以下、本発明の実施形態を図1~図21を参照して説明する。
この実施形態は、本発明を、ラチェット装置Xを有する昇降テーブルTに適用した場合のものである。
昇降テーブルTは、図1~図4に示すように、天板1の左右両端部1a、1bをそれぞれ脚体2により支持してなるもので、それらの脚体2が、それぞれ上下方向に相対動作する上脚要素21と下脚要素22とを備えてなるもので、それら各脚体2に、天板1を持ち上げることにより複数の高さ位置に順次ロックすることができるようにした手動のラチェット装置Xがそれぞれ組み込まれている。左右の脚体2は、上脚要素21のみが相互に剛結されており、下脚要素22は剛結されず床面Fに対してそれぞれ個別に傾動し得るように構成されている。
天板1は、例えば平面視長方形状をなすもので、図1、図3及び図4に示すように、その下面11における左右両端部1a近傍に天板受け12がそれぞれ固着されている。天板受け12は、下方に開放されたチャンネル状をなすもので、脚体2の上端部に設けられた後述する軸プレート215に天板支持軸13を介して回動可能に接続されている。すなわち、天板1は、図4に示すように、左右の脚体2に対して天板支持軸13回りに回動し、水平な使用位置(実線参照)から跳ね上げ位置(想像線参照)までの間でフラップ動作し得るようになっている。天板受け12内には、天板1のフラップ動作に関連した図示しない天板ロック機構が組み込まれているが、通常のものであるため説明を省略する。この明細書では、天板1を水平な使用姿勢にロックした状態で以下の説明を行う。
脚体2は、図5~図8に示すように、上筒211と下筒221とをテレスコープ状に係合させたものである。脚体2の上脚要素21は、上筒211を主体に構成され、下脚要素22は、下筒221と、この下筒221の下端に設けられた脚ベース224とを主体に構成されており、脚ベース224にはそれぞれキャスタ225が設けられている。そして、左右の脚体2の上筒211同士が、連結ビーム3により相互に剛結されている。なお、左右の脚体2の下筒221同士は一切連結されておらず、各下筒221は、脚ベース224とともに床面Fに対して左右方向にそれぞれ傾動し得るように構成されている。図6~図8に示すように、上筒211は下筒221に対して軸心j1を一致させてスライド可能に外嵌させてあるため、図16、図18及び図20に示すように、下筒221が床面Fに対して傾くと、上筒211も対応する下筒221とともに傾くようになっている。なお、左右の上筒211は連結ビーム3により相互に剛結されているため、常時天板1に直交した姿勢で平行状態を維持している。そのため、これら上筒211に上下スライド可能に保持された左右の下筒221も相互に平行な姿勢を保ちつつ床面Fに対して同じ角度だけ傾斜し得るようになっている。
具体的に説明すれば、脚体2の上脚要素21は、図5~図8に示すように、円筒体状の上筒211と、この上筒211の上端に蓋着されたキャップ212と、上筒211の上端近傍部内周に固設された固定盤213と、固定盤213に取着され上筒内に垂下する爪保持部材7と、上筒211の上端部外周に溶接等により固設された板ナット214と、この板ナット214にねじ止めされた軸プレート215とを備えたものであり、左右の脚体2の軸プレート215同士が連結ビーム3により剛結されている。すなわち、軸プレート215は、脚体2の板ナット214にボルトGを介してねじ止めされる胴部215aと、この胴部215aの上端に一体に形成され天板支持軸13を介して天板1を軸支する頭部215bとを備えたダイキャスト製のものであり、左右の脚体2における軸プレート215の胴部215a同士が円形パイプ状をなす前述の連結ビーム3により剛結されている。
脚体2の下脚要素22は、図5~図8に示すように、上筒211の内周にスライド可能に嵌装された円筒体状の下筒221と、この下筒221の上端部外周に設けられた上端スリーブ222と、下筒221の中間部外周に設けられた中間スリーブ223と、下筒221の下端に取着された脚ベース224と、上端スリーブ222に支持されて下筒221内に固設された爪受け部材8とを備えたものであり、上端スリーブ222及び中間スリーブ223の外周が上筒211の内周にスライド可能に嵌装させてある。左右の脚体2の下脚要素22同士は直接的な連結関係は一切ない。
各脚体2の上筒211と下筒221との間には、図7~図9に示すように、上筒211と下筒221とが軸心j1周りに相対回転するのを禁止する回転禁止手段23が設けられている。回転禁止手段23は、上筒211の内周に軸心j1と平行なキー部材231を上端から下端に亘って固設するとともに、下筒221の外周における上端スリーブ222と中間スリーブ223との間に位置させてキー部材231をスライド可能に挟持するように固設された対をなすキー溝形成部材232とを備えたものである。上端スリーブ222及び中間スリーブ223には、キー部材231との干渉を避けるための切欠部がそれぞれ形成されている。
以上説明した左右の脚体2内に、前述した手動のラチェット装置Xがそれぞれ組み込まれている。
ラチェット装置Xは、図6、図9~図11及び図13~図15に示すように、ロック爪4を複数の爪係合部5に順次係合させ得るように構成されたものであって、ロック爪4は、単一のロックバネ6によって回動付勢されるものであり、ロック爪4の回動範囲は、図12に示すように、思案点となる回動位置Q0を境にして爪係合部5に係脱可能な突没作動領域R1と、爪係合部5に係合し得ない退避領域R2とに区成されており、そのロックバネ6は、突没作動領域R1ではロック爪4を突出方向に回動付勢し、退避領域R2ではロック爪4を没入方向に回動付勢し得るように配置されている。
詳述すれば、各ラチェット装置Xは、図6、図9~図11及び図13~図15に示すように、ロック爪4を回動可能に支持する前述の爪保持部材(第1の部材)7と、複数の爪係合部5を設けた前述の爪受け部材(第2の部材)8とを備え、両部材7、8が、突没作動領域R1にあるロック爪4を順次に爪係合部5に係合させながら始点となる相対位置(下死点D)から終点となる相対位置(上死点U)に向かう正方向の相対動作(脚体2が伸長する動作)と、ロック爪4を退避領域R2に退避させた状態で終点となる相対位置(上死点U)から始点となる相対位置(下死点D)に復帰する逆方向の相対動作(脚体が縮小する動作)とを行い得るように構成されたものである。そして、両部材7、8の正方向の相対動作が終点に達する手前(上筒211が上死点Uに達する手前)でその相対動作を利用してロック爪4を突没作動領域R1から退避領域R2に案内する爪退避要素(後述する下突起82と上突起83)と、両部材7、8の逆方向の相対動作が始点となる相対位置に戻る手前(上筒211が下死点Dに戻る手前)でその相対動作を利用してロック爪4を退避領域R2から突没作動領域R1に案内する爪復帰要素(後述する傾斜突起84)とを備えている。
ロック爪4は、図8及び図10~図12に示すように、爪係合部5に係脱する先端部41と、ロックバネ6の先端62から付勢力Zを受ける受圧部位43を有した基端部42と、その受圧部位43よりも先端部41寄り配設され第1の部材たる爪保持部材7に対する回動中心Pを形成する軸受部44とを備えたものである。
ロックバネ6は、図11及び図12に示すように、基端61を前記第1の部材たる爪保持部材7に支持させるとともに、先端62をロック爪4の受圧部位43に接続したものであり、このロックバネ6の基端61と、このロックバネの先端62と、ロック爪4の回動中心Pとが一列に並ぶ回動位置を思案点となる回動位置Q0としている。ロックバネ6は、中間のコイル部63に蓄勢される弾性反発力Nにより先端62と基端61とが相離れる方向に弾性付勢されるねじりコイルスプリングであり、コイル部63は自在に動き得るように開放されている。
具体的に説明すれば、第1の部材である爪保持部材7は、図9~図11に示すように、第2の部材である爪受け部材8と平行に伸びる背壁71と、この背壁71の両側縁から爪受け部材8方向に延出させた側壁72とを備えたチャンネル状のもので、上端に設けた上端フランジ部73を上筒211の固定盤213に固設して上筒211内に垂設されている。爪保持部材7の両側壁72には、ロック爪4を回動可能に支持する軸ピン47を装着するための軸装着孔kが軸心jcを一致させて穿設されている。爪保持部材7の下端には、ダンパーホルダとして機能する下端フランジ部74が設けられており、その下端フランジ部74に一対のダンパー75を保持させている。ダンパー75は、下端部を下端フランジ部74に保持され上端を爪保持部材7の側壁72から切り起こされた係止突起78に係止されたダンパー本体76と、このダンパー本体76の下端から突没可能に垂下させた昇降ロッド77とを備えたものである。なお、図6、図9、図14、図15では、ダンパー本体76を省略して示している。また、図9では、対にして設けられた昇降ロッド77のうち一方のみを示している。
第2の部材である爪受け部材8は、図9~図11に示すように、平板状をなすもので、複数の爪係合部5が上下方向に間隔をあけて穿設されている。各爪係合部5は、下片51が上辺52よりも幅広な台形の開口形状をなす貫通孔である。そして、ロック爪4が爪係合部5内に侵入してその下向面4aが爪係合部5の下辺51に当接することによってロック状態(天板1が下降できない状態)となり、ロック爪4がその前向面4bを爪係合部5の上辺52に摺接させつつ上動することによって、当該ロック爪4がその爪係合部5から離脱して次の爪係合部5に向かうようになっている。この実施形態の場合、最下段の爪係合部5は、天板1を高さ720mm(最下段位置H720)にロックするためのものであり、中段の爪係合部5は、天板を高さ800mm(中段位置H800)にロックするためのものであり、上段の爪係合部5は、天板を高さ900mm(上段位置H900)にロックするためのものである。爪係合部5の数や高さ位置は、必要に応じて適宜設定すればよい。爪受け部材8の下端には、ダンパー75の突没ロッド77の先端77aを係止するダンパー係止板85が設けられており、上筒211が降下して下始点Dに到着する際の衝撃を和らげるようにしている。
ロック爪4は、図11に示すように、基端部42の後向面4cを爪保持部材7の背壁71に対面させるとともに、中間部分に後方に突出する後突起45を有しており、爪保持部材7の両側壁72に設けた軸装着孔kに装着される軸ピン47を軸受部44に挿通させることによって当該爪支持部材7の両側壁72間に回動可能に装着されている。爪保持部材7の背壁71におけるロック爪4に対応する部位には、窓mが形成されており、ロック爪4は、基端部42の後向面4cが爪保持部材7の背壁71に当接する最突出位置Q1から、後突起45が窓mの上縁に当接する退避位置Q2までの間で回動し得るように保持されている。なお、前述した受圧部位43は、ロック爪4の基端部42の上面を部分的に凹陥させることにより形成されたものである。ロック爪4の基端部41における前面側には前突起46が突設されている。そして、このロック爪4の前向面4bと下向面4aとは鋭角をなしており、その交わり部分が当該ロック爪4の先端部41となっている。
ロックバネ6は、図12に示すように、基端61を爪保持部材7の両側壁71に枢支させてロック爪4の上方に配されたもので、先端62をロック爪4の受圧部位43に係合させている。このロックバネ6は、コイル部63が拘束されず自由に遊動できるように開放されているので、側面視において基端61と先端62とを結ぶ作用線Nに沿って弾性反発力Zが発生するものであり、その基端61は爪保持部7の両側壁72に回動可能に枢支されている。そして、このラチェット装置Xでは、ロック爪4が最突出位置Q1から退避位置Q2までの間の特定の回動位置において、ロックバネ6の弾性反発力の向きを示す作用線Nがロック爪4の回動中心Pを向くようにロックバネ6の配設姿勢を設定しており、この特定の回動位置を本明細書では「思案点となる回動位置Q0」と称している。すなわち、図12(b)は、ロック爪4が前述した特定の回動位置、すなわち、思案点となる回動位置Q0にある状態を示している。この思案点となる回動位置Q0においては、前述したように、ロックバネ6の基端61と、ロックバネ6の先端62と、ロック爪4の回動中心Pとが、一直線上に並ぶ、換言すれば、ロックバネ6の弾性反発力Zの方向を示す作用線Nがロック爪4の回動中心Pに合致することになる。そのため、ロックバネ6による弾性反発力Zは、ロック爪4を回動させる力とはなり得ず、ロック爪4にはロックバネ6からの回動付勢力は作用しない。なお、ロック爪4が思案点となる回動位置Q0から突出方向に回動すると、図12(a)に示すように、ロックバネ6の弾性反発力Zの方向を示す作用線Nがロック爪の回動中心Pよりも図中右側に移動することになり、ロック爪4には図中時計回り方向の回転モーメントが作用することなる。一方、ロック爪4が思案点となる回動位置Q0から退避方向に回動すると、図12(c)に示すように、ロックバネ6の弾性反発力Zの方向を示す作用線Nがロック爪4の回動中心Pよりも図中左側に移動することになり、ロック爪4には図中反時計回り方向の回転モーメントが作用することなる。すなわち、ロック爪4の回動範囲は、思案点となる回動位置Q0から最突出位置Q1に達する突没作動領域R1と、思案点となる回動位置Q0から退避位置Q2に達する退避領域R2とに区成されており、そのロックバネ6は、突没作動領域R1ではロック爪4を突出方向(図中、時計回り方向)に回動付勢し、退避領域R2ではロック爪4を没入方向(図中、反時計回り方向)に回動付勢し得るように配置されている。すなわち、このロックバネ6は、天板1の上昇時にロック爪4を突出方向に弾性付勢して爪係止部7に係脱させる役割と、天板1の下降時にロック爪4を退避位置Q2に安定保持する役割を兼務している。
爪受け部材8の上端部には、図6、図9、図11及び図13~図15に示すように、脚体2の上脚要素21と下脚要素22との相対動作が終点となる相対位置に達する手前、すなわち、上筒211が上死点Uに達する手前で、その上筒211の上昇動作を利用してロック爪4を突没作動領域R1から退避領域R2に案内する爪退避要素が設けられている。爪退避要素は、爪受け部材8の最上段の爪係合部5の直上に突設され上動するロック爪4の前向面4bを案内して当該ロック爪4を没入方向に押し戻す下突起82と、この下突起82よりも上方に設けられ上動するロック爪4の前突起46を係止して当該ロック爪4を退避位置Q2まで強制回動させる上突起83とを備えたものである。
また、爪受け部材8の下端側には、図6、図9、図11及び図13~図15に示すように、脚体2の上脚要素21と下脚要素22との相対動作が始点となる相対位置に戻る手前、すなわち、上筒211が下死点Dに達する手前で、その上筒211の下降動作を利用してロック爪4を退避領域R2から突没作動領域R1に案内する爪復帰要素が設けられている。爪復帰要素は、爪受け部材8から切り起こされた傾斜突起84からなるものであり、この傾斜突起84は爪保持部材7に向かって漸次上昇する形状をなしている。
次いで、このラチェット装置Xの作動を図13(a)~(f)を参照して説明する。
図13(a)は、脚体2の上脚要素21に設けられた爪保持部材7(第1の部材)と、脚体2の下脚要素22に設けられた爪受け部材8(第2の部材)とが始点となる相対位置に停止している状態、換言すれば、天板1を支持する上筒211が床面Fに支持されている下筒221に対して下死点Dまで降下し、天板1が最降下位置(H720)に保持されている状態を示している。この状態は、図14にも示されている通り、ロック爪4は突没作動領域R1にあり、ロックバネ6により突出方向に弾性付勢されて最下段の爪係合部5に係合している。
この状態から天板1を上方に持ち上げると、ロック爪4が、前向面4bを爪係合部5の上辺52に摺接させつつ上昇する。その結果、ロック爪4は、ロックバネ6の付勢力に抗して漸次没入方向に押し戻されて当該爪係合部5から離脱する。図13(b)は、ロック爪4が最下段の爪係合部5から離脱してさらに上昇した状態を示している。この状態でも、ロック爪4は、突没作動領域R1にあり、ロックバネ6の弾性反発力により突出方向に付勢されている。そのため、ロック爪4は、先端部41を爪受け部材8に弾接させつつ上昇する。
ロック爪4がさらに上昇して次段の爪係合部5に達すると、図13(c)に示すように、ロック爪4が、ロックバネ6の弾性付勢力により突出方向に回動して次段の爪係合部5に係合する。この状態では、爪保持部材7が爪受け部材8に対してロックされ、脚体2の上脚要素21の下降が禁止されるため、天板1は手を放しても中段位置(H800)に保持される。
この状態から天板1をさらに上方に持ち上げると、ロック爪4は、同様な作動により次段の爪係合部5から離脱し、図13(d)に示すように、最上段の爪係合部5に係合する。この状態においても、爪保持部材7が爪受け部材8に対してロックされ、脚体2の上脚要素21の下降が禁止されるため、天板1は手を放しても上段位置(H900)に保持される。
上段位置(H900)に保持されている天板1をさらに上方に持ち上げると、ロック爪4が、前向面4bを爪受け部材8の下突起82に摺接させつつ上昇し、当該ロック爪4が思案点となる回動位置Q0付近まで押し戻されることになる。そして、ロック爪4がさらに上昇して上筒211が上死点Uに達すると、図13(e)に示すように、その基端部42の前突起46が爪受け部材8の上突起83により係止され、ロック爪4が思案点となる回動位置Q0を超えて退避位置Q2にまで回動させられ、その退避位置Q2に保持される。この状態は、図15(a)、(b)にも示されている。
ロック爪4が退避位置Q2に保持された状態においては、天板1に対する持ち上げ力を緩めたり無くすことにより爪保持部材7を有する脚体2の上脚要素21を天板1とともに一気に下死点Dまで降下させることが可能となる。すなわち、爪保持部材7(第1の部材)と爪受け部材8(第2の部材)とを始点となる相対位置(下死点D)まで途中でロックされることなく一気に復帰させることが可能となる。図13は(f)は、始点となる相対位置(下死点D)に復帰する直前の状態を示しており、待機位置Q2に保持されたロック爪4の先端部41が爪受け部材8の傾斜突起84に向かって降下して行く。この状態からロック爪4がさらに降下すると、ロック爪4の先端部41が傾斜突起84に案内されて前方に回動付勢され、思案点となる回動位置Q0を超えて突没作動領域R1に案内される。突没作動範囲R1に入ったロック爪4はロックバネ6の弾性付勢力Zによって突出方向に回動付勢され、図13(a)、図14(a)、(b)に示すように、最下段の爪係合部5に係合して元の始点となる相対位置(上筒211が下死点Dに達する位置)に復帰する。
以上説明したラチェット装置Xは、左右の脚体2にそれぞれ組み込まれているため、例えば、二人で天板1の左右両端部1a、1bを持ち上げて操作すれば、左右の脚体2のラッチェット装置Xが同じ動きを行い、天板1を水平に保ったままで、最下段位置(H720)と、中段位置(H800)と、上段位置(H900)に順次ロックすることができ、また、その天板1を最下段位置(H700)に復帰させることができる。しかしながら、このテーブルTにおいては、左右の脚体2にそれぞれラチェット装置Xが独立した状態で組み込まれているだけでなく、左右の脚体2の下脚要素22が相互に連結されていないので、一人で天板1の高さを調節することも可能である。
一人で天板1の高さを調節する場合には、例えば、図1、図2の実線、図21で示すような最下段位置(H720)にある天板1の右端部1aを先ず持ち上げる。その操作によって右の脚体2のみが伸長し、図16に示すように、中段位置(H800)でロックされる。しかる後に、最下段位置(H720)に残されている天板1の左端部1bを持ち上げると、左の脚体2も伸長し、天板1の左側も中段位置(H800)にロックされ、図17に示すように天板1が水平となる。天板1を中段位置(H800)で使用したい場合は、この段階で高さ調節か終了する。
天板1を上段位置(H900)で使用したい場合には、図17に示す中段位置(H800)の天板1の例えば右端部1aを先ず持ち上げる。その操作によって右の脚体2のみが伸長し、図18に示すように、上段位置(H900)でロックされる。しかる後に、中段位置(H800)に残されている天板1の左端部1bを持ち上げると、左の脚体2も伸長し、天板1の左側も上段位置(H900)にロックされ、図19に示すように天板1が水平となる。
天板1を上段位置(H900)で使用している状態から天板1を最下段位置(720)に復帰させたい場合には、図20に示すように、先ず天板1の右端部1aを若干持ち上げて右の脚体2に組み込まれているラチェット装置Xのロック状態を解除し、ロック爪4が退避位置Q2に保持されている状態で天板1の右端部1aを降下させる。しかる後に、上段位置(H900)に残された天板1の左端部1bを若干持ち上げて左の脚体2に組み込まれているラチェット装置Xのロック状態も解除し、ロック爪4が退避位置Q2に保持されている状態で天板1の左端部1bも降下させる。その操作によって、天板1全体を最下段位置(H720)に水平保持された初期状態に復帰させることができる。なお、この実施形態では、爪支持部材7にダンパー75を設けておき、爪支持部材7を下死点Dに向かって降下させる動作の後半において、ダンパー75の突没ロッド77の先端77aが爪受け部材8の下端に設けたダンパー係止板85により係止されるようにしてあるので、天板1が急速に降下して衝撃を与えるのを抑制することができる。
以上の操作を繰り返すことによって、一人でも天板1の高さ位置を自由にセッティングすることができる。なお、天板1の高さ調節の途上で、天板1が傾き、この天板1に直交状態で組付けられている脚体2の上脚要素21と、これら上脚要素21に上下動作可能に保持されている脚体2の下脚要素22は床面Fに対して傾斜することになるが、左右の脚体2の下脚要素22同士が連結されず開放されているので、左右の脚体2の伸縮度合が一時的に異なっても、その動きに無理なく対応することができる。
ここで、図1は、本実施形態の昇降テーブルTを示す斜視図である。図2は、同昇降テーブルTを示す正面図である。図3は、同昇降テーブルTを示す底面図である。図4は、同昇降テーブルTを示す右側面図である。図5は、両脚体2及び連結ビーム3の接続態様を示す分解斜視図である。図6は、同昇降テーブルTのラチェット装置Xを含む部位を奥行方向中央で切断した拡大中央縦断面図である。図7は、図6におけるA-A線に沿った断面図である。図8は、図6におけるB-B線に沿った断面図である。図9は、同昇降テーブルTのラチェット装置Xを含む部位の拡大斜視図であり、脚体2及びラチェット装置Xを破断して示している。図10は、ラチェット装置Xを取り出して示す斜視図である。図11は、同昇降テーブルTのラチェット装置Xを示す分解斜視図である。図12は、同昇降テーブルTのラチェット装置Xのロックバネ6の作用を示す説明図である。図13は、同昇降テーブルTのラチェット装置Xの動作を示す説明図であり、同図の(a)~(f)は、順に、天板1が最下段位置(H720)(下死点D)にロックされた状態、天板1が最下段位置(H720)と中段位置(H800)との間に位置する状態、天板1が中段位置(H800)にロックされた状態、天板1が上段位置(H900)にロックされた状態、天板1が上段位置(H900)を越えて上昇し上死点Uに達した状態、及び天板1が上死点Uから下降し最下段位置(H720)(下死点D)に達する直前の状態である。図14の(a)は、天板1が最下段位置(H720)(下死点D)にロックされた状態における昇降テーブルTのラチェット装置Xを含む部位を奥行方向中央で切断した拡大中央縦断面図である。同図の(b)は、同ラチェット装置Xを含む部位の拡大斜視図であり、脚体2及びラチェット装置Xを破断して示している。図15の(a)は、天板1が上死点Uに達した状態における昇降テーブルTのラチェット装置Xを含む部位を奥行方向中央で切断した拡大中央縦断面図である。同図の(b)は、同ラチェット装置Xを含む部位の拡大斜視図であり、脚体2及びラチェット装置Xを破断して示している。図16は、昇降テーブルTの天板1の右端部1aが中段位置(H800)、左端部1bが最下段位置(H720)にそれぞれロックされた状態を示す概略正面図である。図17は、昇降テーブルTの天板1の左右両端部1a、1bがともに中段位置(H800)にロックされた状態を示す概略正面図である。図18は、昇降テーブルTの天板1の右端部1aが上段位置(H900)、左端部1bが中段位置(H800)にそれぞれロックされた状態を示す概略正面図である。図19は、昇降テーブルTの天板1の左右両端部1a、1bがともに上段位置(H900)にロックされた状態を示す概略正面図である。図20は、昇降テーブルTの天板1の右端部1aが最下段位置(H720)、左端部1bが上段位置(H900)にそれぞれロックされた状態を示す概略正面図である。図21は、昇降テーブルTの天板1の左右両端部1a、1bがともに最下段位置(H720)にロックされた状態を示す概略正面図である。
このような構成の昇降テーブルであれば、左右の脚体2の下脚要素22同士は連結されておらず、床面Fに対してそれぞれ独自に傾動することができる。そのため、左右の脚体2に内蔵されている手動式のラチェット装置Xが相互に異なった動きをしても、天板1と両脚体2が直交関係を維持しつつ床面Fに対して若干傾斜するだけのものとなり、下脚要素22に対して上脚要素21を円滑に昇降させることができる。
すなわち、仮に左右の下脚要素同士が頑丈な横架材等で剛結されて床面に対して垂直に起立している場合には、天板が常に水平を保つように左右の上脚部材を正確に同期させて昇降させないと下脚要素と上脚要素との間に軸心がずれようとする力が働き、両者の相互摺動に軋轢が生じるが、本昇降テーブルTでは、左右の下脚要素22同士を相互に拘束せずそれぞれ床面Fに対して自由に傾動できるようにしてあるので、左右の上脚要素21の昇降動作に多少の違いが生じても上脚要素21と下脚要素22との間に軋轢が発生するのを防止又は抑制することができる。
したがって、二人で天板2の両端を持ち上げて高さ調節を行う場合でも、天板1を正確に水平移動させて左右のラチェット装置Xを精密に同期させる必要はなく、大まかな操作により円滑に天板1を所望の高さにロックすることができる。しかも、このような構成のものであれば、天板1の一時的な傾動が許容されるため、図15~図20に示すように、一人で天板1の端部1a、1bを交互に操作して天板1の高さ調節を行うことも可能になる。
また、従来の考え方を踏襲して左右の脚体の下脚要素同士を高い剛性を持った構造材で連結した場合には、昇降テーブルの軽快な移動やスタッキングが可能になる構造を実現することが難しいが、本昇降テーブルTでは床面F近くに下脚要素22同士を剛結する部材が存在しないため、かかる要望を満たすための設計の自由度が向上する。
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されないのは勿論であり、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
例えば、両脚体に設けられるラチェット装置は、前記実施形態のものに限られず、例えば、ロック解除を格別な外部操作により行うようなものにしてもよい。しかしながら、前述したような構成のラチェット装置Xであれば、ロックバネ6が、天板1の上昇時にロック爪4を突出方向に弾性付勢して爪係止部7に係脱させる役割と、天板1の下降時にロック爪4を退避位置Q2に安定保持する役割を兼務することになる。そのため、部品点数を無理なく削減することができ、部品製作に要する工数や組立工数を少なくすることができる。
特に、前記実施形態では、爪係合部5が形成されている爪受け部材8に、ロック爪4を突没作動領域R1から退避領域R2に移行させる爪退避要素(下突起82、上突起83)や、ロック爪4を退避領域R2から突没作動領域R1に復帰させる爪復帰要素(傾斜突起84)、さらには、ダンパー係止板85を全て一体に設けているため、部品点数を極限まで少なくすることが可能となる。
また、脚体は、下端にキャスタを有するものに限られず、例えば、アジャスタを備えたものであてもよい。アジャスタの場合には、少なくとも一方の脚体のアジャスタは床面に対して滑り易いものを用いるのが望ましい。また、キャスタとして制動機能を備えたものを用いる場合には、天板の高さ調節を行う際に、少なくとも一方の脚体におけるキャスタの制動を一時的に解除しておくのが好ましい。
さらに、前記実施形態の昇降テーブルは、天板をフラップ動作させることも可能な構造を備えているが、天板と脚体とを固定した昇降テーブルにも同様に本発明を適用することができる。
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。