[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサを含む磁気センサ装置の構成について説明する。図1は、本実施の形態における磁気センサ装置を示す斜視図である。図2は、本実施の形態における磁気センサ装置の構成を示す機能ブロック図である。
本実施の形態における磁気センサ装置100は、本実施の形態に係る磁気センサ1と、プロセッサ2とを備えている。磁気センサ1は、磁気センサ1の検出対象の磁界である対象磁界を検出して少なくとも1つの検出信号を生成するように構成されている。磁気センサ1は、地磁気を検出する地磁気センサであってもよいし、回転磁界を検出する角度センサ用または磁気エンコーダ用の磁気センサであってもよいし、被検出電流が発生する磁界を検出する電流センサ用の磁気センサであってもよい。
プロセッサ2は、少なくとも1つの検出信号に基づいて対象磁界と対応関係を有する少なくとも1つの検出値を生成するように構成されている。プロセッサ2は、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)によって構成されている。
磁気センサ1とプロセッサ2の各々は、直方体形状のチップの形態を有している。磁気センサ1は、互いに反対側に位置する上面1aおよび下面1bと、上面1aと下面1bを接続する4つの側面とを有している。プロセッサ2は、互いに反対側に位置する上面2aおよび下面2bと、上面2aと下面2bを接続する4つの側面とを含んでいる。磁気センサ1は、磁気センサ1の下面1bがプロセッサ2の上面2aに対向する姿勢で、プロセッサ2の上面2a上に実装されている。磁気センサ1は、例えば接着剤によってプロセッサ2に接合されている。
ここで、図1に示したように、X方向、Y方向およびZ方向を定義する。X方向、Y方向、Z方向は、互いに直交する。本実施の形態では、磁気センサ1の上面1aに垂直な方向であって、磁気センサ1の下面1bから上面1aに向かう方向を、Z方向とする。また、X方向とは反対の方向を-X方向とし、Y方向とは反対の方向を-Y方向とし、Z方向とは反対の方向を-Z方向とする。
以下、基準の位置に対してZ方向の先にある位置を「上方」と言い、基準の位置に対して「上方」とは反対側にある位置を「下方」と言う。また、磁気センサ1の構成要素に関して、Z方向の端に位置する面を「上面」と言い、-Z方向の端に位置する面を「下面」と言う。また、「所定の方向(例えばZ方向)から見たとき」という表現は、所定の方向または所定の方向に平行な一方向に離れた位置から対象物を見ることを意味する。
磁気センサ1は、上面1a上に設けられた複数の第1のパッド(電極パッド)を有している。プロセッサ2は、上面2a上に設けられた複数の第2のパッド(電極パッド)を有している。磁気センサ1では、複数の第1のパッドと複数の第2のパッドのうち、対応する2つのパッドが、ボンディングワイヤによって互いに接続されている。
磁気センサ1は、第1の検出回路10と第2の検出回路20とを含んでいる。第1および第2の検出回路10,20とプロセッサ2は、複数の第1のパッド、複数の第2のパッドおよび複数のボンディングワイヤを介して接続されている。
第1および第2の検出回路10,20の各々は、複数の磁気検出素子を含んでいる。本実施の形態では特に、複数の磁気検出素子は、複数の磁気抵抗効果素子である。以下、磁気抵抗効果素子を、MR素子と記す。
第1の検出回路10は、対象磁界のX方向に平行な方向の成分を検出し、この成分と対応関係を有する少なくとも1つの第1の検出信号を生成する。第2の検出回路20は、対象磁界のY方向に平行な方向の成分を検出し、この成分と対応関係を有する少なくとも1つの第2の検出信号を生成する。
次に、図3を参照して、磁気センサ1の回路構成について説明する。図3は、磁気センサ1の回路構成を示す回路図である。
第1の検出回路10は、4つの抵抗部R11,R12,R13,R14と、電源ポートV1と、グランドポートG1と、2つの出力ポートE11,E12とを含んでいる。抵抗部R11は、電源ポートV1と出力ポートE11との間に設けられている。抵抗部R12は、出力ポートE11とグランドポートG1との間に設けられている。抵抗部R13は、出力ポートE12とグランドポートG1との間に設けられている。抵抗部R14は、電源ポートV1と出力ポートE12との間に設けられている。電源ポートV1には、所定の大きさの電圧または電流が印加される。グランドポートG1はグランドに接続される。
第2の検出回路20は、4つの抵抗部R21,R22,R23,R24と、電源ポートV2と、グランドポートG2と、2つの出力ポートE21,E22とを含んでいる。抵抗部R21は、電源ポートV2と出力ポートE21との間に設けられている。抵抗部R22は、出力ポートE21とグランドポートG2との間に設けられている。抵抗部R23は、出力ポートE22とグランドポートG2との間に設けられている。抵抗部R24は、電源ポートV2と出力ポートE22との間に設けられている。電源ポートV2には、所定の大きさの電圧または電流が印加される。グランドポートG2はグランドに接続される。
次に、図4ないし図6を参照して、第1および第2の検出回路10,20の各々の構成について説明する。図4は、第1の検出回路10の一部を示す斜視図である。図5は、第1の検出回路10の一部を示す平面図である。図6は、第2の検出回路20の一部を示す平面図である。
磁気センサ1は、更に、基板30を備えている。磁気センサ1は、基板30の上に基板30以外の複数の構成要素が形成されることによって構成されている。第1の検出回路10と第2の検出回路20は、基板30の上に設けられている。抵抗部R11~R14の各々は、複数のMR素子50Aを含んでいる。抵抗部R21~R24の各々は、複数のMR素子50Bを含んでいる。
抵抗部R11~R14の各々は、更に、複数の下部電極61と、複数の上部電極62とを含んでいる。図4および図5に示したように、複数のMR素子50Aの各々は、Y方向に平行な方向に長い形状を有している。複数の下部電極61の各々は、X方向に平行な方向において隣接する2つのMR素子50Aを電気的に接続する。複数の上部電極62の各々は、2つの下部電極61の上に配置されて隣接する2つのMR素子50Aを電気的に接続する。これにより、X方向に平行な方向において一列に並んだ複数のMR素子50Aが直列に接続される。
抵抗部R11~R14の各々は、更に、図示しない複数の接続電極を含んでいる。抵抗部R11~R14の各々において、複数の接続電極は、一列に並んだ複数のMR素子50Aのグループが直列に接続されるように複数の下部電極61または複数の上部電極62を電気的に接続する。このような構成により、抵抗部R11~R14の各々は、複数の下部電極61、複数の上部電極62および複数の接続電極によって直列に接続された複数のMR素子50Aを含んでいる。
上記の複数のMR素子50Aの接続関係についての説明は、基本的には、抵抗部R21~R24の各々の複数のMR素子50Bにも当てはまる。図6に示したように、抵抗部R21~R24の各々では、複数のMR素子50Bの各々は、X方向に平行な方向に長い形状を有している。上記の複数のMR素子50Aの接続関係についての説明中の、複数のMR素子50A、X方向およびY方向を、それぞれ、複数のMR素子50B、Y方向およびX方向に置き換えれば、複数のMR素子50Bの接続関係についての説明になる。
抵抗部R11~R14の各々は、更に、複数の磁界発生体70Aを含んでいる。複数の磁界発生体70Aは、それぞれ2つの磁界発生体70Aからなる複数の磁界発生体70Aの対を含んでいる。上記の2つの磁界発生体70Aは、1つのMR素子50Aを挟むように、Y方向に平行な方向において所定の間隔を開けて配置されている。2つの磁界発生体70Aは、その間に位置する1つのMR素子50Aに対してバイアス磁界を印加するように構成されている。このバイアス磁界は、主成分としてY方向に平行な方向の成分を含んでいる。
抵抗部R21~R24の各々は、更に、複数の磁界発生体70Bを含んでいる。複数の磁界発生体70Bは、それぞれ2つの磁界発生体70Bからなる複数の磁界発生体70Bの対を含んでいる。上記の2つの磁界発生体70Bは、1つのMR素子50Bを挟むように、X方向に平行な方向において所定の間隔を開けて配置されている。2つの磁界発生体70Bは、その間に位置する1つのMR素子50Bに対してバイアス磁界を印加するように構成されている。このバイアス磁界は、主成分としてX方向に平行な方向の成分を含んでいる。
図4に示したように、複数の磁界発生体70Aの各々は、下部電極61と上部電極62との間に挟まれていてもよい。図示しないが、複数の磁界発生体70Bの各々は、下部電極61と上部電極62との間に挟まれていてもよい。
本実施の形態では、複数のMR素子50Aおよび複数のMR素子50Bの各々は、スピンバルブ型のMR素子である。このスピンバルブ型のMR素子は、方向が固定された磁化を有する磁化固定層と、対象磁界の方向に応じて方向が変化可能な磁化を有する自由層と、磁化固定層と自由層の間に配置されたギャップ層とを含んでいる。スピンバルブ型のMR素子は、TMR(トンネル磁気抵抗効果)素子でもよいし、GMR(巨大磁気抵抗効果)素子でもよい。TMR素子では、ギャップ層はトンネルバリア層である。GMR素子では、ギャップ層は非磁性導電層である。スピンバルブ型のMR素子では、自由層の磁化の方向が磁化固定層の磁化の方向に対してなす角度に応じて抵抗値が変化し、この角度が0°のときに抵抗値は最小値となり、角度が180°のときに抵抗値は最大値となる。各MR素子において、自由層は、磁化容易軸方向が、磁化固定層の磁化の方向に直交する方向となる形状異方性を有している。
スピンバルブ型のMR素子は、更に、反強磁性層を含んでいてもよい。反強磁性層は、反強磁性材料よりなり、磁化固定層との間で交換結合を生じさせて、磁化固定層の磁化の方向を固定する。なお、磁化固定層は、いわゆるセルフピン止め型の固定層(Synthetic Ferri Pinned 層、SFP層)であってもよい。セルフピン止め型の固定層は、強磁性層、非磁性中間層および強磁性層を積層させた積層フェリ構造を有し、2つの強磁性層を反強磁性的に結合させてなるものである。磁化固定層がセルフピン止め型の固定層である場合、反強磁性層を省略してもよい。
次に、図3を参照して、磁化固定層の磁化の方向およびバイアス磁界の方向について説明する。図3において、それぞれ抵抗部R11~R14,R21~R24に重なるように描かれた複数の塗りつぶした矢印は、抵抗部R11~R14,R21~R24の各々における磁化固定層の磁化の方向を表している。図3に示した例では、抵抗部R11,R13の各々における磁化固定層の磁化の主成分の方向は、X方向である。抵抗部R12,R14の各々における磁化固定層の磁化の主成分の方向は、-X方向である。抵抗部R11~R14の各々における自由層は、磁化容易軸方向がY方向に平行な方向となる形状異方性を有している。
抵抗部R21,R23の各々における磁化固定層の磁化の主成分の方向は、Y方向である。抵抗部R22,R24の各々における磁化固定層の磁化の主成分の方向は、-Y方向である。抵抗部R21~R24の各々における自由層は、磁化容易軸方向がX方向に平行な方向となる形状異方性を有している。
図3において、符号M11,M12,M13,M14を付した矢印は、それぞれ、抵抗部R11,R12,R13,R14において、複数の磁界発生体70Aが発生するバイアス磁界の主成分の方向を示している。抵抗部R11,R12におけるバイアス磁界の主成分の方向は、Y方向である。抵抗部R13,R14におけるバイアス磁界の主成分の方向は、-Y方向である。
図3において、それぞれ抵抗部R11~R14に重なるように描かれた複数の白抜きの矢印は、磁気センサ1に対象磁界が印加されていない場合の、抵抗部R11~R14の各々における自由層の磁化の方向を表している。抵抗部R11,R12の各々における自由層の磁化の主成分の方向は、Y方向であり、抵抗部R11,R12におけるバイアス磁界の主成分の方向と同じである。抵抗部R13,R14の各々における自由層の磁化の主成分の方向は、-Y方向であり、抵抗部R13,R14におけるバイアス磁界の主成分の方向と同じである。
図3において、符号M21,M22,M23,M24を付した矢印は、それぞれ、抵抗部R21,R22,R23,R24において、複数の磁界発生体70Bが発生するバイアス磁界の主成分の方向を示している。抵抗部R21,R22におけるバイアス磁界の主成分の方向は、X方向である。抵抗部R23,R24におけるバイアス磁界の主成分の方向は、-X方向である。
図3において、それぞれ抵抗部R21~R24に重なるように描かれた複数の白抜きの矢印は、磁気センサ1に対象磁界が印加されていない場合の、抵抗部R21~R24の各々における自由層の磁化の方向を表している。抵抗部R21,R22の各々における自由層の磁化の主成分の方向は、X方向であり、抵抗部R21,R22におけるバイアス磁界の主成分の方向と同じである。抵抗部R23,R24の各々における自由層の磁化の主成分の方向は、-X方向であり、抵抗部R23,R24におけるバイアス磁界の主成分の方向と同じである。
なお、磁化の方向は、上述の磁化の主成分の方向と一致していてもよいし、磁化の主成分の方向からわずかにずれていてもよい。同様に、バイアス磁界の方向は、上述のバイアス磁界の主成分の方向と一致していてもよいし、バイアス磁界の主成分の方向からわずかにずれていてもよい。以下の説明では、磁化の方向は、磁化の主成分の方向と一致しているものとし、バイアス磁界の方向は、バイアス磁界の主成分の方向と一致しているものとする。
次に、図3を参照して、第1および第2の検出回路10,20の作用について説明する。第1の検出回路10では、対象磁界のX方向に平行な方向の成分の強度に応じて、抵抗部R11,R12の接続点の電位すなわち出力ポートE11の電位と、抵抗部R13,R14の接続点の電位すなわち出力ポートE12の電位が変化する。第1の検出回路10は、出力ポートE11の電位に対応する信号と出力ポートE12の電位に対応する信号を、それぞれ第1の検出信号として生成してもよい。あるいは、第1の検出回路10は、出力ポートE11,E12間の電位差に対応する信号を、第1の検出信号として生成してもよい。この場合、第1の検出回路10は、更に、出力ポートE11,E12間の電位差に対応する信号を第1の検出信号として出力する差動増幅器(差分検出器)を含んでいてもよい。
第2の検出回路20では、対象磁界のY方向に平行な方向の成分の強度に応じて、抵抗部R21,R22の接続点の電位すなわち出力ポートE21の電位と、抵抗部R23,R24の接続点の電位すなわち出力ポートE22の電位が変化する。第2の検出回路20は、出力ポートE21の電位に対応する信号と出力ポートE22の電位に対応する信号を、それぞれ第2の検出信号として生成してもよい。あるいは、第2の検出回路20は、出力ポートE21,E22間の電位差に対応する信号を、第2の検出信号として生成してもよい。この場合、第2の検出回路20は、更に、出力ポートE21,E22間の電位差に対応する信号を第2の検出信号として出力する差動増幅器(差分検出器)を含んでいてもよい。
次に、図7ないし図10を参照して、複数のMR素子50A、複数のMR素子50B、複数の磁界発生体70Aおよび複数の磁界発生体70Bの構成について詳しく説明する。図7は、磁気センサ1の要部を示す平面図である。図8は、MR素子、磁界発生体および絶縁層を示す平面図である。図9は、図7において9-9線で示す位置の断面の一部を示す断面図である。図10は、図7において10-10線で示す位置の断面の一部を示す断面図である。
ここで、図7ないし図10に示したように、それぞれZ方向と直交し且つ互いに直交する第1の方向D1と第2の方向D2を定義する。第1の検出回路10では、第1の方向D1はY方向に平行な方向であり、第2の方向D2はX方向に平行な方向である。第2の検出回路20では、第1の方向D1はX方向に平行な方向であり、第2の方向D2はY方向に平行な方向である。
以下、複数のMR素子50Aおよび複数のMR素子50Bのうち任意のMR素子については符号50を用いて表し、複数の磁界発生体70Aおよび複数の磁界発生体70Bのうち任意の磁界発生体については符号70を用いて表す。磁気センサ1は、少なくとも1つのMR素子50を備えている。本実施の形態では特に、磁気センサ1は、少なくとも1つのMR素子50として、複数のMR素子50を備えている。
ここで、1つのMR素子50に着目して、MR素子50および磁界発生体70の構成について説明する。MR素子50は、複数の磁性膜を含んでいる。複数の磁性膜の積層方向は、Z方向に平行な方向である。複数の磁性膜は、前述の磁化固定層52および自由層54を含んでいる。複数のMR素子50の各々は、更に、前述のギャップ層53と、バッファ層51およびキャップ層55とを含んでいる。図9および図10に示したように、バッファ層51、磁化固定層52、ギャップ層53、自由層54およびキャップ層55は、Z方向にこの順に積層されている。バッファ層51およびキャップ層55の各々は、例えば、Ru、Ta、CuおよびCr等の非磁性金属材料によって形成されている。
MR素子50は、Z方向の端に位置する上面50aと、-Z方向の端に位置する下面50bと、第1の方向D1における両端に位置する2つの側面50cと、第2の方向D2における両端に位置する2つの側面50dとを有している。MR素子50の下面50bは、下部電極61に接している。2つの側面50cおよび2つの側面50dの各々は、複数の磁性膜の積層方向(Z方向に平行な方向)に対して傾いている。
磁気センサ1は、更に、強磁性材料よりなる少なくとも1つの強磁性層72と、Al2O3、SiO2等の絶縁材料よりなる絶縁層32とを備えている。少なくとも1つの強磁性層72は、第1の方向D1から見たときにMR素子50と重なるように配置されている。本実施の形態では特に、少なくとも1つの強磁性層72は、第1の方向D1から見たときに自由層54の全体と重なるように配置されている。
また、少なくとも1つの強磁性層72は、MR素子50の側面50cに乗り上げるように配置されている。少なくとも1つの強磁性層72の一部は、Z方向から見たときに、MR素子50の一部と重なっている。絶縁層32は、第2の方向D2においてMR素子50の両側に配置されている。
本実施の形態では特に、MR素子50は、第1の方向D1において所定の間隔を開けて配置された2つの強磁性層72の間に配置されている。絶縁層32は、MR素子50および2つの強磁性層72の周囲に配置されている。
強磁性層72は、Co、Fe、Niのうちの1つ以上の元素を含む強磁性材料によって形成されている。このような強磁性材料の例としては、CoFeや、CoFeBや、CoNiFeが挙げられる。強磁性層72は、複数の層の積層体であって、隣接する2つの層が互いに異なる強磁性材料よりなる積層体によって構成されていてもよい。このような強磁性層72の例としては、Co層とCoFe層とCo層の積層体や、Co70Fe30層とCo30Fe70層とCo70Fe30層の積層体が挙げられる。なお、Co70Fe30は、70原子%のCoと30原子%のFeよりなる合金を表し、Co30Fe70は、30原子%のCoと70原子%のFeよりなる合金を表している。
磁気センサ1は、更に、それぞれ複数の2つの強磁性層72の下面側(-Z方向側)に配置された2つのバッファ層71を含んでいる。2つのバッファ層71は、例えば、Ru、Ta、CuおよびCr等の非磁性金属材料によって形成されている。
磁気センサ1は、更に、MR素子50、2つの強磁性層72および絶縁層32の上に配置された反強磁性層74と、反強磁性層74の上に配置されたキャップ層75とを備えている。反強磁性層74は、2つの強磁性層72に対向する2つの反強磁性部74aと、MR素子50および絶縁層32には対向するが2つの強磁性層72には対向しない非対向部分74bとを含んでいる。2つの反強磁性部74aは、非対向部分74bによって互いに接続されている。MR素子50と反強磁性層74との間には、いかなる磁性層も存在しない。キャップ層75は、2つの反強磁性部74aの上に配置された2つの保護部75aを含んでいる。
反強磁性層74は、例えばIrMn、PtMn等の反強磁性材料によって形成されている。キャップ層75は、例えば、Ru、Ta、CuおよびCr等の非磁性金属材料によって形成されている。
バッファ層71および強磁性層72は、第1の積層体701を構成する。反強磁性層74およびキャップ層75は、第2の積層体702を構成する。MR素子50は、2つの第1の積層体701の間に配置されている。第2の積層体702は、MR素子50、絶縁層32および2つの第1の積層体701の上に配置されている。
第2の積層体702は、2つの第1の積層体701の上に配置された2つの積層部分702aを含んでいる。2つの積層部分702aの各々は、反強磁性部74aおよび保護部75aを含んでいる。
強磁性層72は、強磁性層72全体としての磁化を有している。強磁性層72全体としての磁化とは、強磁性層72全体における原子、結晶格子等の単位毎の磁気モーメントのベクトル和を体積平均したものである。以下、強磁性層72全体としての磁化を、単に強磁性層72の磁化と言う。第1の積層体701およびこの第1の積層体701の上に配置された積層部分702aからなる積層体では、反強磁性部74aは、強磁性層72の上面に接して強磁性層72と交換結合する。これにより、強磁性層72の磁化の方向が規定される。強磁性層72と反強磁性部74aは、強磁性層72の磁化に基づいてMR素子50に印加されるバイアス磁界を発生する磁界発生体70を構成する。このようにして構成された磁界発生体70は、外乱磁界に対する高い耐性を有する。
強磁性層72は第1の積層体701の一部であり、反強磁性部74aは積層部分702aの一部であることから、第1の積層体701と積層部分702aが磁界発生体70を構成しているとも言える。磁界発生体70は、バッファ層71、強磁性層72、反強磁性部74aおよび保護部75aを含んでいる。MR素子50は、2つの磁界発生体70の間に配置されている。2つの磁界発生体70は、協働してMR素子50にバイアス磁界を印加する。2つの磁界発生体70のうちの一方の強磁性層72の磁化の方向と、2つの磁界発生体70のうちの他方の強磁性層72の磁化の方向は、同じであってもよい。この場合、2つの磁界発生体70のうちの一方が発生するバイアス磁界の方向と、2つの磁界発生体70のうちの他方が発生するバイアス磁界の方向は、同じ方向になる。
MR素子50の上面50aは、反強磁性層74の非対向部分74bに対向する。非対向部分74bの少なくとも一部とMR素子50の下面50bとの間隔は、上面50aと下面50bの間隔と同じである。反強磁性層74の反強磁性部74aと下部電極61の上面との間隔は、非対向部分74bと下面50bとの間隔と同じであってもよいし、非対向部分74bと下面50bとの間隔と異なっていてもよい。後者の場合、反強磁性部74aと下部電極61の上面との最大の間隔は、非対向部分74bと下面50bとの間隔よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
強磁性層72は、MR素子50の側面50cに対向する側面72aを有している。側面72aは、MR素子50の自由層54に対向し且つ複数の磁性膜の積層方向(Z方向に平行な方向)に対して傾斜する傾斜部分72a1を含んでいる。傾斜部分72a1が積層方向に対してなす角度は、20°以上90°以下の範囲内である。
磁気センサ1は、更に、絶縁材料よりなり且つ基板30(図4ないし図6参照)と下部電極61との間に介在する絶縁層31と、絶縁材料よりなり且つMR素子50と2つの第1の積層体701との間に介在する絶縁層33とを備えている。絶縁層31,33は、例えば、Al2O3、SiO2等の絶縁材料によって形成されている。
第2の積層体702の上面すなわちキャップ層75の上面は、上部電極62に接している。第2の積層体702の平面形状(Z方向から見た形状)は、上部電極62の平面形状と一致していてもよいし、上部電極62の平面形状よりも小さくてもよいし、上部電極62の平面形状よりも大きくてもよい。磁気センサ1は、更に、絶縁材料よりなり且つ上部電極62の上に配置された図示しない絶縁層を備えている。
ここまでは、1つのMR素子50に着目して、MR素子50および磁界発生体70の構成について説明してきた。本実施の形態では、磁気センサ1は、複数のMR素子50を備えている。図7に示したように、複数のMR素子50は、第2の方向D2に沿って並んだ2つのMR素子50を含んでいる。2つのMR素子50と、2つのMR素子50を電気的に接続する上部電極62との間には、第2の積層体702が介在している。図7に示した例では、第2の積層体702は、2つのMR素子50と4つの第1の積層体701の上に配置されている。この例では、第2の積層体702は、4つの積層部分702aを含んでいる。
2つのMR素子50は、第2の積層体702の反強磁性層74によっても電気的に接続されている。また、2つのMR素子50は、反強磁性層74によって直列に接続されている。
また、本実施の形態では、磁気センサ1が複数のMR素子50と複数の磁界発生体70を備えていることから、磁気センサ1は、複数のバッファ層71、複数の強磁性層72、複数の反強磁性層74および複数のキャップ層75を備えている。
次に、本実施の形態に係る磁気センサ1の作用および効果について説明する。本実施の形態では、反強磁性層74は、MR素子50、2つの強磁性層72および絶縁層32の上に配置されている。MR素子50と反強磁性層74との間には、いかなる磁性層も存在しない。これにより、本実施の形態によれば、MR素子50の感度が低下することを抑制することができる。
また、本実施の形態では、反強磁性層74は、強磁性層72と交換結合して強磁性層72の磁化の方向を規定する反強磁性部74aを含んでいる。後述するように、本実施の形態では、反強磁性層74が形成される下地部分は、平坦またはほぼ平坦になると共に、下地部分の上に構造物が設けられていない状態で反強磁性層74を形成することができる。これにより、本実施の形態によれば、反強磁性部74aの膜厚が小さくなることを抑制することができる。これにより、本実施の形態によれば、反強磁性部74aを効果的に用いることが可能になり、その結果、反強磁性部74aの上記の機能および磁界発生体70の機能を実現することができる。
また、本実施の形態では、反強磁性層74の上にキャップ層75が形成されている。キャップ層75は、反強磁性部74aを保護する保護部75aを含んでいる。本実施の形態によれば、反強磁性層74の上にキャップ層75を形成することによって、保護部75aの膜厚が小さくなることを抑制することができる。これにより、本実施の形態によれば、保護部75aを効果的に用いることが可能になり、その結果、保護部75aの上記の機能を実現することができる。
以下、比較例の磁界発生体を備えた比較例の磁気センサと比較しながら、上記の効果について詳しく説明する。始めに、比較例の磁気センサの構成について説明する。比較例の磁気センサは、本実施の形態における磁界発生体70の代わりに、比較例の磁界発生体170を備えている。
磁界発生体170は、バッファ層171と、強磁性層172と、反強磁性層173と、キャップ層174とを含んでいる。バッファ層171、強磁性層172、反強磁性層173およびキャップ層174は、それぞれ、本実施の形態におけるバッファ層71、強磁性層72、反強磁性層74およびキャップ層75に対応する。比較例では、反強磁性層173が強磁性層172の上面に接して強磁性層172と交換結合する。これにより、強磁性層172の磁化の方向が規定される。
図11は、比較例の磁界発生体の形成方法を示す断面図である。比較例の磁界発生体170は、以下のようにして形成される。まず、後にMR素子50になる積層膜をパターニングして、この積層膜に2つの側面50d(図10参照)を形成する。次に、積層膜の周囲に絶縁層32(図8および図10参照)を形成する。
次に、図11に示したように、積層膜の上にフォトレジストマスク81を形成する。次に、フォトレジストマスク81を用いて、積層膜に2つの側面50cが形成されるように、エッチングによって積層膜をパターニングする。これにより、積層膜はMR素子50になる。
次に、フォトレジストマスク81を残したまま、絶縁層131、バッファ層171、強磁性層172、反強磁性層173およびキャップ層174を順に形成する。これにより、磁界発生体170が完成する。次に、フォトレジストマスク81を除去する。なお、MR素子50をパターニングした後にフォトレジストマスク81を形成してもよい。
図11に示したように、反強磁性層173の膜厚は、フォトレジストマスク81の影の影響で、フォトレジストマスク81に近づくに従って小さくなる。そのため、MR素子50の上面50aと側面50cとが交差する位置に存在する角部の近傍では、反強磁性層173のブロッキング温度が低下して、反強磁性層173の耐熱性が低下する。そのため、一時的または長期間温度が高くなる環境の下では、反強磁性層173の機能および磁界発生体170の機能を発揮することができなくなる。
同様に、キャップ層174の膜厚は、フォトレジストマスク81の影の影響で、フォトレジストマスク81に近づくに従って小さくなる。そのため、上記の角部の近傍では、反強磁性層173を十分に保護することができなくなり、反強磁性層173が腐食するおそれがある。反強磁性層173が腐食すると、反強磁性層173の機能および磁界発生体170の機能を発揮することができなくなる。
これに対し、本実施の形態では、反強磁性部74aおよび保護部75aの各々の膜厚が小さくなることを抑制することができる。図12は、本実施の形態における磁界発生体70の形成方法を示す断面図である。本実施の形態における磁界発生体70は、以下のようにして形成される。まず、後にMR素子50になる積層膜をパターニングして、この積層膜に2つの側面50d(図10参照)を形成する。次に、積層膜の周囲に絶縁層32(図8および図10参照)を形成する。
次に、図12(a)に示したように、積層膜の上にフォトレジストマスク82を形成する。次に、フォトレジストマスク82を用いて、積層膜に2つの側面50cが形成されるように、エッチングによって積層膜をパターニングする。これにより、積層膜はMR素子50になる。次に、フォトレジストマスク82を残したまま、絶縁層33、バッファ層71および強磁性層72を順に形成する。
次に、図12(b)に示したように、フォトレジストマスク82を除去する。次に、MR素子50、強磁性層72および絶縁層32の上に、反強磁性層74およびキャップ層75を順に形成する。次に、強磁性層72の磁化の方向を固定する工程が実行される。これにより、磁界発生体70が完成する。強磁性層72の磁化の方向を固定する工程については、後で詳しく説明する。
図12(b)に示したように、本実施の形態では、反強磁性層74およびキャップ層75は、MR素子50、強磁性層72および絶縁層32の積層体の上に形成される。この積層体の上面は、平坦またはほぼ平坦になる。また、反強磁性層74およびキャップ層75を形成する際には、積層体の上には、フォトレジストマスク等の構造物が存在しない。これらのことから、本実施の形態では、反強磁性層74およびキャップ層75の膜厚は、MR素子50からの距離によらずに一定またはほぼ一定になる。このように、本実施の形態によれば、反強磁性部74aおよび保護部75aの各々の膜厚が小さくなることを抑制することができる。その結果、本実施の形態によれば、反強磁性部74aおよび保護部75aを効果的に用いることが可能になる。
また、本実施の形態では、絶縁層32は、MR素子50の上に形成される各層の膜厚が変動することを抑制する機能を有している。すなわち、もし、絶縁層32が存在しなければ、反強磁性層74およびキャップ層75の各々の一部は、MR素子50の2つの側面50dに沿って形成される。この場合、MR素子50の2つの側面50dに沿って形成された各層の膜厚は、MR素子50の上面50aおよび強磁性層72の上面に沿って形成された各層の膜厚とは異なり得る。これに対し、本実施の形態によれば、反強磁性層74およびキャップ層75の各々を、MR素子50の上面50a、強磁性層72の上面および絶縁層32の上面に沿って形成することにより、各層の膜厚が変化することを抑制することができる。更に、反強磁性層74およびキャップ層75の各々をステップカバレッジがよい方法によって形成することにより、各層の膜厚の変化をより効果的に抑制することができる。これによっても、本実施の形態によれば、反強磁性部74aおよび保護部75aを効果的に用いることが可能になる。
次に、本実施の形態における複数のMR素子50の形成方法について簡単に説明する。複数のMR素子50を形成する工程では、まず、後に複数のMR素子50となる複数の初期MR素子を形成する。複数の初期MR素子の各々は、後に磁化固定層52となる初期磁化固定層と、バッファ層51と、ギャップ層53と、自由層54と、キャップ層55とを含んでいる。
次に、レーザ光と、所定の方向の成分を含む外部磁界とを用いて、初期磁化固定層の磁化の方向を、上記の所定の方向に固定する。例えば、後に第1の検出回路10の抵抗部R11,R13を構成する複数のMR素子50Aになる複数の初期MR素子では、X方向の外部磁界を印加しながら、複数の初期MR素子に対してレーザ光を照射する。レーザ光の照射が完了すると、初期磁化固定層の磁化の方向は、X方向に固定される。これにより、初期磁化固定層は磁化固定層52になり、初期MR素子はMR素子50Aになる。
また、後に第1の検出回路10の抵抗部R12,R14を構成する複数のMR素子50Aになる複数の初期MR素子では、-X方向の外部磁界を用いることにより、複数の初期MR素子の各々の初期磁化固定層の磁化の方向を、-X方向に固定することができる。このようにして、複数のMR素子50Aが形成される。第2の検出回路20の抵抗部R21~R24の各々を構成する複数のMR素子50Bも、複数のMR素子50Aと同様の方法によって形成される。
次に、強磁性層72の磁化の方向を固定する工程について説明する。強磁性層72の磁化の方向は、MR素子50の磁化固定層52と同様の方法によって固定される。すなわち、まず、図12(a)および図12(b)を参照して説明したように、反強磁性層74およびキャップ層75を形成した後、レーザ光と、所定の方向の成分を含む外部磁界とを用いて、強磁性層72の磁化の方向を、上記の所定の方向に固定する。例えば、それぞれ後に第1の検出回路10の抵抗部R11,R12を構成する複数のMR素子50Aの近傍に配置された複数の強磁性層72に対しては、Y方向の外部磁界を印加しながら、複数の強磁性層72に対してレーザ光を照射する。レーザ光の照射が完了すると、強磁性層72の磁化の方向は、Y方向に固定される。
また、それぞれ後に第1の検出回路10の抵抗部R13,R14を構成する複数のMR素子50Aの近傍に配置された複数の強磁性層72に対しては、-Y方向の外部磁界を用いることにより、複数の強磁性層72の各々の磁化の方向を、-Y方向に固定することができる。それぞれ第2の検出回路20の抵抗部R21~R24の各々を構成する複数のMR素子50Bの近傍に配置された複数の強磁性層72についても、上述の同様の方法によって磁化の方向が固定される。
なお、強磁性層72の磁化の方向を固定するために用いられるレーザ光の強度は、磁化固定層52の磁化の方向を固定するために用いられるレーザ光の強度よりも小さくてもよい。また、強磁性層72の磁化の方向を固定するために用いられるレーザ光の強度は、MR素子50の抵抗に対する磁気抵抗変化の比率である磁気抵抗変化率の変化が抑制されるような強度であることが好ましい。
[変形例]
次に、本実施の形態に係る磁気センサ1の第1ないし第7の変形例について説明する。始めに、図13を参照して、第1の変形例について説明する。図13は、磁気センサ1の第1の変形例の要部を示す平面図である。第1の変形例では、複数の下部電極61の各々は、第1の方向D1において隣接する2つのMR素子50を電気的に接続する。複数の上部電極62の各々は、2つの下部電極61の上に配置されて隣接する2つのMR素子50を電気的に接続する。これにより、第1の方向D1において一列に並んだ複数のMR素子50が直列に接続される。第1の変形例では、複数の接続電極は、一列に並んだ複数のMR素子50のグループが直列に接続されるように複数の下部電極61または複数の上部電極62を電気的に接続する。
また、第1の変形例では、第1の方向D1に並ぶ2つのMR素子50と、上部電極62との間には、第2の積層体702が介在している。2つのMR素子50は、第2の積層体702の反強磁性層74(図9および図10参照)によっても電気的に接続されている。また、2つのMR素子50は、反強磁性層74によって直列に接続されている。
次に、図14を参照して、第2の変形例について説明する。図14は、磁気センサ1の第2の変形例の要部を示す平面図である。第2の変形例では、2つのMR素子50と3つの磁界発生体70が、下部電極61と上部電極62との間に配置されている。ここで、3つの磁界発生体70を互いに区別するために、「第1」、「第2」および「第3」を用いる。第1の磁界発生体70は、第1の方向D1に沿って並ぶ2つのMR素子50の間に配置されている。第2の磁界発生体70は、第1の磁界発生体70との間に2つのMR素子50の一方を挟む位置に配置されている。第3の磁界発生体70は、第1の磁界発生体70との間に2つのMR素子50の他方を挟む位置に配置されている。
図14に示した2つのMR素子50は、同じ下部電極61と同じ上部電極62に接続されている。この2つのMR素子50は、回路構成上並列に接続されている。ここで、回路構成上並列に接続された2つのMR素子50を、素子対と言う。複数の下部電極61の各々は、第2の方向D2において隣接する2つの素子対を電気的に接続する。複数の上部電極62の各々は、2つの下部電極61の上に配置されて隣接する2つの素子対を電気的に接続する。これにより、第2の方向D2において一列に並んだ複数の素子対が直列に接続される。
2つの素子対と、2つの素子対を電気的に接続する上部電極62との間には、第2の積層体702が介在している。第2の変形例では、第2の積層体702は、4つのMR素子50と6つの第1の積層体701の上に配置されている。第2の変形例では、第2の積層体702は、6つの積層部分702aを含んでいる。
次に、図15を参照して、第3の変形例について説明する。図15は、磁気センサ1の第3の変形例の要部を示す平面図である。第3の変形例では、第2の方向D2に沿って並ぶ2つのMR素子50は、第1の方向D1に沿って並ぶ2つの磁界発生体70の間に配置されている。
図15に示した2つのMR素子50は、同じ下部電極61と同じ上部電極62に接続されている。この2つのMR素子50は、回路構成上並列に接続された素子対である。複数の下部電極61の各々は、第2の方向D2において隣接する2つの素子対を電気的に接続する。複数の上部電極62の各々は、2つの下部電極61の上に配置されて隣接する2つの素子対を電気的に接続する。これにより、第2の方向D2において一列に並んだ複数の素子対が直列に接続される。
2つの素子対と、2つの素子対を電気的に接続する上部電極62との間には、第2の積層体702が介在している。第3の変形例では、第2の積層体702は、4つのMR素子50と4つの第1の積層体701の上に配置されている。第3の変形例では、第2の積層体702は、4つの積層部分702aを含んでいる。
次に、図16を参照して、第4の変形例について説明する。図16は、磁気センサ1の第4の変形例の要部を示す断面図である。第4の変形例では、第1の積層体701は、バッファ層71および強磁性層72に加えて、バッファ層71と強磁性層72との間に配置された反強磁性層76を含んでいる。反強磁性層76は、例えばIrMn、PtMn等の反強磁性材料によって形成されている。
反強磁性層76は、強磁性層72の下面に接して強磁性層72と交換結合する。また、前述のように、反強磁性部74aが強磁性層72と交換結合する。第4の変形例では、反強磁性部74aと反強磁性層76が強磁性層72と交換結合することにより、強磁性層72の磁化の方向が規定される。
次に、図17を参照して、第5の変形例について説明する。図17は、磁気センサ1の第5の変形例の要部を示す断面図である。第5の変形例では、第1の積層体701は、バッファ層71および強磁性層72に加えて、バッファ層71と強磁性層72との間に配置された強磁性層77を含んでいる。強磁性層77は、Co、Fe、Niのうちの1つ以上の元素を含む強磁性材料によって形成されている。第5の変形例では、強磁性層77は、強磁性層72の磁化と同じ方向の磁化を有している。
第5の変形例では、強磁性層72を、反強磁性部74aとの交換結合エネルギーを大きくすることができる強磁性材料によって形成し、強磁性層77を、強磁性層72を構成する強磁性材料よりも飽和磁束密度が大きい強磁性材料によって形成してもよい。この場合、強磁性層72,77からなる強磁性体部と反強磁性部74aの交換結合エネルギーを大きくしながら、磁界発生体70が発生するバイアス磁界の強度を大きくし、且つ磁界発生体70を小型化することができる。強磁性層72の例としては、Co70Fe30層が挙げられる。強磁性層77の例としては、Co30Fe70層が挙げられる。
次に、図18を参照して、第6の変形例について説明する。図18は、磁気センサ1の第6の変形例の要部を示す断面図である。第6の変形例では、第1の積層体701は、バッファ層71および強磁性層72に加えて、バッファ層71と強磁性層72との間に配置された強磁性層78と、強磁性層72と強磁性層78との間に配置された非磁性層79とを含んでいる。強磁性層78は、Co、Fe、Niのうちの1つ以上の元素を含む強磁性材料によって形成されている。強磁性層72と強磁性層78は、同じ強磁性材料によって形成されていてもよいし、異なる強磁性材料によって形成されていてもよい。非磁性層79は、例えばRu等の非磁性金属材料によって形成されている。
第6の変形例では、強磁性層72と強磁性層78は、それらの磁化の方向が同じになるように、非磁性層79を介して強磁性的に交換結合している。強磁性層72と強磁性層78は、同じ方向の磁化を有している。非磁性層79の厚みは、強磁性層72と強磁性層78の交換結合が消失しないような厚みに設定される。
次に、図19を参照して、第7の変形例について説明する。第7の変形例では、MR素子50の2つの側面50cは、図12(a)を参照して説明した積層膜をパターニングする工程において、少なくとも、ギャップ層53、自由層54およびキャップ層55をエッチングすることによって形成される。この工程において、磁化固定層52は、その一部がエッチングされてもよいし、エッチングされなくてもよい。
第7の変形例では、強磁性層72は、MR素子50の側面50cおよび磁化固定層52の上に乗り上げるように配置されている。絶縁層33は、MR素子50の側面50cおよび磁化固定層52の上面に沿って形成されている。
なお、第1ないし第7の変形例は、任意に組み合わせることが可能である。例えば、図13に示した第1の変形例と、図14に示した第2の変形例または図15に示した第3の変形例とを組み合わせてもよい。この場合、第1の方向D1において隣接する2つのMR素子50の対が電気的に接続される。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。始めに、図20を参照して、本実施の形態に係る磁気センサを含む磁気センサシステムの構成について説明する。図20は、本実施の形態における磁気センサシステム200を示す斜視図である。
磁気センサシステム200は、本実施の形態に係る磁気センサ201と、所定の磁界を発生する磁界発生部202とを備えている。本実施の形態では、磁界発生部202は、発生する磁界の一部である部分磁界が磁気センサ201に印加されるように構成された磁石である。この部分磁界は、Z方向に平行な第1の磁界成分Hzと、Y方向に平行な第2の磁界成分Hyとを含んでいる。
図20に示したように、本実施の形態では、磁界発生部202の磁化の方向はY方向であり、第2の磁界成分Hyの方向は-Y方向である。第1の磁界成分Hzの方向は、磁界発生部202が所定の位置からY方向に移動するとZ方向になり、磁界発生部202が所定の位置から-Y方向に移動すると-Z方向になる。
次に、図21を参照して、本実施の形態に係る磁気センサ201の概略の構成について説明する。図21は、磁気センサ201の回路構成を示す回路図である。
磁気センサ201は、4つの抵抗部R31,R32,R33,R34と、電源ポートV3と、グランドポートG3と、2つの出力ポートE31,E32とを含んでいる。抵抗部R31は、電源ポートV3と出力ポートE31との間に設けられている。抵抗部R32は、出力ポートE31とグランドポートG3との間に設けられている。抵抗部R33は、出力ポートE32とグランドポートG3との間に設けられている。抵抗部R34は、電源ポートV3と出力ポートE32との間に設けられている。電源ポートV3には、所定の大きさの電圧または電流が印加される。グランドポートG3はグランドに接続される。
抵抗部R31~R34の各々は、複数のMR素子50を含んでいる。複数のMR素子50の構成は、第1の実施の形態と同様である。すなわち、複数のMR素子50の各々は、第1の実施の形態における図9および図10に示したように、バッファ層51、磁化固定層52、ギャップ層53、自由層54およびキャップ層55を含んでいる。
図21において、それぞれ抵抗部R31~R34に重なるように描かれた複数の塗りつぶした矢印は、抵抗部R31~R34の各々における磁化固定層52の磁化の方向を表している。図21に示した例では、抵抗部R31,R34の各々における磁化固定層52の磁化の主成分の方向は、X方向である。抵抗部R32,R33の各々における磁化固定層52の磁化の主成分の方向は、-X方向である。抵抗部R31~R34の各々における自由層54は、磁化容易軸方向がY方向に平行な方向となる形状異方性を有している。
抵抗部R31~R34の各々は、更に、複数の磁界発生体70を含んでいる。複数の磁界発生体70の構成は、第1の実施の形態と同様である。複数の磁界発生体70は、それぞれ2つの磁界発生体70からなる複数の磁界発生体70の対を含んでいる。上記の2つの磁界発生体70は、1つのMR素子50を挟むように、Y方向に平行な方向において所定の間隔を開けて配置されている。2つの磁界発生体70は、その間に位置する1つのMR素子50に対してバイアス磁界を印加するように構成されている。このバイアス磁界は、主成分としてY方向に平行な方向の成分を含んでいる。
図21において、符号M31,M32,M33,M34を付した矢印は、それぞれ、抵抗部R31,R32,R33,R34において、複数の磁界発生体70が発生するバイアス磁界の主成分の方向を示している。抵抗部R31,R34におけるバイアス磁界の主成分の方向は、Y方向である。抵抗部R32,R33におけるバイアス磁界の主成分の方向は、-Y方向である。
図21において、それぞれ抵抗部R31~R34に重なるように描かれた複数の白抜きの矢印は、磁気センサ201に部分磁界が印加されていない場合の、抵抗部R31~R34の各々における自由層の磁化の方向を表している。抵抗部R31,R34の各々における自由層の磁化の主成分の方向は、Y方向であり、抵抗部R31,R34におけるバイアス磁界の主成分の方向と同じである。抵抗部R32,R33の各々における自由層の磁化の主成分の方向は、-Y方向であり、抵抗部R32,R33におけるバイアス磁界の主成分の方向と同じである。
次に、図22ないし図24を参照して、磁気センサ201の構成について具体的に説明する。図22は、磁気センサ201の一部を示す斜視図である。図23は、磁気センサ201の一部を示す平面図である。図24は、磁気センサ201の一部を示す側面図である。
磁気センサ201は、更に、基板230を備えている。磁気センサ201は、基板230の上に基板230以外の複数の構成要素が形成されることによって構成されている。
磁気センサ201は、更に、軟磁性材料よりなる少なくとも1つのヨークを備えている。少なくとも1つのヨークは、Z方向から見たときに、Y方向に長い形状を有している。また、少なくとも1つのヨークは、図20に示した第1の磁界成分Hzに基づいて、X方向に平行な方向の磁界成分を発生させる。
図22ないし図24に示したように、本実施の形態では特に、磁気センサ201は、少なくとも1つのヨークとして、X方向に並ぶように配置された複数のヨーク250を備えている。複数のヨーク250の各々は、例えば、Y方向に長い直方体形状を有している。複数のヨーク250の形状は同じである。複数のヨーク250の各々は、X方向に平行な方向の両端に位置する第1の端面250aおよび第2の端面250bを有している。複数のヨーク250の各々において、第1の端面250aは、-X方向の端に位置し、第2の端面250bは、X方向の端に位置する。
複数のMR素子50の各々は、複数のヨーク250によって発生される磁界成分が印加される位置に配置されている。本実施の形態では特に、MR素子50の各々は、複数のヨーク250の各々の-Z方向の端部の近傍に配置されている。また、複数のMR素子50は、複数のヨーク250の各々の第1の端面250aまたは第2の端面250bに沿って複数個ずつ並ぶように配置されている。以下、複数のMR素子50のうち、第1の端面250aに沿って並ぶ複数のMR素子を符号50Cで表し、第2の端面250bに沿って並ぶ複数のMR素子を符号50Dで表す。複数のMR素子50Cが受ける磁界成分の方向と、複数のMR素子50Dが受ける磁界成分の方向は、互いに反対方向である。
複数のMR素子50Cと複数のMR素子50Dは、Z方向から見たときに、複数のヨーク250と重なっていてもよいし、複数のヨーク250と重なっていなくてもよい。図22ないし図24に示した例では、複数のMR素子50Cと複数のMR素子50Dは、Z方向から見たときに、複数のヨーク250と重ならないように配置されている。
図22および図23に示したように、複数の磁界発生体70のうち、MR素子50Cを挟むように配置された複数の磁界発生体を符号70Cで表し、MR素子50Dを挟むように配置された複数の磁界発生体を符号70Dで表す。磁気センサ201は、更に、それぞれ軟磁性材料よりなる磁性層を含む複数のヨーク90Cおよび複数のヨーク90Dを備えている。複数のヨーク90Cは、それぞれ2つのヨーク90Cからなる複数のヨーク90Cの対を含んでいる。上記の2つのヨーク90Cは、X方向に平行な方向において1つのMR素子50Cの両側に配置されている。複数のヨーク90Dは、それぞれ2つのヨーク90Dからなる複数のヨーク90Dの対を含んでいる。上記の2つのヨーク90Dは、X方向に平行な方向において1つのMR素子50Dの両側に配置されている。
複数のヨーク90Cは、複数のヨーク250によって発生される磁界成分を複数のMR素子50Cに導く機能を有している。複数のヨーク90Dは、複数のヨーク250によって発生される磁界成分を複数のMR素子50Dに導く機能を有している。
磁気センサ201は、更に、複数のMR素子50Cを電気的に接続する配線部211と、複数のMR素子50Dを電気的に接続する配線部212とを含んでいる。配線部211,212の各々は、複数の下部電極61および複数の上部電極62ならびに複数の接続電極によって構成されている。なお、下部電極61と上部電極62は、後で説明する図25ないし図27に示されている。
配線部211は、磁化固定層52の磁化の主成分の方向がX方向である複数のMR素子50Cを電気的に接続する第1の配線と、磁化固定層52の磁化の主成分の方向が-X方向である複数のMR素子50Cを電気的に接続する第2の配線とを含んでいる。抵抗部R31は、第1の配線によって電気的に接続された複数のMR素子50Cによって構成されている。抵抗部R32は、第2の配線によって電気的に接続された複数のMR素子50Cによって構成されている。
配線部212は、各々の磁化固定層52の磁化の主成分の方向が-X方向である複数のMR素子50Dを電気的に接続する第3の配線と、各々の磁化固定層52の磁化の主成分の方向がX方向である複数のMR素子50Dを電気的に接続する第4の配線とを含んでいる。抵抗部R33は、第3の配線によって電気的に接続された複数のMR素子50Dによって構成されている。抵抗部R34は、第4の配線によって電気的に接続された複数のMR素子50Dによって構成されている。
次に、磁気センサ201の作用について説明する。第1の磁界成分Hzが存在せず、その結果、複数のヨーク250によって発生される磁界成分も存在しない状態では、複数のMR素子50Cおよび複数のMR素子50Dの各々の自由層54の磁化の方向は、Y方向に平行な方向になっている。
第1の磁界成分Hzの方向がZ方向であるときには、抵抗部R31,R32を構成する複数のMR素子50Cの各々が受ける磁界成分の方向はX方向になり、抵抗部R33,R34を構成する複数のMR素子50Dの各々が受ける磁界成分の方向は-X方向になる。この場合、複数のMR素子50Cの各々の自由層54の磁化の方向は、Y方向に平行な方向からX方向に向かって傾き、複数のMR素子50Dの各々の自由層54の磁化の方向は、Y方向に平行な方向から-X方向に向かって傾く。その結果、磁界成分が存在しない状態と比べて、抵抗部R31を構成する複数のMR素子50Cの各々の抵抗値と抵抗部R33を構成する複数のMR素子50Dの各々の抵抗値は減少し、抵抗部R32を構成する複数のMR素子50Cの各々の抵抗値と抵抗部R34を構成する複数のMR素子50Dの各々の抵抗値は増加する。その結果、抵抗部R31,R33の抵抗値は減少し、抵抗部R32,R34の抵抗値は増加する。
第1の磁界成分Hzの方向が-Z方向の場合は、磁界成分の方向と、抵抗部R31~R34の各々の抵抗値の変化は、上述の第1の磁界成分Hzの方向がZ方向の場合とは逆になる。
抵抗部R31~R34の各々の抵抗値の変化量は、複数のMR素子50Cおよび複数のMR素子50Dの各々が受ける磁界成分の強度に依存する。磁界成分の強度が大きくなると、抵抗部R31~R34の各々の抵抗値は、その増加量またはその減少量がそれぞれ大きくなる方向に変化する。磁界成分の強度が小さくなると、抵抗部R31~R34の各々の抵抗値は、その増加量またはその減少量がそれぞれ小さくなる方向に変化する。磁界成分の強度は、第1の磁界成分Hzの強度に依存する。
このように、第1の磁界成分Hzの方向と強度が変化すると、抵抗部R31~R34のそれぞれの抵抗値は、抵抗部R31,R33の各々の抵抗値が増加すると共に抵抗部R32,R34の各々の抵抗値が減少するか、抵抗部R31,R33の各々の抵抗値が減少すると共に抵抗部R32,R34の各々の抵抗値が増加するように変化する。これにより、抵抗部R31,R32の接続点の電位すなわち出力ポートE31の電位と、抵抗部R33,R34の接続点の電位すなわち出力ポートE32の電位が変化する。磁気センサ201は、出力ポートE31の電位に対応する信号と出力ポートE32の電位に対応する信号を、それぞれ検出信号として生成してもよい。あるいは、磁気センサ201は、出力ポートE31,E32間の電位差に対応する信号を、検出信号として生成してもよい。この場合、磁気センサ201は、更に、出力ポートE31,E32間の電位差に対応する信号を検出信号として出力する差動増幅器(差分検出器)を備えていてもよい。
磁気センサシステム200は、更に、第1の実施の形態における図1および図2に示したプロセッサ2を備えていてもよい。プロセッサ2は、磁気センサ201から出力された1つの検出信号または2つの検出信号を受けて、第1の磁界成分Hzの強度と対応関係を有する検出値または磁界発生部202(図20参照)の位置と対応関係を有する検出値を生成するように構成されていてもよい。
次に、図25ないし図27を参照して、複数のヨーク90Cおよび複数のヨーク90Dについて詳しく説明する。図25は、磁気センサ201の要部を示す平面図である。図26は、図25において26-26線で示す位置の断面の一部を示す断面図である。図27は、図25において27-27線で示す位置の断面の一部を示す断面図である。
以下、複数のヨーク90Cおよび複数のヨーク90Dのうちの任意のヨークについては符号90を用いて表す。MR素子50および磁界発生体70の各々の構成および形状と、MR素子50と磁界発生体70の位置関係は、第1の実施の形態と同様である。また、第1および第2の積層体701,702の各々の構成および形状と、MR素子50と第1および第2の積層体701,702の位置関係も、第1の実施の形態と同様である。
ここで、1つのMR素子50に着目して、ヨーク90の構成について説明する。2つのヨーク90は、X方向に平行な方向においてMR素子50の両側に配置されている。磁気センサ201は、更に、Al2O3、SiO2等の絶縁材料よりなる絶縁層232を備えている。絶縁層232は、X方向に平行な方向においてMR素子50の両側に配置されている。本実施の形態では特に、絶縁層232は、MR素子50および磁界発生体70の強磁性層72の周囲に配置されている。
2つのヨーク90は、絶縁層232に埋め込まれている。MR素子50と2つのヨーク90との間、および下部電極61と2つのヨーク90との間には、絶縁層232が介在している。2つのヨーク90の各々は、磁性層に加えて、磁性層と絶縁層232との間に介在するバッファ層と、磁性層の上に配置されたキャップ層とを含んでいてもよい。バッファ層とキャップ層は、例えば非磁性金属材料によって形成されていてもよい。また、2つのヨーク90の各々は、MR素子50の側面50dに乗り上げるように配置されている。2つのヨーク90の各々の一部は、Z方向から見たときに、MR素子50の一部と重なっている。
2つのヨーク90は、Y方向に平行な方向において所定の間隔を開けて配置された2つの磁界発生体70の間に配置されている。磁界発生体70(第1の積層体701)の強磁性層72は、Y方向または-Y方向から見たときに2つのヨーク90と重なるように配置されている。
強磁性層72は、ヨーク90に乗り上げるように配置されている。強磁性層72の一部は、Z方向から見たときに、ヨーク90の一部と重なっている。磁気センサ201は、更に、Al2O3、SiO2等の絶縁材料よりなり且つ強磁性層72とヨーク90との間に介在する絶縁層233を備えている。磁界発生体70(第1の積層体701)のバッファ層71の一部は、強磁性層72と絶縁層233との間に介在している。
本実施の形態では、反強磁性層74は、MR素子50、2つの強磁性層72、2つのヨーク90および絶縁層232の上に配置されている。2つのヨーク90の各々の上面は、反強磁性層74に接していてもよい。磁気センサ201は、更に、Al2O3、SiO2等の絶縁材料よりなり且つ基板230(図23参照)と下部電極61との間に介在する絶縁層231と、絶縁材料よりなり且つ上部電極62の上に配置された図示しない絶縁層とを備えている。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
[第3の実施の形態]
次に、図28ないし図30を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。図28は、本実施の形態に係る磁気センサの要部を示す平面図である。図29は、図28において29-29線で示す位置の断面の一部を示す断面図である。図30は、図28において30-30線で示す位置の断面の一部を示す断面図である。
以下、1つのMR素子50に着目して、本実施の形態に係る磁気センサ201の構成が、第2の実施の形態と異なる点について説明する。本実施の形態では、2つの磁界発生体70の各々は、MR素子50に対して所定の間隔を開けて配置されている。従って、2つの磁界発生体70の各々の強磁性層72は、MR素子50に対して所定の間隔を開けて配置されている。
また、2つの磁界発生体70の各々は、2つのヨーク90に対して所定の間隔を開けて配置されている。従って、2つの磁界発生体70の各々の強磁性層72は、2つのヨーク90に対して所定の間隔を開けて配置されている。
本実施の形態では、絶縁層233は、強磁性層72と下部電極61および絶縁層232との間に介在している。磁気センサ201は、更に、Al2O3、SiO2等の絶縁材料よりなり且つ2つのヨーク90と下部電極61および絶縁層232との間に介在する絶縁層234を備えている。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第2の実施の形態と同様である。
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、本発明の磁気センサは、第1の実施の形態における第1および第2の検出回路10,20と、第3の検出回路として第2の実施の形態に係る磁気センサ201とを備えた磁気センサであってもよい。この磁気センサにおいて、第3の検出回路(磁気センサ201)は、対象磁界のZ方向に平行な方向の成分を検出するように構成されていてもよい。この磁気センサは、対象磁界を地磁気とした地磁気センサであってもよい。
また、MR素子50は、下部電極61側から、バッファ層51、自由層54、ギャップ層53、磁化固定層52およびキャップ層55の順に積層されて構成されていてもよい。
以上説明したように、本発明の磁気センサは、積層された複数の磁性膜を含む少なくとも1つの磁気抵抗効果素子と、強磁性材料よりなり、複数の磁性膜の積層方向に直交する第1の方向から見たときに少なくとも1つの磁気抵抗効果素子と重なるように配置された第1の強磁性層と、絶縁材料よりなり、積層方向および第1の方向の各々に直交する第2の方向において少なくとも1つの磁気抵抗効果素子の両側に配置された絶縁層と、少なくとも1つの磁気抵抗効果素子、第1の強磁性層および絶縁層の上に配置された反強磁性層とを備えている。反強磁性層は、第1の強磁性層に対向する第1の反強磁性部と、少なくとも1つの磁気抵抗効果素子および絶縁層には対向するが第1の強磁性層には対向しない非対向部分とを含んでいる。少なくとも1つの磁気抵抗効果素子と反強磁性層との間には、いかなる磁性層も存在しない。
本発明の磁気センサにおいて、第1の強磁性層と第1の反強磁性部は、少なくとも1つの磁気抵抗効果素子に印加される磁界を発生する磁界発生体を構成してもよい。
また、本発明の磁気センサにおいて、少なくとも1つの磁気抵抗効果素子は、第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子であってもよい。第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子は、反強磁性層を介して直列に接続されていてもよい。第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子は、第1の方向に沿って並んでいてもよい。あるいは、第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子は、第2の方向に沿って並んでいてもよい。
また、本発明の磁気センサは、更に、強磁性材料よりなり、第1の方向において第1の強磁性層との間に少なくとも1つの磁気抵抗効果素子を挟む位置に配置された第2の強磁性層を備えていてもよい。反強磁性層は、更に、第2の強磁性層に対向する第2の反強磁性部を含んでいてもよい。第1の強磁性層と第1の反強磁性部は、少なくとも1つの磁気抵抗効果素子に印加される第1の磁界を発生する第1の磁界発生体を構成してもよい。第2の強磁性層と第2の反強磁性部は、少なくとも1つの磁気抵抗効果素子に印加される第2の磁界を発生する第2の磁界発生体を構成してもよい。少なくとも1つの磁気抵抗効果素子は、第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子であってもよい。第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子は、回路構成上並列に接続されていてもよい。
また、本発明の磁気センサにおいて、反強磁性層は、少なくとも1つの磁気抵抗効果素子に接していてもよい。少なくとも1つの磁気抵抗効果素子は、更に、反強磁性層と複数の磁性膜との間に介在し且つ反強磁性層に接する非磁性金属層を含んでいてもよい。
また、本発明の磁気センサにおいて、複数の磁性膜は、対象磁界に応じて方向が変化可能な磁化を有する自由層を含んでいてもよい。第1の強磁性層は、少なくとも1つの磁気抵抗効果素子に対向する側面を有していてもよい。側面は、自由層に対向し且つ積層方向に対して傾斜する傾斜部分を含んでいてもよい。傾斜部分が積層方向に対してなす角度は、20°以上90°以下の範囲内であってもよい。
また、本発明の磁気センサにおいて、少なくとも1つの磁気抵抗効果素子は、非対向部分に対向する第1の面と、第1の面とは反対側の第2の面とを有していてもよい。非対向部分の少なくとも一部と第2の面との間隔は、第1の面と第2の面の間隔と同じであってもよい。
また、本発明の磁気センサは、更に、第2の方向において少なくとも1つの磁気抵抗効果素子の両側に配置されると共にそれぞれ軟磁性材料よりなる2つのヨークを備えていてもよい。反強磁性層は、少なくとも1つの磁気抵抗効果素子、第1の強磁性層、絶縁層および2つのヨークの上に配置されていてもよい。
また、本発明の磁気センサは、更に、第1のポートと、第2のポートと、第3のポートと、回路構成上第1のポートと第2のポートとの間に配置された第1の抵抗部と、回路構成上第2のポートと第3のポートとの間に配置された第2の抵抗部とを備えていてもよい。第1の抵抗部と第2の抵抗部の各々は、少なくとも1つの磁気抵抗効果素子、第1の強磁性層、絶縁層および反強磁性層を含んでいてもよい。複数の磁性膜は、対象磁界に応じて方向が変化可能な磁化を有する自由層を含んでいてもよい。第1の抵抗部では、第1の強磁性層と第1の反強磁性部は、少なくとも1つの磁気抵抗効果素子に印加される第1の磁界を発生する第1の磁界発生体を構成してもよい。第2の抵抗部では、第1の強磁性層と第1の反強磁性部は、少なくとも1つの磁気抵抗効果素子に印加される第2の磁界を発生する第2の磁界発生体を構成してもよい。第1の磁界は、主成分として第1の方向に平行な一方向である第1の磁界方向の成分を含んでいてもよい。第2の磁界は、主成分として第1の磁界方向とは反対方向の第2の磁界方向の成分を含んでいてもよい。第1の抵抗部では、自由層の磁化は、対象磁界が印加されていない場合には、第1の磁界方向の成分を含んでいてもよい。第2の抵抗部では、自由層の磁化は、対象磁界が印加されていない場合には、第2の磁界方向の成分を含んでいてもよい。