まず本実施形態の前提として、ホログラフィの原理を、図1を用いて説明する。なお以下では、3次元立体像を、単に立体像と呼ぶ。
図1(a)は、ホログラフィによる立体像の記録を説明するものである。図1(a)において、物体101は、照射光102で照射される。照射光102は、レーザなどのコヒーレント光である。物体101で反射された物体光103は、照射光102を振幅分割、又は波面分割して得られる参照光104と重ね合わされ干渉する。物体光103と参照光104の干渉による干渉縞105は、写真乾板等の記録媒体に記録される。写真乾板は、写真乳剤が無色透明のガラス板に塗布された感光材料の一種である。写真乾板を現像することで、干渉縞105が記録されたホログラム106が得られる。
図1(b)は、ホログラフィによる立体像の再生を説明するものである。ホログラム106に対し、記録時と同じ参照光104を照射すると、参照光104は、ホログラム106に記録された干渉縞105により回折し、物体光103と同じように振る舞う再生光107となる。この再生光107により、参照光104を照射した側の反対側からホログラム106を観察すると、物体101があった位置に、物体101の立体像108が再生される。この場合の立体像108は、ホログラム106による参照光104の-1次回折光によって形成される虚像である。一方、観察者側には、ホログラム106による参照光104の+1次回折光で形成される実像が再生される。
以上は写真乾板に干渉縞を記録し、再生するアナログのホログラフィであるが、二次元波面変調装置と呼ばれるデジタルデバイスにより、干渉縞、すなわちホログラムを形成することができる。そしてホログラムとして作用する二次元波面変調装置に参照光を照射することで、立体像を再生し、表示することができる。また、フレームレートに応じて立体像を切り替えることで、立体像の動画、すなわちホログラフィック映像を表示することができる。
物体光と参照光とが干渉して得られる干渉縞は、コンピュータ演算により求めることが可能である。コンピュータ演算による干渉縞はCGH(Computer Generated Hologram)と呼ばれる。本実施形態では、CGHデータを用いたホログラフィック映像の再生及び表示を、一例として説明する。
[第1の実施形態]
第1の実施形態を、図面を参照しながら説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
図2は、本実施形態の表示装置の構成の一例を示したものである。図2(a)は、表示装置200における部品の配置と、表示装置200により立体像が再生される空間を正面からみた様子とを示している。図2(b)は、表示装置200により再生した立体像と観察者との位置関係を示している。
図2(a)において、表示装置200は、光源201rと、201bと、及び201gとを有している。光源201r、201b、及び201gは、それぞれ赤、青、及び緑色の波長を有するコヒーレント光を発するレーザで、例えばそれぞれ半導体レーザである。或いは、DPSS(Diode Pumped Solid State)レーザ等の更にコヒーレンスが高い、すなわち可干渉距離が長い光源を用いてもよい。
また表示装置200は、制御装置202と、光偏向素子アレイ203r、203b、及び203gとを有している。制御装置202は、光偏向素子アレイ203r、203b、及び203gに接続されており、赤、青、及び緑色に対応するCGHデータをそれぞれに出力する。CGHデータは、ホログラフィック映像に応じた波面を有する再生光のデータの一例である。
光偏向素子アレイ203r、203b、及び203gは、それぞれ複数の光偏向素子が2次元的に配置されたデバイスである。複数の光偏向素子は、制御装置202から入力されるCGHデータに応じてそれぞれ独立に可動し、二次元パターンを有する干渉縞、すなわちホログラムを形成する。光偏向素子アレイ203r、203b、及び203gが配置された位置は、それぞれ光偏向素子アレイが配置された第2の位置の一例である。
光偏向素子アレイ203r、203b、及び203gは、光源201r、201b、及び201gから照射された光を偏向することで、照射光を変調し、再生光を生成する。また、制御装置202から入力されるCGHデータを時系列に切り替えることで、生成される再生光を、時系列に切り替える。
光偏向素子アレイ203r、203b、及び203gで生成された再生光は、ホログラフィック映像に応じた波面を有する再生光の一例である。なお、光偏向素子アレイの構成、及び可動の詳細については後述する。
表示装置200は、さらに、遮光板204r、204b、及び204gと、合成プリズム205と、マイクロミラー206とを有している。
遮光板204r、204b、及び204gのそれぞれは、例えば、金属薄板に微小な貫通穴を開けたピンホールである。フレア光発生の原因となる金属薄板での反射光を防止するため、金属薄板の表面は、植毛紙が貼付される等の処理がなされている。遮光板204r、204b、及び204gは、後述するようなOFF状態の光偏向素子の反射光を遮光する。
合成プリズム205は、遮光板204r、204b、及び204gを通過した光を合成する。光偏向素子アレイ203r、203b、及び203gそれぞれにより生成された3つの単色の再生光は、合成プリズム205により合成されて1つのカラーの再生光になる。
マイクロミラー206は、合成プリズム205により合成された光を反射し、反射光を水平、及び鉛直方向に走査する。図2(a)において、矢印で示したX方向が水平方向であり、Y方向が鉛直方向である。
マイクロミラー206は、例えば、MEMS(Micro Electromechanical System)デバイスである。マイクロミラー206では、光反射面を有する可動部がX方向と平行な第1軸、及びY方向に平行な第2軸の回りに回動可能に形成されている。マイクロミラー206は、可動部が各軸回りに回動することで、光反射面による反射光を対象領域内に二次元走査する。マイクロミラー206は、例えば半導体プロセス技術により、シリコンやガラスを微細加工して製作される。
再生空間207は、光偏向素子アレイ203r、203b、及び203gそれぞれによる再生光が結像、又は略結像する空間である。言い換えると、再生空間207は、ホログラムとして作用する光偏向素子アレイ203r、203b、及び203gにより再生される立体像が、表示される立体的な空間である。ここで略結像とは、完全に結像している状態、すなわち完全に焦点の合っている状態のみを言うのではなく、多少の結像ずれ、すなわち焦点ずれは許容することを意味する。なお、本実施形態において表示される立体像は実像であるが、虚像が表示されるような構成としてもよい。
再生光は、マイクロミラー206により、XY平面207a内で走査される。XY平面207aは、再生空間207から切り出した一平面であり、例えば、図2(b)で二点鎖線で示した平面である。
再生光の光軸は、マイクロミラー206により走査される再生光の光束の中心を通り、再生光の伝搬方向と平行な軸である。例えば、図2(a)において、一点鎖線で示した207bは、再生光の光束207cの光軸である。再生光の光軸の方向は、マイクロミラー206による走査角度に応じて変化する。
なお、XY平面207aは、再生光の光軸と交差する平面の一例である。
また、XY平面207aと直交する方向における、XY平面207aの位置は、光偏向素子アレイ203r、203b、及び203gそれぞれによる再生光、すなわちホログラフィック映像に応じた波面を有する再生光が結像する第1の位置の一例である。
さらに、マイクロミラー206は、再生光が結像する第1の位置において、再生光の光軸と交差する平面内で、再生光を走査する走査手段の一例である。なお、マイクロミラー206の他、走査手段として、例えばポリゴンミラーや音響光学素子等を組み合わせて用いてもよい。
光偏向素子アレイ203r、203b、及び203gで生成され、合成プリズム205で合成された1つのカラーの再生光は、マイクロミラー206で反射される。反射光は、XY平面207aにおける一部の領域208に照射される。領域208では、CGHデータに応じた立体像が再生され、表示される。この場合の立体像は、マイクロミラー206による二次元走査により得られる立体像のうちの一部分であり、以下では部分立体像と呼ぶ。
次に、制御装置202から入力されるCGHデータが切り替えられ、光偏向素子アレイ203r、203b、及び203gにより、次のカラーの再生光が生成される。またマイクロミラー206が向きを変え、反射方向が変更される。これにより、次のカラーの再生光が、例えばXY平面207aで領域208に隣接する領域に照射される。領域208に隣接する領域では、CGHに応じた次のカラーの再生光による部分立体像が再生され、表示される。
このようなCGHデータの切り替えと、光偏向素子アレイ203r、203b、及び203gによるカラーの再生光の生成と、マイクロミラー206による再生光の反射方向の変更と、を1セットとした動作が繰り返される。XY平面207aにおいて、カラーの再生光が照射される領域は、矢印209に沿って変更される。
上記動作が繰り返され、矢印209に沿って、XY平面207aの全体にカラーの再生光が照射されることで、CGHデータに応じた部分立体像が、XY平面207aにおいて繋ぎ合わされ、立体像の全体像が形成される。
なお、マイクロミラー206による再生光の反射方向の変更は、マイクロミラー206による再生光の走査において連続的に行われる。従って、部分立体像を繋ぎ合わせるためには、マイクロミラー206により再生光を走査しながら、走査に同期して所定のタイミング毎に、CGHデータの切り替えと、カラーの再生光の生成を実行する必要がある。
本実施形態では、XY平面207aにおいて部分立体像を繋ぎ合わせる処理は、例えば隣接する部分立体像をオーバーラップさせない、いわゆるタイリング処理である。
具体的には、例えば、XY平面207aにおける1つの部分立体像のX方向におけるサイズをSx、マイクロミラー206からXY平面207aまでの距離をZ、マイクロミラー206による走査速度をVとする。Sx、Z、及びVに基づき、隣接する部分立体像がオーバーラップしない時間tを予め求めておき、時間t毎にCGHデータを切り替え、また光偏向素子アレイ203r、203b、及び203gによりカラーの再生光を生成する。これにより、隣接する部分立体像を、相互にオーバーラップする領域がない状態で、繋ぎ合わせることができる。Y方向において部分立体像を繋ぎ合わせる場合も同様である。
CGHデータの切り替えと、マイクロミラー206による走査を同期させるために、表示装置200は同期検知手段を有している。同期検知手段は、例えばマイクロミラー206によりカラーの再生光が走査される領域の一部に設けられたPD(Photo Diode)により実現される。
PDは、その受光面をカラーの再生光が通過するタイミングを検知する。このタイミングを基準に、クロックのカウント等で時間を計測し、上記の時間t毎にCGHデータを切り替え、またまた光偏向素子アレイ203r、203b、及び203gによりカラーの再生光を生成すればよい。
X方向とY方向の同期検知のためには、マイクロミラー206によるカラーの再生光のX方向、及びY方向の走査領域に、それぞれ少なくとも1つずつのPDを設ける必要がある。
立体像の全体像を形成する動作は、フレームレートの周期内で行われ、立体像の全体像はフレームレートで映像として表示される。立体像の全体像を、以降では、単に立体像と呼ぶ。
図2(b)において、再生空間207に形成された立体像211は、図示した位置関係において、観察者212により観察される。図2(b)に二点鎖線で示した207aは、XY平面である。透明板210は、表示装置200の内部を保護するためのもので、本実施形態においては光学的な作用はない。
なお、図2(b)では、便宜的に、赤色の光のための光学系のみを示したが、青色及び緑色の光のための光学系も同様である。
次に、本実施形態の表示装置200のハードウェア構成の一例を、図3を用いて説明する。図3に示すように、表示装置200は、制御装置202と、光源201と、マイクロミラー206と、光偏向素子アレイ203とを有し、それぞれが電気的に接続されている。光源201には、光源201r、201b、及び201gが含まれ、光偏向素子アレイ203には、光偏向素子アレイ203r、203b、及び203gが含まれている。
このうち、制御装置202は、CPU(Central Processing Unit)300と、RAM(Random Access Memory)301と、ROM(Read Only Memory)302と、FPGA(Field-Programmable Gate Array)303と、外部I/F304と、光源ドライバ305と、マイクロミラードライバ306と、光偏向素子アレイドライバ307とを有している。
CPU300は、ROM302等の記憶装置からプログラムやデータをRAM301上に読み出し、処理を実行して、制御装置202の全体の制御や機能を実現する演算装置である。
RAM301は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の記憶装置である。
ROM302は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の記憶装置であり、CPU300が表示装置200の各機能を制御するために実行する処理用プログラムやデータを記憶している。
FPGA303は、CPU300の処理に従って、光源ドライバ305、マイクロミラードライバ306及び光偏向素子アレイドライバ307に適した制御信号を出力する回路である。
外部I/F304は、例えば外部装置やネットワーク等とのインタフェースである。外部装置には、例えば、PC(Personal Computer)等の上位装置、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、HDD(hard disk drive)、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置が含まれる。また、ネットワークは、例えばLAN(Local Area Network)やインターネット等である。外部I/F304は、外部装置との接続または通信を可能にする構成であればよく、外部装置ごとに外部I/F304が用意されてもよい。
光源ドライバ305は、入力された制御信号に従って光源201に駆動電圧等の駆動信号を出力する電気回路である。光源ドライバ305には、光源201r、201b、及び201gにそれぞれ駆動信号を出力する光源ドライバ305r、305b、及び305gが含まれる。
マイクロミラードライバ306は、入力された制御信号に従ってマイクロミラー206に駆動電圧等の駆動信号を出力する電気回路である。
光偏向素子アレイドライバ307は、入力された制御信号に従って光偏向素子アレイ203に駆動電圧等の駆動信号を出力する電気回路である。光偏向素子アレイドライバ307には、光偏向素子アレイ203r、203b、及び203gにそれぞれ駆動信号を出力する光偏向素子アレイドライバ307r、307b、及び307gが含まれている。
CGHデータの切り替え、及び光偏向素子アレイ203による再生光の生成と、マイクロミラー206による走査とを同期させるためのPDの出力は、例えばCPU300やFPGA303等に入力される。
制御装置202において、CPU300は、外部I/F304を介して外部装置やネットワークから駆動情報と再生情報を取得する。なお、CPU300が駆動情報と再生情報を取得することができる構成であればよく、制御装置202内のROM302やFPGA303に駆動情報と再生情報を格納する構成としてもよいし、制御装置202内に新たにSSD等の記憶装置を設けて、その記憶装置に駆動情報と再生情報を格納する構成としてもよい。
ここで、駆動情報と再生情報とは、再生空間207にどのように立体像を表示させるかを示した情報である。例えば、駆動情報は、光源の照射強度やマイクロミラーの可動範囲等であり、再生情報は、CGHデータや、走査に応じたCGHデータの切り替えタイミング等である。
制御装置202は、CPU300の命令および図3に示したハードウェア構成によって、次に説明する機能構成を実現することができる。
次に、表示装置200の制御装置202の機能構成について図4を用いて説明する。図4は、表示装置200の制御装置202の一例の機能ブロック図である。
図4に示すように、制御装置202は、機能として制御部400と駆動信号出力部401とを有している。制御部400は、例えばCPU300、FPGA303等により実現され、外部装置から駆動情報と再生情報を取得し、これらを制御信号に変換して駆動信号出力部401に出力する。
制御部400は、駆動制御部400aと、再生制御部400bとを有し、また駆動信号出力部401は、光源駆動信号出力部401aと、マイクロミラー駆動信号出力部401bと、光偏向素子アレイ駆動信号出力部401cとを有している。
駆動制御部400aは、駆動情報として外部装置等から、例えば光源の照射強度やマイクロミラーの可動範囲を取得し、所定の処理によりこれらから制御信号を生成して、光源駆動信号出力部401aとマイクロミラー駆動信号出力部401bに出力する。
また、再生制御部400bは、再生情報として外部装置等から、例えばCGHデータや、走査に応じたCGHデータの切り替えタイミング等を取得し、所定の処理によりCGHデータから制御信号を生成して、所定のタイミングで光偏向素子アレイ駆動信号出力部に出力する。所定のタイミングは、上述したように、タイリング処理を実行するためのもので、PDからの出力信号を受信後にカウントするクロック数等で設定することができる。
なお、再生制御部400bは、再生制御手段の一例である。
光源駆動信号出力部401aは、例えば光源ドライバ305により実現される。マイクロミラー駆動信号出力部401bは、例えばマイクロミラードライバ306により実現される。光偏向素子アレイ駆動信号出力部401cは、例えば光偏向素子アレイドライバ307により実現される。光源駆動信号出力部401a、マイクロミラー駆動信号出力部401b、光偏向素子アレイ駆動信号出力部401cは、それぞれ入力された制御信号に基づいて、光源201、マイクロミラー206、及び光偏向素子アレイ203に駆動信号を出力する。
駆動信号は、光源201、光偏向素子アレイ203、又はマイクロミラー206の駆動を制御するための信号である。例えば光源201においては、光源の照射タイミングおよび照射強度を制御する駆動電圧である。また、例えばマイクロミラー206においては、マイクロミラー206の有する光反射面を可動させるタイミング、及び可動範囲を制御する駆動電圧である。また、例えば光偏向素子アレイ203においては、CGHデータに応じ、光偏向素子アレイ203の有する複数の光偏向素子をそれぞれ可動させるタイミング、及び可動範囲を制御する駆動電圧である。
なお、駆動制御部400aと再生制御部400bは相互に接続されており、処理を連携させることも可能である。
次に、表示装置200が再生空間207に立体像を表示させる処理について図5を用いて説明する。図5は、表示装置200における制御装置202の処理の一例のフローチャートである。
まず、ステップS51において、駆動制御部400aは、外部装置等から駆動情報を取得する。
続いて、ステップS53において、駆動制御部400aは、取得した駆動情報から制御信号を生成し、制御信号を光源駆動信号出力部401a及びマイクロミラー駆動信号出力部401bに出力する。
続いて、ステップS55において、光源駆動信号出力部401aは、入力された制御信号に基づいて、駆動信号を光源201に出力し、マイクロミラー駆動信号出力部401bは、入力された制御信号に基づいて、駆動信号をマイクロミラー206に出力する。光源201は、入力された駆動信号に基づいて光照射を行い、マイクロミラー206は、入力された駆動信号に基づいて光反射面の可動を行い、光偏向素子アレイ203により生成された再生光を走査する。
続いて、ステップS57において、再生制御部400bは、外部装置等から再生情報を取得する。なお、再生情報を制御装置202におけるRAM等に予め記憶しておき、再生制御部400bはRAM等から再生情報を取得してもよい。
続いて、ステップS59において、再生制御部400bは、取得した再生情報から制御信号を生成し、制御信号を光偏向素子アレイ駆動信号出力部401cに出力する。
続いて、ステップS61において、光偏向素子アレイ駆動信号出力部401cは、入力された制御信号に基づいて、駆動信号を光偏向素子アレイ203に出力する。光偏向素子アレイ203は、入力された駆動信号、及び走査と同期するためのPDの出力信号に基づいて各光偏向素子の可動を所定のタイミングで行う。これにより部分立体像が再生空間207で表示される。
続いて、ステップS63において、制御装置202は、全ての部分立体像の表示が終了したかを判断し、終了していない場合は、ステップS57に戻り、処理を継続する。
全ての部分立体像の表示が終了した場合は、ステップS65において、制御装置202は、全ての立体像の表示が終了したかを判断し、終了していない場合は、ステップS57に戻り、処理を継続する。
ステップS65において、全ての立体像の表示が終了した場合は、処理を終了する。
以上により、CGHデータに応じた部分立体像が走査され、それらがXY平面207aで繋ぎ合わされた立体像が表示される。
なお、表示装置200では、1つの制御装置202が光源201と、光偏向素子アレイ203と、及びマイクロミラー206とを制御する装置および機能を有しているが、これに限られない。光源用の制御装置、光偏向素子アレイ用の制御装置、及びマイクロミラー用の制御装置を、別体に設けてもよい。
また、表示装置200では、1つの制御装置202に、制御部400の機能および駆動信号出力部401の機能を設けているが、これに限られない。これらの機能は別体として存在していてもよく、例えば制御部400を有した制御装置202とは別に駆動信号出力部401を有した駆動信号出力装置を設ける構成としてもよい。
次に、光偏向素子アレイ203rが形成する干渉縞のパターン、すなわちホログラムについて、図6を用いて説明する。
光偏向素子アレイ203rは、制御装置202から入力されるCGHデータに応じてホログラムを形成する。なお以下では、説明の便宜のため、光偏向素子アレイ203rによる赤色の光による立体像の再生について述べるが、光偏向素子アレイ203b、及び光偏向素子アレイ203gを用いた青、及び緑色の光による立体像の再生及び表示も同様である。
図6は、光偏向素子アレイ203rが形成するホログラムを示したものである。図6(a)は、光偏向素子アレイ203rにおいて、複数の光偏向素子が二次元的に配列された様子を示している。301rは、1つの光偏向素子を表しており、この光偏向素子が二次元的に配列され、光偏向素子アレイ203rが構成されている。光偏向素子は、光反射面を有し、それぞれが独立で可動する。
図6(b)は、CGHデータに応じて、各光偏向素子が独立に可動した様子を示している。図6(b)で、黒くない状態で示した光偏向素子301r-aは、ONの状態であり、黒い状態で示した光偏向素子301r-bは、OFFの状態である。
本実施形態では、光偏向素子の可動はON、若しくはOFFの2通りである。ONのとき、光偏向素子の光反射面は、例えば光偏向素子が配列された平面に対して所定の角度に傾斜する。またOFFのとき、光偏向素子の光反射面は、光偏向素子が配列された平面に対して、ONのときとは異なる角度で傾斜する。OFFのときは、光反射面からの反射光は遮光板204rにより遮光され、立体像の再生には寄与しなくなる。
図6(c)は、光偏向素子がONの状態とOFFの状態を組み合わせて表現した干渉縞パターンの一例を示している。図6(a)、(b)では、光偏向素子の一つ一つを認識しやすいように、各光偏向素子を拡大して模式的に示したが、図6(c)は、各光偏向素子を拡大せずに示したものである。
図6(c)において、光偏向素子アレイ203rに光が入射すると、干渉縞パターンに応じて反射光が変調される。つまり、反射光は、ONの光偏向素子では立体像の再生に寄与し、OFFの光偏向素子では立体像の再生に寄与しない状態に変調される。このように光偏向素子アレイ203rは、入射する光を変調するホログラムとして作用する。なお、上記では光偏向素子の可動がONとOFFの2通りの場合を示したが、2通りより多くし、より詳細な変調を行えるようにしてもよい。
ここで、本実施形態の表示装置200では、第1の位置、すなわち再生光が結像、又は略結像する位置と、第2の位置、すなわち光偏向素子アレイを配置した位置で、再生光の光軸と交差する平面内での再生光のサイズは等しい。
再生光のサイズとは、光偏向素子アレイにより生成された再生光の、光軸と交差する平面内、すなわち図2のXY平面207aにおけるサイズをいう。
水平方向、すなわちX方向における再生光のサイズは、光偏向素子アレイによる再生光の、水平方向、すなわちX方向における長さ(幅)と同義である。鉛直方向、すなわちY方向における再生光のサイズは、光偏向素子アレイによる再生光の、鉛直方向、すなわちY方向における長さ(高さ)と同義である。
また、第1の位置と第2の位置での再生光のサイズが等しいことについては、別に、次の言い方ができる。すなわちX、Y方向において、1つの光偏向素子のサイズをpx、pyとし、光偏向素子アレイにおける光偏向素子の数をNx、Nyとすると、第1の位置での再生光のサイズは、X方向ではNx×px、Y方向ではNy×pyである。
第1の位置と第2の位置での再生光のサイズが等しいことは、第1の位置で、再生光のサイズが拡大されないことを意味し、また第1の位置で視域角が減少しないことを意味する。ここで視域角とは、物体を観察することのできる角度範囲、若しくは物体全体を観察できる目の角度をいう。視域角が大きいほど、より立体的な立体像が得られる。
再生される立体像の視域角φと、干渉縞の最小幅δとは、次の(1)式の関係がある。但し、λは光源の波長である。
(1)式によれば、例えば、δが1.0μmの場合は、φは約30度である。
仮に、光偏向素子アレイによる再生光が第1の位置で拡大された場合、干渉縞の最小幅δも拡大されるため、(1)式に従い、δの拡大に応じて視域角は減少する。
本実施形態では、光偏向素子アレイによる再生光は拡大されないため、第1の位置においても、光偏向素子アレイの位置での干渉縞の最小幅δが維持され、視域角が維持される。例えばX、Y方向において、1つの光偏向素子のサイズをそれぞれ1.0μmとし、光偏向素子アレイにおける光偏向素子の数をそれぞれ1000個とすると、第1の位置と第2に位置における再生光のサイズはともに1mmとなる。干渉縞の最小幅δは1つの偏向素子のサイズと等しく1μmであるため、δが1.0μmのときの視域角の約30度で立体像の観察が可能となる。
第1の位置と第2の位置における再生光のサイズを等しくするために、例えば、図7のように、光偏向素子アレイ203rによる再生光の光路に、変倍レンズ213を設けた構成としてもよい。変倍レンズ213は、変倍レンズ213を設けない場合の光偏向素子アレイ203rによる再生光が第1の位置で結像する関係を保ったまま、再生光のサイズが等しくなるように作用する。
光偏向素子アレイ203rが形成するホログラムはレンズの一種であるため、光偏向素子アレイ203rによるホログラムと変倍レンズ213とで合成光学系を構成する。ホログラムのみの場合の結像関係を保ったまま、光学倍率が1倍になるように、合成光学系の焦点距離を設定する。これにより、第1の位置と第2の位置で再生光のサイズを等しくできる。
変倍レンズ213は、レンズ等の複数の光学系を組み合わせて構成してもよい。また、立体像の表示性能への影響を抑えるために、変倍レンズ213には、色収差等の収差が低減されたものを用いることが好ましい。
ところで、視域角を維持するために、第1の位置において、再生光の光軸と交差する平面内における再生光の水平、及び鉛直方向の長さRx、及びRyが、次の(2)、(3)関係を満足するようにしてもよい。
但し、Nx、Nyは、光偏向素子アレイにおける光偏向素子の水平、鉛直方向の個数であり、λは入射したコヒーレント光の波長である。
λより小さい長さの構造では回折効果は得られず、また光偏向素子アレイでは光を反射させるため、光偏向素子のサイズはλ/2以上が必要と考えられる。そのためRxを、λ/2に光偏向素子の個数を乗じた値のNx×λ/2以上の値としている。
また、立体視は両眼で行うことを考慮すると、十分に立体的というために許容される視域角は、波長λが干渉縞の最小幅の場合における視域角の1/2までと考えられる。そのためRxを、λによる視域角の1/2の視域角を得るための干渉縞の幅2λに、光偏向素子の個数を乗じた値の2×Nx×λ以下の値としている。
なお、例えば、マイクロミラー206からXY平面207aまでの距離が短いと、走査により再生光を照射するXY平面207aの領域毎で、再生光のサイズが異なる場合がある。例えば、XY平面207aにおける中央付近と端部付近で、再生光のサイズが異なるような場合である。XY平面207aの領域毎で再生光のサイズが異なるため、どの領域における再生光のサイズを、第1の位置における再生光のサイズとすればよいかが問題になる。
この場合、再生光のサイズは、マイクロミラー206による走査角度により決まるため、例えば、走査角度により再生光のサイズを規格化すればよい。走査角度により規格化すれば、領域による再生光のサイズの差はなくせるため、規格化した再生光のサイズを第1の位置における再生光のサイズとすればよい。或いは、例えば、XY平面207aにおける中央付近の再生光のサイズを代表値として、第1の位置における再生光のサイズとしてもよい。
以上のように、第1の位置における再生光のサイズを、第2位の位置、すなわち光偏向素子アレイが配置された位置での再生光のサイズと等しくする、あるいは略等しくすることにより、広い視域角を確保することができる。
また上述したように、本実施形態の表示装置200では、マイクロミラー206で光偏向素子アレイによる再生光を走査しながら、XY平面207aで部分立体像を繋ぎ合わせることで、大きな立体像を表示することができる。
以上により、本実施形態の表示装置200によれば、広い視域角を確保しながら、大きなサイズの立体像を表示することができる。
なお、上記ではCGHデータを用いた立体像の表示について説明したが、本実施形態の表示装置200は、ホログラフィの原理に基づいて撮影し、記録したホログラムデータを用い、3次元立体像を表示することにも適用することができる。
次に、本実施形態の光偏向素子の構造の一例を、図8を用いて詳細に説明する。図8において、(a)は光偏向素子の平面図で、(b)は、(a)において一点鎖線で示したA-A断面の断面図である。
図8において、光偏向素子800は、基板801と、規制部材802a、802b、802c、及び802dと、支点部材803a及び803bと、板状部材804と、電極805a及び805bと、接触部位807とを有している。
基板801は、シリコンの半導体基板である。シリコンやガラス等の一般に半導体プロセスや液晶プロセスにて用いられている材質を用いることで、構造の微細化が可能となる。また、(100)面方位を有するシリコン基板で形成することで、駆動系回路と同一基板に形成でき、簡単、かつ低コスト化に製作できる。
規制部材802a、802b、802c、及び802dは、光反射面を有する板状部材804の可動範囲を所定の空間に制限する。例えば1つの規制部材の802aは、4本の円柱状部材と、円柱状部材の上部に設けられたストッパ806とを有している。規制部材802a、802b、802c、及び802dは、矩形の板状部材804の4隅に対応する位置に、所定の間隔を空けて配置されている。ストッパ806が、板状部材804を上方向から押さえることで、板状部材804の上方向への可動範囲を制限する。規制部材802a、802b、802c、及び802dは、例えば酸化シリコン膜、又は酸化クロム膜により形成されている。なお規制部材の個数及び配置は、上記に限定されず、板状部材804の外周に対応する全領域に多数配置される構成としてもよい。
板状部材804は、高反射率を有するアルミニウム等の薄膜で形成された部材である。板状部材804の面は、光反射面として機能する。板状部材804は、支点部材803a及び803bの頂部と接触して支持されており、この頂部を支点に傾斜して可動することができる。また板状部材804は、少なくとも一部に導電部を有している。板状部材804を、導電体で構成してもよい。
電極805a及び805bに電圧が印加されると、板状部材804の導電部と電極805a及び805bとの間で静電引力が発生する。板状部材804の可動範囲は、上述のように上方向は規制部材802a、802b、802c、及び802dで制限され、下方向は基板801で制限されている。板状部材804は薄膜で形成されて軽量である。これにより、基板801や規制部材802a~802dに衝突するときの衝撃が緩和される。
支点部材803a及び803bは、それぞれ基板801の上面に設けられた、例えば円錐状の部材である。円錐の頂部は、板状部材804が傾斜する支点として作用する。なお、支点部材803a及び803bの形状は円錐に限定されず、光偏向素子800に求められる性能に応じて適正化することができる。
支点部材803a及び803bは、例えば酸化シリコン膜、又はシリコン窒化膜で形成されている。但し、支点部材803a及び803bを通して、板状部材804の電位を取る場合は、各種金属膜等の導電性材料で形成される必要がある。
電極805a及び805bは、板状部材804に対向するように配置されている。電極805a及び805bに電圧が印加されると、電極805a及び805bと板状部材804の導電部の間で静電引力が発生する。この静電引力により端部が引き寄せられることで、板状部材804は傾斜することができる。電極805a及び805bに印加される電圧に応じて、板状部材804の傾斜角度は切り替えられる。板状部材804のサイズと、板状部材804に入射する光の入射角度と、板状部材804の傾斜角度とをパラメータにして、板状部材804に入射する光の偏向方向を決めることができる。
接触部位807は、基板801上に設けられ、板状部材804が傾斜した際に、板状部材804の端部を接触させる部位である。
光偏向素子800の作用の一例として、支点部材803a及び803bの頂部を支点に、板状部材804が傾斜することで、板状部材804に入射する光は、図8(a)の白抜きの矢印808に沿った方向に偏向される。板状部材804への入射光束は、例えば、光偏向素子がONのときは方向1に反射され、光偏向素子がOFFのときは方向2に反射される。
以上説明した光偏向素子は、例えば、シリコンの半導体製造プロセスにより製作することができ、光偏向素子を2次元に配列することで、光偏向素子アレイを製作することができる。
次に、本実施形態の光偏向素子アレイの特徴を詳細に説明する。
本実施形態では、光偏向素子アレイをいわゆるアクティブマトリクス方式で駆動する。ここでアクティブマトリクス方式とは、液晶パネル等の駆動に用いられる駆動方式である。具体的には、X、Y方向の2方向に導線を張り巡らし、両方向から電圧をかけることで交点の画素を駆動させる単純マトリクス型の構造に加えて、各画素にアクティブ素子を配置する方式である。アクティブ素子は、X方向の導線の電圧によってON、又はOFFに状態が切り替わり、アクティブ素子がONの時にY方向の導線にも電圧がかけられると交点にある目的の画素が駆動される。これにより、目的の画素のみを確実に駆動することができる。単純マトリクス型に比べて、残像が少なく、視域角も広く、コントラストが高く、反応速度が速いという特徴がある。
本実施形態においては、光偏向素子アレイにおける1つの光偏向素子が「画素」である。アクティブマトリクス方式を採用することで、1つの光偏向素子の直下のトランジスタ数を少なくすることができる。これにより一辺の長さが1μm程度の微細な光偏向素子を2次元に配列でき、微細な画素を備えた光偏向素子アレイを製作することが可能となる。
本実施形態において、光偏向素子のサイズ、すなわちX、Y方向における一辺の長さは、例えば、それぞれ1.2μmである。光偏向素子における板状部材804のサイズは、例えば、X、Y方向とも1.0μmである。また板状部材804は、10度以上の角度で傾斜可能である。
本実施形態の光偏向素子アレイにおける光偏向素子の個数は、例えば、X、Y方向とも1000個である。従って、光偏向素子アレイは計100万個の光偏向素子を有し、第2の位置において、光偏向素子アレイにより形成される再生光のサイズは、X、Y方向とも1.2mmとなる。
XY平面207aにおいて、マイクロミラー206により走査する範囲は、例えば対角で30インチであり、部分立体像を繋ぎ合わせて形成される立体像のサイズは、例えば、X、Y方向とも540mmである。このように大画面で立体像を表示することを可能としている。
また、本実施形態の光偏向素子アレイは、シリコン半導体製造プロセスにより製作できるため、アクティブマトリクス方式で、光偏向素子アレイの全画素、すなわち全ての光偏向素子を並列に駆動することが可能である。アクティブマトリクス方式で各光偏向素子を並列に駆動すること、並びに可動部である板状部材804を小型軽量化することで、1つの部分立体像の表示時間を、例えば57nsと高速化することができる。これにより実用的なフレームレートである60fps(frame per second)で、立体像を表示することができる。
板状部材804は、ヒンジ等の固定端を持たない薄板で構成されているため、傾斜時に復元力が生じない。これにより傾斜時における抵抗が抑制されるため、より低い電圧で可動させることができる。また微細化も容易である。さらに真空封止パッケージを併用すれば更なる高速化が図れる。
本実施形態において、光偏向素子のサイズは入射光の波長と同程度であるため、光偏向素子による周期構造で構成される光偏向素子アレイは、回折格子のように作用する。つまり、光偏向素子アレイにより偏向される光を、光偏向素子アレイによる回折光のように振る舞わせることができる。
本実施形態の光偏向素子アレイでは、周期構造を持つように各光偏向素子を傾斜させることで、ブレーズド回折格子の作用が得られる。例えば光偏向素子アレイを、+1次回折光において最大回折効率が得られるブレーズド回折格子として作用するように設計すれば、高い回折効率が得られ、明るい立体像を表示可能となる。
以上、本実施形態によれば、上記光偏向素子により構成された光偏向素子アレイを使用することで明るい立体像を、実用的なフレームレートで表示することができる。また上述のように、第1の位置と第2の位置で再生光のサイズを等しくすることで広い視域角を確保でき、かつ第1の位置で再生光を走査し、繋ぎ合わせることで、大きなサイズの立体像を表示することができる。
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態の表示装置について説明する。第1の実施形態と重複する部分は説明を省略し、相違点について述べる。
本実施形態の表示装置における光偏向素子の駆動方法を、図9を用いて詳細に説明する。
図9は、光偏向素子800に印加する駆動電圧と、板状部材804が傾斜する動作との関係を、模式的に説明する図である。なお、板状部材804は導電体で構成されている。
図9(a)、(b)、(c)において左側に示した図は、いずれも図8(a)におけるA-A断面に相当する断面図を表している。また右側に示した表は、いずれも光偏向素子800における電極805a及び805bと、電極として作用する支点部材803に印加される電圧を示している。表における中央の列は、1の光偏向素子に印加される電圧を示し、右端の列は、1の光偏向素子の次に駆動される光偏向素子に印加される電圧を示している。以降では、1の光偏向素子を光偏向素子800とし、1の光偏向素子の次に駆動される光偏向素子を光偏向素子800nとして示す。
図9(a)は、光偏向素子800に駆動電圧を印加した直後で、板状部材804が傾斜を開始する直前の状態を示している。駆動電圧が印加されることで、板状部材804と電極805aとの間で静電引力が発生し、板状部材804の左端部は、白抜き矢印901の方向に静電引力で引っ張られている。
この状態において、光偏向素子800では、電極805aにX(V)が印加され、電極805b及び支点部材803には0(V)が印加されている。また光偏向素子800nでは、電極805a及び805bは、電気的に浮いている状態、すなわちFloatの状態であり、電圧は略0(V)である。支点部材803には0(V)が印加されている。
たとえ一瞬であっても、電圧がこの状態になると、光偏向素子800の板状部材804には、上記の静電引力が白抜き矢印901の方向に発生する。これにより板状部材804は傾斜を開始する。光偏向素子800における板状部材804は、ヒンジを持たないため、傾斜の動作を妨げるような復元力が生じない。そのため電極805aに電圧を印加し、板状部材804が傾斜を開始した直後に電極805aへの電圧の印加を停止しても、静電引力の作用は継続し、板状部材804は傾斜の動作を継続する。言い換えると、板状部材804が傾斜を開始した直後に電極805aへの電圧の印加を停止しても、板状部材804を傾斜させることができる。
次に、図9(b)は、光偏向素子800に駆動電圧を印加し、板状部材804が、傾斜する動作を行っている途中の状態を示している。この状態では、駆動電圧の印加は停止されているが、図に点線の白抜き矢印902で示したように、静電引力は残存している。この場合、光偏向素子800の電極805aでは、電気的に浮いたFloatの状態であって、X(V)から0(V)に移行している状態である。電極805bでも同様に、電気的に浮いたFloatの状態であって、X(V)から0(V)に移行している状態である。支点部材803には、0(V)が印加されている。
このときに、光偏向素子800nでは、電極805anにX(V)が印加され、電極805bn及び支点部材803nに、0(V)が印加されている。そして光偏向素子800nでは、板状部材804nが傾斜し始めている。
次に、図9(c)は、板状部材804が傾斜する動作を終了した後の状態を示している。板状部材804は、基板801における接触部位807に接触して停止し、傾斜の動作を終了している。本実施形態の光偏向素子800では、板状部材804は、固定されておらず、またヒンジによる復元力も有さない。そのため、電圧が印加されず、静電引力が作用しなくても、傾斜した状態、すなわち図9(c)の状態を維持することができる。この場合、電極805a及び電極805bは、電気的に浮いたFloatの状態で、略0(V)である。支点部材803には0(V)が印加されている。
図9(c)の状態で、光偏向素子800nでは、電極805anには電圧は印加されておらず、電気的に浮いたFloatの状態であって、X(V)から0(V)に移行している状態である。電極805bnも同様に、電気的に浮いたFloatの状態であって、X(V)から0(V)に移行している状態である。支点部材803には、0(V)が印加されている。
以上説明したように、光偏向素子800への電圧の印加は、板状部材804が傾斜し始める一瞬だけでよい。その後、電圧の印加を停止し、電気的に浮いたFloatの状態になっても、板状部材804は傾斜の動作を継続する。そして傾斜の動作が終了した後も、傾斜した状態がそのまま維持される。従って、1つの光偏向素子には瞬間的に電圧を印加した後、すぐに電圧印加を停止し、次の光偏向素子への電圧印加に移ることができる。これにより、例えば、光偏向素子への電圧印加における待ち時間をなくし、光偏向素子アレイをさらに高速に駆動することが可能となる。
光偏向素子アレイの駆動をさらに高速化することで、表示装置による立体像表示のフレームレートをさらに高速化することが可能となる。
なお、上記の光偏向素子アレイの駆動は、再生制御部400bで生成した制御信号を光偏向素子アレイ駆動信号出力部401cに出力し、光偏向素子アレイ駆動信号出力部401cが駆動信号を光偏向素子アレイ203に出力することで実現される。再生制御部400b及び光偏向素子アレイ駆動信号出力部401cにおける上記の機能は、再生制御手段による「板状部材を傾斜させるための駆動電圧を、1の光偏向素子に印加後、1の光偏向素子が有する板状部材の傾斜の動作が終了する前に、他の光偏向素子に前記駆動電圧を印加する」機能の一例である。
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態の表示装置220について、図10を用いて説明する。第1~2の実施形態と重複する部分は説明を省略し、相違点について述べる。
部分立体像として表示する映像によっては、光偏向素子アレイ203r、203b及び203gによる再生光が、大きく広がって伝搬する場合がある。また、光偏向素子アレイ203r、203b及び203gのそれぞれによる再生光を、合成プリズム205で合成してマイクロミラー206に導光する際に、合成された光が大きく広がって伝搬する場合がある。このような場合、マイクロミラー206が配置された位置、すなわち第3の位置において、再生光、または合成光のサイズがマイクロミラー206の光反射面より大きくなると、再生光、または合成光の一部は、マイクロミラー206によりケラレて部分立体像の表示に寄与しなくなる。
光偏向素子アレイ203r、203b及び203gによる再生光の全てが、必ずしもマイクロミラー206における光反射面に入射する必要はないが、部分立体像の表示に寄与しない光が多くなると、部分立体像の明るさが低下する等の不具合が生じる。
本実施形態の表示装置220によれば、例えば、部分立体像の表示に寄与しない光が多くなることを防ぎ、部分立体像の明るさが低下する等の不具合を防止することができる。
図10において、本実施形態の表示装置220は、レンズ221を有している。レンズ221は、光偏向素子アレイ203r、203b及び203gによる再生光の光路において、合成プリズム205とマイクロミラー206の間に設けられている。レンズ221は、「第1の光学系」の一例である。
レンズ221は、正のパワーを有しており、マイクロミラー206に向かう光の広がりを抑制する作用をする。例えば、レンズ221の焦点距離をf(mm)とした場合に、光偏向素子アレイ203r、203b及び203gからマイクロミラー206に向かう方向にf(mm)だけ離れた位置に、再生光の光軸とレンズ221の光軸とが略一致するようにしてレンズ221を設ける。
これにより、光偏向素子アレイ203r、203b及び203gの位置を発光点とする球面波は、レンズ221により平行化され、広がりが抑制される。そして、マイクロミラー206によりケラレて部分立体像の表示に寄与しなくなる光を減らすことができ、部分立体像の明るさが低下する等の不具合を低減することができる。
なお上記の場合、レンズ221の焦点距離を短くしたり、レンズ221の直径を大きくしたりすれば、マイクロミラー206によるケラレを、より抑制することができる。立体像の表示性能への影響を抑えるために、レンズ221には、色収差等の収差が低減されたものを用いることが好ましい。
上記では、光偏向素子アレイ203r、203b及び203gの位置を発光点とする球面波を、正のパワーを有するレンズ221により平行化する一例を示したが、これに限定されない。レンズ221により収束させたり、負のパワーを有するレンズを組み合わせたりする等、種々の変形が可能である。
[第4の実施形態]
次に、第4の実施形態の表示装置230、表示装置240及び表示装置250について、図11を用いて説明する。第1~3の実施形態と重複する部分は説明を省略し、相違点について述べる。
図11(a)は、本実施形態の表示装置230の構成の一例である。図11(a)において、表示装置230は、光偏向素子アレイ203r、203b及び203gによる再生の光路において、マイクロミラー206と再生空間との間に、レンズ231を有している。レンズ231は、正のパワーを有しており、マイクロミラー206により走査され、再生空間に向かう光の広がりを抑制する。またレンズ231において、表示装置230の外部と接する側の面は平らである。
レンズ231が設けられない場合、マイクロミラー206により走査された光は、再生空間に向かうにつれて広がる。これにより、再生空間を挟んでマイクロミラー206と対向する方向から再生空間を観察する観察者には、明るさが減少した立体像が観察されたり、視域角が減少した立体像が観察されたりする場合がある。
レンズ231により、再生空間に向かう光の広がりを抑制できるため、観察者は、より明るく、また視域角が維持された立体的な大きな像を、観察することができる。なお、図11(a)における光線232は、レンズ231により、再生空間に向かう光の伝搬方向が変化される様子を示したものである。
図11(b)は、本実施形態の表示装置240の構成の一例である。表示装置230と相違する点は、レンズ231に代えてレンズ241が設けられている点である。レンズ241は、表示装置240の外部と接する側の面が、表示装置240の外部に向けた凸面形状を有している。レンズ241の作用は、レンズ231と同様であり、表示装置240は、表示装置230の変形例の一つである。
立体像の表示性能への影響を抑えるために、レンズ231及び241には、色収差等の収差が低減されたものを用いることが好ましい。
なお、表示装置230、又は表示装置240において、レンズ231、又はレンズ241を図2における透明板210の位置に、透明板210に代えて設けてもよい。これによりレンズ231、又はレンズ241を、表示装置230、又は表示装置240の装置内部を保護するための部材として兼用させることができる。
図11(c)は、本実施形態の表示装置250の構成の一例である。表示装置230、又は表示装置240と相違する点は、レンズ231、又はレンズ241に代えて、曲面ミラー251が設けられている点である。曲面ミラーは、光反射面が球面や放物面等の曲面形状を有するミラーである。
マイクロミラー206による走査光は、曲面ミラー251により反射されるため、再生空間は、曲面ミラー251からみてマイクロミラー206側になる。再生空間における立体像は、観察者253により観察される。
曲面ミラー251により再生空間に向かう光の広がりを抑制できる点は、レンズ231及び241による作用と同様であり、表示装置250は、表示装置230及び240の変形例の一つである。ただし反射を利用するため、色収差を抑制できる等の、表示装置230及び240に対して異なる効果がある。
レンズ231、レンズ241又は曲面ミラー251は、表示装置による立体像を、観察者の眼球、又は網膜に結像させるように作用させてもよい。
レンズ231、レンズ241又は曲面ミラー251は、再生光の走査においてfθ特性を良好にすること、すなわち走査速度の等速性を良好にすることに対しても効果がある。
図11におけるレンズ231、レンズ241及び曲面ミラー251は、それぞれ「第2の光学系」の一例である。
以上、本発明の実施形態の例について記述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。