実施の形態1.
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態1について説明する。なお、各図においては、共通する要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本明細書において、「湯水」とは、温水(湯)及び水を総称している。
図1は、本発明の実施の形態1による貯湯式給湯機を示す構成図である。この図に示すように、貯湯式給湯機35は、タンクユニット33と、ヒートポンプサイクルを利用するHPユニット7と、ユーザーが運転状態の操作及び各種の設定値の変更等を行うリモコン44とを備えている。HPユニット7とタンクユニット33とは、HP往き配管14及びHP戻り配管15を介して接続されると共に、図示しない配線を介して電気的に接続されている。タンクユニット33には、制御部36が内蔵されている。制御部36には、湯水が流れる配管の配管長に関するデータが予め記憶されている。これにより、制御部36は、外気温センサ70と配管長の組合わせにより配管内の温度を推測する機能を備えている。タンクユニット33及びHPユニット7が備える各種の弁類、ポンプ類等の作動は、これらと電気的に接続された制御部36により制御される。
HPユニット7は、後述する貯湯タンク8の下部または給水配管9から供給される湯水を加熱する(沸き上げる)もので、加熱手段を構成している。HPユニット7により加熱された温水は、運転形態に応じて、貯湯タンク8の上部に貯湯されるか、または、給湯対象に供給される。給湯対象としては、各部屋に設置された給湯栓、シャワー、カラン等の蛇口、温水暖房機等の温水機器、浴槽等が挙げられる。HPユニット7は、圧縮機1、水冷媒熱交換器3、膨張弁4及び空気熱交換器6を冷媒配管5により環状に接続したもので、ヒートポンプサイクルを構成している。水冷媒熱交換器3は、冷媒配管5を流れる冷媒と、貯湯タンク8から導入された低温水との間で熱交換を行うためのものである。
タンクユニット33には、貯湯タンク8を含めて、以下に述べる各種の部品、配管等が内蔵されている。貯湯タンク8は、HPユニット7により沸き上げた温水を貯湯するものである。貯湯タンク8の下部に設けられた水導入口8aには、第3給水配管9cが接続されている。水道等の水源から供給される低温水は、減圧弁31で所定圧力に調圧された上で、第3給水配管9cを通って貯湯タンク8内に流入する。貯湯タンク8の上部には、温水導入出口8dが設けられている。温水導入出口8dには、貯湯タンク8内に貯留された湯をタンクユニット33の外部に供給するための給湯配管21と、送湯配管13とが接続されている。
なお、貯湯タンク8の温水導入出口8dには、HPユニット7により加熱された温水が導入される。また、貯湯タンク8内の湯水が給湯に使用されるときには、市水等の水源から第1給水配管9a及び第2給水配管9b等を経由して貯湯タンク8の水導入口8aに低温水が導入される。このため、貯湯タンク8の内部には、上下方向において上部側ほど湯水の温度が高くなり、下部側ほど湯水の温度が低くなる温度成層が形成される。また、貯湯タンク8の表面には、複数の貯湯温度センサ42,43が高さを変えて取付けられている。これらの貯湯温度センサ42,43は、貯湯タンク8内の湯水の温度分布を検出するものである。制御部36は、貯湯温度センサ42,43の検出結果に基いて貯湯タンク8内の貯湯温度及び貯湯量を把握し、後述する沸き上げ運転の開始、停止等を制御する。
タンクユニット33には、熱源ポンプ12及びふろ用熱交換器20が内蔵されている。熱源ポンプ12は、タンクユニット33内の後述する各種配管に湯水を循環させるためのポンプであり、HP往き配管14上に設けられている。ふろ用熱交換器20は、貯湯タンク8から供給される高温水を利用して2次側の加熱対象水(浴槽水、暖房用水等)を加熱するための熱交換器である。本実施の形態では、ふろ用熱交換器20の2次側の構成として、浴槽30内の湯水を循環させるふろ往き配管27及びふろ戻り配管28を例示して説明する。ふろ用熱交換器20は、ふろ往き配管27とふろ戻り配管28の途中に設置されている。また、ふろ往き配管27とふろ戻り配管28の途中には、浴槽水を循環させるためのふろ循環ポンプ29と、浴槽30から出た浴槽水の温度を検出するためのふろ戻り温度センサ38と、ふろ用熱交換器20から出た熱交換後の湯の温度を検出するためのふろ往き温度センサ37とが設置されている。ふろ用熱交換器20は、ふろ往き配管27と、ふろ戻り配管28と、浴槽30とで形成される循環経路の途中に設置されている。
また、タンクユニット33には、三方弁11及び四方弁18が内蔵されている。三方弁11は、湯水が流入するa,bポートと、湯水が流出するcポートとを有する流路切替手段であり、2つの経路a−c,b−cの間で湯水の流路を切換えるように構成されている。三方弁11は、水導出口配管10とHP往き配管14とを連通させる形態と、温水導出配管20bとHP往き配管14とを連通させる形態とからなる2つの流路形態のうち、何れか一方の流路形態に切換えられる。四方弁18は、湯水が流入するb,cポートと、湯水が流出するa,dポートとを有する流路切換手段であり、4つの経路a−b,a−c,b−d,c−dの間で湯水の流路を切換えるように構成されている。四方弁18は、HP戻り配管15と送湯配管13とを連通させる形態と、HP戻り配管15と第1バイパス配管16とを連通させる形態と、第1バイパス配管16と第2バイパス配管17とを連通させる形態と、送湯配管13と第2バイパス配管17とを連通させる形態とからなる4つの流路形態のうち、何れか1つの流路形態に切換えられる。
また、タンクユニット33は、水導出口配管10、温水導入配管20a、第1バイパス配管16、温水導出配管20b及び第2バイパス配管17を備えている。水導出口配管10は、貯湯タンク8の下部に設けられた水導出口8bと三方弁11のaポートとを接続している。HP往き配管14は、三方弁11のcポートとHPユニット7の入口側とを接続している。HP戻り配管15は、HPユニット7の出口側と四方弁18のcポートとを接続している。送湯配管13は、四方弁18のdポートと、貯湯タンク8の温水導入出口8dとを接続している。第1バイパス配管16は、四方弁18のaポートと、貯湯タンク8の中央部から下部の間に設けられた温水導入口8cとを接続している。温水導入配管20aは、送湯配管13の途中から分岐し、ふろ用熱交換器20の1次側入口に接続されている。温水導出配管20bは、ふろ用熱交換器20の1次側出口と三方弁11のbポートとを接続している。第2バイパス配管17は、HP往き配管14のうち熱源ポンプ12とHPユニット7との間の部位から分岐し、四方弁18のbポートに接続されている。
さらに、タンクユニット33は、第1給水配管9a、第2給水配管9b、給湯用混合弁22、ふろ用混合弁23、第1給湯配管24及び第2給湯配管25を備えている。第1給水配管9aの一端は水道等の水源に接続され、第1給水配管9aの他端には減圧弁31を介して第2給水配管9b及び第3給水配管9cが接続され、これらの配管9a,9b,9cは給水配管9を構成している。第2給水配管9bは、途中から分岐して給湯用混合弁22とふろ用混合弁23とにそれぞれ接続されている。また、給湯配管21は、途中から分岐して給湯用混合弁22とふろ用混合弁23とにそれぞれ接続されている。第2給湯配管25の途中には、第2給湯配管25を開閉するふろ用電磁弁26と、第2給湯配管25を通る温水の流量を検出するふろ用流量センサ45とが設けられている。
給湯用混合弁22およびふろ用混合弁23は、給湯配管21から供給される高温水と、第2給水配管9bから供給される低温水との流量比を調整することにより、ユーザーがリモコン44にて設定した設定温度の温水を生成し、生成した温水を第1給湯配管24及び第2給湯配管25にそれぞれ流入させる。給湯用混合弁22で温度調整された温水は、第1給湯配管24から給湯栓34を経由してシャワー、カラン等の蛇口50に供給される。また、第1給湯配管24には、給湯用水流センサ51が設けられている。給湯用水流センサ51は、第1給湯配管24を流れる湯水の流れを検出するもので、制御部36と接続されている。一方、ふろ用混合弁23で設定温度に調整された温水は、第2給湯配管25からふろ用電磁弁26、ふろ用流量センサ45、ふろ往き配管27及びふろ戻り配管28を経由して浴槽30に供給される。
制御部36は、貯湯式給湯機35を制御するもので、マイクロコンピュータ等により構成され、タンクユニット33に内蔵されている。制御部36は、制御プログラム等が予め記憶された記憶回路と、前記制御プログラムに基いて演算を行う演算処理装置(CPU)と、信号の入出力を行う入出力ポートとを備えている。入出力ポートには、HPユニット7及びタンクユニット33が備える前述の各種センサ類、各種弁類、ポンプ類等が接続されている。制御部36は、各センサの出力、リモコン44の設定等に基いて各種弁類、ポンプ類等を駆動することにより、各種の運転動作を実行する。一例を挙げると、制御部36は、リモコン44から入力された給湯負荷要求を満たすために必要な貯湯温度及び貯湯量の目標値を決定し、貯湯タンク8の実際の貯湯温度及び貯湯量が前記目標値と一致するようにHPユニット7を制御して沸き上げ運転を実行する。
また、制御部36は、宅内のルーター80、ホームゲートウエイ81等を経由して、インターネット回線39に接続されている。ホームゲートウエイ81は、HEMS(ホームマネージメントシステム)を構成するものである。制御部36は、インターネット回線39を経由して外部と通信することにより、電力会社から電力料金の時間帯別単価情報を入手することができる。また、制御部36は、給湯機の動作情報、現在のエラー情報等をHEMSに送信する。これにより、HEMSは、貯湯式給湯機35を含む各種の家電機器を管理する。
制御部36には、入力手段としてのリモコン44が相互通信可能に接続されている。図3は、リモコンの構成及び表示の一例を示す説明図である。この図に示すように、リモコン44は、貯湯式給湯機35の状態等の情報を表示する表示部60、ユーザーが操作するスイッチ48等を含む操作部、スピーカ46、マイク47等を備えている。また、リモコン44は、ユーザーが希望する給湯使用量、給湯温度、給湯使用時刻等を給湯負荷要求として入力する機能を備えている。
次に、制御部36により実行される貯湯式給湯機の制御について説明する。まず、HPユニット7により貯湯タンク8内の湯水を加熱する加熱運転としての沸き上げ運転について説明する。沸き上げ運転では、まず、三方弁11により、水導出口配管10とHP往き配管14とを連通すると共に、温水導出配管20bを閉じてふろ用熱交換器20から戻る流路を遮断する。また、四方弁18により、HP戻り配管15と送湯配管13とを連通すると共に、第1バイパス配管16を閉じて貯湯タンク8の温水導入口8cに向かう流路を遮断する。そして、この状態でHPユニット7及び熱源ポンプ12を駆動する。
これにより、貯湯タンク8の下部から流出する低温水は、水導出口配管10、三方弁11、熱源ポンプ12及びHP往き配管14を順次経由してHPユニット7に流入し、HPユニット7により加熱される。そして、HPユニット7から流出した高温水は、HP戻り配管15、四方弁18及び送湯配管13を順次経由して、貯湯タンク8の温水導入出口8dに流入し、貯湯タンク8の内部に貯湯される。このように、沸き上げ運転が実行されることで、貯湯タンク8の内部には、上部側から高温水が貯留されていき、この貯湯量の増加は、貯湯温度センサ42,43により検出される。そして、沸き上げ運転は、貯湯量が目標値に到達した時点で終了され、熱源ポンプ12及びHPユニット7が停止される。
次に、図2を参照して、制御部36により実行される基本的な制御について説明する。図2は、電力料金の時間帯別単価情報に基いて沸き上げ運転の有無を制御する制御例を示すフローチャートである。この図に示すように、制御部36は、まず、ステップS1において、インターネット回線39から電力料金の時間帯別単価情報を入手する。ここで、時間帯別単価情報とは、複数の時間帯における電力料金の相対的な高さ(安さ)、及び、前記各時間帯の開始時間及び終了時間を含む情報である。なお、電力料金の相対的な高さ(安さ)に代えて、個々の時間帯における電力料金単価の具体値を用いてもよい。また、ステップS1では、電力会社により設定されている全ての時間帯の時間帯別単価情報、即ち、電力料金単価が前後の時間帯と異なる全ての時間帯の時間帯別単価情報を入手することが好ましい。なお、図2中のステップS1は、4つ以上の異なる時間帯の時間帯別単価情報を外部との通信により入手する電力料金情報入手手段の具体例に相当している。
制御部36は、入手した電力料金の時間帯別単価情報と、現在時刻と、HPユニット7の現在の作動情報とをリモコン44に送信する。そして、図3に示すように、時間帯別単価情報を現在時刻と関連させてリモコン44に表示し、電力料金単価が異なる複数の時間帯のうち現在時刻がどの時間帯に属しているのかをユーザーに報知する。また、制御部36は、HPユニット7の現在の作動状態、即ち、現在沸き上げ運転中であるか否かをリモコン44に表示させる。これにより、複数の時間帯に個別の電力料金単価が設定されている場合でも、ユーザーは、リモコン44の表示を見るだけで、各時間帯の電力料金体系、現在時刻の電力料金単価及び現在の沸き上げ運転の状態を容易に把握することができ、ユーザーの利便性を向上させることができる。
なお、図3では、例えば電力料金が異なる6つの時間帯が存在する場合において、各時間帯の電力料金単価の高さ及び安さを相対的に表示している。具体的に述べると、「電力料金の高い時間帯」とは、他の時間帯と比較して電力料金単価が高い時間帯(例えば、電力料金単価が最も高い時間帯)に相当している。「電力料金の安い時間帯」とは、他の時間帯と比較して電力料金単価が安い時間帯(例えば、電力料金単価が最も安い時間帯)に相当している。また、「電力料金の通常時間帯」とは、電力料金単価が「電力料金の高い時間帯」よりも安く、かつ、「電力料金の安い時間帯」よりも高い時間帯に相当している。なお、本発明は、4つ以上の複数の時間帯の時間帯別単価情報に対応できればよいもので、対応する時間帯は、図3に示す6つの時間帯に限定されるものではない。
次に、図2中のステップS2では、例えば電力料金の時間帯別単価情報、現在時刻等に基いて、沸き上げ運転により湯を沸かす必要があるか否かを判定する。なお、ステップS2で行う具体的な判定処理については、後述する。ステップS2の判定が成立した場合には、ステップS3に移行し、HPユニット7を作動させることにより沸き上げ運転を実行する。また、ステップS2の判定が不成立の場合には、本ルーチンを終了する。これにより、制御部36は、給湯負荷が逼迫していない限り、電力料金の安い時間帯で沸き上げ運転を優先して実行することができる。また、制御部36は、図4に示すように、上記制御により実行された沸き上げ運転の開始時間及び完了時間を示す履歴をリモコン44に表示させてもよい。なお、図4は、沸き上げ運転の履歴の表示例を示す説明図である。
次に、図5を参照して、電力料金の安い時間帯での制御について説明する。図5は、電力料金の安い時間帯での沸き上げ運転により給湯負荷要求に対応可能な場合の制御例を示すフローチャートである。この図において、まず、ステップS10では、電力料金が安い時間帯であるか否かを判定し、この判定が成立した場合には、ステップS11に移行する。また、ステップS10の判定が不成立の場合には、本ルーチンを終了する。
次に、ステップS10では、ユーザーが入力した給湯負荷要求をリモコン44から読込むと共に、貯湯温度センサ42,43の検出結果に基いて貯湯タンク8の現在の貯湯温度及び貯湯量を検出する。そして、現在の貯湯温度、貯湯量、給湯負荷要求の給水温度及びHPユニット7の加熱能力によって電気料金が安い時間帯のみで沸き上げ運転を実行することで給湯負荷要求を満足できるか否かを判定する。この判定が成立した場合には、電力料金が相対的に高い他の時間帯に沸き上げ運転を行う必要がないので、ステップS12に移行して沸き上げ運転を実行する。一方、ステップS11の判定が不成立の場合には、本ルーチンを終了する。
このように、図5に示す制御では、他の時間帯と比較して電力代が安い時間帯にのみ沸き上げ運転を行うことで給湯負荷要求を満足できるか否かの判定を実行し、前記判定が成立する場合には、電力代が安い時間帯にのみ沸き上げ運転を効率よく行うようにしている。これにより、電力代が安い時間帯のみで供給可能な給湯負荷要求に対しては、他の時間帯で沸き上げ運転を行わずに対応することができ、電力料金を削減することができる。
次に、図6を参照して、電力料金の安い時間帯のみでは給湯負荷要求を満足できない場合の制御について説明する。図6は、電力料金の安い時間帯での沸き上げ運転では、貯湯量が不足する場合の制御例を示すフローチャートである。この図において、まず、ステップS20では、電力料金の安い時間帯であるか否かを判定し、この判定が成立した場合には、本ルーチンを終了する。また、ステップS20の判定が不成立の場合には、ステップS21に移行する。
ステップS21では、現在時刻が給湯負荷要求として入力された給湯使用時刻に近いか否かを判定する。具体例を挙げると、現在時刻と給湯使用時刻との時間差が予め設定された判定時間よりも小さいか否かを判定する。ステップS21の判定が不成立の場合には、まだ給湯使用時刻が近くないので、本ルーチンを終了する。一方、ステップS21の判定が成立した場合には、ステップS22に移行する。
ステップS22では、湯を沸かす必要があるか否かを判定する。具体的には、例えば貯湯タンク8の現在の貯湯量及び貯湯温度と、給湯負荷要求として入力された給湯使用量及び給湯温度とを比較することにより、沸き上げ運転を行う必要があるか否かを判定する。ステップS22の判定が成立した場合には、現在時刻が電力料金の安い時間帯ではなく、かつ、給湯使用時刻が近く、更に、給湯負荷要求と比較して貯湯タンク8内の貯湯熱量が不足していると判断される。そこで、この場合には、ステップS23に移行し、沸き上げ運転を行った後に、本ルーチンを終了する。一方、ステップS22の判定が不成立の場合には、貯湯タンク8内に十分な貯湯熱量を存在するので、本ルーチンを終了する。
このように、図6に示す制御では、電力料金が安い時間帯にのみ沸き上げ運転を行うことで給湯負荷要求を満足できない場合に、給湯使用時刻に最も近い他の時間帯で沸き上げ運転を行うことができる。また、この制御では、給湯使用時刻に最も近い時間帯の全ての時間にわたって沸き上げ運転を実行しても給湯負荷要求を満足できない場合に、他の時間帯のうち給湯使用時刻に近い時間帯から順に沸き上げ運転を実行し、給湯負荷要求が満たされる時間帯まで沸き上げ運転を続行することができる。これにより、電力料金が安い時間帯では対応しきれない場合でも、電力料金の上昇を最低限に抑制しつつ、沸き上げを効率よく行うことができる。
次に、ユーザーが給湯モードを設定する場合の動作について説明する。制御部36は、ユーザーが給湯負荷要求の入力を簡単に行えるように、複数の給湯モードを備えている。個々の給湯モードは、1組の給湯使用量及び給湯温度がセットにして記憶されたものである。図7は、給湯モードを設定する場合の制御例を示すフローチャートである。この図において、まず、ステップS30では、例えばリモコン44の操作内容に基いて、ユーザーが給湯負荷要求を入力するか否かを判定する。この判定が成立した場合には、ステップS31に移行する。ステップS30の判定が不成立の場合には、本ルーチンを終了する。
ステップS31では、ユーザーがリモコン44にて所望の給湯使用量及び給湯温度を入力したときに、これらの入力内容を1つの給湯モードとして記憶する。図12は、給湯モードの設定時におけるリモコンの表示例を示している。この例では、例えば給湯使用量50Lと給湯温度42℃とをセットにした給湯負荷要求1、及び、給湯使用量100Lと給湯温度40℃とをセットにした給湯負荷要求2が、2つの給湯モードとして表示されている。このように、制御部36は、ユーザーにより入力された複数の給湯モードを記憶し、記憶内容をリモコン44に表示させることができる。
次に、ステップS32では、給湯モードの入力が終了したか否かを判定し、この判定が成立した場合には、本ルーチンを終了する。一方、ステップS32の判定が不成立の場合には、ステップS30に戻り、ユーザーにより新たな給湯モードを入力させる。このような処理により、ユーザーは、所望の給湯使用量及び給湯温度をセットにした複数の給湯モードを設定することができる。
上記制御によれば、ユーザーは、使用頻度が高い給湯使用量と給湯温度のセットを、複数の給湯モードとして予め設定しておくことができる。これにより、給湯使用時には、例えば給湯負荷要求1、給湯負荷要求2等を選択する操作を行うだけで、所望の給湯使用量及び給湯温度を容易に設定することができ、ユーザーの利便性を向上させることができる。なお、本発明では、上記制御に加えて、個々の給湯モードを使用すると予想される予想使用時刻を前記給湯使用時刻として給湯モード毎に設定してもよい。具体例を挙げると、ステップS31において、1つの給湯モードとなる給湯負荷要求を入力したときに、当該給湯負荷要求の予想使用時刻も入力するようにする。これにより、制御部36は、ユーザーが時刻に応じて給湯負荷要求を設定しなくても、給湯モードを自動的に切換えることができ、利便性を更に向上させることができる。
次に、時間帯別の電力料金及びHPユニット7の作動状態をリモコン44に表示する処理について説明する。図8は、これらを表示するためのフローチャートである。図8において、まず、ステップS40では、インターネット回線39から入手した電力料金の時間帯別単価情報をリモコン44の表示部60に表示する。続いて、ステップS41では、HPユニット7の作動状態を表示し、本ルーチンを終了する。
次に、電力料金が安い時間帯以外は沸き上げ運転を禁止する制御について説明する。図9は、この制御の一例を示すフローチャートである。図9において、まず、ステップS50では、電力料金が安い時間帯であるかを判定する。この判定が不成立の場合には、ステップS51に移行して沸き上げ運転を禁止してから、ステップS52に移行する。なお、ステップS51の処理は、実行中の沸き上げ運転を停止すること、及び、沸き上げ運転の開始条件が成立してもこれを無視することを意味する。一方、ステップS50の判定が成立した場合には、ステップS51を実行せずに、そのままステップS52に移行する。
ステップS52では、電力料金が高い時間帯に沸き上げ運転を停止させたか否かを判定し、この判定が成立した場合には、ステップS53に移行する。ステップS53では、電力料金が安い時間帯になったか否かを判定し、この判定が成立した場合には、ステップS54へ移行する。ステップS54では、現在時刻が電力料金の安い時間帯に属しているので、貯湯量等からみて沸き上げ運転が必要と判断した場合には、HPユニット7を作動させて沸き上げ運転を実行する。一方、ステップS52,S53の何れかで判定が不成立となった場合には、本ルーチンを終了する。
このように、図9に示す制御では、電力料金単価が現在の時間帯よりも安くなる時間帯まで沸き上げ運転を禁止し、電力料金が安い時間帯となってから必要に応じて沸き上げ運転を実行するようにしている。これにより、沸き上げ運転が非効率な時間帯に行われるのを回避し、消費電力を削減することができる。なお、図9中のステップS50,S51は、加熱禁止手段の具体例に相当している。
次に、図10を参照して、給湯負荷の学習制御について説明する。図10は、給湯負荷要求と、当該給湯負荷要求に対応して生じた実際の給湯負荷との差分を学習する制御の一例を示すフローチャートである。この図において、まず、ステップS60では、ユーザーが事前に予想して入力した給湯負荷要求と、実際に使用された給湯負荷との差分を求める。具体例を挙げると、ステップS60では、給湯負荷要求として入力された給湯の予想使用時刻に対応する給湯の利用開始時刻から利用終了時刻までの時間長と、実際の給湯の利用開始時刻から利用終了時刻までの時間長とを比較し、両者の時間長の差分を求める。
次に、ステップS61では、上記2つの時間長に差があるか否かを判定し、この判定が成立した場合には、ステップS62に移行する。また、ステップS61の判定が不成立の場合には、本ルーチンを終了する。次に、ステップS62では、給湯負荷要求が実際の給湯負荷よりも大きいか否かを時間長の大小関係から判定し、この判定が成立した場合には、ステップS63に移行する。
ステップS63では、入力されている給湯負荷要求を上記時間長の差分に相当する分だけ減少させる補正を実行し、本ルーチンを終了する。このようなマイナス補正の具体例を挙げると、例えば給湯負荷要求の時間長と比較して実際に給湯を使用した時間長が5分短い場合には、入力されている給湯負荷要求の時間長(予想される給湯使用時間)を5分短縮する。この補正内容は、制御部36により学習、記憶される。そして、次回の給湯負荷要求の設定時において、例えばユーザーにより今回と同じ給湯負荷要求が入力された場合には、入力された給湯負荷要求を今回学習した給湯負荷要求に置き換える補正、即ち、給湯負荷要求の入力値を短縮する補正を行う。このような補正の有無及び補正量については、ユーザーの操作により変更可能な構成とするのが好ましい。
なお、上記説明では、入力された給湯負荷要求と実際の給湯負荷との差分を給湯使用時間の時間長として求める場合を例示した。しかし、本発明は、これに限らず、給湯負荷のうち使用時間以外の要素の差分を求めて学習するようにしてもよい。具体例を挙げると、例えば入力された給湯負荷要求が予定給湯量30Lかつ給湯温度45℃であり、実際に使用した給湯負荷が給湯量20Lかつ給湯温度42℃であった場合には、給湯量と給湯温度の組合わせにおいて、給湯負荷要求と実際の給湯負荷との差分を学習する。そして、次回の予定として入力された給湯負荷要求が予定給湯量30Lかつ湯温45℃であった場合には、これらの入力値を給湯量20Lかつ給湯温度42℃に補正する。このような補正の有無及び補正量については、ユーザーの操作により変更可能な構成とするのが好ましい。
一方、ステップS62の判定が不成立の場合には、ステップS64に移行する。ステップS64では、入力されている給湯負荷要求を前記時間長の差分に相当する分だけ減少させる補正を実行し、本ルーチンを終了する。このようなプラス補正の具体例を挙げると、例えば給湯負荷要求の時間長と比較して実際に給湯を使用した時間長が5分長い場合には、入力されている給湯負荷要求の時間長(予想される給湯使用時間)を5分延長する。この補正内容は、制御部36により学習、記憶される。そして、次回の給湯負荷要求の設定時において、例えばユーザーにより今回と同じ給湯負荷要求が入力された場合には、入力された給湯負荷要求を今回学習した給湯負荷要求に置き換える補正、即ち、給湯負荷要求の入力値を延長する補正を行う。この補正の有無及び補正量については、ユーザーの操作により変更可能な構成とするのが好ましい。
また、ステップS62においても、前述したように、使用時間以外の要素の差分を求めて学習するようにしてもよい。具体例を挙げると、例えば入力された給湯負荷要求が予定給湯量20Lかつ給湯温度42℃であり、実際に使用した給湯負荷が給湯量30Lかつ給湯温度45℃であった場合には、給湯量と給湯温度の組合わせにおいて、給湯負荷要求と実際の給湯負荷との差分を学習する。そして、次回の予定として入力された給湯負荷要求が予定給湯量20Lかつ湯温42℃であった場合には、これらの入力値を給湯量30Lかつ給湯温度45℃に補正する。この補正の有無及び補正量については、ユーザーの操作により変更可能な構成とするのが好ましい。
図10に示す制御では、ユーザーが給湯負荷要求を設定するときの傾向、癖等を学習し、学習結果に基いて給湯負荷要求が給湯実績に近づくように適切な補正を行うことができる。これにより、沸き上げ運転を更に効率よく実行し、ユーザーの利便性を向上させることができる。なお、図10に示すルーチンは、学習手段の具体例に相当している。
次に、最低貯湯量を保持するための制御について説明する。貯湯式給湯機35は、貯湯タンク8内に予め設定された最低貯湯量以上の湯を常時保持するように構成されている。図11は、最低貯湯量を保持するための制御例を示すフローチャートである。この図において、まず、ステップS70では、現在の貯湯量が最低貯湯量よりも多いか否かを判定し、この判定が成立した場合には、ステップS71に移行する。即ち、例えば最低貯湯量が50Lである場合には、現在の貯湯量が50Lよりも多い場合には、ステップS71に移行する。一方、ステップS70の判定が不成立の場合には、ステップS73に移行する。
ステップS71では、給湯負荷要求があるか否かを判定し、この判定が成立した場合には、ステップS72に移行する。また、ステップS71の判定が不成立の場合には、ステップS73に移行する。ステップS72では、沸き上げ運転を実行することにより、(最低貯湯量+給湯負荷要求)分の湯を沸き上げてから、本ルーチンを終了する。一方、ステップS73では、沸き上げ運転により最低貯湯量分の湯を沸き上げてから、本ルーチンを終了する。
図11に示す制御では、貯湯タンク8に貯湯される温水の総貯湯量が最低貯湯量に対して給湯負荷要求による必要湯量の分だけ多くなるように総貯湯量を制御することができる。そして、総貯湯量が最低貯湯量よりも低下した場合には、沸き上げ運転を開始することができる。従って、給湯負荷要求がどのように変化する場合でも、貯湯タンク8内に最低貯湯量分の湯を残しておくことができ、想定外の給湯負荷等に対しても湯切れを抑制することができる。
なお、本実施の形態において、制御部36は、上述した図2及び図5から図11に示す制御の全部または一部を適宜組合わせて沸き上げ運転を制御するものである。
以上詳述した通り、本実施の形態では、4つ以上の異なる時間帯の時間帯別単価情報を外部との通信により入手し、入手した時間帯別単価情報に基いて沸き上げ運転を制御するようにしている。これにより、電力料金体系が複雑な場合でも、1日のうちで電力料金が安い時間帯と電力料金が高い時間帯とを細かく把握し、例えば電力料金が安い時間帯を利用して沸き上げ運転を数回に分けて行うことができる。従って、電力自由化等により電力料金の異なる時間帯が4つ以上に細分化された場合でも、ユーザーが意識することなく、沸き上げ運転を適切なタイミングで小刻みに実行して必要な貯湯量を確保することができ、電力コストを抑制することができる。
なお、前記実施の形態1では、加熱手段としてヒートポンプサイクルを利用するHPユニット7を例示した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばヒータ式、燃料燃焼式の加熱手段を備える貯湯式給湯機に適用してもよい。