JPH06285086A - 歯列矯正用ブラケット及びその作製方法 - Google Patents

歯列矯正用ブラケット及びその作製方法

Info

Publication number
JPH06285086A
JPH06285086A JP10043993A JP10043993A JPH06285086A JP H06285086 A JPH06285086 A JP H06285086A JP 10043993 A JP10043993 A JP 10043993A JP 10043993 A JP10043993 A JP 10043993A JP H06285086 A JPH06285086 A JP H06285086A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
adhesive
bracket
ceramic
porous layer
adhesive surface
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10043993A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiro Yoshida
昌弘 吉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hoya Corp
Original Assignee
Hoya Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hoya Corp filed Critical Hoya Corp
Priority to JP10043993A priority Critical patent/JPH06285086A/ja
Publication of JPH06285086A publication Critical patent/JPH06285086A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Dental Tools And Instruments Or Auxiliary Dental Instruments (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 多官能モノマー系接着剤であっても、強固に
接着することが可能な接着面を有するセラミックス製の
歯列矯正用ブラケット及びその作製方法の提供。 【構成】 セラミックス製ブラケットであって、該ブラ
ケットの接着面の表面が凹凸を有し、該凹凸の凹状部の
平面形状が、例えば長径約1〜100μmの略円形、略
楕円形及び/又は略長円形であり、かつ前記凹凸状の表
面は多孔質層で覆われていることを特徴とするセラミッ
クス製ブラケット。セラミックス製ブラケットの接着面
をサンドブラスト処理して前記接着面に凹凸を形成し、
次いでサンドブラスト処理した接着面を腐食性物質で処
理して凹凸状の表面に多孔質層を形成することを特徴と
するセラミックス製ブラケットの作製方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、矯正歯科で用いられる
歯列矯正に用いられるセラミックス製ブラケットであっ
て、特に接着性の改善されたブラケットに関する。さら
に本発明は、接着性の改善されたブラケットの作製方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】歯列矯正用ブラケットとしては、ステン
レス等の金属製のものが広く使われている。しかし装着
時の審美性が悪いため、成人の矯正治療には審美性の良
いセラミックス等を素材としたブラケットが使われるよ
うになってきた。図1はセラミックス等を素材とした歯
列矯正用ブラケット1の一般的な形状を示すもので、平
板状に形成されたブラケット本体5と、ブラケット本体
5の上面両端部にそれぞれ背中合わせに対設されたL字
形を呈する4つの結紮線係止用羽(ウイング)6〜9と
を一体に有し、背中合わせに対向する結紮線係止用羽6
と7、8と9間に設けられた細いU字状の溝(スロッ
ト)2から構成されている。
【0003】このような構成からなる歯列矯正用ブラケ
ット1の使用に際しては、図2に示すように、ブラケッ
ト本体5の底面12を歯の表面に接着剤で固定し、スロ
ット部2に、断面形状が長方形又は円形のアーチワイヤ
10を通し、結紮線11でアーチワイヤ10をブラケッ
ト本体5に固定する。この状態でアーチワイヤ10に捻
りや曲げ、引っ張り等の荷重を加えると歯に荷重が伝達
され、歯の移動が起こる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】歯列矯正用ブラケット
では、ブラケット本体の底面(接着面)と歯面との接着
性がよく問題になる。接着が不良の場合には、ブラケッ
トが歯面から脱離してしまい、歯列の矯正はできなくな
る。そこで、金属製ブラケットの場合、図3(28倍)
に示すような接着面に網を溶接したものが一般的であ
る。この場合、網の隙間に接着剤が侵入して固化すると
接着力を生じる。この接着力は網のアンダーカットによ
るもので、網表面と接着しにくい接着剤を用いた場合で
あっても、強い接着力が得られる利点がある。そのた
め、治療者が特定の、特に強い接着力を有する接着剤を
選んで使用する必要が無い。金属製ブラケット接着面に
アンダーカット構造を設けたその他の例は、例えば特開
昭57−119740号、特開昭61−137551
号、及び特開昭62−129050号に開示されてい
る。
【0005】一方、セラミックス製ブラケットについて
は、金属製ブラケットの場合に比べて、歯面への接着性
が特に問題となっている。これは、一般に矯正用として
用いられている接着剤とセラミックスとの接着力が弱い
ためである。特に、緻密な研磨面を有するセラミックス
製ブラケットの場合には、この傾向は顕著であり、歯面
への接着力は更に低下する。
【0006】セラミックス製ブラケットの接着性を改善
する方法として、特開昭64−22250号に記載のシ
ランカップリング剤による表面処理方法が知られてい
る。しかし、セラミックスや接着剤の種類によっては効
果が無い場合もあり、逆に接着力が強すぎて取り外し時
に歯のエナメル質を傷めてしまう場合もある。
【0007】それに対して、セラミックス製ブラケット
の場合にも、前述の金属製ブラケットの場合のように、
網のようなアンダーカット構造を有するものが知られて
いる。その一例として、アンダーカットのある小さな凹
みを接着面に数多く形成することにより、接着性が改善
することが実開昭63−26313号に開示されてい
る。しかし、開示されている凹みは特殊な構造を有する
ため、セラミックスの接着面の表面に大量かつ安価に形
成するのは技術的に極めて困難である。また本質的にセ
ラミックスと接着剤の結合力が弱いため、開示されてい
るアダーカットのある凹みのみでは、依然として、充分
な接着力が得られていない。
【0008】ところで、歯科ではブラケットを接着する
際、天然歯のエナメル質表面を燐酸で処理する方法が用
いられる。この燐酸処理によりエナメル質表面に微細な
孔が多数形成され、天然歯と接着剤の結合力が著しく増
大する。同様に結晶化ガラスを素材とした人工歯冠で
も、接着面の酸処理が検討されている。結晶化ガラス表
面を酸処理すると、素材のガラスマトリックス中に含ま
れる微結晶が溶出して微細な凸凹に変わり、接着力が増
大する。
【0009】同様に、セラミックスは小さな結晶粒子の
集合体であり、結晶粒子と粒子界面では僅かに組成が違
うことが多い。よって腐食性液体等に対する粒子と粒子
界面の溶解度差を利用すれば、どちらかを選択的に溶解
除去することができる。例えばジルコニアセラミックス
では、微細構造観察のために粒子界面をふっ酸で溶解す
る方法が知られている。また、1988年発行の日本矯
正歯科学会雑誌第47巻の549〜559頁には、ジル
コニア製ブラケットの表面をふっ酸処理した例が記載さ
れている。この論文には、ふっ酸処理によりブラケット
表面に微細な凸凹が無数に形成され、4META系接着
剤との接着力が増大することが開示されている。
【0010】ここで、4META系接着剤とは、主成分
はメチルメタクリレート(MMA)に3〜5%の4−メ
タクリロキシエチルトリメット酸無水物(4−MET
A)を加えたものであり、硬化剤にはトリ−n−ブチル
ボラン酸化物(TTB−O)を使用する〔PMMA/4
−META/TTB−O系接着剤〕。4META系接着
剤は、金属、樹脂、セラミックスとの接着強度が高いと
いう特徴を有する。しかし、使用操作方法が煩雑である
という欠点もある。即ち、予めモノマーと硬化剤の液体
を混合しておき、これにポリマー粉末を加えて素早く混
合して得られたペースト状の混合物をブラケット接着面
に塗り、歯面に圧迫固定する。但し、ペースト状の混合
物は短時間で硬化してしまうので、接着の度にポリマー
の混合を行う必要がある。
【0011】歯科用の接着剤、所謂接着性レジンには、
上記メチルメタクリレート系の4META系接着剤以外
に多官能モノマー系(Bis−GMA系)接着剤があ
る。多官能モノマー系接着剤は、主成分が2,2−ビス
〔4−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキ
シ)−フェニル〕プロパン(Bis−GMA)であり、
硬化剤には過酸化ベンゾイル等を使用するものである。
使用操作方法は、ブラケットの接着面と歯面に薄くプラ
イマー液を塗り、次いで接着ペーストをブラケットの接
着面に塗り、歯面にブラケットを圧迫して固定するもの
である。多官能モノマー系接着剤の特徴は、上記4ME
TA系接着剤に比べて使用操作方法は簡単であるが、セ
ラミックスに対する接着強度が極めて低いことである。
【0012】4META系接着剤は、上記のように接着
操作がかなり煩雑であるため、接着性に問題のあるブラ
ッケトについてのみ使われている。また、4META系
接着剤は、セラミックスと結合して実用的な接着強度を
与え得る唯一の矯正用接着剤でもある。但し、前記のふ
っ酸処理したジルコニア製ブラケットでは、一般に使用
されている矯正用接着剤である多官能モノマー系接着剤
でもある程度の接着性の改善はみられる。しかし、未だ
十分な接着が得られている訳ではなく、相変わらず多官
能モノマー系接着剤を用いた場合には外れやすいのが現
状である。よって多官能モノマー系接着剤でも十分な接
着強度の得られる接着性を有するセラミックス製ブラケ
ットが待ち望まれている。
【0013】そこで本発明の目的は、一般の矯正用接着
剤である多官能モノマー系接着剤であっても、強固に接
着することが可能である接着面を有するセラミックス製
ブラケット及びその作製方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、セラミックス
製ブラケットであって、該ブラケットの接着面の表面が
凹凸を有し、かつ該凹凸状の表面は多孔質層で覆われて
いることを特徴とするセラミックス製ブラケットに関す
る。
【0015】さらに本発明は、セラミックス製ブラケッ
トの接着面をサンドブラスト処理して前記接着面の表面
に凹凸を形成し、次いでサンドブラスト処理した接着面
を腐食性物質で処理して凹凸状の表面に多孔質層を形成
することを特徴とするセラミックス製ブラケットの作製
方法に関する。
【0016】以下本発明について説明する。本発明のブ
ラケットの接着面は、その表面が凹凸を有し、かつ該凹
凸状の表面は多孔質層で覆われていることが特徴であ
る。凹凸とその表面上の多孔質層の相乗効果により、優
れた接着性を与えることができる。
【0017】上記凹凸は、例えば、本発明のブラケット
の接着面の1例の表面の電子顕微鏡写真である図7(3
70倍)及び図8(1150倍)に示すように、凹状部
の平面形状が略円形乃至略楕円形乃至略長円形であり、
これら略円形乃至略楕円形乃至略長円形の長径(最も長
い径)が約1〜100μm、好ましくは約3〜40μm
の範囲である。また、上記凹凸の凹状部の深さは約0.
5〜15μmの範囲である。これら凹凸の凹状部の平面
形状及び深さは、後に説明する、サンドブラスト処理の
条件により適宜制御可能であり、得られるブラケットが
最適の接着性を得られるように選択される。また、凹凸
における凹状部の出現頻度(単位面積当たりの凹状部の
数)は、得られるブラケットが最適の接着性を得られる
ように選択される。
【0018】一方、多孔質層は、ブラケットを構成する
セラミックスの粒子界面の一部が溶出することにより形
成されたものである。多孔質層は、接着表面に約0.5
μm以上の厚さで形成することが、有効な接着性を得る
という観点から適当である。但し、一定以上の厚さにな
ると、接着性向上の効果は頭打ちになり、かつ多孔質層
が厚くなり過ぎると、接着面の強度が低下することもあ
るので、約20μm以下とすることが適当である。尚、
多孔質層の厚さは、接着面を電子顕微鏡観察することに
より、測定することができる。
【0019】本発明において、ブラケットの素材である
セラミックスには、特に制限はない。例えば、市販され
ているジルコニア系セラミックス及びアルミナ系セラミ
ックスを挙げることができる。さらに、例えば、特開平
1−113038号に開示されているような、ZrO2-Y2O
3(2〜15モル%)-TiO2(5〜20モル%) セラミック
スや特開昭64−52448号に開示されているよう
な、MgO-Al2O3 スピネル(結晶粒子径2μm)等もブラ
ケットの素材として利用できる。
【0020】以下、本発明のセラミックス製ブラケット
の接着性の改善方法について説明する。
【0021】まず、セラミックス製ブラケットの接着面
をサンドブラスト処理する。サンドブラスト処理の条件
は、使用するブラケットの材質、及びサンドブラスト処
理により形成される凹凸の状態を考慮して適宜決定され
る。まず、研磨材は、ブラケットの材質と同等又はそれ
以上の硬度を有する材料から選択する。例えば、ブラケ
ットの材質がアルミナの場合、研磨材は、例えばアルミ
ナ、炭化珪素、窒化珪素、ダイヤモンド等から選ぶこと
ができる。また、ブラケットの材質がジルコニアの場
合、研磨材は、例えばジルコニア、アルミナ、炭化珪
素、窒化珪素、ダイヤモンド等から選ぶことができる。
また、ジルコニア及びアルミナより軟らかい材質のブラ
ケットの場合、上記研磨材以外に合成石英も使用するこ
とができる。
【0022】研磨材は、平均粒子径が、例えば10〜4
00μm、好ましくは25〜200μmであることが、
適当な大きさの凹凸を接着面に形成できという観点から
適当である。また、サンドブラストの圧力は、例えば2
〜10kgf/cm2 、好ましくは4〜8kgf/cm2 であること
が、適当な大きさの凹凸を接着面に形成できるという観
点から適当である。サンドブラストの処理時間は、10
〜300秒であることが、適当な数の凹凸を接着面に形
成できという観点から適当である。
【0023】セラミックス製ブラケットの接着面をサン
ドブラスト処理すると、表面にくさび状の断面を持つ傷
がランダムに形成される。この傷の周囲は、ふっ酸等の
腐食性物質に溶出しやすくなっている。その結果、サン
ドブラスト処理した接着面を腐食性物質に浸漬すると、
傷を中心に平面形状が略円形乃至略楕円形乃至略長円形
であり、かつ長径が約1〜100μmの凹みが多数形成
される。尚、腐食性物質処理のみを行った表面には、こ
のような1μm以上の大きさの平面形状を有する凹みは
できない。
【0024】本発明では、上記サンドブラスト処理に次
いで、サンドブラスト処理により凹凸になった接着面を
腐食性物質で処理して、多孔質層を形成する。使用する
腐食性物質の種類及び条件は、ブラケットの材質により
適宜決定することができる。腐食性物質としては、例え
ば、ふっ酸、燐酸、硫酸、またはこれらの混合物を挙げ
ることができる。腐食性物質としてふっ酸を用いた場合
には、アルミナ、ジルコニア、ZrO2-Y2O3-TiO2セラミッ
クスを常温で処理することができる。また、腐食性物質
として燐酸を用いた場合には、温度を80〜90℃とす
ることで、アルミナを処理することができる。腐食性物
質として硫酸を用いた場合には、温度を80〜90℃と
することで、ジルコニアを処理することができる。
【0025】形成される多孔質層の厚さは、腐食性物質
の濃度や処理時間を変えることにより調節することがで
きる。例えば、ジルコニアを常温で46%のふっ酸処理
をする場合、ジルコニアの研磨面を15分程度ふっ酸に
浸漬すると、0.1μm程度の微細な凸凹が表面に形成
される。この凸凹は結晶粒子の界面がふっ酸に溶出して
できたものである。さらに浸漬を続けると粒子界面の溶
出が更に進み、約60分以上経過すると、内部に向かっ
て気孔が連結して表層部が多孔質化する。約60分ふっ
酸に浸漬することにより、表面から約0.5μmの厚さ
の多孔質層が形成される。
【0026】ふっ酸への浸漬と多孔質層の厚みと接着強
度との関係を表1に示す。尚、この場合、接着面は、サ
ンドブラスト処理されていない。また、接着剤として多
官能モノマー系接着剤であるユナイテ(商品名、ユニテ
ック社製)、システム1プラス(商品名、オームコ社
製)及びリライヤボンド((商品名、リライヤス オー
ソドンティク プロダクツ社製)を用いた。
【0027】
【表1】
【0028】ふっ酸浸漬前は緻密な研磨面であり、矯正
用接着剤との接着力は非常に低い。これをふっ酸で処理
すると、処理時間とともに接着力が増大する。特に60
分以上浸漬したジルコニア表面は、表面から0.5μm
程度が多孔質化しており、接着力が急に増大する。つま
り一般的な矯正用接着剤で接着可能とするには、表面か
ら少なくとも0.5μm以上を多孔質化することが適当
であることがわかる。多孔質層には接着剤がしみ込みや
すく、接着剤が固化すると微細なアンダーカットにより
接着する。しかしこのような多孔質層による微細なアン
ダーカットだけでは、剪断応力がかかると接着が外れや
すい。そこで、本発明では、よりサイズの大きいアンダ
ーカットとして、表面に凹凸を形成している。
【0029】腐食性物質による処理の後、ブラケットを
洗浄して、形成された多孔質層中に堆積している堆積物
を除去する。洗浄剤としては、例えば水又はエタノール
等の有機溶媒を用いることができ、洗浄時間は例えば3
〜30分間とすることができる。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、一般の矯正用接着剤で
ある多官能モノマー系接着剤であっても、強固に接着す
ることが可能である接着面を有するセラミックス製ブラ
ケット及びその作製方法を提供することができる。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明についてさらに説
明する。 実施例1 ジルコニアセラミックス製ブラケットの接着面を、平均
粒子径が50μmのアルミナを用い、ブラスト圧5気圧
でサンドブラスト処理した。溶媒としてエタノールを用
いて超音波洗浄した。このときの接着面の電子顕微鏡写
真を図5(370倍)及び図6(1150倍)に示す。
次いで、ブラケットを46%ふっ酸に15〜120分浸
漬した。浸漬後、溶媒としてエタノールを用いて超音波
洗浄し、乾燥して、接着面が凹凸状であり、多孔質層を
有するブラケットを得た。ふっ酸に60分浸漬して得ら
れた接着面の電子顕微鏡写真を図7(370倍)及び図
8(1150倍)に示す。
【0032】得られたブラケットを、3種類の矯正用接
着剤〔多官能モノマー系接着剤であるユナイテ(商品
名、ユニテック社製)、システム1プラス(商品名、オ
ームコ社製)及びリライヤボンド((商品名、リライヤ
ス オーソドンティク プロダクツ社製)〕を用いてア
クリル台に接着した。36℃で15時間放置後、図4の
ように接着面に剪断力を加え、接着強度を求めた。即
ち、アクリル台30に接着剤40で接着したブラケット
20をピアノ線50で矢印の方向に引っ張って接着強度
を求めた。結果を表2に示す。
【0033】比較例1 サンドブラスト処理しなかった以外は実施例1と同様に
して、接着面が平滑であり、かつ多孔質層を有するブラ
ケットを得た。ふっ酸に15分浸漬して得られた接着面
の電子顕微鏡写真を図9(5600倍)に示す。また、
60分浸漬して得られた接着面の電子顕微鏡写真を図1
0(370倍)及び図11(1150倍)に示す。ふっ
酸浸漬15分程度では表面に0.1μm程度の微細な凹
凸が形成されるだけである。それが、浸漬60分になる
と、粒子界面の溶出が進み、多孔質層が形成される。得
られたブラケットを、実施例1と同様にして、3種類の
矯正用接着剤を用いた場合の接着強度を求めた。結果を
表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】表2から明らかなように、サンドブラスト
処理した後に、ふっ酸処理して接着面が凹凸状であり、
多孔質層を有する本発明のブラケット(実施例)では、
サンドブラスト処理せずにふっ酸処理して得た比較例の
ブラケットに比べて、接着強度が増大していることが分
かる。さらに、本発明のブラケットでは、ふっ酸処理時
間が60分以上となり、多孔質層の厚みが0.5μm以
上になると、特に高い接着強度が得られることが分か
る。即ち、本発明のブラケットでは、接着面の表面の微
細な多孔質層と1μm以上の大きさの凹みの2つのアン
ダーカットにより、臨床上充分な接着力が得られる。
【0036】実施例2 アルミナセラミックス製ブラケットの接着面を、平均粒
子径が25μmの炭化珪素を用い、ブラスト圧5気圧で
サンドブラスト処理した。溶媒としてアセトンを用いて
超音波洗浄後、得られたブラケットを80℃で89%燐
酸に120分浸漬した。浸漬後、溶媒としてエタノール
を用いて超音波洗浄し、乾燥して接着面が凹凸状であ
り、多孔質層を有するブラケットを得た。得られたブラ
ケットについて実施例1と同様に3種類の矯正用接着剤
を用いた場合の接着強度を測定した。結果を表3に示
す。
【0037】比較例2 サンドブラスト処理しなかった以外は実施例2と同様に
して、接着面が平滑であり、かつ多孔質層を有するブラ
ケットを得た。得られたブラケットを、実施例1と同様
にして、3種類の矯正用接着剤を用いた場合の接着強度
を求めた。結果を表3に示す。
【0038】
【表3】
【0039】表3から明らかなように、サンドブラスト
処理した後に、燐酸処理して接着面が凹凸状であり、多
孔質層を有する本発明のブラケット(実施例)では、サ
ンドブラスト処理せずに燐酸処理して得た比較例のブラ
ケットに比べて、接着強度が増大していることが分か
る。
【0040】実施例3 ポリプロピレン製容器内でエレクトロンワックス(日化
精工製、融点80℃)を溶融固化し、厚み2mmの層を
形成した。この層の上に研磨した高さ2.2mmのジル
コニアセラミックス製ブラケットを接着面を上にして置
き、ワックスの融点である80℃まで加熱してブラケッ
トを層内に沈下させた。層を冷却固化後、ワックスから
出ている接着面を実施例1と同様の条件でサンドブラス
ト処理した。溶媒としてエタノールを用いて超音波洗浄
した。次いで、容器に46%ふっ酸を注入して60分間
処理した。処理後、ふっ酸を別の容器に移し、容器内を
水洗した。次に溶媒としてn−ヘプタンを容器内に注
ぎ、超音波洗浄してブラケットからエレクトロンワック
スを溶解除去した。次いで乾燥して、接着面が凹凸状で
あり、多孔質層を有するブラケットを得た。得られたブ
ラケットを、矯正用接着剤〔多官能モノマー系接着剤で
あるユナイテ(商品名、ユニテック社製)〕を用いて、
実施例1と同様に接着強度を求めた結果、282kg/cm2
であった。
【0041】実施例4 ジルコニアセラミックス製ブラケットの接着面を、表4
に示す研磨材を用い、表4に示す条件でサンドブラスト
処理した。溶媒としてエタノールを用いて超音波洗浄し
た。次いで、得られたブラケットを46%ふっ酸に表4
に示す時間浸漬した。浸漬後、溶媒としてエタノールを
用いて超音波洗浄し、乾燥して、接着面が凹凸状であ
り、多孔質層を有するブラケットを得た。得られたブラ
ケットを、矯正用接着剤〔多官能モノマー系接着剤であ
るユナイテ(商品名、ユニテック社製)〕を用いて、実
施例1と同様に接着強度を求めた。結果を表4に示す。
【0042】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】セラミックス製ブラケットの例を示す斜視図で
ある。
【図2】セラミックス製ブラケットの使用状態を示す斜
視図である。
【図3】接着面に網を有する金属製ブラケットの接着面
の電子顕微鏡写真(28倍)である。
【図4】ブラケットの接着性強度の測定方法の説明図で
ある。
【図5】サンドブラスト処理したセラミックス製ブラケ
ットの接着面の電子顕微鏡写真(370倍)である。
【図6】サンドブラスト処理したセラミックス製ブラケ
ットの接着面の電子顕微鏡写真(1150倍)である。
【図7】サンドブラスト処理し、ふっ酸処理したセラミ
ックス製ブラケットの接着面の電子顕微鏡写真(370
倍)である。
【図8】サンドブラスト処理し、ふっ酸処理したセラミ
ックス製ブラケットの接着面の電子顕微鏡写真(115
0倍)である。
【図9】サンドブラスト処理していないセラミックス製
ブラケットを15分ふっ酸処理した後の接着面の電子顕
微鏡写真(5600倍)である。
【図10】サンドブラスト処理していないセラミックス
製ブラケットを60分ふっ酸処理した後の接着面の電子
顕微鏡写真(370倍)である。
【図11】サンドブラスト処理していないセラミックス
製ブラケットを60分ふっ酸処理した後の接着面の電子
顕微鏡写真(1150倍)である。
【符号の説明】
1 歯列矯正用ブラケット1 2 溝(スロット) 6〜9 結紮線係止用羽(ウイング) 10 アーチワイヤ 11 結紮線 12 底面(接着面)
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年11月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】セラミックス製ブラケットの例を示す斜視図で
ある。
【図2】セラミックス製ブラケットの使用状態を示す斜
視図である。
【図3】接着面に網を有する金属製ブラケットの接着面
の図面に代わる電子顕微鏡写真(28倍)である。
【図4】ブラケットの接着性強度の測定方法の説明図で
ある。
【図5】サンドブラスト処理したセラミックス製ブラケ
ットの接着面(セラミック材料の組織)の図面に代わる
電子顕微鏡写真(370倍)である。
【図6】サンドブラスト処理したセラミックス製ブラケ
ットの接着面(セラミック材料の組織)の図面に代わる
電子顕微鏡写真(1150倍)である。
【図7】サンドブラスト処理し、ふっ酸処理したセラミ
ックス製ブラケットの接着面(セラミック材料の組織)
の図面に代わる電子顕微鏡写真(370倍)である。
【図8】サンドブラスト処理し、ふっ酸処理したセラミ
ックス製ブラケットの接着面(セラミック材料の組織)
の図面に代わる電子顕微鏡写真(1150倍)である。
【図9】サンドブラスト処理していないセラミックス製
ブラケットを15分ふっ酸処理した後の接着面(セラミ
ック材料の組織)の図面に代わる電子顕微鏡写真(56
00倍)である。
【図10】サンドブラスト処理していないセラミックス
製ブラケットを60分ふっ酸処理した後の接着面(セラ
ミック材料の組織)の図面に代わる電子顕微鏡写真(3
70倍)である。
【図11】サンドブラスト処理していないセラミックス
製ブラケットを60分ふっ酸処理した後の接着面(セラ
ミック材料の組織)の図面に代わる電子顕微鏡写真(1
150倍)である。
【符号の説明】 1 歯列矯正用ブラケット 2 溝(スロット) 6〜9 結紮線係止用羽(ウイング) 10 アーチワイヤ 11 結紮線 12 底面(接着面)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックス製ブラケットであって、該
    ブラケットの接着面の表面が凹凸を有し、かつ該凹凸状
    の表面は多孔質層で覆われていることを特徴とするセラ
    ミックス製ブラケット。
  2. 【請求項2】 接着面の表面の凹凸の凹状部の平面形状
    が、略円形、略楕円形及び/又は略長円形であり、前記
    略円形、略楕円形及び略長円形の長径が1〜100μm
    である請求項1記載のセラミックス製ブラケット。
  3. 【請求項3】 セラミックス製ブラケットの接着面をサ
    ンドブラスト処理して前記接着面の表面に凹凸を形成
    し、次いでサンドブラスト処理した接着面を腐食性物質
    で処理して凹凸状の表面に多孔質層を形成することを特
    徴とするセラミックス製ブラケットの作製方法。
JP10043993A 1993-04-02 1993-04-02 歯列矯正用ブラケット及びその作製方法 Pending JPH06285086A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10043993A JPH06285086A (ja) 1993-04-02 1993-04-02 歯列矯正用ブラケット及びその作製方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10043993A JPH06285086A (ja) 1993-04-02 1993-04-02 歯列矯正用ブラケット及びその作製方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06285086A true JPH06285086A (ja) 1994-10-11

Family

ID=14273977

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10043993A Pending JPH06285086A (ja) 1993-04-02 1993-04-02 歯列矯正用ブラケット及びその作製方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06285086A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002360606A (ja) * 2001-06-12 2002-12-17 Tomii Kk 歯列矯正部材および歯列矯正部材の製造方法
JP2010507682A (ja) * 2006-10-23 2010-03-11 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 歯科用物品、方法、及び圧縮性材料を含むキット
WO2012020810A1 (ja) * 2010-08-12 2012-02-16 デンツプライ三金株式会社 ポリアミド製歯列矯正用ブラケット
US9539065B2 (en) 2006-10-23 2017-01-10 3M Innovative Properties Company Assemblies, methods, and kits including a compressible material

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002360606A (ja) * 2001-06-12 2002-12-17 Tomii Kk 歯列矯正部材および歯列矯正部材の製造方法
JP2010507682A (ja) * 2006-10-23 2010-03-11 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 歯科用物品、方法、及び圧縮性材料を含むキット
US9539065B2 (en) 2006-10-23 2017-01-10 3M Innovative Properties Company Assemblies, methods, and kits including a compressible material
US10492890B2 (en) 2006-10-23 2019-12-03 3M Innovative Properties Company Assemblies, methods, and kits including a compressible material
US11839521B2 (en) 2006-10-23 2023-12-12 3M Innovative Properties Company Assemblies, methods, and kits including a compressible material
WO2012020810A1 (ja) * 2010-08-12 2012-02-16 デンツプライ三金株式会社 ポリアミド製歯列矯正用ブラケット
JPWO2012020810A1 (ja) * 2010-08-12 2013-10-28 デンツプライ三金株式会社 ポリアミド製歯列矯正用ブラケット

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5269680A (en) Ceramic bracket with coated base
O'Keefe et al. In vitro tensile bond strength of adhesive cements to new post materials.
ÖZCAN et al. Effect of various surface conditioning methods on the adhesion of dual-cure resin cement with MDP functional monomer to zirconia after thermal aging
Awliya et al. Shear bond strength of a resin cement to densely sintered high-purity alumina with various surface conditions
US5084491A (en) Reinforcing glass ionomer dental filling material with stainless steel, or metals thereof
JPH07106211B2 (ja) 合成樹脂との接合性を高めるように基体表面を調製する方法及びそれに使用するサンドブラスト組成物
US5393362A (en) Method for improving adhesion to metal
US4010545A (en) Adhesive bonding to teeth of orthodontic brackets and the like
Imbery et al. Tensile strength of three resin cements following two alloy surface treatments.
JPH06285086A (ja) 歯列矯正用ブラケット及びその作製方法
EP0566616B1 (en) Adhesive amalgam system
US5112880A (en) Light-curable orthodontic bracket adhesive
Elsharkawy et al. Effect of various surface treatments of implant abutment and metal cope fitting surface on their bond strength to provisional resin cement
Okuya et al. Effects of metal primers on bonding of adhesive resin cement to noble alloys for porcelain fusing
US4478579A (en) Snugly fitting denture and process of its manufacture
US4650550A (en) Manufacture and repair of dental appliances
JPH026753B2 (ja)
Morikawa et al. Bonding of a mica‐based castable ceramic material with a tri‐n‐butylborane‐initiated adhesive resin
US6277295B1 (en) Etching alumina ceramics
JPH04329946A (ja) 歯列矯正用ブラケットおよびその研磨方法
RU2103944C1 (ru) Способ отделочной обработки зубных протезов из коррозионно-стойкой стали
Ryu et al. Effect of silica coating on bond strength between a gold alloy and metal bracket bonded with chemically cured resin
JPH0330368B2 (ja)
JPH06329515A (ja) 人工歯用金属素地の表面処理材及びこれを用いた表面処理方法
Bowen Bonding agents and adhesives: reactor response