本発明に基づいた各実施の形態におけるシール材について、以下、図を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
(関連技術)
図1は、関連技術におけるシール材を示す平面図である。図2は、図1中のII−II線上に沿ったシール材を示す断面図、図3は、関連技術におけるあり溝を示す断面図、図4は、関連技術におけるシール材があり溝に装着された状態を示す断面図である。
図1から図4を参照して、関連技術におけるシール材10の基本的な構造について説明する。本関連技術におけるシール材10は、図3に示すあり溝52に装着される閉環状のシール材である。シール材10は、あり溝52の底面53に配置される本体部21と、本体部21の端部から折れ曲がり、あり溝52の外部に向けて延びるリップ部31とを備えるシール断面を有する。そのシール断面は、本体部21およびリップ部31の各々が、本体部21とリップ部31との間の折れ曲がり位置41から直線状に延伸するV字形状をなす。好ましくは、直線状に延伸する方向の直交方向における本体部21の幅B1が、直線状に延伸する方向の直交方向におけるリップ部31の幅B2よりも大きく設けることが好ましい。
続いて、シール材10の構造について説明する。シール材10は、閉環状のシール材であり、第1部材51と第2部材61との間を封止するために使用される。シール材10は、ゴム等の弾性部材から形成されている。シール材10に用いられるゴム材料としては、たとえば、硬度50〜90HA程度のフッ素ゴム、シリコンゴム、EPDM系ゴムなどが挙げられる。シール材10は、シール内径Raを有する。
第1部材51および第2部材61は、それぞれ、合わせ面56および合わせ面66を有する。第1部材51および第2部材61は、合わせ面56と合わせ面66とが互いに向かい合わせとなるように配置される。たとえば、合わせ面56および合わせ面66を有する装置としては、リリーフバルブ等が挙げられる。また、シール材10によって高圧側と低圧側(大気側)とが仕切られる場合には、図示の断面において左側(円環状の外側)が高圧側、右側(円環状の内側)が低圧側となる。以下に示す各実施の形態においても同様である。
第1部材51には、閉環状のあり溝52が形成されている。シール材10は、あり溝52に装着される。あり溝52は、第1部材51の合わせ面56に開口する溝形状を有する。閉環状に延びるあり溝52の接線方向に直交する平面により第1部材51を切断した場合に、あり溝52は、台形の断面形状を有する。
あり溝52は、底面53および側面54を有する。底面53は、第1部材51の合わせ面56に平行に延在する。側面54は、第1部材51の合わせ面56におけるあり溝52開口面から底面53に向かってテーパ状に広がる。底面53と側面54とは、湾曲しながら互いに連なっている。
上記では、内径側の側面54と外径側の側面54との両方がテーパ状に広がるあり溝52について説明したが、これに限られず、内径側の側面54のみがテーパ状に設けられたあり溝にシール材10が装着されてもよい。
閉環状に延びるシール材10の接線方向に直交する平面によりシール材10を切断した場合に、シール材10は、本体部21およびリップ部31を備えるシール断面を有する。
本体部21は、あり溝52の底面53に配置される。リップ部31は、本体部21の端部から折れ曲がり、あり溝52の外部に向けて延びる。シール材10のシール断面は、本体部21が、本体部21とリップ部31との間の折れ曲がり位置41から直線状に延伸し、リップ部31が、本体部21とリップ部31との間の折れ曲がり位置41から直線状に延伸するV字形状をなす。本体部21とリップ部31とは、90°よりも小さい角度で交わっている。
本体部21は、先端部22を有する。先端部22は、本体部21が本体部21とリップ部31との間の折れ曲がり位置41から直線状に延伸する先端に設けられている。先端部22は、あり溝52の底面53の直上に配置されている。リップ部31は、先端部32を有する。リップ部31は、リップ部31が本体部21とリップ部31との間の折れ曲がり位置41から直線状に延伸する先端に設けられている。先端部32は、あり溝52の外部に配置されている。
本体部21は、本体部21とリップ部31との間の折れ曲がり位置41から先端部22に向けて、あり溝52の底面53に平行な方向に延伸する。リップ部31は、本体部21とリップ部31との間の折れ曲がり位置41から先端部32に向けて、あり溝52の側面54に平行な方向に延伸する。
本体部21は、表面21aおよび裏面21bを有する。表面21aは、あり溝52の底面53に接触する。裏面21bは、表面21aの裏側に配置されている。表面21aと裏面21bとは、互いに平行に延在する。リップ部31は、表面31aおよび裏面31bを有する。表面31aは、あり溝52の側面54に接触する。裏面31bは、表面31aの裏側に配置されている。表面31aと裏面31bとは、互いに平行に延在する構造が採用されているが、これに限定されるものではない。
直線状に延伸する方向の直交方向における本体部21の幅B1は、直線状に延伸する方向の直交方向におけるリップ部31の幅B2よりも大きく設けることが好ましい。本体部21の幅B1は、表面21aと裏面21bとの間の長さであり、リップ部31の幅B2は、リップ部31の表面31aと裏面31bとの間の長さである。本関連技術では、本体部21の幅B1が、リップ部31の幅B2と等しい。
本体部21の断面積は、リップ部31の断面積以上であるとよい。本関連技術では、本体部21の断面積がリップ部31の断面積と等しい。
本関連技術では、直線状に延伸する方向における本体部21の長さL1が、直線状に延伸する方向におけるリップ部31の長さL2と等しい(L1=L2)。シール材10は、折れ曲がり位置41における先端部42と、本体部21の先端部22と、リップ部31の先端部32とを結んだ形状が二等辺三角形となるシール断面を有する。
先端部22および先端部32の形状は特に限定されないが、本関連技術の場合、表面21aと裏面21bとが、先端部22において湾曲しながら互いに連なり、表面31aと裏面31bとが、先端部32において湾曲しながら互いに連なっている。
リップ部31の先端部32を湾曲形状とすることにより、第2部材61によるシール材10の押圧時、リップ部31をより円滑に弾性変形させることができる。
先端部32の曲率半径(シールトップ)は、0よりも大きくリップ部31の幅B2÷2以下であることが好ましく、先端部22の曲率半径は、0よりも大きく本体部21の幅B1÷2以下であることが好ましい。
表面21aと表面31aとは、折れ曲がり位置41において湾曲しながら互いに連なっている。裏面21bと裏面31bとは、折れ曲がり位置41において湾曲しながら互いに連なっている。本関連技術では、表面21aと表面31aとが連なる位置の曲率半径Rxが、裏面21bと裏面31bとが連なる位置の曲率半径Ryよりも小さい。
シール材10の表面21aと表面31aとが連なる位置の曲率半径Rxは、あり溝52の底面53と側面54とが連なる位置の曲率半径Rz以上であることが好ましい。このような構成により、シール材10をあり溝52の溝内径に沿う形態で設けることができる。
このような構成によれば、シール材10の伸張による断面変形を抑えて、シール材10をあり溝52の溝内径に沿う形態で設けることができる。これにより、シール材10があり溝52の溝内径を適度な圧力で締め付けた状態で設けられるため、あり溝52へのシール材10の装着性や、装着後のシール材10の安定性を向上させることができる。
本体部21の表面21aを基準とした時のシール材10のシール高さHは、あり溝52の溝高さh以上に設定される(H≧h)。
あり溝52の底面53と側面54とがなす溝角度がαである場合に、本体部21の表面21aとリップ部31の表面31aとがなすシール角度βは、0.7α≦β≦1.3αの関係を満たすことが好ましい。
このような構成によれば、シール材10をあり溝52の溝内径に沿う形態で設けることができる。これにより、あり溝52に対するシール材10の装着時に、シール材10が溝内径に引っ掛かった状態が得られ、装着時の作業性を向上させることができる。また、あり溝52におけるシール材10の据わり性を確保することにより、シール材10があり溝52内で捩れたり、あり溝52から脱落したりすることを防止できる。本関連技術では、シール材10のシール角度βが、あり溝52の溝角度αと等しい。
図5は、関連技術におけるシール材10の使用形態を示す断面図である。図1から図5を参照して、あり溝52に装着されたシール材10が第2部材61に圧接することにより、第1部材51と第2部材61との間が封止される。このとき、第1部材51の合わせ面56と第2部材61の合わせ面66との間には、微小な隙間が形成される。リップ部31は、第2部材61の合わせ面66と接触し、押圧されることによって、あり溝52の内側に向けて弾性変形する。
たとえば、上記構成が採用されたリリーフバルブは、真空容器の内圧を調節するために用いられる。具体的には、弁体としての第2部材61がバネにより接続口を有する筐体としての第1部材51に付勢されている。第1部材51には、環状に設けられたシール材10の中心位置に接続口(図示省略)が設けられている。このような仕様のリリーフバルブにおいては、少ない差圧でリリーフを可能とするため、圧縮コイルバネの押し付け荷重を極限まで低くすることが求められ、また、リリーフバルブの加工精度が高くない場合でも、圧縮コイルバネの付勢力と差圧力を用いて弁体を閉方向に移動させることが求まられている。本関連技術におけるシール材10は、このような用途で好適に利用される。
しかし、上記関連技術におけるシール材10においては、装置の仕様上の圧縮荷重が一定で、かつシール材の形状や物性が均一の場合は圧縮荷重とシール材10との反力が釣り合ったところでフランジが静止し、クリアランスが確保されるが、ばらつきにより圧縮荷重がシール材の反力を上回った場合は第1部材51および第2部材61が接触することを許容する場合があった。
(実施の形態1)
次に、図6から図9を参照して、実施の形態1におけるシール材100について説明する。図6は、実施の形態1におけるシール材100を示す平面図、図7は、図6中のVII−VII線上に沿ったシール材を示す断面図、図8および図9は、実施の形態におけるシール材100があり溝に装着された状態を示す第1および第2断面図である。なお、本実施の形態のシール材100が装着されるあり溝52の形態は、上記図3で示したあり溝と基本的には同一であるため、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さないこととする。
図6から図9を参照して、本実施の形態におけるシール材100の基本的な構造について説明する。本実施の形態におけるシール材100は、あり溝52に装着される閉環状のシール材である。シール材100は、あり溝52の底面53に配置される本体部121と、本体部121に一方端部が連結し、他方端部があり溝の外部に向けて延びる、変形部としてのリップ部131とを備えるシール断面を有する。リップ部131は、本体部121のあり溝52の底面53とは反対側において、本体部121に連結されるとともに、本体部121に対して所定距離隔てて配置される。
そのシール断面は、本体部121およびリップ部131の各々が、本体部121とリップ部131との間の折れ曲がり位置141から直線状に延伸するV字形状をなす。好ましくは、直線状に延伸する方向の直交方向における本体部121の幅B1が、直線状に延伸する方向の直交方向におけるリップ部131の幅B2よりも大きく設けることが好ましい。
続いて、シール材100の構造について具体的に説明する。シール材100は、閉環状のシール材であり、第1部材51と第2部材61との間を封止するために使用される。シール材100は、ゴム等の弾性部材から形成されている。シール材100に用いられるゴム材料としては、たとえば、硬度50〜90HA程度のフッ素ゴム、シリコンゴム、EPDM系ゴムなどが挙げられる。シール材10は、シール内径Rbを有する。
閉環状に延びるシール材100の接線方向に直交する平面によりシール材100を切断した場合に、シール材100は、本体部121およびリップ部131を備えるシール断面を有する。
本体部121は、あり溝52の底面53に配置される。リップ部131は、本体部121の端部から折れ曲がり、あり溝52の外部に向けて延びる。シール材100のシール断面は、本体部121が、本体部121とリップ部131との間の折れ曲がり位置141から直線状に延伸し、リップ部131が、本体部121とリップ部131との間の折れ曲がり位置141から直線状に延伸するV字形状をなす。本体部121とリップ部131とは、90°よりも小さい角度で交わっている。
本体部121は、先端部122を有する。先端部122は、本体部121が本体部121とリップ部131との間の折れ曲がり位置141から直線状に延伸する先端に設けられている。先端部122は、あり溝52の底面53の直上に配置されている。リップ部131は、先端部132を有する。リップ部131は、リップ部131が本体部121とリップ部131との間の折れ曲がり位置141から直線状に延伸する先端に設けられている。先端部132は、あり溝52の外部に配置されている。
本体部121は、本体部121とリップ部131との間の折れ曲がり位置141から先端部122に向けて、あり溝52の底面53に平行な方向に延伸する。リップ部131は、本体部121とリップ部131との間の折れ曲がり位置141から先端部132に向けて、あり溝52の側面54に平行な方向に延伸する。
本体部121は、表面121aおよび裏面121bを有する。表面121aは、あり溝52の底面53に接触する。裏面121bは、表面121aの裏側に配置されている。表面121aと裏面121bとは、互いに略平行に延在する。リップ部131は、表面131aおよび裏面131bを有する。表面131aは、あり溝52の側面54に接触する。裏面131bは、表面131aの裏側に配置されている。表面131aと裏面131bとは、互いに平行に延在する。
直線状に延伸する方向の直交方向における本体部121の幅B1は、直線状に延伸する方向の直交方向におけるリップ部131の幅B2よりも大きく設けることが好ましい。本体部121の幅B1は、表面121aと裏面121bとの間の長さであり、リップ部131の幅B2は、リップ部131の表面131aと裏面131bとの間の長さである。本実施の形態では、本体部121の幅B1は、リップ部131の幅B2よりも大きく設けられている。
さらに、本体部121の先端部122には、リップ部131側に延びる凸部151が設けられている。直線状に延伸する方向の直交方向における凸部151の幅H2は、直線状に延伸する方向の直交方向における本体部121の幅B1よりも大きく設けることが好ましい。
先端部122、凸部151、および、先端部132の形状は特に限定されないが、本実施の形態の場合、表面121aと裏面121bとが、先端部122および凸部151において湾曲しながら互いに連なり、凸部151には、リップ部131側に位置する湾曲状の凸面152が設けられ、凸面152の表面は、先端部122と斜辺151aと連続し、また、裏面121bとも斜辺151bと連続している。また、表面131aと裏面131bとが、先端部132において湾曲しながら互いに連なっている。
リップ部131の先端部132を湾曲形状とすることにより、第2部材61によるシール材100の押圧時、リップ部131をより円滑に弾性変形させることができる。また、本体部121の先端部122を湾曲形状とすることにより、仮にシール材100が本体部121とリップ部131とが反転した状態であり溝52に装着された場合であっても、第2部材61によるシール材100の押圧時、本体部121をより円滑に弾性変形させることができる。また、凸部151を設けることで、凸部151の位置を目視により確認することが可能となり、シール材100の反転装着を未然に防止することも可能となる。
先端部132の曲率半径(シールトップ)は、0よりも大きくリップ部131の幅B2÷2以下であることが好ましく、先端部122の曲率半径は、0よりも大きく本体部121の幅B1÷2以下であることが好ましい。凸部151の曲率半径は、0よりも大きければよい。
表面121aと表面131aとは、折れ曲がり位置141において湾曲しながら互いに連なっている。裏面121bと裏面131bとは、折れ曲がり位置141において湾曲しながら互いに連なっている。
なお、本実施の形態におけるシール材100においては、極低荷重を実現し、第1部材51と第2部材61との接触を防止、さらに転動を防止する形状とするためには、(a)シール幅(L1)は、あり溝底幅(L3)以下、好ましくは、「あり溝52の開口幅(L4)×(1.1〜1.2)」とし、装着性とあり溝52の開口からの脱落防止を兼ねさせるとよい。また、(b)シール厚み(B1)は、「あり溝52深さ(h)×(0.2〜0.4)」であるとよい。(c)凸部高さ(H2)は、「あり溝52深さ(h)−シール厚み(B1)」以上であるとよい。(d)ベース高さ(B1)は、「凸部高さ(H2)×(0.4〜0.6)」であるとよい。(e)シール角度(β)は、「あり溝角度(α)±30%」であるとよい。
このような構成によれば、シール材100の伸張による断面変形を抑えて、シール材100をあり溝52の溝内径に沿う形態で設けることができる。これにより、シール材100があり溝52の溝内径を適度な圧力で締め付けた状態で設けられるため、あり溝52へのシール材100の装着性や、装着後のシール材100の安定性を向上させることができる。
図10は、本実施の形態のシール材100の使用形態を示す図である。図8から図10を参照して、あり溝52に装着されたシール材100が第2部材61に圧接することにより、第1部材51と第2部材61との間が封止される。このとき、図9に示すように、リップ部131が第2部材61に当接し、リップ部131が第1部材51側に向けて倒れを開始する。その後、さらに第1部材51と第2部材61との間相対的な距離Sが小さくなると、リップ部131が凸部151の凸面152に当接する。
この際、リップ部131は、第2部材61に対する当接圧が、リップ部131が第2部材61に押されることにより凸部152に当接する前よりも、凸部に当接した後の方が高くなる。つまり、シール材100の圧縮反力が、リップ部131が凸部152に当接する前は、リップ部131のみの圧縮反力であったのが、リップ部131が凸部152に当接したの後は、リップ部131と本体部121との合計の圧縮反力に切り替わることとなる。
その結果、仮に第1部材51と第2部材61との間にシール材100の反力以上の荷重が加わった場合でも、第1部材51と第2部材61とが当接するようなことはなく、第1部材51の合わせ面56と第2部材61の合わせ面66との間には、確実に微小な隙間を形成させることを可能としている。これにより、第1部材51および第2部材61への傷の発生、接触による金属粉の発塵を抑えることができる。
また、本実施の形態のシール材100の本体部121に、凸部151が設けられていることから、凸部152が設けられた本体部121とリップ部131との判別が容易となり、シール材100のり溝52への装着の際の方向性の区別が容易となり、本体部121とリップ部131とを逆にした誤装着を防止し、かつあり溝52の内外双方の壁面と接触させることで、捻りトルクの発生による転動を防止することを可能としている。
さらに、本実施の形態におけるシール材100によれば、リップ部131の大きさを調節することで第1部材51と第2部材61との間隔を調節することができるため、従来の断面形状が円形のOリングに比べ、第1部材51と第2部材61との間のシール可能な範囲を広く設けることが可能となる。
さらに、本実施の形態におけるシール材100によれば、従来の断面形状が円形のOリングが収容されるあり溝52に装着することが可能であるため、シール材を本実施の形態のシール材100に交換するのみで、第1部材51と第2部材61との間のシール性能を高めることを可能とする。
(実施の形態2)
図11から図14を参照して、実施の形態2におけるシール材200について説明する。図11は、実施の形態2におけるシール材200を示す平面図、図12は、図11中のXII−XII線上に沿ったシール材200を示す断面図、図13は、あり溝を示す断面図、図14は、実施の形態2におけるシール材200があり溝に装着された状態を示す断面図である。
図11から図14を参照して、本実施の形態におけるシール材200の基本的な構造について説明する。本実施の形態におけるシール材200は、図13に示すあり溝52に装着される閉環状のシール材である。また、シール材200によって高圧側と低圧側(大気側)とが仕切られる場合には、図示の断面において左側(円環状の外側)が高圧側、右側(円環状の内側)が低圧側となる。
シール材200は、あり溝52の底面53に配置される本体部240と、本体部240に一方端部が連結し、他方端部があり溝の外部に向けて延びる、変形部としてのリップ部231とを備えるシール断面を有する。リップ部231は、本体部240のあり溝52の底面53とは反対側において、本体部240に連結されるとともに、本体部240に対して所定距離隔てて配置される。
そのシール断面は、本体部240は、全体として略矩形形状を有し、リップ部231が斜め上方に向かって突出している。本体部240の最も突出した幅W1は、あり溝52の上端開口幅GW1よりも大きく設けられ、下端の幅(平坦部幅)W2および上端の幅(角当り部幅)W3は、あり溝52の上端開口幅GW1よりも小さく設けられている。なお、本実施の形態において、本体部240の最も突出した幅W1と凸部高さH3とは略同一の寸法に設定されている。
続いて、シール材200の構造について具体的に説明する。シール材200は、閉環状のシール材であり、第1部材51と第2部材61との間を封止するために使用される。シール材200は、ゴム等の弾性部材から形成されている。シール材200に用いられるゴム材料としては、たとえば、硬度50〜90HA程度のフッ素ゴム、シリコンゴム、EPDM系ゴムなどが挙げられる。シール材200は、シール内径Rcを有する。
第1部材51および第2部材61は、それぞれ、合わせ面56および合わせ面66を有する。第1部材51および第2部材61は、合わせ面56と合わせ面66とが互いに向かい合わせとなるように配置される。たとえば、合わせ面56および合わせ面66を有する装置としては、リリーフバルブ等が挙げられる。
第1部材51には、閉環状のあり溝52が形成されている。シール材200は、あり溝52に装着される。あり溝52は、第1部材51の合わせ面56に開口する溝形状を有する。閉環状に延びるあり溝52の接線方向に直交する平面により第1部材51を切断した場合に、あり溝52は、上端開口部54aが最も狭い開口を形成し、内部程開口が拡径する断面形状を有する。
あり溝52は、底面53および側面54を有し、断面は略壺形状である。底面53は、第1部材51の合わせ面56に平行に延在する。側面54は、第1部材51の合わせ面56におけるあり溝52の開口面から底面53に向かって下方に向かって延びる。底面53と側面54とは、湾曲しながら互いに連なっている。
閉環状に延びるシール材200の接線方向に直交する平面によりシール材200を切断した場合に、シール材200は、本体部240およびリップ部231を備えるシール断面を有する。
本体部240は、あり溝52の底面53に配置される。本体部240の底面には、内部に向かって凹む凹部を有する表面221aが設けられている。リップ部231は、本体部240の上端部の内側から外側に向かって斜め上方に延びる。シール材200のシール断面は、本体部240の上面とリップ部231とがV字形状をなす。本体部240の上面とリップ部231とは、90°よりも小さい角度で交わっている。
本体部240は、表面221aおよび裏面221bを有する。表面221aは、あり溝52の底面53に接触する。裏面221bは、表面221aの裏側に配置されている。表面221aと裏面221bとは、互いに略平行に延在する。リップ部231は、表面231aおよび裏面231bを有する。表面231aは、あり溝52の外部に突出している。裏面231bは、表面231aの裏側に配置されている。表面231aと裏面231bとは、互いに平行に延在する構造が採用されているが、これに限定されるものではない。
本体部240の上面には、リップ部231側に延びる凸部241が設けられている。凸部241、および、先端部232の形状は特に限定されないが、本実施の形態の場合、側面241aと凸部242とが湾曲しながら互いに連なり、凸部241は、リップ部131側に位置する湾曲状の凸面242が設けられ、凸面242の表面は、裏面221b,241bと連続している。
リップ部231の先端部232を湾曲形状とすることにより、第2部材61によるシール材100の押圧時、リップ部231をより円滑に弾性変形させることができる。
先端部232の曲率半径(シールトップ)は、0よりも大きくリップ部231の幅B2÷2以下であることが好ましい。
なお、本実施の形態におけるシール材200においては、極低荷重を実現し、第1部材51と第2部材61との接触を防止、さらに転動を防止する形状とする観点から、(a)角当り部幅(W3)と平坦部幅(W2)とは、それぞれ「上端開口幅(GW1)×90%」であるとよい。(b)凸部高さ(H3)は「溝深さ(GH1)−(シール厚み(B2))」以上であるとよい。(c)角当り部高さ(K1)は、「溝深さ(GH1)−(溝開口R以上3×溝開口R以下」であるとよい。(d)裏面221aの形状は、平らでも良いが内方に向かう窪みがあるとよい。
このような構成によれば、シール材200の伸張による断面変形を抑えて、シール材200をあり溝52の溝内径に沿う形態で設けることができる。これにより、シール材200があり溝52の溝内径を適度な圧力で締め付けた状態で設けられるため、あり溝52へのシール材200の装着性や、装着後のシール材200の安定性を向上させることができる。
図15は、本実施の形態のシール材200における使用形態を示す断面図である。図14および図15を参照して、あり溝52に装着されたシール材200が第2部材61に圧接することにより、第1部材51と第2部材61との間が封止される。上記図8から図10に示した場合と同様に、リップ部231が第2部材61に当接し、リップ部231が第1部材51側に向けて倒れを開始する。その後、さらに第1部材51と第2部材61との間相対的な距離が小さくなると、リップ部231が凸部241の凸面242に当接する。
この際、リップ部231は、第2部材61に対する当接圧が、リップ部231が第2部材61に押されることにより凸部242に当接する前よりも、凸部242に当接した後の方が高くなる。つまり、シール材200の圧縮反力が、リップ部231が凸部242に当接する前は、リップ部231のみの圧縮反力であったのが、リップ部231が凸部242に当接したの後は、リップ部231と本体部241との合計の圧縮反力に切り替わることとなる。
その結果、仮に第1部材51と第2部材61との間にシール材200の反力以上の荷重が加わった場合でも、第1部材51と第2部材61とが当接するようなことはなく、第1部材51の合わせ面56と第2部材61の合わせ面66との間には、確実に微小な隙間を形成させることを可能としている。これにより、第1部材51および第2部材61への傷の発生、接触による金属粉の発塵を抑えることができる。
また、本実施の形態のシール材200の本体部240は、本体部240が視認し易い形態を有していることから、本体部240とリップ部231との区別が容易となり、誤装着を防止し、かつあり溝の内外双方の壁面と接触させることで、捻りトルクの発生による転動を防止することを可能としている。さらに、本体部240の断面が厚さを有する矩形形状であることから、あり溝内部への装着性の向上、および、転動防止の向上が図られ、圧縮荷重やトルクによるシール材200のあり溝内部での動きを防止することを可能としている。その他、上記実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
(実施の形態3)
図16は、実施の形態3におけるシール材300を示す平面図である。図17は、図16中のXVII−XVII線上に沿ったシール材300を示す断面図である。なお、本実施の形態のシール材300が装着されるあり溝52の形態は、上記図3で示したあり溝と基本的には同一であるため、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さないこととする。図18は、実施の形態におけるシール材300があり溝52に装着された状態を示す断面図である。
図16から図18を参照して、本実施の形態におけるシール材300の基本的な構造について説明する。本実施の形態におけるシール材300は、図3に示すあり溝52に装着される閉環状のシール材である。シール材300は、あり溝52の底面53に配置される本体部321と、本体部321の上端部において上方に向かって延びる凸部341と、この凸部341に対して空隙321vを隔て、本体部321に両端部が連結し、円弧状に設けられる頂部があり溝52の外部に向けて突出するブリッジ部331とを備えるシール断面を有する。また、シール材300によって高圧側と低圧側(大気側)とが仕切られる場合には、図示の断面において左側(円環状の外側)が高圧側、右側(円環状の内側)が低圧側となる。
閉環状に延びるシール材300の接線方向に直交する平面によりシール材300を切断した場合に、シール材300は、本体部321およびブリッジ部331を備えるシール断面を有する。そのシール断面は、本体部321は、全体として略矩形形状を有し、凸部341およびブリッジ部331は、上方に向かって凸形状の三角形形状を有している。空隙321vは、V字を逆さまにした形状を有している。
シール材300は、閉環状のシール材であり、第1部材51と第2部材61との間を封止するために使用される。シール材300は、ゴム等の弾性部材から形成されている。シール材300に用いられるゴム材料としては、たとえば、硬度50〜90HA程度のフッ素ゴム、シリコンゴム、EPDM系ゴムなどが挙げられる。シール材300は、シール内径Rdを有する。
本体部321は、あり溝52の底面53に配置される。ブリッジ部331は、本体部321の上部に設けられ、あり溝52の外部に向けて延びる。ブリッジ部331は、先端部332を有する。また、ブリッジ部331には、ブリッジ部331が変形した場合に、空隙321vと外部との空気の往復を可能にするガス抜き孔331hが複数設けられている。本実施の形態のシール材300は、90度ピッチで4カ所にガス抜き孔331hが設けられている。このガス抜き孔331hの数量は、シール材300の大きさに応じて適宜最適な数量が選択されるものである。
ブリッジ部331の先端部332および凸部341を湾曲形状とすることにより、第2部材61によるシール材300の押圧時、ブリッジ部331をより円滑に弾性変形させることができる。
本実施の形態におけるシール材300においては、極低荷重を実現し、第1部材51と第2部材61との接触を防止、さらに転動を防止する形状とする観点から、(a)空隙321vを設ける中空構造とし、高圧側に複数のガス抜き孔331hを加工することがよい。(b)シール幅(L6)は、「あり溝52の開口幅(L4)以上、好ましくはあり溝52の開口幅(L4)×(1.1〜1.3)とし、装着性とあり溝52の開口からの脱落防止を兼ねさせるとよい。また、(c)シール高さ(SH)は「あり溝52深さ(h)」以上がよい。(d)シール厚み(B2)は「あり溝52深さ(h)×(0.2〜0.4)」であるとよい。(e)凸部高さ(H6)は「あり溝52深さ(h)−シール厚み(B2)」以上であるとよい。
また、あり溝52の開口幅(L4)の内径>シール材300のシール内径(Rd)、好ましくは、シール内径(Rd)=あり溝52の開口幅(L4)の内径×(0.99〜0.95)であれば、シール材300の伸張による断面変形を抑えて、シール材300をあり溝52の溝内径に沿う形態で設けることができる。これにより、シール材300があり溝52の溝内径を適度な圧力で締め付けた状態で設けられるため、あり溝52へのシール材300の装着性や、装着後のシール材300の安定性を向上させることができる。
図19は、本実施の形態のシール材300における使用形態を示す断面図である。図18および図19を参照して、あり溝52に装着されたシール材300が第2部材61に圧接することにより、第1部材51と第2部材61との間が封止される。このとき、ブリッジ部331の先端部332が第1部材51側に向けて大きく変形し、先端部332が凸部341に当接する。
上記図8から図10に示した場合と同様に、ブリッジ部331が第2部材61に当接し、ブリッジ部331が第1部材51側に向けて倒れを開始する。その後、さらに第1部材51と第2部材61との間相対的な距離が小さくなると、ブリッジ部331が凸部341に当接する。
この際、ブリッジ部331は、第2部材61に対する当接圧が、ブリッジ部331が第2部材61に押されることにより凸部341に当接する前よりも、凸部341に当接した後の方が高くなる。つまり、ブリッジ部331の圧縮反力が、ブリッジ部33が凸部341に当接する前は、ブリッジ部331のみの圧縮反力であったのが、ブリッジ部331が凸部341に当接したの後は、ブリッジ部331と本体部321との合計の圧縮反力に切り替わることとなる。
その結果、仮に第1部材51と第2部材61との間にシール材300の反力以上の荷重が加わった場合でも、第1部材51と第2部材61とが当接するようなことはなく、第1部材51の合わせ面56と第2部材61の合わせ面66との間には、確実に微小な隙間を形成させることを可能としている。これにより、第1部材51および第2部材61への傷の発生、接触による金属粉の発塵を抑えることができる。
また、実施の形態1および2で示したリップ部131,231を採用した構成の場合において、リップ部131,231が凸部151,241に接触するまでのシール反力が低い場合には、本実施の形態の構成を採用することで、先端部332の変形領域が増加する結果、シール反力を高めることができる。その他、上記実施の形態1および2と同様の作用効果を得ることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。