特許文献1に記載のエアー敷物においては、使用者が敷物に仰臥した際には多数の小気室で使用者の体を支えるところ、使用者からの荷重及び体の形状に追従して小気室が押されて変形する。このとき、隣接する小気室を相互に繋げている通気路部分が小気室の変形により折れ曲がる等して閉塞してしまうことがあり、小気室間の流体の移動が妨げられることがあった。そのため、部分的にエアー敷物の内圧が上昇して接触圧が高くなったり、体圧分散が不安定になるために使用感が損なわれることがあった。この傾向は、特に流体の充填量を少なくして低膨張状態で使用する場合に顕著であった。
また、特許文献1に記載のエアー敷物を複数枚積層して使用した場合においては、各層が部分的にしか固定されていないため、使用中に各層が位置ずれするなどして、体圧分散が不安定となり、使用感が損なわれることがあった。
本発明は上述した点に鑑み案出されたもので、その目的は、小気室間の流体の移動が妨げられることによる敷物内部の部分的な内圧の上昇を防ぎ、安定した体圧分散と使用感を提供することのできる新たな構造の流体充填敷物を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の流体充填敷物は、第1の表層シート、少なくとも1つの中間シート及び第2の表層シートがこの順序で積層されるとともに外周部が密封されて構成されており、第1及び第2の表層シートの各々と少なくとも1つの中間シートとの間に流体が充填されて使用される流体充填敷物であって、第1及び第2の表層シートの各々と少なくとも1つの中間シートとは、互いに連結された多角形形状を有する接着パターンで接着されており、接着パターンは、多角形形状の頂点に対応する部分に未接着部を有しており、多角形形状の辺に対応する部分に線状の接着部を有しており、接着パターンの接着により、線状の接着部で囲まれた部分に流体セルがそれぞれ形成されると共に、未接着部に、隣接する流体セルを相互に流体連通する連通部がそれぞれ形成され、第1の表層シート及び少なくとも1つの中間シート間に形成された連通部は、第2の表層シート及び少なくとも1つの中間シート間に形成された流体セルと対向する位置に配置されており、第2の表層シート及び少なくとも1つの中間シート間に形成された連通部は、第1の表層シート及び少なくとも1つの中間シート間に形成された流体セルと対向する位置に配置されている。
第1の表層シート及び中間シートは互いに連結された多角形形状を有する接着パターンで接着され、この第1の表層シートと中間シートとの間に流体が充填されることにより第1の流体室が形成される。この接着パターンは、多角形形状の頂点に対応する部分に未接着部を有しており、多角形形状の辺に対応する部分に線状の接着部を有している。よって、第1の流体室には、線状の接着部で囲まれた領域に第1の流体セルが形成され、未接着部に、隣接する第1の流体セルを相互に流体連通する第1の連通部が形成される。同様に、第2の表層シート及び中間シートも互いに連結された多角形形状を有する接着パターンで接着され、この第2の表層シートと中間シートとの間に流体が充填されることにより第2の流体室が形成される。この接着パターンも上述した構成と同様であり、よって、第2の流体室には、線状の接着部で囲まれた領域に第2の流体セルが形成され、未接着部に、隣接する第2の流体セルを相互に流体連通する第2の連通部が形成される。この第1の連通部は、第2の流体セルと対向する位置に配置され、第2の連通部も、第1の流体セルと対向する位置に配置されている。これにより、使用者の荷重を受けて、一方の流体室側の流体セルが変形した場合においても、変形した流体セルに繋がっている連通部は、対向しているもう一方の流体セルに支持されるため、屈曲し難く閉塞し難い。また、敷物の流体充填率を高めて流体セルを高膨張状態とした場合や、使用者の荷重を受けて一部の流体セルが高膨張状態となった場合においても、流体セルの膨張に伴う連通部の収縮や屈曲が、その対向する流体セル又は隣接する流体セルを構成する中間シートの張り作用によって抑制されるため、連通部の閉塞が生じにくい。それゆえ、流体室における流体セル間の流体の移動は妨げられることがないため、接触圧が高くなったり、体圧分散が不安定にならずに、安定した使用感のある流体充填敷物が得られる。
また、本発明において接着パターンは、線状の接着部で構成されているため、使用者の荷重がかかった際には、線状の接着部に沿って接着部周縁の表層シートが立ち上るため、線状の接着部は内部に入り込んで表層シート上に表れなくなるか、表層シート上に表れる接着部の接着幅は細く狭められる。それゆえ、表層シート上の接着部に使用者の体の突出部位が入り込むことがなく、硬く、体圧分散効果が小さい接着部に使用者の体が接触し難くなるため、より快適な使用感を得ることができる。また、本発明の流体充填敷物は、連続した接着パターンによって流体室があらかじめ複数の流体セルに部分的に区切られているため、敷物に折れ筋等の不均一な皺が生じ難く、充填する流体の量が少ない場合においても、敷物自体に適度な張りがあり、取り扱いがしやすい。
また、本発明の流体充填敷物は、第1の表層シート、少なくとも1つの中間シート及び第2の表層シートがこの順序で積層されるとともに外周部が密封されて構成されており、第1及び第2の表層シートの各々と少なくとも1つの中間シートとの間に流体が充填されて使用される流体充填敷物であって、第1及び第2の表層シートの各々と少なくとも1つの中間シートとは、互いに連結された多角形形状を有する接着パターンで接着されており、接着パターンは、多角形形状の頂点に対応する部分に未接着部を有しており、多角形形状の辺に対応する部分に線状の接着部を有しており、接着パターンの接着により、線状の接着部で囲まれた部分に流体セルがそれぞれ形成されると共に、未接着部に、隣接する流体セルを相互に流体連通する連通部がそれぞれ形成され、第1の表層シート及び少なくとも1つの中間シート間に形成された流体セルは、第2の表層シート及び少なくとも1つの中間シート間に形成された連通部と対向する位置に配置されており、第2の表層シート及び少なくとも1つの中間シート間に形成された流体セルは、第1の表層シート及び少なくとも1つの中間シート間に形成された連通部と対向する位置に配置されている。
第1の表層シート及び中間シートは互いに連結された多角形形状を有する接着パターンで接着され、この第1の表層シートと中間シートとの間には流体が充填されることにより第1の流体室が形成される。この接着パターンは、多角形形状の頂点に対応する部分に未接着部を有しており、多角形形状の辺に対応する部分に線状の接着部を有している。よって、第1の流体室には、線状の接着部で囲まれた領域に第1の流体セルが形成され、未接着部に隣接する第1の流体セルを相互に流体連通する第1の連通部が形成される。同様に、第2の表層シート及び中間シートも互いに連結された多角形形状を有する接着パターンで接着され、この第2の表層シートと中間シートとの間に流体が充填されることにより第2の流体室が形成される。この接着パターンも上述した構成と同様であり、よって、第2の流体室には、線状の接着部で囲まれた領域に第2の流体セルが形成され、未接着部に隣接する第2の流体セルを相互に流体連通する第2の連通部が形成される。この第1の流体セルは、第2の連通部と対向する位置に配置され、第2の流体セルも、第1の連通部と対向する位置に配置されている。これにより、使用者の荷重を受けて、一方の流体室側の流体セルが変形した場合においても、変形した流体セルに繋がっている連通部に対向するもう一方の流体セルがこの連通部を支持するため、連通部が屈曲し難く閉塞し難い。また、敷物の流体充填率を高めて流体セルを高膨張状態とした場合や、使用者の荷重を受けて一部の流体セルが高膨張状態となった場合においても、流体セルを構成する中間シートの伸張作用によって、膨張した流体セルと対向する連通部又は隣接する連通部の収縮や屈曲が抑制されるため、連通部の閉塞が生じにくい。それゆえ、使用時においても、流体セル間の流体の移動が妨げられることがなく、安定した使用感のある流体充填敷物が得られる。また、本発明において接着パターンは、線状の接着部で構成されているため、使用者の荷重がかかった際には、線状の接着部に沿って接着部周縁の表層シートが立ち上るため、線状の接着部は内部に入り込んで表層シート上に表れなくなるか、表層シート上に表れる接着部の接着幅は細く狭められる。それゆえ、表層シート上の接着部に使用者の体の突出部位が入り込むことがなく、硬く、体圧分散効果が小さい接着部に使用者の体が接触し難くなるため、より快適な使用感を得ることができる。また、本発明の流体充填敷物は、連続した接着パターンによって流体室があらかじめ複数の流体セルに部分的に区切られているため、敷物に折れ筋等の不均一な皺が生じ難く、充填する流体の量が少ない場合においても、敷物自体に適度な張りがあり、取り扱いがしやすい。
また、本発明の流体充填敷物は、接着パターンにおける多角形形状は、角数の異なる多角形形状又は一辺の長さが異なる多角形形状を複数含んでいることも好ましい。これにより、使用者の体部の形状や使用条件に応じた体圧分散性能や使用感を向上させることができる。
また、本発明の流体充填敷物は、第1の表層シート及び少なくとも1つの中間シートを接着する各接着パターンと、第2の表層シート及び少なくとも1つの中間シートを接着する各接着パターンとが互いに異なることも好ましい。これにより、第1の表層シート側と第2の表層シート側とで異なる使用感(具体的には、感触が硬め又は柔らかめ等)を備える流体充填敷物とすることができる。
また、本発明の流体充填敷物は、少なくとも1つの中間シートには少なくとも1つの貫通孔が設けられており、第1の表層シート及び少なくとも1つの中間シート間に充填された流体と、第2の表層シート及び少なくとも1つの中間シート間に充填された流体とは、少なくとも1つの貫通孔を介して流通可能であることも好ましい。これにより、第1の流体室と第2の流体室は連通しているため、いずれか一方の流体室に流体を充填することにより、流体充填敷物全体の流体室に流体を充填することができる。
また、本発明の流体充填敷物は、少なくとも1つの貫通孔が、流体セル内に配置されていることも好ましい。貫通孔が配置された流体セル内は、流体セル以外の部分よりも流体が多く充填された状態であるため、流体セル内では第1の表層シート又は第2の表層シートの各々が貫通孔に接触することがなく、貫通孔が封鎖され難いので、流体の充填時には、貫通孔で連通した流体室間への円滑な流体充填が可能となる。また、使用時には流体が安定して相互の流体室に出入りできるので、安定した使用感を得ることができる。
さらに、本発明の流体充填敷物は、少なくとも1つの中間シートが第1中間シートと第2中間シートとを積層して構成されており、第1の表層シートは第1中間シートと接着され、第2の表層シートは第2中間シートと接着されていることも好ましい。これにより、第1の流体室及び第2の流体室をそれぞれ2枚のシートで形成することができるため、各流体室を別個に製造して重ね合わせるのみで本発明の流体充填敷物が得られる。また、重ね合わせる際に、各流体セル及び各連通部の位置の微調整を行うことができるため、敷物の製造が容易となる。
また、本発明の流体充填敷物は、接着パターンにおける多角形形状の角数は、3〜8であることも好ましい。これにより、接着パターンとして好適な多角形形状が選択される。
また、本発明の流体充填敷物は、接着パターンにおける多角形形状が平行四辺形であることも好ましい。これにより、第1の流体セルと第2の連通部とが対向する位置に確実に配置され、第2の流体セルと第1の連通部とが対向する位置に確実に配置されるため、上述した作用が安定的に得られる。さらに、接着パターンを平行四辺形とすることにより、第1の流体セルを構成する全ての線状の接着部が、第2の流体セルを構成する全ての線状の接着部と平面視交差する位置に配置されるため、第1の流体セルを構成する線状の接着部と第2の流体セルを構成する線状の接着部とが筋交いのように作用し、使用者の体の荷重を安定的に受け止めて支持して底づきし難く、より安定した使用感のある流体充填敷物が得られる。
また、本発明の流体充填敷物は、連通部は、この連通部が対向する流体セルに流体が充填されて膨張した際に、この流体セルのセル高さが最も高くなる部分と対向する位置に配置されていることも好ましい。第1の連通部及び第2の連通部はそれぞれが流体セルに対向するところ、対向する流体セルの膨張時における頂点部分と対向する位置に連通部が配置されることにより、使用者の荷重を受けた際に、対向する流体セルに連通部が支持される作用がより効果的に発揮される。それゆえ、連通部の屈曲等による閉塞がより起こり難い流体充填敷物が得られる。
また、本発明の流体充填敷物は、接着パターンにおける線状の接着部の少なくとも一端に、先端が円弧状の太軸部が形成されていることも好ましい。これにより、線状の接着部の端部にかかる応力が好適に分散され、接着部の端部と表層シートとの境界部分の破損を防止することができる。
また、本発明の流体充填敷物は、第1の表層シート及び少なくとも1つの中間シートとを接着する接着パターンにおける全ての線状の接着部は、第2の表層シート及び少なくとも1つの中間シートとを接着する接着パターンにおける全ての線状の接着部と平面視交差する位置に配置されていることが好ましい。これにより、第1の表層シート側の線状の接着部と第2の表層シート側の線状の接着部とが筋交いのように作用し、使用者の体の荷重を安定的に受け止めて支持するため、底づきし難く、安定感のある流体充填敷物が得られる。加えて、第1の表層シート側の接着部と第2の表層シート側の接着部とが平面視で重なる部分をその交点のみとすることができ、万一使用者がその交点部分に接触しても両接着部が重なるように配置されることにより生じる体圧分散効果が小さい領域を最小限にできるので、より使用感に優れた流体充填敷物が得られる。
また、本発明の流体充填敷物は、第1の表層シート及び少なくとも1つの中間シートとを接着する接着パターンにおける線状の接着部と、第2の表層シート及び少なくとも1つの中間シートとを接着する接着パターンにおける線状の接着部との平面視での交差角度が、90度±30度であることも好ましい。これにより、敷物の長さ方向の向きに横臥した使用者の体の突出部位が線状の接着部に入り込み難くなり、体圧分散性に乏しい線状の接着部と使用者の体が接触し難くなるので、より快適な使用感を得ることができる。なお、線状の接着部が曲線の場合の交差角度は、交点を通る各接着部の接線が交差した角度とする。
また、本発明の敷物、クッション及び枕は、それぞれ、上述の流体充填敷物を用いてなることが好ましい。これにより、好適な利用形態が選択される。
本発明によれば、以下のような優れた効果を有する流体充填敷物を提供することができる。
(1)使用者の体圧分散に優れる複数の流体セルを備え、複数の流体セル間の流体は相互に連通しており、使用時においても内部に充填された流体の移動が妨げられることがないため、安定した使用感と優れた体圧分散作用を有する。
(2)表層シート上に施された接着部に使用者の体の突出部位が入り込み難いため、硬く、体圧分散効果が小さい接着部に使用者の体が接触し難く、より快適な使用感が得られる。
(3)表層シート上に施された接着部により流体室が形成されるため、表層シート上に折れ筋等の不均一な皺が生じることがなく、硬さを感じたり、当たるような部位がなく、寝心地がよい。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態にかかる流体充填敷物1は、積層されたシート外周の周縁部6が密封されて、内部に充填された流体が周縁部6から抜けないように形成されている。また、図2に示すように、第1の実施形態にかかる流体充填敷物は、第1の表層シート2、第1中間シート3a、第2中間シート3b及び第2の表層シート4の4枚の可撓性シートがこの順序で積層されて構成されている。そして、図4に示すように、流体充填敷物1には、第1の表層シート2と第1中間シート3aとの間に流体が充填されて第1の流体室200が形成され、第2の表層シート4と第2中間シート3bとの間にも流体が充填されて第2の流体室400が形成されている。このように、流体充填敷物1は、第1の流体室200と、第2の流体室400の2層の流体室を備えている。
図2〜図4に示すように、第1の表層シート2と第1中間シート3aとは、互いに連結された多角形形状を有する接着パターンで接着されている。接着パターンは、多角形形状の辺に対応する部分に線状の接着部20を有しており、多角形形状の頂点に対応する部分に未接着部200Cを有している。これによって、この第1の表層シート2と第1中間シート3aとの間に流体が充填されて第1の流体室200が形成された際、この流体室200には隣接する4つの接着部20で部分的に囲まれた略菱形状の第1の流体セル200Aと、隣接する流体セルを相互に流体連通する第1の連通部200Bとが形成される(図3及び図4参照)。この連通部200Bは、未接着部200Cを含む領域に形成されるところ、本実施形態においては、図3に示すように、接着パターンにおける隣接する多角形形状の未接着部200Cが互いに対向する部分に連通部200Bが形成されている。この連通部200Bは四方に隣接する流体セル200Aと連通しており、流体室200内の流体が移動できるように構成されている。
同様に、第2の表層シート4と第2中間シート3bとは、互いに連結された多角形形状を有する接着パターンで接着されている。接着パターンは、多角形形状の辺に対応する部分に線状の接着部40を有しており、多角形形状の頂点に対応する部分に未接着部400Cを有している。これによって、この第2の表層シート4と第2中間シート3bとの間に流体が充填されて第2の流体室400が形成された際、この流体室400には隣接する4つの接着部40で部分的に囲まれた略菱形状の第2の流体セル400Aと、隣接する流体セルを相互に流体連通する第2の連通部400Bとが形成される(図3及び図4参照)。また、この連通部400Bは、未接着部400Cを含む領域に形成されるところ、本実施形態においては、図3に示すように、接着パターンにおける隣接する多角形形状の未接着部400Cが互いに対向する部分に連通部400Bが形成されている。この連通部400Bは四方に隣接する流体セル400Aと連通しており、流体室400内の流体が移動できるように構成されている。
図3では、第1の表層シート2側の構成を実線で示し、第2の表層シート4側の構成を破線で示している。この図3に示すように、上述した第1の連通部200Bは、第2の流体セル400Aと対向する位置に配置され、第2の連通部400Bも、第1の流体セル200Aと対向する位置に配置されている。また、本実施形態においては、第1の流体セル200Aは、第2の連通部400Bと対向する位置に配置され、第2の流体セル400Aも、第1の連通部200Bと対向する位置に配置されている。このように接着パターンを配置することにより、図4〜図5に示すように、使用者の荷重を受けて、一方の流体室200又は400の流体セル200A又は400Aが変形した場合においても、変形した流体セル200A又は400Aに直接接続する連通部200B又は400Bは、対向しているもう一方の流体室400又は200の流体セル400A又は200Aに支持されるため、形状が維持されて閉塞し難い。また、流体セル200A又は400Aが膨張したときには、流体セル200A又は400Aを構成する各中間シートの伸張作用によって、対向する連通部400B又は隣接する連通部200Bの収縮や屈曲が抑制されるため、流体セル200A又は400Aを高膨張状態とした場合でも連通部400B又は200Bの閉塞が生じにくい。それゆえ、流体セル間の流体の移動は妨げられることがないため、流体室の接触圧が高くなったり、体圧分散が不安定にならずに、安定した使用感のある流体充填敷物1が得られる。なお、流体充填敷物1としての本発明の効果を損なわない範囲において、連通部200B又は400Bは、その全てが流体セル400A又は200Aと対向する位置に配置されている必要はなく、1つの流体セル200A又は400Aにつき、この流体セルと直接接続されている少なくとも1つの連通部200B又は400Bが他方の流体セル400A又は200Aと対向していればよい。同様に、流体セル200A又は400Aは、その全てが連通部400B又は200Bと対向する位置に配置されている必要はなく、流体セル200A又は400Aは、他方の1つの流体セル400A又は200Aにつき、この流体セルと直接接続されている少なくとも1つの連通部400B又は200Bと対向する位置に配置されていればよい。
また、第1の連通部200Bが第2の流体セル400Aに対向する位置については、第2の流体セル400Aに流体が充填されて膨らんだ際に、この第2の流体セル400Aのセル高さ400H(図4参照)が最も高くなる部分に第1の連通部200Bが対向するように配置されていることが好ましい。他方、第2の連通部400Bが第1の流体セル200Aに対向する位置については、第1の流体セル200Aに流体が充填されて膨らんだ際に、この第1の流体セル200Aのセル高さ200H(図4参照)が最も高くなる部分に第2の連通部400Bが対向するように配置されていることが好ましい。これにより、使用者の荷重を受けた際に、連通部200B又は400Bが対向している流体セル400A又は200Aに支持される作用がさらに効果的に発揮されるので、連通部200B又は400Bの屈曲等による閉塞がより起こり難い流体充填敷物が得られる。
図6〜図9に接着パターンのその他の例を示す。図6〜図9では、本実施形態の接着パターンを示す図3と同様に、第1の表層シート2側の構成を実線で示し、第2の表層シート4側の構成を破線で示しており、図の左右方向が流体充填敷物の長さ方向Lに対応し、図の上下方向が流体充填敷物の幅方向Wに対応している。これらの図に示されている接着パターンは、敷物全体に連続して配置させることも、少なくとも敷物の一部に部分的に配置させることも可能である。
図6〜図9に示されるような、さまざまな接着パターンを選択することによって、流体セル200A及び400A、未接着部200C及び400C、そして、未接着部200C及び400Cを含む領域からなる連通部200B及び400Bの構成はそれぞれ変化する。例えば、図6(a)に示す第1の表層シート2と第1中間シート3aに施された接着パターンにおいては、流体セル200Aは台形状に形成されており、未接着部200Cは線状及びL字状の部分(台形の頂点に対応する部分)であり、連通部200Bは、隣接する多角形形状の未接着部200Cが互いに対向する部分に略菱形状に形成されている。また、接着パターンの端部においては、連通部200Bは三角形状に形成されている。さらに、図7(a)に示す接着パターンにおいては、流体セル200Aは六角形状に形成されており、未接着部200Cはく字状の部分(六角形の頂点に対応する部分)であり、連通部200Bは、隣接する多角形形状の未接着部200Cが互いに対向する部分に略三角形状に形成されている。また、未接着部200Cは、接着パターンにおける隣接する一方の接着部20の端部と、その端部に最も近接しているもう一方の接着部20の端部以外の位置に形成されてもよい。具体的には、例えば、図9(a)において第1の表層シート2と第1中間シート3aに施された接着パターンをみると、この接着パターンにおける未接着部200Cには、多角形形状の頂点に対応する部分ではあるが、隣接する一方の接着部20の端部と、その端部に最も近接しているもう一方の接着部20の線分中央付近に形成されているものが含まれている。このような未接着部200Cを含む領域にも連通部200Bが形成され、各連通部200Bは隣接する流体セル200Aを相互に流体連通させる作用を有している。
図3に示すように、本実施形態にかかる流体充填敷物1においては、第1の表層シート2と第1中間シート3aとは、互いに連結された菱形形状(四角形)を有する接着パターンで接着され、菱形の頂点に対応する部分に未接着部200Cを有しており、第2の表層シート4と第2中間シート3bの接着パターンも同様である。このように、第1の表層シート2側と第2の表層シート4側とで同じ接着パターン又は対称な接着パターンを選択してもよいが(図6、図7及び図9(c)〜(e)参照)、図8及び図9(a)〜(b)に示すように、第1の表層シート2側と第2の表層シート4側とで異なるパターンを選択することも可能である。これにより、第1の表層シート2側と第2の表層シート4側とで異なる使用感を備える流体充填敷物を得ることができる。例えば、図8(d)に示すように、第1の表層シート2側の接着パターンを連続した三角形形状とし、第2の表層シート4側の接着パターンを前記三角形形状よりも面積が大きい六角形形状を連続させた場合、第2の流体セル400Aよりも第1の流体セル200Aの方がセル容積が小さいため、第1の表層シート2側の方に張りがあり、やや硬めの感触に感じられる。このように、使用感を接着パターンで容易に調整することができる。また、第1の表層シート2側と第2の表層シート4側とで異なるパターン構成とすることで、両面を好みに応じて選択して使用すること(リバーシブル使用)もできる。
また、図2及び図3に示すように、本実施形態にかかる接着パターンは、上述した第1の表層シート2側の接着部20と第2の表層シート4側の接着部40とは、平面視交差するように配置される。図3では、第1の表層シート2側の接着部20を実線で、第2の表層シート4側の接着部40を破線で示しているが、これらの接着部20及び40は、平面視交差(流体充填敷物を通常使用するように設置した際に、上から見た状態で交差)するように配置されている。このように接着部を配置することにより、使用者の体の荷重を安定的に受け止めて支持するため、底づきし難く、安定感のある流体充填敷物が得られる。加えて、第1の表層シート2側の接着部20と第2の表層シート4側の接着部40とが平面視で重なる部分を、その交点のみとすることができるため、万一使用者がその交点部分に接触しても接着部20及び40が平面視で重なるように配置されて形成される、硬く、体圧分散効果が小さい領域を最小限にできるので、より使用感に優れた流体充填敷物が得られる。さらに、介護用の流体充填敷物として、流体の充填率を小さめにして使用者と接する面積(受圧面積)を大きくして使用する場合においては、褥瘡の発生を防ぐ効果も有する。一例として、図6、図7(b)〜(e)及び図8〜図9に示す各接着パターンの接着部20及び40も平面視交差するように配置されており、さまざまな接着パターンが選択され得る。なお、接着パターンによっては、図7(b)、図8(e)〜(f)及び図9(c)〜(e)に示すように他方の接着部と交差しない接着部20及び40があってもよい。
また、図3に示す本実施形態においては、第1の表層シート2側の接着部20と第2の表層シート4側の接着部40との平面視での交差角度αは略80度であるところ、平面視で交差する接着部が互いに近接しにくくなる観点から、交差角度αは90度±30度であることが好ましく、90度±20度であることがより好ましい。この範囲とすることにより、荷重に対する安定した支持効果が発揮されやすく、より敷物の底づきを防ぐことができる。なお、接着部が曲線の場合の交差角度αは、交点を通る各接着部の接線が交差した角度とする。さらに、本実施形態においては、第1の表層シート2側の接着部20は、敷物の長さ方向Lに対する鋭角の角度20θが略50度で傾斜するように配置されているところ、この傾斜角度20θは45度±25度であることが好ましく、45度±10度がより好ましく、45度±5度で傾斜するように配置されていることがさらに好ましい。これにより、敷物の長さ方向Lの向きに横臥した使用者の体の突出部位が線状の接着部20に入り込み難くなり、体圧分散性に乏しい接着部20又は40と接触し難くなるので、より快適な使用感を得ることができる。なお、接着部が曲線の場合には、接着部の長さの中点における接線の傾斜角度とする。
図3に示すように、隣接する接着部20で囲まれた領域には流体セル200Aが形成されているが、接着部20の敷物の長さ方向Lに対する鋭角の角度20θを調整することにより、流体セル200Aの長さ方向Lと幅方向Wの長さの比率を変化させて、一定方向への屈曲性を有する流体充填敷物を得ることができる。例えば、図3に示す本実施形態にかかる接着部20の配置パターンにおいては、傾斜角度20θを45度よりも大きくすることによって、流体セル200Aの形状が、流体充填敷物の幅方向Wにおける最大長さ200Wよりも、流体充填敷物の長さ方向Lにおける最大長さ200Lの方が短くなるように構成されている。このように構成することにより、流体充填敷物1がその長さ方向Lに対して屈曲し易くなるので、背上げ機能付きベッド等を用いて流体充填敷物1を背上げする際に、容易に敷物の湾曲が誘導されるため、背上げ角度に好適に追従することができる。また、傾斜角度20θを45度よりも小さくすることによって、流体セル200Aの形状が、流体充填敷物の幅方向Wにおける最大長さ200Wよりも、流体充填敷物の長さ方向Lにおける最大長さ200Lの方が長くなるように構成される。それにより、長さ方向Lに対して屈曲し難く、幅方向Wに屈曲し易い流体充填敷物が得られる。なお、連通部200Bの長さを流体充填敷物の長さ方向Lと幅方向Wとで異ならせることによって、流体セル200Aの形状として、幅方向Wにおける流体セル200Aの最大長さ200Wと、長さ方向Lにおける流体セル200Aの最大長さ200Lとの比率を変えることもできる。
また、図9に示すように、少なくとも一方の表層シート2又は4側の接着パターンとして、角数の異なる多角形形状又は一辺の長さが異なる多角形形状を複数備えた接着パターンを選択することも可能である。これにより、使用者の体部形状や、使用者の部位ごとの荷重分布等の使用条件に応じて、好適なセル形状とすることができるので、体圧分散性能や使用感を向上させることができる。
さらに、本実施形態及び図6〜図9に示すように、接着パターンにおける多角形形状の角数は、3〜8であることが好ましく、3〜6であることがより好ましい。接着パターンにおける多角形形状は各流体室の流体セルの形状を構成するところ、使用者の体をできるだけ多くの数の流体セルで支持して体圧分散を好適とする流体セルの形状とすることが好ましい。具体的には、3角形〜8角形が好ましく、単独形状または他形状との組み合わせで様々な流体セル群を設計しやすい3角形〜6角形がより好ましい。
流体セルの形状については、第1の表層シート2側の接着パターンを4角形とすることがさらに好ましい。このとき、第2の表層シート4側の接着パターンとして4角形〜6角形のいずれかを選択して組合せることによって、全ての第1の流体セル200Aと全ての第2の連通部400Bとが対向する位置に配置され、全ての第2の流体セル400Aと全ての第1の連通部200Bとが対向する位置に配置された構成とすることができるので、連通部が屈曲し難く閉塞し難い。それゆえ、使用時において、流体セル間の流体の移動が妨げられることがなく、接触圧が高くなったり、体圧分散が不安定にならずに、体圧分散性や使用感がより安定した流体充填敷物とすることができる。また、第2の表層シート4側の接着パターンも4角形とした組合せの場合には、第1の流体セル200Aを構成する全ての接着部20は、第2の流体セル400Aを構成する全ての接着部40と平面視交差するため、使用者の体の荷重を安定的に受け止め、支持することができる。第1の表層シート2側の接着パターン及び第2の表層シート4側の接着パターンを共に4角形とした場合において、さらに好ましい形態としては、第1の表層シート2側の接着パターンを平行四辺形(菱形、正方形及び長方形を含む)とすることが挙げられる。これにより、流体を充填した際、流体セル200Aは平行四辺形の対角線を軸に略対称に膨らんだ形状を呈するため、使用者をより安定して支持することができる。そして、特に好ましい形態としては、第1の表層シート2側の接着パターンと第2の表層シート4側の接着パターンとを同一の平行四辺形とする組合せとすることが挙げられる。これによって、図4に示すように、全ての第1の流体セル200Aのセル高さ200Hが最も高くなる部分に全ての第2の連通部400Bが対向して配置され、全ての第2の流体セル400Aのセル高さ400Hが最も高くなる部分に全ての第1の連通部200Bが対向して配置されるので、使用者の荷重を受けた際に、連通部200B又は400Bがそれぞれ対向している流体セル400A又は200Aに支持される作用が最も効果的に発揮され、連通部200B又は400Bの屈曲等による閉塞がより起こり難くできる。加えて、第1の表層シート2側の全ての接着部20の長さ方向の中点と、第2の表層シート4側の全ての接着部40の長さ方向の中点とが交点となって、全ての接着部20と全ての接着部40が平面視交差するため、さらに使用者の体の荷重をより安定的に受け止め、支持することができる。それゆえ、底づきし難く、体圧分散性能と使用感が向上するといった作用が最大限に発揮される特に好適な流体充填敷物が得られる。なお、特許文献1のエアー敷物の構成においては、接着パターンにおける多角形形状の角数を4とし、多角形形状を四角形状(格子状)とした場合には、流体セルの膨張に伴い連通部が収縮又は屈曲して閉塞しやすく、連通部を介した通気が困難となるが、本実施形態の構成では、流体セルが膨張したときに、流体セルを構成する中間シートの伸張作用によって、膨張した流体セルと対向する連通部又は隣接する連通部の収縮や屈曲が抑制される。それゆえ、連通部の閉塞が生じにくく、多角形形状の角数を4としても流体室内における流体の安定した移動が実現できる。
接着部20の端部の好ましい形状の一例として、図2及び図3に示すように、本実施形態にかかる第1の表層シート2側の接着部20は、その端部21が円弧状になっており、それゆえ、接着部20の端部21にかかる応力が好適に分散され、接着部20の端部21と第1の表層シート2との境界部分の破損を防止することができる。また、本実施形態においては、接着部20は、その端部21側が徐々に太軸となる綿棒形状に形成されており、端部21が大きな応力にも対応できるように設計されている。線状の接着部20の長さ20aは、特に限定されず、接着部の配置パターンや用途に応じて適宜設定できる。例えば、全ての線状の接着部20の長さ20aと線状の接着部40の長さ40aの長さが同じ長さでもよいし、図8(d)〜(f)や図9(b)のように、第1の表層シート2側の接着部20と第2の表層シート4側の接着部40との長さを異ならせたり、図6(a)、(d)及び(e)のように、同じ面内で接着部の長さを異ならせてもよい。また、接着部の線幅20bについては、使用時に体圧分散効果が小さい部分をできるだけ生じさせず、かつ、第1の表層シート2と第1中間シート3aとを確実に接着させる観点から、2〜10mmであることが好ましく、2〜8mmであることがより好ましい。本実施形態における線状の接着部20は、マットレスの場合の一例として、全体の長さ20aが80mm、中央部分の線幅20bが3mm、端部21の最大線幅は7mmで形成されている。
第1の表層シート2と第1中間シート3aとを接着する接着部20を上述のように形成することにより、図4〜図5に示すように、本実施形態にかかる敷物1に使用者が横たわる等して荷重が加えられた際、第1の流体室200の流体セル200Aは押しつぶされて変形するところ、その流体セル200Aを形成する線状の接着部20に沿って、接着部20の周縁近傍の第1の表層シート2が立ち上るため、線状の接着部20は内部に入り込んで第1の表層シート2の表面上には表れなくなるか、第1の表層シート2上に表れる接着部20の接着幅20bは細く狭められる。また、線状の接着部20によって流体セル200Aが形成されているため、使用時に流体室200の流体セル200Aが押しつぶされた場合においても、接着部20に沿って流体セル200Aが変形するのみであり、不均一な硬い折れ筋等の皺は生じ難い。それゆえ、流体充填敷物1の接着部20に使用者の体の突出部位が入り込み難く、体圧分散性に乏しい接着部20と接触し難くなるので、より快適な使用感を得ることができる。さらに、介護用の敷物として使用する場合には、褥瘡が発生することを防ぐことができる。
他方、第2の表層シート4側に施された線状の接着部40についても、本実施形態においては、上述した第1の表層シート2側の接着部20と同様の構成で形成されている。第2の表層シート4の接着部40の構成に関するその他の説明は、上述した第1の表層シート2の接着部20と同様であり、その作用効果も同様である。
図2及び図3に示すように、本実施形態にかかる流体充填敷物1においては、第1の表層シート2側の接着部20と第2の表層シート4側の接着部40とは同じ綿棒形状で形成されているが、接着部20と接着部40とは異なる形状の接着部から構成されていてもよい。また、第1の表層シート2側の接着部20又は第2の表層シート4側の接着部40として、複数の異なる形状等の接着部を選択することも可能である。図10(a)〜(g)に接着部20及び40の他の形状の例を示す。本実施形態においては、図10(a)の形状を接着部20及び40として採用しているが、図10に示されるような様々な形状や、端部が多角形状、または端部の両角のみに曲率を有する形状などを選択することができる。線状の接着部20及び40には、図10(a)〜(e)に示されるような直線状のもののほか、円弧状・波状・S字状等の曲線状(図9(f)参照)、その他ジグザグ線状等、くの字状(図10(g)参照)も含まれる。また、線状の接着部20及び40としては、同じ形状であっても、全体の長さや大きさが異なるものを組み合わせたり、曲線状、ジグザグ状、線状など、複数の異なる形状のものを組み合わせて敷物の部位毎に配置してもよい。
本実施形態にかかる流体充填敷物1を構成する可撓性シート、すなわち、第1の表層シート2、第1中間シート3a、第2中間シート3b及び第2の表層シート4は、流体を通さない非通気性シートで形成される。これらの可撓性シートの素材としては、特に限定されないが、線状の接着部20及び40によるシート同士の接着を溶着により行うことができる観点から、熱可塑性合成樹脂フィルムが好ましく、柔軟性と接着性の観点からウレタンフィルムがより好適である。これにより、接着部20及び40によるシート同士の接着を高周波溶着、熱溶着、レーザー溶着又は超音波溶着等の溶着により容易に行うことができる。なお、上記接着には、接着剤による接着接合も含まれる。本実施形態にかかる流体充填敷物1は、第1の表層シート2と第1中間シート3aとを所定の接着パターンで接着したものと、第2中間シート3bと第2の表層シート4とを所定の接着パターンで接着したものとを積層させ、シート周縁部6を溶着することにより概略製造され得る。
本実施形態にかかる流体充填敷物1においては、図2に示すように、中間シート3を構成する第1中間シート3aと第2中間シート3bとを貫通する貫通孔5が複数個形成されており、貫通孔5は、その孔周縁部が溶着されて第1中間シート3aと第2中間シート3bとを接着している。それゆえ、第1の流体室200と第2の流体室400とは、この貫通孔5を介して連通しており、第1中間シート3aと第2中間シート3bとの間には流体は充填されないように構成されている。また、貫通孔の位置は、図2に図示した位置に限らず目的に応じて適宜配置できる。例えば、貫通孔が、流体セル内に配置されてもよく、これにより、貫通孔が配置された流体セル内は、流体セル以外の部分よりも流体が多く充填された状態であるため、第1の表層シート又は第2の表層シートの各々が貫通孔に接触し難く、貫通孔が封鎖され難いので、流体の充填時には、貫通孔で連通した流体室間への円滑な流体充填が可能となる。また、使用時には流体が安定して相互の流体室に出入りできるので、安定した使用感を得ることができる。なお、本発明の効果を損なわない範囲において、第1中間シート3aと第2中間シート3bとの間に流体が充填されるように構成することも可能である。
本実施形態では、中間シート3を構成する第1中間シート3aと第2中間シート3bとは同じ形状及び大きさであるが、この2枚の中間シートの形状や大きさを異ならせた構成としてもよい。具体的には、一例として、第1中間シート3aについては、第1の表層シート2及び第2の表層シート4と同じ形状及び大きさとし、第2中間シート3bについては、使用者の腰の部分が接する領域のみに配置して第2の表層シート4と接着積層させてもよい。この場合、第1の表層シート2、第1中間シート3a及び第2の表層シート4についてのみ外周部が一体に封着されて密封形成され、第2の表層シート4は、第2中間シート3bと重なっている部分については第2中間シート3bと接着部40により接着され、他の部分については、第1中間シート3bと接着部40により接着された構成とすることができる。このように中間シート3を構成するシートの形状や大きさ、材質等を適宜選択することによって、部分的に硬さや機能を異ならせた流体室を目的に応じて形成することができ、流体充填敷物に様々な機能を付加することができる。さらに、本実施形態では、中間シート3は第1中間シート3aと第2中間シート3bとの2枚から構成されているが、3枚以上で構成されていてもよい。中間シート3を複数枚で構成する場合には、中間シートのうち少なくとも1枚が第1の表層シート2及び第2の表層シート4と一体的に外周部が封着されて密封形成されていればよく、各中間シートの材質については、すべて同じものを用いてもよいし、異なる材質のものを選択してもよい。さらに、中間シート毎に厚みを異ならせたり、形状を異ならせる構成としてもよい。
本実施形態にかかる流体充填敷物1は、流体給排出部8を通じて流体が充填されて使用され、流体としては、空気等の気体、水等の液体、ゲル等が挙げられるが、取り扱いのし易さより空気が好適に用いられる。流体の充填率は、特に限定されないが、医療介護施設などで用いられるマットレスとして使用する場合には、流体の充填量を少なめにした低膨張状態で用いるのが好ましい。具体的には、流体室200及び400に充填される流体の充填率は、最大充填容積に対して40〜90%(流体室内の流体温度25℃)の範囲とすることが好ましく、60〜85%がより好ましい。このように低膨張状態でこの流体充填敷物1を用いることにより、使用者の身体を低圧で保持することができ、体圧分散を好適な状態に保ち、褥瘡の発生を防止することができる。また、低膨張状態で使用した場合でも、上述した構成によって、連通部200B及び400Bの屈曲等による流体の閉塞が起こり難く、流体室200及び400内での安定した流体の流動が確保されるので、安定感のある低膨張の流体充填敷物1として使用することができる。ここで、最大充填容積とは、流体室内の流体温度が25℃において、流体充填敷物を最大に膨らませた状態での容積をいう。流体の充填容積は、水置換法など公知の方法で計測すればよい。また、設定する充填率とするための流体量(容積)は、設定する充填率を最大充填容積に乗じることにより得られる。また、流体給排出部8は、流体充填敷物1の第1の表層シート2又は第2の表層シート4を貫通する孔で構成されており、流体充填敷物1への流体の充填、封止、排出等の作業は、この流体給排出部8に栓や切替弁、管などの部品を適宜連結して行われる。図1では本実施形態の流体給排出部8として、L字状の管が連結された状態を図示している。また、流体給排出部8は、流体の供給及び排出の共用としてもよいし、供給部と排出部とを別々に設けてもよい。
本発明の流体充填敷物は、流体を充填して封止した状態でそのまま使用することもできるし、流体給排出部8を通じて流体の供給、排気を公知の方法で制御して使用することもできる。また、後述する第2の実施形態のように流体室200及び400を複数の流体充填室に分割して、各流体充填室を個別に給排気制御してもよく、例えば複数の流体室を交互に膨張、収縮させる、いわゆる圧切替方式のエアーマットレスのような制御を適用してもよい。
次に図3〜図5を参照しつつ、本実施形態にかかる流体充填敷物の作用を説明する。図3は、本実施形態にかかる流体充填敷物1の部分拡大図を示しており、図4は、図3に示すA−A線断面図、B−B線断面図及びC−C線断面図を示している。図4に示すように、本実施形態に係る流体充填敷物1は、第1の表層シート2側に第1の流体室200と第2の表層シート4側に第2の流体室400を有し、流体室200には、複数の接着部20によって形成された流体セル200Aと連通部200Bを備えている。これにより、第1の表層シート2上に使用者が横たわる等した際、第1の表層シート2を介して第1の流体室200に荷重がかけられるところ、使用者の体が接している部分の流体セル200Aからその周囲の流体セル200Aへの流体の移動が連通部200Bにより好適に規制され、使用者の体が接している部分の流体セル200Aに一定量の流体を留め、使用者の体を支えるように作用する。このとき、図5に示すように、使用者の荷重を受けて流体セル200Aが変形するところ、変形した流体セル200Aと直接接続する連通部200Bに対向する第2の表層シート4側の流体セル400Aが連通部200Bを下から上側に支持し、連通部200Bが折れ曲がらないように支えるため、連通部200Bの形状が維持され、連通部200Bの閉塞を防ぐことができる。それゆえ、使用時においても、流体セル200A間の流体の移動が妨げられることがなく、安定した使用感のある流体充填敷物1が得られる。同様に、第2の表層シート4側の第2の流体室400には、複数の接着部40によって形成された流体セル400Aと連通部400Bを備えている。これにより、第1の表層シート2上に使用者が横たわる等した際、第1の流体室200を介して第2の流体室400に荷重がかけられるところ、荷重がかかっている流体セル400Aからその周囲の流体セル400Aへの流体の移動が連通部400Bにより好適に規制され、使用者の荷重がかかっている部分の流体セル400Aに一定量の流体を留め、使用者の体を支えるように作用する。このとき、図5に示すように、使用者の荷重を受けて流体セル400Aが変形するところ、変形した流体セル400Aと直接接続する連通部400Bに対向する第1の流体セル200Aが連通部400Bを上から下側に支持し、連通部400Bが折れ曲がらないように押えるため、連通部400Bの形状が維持され、閉塞を防ぐことができる。それゆえ、使用時においても、流体セル400A間の流体の移動が妨げられることがなく、安定した使用感のある流体充填敷物1が得られる。
また、図5(b)及び(c)に示すように、第1の表層シート2に荷重がかかると、第1の流体室200の流体セル200Aは押しつぶされて変形する。この際、流体セル200Aを形成する線状の接着部20に沿って、接着部20の周縁近傍の第1の表層シート2が立ち上り、接着部20は内部に入り込んで第1の表層シート2の表面上には表れなくなるか、第1の表層シート2上に表れる接着部20の接着幅20bは細く狭められる。同様に、第2の流体室400の流体セル400Aも押しつぶされた際に、接着部40の周縁近傍の第2の表層シート4が立ち上るため、線状の接着部40は内部に入り込んで第2の表層シート4の表面上には表れなくなるか、接着部40の接着幅40bは細く狭められる。それゆえ、第1の表層シート2側の接着部20と第2の表層シート4側の接着部40とが同じ位置に配置されている交差部分であっても、体圧分散効果の小さい部分を使用者に接触させないよう作用するので、より快適な使用感が得られ、さらに、医療・介護用途では褥瘡の発生を防ぐことができる。
また、本実施形態にかかる流体充填敷物1には、図1のように敷物1の長さ方向Lの端部に、巻き込み布7を付設してもよい。この巻き込み布7は、流体充填敷物1を寝台(ベッド)や他のマットレス材の上に載置させる場合に、寝台の底板(JIS T9205の各部名称における「ボトム」に該当する部分)や他のマットレス材の裏側に巻き付けることで、背上げなどを行った際に、流体充填敷物1が載置した位置からずれて移動することを防止することができる。なお、図1では、流体充填敷物1の長さ方向の両端に巻き込み布7を付設した形態となっているが、使用時に使用者の頭側となる方のみに付設した形態とすることもできる。また、流体充填敷物1が寝台(ベッド)や他のマットレス材に載置した位置からずれて移動することを防止する手段としては、巻き込み布7の付設に限られず、例えば、流体充填敷物1の周端部に寝台等と固定するためのヒモやバンド等の固定具を付設してもよいし、流体充填敷物1と寝台等とをヒモで結んで固定する場合には、ヒモを通す穴を流体充填敷物1に付設してもよい。
また、本実施形態にかかる流体充填敷物1は、特に限定されないが、例えば、寝具用マットレス、クッション、枕、靴の中敷き等に適用される。また、これらは一般用のみならず、医療介護用の寝具用マットレス、クッション及び枕としても適用される。この場合、褥瘡を防止する効果を高めるために、敷物内部に充填される流体の量を調整して低膨張の状態で使用されることが好ましい。
次に、図11〜図14を参照しつつ本発明の第2の実施形態に係る流体充填敷物11について説明する。
図11に示すように、第2の実施形態に係る流体充填敷物11は、積層されたシートの周縁部16が密封されて、流体充填敷物内部に充填された流体が周縁部16から抜けないような構造となっている。また、本実施形態の流体充填敷物11には、背上げ機能付きベッド等の屈曲に対応させるため、屈曲位置において、敷物の幅方向に一体的にシートを封止して形成された封止部19を2箇所備えている。また、図12に示すように、第2の実施形態にかかる流体充填敷物は、第1の表層シート12、中間シート13及び第2の表層シート14の3枚の可撓性シートがこの順序で積層されて構成されている。図14に示すように、流体充填敷物11には、第1の表層シート12と中間シート13との間に流体が充填されて第1の流体室1200が形成され、第2の表層シート14と中間シート13との間にも流体が充填されて第2の流体室1400が形成されている。このように、本発明の流体充填敷物11は、第1の流体室1200と、第2の流体室1400の2層の流体室を備えている。
図11〜図14に示すように、第1の表層シート12と中間シート13とは、互いに連結された多角形形状を有する接着パターンで接着されている。接着パターンは、多角形形状の辺に対応する部分に線状の接着部120を有しており、多角形形状の頂点に対応する部分に未接着部1200Cを有している。これによって、この第1の表層シート12と中間シート13との間に流体が充填されて第1の流体室1200が形成された際、この流体室1200には隣接する4つの接着部120で部分的に囲まれた略菱形状の第1の流体セル1200Aと、隣接する流体セルを相互に流体連通する第1の連通部1200Bとが形成される(図14参照)。
同様に、第2の表層シート14と中間シート13とは、互いに連結された多角形形状を有する接着パターンで接着されている。接着パターンは、多角形形状の辺に対応する部分に線状の接着部140を有しており、多角形形状の頂点に対応する部分に未接着部1400Cを有している。これによって、この第2の表層シート14と中間シート13との間に流体が充填されて第2の流体室1400が形成された際、この流体室1400には隣接する4つの接着部140で部分的に囲まれた略菱形状の第2の流体セル1400Aと、隣接する流体セルを相互に流体連通する第2の連通部1400Bとが形成される(図14参照)。
図12及び図13に示すように、上述した第1の連通部1200Bは、第2の流体セル1400Aと対向する位置に配置され、第2の連通部1400Bも、第1の流体セル1200Aと対向する位置に配置されている。また、本実施形態においては、第1の流体セル1200Aは、第2の連通部1400Bと対向する位置に配置され、第2の流体セル1400Aも、第1の連通部1200Bと対向する位置に配置されている。このように接着パターンを配置することにより、使用者の荷重を受けて、一方の流体室1200又は1400の流体セル1200A又は1400Aが変形した場合においても、変形した流体セル1200A又は1400Aに直接接続する連通部1200B又は1400Bは、対向しているもう一方の流体室1400又は1200の流体セル1400A又は1200Aに支持されるため、形状が維持されて閉塞し難い。また、流体セル1200A又は1400Aが膨張したときには、流体セル1200A又は1400Aを構成する各中間シートの伸張作用によって、対向する連通部1400B又は隣接する連通部1200Bの収縮や屈曲が抑制されるため、流体セル1200A又は1400Aを高膨張状態とした場合でも連通部の閉塞が生じにくい。それゆえ、流体セル間の流体の移動は妨げられることがないため、流体室の接触圧が高くなったり、体圧分散が不安定にならずに、安定した使用感のある流体充填敷物11が得られる。なお、流体充填敷物11としての本発明の効果を損なわない範囲において、連通部1200B又は1400Bは、その全てが流体セル1400A又は1200Aと対向する位置に配置されている必要はなく、1つの流体セル1200A又は1400Aにつき、この流体セルと直接接続されている少なくとも1つの連通部1200B又は1400Bが他方の流体セル1400A又は1200Aと対向していればよい。同様に、流体セル1200A又は1400Aは、その全てが連通部1400B又は1200Bと対向する位置に配置されている必要はなく、流体セル1200A又は1400Aは、他方の1つの流体セル1400A又は1200Aにつき、この流体セルと直接接続されている少なくとも1つの連通部1400B又は1200Bと対向する位置に配置されていればよい。
また、第1の連通部1200Bが第2の流体セル1400Aに対向する位置については、第2の流体セル1400Aに流体が充填されて膨らんだ際に、この第2の流体セル1400Aのセル高さ1400H(図14参照)が最も高くなる部分に第1の連通部1200Bが対向するように配置されていることが好ましい。他方、第2の連通部1400Bが第1の流体セル1200Aに対向する位置については、第1の流体セル1200Aに流体が充填されて膨らんだ際に、この第1の流体セル1200Aのセル高さ1200H(図14参照)が最も高くなる部分に第2の連通部1400Bが対向するように配置されていることが好ましい。これにより、使用者の荷重を受けた際に、連通部1200B又は1400Bが対向している流体セル1400A又は1200Aに支持される作用がさらに効果的に発揮されるので、連通部1200B又は1400Bの屈曲等による閉塞がより起こり難い流体充填敷物が得られる。
図11に示すように、本実施形態にかかる敷物11は、背上げ機能付きベッド等への追従を容易とするために、背上げ機能付きベッドの屈曲部に対応する位置で、第1の表層シート12、中間シート13及び第2の表層シート14を幅方向Wに一体的に封止して形成された封止部19を2箇所備えている。そのため、流体充填敷物11はその長さ方向Lに3つに分割されており、連通せずに独立する3つの流体充填室から構成されている。各流体充填室は、第1の流体室1200と第2の流体室1400をそれぞれ備えている。この3つの流体充填室の各々には、一例として2つの流体給排出部18が設けられ、流体充填敷物11が所定の敷物高さと流体圧とを維持するように流体量の調整がこれら2つの流体給排出部18を介して行われるように構成されている。また、本実施形態にかかる流体充填敷物11は、図14に示すように、中間シート3を貫通する貫通孔15が複数個形成されており、第1の流体室1200と第2の流体室1400とは、この貫通孔15を介して連通している。なお、本実施形態では封止部19による流体充填室の数を3つとしたが、目的に応じて2つまたは4つ以上としてもよい。
本実施形態にかかる流体充填敷物11を構成する可撓性シート、すなわち、第1の表層シート12、中間シート13及び第2の表層シート14は、流体を通さない非通気性シートで形成されている。本実施形態にかかる流体充填敷物11は、第1の表層シート12と中間シート13とを重ねて複数の接着部120で接着したのち、接着パターンを調整しながら中間シート13と第2の表層シート14とを複数の接着部140で接着し、その後、敷物の幅方向Wに一体的にこれらのシートを溶着させて封止した封止部19を形成し、シート周縁を溶着することにより概略製造され得る。
なお、流体充填敷物11の構成に関するその他の説明は、上述した第1の実施形態の場合と同様であり、その作用効果も同様である。
以下、実施例を用いて、本発明を詳細に説明する。
[実施例1]
以下の手順で流体充填敷物を作製し、マットレスとして用いた際の効果の評価を行った。流体充填敷物の構成は図2に示す第1の実施形態と同様とし、第1の表層シート2、第1中間シート3a、第2中間シート3b及び第2の表層シート4として4枚のウレタンフィルムシート(硬度:JIS A硬度85、厚み:0.25mm、日本ユニポリマー株式会社製品、ユニグランドXN2001)を用いた。まず、第1の表層シート2と第1中間シート3aとを、図15(b)に示す平行四辺形(菱形)が連続した接着パターンをシート全体に展開させてシート全体を溶着により接着した。この接着パターンでは、未接着部領域に形成される連通部200Bが、縦25mm×横25mmの四角形となるように構成されている。なお、図15(b)に示す接着パターンでは、接着部20の傾斜角度θ、すなわち、接着部20の敷物の長さ方向Lに対する鋭角の角度θが45度となるように配置されている。また、接着パターンを構成する線状の接着部20は図15(a)に示す綿棒形状及び寸法であり、具体的には、全体の長さが80mm、端部の長さが21mm、中央部分の長さが38mmであり、中央部分の線幅は3mm、端部の最大線幅は7mmであり、端部の曲率半径はR3.5mmとした。同様にして、第2の表層シート2と第2中間シート3bとを、図15(b)に示す平行四辺形(菱形)が連続した接着パターンをシート全体に展開させてシート全体を溶着により接着した。次に、図15(b)に示すように、上記接着により形成された第1の流体セル200Aと第2の連通部400Bとが対向し、第2の流体セル400Aと第1の連通部200Bとが対向するように、上記接着されたシートを重ね合わせた。このとき、第1の表層シート2側の接着部20と第2の表層シート4側の接着部40との平面視での交差角度αが90度となるように重ね合わせる角度を調整した。次に第1中間シート3a及び第2中間シート3bの対向する位置に孔をそれぞれ開け、第1中間シート3aの孔周縁部と第2中間シート3bの孔周縁部とを溶着させて貫通孔を設け、第1の表層シート2側の流体室200と第2の表層シート4側の流体室400とが連通するようにした。その後、4枚のシートの周縁部を溶着して密封し、長さ2070mm、幅930mmのマットレスを得た。
比較例として、上述した作製手順のうち、接着された第1の表層シート2側のシートと第2の表層シート4側のシートとを重ね合わせる際に、接着部20と接着部40とが平面視で交差せずに、第1の流体セル200Aと第2の流体セル400Aとが対向し、第1の連通部200Bと第2の連通部400Bとが対向するように重ね合わせた以外は上述の作製手順と同様にして比較例のマットレスを得た。
作製した各マットレスに、空気を充填し、各マットレス(カバー無し)に、BMI(Body Mass Index)が18、20、22、24、26及び28の被験者各1名(全6名)を仰臥位で横たわらせ、マットレスの底付きの有無と、寝心地(支持安定性)を官能評価した。なお、評価にあたり、寝心地が優れるとは、流体セルの支持に不安定感を感じない場合とした。また、被験者が横たわったマットレスを目視で観察し、流体セル及び連通部の状態を調べた。各マットレスの空気の充填率は、内圧が3.0kPa(ゲージ圧)の時を最大充填容積として、充填率が80%(内圧0.5kPa;ゲージ圧)である低充填率(低膨張状態)と、充填率が90%(内圧1.5kPa;ゲージ圧)である高充填率(高膨張状態)の2つとし、これら2つの状態について評価した。
この結果、本実施例にかかるマットレスについては、低充填率及び高充填率の両方の状態において、全ての被験者から底付きが無く寝心地に優れる、との評価を得た。また、試験時のマットレスの状態から、本発明の構成とすることにより、実用的な充填率の範囲に亘って、連通部の屈曲や流体セルの膨張に伴う連通部の収縮による空気の流れの閉塞が生じ難いことがわかった。その結果、各流体セルが体を安定して支持するために、寝心地に優れるとともに、底付きがなく、また接着部が体に当たるような硬さも感じられず、特に低充填率の場合には体圧分散性にも優れることがわかった。
他方、比較例のマットレスについては、7割以上の被験者から、低充填率の状態において底付きがあったとの評価が得られた。また、全ての被験者から低充填率及び高充填率の両方の状態において、実施例1の本発明のマットレスに比べて寝心地が悪いとの評価を得た。また、試験時のマットレスの状態から、本発明の構成を有しておらず、第1の表層シート側と第2の表層シート側の流体セルどうしが平面視で重なり、第1の表層シート側と第2の表層シート側の連通部どうしが平面視で重なる構造の比較例のマットレスは、低充填率の状態では、連通部に荷重が集中したときに底付きが発生し易く、また、接着部の長さ方向に沿って屈曲変形した際にも連通部が閉塞しやすいことがわかった。そして、高充填率の状態では、充填率の上昇に伴って接着部の端部どうしが接近して連通部が潰れて閉塞することが観察され、その閉塞した連通部に隣接する流体セル間での空気の流動が阻害され、各流体セルによる体の支持が不安定となることがわかった。また、接着部が平面視で重なるように配置されていることから接着部が体に当たることによる硬さが感じられ、体圧分散性にも劣ることがわかった。
[実施例2]
実施例1と同様の手順で流体充填敷物を作製し、マットレスとして用いた際の効果の評価を行った。上述の作製手順のうち、接着パターンにおける接着部の傾斜角度θ(接着部の敷物の長さ方向Lに対する鋭角の角度θ)と、第1の表層シート2側の接着部20と第2の表層シート4側の接着部40との平面視での交差角度αのみを以下表1に示す数値に変更したマットレスをそれぞれ作製した。
作製した各マットレスに空気を充填率80%となるように充填し、各マットレス(カバー無し)に、BMI(Body Mass Index)が18、20、22、24、26及び28の被験者各3名(全18名)を仰臥位で横たわらせ、マットレスの支持感を官能評価した。評価の判定は、交差角度αが90度及び傾斜角度θが45度のマットレスの評価を基準として、これと同等または優れていると感じた人数が、15人数以上の場合をAランク、10〜14人の場合をBランク、6〜9人をCランク、5人以下をDランクとした。結果を表2に示す。
この結果より、接着部20と接着部40の交差角度αとして60〜120度が好ましく、70〜110度がより好ましいことが分かった。また、接着部の傾斜角度θとしては、30〜60度が好ましく、35〜55度がより好ましいことがわかった。
本発明は、上記の実施形態又は実施例に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態も技術的範囲に含まれるものである。