以下、下記実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
図1~図8は本発明の実施の形態におけるカテーテルの製造方法の各工程の図であり、図9はシャフトの湾曲治具の近位側を拡大した平面図であり、図10はカテーテルの軸方向に沿った遠位端部の断面図であり、図11はカテーテルの軸方向に垂直な遠位端部の断面図であり、図12は本発明の別の実施の形態におけるシャフトの湾曲治具の平面図である。
本発明の電極40を有するカテーテル1は、遠位側と近位側を備え、遠位側から近位側まで延在する内腔を有するシャフト10と、シャフト10の内腔に配置されている導線30と、シャフト10の表面に配置され、導線30と接続している電極40とを有する。図10に示すカテーテル1は、導線30に電極40が接続されているが、導線30にセンサ(図示せず)が接続されていてもよい。本発明のカテーテル1の詳細については、後述する。
本発明のカテーテル1の第1の製造方法は、遠位側と近位側と内腔とを備え、内腔と外部とが連通する第1の穴21および第2の穴22を有するシャフト10を湾曲させる工程と、第1の穴21からシャフト10の内腔に第1の導線31を挿通して、第1の導線31をシャフト10の近位端10bから露出させる工程と、湾曲工程より後に、第1の導線31をシャフト10の湾曲の内側に寄せる工程と、第2の穴22からシャフト10の内腔に第2の導線32を挿通して、第2の導線32をシャフト10の近位端10bから露出させる工程と、を含み、第2の導線32の挿通工程は、第1の導線31をシャフト10の湾曲の内側に寄せる工程より後に行うことを特徴とするものである。
本発明において、近位側とはシャフト10の延在方向に対して使用者の手元側を指し、遠位側とは近位側の反対側、即ち処置対象側を指す。また、シャフト10の延在方向を軸方向と称する。径方向とはシャフト10の半径方向を指し、径方向において内方とはシャフト10の軸中心側に向かう方向を指し、径方向において外方とは内方と反対側に向かう方向を指す。なお、図1~図3、図5、図6、図10および図12において、図の右側がカテーテル1の近位側であり、図の左側が遠位側である。また、図7および図8において、図の下側が遠位側であり、図の上側が近位側である。
図1に示すように、まず、遠位側と近位側と内腔とを備え、内腔と外部とが連通する第1の穴21および第2の穴22を有するシャフト10を湾曲させる工程を行う。この工程を、湾曲工程と称することがある。
シャフト10は、内腔を1つ有しているシングルルーメン構造であってもよく、内腔を複数有しているマルチルーメン構造であってもよい。シャフト10がシングルルーメン構造である場合、シャフト10の内部に内腔を区分けする隔壁等が存在しないため、シャフト10の内部の空間を大きくすることができ、シャフト10の内腔へ第1の導線31および第2の導線32を含む導線30等を挿通する工程が行いやすくなる。
シャフト10を構成する材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、PET等のポリエステル系樹脂、PEEK等の芳香族ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、PTFE、PFA、ETFE等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の合成樹脂等が挙げられる。シャフト10は、単層構造であってもよく、複層構造であってもよい。シャフト10が複層構造である場合、例えば、シャフト10を構成する樹脂チューブの中間層として、ステンレス鋼、炭素鋼、ニッケルチタン合金等の金属編組を用いた構造とすることができる。シャフト10を構成する材料は、フッ素系樹脂であることが好ましく、PTFEであることがより好ましい。シャフト10がこのように構成されていることにより、外表面のすべり性がよく、また、適度な剛性を有するため、血管への挿通性がよいカテーテル1とすることができる。
シャフト10の軸方向の長さは、治療に適切な長さを選択することができる。例えば、シャフト10の軸方向の長さは、500mm以上2000mm以下とすることができる。
シャフト10の外径は、0.5mm以上であることが好ましく、0.7mm以上であることがより好ましく、1mm以上であることがさらに好ましい。シャフト10の外径の下限値をこのように設定することにより、シャフト10に適度な剛性を与えることができ、カテーテル1のプッシャビリティを高めることができる。また、シャフト10の外径は、3mm以下であることが好ましく、2.8mm以下であることがより好ましく、2.5mm以下であることがさらに好ましい。シャフト10の外径の上限値をこのように設定することにより、カテーテル1を細径化することができ、血管等の生体内管腔への挿通性を高め、より低侵襲治療を向上させることが可能となる。
シャフト10の厚みは、50μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましく、150μm以上であることがさらに好ましい。シャフト10の厚みの下限値をこのように設定することにより、シャフト10の剛性を高め、挿通性がよいカテーテル1とすることが可能となる。また、シャフト10の厚みは、350μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましく、250μm以下であることがさらに好ましい。シャフト10の厚みの上限値をこのように設定することにより、シャフト10の内腔を広くすることができ、導線30等をシャフト10の内腔へ挿通することが容易となる。
シャフト10は、平面的に湾曲させてもよく、立体的に湾曲させてもよい。シャフト10を平面的に湾曲させるとは、シャフト10の遠位端10aおよび近位端10bと、シャフト10の湾曲部とが略同一平面上にある状態を示す。シャフト10を立体的に湾曲させるとは、シャフト10の遠位端10aおよび近位端10bと、シャフト10の湾曲部とが同一平面上にない状態を示す。
湾曲工程において、シャフト10の軸方向における一部を湾曲させてもよいが、シャフト10の全体を湾曲させることが好ましい。シャフト10の軸方向における全体を湾曲させることにより、第1の導線31をシャフト10の湾曲の内側に寄せる工程にて、シャフト10の全体において第1の導線31がシャフト10の湾曲の内側に寄りやすくなり、第1の導線31が挿通されている状態のシャフト10の内腔に第2の導線32を挿通する工程がさらに行いやすくなる。
シャフト10は、1箇所を湾曲させればよいが、複数箇所を湾曲させてもよい。シャフト10の複数箇所を湾曲させる場合、各湾曲部の湾曲の方向は略同じであることが好ましい。シャフト10の複数箇所をこのように湾曲させることにより、湾曲工程より後に行う第1の導線31をシャフト10の湾曲の内側に寄せる工程にて、各湾曲部においてシャフト10の湾曲の内側に第1の導線31が寄りやすく、第1の導線31の挿通後のシャフト10へ第2の導線32を容易に挿通することができる。
図2に示すように、第1の穴21からシャフト10の内腔に第1の導線31を挿通して、第1の導線31をシャフト10の近位端10bから露出させる工程を行う。この工程を、第1の導線31の挿通工程と称することがある。湾曲工程および挿通工程は、一方を先に行うこともできるし、同時に行うこともできる。後述する湾曲治具120のような治具を用いる場合には、湾曲工程を先に行うことが好ましい。
図3および図4に示すように、第1の導線31の挿通工程より後に、第1の導線31をシャフト10の湾曲の内側に寄せる工程を行う。第1の導線31をシャフト10の湾曲の内側に寄せるには、例えば、第1の導線31を牽引する等によって第1の導線31に外力を加えて第1の導線31を湾曲の内側に寄せる態様、湾曲工程においてシャフト10の湾曲部をシャフト10の両端より上側に配置してシャフト10を湾曲させた後に挿通工程を行い、第1の導線31の自重によって第1の導線31を寄せる態様が挙げられる。
図5および図6に示すように、第2の穴22からシャフト10の内腔に第2の導線32を挿通して、第2の導線32をシャフト10の近位端10bから露出させる工程を行う。この工程を、第2の導線32の挿通工程と称することがある。第2の導線32の挿通工程は、第1の導線31をシャフト10の湾曲の内側に寄せる工程より後に行う。
第1の導線31および第2の導線32を含む導線30は、カテーテル1の電源装置等の外部機器(図示せず)と後述する電極40やセンサとを電気的に接続するものである。導線30をカテーテル1の外部機器に接続することにより、カテーテル1の外部機器と電極40やセンサとが電気的に接続される。また、図示していないが、カテーテル1の近位側にコネクタを有しており、導線30がコネクタに接続されている構成であって、コネクタをカテーテル1の外部機器に接続することによって外部機器と電極40やセンサとを接続してもよい。なお、カテーテル1がコネクタを有する場合、第2の導線32の挿通工程より後に、第1の導線31および第2の導線32をコネクタに接続する工程を有することが好ましく、第2の導線32をシャフト10の湾曲の内側に寄せる工程と、この第2の導線32をシャフト10の湾曲の内側に寄せる工程より後に、上記接続工程を有することがより好ましい。
導線30は、コアと被覆を有していることが好ましい。導線30のコアを構成する材料は、導電性材料であればよいが、例えば、鉄、銅、銀、ステンレス、タングステン、ニッケル、チタン、またはこれらの合金等の金属材料が挙げられる。中でも、導線30のコアを構成する材料はステンレスであることが好ましい。ステンレスは真直性と剛性があるため、導線30のコアを構成する材料がステンレスであることにより、導線30の挿通工程において導線30をシャフト10の内腔に挿通することが容易となり、また、導線30の断線が生じにくくなる。
導線30は、電極40やセンサ等の他物と接続される両端部以外の部分に被覆を有していることが好ましい。具体的には、例えば、導線30の一方端部の被覆を一部除去し、この部分を電極40やセンサに溶接する等によって導線30の一方端部を電極40やセンサに接続し、カテーテル1の外部機器、またはコネクタに接続する導線30の他方端部の被覆を一部除去することにより、導線30が両端部以外の部分に被覆を有する構成とすることができる。
導線30の被覆は、絶縁性材料であればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、PET等のポリエステル系樹脂、PEEK等の芳香族ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、PTFE、PFA、ETFE等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の合成樹脂が挙げられる。導線30の被覆を構成する材料は、中でも、フッ素系樹脂であることが好ましく、PFAであることがより好ましい。導線30の被覆がこのように構成されていることにより、導線30の絶縁性を高めることができ、また、シャフト10の内腔において、他の導線30等の他物との摺動性を向上し、導線30の被覆と他物が接触することによる被覆の破損を防ぐことができる。
第2の導線32をシャフト10の近位端10bから露出させた後に、第1の導線31をシャフト10の湾曲の内側に寄せる工程を終了することが好ましい。つまり、第1の導線31に外力を加える等によって、第1の導線31をシャフト10の湾曲の内側に寄せ、この状態にて第2の導線32の挿通工程を行い、第2の導線32の挿通工程が完了した後に第1の導線31に加えていた外力を解除することが好ましい。このように第1の導線31をシャフト10の湾曲の内側に寄せる工程を行うことにより、第2の導線32の挿通工程においてシャフト10の内部の空間を広く確保することができ、シャフト10の内腔に第2の導線32を挿通する際に、第2の導線32が第1の導線31に絡まりにくく、第2の導線32の挿通工程が行いやすくなる。
第2の導線32の挿通工程より後に、第2の導線32をシャフト10の湾曲の内側に寄せる工程を行うことが好ましい。このような工程を行うことにより、第2の導線32をシャフト10の内腔に挿通した後に、第1の導線31および第2の導線32とは別の導線30等の他物をシャフト10の内腔に挿通する際に、シャフト10内の空間を広く確保することができ、他物の挿通工程の際に他物が第1の導線31や第2の導線32に絡まりにくく、他物の挿通工程を行いやすくすることができる。
第2の導線32をシャフト10の湾曲の内側に寄せる際、第2の導線32だけでなく第1の導線31もシャフト10の湾曲の内側に寄せることが好ましい。つまり、第2の導線32の挿通工程より後に、第1の導線31および第2の導線32をシャフト10の湾曲の内側に寄せる工程を行うことが好ましい。このような工程を行うことにより、シャフト10の内腔において第1の導線31と第2の導線32を密集させることができ、第1の導線31および第2の導線32の他の導線30や、導線30以外のシャフト10の内腔に配置する部材を挿通しやすくなる。また、第1の導線31および第2の導線32が他物と絡まりにくくすることも可能となる。第1の導線31と第2の導線32は、同時にシャフト10の湾曲の内側に寄せてもよく、順次シャフト10の湾曲の内側に寄せてもよい。
本発明のカテーテル1の第2の製造方法は、遠位側と近位側と内腔とを備え、内腔と外部とが連通する第1の穴21および第2の穴22を有するシャフト10を湾曲させる工程と、第1の穴21からシャフト10の内腔に第1の導線31を挿通して、第1の導線31をシャフト10の近位端10bから露出させる工程と、湾曲工程より後に、第1の導線31を牽引する工程と、第2の穴22からシャフト10の内腔に第2の導線32を挿通して、第2の導線32をシャフト10の近位端10bから露出させる工程と、を含むことを特徴とするものである。なお、本発明の第2の製造方法の説明において、前述の第1の製造方法の説明と重複する部分の説明は省略する。
本発明のカテーテル1の第2の製造方法では、湾曲工程より後に、第1の導線31を牽引する。第1の導線31を牽引することにより、第1の導線31がシャフト10の湾曲の内側に寄りやすくなる。その結果、シャフト10の内部の空間を大きく確保することができ、第2の導線32や、第1の導線31および第2の導線32とは異なる導線30等の他物をシャフト10の内腔に挿通する際に、第1の導線31と他物とが絡まりにくくすることができ、シャフト10の内腔への挿通が行いやすくなる。
第1の導線31を牽引する工程において、第1の導線31の近位側を牽引することが好ましい。具体的には、第1の導線31の挿通工程において、第1の導線31の、シャフト10の近位端10bから露出させた部分を牽引することが好ましい。第1の導線31の牽引工程をこのように行うことにより、第1の導線31の遠位側に予め電極40やセンサを接続した状態で第1の導線31の挿通工程および牽引工程を行うことができ、カテーテル1の製造を効率的に行うことが可能となる。導線30の牽引は、例えば、導線30の両端に所定重量の錘をつけて導線30をシャフト10の湾曲の内側に寄せる態様等が挙げられる。
第2の導線32をシャフト10の近位端10bから露出させた後に、第1の導線31の牽引工程を終了することが好ましい。つまり、第2の導線32を挿通させる間、第1の導線31は、牽引され続けていることが好ましい。このように第1の導線31の牽引工程を行うことにより、第1の導線31をシャフト10の湾曲の内側に寄せたまま第2の導線32を挿通させることができるため、第2の導線32をシャフト10の内腔に挿通することが容易となる。また、第2の導線32の挿通工程において、第1の導線31と第2の導線32とが絡まることを防止できる。
第2の導線32の挿通工程より後に、第2の導線32を牽引する工程を行うことが好ましい。このような工程を行うことにより、シャフト10の内腔に第1の導線31および第2の導線32とは異なる導線30等の他物を挿通する場合に、シャフト10の内部の空間を大きくとることが可能となる。そのため、他物の挿通工程が行いやすくなり、また、他物が第1の導線31や第2の導線32に絡まりにくくなる。
第2の導線32の牽引工程を行う際、第2の導線32だけでなく第1の導線31も牽引することが好ましい。このような工程を行うことにより、第1の導線31および第2の導線32をシャフト10の内腔において密集させることができ、第1の導線31および第2の導線32の他の導線30等の他物を挿通する空間を広く確保することができ、他物が第1の導線31や第2の導線32に絡まりにくく、他物の挿通工程が容易となる。
本発明のカテーテル1の第1の製造方法および第2の製造方法における好ましい態様について、以下に説明する。
図4に示すように、第2の導線32の挿通工程において、第1の導線31は、シャフト10の内腔の中心軸L1よりもシャフト10の湾曲の内側に配置されていることが好ましい。なお、図4では、図の下側がシャフト10の湾曲の内側である。第1の導線31がこのように配置されていることにより、シャフト10の内部の空間を広く確保することができる。そのため、第2の導線32をシャフト10の内腔に挿通する際に、第2の導線32が第1の導線31に接触して絡まることや、第1の導線31が第2の導線32の挿通の妨げとなることを防止し、第2の導線32の挿通工程を行いやすくすることができる。
第2の導線32の挿通工程において、シャフト10の屈曲部にて第1の導線31がシャフト10の内腔の中心軸L1よりもシャフト10の湾曲の内側に配置されていることが好ましいが、シャフト10の全長にわたって第1の導線31がシャフト10の内腔の中心軸L1よりもシャフト10の湾曲の内側に配置されていることがより好ましい。第1の導線31がこのように配置されていることにより、シャフト10の内部の広範囲にわたってシャフト10内の空間を大きく確保することが可能となり、第2の導線32の挿通時に第1の導線31が妨げとなりにくくなる。
第1の穴21は、第2の穴22よりも近位側にあることが好ましい。シャフト10に第1の穴21および第2の穴22がこのように設けられており、第1の穴21から第1の導線31をシャフト10の内腔へ挿通した後に第2の穴22から第2の導線32をシャフト10の内腔へ挿通することにより、第1の導線31と第2の導線32とが絡まりにくく、第2の導線32の挿通工程が容易となってカテーテル1の製造効率を高めることができる。
シャフト10は、第1の穴21および第2の穴22とは異なる穴20を有していてもよい。つまり、シャフト10は、第1の穴21、第2の穴22、および第1の穴21と第2の穴22とは別の穴20を有していてもよい。この別の穴20は1つであってもよく、複数であってもよい。シャフト10が複数の穴20を有していることにより、各穴20からそれぞれ異なる導線30を挿通することができ、各導線30に電極40またはセンサを接続することによって、電極40やセンサを複数有するカテーテル1とすることができる。
第1の穴21および第2の穴22を含む穴20の形状は、円形、楕円形、多角形等が挙げられる。穴20の形状は、スリットのような線状であってもよい。中でも、穴20の形状は、円形または楕円形であることが好ましい。穴20がこのように構成されていることにより、穴20からシャフト10の内腔に導線30を挿通する際に、外力が穴20の縁の一点に集中することを防ぎ、穴20が裂ける等のシャフト10が破損することを防止できる。
第1の穴21および第2の穴22を含む穴20の長軸方向の長さは、適宜設定することができる。例えば、電極40やセンサ等の長軸方向の長さに応じて設定することができ、例えば、穴20の長軸方向の長さは、電極40やセンサ等の長軸方向の長さよりも短いことが好ましい。穴20の長軸方向の長さは、100μm以上であることが好ましく、125μm以上であることがより好ましく、150μm以上であることがさらに好ましい。穴20の長軸方向の長さの下限値をこのように設定することにより、穴20へ導線30を挿通しやすくなる。また、穴20の長軸方向の長さは、300μm以下であることが好ましく、250μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることがさらに好ましい。穴20の長軸方向の長さの上限値をこのように設定することにより、穴20と導線30との間の隙間を小さくすることができ、カテーテル1の使用時に穴20と導線30の隙間から血液等の液体がシャフト10の内腔に入り込みにくくすることができる。穴20の形状が、円形や多角形である場合、穴20の外径は、上記穴20の長軸方向に垂直な方向の長さと同様の範囲の大きさとすることが好ましい。
シャフト10は、複数の穴20を有しており、最近位側の穴20からシャフト10の内腔に順次導線30を挿通して、導線30をシャフト10の近位端10bから露出させることが好ましい。つまり、最近位にある穴20からシャフト10の内腔に導線30を挿通し、次に、最近位の穴20に隣接する穴20へ導線30を挿通し、最後に、最遠位にある穴20へ導線30を挿通することが好ましい。このように導線30をシャフト10の内腔へ挿通することにより、各導線30の挿通工程において導線30が絡まりにくくなり、挿通工程が容易となる。
図1に示すように、湾曲工程において、第1の穴21および第2の穴22がシャフト10の湾曲の内側となるように配置することが好ましい。シャフト10をこのように配置することにより、第1の穴21からシャフト10の内腔に挿通した第1の導線31がシャフト10の湾曲の内側に配置されやすく、第2の導線32の挿通工程が行いやすくなる。また、第2の導線32もシャフト10の湾曲の内側に配置されやすくなり、第1の導線31および第2の導線32以外の導線30等の他物を挿通する工程も行いやすくなる。
第1の穴21と第2の穴22は、シャフト10の周方向において、シャフト10の軸方向に垂直な断面における一方側に配置されていてもよい。穴20は、シャフト10の周方向において、異なる位置にあってもよく、シャフト10の周方向において同じ位置に配置されていてもよい。シャフト10の軸方向に垂直な断面における一方側に第1の穴21と第2の穴22が配置されていることにより、第1の穴21に挿通した第1の導線31と、第2の穴22に挿通した第2の導線32とがシャフト10の屈曲の内側に配置されやすくなり、第1の導線31および第2の導線32が絡まりにくくなる。
第1の導線31は、第1の導線31の遠位端部に電極40またはセンサを有し、第2の導線32は、第2の導線32の遠位端部に電極40またはセンサを有することが好ましい。センサとしては、温度センサや圧力センサ等が挙げられる。第1の導線31および第2の導線32が電極40を有することにより、シャフト10の遠位側に電極40を有するカテーテル1とすることができ、病変部の焼灼、心内電位の測定、除細動等の治療や検査を行うことができる。第1の導線31および第2の導線32がセンサを有することにより、心臓の内壁や血管等とカテーテル1との接触力や、病変部の焼灼に伴う病変部付近の温度、血圧、体温等をカテーテル1によって測定することができ、治療や検査が容易となり、また、手技時間を短縮することが可能となる。
電極40またはセンサの形状は、長方形あるいは正方形等の平板状であってもよく、リング形状であってもよい。電極40またはセンサが平板状である場合、平板の裏面(内側面)および表面(外側面)の少なくとも一方が、シャフト10の表面の曲面に沿いやすいように、曲面であってもよい。中でも、電極40またはセンサは、リング形状であることが好ましい。電極40またはセンサがリング形状であることにより、シャフト10の周上における電極40またはセンサの面積を大きくすることができ、心臓の内壁等の目的部位へ電極40またはセンサを接触させることが容易となる。
電極40またはセンサを構成する材料は、例えば、銅、金、白金、アルミニウム、鉄、またはこれらの合金等の金属材料が挙げられる。中でも、電極40またはセンサを構成する材料は、白金またはその合金であることが好ましい。電極40またはセンサがこのように構成されていることにより、電極40またはセンサのX線に対する造影性を高めることができ、カテーテル1の使用時にX線を用いることによって電極40またはセンサの位置を確認することができる。
電極40またはセンサに導線30を接続する方法としては、例えば、溶接、はんだ等のろう付け、かしめ等による接続等を用いることができる。電極40またはセンサへの導線30の接続方法は、中でも、溶接であることが好ましい。導線30が溶接によって電極40またはセンサへ接続されていることにより、導線30と電極40またはセンサとの接続を容易に強固なものとすることができる。また、図示していないが、導線30と電極40またはセンサとの間に導電性を有する部材を介した状態にて、導線30と電極40またはセンサとが接続されていてもよい。
導線30と電極40またはセンサとの接続部は、大気中等に含まれる水分等による酸化劣化が生じないようにするため、樹脂等によりコーティングを行うことが好ましい。このコーティングに用いる樹脂としては、例えば、ポリウレタン系樹脂やエポキシ系樹脂等が挙げられる。
電極40またはセンサがリング形状である場合、リングの内側に導線30が接続されていることが好ましい。電極40またはセンサがこのように構成されていることにより、電極40またはセンサと導線30との接続部分が外方に露出せず、接続部分が他物に接触する等して導線30が電極40またはセンサから外れてしまうことを防ぐことができる。
第1の導線31の遠位端部に電極40またはセンサを有している場合、第1の導線31の挿通工程より後に、第1の導線31が有する電極40またはセンサをシャフト10の外表面に配置する工程を有することが好ましい。この工程において、電極40またはセンサと第1の導線31との接続部が第1の穴21の少なくとも一部と重なるように配置することが好ましい。このように、第1の導線31との接続部が第1の穴21の少なくとも一部と重なるように配置することにより、電極40またはセンサとシャフト10との間に隙間が生じにくく、カテーテル1の使用時に第1の穴21から血液等の液体がシャフト10の内部に入り込んでカテーテル1の動作を妨げることを防止することができる。また、第1の導線31の遠位端部にシャフト10の周囲を取り巻くリング状の電極40またはセンサを有し、第2の導線32の遠位端部に同様のリング状の電極40またはセンサを有している場合、第2の導線32の電極40またはセンサをシャフト10の外表面に配置するより前に、第1の導線31の電極40またはセンサをシャフト10の外表面に配置することが好ましい。このように電極40またはセンサを配置することにより、それぞれの電極40またはセンサをスムーズに配置することができる。
なお、第2の導線32の遠位端部に電極40またはセンサを有している場合も同様に、第2の導線32の挿通工程より後に、第2の導線32が有する電極40またはセンサと第2の導線32との接続部が第2の穴22の少なくとも一部と重なるように、第2の導線32が有する電極40またはセンサをシャフト10の外表面に配置することが好ましい。
図7に示すように、第1の導線31の挿通工程より前に、シャフト10の内腔に導線牽引部材110を配置する工程と、導線牽引部材110に第1の導線31を固定する工程と、を有することが好ましい。カテーテル1の製造において、導線牽引部材110を用いることにより、シャフト10の内腔に第1の導線31を挿通しやすくなり、第1の導線31の挿通工程にかかる時間を短縮することが可能となって、カテーテル1の製造効率を高めることができる。なお、シャフト10の内腔に導線牽引部材110を配置する工程を、導線牽引部材110配置工程と称することがあり、また、導線牽引部材110に第1の導線31を固定する工程を、第1の導線31の固定工程と称することがある。
導線牽引部材110は、シャフト10の内腔に導線30を挿通するための部材である。導線牽引部材110は、線状物であることが好ましい。導線牽引部材110を構成する材料は、例えば、鉄、銅、銀、ステンレス、タングステン、ニッケル、チタン、またはこれらの合金等の金属材料が挙げられる。中でも、導線牽引部材110を構成する材料は、ステンレスであることが好ましい。導線牽引部材110がこのように構成されていることにより、導線牽引部材110が真直性を有するためシャフト10の内腔を通過しやすく、導線30を容易にシャフト10の内腔へ挿通することができる。
導線牽引部材110は、一方端部に導線30を固定する部分を有することが好ましい。導線30を固定する部分としては、導線牽引部材110の一部の形状を輪形状やC字型形状として、この部分に導線30を引っ掛ける構成や、導線30を挟持する部分を有する構成とすること等が挙げられる。中でも、導線牽引部材110は、一方端部が輪形状となっており、この輪形状部に導線30を引っ掛けて固定することが好ましい。導線牽引部材110がこのように構成されていることにより、導線30を容易に固定することができ、導線30をシャフト10の内腔へ挿通しやすくなる。
導線牽引部材110の導線30を固定する部分を含む外径は、導線30を挿通するシャフト10の内径に応じて適宜選択することができる。導線牽引部材110の他方端部の外径は、導線牽引部材110に適度な剛性を付与することができる大きさや、導線牽引部材110がシャフト10の内腔を通過することが容易な大きさとすることが好ましい。
図7に示すように、第1の導線31の固定工程において、第1の導線31を第1の穴21からシャフト10の内腔へ挿通し、第1の導線31をシャフト10の遠位端10aから露出させ、露出している第1の導線31を導線牽引部材110に固定することが好ましい。このように第1の導線31の固定工程を行うことにより、第1の導線31を導線牽引部材110へ容易かつ確実に固定することができ、第1の導線31の挿通工程を行うことが容易となる。
導線牽引部材110配置工程において、導線牽引部材110の、第1の導線31を固定する部分である一方端部とは反対側の他方端部をシャフト10の遠位端10aからシャフト10の内腔に挿入することが好ましい。このように導線牽引部材110配置工程を行うことにより、導線牽引部材110に第1の導線31を固定しやすく、また、導線牽引部材110に固定した第1の導線31をシャフト10の内腔へ挿通しやすくなる。
図8に示すように、第1の導線31の挿通工程において、導線牽引部材110の第1の導線31を固定する部分が、シャフト10の第1の穴21が存在する部分を通過する際に、第1の導線31の第1の穴21から露出している部分を遠位側に折り曲げることが好ましい。このように第1の導線31の挿通工程を行うことにより、第1の導線31を固定した導線牽引部材110が第1の穴21がある部分を通過する際に、第1の導線31が第1の穴21付近のシャフト10を傷付けにくくなり、シャフト10の第1の穴21付近が裂ける等のカテーテル1の製造における不良品の発生を防止することができる。
第1の導線31の挿通工程が完了した後に、導線牽引部材110から第1の導線31を取り外す工程と、シャフト10の内腔に導線牽引部材110を配置する工程と、導線牽引部材110に第2の導線32を固定する工程と、を行うことが好ましい。このような工程を行うことにより、第2の導線32の挿通工程が行いやすくなる。
第2の導線32の固定工程において、第2の導線32を第2の穴22からシャフト10の内腔へ挿通し、第2の導線32をシャフト10の遠位端10aから露出させ、露出している第2の導線32を導線牽引部材110に固定することが好ましい。第2の導線32の固定工程をこのように行うことにより、導線牽引部材110に第2の導線32を固定することが容易でありながら確実となり、第2の導線32の挿通工程を容易に行うことができる。
カテーテル1の製造方法において、シャフト10を湾曲させる湾曲治具120を有していることが好ましい。図1~図3、図5および図6に示すように、湾曲治具120は筒状の形状であることが好ましいこのような構成の湾曲治具120を有していることにより、シャフト10を湾曲させやすく、また、シャフト10の湾曲状態を容易に保つことができる。また、湾曲治具120は、シャフト10を連続的に保持するものであってもよく、シャフト10を部分的に保持するものであってもよい。例えば、図12に示すように、湾曲治具120は、シャフト10の遠位側の一部および近位側の一部を保持する2つの部材を有する構成であってもよい。湾曲治具120の長軸方向の断面は、円形、切り欠いた円形、L字状等とする事ができる。湾曲治具120は、シャフト10を湾曲形状で保持することができればよいので、接着性の面部材等であってもよい。
図9に示すように、湾曲工程において、湾曲治具120の内腔にシャフト10を挿通し、シャフト10の外側面と湾曲治具120の内側面との間にシャフト固定具130を挿入することが好ましい。このような治具を用いる場合には、湾曲工程を第1の導線31の挿通工程等の他の工程よりも先に行うことが好ましい。このような工程を行うことにより、湾曲工程より後に行う、第1の導線31や第2の導線32の挿通工程である導線30をシャフト10の内腔に挿通する工程にて、シャフト10が移動することを防止して導線30の挿通工程が行いやすく、また、導線30が絡まることを防止できる。
シャフト固定具130は、湾曲治具120の内腔に挿通したシャフト10と、湾曲治具120との間に挿通し、シャフト10の移動を防止するものである。シャフト固定具130の形状は、平板状、筒状、中実の柱状等が挙げられる。中でも、シャフト固定具130は、平板状であることが好ましい。シャフト固定具130がこのように構成されていることにより、シャフト固定具130をシャフト10の外側面と湾曲治具120の内側面との間に挿入した際に、シャフト10の移動を十分に防止しつつ、シャフト10を傷付けにくくすることができる。
湾曲治具120を構成する材料は、透明または半透明の合成樹脂であることが好ましい。湾曲治具120がこのように構成されていることにより、湾曲治具120の内腔に挿通したシャフト10を視認することが可能となり、湾曲工程におけるシャフト10の状態を確認することができる。
湾曲治具120は、第1の導線31を把持する導線固定部140を有しており、第2の導線32の挿通工程において、シャフト10の近位端10bから露出している第1の導線31を導線固定部140に固定することが好ましい。このような工程を行うことにより、第1の導線31と第2の導線32とが絡まりにくくなり、第2の導線32をシャフト10の内腔に挿通することが容易となる。
導線固定部140は、例えば、粘着テープを有しており、この粘着テープへの第1の導線31の貼付、挟持部を有しており、この挟持部への第1の導線31の把持等、導線固定部140へ直接第1の導線31を結びつける等によって、第1の導線31を固定することが挙げられる。中でも、導線固定部140が粘着テープを有しており、この粘着テープへ第1の導線31を貼付することによって、第1の導線31を導線固定部140に固定することが好ましい。導線固定部140がこのように構成されていることにより、第1の導線31の固定を容易かつ迅速に行うことができる。
図9に示すように、シャフト10の近位端10bにインナーチューブ150を挿入していてもよい。インナーチューブ150は、インナーチューブ150の内腔にシャフト10に挿通した導線30を通すことによって、導線30がシャフト10の近位端10bと接触して導線30やシャフト10の近位端部が破損することを防ぐことができる。
インナーチューブ150は、シャフト10に固定されていることが好ましい。インナーチューブ150がシャフト10に固定されていることにより、導線30の挿通工程の際にインナーチューブ150がシャフト10から外れることを防ぎ、導線30の挿通工程が行いやすくなる。インナーチューブ150とシャフト10との固定は、例えば、粘着テープによって固定することができる。
図10に示すように、カテーテル1は、遠位端部がシャフト10の遠位端部に固定されたワイヤ50を有し、ワイヤ50を軸方向に移動させることによりシャフト10の遠位側が一方側に屈曲することが好ましい。ワイヤ50を複数配置することで、シャフト10を複数方向へ屈曲させるようにすることもできる。カテーテル1がこのように構成されていることにより、心腔内等の目的箇所へカテーテル1の遠位端部を接触させることが容易となり、電極40やセンサを用いた治療や検査が行いやすくなる。なお、ワイヤ50の遠位端部がシャフト10の遠位端部に固定されているとは、ワイヤ50の遠位端部がシャフト10の遠位端部に直接固定されていることも、ワイヤ50の遠位端部が後述する先端チップ等の他物を介して間接的に固定されていることも含むものとする。
ワイヤ50は、ワイヤ50の遠位端部がシャフト10の遠位端部に固定されていればよいが、ワイヤ50の遠位端がシャフト10の内腔の遠位端に固定されていることが好ましい。ワイヤ50がこのようにシャフト10へ固定されていることにより、シャフト10の遠位側を大きく屈曲させることができる。
ワイヤ50を構成する材料は、例えば、合成樹脂や、金属とすることができる。ワイヤ50は、金属材料と合成樹脂材料を組み合わせた構造であってもよく、例えば、金属の線材と合成樹脂の線材を編んだもの、金属線材に樹脂被覆をしたものを用いることができる。ワイヤ50の遠位端部とシャフト10の遠位端部との固定の方法は特に限定されず、操作中に外れないように強固に固定されていることが好ましい。
ワイヤ50の径は、シャフト10の内径や、配置する導線30の外径、本数等によって、適宜選択することができる。特に、ワイヤ50の強度が十分なものであること、シャフト10の内腔を十分に広く確保できることを考慮して設定することが好ましい。
図示していないが、シャフト10は、遠位端に先端チップを有していてもよい。先端チップは、半球状の電極40またはセンサ、シャフト10の遠位端の開口をふさぐ蓋状の部材とすることができる。シャフト10が先端チップを有していることにより、カテーテル1の使用時に血液等の水分がシャフト10の内腔に入り込み、電極40またはセンサと導線30との接続部や複数の導線30に水分が接触することによって導線30の間の絶縁性が低下することや、心内電位を測定する際に心電図のベースライン電位が不安定になるドリフト現象が起こることを防止することができる。また、先端チップがカテーテル1の先端の案内役となり、カテーテル1の挿入性を向上させることも可能となる。
カテーテル1がワイヤ50を有している場合、シャフト10の内腔において、先端チップをワイヤ50の固定部分とすることができる。先端チップにワイヤ50の固定端があることにより、ワイヤ50の操作によってカテーテル1の遠位端部を効果的に屈曲させることが可能となる。
カテーテル1がワイヤ50を有しており、シャフト10が遠位端に先端チップを有している場合、ワイヤ50の遠位端部とシャフト10の遠位端部との固定は、ワイヤ50が金属線材であって、先端チップが金属であり、ワイヤ50と先端チップとがはんだ付けによって固定されていることが好ましい。ワイヤ50の遠位端部とシャフト10の遠位端部とがこのように固定されていることにより、ワイヤ50とシャフト10との固定が強固となり、シャフト10の遠位側の屈曲のためにワイヤ50を軸方向に移動させても、ワイヤ50がシャフト10から外れにくくすることができる。
先端チップを構成する材料は特に限定されないが、例えば、前述のシャフト10を構成する材料、または、前述の電極40またはセンサを構成する材料等を用いることができる。なお、電極40またはセンサを構成する材料等の導電性材料で先端チップを構成し、先端チップを導線30に接続することによって、先端チップが電極40またはセンサを兼ねることもできる。
なお、シャフト10の遠位端に先端チップを設けず、シャフト10の遠位端部に熱融着等を施すことによって、シャフト10の遠位端の開口が塞がれていてもよい。
また、シャフト10の内腔に複数の導線30を有するカテーテル1の使用時においても、カテーテル1を湾曲させると導線30が他の導線30や湾曲のためのワイヤ50に絡まり、電極40やセンサが使用できなくなることや、導線30が断線すること等の問題もあった。この問題を解決することができる本発明のカテーテル1について、以下に説明する。
本発明のカテーテル1は、遠位側と近位側と内腔とを有するシャフト10と、シャフト10の外部とシャフト10の内腔とが連通する穴20と、穴20に挿通され、シャフト10の内腔に配置されている導線30と、導線30に接続されている電極40と、を有し、シャフト10の軸方向に直交する断面において穴20が含まれている側に、電極40に接続されている導線30が、電極40に接続されている導線30の全体の70%以上配置されていることを特徴とするものである。なお、電極40に接続されている導線30の全体の70%以上とは、電極40に接続されている導線30の総本数の70%以上の本数を指す。
図10に示すように、カテーテル1は、遠位側と近位側と内腔とを有するシャフト10と、シャフト10の外部とシャフト10の内腔とが連通する穴20と、穴20に挿通され、シャフト10の内腔に配置されている導線30と、導線30に接続されている電極40とを有している。
穴20は、少なくとも第1の穴21と第2の穴22とを有していることが好ましい。つまり、カテーテル1は、複数の穴20を有していることが好ましい。カテーテル1の穴20が少なくとも第1の穴21と第2の穴22とを有していることにより、カテーテル1に複数の電極40やセンサを設けることができ、カテーテル1の多極化や多機能化を行うことができる。
導線30は、少なくとも第1の導線31と第2の導線32とを有していることが好ましい。即ち、カテーテル1が複数の導線30を有していることが好ましい。導線30が少なくとも第1の導線31および第2の導線32を有していることにより、複数の電極40、複数のセンサ、または電極40とセンサの両方を有するカテーテル1とすることができる。
カテーテル1は、導線30に接続されている電極40を少なくとも1つ有していればよいが、導線30に接続されている電極40を複数有していることが好ましい。また、カテーテル1は、第1の導線31に接続されている電極40を有し、第2の導線32に接続されている、第1の導線31に接続されている電極40とは異なる電極40を有していることが好ましい。カテーテル1がこのように構成されていることにより、カテーテル1を多極化することができ、複数箇所の焼灼や心内電位の測定等の治療や検査を一度に行うことが可能となり、手技時間を短縮することができる。
図11に示すように、シャフト10の軸方向に直交する断面において、穴20が含まれている側に、電極40に接続されている導線30が、電極40に接続されている導線30の全体の70%以上配置されている。シャフト10の穴20が含まれている側とは、シャフト10の軸方向に直交する断面において、シャフト10の軸中心を通る直線L2によって区分けされた部分のうち、シャフト10の穴20が存在する側を指す。なお、図11に示すカテーテル1では、図の下側が、穴20が含まれている側である。
シャフト10の軸方向に直交する断面において、穴20が含まれている側に、電極40に接続されている導線30が、電極40に接続されている導線30の全体の70%以上配置されていればよいが、75%以上配置されていることが好ましく、80%以上配置されていることがより好ましく、85%以上配置されていることがさらに好ましく、90%以上配置されていることが特に好ましい。カテーテル1がこのように構成されていることにより、カテーテル1の使用時において導線30が他物に絡まりにくく、電極40やセンサが使用できなくなることや、導線30が断線することをより効果的に防止することが可能となる。
カテーテル1は、遠位端部がシャフト10の遠位端部に固定されたワイヤ50を有しており、ワイヤ50を軸方向に移動させることによりシャフト10の遠位側が一方側に屈曲し、シャフト10の軸方向に直交する断面において、該一方側に穴20が含まれていることが好ましい。カテーテル1がこのように構成されていることにより、カテーテル1の遠位側を屈曲させた際に、穴20に挿通されている導線30に外力が加わりにくく、導線30が断線しにくくなる。
図示していないが、カテーテル1は、近位側にハンドルを有していてもよい。ハンドルは、シャフト10の近位端部に接続されており、ワイヤ50の近位端部がハンドルに固定されていることが好ましい。カテーテル1がこのように構成されていることにより、ワイヤ50の軸方向への移動が容易となり、カテーテル1の操作が行いやすくなる。
導線30は、遠位端部に電極40が接続されており、近位端部に電気接続具が接続されていることが好ましい。電気接続具としては、例えば、コネクタ、基盤等が挙げられる。導線30がこのように構成されていることにより、電気接続具をカテーテル1の外部機器(図示せず)と接続することによって、カテーテル1の電極40と外部機器とを容易に電気的に接続することができる。なお、導線30の近位端部をカテーテル1の外部機器に直接接続することによって、電極40と外部機器とを接続してもよい。
図示していないが、カテーテル1は、シャフト10の遠位端部に遠位端部が固定されている弾性部材を有することが好ましい。弾性部材は、シャフト10の軸方向に沿って延在している。カテーテル1が弾性部材を有することにより、ワイヤ50を軸方向に移動させることによるシャフト10の遠位側の屈曲の度合いを細かく調節することが可能となる。
弾性部材は、例えば、板バネ、コイルバネ等によって構成することが挙げられる。中でも、弾性部材は、板バネであることが好ましい。板バネは、板材を用いたバネであり、板バネの軸方向に垂直な断面形状が長方形である。板バネは、この断面形状の長辺部が屈曲するため、ワイヤ50を軸方向に移動させると、板バネの長辺部がワイヤ50側へ屈曲することとなる。そのため、弾性部材が板バネであることにより、シャフト10の遠位側の屈曲方向を定めることができる。
弾性部材を構成する材料は、例えば、ステンレス鋼、炭素鋼、銅合金、チタン合金等が挙げられる。中でも、弾性部材を構成する材料は、ステンレス鋼であることが好ましい。弾性部材がこのように構成されていることにより、シャフト10の遠位側の屈曲度合いの調整がより行いやすくなる。
弾性部材の遠位端部は、シャフト10の遠位端部に固定されていればよいが、弾性部材の遠位端がシャフト10の内腔の遠位端に固定されていることが好ましい。弾性部材の遠位端がこのようにシャフト10へ固定されていることにより、シャフト10の遠位側の屈曲を調整することが容易となる。
弾性部材の遠位端部とシャフト10の遠位端部との固定の方法は特に限定されないが、例えば、はんだ等のろう付け、溶接、接着剤による接着、かしめ等による接続等が挙げられる。弾性部材の遠位端部とシャフト10の遠位端部との固定は、シャフト10が遠位端に金属製の先端チップを有しており、弾性部材が金属であり、弾性部材と先端チップとがはんだ付けによって固定されていることが好ましい。弾性部材の遠位端部とシャフト10の遠位端部とがこのように固定されていることにより、弾性部材をシャフト10へ強固に固定することができ、シャフト10の遠位側を屈曲させても弾性部材がシャフト10から外れにくくすることができる。また、弾性部材とシャフト10とを固定する工程を、ワイヤ50とシャフト10とを固定する工程と同時に行ってもよい。
カテーテル1がワイヤ50と弾性部材を有する場合、図示していないが、シャフト10の内腔に内筒が配置されており、内筒の内腔にワイヤ50と弾性部材とが配置されており、シャフト10の内腔であって内筒の外方に導線30が配置されていることが好ましい。カテーテル1がこのように構成されていることにより、導線30がワイヤ50や弾性部材に接触し、導線30が破損することを防止できる。
内筒部材は、例えば、筒形状であるチューブ、線材をらせん状に巻いたコイル等が挙げられる。また、内筒部材を構成する材料は、シャフト10を構成する材料として挙げた合成樹脂、金属等を用いることができる。中でも、内筒部材は金属であることが好ましく、ステンレス鋼の線材をらせん状に巻いたコイルであることがより好ましい。内筒部材がこのように構成されていることにより、シャフト10の剛性を高めつつ、適度な柔軟性も付与することができるため、血管への挿通性がよく、さらに、シャフト10の遠位側の屈曲の度合いを調整しやすいカテーテル1とすることができる。
以上のように、本発明のカテーテルの第1の製造方法は、遠位側と近位側と内腔とを備え、内腔と外部とが連通する第1の穴および第2の穴を有するシャフトを湾曲させる工程と、第1の穴からシャフトの内腔に第1の導線を挿通して、第1の導線をシャフトの近位端から露出させる工程と、湾曲工程より後に、第1の導線をシャフトの湾曲の内側に寄せる工程と、第2の穴からシャフトの内腔に第2の導線を挿通して、第2の導線をシャフトの近位端から露出させる工程と、を含み、第2の導線の挿通工程は、第1の導線をシャフトの湾曲の内側に寄せる工程より後に行うことを特徴とする。本発明のカテーテルの第2の製造方法は、遠位側と近位側と内腔とを備え、内腔と外部とが連通する第1の穴および第2の穴を有するシャフトを湾曲させる工程と、第1の穴からシャフトの内腔に第1の導線を挿通して、第1の導線をシャフトの近位端から露出させる工程と、湾曲工程より後に、第1の導線を牽引する工程と、第2の穴からシャフトの内腔に第2の導線を挿通して、第2の導線をシャフトの近位端から露出させる工程と、を含むことを特徴とする。本発明のカテーテルの第1の製造方法および第2の製造方法をこのように行うことにより、シャフトの内腔が小さい場合であっても、シャフトの内腔に挿通した導線が絡まりにくく、効率的にカテーテルを製造することができる。
また、本発明のカテーテルは、遠位側と近位側と内腔とを有するシャフトと、シャフトの外部とシャフトの内腔とが連通する穴と、穴に挿通され、シャフトの内腔に配置されている導線と、導線に接続されている電極と、を有し、シャフトの軸方向に直交する断面において穴が含まれている側に、電極に接続されている導線が、電極に接続されている導線の全体の70%以上配置されていることを特徴とする。本発明のカテーテルがこのように構成されていることにより、カテーテルを湾曲させてもシャフトの内腔に配置されている導線が絡まりにくくなる。