JP6284363B2 - ニッケル粒子 - Google Patents
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Description
本実施の形態のニッケル粒子は、酸化ニッケル及び有機物が被覆したニッケル粒子である。本実施の形態のニッケル粒子の粒子表面には、酸素元素、炭素元素及び水素元素が存在している。酸素元素は、主に、酸化ニッケル(NiO)として、炭素元素及び水素元素は、有機物として存在している。
本実施の形態のニッケル粒子は、酸化ニッケルの被膜を有している。酸化ニッケルは、不動体被膜を形成し、ニッケル粒子の熱収縮特性に寄与する。酸化ニッケルの被膜は、ニッケル粒子を構成する金属ニッケルの粒子表面に部分的に存在する被膜でもよいし、該粒子の全表面に亘る被膜でもよい。このような酸化ニッケルの被膜により、ニッケル粒子の表面活性が抑制され、脱バインダーの低温燃焼又は急激な熱分解を抑制することができる。ニッケル粒子における酸化ニッケルの被膜が還元されて存在しなくなると、ニッケル粒子の焼結が開始される。
本実施の形態のニッケル粒子において、有機物の被膜は、ニッケル前駆体(ニッケル塩)又は有機溶媒に由来する。有機物の被膜は、ニッケル粒子の分散性向上に寄与する。有機物の被膜を有することによって、特に非極性溶剤への分散性が向上する。熱収縮特性の改善と分散性の改善を両立させる為には、ニッケル粒子が含有する酸素と有機物に由来する炭素とを適切な量で存在させることが重要である。炭素元素の含有量は、ニッケル粒子に対し、好ましくは0.1〜1.5質量%の範囲内であり、より好ましくは0.5〜1.0質量%の範囲内である。この炭素元素の量は、ニッケル粒子の元素分析により確認することができる。炭素元素は、ニッケル粒子の表面に存在する有機化合物に由来するものであるが、炭素元素の一部がニッケル粒子の内部に存在していてもよい。ニッケル粒子の表面に存在する炭素元素は、ニッケル粒子の凝集を抑制し、分散性向上に寄与し、ニッケル粒子に含有する酸素元素の還元を促進させる。従って、炭素元素が0.1質量%未満では、ニッケル粒子の凝集が生じやすくなり、1.5質量%を超えると、焼結時に炭化して残炭となり、これがガス化することによって粒子の膨れの原因となる。
次に、本実施の形態のニッケル粒子の製造方法について説明する。
A)金属ニッケルの前駆体であるニッケル塩を有機溶媒に溶解して、ニッケル錯体を生成させた錯化反応液を得る工程、
B)錯化反応液を、マイクロ波照射によって加熱して、ニッケル粒子のスラリーを得る工程、
C)ニッケル粒子のスラリーからニッケル粒子を単離する工程、
を具える方法が好ましい。
ニッケル前駆体(ニッケル塩)としては、例えば塩化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、炭酸ニッケル、カルボン酸ニッケル、Ni(acac)2(β−ジケトナト錯体)、ステアリン酸ニッケル等を挙げることができる。ここで、カルボン酸ニッケルとしては、例えば炭素数が1〜12のカルボン酸ニッケルを用いることができる。カルボン酸ニッケルは、カルボキシ基が1つのモノカルボン酸であってもよく、カルボキシ基が2つ以上のカルボン酸であってもよい。また、非環式カルボン酸であってもよく、環式カルボン酸であってもよい。好ましいカルボン酸ニッケルとして、例えばギ酸ニッケル、酢酸ニッケル等を用いることができる。
本工程では、ニッケル塩と有機溶媒との錯形成反応によって得られた錯化反応液を、マイクロ波照射によって加熱し、錯化反応液中のニッケルイオンを還元して金属ニッケルを生成させ、ニッケル粒子のスラリーを得る。マイクロ波照射による錯化反応液の加熱は、該反応液内の均一加熱を可能とし、かつエネルギーを媒体に直接与えることができるため、急速加熱を行なうことができる。これにより、反応液全体を所望の温度に均一にすることができ、ニッケル錯体(又はニッケルイオン)の還元、核生成、核成長各々の過程を溶液全体において同時に生じさせ、結果として粒子径分布の狭い単分散な粒子を短時間で容易に製造することができる。特に、走査型電子顕微鏡観察による平均粒子径が30〜180nmの範囲内にあるニッケル粒子を製造するのに好適である。マイクロ波照射によって加熱する温度は、得られるニッケル粒子の形状のばらつきを抑制するという観点から、好ましくは170℃以上、より好ましくは180℃以上とすることがよい。加熱温度の上限は特にないが、処理を効率的に行う観点からは例えば270℃以下とすることが好適である。なお、マイクロ波の使用波長は、特に限定するものではなく、例えば2.45GHzである。
本工程では、マイクロ波照射によって加熱して得られるニッケル粒子スラリーを、例えば、静置分離し、上澄み液を取り除いた後、適当な溶媒を用いて洗浄し、乾燥することで、ニッケル粒子が得られる。
上記工程A〜Cによって製造したニッケル粒子に対し、プラズマ処理による表面改質を行うこともできる。ニッケル粒子のプラズマ処理は、プラズマ生成用ガスと、酸素含有ガスを含む処理ガスを、ニッケル粒子が収容された処理容器内に導入し、好ましくは大気圧でグロー放電を発生させることにより行うことができる。大気圧グロー放電を利用することによって、ニッケル粒子に対し、低温で、均一かつマイルドなプラズマ処理を行うことができる。また、大気圧グロー放電では、処理装置に真空設備を必要としないため、簡素な構成でプラズマ処理を実施できる。また、大気圧グロー放電では、ニッケル粒子を処理容器内に供給・排出しながらプラズマ処理を行う連続処理も可能になる。なお、ニッケル粒子のプラズマ処理は、減圧状態であっても、加圧状態であっても可能であり、減圧状態でのプラズマ処理の場合、圧力の下限値を0.1Paとすることが好ましい。この下限値を下回る場合、酸素濃度が極端に低くなり、ニッケル粒子の表面に所望の酸化被膜を形成することが困難となる。一方、加圧状態でのプラズマ処理の場合、圧力の上限値を10気圧(1MPa)とすることが好ましい。この上限値を上回る場合、大電力電源が必要になり、設備コストが著しく高くなるため好ましくない。
SEM(走査電子顕微鏡)により試料の写真を撮影して、その中から無作為に200個を抽出してそれぞれの粒子径を求め、平均粒子径を算出した。具体的には、抽出した微粒子のそれぞれについて面積を求め、真球に換算したときの粒子径を個数基準として一次粒子の平均粒子径とした。
ニッケル粒子を5Φ×2mmの円柱状成型器に入れ、プレス成型して得られるペレット状の成型体を作製し、窒素ガス(水素ガス3%含有)の雰囲気下で、熱機械分析(TMA)および熱重量分析(TGA)を行った。また、熱機械分析装置(TMA)により測定される5%熱収縮の温度を5%熱収縮温度とした。
ニッケル粒子の分散性は、DHT(ジヒドロターピネオール)溶媒でのエチルセルロースをバインダーとしたペースト化を行い、ガラスに塗布して表面平滑性(平均粗さRa)で評価した。
ニッケル粒子の熱収縮特性は、5%熱収縮率の温度で評価した。
測定には、電子科学株式会社 WA1000S/W型を使用した。測定条件は、SCANモード測定(スキャン幅 1〜200amu)、測定温度は50〜600℃(昇温速度 30℃/min)として、200〜500℃での留出されるガス量を測定した。
<溶解工程>
酢酸ニッケル四水和物120.0g(480mmmol)にオレイルアミン690g(2.58mol)を加え、窒素フロー下で140℃、20分間加熱することによって酢酸ニッケルをオレイルアミンに溶解させた。
次いで、その溶液にマイクロ波を照射して250℃まで加熱し、その温度を5分保持することによってニッケル粒子スラリーを得た。
ニッケル粒子スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンとメタノールを用いて3回洗浄し、70℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥してニッケル粒子を得た。
図1に示したプラズマ処理装置1と同様の構成の処理装置を用い、上記平均粒径140nmのニッケル粒子を10g装置内に投入した後、Heガスを5L/min、O2ガスを0.2L/minの流量で混合して供給し、装置内を十分に混合ガスで置換した。そして、200Wの出力で5分間、大気圧グロー放電によりプラズマを発生させ、ニッケル粒子に対してプラズマ処理(プラズマ照射時間;5分間、放射温度計によるニッケル粒子の表面温度;25〜130℃)を行った。その後、プラズマ処理を間欠的に5回(プラズマ照射時間の合計;25分間、放射温度計によるニッケル粒子の表面温度;30〜150℃)もしくは10回(プラズマ照射時間の合計;50分間、放射温度計によるニッケル粒子の表面温度;30〜150℃)繰り返すことで表面改質されたニッケル粒子(SEMによる平均粒子径;140nm、BET値;5.8m2/g、C;0.33%、O;0.8%)を得た。
実施例1において、酢酸ニッケル四水和物60.0g(241mmmol)にした以外は、実施例1と同様な処理をして表面改質されたニッケル粒子(SEMによる平均粒子径;95nm、BET値;8.3m2/g、C;0.68%、O;1.6%)を得た。
実施例1において、酢酸ニッケル四水和物30.0g(120mmmol)にした以外は実施例1と同様な処理をして表面改質されたニッケル粒子(SEMによる平均粒子径;62nm、BET値;10.4m2/g、C;0.87%、O;1.9%)を得た。
実施例1において、酢酸ニッケル四水和物60.0g(241mmmol)にし、硝酸銀0.11g(0.65mmol)を添加した以下は実施例1と同様な処理をして表面改質されたニッケル粒子(SEMによる平均粒子径;38nm、BET値;17.4m2/g、C;1.12%、O;2.9%)を得た。
実施例1の溶解工程から洗浄乾燥工程までを行って得られたニッケル粒子を水溶媒で加熱1時間還流して、150℃で24時間真空乾燥した。粒子径は140nmを維持していた。BET値;5.9m2/g、C;0.30%、O;1.3%であった。
実施例2の溶解〜洗浄乾燥で得られた粒子を水と60%水加ヒドラジンを2:8で混合した液中で70℃で3時間加温し、水洗して、150℃で24時間真空乾燥した。粒子径は95nmを維持していた。BET値;8.2m2/g、C;0.60%、O;0.7%であった。
実施例2の溶解〜洗浄乾燥で得られた粒子を220℃で6時間窒素下で加熱した。粒子径は95nmを維持していた。BET値;8.1m2/g、C;0.42%、O;1.0%であった。
塩化ニッケル水溶液にヒドラジン水和物を添加し、その後水酸化ナトリウムを添加し、するという公知の方法を用いて平均粒子径;143nm、BET値;5.4m2/g、C;0.03%、O;1.0%)を得た。
比較例4の粒子を220℃で6時間、窒素下で加熱した。粒子径は143nmを維持していた。
Claims (2)
- 酸化ニッケル及び有機物が被覆したニッケル粒子であって、
真空下の200〜500℃の温度領域における昇温脱離質量スペクトル(TPD−MSスペクトル)における、二酸化炭素の発生モル数に対する水の発生モル数の比(水/二酸化炭素)が、1以上5以下の範囲内であり、
前記昇温脱離質量スペクトルにおける水の発生量が、ニッケル元素1g当たり、1.0×1020〜5.0×1020個の範囲内であるとともに、赤外線吸収スペクトルにおける波数が3600cm −1 以上3700cm −1 以下の範囲内において吸収ピークを有しないニッケル粒子。 - 平均粒子径が30nm以上180nm以下の範囲内であり、粒子径の変動係数(標準偏差/平均粒子径)が0.2以下である請求項1に記載のニッケル粒子。
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