分析器:自動化臨床分析器(「分析器」)は、臨床化学分析器、自動化イムノアッセイ(免疫測定)分析器、又は他のタイプの体外診断(IVD)用試験分析器を含む。一般に、分析器は、複数の患者サンプルに対して一連の自動化IVD試験を実施する。患者サンプルは、分析器内に(手動又はオートメーションシステムを介して)装填され、分析器は、その後、それぞれのサンプルに対して、1つ以上のイムノアッセイ、化学試験、又は他の観察可能試験を実施し得る。分析器という用語は、モジュール式分析システムとして構成される分析器のことを指す場合があるが、それに限定されない。モジュール式分析システムは、オートメーショントラック等のオートメーション面によって線状に又は他の幾何学的構成で相互接続された複数のモジュール(同じタイプのモジュール又は異なるタイプのモジュールを含み得る)の任意の組合せを含む、一体化され且つ拡張可能なシステムを含む。幾つかの実施形態において、オートメーショントラックは、モジュール間で患者サンプル及び他のタイプの物質を移動させるために独立したキャリアがその上で使用される、一体搬送システムとして構成されてもよい。一般に、モジュール式分析システム内の少なくとも1つのモジュールは、分析器モジュールである。モジュールは、患者サンプルに対して分析タスクのより高いスループットを可能にするために、専用化又は冗長化されてもよい。
分析器モジュール:分析器モジュールは、患者サンプルに対してイムノアッセイ、化学試験、又は他の観察可能試験等のIVD試験を実施するように構成されるモジュール式分析器内のモジュールである。通常、分析器モジュールは、サンプルベッセルから液体サンプルを抽出し、反応キュベット又はチューブ(一般に反応ベッセルと呼ばれる)内で試薬とサンプルを混ぜる。分析器モジュールにおいて利用可能な試験は、電解質の分画、腎又は肝機能、代謝、心臓、ミネラル、血液疾患、薬物、イムノアッセイ、又は他の試験を含み得るが、そのいずれにも限定はされない。より高いスループットを可能にするために分析器モジュールが専用化又は冗長化されているシステムもある。分析器モジュールの機能は、モジュール式アプローチを利用しないスタンドアローン分析器によっても実施できる。
キャリア:キャリアは、オートメーションシステムにおいてサンプルベッセル(及び、その延長で流体サンプル)又は他のアイテムを移動させるために使用される搬送ユニットである。幾つかの実施形態において、キャリアは、従来のオートメーションパック(例えば、チューブ又はアイテムと係合するホルダ、オートメーショントラック内の外周コンベヤベルトが推進力を提供することを可能にするための摩擦表面、及び、トラックがパックをその行き先にルーティングすることを可能にするために、オートメーショントラック内の壁又はレールによるパックの誘導を可能にする複数の側面を備える受動デバイス)のように単純であり得る。幾つかの実施形態において、キャリアは、プロセッサ、運動システム、ガイダンスシステム、センサ、及びその他の、能動コンポーネント(部品)を含んでもよい。幾つかの実施形態において、キャリアは、オートメーションシステムにおけるポイント間で、キャリアの自己誘導を可能にするオンボードインテリジェンス(知能)を含み得る。幾つかの実施形態において、キャリアは、推進力を提供するオンボードコンポーネントを含み得るが、他のキャリアにおいて、推進力はトラック等のオートメーション面によって提供可能である。幾つかの実施形態において、キャリアは、決定ポイント間での単一方向(例えば、前後)へと移動を制限するオートメーショントラックに沿って移動する。キャリアは、サンプルチューブに係合し、そのサンプルチューブを搬送するためのチューブホルダーを有するように、IVD環境内で所与のペイロードに専用化されてもよいし、オートメーションシステム中に異なるアイテムを搬送するのに適する搭載面を含んでいてもよい。キャリアは、1つ以上のスロットを含むように構成され得る(例えば、キャリアは、1つ又は複数のサンプルベッセルを保持してもよい)。
中央コントローラ又はプロセッサ:中央コントローラ/プロセッサ(時には中央スケジューラとも呼び得る)は、オートメーションシステムの一部であって、キャリア搭載のプロセッサからは分離しているプロセッサである。中央コントローラは、キャリアのトラフィック方向、スケジューリング及びタスク管理を容易にし得る。幾つかの実施形態において、中央コントローラは、オートメーションシステム内のサブシステムと通信し、キャリアと無線通信し得る。これは、軌道又はナビゲーションの情報又は命令をキャリアに送信すること、及び、どのキャリアがいつ、どこへ行くべきかを決定することも含んでよい。幾つかの実施形態において、ローカルプロセッサは、ローカル待ち行列を管理すること等のローカルトラックセクション上のキャリアを管理することを担当する。これらのローカルプロセッサは、中央コントローラに相当するローカルのプロセッサとして働いてもよい。
決定ポイント:決定ポイントは、様々なナビゲーション決定又は軌道決定を様々なキャリアについて行うことができる、オートメーショントラックのポイントである。一般的な例は、トラック内の分岐部を含む。或るキャリアは方向転換することなく進行する一方で、別のキャリアは減速して方向転換する。決定ポイントは、幾つかのキャリアは停止する一方で他のキャリアは進行する、機器における停止ポイントを含んでもよい。幾つかの実施形態において、方向転換前の減速ゾーンは決定ポイントとして機能し、方向転換することになるキャリアが横向きの力を制限するため減速することを可能にし、一方、他のキャリアは、方向転換しない場合、又はそのキャリアについてのモーションプロファイルが減速することを必要としない場合には、進行することができる。決定ポイントにおいて行われる決定は、実施形態に応じて、キャリア搭載のプロセッサ、トラックセクションに対してローカルなプロセッサ、中央プロセッサ、又はその任意の組合せによって行われ得る。
独立キャリア:幾つかの実施形態において、キャリアは独立制御式キャリアとして特徴付けられる。独立制御式キャリアは、独立制御式軌道を有するキャリアである。幾つかの実施形態において、独立キャリアは、同じトラック上で同時に動作し、該キャリアは、サイズ、重量、フォームファクター(形状因子)、内容物の1つ以上が異なるペイロードの1つ又は複数の組合せを搬送する。各独立制御式キャリアの軌道は、オートメーションシステム内で移動する間のキャリアについての最大ジャーク、加速度、方向、速度の1つ以上を含むモーションプロファイルによって制限される。モーションプロファイル(動作予定)は、それぞれのキャリアについて軌道を個々に制限又は規定する。幾つかの実施形態において、モーションプロファイルは、オートメーションシステムの各種セクション(例えば、直線トラックセクション中に対する、方向転換中に加わる横方向の力の原因となるカーブ周辺)ごとに、種々のキャリア状態(例えば、空のキャリアは、サンプル搬送中キャリア又は試薬や他のアイテムを搬送中のキャリアとは異なるモーションプロファイルを有する場合がある)ごとに、そして、種々のキャリアごとに、異なる。幾つかの実施形態において、キャリアは、個別のキャリアごとに与えられるモーションプロファイル又は軌道又は行き先命令に応答して、個々のキャリアが独立して動作することを可能にする、オンボード推進コンポーネントを含む。
インテリジェントキャリア/半自律キャリア:幾つかの実施形態において、キャリアは、インテリジェント(知能)キャリアとして特徴付けられる。インテリジェントキャリアは、運動、ルーティング、又は軌道決定に関与するオンボード回路を有するキャリアである。インテリジェントキャリアは、命令に応答してオートメーション面に沿って進行させるソフトウェア命令を実行するデジタルプロセッサ、又は運動入力に応答するオンボードアナログ回路(例えば、ラインフォロワー回路)を含み得る。命令は、モーションプロファイル、トラフィック、又は軌道ルールを特徴付ける命令を含んでもよい。キャリアの環境に応答してキャリアをルーティングするか又は判断を行うようにオンボードプロセッサを支援するオンボードセンサも含んでいるインテリジェントキャリアもある。また、オンボードプロセッサの制御に応答してキャリアの移動を可能にする、モーター又は磁石等のオンボードコンポーネントを含んだインテリジェントキャリアもある。
体外診断(IVD):体外診断(IVD、体外診断用機器・体外診断用医薬品)は、疾病、状態、感染、代謝マーカーを検出し得る、又は身体物質/体液の種々の成分を定量化し得る試験である。これらの試験は、患者の身体外の、検査所(研究所)、病院、診療所、又は他の健康専門施設で実施される。IVD試験は、一般に、試験チューブ(試験管)その他のサンプルベッセル、又はより一般的には生存生物外の管理された環境においてアッセイに基づく診断を実施することを目的とした医療デバイスを利用する。IVDは、患者流体サンプルに実施されるアッセイに基づいて、試験及び疾病の診断又は身体物質/体液の種々の成分を定量化することを含む。IVDは、患者の体液又は膿瘍から採取される液体サンプルの分析によって実施され得る、患者の診断及び治療に関連する種々のタイプの分析試験及びアッセイを含む。これらのアッセイは、通常、患者サンプルの入ったチューブ又はバイアルが中に装填されている分析器によって行われる。IVDは、本欄で述べるIVD機能の任意のサブセットを指し得る。
ランドマーク:キャリアがオンボードセンサを含む実施形態において、トラック面から視認できる/検知できる、トラック面又は場所の光学的又は他のマークが、ランドマークとして機能する。ランドマークは、現在の場所、接近中の停止場所、決定ポイント、方向転換、加速/減速ポイント、その他の地理的情報をキャリアに伝達する。
検査所オートメーションシステム:検査所オートメーションシステムは、検査所環境内でサンプルベッセル又は他のアイテムを自動的に(例えば、オペレータ又はソフトウェアの要求で)往復させ得る任意のシステムを含む。分析器に関して、オートメーションシステムは、分析器内のステーションへ、ステーションから、又はステーション間でベッセル又は他のアイテムを自動的に移動させる。これらのステーションは、モジュール式試験ステーション(例えば、特定のタイプのアッセイに専用化し得る、そうでなければ、より大きい分析器に対し試験サービスを提供し得る、ユニット)、サンプルハンドリングステーション、格納ステーション又は作業セルを含むが、それらに限定はされない。
モジュール:モジュールは、モジュール式分析システム内で1つ以上の特定のタスク又は機能を実施する。モジュールの例には、分析試験用にサンプルの準備をする分析前モジュール(例えば、サンプル試験チューブの上部のキャップを取除くデキャッパーモジュール);サンプルの一部を抽出し、試験又はアッセイを実施する分析器モジュール;分析試験後にサンプルの格納準備をする分析後モジュール(例えば、サンプル試験チューブを再シールするリキャッパーモジュール);又はサンプルハンドリングモジュールが含まれる。サンプルハンドリングモジュールの機能は、在庫管理の目的でサンプルコンテナ/ベッセルを管理すること、ソートすること、サンプルコンテナ/ベッセルをオートメーショントラック(一体型搬送システムを含む)に載せる又はそこから降ろすこと、サンプルコンテナ/ベッセルを別個の検査所オートメーショントラックに載せる又はそこから降ろすこと、そして、サンプルコンテナ/ベッセルをトレイ、ラック、キャリア、パック、格納場所のいずれかに入れる又はそこから出すことを含む。
ペイロード:キャリアの一例について、患者サンプルを搬送することに関して説明するが、オートメーションシステムを通して他の適当なペイロードを搬送するためにキャリアが使用される実施形態もあり得る。これには、流体、流体コンテナ、試薬、廃棄物、使い捨てアイテム、部品、又は他の適切なペイロードが含まれる。
プロセッサ:プロセッサは、1つ以上のプロセッサ、関連ソフトウェア及び処理回路、あるいはこれらの組み合わせを指す場合がある。これには、各実施形態において、列挙した処理機能を実装するために、適宜、シングル又はマルチコアプロセッサ、単一又は複数のプロセッサ、組込システム、又は分散処理アーキテクチャが含まれる。
プルアウト、サイドカー、オフシュート経路:これらの用語は、トラックシステムの主要部分から外れているトラックセクションを指すために使用され得る。プルアウト又はサイドカーは、主要なトラフィックパターンから所定のキャリアを分離するための、コード(弦)、並行トラック、又は他の適当な手段を含む。プルアウト又はサイドカーは、主トラックセクション上のトラフィックを乱すことなく、物理的待ち行列を容易にするか、特定のキャリアが停止又は減速することを可能にするように構成され得る。
サンプル:サンプルは、患者(人間又は動物)から採取される流体又は他のサンプルを指し、血液、尿、ヘマトクリット、羊水、又はアッセイや試験を実施するのに適した他の流体を含む。サンプルは、場合によっては、他の患者サンプルを処理するときに分析器を支援するために使用される、キャリブレーション流体又は他の流体を指す。
STAT(Short Turn Around Time:短処理時間)サンプル:サンプルは、分析器内の非STATサンプルよりも先行させるべきサンプルに対してSTAT優先順位を割当てるために、検査所情報システム(LIS:Laboratory Information System)又はオペレータによって割当てられた種々の優先順位をもつ。これを上手く使用することで、特定のサンプルについて、他のサンプルよりも速く試験プロセスを通し移動させることができ、専門医、開業医に試験結果を迅速に渡すことが可能になる。
ステーション:ステーションは、モジュール内で特定のタスクを実施するモジュールの一部を含む。例えば、分析器モジュールに関連するピペッティングステーションは、一体型搬送システム又は検査所オートメーションシステム上でキャリアによって搬送されるサンプルコンテナ/ベッセルからサンプル流体をピペッティングするために使用される。それぞれのモジュールは、モジュールに機能を付加する1つ以上のステーションを含み得る。
ステーション/モジュール:ステーションは、分析器内で特定のタスクを実施する分析器の一部を含む。例えば、キャッパー/デキャッパーステーションは、サンプルベッセルからキャップを取外し、取り替える;試験ステーションは、サンプルの一部を抽出し、試験又はアッセイを実施する;サンプルハンドリングステーションは、サンプルベッセルを管理し、サンプルベッセルをオートメーショントラックに載せるか又はそこから降ろし、サンプルベッセルを格納位置又はトレイに入れるか又はそこから取り出す。ステーションは、モジュール式とすることができ、より大きい分析器に該ステーションを付加することが可能である。各モジュールは、1つ以上のモジュールで構成することのできる分析器に機能を付加する1つ以上のステーションを含む。幾つかの実施形態において、モジュールは、複数のモジュール、ステーションをリンクするオートメーションシステムの部分を含むか、又は、オートメーションシステムとは別にしてある。ステーションは、特定のタスクを実施するための1つ以上の器具を含む(例えば、ピペットは、オートメーショントラック上でサンプルと相互作用するためにイムノアッセイステーションで使用される器具である)。特に注記がなければ、モジュール及びステーションの概念は入れ替え可能として言及される。
チューブ/サンプルベッセル/流体コンテナ:サンプルは、試験チューブ又は他の適切なベッセル等のベッセルで搬送されて、キャリア表面を汚染することなくキャリアがサンプルを搬送することを可能にする。
従来技術における前述の問題は、自動化臨床分析器(分析器)内でステーション/試験モジュール間でサンプルを確実に又は自動的に、あるいは確実且つ自動的に搬送するための改良された装置及び方法の案出に動機を与えてきた。特に、サンプルのための半自律キャリアを使用することによって、キャリアは、従来の方法より大幅に速くサンプルを搬送し、分析器内で、試験の確実なスケジューリング、オートメーションシステム内でのトラフィックの低減、試験のレイテンシーの減少、確実なスループットを可能にする。幾つかの実施形態は、サンプルキャリアの半自律性を活用して単一動作サイクル未満でのステーション間の移動を提供し、性能ボトルネックとなる自動サンプル配置を効率的に排除するか又は大幅に低減し、より柔軟性のあるサンプルスケジューリングオプションを可能とする。
本発明の実施形態は、より少ないレイテンシー及びより個別的な制御によって、種々の分析器試験ステーション間でサンプルを往復させるためにより効率的な検査所オートメーションシステムを提供するシステム及び方法を含む。本発明の実施形態は、オートメーションシステム内を行き来するサンプルが経る待ち行列を減少させるか削除し得る。サンプルは、自動化臨床分析器(分析器)内で、単一試験ステーションで可能ではない複数の異種の試験を経る必要がある場合が多い。分析器内の試験ステーションは、特化された試験のために適合させてある。例えば、イムノアッセイは、特定のインキュベーション能力をもち、イムノアッセイに固有の試薬を使用するイムノアッセイステーションによって実施される。化学分析は、化学分析器によって実施され、電解質化学分析は、イオン選択電極(ISE:Ion Sselective Electrode)臨床分析器によって行われる。このモジュール式アプローチを使用することによって、分析器は、サンプルに対して行われる試験のタイプだけでなく、検査所のニーズに対処するために必要な試験の頻度及び容量にも、適合し得る。イムノアッセイ能力の追加が必要とされる場合、検査所は、イムノアッセイステーションを更に付加し、そのシステム内のイムノアッセイ試験について全体スループットを増加させることを選択できる。
一実施形態では、温度制御式配送システムも含む。例えば、本明細書で論じるように、キャリア又はインテリジェントキャリアは、反応ベッセルの移動時間を大幅に低減することができる。しかし、反応ベッセルが所定のルート沿いに進む(例えば、図1に示す1つ以上の試験ステーションまで移動する)ためのタイムフレームは、依然として長い時間を必要とする場合がある。このタイムフレームが、反応ベッセル内の物質の健全な又は指定保存期間よりも長い場合、原質が劣化する場合がある。このため、現在の解決策の多くは、試験温度感知物質のエリアに近接した温度制御下環境に位置させていると見られる。しかし、これは、プロセス全体の総コスト及びフットプリントを増加させる。これに鑑みると、温度制御式か断熱式の環境で反応ベッセルを搬送することができれば、臨床試験のオーバーヘッドコストは大幅に低減される。
従来技術の構成において典型的な分析器内でサンプルを搬送するときに使用するトラックの一例について幾何学的配置が図1に示される。このトラックは、トラックシステムの設計にあたって問題のある場合がある、従来技術の摩擦トラックを含む。しかし、本発明の一実施形態は、移動のために摩擦トラックを必ずしも使用する必要はなく、類似の幾何学的配置を同様に使用することができる。トラック100は、サンプル準備又は分析/試験ステーション110,120,130等の種々のステーション間で、パック又はトレイ内のサンプルを搬送する全体的に長円状のトラックである。トラック100は、単一方向トラックであるか、又は、幾つかの事例においてはリニア双方向トラックである。この例示の構成において、各分析器110,120,130は、それぞれのサイドカー112,122,132によりるサービスを受ける。トラック100と各サイドカーとの接合部に、サンプルをトラック100とサイドカーとの間で方向転換させるゲート又はスイッチが配置される。トラック100の長円性が、各分析器に対するアクセスを待つ間、サンプルを循環させるために使用される。例えば、分析器110がサイドカー112内の保留サンプルのハンドリングを終了し、元通りトラック100の主トラフィックフローにサンプルを挿入するまで、トラック100上の新しいサンプルがプルアウト112へ方向転換できないように、分析器110は、サイドカー112において満杯の待ち行列を有し得る。
従来技術のシステムには、各サイドカーが、サンプルプローブアーム114,124,134のハンドリング機構によるサービスを受けるものがある。これらのロボットハンドリングアームは、プローブ針を介してサイドカー内のサンプルからサンプル物質を吸引するか、又は、サイドカーからサンプルチューブを持ち上げ、対応する試験ステーション内にサンプルチューブを搬送する。この例示のシステムにおいて利用可能な試験ステーションは、それぞれ1つ以上の、イムノアッセイステーション110、小容積化学ステーション120、及び拡張可能な希釈/ISE電解質及び大容積化学ステーション130を含む。このアプローチの幾つかの利点は、トラック100が、ステーションに付加されるかさもなければ独立したステーションである別の検査所オートメーションシステムの一部となり得ること、そして、トラック100及びステーション110,120,130を各個別にアップグレードし、購入し、又は点検することが可能であることである。大容積化学ステーション130等の幾つかのステーションは、トラック100から独立して動作するそれ自身の摩擦トラック136を含む。摩擦トラック136は、大容量化学ステーション130のサブモジュール間でサンプルを移動させるための双方向摩擦トラックを有する。このタイプのシステムの弱点は、別個の摩擦トラックが独立動作し、オートメーション全体の制御がより複雑になることである。また、特に2つの摩擦トラック間に直接ルートが存在しない場合、摩擦トラック136とトラック100との間の移送は、時間がかかり且つ扱いの難しいものとなる。システムによっては、トラック間の移動は、ロボットアームによりサンプルを持ち上げて配置することを必要とする。
図2Aは、一実施形態で使用可能なトラックシステムの例を示す。トラック150は、時計(又は反時計)方向にサンプルキャリアがその上を移動する長方形/長円形/円形トラックである。トラック150は、一方通行又は対面通行とすることができる。キャリアは、流体サンプル、試薬、又は廃棄物等の適合ペイロードをIVD環境内で搬送する。患者サンプル等の流体は、キャリアによって搬送される試験チューブ、バイアル、キュベット等のコンテナ又はベッセル内に入れられる。キャリア及びその延長線上でサンプル等のペイロードは、主トラック150上を移動するか、又は、決定ポイント164,166等を介して方向転換する。これらの決定ポイントは、主トラック150から本明細書で述べるサイドカー160,160A,160B,160C等へサンプルを方向転換させるのに適した機械的ゲートその他の機構である。例として、サンプルキャリアが主経路150を進んで決定ポイント166に達する場合、当該サンプルキャリアは、セグメント(区間)162まで主トラック上を継続して進めるか、又は、サイドカー160へ方向転換させることができる。決定ポイント166においてサンプルキャリアを方向転換させる判断を行うシステム及び方法は、本欄全体を通して説明される。
図2Bは、本発明の一実施形態に適合可能なトラックレイアウトの別の例を示す。トラック170も、概略円形のトラックであり、サンプルキャリアは時計方向に(又は反時計方向に)に移動する。この例においては、プルアウト180,180A,180Bが、トラックの外側にサイドカーをもつ代わりのトラック内のコード(弦)である。上記同様に、サンプルキャリアが決定ポイントに達すると、主経路から出て経路180等のサイド経路へ方向転換できる。決定ポイント186において、主トラック170上のサンプルは、主トラック上を継続して進めるか、又は、経路180へ方向転換させることができる。ハンドリング経路180に沿う分析器ステーションがサンプルの処理を終えると、該サンプルは、決定ポイント184まで進行し、ここでサンプルは、主経路170上に戻すことができる。
図3は、本発明の一実施形態に関して使用可能なオートメーションシステムトラックについて、モジュール式アプローチを示す。この例において、トラックは、個々の分析器ステーション内に一体化することもでき、この場合のトラックは、個々の検査所ステーションの内部運動又はサンプルハンドリングシステムの一部として使用される。従来技術においては、各種の分析器/試験ステーション内に異種運動システムが多重にあることが一般的である。例えば、ステーションの中には、サンプルチューブのパック又はトレイを往復させるための摩擦トラックを含むと共に、サンプルの所定量が吸引され、分注されるキュベット及び反応ベッセル等の小型のベッセルを含んだ回転式コンベアを含むものもある。幾つかの実施形態において、トラックシステムの所定の部分を分析ステーション自体内に一体化することによって、各ステーションは、自身の待ち行列ロジックを含み、不必要な内部運動システムを削除するように簡略化できる。
図3に関して、トラック200は、分析器モジュール内に一体化されたモジュール式コンポーネントに分解できる。この例示のトラックにおいて、モジュール205,205A,205Bは、互いに、又は任意選択で、他のモジュール式トラックコンポーネント202,204と組合されて、図2Bに示すトラックと類似のトラックを形成する。例えば、モジュール205Aは、イムノアッセイ110(図1)と同じ機能を実施するモジュールであり得、モジュール205は、小容積化学モジュール120(図1)と同じ機能を実施するモジュールであり、モジュール205Bは、モジュール130(図1)のようにISE電解質試験を実施するモジュールである。この例において、主外周トラックは、トラックセグメント202,204,206,206A,206B,208,208A,208Bによって形成される。分析器モジュール205,205A,205B内で、内部経路210,210A,210Bが、主トラックからのプルアウトを形成する。該内部経路は、内部待ち行列のために使用されると共に、各分析器モジュール内で独立管理されて、処理されるサンプルをそれぞれのモジュールがより良好に制御できるようにする。
トラック200及びサブ経路210,210A,210Bを、各分析器モジュール205,205A,205B内に一体化する利点の一つは、各分析器モジュール内の内部ハンドリング機構を、トラックサブ経路とより良好に協働するよう専用に構成できることである。幾つかの実施形態において、モジュール205,205A,205Bは、分析器全体の動作サイクルより短い期間内でそれぞれのサンプルを処理するように構成され、処理後のサンプルがトラックシステムに沿って別のモジュールまでルーティングされるのに十分な時間を残し、他のモジュールが次の動作サイクルでサンプルを即座に処理することを可能にする。本明細書で使用する動作サイクルは、サンプルアッセイのためにモジュールに処理時間を割当てるスケジューリングアルゴリズムによって使用される時間単位である。これらは動的又は固定であると共に、分析器内でのモジュールの同期動作を可能にし、分析器内の複数のモジュール間でサンプルをスケジューリングするための信頼性のあるタイミングモデルを提供する。動作サイクル時間は、指定モジュールに必要な時間であって、該モジュールが第1のサンプルを処理し始めるときと、予定された定常状態条件下で該モジュールが別のサンプルを処理できる用意ができたときとの間の、時間であるように選択される。例えば、分析器が3秒毎に1試験を処理でき、サンプル毎の予定平均試験が7回である場合、動作サイクル時間は21秒である。個々のモジュールが、並列処理又は1サイクル内で複数サンプルを処理すること等の効率的技術を実装して、サンプル毎の試験回数が予定回数から変動するときでも、スループットを最大化し得ることは当然である。さらに、幾つかの実施形態において、個々のモジュールが種々の動作サイクル時間を有し、これらのモジュールが互いに対して実質的に非同期動作し得ることも当然である。モジュール間でサイクル時間又は需要が変動するサンプルスケジューリングの管理を支援するために、仮想待ち行列又はバッファが使用される。
単一の動作サイクル以下のオーダーで、確実なタイムフレーム内で分析器内のモジュール間の通過を可能にすることは、従来技術のトラックシステムでできない多くの性能の利点をもたらす。サンプルが、分析器の単一サイクル内で、分析器モジュールによって確実にハンドリングされ、次の分析器モジュールに搬送される場合、待ち行列におけるトラフィックハンドリングは、より単純になり、スループットはより一貫性のあるものになり、レイテンシーは制御され低減される。本質的に、こうした分析器において、サンプルはトラックシステムによって確実にハンドリングされ、均等に処理され、それにより、サンプルは、待ち行列内で待機するトラックシステム上で何もしないでいることがない。さらに、所定の分析器モジュール内の待ち行列等のシステム内の待ち行列は、確実に短縮され、システム内のモジュールの数によって制限される。
本発明の一実施形態において、トラックシステムの確実且つ迅速な特徴は、待ち行列が物理的ではなく仮想的であることを可能とする。仮想待ち行列は、物理的制限によってではなく、ソフトウェアにおいてハンドリングされる。従来、待ち行列は物理的であった。最も単純な物理的待ち行列は、サンプルハンドリング動作の何処かにおける事実上のトラフィックジャムである。ボトルネックは、サンプルキャリアがライン上で事実上停止させられる先入れ先出し(FIFO)待ち行列を生み出し、用意ができていれば分析器又は決定ポイントが待ち行列内に次のサンプルを要求し得るようなバッファを提供する。ボトルネックのために、生産としたがって効率が低下するだけでなく、タイムディレイ(遅延)もまた、反応ベッセル内の物質にとって有害である(例えば、物質が有害な温度上昇を経験する)場合がある。
ほとんどのオートメーショントラックは、付属モジュール(分析器又は前/後分析デバイス)による処理を待っているサンプルをバッファするために、FIFO処理待ち行列を維持する。これらのバッファは、モジュール又はオペレータによる要求が需要の集中をつくり出す場合でも、トラックが一定のレートでサンプルチューブを処理することを可能にする。また、FIFO待ち行列は、個々のモジュールが未処理サンプル用の前処理タスクを実施する、例えば、現在のサンプルを処理しながらキュベットを準備したり、試薬を吸引したりすることを可能にすることによって、個々のモジュールのスループットを実質的に増加させる。また、FIFO待ち行列の確実な予測性能は、幾つかの処理タスクの並列処理を可能にするが、リソースを最適化するために、サンプルに対する試験を再順序付けすることによって、モジュールがスループットを増加させる場合がある日和見スケジューリングを利用することを防止する。例えば、ほとんどのイムノアッセイ分析器の内部リソース競合は非常に複雑であるため、分析器は、最大効率に達するために、複数のサンプルからの試験をインタリーブする必要がある。FIFO待ち行列は、これらの分析器のスループットを20%程度だけ減少させ得る。FIFO待ち行列に関する別の難題は、優先サンプル(例えば、STATサンプル)をハンドリングすることができないことである。STATサンプルを即座に処理する必要がある場合、FIFO待ち行列全体が主トラック上へと押し戻されなければならず、トラック上の全ての他のサンプルを遅延させ、元のモジュールがその待ち行列をゆっくりと再構築することを強制する。これは、ワークフローにとって有害であるだけでなく、やはり、試薬ベッセルの内容物に(例えば、温度上昇によって)損傷をもたらす場合もある。
別のタイプの待ち行列は、ランダムアクセス(RA:Random Access)待ち行列である。回転式コンベアは、分析器モジュール内に見出される物理的RA待ち行列の例である。サンプルの一部を回転式コンベアリング内の1つ以上のベッセル内に等分することによって、分析器モジュールは、多数のサンプルのいずれかを選択して分析器内で何時でも処理することができる。しかし、回転式コンベアは、複雑度、サイズ、及びコストの増加を含め多くの弱点をもつ。回転式コンベアは、定常状態処理時間も増加させる。その理由は、サンプルをランダムアクセス待ち行列の中に及びそこから外へ移送する必要があるからである。処理遅延は、回転式コンベア内の位置数等、実装に依存する。一方、サンプルに対してランダムアクセス性を備えることによって、モジュール内のローカルスケジューリング機構は、サンプルを並行で処理し、所望の順序でサブステップを実施し得る。
幾つかの実施形態において、回転式コンベア又は他のRA待ち行列は、モジュールから排除可能であり、オートメーションシステムからのサブ経路(例えば210)が、RA又はFIFO待ち行列の一部として使用される。すなわち、任意の2つのポイント間のサンプルについての移送時間を、回転式コンベアの移動時間に類似する(動作サイクルの一部よりも予定通り短いといった)既知の時間に限定できる場合、トラック200は、所定のモジュール用の待ち行列の一部となる可能性をもつ。例えば、回転式コンベアを使用するのではなく、モジュール205は、サブ経路210上のキャリア内のサンプルを利用する。試薬準備等の前処理ステップは、被試験サンプルの到着前に行われる。その被試験サンプルが到着すると、サンプルの1つ以上の部分は、アッセイのためにキュベット又は他の反応ベッセル内に吸引される。幾つかの実施形態において、これらの反応ベッセルは、トラック外で、モジュール205内に含まれ、他の実施形態において、これらの反応ベッセルは、容易な運動を可能にするために、サブ経路210上のキャリア内に配置される。被試験サンプルが、1動作サイクルより長い間モジュールにあることを要求される場合、又は複数サンプルが1動作サイクル中にモジュールによって処理されることになる場合、サブ経路210は、モジュール用の待ち行列として働く。
さらに、他のモジュールに現在位置している未試験のサンプルは、次の動作サイクルのためにスケジュールされる。これらの次のサイクルのサンプルは、モジュール205用の仮想待ち行列内に存在するものとして見なされる。モジュールは、トラック200上の任意のサンプルについて、特定の動作サイクル中に到着するように該サンプルをスケジュールする。中央コントローラ又はモジュール自身が備えるコントローラは、所定のサイクルの間、サンプルに対する競合を解決する。サンプルの到着時間の事前情報をモジュールに与えることによって、各モジュールはリソースを準備し、試験又は試験の所定の部分をインタリーブして、内部リソースをより効率的に割り当てる。こうして、モジュールは、大きな物理的バッファを使用することによってではなく、ジャストインタイム方式でサンプルに対して動作できる。効果としては、所定のモジュールについての仮想待ち行列が、そのモジュールのために機能するサブ経路の物理容量よりずっと大きい可能性があり、既存のスケジューリングアルゴリズムを使用し得ることである。事実上、各モジュールは、従来技術のモジュールのサンプル回転式コンベアを扱うように、トラック200を扱い得る。
当然のことながら、仮想待ち行列を使用することによって、幾つかの実施形態において、複数のモジュールが複数の待ち行列をもつことが可能で、単一の待ち行列を又は待ち行列内のサンプルを共有可能である。例えば、特定のアッセイを実施するために2つのモジュールを装備する場合、該アッセイを必要とするサンプルは、該アッセイ用の仮想待ち行列に割り当てることができ、当該仮想待ち行列は、アッセイをハンドリングすることの可能な2つのモジュール間で共有される。このことは、モジュール間の負荷平衡化を可能にし、並列処理を容易にし得る。反応ベッセルがトラック200上のキャリア内に配置される実施形態において、(例えば、試薬準備用の又はサンプル混合用の、あるいはその両機能の)モジュールでアッセイが開始され、該アッセイが、別のモジュールで完了することがある(例えば、反応が別のモジュールで観察される)。複数モジュールは、幾つかの実施形態において、サンプルをハンドリングするためのマルチコアプロセッサとして事実上考えられ得る。これらの実施形態において、複数モジュールについてのスケジューリングアルゴリズムは、所定の動作サイクル中にサンプルについての競合を回避するように調整されるべきである。
仮想待ち行列を使用することによって、モジュールは、サンプルが他のモジュールの仮想待ち行列中にある間に該サンプルに対して動作できる。これは、サンプルの低レイテンシーを可能にする。その理由は、トラック200上に配置される各サンプルが、物理待ち行列を通して待つ必要がなく、モジュールが試験を完了するのと同程度に迅速に処理されるからである。これにより、所定の時間におけるトラック200上のサンプルキャリアの数が大幅に減少し、確実なスループットが可能になる。待ち行列又はサンプルをモジュールが共有できるようにすることによって、負荷平衡化は、システムのスループットを最大にするためにも使用される。一実施形態において、仮想待ち行列は、(例えば、残りの試験の推定される数及び継続時間に基づいて)総合時間推定を可能にしてもよい。そのため、温度制御システム(例えば、能動温度制御システム)は、既知の要因(例えば、残りの試験の時間及び継続時間)に基づいて冷却をターンオンする、ターンオフする、又は冷却量を調節する。
仮想待ち行列を使用する別の利点は、STATサンプルに優先順位を動的に割り当てることができることである。例えば、STATサンプルは、主に静的な物理待ち行列の先頭にSTATサンプルを飛び越えさせるために物理的バイパスを使用しなければならないということはなく、ソフトウェアで次の動作サイクルの間にいずれかの待ち行列の先頭に移動させることができる。例えば、次の動作サイクル中にアッセイのためにトラック200によって3つのサンプルが配送されることをモジュールが予定している場合、該モジュールにサンプルを割り当てることを担当しているスケジューラは、サンプルの1つ以上をSTATサンプルと単に置換え、次の動作サイクル中に処理のためにSTATサンプルをトラック200に配送させる。
各決定ポイントにおいて待ち行列が不要となって決定ポイント214,216等が簡素化され得る場合、物理的待ち行列は、サブ経路210,210A,210B内のみにある。上述したように、これらは、RA待ち行列又はFIFO待ち行列として扱われ得る。STATサンプルがトラック200上に配置される場合に、サブ経路210,210A,210B内のRA待ち行列は、STATサンプルを即座に処理するために解消する必要がない。いずれかのFIFO待ち行列を個々に解消することが可能である。例えば、STATサンプルがセクション222でトラック200上に配置される場合、該サンプルは、外周トラック及び決定ポイント216を経て適切な分析器205Bにルーティングされ得る。経路210B内の待ち行列において待つ他のサンプル(つまり、それらサンプルを搬送するサンプルキャリア)が存在する場合、該待ち行列内の当該サンプルのみが、STATサンプルの優先処理を可能にするために解消される必要がある。外周トラック200の周回が動作サイクルより短い時間で済むと推定される場合、経路210B内の待ち行列から流れ出たサンプルは、トラックを単純に巡って、STATサンプル直後に経路210B内の待ち行列に即座に戻され、STATサンプルによって引き起こされるいかなるダウンタイムも排除し得る。
エントリー経路220,222は、トラック200にサンプルを投入するために使用される。例えば、標準優先順位のサンプルは、投入位置220においてトラック200上に配置され、STAT優先サンプルは、投入位置222上に配置される。これら投入位置は、完了後のサンプルについての取出位置として使用可能であるが、他のポート(図示されていない)を、使用サンプルの取出経路として使用することもできる。投入位置220は、投入バッファとして実装され、トラック200へのアクセスを求める投入サンプルのためのFIFO待ち行列として働く。サンプルが投入位置220において待ち行列の先頭に達すると、該サンプルは、(キャリア内に入れられることによって、又は、投入位置220に配置されるときにキャリア内に入れられることによって)トラック上に移送される。STATサンプルは、投入位置222に配置されると直ぐにトラック200に入るが、トラック200が混み過ぎている場合、STATサンプルは、次に利用可能な、混んでいない動作サイクルでトラックに入り得る。幾つかの実施形態では、動作サイクル中にトラック上のキャリア数を監視し、総数を管理可能な量に制限し、残りの部分を投入待ち行列に残す。投入時にサンプルを制限することによって、トラック200は混雑から解放され、可能な限り最も効率的な方法でトラック200が常に動作することが可能になる。これらの実施形態において、2つのモジュール間のサンプルの通過時間は、限界を有する値(例えば、動作サイクルの一部より短い)であり、簡略化されたスケジューリングを可能にする。
幾つかの実施形態において、トラックシステム200は、双方向(対面通行)であるように設計される。これは、サンプルキャリアが外周経路とサブ経路のいずれか又は両方をどちらの方向にも走行できることを意味する。幾つかの実施形態において、追加の決定ポイント215,217を経てアクセスされる経路211B等の追加サブ経路が、双方向アクセスの提供を支援する。双方向経路には固有の利点がある。例えば、通常優先順位のサンプルが同じ方向で常にハンドリングされる場合、STATサンプルは、サブ経路に沿って反対方向でハンドリング可能である。これは、STATサンプルが、本質的に、サブ経路の出口から入り、待ち行列の解消を必要とすることなく、待ち行列の先頭に即座に配置可能であることを意味する。例えば、STATサンプルがセグメント204においてトラック200上に配置される場合、当該STATサンプルは、決定ポイント215を経て経路210Bに入り、経路210B内に進行して待ち行列の先頭に即座に配置される。一方、これらの例の全てにおいて、待ち行列はほぼサブ経路に限定されるはずなので、他のモジュールにおいて、STATサンプルがこれらのモジュールに対する即座のアクセスを必要としない場合は、待ち行列を解消する必要がない。その後のサイクルの間にSTATサンプルに関与する必要がある別のモジュールは、そのポイントにおいて自身の待ち行列を解消し、各分析器モジュールの動作をその他の方法で乱すことなく、STATサンプルに対するジャストインタイムのアクセスを提供する。
モジュール式設計には別の利点もある。分析器モジュール内のオートメーションシステムがモジュールに含まれるトラックシステムを利用するように構成される場合、共用トラックを使用するという新しい特徴が付け加えられる。例えば、モジュールは、サンプルについて処方されるアッセイを実施するために必要な試薬の全てを含む、自身の内部試薬回転式コンベアを備える。該分析器モジュール内にストックされた試薬が無くなったときに、オペレータは、幾つかの実施形態において、トラック200上のキャリアに追加試薬を装填するだけで当該試薬を補充し得る。トラック200上の試薬が適切なモジュールに達すると、該モジュールは、アーム又はフィーダシステム等の機械システムを利用して、トラックから試薬を取り入れ、当該モジュール用の試薬貯蔵部内に試薬を配置する。
幾つかの実施形態において、図3、図2A、及び図2Bに示す個々のトラック部分は、互いに独立して動作するか、又は、受動的であり得る。独立したキャリア移動は、サンプルキャリアの移動を行うために摩擦トラック全体が動作しなければならない、局部化してない(区分けしていない)コンベヤベルト等の摩擦式トラックシステムに勝る利点を提供する。この不利なシステムでは、トラック上にある他のサンプルも同じレートで移動しなければならないということである。また、特定のセクションが異なる速度で動作する場合、サンプルを搬送する受動キャリア間の衝突が起こり得るということでもある。
図4Aは、本発明で使用するキャリア250を例示する。キャリア250は、実施形態によって種々のペイロードを保持する。ペイロードは、血液又は尿等の流体サンプル256を入れたサンプルチューブ255である。他のペイロードとして、チューブのラック、試薬カートリッジ、又は他の適当なカートリッジを含む。サンプルキャリア250は、本明細書で述べる内部電子コンポーネントを収容する本体部260を含む。本体部260は、ペイロードを受け入れるブラケット262を支持する。幾つかの実施形態において、ブラケット262は、サンプルチューブ等の流体コンテナ255を受け入れて摩擦嵌合で保持するように設計された浅穴である。幾つかの実施形態において、その摩擦嵌合は、保持力を生成するばねによって固定又は付勢される弾性ボア又はクランプを使用して生成される。幾つかの実施形態において、サンプルラック及び試薬カートリッジもブラケット262で保持可能に設計され、ブラケット262が複数のペイロードタイプについてのユニバーサルベースとして機能することを可能にする。
本体部260は、ガイド部分266を含むか又はガイド部分266に連結される。ガイド部分266は、決定ポイント間でキャリア250がトラックを辿るためのものである。ガイド部分266は、例えば、トラック内の1つ以上のレールを受け入れるためのスロットを含み、横方向と垂直方向のいずれか又は両方の支持を提供する。幾つかの実施形態において、ガイド部分は、トラフ状トラックの壁等のトラック内の壁によってキャリア250を誘導できるようにする。ガイド部分266は、キャリア本体部260内のモータがトラック上で前後にキャリア又はパック250を駆動することを可能にする摩擦ホイール等の駆動機構も含む。ガイド部分266は、本欄を通し説明する実施形態で使用するのに適した磁石又は誘導コイル等の他の駆動コンポーネントを含み得る。
書換可能ディスプレイ268がキャリア250の上部に設けられる。このディスプレイ268にはLCD配向パネルが含まれ、サンプル256に関する状態情報を表示するために、キャリア250によってリアルタイムに更新される。キャリア250の上部に電子的書換可能なディスプレイを設けることによって、状態情報はオペレータによって一目で視認され得る。これは、グループ内に複数のキャリア250が存在するときに、オペレータが、探しているサンプルを迅速に判定することを可能にする。キャリア250の上部に書換可能なディスプレイを配置することによって、オペレータは、複数のキャリア250が引出し又はラック内にあるときでも、状態情報を判定し得る。
一実施形態において、キャリア250は、温度制御システム(例えば、能動又は受動温度コントロール)240を有する。例えば、温度制御システムは受動温度コントローラであり、キャリア(例えば、パック)250は、例えば符号240で示す形状で、断熱材を備えたペイロードキャリアを有する。断熱材は、更にセキュリティを提供するために隆起を付けられてもよいし、いろいろなサイズの反応ベッセルを受け入れるために展性があってもよい。断熱材は、シリカエアロゲル、ポリウレタン、ポリスチレン等の熱伝導率が低い周知の不活性材料とすることができる。断熱材は、ボックス240の形態、又は、トラック及びペイロードの要件に応じてカスタマイズされた形状とできる。一実施形態によれば、ベッセルが冷却環境に置かれたときにベッセルに対する熱流を最小にしてベッセルの元の温度又は元の温度に近い温度を維持するために、断熱コンテナが用いられる。当該実施形態によれば、軽量で、費用対効果に優れ、溶液を維持するのが容易である。さらに、本質的に受動であるため、ペイロードを過冷却したり冷凍してしまったりするリスクがない。
しかし、受動温度コントロールは、環境特性に依存することに変わりはない。例えば、場所の環境(例えば、試験検査所)が暖かい場合、断熱材は、ペイロードについて必要とされる温度を維持することができない場合がある。したがって、別の実施形態では能動温度コントロールを利用する。能動温度コントロールの場合、キャリア又はインテリジェントキャリアは、自分の温度を操作することが可能なデバイスを有する。
例えば、図4Bに示すように、キャリア255は、キャリア255の1つの又は複数の側面に取り付けられた小型の熱電デバイス(TED)252を有する。高性能コンピュータを冷却するために一般に使用される熱電冷却は、2つの異なるタイプの材料の接合部の間に熱流束を生成するペルチェ効果を使用する。図4Bに示すように、TEDパネル252は電池パック261によって電力供給される。電池パック261は、図示するようにパック260のベース、又は、他の適した表面(例えば、キャリア255、本欄で論じた受動温度制御デバイス(図4A“240”))の上に搭載される。
ペルチェクーラ、ヒータ、又は熱電ヒートポンプは、デバイスの一方の側から他の側に熱を伝達する固体能動ヒートポンプであり、電気エネルギーの消費は電流の方向に依存する。こうした器具は、ペルチェデバイス、ペルチェヒートポンプ、固体冷却器、又は熱電クーラ(TEC)とも呼ばれる。別の実施形態において、TECデバイスは、本欄で論じる受動温度コントロール(例えば、240)と組み合わされて、ペイロードを所望の温度に維持するのを助ける。
一実施形態において、図示するように、小型の電気熱量冷却(ECC)デバイスを利用してもよい。電気熱量デバイスは、印加される電界下で可逆的温度変化を有する材料を含む。ただし、これは、2つの異なる導体との電気接合部を通して電流が駆動されるときに温度差が生じる、上記の熱電効果(特に、ペルチェ効果)と混同されるべきでない。その効果は、磁気熱量効果と同様に、電圧が系のエントロピーを上げ下げすることによってもたらされる。TECデバイスと同様に、ECCデバイスは、本欄で論じる受動温度コントロール(例えば、240)と組み合わされて、ペイロードを所望の温度に維持するのを助ける。
一実施形態において、もっと慣用の冷却システムが実装されていてもよい。図4Cに示すように、圧縮機262のシステムが実装可能である。当業者には当然のことながら、気体が圧縮されるとその温度は上がる。逆に、気体が膨張するとその温度は下がる。したがって、圧縮機(例えば、蒸気圧縮機)262を、キャリア255内のペイロードを冷却するために使用可能である。図4Cに示すように、圧縮機は、コイルシステム263を利用してキャリア255を囲む。コイル263を通して圧送する材料は、冷却能力をもつ材料(例えば、エチレングリコール又は同様なもの)である。上記のシステムの場合と同様に、何らかの形態の電源が必要とされる。図4Cに示すように、電池パック261が使用されて、圧縮機262に電力を提供し、それにより、コイルシステム263に対する冷却液の一定流量を保証してもよい。
図4Dは、キャリア250が使用するトラック構成270を例示する。この例において、キャリア250Aはサンプルチューブを、一方、キャリア250Bはチューブのラックを、主トラック272、サブ経路274,274Aに沿って搬送する。経路276は、サンプルをキャリア内に入れるか、又は、該キャリアからサンプルを取り出すために、オペレータによって使用される。
図4Eは、例示したトラック構成270を更に示す。この例において、サブ経路274はイムノアッセイステーションのために機能し、一方、サブ経路274Aは臨床化学ステーションのために機能する。投入/排出レーン276は、サンプルを挿入し又は主トラック272からサンプルを取り除く際にサンプルをバッファするために、サブ経路277,278を使用するサンプルハンドラステーション280によって扱われる。
幾つかの実施形態において、サンプルハンドラ280は、サンプル又は他のペイロードを、キャリア250A,250Bに装填すると共に該キャリアから取り出す。これにより、分析器ごとのピーク需要の間にトラック277,278上で何もしないでいる大多数のキャリアの存在は必要なく、トラックシステム270内のステーションによって現在使用されているペイロードを支持するために必要とされる量まで、キャリア数が低減される。代わりに、サンプルトレイ(本明細書で開示されるキャリアがない状態で)が、投入/排出レーン276においてオペレータによって配置され/取り除かれる。このことは、システム全体のコストを低減し、必要とされるキャリアの数は、スループットを超える分析器ごとのピーク需要を予測することに基づくのではなく、分析器のスループットによって決定される。
従来技術の検査所オートメーションシステムは、コスト及び複雑度を低減するために受動パック又はトレイ(例えば、該パックは、能動又は自律システム、電力、オンボード処理、又は制御を欠いた、単純なプラスチック又はゴムブリックである)を利用するが、本発明の発明者らは、インテリジェンス及び自律性を個々のキャリア(幾つかの実施形態において、インテリジェントパック又はトレイを含む)内に一体化するために必要な複雑度及びコストの追加が、従来の検査所オートメーションシステムにおいて見過ごされてきた予想外で且つ重要な利益を提供することを認識した。したがって、本発明の実施形態では、摩擦式トラック上の受動パックに勝るいくつかの改善を可能にするために、インテリジェントな独立キャリアを利用する。例えば、従来技術のトラックシステムの不利益の一つは、パックを方向付けるための決定が、それぞれの決定ポイントにおいて、パックを回転させ、バーコードを光学的に読取ることによって、トラックによって行われることである。回転及び光学的読み取りは比較的時間がかかるプロセスである。システムは、サンプルチューブがオペレーターによってパック内に配置されたときにサンプルチューブの識別情報を得ているから、このプロセスは冗長である。本発明の実施形態は、キャリアを停止させ、回転させ、光学的に読み取ることを必要とすることなく、サンプルチューブの内容物を識別する(及び、オートメーションシステムにこの情報を通信することもできる)手段を有するキャリアを含む。
例えば、キャリアは、ペイロードのバーコードを自動的に読み取るためのオンボード光学リーダを含む。キャリアがオンボード処理能力を有する場合、スキャンの結果は、その後、キャリアのメモリに記憶される。代替的に、キャリア内にサンプルを配置するときにオペレータによって操作されるハンドバーコードリーダ等の外部ソースが、RF信号又は一時的な電気接触又は光学通信を使用する通信プロトコル等の他の知られている手段を介して、ペイロードのバーコード情報をキャリアに通信する。幾つかの実施形態において、キャリアとペイロードとの関連付けはキャリアの外部に記憶され、キャリアの個体情報は、RF通信、光通信、又は近距離無線通信によってキャリアからシステムに伝達され、システムがキャリア及びペイロードをルーティング又は追跡する際の支援を可能にする。ルーティング決定は、その後、ペイロードの固有バーコードを読み取るのではなく、キャリアによって、又はキャリアを識別することによって行われる。
個々のキャリアに処理能力とセンサ性能のどちらか又は両方を移すことによって、該キャリアは、トラックシステムを通したそれ自身のルーティングに能動的且つ知的に関与する。例えば、個々のキャリアが、自律運動性能によって又はトラックとの通信によって互いに独立して移動できる場合、いくつか性能利点が実現される。
キャリアが独立して移動することを可能にすることによって、該キャリアは、トラックをより高速に移動できる。キャリアの運動に対する1つの重要な制限は、キャリアが口の開いたチューブのサンプルをこぼしてはいけないということである。この制限因子は、ほぼ、直線におけるキャリアの速度ではなく、(加速、減速、又は方向転換中に)キャリアにかかる加速度及びジャーク(躍度・加加速度)で、これが飛沫を引き起こす。従来技術の摩擦式トラックシステムの場合、該トラックの速度は、トラック全体が移動することから、パックにかかる加速度及びジャークが閾値量を超えることがないように制限されるのが普通である。しかし、個々のキャリアに対応して独立して動作するセクション又は独立した運動能力を有する個々のキャリアを有するトラックシステムを使用することによって、平均速度を従来のトラックの平均速度よりも大きくできる一方、所定のキャリアの加速度は、加速/減速及びジャークを制限するために調節される。キャリアの上限速度を制限しないことによって、キャリアは、各トラックセクション上で適宜加速し続け、トラックを巡る実質的により高い平均速度をもたらす。このことは、分析器の1機械サイクルより短い時間でキャリアがトラックシステム全体を走行することを支援する。当該機械サイクルは、例えば、20秒又は40秒である。
同様に、自律キャリアは、それ自身の個体情報及びそのペイロードの個体情報を把握する。これは、個々の決定ポイントにおいて、キャリアがルーティング決定プロセスに能動的に関与するか又はこれを支援することを可能にする。例えば、決定ポイント(例えば、スイッチ、交差部、合流部、分岐部等)に達すると、キャリアは、RF通信又は近距離無線通信を介して、トラック又は切換機構(又は、ペイロード個体情報に基づいてキャリアが決定した目的のルート)に、自身の個体情報とそのペイロードの個体情報のどちらか又は両方を通信する。このシナリオにおいて、キャリアはバーコードスキャンのために決定ポイントにおいて停止する必要はない。代わりに、キャリアは、可能性としては減速さえすることなく進行し続けることもでき、キャリアは、リアルタイムにルーティングされる。さらに、キャリアが決定ポイントに物理的に到達する前に、自身が向かう先を把握しているか、又は、トラックにその個体情報を通信する(それにより、キャリアが何処に向かっているかをトラックが把握)場合に、もし、キャリアが方向転換することになるのであれば、該キャリアは決定ポイントの前で減速させられる。一方、キャリアが決定ポイントにおいて方向転換する必要がない場合、該キャリアは、トラックの決定ポイント又は湾曲セクションにおいて方向転換しないのであれば搬送中のサンプルがコーナリング力を受けることはないので、より高い速度で走行し続ける。
自律キャリアは、オンボード処理能力及びセンサ性能も含み得る。これにより、トラックによって方向付けられるのではなく(幾つかの実施形態においては中央コントローラがルーティング命令を搬送中のキャリアに送信するが)、キャリアが、トラック上の位置及び目的地を決定することが可能になる。例えば、トラック内の位置の符号化(位置を示す符号)又はマーカーが、キャリアの現在地を決定するためにキャリアによって読み取られる。絶対位置情報がトラック表面に符号化されて、キャリアがトラックを行き来するとき、キャリアに対して参照ポイントを提供する。この位置符号化は、多くの形態をとり得る。トラックは、トラックの現在のセクションを示す光学マーカー(例えば、仮想ハイウェイサイン)で符号化することができるし、トラックのそのセクション内に独自の絶対位置の光学符号化(例えば、仮想マイルマーカー)を更に含ませることもできる。位置情報は、絶対位置マーク間のマーキングでも符号化可能である。これらは、キャリアによる現在軌道の計算を支援するために、同期情報を提供できもする。光学符号化スキームは、当業者に知られている適切な形態をとってもよい。符号化スキームによって使用されるこれらのマークは、ロータリエンコーダに見出されるようなバイナリ位置符号化、トラック内の所定の位置に配置されたLED等の光学ランドマーク、バーコード、二次元コード、データマトリクス、反射性ランドマーク、又は同様なものを含む。また、全体位置情報が、RF/ワイヤレス手段を介してキャリアに伝達される。例えば、トラック内のRFIDマーカーが、トラックの所定の部分に入ったことをキャリアに報知するために、キャリアとの近距離無線通信を提供する。幾つかの実施形態において、トラック周囲の又はトラック近傍のローカル送信機が、キャリアがその現在地を決定することを可能にするために、GPS式の測位情報を提供する。代替的に、ホール効果センサ又はカメラ等のトラック内のセンサが、個々のキャリアの位置を決定し、キャリアにこの情報を中継する。
同様に、キャリアは、位置を決定するために累積可能なデータを提供する、相対的運動を示すセンサを有する。例えば、キャリアは、相対的位置を推測するために使用可能な速度又は加速度を求めるために、ジャイロスコープ、加速度計、又はキャリアが移動するときにスペックルパターンを観測する光学センサを有する。
キャリアは、トラックに対する自身の位置及び運動を把握できるので、キャリアは、行き先が分かっていれば基本的に自分を駆動できる。キャリアのルーティングは、種々の実施形態において、様々な方法で提供される。幾つかの実施形態において、キャリアにサンプルが装填されると、システムはキャリアに、行き先の分析器ステーションを教える。この情報は、キャリアが自律ルーティング能力を有する実施形態における行き先ステーションの識別と同程度に単純である。この情報は、キャリアが通ることになる個々のトラックセクション及び決定ポイントの特定経路を識別するルーティングリスト等の詳細情報でもある。ルーティング情報は、RF通信、近距離/誘導無線通信、電気接触通信、又は光通信等の、本明細書で述べる通信方法のいずれかを介してキャリアに伝達される。
一実施形態において、オペレータがサンプルチューブのバーコードをスキャンし、サンプルチューブをキャリア内へ配置するとき、システムは、キャリアの個体情報を決定し、該個体情報をサンプルの個体情報と結びつける。システムは、その後、サンプルが分析器内で受けなければならない試験を決定するために、サンプルに関する記録を見つけ出す。スケジューラは、その後、個々の試験ステーションによってどの試験を行うか、及び、分析のためにサンプルが各試験ステーションにいつ到達するべきかを決めることを含めて、サンプルに対して試験リソースを割り当てる。システムは、その後、キャリアが行くべき目的地、そして場合によっては、キャリアが何時進む必要があるか又は何時到着する必要があるか、あるいはその両方を、キャリアに知らせるために、キャリアに対してスケジュール(又はスケジュールの一部)を通信する。
キャリアがトラックシステム上に配置されると、キャリアのルーティング能力及び現在地取得システムは、自身のトラック上の位置及びトラック上の向かうべき位置をキャリアで決定することを可能にする。キャリアは、トラックを走行することにより個々の決定ポイントに到達し、主トラックに沿って又はサブ経路に沿って適宜方向付けられる。キャリアはこれを、各キャリアが互いに独立して動作することから、それぞれの決定ポイントにおいて必ず停止する必要無しで、そして、待ち行列内の他のキャリアを待つことなく、極めて迅速に実行する。これらキャリアは迅速に移動するため、トラックの主セクション上の通行量は少なく、トラック内の決定ポイント又はコーナー(例えば、キャリアがサンプルにかかる過度の力を回避するために減速する場合があるセクション)において衝突又はトラフィックジャムのリスクが低減される。
推進力は、多くの方法でキャリアに提供される。幾つかの実施形態において、トラックは、各キャリアに対して個別化した推進力を提供することに能動的に関与する。幾つかの実施形態において、推進力は、キャリア内の1つ以上の磁石を推進する、トラック内の電磁コイルによって提供される。この推進力を提供するためのシステムの例は、MagneMotion社によって提供されるトラックシステムであり、該トラックシステムは、MagneMotion社に譲渡された米国特許8,967,051に見出される、リニア同期モータ(LSM)の説明によって全体的に理解される。この磁気運動システムを利用する従来のシステムは、本明細書で述べるキャリアの一体化インテリジェンスを欠く受動キャリアを含んでおり、全てのルーティング及び決定は、ルーティング及び識別プロセスに関与する能動キャリアを必要とすることなく、中央コントローラによって行われる。
磁気運動を利用する実施形態において、電磁コイル及び磁石は、速度、加速度、及びジャークの的確な制御によって決定される方向に個々のキャリアを推進するLSMとして動作する。トラック上のそれぞれのコイル(又はコイルのローカルセット)が独立して動作する場合、個々のキャリアに対して高度に局所化された推進力を可能にし、それにより、個々のキャリアは、自身の個々に調節された加速度及び速度で移動する。ある時点のキャリアに対してローカルなコイルが、該コイルの近傍を通過する個々のキャリアの方向、速度、加速度、及びジャークの的確な制御を提供するために励磁される。
幾つかの実施形態において、トラックは局所的にカスタマイズ可能な摩擦トラックとして機能する、多数の個々に関節連結可能なローラから構成される。トラックの個々のマイクロセクション(小区画)が独立して管理可能であるから、キャリアのごく周辺のローラは、個別化した速度、加速度、及びジャークを提供するために制御可能である。幾つかの実施形態において、各キャリアに局所化された個々の推進力を提供する他の能動トラック構成が使用される。
幾つかの実施形態において、トラックは、ほぼ受動的であり、床、壁、レール、又はキャリアの運動に対する他の適切な制限を提供して、単一次元に沿ってキャリアを誘導する。この実施形態において、推進力はキャリア自身によって提供される。幾つかの実施形態において、個々のキャリアは、トラックとキャリアとの間の自己推進摩擦利用推進力を提供するためにホイールを駆動する、1つ以上のオンボードモータを有する。トラックがコンベヤである従来の摩擦トラックと異なり、被駆動ホイールを有するキャリアは、独立してトラックを走行し、個々に加速/減速する。これにより、各キャリアはいつでも速度、加速度、及びジャークを制御することができ、そのペイロードに加わる力を制御すると共に、個別にあてがわれたルートに沿ってトラックを走行する。幾つかの実施形態において、永久磁石がトラック内に設けられ、キャリア内の電磁石がキャリアを前進させるために動作することで、キャリアが駆動磁気力を提供する状態のLSMが構成される。他の受動トラック構成も想到される。すなわち、例えば、キャリアがウォータージェット又は同様のものを介して自律的に浮遊し移動することを可能にする流体トラック、トラックによって提供される空気ポケット上でキャリアが浮遊することを可能にする低摩擦トラック(例えば、局所化されたエアホッケーテーブルのように働く)、又は個々のキャリアがトラックを走行するときに個別化された推進力を受けることを可能にする他の構成である。
図5は、インテリジェント(高知能)自律キャリア300用の制御システム及びセンサのトップレベルシステム図を例示する。キャリア300は、ナビゲーション、保守、運動、及びキャリアを動作させるために必要とされるセンサ活動をハンドリングするのに十分な処理パワーを含むマイクロコントローラ301によって制御される。従来技術の受動キャリアと異なり、能動的であり、オンボード電子部品を含むため、キャリアは、オンボード電力ステーションを含む。このステーションの詳細は、本発明の実施形態ごとに変動する。幾つかの実施形態において、電力システム303は、キャリアが動作するときに充電される電池を備え、一方、他の実施形態においては、電池は、交換可能であるか又はキャリアが動作していないときに手動で充電される。電力システム303は、電池を維持するために、必要な充電電子部品を含む。他の実施形態において、電力システム303は、地下鉄車両又は模型電車が電力を受信するのとほぼ同じ方法で、トラック自身から電位を得るための誘導又は電気接触機構によって充電されるキャパシタを備える。
マイクロコントローラ301はシステムメモリ304と通信する。システムメモリ304は、データ及び命令メモリを含む。メモリ304内の命令メモリは、キャリアを動作させるのに十分なプログラム、アプリケーション、又は命令を含む。これは、ナビゲーションプロシージャ及びセンサハンドリングアプリケーションを含む。メモリ304内のデータメモリは、現在位置、速度、加速度、ペイロード内容物、ナビゲーション計画、キャリア又はペイロードの個体情報、あるいは他の状態情報に関するデータを含む。キャリア300内にオンボードメモリを含むことによって、キャリアは、自分の現在の状態を追跡し、情報を使用して知的にトラックを巡る経路を定める、又は、トラックや他のキャリアに状態情報を伝達する。
マイクロコントローラ301は、運動システム305、センサ312,313,314、通信システム315、状態ディスプレイ316、及びサンプルセンサ317を動作させることを担当している。これらの周辺機器は、バス310を介してマイクロコントローラ301によって制御される。バス310は、複数の周辺機器と通信することが可能なCANバス等の標準バスであるか、又は、個々の周辺機器に対する個々の信号経路を含む。周辺機器は、それら自身の電力源又は共通の電力システム303を利用する。
運動システム305は、本明細書で述べる運動システムのいずれかを動作させるために必要な制御ロジックを含む。例えば、運動システム305は、被駆動ホイールを使用する実施形態において、モータコントローラを含む。他の実施形態において、運動システム305は、キャリア300に推進力を提供するために必要な能動トラックシステムと通信するための必要なロジックを含む。これらの実施形態において、運動システム305は、マイクロコントローラ301によって実行され、トラックと通信するために通信システム315を利用するソフトウェアコンポーネントであってもよい。運動システム305によって制御されるモータ、アクチュエータ、電磁石、及び同様のもののデバイスは、これらのデバイスがキャリアにある実施形態においては、電力システム303によって電力供給される。LSMがトラック内のコイルを励磁することによって推進力を提供する実施形態を含む幾つかの実施形態においては、外部電源も電力を提供する。幾つかの実施形態において、運動システム305は、推進力を提供するためにキャリア内外のデバイスを制御する。幾つかの実施形態において、運動システム305は、トラック内のコントローラ等の他のコントローラと共に働いて、例えば、トラック内の近傍のコイルを励磁することを要求すること、又は、ローカルローラの動作を要求することによって、推進力を調整する。これらの実施形態において、運動システム315は、キャリアを移動させるために通信システム315と共に働く。
キャリア300は、1つ以上のセンサを含み得る。幾つかの実施形態において、キャリア300は、衝突検出システム312を含む。衝突検出システム312は、キャリアが別のキャリアに近づいているかどうかを判定するために、キャリアの前面又は背面にセンサを含む。衝突検出センサの例をあげると、IR距離測定、磁気センサ、マイクロ波センサ、又は光検出器が含まれる。多くの従来技術のパックは円形であるが、キャリア300は、指向性があり、前部分及び後部分を有してもよい。指向性の幾何学的形状を有することによって、キャリア300は、前衝突検出器及び後衝突検出器を含む。
幾つかの実施形態において、衝突検出情報は、通信システム315を介して受信される情報を含み得る。例えば、幾つかの実施形態において、トラック用の中央コントローラは、トラック上のキャリアの現在地及び速度を観測し、衝突状態を評価し、更新した方向をキャリアに送信して、衝突を防止し得る。幾つかの実施形態において、近傍のキャリアは、自身の位置をピアツーピア方式で通信し、これにより、他のキャリアから受信されるリアルタイム位置情報に基づいて、衝突のリスクをキャリアが個々に評価することが可能になる。当然ながら、キャリアが他のキャリアに関する軌道情報を受信するか、又は、近傍キャリアの軌道情報にアクセスできる集中化コントローラの助けを借りて決定が行われる実施形態において、キャリアは指向性である必要がなく、また、キャリアの所定の配向に依存しないセンサ又は受信機を含み得る。
キャリア300は位置デコーダ313も含む。このセンサは、本明細書で述べるようにキャリアの位置を推定する。例えば、位置デコーダ313は、トラック内のランドマークを識別するため又はトラック内の光学符号化を観測するために、カメラ又は他の光学手段を含む。幾つかの実施形態において、位置デコーダ313は、慣性センサ、磁気センサ、又はキャリアの現在位置、方向、速度、加速度、ジャークの1つ以上を決定するのに十分な他のセンサも含み得る。
キャリア300は、バーコードリーダ314を含む例もある。バーコードリーダ314を装備する場合、キャリア300は、サンプルがキャリアに装填される時点又はその後の所定の時点で、ペイロードのバーコードを読み取る。これにより、サンプルチューブのバーコードをシステムに読み取らせるためにキャリアが個々の決定ポイントで停止する必要がなくなる。サンプルチューブの個体情報を読み取り、記憶するか、又はこの情報をシステム全体に伝達することによって、キャリアは、トラックシステムをより効率的に走行できる。その理由は、ルーティング決定が、決定ポイントに達する前に行われるからである。代替的に、サンプルがキャリアに配置されるときにサンプルの個体情報をシステムが把握する場合のシステムは、外部バーコードリーダを含み、ペイロードの個体情報を、保存するためにキャリアへ及びメモリ304へ通信システム315を介して伝達する。
通信システム315は、キャリアがオートメーションシステム全体と通信することを可能にするのに十分な機構を備える。例えば、802.15.4、802.11の適切なバージョン、又は標準若しくは専用のワイヤレスプロトコルの既存の通信プロトコルを使用するワイヤレス通信用のXBee通信システムを含む。通信システム315は、RF通信プロトコルを動作させるための送受信機及びアンテナ及びロジックを含み得る。幾つかの実施形態において、通信システム315は、近距離無線通信、光通信、又は電子接触コンポーネントも含む。キャリア300に対して通信システムを介して伝達される情報は、本明細書全体を通して述べられる。
幾つかの実施形態において、キャリアは、状態ディスプレイモジュール316も含む。状態ディスプレイモジュール316は、コントローラ、及び、LCDパネル又はEインクディスプレイ等の書換可能な電子ディスプレイを含む。幾つかの実施形態において、コントローラは、マイクロコントローラ301が状態ディスプレイ316を容易に更新し得るように、メモリのアドレス指定可能な部分として扱われる。
幾つかの実施形態において、キャリアはサンプルセンサ317も含む。このセンサは、キャリアのチューブブラケット(チューブホルダとも呼ぶ)内の流体コンテナの存在又は非存在を示すために使用される。幾つかの実施形態において、これは、チューブの存在によって押下され、チューブが存在しないときには押下されないモーメンタリ機械スイッチである。この情報は、チューブの状態を判断するために使用され、状態ディスプレイモジュール316による状態情報の表示を支援する。
ルーティング
分析器システム内で搬送時間を速くする要求が、ルーティングを難しくする。従来技術のシステムにおいては、サンプルが各決定ポイントにおいてほぼ停止し、単離され、スキャンされるため、速いルーティングはそれほど重要ではない。こうしたシステムにおいて、決定ポイントごとのルーティング決定は、サンプルが停止している間に行われる。高速のルーティング決定が広く望まれていて、サンプルキャリアが決定ポイントに到達する前に切り換え決定を決めておくことが必要である。さらに、キャリアが従来技術と比較して高速で移動するので、サンプルキャリアの即時軌道の制御が、IVDサンプルがこぼれたり又は損なわれたりしないように、リアルタイム処理によって支援される。幾つかの実施形態において、実質的に即時の軌道観測及び制御は、リアルタイム制御を容易にするために各キャリアで行われ、一方、全体のルーティング決定は、一群のキャリアを管理する中央コントローラによって行われる。したがって、本発明の幾つかの実施形態において、キャリアは、中央コントローラからのグローバルルーティング命令を受信するが、ローカル運動決定を実質的に自律的に行う半自律ロボットのように機能する。
例えば、キャリアがサンプル(例えば、患者流体サンプル又は他のペイロード)を受け取ると、1つ以上のキャリアを管理する中央コントローラは、そのキャリアに関するスケジュールを決定し、例えば、体外診断オートメーションシステムのトラックにおけるキャリアの行き先を、キャリアに命令する。この命令は、特定の決定ポイントまで進行すること、次の決定ポイントまで前進すること、又は所定の決定ポイントで方向転換すること等の(例えば、ルートの次の行程を確認する)ネクストホップ命令である。幾つかの実施形態において、命令は、走行すべきトラックセグメント及び決定ポイントの完全又は部分的リスト、そして、各決定ポイントにおいて方向転換するのかどうか、を含む。これらの命令は、本欄全体を通して説明されるように、ワイヤレス又は接触電気シグナリングを含む従来の手段を介して、中央コントローラからキャリアに通信される。
命令に従いつつ各キャリアは、適切な速度、加速度、及びジャークの決定を行う(本明細書で使用するとき、加速度は減速を含む)。これは、キャリアが、衝突を回避するために又は過度の横方向の力を引き起こすことなくカーブに入るために減速しなければならないのか、又は、次の決定ポイント前に減速しなければならないのか、についてのリアルタイム判定を含む。これらの判定は、近傍のキャリアの位置及び軌道に関する情報等の、キャリアが受信する外部情報と共に、オンボードセンサの支援によって行われる。例えば、加速度計とトラック符号化情報のどちらか又は両方が、現在速度、加速度、及びジャーク、そしてキャリアの現在位置を決定するために使用される。この情報は、それぞれのキャリアによって自分の軌道を決定するために使用され、他のキャリアに伝達されもする。RF距離計等の衝突検出器は、衝突条件が潜在するか否かを判定して、自分が減速するか停止する(又は減速して停止する)必要があるかどうかをキャリアが判定するのを支援する。この衝突判定は、現在のキャリアに関する軌道情報、及び、観測を通して又はトラック用の中央スケジューラからの情報を受信することによって現在のキャリアが受信する、周囲キャリアに関する軌道情報を含み得る。
図6は、オートメーションシステム400におけるルーティングシナリオの例を示す。キャリア430は、RFシグナリング(信号伝達)を介して、中央管理プロセッサ440からルーティング命令を受信する。中央管理プロセッサ440は、ルーティング命令を発行すること、並びに、キャリアの移動及び配送をスケジューリングすることを含む、キャリアをモニタし方向付けることに関与する。中央管理プロセッサ440は、個々のモジュール又はステーションと相互作用する中央コントローラとローカルコントローラのどちらか又は両方の一部であり得る。中央又はローカルコントローラも、中央管理プロセッサ440の指示で働き得る。中央管理プロセッサ440は、同時に、独立して、互いと通信して、動作する1つ以上のプロセッサを含む。中央管理プロセッサ440は、マイクロプロセッサ、1つ以上のプロセッサで動作するソフトウェア、又はトラックシステム400内で複数のキャリアについてのスケジュールを計算するのに適した他の従来のコンピュータ手段であり得る。
中央管理プロセッサ440は、複数のキャリアからの位置情報に加えて、トラックシステム400内のセンサからのセンサ情報とキャリアから報告される情報の一方又は両方を受信する。中央管理プロセッサ440は、キャリアが搬送するサンプル又は他のペイロードの個体情報と共にキャリア及びトラックの状態情報を使用し、そしてこれらサンプルに対しシステムが実施する必要なアッセイを使用する。
図6に例示するトラック400は、直線セグメントB及びプルアウトセグメントG(例えば、試験ステーションのために機能するセグメント)に決定ポイント402を介して接続する第1のカーブセグメントAを含み、プルアウトセグメントGは、分析器/試験ステーション205A及びピペット420のために機能する。セグメントBは、直線セグメントC及びプルアウトセグメントHに決定ポイント404を介して接続し、プルアウトセグメントHは、分析器/試験ステーション205及びピペット422のために機能する。セグメントCは、決定ポイント406を介して、サンプルハンドリングステーション205Cのために機能する湾曲セグメントDと、分析器/試験ステーション205B及びピペット424のために機能するプルアウトセグメントIとに接続する。セグメントDは、決定ポイント408を介して、直線セグメントE及びプルアウトセグメントIの他端に接続する。すなわち、決定ポイント406と決定ポイント408との間に、異なる経路、すなわちセグメントD及びセグメントIが存在する(セグメントIは、ピペット424との相互作用でサンプルを分配するために使用されるプルアウトである)。セグメントEは、決定ポイント410を介して、直線セグメントF及びプルアウトセグメントHの他端に接続する。セグメントFは、決定ポイント412を介して、湾曲セグメントA及びプルアウトセグメントGの他端に接続する。幾つかの実施形態において、トラック400は、決定ポイント402,412においてキャリアを投入し又は取り出すために使用される投入レーンJ及び排出レーンKを含む。
幾つかの実施形態において、決定ポイント402〜412は、適切な行き先セグメントを選択するためにキャリア430がナビゲートするトラック内の受動分岐部である。他の実施形態において、決定ポイント402〜412は、キャリア430又は中央管理プロセッサ440によって制御される能動分岐部である。幾つかの実施形態において、決定ポイント402〜412は、例えばRF通信又は近距離無線通信を介してキャリア430による要求に応答する電磁制御式スイッチである。幾つかの実施形態において、これらの電磁制御式スイッチは、直線等のデフォルト姿勢を有し、一度キャリアをルーティングするとデフォルト姿勢に戻る。決定ポイントについてのデフォルト姿勢を使用することによって、キャリアは、決定ポイントにおいて切り換えの必要がなければ、各決定ポイントにおいて姿勢を要求する必要がない。
スケジューラ中央管理プロセッサ440は、ピペット420の届く範囲内にキャリア430及びそのペイロードを配置するために、第1のルートRout1をキャリア430に割当てる。キャリア430は、決定ポイント402までセグメントJに沿って移動し、セグメントG上を移動して、ピペット420にアクセス可能な位置で停止するように命令される。幾つかの実施形態において、キャリア430は、命令を受信し、その現在の場所及び軌道を測定して、決定ポイント402に到達するために使用する方向及び軌道を決定する。キャリア430は、セグメントG上の決定ポイント402において急激な右への方向転換をすることになることも考慮する。幾つかの実施形態において、決定ポイント402は、キャリア430の制御下で動作する、トラック内の切換機構を含む。これらの実施形態において、キャリア430は、セグメントGへの切り換えを要求するために、決定ポイント402へ近づくときにトラックと通信する。他の実施形態において、キャリア430は、操舵機構(可動ガイドホイール、指向性磁石、非対称ブレーキ、又は同様なもの)を有し、操舵機構は、トラック内に一体化された外部ゲートの支援なしで、決定ポイント402においてキャリア430がセグメントG上へ右方向転換することを可能にする。これらの実施形態において、キャリア430は、決定ポイント402において操舵機構を使用し、セグメントG上への方向転換を行う。
キャリア430は、光学符号化又はRFIDタグ等のトラック内の符号化を読み取ることによって、キャリアの概略的現在地、すなわちセクションJ等のキャリアの現在のトラックセクションを決定する。幾つかの実施形態において、キャリア430は、トラックシステム400内のキャリアの現在地を決定する複数の手段を使用する。例えば、RFIDタグが、どのトラックセグメントにキャリア430が位置するのかをおおまかに決定するために使用され、一方、光学符号化又は他の的確な符号化が、そのトラックセグメント内の位置を決定するために使用される。この符号化は、符号化内の変化(例えば、位置情報からの派生物)を観測することによって、速度、加速度、又はジャークを決定するためにも使用される。
キャリア430は、現在のトラックセクションの識別情報を使用し、中央管理プロセッサ440から受信される明確な指示によって、又は、図5のオンボード制御システムに示すメモリ304内のオンボードデータベースにおいて適切なルートを検索することによって、行き先セクションへの適切なルートを決定する。幾つかの実施形態において、キャリア430は、メモリ304内のキャリア430の記録に記憶されたマップに基づいて、セクションJからセクションGへの行き方について理解する。このマップは、単純なルックアップテーブルか、又は、各ノードが対応する決定ポイントによってリンクされる(あるいはその逆にリンクされる)トラックセクションのツリーを含む。例えば、キャリアが現在のところトラックセクションJにあることを確認すると、オンボードデータベースは、決定ポイント402に進んでセクションGに向かって右に切り換えられることをキャリア430に知らせる。
図6に示すように、キャリア430は、セクションGを進み、ピペット420の近くの位置で停止することによって、第1のルートRoute1に関する命令に応答する。停止したキャリア430は、ピペット420を制御する分析器/試験ステーションからの更なる命令を受信する。例えば、分析器205Aは、ピペット420を制御し、セクションGに沿って的確な位置に自身を位置決めするようにセクションG上のキャリアに命令する。これは、分析器/試験ステーションがランダムアクセス待ち行列としてトラックセクションを扱うことを可能にする。例えば、キャリア430がセクションG上で停止すると、更なる命令は、中央管理プロセッサ440を介して、又は、RF伝送又はローカル光、誘導無線/近距離無線信号等の他の手段を介して、分析器205Aからキャリア430に直接伝達される。これらの命令は、別のキャリアがピペット420と相互作用している間は止まること、及び、その後、キャリア430の搬送中サンプルに対して分析器205Aが1つ以上のアッセイを実施する用意ができたときにピペット420にアクセス可能な位置まで進むこと、を含み得る。
キャリア430の搬送中サンプルとの相互作用を分析器/試験ステーション205Aが終了すると、更なるルーティング命令が、中央管理プロセッサ440からキャリア430に送信される。例えば、第2のルートRoute2は、ピペット424と相互作用するためにセクションIへ進むルーティング命令を含む。幾つかの実施形態において、キャリア430のオンボードメモリ304内に含まれるルーティングテーブルは、キャリアが自身をセクションIにルーティングすることを可能にするのに十分な、トラックレイアウトに関する情報を有する。他の実施形態において、ルーティングステップのリストは、中央管理プロセッサ440を介してキャリア430に送信される。当然ながら、キャリア430が次のルーティングステップ、場合によってはその後のルーティングステップも、常に把握できるように、他の実施形態では、ルートのサブセットをキャリア430に伝達すること、段階的にルーティング命令を送信すること、のどちらか又は両方を含む。
この例において、キャリア430は、セクションGを通って決定ポイント412に進むようにキャリアに命令する中央管理プロセッサ440から第2のルートRoute2を示すルートリストを受信する。決定ポイント412において、キャリア430は、ゲートと相互作用することによって、又は、上述したように方向転換することによって、セクションA上への切り換えを始動することになる。キャリア430は、セクションG及びセクションAの湾曲トラック状態を考慮して、加速度及びジャーク条件が、キャリアの搬送するサンプルについての閾値要件を超えないことを保証する。これにより、通過中のこぼれや不安定性を防止する。キャリア430の受信するルート情報は、その後、方向転換なしで決定ポイント402を通って進むように、キャリア430に命令する。決定ポイント402に近づくときに第2のルートRoute2で使用される軌道は、キャリア430がセクションGへの急な右への方向転換を行う必要がないことを知っていることから、第1のルートRoute1のときに使用された軌道とは異なる(例えば、より速い)。これにより、幾つかの実施形態において、キャリア430は、第1のルートRoute1のときよりも第2のルートRoute2のときの方が実質的により速い速度で決定ポイント402に近づける。キャリア430が方向転換しない場合、決定ポイント402をより速く通過することによって、キャリア430が決定ポイントにおいて起こり得る切り換えのために減速しなければならない実施形態よりも短い時間で、キャリア430は第2のルートRoute2を完了する。これは、方向転換するか否かに関わらずキャリアがほぼ停止し単離される従来技術に勝る改善である。
決定ポイント402を通過した後、キャリア430はセクションB上に進む。決定ポイント404において、キャリア430はセクションCに進む。決定ポイント406において、キャリア430は準備してセクションIへ方向転換し、セクションIで、キャリアはピペット424との相互作用のために停止する。セクションGと同様にセクションIは、ピペット424用の待ち行列として働き、キャリア430は、セクションIからサービスを受ける分析器/試験ステーション205Bによるローカル命令下で制御される。
ピペット424がキャリア430との相互作用を終えると、中央管理プロセッサ440は、排出経路Kへ進むようにキャリア430に命令する、新しいルーティング命令をキャリア430に提供する。第3のルートRoute3は、第1のルートRoute1及び第2のルートRoute2と同じ方法で処理される。第3のルートRoute3用の命令を受信すると、キャリア430は、セクションIを下り決定ポイント408まで進み、ここでキャリア430は主トラックセクションE上に戻るように方向転換し、決定ポイント410、トラックセクションF、決定ポイント412を通過して(幾つかの実施形態において、減速する必要なく)セクションK上に進み、ここで、キャリア430とサンプルのいずれか又は両方が、オペレータによってシステムから取り出される。キャリア430は、その後、投入セクションJにおいてサンプルのために再利用される。第4のルートについて命令を受信すると、キャリア430は、セクションDを下ってサンプルハンドリングステーション205C及び決定ポイント408まで進み、ここでキャリア430は、主トラックセクションE上に戻るように方向転換して、第3のルートRoute3と同様に進む。
幾つかの実施形態において、図6の各トラックセクションは、1つ以上の速度ゾーンを含むように構成される。これは、それぞれのキャリアについての運動プロファイルを維持するソフトウェアにおいて速度又は加速度制限として提示されてもよい。例えば、セクションDは、キャリアがセクションDを走行するときにトラックから加えられる特有の向心力に全てのキャリアが対処するように、低速度ゾーンとして軌道制御用に提示される。同様に、トラックセクションは、運動プロファイルルールを含んだ複数の速度ゾーンをトラックセクション内に含むことが可能である。例えば、キャリアは、トラックセクションD内の速度制限ゾーンが近づきつつあるための制動ゾーンとしてセクションCの後半部分を識別するルールのソフトウェア強制に応答して、減速する。幾つかの実施形態において、キャリアについての運動プロファイルルールを維持することを担当するソフトウェアは、近づきつつある速度ゾーンを考慮し、それを見越して非制限トラックセクションで制動をかけてもよい。さらに、種々のトラックセクション部分が、動的速度ゾーンとして提示されてもよい。例えば、ピペットとの相互作用のための停止ポイントは、その場所で停止すべきキャリアについてはゼロの速度を有する速度ゾーンとして提示される。これは、停止位置に近づくにつれて、軌道強制ソフトウェアが、影響を受けるキャリアを自動的に減速させることを可能にする。
図7は、ルーティング命令に従うときのキャリア430の概略動作を示すチャートである。該方法500から分かるように、中央管理コントローラ等の中央スケジューラによる最小限の制御又は中央スケジューラとの相互作用でキャリアがアクションする。ステップ501において、キャリアは、例えば中央スケジューラからルーティング命令を受信する。この例において、ルーティング命令は、トラックシステムにおける行き先ポイントへのキャリアの全体ルートをキャリアが決定するのに十分な情報を含む。これらの命令は、方向転換すべき決定ポイント及び走行すべきセクションを含んだ全ルーティングポイントのリストを含む。幾つかの実施形態において、ルーティング命令は行き先ポイントを含み、オンボードルーティング情報が、とるべき最良のルートを決定するためにキャリアによって使用される。当然のことではあるが、少なくとも主トラックが一方通行であるとき、キャリアによるルーティング計算はかなり単純であり、ノード及びセクションのツリーを検索すること又は考え得るルート並べ替えのルックアップテーブルを検索することを含む既知の方法を含む。
これらの命令は、各セクションについての速度及び加速モーションプロファイルも含む。幾つかの実施形態において、トラックの各セクションについての速度及び加速度は、ペイロードに基づいて且つオンボードデータベース内の情報に基づいてキャリアによって計算される。オンボードデータベース内の情報は、トラックの長さ、トラックの曲率、決定ポイントの場所、搬送中サンプル又はペイロードのタイプ、及び決定ポイントに到達したときにキャリアが方向転換するのか同じ方向に進むのかについての考察等である。幾つかの実施形態において、ステップ501で受信したルーティング情報は、走行の開始時点と完了時点のいずれか又は両方をキャリアに命令するためのタイミング情報も含む。
ルーティング命令を受信して走行を開始したキャリアは、ステップ502において、自身の現在地、及び場合によっては自身のルートを開始するために必要とされる方向を決定する。一般的な意味で、キャリアは2方向、すなわち前方又は後方に移動するだけであり、幾つかの実施形態において、移動しながら方向転換を始動し得る。簡略化された移動モデル故に、キャリアは、例えばRFID情報によって現在のトラックセクションを取得することによって、自身の現在地をおおよそ(粗く)理解するだけでも走行を開始できる。幾つかの実施形態において、キャリアは進む前に、トラックセクション内の自身の現在地を決定するために、トラック内でより的確な符号化を使用する。
ステップ502において現在地を決定することに加えて、キャリアは、ステップ503において、ペイロードの温度を監視する。一実施形態において、種々のデバイスを使用してペイロードの温度を測定する。限定するものではないが、温度センサの例をあげると、サーミスタ、熱電対、抵抗温度計、シリコンバンドギャップ温度センサ、その他の同様のものが含まれる。ステップ503においてペイロード温度が所定の閾値より高い場合、本明細書で述べるような能動温度制御システムがステップ504において起動される。能動温度制御システムは、冷却用か加熱用のいずれか又はその両方である。例示を目的としてではあるが、冷却機能が本明細書で主に論じられる。付加的に又は代替的に、キャリアは、能動温度制御デバイス以外の他のオートメーションを全く持たない場合がある(すなわち、キャリアは、現在地を決定しないか、又は、軌道を決定しない)。
現在地及び必要な方向を決定したキャリアは、ステップ505において走行を開始する。トラック上の現在地、現在のトラックの幾何学的配置、次の決定ポイントまでの距離、サンプル/ペイロードのタイプ、及び現在の速度を理解することによって、キャリアは、走行を開始するための安全な加速度プロファイルを決定する。例えば、キャリアが次の決定ポイントから離れた遠い距離におり、且つ現在停止している場合、該キャリアは、サンプルに対し可能な最大加速度で加速し始める。幾つかの実施形態において、キャリアの加速度は、サンプルに高い度合いのジャークを加えないようにするために、徐々に増加させる。
図8は、走行時間を最小にしながら、ジャーク及び加速を制限するために使用される加速運動プロファイルの例を示す。台形加速度プロファイルを使用することによって、加速度は、サンプルの損傷やこぼれを回避するための閾値量より小さい安全量に加速度が達するまで、不必要なジャークを回避するために徐々に増加させる。加速度が閾値量より小さいことを保証することによって、キャリアは、ペイロードについての加速度閾値を超えることなく衝突を軽減するために又は他の予定にないステーションに対処するために利用可能な、或る程度の加速をもつ。通常は、開始ポイントと停止ポイントとの間の真ん中あたりで最大速度に達することになる。幾つかの実施形態において、トラックの直線セクションについて上限速度は存在しないが、トラックのカーブセクションは、過度の横方向の加速度を防止するために上限速度によって管理される。これらの速度制限及び加速度閾値は、インテリジェントキャリアに知らせてあり、オンボードメモリ内でアクセス可能である。キャリアによって使用される正確な運動プロファイルは、搬送するペイロードに応じて変動する。例えば、空のキャリア又は試薬や非サンプルペイロードを搬送するキャリアは、サンプルを搬送する運動プロファイルよりも高い制限を有する運動プロファイルを利用してもよい。
固定のトラック速度によって管理される従来の摩擦トラックと異なり、本発明の幾つかの実施形態は、動的加速度プロファイルを可能にし、従来技術よりも遥かに高い平均速度でキャリアが移動することを可能にする。幾つかの実施形態において、トラックシステム内のポイント間の最大通過時間を、臨床分析器の動作サイクルの一部分より短い時間に制限することが概して望ましい。例えば、トラックシステム上のポイント間の最大距離が25mであり、動作サイクル時間が20秒である場合、全ての方向転換、加速、減速、発進、及び停止を含めたキャリアの平均速度は、5秒以下で30mを、すなわち6m/s(約2.1km/hr)で走行するのに十分であることを保証することが望ましい。走行における大半の時間が加速又は減速に費やされるので、当然ながら、直線コースにおけるキャリアの最大速度は、この平均速度より大幅に速い可能性がある。
ジャーク及び加速はサンプルのために制限されるべきであるから、加速のリアルタイム制御が望まれる。この目標は、加速度計又は他のセンサを利用してキャリアの現在の軌道をモニタできるように、キャリア自身に加速の制御をもたせることによって達成される。キャリアは、現在地、通行量、及び近づきつつある方向転換のために減速する必要性、などのトラック条件に基づいて、自身の軌道を動的に変更し得る。こうして、キャリアは、自身の動的安定状態を監視し制御することを担当する。
図7に戻ると、ステップ510において、キャリアは、ステップ505で決定された軌道に従って、加速又は減速し続けることが安全か否かを判定する。ステップ510は、衝突検出又は他の予想外の障害物又はシステム全体かキャリア特有の休止コマンドがあるかどうか、のチェックを含む。幾つかの実施形態において、ステップ510における決定は、RF距離計を含む衝突検出センサに基づくが、中央管理コントローラから又は他のキャリアからステップ506において受信されるトラックに関する状態情報も含み得る。この状態情報は、例えば、周囲のキャリアに関する位置及び軌道情報、又は休止命令や新ルート命令等の更新コマンドを含む。
計画された軌道を継続することが安全ではないとキャリアがステップ510において判定した場合(n)、キャリアは、ステップ512において衝突を軽減又は回避するためのステップをとる。例えば、加速度プロファイルが、別のキャリアに対して危険なほど近くにキャリアを配置することになることが判定された場合、キャリアは減速し始める。幾つかの実施形態において、衝突を回避するために減速するという決定は、現在の軌道の推定及び観測された他のキャリアの軌道に基づく。現在の軌道が、当該キャリアの前に存在するキャリアから安全でない追随距離内に当該キャリアを移動させることになることが判定される場合、軽減プロシージャ(手順)が始動されることになる。幾つかの実施形態において、各キャリアは、そこに入ることが安全ではない衝突ゾーンを有するものとしてモデル化される。この衝突ゾーンは、キャリアと一緒に移動する。キャリアが別のキャリアの衝突ゾーンを侵略することになる(又は別のキャリアが当キャリアの衝突ゾーンを侵略することになる)ことをキャリアが検知した場合、キャリアは減速する(又は幾つかの実施形態において、後端での衝突を回避するために加速する)ことによって衝突を軽減する。
衝突を軽減するために減速/加速した後のキャリアは、新しい衝突回避条件を考慮する更新された軌道を決定するために、ステップ505に戻る。安全ではない条件が検出されなかった場合(y)、キャリアは、ステップ514においてその軌道を実行して進む(例えば、ステップ505〜510を繰り返す前の軌道の一部を進み、条件の連続的モニタリングを可能にする)。これは、加速又は減速すること、並びに、キャリアの現在の状態及び軌道を決定するためにトラック符号化及び加速度計情報を観測することを含み得る。幾つかの実施形態において、キャリアは、ステップ515において、ルーティング及び衝突回避を支援するために、中央コントローラと他のキャリアのどちらか又は両方に、現在地、軌道、計画した軌道の1つ以上を含むキャリアの現在の状態を通信する。
キャリアは、自身の計画した軌道を繰り返し実行し始める際、ステップ520において、自身の終着点又は近づきつつある決定ポイントといった近づきつつあるランドマークがあるか、トラックを観測する。これらのランドマークは、報知又は制動LED等のトラック内の重要な特徴を用いて、観測された符号化からランドマークまでの距離を推定することによって又はそれらを幾つか組み合せることによって、識別される。ランドマークが近づいて来ていない場合(n)、キャリアは引き続きステップ505に進み、計画軌道を繰り返し計算して実行し続ける。
この例において、2つのタイプの重要なランドマークが存在する。第1のランドマークはキャリアの行き先である。キャリアは、トラック符号化又はLED等のランドマーク特徴に基づいて、キャリアがその行き先に近づいているかどうかを判定することができ、ステップ522において停止し始めるか又は停止プロシージャを完了する情報を使用する。例えば、キャリアはピペットにアクセス可能な的確な場所で停止するように命令される。この的確な場所は、ミリメートルの精度を持って的確な場所でキャリアが停止することを支援するために、トラックの壁又は床内のLEDを含んでいる。幾つかの実施形態において、ステップ505において計算される軌道は、自身の行き先のだいたいの場所にキャリアをもたらすために使用され、一方、ステップ522における停止プロシージャは、例えば近傍のLEDランドマークを探すこと及び適切な位置で停止することによって、的確な停止位置を決定するために使用される。
別の重要なランドマークが決定ポイントである。トラック内の符号化又は報知LEDは、キャリアが近づきつつある決定ポイントの位置を伝達する。例えば、中央管理コントローラは、決定ポイントにおける不必要な加速又は衝突を防止するために、キャリアに減速するように警告する目的で、決定ポイント前の所定る距離にあるトラック上の制動位置においてLEDを点灯させる。他の実施形態において、キャリアは、トラック符号化から、近づきつつある決定ポイントの相対的位置を推定し、必要な場合、ステップ524において軌道を更新するために当該距離を利用する。ステップ524において、キャリアは、決定ポイントの相対的な場所を決定し、自身のルーティング情報に基づいて、自分がその決定ポイントにおいて方向転換することになるか、直進することになるかを判定する。キャリアが方向転換することになる場合、サンプルを損なったりこぼしたりする可能性がある不必要な横方向の力を防止するために、決定ポイントにおいてキャリアが方向転換するときにキャリアの速度が十分に遅くなるように、減速し始めるように軌道を更新することが必要である。
多くの例において、キャリアは、方向転換することなく決定ポイントを通過して進む。これらの例において、軌道を更新することが必要でない場合があり、キャリアは引き続き現在の速度を維持するか、又は決定ポイントを通過して加速し続けることもある。
近づきつつある決定ポイントで方向転換する必要があるとキャリアが判定した場合、キャリアはステップ526において減速し、方向転換を開始する。幾つかの実施形態において、キャリアは、支援なしでは前方又は後方移動が可能なだけである。これらの実施形態において、キャリア又は中央管理コントローラは、ステップ527において、決定ポイントで切換機構と通信して、トラックシステム400内の対応する機械的又は電磁的デバイスが、キャリアが決定ポイントを通過するときに、適切な方向へキャリアを向けるように関与することを保証する。トラック内の当該デバイスの例としては、分岐部において1つの経路をブロックし、キャリアが分岐部の他の経路へ向かって方向転換することを支援する機械的スイッチ(トラックがトラフのように形成されている場合のレール又はゲートに設けられる転轍機等)、1つの方向か別の方向にキャリアを引き込む磁石、キャリアが追従するLED等のキャリア方向転換を支援する経路内の変化シグナリング、又は、キャリアが従来のライン追従能力を装備する場合のキャリアが追従するラインを含むトラック内のLCDやeインクパネルを含む。決定ポイントで停止させた後に個々のキャリアを単離し、スキャンし、押し出す従来の構成とは異なり、本発明の幾つかの実施形態は、キャリアが物理的に決定ポイントに到達する前に方向転換をネゴシエート(交渉)する。これにより、方向転換のために停止する必要も又は他の機構のために待機する必要もなく、方向転換の曲率によって制限される速度でキャリアは進むことができる。
キャリアが或る程度の操舵能力を有し、次の内部スイッチの支援なしで決定ポイントで方向転換し得る実施形態において、キャリアは、決定ポイントに近づくと、操舵機構と連係して適切な経路に自身を向ける。決定ポイントで方向転換した(又は方向転換しないで進んだ)後、キャリアは、その次の軌道を決定するために、ステップ505に戻る。
本発明の実施形態は、既存の分析器及びオートメーションシステムに組み入れてもよい。当然ながら、必要な分析器又は器具と共に使用するのに適したレイアウト及び物理的構成を含めて多くの形状及びサイズでキャリアは構成される。例えば、幾つかの実施形態において、キャリアは、オートメーショントラックを巡って複数のサンプルを搬送するための複数のスロットを含む。一実施形態では、例えば、1つ以上の搬送ラック内に複数のスロットを有するキャリアのチューブ保持部分の物理的レイアウトを含む。それぞれのラックが複数のスロット(例えば、5つ以上のスロット)を含むことも可能で、その各スロットは、チューブ(例えば、サンプルチューブ)を保持するように構成される。
実施形態を例示して本発明を説明したが、本発明はそれらに限定されない。本発明の好ましい実施形態に対して多くの変更及び修正を行うことができること、そして、それら変更及び修正を本発明の要旨から逸脱することなく行うことができることは、当業者に当然理解される。したがって、特許請求の範囲は、本発明の要旨及び範囲に入る全ての等価な変形に及ぶと解釈されるべきである。