本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
まず、本発明の燃料電池システムの比較対象となる燃料電池システムについて、図4を用いて説明する。図4は、本発明の比較対象となる燃料電池システムを示す概略構成図である。
図4において、比較対象となる燃料電池システム100は、燃料電池モジュール101と、熱交換器102と、水処理装置103、108と、水回収タンク104と、貯湯タンク106と、ラジエータ109と、を備える。さらに、燃料電池システム100は、水回収タンク104に貯留されている水を燃料電池モジュール101に供給する改質水供給経路114と、水処理装置108で処理した水を水回収タンク4に供給する給水経路115と、貯湯タンク106に貯留される湯水を循環させる貯湯循環経路116と、をさらに備える。
また、燃料電池システム100は、燃料電池モジュール101から排出される排ガス中に含まれる水蒸気を凝縮させて回収し、回収した水を改質水として燃料電池モジュール101に供給することで、燃料電池にて必要な改質水を賄うシステムである。ここで、燃料電池システム100は、熱交換器102を用いることで、排ガス中に含まれる水蒸気を凝縮させると共に、貯湯循環経路116を循環する湯水に排ガスの熱を回収させている。
燃料電池システムを連続運転させると、貯湯循環経路を循環する湯水が排ガスより継続的に熱を回収するため、貯湯槽に貯留されている湯水の温度が上昇し、出湯が一定量行われなければ、熱的に充満した状態(満蓄状態)になる。その結果、排ガスの冷却ができなくなることで、排ガスから凝縮水を回収できなくなってしまい、水蒸気改質に用いる水が不足するという問題が生じる。
そのため、燃料電池システム100は、貯湯循環経路116を流通する湯水を冷却するためのラジエータ109を備え、ラジエータ109に空気供給経路119を通じて空気を供給することで貯湯循環経路116を流通する湯水を冷却する構成となっている。これにより、満蓄時であっても、排ガスの冷却が可能となり、排ガスから凝縮水を回収できるため、水蒸気改質に用いる水が不足するという問題が解消され、システムの連続運転が可能となる。
しかしながら、燃料電池システム100では、ラジエータ109を設けているため、システムサイズが大型化してしまい、騒音が発生するという問題がある。そのため、システムサイズの大型化及び騒音の発生を抑制でき、満蓄時においても連続運転可能な燃料電池システムとすることが望ましい。
一方、以下にて説明する本発明の一実施形態に係る燃料電池システム10は、システムサイズを大型化及び騒音の発生を抑制しつつ、満蓄時においても連続運転可能なシステムである。以下、本発明の燃料電池システムの一実施形態について図1を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る燃料電池システムを示す概略構成図である。
〔燃料電池システム〕
本実施形態に係る燃料電池システム10は、燃料電池モジュール1と、第1熱交換器2と、水処理装置3と、水回収タンク4(水回収槽)と、逆浸透膜5と、貯湯タンク6と、第2熱交換器7と、を備える。本実施形態に係る燃料電池システム10は、水回収タンク4に貯留されている水を燃料電池モジュール1に供給する改質水供給経路14(水供給経路)と、逆浸透膜5を透過した水を水回収タンク4に供給する給水経路15と、貯湯タンク6に貯留される湯水を循環させる貯湯循環経路16と、をさらに備える。
また、燃料電池システム10は、水回収タンク4に貯留されている水が不足しているか否かを判定する判定手段40を備え、判定手段40が、水回収タンク4に貯留されている水の量が不足していると判定した際、給水経路15に水を供給し、逆浸透膜5を透過した水を水回収タンク4に供給するシステムである。
また、本実施形態に係る燃料電池システム10は、燃料電池モジュール1から排出される排ガス中に含まれる水蒸気を凝縮させて回収し、回収した水を改質水として燃料電池モジュール1に供給することで、燃料電池にて必要な改質水を賄うシステムである。ここで、燃料電池システム10は、第1熱交換器2を用いることで、排ガス中に含まれる水蒸気を凝縮させると共に、貯湯循環経路16を循環する湯水に排ガスの熱を回収させており、熱を回収した湯水は貯湯タンク6に貯留される。
前述のように、燃料電池システムを連続運転させると、貯湯循環経路を循環する湯水が排ガスより継続的に熱を回収するため、貯湯槽に貯留されている湯水の温度が上昇し、熱的に充満した状態(満蓄状態)になる。その結果、排ガスの冷却ができなくなることで、排ガスから凝縮水を回収できなくなってしまい、水蒸気改質に用いる水が不足するという問題が生じる。
一方、本実施形態に係る燃料電池システム10では、判定手段40が水回収タンク4に貯留されている水の量が不足していると判定した際、給水経路15に水を供給し、逆浸透膜5を透過した水を水回収タンク4に供給する。
以上により、満蓄となり、排ガスから凝縮水を回収できなくなった場合であっても、逆浸透膜5を透過した水が水回収タンク4に供給されるため、水蒸気改質に用いる水が不足するという問題が解消され、システムの連続運転が可能となる。さらに、逆浸透膜5を透過した水は純度が高められているため、例えば、湯水や上水を水蒸気改質用として凝縮水に直接混合した場合よりも水処理の負担が軽減される。
また、貯湯循環経路16を流通する湯水は、第1熱交換器2にて排ガスより継続的に熱を回収するため、給水経路15から排出された排水よりも高温である。ここで、本実施形態に係る燃料電池システム10では、貯湯循環経路16を流通する湯水と逆浸透膜5を透過せずに給水経路15から排出された排水との間で熱交換を行なう第2熱交換器7により、貯湯循環経路16を流通する湯水は冷却され、冷却された湯水が第1熱交換器2に供給されるため、第1熱交換器2にて排ガスの冷却が可能となり、排ガスから凝縮水を回収することができるようになる。
したがって、水蒸気改質に用いる水が不足するという問題がより好適に解消されると共に、逆浸透膜5を透過しなかった排水を有効利用することで逆浸透膜5の負担が軽減される。
さらに、本実施形態に係る燃料電池システム10では、貯湯循環経路16を冷却するラジエータや放熱管を設けることなく、燃料電池システム10の連続運転が可能である。さらに、燃料電池システム10では、ラジエータや放熱管を設ける必要がないため、システムサイズの大型化も抑制することができ、ラジエータを設けたことによる騒音も発生しないため、有用である。
以下、本実施形態に係る燃料電池システム10の各構成について詳細に説明する。
本実施形態に係る燃料電池システム10は、燃料電池(図示せず)を備える燃料電池モジュール1を有する。燃料電池モジュール1は、燃料を供給することで発電する機能を有するものであり、燃料電池以外に、後述する気化器、改質器をさらに備えている。
燃料電池モジュール1は、原料ガス供給経路11、酸素供給経路12及び改質水供給経路14と接続しており、それぞれの経路から原料ガス、酸素及び改質水が燃料電池モジュール1に供給される。原料ガス供給経路11には、原料ガスを流通させるブロワ21が設置されており、酸素供給経路12には、酸素を流通させるブロワ22が設置されており、改質水供給経路14には、改質水を流通させるポンプ23が設置されている。
原料ガス供給経路11を流通する原料ガスとしては、水蒸気改質が可能な炭化水素ガスを含むものであれば特に限定されず、例えば、天然ガス、LPガス(液化石油ガス)、石炭改質ガス、低級炭化水素ガスなどが例示される。低級炭化水素ガスとしては、メタン、エタン、エチレン、プロパン、ブタン等の炭素数4以下の低級炭化水素が挙げられ、特にメタンが好ましい。なお、炭化水素ガスとしては、上述した低級炭化水素ガスを混合したものであってもよい。
改質水供給経路14を流通する改質水は、燃料電池モジュール1に設けられた気化器(図示せず)によって気化され、気化されて生じた水蒸気は、水蒸気供給経路(図示せず)を通じて改質器(図示せず)に供給される。
燃料電池システム10は、燃料電池の外部に原料ガスを水蒸気改質して改質ガスを生成する改質器を有している。改質器は、例えば、バーナ又は燃焼触媒を配置した燃焼部と、改質用触媒を備える改質部と、を備え、改質部の上流側にて原料ガス供給経路11及び水蒸気供給経路と接続しており、改質部の下流側にて改質ガス供給経路(図示せず)を介して燃料電池と接続している。
原料ガス供給経路11を通じてメタンなどの炭化水素ガスを含む原料ガスが改質部に供給され、水蒸気供給経路を通じて水蒸気が改質部に供給される。そして、改質部にて炭化水素ガスを水蒸気改質した後に、生成された改質ガスが改質ガス供給経路を通じて燃料電池に供給される。
燃焼部は、燃焼熱により改質部を加熱するものであり、例えば、酸素と、炭化水素ガスを含む原料ガスと、を燃焼反応させたり、燃料電池から排出されるカソードオフガス中の未反応の酸素と、アノードオフガス中の未反応の水素と、を燃焼反応させたりして改質部を加熱する。燃焼反応により生じた排ガスは、排気経路13に供給され、燃料電池モジュール1の外部に排出される。
炭化水素ガスの一例であるメタンを水蒸気改質させた場合、改質部にて、以下の式(a)の反応により一酸化炭素および水素が生成される。
CH4+H2O→CO+3H2・・・・(a)
改質部内に設置される改質用触媒としては、水蒸気改質反応の触媒となるものであれば特に限定されないが、Ni,Rh,Ru,Ir,Pd,Pt,Re,Co,Fe及びMoの少なくとも一つを触媒金属として含む水蒸気改質用触媒が好ましい。
改質部に供給される単位時間当たりの水蒸気の分子数Sと、改質部に供給される単位時間当たりの炭化水素ガスの炭素原子数Cとの比であるスチームカーボン比S/Cは、1.5〜3.5であることが好ましく、2.0〜3.0であることがより好ましく、2.0〜2.5であることがさらに好ましい。スチームカーボン比S/Cがこの範囲にあることにより、炭化水素ガスが効率よく水蒸気改質され、水素および一酸化炭素を含む改質ガスが生成される。さらに、燃料電池モジュール1内での炭素析出を抑制することができ、燃料電池モジュール1の信頼性を高めることができる。
また、燃焼部は、水蒸気改質を効率よく行なう観点から、改質部を、600℃〜800℃に加熱することが好ましく、600℃〜700℃に加熱することがより好ましい。
本実施形態に係る燃料電池システム10は、改質ガス供給経路を通じて改質器から供給された改質ガスを用いて発電を行なう燃料電池を備えている。燃料電池としては、例えば、空気極(カソード)、電解質及び燃料極(アノード)を備える燃料電池セルであってもよく、燃料電池セルを複数積層した燃料電池スタックであってもよい。また、燃料電池としては、200℃以下の温度で作動する低温型の燃料電池、例えば、60℃〜100℃程度で作動する固体高分子形燃料電池、150℃〜200℃程度で作動するリン酸形燃料電池や、600℃〜800℃程度で作動する高温型の燃料電池、例えば、700℃〜800℃程度で作動する固体酸化物形燃料電池、600℃〜700℃程度で作動する溶融炭酸塩形燃料電池が挙げられる。
燃料電池のアノードには、改質ガス供給経路を通じて改質ガスが供給され、燃料電池のカソードには、酸素供給経路12を通じて酸素を含むガスが供給される。そして、改質ガスと酸素との電気化学的な反応により、主に水蒸気(溶融炭酸塩形燃料電池では主に水蒸気及び二酸化炭素)が生成される。また、アノードで生成された電子は、外部回路を通じてカソードに移動する。このようにして電子がアノードからカソードに移動することにより、燃料電池にて発電が行なわれる。
ここで、アノード及びカソードから排出されたオフガスは、前述のように改質器の燃焼部に供給され、未反応の水素及び酸素が燃焼反応に用いられた後、排気経路13を通じて燃料電池モジュール1から排出されてもよく、燃焼部に供給されずに排気経路13を通じて直接燃料電池モジュール1から排出されてもよい。
なお、高温型の燃料電池を備える燃料電池システムでは、改質器が燃料電池の外部に取り付けられている必要はなく、燃料電池に直接原料ガス及び水蒸気を供給し、燃料電池の内部で水蒸気改質(内部改質)を行なう構成であってもよい。燃料電池スタック内部での反応温度は600℃〜800℃と高温であるため、燃料電池スタック内で水蒸気改質を行なうことが可能である。
燃料電池モジュール1から排出され、排気経路13を流通する排ガスは、第1熱交換器2にて、貯湯循環経路16を流通する湯水と熱交換を行なう。これにより、排気経路13を流通する排ガスは冷却され、排ガス中に含まれる水蒸気が凝縮されると共に、貯湯循環経路16を循環する湯水が排ガスの熱を回収する。水蒸気が凝縮されて得られた凝縮水は、水回収タンク4に供給され、排ガスの熱を回収した湯水は、貯湯タンク6に供給される。また、排気経路13を流通する排ガスは、外部に排気される。
水回収タンク4は、排気経路13を流通する排ガス中に含まれる水蒸気を凝縮して得られた水を回収して貯留する容器である。水回収タンク4では、所定量以上の水が貯留された際には、例えばオーバーフローによりドレン排水される。
水回収タンク4は、改質水供給経路14と接続しており、改質水供給経路14には、水処理装置3及びポンプ23が設けられている。ポンプ23を駆動させることで、水回収タンク4に貯留された水は、水処理装置3にて処理された後、改質水供給経路14を通じて燃料電池モジュール1に供給される。
水処理装置3は、水回収タンク4の下流であり、かつ水回収タンク4と燃料電池モジュール1との間に配置されており、第1熱交換器2にて水蒸気が凝縮されて得られた凝縮水に含まれる不純物及び逆浸透膜5を透過した水に含まれている不純物を除去する装置である。水処理装置としては、例えば、交換や薬品による再生処理が必要なイオン交換樹脂を有する水処理装置、イオン交換樹脂を電気的に再生可能な電気脱イオン式の水処理装置などが挙げられる。
また、水回収タンク4は、給水経路15と接続されており、給水経路15には、上流から順に、開閉弁27、ポンプ24及び逆浸透膜5が設けられている。給水経路15は、貯湯タンク6に給水を行なうための経路である第1給水経路17と接続しているため、開閉弁27を開き、ポンプ24を駆動させることによって、水が給水経路15を流通し、逆浸透膜5に水が供給される。なお、開閉弁27としては、例えば、電磁弁、電動弁などが挙げられる。
逆浸透膜5は、不純物を含む水に圧力をかけることで、水を選択的に透過させ、イオンや塩類など水以外の不純物を透過しない(不純物の透過を抑制する)膜である。そのため、ポンプ24を駆動させて逆浸透膜5に水を供給することで、逆浸透膜5を透過した純度の高い水が得られる。そして、純度の高い水は、給水経路15を通じて水回収タンク4に供給される。
また、逆浸透膜5に水を供給することで、逆浸透膜5を透過した純度の高い水と共に、逆浸透膜5を透過しなかった不純物の多い水が得られる。不純物の多い水は、給水経路15から排出され、排水経路19を通じて第2熱交換器7に供給される。
逆浸透膜5としては、水を選択的に透過させ、イオンや塩類など水以外の不純物を透過しない膜であれば特に限定されず、市販のものを用いることができる。また、逆浸透膜の構造としては、例えば、中空糸膜、スパイラル膜、チューブラー膜が挙げられ、逆浸透膜の材質としては、例えば、酢酸セルロース、芳香族ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリスルホンが挙げられる。
ところで、逆浸透膜5を透過した水は純度が高められるが、その純度が水蒸気改質用の水として求められている水準に達していない場合や、当該水準を達成可能な逆浸透膜を採用することが合理的でない場合がある。このような場合に、例えば、水処理装置3が、第1熱交換器2と水回収タンク4との間に配置されていると、逆浸透膜5を透過した水が、水処理されることなく、燃料電池モジュール1に供給されることになり、モジュール内の各構成(例えば、改質部)に悪影響を及ぼすおそれがある。
一方、本実施形態に係る燃料電池システム10では、水回収タンク4と燃料電池モジュール1との間の改質水供給経路14に水処理装置3が設けられているため、逆浸透膜5を透過した水が、水処理装置3にて処理される。したがって、高純度の水が燃料電池モジュール1に供給され、モジュール内の各構成に悪影響を及ぼすことが抑制される。
次に、貯湯タンク6は、燃料電池モジュール1から排出される排ガスの熱を第1熱交換器2にて回収した湯水を貯留する容器である。また、第1給水経路17を通じて貯湯タンク6に水が供給され、出湯経路31を通じて貯湯タンク6から湯水がシステム外に供給される。出湯経路31を通じてシステム外に供給される湯水は、第2給水経路18を通じて供給された水と混合弁26で適温に混合され、例えば、給湯や暖房に使用される。
貯湯タンク6は、貯湯循環経路16と接続しており、貯湯循環経路16には、上流から順に、第2熱交換器7、ポンプ25及び第1熱交換器2が設けられている。ポンプ25を駆動させることで、貯湯タンク6に貯留された湯水は、貯湯循環経路16を流通する。
第2熱交換器7は、貯湯循環経路16を流通する湯水と排水経路19を流通する排水との間で熱交換を行ない、貯湯循環経路16を流通する湯水を冷却するためのものである。そのため、排水が排水経路19を流通している場合、熱交換は行なわれるが、排水が排水経路19を流通していない場合、熱交換は行なわれない。
貯湯循環経路16を流通する湯水は、第1熱交換器2にて排ガスより継続的に熱を回収するため、給水経路15から排出された排水よりも高温である。そのため、第2熱交換器7にて、貯湯循環経路16を流通する湯水と排水経路19を流通する排水との間で熱交換が行なわれることで、貯湯循環経路16を流通する湯水が冷却され、冷却された湯水は第1熱交換器2に供給されることになる。そして、第1熱交換器2にて排ガスの冷却が可能となり、排ガスから凝縮水を回収することができるようになるため、水蒸気改質に用いる水が不足するという問題がより好適に解消されると共に、逆浸透膜5を透過しなかった排水を有効利用することで逆浸透膜5の負担が軽減される。さらに、本実施形態に係る燃料電池システム10は、ラジエータを設けることなく、貯湯循環経路16を流通する湯水を冷却することができ、省スペース化及び騒音発生の抑制の点から有用である。
なお、給水経路15に水が供給されていなければ、逆浸透膜5を透過しなかった不純物の多い水が給水経路15から排出されないため、排水が排水経路19を流通しておらず、第2熱交換器7での熱交換は行なわれない。
第2熱交換器7を通過した後の湯水は、第1熱交換器2にて、排気経路13を流通する排ガスと熱交換を行ない、排ガスの熱を回収した湯水は、貯湯循環経路16を流通し、貯湯タンク6に貯留される。
ここで、第1熱交換器2よりも下流の貯湯循環経路16を流通する湯水は、排水経路19を流通する排水よりも高温であるため、第1熱交換器2よりも下流に第2熱交換器7を設置した場合には、貯湯タンク6に供給される湯水が冷却されることになり、貯湯タンク6の温度成層に影響を与える。一方、本実施形態に係る燃料電池システム10のように、第1熱交換器2よりも上流に第2熱交換器7を設置した場合には、貯湯タンク6の温度成層に影響を与えない。そのため、第2熱交換器7を設置する場所は、第1熱交換器2よりも上流であることが好ましい。
貯湯タンク6は、第1給水経路17と接続している供給口付近である下部から貯湯循環経路16に湯水を供給し、出湯経路31と接続している出湯口付近である上部にて貯湯循環経路16を流通した湯水を回収する。そのため、貯湯タンク6に貯留されている湯水では、温度勾配が生じており、下部から上部に向かって貯留されている湯水の温度が上昇する。
ここで、燃料電池システム10の起動中には、排気経路13を流通する排ガスを冷却して水蒸気を凝縮させるため、貯湯循環経路16に継続的に湯水を循環させる。そのため、燃料電池システム10を長時間連続運転させると、貯湯タンク6に貯留されている温水の温度が上昇し、その際出湯が一定量行われなければ、熱的に充満した状態(満蓄状態)になる。満蓄になると、貯湯タンク6に貯留されている温水に温度勾配はほとんどなくなり、貯湯タンク6に貯留されている湯水の上側と下側との温度差はほとんどなくなる。そのため、満蓄時には、排気経路13を流通する排ガスからの熱回収による排ガスの冷却ができなくなり、その結果、排ガスから凝縮水の回収ができなくなってしまい、水回収タンク4に貯留されている水が不足するおそれがある。
しかし、本実施形態に係る燃料電池システム10では、判定手段40が、水回収タンク4に貯留されている水の量が不足していると判定した際、給水経路15に水を供給し、逆浸透膜5を透過した水を水回収タンク4に供給する。そのため、満蓄時であっても、水回収タンク4にて水が不足するという問題が解消され、システムの連続運転が可能となる。
さらに、前述のように、給水経路15に水を供給することで、第2熱交換器7にて、貯湯循環経路16を流通する湯水と排水経路19を流通する排水との間で熱交換が行なわれるため、貯湯循環経路16を流通する湯水が冷却される。これにより、冷却された湯水が第1熱交換器2に供給されて排ガスの冷却が可能となり、排ガスから凝縮水を回収することができるようになるため、水蒸気改質に用いる水が不足するという問題がより好適に解消され、さらに、逆浸透膜5の負担が軽減される。
以下、判定手段40が、水回収タンク4に貯留されている水の量が不足していると判定する場合の具体例1について説明する。まず、判定手段40は、水回収タンク4に貯留されている水の量が不足しているか否かを、水位検出手段により検出された水回収タンク4の水位により判定してもよい。
このとき、本実施形態に係る燃料電池システム10は、水回収タンク4の水位を検出する水位検出手段である水位センサー41をさらに備えている。水位センサー41としては、フロートセンサーや電極センサー等の従来公知のものを適宜選択して使用することができる。
本実施形態に係る燃料電池システム10では、判定手段40が、水位センサー41により検出された水回収タンク4の水位が閾値(第1の閾値)以下であると判定した際、開閉弁27を開き、かつポンプ24を駆動させることによって、給水経路15に水を供給する。これにより、逆浸透膜5を透過した水が水回収タンク4に供給されると共に、第2熱交換器7にて湯水が冷却されるため、第1熱交換器2にて排ガス中の水蒸気が凝縮されて得られる凝縮水が水回収タンク4にて回収される。そのため、水蒸気改質に用いる水が不足するという問題が抑制され、満蓄時においてもシステムの連続運転が可能となる。なお、閾値(第1の閾値)となる水回収タンク4の水位としては、例えば、給水経路15から水が供給されるまでの間、燃料電池モジュール1への改質水の供給が可能な量以上であればよい。
ここで、逆浸透膜5を透過し、水回収タンク4に供給された水と、第1熱交換器2にて排ガス中の水蒸気が凝縮され、水回収タンク4にて回収される凝縮水と、の合計量(ml/分)が、水蒸気改質に必要な水の量(ml/分)よりも多い場合、水回収タンク4の水位が徐々に増加する。そのため、判定手段40が、水位センサー41により検出された水回収タンク4の水位が閾値(第2の閾値)以上であると判定した際、開閉弁27を閉め、かつポンプ24を停止させることによって、給水経路15への水の供給を停止させてもよい。これにより、逆浸透膜5の負担が軽減され、また、水回収タンク4からオーバーフローにより、水がドレン排水されないように調整できる。
以下、水回収タンク4の水位に応じて、給水経路15への水の供給を制御することについて、図2を用いて説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る燃料電池システムにおける給水の制御処理1を示すフローチャートである。
図2に示すように、ステップ200にて、燃料電池システム10を起動する。このとき、水回収タンク4には、燃料電池モジュール1に供給される水が貯留されており、この水が原料ガスの水蒸気改質に用いられる。
燃料電池システム10を起動して連続運転させると、前述のように、貯湯タンク6に貯留されている温水の温度が上昇し、熱的に充満した状態(満蓄状態)になる。満蓄時には、排ガスから凝縮水の回収ができなくなってしまうため、水回収タンク4の水位が徐々に低下する。
ステップ201にて、水位センサー41にて検出された水回収タンク4の水位が第1の閾値以下であるか否かを判定する。水位センサー41にて検出された水回収タンク4の水位が第1の閾値以下であれば、ステップ202にて、開閉弁27を開き、かつポンプ24を駆動させ、給水経路15に水を供給する。このとき、逆浸透膜5を透過し、水回収タンク4に供給された水と、第1熱交換器2にて排ガス中の水蒸気が凝縮され、水回収タンク4にて回収される凝縮水と、の合計量(ml/分)が、水蒸気改質に必要な水の量(ml/分)よりも多い場合、水回収タンク4の水位が徐々に増加する。
次に、ステップ203にて、水位センサー41にて検出された水回収タンク4の水位が第2の閾値以上であるか判定する。水位センサー41にて検出された水回収タンク4の水位が第2の閾値以上でなければ、給水経路15への水の供給を継続し、水位センサー41にて検出された水回収タンク4の水位が第2の閾値以上であれば、ステップ204にて、開閉弁27を閉め、かつポンプ24を停止させて給水経路15への水の供給を停止する。
そして、給水経路15への水の供給を停止した場合、満蓄状態が維持されたままである、あるいは、一度満蓄状態が解消したが再度満蓄になると、水位センサー41にて検出された水回収タンク4の水位が再び低下する。
そこで、ステップ205にてシステムの運転停止要求がなければ、ステップ201〜204を繰り返し行なってもよい。また、ステップ205にてシステムの運転停止要求があれば、燃料電池システム10の運転を停止する。なお、システムの運転停止は、ステップ200〜205の間の任意のタイミングで行なってもよい。
以下、判定手段40が、水回収タンク4に貯留されている水の量が不足していると判定する場合の具体例2について説明する。判定手段40は、水回収タンク4に貯留されている水の量が不足しているか否かを、燃料電池システムの起動時間により判定してもよい。
燃料電池システム10を起動させてから時間が経過すると、貯湯タンク6に貯留されている温水が満蓄となり、排ガスから凝縮水の回収ができなくなってしまうため、システム起動から時間が経過するにつれて水回収タンク4に貯留されている水が不足することになる。そこで、判定手段40が、システム起動から所定の時間が経過したことを判定した際、開閉弁27を開き、かつポンプ24を駆動させることによって、給水経路15に水を供給する。これにより、逆浸透膜5を透過した水が水回収タンク4に供給されると共に、第2熱交換器7にて湯水が冷却されるため、第1熱交換器2にて排ガス中の水蒸気が凝縮されて得られる凝縮水が水回収タンク4にて回収される。そのため、水蒸気改質に用いる水が不足するという問題が抑制され、満蓄時においてもシステムの連続運転が可能となる。
また、前述のように、逆浸透膜5を透過し、水回収タンク4に供給された水と、第1熱交換器2にて排ガス中の水蒸気が凝縮され、水回収タンク4にて回収される凝縮水と、の合計量(ml/分)が、水蒸気改質に必要な水の量(ml/分)よりも多い場合、水回収タンク4の水位が一定の割合で徐々に増加する。そのため、判定手段40が、給水経路15に水を供給してから所定の時間が経過したことを判定した際、開閉弁27を閉め、かつポンプ24を停止させることによって、給水経路15への水の供給を停止してもよい。
さらに、給水経路15への水の供給を停止させた場合、満蓄状態が維持されたままであると、水回収タンク4の水位が一定の割合で再び低下する。そのため、判定手段40が、給水経路15への水の供給を停止させてから所定の時間経過したことを判定した際、給水経路15へ再度水を供給してもよい。
また、判定手段40が、給水経路15に水を供給してから所定の時間が経過したことを判定した際、給水経路15への水の供給を停止する手順と、判定手段40が、給水経路15への水の供給を停止してから所定の時間が経過したことを判定した際、給水経路15へ水を供給する手順と、を順番に繰り返してもよい。
以下、燃料電池システムの起動時間、給水時間及び給水の停止時間に応じて、給水経路15への水の供給を制御することについて、図3を用いて説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る燃料電池システムにおける給水の制御処理2を示すフローチャートである。
図3に示すように、ステップ300にて、燃料電池システム10を起動する。このとき、水回収タンク4には、燃料電池モジュール1に供給される水が貯留されており、この水が原料ガスの水蒸気改質に用いられる。
燃料電池システム10を起動して連続運転させて満蓄状態となると、排ガスから凝縮水の回収ができなくなってしまうため、水回収タンク4の水位が徐々に低下する。
ステップ301にて、燃料電池システム10の起動から所定時間が経過したか判定する。システムの起動から所定時間が経過していれば、ステップ302にて、開閉弁27を開き、かつポンプ24を駆動させ、給水経路15に水を供給する。このとき、逆浸透膜5を透過し、水回収タンク4に供給された水と、第1熱交換器2にて排ガス中の水蒸気が凝縮され、水回収タンク4にて回収される凝縮水と、の合計量(ml/分)が、水蒸気改質に必要な水の量(ml/分)よりも多い場合、水回収タンク4の水位が徐々に増加する。
次に、ステップ303にて、給水から所定時間が経過したか判定する。給水から所定時間が経過してなければ、給水経路15への水の供給を継続し、給水から所定時間が経過していれば、ステップ304にて、開閉弁27を閉め、かつポンプ24を停止させて給水経路15への水の供給を停止する。
そして、給水経路15への水の供給を停止した場合、満蓄状態が維持されたままであると、水回収タンク4の水位が一定の割合で再び低下する。
次に、ステップ305にて、水の供給停止から所定時間が経過したか判定する。水の供給停止から所定時間が経過していれば、ステップ306にて、開閉弁27を開き、かつポンプ24を駆動させ、給水経路15に水を再度供給する。このとき、ステップ302と同様、満蓄時であっても、水回収タンク4の水位が一定の割合で徐々に増加する。
そして、ステップ307にて、水の供給から所定時間が経過したか判定する。水の供給から所定時間が経過してなければ、給水経路15への水の供給を継続し、水の供給から所定時間が経過していれば、ステップ308にて、開閉弁27を閉め、かつポンプ24を停止させて給水経路15への水の供給を停止する。
ステップ309にてシステムの運転停止要求がなければ、ステップ305〜308を繰り返し行なってもよい。また、ステップ309にてシステムの運転停止要求があれば、燃料電池システム10の運転を停止する。なお、システムの運転停止は、ステップ300〜209の間の任意のタイミングで行なってもよい。
以下、判定手段40が、水回収タンク4に貯留されている水の量が不足していると判定する場合の具体例3について説明する。判定手段40は、水回収タンク4に貯留されている水の量が不足しているか否かを、温度検出手段により検出された湯水の温度により判定してもよい。
このとき、本実施形態に係る燃料電池システム10は、貯湯循環経路16における第1熱交換器2よりも上流の所定の位置及び貯湯タンク6の所定の位置の少なくとも一方に温度検出手段(図示せず)をさらに備えている。温度検出手段は、貯湯循環経路16における第1熱交換器2よりも上流の位置であれば、任意の場所に設けることができ、例えば、貯湯循環経路16において、貯湯タンク6の供給口付近、貯湯タンク6と第2熱交換器7との間、第2熱交換器7と第1熱交換器2との間などが挙げられる。また、温度検出手段は、貯湯タンク6の任意の場所に設けることができ、例えば、貯湯循環経路16と接続している供給口付近、貯湯循環経路16における任意の箇所などが挙げられる。
本実施形態に係る燃料電池システム10では、判定手段40が、温度検出手段により検出された湯水の温度が閾値以上であると判定した際、開閉弁27を開き、かつポンプ24を駆動させることによって、給水経路15に水を供給する。これにより、排ガスの冷却効率が低下し、排ガスから凝縮水を好適に回収できなくなった場合であっても、逆浸透膜5を透過した水が水回収タンク4に供給されると共に、第2熱交換器7にて湯水が冷却されるため、第1熱交換器2にて排ガス中の水蒸気が凝縮されて得られる凝縮水が水回収タンク4にて回収される。そのため、水蒸気改質に用いる水が不足するという問題が抑制され、満蓄時においてもシステムの連続運転が可能となる。
給水経路15に水を供給するか否かを判定する対象となる閾値としては、特に限定されないが、例えば、満蓄時の湯水の温度(例えば、90℃)、満蓄時の湯水の温度よりも低い温度(例えば、60℃以上90℃未満)が挙げられる。すなわち、所定の箇所における湯水の温度が満蓄時の湯水の温度又は満蓄時の湯水の温度よりも低い温度であることを示す場合に、給水経路15に水を供給してもよい。特に、満蓄時の湯水の温度よりも低い温度であることを示した場合に、給水経路15に水を供給する構成とすることで、より十分な量の水を水回収タンク4に貯留することができるため好ましい。
また、温度検出手段は、貯湯タンク6の任意の場所に設けることができる。貯湯タンク6において、満蓄状態では貯湯タンク6に貯留されている湯水は全域でほぼ同じ温度であるが、満蓄状態でない場合、貯湯タンク6に貯留されている湯水は高さ方向に沿って温度が上昇するようになっている。そこで、温度検出手段を、貯湯循環経路16の下部であり、かつ貯湯循環経路16と接続している供給口付近よりも上部に設けることが好ましい。このとき、温度検出手段が満蓄時の湯水の温度を示したとすると、貯湯タンク6に貯留されている湯水は満蓄直前であることが分かる。そのため、満蓄となる直前で、給水経路15に水を供給することができ、より十分な量の水を水回収タンク4に貯留することができるため好ましい。
温度検出手段は、複数設けられていてもよく、例えば、貯湯循環経路16における第1熱交換器2よりも上流の所定の位置及び貯湯タンク6の所定の位置の両方に設けてもよく、貯湯タンク6の高さの異なる位置に温度検出手段をそれぞれ設けてもよい。
なお、温度検出手段を設ける具体例3の構成は、前述の具体例1、2の構成と組み合わせてもよい。
本実施形態に係る燃料電池システム10は、逆浸透膜5の上流に給水経路15を流通する水中の塩素を除去する脱塩素部(図示せず)及び第1給水経路17に貯湯タンク6に供給される水中の塩素を除去する脱塩素部(図示せず)の少なくとも一方をさらに備えることが好ましい。
前述のように脱塩素部を配置することで、給水経路15を流通する水中の塩素又は貯湯タンク6に供給される水中の塩素が除去されるため、耐塩素性でない逆浸透膜5も好適に用いることができ、逆浸透膜5の選択肢を広げることができる。
実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。