
本発明のレーザー加工装置の例の概略を示す図である。
本発明により得られた感光体最表面の凸部の配列パターンの例(部分拡大図)を示す図である。
本発明におけるモールドによる圧接形状転写加工装置の例の概略を示す図である。
本発明におけるモールドによる圧接形状転写加工装置の別の例の概略を示す図である。
本発明におけるモールドの形状の例(A、B)を示す図である。
フィシャースコープH100V(Fischer社製)の出力チャートの概略を示す図である。
フィシャースコープH100V(Fischer社製)の出力チャートの一例を示す別図である。
本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
本発明におけるクリーニングブレードの当接方法の一例の詳細を示す図である。
感光体製造例1で使用したマスクの配列パターン(部分拡大図)を示す図である。
感光体製造例1により得られた感光体最表面の凸部の配列パターン(部分拡大図)を示す図(A)と、Aの線15Bにおける断面図(B)である。
感光体製造例2で使用したモールドの形状を示す図である。
感光体製造例2により得られた感光体最表面の凹部の配列パターン(部分拡大図)を示す図である。
符号の説明
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 クリーニング手段
7a クリーニングブレード
7b ブレード支持板金
8 定着手段
9 プロセスカートリッジ
10 案内手段
P 転写材
a レーザー光遮蔽部
b レーザー光透過部
c エキシマレーザー光照射器
d ワーク回転用モーター
e ワーク移動装置
f 感光体ドラム
g 凹部非形成部
h 凹部形成部
A 加圧装置
B モールド
C 感光体