JP5589560B2 - 芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
このような芳香族ポリカーボネートの製造方法としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」と記す。)に代表されるジヒドロキシ化合物類のアルカリ水溶液と塩化カルボニルとを有機溶剤存在下、相界面にて反応させる方法(界面法)と、ジヒドロキシ化合物類とジフェニルカーボネートに代表される炭酸ジエステルとを、エステル交換反応触媒存在下、溶融状態にて重縮合反応させる方法(溶融法)が知られている。なかでも、エステル交換反応による溶融法は、界面法と比較して安価に芳香族ポリカーボネートを製造できたり、多くの種類のジヒドロキシ化合物を取り扱えたりすることができるという利点を有している。
前記複数の品種の芳香族ポリカーボネートを製造する場合、特許文献1では、複数の反応槽を接続した製造装置において、前段の反応槽においてビスフェノールAとジフェニルカーボネートとを単一系列で重縮合させ(前期重合工程)、引き続いて行う重縮合反応(後期重合工程)を複数系列とすることにより、複数の品種の芳香族ポリカーボネートを連続的に製造する方法が報告されている。また、特許文献2では、原調槽が単一系列で、複数の重合系列を有する反応装置を用いて、重合系列の最初の反応槽の前にジフェニルカーボネートを追加添加することにより、複数の品種の芳香族ポリカーボネートを連続的に製造する方法が報告されている。
かかる現状下、本発明の目的は、同一の製造設備に於いて、製造設備を一旦停止させたり、且つ洗浄操作を入れたりすることなく、更には、製造条件を変更した際に発生する規格外品(以下、切り替えロスと称する場合がある。)を減少させて、構造単位の異なる複数種の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造することを目的とする。さらに、本発明の別の目的は、色調に優れた構造の異なる複数種の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造することにある。
<1> 構造単位の異なる複数種の芳香族ポリカーボネート樹脂を同一の製造設備で製造する芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法であって、
前記構造単位の異なる複数種の芳香族ポリカーボネート樹脂の少なくとも一種が、下記一般式(1)又は一般式(2)で表される構造単位を有してなり、
かつ、300℃、剪断速度912sec-1における溶融粘度が400Pa・s以下である芳香族ポリカーボネート樹脂Aを製造し、次いで、前記芳香族ポリカーボネート樹脂Aの構造単位とは異なる構造単位を有する芳香族ポリカーボネート樹脂Bを製造する芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法。
<2> 前記芳香族ポリカーボネート樹脂Aを製造する前に、前記芳香族ポリカーボネート樹脂Aと同じ構造単位を有し、かつ300℃、剪断速度912sec-1における溶融粘度が400Pa・sを超える芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する前記<1>に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法。
<3> 前記一般式(1)又は一般式(2)のXの置換若しくは無置換のアルキリデン基が、
(R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示し、Zは、置換若しくは無置換の炭素数4〜炭素数20のポリメチレン基を示す。)
<4> 前記構造単位の異なる複数種の芳香族ポリカーボネート樹脂の少なくとも一種が、前記一般式(1)と一般式(2)の両方の構造単位を有し、かつ一般式(1)と(2)で表される構造単位の合計量に対する一般式(2)で表される構造単位を50重量%以上有する芳香族ポリカーボネート樹脂である前記<1>乃至<3>のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法。
300℃、剪断速度912sec-1における溶融粘度が400Pa・s以下である芳香族ポリカーボネート樹脂Aを製造し、次いで、前記芳香族ポリカーボネート樹脂Aの構造単位とは異なる構造単位を有する芳香族ポリカーボネート樹脂Bを製造する芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法(以下、「本発明の製造方法」と称す場合がある。)に関する。
又、芳香族ポリカーボネート樹脂を構成する構造単位が同一であっても、構造単位が複数であり、且つその構成比率が異なる場合も「構造単位の異なる芳香族ポリカーボネート樹脂」である。例えば、一般式(1)で示される構造単位(30重量%)と一般式(2)に示される構造単位(70重量%)からなる芳香族ポリカーボネート樹脂と、一般式(1)で示される構造単位(50重量%)と一般式(2)に示される構造単位(50重量%)からなる芳香族ポリカーボネート樹脂とは本発明でいう「構造単位の異なる芳香族ポリカーボネート樹脂」である。
一方、本発明でいう「同じ構造単位を有する芳香族ポリカーボネート樹脂」とは、その芳香族ポリカーボネート樹脂を構成する、全ての構造単位が同じであり、且つ構造単位の構成比率が同一の芳香族ポリカーボネート樹脂をいう。
また、本発明でいう「製造切り替え」とは、原料である芳香族ジヒドロキシ化合物、触媒、又は製造条件等の変更による構造単位の異なる芳香族ポリカーボネート樹脂製造への切り換えをいう。
切り替え前の芳香族ポリカーボネート樹脂の溶融粘度が上記範囲であることによって、次いで、前記芳香族ポリカーボネートAとは異なる構造単位を有する芳香族ポリカーボネート樹脂(以下、「芳香族ポリカーボネートB」と称する場合がある。)を製造した場合、前記芳香族ポリカーボネートAの前記芳香族ポリカーボネートBへの過度の混入を抑えることができ、前記芳香族ポリカーボネートBを安定的に製造できる。
その結果、製造設備を一旦停止させて、フェノール等の溶媒で洗浄操作を行なうことなく、複数種の芳香族ポリカーボネートを連続的に製造することが可能となる。
また、上記において、芳香族ポリカーボネート樹脂Aを製造する前に、当該芳香族ポリカーボネート樹脂Aと同じ構造単位を有し、かつ300℃、剪断速度912sec-1における溶融粘度が400Pa・sを超える芳香族ポリカーボネート樹脂を製造することが好ましい。
以下、本発明にかかる芳香族ポリカーボネート樹脂の一般的製造方法について先ず説明する。
本発明に係る芳香族ポリカーボネート樹脂の原料である芳香族ジヒドロキシ化合物としては、下記一般式(3)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物が挙げられる。
R1及びR2の、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられ、置換若しくは無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
R3及びR4の、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられ、置換若しくは無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
これらの中でも、R1及びR2は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、4−メチルフェニル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。R3及びR4は、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、4−メチルフェニル基が好ましく、特に水素原子、メチル基が好ましい。
R5及びR6の、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられる。置換若しくは無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
これらの中でも、R5及びR6は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、4−メチルフェニル基が好ましく、特に、メチル基が好ましい。
Zは、一般式(3)または一般式(4)において、2個のフェニル基を結合する炭素と結合して、置換若しくは無置換の二価の炭素環を形成する。二価の炭素環としては、例えば、シクロペンチリデン基、シキロヘキシリデン基、シクロヘプチリデン基、シクロドデシリデン基、アダマンチリデン基等のシクロアルキリデン基(好ましくは、炭素数5〜炭素数12)が挙げられる。置換されたものとしては、これらのメチル置換基、エチル置換基を有するもの等が挙げられる。これらの中でも、シクロヘキシリデン基、シクロドデシリデン基、シキロヘキシリデン基のメチル置換体が好ましい。
本発明に係る芳香族ポリカーボネート樹脂の原料である炭酸ジエステルとしては、下記一般式(5)で示される化合物が挙げられる。
なお、A’上の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜炭素数10のアルキル基、炭素数1〜炭素数10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基等が例示される。
これらの中でも、ジフェニルカーボネート(以下、「DPC」と略記することがある。)、置換ジフェニルカーボネートが好ましい。これらの炭酸ジエステルは、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
代表的なジカルボン酸又はジカルボン酸エステルとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。このようなジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換した場合には、ポリエステルカーボネートが得られる。
本発明の製造方法において使用されるエステル交換触媒としては、通常、エステル交換法により芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する際に用いられる触媒が挙げられ、特に限定されない。
一般的には、例えば、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、ベリリウム化合物、マグネシウム化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物が挙げられる。これらの中でも、実用的にはアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物が好ましい。これらのエステル交換触媒は、単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
これらのアルカリ金属化合物の中でも、セシウム化合物が好ましく、特に、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、水酸化セシウムが好ましい。
本発明に於いては、エステル交換反応終了後に、触媒を中和失活させるための触媒失活剤を添加しても良い。このような処理により得られた芳香族ポリカーボネート樹脂の耐熱性、耐加水分解性が向上する。
このような触媒失活剤としては、スルホン酸やスルホン酸エステルのようなpKaが3以下の酸性化合物が好ましく、具体的にはベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸プロピル、ベンゼンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸プロピル、並びにp−トルエンスルホン酸ブチルなどが挙げられる。
これらの中でも、p−トルエンスルホン酸並びにp−トルエンスルホン酸ブチルが好適に用いられる。
次に、本発明の製造方法が適用される芳香族ポリカーボネート樹脂の具体的な製造工程について説明する。
芳香族ポリカーボネート樹脂の製造工程は、原料である芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの原料混合溶融液を調製し(原調工程)、前記原料混合溶融液を、エステル交換反応触媒の存在下、溶融状態で複数の反応槽を用いて多段階で重縮合反応をさせる(重縮合工程)ことによって行われる。反応方式は、バッチ式、連続式、又はバッチ式と連続式の組合せのいずれでもよい。反応槽は、複数基の竪型撹拌反応槽、及び必要に応じてこれに続く少なくとも1基の横型撹拌反応槽が用いられる。通常、これらの反応槽は直列に設置され、連続的に処理が行われる。
重縮合工程後、反応を停止させ、重縮合反応液中の未反応原料や反応副生物を脱揮除去する工程や、熱安定剤、離型剤、色剤等を添加する工程、芳香族ポリカーボネート樹脂を所定の粒径に形成する工程等を適宜追加してもよい。
次に、製造方法の各工程について説明する。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料として使用する芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物とは、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下、バッチ式、半回分式または連続式の撹拌槽型の装置を用いて、原料混合溶融液として調製される。溶融混合の温度は、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物としてビスフェノールAを用い、炭酸ジエステル化合物としてジフェニルカーボネートを用いる場合は、通常120℃〜180℃、好ましくは125℃〜160℃の範囲から選択される。
以下、芳香族ジヒドロキシ化合物としてビスフェノールA、炭酸ジエステル化合物としてジフェニルカーボネートを原料として用いる場合を例として説明する。
この際、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物との割合は、炭酸ジエステル化合物が過剰になるように調整され、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステル化合物は、通常1.01モル〜1.30モル、好ましくは1.02モル〜1.20モルの割合になるように調整される。
芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物とのエステル交換反応による重縮合は、通常、2段階以上、好ましくは3段階〜7段階の多段方式で連続的に行われる。各段階の具体的な反応条件としては、温度:150℃〜320℃、圧力:常圧〜0.01Torr(1.3Pa)、平均滞留時間:5分〜150分の範囲である。
多段方式の各反応槽においては、エステル交換反応の進行とともに副生するフェノール等の芳香族モノヒドロキシ化合物をより効果的に系外に除去するために、上記の反応条件内で、段階的により高温、より高真空に設定する。
ここで、反応槽としては、例えば、撹拌槽型反応槽、薄膜反応槽、遠心式薄膜蒸発反応槽、表面更新型二軸混練反応槽、二軸横型撹拌反応槽、濡れ壁式反応槽、自由落下させながら重縮合する多孔板型反応槽、ワイヤーに沿わせて落下させながら重縮合するワイヤー付き多孔板型反応槽等が用いられる。
次いで、本発明の製造方法にて製造される芳香族ポリカーボネート樹脂(以下、「本発明に係る芳香族ポリカーボネート樹脂」と称す場合がある。)について説明する。
R5及びR6の、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられる。置換若しくは無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
これらの中でも、R5及びR6は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、4−メチルフェニル基が好ましく、特に、メチル基が好ましい。
Zは、一般式(1)または一般式(2)において、2個のフェニル基を結合する炭素と結合して、置換若しくは無置換の二価の炭素環を形成する。二価の炭素環としては、例えば、シクロペンチリデン基、シキロヘキシリデン基、シクロヘプチリデン基、シクロドデシリデン基、アダマンチリデン基等のシクロアルキリデン基(好ましくは、炭素数5〜炭素数12)が挙げられる。置換されたものとしては、これらのメチル置換基、エチル置換基を有するもの等が挙げられる。これらの中でも、シクロヘキシリデン基、シクロドデシリデン基、シキロヘキシリデン基のメチル置換体が好ましい。
本発明においては、構造単位の異なる芳香族ポリカーボネート樹脂の少なくとも一種が、上記一般式(1)で表される構造単位からなる、即ち上記一般式(1)で表される構造単位のみから構成されることが好ましい。
本発明の製造方法は、構造単位の異なる複数種の芳香族ポリカーボネート樹脂の製造を、原料調製から重合反応を経て、芳香族ポリカーボネート樹脂の製造までが一貫して実施することが可能な同一の製造設備を使用して行うことにその特徴がある。上述のように、本発明でいう同一の製造設備とは、バッチ反応方式でも連続反応方式でもかまわないし、配管等により連続的に接続されていれば複数の反応槽を有していてもよい。
例2:樹脂b(1)→ 樹脂b(2)→ 樹脂a(1)
例3:樹脂a(1)→ 樹脂a(2)→ 樹脂b(1)→ 樹脂b(2)
例4:樹脂b(1)→ 樹脂b(2)→ 樹脂a(1)→ 樹脂a(2)
例5:樹脂a(1)→ 樹脂a(2)→ 樹脂a(3)→ 樹脂b(1)
例6:樹脂b(1)→ 樹脂b(2)→ 樹脂b(3)→ 樹脂a(1)
例7:樹脂a(2)→ 樹脂b(1)→ 樹脂b(2)→ 樹脂a(1)
上記例1は、先ず樹脂a(1)を製造した後、製造条件等を変更し、樹脂a(2)を製造し、その後、構造単位の異なる樹脂b(1)の製造を同一製造設備で連続的に行ったことを示している。また、例5では、先ず樹脂a(1)を製造した後、製造条件等を変更し、樹脂a(2)、樹脂a(3)を順じ製造し、その後構造単位の異なる樹脂b(1)の製造を同一製造設備で連続的に行ったことを示している。更に、例7では、先ず樹脂a(2)を製造した後、構造単位の異なる樹脂b(1)へ切り換え、さらに製造条件等を変更し、樹脂b(2)を製造し、次いで再度構造単位の異なる樹脂a(1)を同一製造設備で連続的に行ったことを示している。
次に、図面に基づき、本実施の形態が適用される芳香族ポリカーボネートの製造設備について具体的に説明する。
本発明でいう「同一の製造設備」とは、前記のように原料調製から重合反応を経て、芳香族ポリカーボネート樹脂の製造重合反応を経て、芳香族ポリカーボネート樹脂の製造までが一貫して実施することが可能な設備を意味し、バッチ反応方式でも連続反応方式でも良い。
以下、連続反応方式の芳香族ポリカーボネート製造装置の一例を図1に基づき説明する。
その後、反応を停止させ重合反応液中の未反応原料や反応副生物を脱揮除去する工程(図示せず)や、熱安定剤、離型剤、色剤等を添加する工程(図示せず)、芳香族ポリカーボネート樹脂を所定の粒径のペレットに形成する工程(図示せず)を経て、芳香族ポリカーボネート樹脂のペレットを成形する。
また、第1原料混合槽2aには、炭酸ジエステルとして例えばジフェニルカーボネート(以下、「DPC」と記載することがある。)を溶融状態で供給し、芳香族ジヒドロキシ化合物として例えばビスフェノールA(以下、「BPA」と記載することがある。)を粉末状態で供給し、溶融したジフェニルカーボネートにビスフェノールAを溶解させる。
また、これらの5基の反応槽には、それぞれ重縮合反応により生成する副生物等を排出するための留出管(図示せず)を取り付けている。
第1竪型反応槽4aでは、窒素雰囲気下、例えば、温度220℃、圧力13.33kPa(100Torr)、撹拌翼の回転数を160rpmに保持し、副生したフェノールを留出管から留出させながら平均滞留時間60分になるように液面レベルを一定に保ち、重縮合反応を行う。
各反応槽における反応条件は、重縮合反応の進行とともに高温、高真空、低撹拌速度となるようにそれぞれ設定する。重縮合反応の間、各反応槽における平均滞留時間は、例えば、60分程度になるように液面レベルを制御する。また各反応槽においては、副生するフェノールが留出管から留出する。
なお、ベント式二軸押出機における脱揮押出処理に於いて、必要に応じて溶剤を注入し、脱揮処理を実施しても良い。この場合、好ましい溶剤としては水が用いられる。
120℃、5hr乾燥した芳香族ポリカーボネート樹脂を、ダイス径1mmφ×10mmLを具備したキャピラリーレオメーター(東洋精機株式会社製)を用い、300℃に加熱して剪断速度γ=9.12〜1824(sec-1)間で測定し、剪断速度912sec-1における溶融粘度η* 912を読み取ることにより求めた。
射出成型機J100SS−2((株)日本製鋼所製)を用いて、バレル温度280℃、金型温度90℃の条件下にて、厚み3mm、縦100mm、横100mmのプレートを射出成形した。この射出成形プレートについて、カラーテスター(スガ試験機株式会社製 SC−1−CH)で、色の絶対値である三刺激値XYZを測定し、次の関係式により黄色度の指標であるYI値を計算した。このYI値が正に大きいほど、黄色に着色していることを示す。
BPA 6,700gとDPC 6,539gに、炭酸セシウムの水溶液を添加し、混合物を調製した。尚、炭酸セシウムはBPA 1mol当たり1μmolであった。次に、該混合物を、内温が80℃以下、内容量40Lであり、撹拌機、熱媒ジャケット、真空ポンプ、還流冷却器を具備した第1反応槽に投入した。
実施例1において、まずBPCを原料に434Pa・sの芳香族ポリカーボネート樹脂を製造後、ペレット化を開始した直後に、予め80℃まで冷却した第1反応槽内に、BPC6,700gとDPC 5,767gに炭酸セシウムの水溶液を添加し、混合物を調製した。尚、炭酸セシウムはBPC1mol当たり1.5μmolであった。次いで、該混合物を用いて前記製造条件と同様に製造を行い、溶融粘度357Pa・s、YI=2.0の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造した後、BPAを原料とし溶融粘度597Pa・sの芳香族ポリカーボネート樹脂を製造した以外は、実施例1と同様に製造を行った。BPAを原料に得られた芳香族ポリカーボネート樹脂の溶融粘度は597Pa・s、YI=2.0であった。
実施例1において、BPAを原料とし溶融粘度597Pa・sの芳香族ポリカーボネート樹脂を製造後、そのままBPCを原料とし、溶融粘度434Pa・sの芳香族ポリカーボネート樹脂を製造した以外は、実施例1と同様に製造を行った。BPCを原料として得られた芳香族ポリカーボネート樹脂の溶融粘度は434Pa・sであり、YI=3.0であった。
実施例1において、まずBPCを原料に434Pa・sの芳香族ポリカーボネート樹脂を製造後、そのままBPAを原料とし溶融粘度597Pa・sの芳香族ポリカーボネート樹脂を製造した以外は、実施例1と同様に製造を行った。BPAを原料に得られた芳香族ポリカーボネート樹脂の溶融粘度は597Pa・s、YI=4.0であった。
図1に示すような連続重合設備を用いて、原料DPCとBPCのモル比が1.02となるように原料調製槽1aにDPCとBPCを連続的に供給した。原料調製槽1a及び1bにて調整された原料溶融混合物について、送液ポンプ2を介して原料フィルター3を通過し、攪拌翼を備えた第1竪型反応槽4aへ50kg/hrにて供給した。加えて、炭酸セシウム水溶液をBPA1モルに対して、炭酸セシウムとして1.2μモルとなるように、第1竪型反応槽4aへ供給した。第1竪型反応槽4aから、第2竪型反応槽4b、第3竪型反応槽4c、第4竪型反応槽4d、第5横型反応槽6にて、各槽での平均滞留時間が60分となるように、下記に示されるような反応条件にて、重合反応を進め、副生されるフェノールは適宜溜出ラインより排出した。
(第1竪型攪拌反応槽4a):220℃、常圧
(第2竪型攪拌反応槽4b):220℃、13.3kPa
(第3竪型攪拌反応槽4c):240℃、2kPa
(第4竪型攪拌反応槽4d):270℃、67Pa
(第5横型攪拌反応槽6):290℃、67Pa
(第1竪型攪拌反応槽4a):220℃、常圧
(第2竪型攪拌反応槽4b):220℃、13.3kPa
(第3竪型攪拌反応槽4c):240℃、2kPa
(第4竪型攪拌反応槽4d):270℃、67Pa
(第5横型攪拌反応槽6):280℃、67Pa
(第1竪型攪拌反応槽4a):220℃、常圧
(第2竪型攪拌反応槽4b):220℃、13.3kPa
(第3竪型攪拌反応槽4c):240℃、2kPa
(第4竪型攪拌反応槽4d):270℃、67Pa
(第5横型攪拌反応槽6):290℃、67Pa
実施例3において、BPCを原料とし、溶融粘度434Pa・sの芳香族ポリカーボネート樹脂を製造後、そのままBPAを原料として、溶融粘度597Pa・sの芳香族ポリカーボネート樹脂を製造した以外は、実施例3と同様に実施した。BPAを原料とし得られた芳香族ポリカーボネート樹脂の溶融粘度は597Pa・s、YI=3.0であった。
2、5a、5b 送液ポンプ
3 原料フィルター
4a、4b、4c、4d 竪型反応槽
6 横型反応槽
Claims (4)
- 構造単位の異なる複数種の芳香族ポリカーボネート樹脂を同一の製造設備で製造する芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法であって、
前記構造単位の異なる複数種の芳香族ポリカーボネート樹脂の少なくとも一種が、下記一般式(1)又は一般式(2)で表される構造単位を有してなり、
かつ、300℃、剪断速度912sec-1における溶融粘度が400Pa・s以下である芳香族ポリカーボネート樹脂Aを製造し、次いで、前記芳香族ポリカーボネート樹脂Aの構造単位とは異なる構造単位を有する芳香族ポリカーボネート樹脂Bを製造することを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法。
(一般式(1)、一般式(2)において、Xは、単結合、カルボニル基、置換若しくは無置換のアルキリデン基、置換若しくは無置換の硫黄原子、又は酸素原子を示す。また、一般式(2)において、R 1 及びR 2 は、それぞれ独立に、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示し、R 3 及びR 4 は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示す。) - 前記芳香族ポリカーボネート樹脂Aを製造する前に、前記芳香族ポリカーボネート樹脂Aと同じ構造単位を有し、かつ300℃、剪断速度912sec-1における溶融粘度が400Pa・sを超える芳香族ポリカーボネート樹脂を製造することを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記一般式(1)又は一般式(2)のXの置換若しくは無置換のアルキリデン基が、
であることを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法。
(R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示し、Zは、置換若しくは無置換の炭素数4〜炭素数20のポリメチレン基を示す。) - 前記構造単位の異なる複数種の芳香族ポリカーボネート樹脂の少なくとも一種が、前記一般式(1)と一般式(2)の両方の構造単位を有し、かつ一般式(1)と(2)で表される構造単位の合計量に対する一般式(2)で表される構造単位を50重量%以上有する芳香族ポリカーボネート樹脂であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法。
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