JPH0558054B2 - - Google Patents
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- JPH0558054B2 JPH0558054B2 JP63048398A JP4839888A JPH0558054B2 JP H0558054 B2 JPH0558054 B2 JP H0558054B2 JP 63048398 A JP63048398 A JP 63048398A JP 4839888 A JP4839888 A JP 4839888A JP H0558054 B2 JPH0558054 B2 JP H0558054B2
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Description
産業上の利用分野
本発明は、金属被覆極細線及びその製造方法に
関し、詳しくは、線径0.5mm以下、強度200Kgf/
mm2以上の金属被覆極細線、及びその製造方法に関
する。 従来の技術 本発明において、金属被覆極細線とは、冷間伸
線によつて製造された線径0.5mm(500μm)以下
の鋼線であつて、フエライト相と低温変態生成相
とが複合して、一方向に連続して均一に延びる微
細な繊維状の金属組織を有し、高強度を有すると
共に、疲労強度にもすぐれ、表面に金属メツキ
層、特に好ましくはニツケル層を有する鋼線をい
い、線径に応じて、高圧ホース用ワイヤー、ワイ
ヤーカツトソー、ダイヤモンド電着ワイヤーソ
ー、細物精密ばね、コロナワイヤー、ドツトプリ
ンタ用ワイヤー、ミニケーブル、金属、ゴム、プ
ラスチツク等の補強用ワイヤー、繊維、金属織物
等として用いられる。 従来、上記のような金属被覆極細線は、伸線加
工ごとに伸線材の靭性が低下することを防止する
ために、通常、高炭素鋼の5.5mm径圧延線材から
中途に数度のパテンテイング処理を行ないつつ、
数次にわたる冷間伸線加工によつて、所定径の極
細線を製造した後、これに金属メツキを施して製
造されているので、多くの製造工程数を必要とす
ると共に、製造費用が高くならざるを得ない。 他方、純鉄や低炭素フエライト・パーライト鋼
線材によれば、強加工による極細線への伸線自体
は可能であるが、伸線加工による強度の上昇が少
ないので、最終製品としての極細線における強度
が低い。即ち、95〜99%強加工伸線の場合でも、
その強度は70〜130Kgf/mm2であり、170Kgf/mm2
以上の強度を達成することはできない。また、加
工率99%以上の伸線加工によつても、強度は190
Kgf/mm2以下である。 また、熱処理によつて焼入れ、焼戻しした焼戻
しマルテンサイト組織を有する線材が知られてい
る。しかし、かかる線材は、焼入れままでは良好
な加工性を得ることができないので、焼戻し処理
して線材の強度を大幅に低下させて、加工性を得
るものであり、従つて、高強度高延性鋼線を得る
ことができない。他方、焼入れままでは、伸線前
処理としての酸洗工程において、表面割れが発生
しやすく、延性自体も不足することが免れない。 発明が解決しようとする課題 本発明者らは、従来のフエライト・パーライト
線材、パーライト線材及び焼戻しマルテンサイト
線材に代えて、高強度極細線を得るべく、鋭意研
究した結果、例えば、特開昭61−56264号公報、
特開昭62−20824号公報、特開昭62−50408号公
報、特開昭62−50414号公報、特開昭62−50436号
公報等に記載されているように、所定の化学成分
を有すると共に、一部残留オーステナイトを含有
していてもよい針状のベイナイト、マルテンサイ
ト又はこれらの混合組織からなる微細な低温変態
生成相がフエライト相中に均一に分散されてなる
複合組織を有する線材がすぐれた強加工性を有す
ることを見出し、かかる線材の冷間伸線によつ
て、伸線の中途において、特に、熱処理を要せず
して、容易に極細線を製造することができること
を見出している。 本発明者らは、上記低温変態生成相を有する複
合組織からなる線材の組織とその伸線加工性につ
いて、更に、広い範囲にわたつて鋭意研究した結
果、その線材の強加工によつて得られる極細線
は、上記フエライト相と低温変態生成相とが微細
で一方向に連続して延びる均一な繊維状に複合化
されてなる新規な組織を有し、例えば、線径が
160μm以下、好ましくは100μm以下であつて、
強度が300Kgf/mm2以上、600Kgf/mm2にも及び超
高強度極細線を得ることができることを見出して
いる。 しかしながら、かかる超高強度極細線は、他方
において、鉄基金属であるために、耐食性等の面
において尚、改善すべき余地が残されているのみ
ならず、超高強度であることから、種々の加工に
おけるダイスの摩耗も著しい。 そこで、本発明者らは、前記した超高強度極細
線の表面改質について鋭意研究した結果、前記線
材の冷間伸線の途中にて金属被覆(メツキ)を施
し、その金属被覆層の潤滑作用を利用することに
よつて、伸線途中にパテンテイング処理等の熱処
理を要せずして、しかも、ダイス寿命を著しく改
善しながら、直ちに高強度高靭性の金属被覆極細
線を得ることができ、更に、かかる金属被覆極細
線は、防錆性、耐食性、耐酸化性、表面処理性、
金属接着性、耐熱性、潤滑性等にすぐれるため
に、広範多岐にわたる種々の用途に用い得ること
ができることを見出して、本発明に至つたもので
ある。 課題を解決するための手段 本発明による金属被覆極細線は、重量%で C 0.01〜0.50%、 Si 3.0%以下、及び Mn 5.0%以下、 を含み、フエライト相と、マルテンサイト、ベイ
ナイト又はこれらの混合組織からなる低温変態生
成相とが複合し、強加工により生じた5〜100Å
の超微細セルが一方向に繊維状に配列し、且つ、
繊維間隔が50〜1000Åである繊維状微細金属組織
を有する線径0.5mm以下の極細線の表面に、極細
線1Kg当りについて1〜100gの割合にて金属が
被覆されていることを特徴とする。 また、本発明による金属被覆極細線の製造方法
は、重量%で C 0.01〜0.50%、 Si 3.0%以下、及び Mn 5.0%以下、 を含み、一部、残留オーステナイトを含有してい
てもよいマルテンサイト、ベイナイト又はこれら
の混合組織であつて、低温変態生成相がフエライ
ト相中に体積分率10〜75%の範囲にて分散されて
いる複合組織を有する線材を線径0.3〜1.0mmに一
次冷間伸線した後、線材1Kg当りについて1〜
100gの割合にて金属を被覆し、次いで、線径0.5
mm以下に二次冷間伸線することを特徴とする。 先ず、本発明による極細線における化学成分に
ついて説明する。 Cは、線材に所定の複合組織を有せしめると共
に、線材及びこれにより得られる極細線に所要の
強度を与えるために、少なくとも0.01%を添加す
ることが必要である。しかし、過多に添加すると
きは、マルテンサイト、ベイナイト又はこれらの
混合組織からなる低温変態生成相(以下、単に第
2相ということがある。)の延性が劣化するよう
になるので、添加量の上限を0.50%とする。 Siは、フエライト相の強化元素として有効であ
るが、3.0%を越えて過多に添加するときは、変
態温度を著しく高温側にずらせ、また、線材の表
面の脱炭を起こしやすくするので、添加量は3.0
%を上限とする。 Mnは、極細線を強化すると共に、第2層の焼
入れ性を高める効果を有するが、5.0%を越えて
過多に添加しても、これらの効果が飽和するの
で、添加量の上限は5.0%とする。 Hは、鋼を脆化させる有害な元素であつて、強
度が高くなるほど、その影響が大きくなる。本発
明においては、線材の加工性及びこの線材を冷間
伸線加工して得られる極細線の特性を考慮して、
線材における鋼中の前H量を1ppm以下とするこ
とが好ましく、特に、0.5ppm以下とすることが
好ましい。かかる鋼中のHの低減は、溶鋼から最
終の極細線の製造に至る全工程のいずれにてなさ
れてよい。溶鋼での脱ガス処理、線材への熱間圧
延及び熱処理後の冷却制御、低温脱水素焼鈍等の
手段がHの低減に有効である。 また、Hは、鋼中に含まれる非金属介在物、偏
析、固溶C及びNと共存するときは、鋼の脆化作
用を強めるので、非金属介在物、偏析、固溶C及
びN量が低減されていることが好ましい。 特に、本発明においては、フエライト相中に固
溶している(C+N)重量が40ppm以下であるこ
とが好ましい。即ち、本発明においては、線材に
おいて、フエライト相中に固溶している(C+
N)重量を40ppm以下とすることによつて、伸線
速度によらずに、安定して超高強度で高延性であ
る極細線伸線を得ることができる。 更に、本発明における極細線に不可避的に含ま
れる元素又は含まれてもよい元素について説明す
る。 Sは、MnS量を少なくするために、0.005%以
下とするのがよく、これにより延性を一層向上さ
せることができる。 Pは粒界偏析の著しい元素であるので、その含
有量を0.01%以下とするのが好ましい。 Nは固溶状態で存在すると、最も時効しやすい
元素である。従つて、加工中に時効して加工性を
阻害し、或いは加工後にも時効して、伸線により
得られる極細線の延性を劣化させるので、0.003
%以下とするのが好ましい。 Alは酸化物系介在物を形成し、この酸化物系
介在物は変形し難いために、線材の加工性を阻害
するので、Al量は、通常、0.01%以下とするのが
好ましい。 更に、本発明においては、鋼の有するC量(重
量%)/低温変態生成相の体積分率(%)が
0.006以下であることが好ましい。即ち、鋼にお
けるC量に対して、第2相量の下限が限定される
ことが好ましい。これによつて、低温変態生成相
の延性を増して、線材に一層の強加工性を付与す
ることができるからである。特に、好ましい上記
比は、0.005以下である。 また、線材におけるSi/Al比が大きくなると
き、シリケート系介在物が増大し、特に、Al量
が少ないときには、急激にシリケート系介在物が
増大して、伸線性を劣化させるのみならず、伸線
して得られる極細線の特性を劣化させる。従つ
て、本発明においては、Si/Al比を好ましくは
1000以下、特に好ましくは250以下とする。 一方、CaやCe等の希土類元素を添加すること
によつて、MnS介在物の形状を調整することも
好ましい。 また、前記したNb、V及びTiを含めて、Al等
を添加することにより、固溶CやNを固定するこ
ともできる。更に、本発明による伸線の用途に応
じて、用いる線材にはCrを18%以下、Cu及び/
又はMoをそれぞれ2.0%以下、Niを8%以下、
Al及び/又はPをそれぞれ0.1%以下、Bを0.02
%以下適宜に添加することもできる。Cr及びCu
は、得られる極細線の耐食性を改善し、Mo及び
Niは耐食性と共に強度を向上させる。 次に、本発明において、線材に一次及び二次冷
間伸線による強加工を行なうことができると共
に、得られる極細線が高強度を有するためには、
線材は、その複合組織によつては、所定の線径を
有することが必要である。即ち、線材の金属組織
を一部、残留オーステナイトを含有していてもよ
いマルテンサイト、ベイナイト又はこれらの混合
組織であつて、主として塊状相と針状相との混合
組織からなる低温変態生成相がフエライト相中に
体積分率10〜75%の範囲にて分散されている複合
組織とするときは、その線径は4.5mm以下とする
ことが必要である。 他方、線材の金属組織を一部、残留オーステナ
イトを含有していてもよいマルテンサイト、ベイ
ナイト又はこれらの混合組織であつて、主として
塊状相からなる低温変態生成相がフエライト相中
に体積分率10〜75%の範囲にて分散されている複
合組織とするときは、その線径は2.0mm以下とす
ることが必要である。但し、線材の金属組織が、
一部、残留オーステナイトを含有していてもよい
マルテンサイト、ベイナイト又はこれらの混合組
織であつて、主として針状相からなる低温変態生
成相がフエライト相中に体積分率10〜75%の範囲
にて分散されているときは、その線径は特に、限
定されるものではないが、通常、6.5mm以下であ
る。 本発明によれば、このように、複合組織に応じ
て、必要に応じて、所定の線径とした線材を一次
冷間伸線、金属被覆(メツキ)及び二次冷間伸線
の工程を経て、線径0.001〜0.5mm、強度200〜600
Kgf/mm2、好ましくは線径0.005〜0.3mm、強度
300〜600Kgf/mm2の金属被覆極細線を得ることが
できる。 尚、上記において、針状(elongated 又はaci
−cular)とは粒子が方向性を有することをいい、
塊状(globular)とは粒子が方向性を有しないこ
とをいう。 更に、本発明においては。上記線材の有する複
合組織において、フエライト相に占める低温変態
生成相の体積分率は、15〜75%の範囲にあること
が必要である。上記体積分率が15%よりも小さい
ときは、かかる複合組織を有する線材の冷間伸線
加工によつて、線径0.5mm(500μm)以下の極細
線を得ることはできても、得られる極細線は、強
度が200Kgf/mm2よりも低い。他方、フエライト
相に占める低温変態生成相の体積分率が75%より
も多いときは、伸線加工において線材が断線しや
すく、また、断線に至らず、伸線できても、得ら
れる極細線が目的とする200Kgf/mm2以上の強度
をもたない。 次に、本発明の方法において用いる線材の製造
について説明する。 先ず、上述したような化学成分を有する線材を
700〜1100℃の範囲の温度に加熱した後、冷却し
て(この加熱、冷却は、複数回にわたつて行なわ
れてもよい。)、一部、残留オーステナイトを含有
していてもよいマルテンサイト、ベイナイト又は
これらの混合組織からなる低温変態生成相がフエ
ライト相中に体積分率15〜75%の範囲にて均一に
分散されてなる複合組織を有する線材を製造す
る。かかる複合組織を有する線材の製造方法は、
前記公開公報、特に、特開昭62−20824号公報に
記載されている。 前記特開昭62−20824号公報に記載されている
ように、低温変態生成相が針状である複合組織を
有する線材については、低温変態生成相は、体積
分率にて約40%程度が組織制御上の限界である。
しかし、低温変態生成相を塊状とし、或いは針状
と塊状の混合組織とする場合には、体積分率は何
ら制限されることがなく、他方、本発明の方法に
よつて得られる極細線の強度は、低温変態生成相
の体積分率が高いほど、高強度となるので、本発
明の方法によれば、低温変態生成相の体積分率を
高めて、一層高強度の極細線を得ることもでき
る。 本発明によれば、上記のようにして得られた所
定の複合組織を有する線材を線径0.3〜1.0mmに一
次冷間伸線した後、この伸線1Kg当りについて1
〜100gの割合にて金属を被覆(メツキ)し、次
いで、線径0.5mm以下に二次冷間伸線することに
よつて、途中に何らの熱処理も要せずして、強度
200Kgf/mm2以上の金属被覆極細線を得ることが
できる。二次冷間伸線加工率については、10%以
上であることが好ましく、特に、強度30Kgf/mm2
以上を得るには、60%以上とすることが好まし
い。 特に、本発明によれば、線径3.5mm以下の複合
組織線材を用いる場合は、この複合組織線材を線
径0.3〜1.0mmに一次冷間伸線した後、この伸線1
Kg当りについて1〜100gの割合にて金属を被覆
(メツキ)し、次いで、線径0.5mm以下(通常、
0.001mm以上、好ましくは0.01mm以上)に二次冷
間伸線する際に、伸線加工歪4以上、好ましくは
5以上とすることによつて、フエライト相と低温
変態生成相とが複合化し、強加工により生じた5
〜100Åの超微細セルが一方向に繊維状に配列し、
且つ、繊維間隔が50〜1000Åである微細繊維状組
織を有する線径〜0.5mm以下の極細線の表面に、
極細線1Kg当りについて1〜100gの割合にて金
属が被覆されている超高強度金属被覆極細線を得
ることができる。 かかる方法によれば、例えば、線径160μm以
下、強度300Kgf/mm2以上を有し、好ましい場合
には、線径100μm以下、強度320〜600Kgf/mm2
を有する金属被覆極細線を製造することができ
る。 上記方法においても、上記線材の有する複合組
織において、フエライト相に占める低温変態生成
相の体積分率は、15〜75%の範囲にあることが必
要である。上記体積分率が15%よりも小さいとき
は、かかる複合組織を有する線材の冷間伸線加工
によつて、線径0.5mm(500μm)以下の金属被覆
極細線を得ることはできても、得られる極細線
は、その金属組織が上述したような微細な繊維状
組織をもたず、繊維状組織が不完全であつて、強
度も200Kg/mm2よりも低い。他方、フエライト相
に占める低温変態生成相の体積分率が75%よりも
多いときは、伸線加工において線材が断線しやす
く、また、断線に至らず、伸線できても、得られ
る極細線は、同様に、微細な繊維状組織をもた
ず、繊維状組織が不完全であつて、強度も200Kg
f/mm2よりも低い。 更に、伸線加工される線材は、その低温変態生
成相の形態によつて、その線径と低温変態生成相
の体積分率とが規制される。 即ち、低温変態生成相が主として針状であると
きは、通常、その80%以上が針状であるときは、
低温変態生成相の体積分率は50%以下、線径は
3.5mm以下である。低温変態生成相が針状と塊状
の混合組織であるときは、低温変態生成相の体積
分率は75%以下、線径は3.5mm以下である。また、
低温変態生成相が主として塊状であるときは、通
常、その80%以上が塊状であるときは、低温変態
生成相の体積分率は50%以下、線径は2.0mm以下
である。 換言すれば、所定の分率にて所定の形態の低温
変態生成相を有し、更に、所定の線径を有する線
材を一次冷間伸線、金属被覆及び二次冷間伸線の
工程を経て、加工歪4以上、好ましくは5以上に
て冷間伸線加工することによつて、好ましくは、
前述したような特異且つ微細な繊維状組織を有
し、従つて、300Kgf/mm2以上、好ましい場合に
は600Kgf/mm2にも及ぶ強度を有する線径160μm
以下、好ましい場合には100μm以下の金属被覆
超高強度極細線を得ることができる。 発明の効果 以上のように、本発明の方法によれば、一部、
残留オーステナイトを含有していてもよいマルテ
ンサイト、ベイナイト又はこれらの混合組織から
なる低温変態生成相がフエライト相中に分散され
ている複合組織とした線材を一次冷間伸線、金属
被覆及び二次冷間伸線することによつて、伸線の
途中で何らの熱処理も要せずして、強度200〜600
Kgf/mm2を有する0.5mm径以下の金属被覆極細線
を容易に得ることができる。 特に、本発明によれば、所定の分率にて所定の
形態の低温変態生成相を有し、更に、所定の線径
を有する線材を一次冷間伸線、金属被覆及び二次
冷間伸線の工程を経て、加工歪4以上、好ましく
は5以上にて冷間伸線加工することによつて、フ
エライト相と低温変態生成相とが複合化されて、
一方向に連続して延びる微細な繊維状組織を有し
ており、その繊維間隔が50〜1000Åであり、強加
工による超微細セルが5〜100Åである線径0.5mm
以下の金属被覆極細線を得ることができる。従
来、線径10〜160μm、強度300〜600Kgf/mm2の
超高強度を有する金属被覆極細線を伸線加工によ
つて製造する方法は知られていない。 更に、本発明においては、より高強度の金属被
覆極細線を得るためには、一次伸線後の伸線に金
属被覆(メツキ)を施す前に250〜430℃の温度で
熱処理することが好ましい。 実施例及び参考例 以下に参考例及び実施例を挙げて本発明を説明
するが、本発明はこれら実施例によつて何ら限定
されるものではない。 参考例 1 第1表に示す化学組成を有する鋼番号1の鋼を
熱間圧延によつて線径5.5〜7.5mmの線材とし、ま
た、これら線径5.5〜7.5mmの線材を伸線して、線
径0.75〜4.2mmの鋼線とし、これらを890℃の温度
で2分間加熱、焼入れし、次いで、810℃で2分
間加熱、冷却して、鋼線の金属組織をフエライト
相と針状マルテンサイト主体の低温変態生成相の
混合組織とした。これら線材をAとする。 上記において、線径0.75〜4.2mmの鋼線を890℃
の温度で2分間加熱、焼入れし、次いで、840℃
で2分間加熱、上記よりも速い冷却速度にて冷却
して、鋼線の金属組織をフエライト相と針状の塊
状のマルテンサイトが混在する低温変態生成相の
混合組織とした。これら線材をBとする。 更に、上記熱間圧延して得た線材及び伸線加工
して得た鋼線をそのまま、810℃で2分間加熱、
冷却することによつて、鋼線の金属組織をフエラ
イト相と塊状マルテンサイト主体の低温変態生成
相の混合組織とした。これら線材をCとする。 上記線材A、B及びCにおける低温変態生成相
の体積分率は、それぞれ22〜33%、30〜57%及び
26〜44%であつた。また、熱処理後で伸線前の線
材のH量を低減するために、真空脱ガス処理及び
熱処理の冷却速度を調整し、上記すべてにおける
H量を0.3ppm以下とした。 このようにして得られた線材を加工歪7までの
条件にて伸線加工試験した。結果を第1図に示
す。図において、A、B及びCは、前記線材の記
号によつて、低温変態生成相の形態を示し、×は
伸線加工が不可能、△は伸線加工が可能であるも
のの、得られた極細線が特性に劣る、○は伸線加
工性にすぐれると共に、得られた極細線が特性に
もすぐれることを示す。 参考例 2 次に、第1表鋼番号2〜4に示す化学成分を有
する鋼を線径5.5mmに圧延し、衝風冷却して、フ
エライト・パーライト組織とし、これを冷間伸線
して、それぞれ鋼番号2〜4に対応して、線径
1.5mmの鋼線2〜4を得た。次いで、これら鋼線
2〜4を900℃に再加熱、焼入れし、800℃に加
熱、冷却して、第2表に示すように、フエライト
と低温変態生成相との混合組織とした。得られた
鋼線の低温変態生成相の形態、体積分率及び鋼中
のC量(重量%)/低温変態生成相の体積分率
(%)の比も第2表に示す。 次に、これら鋼線2〜4をそれぞれダイス減面
率15%の一定値とする連続湿式伸線によつて、線
径0.2mm、0.1mm及び0.05mmとした。得られた極細
線の強度を第2図に示す。 この結果から明らかなように、本発明の方法に
よれば、線径1.5mmから0.05mmまで、中途で熱処
理することなしに伸線して、高強度極細線を得る
ことができる。また、低温変態生成相相の体積分
率を高くすることによつて、得られる極細線がよ
り高強度化することが理解される。 参考例 3 第1表鋼番号4に示す化学成分を有する鋼から
なる線径2.5mm線材を930℃に加熱、焼入れし、次
いで、810℃に加熱、冷却して、フエライト
関し、詳しくは、線径0.5mm以下、強度200Kgf/
mm2以上の金属被覆極細線、及びその製造方法に関
する。 従来の技術 本発明において、金属被覆極細線とは、冷間伸
線によつて製造された線径0.5mm(500μm)以下
の鋼線であつて、フエライト相と低温変態生成相
とが複合して、一方向に連続して均一に延びる微
細な繊維状の金属組織を有し、高強度を有すると
共に、疲労強度にもすぐれ、表面に金属メツキ
層、特に好ましくはニツケル層を有する鋼線をい
い、線径に応じて、高圧ホース用ワイヤー、ワイ
ヤーカツトソー、ダイヤモンド電着ワイヤーソ
ー、細物精密ばね、コロナワイヤー、ドツトプリ
ンタ用ワイヤー、ミニケーブル、金属、ゴム、プ
ラスチツク等の補強用ワイヤー、繊維、金属織物
等として用いられる。 従来、上記のような金属被覆極細線は、伸線加
工ごとに伸線材の靭性が低下することを防止する
ために、通常、高炭素鋼の5.5mm径圧延線材から
中途に数度のパテンテイング処理を行ないつつ、
数次にわたる冷間伸線加工によつて、所定径の極
細線を製造した後、これに金属メツキを施して製
造されているので、多くの製造工程数を必要とす
ると共に、製造費用が高くならざるを得ない。 他方、純鉄や低炭素フエライト・パーライト鋼
線材によれば、強加工による極細線への伸線自体
は可能であるが、伸線加工による強度の上昇が少
ないので、最終製品としての極細線における強度
が低い。即ち、95〜99%強加工伸線の場合でも、
その強度は70〜130Kgf/mm2であり、170Kgf/mm2
以上の強度を達成することはできない。また、加
工率99%以上の伸線加工によつても、強度は190
Kgf/mm2以下である。 また、熱処理によつて焼入れ、焼戻しした焼戻
しマルテンサイト組織を有する線材が知られてい
る。しかし、かかる線材は、焼入れままでは良好
な加工性を得ることができないので、焼戻し処理
して線材の強度を大幅に低下させて、加工性を得
るものであり、従つて、高強度高延性鋼線を得る
ことができない。他方、焼入れままでは、伸線前
処理としての酸洗工程において、表面割れが発生
しやすく、延性自体も不足することが免れない。 発明が解決しようとする課題 本発明者らは、従来のフエライト・パーライト
線材、パーライト線材及び焼戻しマルテンサイト
線材に代えて、高強度極細線を得るべく、鋭意研
究した結果、例えば、特開昭61−56264号公報、
特開昭62−20824号公報、特開昭62−50408号公
報、特開昭62−50414号公報、特開昭62−50436号
公報等に記載されているように、所定の化学成分
を有すると共に、一部残留オーステナイトを含有
していてもよい針状のベイナイト、マルテンサイ
ト又はこれらの混合組織からなる微細な低温変態
生成相がフエライト相中に均一に分散されてなる
複合組織を有する線材がすぐれた強加工性を有す
ることを見出し、かかる線材の冷間伸線によつ
て、伸線の中途において、特に、熱処理を要せず
して、容易に極細線を製造することができること
を見出している。 本発明者らは、上記低温変態生成相を有する複
合組織からなる線材の組織とその伸線加工性につ
いて、更に、広い範囲にわたつて鋭意研究した結
果、その線材の強加工によつて得られる極細線
は、上記フエライト相と低温変態生成相とが微細
で一方向に連続して延びる均一な繊維状に複合化
されてなる新規な組織を有し、例えば、線径が
160μm以下、好ましくは100μm以下であつて、
強度が300Kgf/mm2以上、600Kgf/mm2にも及び超
高強度極細線を得ることができることを見出して
いる。 しかしながら、かかる超高強度極細線は、他方
において、鉄基金属であるために、耐食性等の面
において尚、改善すべき余地が残されているのみ
ならず、超高強度であることから、種々の加工に
おけるダイスの摩耗も著しい。 そこで、本発明者らは、前記した超高強度極細
線の表面改質について鋭意研究した結果、前記線
材の冷間伸線の途中にて金属被覆(メツキ)を施
し、その金属被覆層の潤滑作用を利用することに
よつて、伸線途中にパテンテイング処理等の熱処
理を要せずして、しかも、ダイス寿命を著しく改
善しながら、直ちに高強度高靭性の金属被覆極細
線を得ることができ、更に、かかる金属被覆極細
線は、防錆性、耐食性、耐酸化性、表面処理性、
金属接着性、耐熱性、潤滑性等にすぐれるため
に、広範多岐にわたる種々の用途に用い得ること
ができることを見出して、本発明に至つたもので
ある。 課題を解決するための手段 本発明による金属被覆極細線は、重量%で C 0.01〜0.50%、 Si 3.0%以下、及び Mn 5.0%以下、 を含み、フエライト相と、マルテンサイト、ベイ
ナイト又はこれらの混合組織からなる低温変態生
成相とが複合し、強加工により生じた5〜100Å
の超微細セルが一方向に繊維状に配列し、且つ、
繊維間隔が50〜1000Åである繊維状微細金属組織
を有する線径0.5mm以下の極細線の表面に、極細
線1Kg当りについて1〜100gの割合にて金属が
被覆されていることを特徴とする。 また、本発明による金属被覆極細線の製造方法
は、重量%で C 0.01〜0.50%、 Si 3.0%以下、及び Mn 5.0%以下、 を含み、一部、残留オーステナイトを含有してい
てもよいマルテンサイト、ベイナイト又はこれら
の混合組織であつて、低温変態生成相がフエライ
ト相中に体積分率10〜75%の範囲にて分散されて
いる複合組織を有する線材を線径0.3〜1.0mmに一
次冷間伸線した後、線材1Kg当りについて1〜
100gの割合にて金属を被覆し、次いで、線径0.5
mm以下に二次冷間伸線することを特徴とする。 先ず、本発明による極細線における化学成分に
ついて説明する。 Cは、線材に所定の複合組織を有せしめると共
に、線材及びこれにより得られる極細線に所要の
強度を与えるために、少なくとも0.01%を添加す
ることが必要である。しかし、過多に添加すると
きは、マルテンサイト、ベイナイト又はこれらの
混合組織からなる低温変態生成相(以下、単に第
2相ということがある。)の延性が劣化するよう
になるので、添加量の上限を0.50%とする。 Siは、フエライト相の強化元素として有効であ
るが、3.0%を越えて過多に添加するときは、変
態温度を著しく高温側にずらせ、また、線材の表
面の脱炭を起こしやすくするので、添加量は3.0
%を上限とする。 Mnは、極細線を強化すると共に、第2層の焼
入れ性を高める効果を有するが、5.0%を越えて
過多に添加しても、これらの効果が飽和するの
で、添加量の上限は5.0%とする。 Hは、鋼を脆化させる有害な元素であつて、強
度が高くなるほど、その影響が大きくなる。本発
明においては、線材の加工性及びこの線材を冷間
伸線加工して得られる極細線の特性を考慮して、
線材における鋼中の前H量を1ppm以下とするこ
とが好ましく、特に、0.5ppm以下とすることが
好ましい。かかる鋼中のHの低減は、溶鋼から最
終の極細線の製造に至る全工程のいずれにてなさ
れてよい。溶鋼での脱ガス処理、線材への熱間圧
延及び熱処理後の冷却制御、低温脱水素焼鈍等の
手段がHの低減に有効である。 また、Hは、鋼中に含まれる非金属介在物、偏
析、固溶C及びNと共存するときは、鋼の脆化作
用を強めるので、非金属介在物、偏析、固溶C及
びN量が低減されていることが好ましい。 特に、本発明においては、フエライト相中に固
溶している(C+N)重量が40ppm以下であるこ
とが好ましい。即ち、本発明においては、線材に
おいて、フエライト相中に固溶している(C+
N)重量を40ppm以下とすることによつて、伸線
速度によらずに、安定して超高強度で高延性であ
る極細線伸線を得ることができる。 更に、本発明における極細線に不可避的に含ま
れる元素又は含まれてもよい元素について説明す
る。 Sは、MnS量を少なくするために、0.005%以
下とするのがよく、これにより延性を一層向上さ
せることができる。 Pは粒界偏析の著しい元素であるので、その含
有量を0.01%以下とするのが好ましい。 Nは固溶状態で存在すると、最も時効しやすい
元素である。従つて、加工中に時効して加工性を
阻害し、或いは加工後にも時効して、伸線により
得られる極細線の延性を劣化させるので、0.003
%以下とするのが好ましい。 Alは酸化物系介在物を形成し、この酸化物系
介在物は変形し難いために、線材の加工性を阻害
するので、Al量は、通常、0.01%以下とするのが
好ましい。 更に、本発明においては、鋼の有するC量(重
量%)/低温変態生成相の体積分率(%)が
0.006以下であることが好ましい。即ち、鋼にお
けるC量に対して、第2相量の下限が限定される
ことが好ましい。これによつて、低温変態生成相
の延性を増して、線材に一層の強加工性を付与す
ることができるからである。特に、好ましい上記
比は、0.005以下である。 また、線材におけるSi/Al比が大きくなると
き、シリケート系介在物が増大し、特に、Al量
が少ないときには、急激にシリケート系介在物が
増大して、伸線性を劣化させるのみならず、伸線
して得られる極細線の特性を劣化させる。従つ
て、本発明においては、Si/Al比を好ましくは
1000以下、特に好ましくは250以下とする。 一方、CaやCe等の希土類元素を添加すること
によつて、MnS介在物の形状を調整することも
好ましい。 また、前記したNb、V及びTiを含めて、Al等
を添加することにより、固溶CやNを固定するこ
ともできる。更に、本発明による伸線の用途に応
じて、用いる線材にはCrを18%以下、Cu及び/
又はMoをそれぞれ2.0%以下、Niを8%以下、
Al及び/又はPをそれぞれ0.1%以下、Bを0.02
%以下適宜に添加することもできる。Cr及びCu
は、得られる極細線の耐食性を改善し、Mo及び
Niは耐食性と共に強度を向上させる。 次に、本発明において、線材に一次及び二次冷
間伸線による強加工を行なうことができると共
に、得られる極細線が高強度を有するためには、
線材は、その複合組織によつては、所定の線径を
有することが必要である。即ち、線材の金属組織
を一部、残留オーステナイトを含有していてもよ
いマルテンサイト、ベイナイト又はこれらの混合
組織であつて、主として塊状相と針状相との混合
組織からなる低温変態生成相がフエライト相中に
体積分率10〜75%の範囲にて分散されている複合
組織とするときは、その線径は4.5mm以下とする
ことが必要である。 他方、線材の金属組織を一部、残留オーステナ
イトを含有していてもよいマルテンサイト、ベイ
ナイト又はこれらの混合組織であつて、主として
塊状相からなる低温変態生成相がフエライト相中
に体積分率10〜75%の範囲にて分散されている複
合組織とするときは、その線径は2.0mm以下とす
ることが必要である。但し、線材の金属組織が、
一部、残留オーステナイトを含有していてもよい
マルテンサイト、ベイナイト又はこれらの混合組
織であつて、主として針状相からなる低温変態生
成相がフエライト相中に体積分率10〜75%の範囲
にて分散されているときは、その線径は特に、限
定されるものではないが、通常、6.5mm以下であ
る。 本発明によれば、このように、複合組織に応じ
て、必要に応じて、所定の線径とした線材を一次
冷間伸線、金属被覆(メツキ)及び二次冷間伸線
の工程を経て、線径0.001〜0.5mm、強度200〜600
Kgf/mm2、好ましくは線径0.005〜0.3mm、強度
300〜600Kgf/mm2の金属被覆極細線を得ることが
できる。 尚、上記において、針状(elongated 又はaci
−cular)とは粒子が方向性を有することをいい、
塊状(globular)とは粒子が方向性を有しないこ
とをいう。 更に、本発明においては。上記線材の有する複
合組織において、フエライト相に占める低温変態
生成相の体積分率は、15〜75%の範囲にあること
が必要である。上記体積分率が15%よりも小さい
ときは、かかる複合組織を有する線材の冷間伸線
加工によつて、線径0.5mm(500μm)以下の極細
線を得ることはできても、得られる極細線は、強
度が200Kgf/mm2よりも低い。他方、フエライト
相に占める低温変態生成相の体積分率が75%より
も多いときは、伸線加工において線材が断線しや
すく、また、断線に至らず、伸線できても、得ら
れる極細線が目的とする200Kgf/mm2以上の強度
をもたない。 次に、本発明の方法において用いる線材の製造
について説明する。 先ず、上述したような化学成分を有する線材を
700〜1100℃の範囲の温度に加熱した後、冷却し
て(この加熱、冷却は、複数回にわたつて行なわ
れてもよい。)、一部、残留オーステナイトを含有
していてもよいマルテンサイト、ベイナイト又は
これらの混合組織からなる低温変態生成相がフエ
ライト相中に体積分率15〜75%の範囲にて均一に
分散されてなる複合組織を有する線材を製造す
る。かかる複合組織を有する線材の製造方法は、
前記公開公報、特に、特開昭62−20824号公報に
記載されている。 前記特開昭62−20824号公報に記載されている
ように、低温変態生成相が針状である複合組織を
有する線材については、低温変態生成相は、体積
分率にて約40%程度が組織制御上の限界である。
しかし、低温変態生成相を塊状とし、或いは針状
と塊状の混合組織とする場合には、体積分率は何
ら制限されることがなく、他方、本発明の方法に
よつて得られる極細線の強度は、低温変態生成相
の体積分率が高いほど、高強度となるので、本発
明の方法によれば、低温変態生成相の体積分率を
高めて、一層高強度の極細線を得ることもでき
る。 本発明によれば、上記のようにして得られた所
定の複合組織を有する線材を線径0.3〜1.0mmに一
次冷間伸線した後、この伸線1Kg当りについて1
〜100gの割合にて金属を被覆(メツキ)し、次
いで、線径0.5mm以下に二次冷間伸線することに
よつて、途中に何らの熱処理も要せずして、強度
200Kgf/mm2以上の金属被覆極細線を得ることが
できる。二次冷間伸線加工率については、10%以
上であることが好ましく、特に、強度30Kgf/mm2
以上を得るには、60%以上とすることが好まし
い。 特に、本発明によれば、線径3.5mm以下の複合
組織線材を用いる場合は、この複合組織線材を線
径0.3〜1.0mmに一次冷間伸線した後、この伸線1
Kg当りについて1〜100gの割合にて金属を被覆
(メツキ)し、次いで、線径0.5mm以下(通常、
0.001mm以上、好ましくは0.01mm以上)に二次冷
間伸線する際に、伸線加工歪4以上、好ましくは
5以上とすることによつて、フエライト相と低温
変態生成相とが複合化し、強加工により生じた5
〜100Åの超微細セルが一方向に繊維状に配列し、
且つ、繊維間隔が50〜1000Åである微細繊維状組
織を有する線径〜0.5mm以下の極細線の表面に、
極細線1Kg当りについて1〜100gの割合にて金
属が被覆されている超高強度金属被覆極細線を得
ることができる。 かかる方法によれば、例えば、線径160μm以
下、強度300Kgf/mm2以上を有し、好ましい場合
には、線径100μm以下、強度320〜600Kgf/mm2
を有する金属被覆極細線を製造することができ
る。 上記方法においても、上記線材の有する複合組
織において、フエライト相に占める低温変態生成
相の体積分率は、15〜75%の範囲にあることが必
要である。上記体積分率が15%よりも小さいとき
は、かかる複合組織を有する線材の冷間伸線加工
によつて、線径0.5mm(500μm)以下の金属被覆
極細線を得ることはできても、得られる極細線
は、その金属組織が上述したような微細な繊維状
組織をもたず、繊維状組織が不完全であつて、強
度も200Kg/mm2よりも低い。他方、フエライト相
に占める低温変態生成相の体積分率が75%よりも
多いときは、伸線加工において線材が断線しやす
く、また、断線に至らず、伸線できても、得られ
る極細線は、同様に、微細な繊維状組織をもた
ず、繊維状組織が不完全であつて、強度も200Kg
f/mm2よりも低い。 更に、伸線加工される線材は、その低温変態生
成相の形態によつて、その線径と低温変態生成相
の体積分率とが規制される。 即ち、低温変態生成相が主として針状であると
きは、通常、その80%以上が針状であるときは、
低温変態生成相の体積分率は50%以下、線径は
3.5mm以下である。低温変態生成相が針状と塊状
の混合組織であるときは、低温変態生成相の体積
分率は75%以下、線径は3.5mm以下である。また、
低温変態生成相が主として塊状であるときは、通
常、その80%以上が塊状であるときは、低温変態
生成相の体積分率は50%以下、線径は2.0mm以下
である。 換言すれば、所定の分率にて所定の形態の低温
変態生成相を有し、更に、所定の線径を有する線
材を一次冷間伸線、金属被覆及び二次冷間伸線の
工程を経て、加工歪4以上、好ましくは5以上に
て冷間伸線加工することによつて、好ましくは、
前述したような特異且つ微細な繊維状組織を有
し、従つて、300Kgf/mm2以上、好ましい場合に
は600Kgf/mm2にも及ぶ強度を有する線径160μm
以下、好ましい場合には100μm以下の金属被覆
超高強度極細線を得ることができる。 発明の効果 以上のように、本発明の方法によれば、一部、
残留オーステナイトを含有していてもよいマルテ
ンサイト、ベイナイト又はこれらの混合組織から
なる低温変態生成相がフエライト相中に分散され
ている複合組織とした線材を一次冷間伸線、金属
被覆及び二次冷間伸線することによつて、伸線の
途中で何らの熱処理も要せずして、強度200〜600
Kgf/mm2を有する0.5mm径以下の金属被覆極細線
を容易に得ることができる。 特に、本発明によれば、所定の分率にて所定の
形態の低温変態生成相を有し、更に、所定の線径
を有する線材を一次冷間伸線、金属被覆及び二次
冷間伸線の工程を経て、加工歪4以上、好ましく
は5以上にて冷間伸線加工することによつて、フ
エライト相と低温変態生成相とが複合化されて、
一方向に連続して延びる微細な繊維状組織を有し
ており、その繊維間隔が50〜1000Åであり、強加
工による超微細セルが5〜100Åである線径0.5mm
以下の金属被覆極細線を得ることができる。従
来、線径10〜160μm、強度300〜600Kgf/mm2の
超高強度を有する金属被覆極細線を伸線加工によ
つて製造する方法は知られていない。 更に、本発明においては、より高強度の金属被
覆極細線を得るためには、一次伸線後の伸線に金
属被覆(メツキ)を施す前に250〜430℃の温度で
熱処理することが好ましい。 実施例及び参考例 以下に参考例及び実施例を挙げて本発明を説明
するが、本発明はこれら実施例によつて何ら限定
されるものではない。 参考例 1 第1表に示す化学組成を有する鋼番号1の鋼を
熱間圧延によつて線径5.5〜7.5mmの線材とし、ま
た、これら線径5.5〜7.5mmの線材を伸線して、線
径0.75〜4.2mmの鋼線とし、これらを890℃の温度
で2分間加熱、焼入れし、次いで、810℃で2分
間加熱、冷却して、鋼線の金属組織をフエライト
相と針状マルテンサイト主体の低温変態生成相の
混合組織とした。これら線材をAとする。 上記において、線径0.75〜4.2mmの鋼線を890℃
の温度で2分間加熱、焼入れし、次いで、840℃
で2分間加熱、上記よりも速い冷却速度にて冷却
して、鋼線の金属組織をフエライト相と針状の塊
状のマルテンサイトが混在する低温変態生成相の
混合組織とした。これら線材をBとする。 更に、上記熱間圧延して得た線材及び伸線加工
して得た鋼線をそのまま、810℃で2分間加熱、
冷却することによつて、鋼線の金属組織をフエラ
イト相と塊状マルテンサイト主体の低温変態生成
相の混合組織とした。これら線材をCとする。 上記線材A、B及びCにおける低温変態生成相
の体積分率は、それぞれ22〜33%、30〜57%及び
26〜44%であつた。また、熱処理後で伸線前の線
材のH量を低減するために、真空脱ガス処理及び
熱処理の冷却速度を調整し、上記すべてにおける
H量を0.3ppm以下とした。 このようにして得られた線材を加工歪7までの
条件にて伸線加工試験した。結果を第1図に示
す。図において、A、B及びCは、前記線材の記
号によつて、低温変態生成相の形態を示し、×は
伸線加工が不可能、△は伸線加工が可能であるも
のの、得られた極細線が特性に劣る、○は伸線加
工性にすぐれると共に、得られた極細線が特性に
もすぐれることを示す。 参考例 2 次に、第1表鋼番号2〜4に示す化学成分を有
する鋼を線径5.5mmに圧延し、衝風冷却して、フ
エライト・パーライト組織とし、これを冷間伸線
して、それぞれ鋼番号2〜4に対応して、線径
1.5mmの鋼線2〜4を得た。次いで、これら鋼線
2〜4を900℃に再加熱、焼入れし、800℃に加
熱、冷却して、第2表に示すように、フエライト
と低温変態生成相との混合組織とした。得られた
鋼線の低温変態生成相の形態、体積分率及び鋼中
のC量(重量%)/低温変態生成相の体積分率
(%)の比も第2表に示す。 次に、これら鋼線2〜4をそれぞれダイス減面
率15%の一定値とする連続湿式伸線によつて、線
径0.2mm、0.1mm及び0.05mmとした。得られた極細
線の強度を第2図に示す。 この結果から明らかなように、本発明の方法に
よれば、線径1.5mmから0.05mmまで、中途で熱処
理することなしに伸線して、高強度極細線を得る
ことができる。また、低温変態生成相相の体積分
率を高くすることによつて、得られる極細線がよ
り高強度化することが理解される。 参考例 3 第1表鋼番号4に示す化学成分を有する鋼から
なる線径2.5mm線材を930℃に加熱、焼入れし、次
いで、810℃に加熱、冷却して、フエライト
【表】
【表】
相と、針状及び塊状の混合した低温変態生成相と
の混合組織とした。 冷却後、酸洗処理した線材を比較線材4Aとす
る。この線材4Aの酸洗前に低温脱水素焼鈍した
線材を4B、酸洗後に低温脱水素焼鈍した線材を
4Cとする。 これら線材4A,4B及び4Cの鋼組織、鋼中
H量、及び伸線加工によつて得られた極細線の強
度最高値を第3表に示す。 この結果から明らかなように、比較線材4A
は、鋼中H量が高いために、延性が劣化して、強
度300Kgf/mm2以上の極細線を与えない。他方、
低温脱水素焼鈍した線材4B及び4Cは、鋼中H
量がそれぞれ0.4ppm及び0.1ppm以下に低減され
ているので、得られる極細線は特性にすぐれ、
350Kgf/mm2の強度を有している。また、固溶
(C+N)量は、線材4B及び4C共に、40ppm
以下であつた。 参考例 4 第4表に示す化学組成を有する鋼番号1、2及
の混合組織とした。 冷却後、酸洗処理した線材を比較線材4Aとす
る。この線材4Aの酸洗前に低温脱水素焼鈍した
線材を4B、酸洗後に低温脱水素焼鈍した線材を
4Cとする。 これら線材4A,4B及び4Cの鋼組織、鋼中
H量、及び伸線加工によつて得られた極細線の強
度最高値を第3表に示す。 この結果から明らかなように、比較線材4A
は、鋼中H量が高いために、延性が劣化して、強
度300Kgf/mm2以上の極細線を与えない。他方、
低温脱水素焼鈍した線材4B及び4Cは、鋼中H
量がそれぞれ0.4ppm及び0.1ppm以下に低減され
ているので、得られる極細線は特性にすぐれ、
350Kgf/mm2の強度を有している。また、固溶
(C+N)量は、線材4B及び4C共に、40ppm
以下であつた。 参考例 4 第4表に示す化学組成を有する鋼番号1、2及
【表】
【表】
び5の線材を伸線して極細線を得た。これら極細
線の線径、強度及び金属組織を第5表に示す。 本発明に従つて、極細線がフエライト相とマル
テンサイト相とが複合化して、一方向に延びる均
一な繊維状微細組織を有するとき、かかる極細線
は300Kgf/mm2以上の強度を有する。同じ化学組
成をもつ極細線であつても、金属組織が不完全な
繊維状組織を有するときは、強度が300Kgf/mm2
よりも低い。 次に、上記のような本発明による極細線の製造
について具体的に説明する。 第4表鋼番号1、2及び5に示す化学成分を有
する線径1.5mm(1500μm)の線材を890℃の温度
にて連続加熱、焼入れし、次いで、810℃にて連
続加熱、冷却して、いずれも、フエライト相と、
一部に残留オーステナイトを含むマルテンサイト
相の2相組織を有する複合組織線材を得た。マル
テンサイトの体積分率は鋼番号1、2及び5の線
材において、それぞれ26%、48%及び59%であ
り、また、鋼番号1の線材におけ
線の線径、強度及び金属組織を第5表に示す。 本発明に従つて、極細線がフエライト相とマル
テンサイト相とが複合化して、一方向に延びる均
一な繊維状微細組織を有するとき、かかる極細線
は300Kgf/mm2以上の強度を有する。同じ化学組
成をもつ極細線であつても、金属組織が不完全な
繊維状組織を有するときは、強度が300Kgf/mm2
よりも低い。 次に、上記のような本発明による極細線の製造
について具体的に説明する。 第4表鋼番号1、2及び5に示す化学成分を有
する線径1.5mm(1500μm)の線材を890℃の温度
にて連続加熱、焼入れし、次いで、810℃にて連
続加熱、冷却して、いずれも、フエライト相と、
一部に残留オーステナイトを含むマルテンサイト
相の2相組織を有する複合組織線材を得た。マル
テンサイトの体積分率は鋼番号1、2及び5の線
材において、それぞれ26%、48%及び59%であ
り、また、鋼番号1の線材におけ
【表】
るマルテンサイトは主として針状であり、他方、
鋼番号2及び5の線材においては、マルテンサイ
ト相は、針状と塊状の混合であつた。 一方、比較例として、鋼番号5の化学成分を有
する線径1.5mmの線材を加熱温度を変えて熱処理
して、マルテンサイト分率が79%であつて、この
マルテンサイトが針状と塊状の混合物である線材
を得た。この線材を鋼番号5Rとする。 このようにして得られたそれぞれの線材を冷間
伸線して、得られた伸線の強度と金属組織を調べ
た。結果を第3図に示す。鋼番号1、2及び5の
線材は、加工歪5以上にて、300Kgf/mm2以上の
強度を有する極細線を与えることが理解される。 第4図に低温変態生成相が針状である鋼番号1
の線材を加工歪6.9にて伸線して得た線径48μmの
極細線の金属組織の3000倍の走査型電子顕微鏡写
真を示し、第5図に10000倍の電子顕微鏡写真を
示す。この組織において、白い部分はマルテンサ
イト粒子であり、黒い部分はフエライト粒子であ
る。フエライト相と低温変態生成相とを複合化
し、一方向に連続して伸びる微細な繊維状組織を
形成していることが明らかである。第6図は、超
高圧電子顕微鏡(3MV)透過写真を示し、強加
工によつて生じた超微細セルが5〜100Åである
ことが認められる。 同様に、第7図に低温変態生成相と針状と塊状
との混合である鋼番号5の線径1.5mmの線材を加
工歪6.9にて伸線して得た線径48μmの極細線の金
属組織の3000倍の電子顕微鏡写真を示し、第8図
に10000倍の電子顕微鏡写真を示す。また、比較
のために、低温変態生成相が針状と塊状との混合
である鋼番号5の線径5.5mmの線材を加工歪6.1に
て伸線して得た線径260μmの極細線の金属組織
の3000倍の電子顕微鏡写真を第9図に示す。 本発明による極細線は、第4図、第5図、第7
図及び第8図に示すように、いずれもその金属組
織として、一方向に均一に延びる微細な繊維状組
織を有する。しかし、低温変態生成相が針状と塊
状との混合であつて、低温変態生成相の分率が本
発明で規定する範囲内にあつても、線材の線径が
本発明にて規定する条件を満たさないときは、第
9図に示すように、その金属組織は不完全な繊維
組織であつて、強度も300Kgf/mm2を下回る。 鋼番号1に示す化学成分を有する線径0.8mmの
線材を900℃と800℃の温度で連続加熱、冷却処理
をして、フエライト相と体積分率28%の塊状マル
テンサイトの2相組織となし、この線材を加工歪
6.9にて伸線して得た線径25μmの極細線の金属組
織の3000倍の電子顕微鏡写真を第10図に示す。
また、比較のため、線径2.5mmである以外は、上
記と同じ線材を加工歪6.5にて伸線して、線径98μ
mの極細線を得た。この極細線の金属組織の3000
倍の走査型電子顕微鏡写真を第11図に示す。繊
維状組織が不完全であることが明らかである。 更に、比較のために、鋼番号5に示す化学成分
を有する線径2.5mmの線材を900℃と810℃の温度
にて連続加熱、焼入れして、フエライト相と、体
積分率53%の塊状マルテンサイト相の2相組織を
有する複合組織線材を得た。この線材は、伸線加
工によつて容易に破断した。その金属組織は、第
12図に示すように、繊維状組織の発達が極めて
低いことが明らかである。 次に、第3図に示すように、前記比較鋼線材
5Rは、280Kgf/mm2程度の強度にて伸線による強
度増加が飽和することが明らかである。比較鋼線
材5Rを加工歪5.2にて伸線して得た線径98μmの
極細線の金属組織も、繊維状組織の形成が不十分
であることが認められた。 次に、第4表鋼番号1〜9に示す化学組成を有
する線径0.9〜2.5mmの線材を熱処理してフエライ
ト相と低温変態生成相とからなる複合組織線材と
した後、これらを極細線に伸線加工した。これら
極細線の強度及び金属組織を第6表に示す。比較
のために、鉛パテンテイングと伸線を4回繰り返
して得た高炭素鋼ピアノ極細線の線径と強度とを
比較例10として併せて第6表に示す。 第6表に示す結果から明らかなように、本発明
の極細線は、300Kgf/mm2以上の強度を有し、
鋼番号2及び5の線材においては、マルテンサイ
ト相は、針状と塊状の混合であつた。 一方、比較例として、鋼番号5の化学成分を有
する線径1.5mmの線材を加熱温度を変えて熱処理
して、マルテンサイト分率が79%であつて、この
マルテンサイトが針状と塊状の混合物である線材
を得た。この線材を鋼番号5Rとする。 このようにして得られたそれぞれの線材を冷間
伸線して、得られた伸線の強度と金属組織を調べ
た。結果を第3図に示す。鋼番号1、2及び5の
線材は、加工歪5以上にて、300Kgf/mm2以上の
強度を有する極細線を与えることが理解される。 第4図に低温変態生成相が針状である鋼番号1
の線材を加工歪6.9にて伸線して得た線径48μmの
極細線の金属組織の3000倍の走査型電子顕微鏡写
真を示し、第5図に10000倍の電子顕微鏡写真を
示す。この組織において、白い部分はマルテンサ
イト粒子であり、黒い部分はフエライト粒子であ
る。フエライト相と低温変態生成相とを複合化
し、一方向に連続して伸びる微細な繊維状組織を
形成していることが明らかである。第6図は、超
高圧電子顕微鏡(3MV)透過写真を示し、強加
工によつて生じた超微細セルが5〜100Åである
ことが認められる。 同様に、第7図に低温変態生成相と針状と塊状
との混合である鋼番号5の線径1.5mmの線材を加
工歪6.9にて伸線して得た線径48μmの極細線の金
属組織の3000倍の電子顕微鏡写真を示し、第8図
に10000倍の電子顕微鏡写真を示す。また、比較
のために、低温変態生成相が針状と塊状との混合
である鋼番号5の線径5.5mmの線材を加工歪6.1に
て伸線して得た線径260μmの極細線の金属組織
の3000倍の電子顕微鏡写真を第9図に示す。 本発明による極細線は、第4図、第5図、第7
図及び第8図に示すように、いずれもその金属組
織として、一方向に均一に延びる微細な繊維状組
織を有する。しかし、低温変態生成相が針状と塊
状との混合であつて、低温変態生成相の分率が本
発明で規定する範囲内にあつても、線材の線径が
本発明にて規定する条件を満たさないときは、第
9図に示すように、その金属組織は不完全な繊維
組織であつて、強度も300Kgf/mm2を下回る。 鋼番号1に示す化学成分を有する線径0.8mmの
線材を900℃と800℃の温度で連続加熱、冷却処理
をして、フエライト相と体積分率28%の塊状マル
テンサイトの2相組織となし、この線材を加工歪
6.9にて伸線して得た線径25μmの極細線の金属組
織の3000倍の電子顕微鏡写真を第10図に示す。
また、比較のため、線径2.5mmである以外は、上
記と同じ線材を加工歪6.5にて伸線して、線径98μ
mの極細線を得た。この極細線の金属組織の3000
倍の走査型電子顕微鏡写真を第11図に示す。繊
維状組織が不完全であることが明らかである。 更に、比較のために、鋼番号5に示す化学成分
を有する線径2.5mmの線材を900℃と810℃の温度
にて連続加熱、焼入れして、フエライト相と、体
積分率53%の塊状マルテンサイト相の2相組織を
有する複合組織線材を得た。この線材は、伸線加
工によつて容易に破断した。その金属組織は、第
12図に示すように、繊維状組織の発達が極めて
低いことが明らかである。 次に、第3図に示すように、前記比較鋼線材
5Rは、280Kgf/mm2程度の強度にて伸線による強
度増加が飽和することが明らかである。比較鋼線
材5Rを加工歪5.2にて伸線して得た線径98μmの
極細線の金属組織も、繊維状組織の形成が不十分
であることが認められた。 次に、第4表鋼番号1〜9に示す化学組成を有
する線径0.9〜2.5mmの線材を熱処理してフエライ
ト相と低温変態生成相とからなる複合組織線材と
した後、これらを極細線に伸線加工した。これら
極細線の強度及び金属組織を第6表に示す。比較
のために、鉛パテンテイングと伸線を4回繰り返
して得た高炭素鋼ピアノ極細線の線径と強度とを
比較例10として併せて第6表に示す。 第6表に示す結果から明らかなように、本発明
の極細線は、300Kgf/mm2以上の強度を有し、
【表】
ピアノ線よりも格段に高強度である。更に、水
中紡糸法によつて製造されるアモルフアス線は、
最高強度が330〜370Kgf/mm2程度(線径30〜90μ
m)であることが知られているので、本発明によ
る極細線は、これよりも高い強度を有する。従
来、このような高強度極細線を伸線加工によつて
製造する方法は知られていない。 参考例 5 C 0.12%、 Si 0.8%、 Mn 1.12%、 S 0.002%、 N 0.003%、及び Al 0.003% なる化学成分を有し、全H量を0.1ppm以下とし
た線径2.5mmの線材A及びBを890℃に再加熱、焼
入れ、続いて、800℃に加熱、冷却して複合組織
化した。尚、この冷却においては、水溶性焼入れ
剤を用いて冷却速度を調整することによつて、金
属組織の低温変態生成相の分率を線材Aでは35
%、Bでは57%とし、その形態を極細線Aでは針
状、Bでは針状と塊状との混合とした。これら線
材を湿式連続伸線によつて線径130μmに伸線し、
それぞれ本発明によるばね用極細線A及びBを得
た。 別に、比較のために、上記化学成分を有する線
径2.5mmの線材C及びDを890℃で再加熱、焼入れ
することなしに、800℃で加熱、冷却し、いずれ
もフエライトと塊状の低温変態生成相とからなる
複合組織線材とし、低温変態生成相の分率を線材
Cでは29%、線材Dでは48%とした。これら線材
を上記と同様に湿式連続伸線によつて線径130μ
mに伸線し、それぞればね用比較例極細線C及び
Dを得た。 以上のようにして得たそれぞれの極細線につい
て、その引張強さ、疲労限界強度及び強度比を第
7表に示す。ここに、疲労限界強度は、ハンター
式疲労試験機を用いて、20℃の大気中における
107回の応力を疲労限界強度とし、更に、引張強
さとの比を強度比とした。 極細線A及びBは、本発明による微細な繊維状
組織を有し、高い強度と共に高い疲労限界強度を
有することが明らかである。このように、本発明
による極細線が高い疲労限界強度を有するのは、
極細線の引張強さが高くなることと共に、引張強
さに対する強度比が大きくなることによるもので
ある。他方、比較例極細線C及びDは、繊維状組
織が不完全であつて、強度及び疲労限界強度のい
ずれも低い。即ち、引張強さは、組織の平均的な
微細化等に依存するのに対して、疲労強度は、組
織の弱い部分から破壊する疲労破壊の特徴を反映
して、繊維状組織の不完全な部分の混在する比較
極細線では、疲労限界強度に対する強度比が低い
のである。 このように、本発明による極細線は、高強度で
あると共に、疲労特性ににすぐれるので、例え
ば、ばね用極細線として好適に用いることができ
る。 参考例 6 C 0.18%、 Si 0.9%、 Mn 1.5%、 S 0.002%、 N 0.002%、及び Al 0.003% なる化学成分を有する線径2.5mmの線材を900℃に
再加熱、焼入れし、続いて、800℃に加熱、調整
冷却して、金属組織の低温変態生成相の形態を針
状主体の組織とし、その分率が35%である複合組
織とした。この線材を湿式連続伸線によつて、線
径100μm、60μm、50μm及び25μmにそれぞれ伸
線し、極細線を得た。第13図に線径25μmの極
細線の金属組織の走査型電子顕微鏡写真を示す。 これら極細線は、いずれも上記伸線方向に延び
る均一微細な繊維組織を有し、その繊維間隔は
100〜200Å、また、強加工によつて生じた超微細
セルのサイズは30〜90Åであつた。 第8表にこれら線径25μm、50μm及び100μm
の極細線の特性を有し、併せて、これとの比較を
容易にするために、ピアノ線(C量0.8
中紡糸法によつて製造されるアモルフアス線は、
最高強度が330〜370Kgf/mm2程度(線径30〜90μ
m)であることが知られているので、本発明によ
る極細線は、これよりも高い強度を有する。従
来、このような高強度極細線を伸線加工によつて
製造する方法は知られていない。 参考例 5 C 0.12%、 Si 0.8%、 Mn 1.12%、 S 0.002%、 N 0.003%、及び Al 0.003% なる化学成分を有し、全H量を0.1ppm以下とし
た線径2.5mmの線材A及びBを890℃に再加熱、焼
入れ、続いて、800℃に加熱、冷却して複合組織
化した。尚、この冷却においては、水溶性焼入れ
剤を用いて冷却速度を調整することによつて、金
属組織の低温変態生成相の分率を線材Aでは35
%、Bでは57%とし、その形態を極細線Aでは針
状、Bでは針状と塊状との混合とした。これら線
材を湿式連続伸線によつて線径130μmに伸線し、
それぞれ本発明によるばね用極細線A及びBを得
た。 別に、比較のために、上記化学成分を有する線
径2.5mmの線材C及びDを890℃で再加熱、焼入れ
することなしに、800℃で加熱、冷却し、いずれ
もフエライトと塊状の低温変態生成相とからなる
複合組織線材とし、低温変態生成相の分率を線材
Cでは29%、線材Dでは48%とした。これら線材
を上記と同様に湿式連続伸線によつて線径130μ
mに伸線し、それぞればね用比較例極細線C及び
Dを得た。 以上のようにして得たそれぞれの極細線につい
て、その引張強さ、疲労限界強度及び強度比を第
7表に示す。ここに、疲労限界強度は、ハンター
式疲労試験機を用いて、20℃の大気中における
107回の応力を疲労限界強度とし、更に、引張強
さとの比を強度比とした。 極細線A及びBは、本発明による微細な繊維状
組織を有し、高い強度と共に高い疲労限界強度を
有することが明らかである。このように、本発明
による極細線が高い疲労限界強度を有するのは、
極細線の引張強さが高くなることと共に、引張強
さに対する強度比が大きくなることによるもので
ある。他方、比較例極細線C及びDは、繊維状組
織が不完全であつて、強度及び疲労限界強度のい
ずれも低い。即ち、引張強さは、組織の平均的な
微細化等に依存するのに対して、疲労強度は、組
織の弱い部分から破壊する疲労破壊の特徴を反映
して、繊維状組織の不完全な部分の混在する比較
極細線では、疲労限界強度に対する強度比が低い
のである。 このように、本発明による極細線は、高強度で
あると共に、疲労特性ににすぐれるので、例え
ば、ばね用極細線として好適に用いることができ
る。 参考例 6 C 0.18%、 Si 0.9%、 Mn 1.5%、 S 0.002%、 N 0.002%、及び Al 0.003% なる化学成分を有する線径2.5mmの線材を900℃に
再加熱、焼入れし、続いて、800℃に加熱、調整
冷却して、金属組織の低温変態生成相の形態を針
状主体の組織とし、その分率が35%である複合組
織とした。この線材を湿式連続伸線によつて、線
径100μm、60μm、50μm及び25μmにそれぞれ伸
線し、極細線を得た。第13図に線径25μmの極
細線の金属組織の走査型電子顕微鏡写真を示す。 これら極細線は、いずれも上記伸線方向に延び
る均一微細な繊維組織を有し、その繊維間隔は
100〜200Å、また、強加工によつて生じた超微細
セルのサイズは30〜90Åであつた。 第8表にこれら線径25μm、50μm及び100μm
の極細線の特性を有し、併せて、これとの比較を
容易にするために、ピアノ線(C量0.8
【表】
【表】
2%)、ステンレス線(SUS304)、アモルフアス
線(Fe−Si−B系)、タングステン線及びアラミ
ド繊維の特性を示す。これらの特性の比較から明
らかなように、本発明の方法による極細線は、極
めて高強度を有すると同時に、高靭性をも有す
る。 次に、第8表に示す線系50μmの極細線を室温
乃至450℃の種々の温度に大気中で30分間加熱し
た後、引張試験によつて強度を測定した。その結
果を第14図に示す。併せて、第5表に示す線径
100μmのピアノ線及び線径50μmのアモルフアス
線についての同様の熱処理後の強度を示す。本発
明による極細線は、400℃までの熱処理によつて、
強度低下が全く認められず、また、靭性も変化し
ない。 第15図には、第8表に示す線径100μmの極
細線のハンター式疲労試験によるσ−N曲線を示
すように、本発明による極細線は、疲労限界強度
(測定条件は、第7表と同じ。)の引張強度に対す
る比率(強度比)が0.38であつて、すぐれた疲労
強度を有することが示される。 第16図には、第8表に示す線径60μmの極細
線の引張強度の85%の応力を負荷したときの応力
リラクセーシヨン特性を示すように、応力ロスは
2%以下である。 このように、上記第15図及び第16図に示す
結果から、本発明の方法による極細線が静的及び
動的(繰り返し及び変動)応力負荷で高い信頼性
を有することが明らかである。 実施例 1 参考例5で得た線径2.5mmの線材Aを径0.4mmに
一次冷間伸線し、これに電気ニツケルメツキした
後、それぞれ径0.1mm及び0.05mmに二次冷間伸線
した。これを極細線2及び3とする。比較のため
に、上記径0.4mm伸線をメツキ処理せずして、
0.05mmに二次冷間伸線した。これを極細線1とす
る。 上記極細線1〜3について、ダイス寿命試験を
行なつた。結果を第9表に示す。ダイス寿命試験
は、ダイヤモンドダイスを用いて伸線し、ダイス
径が0.002mm径の摩耗を生じるまでの加工量によ
つて評価し、尚、潤滑材は、メツキ処理伸線につ
いては水性のものを、また、無メツキ処理伸線に
ついては油性のものを用いた。 第9表の結果から明らかなように、一次伸線に
メツキ処理をほどたすことによつて、ダイス寿命
が大幅に改善される。また、メツキ付着量を少な
くしたので、最終に得られる極細線の強度は極細
線3と1の間に大差がない。 実施例 2 第4表鋼番号5の化学成分に示す線径4.5mm線
材を900℃の温度にて連続加熱、焼入れし、次い
で、810℃にて連続加熱、冷却して、フエライト
相と、一部に残留オーステナイトを含む針状と塊
状の混合である複合組織線材を得た。マルテンサ
イトの分率は58%であつた。 この線材を径0.6mmに一次冷間伸線し、これに
1Kg当りについてニツケ付着量13gの割合にて電
気ニツケルメツキをした後、径0.3mmに二次冷間
伸線した。これを温度80℃、湿度80%の高温
線(Fe−Si−B系)、タングステン線及びアラミ
ド繊維の特性を示す。これらの特性の比較から明
らかなように、本発明の方法による極細線は、極
めて高強度を有すると同時に、高靭性をも有す
る。 次に、第8表に示す線系50μmの極細線を室温
乃至450℃の種々の温度に大気中で30分間加熱し
た後、引張試験によつて強度を測定した。その結
果を第14図に示す。併せて、第5表に示す線径
100μmのピアノ線及び線径50μmのアモルフアス
線についての同様の熱処理後の強度を示す。本発
明による極細線は、400℃までの熱処理によつて、
強度低下が全く認められず、また、靭性も変化し
ない。 第15図には、第8表に示す線径100μmの極
細線のハンター式疲労試験によるσ−N曲線を示
すように、本発明による極細線は、疲労限界強度
(測定条件は、第7表と同じ。)の引張強度に対す
る比率(強度比)が0.38であつて、すぐれた疲労
強度を有することが示される。 第16図には、第8表に示す線径60μmの極細
線の引張強度の85%の応力を負荷したときの応力
リラクセーシヨン特性を示すように、応力ロスは
2%以下である。 このように、上記第15図及び第16図に示す
結果から、本発明の方法による極細線が静的及び
動的(繰り返し及び変動)応力負荷で高い信頼性
を有することが明らかである。 実施例 1 参考例5で得た線径2.5mmの線材Aを径0.4mmに
一次冷間伸線し、これに電気ニツケルメツキした
後、それぞれ径0.1mm及び0.05mmに二次冷間伸線
した。これを極細線2及び3とする。比較のため
に、上記径0.4mm伸線をメツキ処理せずして、
0.05mmに二次冷間伸線した。これを極細線1とす
る。 上記極細線1〜3について、ダイス寿命試験を
行なつた。結果を第9表に示す。ダイス寿命試験
は、ダイヤモンドダイスを用いて伸線し、ダイス
径が0.002mm径の摩耗を生じるまでの加工量によ
つて評価し、尚、潤滑材は、メツキ処理伸線につ
いては水性のものを、また、無メツキ処理伸線に
ついては油性のものを用いた。 第9表の結果から明らかなように、一次伸線に
メツキ処理をほどたすことによつて、ダイス寿命
が大幅に改善される。また、メツキ付着量を少な
くしたので、最終に得られる極細線の強度は極細
線3と1の間に大差がない。 実施例 2 第4表鋼番号5の化学成分に示す線径4.5mm線
材を900℃の温度にて連続加熱、焼入れし、次い
で、810℃にて連続加熱、冷却して、フエライト
相と、一部に残留オーステナイトを含む針状と塊
状の混合である複合組織線材を得た。マルテンサ
イトの分率は58%であつた。 この線材を径0.6mmに一次冷間伸線し、これに
1Kg当りについてニツケ付着量13gの割合にて電
気ニツケルメツキをした後、径0.3mmに二次冷間
伸線した。これを温度80℃、湿度80%の高温
【表】
【表】
高湿の環境下に保持して、発錆状況を調べた。
比較のために、いずれも線径0.3mmであるピア
ノ線及びピアノ線にCu−Znメツキした線、及び
SUS304線についても、上記と同様の条件下にそ
の発錆状況を調べた。 結果を第17図に示すように、本発明によるニ
ツケルメツキ極細線は、SUS404線とほぼ同等の
防錆効果を有する。 実施例 3 実施例1と同じ線径2.5mmの線材Aをそれぞれ
径0.3mm及び0.4mmに一次冷間伸線し、これに第10
表に示す付着量にてそれぞれ電気ニツケルメツキ
を施した後、それぞれ伸線加工度を種々に変え
て、線径0.06〜0.30mmの二次冷間伸線を得、これ
らを塩水噴霧試験(JIS)に供した。また、比較
のために、線径0.1mmのSUS304及びSUS316線材
を同様に塩水噴霧試験(JIS)に供した。結果を
第10表に示すように、本発明によるニツケル被覆
極細線は、SUS304以上であり、SUS316とほぼ
同等の性能を有することが示される。 他方、ニツケルメツキしたままの極細線では、
ピンホール等の欠陥が存在し、これらより局部的
に腐食が生じることが認められる。これに対し
て、本発明によるニツケル被覆極細線は、メツキ
後の二次冷間伸線によつて、メツキ被覆が金属に
圧着される結果、欠陥のない金属被覆が形成され
る。 一般に、金属被膜は、二次冷間伸線において、
繰り返してダイス加工されるほど、その健全性か
高まり、例えば、耐食性も高まる。 第18図にメツキままでの塩水噴霧試験による
耐食性とメツキ付着量との関係を示す。耐食性を
得るに必要な最小のメツキ厚さが約8μmである
ことか示される。 一般に、金属被覆極細線において、その線径が
100μmよりも細い場合は、表面のメツキ層を8μ
mよりも厚くすることは、メツキ層の体積比率が
著しく高くなつて、極細線の強度を著しく低下さ
せる。本発明によれば、メツキ処理後に二次冷間
伸線することによつて、金属被膜の健全性を高め
ることができるので、付着量を大幅に少なくして
も、すぐれた耐食性を有する金属被覆極細線を得
ることができ、しかも、かかる極細線は、高強度
を保持している。 実施例 4 実施例1における第9表に記載した本発明極細
線1及び比較例極細線3を大気中、550℃に加熱
したときの表面酸化を目視にて観察した。 その結果、ニツケルメツキを施さなかつた極細
線1は、150℃の温度で表面酸化が始まり、また、
樹脂との接着性もよくなかつた。しかし、本発明
に従つてニツケルメツキを施した極細線3は、
550℃で表面酸化が始まり、また、樹脂との接着
性もすぐれるものであつた。このように、本発明
によるニツケルメツキは、表面酸化開始温度を高
温側へ移行させることができる。 従つて、例えば、本発明による極細線は、エポ
キシ樹脂に200℃にて埋込み成形したとき、樹脂
との接着性にすぐれるものであつた。
ノ線及びピアノ線にCu−Znメツキした線、及び
SUS304線についても、上記と同様の条件下にそ
の発錆状況を調べた。 結果を第17図に示すように、本発明によるニ
ツケルメツキ極細線は、SUS404線とほぼ同等の
防錆効果を有する。 実施例 3 実施例1と同じ線径2.5mmの線材Aをそれぞれ
径0.3mm及び0.4mmに一次冷間伸線し、これに第10
表に示す付着量にてそれぞれ電気ニツケルメツキ
を施した後、それぞれ伸線加工度を種々に変え
て、線径0.06〜0.30mmの二次冷間伸線を得、これ
らを塩水噴霧試験(JIS)に供した。また、比較
のために、線径0.1mmのSUS304及びSUS316線材
を同様に塩水噴霧試験(JIS)に供した。結果を
第10表に示すように、本発明によるニツケル被覆
極細線は、SUS304以上であり、SUS316とほぼ
同等の性能を有することが示される。 他方、ニツケルメツキしたままの極細線では、
ピンホール等の欠陥が存在し、これらより局部的
に腐食が生じることが認められる。これに対し
て、本発明によるニツケル被覆極細線は、メツキ
後の二次冷間伸線によつて、メツキ被覆が金属に
圧着される結果、欠陥のない金属被覆が形成され
る。 一般に、金属被膜は、二次冷間伸線において、
繰り返してダイス加工されるほど、その健全性か
高まり、例えば、耐食性も高まる。 第18図にメツキままでの塩水噴霧試験による
耐食性とメツキ付着量との関係を示す。耐食性を
得るに必要な最小のメツキ厚さが約8μmである
ことか示される。 一般に、金属被覆極細線において、その線径が
100μmよりも細い場合は、表面のメツキ層を8μ
mよりも厚くすることは、メツキ層の体積比率が
著しく高くなつて、極細線の強度を著しく低下さ
せる。本発明によれば、メツキ処理後に二次冷間
伸線することによつて、金属被膜の健全性を高め
ることができるので、付着量を大幅に少なくして
も、すぐれた耐食性を有する金属被覆極細線を得
ることができ、しかも、かかる極細線は、高強度
を保持している。 実施例 4 実施例1における第9表に記載した本発明極細
線1及び比較例極細線3を大気中、550℃に加熱
したときの表面酸化を目視にて観察した。 その結果、ニツケルメツキを施さなかつた極細
線1は、150℃の温度で表面酸化が始まり、また、
樹脂との接着性もよくなかつた。しかし、本発明
に従つてニツケルメツキを施した極細線3は、
550℃で表面酸化が始まり、また、樹脂との接着
性もすぐれるものであつた。このように、本発明
によるニツケルメツキは、表面酸化開始温度を高
温側へ移行させることができる。 従つて、例えば、本発明による極細線は、エポ
キシ樹脂に200℃にて埋込み成形したとき、樹脂
との接着性にすぐれるものであつた。
第1図は、線材の線径、その複合組織における
低温変態生成相の形態及び冷間伸線性の関係を示
すグラフ、第2図は、伸線した鋼線における加工
歪(線径)と強度との関係を示すグラフである。
第3図は、種々の組織を有する線材を伸線加工し
たときの加工歪と得られる伸線の強度との関係を
示すグラフ、第4図は、針状の低温変態生成相を
有する複合組織線材から得られた本発明による極
細線の金属組織を示す3000倍の走査型電子顕微鏡
写真、第5図は、同じく10000倍の電子顕微鏡写
真である。第6図は、本発明による極細線の金属
組織を示す超高圧電子顕微鏡(3MV)透過写真
を示す。第7図は、針状と塊状の低温変態生成相
を有する複合組織線材から得られた本発明による
極細線の金属組織を示す3000倍の走査型電子顕微
鏡写真、第8図は、同じく10000倍の電子顕微鏡
写真、第9図は、針状と塊状の低温変態生成相を
有する複合組織線材から得られた比較例としての
極細線の金属組織を示す3000倍の走査型電子顕微
鏡写真、第10図は、塊状の低温変態生成相を有
する複合組織線材から得られた本発明による極細
線の金属組織を示す3000倍の走査型電子顕微鏡写
真、第11図は、塊状の低温変態生成相を有する
複合組織線材から得られた比較例としての極細線
の金属組織を示す3000倍の走査型電子顕微鏡写
真、第12図は、塊状組織を有する比較例として
の線材の金属組織を示す3000倍の走査型電子顕微
鏡写真である。第13図は、本発明による更に別
の極細線の金属組織を示す走査型電子顕微鏡写真
である。第14図は、本発明による極細線の高温
環境保持下での強度変化を示すグラフ、第15図
は、本発明による極細線のσ−N曲線、第16図
は、本発明による極細線の応力リラクセーシヨン
特性を示すグラフである。第17図は、本発明に
よるニツケルメツキ極細線と比較例としての極細
線のそれぞれの高温高湿下での発錆性を示すグラ
フ、第18図は、極細線のメツキ付着量と塩水噴
霧試験による耐食性との関係を示すグラフであ
る。
低温変態生成相の形態及び冷間伸線性の関係を示
すグラフ、第2図は、伸線した鋼線における加工
歪(線径)と強度との関係を示すグラフである。
第3図は、種々の組織を有する線材を伸線加工し
たときの加工歪と得られる伸線の強度との関係を
示すグラフ、第4図は、針状の低温変態生成相を
有する複合組織線材から得られた本発明による極
細線の金属組織を示す3000倍の走査型電子顕微鏡
写真、第5図は、同じく10000倍の電子顕微鏡写
真である。第6図は、本発明による極細線の金属
組織を示す超高圧電子顕微鏡(3MV)透過写真
を示す。第7図は、針状と塊状の低温変態生成相
を有する複合組織線材から得られた本発明による
極細線の金属組織を示す3000倍の走査型電子顕微
鏡写真、第8図は、同じく10000倍の電子顕微鏡
写真、第9図は、針状と塊状の低温変態生成相を
有する複合組織線材から得られた比較例としての
極細線の金属組織を示す3000倍の走査型電子顕微
鏡写真、第10図は、塊状の低温変態生成相を有
する複合組織線材から得られた本発明による極細
線の金属組織を示す3000倍の走査型電子顕微鏡写
真、第11図は、塊状の低温変態生成相を有する
複合組織線材から得られた比較例としての極細線
の金属組織を示す3000倍の走査型電子顕微鏡写
真、第12図は、塊状組織を有する比較例として
の線材の金属組織を示す3000倍の走査型電子顕微
鏡写真である。第13図は、本発明による更に別
の極細線の金属組織を示す走査型電子顕微鏡写真
である。第14図は、本発明による極細線の高温
環境保持下での強度変化を示すグラフ、第15図
は、本発明による極細線のσ−N曲線、第16図
は、本発明による極細線の応力リラクセーシヨン
特性を示すグラフである。第17図は、本発明に
よるニツケルメツキ極細線と比較例としての極細
線のそれぞれの高温高湿下での発錆性を示すグラ
フ、第18図は、極細線のメツキ付着量と塩水噴
霧試験による耐食性との関係を示すグラフであ
る。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 重量%で C 0.01〜0.50%、 Si 3.0%以下、及び Mn 5.0%以下、 を含み、フエライト相と、マルテンサイト、ベイ
ナイト又はこれらの混合組織からなる低温変態生
成相とが複合し、強加工により生じた5〜100Å
の超微細セルが一方向に繊維状に配列し、且つ、
繊維間隔が50〜1000Åである繊維状微細金属組織
を有する線径0.5mm以下の極細線の表面に、極細
線1Kg当りについて1〜100gの割合にて金属が
被覆されていることを特徴とする強度200Kgf/
mm2以上の金属被覆極細線。 2 金属がニツケルであることを特徴とする請求
項第1項記載の金属被覆極細線。 3 重量%で C 0.01〜0.50%、 Si 3.0%以下、及び Mn 5.0%以下、 を含み、一部、残留オーステナイトを含有してい
てもよいマルテンサイト、ベイナイト又はこれら
の混合組織であつて、低温変態生成相がフエライ
ト相中に体積分率10〜75%の範囲にて分散されて
いる複合組織を有する線材を線径0.3〜1.0mmに一
次冷間伸線した後、この伸線1Kg当りについて1
〜100gの割合にて金属を被覆し、次いで、線径
0.5mm以下に二次冷間伸線することを特徴とする
強度200Kgf/mm2以上の金属被覆極細線の製造方
法。 4 金属がニツケルであることを特徴とする請求
項第3項記載の金属被覆極細線の製造方法。
Priority Applications (5)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4839888A JPH01222069A (ja) | 1988-02-29 | 1988-02-29 | 金属被覆極細線及びその製造方法 |
| EP88121043A EP0330752B1 (en) | 1988-02-29 | 1988-12-15 | Superhigh-strength superfine wire, and reinforcing materials and composite materials incorporating the same |
| DE3888162T DE3888162T2 (de) | 1988-02-29 | 1988-12-15 | Sehr dünner und hochfester Draht und Verstärkungsmaterial und Verbundmaterial enthaltend diesen Draht. |
| CA000586169A CA1334923C (en) | 1988-02-29 | 1988-12-16 | Superhigh-strength superfine wire, and reinforcing materials and composite materials incorporating the same |
| KR1019880016969A KR930005075B1 (ko) | 1988-02-29 | 1988-12-19 | 초고강도 극세선 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4839888A JPH01222069A (ja) | 1988-02-29 | 1988-02-29 | 金属被覆極細線及びその製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH01222069A JPH01222069A (ja) | 1989-09-05 |
| JPH0558054B2 true JPH0558054B2 (ja) | 1993-08-25 |
Family
ID=12802196
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP4839888A Granted JPH01222069A (ja) | 1988-02-29 | 1988-02-29 | 金属被覆極細線及びその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH01222069A (ja) |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP5296955B2 (ja) * | 2001-02-14 | 2013-09-25 | 日本精線株式会社 | ばね用ステンレス鋼細線 |
| JP4393467B2 (ja) * | 2006-02-28 | 2010-01-06 | 株式会社神戸製鋼所 | 強伸線加工用の熱間圧延線材およびその製造方法 |
Family Cites Families (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS52108338A (en) * | 1976-03-09 | 1977-09-10 | Sumitomo Electric Industries | Method of treating nickel plated surface of molybdenum |
| JPS5686624A (en) * | 1979-12-15 | 1981-07-14 | Sumitomo Electric Ind Ltd | Wire drawing method of alloy wire |
| JPS5890316A (ja) * | 1981-11-25 | 1983-05-30 | Suzuki Kinzoku Kogyo Kk | 銅・ニツケル合金メツキ皮膜を潤滑剤とする鋼線の伸線、圧延方法 |
| JPS60257917A (ja) * | 1984-06-04 | 1985-12-19 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 鋼線の製造方法 |
| JPS6216278A (ja) * | 1985-07-15 | 1987-01-24 | Csk Corp | 記録媒体へのデ−タ書込方法 |
-
1988
- 1988-02-29 JP JP4839888A patent/JPH01222069A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH01222069A (ja) | 1989-09-05 |
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