JP7601231B2 - 音響特性計算装置、音響特性計算方法、プログラム - Google Patents

音響特性計算装置、音響特性計算方法、プログラム Download PDF

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Description

本発明は、パラメトリックアレイの音響特性を測定する技術に関する。
パラメトリックアレイは、媒質の非線形性によって空間中に音が生じる非線形音響現象である(非特許文献1参照)。より詳しくは、パラメトリックアレイとは、2つの異なる周波数を有する音が伝搬するとき、当該周波数の差で表される周波数を有する音が非線形的に生じる現象のことである。この現象を利用して可聴音を再生するパラメトリックアレイスピーカーは、限られた空間への音の再生や空間音響表現技術、騒音制御などに用いられる。
マイクロホンを用いて、パラメトリックアレイにより生じた可聴音(以下、復調音という)を測定する場合、擬音と呼ばれる雑音が生じることが知られている。擬音は、パラメトリックアレイ中の大振幅超音波によって生じるマイクロホンを含む受音系の非線形雑音である。原理的に擬音の周波数が復調音のそれと一致することから、測定対象である復調音と擬音が重畳され両者は区別できない形で検出される。
Woon-Seng Gan, Jun Yang, and Tomoo Kamakura, "A review of parametric acoustic array in air," Applied Acoustics, Vol.73, Issue 12, pp.1211-1219, 2012.
復調音の音響特性を測定するため、擬音の原因となるマイクロホンに入射する超音波成分を空間中で減衰させ復調音成分を透過させる音響フィルタを用いて擬音を除去する方法が考えられる。しかし、音響フィルタによる擬音の除去効果は限定的であり、完全に擬音を除去することはできない。つまり、復調音の音響特性を正確に測定することができない。
そこで本発明では、正確にパラメトリックアレイの音響特性を測定する技術を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、Lを略円形の音源であるトランスデューサを用いて生じさせたパラメトリックアレイによって発生した可聴音(以下、復調音という)Sによる光の位相変化を測定する音場測定装置における光路、Cを光路Lとトランスデューサを通り復調音Sの伝搬方向と平行な直線とが交わる点、Xを点Cからの距離がxである光路L上の点、zをトランスデューサから光路Lまでの距離、aをトランスデューサの半径、fd=|f1-f2|(ただし、f1は搬送波の周波数、f2は側帯波の周波数)を復調音Sの周波数、cを音速とし、復調音Sによる光位相の変化量φsから、周波数fdにおける光位相の複素振幅dを計算する第1計算部と、qdiff(ξ’,η’)をガウシアンビーム展開法を用いて定義される関数とし、点Xにおける関数値qdiff(ξ,η)(ただし、ξ=x/a, η=2z/ka2, k1=f1/c, k2=f2/c, k=(k1+k2)/2)と、光路Lに沿った関数qdiff(ξ’,η)の線積分値∫Lqdiff(ξ’,η)dξ’とを計算する第2計算部と、周波数fdにおける光位相の複素振幅dと点Xにおける関数値qdiff(ξ,η)と光路Lに沿った関数qdiff(ξ’,η)の線積分値∫Lqdiff(ξ’,η)dξ’を用いて、点Xにおける周波数fdの復調音の複素振幅pを計算する第3計算部と、を含む。
本発明によれば、正確にパラメトリックアレイの音響特性を測定することが可能となる。
音場測定装置800の構成を示すブロック図である。 音響特性計算装置100の構成を示すブロック図である。 音響特性計算装置100の動作を示すフローチャートである。 点Xの位置を示す図である。 本発明の実施形態における各装置を実現するコンピュータの機能構成の一例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
各実施形態の説明に先立って、この明細書における表記方法について説明する。
^(キャレット)は上付き添字を表す。例えば、xy^zはyzがxに対する上付き添字であり、xy^zはyzがxに対する下付き添字であることを表す。また、_(アンダースコア)は下付き添字を表す。例えば、xy_zはyzがxに対する上付き添字であり、xy_zはyzがxに対する下付き添字であることを表す。
ある文字xに対する^xや~xのような上付き添え字の”^”や”~”は、本来”x”の真上に記載されるべきであるが、明細書の記載表記の制約上、^xや~xと記載しているものである。
<技術的背景>
本発明の実施形態では、光による音計測技術(参考非特許文献1参照)を用いて、非接触にパラメトリックアレイを測定することで、原理的に擬音の存在することのない測定を実現する。[背景技術]で説明したように、擬音はマイクロホンの振動膜の非線形応答に起因するものである。光による音計測技術では振動膜に相当するものが存在しないため、原理的に擬音が発生することはない。
(参考非特許文献1:Kenji Ishikawa, Kohei Yatabe, Nachanant Chitanont, Yusuke Ikeda, Yasuhiro Oikawa, Takashi Onuma, Hayato Niwa, and Minoru Yoshii, “High-speed imaging of sound using parallel phase-shifting interferometry,” Optics Express, Vol.24, Issue 12, pp.12922-12932, 2016.)
まず、音響光学効果と呼ばれる音による媒質の屈折率変化を利用した音場測定法について説明する。音響光学効果によると、音による光位相の変化量φsは、次式により表される。
Figure 0007601231000001
ただし、klは光の波数、n0は定常状態の空気屈折率、P0は定常状態の大気圧、γは空気の比熱比である。式(1)の積分は光の伝搬経路(以下、光路と呼ぶ)Lに沿った音圧pの線積分を表す。ここでは、x軸を光路Lと平行となるように定義している。また、音圧pはある時刻における音圧である。なお、kl, n0, P0, γは測定時の物理的条件から定まる定数である。
式(1)からわかるように、音による光位相の変化量φsは、空間内の一点における音圧を表す量ではなく、光路Lに沿った音圧の線積分値に比例する量である。
本発明の実施形態では、ガウシアンビーム展開法(GBE: Gaussian Beam Expansion)を用いることにより、測定値である光位相の変化量φsから空間内の一点における復調音の複素振幅pを計算する。具体的には、復調音を生じさせる原因である搬送波と側帯波をそれぞれガウシアンビームの和で近似する。ここで、ガウシアンビームとは、音圧を一定時間区間でフーリエ変換することにより得られる複素振幅がガウス関数で表現される波のことである。また、ピストン運動をする音源から生じる波については、ガウシアンビームの和として近似することができる。
以下、パラメトリックアレイを発生させる音源として、円形に複数のマイクロホンを並べて構成されたパラメトリックアレイスピーカーのような、円形の音源を仮定する。音源は、完全な円でなく、略円形の音源であってもよい。本発明の実施形態で扱うピストン運動をする音源から生じる波は、パラメトリックアレイスピーカーを構成するマイクロホンがすべて同じ音を出すことで生じるものである。
周波数f1の搬送波、周波数f2の側帯波の相互作用により生じる周波数fd=|f1-f2|の復調音の複素振幅をpとする。参考非特許文献2によれば、円形の音源によって生成される復調音の複素振幅pは、ガウシアンビーム展開法を用いて次式のように表すことができる。
Figure 0007601231000002
ただし、ξ=x/a, η=2z/ka2, k=(k1+k2)/2, kd=k1-k2であり、aは音源の半径、k1は搬送波の波数、k2は側帯波の波数、p0 (1)は搬送波の振幅、p0 (2)は側帯波の振幅、βは空気の非線形係数、ρは空気の密度、cは音速、iは虚数単位を表す。また、z軸を復調音の伝搬方向と平行となるように定義している。なお、波数k1, k2はそれぞれk1=f1/c, k2=f2/cと表すことができる。したがって、kd=fd/cである。
また、qdiff(ξ, η)は復調音のビーム形状を表す項であり、
Figure 0007601231000003
Figure 0007601231000004
と定義される。ここで、mは搬送波を近似するために用いるガウシアンビームを表すパラメータ、m’は側帯波を近似するために用いるガウシアンビームを表すパラメータである。式(3)からわかるように、搬送波、側帯波をそれぞれ10のガウシアンビームを用いて近似している。これは、10のガウシアンビームを用いると十分な近似精度が得られることが経験的に知られていることに基づくものである。また、Am, Am’ (m=1, …, 10, m’=1, …, 10)はそれぞれガウシアンビームの係数であり、例えば、参考非特許文献3の表1のAnの値を用いることができる。また、E1(x)は指数積分関数である。r1 (mm’), r2 (mm’), s1 (mm’), s2 (mm’)(m=1, …, 10, m’=1, …, 10)は、それぞれ次式で定義される(参考非特許文献2参照)。
Figure 0007601231000005
Figure 0007601231000006
Figure 0007601231000007
Figure 0007601231000008
Figure 0007601231000009
Figure 0007601231000010
ここで、ka=k1/k, kb=-k2/kである。また、Bm (1), Bm’ (2) (m=1, …, 10, m’=1, …, 10)は所定の定数であり、例えば、参考非特許文献3の表1のBnの値を用いることができる。δは音源の正規化された曲率半径を表す。音源が平面状であればδは無限大となり、項i/δは0となる。
つまり、式(2)は、搬送波と側帯波をガウシアンビームの和で近似した場合における搬送波と側帯波の相互作用により生じる復調音の複素振幅を表す式である。
(参考非特許文献2:Desheng Ding, “A simplified algorithm for the second-order sound fields,” The Journal of Acoustical Society of America, Vol.108, Issue 6, pp.2759-2764, 2000.)
(参考非特許文献3:J. J. Wen and M. A. Breazeale, “A diffraction beam field expressed as the superposition of Gaussian beams,” The Journal of Acoustical Society of America, Vol.83, Issue5, pp.1752-1756, 1988.)
式(2)を光路Lに沿って線積分することにより、次式の通り、周波数fdにおける光位相の複素振幅dが得られる。
Figure 0007601231000011
ただし、Cao=kl(n0-1)/γP0である。
式(4)の複素振幅dは、光位相の変化量φsの周波数スペクトルであり、光位相の変化量φsを一定の時間区間でフーリエ変換して、予め定めた周波数fdの成分を取り出したものに相当する。
式(2)、式(4)より、周波数fdの復調音の複素振幅pは、次式により計算することができる。
Figure 0007601231000012
式(5)中の複素振幅dは測定結果として得られる光位相の変化量φsから求まる値、Caoは測定時の物理的条件から定まる値である。また、関数qdiffの値とその積分値は、搬送波と側帯波をそれぞれ近似するために用いるガウシアンビームの数を定め、音源の半径aと曲率半径δを設定することにより、計算することができる。
以上からわかるように、搬送波と側帯波がガウスビームの和で表すことができると仮定することにより、復調音の複素振幅pが位置と波数の関数(式(2)参照)として定義でき、空間の一点における復調音の複素振幅pが、測定結果として得られる光位相の変化量φsから近似的に求められるようになる。
光による音計測技術により原理的に擬音の存在しない測定を実現することで、パラメトリックアレイの音響特性を正確に測定することが可能となる。擬音の影響は特にトランスデューサの近傍で顕著であるため、これまでトランスデューサの近傍におけるパラメトリックアレイの音響特性を測定することは困難であった。上記方法を用いて音場を測定することにより音源放射特性の詳細な計測が可能となるため、上記方法はトランスデューサの検査や高性能化開発に役立つ。また、上記方法によれば、設置場所の制約によってパラメトリックスピーカの近傍で聴取する状況において音圧レベルや再生音の品質を正確に測定する方法を実現することもできる。
<第1実施形態>
音響特性計算装置100は、光を用いて音場を測定する音場測定装置800の出力である音による光位相の変化量を入力とし、空間内の一点における復調音の複素振幅を出力する。そこで、まず、図1を参照して音場測定装置800を説明する。
図1は、音場測定装置800の構成の一例を示す図である。図1に示すように音場測定装置800は、トランスデューサ810と、光源820と、位相変化測定器830とを含む。ここで、トランスデューサ810とは、パラメトリックアレイを生じさせることにより復調音を発生させる略円形の音源のことであり、例えば、円形に複数のマイクロホンを並べて構成されたパラメトリックアレイスピーカーとして構成することができる。また、光源820と位相変化測定器830とを含む構成部を光測定装置という。光測定装置は、パラメトリックアレイの音響特性を求めるために用いる復調音による光位相の変化量を測定する。光測定装置としては、光位相の変化量を測定可能な装置であればどのようなものでもよく、例えば、参考非特許文献1や参考非特許文献4に記載のものを用いることができる。なお、光路Lは、図1に示すように、トランスデューサ810から放射される超音波(放射音)の伝播方向と直交するように設定する。
(参考非特許文献4:A. Torras-Rosell, S. Barrera-Figueroa, and F. Jacobsen,“Sound field reconstruction using acousto optic tomography,” The Journal of Acoustical Society of America, Vol.131, Issue 5, pp.3786-3793, 2012.)
以下、音場測定装置800の動作について説明する。まず、トランスデューサ810は、復調音を発生させ、音場を生成する。次に、光源820は光を放射する。光源820から放射された光は、音場を透過することにより、音による位相変調を受ける。音による位相変調を受けた光は、位相変化測定器830に入力され、位相変化測定器830により当該位相変調の量に依存した光量変化を生じ、位相変化測定器830は、この変化した光量の分布、すなわち、復調音による光位相の変化量を出力する。
以下、図2~図3を参照して音響特性計算装置100を説明する。図2は、音響特性計算装置100の構成を示すブロック図である。図3は、音響特性計算装置100の動作を示すフローチャートである。図2に示すように音響特性計算装置100は、第1計算部110と、第2計算部120と、第3計算部130と、記録部190を含む。記録部190は、音響特性計算装置100の処理に必要な情報を適宜記録する構成部である。なお、音場測定装置800と音響特性計算装置100を含む装置のことを音響特性測定装置1000という。
以下では、Lを略円形の音源であるトランスデューサ810を用いて生じさせたパラメトリックアレイによって発生した復調音Sによる光の位相変化を測定する音場測定装置800における光路、Cを光路Lとトランスデューサ810を通り復調音Sの伝搬方向と平行な直線とが交わる点、Xを点Cからの距離がxである光路L上の点、zをトランスデューサ810から光路Lまでの距離、aをトランスデューサ810の半径、fd=|f1-f2|(ただし、f1は搬送波の周波数、f2は側帯波の周波数)を復調音Sの周波数、cを音速とする。図4は、点Xの位置を示す図である。
図3に従い音響特性計算装置100の動作について説明する。
S110において、第1計算部110は、音場測定装置800の出力である復調音Sによる光位相の変化量φsを入力とし、光位相の変化量φsから周波数fdにおける光位相の複素振幅dを計算する。具体的には、第1計算部110は、変化量φsを一定時間区間でフーリエ変換して、周波数fdの成分を取り出すことすることにより、複素振幅dを得る。
S120において、第2計算部120は、次式で定義される関数qdiff(ξ’,η’)を用いて、点Xにおける関数値qdiff(ξ,η)(ただし、ξ=x/a, η=2z/ka2, k1=f1/c, k2=f2/c, k=(k1+k2)/2)と、光路Lに沿った関数qdiff(ξ’,η)の線積分値∫Lqdiff(ξ’,η)dξ’とを計算する。
Figure 0007601231000013
Figure 0007601231000014
(ただし、r1 (mm’)=(kaBk_bm’+kbBk_am)+i(ka+kb)η’Bk_amBk_bm’, r2 (mm’)=(kaBk_am+kbBk_bm’)η’-i(ka+kb), s1 (mm’)=(ka+kb)2Bk_amBk_bm’, s2 (mm’)=-i(ka+kb)kakb(Bk_am-Bk_bm’)2, Bk_am=Bm (1)/ka+i/δ, Bk_bm’=Bm’ (2)/kb+i/δ, ka=k1/k, kb=-k2/kであり、Am, Am’, Bm (1), Bm’ (2), δは所定の定数)
つまり、関数qdiff(ξ’,η’)はガウシアンビーム展開法を用いて定義される関数である。
なお、Am, Am’, Bm (1), Bm’ (2) (m=1, …, 10, m’=1, …, 10), δは予め記録部190に記録しておくとよい。
S130において、第3計算部130は、S110で計算した周波数fdにおける光位相の複素振幅d、S120で計算した点Xにおける関数値qdiff(ξ,η)と光路Lに沿った関数qdiff(ξ’,η)の線積分値∫Lqdiff(ξ’,η)dξ’とを入力とし、次式により、点Xにおける周波数fdの復調音の複素振幅pを計算する。
Figure 0007601231000015
(ただし、Caoは音場測定時の物理的条件から定まる値)
なお、Cao=kl(n0-1)/γP0であり、定数Caoの計算に用いる光の波数kl、定常状態の空気屈折率n0、定常状態の大気圧P0、空気の比熱比γは予め記録部190に記録しておくとよい。
本発明の実施形態によれば、光による音計測技術を用いて得た復調音による光位相の変化量を用いることにより、正確にパラメトリックアレイの音響特性である復調音の複素振幅を求めることが可能となる。
以下、本実施形態を応用した例について説明する。
(応用例1)
本実施形態を用いて、パラメトリックスピーカの周波数特性を測定する。測定対象とするパラメトリックスピーカを所望の位置に設置する。復調音の周波数を要素とするベクトル(以下、復調音周波数ベクトルという)から周波数を1つ取り出し、本実施形態によりある点での当該周波数における複素振幅を計算する。復調音周波数ベクトルのすべての要素に対して当該計算を繰り返すことにより、ある点での各周波数の復調音の複素振幅を要素とするベクトル(以下、復調音複素振幅ベクトルという)を生成する。これにより、パラメトリックスピーカの周波数特性を表す復調音周波数ベクトルと復調音複素振幅ベクトルの組が得られる。
(応用例2)
本実施形態を用いて、パラメトリックアレイの時間信号の音圧を測定する。音場測定装置800によって測定された離散時間信号である光位相の変化量φsに対して離散フーリエ変換を行い、離散周波数スペクトルを得る。離散周波数スペクトルのすべての周波数における複素振幅に対して本実施形態によりある点における当該周波数の復調音の複素振幅を計算し、ある点における離散周波数スペクトルを生成する。生成されたある点における離散周波数スペクトルに対して逆フーリエ変換を行い、当該点における音圧の時間波形、すなわち、パラメトリックアレイの時間信号の音圧を得る。
なお、離散時間信号φsに対して、予め設定されたサンプル数が得られ次第、離散フーリエ変換を行うようにしてもよい。当該サンプル数の離散時間信号に対して、上記処理を実行することにより、ある点における音圧の時間波形を得る。このとき、計算に時間がかかる第2計算部120での計算を予め実行しておくことで、ある点における音圧の時間波形をリアルタイムで得ることができるようになる。測定終了まで上記所定のサンプル数ごとの処理を繰り返すことにより、パラメトリックアレイの時間信号の音圧をリアルタイムに測定することができる。リアルタイムに得られる復調音の音圧の時間波形は、例えば、能動音場制御装置、オンライン診断装置、設置条件・駆動信号の最適化装置への入力として利用することができる。
<補記>
図5は、上述の各装置を実現するコンピュータ2000の機能構成の一例を示す図である。上述の各装置における処理は、記録部2020に、コンピュータ2000を上述の各装置として機能させるためのプログラムを読み込ませ、制御部2010、入力部2030、出力部2040などに動作させることで実施できる。
本発明の装置は、例えば単一のハードウェアエンティティとして、キーボードなどが接続可能な入力部、液晶ディスプレイなどが接続可能な出力部、ハードウェアエンティティの外部に通信可能な通信装置(例えば通信ケーブル)が接続可能な通信部、CPU(Central Processing Unit、キャッシュメモリやレジスタなどを備えていてもよい)、メモリであるRAMやROM、ハードディスクである外部記憶装置並びにこれらの入力部、出力部、通信部、CPU、RAM、ROM、外部記憶装置の間のデータのやり取りが可能なように接続するバスを有している。また必要に応じて、ハードウェアエンティティに、CD-ROMなどの記録媒体を読み書きできる装置(ドライブ)などを設けることとしてもよい。このようなハードウェア資源を備えた物理的実体としては、汎用コンピュータなどがある。
ハードウェアエンティティの外部記憶装置には、上述の機能を実現するために必要となるプログラムおよびこのプログラムの処理において必要となるデータなどが記憶されている(外部記憶装置に限らず、例えばプログラムを読み出し専用記憶装置であるROMに記憶させておくこととしてもよい)。また、これらのプログラムの処理によって得られるデータなどは、RAMや外部記憶装置などに適宜に記憶される。
ハードウェアエンティティでは、外部記憶装置(あるいはROMなど)に記憶された各プログラムとこの各プログラムの処理に必要なデータが必要に応じてメモリに読み込まれて、適宜にCPUで解釈実行・処理される。その結果、CPUが所定の機能(上記、…部、…手段などと表した各構成部)を実現する。
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。また、上記実施形態において説明した処理は、記載の順に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されるとしてもよい。
既述のように、上記実施形態において説明したハードウェアエンティティ(本発明の装置)における処理機能をコンピュータによって実現する場合、ハードウェアエンティティが有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記ハードウェアエンティティにおける処理機能がコンピュータ上で実現される。
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよい。具体的には、例えば、磁気記録装置として、ハードディスク装置、フレキシブルディスク、磁気テープ等を、光ディスクとして、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD-RAM(Random Access Memory)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD-R(Recordable)/RW(ReWritable)等を、光磁気記録媒体として、MO(Magneto-Optical disc)等を、半導体メモリとしてEEP-ROM(Electronically Erasable and Programmable-Read Only Memory)等を用いることができる。
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD-ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
このようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、まず、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶装置に格納する。そして、処理の実行時、このコンピュータは、自己の記憶装置に格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。また、このプログラムの別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。また、サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としてもよい。なお、本形態におけるプログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの(コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータ等)を含むものとする。
また、この形態では、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより、ハードウェアエンティティを構成することとしたが、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。
上述の本発明の実施形態の記載は、例証と記載の目的で提示されたものである。網羅的であるという意思はなく、開示された厳密な形式に発明を限定する意思もない。変形やバリエーションは上述の教示から可能である。実施形態は、本発明の原理の最も良い例証を提供するために、そして、この分野の当業者が、熟考された実際の使用に適するように本発明を色々な実施形態で、また、色々な変形を付加して利用できるようにするために、選ばれて表現されたものである。すべてのそのような変形やバリエーションは、公正に合法的に公平に与えられる幅にしたがって解釈された添付の請求項によって定められた本発明のスコープ内である。

Claims (4)

  1. Lを略円形の音源であるトランスデューサを用いて生じさせたパラメトリックアレイによって発生した可聴音(以下、復調音という)Sによる光の位相変化を測定する音場測定装置における光路、Cを光路Lとトランスデューサを通り復調音Sの伝搬方向と平行な直線とが交わる点、Xを点Cからの距離がxである光路L上の点、zをトランスデューサから光路Lまでの距離、aをトランスデューサの半径、fd=|f1-f2|(ただし、f1は搬送波の周波数、f2は側帯波の周波数)を復調音Sの周波数、cを音速とし、
    復調音Sによる光位相の変化量φsから、周波数fdにおける光位相の複素振幅dを計算する第1計算部と、
    qdiff(ξ’,η’)をガウシアンビーム展開法を用いて定義される関数とし、
    点Xにおける関数値qdiff(ξ,η)(ただし、ξ=x/a, η=2z/ka2, k1=f1/c, k2=f2/c, k=(k1+k2)/2)と、光路Lに沿った関数qdiff(ξ’,η)の線積分値∫Lqdiff(ξ’,η)dξ’とを計算する第2計算部と、
    周波数fdにおける光位相の複素振幅dと点Xにおける関数値qdiff(ξ,η)と光路Lに沿った関数qdiff(ξ’,η)の線積分値∫Lqdiff(ξ’,η)dξ’を用いて、点Xにおける周波数fdの復調音の複素振幅pを計算する第3計算部と、
    を含む音響特性計算装置。
  2. 請求項1に記載の音響特性計算装置であって、
    関数qdiff(ξ’,η’)は、次式で定義される関数であり、
    Figure 0007601231000016

    Figure 0007601231000017

    (ただし、r1 (mm’)=(kaBk_bm’+kbBk_am)+i(ka+kb)η’Bk_amBk_bm’, r2 (mm’)=(kaBk_am+kbBk_bm’)η’-i(ka+kb), s1 (mm’)=(ka+kb)2Bk_amBk_bm’, s2 (mm’)=-i(ka+kb)kakb(Bk_am-Bk_bm’)2, Bk_am=Bm (1)/ka+i/δ, Bk_bm’=Bm’ (2)/kb+i/δ, ka=k1/k, kb=-k2/kであり、Am, Am’, Bm (1), Bm’ (2), δは所定の定数)
    前記第3計算部は、次式により、複素振幅pを計算する
    Figure 0007601231000018

    (ただし、Caoは音場測定時の物理的条件から定まる値)
    ことを特徴とする音響特性計算装置。
  3. Lを略円形の音源であるトランスデューサを用いて生じさせたパラメトリックアレイによって発生した可聴音(以下、復調音という)Sによる光の位相変化を測定する音場測定装置における光路、Cを光路Lとトランスデューサを通り復調音Sの伝搬方向と平行な直線とが交わる点、Xを点Cからの距離がxである光路L上の点、zをトランスデューサから光路Lまでの距離、aをトランスデューサの半径、fd=|f1-f2|(ただし、f1は搬送波の周波数、f2は側帯波の周波数)を復調音Sの周波数、cを音速とし、
    音響特性計算装置が、復調音Sによる光位相の変化量φsから、周波数fdにおける光位相の複素振幅dを計算する第1計算ステップと、
    qdiff(ξ’,η’)をガウシアンビーム展開法を用いて定義される関数とし、
    前記音響特性計算装置が、点Xにおける関数値qdiff(ξ,η)(ただし、ξ=x/a, η=2z/ka2, k1=f1/c, k2=f2/c, k=(k1+k2)/2)と、光路Lに沿った関数qdiff(ξ’,η)の線積分値∫Lqdiff(ξ’,η)dξ’とを計算する第2計算ステップと、
    前記音響特性計算装置が、周波数fdにおける光位相の複素振幅dと点Xにおける関数値qdiff(ξ,η)と光路Lに沿った関数qdiff(ξ’,η)の線積分値∫Lqdiff(ξ’,η)dξ’を用いて、点Xにおける周波数fdの復調音の複素振幅pを計算する第3計算ステップと、
    を含む音響特性計算方法。
  4. 請求項1または2に記載の音響特性計算装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
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